開示の説明
[技術分野]
この開示は全般的に建物用パネル、好ましくはフロアパネルのための、耐摩耗性表面を有した繊維ベースのパネルの分野に関する。この開示は、そのような耐摩耗性の表面を有した建物用パネル、およびそのようなパネルを製造するための製造方法に関する。
[適用分野]
本開示は、木質繊維コアおよび装飾的な耐摩耗性表面を有したフロアパネルを備える浮床への使用に特に適している。したがって、以下の技術的な説明、公知のシステムの課題および本発明の目的および特徴は、非限定的な実施例として、とりわけこの適用分野、特に従来の木質繊維ベースの浮動積層床板に類似する床材に向けられている。この開示は、サブフロアに接着される床を除外するものではない。
ここで強調されるべきことは、この開示が、パネルとして、あるいは例えばコアに接着される表面層として用い得ることである。この開示はまた、例えば壁パネル、天井、家具の部品およびそれに類した物の用途に用いることができる。さらに、工業、例えば自動車部品に一般的に用いられている金属製または樹脂製の部品に取って代わり得る部品を製造することも可能である。そのような部品は、高度な形状および特性で製造することができる。耐摩耗性、耐衝撃性、摩擦およびコスト構造は、他の従来の材料に匹敵しあるいはより良好なものとすることができる。
[背景技術]
木質繊維をベースとしてダイレクトプレスされた積層床材は、通常6〜12mmの繊維板のコア、厚さ0.2mmの積層された上側装飾表面層、および厚さ0.1〜0.2mmの樹脂、紙あるいは類似の部材の積層された下側バランス層を備える。
積層体の表面は、一般的に、厚さ0.1mmの印刷された装飾紙と、この装飾紙の上に付加されてこの装飾紙を摩耗から保護することを目的とした厚さ0.05〜0.1mmの透明な被覆紙の2枚の紙のシートから構成されている。透明でない装飾紙上の印刷は、厚さが約0.01mmにすぎない。透明な被覆は、微細なαセルロース繊維から作られ、小さな硬くて透明なアルミニウム酸化物の粒子を含んでいる。微細な繊維は約2〜5mmとかなり長く、これが被覆紙に必要な強さを与えている。透明性を得るために、未使用の木質繊維内に存在しているすべての天然樹脂が取り除かれ、装飾紙上の非常に薄い層としてアルミニウム酸化物粒子が付加される。この積層床の表面層の特徴は、一方が他方の上にある2枚の別々の層によってその装飾および摩耗の特性が得られている点にある。
印刷された装飾紙および被覆にはメラミン樹脂が含浸され、熱と圧力の下で木質繊維ベースのコアに積層される。
小さなアルミニウム酸化物粒子は、20〜100ミクロンの範囲の寸法とすることができる。この粒子は、いくつかの方法で表面層に取り込むことができる。それらは、例えば被覆紙を製造する間にパルプに取り込むことができる。それらはまた、被覆を含浸させる手順の間に濡れているラッカー上に振りかけることもできるし、あるいは被覆を含浸するために用いるラッカーに取り込むこともできる。
この摩耗層は、セルロースの被覆なしに製造することもできる。そのような場合、メラミン樹脂およびアルミニウム酸化物粒子は、上述したものと同じ方法でラッカー塗布層として装飾紙の上に直接付加される。そのような摩耗層は、一般的に液体被覆と呼ばれる。
この製造方法によると、耐摩耗性に非常に優れた表面を得ることができる。この種の表面は、主に積層床板に用いられるが、それはまた家具の構成部品および同様の用途に用いることができる。高品質な積層床板は、4000〜6000回転の耐摩耗性を有するが、それはISO規格に準拠したテーバー式摩耗試験機で計測する摩耗クラスのAC4およびAC5に相当する。
木の表面を被覆する透明なラッカー内に酸化アルミニウム粒子を取り込むことにより、ラッカーを塗布した木の表面の耐摩耗性を大幅に改良できることもまた良く知られている。
積層床板に用いられる最も一般的なコア材は、通常HDF 高密度繊維板 と呼ばれる、高い密度と良好な安定性を有した繊維板である。時には、MDF 中密度繊維板 がコアとして用いられる。パーティクルボードのような他のコア材料もまた用いられる。
HDFは、以下のようにして製造される。丸材、例えば松、カラマツあるいはトウヒを木材チップへと煮詰め、次いで精砕機において繊維に分解する。その後、この繊維をバインダと混合し、次いで高圧および高温を負荷して板材を形成する。
[いくつかの用語の定義]
以下の文においては、設置されたフロアパネルのうち見える側の表面を「前側」と呼び、サブフロアに対向するこのフロアパネルの反対側を「後側」と呼ぶ。パネルの主要な部分を構成するとともに必要な安定性をパネルにもたらすシート状に成形された材料を「コア」と呼ぶ。このコアが、前側に最も近い表面層で覆われ、かつ好ましくは後側に最も近いバランス層で覆われると、それは、この半製品がその後の操作において複数のフロア要素に分割される場合に「床板」または「床要素」と呼ばれる半製品を形成する。この床要素は、連結システムを有したそれらの最終的な形状を得るためにその縁部に沿って機械加工されると「フロアパネル」と呼ばれる。「表面層」は、パネルに装飾的な特性および耐摩耗性をもたらすとともに、前側に最も近いコアに付加されて好ましくはフロアボードの前側の全体を覆う、全ての層を意味する。「装飾表面層」は、フロアにその装飾的な外観を与えることが主に意図されている層を意味する。「摩耗層」は、前側の耐久性を高めるように構成された層に関連する。
「水平面」は、表面層の外側部分に対して平行に延びる面を意味する。「水平に」とは水平面に対して平行であることを意味し、かつ「垂直に」とは水平面に対して垂直であることを意味する。「上側に」とは前側に向かうことを意味し、かつ「下側に」とは後側に向かうことを意味する。
[公知技術およびその問題]
多くの床材、特に積層床材に用いられる耐磨耗性の透明層は、一般的に、木質繊維ベースのコアに付加された装飾的な印刷紙の上に、あるいは装飾的な印刷表面の上に設けられる。この装飾層は、薄くて透明な保護的な摩耗層が摺り減ると損傷する。
多くの用途、主として店、ホテル、レストランおよび類似の領域におけるそのような床の耐摩耗性は十分ではない。その主な理由は、人々がその靴の下に砂を付けたまま床の上を歩くことによる。積層床材の装飾層は、多くの場合、特に入口領域の周辺あるいは通路のような交通および摩耗の激しい領域において、かなり短い期間に損傷する。積層床材は、石の床あるいはセラミックタイルから作られている床と同じ耐摩耗性には到達し得ない。
リノリュームは、木粉、コルク粉末、石灰岩および着色顔料と組み合わせた凝固亜麻仁油から作られる、良く知られた床仕上げ材である。それは、装飾的な特性と耐摩耗性を組み合わせた固体の表面層を有している。しかしながら、この床材はいくつかの短所を有している。その耐衝撃性および耐摩耗性は低く、かつ高度なデザインを作り出すことが困難である。生産コストも、かなり高い。
積層床材の耐摩耗性を高めるためにいくつかの方法が用いられてきたが、それらは、印刷された紙あるいは印刷されたデザイン上の上側にある透明層に、より耐磨耗性の高い粒子、例えば酸化アルミニウムを含ませるという原理をベースとしている。この方法の主な短所は、印刷デザインが明瞭にならないことにある。そのような厚い被覆が、完全には透明でない灰色の層を作り出すからである。
耐磨耗性の表面層を形成するためにいくつかの透明な被覆を装飾紙上にプレスできること、およびそのような複数の被覆がその下側に印刷パターンを具備し得ることは公知である。この設計は、上側層が摺り減ったときに、下側の透明層が印刷パターンを保護するように適合させることができる。含浸の間における被覆の制御されない膨潤のために、魅力的で耐磨耗性の表面層を作り出すことはきわめて困難である。他の短所は、そのような複数層の被覆が、灰色で明瞭でないデザインパターンをもたらし、より多くの張力および湿度の変化により敏感な表面を作り出すことにある。
積層床板は、多くの良好な特性を有するとともに、木の床材や石の床材のような多くの他のタイプの床材よりも製造のためのコスト効果が高い。この床が1977年3月に発明されたときから、多くの改善がなされてきた。しかしながら、その製造は、未だにかなり資本集約的であり、かつ以下のような多くの段階から成っている。
1.HDFの製造
2.均一な表面を作り出すためのHDFの研摩
3.装飾紙の製造
4.装飾紙の印刷
5.被覆の製造
6.装飾紙の含浸
7.被覆の含浸
8.装飾紙および被覆のHDFコアへのプレスおよびフロアボードの形成
9.床板の個々の床要素への分割
10.係止システムを形成するためのフロアパネルの縁部の機械加工
これらの製造段階のいくつかを取り除くことができれば、それは大きな利点となる。
積層床材パネル上の印刷物を、HDFコアの表面上のデジタルあるいは直接印刷に置き換え得ることは知られている。しかしながら、そのような直接印刷による床材の品質は、積層床材に用いる従来の装飾紙の印刷より劣っており、かつ主要なコストの改善も達成されていない。印刷層は、従来の被覆あるいは透明な摩耗耐性層を有したコーティングによって保護されている。耐摩耗性および耐衝撃性は、一般的に、従来の積層床材より劣っている。
積層床材は、印刷パターンとエンボス加工された表面構造とが整合する、きわめて進歩した設計で製造することができる。エンボスは、積層の間に、エンボス加工された構造の鋼板に表面をプレスするときに作られる。これは、鋼板および印刷紙が所定の位置に正確に配置されることを必要とする。位置決めを得るために特別なカメラを用いなければならず、かつ含浸の間における装飾紙の制御されない膨潤が主な問題を生じさせる。エンボスの深さは、エンボスが鋭い縁部にあるいは0.2〜0.3ミリメートルを超える深さに成形されるときに損傷し得る紙によって制約される。粗い石の表面、手作業でなめした木の表面に似ているエンボス加工された表面、あるいはパネルに斜面を作るために用い得る深い溝を、現在のプレス技術、および現在の技術的な特性および設計を維持するための合理的な原価構成で作ることは可能ではない。
積層床板および直接印刷床材に類似した木質繊維ベースの床材は、耐摩耗性および耐衝撃性を高めることができ、1つ若しくはいくつかの製造段階を省くことができ、より魅力的なデザインを得ることができれば、かなりの市場占有率を得ることができる。
[目的および概要]
この開示の実施形態の全体的な目的は、公知の建物用パネルよりも良好な特性および/または原価構成を有した建物用パネル、好ましくは床パネルを提供することにある。
この開示の実施形態の第1の目的は、現存する木質繊維ベースの床材より高い耐摩耗性および好ましくはより高い耐衝撃性を具備した摩耗層を有する、繊維ベースのパネル、好ましくは床用パネルを提供することにある。
この開示の実施形態の第2の目的は、公知のタイプの床よりコスト効果の高い方法で床パネルを製造し、かついくつかの製造段階のうちの1つがよりコスト効果の高い方法で作られあるいは完全に取り除かれる、繊維ベースの床材およびそのような床材を製造するための製造方法を提供することにある。
この開示の実施形態の第3の目的は、好ましくは高い耐摩耗性およびコスト効果の高い製造と組み合わせることができる、新しい魅力的なデザインの繊維ベースの床材を提供することにある。
この開示の実施形態の第4の目的は、より有利な原価構成および/または設計および/または摩耗、衝撃および音のような特性を具備したパネル、好ましくは床パネルを製造するために用いることができるコア材、表面層、あるいは表面層とコア材の組合せを提供することにある。
この開示の第1の態様によると、木質繊維を含む表面層およびコアを備えた建物用パネルが提供される。この表面層は、天然樹脂、バインダおよび耐磨耗性粒子を含む木質繊維の実質的に均一な混合物を備える。
この開示の実施形態は、公知の技術、特に通常の積層床板対していくつかの利点をもたらす。
− 均質な混合物である耐磨耗性の表面層を極めて厚く作ることができるとともに、極めて高い耐摩耗性を達成することができる。
− 均質な表面層に取り込むことができるとともにエンボス加工と整合する深いエンボス加工および別々の装飾材料により、新規かつ極めて進歩した装飾効果を得ることができる。
− より厚くてより高い密度を有した均質な表面層により、増加した耐衝撃性を達成することができる。
− 均質な表面層は、音および耐湿性に対して明確な効果を有する粒子を含む
− より安価な材料を用いることができるとともにいくつかの製造段階を省くことができるので、生産コストを減少させることができる。
耐摩耗性の粒子は、好ましくはアルミニウム酸化物の粒子である。他の適切な材料は、例えばシリカあるいは炭化ケイ素である。一般的に、70あるいはそれ以上のロックウェルC硬度の材料の全てを用いることができる。
この開示の実施形態は、均質な混合物でありかつ別々の層ではない耐磨耗性の表面層をより厚く作ることができるとともに、現存する積層床材よりも5〜10倍良好な耐摩耗性を達成することができるという利点をもたらす。その表面摩耗が例えば10,000回転毎に0.10mmの厚みを減少させるにすぎない、耐磨耗性の表面層を作ることができる。50,000回転でも約0.5mmの厚みを減少させるだけであり、かつ耐摩耗性および装飾的な特性は維持される。適切な耐摩耗性粒子は、好ましくは酸化アルミニウムであり、かつバインダは、好ましくはメラミン樹脂のような合成熱硬化性樹脂である。
装飾効果は、木質繊維、他のタイプの繊維、および/または装飾的な耐摩耗性粒子のみによって得ることができる。しかしながら、装飾効果は、最も好ましい実施形態においては、均質な表面層に付加される着色顔料によって得られる。
天然樹脂、例えばリグニンを含む表面層内の木質繊維は、HDFあるいはパーティクルボードに用いるものと同じタイプとすることができる。したがって、それらは不透明であり、被覆紙シートのように透明ではないそのような繊維の原材料の価格は、透明性を得るために製造工程において天然樹脂が取り除かれるαセルロース繊維のそれよりかなり低い。
特に好ましい実施形態は、表面層および木質繊維ベースのHDFあるいはパーティクルボードのコアを備える床パネルである。表面層は、HDFあるいはパーティクルボードに用いられるものと同じタイプの天然樹脂、合成熱硬化性樹脂のバインダ、酸化アルミニウム粒子および着色顔料を含む木質繊維の実質的に均質な混合物を備えている。
ここで言及できることは、非限定的な実施例としての表面層を、例えば約25(重量)%の酸化アルミニウム、約25%の木質繊維、約25%のメラミンホルムアルデヒド樹脂、および約25%の着色顔料を含んで構成できることである。表面層は、例えば0.1mm 〜 3mmの範囲、あるいはより大きい厚みを有することができる。他の組合せも、もちろん可能である。メラミン樹脂の部分は、例えば10〜35%の間で変化させることができる。着色顔料の含有量は、きわめて低く例えば約0.1〜5%である。耐摩耗性の粒子は、同じ範囲とすることができるが、数パーセント〜35%およびより多い範囲で変化させることができる。この混合物は、所望の特性および原価構成に適したものでなければならない。バインダは、一般的に、高い耐衝撃性および耐湿性の表面をもたらすために貢献するが、それらの費用はかなり高い。いくつかの耐摩耗性の粒子もまたかなり費用が高い。木質繊維および他の繊維は、一般的に、特にそれらがリサイクルされた部材に由来する場合はかなり安価である。
耐摩耗性の粒子、例えば酸化アルミニウムの積層床材の耐衝撃性に対する貢献はきわめて限られている。それが、きわめて薄い層(0.1mm)として付加されるだけであり、かつその含有量が概ね約10〜 30g/m2に過ぎないからである。しかしながら、この開示は、固くて均質な表面層により多くの粒子を用いるとともに、そのような粒子がまた床材の耐衝撃性をかなり増加させることの可能性をもたらす。耐摩耗性の粒子は、好ましくはランダムに分布させるとともに、繊維およびそれらを囲むバインダによって表面層に固定される。非限定的な実施例として言及できることは、この開示による0.5〜1.0mmの表面層が、例えば100〜400g/m2およびそれより多い耐摩耗性の粒子を含み得ることである。下限がないこと、およびそのような粒子が少なくとも部分的に繊維組織に取り込まれる場合には、いくつかの用途においては少ない量でも十分であり得ることは明らかである。
耐摩耗性でありかつ装飾的な表面層は、いくつかの選択的な方法で形成することができる。例えばバインダの含有量を増やすことにより、および/または繊維、好ましくは耐摩耗性の粒子の一部を置き換えるために用い得る耐摩耗性の繊維を取り込むことにより、少量の耐摩耗性粒子で強い表面層を生み出すことが可能である。合成樹脂繊維、例えばナイロン繊維またガラス繊維のような鉱物の繊維は、均質な表面層の材料の耐摩耗性を大幅に改良することができる。
この開示の第2の態様によると、木質繊維を含んでなるコアに接続された表面層を備えた建物用パネルが提供される。このパネルに装飾効果および耐摩耗性をもたらす表面層は、繊維、着色顔料、バインダおよび耐摩耗性の粒子を含む均質な層である。
この第2の態様による表面層内の木質繊維は、完全にまたは部分的に他の繊維に置き換えることができる。好ましい実施形態は、例えば黄麻、亜麻、麻、綿、大麻、竹、バガスおよびシサル麻といった植物性繊維のような繊維を含むとともに、そのような繊維は、植物性繊維ベースの耐摩耗性の表面層を作り出すために耐摩耗性の粒子、例えば酸化アルミニウムと混合することができる。合成樹脂繊維、例えばナイロン繊維、または鉱物繊維、例えばガラス繊維はまた、特に好ましい実施形態に用いることができる。上述した繊維の全ては、例えば木/竹、ナイロン/ガラス繊維と混合することができる。セラミックバブルは、例えば断熱性および音響吸収性を高めるために繊維と混合することができる。そのような粒子はまた不燃性でもある。
コア内の木質繊維はまた、表面層について上述したものと同一の方法で、部分的にまたは完全に合成樹脂繊維、鉱物繊維あるいは植物性繊維で置き換えることができる。
熱硬化性のバインダが好しいが、熱可塑性樹脂バインダもまた用いることができる。この開示の全ての実施形態において、コアおよび表面層に同じタイプのバインダを含むことが好ましいが、例えばコアの熱硬化性バインダと表面層またはその反対側の熱可塑性樹脂バインダとの組み合わせは排除されない。
高密度の、例えば酸化アルミニウムのような耐摩耗性粒子を含むとともに、そのような粒子が表面層の実質的な厚さ、例えば0.2〜1.0mmにわたって上述したように分布している表面層は、特にそのような層が高含有率のバインダを含む場合に、現存する積層表面より高い密度を有することができる。
そのような表面層は1500〜2000kg/m2またはそれ以上の高い密度を有することができ、その耐衝撃性は、0.10mm以下の厚みで画成された極めて薄い被覆にのみ酸化アルミニウムが用いられている従来の積層床材よりかなり高い。この密度は低くすることもできるが、好ましくは1000kg/m3低くすべきではない。十分な耐衝撃性は、MDFまたはパーティクルボードのような柔軟なコア材の高密度な表面層においても得ることができる。高い密度はまた、本物の石の床と同様な音および感覚を床に与えることができる。
コアはまた、特に小さくコンパクトな繊維を多量のバインダと混合して高い圧力下でプレスする場合に、高い密度で製造することができる。
第1の態様の全ての好ましい実施形態を、第2の態様の好ましい実施形態と組み合わせ得ることは明らかである。このことは、例えば同一の圧力、プレス時間、バインダ、繊維、耐摩耗性の粒子、材料組成等を用い得ることを意味している。
この開示の第3の態様によると、以下の段階を備える製造方法が提供される。
1.繊維、バインダ、着色顔料および耐摩耗性粒子を含んでなる粒子を混合する。
2.粒子、繊維、着色顔料、バインダおよび小さい耐摩耗性粒子を高い圧力および温度の下にもたらして、それらを建物用パネルに形成する。
この製造方法は、この開示のすべての実施形態を製造するために用いることができる。
この製造方法は、好ましい実施形態においては、床材を形成するプレス操作において表面層が形成されてHDFコアまたはパーティクルボードコアに結合された、木質繊維、酸化アルミニウムおよび熱硬化性樹脂を含む表面層をベースとしたものである。この好ましい製造方法は、以下の工程を備える:
1.木をチップに煮詰めて木の繊維に分解する。
2.木質繊維を合成熱硬化性樹脂、着色顔料および酸化アルミニウム粒子と混合する。
3.木質繊維、着色顔料、酸化アルミニウム粒子および合成熱硬化性樹脂を、HDFまたはパーティクルボードのコアの表面上に付加するとともに、高い圧力および温度を負荷してコア上の均質な固体の表面層に形成して床材を形成する。
例えば含浸紙である別のバランス層を、好ましくはプレス操作の間にコアの後側に付加することができる。
着色顔料は、魅力的なデザインを生じさせるために好ましい。もちろん、着色顔料なしのパネルを製造するために、この製造方法を用いることもできる。装飾的な効果は、異なる繊維あるいは耐摩耗性粒子だけによって得ることもできる。酸化アルミニウムは、例えば異なる色で製造することができる。
紙を用いないことおよび積層を必要としないことにより、(2〜8を上回る)製造段階のうちの7割を省くことができる。印刷は、フロアボードの製造に合わせて行うことができる。バインダは、好ましくはメラミンホルムアルデヒド、尿素アホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、またはこれらの樹脂の組合せである。適切な圧力は好ましくは約300〜800N/cm3であり、かつ温度は120〜220℃とすることができる。プレス時間は、例えば20秒〜5分まで変化させることができる。特にプレスの前に薄い繊維層をHDFコア上に付加する実施形態においては、きわめて短い、例えば約10秒あるいはより短いプレス時間を用いることもできる。PVC、PE、PPのような熱可塑性樹脂バインダを用いることができる。他の可能性は、例えば糖またはリグニンのような天然樹脂である。
この製造方法は、好ましくは、繊維が部分的に圧縮されるが硬化しない中間プレス段階を備えることができる。印刷あるいは装飾材料の付加は、中間および最終のプレス加工の間に行うことができる。
装飾的な特徴はまた、硬化の後に付加することもできる。表面を彫るために例えばレーザーを用いることができるとともに、上側の表面部分とは異なる色またデザインの層を含む下側の表面部分まで表面材料が取り除かれるようにして装飾的な溝を作ることができる。色を変えるために、または表面に他のエンボス加工を生じさせるために、さらなる熱および圧力を付加することができる。
例えば木または石を再生するための暗い線あるいは点のような装飾的な模様および効果を生じさせるべく、最終的なプレスの前にレーザを用いることができる。
この方法は、床材の全体を製造するために用いることができる。この方法はまた、公知の繊維板あるいはパーティクルボードのコア、好ましくはHDFコア上に付加される、上側および/または下側の層を製造するために用いることができる。この方法はまた、個々の床要素、あるいは縁部やロックシステムの部品あるいはその全体がプレス加工の間に形成される、完成した床パネルを製造するために用いることもできる。
1つの好ましい実施形態によると、コアおよび表面層を備えたパネルを形成するために、繊維、バインダ、着色顔料および耐摩耗性の粒子あるいは繊維が好ましくは異なる材料組成の少なくとも3つの層で付加される、連続した製造ラインにおいてパネルの全体が製造される。実質的に同一のプレス操作において、連続的にまたは不連続的に表面層およびコアが一体的に形成される好ましい実施形態は、「一体成形パネル」またはIFPと称される。下側の層または一部は、表面層とのバランス取りに適した、実質的に木質繊維およびバインダだけを含むバランス層とすることができる。このバランス層はまた、プレスの間にコアに溶着できる予め製造された別々の材料として付加することができる。
それはまた、それらがプレスに移動するときに、繊維のための支持体として用いることができる。中間層あるいは中間部分は好ましくは木質繊維およびバインダだけを含むコア層であり、かつ上側の層は木質繊維、着色顔料、耐摩耗性粒子または化学薬品を含む表面層である。
これらの層は、好ましくはコンベヤベルト上に付加されて移動させられ、かつ選択的に、例えば30〜50mmの最初の厚みから例えば10〜20mmの中間的な厚みへと予備プレスされる。装飾模様は、予備プレスされた表面にインクが貫通するようにする、例えばインクジェット式デジタル装置によって、予備プレスされた表面上にインラインで付加される。この板は、製造ラインの終端にある好ましくは連続したプレス操作において、熱および圧力の下で例えば4〜10mmの厚さへと最終的にプレスされるが、必要ならば正確な厚さを得るために下側のバランス層の研摩を選択的に行うことができる。
IFPパネルはまた、積層床材の製造に一般的に用いられる従来型の不連続なプレスを備えた製造ラインで製造することができる。コア、表面層、および好ましくはバランス層は、不連続なプレスにおいて形成されて互いに接続される。
この製造は、好ましくはまた、コアおよび表面層を得る製造段階が2つの別の操作において実行される2段階プロセスにおいて行われる。この製造方法は、「コア上表面(surface on core)」製造あるいはまたはSOCと称される。例えばHDF、MDF、パーティクルボード、OSB、合板および類似のシート状材料のような木質繊維ベースの板材のコアは、従来の方法で製造することができる。表面層および選択的にバランス層を備える下側および/または上側の層は、その後、散乱装置によってコアに付加されるが、これはその表面に装飾的な特性を与える段階と一体化することもできる。別々のバランス層を、別々の製造段階で付加することができる。好ましくは上下の層を有したコアは、その後、連続しあるいは不連続なプレス操作においてプレスされ、上側の表面層および選択的なバランス層は硬化して予め製造されたコアに積層されるようにする。全ての種類のコア材料を用いることができるとともに、この方法は、柔軟なコア材およびその表面部分が粗いコア材にも極めて適している。装飾的な表面層は、コアの不規則な表面部分を充填してコアを補強し、あらゆる種類の装飾的な表面構造を有する耐衝撃性のパネルを得ることができるようにする。この装飾的な表面は、従来のラミネートおよび単板床材におけるように、コアの表面による影響を受けない。
コア材料と上側表面層あるいは下側バランス層は、好ましい実施形態によると、3つの製造段階で別々に製造し、また別々の層を例えば接着によってコアに接続することができる。
別々の木質繊維あるいは繊維層は、主に表面層としてまたはバランス層として用いることができるが、以下においては「別々の表面層(separate surface layer)」またはSSLと呼ばれるとともに、連続的にあるいは不連続的に例えば0.3〜 2mmの厚みに製造することができる。そのような表面層は、積層床材および木質床材の積層板、単板あるいは木質層を、例えばHDF、MDF、パーティクルボード、合板、薄板木質コア等のコアで置き換えるために用いることができる。この表面層は、柔軟なコア材と組み合わせる場合であっても、高い密度および耐衝撃性を有することができる。
これらの3つの基礎的な実施形態、IFP、SOCおよびSSLは、この開示による床を製造するために用いることができる。そのような床は、この出願において、全般的に繊維複合床(Fibre Composite Floor)またはFCFと呼ばれる。それらは、上述したように連続的なあるいは不連続なプレスによって製造することができるとともに、その製造段階は部分的に組み合わせることができる。例えばコアと表面層あるいはコアとバランス層は、IFPに類似する一体的な形成操作において製造するとともに、SOCに類似した別々の製造段階においてバランス層または表面層を付加することができる。様々な中間段階による予備的な硬化および最終的な硬化を用いることもできる。
装飾的な特性は、いくつかの方法で得ことができる。表面は、一実施形態においては、好ましくは木質繊維に混入される着色顔料によって装飾される。パネルの全体を着色することができる。あるいは着色顔料は、例えば木質繊維、バインダおよび上側層内の耐摩耗性粒子と混合することができる。印刷パターンは、基本的な色彩で提供することができる。印刷は好ましくは最終的なプレスおよび硬化の操作の前になされるべきであり、このことは印刷が上側繊維層の中に深く浸透するようにする。印刷は、プレスの後で上側の繊維層内にかなりの距離、例えば0.1〜1.0mm入り込むような方法で付加することができる。負圧は、ベース繊維内への印刷の浸透を容易にしかつガイドするために用いることができる。そのような印刷は、石および木の製品の非常に正確な複製品を作り出すことができるとともに、表面層がかなりすり減ったときにもそのパターンを維持する。非常に耐久性があり装飾的で耐摩耗性の表面は、非常に費用効果的な方法で作り出すことができる。表面層内の微細で良好に分布している繊維は、非常に明瞭かつ正確な耐摩耗性印刷パターンの生成を可能にする。
この装飾効果は、むしろ柔らかい別個の材料、例えば異なるタイプの繊維、木のチップあるいは粒子、織物、樹脂、コルク等から得ることもできるが、それらは選択的に着色顔料と混合することができるとともに、ベース繊維の表面上に突出するパターンとして、最終的なプレスの前に、例えば散乱または押し出しによって付加することができる。
繊維は、機械的な性質を改良するために用いることもできる。例えばガラス繊維のような鉱物の繊維は、強さおよび柔軟性を高めることができるとともに、熱および炎に対する抵抗性を高める。天然繊維は、特性に対してプラスの影響を有している。繊維方向のバラツキは、装飾効果を高めるために用いることができる。
ベース表面上に付加される別個の材料は、プレス後にベース表面の繊維内に浸透する。
この浸透は、非常に正確に制御することができる。固い材料組成は、より柔らかい基礎的な繊維の内部に深く浸透する。より柔らかい別個の材料は、より圧縮されてより大きい表面領域に分布する。これらの別個の材料は、好ましくはベース繊維と異なる寸法および/または構造および/または方向付けおよび/または光学的な効果を持つべきであり、それらは所望のパターンと表面構造との間の完全なフィットを自動的に作り出す。別個の材料がベースの繊維組織とは異なる耐摩耗性を有する場合に、設計の効果はさらに顕著となり得る。その表面はブラシをかけることができ、かつ異なる繊維組織は本物の木または石の床のようにより視認性が高くなる。印刷プロセスの間に局所的に付加される耐摩耗性粒子を印刷塗料が含む場合には、類似の効果を得ることができる。表面は、プレスの後に膨張し、拡大しあるいは縮小し得る粒子を含むことができ、それによって平坦ではないあるいはエンボス加工された表面が作り出される。それらが表面層の中に深く延びていることにより、これらの設計効果の全ては、長い期間の間に表面がかなり摩耗したときにも維持することができる。印刷パターンの反復効果は回避することができる。
耐摩耗性が特に高くて装飾的な非木質繊維ベースの材料、例えば、好ましくは0.01〜0.10mmのサイズの合成ダイヤモンドの粉末あるいはダイヤモンドの粒子を表面に取り込むことができる。そのようなダイヤモンド粒子は、耐摩耗性を増加させるとともに床の摩擦特性を改善する。他の代替物は、金属の粉または薄片、石の粉末、セラミックの粉体または粒子、砂および他の類似の公知の装飾材料である。
ナノ粒子は、取り込むこともできるし、光沢度、清浄性、UV安定性、摩擦、耐摩耗性等に関連する改良された特性を表面にもたらすために用いることができる。
装飾的な効果を作り出すために、エンボス加工された鋼製のシートまたはベルトまたは紙マトリックスに表面をプレスする、従来の方法を用いることもできる。その利点は、積層の間に損傷を受ける紙が無いことにより、従来の積層床材よりも非常に深いエンボスを加工できることにある。縁部あるいは主要な表面部分にグラウト線、溝および斜面を作ることができ、そのような構造は主要な表面と同じあるいは異なるタイプのデザインとすることができる。溝は、上述した通りの別個の材料で、部分的にまたは完全に充填することができる。
これらの設計効果の全てを、組み合わせることができる。本発明は、ベース繊維組織上の追加の透明あるいは不透明な層、コーティングまたは類似物を排除するものではない。
これらの設計効果は、耐摩耗性粒子あるいは着色顔料を含まない繊維パネルに独立して用いることもできる。この場合、耐摩耗性は、木質繊維およびバインダだけによって生じさせることができる。
これらの設計効果の全ては、公知の技術に反して、印刷および色彩が好ましくは予め形成されてほぼ完成した表面層の内部に深く浸透し、あるいは別個の装飾材料が主な表面層に取り込まれあるいは付加される方法によって作り出される。
この開示の実施形態によると、積層されあるいはラッカーが塗られた表面と同様の非常に光沢がある表面を作り出すことができる。この開示は、更なる製造段階においてより魅力的な表面へとその表面を磨きあるいはブラシをかけ、あるいは取り付けの後に硬い粒子、例えばダイヤモンドの粉末を含むブラシにより数回磨くことができるという利点をもたらす。激しく摩耗した数年後においてさえ、最初の光沢面を再現することができる。
特別な装飾効果および機械的な性質は、異なるタイプの木の繊維あるいは2つ以上の種類の木の組合せ、例えばかしの木、トネリコ、カエデ、ブナ、松、トウヒ、樺、太平洋鉄木または類似物の任意の組み合わせを備えた表面層によって得ることができる。これらの異なる木質繊維は、それらが表面層として付加される前に、類似の方法で着色し、熱処理し、改質することができる。
高度な装飾効果は、静電的に付加して配置することができる繊維と装飾的な粒子から得ることができる。この方法は、例えばベニヤに類似した構造を作り出すべく木質繊維を配置して方向付けすることを可能にする。制御された方法で繊維および粒子を分布させるために、重力および気流を用いることができる。
この開示のすべての実施形態における木質繊維を部分的にあるいは完全に置き換えるために、小さい粒子または塵の形態のコルク材料を用いることができる。
コルクが床材の表面または支持層として用い得ることは知られている。この層は、接着されたコルクの顆粒から作ることができし、あるいはコルクの薄板の形態とすることができる。コルクは、主として音を弱めるために、あるいは装飾的な目的のために用いられる。コルクの顆粒は、低い熱伝導率、低い密度あるいは良好なエネルギ吸収性を得るために、例えばコンクリートに混入することができる。床板の表面層を形成するために、粉状コルクをバインダ、好ましくは合成熱硬化性バインダおよび耐摩耗性粒子と混合し得ることは知られていない。
この開示の第4の態様によると、表面層および木質繊維あるいはコルク粒子を含むコアを備えた建物用パネルが提供される。表面層は、コルク粒子、合成バインダおよび耐摩耗性粒子の実質的に均質な混合物を含む。
コアは、従来の木質繊維ベースのコア、例えばHDFあるいは類似物とすることができるし、あるいは部分的または全体的にコルク粒子とバインダ、好ましくは熱硬化性バインダを含むコアとすることもできる。着色顔料を含めることもできる。
特に好ましい実施形態は、表面層と木質繊維あるいはコルク粒子を含んでなるコアとを備えたフロアパネルである。表面層は、天然樹脂、合成熱硬化性バインダ、および酸化アルミニウムの耐摩耗性粒子を含むコルク粒子の実質的に均質な混合物を備える。
コルク表面層の密度は好ましくは800〜1400kg/m3であり、コアの密度は600〜1000kg/m3である。
この開示の実施形態は、従来の積層床材よりも可撓性があって柔らかい表面層を作ることができ、これを維持されたあるいはさらに改良された摩耗および耐衝撃性と組み合わせることができるという利点をもたらす。これはまた、より魅力的な騒音レベルおよびより低い熱伝導率に結びつく。その結果は、より静かでより暖かい床である。
コルク粒子を含むフロアパネルは、上述したIFP、SOCおよびSSLと同じ3つの基礎的な実施形態により製造することができる。
この開示の原理は、従来の木質繊維ベースのコア、例えばHDFパネルを置き換えるために用いることができる、コルクを含むコアを製造するために用いることもできる。
2〜5mmのサイズのコルクチップを、密度が300kg/m3を超えないパネルへと、きわめて低い圧力で接着できることは知られている。しかしながら、例えば1.0mm未満のきわめて小さいコルク粒子を熱硬化性バインダと混合し、高い圧力でプレスして、例えばフロアパネルのコア材料として用いることができる高密度パネルを形成することは知られていない。
この開示の第5の態様によると、密度が600kg/m3を上回るパネルへと一体にプレスされる小さいコルク粒子および熱硬化性バインダを含む建物用パネルが提供される。そのようなコルク粒子をベースとするコアは、コルク粒子を含む表面層あるいはこの開示の第1および第2の態様による表面層と一緒に用いることができるが、従来の表面層を有したフロアのコアとして用いることもできる。
コルクのコアまたは表面層は、通常のHDF材料と同様あるいはそれより良好な、耐湿性、せん断強さ、密度および耐衝撃性といった特性を有することができる。また、コルクのコアの縁部に、強くて高品質な係止システムを形成することができる。コルク粒子の柔軟性は、高い耐衝撃性の達成を可能とする。この特性は、主に熱硬化性樹脂、例えば粉末の形態のメラミンを、好ましくは10分の数ミリメートルあるいは100分の数ミリメートルまで小さいコルク粒子と混合し、その後、約300〜400N/cm2の圧力および140〜180℃の温度でプレスすることによって達成される。
このコルク製のコアは、例えば積層体、弾力のある表面、繊維ベースの表面、木、ベニヤ、リノリューム、コルクの薄板、壁から壁に敷き詰めたカーペットおよび類似物等の、公知の表面材料と組み合わせて用いることができる。いくつかの利点を達成することができる。薄い表面層、例えばベニヤを、プレスの前に、コルク粒子およびバインダを含んでなる下位の層の上に付加することができる。プレスは、深いエンボス加工あるいは深い溝を作り出すことができるプレス板に対して行うことができる。薄い表面層は、形成されて下位の層に積層される。薄い表面層は、損傷を受けない。コルク粒子がプレス板の構造にしたがって圧縮されて形成されるからである。この加工技術は、プレスによって成形することができる木質繊維あるいは他のタイプの繊維から下位の層が構成されているパネルに用いることもできる。
組合せたコアあるいはパネルは、コルク粒子、あるいは木質繊維の粒子、または木質繊維とコルク粒子の混合物だけを含む異なる層によって製造することもできる。
すべての実施形態において、繊維、耐摩耗性粒子、バインダおよび着色顔料のような異なる材料および異なる材料の混合物を、乾燥した形態で分配して散乱させる乾燥プロセスを用いることが好ましい。しかしながら、例えばバインダが液体の状態で繊維または粒子に混入する、液体あるいは半液体プロセスは除外されない。散乱は、好ましくは乾燥した材料の1つあるいは複数の層に適用される、エンボス加工されあるいは彫刻されたローラーおよびブラシを備える、いくつかのステーションで行うことができる。
耐摩耗性粒子を用いるあるいは用いないすべての実施形態は、屋内あるいは屋外の用途の壁パネルとして直立させて壁に付加するパネルを製造するために用いることができる。
そのようなパネルは、斜面部分と係合できる機械的な係止装置を長い縁部上に、かつ例えば国際特許公開WO2006/043893号公報に記載されているような垂直方向の折り返しを可能にする可撓舌片を有した係止装置を短い縁部上に、有することができる。
この開示は、添付の例示的な図面を参照しつつ、好ましい実施形態に関連させてその詳細が以下に説明される。
図1a〜図1dは、従来の積層されたフロアパネルを示す図である。
図2a〜図2dは、従来のフロアパネルの表面層を示す図である。
図3a〜図dは、この開示の一実施形態のフロアパネルを示す図である。
図4a〜図4bは、この開示の好ましい実施形態による製造方法を示す図である。
図5a〜図5cは、この開示の好ましい実施形態による方法、および装飾的な表面を製造するための製造方法を示す図である。
図6a〜図6fは、装飾的な効果を生じさせるための好ましい方法を示す図である。
図7a〜図7dは、フロアパネルおよび縁部分を製造するための方法を示す図である。
図8a〜図8dは、パネルの表面およびそのような表面を形成するための方法を示す図である。
図9a〜図9bは、散乱ステーションを示す図である。
図10a〜図10cは、表面層を形成する方法を示す図である。
図11a〜図11cは、表面層上に装飾効果を作り出す方法を示す図である。
図12a〜図12eは、予め製造されたコア上への表面層の不連続なプレスおよび成形を示す図である。
図13a〜図13kは、前側および後側に装飾的な表面を有したフロアパネルの係止を示す図である。
図14a〜図14eは、異なるデザインの床板から形成されたフロアパネルに高度なパターンを作り出す方法を示す図である。
図15a〜図15dは、異なるデザインの床板から形成されたフロアパネルの好ましい実施形態を示す図である。
図16a〜図16eは、表面層のレジスタエンボス加工を得る方法を示す図である。
図17a〜図17fは、一体的に形成されたパネルの好ましい実施形態を詳細に示す図である。
[実施形態の詳細な説明]
図1aに示す公知技術の積層フロアパネル1は、表面層5、コア6およびバランス層7を備えている。
図1cは、表面層5を示している。それは、摩耗強度の高い透明材料の上側摩耗層13を有している。そのような摩耗層は、一般的に、メラミン樹脂が含浸されるとともに酸化アルミニウム粒子12が添加された透明な紙(被覆)から構成されている。酸化アルミニウム粒子は、プレス加工の間の摩耗からプレス板を保護するために、一般的に被覆の下側部分に配置されている。印刷パターン11を具備した紙を備えた装飾層10は、メラミン樹脂が含浸されるとともに透明な摩耗層13の下側に配置されている。摩耗層13および装飾層10は、厚さが約0.2mmの表面層5に対する圧力および熱の下で、一般的にHDFのような繊維ベースのコアに積層されている。
図1bは、一般的にメラミン含浸紙であるバランス層7を示している。このバランス層は、時間の経過とともに湿度が変化するときにフロアパネルを平坦に保つ。透明な摩耗層は一般的に0.05〜0.10mmの厚みである。摩耗層が摺り減ると、装飾的な印刷パターン11は損なわれる。
図1dは、上述した従来の積層床材の上側の表面部分を詳細に示している。透明な酸化アルミニウム粒子12は、透明な被覆13を製造する間にパルプに含まれている。
図2aは、複数の被覆13を備えた公知の表面層を示しているが、摩耗特性を改善するために適合された印刷をその下側に有している。この表面層においては、これらの層が装飾層10の上に配置されている。
図2bに示されている公知の被覆は概ね半透明であり、着色顔料15で着色されるとともに装飾層10の上に配置されている。
すべての被覆は、微細なαセルロース繊維から作られている。透明性を得るために、未使用の(バージン)木質繊維に存在するすべての天然樹脂が取り除かれている。ラミネート床材の公知の表面は、すべての実施形態において、一定の厚みの明瞭な紙の層から構成されている。装飾特性および摩耗特性を達成するために別個の層が用いられている。すべての耐摩耗層の全体の厚みは0.2mmを超えない。上側の表面層に用いられる精製された高価な繊維と、コアに用いられる精製されていない安価な木質繊維との間には明らかな差がある。
図2cは、HDFパネル上の公知の直接印刷を示している。着色顔料15を含むベースカラー16は、コア6上に付加されている。印刷11は、ベースカラー上に付加されるとともに、透明ワニス18によって、またいくつかの用途においては酸化アルミニウムを含んで構成しうる上塗層17によって摩耗から保護されている。そのような表面層は、色をベースとしたものであり、繊維は用いられていない。
図2dに示されている公知の着色HDFパネルにおいては、着色顔料15がコアに含まれている。表面は、透明な上塗層17で覆われている。そのようなパネルの耐摩耗性および耐衝撃性は低い。
図3aは、この開示の一実施形態のフロアパネル1を示している。このパネル1には、木質繊維ベースのコア6と、均質で非透明な装飾層5、および好ましくはバランス層7が設けられている。このパネル1は、表面層、コアおよびバランス層が同一のプレス操作で形成される製造工程において一体的に形成される。
図3bは、表面層5を示している。それは、木質繊維14、小さく固い耐摩耗性粒子12、12、およびバインダ19の混合物を含んでなる。好ましくは、木質繊維は、精製されてない、HDFおよびパーティクルボードに用いられるものと同じタイプのものであり、それらはリグニンのような天然樹脂を含んでいる。耐摩耗性粒子(12,12')は、好ましくは酸化アルミニウム粒子である。他の適切な材料は、例えば二酸化ケイ素またはカーボランダムである。ダイヤモンド結晶あるいは粉末を表面層に加えることもできる。一般的に、ロックウェルC硬度が70以上のすべての材料を用いることができるが、それらは透明である必要はない。2つ以上の材料の混合物を用いることもできる。図3bから判るように、コア6と表面層5の間の結合34は、2つの層の繊維が混合して融着しているという事実により、明瞭な層ではない。このことが、コアと表面層とのきわめて強い結合をもたらしている。
表面層は、好ましくは着色顔料15あるいは他の装飾材料若しくは化学薬品を含んでいる。
この開示の実施形態は、公知のフロアパネルにおけるよりも耐摩耗層5をきわめて厚くすることができるという利点をもたらす。耐摩耗層および装飾層の厚みは、例えば0.1〜0.2mmから例えば2〜4mmあるいはそれ以上へと変更することができる。装飾的な特性が維持されている時の耐摩耗性は極めて高く、厚みが約1.0mmの表面層においては、例えば約100,000回転の範囲あるいはより高い。
そのようなパネルは、フロアパネルとして用いることができるが、高い耐摩耗性が必要とされる機械や自動車等の部品として用いることもでき、また例えばガラス繊維で補強される複雑な射出成形あるいは押出部品を形成することもできる。
この開示の好ましい実施形態の表面層は、この表面層の上側部分に配置されるとともに第1の耐摩耗性粒子12を含む第1の上側水平面H1を有した垂直部分Pを備えている。それは、第1の耐摩耗性粒子12の下側に配置されるとともに天然樹脂と木質繊維を含む第2の中間水平面H2を有している。それは、第2の水平面H2の下側に配置されるとともに第2の摩耗性粒子12を含む第3の下側水平面H3を有している。繊維および耐摩耗性粒子は、好ましくは着色顔料と混合することができる。そのような実施形態は、その装飾的な特性を維持する耐磨耗性の高い表面層をもたらす。摩耗が第2の水平面H2まで第1の上側繊維を取り除いたときにも、この表面は損傷を受けない。約0.1mmの表面だけが取り除かれる。それから、摩耗は第2の水平面H2まで材料を取り除くが、この表面はその装飾的な特性をまだ維持している。摩耗は、第3の水平面まで材料を取り除かなければならない。そして、耐摩耗性粒子あるいは着色顔料を含む更なる水平面がなくなると、表面はその装飾的な特性を変える。表面層は、互いに隣接するとともにパネルの前側から異なる距離で、例えば0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm等で配置された多くの水平面を有することができるが、それらは耐摩耗性粒子あるいは木質繊維を含んでなることができる。この開示の実施形態は、かなり良好な、例えば現存する積層床材より5〜10倍良好な耐摩耗性を達成できるという利点をもたらす。表面の摩耗は、表面層の厚みを減らすだけである。耐摩耗性および装飾的な特性は、制御されかつ予め定められた方法で完全にあるいは基本的に維持され若しくは変化する。
好ましいバインダは、メラミンあるいは尿素ホルムアルデヒド樹脂である。その他のバインダ、好ましくは合成熱硬化性樹脂を用いることもできる。
図3cは、好ましくは木質繊維14″およびバインダを含んでなるバランス層7を、フロアパネルの下側に設け得ることを示している。繊維、バインダおよびプレス温度は、表面層のバランスをとるとともにパネルを平坦に保つために適切な方法で調整しなければならない。バランス層7は、好ましくはより高い温度、例えば表面層5より5〜20度高い温度でプレスされる。
ここで非限定的な実施例として言及すると、表面層は、例えば25%(重量)の酸化アルミニウム、25%の木質繊維、25%のメラミン樹脂および25%の着色顔料を含むことができる。表面層は、例えば0.1mm〜3mmの範囲あるいはより大きい厚みを有することができる。最も好ましい厚みは、0.5〜1.5mmである。
図3dは、SOC原理に基づく事前の別個の操作で製造されたコア6上に表面層5が形成されたパネルを示している。コア6と表面層5との間には明瞭な結合34がある。この結合34は、きわめて強いものとすることができる。特にコアが例えばパーティクルボードのようなHDFあるいは木質ベースのパネルである場合に、表面層5からのバインダ19がコア6の上部に浸透するからである。表面層5内のバインダ19は、例えば耐湿性を高めるべくコアの上側部分に浸透して補強するように特別に調整することができる。表面層5の上側部分および下側部分には、異なるバインダあるいはバインダ含有量を用いることができる。
図4a、図4bおよび図5aは、繊維ベースのパネルを製造するために用い得る好ましい製造方法を模式的に示している。この方法は、模式的にかつ表面層を上側の層として記載されている。この製造が、表面層を下側の層として行い得ることは明らかである。
図4aは、パネル、好ましくはIFP原理に基づくフロアパネルの製造を示している。
散乱ステーションは、バランス層を構成する第1層7をコンベヤ20上に付加するために用いられる。コア層を構成する第2層6は、バランス層上に同様に付加される。これらの2つの層は、好ましくは木質繊維およびバインダだけを含む。第3層、表面層5は、コア層6上に拡散ステーションによって付加される。この表面層5は、好ましくは木質繊維、バインダおよび耐摩耗性粒子を含む。この表面層5はまた、好ましくは、表面層にベース色を与える着色顔料を含む。この製造方法は、好ましくは中間のプレス段階を含み、木質繊維はローラ21、若しくは連続したプレス装置、あるいは類似の装置によって部分的に圧縮される。繊維は、好ましくは、この中間の製造段階においては少なくとも完全には硬化しない。
散乱ステーション60は、各材料組成毎に1つずつの、いくつかの散乱ユニット60a、60b、60cを有することができる。高度な製造ラインは、最高で10およびそれ以上の散乱ユニットを備えることができる。
表面層5に装飾的な特徴を与える、例えばインクジェットプリンタ22あるいは類似の製造装置による表面上の印刷、着色および類似のデザイン効果は、床板の製造に合わせて用いることができる。印刷は、好ましくは、最終的なプレスの前に、予備プレスされた表面上になされる。
散乱ステーションは、例えば追加の装飾的な粒子を付加するために、予備プレスの後で用いることもできる。第2の予備プレスおよび装飾材料の更なる付加は、最終的なプレスの前に行うことができる。
予備プレスされた層は、そのような製造段階を用いる場合には印刷の後に熱および圧力の下でプレスされ、繊維および耐摩耗性粒子は熱および圧力の下で硬化するバインダによって結合する。固くて装飾的な表面層を備えたパネルが得られる。
連続したプレスが好ましいが、1つあるいは複数の隙間を有した不連続なプレスを用いることもできる。
選択的に表面デザインと整合させ得るエンボス加工された表面を作り出すために、プレスは、エンボス加工された圧力マトリックス、例えばスチールベルト23、エンボスシートあるいは紙ベースのエンボス加工されたマトリックスに対して行うことができる。高品質に整合したデザインおよびエンボス加工は、統合されたプレスおよび設計法によって得ることができるが、それは床材の工業分野には用いられない。全てのそのような設計上の特徴は、印刷およびプレスの2つの別個の段階に基づいているからである。
この開示の実施形態によると、統合されたプレスおよびデザイン「スタンプ」法を用いることができる。それによって、突起を有しているエンボス加工された圧力マトリックスを用いることができるが、それらの突起は、例えば突起の間の低い部分に配置されたマトリックスの部分にではなく突起にだけ塗料を付加するゴムローラにより、選択された塗料で覆われる。プレスの間、表面層の一番上の部分の下側にプレスされる表面の部分にだけ選択された塗料を付加することができ、完全に整合したデザインおよび構造を得ることができる。この「スタンプ」法は、図16a〜図16eに更に詳細に記載されている。プレスサイクルの最初の部分の間に塗料が繊維構造内に浸透するように、塗料およびプレスを選択することができる。塗料とは別の材料、例えば特別な繊維あるいは粒子をプレスマトリックス上に配置されている突起上に付加するために、また表面の一番上の部分よりも深い構造にそれらを付加するために、同じ方法を用いることができる。
バインダは、好ましくはメラミンホルムアルデヒド樹脂である。圧力は、好ましくは約300〜800N/cm2であり、かつ温度は120〜220℃とすることができる。プレス時間は、製造速度、パネルの厚み、バインダ、その他に応じて、例えば20秒〜5分まで変更することができる。床材の密度は、好ましくは700〜1000kg/m3である。密度が1000〜1500kg/m3で、耐湿性および耐衝撃性がきわめて高い床材を製造することは可能である。表面層は、基本的に1mmより小さい木質繊維を含むかあるいはそれから構成することができる。表面層は、基本的に0.5mmより小さい粉末の形態の木質繊維を含みむかあるいはそれから構成することができる。表面層は、約0.1〜0.3mmの範囲あるいはそれより小さい粒子を有した木の粉末の形態の繊維を含むかあるいはそれから構成することができる。コア部分内の繊維の粒子は、0.1〜1.0mmあるいはそれより大きいものとすることができる。
特に高品質な表面層5は、バインダ、着色顔料および耐摩耗性粒子と混合された木質繊維が予めコーティングされ、バインダ、例えばメラミンあるいは尿素ホルムアルデヒド樹脂とともに完全にまたは部分的に予め硬化し、あるいはプレスされ、次いで、好ましくは当初の木質繊維より小さくてコンパクトな木質繊維の粉末あるいは木質繊維のチップに分離される場合に達成することができる。そのような繊維の組成は、耐摩耗性粒子と混合するのに特によく適しており、印刷操作のためにコンパクトで明瞭なベースを作り出すことができる。耐摩耗性粒子は、表面層の全体にわたって均一に散乱させることができ、高い耐摩耗性および耐スクラッチ性を達成することができる。そのようなコーティングされた繊維は、機械的に切断して小さな木質繊維チップおよび/または木質繊維に分離できるリサイクルされたHDFあるいはHDFベースの積層床材から得ることができる。これらのチップおよび繊維は、それらが酸化アルミニウムまたは小さいメラミン/紙フレークを含む場合であっても、すべての層(5、6、7)に用いることができる。木質繊維は、メラミンおよび紙粒子から分離するとともに、表面層5および/またはコア6および/またはバランス層7にメラミンコート繊維として用いることができる。
図4bが示す、実質的に同一な製造方法は、この好ましい実施形態においてSOCパネルを製造するために用いられる。バランス層7は、コンベヤ上に付加される。バランス層は、上述したような木質繊維ベースの層、あるいは従来の積層床材の製造に用いられる従来のバランス紙とすることができる。予め成形されたコア6、例えばHDF若しくはパーティクルボードあるいは任意のタイプの板は、バランス層の上に配置される。表面層5は、上述したものと同じ方法により散乱ステーション60においてコア上に付加され、上側の層および下側の層はプレスの際にコアに接続されて、表面層5、コア6およびバランス層7からパネルが形成されるようにする。
バランス層7は、装飾的なものとし、かつ耐摩耗性粒子を含むことができる。これは、この開示によるパネルが、その両側に表面層5、5'を有することができることを意味している。そのような表面層は異なるデザインとすることができ、輸送されかつ貯蔵されなければならない物品の数を減少させる。この開示の実施形態はそのような両面パネルにきわめて適している。装飾的な層を後側に設けるためのコストを、かなり限定することができるからである。好ましくは水平方向あるいは垂直方向のスナップ嵌合によってそのようなパネルの係止を可能とするために、機械的な係止システムを適合させることができる。
図5aは、別々の表面層として用いることができるパネルを形成するSSL原理を示している。この製造装置は、上述した他の2つの方法と同じ基本的な方法で用いられる。主な違いは、床材3が、好ましくは約0.5〜3mmの厚みの表面層5であるということである。この表面層は、好ましくは接着剤によって、任意のタイプのコア材料に結合することができる。
装飾的な特徴は、多くの代りの方法で得ることができる。最も基礎的な実施形態においては、この表面は、実質的に木質繊維および耐摩耗性粒子だけから構成することができる。1つのベース色のデザインがあけば十分であり、そのような場合、着色顔料は木の繊維と混合され、他の設計段階のためのベース構造を形成する予備プレスは必要ではない。しかしながら、予備プレスは、以下の文に後述するように他の目的のために用いることができる。
図5bは、装飾的な模様が、異なる色30、31および/または異なる繊維構造、繊維サイズ、繊維タイプの繊維を混合することによって得られることを示している。
図5cは、好ましくは予備プレスされた表面上の印刷に類似した印刷32あるいパターンを付加するために用い得るインクジェットスプレーヘッド24を示している。インクは、プレスの前に繊維に浸透し、プレスの後においては硬化した表面の内部深くに配置される。インクまたは着色粒子は、表面の上側部分の下方の0.1〜1.0mmあるいはより深いところに付加することができる。このインクは、好ましくは、上側の耐摩耗性粒子より下側のレベルに浸透する。
図6aは、例えば、押し出しヘッド26を有した押出機25が、色および/または構造および/または密度および/または耐摩耗性が異なる、別々に押出成形された繊維33をベース繊維層上に付加できることを示している。押出成形される繊維は、好ましくはバインダおよび選択的に耐摩耗性の粒子と混合される。
図6bは、別個の繊維33をプレスして表面層5に接合できることを示している。
図6cは、ベース繊維の表面より低い耐摩耗性の別個の繊維35を付加できることを示している。表面にブラシをかけると、別個の繊維35の上側の表面の一部が取り除かれて装飾的な溝が得られる。これは、構造と着色デザインとが完全に整合するようにする。
図6dは、表面に装飾的な特性を与えるために、例えば木、金属、合成樹脂その他のフレーク36のような他の別個の材料を用い得ることを示しており、かつこれらの別個の材料はベース繊維の表面にプレスすることができる。
図6eは、表面にマトリックスをプレスして溝、斜面、グラウトラインおよび類似の物を作り出し得ることを示している。そのようなエンボスは、紙が損傷を受ける従来の積層床材により非常に深くいものとすることができる。例えば1〜2mmあるいはより深いエンボスを容易に得ることができる。
図6fは、表面のデザインが、表面上のパターン内に配置される例えば木の繊維、好ましくは本質的に個々の繊維あるいは個々の繊維の一群から得られることを示している。それらは、本物の木と同様な材料層を構築するように整合された、いくつかの層に付加することができる。
デザイン効果を作り出す上述した全ての方法は、予備プレス操作の有無にかかわらずIFP、SOCおよびSLLの実施形態に用いることができる。
図7aは、この開示の一実施形態のパネルを示している。このパネルが備える表面層5は、この開示の一実施形態によって製造されるとともに、公知のコア材6に接着されあるいは積層される。バランス層7は、図7bに示したように後側に付加されている。この床材3は、上述したIFP、SOCあるいはSSLの原理で製造される。図7cは、いくつかの床要素2に切断された後の床板を示している。図7dは、長い縁部にある機械的な係止システム4、4'によってフロアパネル1に形成された床要素を示している。機械的な係止システムは、一般的に短い縁部上にも形成される。傾斜、水平および垂直方向のスナップ嵌合およびサイドプッシュ等の係止を可能とする全ての係止システムを用いることができる。しかしながら、フロアパネルは、むしろ単純な係止システムあるいはタイルや石に類似した直線的な縁部を持つことができ、かつそれらはサブフロアに接着することができる。
図8aが示している、この開示の一実施形態のパネルは、一般的に従来の積層床材の製造に用いられるものと同じ基礎的な装置で製造することができる。このパネルは、表面層5、HDFコア6およびバランス層7を備えている。表面層は好ましくは粉末の形態であり、薄い層として散乱させることができるとともに、予め製造された繊維ベースのコア、好ましくは6〜8mmのHDFコア上に0.1〜0.5mmの表面層を形成できるようになっている。バインダは、今日用いられているパラメータと同様のプレス時間、温度および圧力で、従来の連続したあるいは不連続な直接積層プレスでプレスすることができるように適合させることができる。表面層の厚さは変更することができるが、表面層の最終的な厚みがエンボスの深さを上回り、あるいは少なくともこれらのパラメータが本質的に同じ範囲内にあることが好ましい。切断し機械加工した縁部をリサイクルしたHDF繊維を、表面層に用いることができる。
図8bに示した床パネル1、1'が備える機械的な係止システムは、係止溝44と協動してパネル1、1を水平方向に係止する係止要素48を具備した条片46を有している。
この係止システムはまた、舌片溝49と協動してパネル1、1'を垂直方向に係止する舌片40を備えている。柔軟な密封材50は、製造の間にあるいは組立の間に、装飾的な効果を生じさせるためにおよび/または連結部に浸透する湿気を防止するために、2つの縁部の間に付加することができる。製造の間に熱可塑性材料を繊維に取り込むとともに、隣接する縁部の一方あるいは両方と一体化した縁部密封材へと機械加工することができる。
縁部の形成は、大きな回転ダイヤモンド工具によって従来の方法で行うことができる。
上側の縁部は、いくつかの実施形態においては耐摩耗性を極めて高めることができるが、木質繊維マトリックスから耐摩耗性粒子を破壊して分離する高品質なダイヤモンド工具で形成することができる。それに代えて、レーザあるいはダイヤモンド工具による彫刻を用いることもできる。好ましい実施形態は、レーザと彫刻の組合せであり、直線的な切断部分および好ましくは上側の縁部をレーザで形成し、好ましくは表面層の下側のより柔軟なコア材料にあるU字溝、空洞および丸められる部分を彫刻によって形成する。レーザ光線は、縁部、好ましくは上側の縁部を熱でシールするために用いることもできる。
レーザ切断は、粗い石あるいはタイルと同様に見える粗い構造の縁部または溝を形成するために特に適している。そのような粗い縁部は、例えばパネルの縁部の一部がレーザ切断ヘッドに対して変位するときに、焦点位置および/または焦点距離および/またはビームの幾何学的形状が縁部に沿って変化する光線を有したレーザ切断ヘッドで形成することができる。そのような縁部は、従来の切削ツールで形成することができない。これらの方法および実施形態の全ては、従来の積層および木質のフローリングに用いることができる。
図8cに示されている組み合わせコアを備えるフロアパネルは、例えば表面層5、この開示の一実施形態により互いに結合された例えばコルク粒子を含むコア層6a、木質繊維を含む木質繊維ベースのコア6、および例えばコルク粒子を含むバランス層7を有している。すべての層は、密度を異ならせることができる。
図8dは、本質的に水平方向に延びる溝52を、表面層の下側のコアにおける、例えば彫刻、従来の機械加工あるいはレーザ切断によって形成できることを示している。本質的に垂直な切断部分51は、同じ方法で表面層に形成することができる。また、上側の表面は限定された機械加工および工具によって取り除くことができる。粗い傾斜部分は、同様の方法で縁部に形成することができる。
図9a、図9bは、乾燥した材料を層に分布させるために用いることができる散乱ステーション60を示している。繊維、耐摩耗性粒子、粉末の形態のバインダおよび粉末の形態の着色顔料は、例えば混合して、彫刻ローラ53に接触している容器55に加えることができる。このローラ53は、回転の間に混合材料56がブラシローラ54と接触するようにし、材料56はコンベヤベルト20上にあるいは他の層若しくは板の材料上に付加される。
大きくて重い材料が軽い粒子の下に付加される図9aから判るように、かつそれとは反対のことが生じる図9bから判るように、材料の流れの方向は粒子の位置に影響を与え得る。異なる層への粒子の分離は、コンベヤベルト20に向かってより垂直方向に落下する軽い粒子よりも遠くに重い粒子が分散するようにするブラシローラ54によって得ることができる。
硬い耐摩耗性粒子は、製造の間に鋼板上にひどい摩耗を生じさせる。この問題は、以下に述べるいくつかの方法のうちの1つを用いることによって回避することができる。
上側の層は、メラミン粉末および基本的に平らな酸化アルミニウム粒子を含むことができる。
例えば繊維およびバインダだけで酸化アルミニウム粒子を含まないきわめて薄い上側の層を、耐摩耗性の層の上に付加することもできる。この薄い層は、取付けの後に短期間で消失する。しかしながら、装飾的な効果は、この表面層の固い構造によって維持される。
表面層の上側部分は、例えば本質的にメラミン樹脂のみから成る、薄い層から構成することができる。
表面層の上側部分にある耐摩耗性粒子は、極めて小さく、ナノサイズの粒径を有している。
薄い単板は、より厚くてより固い木の表面層と同様の外観を与える表面層を製造するために、繊維層と組み合わせることができる。単板はまた、コアを形成するために用いるものと同じ製造段階で形成して木質繊維ベースのコアに接続することができる。この方法は、この開示の実施形態の全体的な目的により、コストを減少させるとともに製造段階を省くことができる。
図10a〜図10cは、薄い表面層5、例えば0.3〜1.0mmの厚みの単板の層を、むくの木と同様の外観を与える深層構造と共に如何にして形成することができるかを示している。図10aは、如何にして床板を製造できるかを示している。薄い表面層5は、例えば、バインダ好ましくは熱硬化性のバインダと混合されるコルク6aまたは木質繊維を含んでなる下位層6b上に付加される。下位層6bは、例えば木質繊維ベースのコア、好ましくはHDFコア上に付加される。他のコア材、例えばパーティクルボード、合板、可塑材、天然繊維の不織含浸材料、その他を用いることができる。バランス層7は、コア6上に付加することもできる。図10bは、コア層がエンボス加工されている圧力マトリックス23によって如何にプレスされるか示している。このプレスは、熱および圧力の下で互いに結合して硬化する、下位層6bおよび表面層5を形成する。きわめて深いエンボスを得ることができるとともに、手作業でなめしたむくの木と同様な粗い表面を薄い単板から生成することができる。下位層は、表面層の特性、例えば吸音性および耐衝撃性を改良するために用いることができる。この方法はまた、IFP原理に基づいてコア上に単板を直接付加するために用いることができるし、従来のHDF製造ラインに用いることもできる。HDFが形成されるとともに、単板は同じ製造段階においてコアに積層される。この方法は、HDFの研摩および薄板の接着を省くことができるので、コストを低減する。
上述した実施形態の全てを、個別に、あるいは組合せて用いることができる。
この開示の実施形態による耐摩耗性の高い表面層を有した床パネルは、従来の鋸で切断することが困難である。この床パネルは、図6fに示したように表面層5の下側まで溝39を作ることができる後側から切断することが好ましい。次いで、この床パネルは、折り曲げて分割しあるいは分離することができる。
同一のプレス操作において、個々の床要素2あるいは床パネル1を製造し、係止システムの一部を形成することができる。タイルおよび石の形の製品を係止システムのない個々の製品として製造するとともに、それらの係止システムを予め接着された層によって後側に形成して、サブフロアに取り付けることによって従来の方法で容易に組み立てることができるすることができる。機械的な係止システムはまた、従来の方法である接着剤による取り付けを容易にするために用いることもできる。後側は、接着を容易にする、粗い構造あるいは特別に適合させた構造で製造することができる。
製造を簡単にして工具の摩耗を減少させるために、耐摩耗性粒子なしの特別に柔軟な繊維あるいは材料を、床板の床パネルへの分離が行われるとともに係止システムの部品が形成される表面に、局所的に付加することができる。後側に予め形成された溝は、分離を容易なものとすることができる。
図11aは、好ましくは設計あるいは構造が異なる2つの別々の表面層5、5'を備えたパネルを示している。装飾的な溝8は、図11bに示したように、下側の表面層5'が見えるような深さに形成することができる。きわめて精密で魅力的なデザイン効果を得ることができる。
図11cに示したようなパターンの形態あるいはシャブロン(schablon)27を介した散乱は、装飾効果を作り出すために用いることができる。好ましくは、バインダ19および/または着色顔料15および/または耐摩耗性粒子12と混合した、異なる色および構造の繊維14は、明瞭な表面部分上に付加することができる。
様々な方法で、表面上に装飾的な部分を形成するために、異なる色または構造の繊維を用いることもできる。例えば、プレスの前に取り除かれあるいは表面に含めることができる材料から構成されている薄い壁によって区切られている明確に定められた表面部分に繊維を付加する別々の押出機によって、好ましくはプレスの間に下に向けられているパネル表面の製造の際に行うことができる。
図12a〜図12eは、好ましいSOC原理のパネルが不連続なプレス操作において如何に形成されるか、およびそのような製造に関連する問題を、いくつかの段階で示している。例えばHDFの予め製造されたコア6は、図12a,図12bに示したように予め製造されたバランス層7上に配置される。好ましくは乾燥した形態の木質繊維、バインダおよび着色顔料を含んでなる表面層5は、図12cに示したように、散乱あるいは塵散乱装置によってコア上に配置される。表面層およびバランス層を有したコアは、図12dに示したように不連続なプレスにおいてプレスされ、図12eに示したような床板に形成される。図12cおよび図12dは、柔軟な表面層5が、最終プレスの前に、上側37および下側37'のプレステーブルが閉じるときに排気されなければならない多量の空気45を含んでいることを示している。これは、制御されない方法で柔軟な表面材料を変位させる空気流45を生じさせる。この問題は、異なる方法で、例えば最終プレスの前の表面層の予備プレスによって、あるいは過剰な空気を抜き取る負圧を負荷することによって、解決することができる。負圧は、コアの後側に負荷することができるとともに、例えばマトリックスあるいは表面上の剥離紙と組み合わせて用いることができる。HDFコアは十分な有孔率を有しており、後側に負荷された負圧が前側の表面に影響を及ぼす。表面層を安定させるために、繊維上にスプレーされる液状の樹脂あるいは水を用いることもできる。
図13a〜図13kは、その両側に表面層5,5'を備えるとともに、垂直方向のスナップ嵌合(図13a、図13d)、傾斜したスナップ嵌合(図13g,図13h)、および水平方向のスナップ嵌合(図13i)によってそのようなパネルの取り付けを可能にする係止システムを備えた、両面フロアパネルの実施形態を示している。この係止システムは、図示の実施形態においては、低い係合抵抗によってスナップ嵌合を容易にする別個の柔軟な舌片9あるいは係止要素9aを有している。類似の単一片の係止システムを用いることもできる。公知の係止システムは、隣接するパネルの前側および後側が、好ましくは締まり嵌めによって互いに係合し得る縁部表面38,38'を有するように適合されている。この開示に記載した床パネルのケースの場合のように、第2の表面層のための追加の費用が抑制されるならば、床パネルの両側を用い得ることは有利である。
図14a〜図14eは、ベースのオリジナルの床板がむしろ単純な表面デザインを有している場合はもちろん、きわめて進歩的な表面デザインの床パネルを製造するために用い得る方法を示している。この「コンビパネル」法は、特にこの開示の実施形態の複合床材に適しているが、例えば積層床板、リノリュームおよび弾力のある床材に用いられる印刷、着色、あるいは他の人工的なデザインをベースとした表面デザインの他の床パネルに用いることもできる。
この方法は、異なるデザインあるいは構造の第1および第2のオリジナルの床材3,3'(図14a)が、第1のタイプの床要素2,2'に切断される(図14b)製造段階を有している。この第1のタイプの床要素は、第1および第2のオリジナルの床板の少なくとも一つの床要素を備えたコンビ床板3aに接続される(図14c)。このコンビ床板3aは、第1および第2のオリジナルの床板の表面部分を含む第2のタイプのコンビ床要素2aに切断される(図14d)とともに、好ましくは縁部にある機械的な係止システムによってコンビ床板1に形成される(図14e)。第1のタイプの床要素2,2'は、コンビ床板3aを形成するために、機械的な係止システムによって互いに接続される。従来の舌片および溝もまた用いることができる。この方法は、限られた範囲のむしろ単純なオリジナルの床板3,3'から、広い範囲のきわめて進歩的なコンビ床板1を製造できるという利点をもたらす。様々なタイプのプレス板の必要性が低下する。例えば広い範囲の積層床材を、限られた範囲の装飾紙から製造することができる。
図15a〜図15dは、極めて進歩的な装飾効果をコスト効果的な方法で作り出すために、このコンビパネル法を用い得ることを示している。第1のタイプのコンビ床板3aは、上述したように製造することができるとともに、同様に製造された異なる床要素の組合せあるいはデザインの第2のタイプ3aのコンビ床板と接続することができる。第1および第2のタイプのコンビ床板3a,3a'は、図15bに示したように新規なコンビ床板3bに接続することができるとともに、図15cに示したように新規なコンビ床要素2bに切断することができる。そのような新規なコンビ床要素2bは、2つ、3つ、4つあるいはそれ以上のオリジナルの床板の表面部分を備えることができる。コンビ床板に組み合わせられる異なるサイズのコンビ床要素を形成するために、2、3のオリジナルの床板を用いる場合においても、その組合せ効果はほぼ無制限である。装飾的な溝を有した床要素は、装飾効果を高めることができる。オリジナルのエンボスの方向を回転させると、さらに装飾的な組合せが増加する。異なるサイズの好ましくは装飾的な溝を有したコンビ床要素を用いる場合には、例えば白と黒のオリジナルな床板の組合せでさえ、進歩した装飾効果を生じさせ得る。
コンビ床要素の長い縁部は、図14cに示したように形成することができるとともに、図14fに示したようにコンビ床パネル1の短い縁部にある、係止システムとして用いることができる係止システム4a,4bによって接続することができる。このことは、係止システムを形成するための短い縁部の最終的な機械加工を不要とし、かつ全てのコンビ床要素を同一サイズとすることができるので、製造コストを減少させる。より高度な係止システム、例えば垂直方向の係止を可能とする柔軟な舌片を有した係止システムを、最終的な機械加工プロセスにおいて短い縁部上に形成するために用い得る、特別な係止システムもまた作ることができる。最終的な機械加工は、きわめて単純なものであり、かつ単純な水平方向あるいは垂直方向の溝に限られる。
図16a〜図16eは、特にこの開示の実施形態の複合床材において、整合したエンボス表面(EIR)を具備した表面層を生成するための好ましい方法を示している。エンボス圧力マトリックス23は、好ましくは、図16aに示したようにエンボス突起29を有した表面を有するシート、構造化された紙、ローラおよび類似物として提供される。装飾材料、例えば塗料あるいは着色繊維または類似物は、付加装置、例えばゴムローラ28あるいは類似物によって突起29上に付加される。図16cに示したように硬化していない繊維およびバインダを含む表面層5が提供され、かつ図16dに示したように圧力マトリックス23が表面層5にプレスされる。装飾材料29が最も低い表面部分に配置され、図16eに示したように完全に整合したエンボスが得られる。
この方法は、プレス操作における表面の最終的な形成および硬化の間に装飾的な部分を表面に含めることができる、全ての種類の表面に極めて適している。プレスの間にベースの繊維構造に浸透する塗料を用いることができる。
以下の説明および図17a〜図17fは、この開示の範囲内で調査されたいくつかのプロセスの変形例の説明的な実施形態を示すことを意図したものである。
第1の実施例は、全体厚さ8〜10mm、約1mmの表面層、約1mmのバランス層を有する一体成形パネル(IFP)に関するものである。
<実施例1>
このケースでは、結果として得られた製品は、エンボス紙を介して達成された装飾的な表面組織を有している。
以下の原材料を用いた:
− 粉末の形態のメラミン樹脂
− 粉末の形態70〜110ミクロンの酸化アルミニウム
− 着色顔料
− 機械的に分離された、天然樹脂を含む、HDF/MDFパネルの木質繊維
プロセス操作:
− 乾燥および湿度の制御
木質繊維は、プロセスに適した含水量、例えば5〜8%に乾燥させた。
− 篩分け
篩分け操作は、更なる処理に適した繊維、および寸法をさらに小さくするために機械的な製粉を必要とする繊維へと、繊維を分離しかつ分類するために用いられる。
− 製粉
大きな繊維を含む繊維留分は有用なサイズに製粉されて、篩分け操作へと再循環させる
− 混合
原材料は、均質な混合を保証する機械的な乾燥混合技術を用いて、表面層、コアおよびバランス層のような異なる層に適した組成に混合される。異なる組成物は、別々の容器に格納される。
− 表面層の組成
IFP製品の表面層は、メラミン樹脂(例えば、Kauramine 773, BASF,ドイツ)、酸化アルミニウム(例えば、ZWSK180, Treibacher,オーストリア)、着色顔料、例えば黒色顔料(例えば、Bone Black, Alfort & Cronholm, スウェーデン)、および150μmより小さい繊維サイズに篩をかけた木質繊維(例えば積層床材の倣削りの製造廃棄物)の以下の混合物をベースとしたものである。
この説明的な実施形態においては、以下の調合を用いた。
コア層
パネルのコア層は、メラミン樹脂(例えばKauramine 773, BASF,ドイツ)と、150〜600μmの範囲の繊維に製粉した木質繊維(例えば積層床材の倣削りの製造廃棄物)との混合物をベースとしたものである。
バランス層
パネルのバランス層は、メラミン樹脂(例えば、Kauramine 773, BASF,ドイツ)、黄色顔料(例えば、Yellow Ochre, Alfort & Cronholm,スウェーデン)、および150μmより小さい繊維寸法へと篩にかけた木質繊維(例えば積層床材の倣削りの製造廃棄物)の混合物をベースとしたものである。
− 最上層の散乱
パネルはその装飾層を下向きにして製造される。したがって、散乱の初期ステップは、エンボス加工紙23(Sappi、米国)のような表面組織材料を図17aに示す薄いアルミニウム板上に配置することである
次いで、図9aに示した散乱装置を用いて最上層の材料5をエンボス加工紙23上に散乱させた。これは、図17bに示されている。
コア層6の材料は、図17cに示すように最上層5上に散乱させた。
− 支持層の散乱
バランス層7は、図17dに示したようにコア層6上に散乱させて剥離紙で覆われる。
− ローディング
散乱させた層を担持するアルミニウム板をプレスに装着する。
− プレス
散乱させた層は、図17eに示したように、プレスの上側および下側のプレステーブル37,37'により40キログラム/平方センチメートルの圧力でプレスした。プレスは、両側から160℃まで加熱し、2分間拘束した。積層された材料は、プレスを開放する前に40℃まで冷却した。
− アンローディング
プレスを開放したときに、積層されたパネルを持ち上げてプレスから取り出し、エンボス紙および剥離紙を取り除いた。その結果として得られた製品は、本実施形態においては床板3であり、図17fに示されている。この床板は、その装飾的な表面層5を上向きにして示されている。
− 鋸引き、倣削り及び包装
床板は、床要素に切断するとともに、その縁部に機械的な係止システムを有した床パネルに機械加工した。最終的な製品は、好ましくは包装および輸送の前に適切な環境に調節することができる。
<実施例2>
以下のプロセスの説明は、予め製造された別々のコア上に表面層が製造されるコアパネル上の表面層(SOC)に関連している。この好ましい実施例のパネルは、約0.4mmの装飾層を備え、かつ全体厚さは約8mmである。
以下の原材料を用いた:
− 粉末の形態のメラミン樹脂
− 酸化アルミニウム
− 顔料
− 木質繊維
− コアとしての高密度繊維板(HDF)
− バランス層としての裏紙
プロセス操作:
乾燥および湿度の制御、篩分け、製粉および混合操作は、上述したIFPパネルにおけるものと実質的に同一である。
− 表面層
この製品の表面層は、メラミン樹脂(例えば、Kauramine 773, BASF,ドイツ)、酸化アルミニウム(例えば、ZWSK180, Treibacher,オーストリア)、黒色顔料(例えば、Bone Black, Alfort & Cronholm,スウェーデン)、および150μmより小さい繊維寸法へと篩にかけた木質繊維(例えば、積層床材の倣削りの製造廃棄物)の混合物をベースとしたものである。
− コア上への散乱
この製品は、その装飾的な表面層を上側にして製造された。したがって、散乱の最初のステップは、コア材料(7.8mmのVarioboard(高密度繊維板(HDF))、Wiwood、スウェーデン)を図9aに示した散乱装置の下側に配置することである。
次いで、表面層の材料をHDF上に散乱させた。
− ローディング
散在する表面層を支持しているHDFを、剥離箔で支持されている裏紙(例えば、メラミン樹脂を含浸させた、200g/m2の紙、DKB、ドイツ)の上面に配置した。また、散乱層は剥離箔で覆った。この材料をプレスに装着した。
− プレス
プレスを閉じて、40kg/cm2の圧力とした。このプレスは、両側から約180℃に予熱して20秒間保持した。
− アンローディング
プレスを高温状態で開放したときに、積層された製品を持ち上げてプレスから取り出し、剥離箔を取り除いた。製品を放置して周囲温度に冷却した。
− 鋸引き、倣削り、包装、その他は、IFPパネルと同様に行った。
記載したSOC製造方法は、従来の積層床板に対して約4倍の耐摩耗性を有する表面層を床パネルに生成することを可能とする。耐衝撃性は、より良好である。プレス時間は実質的に同一であり、これはプレスの能力およびコストが両方の製品について実質的に同一であることを意味している。しかしながら、従来の積層床材パネルにおけるより多くの酸化アルミニウムおよび着色顔料を表面層が含んでいる実施形態においても、SOCパネルの表面層の原材料のコストは低い。主要なコストの優位性は、表面紙を製造し、印刷し、含浸させる必要がないという事実にある。
表面層の繊維は、上述したように、好ましくは縁部の切断および機械加工からリサイクルした繊維である。上述した実施例におけるSOCパネルの表面の繊維含有量は全体の繊維含有量の約5%であり、これは縁部の機械加工から得られる繊維の量と実質的に同一な量である。これは、繊維のコストがほぼ0であることを意味している。従来の積層床材の製造は、かなりの量の過剰な繊維を生じさせ、そのような繊維はこの開示に基づいて床パネルの表面、コアおよびバランス層に用いることができる。
一般的にHDFより生産コストの低いパーティクルボードコアは、製造コストをさらにさらに減少させるために用いることができる。
本発明は、記載した実施形態および図には限定されない。
バインダは、例えばホルムアルデヒドフリーなバインダから構成することができるが、それは積層床材に使用されている従来のバインダより環境にフレンドリーであるとみなすことができる。好ましいホルムアルデヒドフリーな合成バインダは、適切な架橋剤を含む例えばカルボキシあるいはヒドロキシファンクションポリエステルのような、液体あるいは乾燥した熱硬化性バインダである。そのようなものの実例は、カルボキシ・ファンクション・ポリエステルUralac P880 (DSM, NE)および硬化剤Primid XL-552の組合せである。
用いることのできる他の合成熱硬化性バインダは、官能化されたポリアクリレートである。適切な官能基化は例えばカルボン酸であるが、それはエポキシおよび/またはヒドロキシ官能価と組み合わせることができる。ヒドロキシおよびカルボキシ官能基化の組合せの実施例は、例えばBASF(ドイツ)によって作られているAcrodur 950Lに見いだすことができる。バインダの比率、プレス時間および圧力は、実質的にメラミンホルムアルデヒド樹脂に関するものと同じである。使用可能な他のホルムアルデヒドフリーな熱硬化性バインダは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンをベースとするポリオール化合物の組合せのようなウレタン化学をベースとするもの、またはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のような塩基性イソシアネートを含むイソシアネートファンクショナル化合物等のポリアシレート化学をベースとするものである。クルードMDI(pMDI)は、イソシアネート反応基を含む化合物の更なる添加なしに用いることができる。
バインダとして天然樹脂、例えばリグニン、スベリン、変性デンプンあるいは改質タンパク質、または他の類似の天然樹脂を用いることにより、環境にやさしい「グリーンな」製品を得ることもできる。
密度を低下させるためにおよび/または装飾効果を得るためのプレスの後で厚みを増加させるために、バインダと共に重炭酸ナトリウムのような化学発泡剤を用いることができる。他の類似の発熱性あるいは吸熱性の化学発泡剤は、アゾイソブチロニトリル(AIBN)およびアゾジカルボンアミド(ADC)である。液体を充填したプラスチック微小球体、例えばExpancel(登録商標)の添加により、発泡を容易にするガスまたは液体を用いることもできる。
シリカエーロゲル、例えばCabosilのような低密度充填剤の導入により、より低い密度を達成することができる。
好ましくはドライプロセスであるプレス操作は、ウェットプロセスに置き換えることができるが、そこにおいては、例えば面取りされた縁部および好ましくは係止システムを有したフロアパネルを形成することができるように、低い圧力あるいは高い圧力での連続したあるいは不連続な型充填のために、木質繊維、バインダ、好ましくは合成熱硬化性バインダ、および耐摩耗性粒子、好ましくはアルミニウム酸化物を含んでなる粉末スラリーまたはペーストを用いることができる。そのような製造方法は、上述した実施形態よりも複雑かつ高コストであるが、例えば耐摩耗性のベースモールディングのような特別な用途に用いることができる。
「スタンプ」法を用いた印刷は、「振動」法に置き換えることができる。パネルがマトリックスに対してその前側を下にして製造される場合は、第1の表面層をマトリックス上に散乱させた後に、振動段階を追加することができる。この振動は、例えばある種の色あるいは耐スクラッチ性の粒子を含む散在させた材料を、マトリックスの最も深い点に配置するために用いることができる。これは、マトリックス上の最も深い部分が、最終的なパネルにおいては最も高い場所にあることを意味する。一般的に位置合わせされたエンボス(EIR)と呼ばれる、デザインとエンボスとの間の「完全な」整合を達成することができる。それらがマトリックス上の上側部分およびパネル表面上の下側部分を構成するように、追加の装飾層をマトリックス上に付加することができる。
例えば表面の硬化の前あるいは硬化の間に、パネル表面上に間接的に印刷を付加するべく、デジタルあるいはダイレクト印刷を用いることができる。「転写」印刷は、アルミ箔あるいはプレス板あるいは構造化させた紙のような支持体上に提供することができる。この印刷は、プレスの前にあるいはプレスの間に支持体からパネル表面へと転写することができる。印刷装置は連続プレスにおいては上側に配置することができ、かつ印刷はスチールベルトのエンボスに対して位置合わせすることができる。そのような転写印刷はまた、最初に構造化した箔上に例えばローラによって色を付加するとともに、構造化した箔の外側部分からスクレーパで色を取り除き、次いで例えばゴムローラでこれらの外側部分の上に新しい色を追加することによって達成することができる。
オリジナルの製品、例えば石が、色およびエンボスの両方との関係において複製されると、上述した方法で「完全な」再生を得ることができる。再生されたパネルが本物の石のように感じられかつ機能するように、密度および耐摩耗性を調製することができる。着色顔料および他の装飾的であるいは非装飾的な材料を表面に含ませると、異なる熱および/または圧力を負荷したときに異なるデザイン効果を達成することができる。このことは、同一のベース材料で異なる装飾を生じさせるためにプレス板の表面上の熱を変更することにより、装飾的な効果が得られることを意味している。異なる圧力を生じさせるためにプレスマトリックスの構造を用いると、表面上の低い場所および高い場所に異なるデザインを与えることができる。いくつかの表面部分の上に他の隣接部分よりも多くの材料を付加することにより、高い圧力を局所的に得ることができる。好ましくは最終的な床パネルの縁部を構成する特定の部分における高い密度もまた、同様の方法で作り出すことができる。これは、強い係止システムを形成して耐湿性を改良するために用いることができる。このことは、表面あるいはコアの水平面に沿って密度の分布を変化させ得ることを意味する。耐摩耗性、耐衝撃性を高めあるいは装飾的な効果を生じさせるために、突出している表面部分の上に、耐摩耗性粒子および/またはバインダの量を増加させて付加することができる。この開示のこの実施形態は、パネルが突出した部分および低い部分を有するとともに、この突出した表面部分が低い部分とは異なる材料組成から成ることを特徴とする。
プレス操作の間に最も上の層に溶けて入り込む印刷箔を用いることができる。そのような箔は、追加の耐摩耗性粒子、デザイン粒子、耐水性のために含浸させる化学薬品、あるいは光沢面を生成する特別な化学薬品と組み合わせることができる。
3次元の「印刷」効果を有した石の複製を製造するために、装飾的な粒子、例えば着色用の剥片あるいは繊維を用いることができる。プレス操作の間に完全にまたは部分的に溶融する、着色顔料を含む熱可塑性樹脂の粒子を表面層に用いることができる。装飾的な粒子によって生じる装飾的な効果を制御するために、加熱された状態において粘性が異なる粒子を用いることができる。
支持体層あるいは表面層を構成する例えばHDFのコアを散在させた繊維層の上に配置したときには、特別な問題が生じ得る。特にプレスサイクルを可能な限り短くすることが意図されている場合にコアを繊維層に向かって降下させると、コアの空気流が繊維を吹き飛ばすのである。まだ硬化していない上側の繊維層に対してプレステーブルを閉じる場合に、同じ問題が生じる。そのような問題は、繊維上に液体、例えば液体バインダあるいは類似物を付加することによって解決することができる。他の解決策は、過剰な空気を排出するために、散乱させた繊維組織上に特別な真空装置を用いて板材を配置することである。薄い板材を機械加工しなければならないときによく用いられる真空テーブルと同じ特性を有する真空グリッパを用いることができる。プレス内への送り込みの間にバランス層、コアおよび表面層を安定させるために、穴の明いた裏当材もまた用いることができる。最終プレスの前の予備プレスを完全にまたは部分的に置き換えるために、真空を用いることができる。
耐摩耗性を改良するために、構造化した紙/箔を、酸化アルミニウムと混合した液体メラミン樹脂で被覆して乾燥させることができる。この乾燥した表面に印刷を付加すると、この印刷は、パネルがプレス内で硬化するときに、上側の好ましくは耐摩耗性の繊維表面に転写される。いくつかの利点を得ることができる。
a) 装飾的な溝部分を生じさせるために、異なるデザインの下側部分へと延びる上側の装飾的な部分の溝を作ることができる。
b) 天然の石の摩耗と同様に、製品の寿命の間に表面部分の一部が摩耗したときに変化し得るデザインを作り出すことができる。
この方法はまた、従来の積層床材における耐スクラッチ性を高めるために用いることができる。
ランダムな色の分布は、エアブラシ技術によって達成し、かつ「ランダムジェネレータ」によってプログラムしおよび/または生じさせることができる。
2つの表面のいずれかを表面側としつつ全てのパネルが他の任意のパネルに対して係止されるように、取り付けの間に縁部に付加される柔軟な舌片あるいは別個の材料を有した、両面パネルを製造することもできる。
被覆を耐摩耗性粒子と共に用いることは除外されず、そうすれば耐摩耗性が増加する。