[go: up one dir, main page]

JP6450789B2 - リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6450789B2
JP6450789B2 JP2017037859A JP2017037859A JP6450789B2 JP 6450789 B2 JP6450789 B2 JP 6450789B2 JP 2017037859 A JP2017037859 A JP 2017037859A JP 2017037859 A JP2017037859 A JP 2017037859A JP 6450789 B2 JP6450789 B2 JP 6450789B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
lithium
lithium ion
positive electrode
electrode active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017037859A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018147555A (ja
Inventor
弘樹 山下
弘樹 山下
大神 剛章
剛章 大神
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2017037859A priority Critical patent/JP6450789B2/ja
Publication of JP2018147555A publication Critical patent/JP2018147555A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6450789B2 publication Critical patent/JP6450789B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池におけるレート特性を有効に高めることのできるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、非水電解質電池の1種であり、携帯電話、デジタルカメラ、ノートPC、ハイブリッド自動車、電気自動車等広い分野に利用されている。リチウムイオン二次電池は、正極材料としてリチウム金属酸化物を用い、負極材料としてグラファイト等の炭素材を用いるものが主流となっている。
この正極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、ケイ酸鉄リチウム(LiFeSiO)等、数多くのものが知られている。なかでも、オリビン構造を有するLi(Fe,Mn)PO等のリン酸リチウム系化合物は、資源的な制約に大きく左右されることがなく、しかも高い安全性を発揮することができるため、電池物性に優れるリチウムイオン二次電池を得るには有用な正極材料であり、従来より種々の開発がなされている。
例えば、特許文献1では、一次結晶粒子を超微粒子化して、オリビン型正極活物質内のリチウムイオン拡散距離の短縮化を図ることにより、得られる電池の性能向上を試みている。また、特許文献2には、水熱反応工程を介し、LiPO(AはMn、Coの群から選ばれる1種又は2種)等からなる粒子の表面をLiPO(EはFe、Niの群から選ばれる1種又は2種)等を含む被覆層、この被覆層の表面を炭素質を含む被覆層により被覆した2層構造の被覆層により被覆してなる電極活物質が開示されており、長期のサイクル安定性及び安全性の向上を図っている。
特開2010−251302号公報 特開2011−181375号公報
しかしながら、上記特許文献に記載の活物質は、いずれも電気伝導性が低いリン酸リチウム系化合物のみを用いていることが主たる要因となり、その余の電池物性には優れるものの、レート特性を充分に高めることができない可能性が依然として高く、さらなる改善が求められている。
したがって、本発明の課題は、リン酸リチウム系化合物を用いつつも、優れた電気伝導性を得ることのできる、正極活物質として有用なリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体及びその製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、一方のリン酸リチウム系化合物を組成の異なる他方のリン酸リチウム系化合物で被覆させつつ、さらに最表面を特定のリチウムイオン伝導体が被覆してなる複合体とすることにより、これを正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池において、有効にレート特性を高めることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1):
LiMn PO・・・(1)
(式(1)中、M1はMg、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、及びbは、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、及び2a+(Mの価数)×b=2を満たす数を示す。)
で表されるリン酸リチウム系化合物(1)が、下記式(2):
LiCoFeNi PO・・・(2)
(式(2)中、MはCa、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。c、d、e及びfは、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.2、及び2c+2d+2e+(Mの価数)×f=2を満たし、かつc+d+e≠0を満たす数を示す。)
で表されるリン酸リチウム系化合物(2)で被覆されてなり、かつ最表面をリチウムイオン伝導体が被覆してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を提供するものである。
また、本発明は、次の工程(I)〜(III):
(I)リチウム化合物、リン酸化合物、及び少なくともマンガン化合物を含む金属化合物を含有する混合液Aを調製し、水熱反応に付してスラリーBを得る工程、
(II)得られたスラリーBに、リチウム化合物、リン酸化合物、並びに少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含む金属化合物を添加して混合液Cを調製し、水熱反応に付してスラリーDを得る工程、
(III)得られたスラリーDに、リチウム化合物、及びリチウムイオン伝導体用金属化合物を添加してスラリーEを調製し、水熱反応に付した後、焼成する工程
を備える上記リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法を提供するものである。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体によれば、これを用いて得られるリチウムイオン二次電池において、リン酸リチウム系化合物を用いつつも、優れた電気伝導性を得ることができ、優れたレート特性を発現することが可能である。
図1(a)は、実施例1で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体のTEM写真である。 また、図1(b)〜(c)は、実施例1で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の断面のTEM−EDXの元素分布の写真であり、図1(b)はリン酸リチウム系化合物由来のP元素の分布を示し、図1(c)はリチウムイオン伝導体由来のTi元素の分布を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、下記式(1):
LiMn PO・・・(1)
(式(1)中、M1はMg、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、及びbは、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、及び2a+(Mの価数)×b=2を満たす数を示す。)
で表されるリン酸リチウム系化合物(1)が、下記式(2):
LiCoFeNi PO・・・(2)
(式(2)中、MはCa、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。c、d、e及びfは、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.2、及び2c+2d+2e+(Mの価数)×f=2を満たし、かつc+d+e≠0を満たす数を示す。)
で表されるリン酸リチウム系化合物(2)で被覆されてなり、かつ最表面をリチウムイオン伝導体が被覆してなる。
すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、いずれもポリアニオン型正極活物質を有するリン酸リチウム系化合物(1)及びリン酸リチウム系化合物(2)を含みつつ、リン酸リチウム系化合物(1)が核(内部コア)を形成する一方、かかるリン酸リチウム系化合物(1)とは組成の異なるリン酸リチウム系化合物(2)がリン酸リチウム系化合物(1)を被覆する(外部コア)、第一のコアシェル構造を呈するポリアニオン型正極活物質(コア)に、さらにリチウムイオン伝導体(シェル)が被覆して第二のコアシェル構造を呈する、3層構造を有する複合体である。
内部コアとなるリン酸リチウム系化合物(1)は、下記式(1):
LiMn PO・・・(1)
(式(1)中、M1はMg、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、及びbは、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、及び2a+(Mの価数)×b=2を満たす数を示す。)
で表されれ、少なくともマンガンを含む化合物であり、後述するリン酸リチウム系化合物(2)に比べ、より優れた放電容量を発現し得る化合物である。
式(1)中におけるM1は、Mg、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはMg、Zr、又はMoである。a、及びbは、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、及び2a+(Mの価数)×b=2を満たす数を示し、好ましくは0.9≦a≦1、0≦b≦0.1である。
上記式(1)で表されるリン酸リチウム系化合物としては、具体的には、例えばLiMnPO、LiMn0.96Zr0.02PO、LiMn0.96Mg0.04POが挙げられる。
上記式(1)で表されるリン酸リチウム系化合物の平均粒径は、好ましくは10〜400nmであり、より好ましくは20〜300nmである。
リン酸リチウム系化合物(1)の含有量は、優れた放電容量を確保する観点から、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体中に、好ましくは30〜97質量%であり、より好ましくは40〜95質量%であり、さらに好ましくは45〜92質量%である。
外部コアとなるリン酸リチウム系化合物(2)は、内部コアとなる上記リン酸リチウム系化合物(1)を被覆する化合物であり、下記式(2):
LiCoFeNi PO・・・(2)
(式(2)中、MはCa、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。c、d、e及びfは、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.2、及び2c+2d+2e+(Mの価数)×f=2を満たし、かつc+d+e≠0を満たす数を示す。)
で表され、少なくともコバルト、鉄、又はニッケルのいずれかを含む化合物であり、上記リン酸リチウム系化合物(1)に比べ、より高い導電性をもたらし得る化合物である。
このようなリン酸リチウム系化合物(2)が上記リン酸リチウム系化合物(1)を被覆することにより、これらの化合物によってコアシェル構造を呈するポリアニオン型正極活物質粒子が形成され、かかるポリアニオン型正極活物質粒子は、内部から外部へと移行するにつれ、上記リン酸リチウム系化合物(2)の濃度が次第に高まるような構造を有することによりコアシェル構造を呈する粒子の導電性を向上させ、後述するリチウムイオン伝導体とも相まって優れたレート特性を発揮することができるものと推定される。
式(2)中におけるM2はCa、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示し、好ましくはZr、Moである。c、d、e及びfは、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.2、及び2c+2d+2e+(Mの価数)×f=2を満たし、かつc+d+e≠0を満たす数を示し、好ましくは0.5≦c≦1、0≦d≦0.5、0≦e≦0.5、0≦f≦0.1である。
上記式(2)で表されるリン酸リチウム系化合物としては、具体的には、例えばLiCoPO、LiCo0.96Zr0.02PO、LiCo0.94Mo0.02POが挙げられる。
上記式(2)で表されるリン酸リチウム系化合物による被覆層の厚みは、好ましくは1〜100nmであり、より好ましくは5〜70nmである。
リン酸リチウム系化合物(2)の含有量は、優れた放電容量を確保する観点から、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体中に、好ましくは2〜50質量%であり、より好ましくは4〜40質量%であり、さらに好ましくは5〜35質量%である。
また、リン酸リチウム系化合物(1)の含有量とリン酸リチウム系化合物(2)の含有量との質量比((1)/(2))は、高いレート特性を発現させる観点から、好ましくは1〜48であり、より好ましくは1.5〜40であり、さらに好ましくは2〜30である。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、最表面をリチウムイオン伝導体が被覆してなる。すなわち、上記リン酸リチウム系化合物(1)とリン酸リチウム系化合物(2)により形成された第一のコアシェル構造を呈するポリアニオン型正極活物質粒子最表面を、リチウムイオン伝導体が被覆して第二のコアシェル構造を形成することによって、ポリアニオン型正極活物質からの金属イオンの溶出及び充放電時の体積変化を抑制し、より一層優れたレート特性を発現することができる。
リチウムイオン伝導体とは、優れたリチウムイオン導電性を有する導電性固体電解質であり、具体的には、LiTi12、LiTiO、LiNa1−xTi14(0≦x≦1)、LiPO、及びLiVOから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、LiTi12、LiNa1−xTi14(0≦x≦1)が好ましい。
リチウムイオン伝導体の含有量は、より効果的にレート特性の向上を図る観点から、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体中に、好ましくは0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは2〜8質量%である。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の平均粒径は、好ましくは15〜500nmであり、より好ましくは20〜400nmである。また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体のタップ密度は、好ましくは0.2〜2.5g/cmであり、より好ましくは0.3〜2.0g/cmである。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体は、次の工程(I)〜(III):
(I)リチウム化合物、リン酸化合物、及び少なくともマンガン化合物を含む金属化合物を含有する混合液Aを調製し、水熱反応に付してスラリーBを得る工程、
(II)得られたスラリーBに、リチウム化合物、リン酸化合物、並びに少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含む金属化合物を添加して混合液Cを調製し、水熱反応に付してスラリーDを得る工程、
(III)得られたスラリーDに、リチウム化合物、及びリチウムイオン伝導体用金属化合物を添加してスラリーEを調製し、水熱反応に付した後、焼成する工程
を備える製造方法により、得ることができる。
すなわち、本願発明では、上記特許文献2にも記載されるように、所定の原料を用いつつ所望の正極活物質を得るにあたり、全工程中において2度水熱反応に付するのみならず、さらにもう1度水熱反応に付して、全工程中において3度にわたり水熱反応を付することにより、コアシェル構造を有するポリアニオン型正極活物質の最表面が、さらにリチウムイオン伝導体で被覆されてなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を製造することができる。
工程(I)は、リチウム化合物、リン酸化合物、及び少なくともマンガン化合物を含む金属化合物を含有する混合液Aを調製し、水熱反応に付してスラリーBを得る工程である。混合液Aを調製するにあたり、予めリチウム化合物を添加して得られたスラリーにリン酸化合物を添加し、次いで、少なくともマンガン化合物を含む金属化合物を添加するのが好ましい。予めリチウム化合物を添加してスラリーを得る際、水も用いる。
工程(I)で用いるリチウム化合物としては、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のリチウム金属塩、水酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられ、なかでも水酸化リチウムを使用するのが好ましい。
混合液A中におけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは20〜50質量部であり、より好ましくは25〜45質量部である。
リチウム化合物を添加して得られたスラリーにリン酸化合物を添加する際、リチウム化合物を添加して得られたスラリーを撹拌しておくのが好ましい。かかるスラリーの撹拌時間は、好ましくは1〜15分であり、より好ましくは3〜10分である。また、かかるスラリーの温度は、好ましくは20〜90℃であり、より好ましくは20〜70℃である。
工程(I)で用いるリン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70〜90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。かかるリン酸を添加する場合、予めリチウム化合物を添加して得られたスラリーを撹拌しながらリン酸を滴下するのが好ましい。このように、リチウム化合物を添加して得られたスラリーにリン酸を滴下して少量ずつ加えることで、混合液A中において良好に反応が進行して、リン酸リチウム系化合物(1)の一次粒子が混合液A中で均一に分散しつつ生成され、かかる一次粒子が不要に凝集するのをも効果的に抑制することができる。
上記リチウム化合物を添加して得られたスラリーへのリン酸の滴下速度は、好ましくは15〜50mL/分であり、より好ましくは20〜45mL/分であり、さらに好ましくは28〜40mL/分である。また、リン酸を滴下しながらのスラリーの撹拌時間は、好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは3〜12時間である。さらに、リン酸を滴下しながらのスラリーの撹拌速度は、好ましくは200〜700rpmであり、より好ましくは250〜600rpmであり、さらに好ましくは300〜500rpmである。
なお、スラリーを撹拌する際、さらにスラリーの沸点温度以下に冷却するのが好ましい。具体的には、80℃以下に冷却するのが好ましく、20〜60℃に冷却するのがより好ましい。
リチウム化合物及びリン酸化合物を添加した後の混合物は、リン酸1モルに対し、リチウムを2.7〜3.3モル含有するのが好ましく、2.8〜3.1モル含有するのがより好ましく、このような量となるよう、上記リチウム化合物と、リン酸化合物を用いればよい。
リチウム化合物及びリン酸化合物を添加した後の混合物に対して窒素をパージすることにより、かかる混合物中での反応を完了させて、リン酸リチウム系化合物(1)の前駆体(例えば、リン酸三リチウム)を混合物中に生成させる。窒素がパージされると、混合物中の溶存酸素濃度が低減された状態で反応を進行させることができ、また得られるリン酸リチウム系化合物(1)の前駆体を含有する混合物中の溶存酸素濃度も効果的に低減されるため、続いて添加する少なくともマンガン化合物を含む金属化合物の酸化を抑制することができる。かかる前駆体を含有する混合物中において、かかる前駆体は、微細な分散粒子として存在する。
窒素をパージする際における圧力は、好ましくは0.1〜0.2MPaであり、より好ましくは0.1〜0.15MPaである。また、リチウム化合物及びリン酸化合物を添加した後の混合物の温度は、好ましくは20〜80℃であり、より好ましくは20〜60℃である。
また、窒素をパージする際、反応を良好に進行させる観点から、リチウム化合物及びリン酸化合物を添加した後の混合物を撹拌するのが好ましい。このときの撹拌速度は、好ましくは200〜700rpmであり、より好ましくは250〜600rpmである。
また、リチウム化合物及びリン酸化合物を添加した後の混合物中における溶存酸素濃度は、0.5mg/L以下とするのが好ましく、0.2mg/L以下とするのがより好ましい。
工程(I)で用いる金属化合物は、少なくともマンガン化合物を含み、かかるマンガン化合物のほか、さらに、Mg、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGd等から選ばれる1種又は2種以上の金属を含む化合物を用いてもよい。これらの金属化合物としては、例えばフッ化物、塩化物、ヨウ化物等のハロゲン化遷移金属塩、硫酸遷移金属塩の他、有機酸遷移金属塩、並びにこれらの水和物等が挙げられる。このうち、有機酸遷移金属塩を構成する有機酸としては、炭素数1〜20の有機酸、さらに炭素数2〜12の有機酸が好ましい。さらに好ましくは、シュウ酸、フマル酸等のジカルボン酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸、酢酸等の脂肪酸が挙げられる。
金属化合物の使用量は、リン酸化合物の使用量とのモル比で、リン酸化合物のリン酸イオン1モルに対し、金属化合物の金属原子換算として、好ましくは0.99〜1.01モルであり、好ましくは0.995〜1.005モルである。
これらリチウム化合物、リン酸化合物、及び少なくともマンガン化合物を含む金属化合物を混合して調製した混合液A中における、これら金属化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは20〜150質量部であり、より好ましくは30〜100質量部である。
かかる金属化合物を添加した後、混合する時間は、好ましくは1分〜12時間であり、より好ましくは5〜120分間である、また、混合液AのpHは、水熱反応によりリン酸化合物を生成させる点から、好ましくは3〜11であり、より好ましくは4〜9であり、混合液Aの温度は、各原料の溶解性及び副生成物の抑制の点から、好ましくは5〜80℃、より好ましくは20〜60℃が好ましい。
得られた混合液Aは、水熱反応に付してスラリーBを得る。水熱反応は、100℃以上であればよく、130〜180℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130〜180℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3〜0.9MPaであるのが好ましく、140〜160℃で反応を行う場合の圧力は0.3〜0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.5〜24時間が好ましく、さらに1〜12時間が好ましい。
工程(II)は、工程(I)で得られたスラリーBに、リチウム化合物、リン酸化合物、並びに少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含む金属化合物を添加して混合液Cを調製し、水熱反応に付してスラリーDを得る工程である。工程(I)と同様、混合液Cを調製するにあたり、予め工程(I)で得られたスラリーBにリチウム化合物を添加して、得られたスラリーにリン酸化合物を添加し、次いで、少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含む金属化合物を添加するのが好ましい。
工程(II)で用いるリチウム化合物及びリン酸化合物は、工程(I)で用いるリチウム化合物及びリン酸化合物と同義である。
工程(II)におけるリチウム化合物及びリン酸化合物を添加した後の混合物について、リン酸化合物としてリン酸を用いる際のスラリーへの滴下速度、撹拌時間、撹拌速度の好適な値、並びに窒素をパージする際の諸条件や、溶存酸素濃度の好適な値も、工程(I)と同様である。
工程(II)で用いる金属化合物は、少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含み、かかるコバルト化合物、鉄化合物、及びニッケル化合物のほか、さらに、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGd等から選ばれる1種又は2種以上の金属を含む化合物を用いてもよい。これらの金属化合物としては、例えばフッ化物、塩化物、ヨウ化物等のハロゲン化遷移金属塩、硫酸遷移金属塩の他、有機酸遷移金属塩、並びにこれらの水和物等が挙げられる。このうち、有機酸遷移金属塩を構成する有機酸としては、炭素数1〜20の有機酸、さらに炭素数2〜12の有機酸が好ましい。さらに好ましくは、シュウ酸、フマル酸等のジカルボン酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸、酢酸等の脂肪酸が挙げられる。
金属化合物の使用量は、リン酸化合物の使用量とのモル比で、リチウム化合物のリチウム1モルに対し、金属化合物の金属原子換算として、好ましくは0.99〜1.01モルであり、好ましくは0.995〜1.005モルである。
リチウム化合物、リン酸化合物、及び少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含む金属化合物を混合して調製した混合液C中における、これら金属化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは0.4〜3質量部であり、より好ましくは0.6〜2質量部である。
これらの原料を添加した後の混合液Cについて、混合する時間、及びその他、pH等条件は、工程(I)と同様である。また、得られた混合液Cを水熱反応に付してスラリーDを得る際における水熱反応の諸条件についても工程(I)と同様である。
工程(III)は、得られたスラリーDに、リチウム化合物、及びリチウムイオン伝導体用金属化合物を添加してスラリーEを調製し、水熱反応に付した後、焼成する工程である。かかる工程(III)を経ることにより、リチウム化合物、及びリチウムイオン伝導体用金属化合物によってリチウムイオン伝導体が生成し、かかるリチウムイオン伝導体が、上記リン酸リチウム系化合物(1)とリン酸リチウム系化合物(2)により形成されたコアシェル構造の粒子最表面を被覆することとなる。
工程(III)で用いるリチウム化合物は、工程(I)〜(II)で用いるリチウム化合物と同義である。
工程(III)で用いるリチウムイオン伝導体用金属化合物としては、リチウム化合物とともにリチウムイオン伝導体を形成し得る化合物であればよく、具体的には、TiOSO、HPO及びVOSO・nHO(3≦n≦4)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、TiOSO、VOSO・nHOが好ましい。
リチウムイオン伝導体用金属化合物の使用量は、リチウム化合物の使用量とのモル比で、リチウム化合物のリチウム1モルに対し、リチウムイオン伝導体用金属化合物の金属原子換算として、好ましくは0.2〜1.5モルであり、より好ましくは0.3〜1.3モルである。
また、スラリーE中における、リチウムイオン伝導体の含有量は、後述する工程(III)で用いる水100質量部に対し、好ましくは0.05〜10質量部であり、より好ましくは0.05〜7質量部である。
なお、工程(III)において、これらリチウム化合物、及びリチウムイオン伝導体用金属化合物を添加してスラリーEを調製するにあたり、合成の効率等の観点から、リチウム化合物を添加した後、リチウムイオン伝導体用金属化合物を添加してスラリーEを得るのが好ましい。
これらの原料を添加した後、混合する時間は、好ましくは1分〜12時間であり、より好ましくは5〜120分間である、また、また、スラリーEのpHは、リン酸化合物の溶解を抑制する点から、好ましくは3〜11であり、より好ましくは4〜9であり、スラリーEの温度は、各原料の溶解性ならびに副生成物の抑制の点から、好ましくは5〜80℃、より好ましくは10〜60℃が好ましい。
得られたスラリーEは、水熱反応に付す。水熱反応は、100℃以上であればよく、130〜200℃が好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、130〜200℃で反応を行う場合、この時の圧力は0.3〜1.3MPaであるのが好ましく、140〜160℃で反応を行う場合の圧力は0.3〜0.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は0.5〜24時間が好ましく、さらに1〜12時間が好ましい。
得られた結果物は、リン酸リチウム系化合物(1)、リン酸リチウム系化合物(2)及びリチウムイオン伝導体の前駆体を含む複合体であり、ろ過後、水で洗浄し、乾燥することによりこれを単離できる。かかる複合体を水で洗浄する際、複合体1質量部に対し、水を5〜100質量部用いるのが好ましい。
乾燥手段は、凍結乾燥、真空乾燥が用いられ、凍結乾燥が好ましい。
単離した複合体は、次いで焼成する。これにより、リン酸リチウム系化合物(1)及びリン酸リチウム系化合物(2)により形成されたコアシェル構造を呈するポリアニオン型正極活物質粒子の最表面に、リチウムイオン伝導体を被覆させ、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を得ることができる。
焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気中で行うのが好ましく、リン酸化合物の結晶成長を抑制しリチウムイオン伝導体を生成させる点から、焼成温度は、好ましくは500〜800℃であり、より好ましくは550〜750℃である。また焼成時間は、好ましくは10分〜10時間であり、より好ましくは1〜5時間である。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を含む二次電池用正極を適用できる、リチウムイオン二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。例えば、リチウム金属、グラファイト又は非晶質炭素等の炭素材料等である。そしてリチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出し得るインターカレート材料で形成された電極、特に炭素材料を用いることが好ましい。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF、LiBF、LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSOCF、LiC(SOCF及びLiN(SOCF、LiN(SO及びLiN(SOCF)(SO)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
LiOH・HO 12.72g及び水 50mLを混合してスラリーを得た後、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ、85%のリン酸水溶液 11.53gを35mL/分で滴下し、続いて12時間、速度400rpmで撹拌することにより、リン酸三リチウムスラリーを得た。かかるリン酸三リチウムスラリーは、リン1モルに対し、2.97モルのリチウムを含有していた。なお、得られたリン酸三リチウムスラリーは、窒素パージし、溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした。
次に、得られたリン酸三リチウムスラリー全量に対し、MnSO・5HO 24.11gを添加して、混合液Aを得た。次いで、得られた混合液Aをオートクレーブに投入し、170℃で1時間水熱反応を行い、スラリーBを得た。なお、オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。
生成したスラリーB 98.4gに対し、LiOH・HO 0.64gを添加して混合した後、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ、85%のリン酸水溶液 0.58gを35mL/分で滴下し、続いて12時間、速度400rpmで撹拌することにより、リン酸三リチウムスラリーを得た。かかるリン酸三リチウムスラリーは、リン1モルに対し、2.97モルのリチウムを含有していた。なお、得られたリン酸三リチウムスラリーは、窒素パージし、溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした。
次に、得られたリン酸三リチウムスラリー全量に対し、CoSO・7HO 1.41gを添加して混合し、混合液Cを得た。次いで、得られた混合液Cをオートクレーブに投入し、170℃で1時間水熱反応を行い、スラリーDを得た。なお、オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。
生成したスラリーD 101.0gに対し、LiOH・HO 0.44g、TiOSO・1.5HO 0.81gを添加して混合し、スラリー水Eを得た。得られたスラリー水Eをオートクレーブに投入して、170℃で1時間水熱反応を行った。なお、オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。
生成した結晶をろ過し、次いで得られた結晶を、かかる結晶1質量部に対して12質量部の水により洗浄した後、−50℃で12時間凍結乾燥して粉末を得た。得られた粉末を還元雰囲気下で700℃で1hr焼成して、複合体(LiMnPO(LMP)/LiCoPO(LCP)/LiTi12=92質量%/5質量%/3質量%)を得た。
[実施例2]
スラリー水Bに添加するLiOH・HOを1.27g、滴下する85%のリン酸水溶液を1.15gとしてリン酸三リチウムスラリーを得た後、かかるリン酸三リチウムスラリー全量に対し、添加するCoSO・7HOを2.81gとした以外、実施例1と同様にして、複合体(LiMnPO/LiCoPO/LiTi12=88質量%/9質量%/3質量%)を得た。
[比較例1]
実施例1と同様にしてスラリーDを得た後、かかるスラリーDをろ過し、次いで得られた結晶を、かかる結晶1質量部に対して12質量部の水により洗浄した後、凍結乾燥して、粉末を得た。得られた粉末 2.0gにグルコース 0.25g及び超純水10cmを加え、混合・乾燥した後、還元雰囲気下で700℃で1hr焼成して、複合体(LiMnPO/LiCoPO/C=92質量%/5質量%/3質量%)を得た。
[比較例2]
実施例1と同様にしてスラリーBを得た後、かかるスラリーB 98.4gに対し、添加するLiOH・HOを1.27gとし、滴下する85%のリン酸水溶液を1.15gとし、さらに得られたリン酸三リチウムスラリー全量に対して添加するCoSO・7HOを2.81gとした以外、実施例1と同様にしてスラリーEを得た。
得られたスラリーEをろ過し、次いで得られた結晶を、かかる結晶1質量部に対して12質量部の水により洗浄した後、凍結乾燥して、粉末を得た。得られた粉末 2.0gにグルコース 0.25g及び超純水10cm3を加え、混合・乾燥した後、還元雰囲気下で700℃で1hr焼成して、複合体(LiMnPO/LiCoPO/C=88質量%/9質量%/3質量%)を得た。
《放電容量の評価》
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた複合体を正極活物質として用い、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。具体的には、得られた複合体、ケッチェンブラック、ポリフッ化ビニリデンを質量比75:20:5の配合割合で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。
その後、φ14mmの円盤状に打ち抜いてハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスし、正極とした。
次いで、上記の正極を用いてコイン型二次電池を構築した。負極には、φ15mmに打ち抜いたリチウム箔(リチウムイオン二次電池の場合)を用いた。電解液には、エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比3:7の割合で混合した混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンなどの高分子多孔フィルムなど、公知のものを用いた。これらの電池部品を露点が−50℃以下の雰囲気で常法により組み込み収容し、コイン型二次電池(CR−2032)を製造した。
製造した二次電池を用い、充放電試験を行った。具体的には、充電条件を電流0.2CA(34mA/g)、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、放電条件を0.2CA(34mA/g)、終止電圧2.0Vの定電流放電として、0.2CAにおける放電容量を求めた。また、充電条件を同様にして、放電時の電流密度を3CA(510mA/g)として、3CAにおける放電容量を求めた。さらに、下記式(X)により0.2CAと3CAの放電容量の比を求めた。
放電容量の比(%)=(3CA放電容量)/(0.2CA放電容量)×100 ・・・(X)
結果を表1に示す。
実施例1の複合体が、いわゆるコアシェル構造を形成したリン酸リチウム系化合物の最表面にリチウムイオン伝導体(LiTi12)が被覆していることを確認するため、TEM−EDXによる元素分布の分析を行った。
TEM写真及びTEM−EDXの元素分布を図1に示す。
図1からも明らかなように、リチウムイオン伝導体LiTi12の主成分であるTiが、リン酸リチウム系化合物(1)及びリン酸リチウム系化合物(2)からなるポリアニオン型正極活物質の主成分であるPの周りに存在しており、リチウムイオン伝導体LiTi12によってポリアニオン型正極活物質が被覆されていることがわかる。
表1から明らかなように、実施例で得られたリン酸リチウム系化合物(1)がリン酸リチウム系化合物(2)で被覆され、かつリン酸リチウム系化合物(2)がリチウムイオン伝導体で被覆されてなる本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を使用したリチウムイオン二次電池は、比較例で得られたリン酸リチウム系化合物(1)を被覆したリン酸リチウム系化合物(2)の表面に導電性炭素が担持されたリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体を使用したリチウムイオン二次電池と比べ、放電容量が高く、かつレート特性に優れることがわかる。

Claims (9)

  1. 下記式(1):
    LiMna1 bPO4・・・(1)
    (式(1)中、M1はMg、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、及びbは、0.8≦a≦1、0≦b≦0.2、及び2a+(M1の価数)×b=2を満たす数を示す。)
    で表されるリン酸リチウム系化合物(1)が、下記式(2):
    LiCocFedNie2 fPO4・・・(2)
    (式(2)中、M2はCa、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。c、d、e及びfは、0≦c≦1、0≦d≦1、0≦e≦1、0≦f≦0.2、及び2c+2d+2e+(M2の価数)×f=2を満たし、かつc+d+e≠0を満たす数を示す。)
    で表されるリン酸リチウム系化合物(2)で被覆されてなり、リン酸リチウム系化合物(1)の含有量が30〜97質量%であり、かつ最表面をリチウムイオン伝導体が被覆してなるリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  2. リチウムイオン伝導体の含有量が、0.5〜15質量%である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  3. リン酸リチウム系化合物(1)の含有量とリン酸リチウム系化合物(2)の含有量との質量比((1)/(2))が、1〜48である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  4. リチウムイオン伝導体が、Li4Ti512、Li2TiO3、LixNa1-xTi614(0≦x≦1)、Li3PO4、及びLi3VO4から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体。
  5. 次の工程(I)〜(III):
    (I)リチウム化合物、リン酸化合物、及び少なくともマンガン化合物を含む金属化合物を含有する混合液Aを調製し、水熱反応に付してスラリーBを得る工程、
    (II)得られたスラリーBに、リチウム化合物、リン酸化合物、並びに少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含む金属化合物を添加して混合液Cを調製し、水熱反応に付してスラリーDを得る工程、
    (III)得られたスラリーDに、リチウム化合物、及びリチウムイオン伝導体用金属化合物を添加してスラリーEを調製し、水熱反応に付した後、焼成する工程
    を備える請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法。
  6. 工程(III)で用いるリチウムイオン伝導体用金属化合物が、TiOSO4、H3PO4及びVOSO4・nH2O(3≦n≦4)から選ばれる1種又は2種以上である請求項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法
  7. 工程(III)における焼成温度が、500〜800℃である請求項又はに記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法。
  8. 工程(III)で用いるスラリーE中の、リチウムイオン伝導体用金属化合物の含有量が、水100質量部に対し、0.05〜10質量部である請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法。
  9. 工程(II)で用いる混合液C中の、少なくともコバルト化合物、鉄化合物、又はニッケル化合物を含む金属化合物の含有量が、水100質量部に対し、0.4〜3質量部である請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質複合体の製造方法。
JP2017037859A 2017-03-01 2017-03-01 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法 Active JP6450789B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017037859A JP6450789B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017037859A JP6450789B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018147555A JP2018147555A (ja) 2018-09-20
JP6450789B2 true JP6450789B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=63592215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017037859A Active JP6450789B2 (ja) 2017-03-01 2017-03-01 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6450789B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109449413A (zh) * 2018-11-01 2019-03-08 北京理工大学 一种磷酸锂类添加剂、富锂锰基正极及锂电池
CN109888208A (zh) * 2019-01-25 2019-06-14 高点(深圳)科技有限公司 锂离子电池正极材料及其制法和应用
CN110071271A (zh) * 2019-04-09 2019-07-30 桑顿新能源科技有限公司 高功率锂离子动力电池负极材料的制备方法及负极材料与应用
JP7239408B2 (ja) * 2019-07-04 2023-03-14 トヨタ自動車株式会社 非水電解質二次電池
CN112635722B (zh) * 2019-10-09 2022-04-15 北京卫蓝新能源科技有限公司 一种锂离子电池复合正极材料及制备方法
CN116057010A (zh) * 2020-09-04 2023-05-02 株式会社半导体能源研究所 正极活性物质的制造方法
CN117355960A (zh) * 2021-05-31 2024-01-05 松下知识产权经营株式会社 被覆活性物质、正极材料、正极和电池
CN113258073B (zh) * 2021-07-06 2021-09-28 湖南长远锂科股份有限公司 包覆改性锂离子电池正极材料及其制备方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104781965B (zh) * 2012-11-12 2018-01-16 三井造船株式会社 电极材料和电极材料的生产方法
JP2015049995A (ja) * 2013-08-30 2015-03-16 住友大阪セメント株式会社 リチウムイオン電池用正極活物質の製造方法及びリチウムイオン電池用正極活物質

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018147555A (ja) 2018-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6450789B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法
CN103548189B (zh) 用于可充电锂电池的正极活性物质
JP4388135B2 (ja) オリビン型構造を有する化合物を含む粒子、その製造方法、非水電解質二次電池用正極、非水電解質二次電池
KR101350811B1 (ko) 리튬 이차 전지용 양극 활물질, 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지
CN106981630B (zh) 二次电池中的阴极材料的复合材料、制备法和锂二次电池
JP5890886B1 (ja) リン酸マンガン鉄リチウム正極活物質及びその製造方法
US20130337329A1 (en) Electrode active material and method of producing the same
JP7260249B2 (ja) 遷移金属含有複合水酸化物粒子とその製造方法、非水電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および非水電解質二次電池
AU2019204947B2 (en) High power electrode materials
KR20150050403A (ko) 리튬 전지
JP2021150129A (ja) 多層型リチウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法
JP5890885B1 (ja) リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法
JP6273327B1 (ja) ポリアニオン系正極活物質造粒体及びその製造方法
WO2014017752A1 (ko) 리튬 이차 전지용 양극 활물질, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 리튬 이차 전지
JP6457570B2 (ja) リチウムイオン二次電池用正極活物質複合体、及びその製造方法
TWI465390B (zh) 鋰蓄電池用正極活性物質之製造方法
JP5807730B1 (ja) 蓄電デバイスの電極用チタン酸リチウム粉末および活物質材料、並びにそれを用いた電極シートおよび蓄電デバイス
JP6042512B2 (ja) 二次電池用正極活物質及びその製造方法
JP5649068B2 (ja) リチウムイオン電池用正極活物質及びその製造法
JP2018032567A (ja) リン酸リチウム系正極活物質の製造方法
JP5649069B2 (ja) リチウムイオン電池用正極活物質及びその製造法
JP7143593B2 (ja) 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法
JP5825573B2 (ja) リチウムイオン電池用正極活物質及びその製造法
JP2013089380A (ja) 二次電池およびその製造方法
TWI598293B (zh) 鋰二次電池所用的陰極活性材料及其製備方法與使用該陰極活性材料之鋰二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6450789

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250