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JP6420621B2 - ハチ防除用エアゾール、及びハチ防除方法 - Google Patents

ハチ防除用エアゾール、及びハチ防除方法 Download PDF

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JP6420621B2
JP6420621B2 JP2014207712A JP2014207712A JP6420621B2 JP 6420621 B2 JP6420621 B2 JP 6420621B2 JP 2014207712 A JP2014207712 A JP 2014207712A JP 2014207712 A JP2014207712 A JP 2014207712A JP 6420621 B2 JP6420621 B2 JP 6420621B2
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Description

本発明は、対象物にハチが接近することを予防するハチ防除用エアゾール、及びこれを用いたハチ防除方法に関する。
日本において、ハチは約3000種類が知られており、このうち、刺咬性の強いハチは約20種類と言われている。近年、都市周辺の丘陵地帯等において宅地化が進み、その影響で刺咬性の強いハチによる人的被害が増大している。そのため、山間部だけでなく、都市部においてもハチを駆除する要望が高まっている。ハチを駆除するにあたっては、ハチに薬剤を直接作用させてノックダウン及び致死させる方法が広く行われており、そのための製品として、殺虫成分を含有するエアゾール剤を耐圧容器に封入してなるハチ防除用エアゾールが市販されている。
従来、ハチ防除用エアゾールとして、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル クリサンテマートを有効成分として含有するものがあった(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペンタ−2−エニル クリサンテマートを灯油に溶解させ、これを噴射剤であるLPGとともにエアゾール缶に充填してハチ防除用エアゾールを構成している。
また、メトフルトリンとテトラメトリンとを有効成分として含有する組成物をエアゾール剤に調製したものがあった(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2によれば、上記組成物を飽和炭化水素溶剤に溶解させ、これを噴射剤であるLPGとともにエアゾール缶に充填してハチ防除用エアゾールを構成している。
特開平1−299202号公報 特開2009−173608号公報
ハチは、住宅の玄関、軒下、ベランダ等に巣を作り、そこを拠点として広範囲に活動する昆虫である。ハチは一旦巣を作るとその場所に執着し、巣を撤去してもまた同じ場所に巣を作ろうとする習性がある。従って、ハチを駆除するに際しては、飛来してきたハチにエアゾール剤を直接噴霧してノックダウン及び致死させるだけでは不十分であり、ハチの営巣活動を未然に防止することが重要となる。
この点に関し、特許文献1又は特許文献2のエアゾールは、ハチにエアゾール剤を付着させてノックダウン及び致死させるものであるが、ハチの営巣活動を予防することを想定して開発された製品ではない。そのため、特許文献1又は特許文献2のエアゾールをハチが巣を作りそうな場所に向けて噴射し、エアゾール剤を塗布しても、実際にハチがエアゾール剤に含まれる殺虫成分に接触することがなければ、ハチをノックダウン及び致死させることはできない。そればかりか、ハチが殺虫成分の付着箇所を避けて巣を作ると、やがて大量のハチが発生し、専門業者でなければ駆除が困難になることもある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ハチをノックダウン及び致死させることに加えて、ハチの営巣活動を予防することにより、ハチを根本的に防除することが可能なハチ防除用エアゾール、及び当該ハチ防除用エアゾールを用いたハチ防除方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係るハチ防除用エアゾールの特徴構成は、
対象物にハチが接近することを予防するハチ防除用エアゾールであって、
耐圧容器に、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分と、ハチ忌避香料成分と、有機溶剤と、噴射剤とを含有するエアゾール剤を封入して構成され、
前記対象物に向けて噴射された前記エアゾール剤の噴霧粒子が当該対象物に付着すると、当該噴霧粒子から前記ハチ忌避香料成分が前記対象物の周囲に揮散するように調製されていることにある。
本構成のハチ防除用エアゾールによれば、エアゾール剤として、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、ハチ忌避香料成分、有機溶剤、及び噴射剤を含有したものを使用する。難揮散性ピレスロイド系殺虫成分及びハチ忌避香料成分は、有機溶剤に溶解した状態(エアゾール原液)で耐圧容器中に封入されているため、噴射直後においては、両成分は有機溶剤と一体となって粒子状に大気中に放たれる。そして、エアゾール剤の噴霧粒子が対象物(ハチ又は建造物)に付着すると、当該噴霧粒子に含まれる難揮散性ピレスロイド系殺虫成分は、揮散し難いため、対象物に付着した状態を維持する。従って、ハチに付着した難揮散性ピレスロイド系殺虫成分は、そのハチを速効的にノックダウン及び致死させることができ、建造物に付着した難揮散性ピレスロイド系殺虫成分は、その建造物にハチが止まる(接触する)ことでハチを忌避又はノックダウンさせることができ、さらには死滅させることもできる。一方、エアゾール剤の噴霧粒子に含まれるハチ忌避香料成分は、香料独特の揮散性を有するため、噴霧粒子が対象物に付着すると、徐々に周辺の大気中に揮散する。従って、対象物に付着したハチ忌避香料成分は、時間経過とともに揮散して対象物の周囲に漂い、長期に亘ってハチを寄せ付けない忌避作用を発揮する。このように、エアゾール剤として難揮散性ピレスロイド系殺虫成分とハチ忌避香料成分とを併用することで、ハチを直接ノックダウン及び致死させるだけでなく、ハチを寄せ付けない忌避効果が同時に発揮される。本構成のハチ防除用エアゾールを使用すると、対象物付近にハチが近付かなくなり、その結果、ハチの営巣活動が予防され、根本的なハチの防除が可能となる。
本発明に係るハチ防除用エアゾールにおいて、
前記エアゾール剤は、前記ハチ忌避香料成分の忌避効果を持続させる忌避効果持続成分をさらに含有することが好ましい。
本構成のハチ防除用エアゾールによれば、エアゾール剤にハチ忌避香料成分の忌避効果を持続させる忌避効果持続成分をさらに含有させることにより、ハチ忌避香料成分による忌避効果をより長期に亘って持続させることができる。従って、対象物にエアゾール剤を噴き付ける期間(エアゾールの使用間隔)が延長され、使用者の手間を低減することができる。
本発明に係るハチ防除用エアゾールにおいて、
前記難揮散性ピレスロイド系殺虫成分は、シフルトリン、フタルスリン、フェノトリン、シフェノトリン、レスメトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、及びエトフェンプロックスからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本構成のハチ防除用エアゾールによれば、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分として上記の適切なものを使用しているため、良好な殺虫効果を得ることができる。
本発明に係るハチ防除用エアゾールにおいて、
前記ハチ忌避香料成分は、シス−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、総炭素数が11〜16の炭化水素アルデヒド類、置換基として炭素数が5〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を有するシクロペンタノン類、トリデカノン、シトロネリルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、トリシクロデセニルプロピオネート、トリシクロデセニルイソブチレート、シンナミックアルコール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロゲラニオール、エストラゴール、フェネチルイソアミルエーテル、ジフェニルエーテル、ジヒドロインデニル−2,4−ジオキサン、2,6−ジメチル−3−エチルピラジン、シトロネリルニトリル、マグノラン、ルバフラン、シンナミックアルデヒド類、フェニルエチルアルコール、レモナイル、安息香酸メチル、及びサリチル酸メチルからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本構成のハチ防除用エアゾールによれば、ハチ忌避香料成分として上記の適切なものを使用しているため、良好な忌避効果を得ることができる。
本発明に係るハチ防除用エアゾールにおいて、
前記噴霧粒子が前記対象物に付着した後、当該噴霧粒子から前記ハチ忌避香料成分が揮散する期間が、前記難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の有効期間の1〜30%となるように設定されていることが好ましい。
本構成のハチ防除用エアゾールによれば、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の有効期間中において、エアゾール剤の噴霧粒子からハチ忌避香料成分が一定期間に亘って揮散するため、エアゾールの使用直後から対象物の周囲に忌避効果が浸透する。従って、ハチが営巣活動を開始する初期段階において、ハチを確実に防除することができる。
本発明に係るハチ防除用エアゾールにおいて、
前記有機溶剤は、ノルマルパラフィン又はイソパラフィンであることが好ましい。
本構成のハチ防除用エアゾールによれば、有機溶剤として上記の適切なものを使用しているため、対象物にエアゾール剤の噴霧粒子を確実に付着させることができ、さらにハチ忌避香料成分の揮散性も良好なものとなる。
本発明に係るハチ防除用エアゾールにおいて、
前記忌避効果持続成分は、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、及びパルミチン酸イソプロピルからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本構成のハチ防除用エアゾールによれば、忌避効果持続成分として上記の適切なものを使用しているため、ハチ忌避香料成分による忌避効果をさらに長期に亘って持続させることができる。
上記課題を解決するための本発明に係るハチ防除方法の特徴構成は、
対象物にハチが接近することを予防するハチ防除方法であって、
上記の何れか一つに記載のハチ防除用エアゾールを対象物に向ける噴射準備工程と、
前記ハチ防除用エアゾールからエアゾール剤を噴射し、前記対象物に前記エアゾール剤の噴霧粒子を付着させる噴射処理工程と、
を包含することにある。
本構成のハチ防除方法によれば、上述したハチ防除用エアゾールと同様の優れたハチ防除効果を奏する。すなわち、上記の噴射準備工程及び噴射処理工程を実行すると、対象物付近にハチが近付かなくなり、その結果、ハチの営巣活動が予防され、根本的なハチの防除が可能となる。
図1は、本発明のハチ防除用エアゾールを対象物に向けて噴射したときのエアゾール剤の噴霧粒子の挙動を示したモデル図である。
本発明のハチ防除用エアゾールは、対象物(例えば、住宅の玄関、軒下、ベランダ等)にハチが接近することを予防するために使用される。対象物へのハチの接近を予防できれば、対象物付近でのハチの営巣活動も予防され、結果として、ハチを根本的に防除することが可能となる。また、ハチが既に営巣活動を開始してしまっている場合であっても、営巣の初期段階でハチを駆除しておけば、ハチの巣の拡大を阻止することができる。防除対象のハチとしては、ミツバチ、クマバチ、フタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、及びチャイロスズメバチ等の各種ハチ類が挙げられる。
本発明のハチ防除用エアゾールは、耐圧容器に、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分と、ハチ忌避香料成分と、忌避効果持続成分と、有機溶剤と、噴射剤とを含有するエアゾール剤を封入したものとして構成される。なお、エアゾール剤に含まれる各成分のうち、忌避効果持続成分は、必要に応じて添加される成分である。ハチ防除用エアゾールを作製するにあたっては、作業性を考慮して、初めに有機溶剤に難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、及びハチ忌避香料成分を溶解させ、さらに必要に応じて忌避効果持続成分を溶解させてエアゾール原液を調製する。そして、このエアゾール原液を噴射剤とともに耐圧容器に封入する。以下、本発明のハチ防除用エアゾールに使用されるエアゾール剤の各成分について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図しない。
〔難揮散性ピレスロイド系殺虫成分〕
エアゾール原液の主成分の一つである難揮散性ピレスロイド系殺虫成分は、25℃における蒸気圧が1×10−5mmHg未満であるピレスロイド系殺虫成分である。難揮散性ピレスロイド系殺虫成分を例示すると、シフルトリン、フタルスリン、フェノトリン、シフェノトリン、レスメトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、エトフェンプロックス、イミプロトリン、及びシペルメトリン等が挙げられる。これらのうち、殺虫効果の持続性に優れているシフルトリン、フタルスリン、フェノトリン、シフェノトリン、レスメトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、及びエトフェンプロックスが好ましく使用される。なお、上掲の難揮散性ピレスロイド系殺虫成分は、単独での使用に限定されず、二種以上を組み合わせて使用しても構わない。また、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の分子構造に光学異性体や幾何異性体が存在する場合は、それらも本発明に含まれる。
〔ハチ忌避香料成分〕
エアゾール原液のもう一つの主成分であるハチ忌避香料成分は、ハチが嫌う物質を含有する香料成分である。ハチ忌避香料成分を例示すると、シス−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、総炭素数が11〜16の炭化水素アルデヒド類、置換基として炭素数が5〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を有するシクロペンタノン類、トリデカノン、シトロネリルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、トリシクロデセニルプロピオネート、トリシクロデセニルイソブチレート、シンナミックアルコール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロゲラニオール、エストラゴール、フェネチルイソアミルエーテル、ジフェニルエーテル、ジヒドロインデニル−2,4−ジオキサン、2,6−ジメチル−3−エチルピラジン、シトロネリルニトリル、マグノラン、ルバフラン、シンナミックアルデヒド、アルファアミルシンナミックアルデヒドやアルファヘキシルシンナミックアルデヒドなどのシンナミックアルデヒド類、フェニルエチルアルコール、レモナイル、安息香酸メチル、及びサリチル酸メチル等が挙げられる。これらのうち、ハチ忌避効果に優れているフェニルエチルアルコール、レモナイル、安息香酸メチル、及びサリチル酸メチルが好ましく使用される。なお、上掲のハチ忌避香料成分は、単独での使用に限定されず、二種以上を組み合わせて使用しても構わない。また、ハチ忌避香料成分の分子構造に光学異性体や幾何異性体が存在する場合は、それらも本発明に含まれる。
〔忌避効果持続成分〕
エアゾール原液には、ハチ忌避香料成分の忌避効果を持続させることを目的として、忌避効果持続成分を含有させることができる。忌避効果持続成分には、総炭素数が13〜20、好ましくは16〜20の高級脂肪酸エステル類が使用され、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、及びパルミチン酸イソプロピル等が挙げられる。これらのうち、ミリスチン酸イソプロピルが好ましく使用される。ミリスチン酸イソプロピルは、対象物への難揮散性ピレスロイド系殺虫成分及びハチ忌避香料成分の付着性を高める作用があり、特に、対象物へのハチ忌避香料成分の付着性が高まると、ハチ忌避香料成分がバランスよく長期に亘って大気中に揮散し続けるようになる。なお、上掲の忌避効果持続成分は、単独での使用に限定されず、二種以上を組み合わせて使用しても構わない。
〔有機溶剤〕
エアゾール原液には、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、ハチ忌避香料成分、及び必要に応じて使用される忌避効果持続成分を溶解可能な有機溶剤が含まれている。有機溶剤に上記各成分が溶解することで、ハチに対する殺虫作用と忌避作用とを兼ね備えたエアゾール原液が調製される。有機溶剤の特性は、エアゾール剤を噴射したときの噴霧粒子の形成に影響するため、適切な粘度に調整したものが使用される。有機溶剤の粘度は、20℃において10mPa・s未満が好ましく、5mPa・s未満がより好ましい。エアゾール原液の調製に使用可能な有機溶剤を例示すると、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶剤、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、ケトン系溶剤、及びエステル系溶剤等が挙げられる。これらのうち、対象物への付着性に優れているノルマルパラフィン、及びイソパラフィンが好ましく使用される。なお、上掲の有機溶剤は、単独での使用に限定されず、二種以上を組み合わせて使用しても構わない。
〔噴射剤〕
噴射剤は、エアゾール原液を粒子状にして勢いよく噴射させるため、常温常圧でガス状のものが使用される。また、噴射剤には、圧力容器内において、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、ハチ忌避香料成分、忌避効果持続成分、及び有機溶剤を変質させない安定性が求められる。そのような噴射剤を例示すると、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、及び圧縮空気等が挙げられる。これらのうち、容易に入手可能であり、且つ取扱い易いLPG、及び窒素ガスが好ましく使用される。なお、上掲の噴射剤は、単独での使用に限定されず、二種以上を組み合わせて使用しても構わない。
〔その他の成分〕
エアゾール原液は、水を配合して水性エアゾール剤に調製することも可能であり、この場合、必要に応じて界面活性剤が添加される。界面活性剤を例示すると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミドなどの非イオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン(POE)スチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼン硫酸塩などのアニオン系界面活性剤等が挙げられる。
また、エアゾール原液には、殺ダニ剤、防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、賦形剤等を適宜配合することも可能である。殺ダニ剤を例示すると、5−クロロ−2−トリフルオロメタンスルホンアミド安息香酸メチル、サリチル酸フェニル、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート等が挙げられる。防カビ剤、抗菌剤、及び殺菌剤を例示すると、ヒノキチオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、及びオルト−フェニルフェノール等が挙げられる。芳香剤を例示すると、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α−ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、及び「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられる。
また、エアゾール原液には、ハチ防除効果を損なわなければ、上述した難揮散性ピレスロイド系殺虫成分に加えて他の殺虫成分を配合することも可能である。それらを例示すると、エムペントリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、テラレスリン、アレスリン、プラレトリン、ピレトリン等の揮散性又は弱揮散性ピレスロイド系殺虫成分、ジノテフラン等のネオニコチノイド系殺虫成分、フェニトロチオン等の有機リン系殺虫成分、プロポクスル等のカーバメート系殺虫成分が挙げられる。また、ハチやハチの巣に直接噴霧して作用させるために、速効性の殺虫成分としてプラレトリン、イミプロトリン等を配合することも可能である。
〔エアゾール剤の配合〕
エアゾール剤に使用する上記の各成分は、ハチに対する殺虫効果及び忌避効果を同時に且つバランスよく発揮させるため、耐圧容器内において最適な配合となるように調製される。難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の配合量は、エアゾール原液(難揮散性ピレスロイド系殺虫成分、ハチ忌避香料成分、(必要に応じて)忌避効果持続成分、及び有機溶剤の混合物)中の含有量として、0.01〜3.0w/v%、好ましくは0.1〜1.0w/v%である。難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の配合量が0.01w/v%より少ない場合はハチの殺虫効果が十分に得られず、3.0w/v%より多くしても殺虫効果は殆ど変わらないため不経済となる。ハチ忌避香料成分の配合量は、エアゾール原液中の含有量として、0.01〜5.0w/v%、好ましくは0.1〜2.0w/v%である。ハチ忌避香料成分の配合量が0.01w/v%より少ない場合はハチの忌避効果が十分に得られず、5.0w/v%より多くすると相対的に難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の配合量が減少するため、ハチ忌避香料成分の効果が消滅したときに難揮散性ピレスロイド系殺虫成分による殺虫効果が十分に得られなくなる虞がある。忌避効果持続成分の配合量は、エアゾール原液中の含有量として、2.0〜50w/v%、好ましくは5.0〜30w/v%である。忌避効果持続成分の配合量が2.0w/v%より少ない場合は効果があまり得られず、50w/v%より多くしても忌避効果の持続時間のさらなる延長は望めないため不経済となる。なお、ハチ忌避香料成分の配合量(x)と忌避効果持続成分の配合量(y)との比率(x/y)は、好ましくは0.005〜0.5程度に調整され、より好ましくは0.01〜0.2程度に調整される。上記比率(x/y)の範囲にハチ忌避香料成分及び忌避効果持続成分の配合量を調整しておくと、ハチ忌避香料成分による忌避効果が速やかに実感でき、さらにその忌避効果を長期に亘って持続することが可能となる。有機溶剤の配合量は、エアゾール原液中の含有量として、50〜97w/v%、好ましくは60〜95w/v%である。有機溶剤の配合量が50w/v%より少ない場合は噴霧粒子が対象物に付着し難くなるため、殺虫効果及び忌避効果が長続きせず、97w/v%より多い場合は忌避効果持続成分が不足し、ハチ忌避香料成分の揮散が促進されるため、忌避効果の持続性が得られ難くなる。噴射剤は、エアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)が、40/60〜80/20となるように調整される。上記容量比率(a/b)が40/60より小さい場合は噴射剤が過剰となるため、耐圧容器中のエアゾール原液の相対的な封入量が少なくなって一本のハチ防除用エアゾールで対象物の全ての領域に噴霧処理を行うことができない場合がある。上記容量比率(a/b)が80/20より大きい場合は噴射剤が不足するため、対象物までエアゾール剤の噴霧粒子が届かない虞がある。なお、容量比率(a/b)が上記の適切な範囲に調整されている場合、耐圧容器内でのエアゾール剤の内圧は、0.25〜0.70MPa(25℃)となる。
〔エアゾール剤の三次元防除効果〕
上記のように調製したエアゾール剤を耐圧容器に封入して構成した本発明のハチ防除用エアゾールは、従来のエアゾールよりさらに進化した殺虫効果及び忌避効果を有するものとなる。図1は、本発明のハチ防除用エアゾール100を対象物(建造物B)に向けて噴射したときのエアゾール剤の噴霧粒子10の挙動を示したモデル図である。本発明のハチ防除用エアゾール100において特徴的な成分である難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1、及びハチ忌避香料成分2は、図1(a)に示すように、噴射前は有機溶剤3に溶解したエアゾール原液4として噴射剤5とともに耐圧容器6中に封入されている。使用者は、図1(a)に示すように、ハチ防除用エアゾール100を対象物である建造物Bに向けることで噴射の準備を行う(噴射準備工程)。なお、図示しないが、建造物Bの付近に既にハチAが飛来している場合は、ハチ防除用エアゾール100を直接ハチAに向けて噴射の準備を行っても構わない。次に、使用者は、図1(b)に示すように、ハチ防除用エアゾール100を建造物Bに向けてエアゾール剤を噴射する。この場合のハチ防除用エアゾール100の噴射力は、ハチ防除用エアゾール100の噴射口から20cm前方の位置において、25℃で25gf以上となるように設定することが好ましく、また、エアゾール剤の処理量は、対象物(建造物B)に付着するエアゾール原液が10〜250mL/mとなるように設定することが好ましい。エアゾール剤が噴射されると、その噴射直後においては、図1(b)中の拡大部に示すように、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1、及びハチ忌避香料成分2は、有機溶剤3と一体となって粒子状に大気中に放出され、有機溶剤3の液滴中に難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1、及びハチ忌避香料成分2が含まれた噴霧粒子10を形成する。噴霧粒子10のサイズは、25℃における体積積算10%粒子径として、20〜70μm、好ましくは30〜60μmに設定される。10%粒子径が20μm未満の場合は噴霧粒子10が飛散し易くなって建造物Bへの付着効率が悪化し、10%粒子径が70μmを超えると噴霧粒子10の到達距離が短くなる虞がある。やがて、噴霧粒子10は、図1(c)に示すように、駆除対象のハチA1や処理対象の建造物Bに付着する(噴射処理工程)。すると、噴霧粒子10に含まれる難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1は、揮散し難いため、時間がある程度経過してもハチA1や建造物Bに付着した状態を維持する。従って、図1(d)に示すように、建造物Bの周囲を飛来するハチA1に付着した難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1は、そのハチA1を速効的にノックダウン及び致死させる。また、建造物Bに付着した難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1については、その建造物Bの近辺から飛来してきた別のハチA2が偶然に付着箇所に止まった場合、そのハチA2は難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1に接触し、忌避又はノックダウンさせることができ、さらには死滅させることもできる。一方、噴霧粒子10に含まれるハチ忌避香料成分2は、香料独特の揮散性を有するため、噴霧粒子10が建造物Bに付着すると、徐々に周辺の大気中に揮散する。従って、建造物Bに付着した噴霧粒子10に含まれるハチ忌避香料成分2は、図1(e)に示すように、時間経過とともに揮散して建造物Bの周囲に漂い、離れた場所から巣を作ろうと伺っているハチA3を寄せ付けない忌避作用を発揮する。
このように、建造物Bに向けてハチ防除用エアゾール100を噴射し{図1(a)〜(b)}、エアゾール剤の噴霧粒子10を付着させると{図1(c)〜(d)}、揮散性ピレスロイド系殺虫成分1が付着している領域を中心として、その周囲に三次元的にハチ忌避香料成分2による忌避バリアCが形成され{図1(e)}、強力なハチ防除効果が発揮されることになる。忌避バリアCは、ハチ忌避香料成分2が揮散する期間に亘って形成され続けるが、噴霧粒子10が建造物Bに付着した後、噴霧粒子10からハチ忌避香料成分2が揮散する期間は、好ましくは難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1の有効期間の1〜30%に設定される。一般に、屋外での難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1の有効期間(使用期間)は、1〜3ヵ月程度に設定される。従って、ハチ忌避香料成分2が揮散する期間は、8時間〜30日程度に設定されることが好ましい。難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1の有効期間に対するハチ忌避香料成分2の揮散期間の割合は、両成分の組み合わせを工夫したり、両成分を溶解させる有機溶剤3の選択によって調整可能であるが、例えば、本発明で使用可能な難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1及びハチ忌避香料成分2を上述した好ましい配合量に調整すれば、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1の有効期間に対するハチ忌避香料成分2の揮散期間の割合は、概ね1〜30%の範囲となる。難揮散性ピレスロイド系殺虫成分1の有効期間、及びハチ忌避香料成分2の揮散期間が適切に設定されたハチ防除用エアゾール100は、その使用直後から建造物Bの周囲に忌避バリアCが形成されて忌避効果が発揮されるため、特に、ハチが営巣活動を開始する初期段階において、ハチを確実に防除することができる。従って、本発明のハチ防除用エアゾール100を使用すれば、ハチの接近や営巣活動が予防され、根本的なハチの防除が可能となる。
<ハチ防除用エアゾールの作製>
本発明のハチ防除用エアゾールの性能を確認するため、複数種のハチに対して防除効果確認試験を実施した。ハチ防除用エアゾールのエアゾール原液は、以下の配合により調製した。難揮散性ピレスロイド系殺虫成分として、シフルトリン1.3g(0.37w/v%)、及びd−T80−フタルスリン0.25g(0.071w/v%)、ハチ忌避香料成分として混合香料α0.8g(0.22w/v%)、忌避効果持続成分としてミリスチン酸イソプロピル20g(5.7w/v%)、残分(バランス)として有機溶剤であるノルマルパラフィン(ネオチオゾール)を混合し、エアゾール原液350mLを調製した。ハチ忌避香料成分の混合香料αは、複数種の香料成分からなる混合物であり、その配合量は以下の表1に示すとおりである。
Figure 0006420621
上記のように調製したエアゾール原液を噴射剤(主剤としてLPGガス150mL、内圧調整用として窒素ガス0.60MPaを含む)とともに耐圧容器に封入することにより、エアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)が70/30となる全量500mLのハチ防除用エアゾールを作製し、これを実施例1とした。実施例1のハチ防除用エアゾールの噴射力は、噴射口から20cm前方の位置において、25℃で46gfであり、エアゾール剤の噴霧粒子のサイズは、25℃における体積積算10%粒子径として41μmであった。
<ハチ防除用エアゾールの効果確認試験1>
対象物として一戸建て木質家屋の軒下(幅2m×奥行0.5m)に作られていたコガタスズメバチの初期段階の巣及びその周辺を狙って実施例1のハチ防除用エアゾールを噴射した。このときのエアゾール剤の処理量は、エアゾール原液として約200mLであった。従って、対象物における難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の付着量は約0.8g/m、ハチ忌避香料成分の付着量は約0.5g/m、忌避効果持続成分の付着量は約11.6g/mと夫々見積もられる。
実施例1のハチ防除用エアゾールを噴射すると、巣内及び巣の周辺に生息していたコガタスズメバチは直ちに死滅した。また、駆除を免れて逃亡したコガタスズメバチも巣に回帰することはなかった。このように、コガタスズメバチに対して実施例1のハチ防除用エアゾールを使用すると、コガタスズメバチは一定の忌避行動を示し、さらには、ノックダウン及び致死させることが可能となることが明らかとなった。そして、エアゾール剤で処理した巣及びその周辺では、2ヵ月以上にわたってコガタスズメバチによる新たな営巣活動は確認されなかった。
<ハチ防除用エアゾールの効果確認試験2>
本発明者らは、各種ハチの様々な行動について観察を行った。その結果、ハチに対してピレスロイド等の忌避・殺虫成分を付与すると、ハチは主に、(A)触角や腹部を脚で盛んに擦り、身づくろいする行動、(B)その場で10秒程度羽ばたき続ける行動、(C)飛翔しようとする行動、の3つのうちの何れかの行動パターンを示すことを新たに発見した。そこで、このようなハチの行動パターン(忌避行動)の観察を通して、本発明のハチ防除用エアゾールの効果をさらに詳細に検討すべく、以下に説明する効果確認試験2を実施した。
先ず、ガラス板に実施例1のハチ防除用エアゾールを噴射して当該ガラス板の一方のガラス面にエアゾール原液を塗布し、これを自然乾燥させた。ガラス面におけるエアゾール原液の塗布量は、50mL/mであった。次に、直径9cmのシャーレにフタモンアシナガバチを入れ、ガラス板のエアゾール原液の塗布面を下にしてシャーレの上に載置し、フタモンアシナガバチをシャーレとガラス板との間で挟み込むように封鎖した。この状態で1時間放置し、フタモンアシナガバチに対してエアゾール原液に含まれる難揮散性ピレスロイド系殺虫成分及びハチ忌避香料成分を強制的に暴露させた。暴露期間中において、フタモンアシナガバチの行動を観察し、その後、フタモンアシナガバチを清潔なプラスチック製カップに移し、24時間経過後のフタモンアシナガバチの致死率を求めた。また、比較のため、混合香料α0.8g、及びノルマルパラフィン(ネオチオゾール)残分を混合して350mLに調整したエアゾール原液(比較例1)、シフルトリン1.3g、d−T80−フタルスリン0.25g、ミリスチン酸イソプロピル20g、及びノルマルパラフィン(ネオチオゾール)残分を混合して350mLに調整したエアゾール原液(比較例2)、並びにノルマルパラフィン(ネオチオゾール)350mLからなるエアゾール原液(比較例3)を夫々使用してエアゾールを作製し、実施例1と同様の効果確認試験を実施した。実施例1及び比較例1〜3のエアゾールの配合を表1に示す。
Figure 0006420621
エアゾールの暴露期間中においてシャーレ内で観察されたフタモンアシナガバチの忌避行動、及び24時間経過後のフタモンアシナガバチの致死率を表3に示す。
Figure 0006420621
実施例1のハチ防除用エアゾールを使用した場合は、(A)、(B)、及び(C)のすべての行動パターンがはっきりと観察された。特に、(C)の行動パターンは、フタモンアシナガバチが最も嫌がっている行動であり、これは特に、ハチ防除用エアゾールに含まれるシフルトリンの残効性と、混合香料αによる忌避性とが効果を奏しているものと考えられる。また、24時間後のフタモンアシナガバチの致死率も100%であった。一方、比較例1のエアゾールを使用した場合は、(A)、及び(B)の行動パターンは観察されたが、(C)の行動パターンは僅かなものであった。そして、24時間後のフタモンアシナガバチの致死率は0%であり、フタモンアシナガバチを死滅させることはできなかった。比較例2のエアゾールを使用した場合は、(A)、及び(B)の行動パターンが僅かに観察されたものの、(C)の行動パターンは観察されなかった。ただし、比較例2は、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分が実施例1と同量含まれているため、24時間後のフタモンアシナガバチの致死率は100%であった。比較例3のエアゾールを使用した場合は、(A)、(B)、及び(C)の行動パターンは何れも観察されなかった。また、24時間後のフタモンアシナガバチの致死率は0%であり、フタモンアシナガバチを死滅させることはできなかった。
<ハチ防除用エアゾールの効果確認試験3>
ハチは、自身の巣の場所を認識しているため、仮に巣が除去されたとしても、元の巣が存在していた場所に戻ることができる。そして、その場所で再び営巣したり、その場所に留まったりする性質がある。このようなハチは「戻りバチ」と呼ばれ、巣が無くなったことから非常に興奮しており、攻撃性を増している場合がある。そこで、本発明者らは、本発明のハチ防除用エアゾールの即時的効果を確認するため、以下に説明する効果確認試験3を実施した。
複数形成されたフタモンアシナガバチの巣について、女王バチが巣から飛び去った後、あるいは巣に存在する働きバチが少なくなった時期を見計らって巣を除去し、巣が存在していた場所に実施例1のハチ防除用エアゾール、及び比較例1〜3のエアゾールを噴射し、エアゾール原液として100mL/m処理した。噴射処理してから1時間の間に、巣が存在していた場所に飛来してきたフタモンアシナガバチの数をカウントし、さらに、一週間後にハチが再び営巣を行うかを観察した。この効果確認試験3は、ハチの巣3ヵ所ずつについて実施した。
その結果、実施例1のハチ防除用エアゾールを使用した場合は、1時間以内の戻りバチは確認されず、一週間後の営巣も確認されなかった。比較例1のエアゾールを使用した場合は、1時間以内の戻りバチは3ヵ所中0ヵ所であったが、一週間後に元の巣に対して1ヵ所において営巣が確認された。比較例2のエアゾールを使用した場合は、1時間以内に2ヵ所で戻りバチが確認された。ただし、一週間後は何れにおいても営巣は確認されなかった。比較例3のエアゾールを使用した場合は、1時間以内に3ヵ所すべてに戻りバチが確認された。また、一週間後に元の巣に対して3ヵ所中2ヵ所での営巣が確認された。
このように、本発明のハチ防除用エアゾールは、ハチを速効的にノックダウン及び致死させるだけでなく、長期に亘ってハチの営巣活動を予防することに効果的であった。従って、本発明のハチ防除用エアゾールを適切な間隔で繰り返し使用すれば、ハチの接近及び営巣を防止するとともに、ハチを根本的に防除することが可能となる。
本発明のハチ防除用エアゾール、及びハチ防除方法は、住宅の玄関、軒下、ベランダ等にハチが接近することを予防するために利用されるものであるが、蚊類、ユスリカ類、コバエ類等の飛翔害虫や、ゴキブリ類、アリ類、ムカデ類、クモ類等の匍匐害虫を防除する用途においても適用可能である。
1 難揮散性ピレスロイド系殺虫成分
2 ハチ忌避香料成分
3 有機溶剤
4 エアゾール原液
5 噴射剤
6 耐圧容器
10 噴霧粒子
100 ハチ防除用エアゾール
A1〜A3 ハチ
B 建造物
C 忌避バリア

Claims (8)

  1. 対象物にハチが接近することを予防するハチ防除用エアゾールであって、
    耐圧容器に、難揮散性ピレスロイド系殺虫成分と、ハチ忌避香料成分と、有機溶剤と、噴射剤とを含有するエアゾール剤を封入して構成され、
    前記ハチ忌避香料成分は、置換基として炭素数が5〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を有するシクロペンタノン、シンナミックアルコール、並びにシンナミックアルデヒドからなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記対象物に向けて噴射された前記エアゾール剤の噴霧粒子が当該対象物に付着すると、当該噴霧粒子から前記ハチ忌避香料成分が前記対象物の周囲に揮散するように調製されているハチ防除用エアゾール。
  2. 前記難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の含有量は0.01〜3.0w/v%であり、前記ハチ忌避香料成分の含有量は0.01〜5.0w/v%である請求項1に記載のハチ防除用エアゾール。
  3. 前記エアゾール剤は、前記ハチ忌避香料成分の忌避効果を持続させる忌避効果持続成分をさらに含有する請求項1又は2に記載のハチ防除用エアゾール。
  4. 前記難揮散性ピレスロイド系殺虫成分は、シフルトリン、フタルスリン、フェノトリン、シフェノトリン、レスメトリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、及びエトフェンプロックスからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3の何れか一項に記載のハチ防除用エアゾール。
  5. 前記噴霧粒子が前記対象物に付着した後、当該噴霧粒子から前記ハチ忌避香料成分が揮散する期間が、前記難揮散性ピレスロイド系殺虫成分の有効期間の1〜30%となるように設定されている請求項1〜4の何れか一項に記載のハチ防除用エアゾール。
  6. 前記有機溶剤は、ノルマルパラフィン又はイソパラフィンである請求項1〜5の何れか一項に記載のハチ防除用エアゾール。
  7. 前記忌避効果持続成分は、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、及びパルミチン酸イソプロピルからなる群から選択される少なくとも一種である請求項3〜6の何れか一項に記載のハチ防除用エアゾール。
  8. 対象物にハチが接近することを予防するハチ防除方法であって、
    請求項1〜7の何れか一項に記載のハチ防除用エアゾールを対象物に向ける噴射準備工程と、
    前記ハチ防除用エアゾールからエアゾール剤を噴射し、前記対象物に前記エアゾール剤の噴霧粒子を付着させる噴射処理工程と、
    を包含するハチ防除方法。
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