以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。第1実施形態の電池パックは、複数の単電池21と電気部品82とを冷却可能な装置である。電池パックは、複数の単電池21を搭載する各種の電気機器に適用することができる。各種の電気機器は、例えば、蓄電池を有する装置、コンピュータ、車両等である。第1実施形態では、その一例として、電池パックを、内燃機関と電池駆動のモータとを組み合わせて走行駆動源とするハイブリッド自動車、電池駆動のモータによって走行する電気自動車等の車両に用いる場合について説明する。電池パックは、走行用モータの駆動電源となる電池と電池の制御に関わる電気部品とを冷却できる。
電池パック1は、複数の単電池21の電池集合体である電池積層体2と、熱伝導板22や放熱用のフィン221に接触する空気が流れる電池用通路60と、空気送風用の送風装置4と、ジャンクションボックス8と、を備える。さらに電池パック1は、パックケース10、積層体ケース30、エンドプレート50、部品ケース80等を外郭を形成する部品として備える。電池積層体2、積層体ケース30、エンドプレート50、電池用通路60等は、パックケース10によって覆われている。電池パック1は、例えば、自動車の座席下、後部座席とトランクルームとの間の空間、運転席と助手席の間の空間等に配置される。
パックケース10は、底壁11、天壁12、側壁13、側壁14等を備える直方体状である。底壁11と天壁12は、間隔をあけて上下方向に対向する壁であり、間隔をあけて横方向に交差する側壁13及び側壁14を介して連結されている。パックケース10は、底壁11、天壁12、側壁13、側壁14によって囲まれた内部空間に、電池積層体2、積層体ケース30、送風装置4、エンドプレート50を収容する筐体である。底壁11及び天壁12のそれぞれには、底壁11、天壁12、側壁13、及び側壁14を一体に固定するためのシャフト15が貫通する貫通孔16が形成されている。
電池積層体2は、複数の単電池21、熱伝導板22を備える。単電池21は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池、有機ラジカル電池等の二次電池である。単電池21は、例えば、外装ケースが薄い平板状の形態をなし、外装ケースはラミネートシートで形成されている。ラミネートシートは、絶縁性の高い素材で構成されている。単電池21は、例えば、二つ折りにされたラミネートシートの端部同士を熱融着することにより当該端部同士を封止して密閉された扁平状容器の内部空間を有する。この内部空間には、電極積層体、電解質、端子接続部、正極端子部の一部、及び負極端子部の一部を含む電池本体部が内蔵されている。したがって、複数の単電池21は、扁平状容器の周縁部が封止されることにより、扁平状容器の内部に、電池本体部が密封状態で収容されている。各単電池21は、扁平状容器から外方へ引き出された一対の電極端子23を有する。一対の電極端子23は、正極端子231及び負極端子232を有する。正極端子231及び負極端子232は、扁平状容器において、単電池21の積層方向と直交する方向の端部に位置する一端面から突出している。例えば、正極端子231は、アルミニウム製の端子であり、負極端子232は銅製の端子である。積層方向は、上下方向でもある。
図6に示すように、複数の単電池21は、上下の単電池21の間に熱伝導板22を挟んで積層方向に積層されている。積層方向において隣り合う単電池21同士で、一組の正極端子231と負極端子232とが積層方向に並ぶように配置されている。つまり、積層方向において隣り合う単電池21のうち一方の正極端子231と他方の負極端子232とが向き合う。この場合、隣り合う単電池21同士において、一方の正極端子231と他方の負極端子232とをバスバ等で接続することにより、積層方向に並ぶ複数の単電池21が直列接続されることになる。例えば、隣り合う単電池21の間には、両面接着タイプの接着テープが介在しており、この接着テープによる接着により、隣り合う単電池21が一体に結合している。
互いに電気的に接続される正極端子231と負極端子232は、互いに近づくように折り曲げられることで重ね合わされ、重なっている部分で互いに接合されている。接合方法は、例えば、ねじ締めによる連結、超音波溶接による接合である。
熱伝導板22は、アルミニウムなどの熱伝導率の良い材料で構成される板状の部材であり、電池積層体2への通電により発生した熱を電池用通路60を流れる冷却用流体へ伝達させる役割を担う。図6に示すように、熱伝導板22は、横方向に、単電池21の外形よりも突出している。熱伝導板22の端部は、電池用通路60の一部を構成する直線通路63に露出するように突出する。熱伝導板22は、電池用通路60よりも下流の出口通路64には存在しない。熱伝導板22は、積層方向及び電極端子23の突出方向(奥行き方向)の双方に直交する方向に単電池21よりも突出する。電池パック1の奥行き方向は、電池用通路60を流れる冷却用流体が流下する流下方向であり、電池パック1の長手方向でもある。
熱伝導板22の端部には、熱交換面積、すなわち冷却用流体と接触しうる表面積を増大させるフィン221が複数個設けられている。フィン221は、熱伝導板22において電池用通路60に突出している部分に設けられている。フィン221は、例えば、コルゲートフィンや切り起こしフィンを採用することができる。第1実施形態では、5つのフィン221で一つのフィン群を構成しており、1枚の熱伝導板22に8群設けられている。各フィン群の間隔は均等である。冷却用流体は、電池用通路60を流下する過程で、フィン221と接触することでフィン221から吸熱して各単電池21を冷却する。
積層体ケース30は、図5及び図6に示すように、中空の樹脂部材であるケースブロック31を積層方向に複数個積層して構成される。複数のケースブロック31が積層方向に積層されることで、各ケースブロック31の中空部分が積層されて形成される内部空間に電池積層体2が配置される。各ケースブロック31の厚みは、単電池21の1個の積層方向の厚みよりもわずかに小さい。これは、熱伝導板22を、電池積層体2が配置される内部空間から電池用通路60まで貫通させるためのスペースを確保するためである。
フィン221は、電池積層体2が収容される積層体ケース30の内部空間とは絶縁されるが、電池積層体2とは熱伝導板22を介して熱的に接続されている。フィン221は、積層体ケース30の内部空間とは遮断された電池用通路60に存在し、電池積層体2の発熱が伝達する放熱部を構成する。
ケースブロック31は、図5に示すように、中空部分を4方向から覆うように連続的に形成されたブロック側壁311と、ブロック側壁311の4隅に、積層方向と直交する外方に突出するように形成された突出部312と、を備える。
それぞれの突出部312には、積層方向に貫通する貫通孔313が形成されている。貫通孔313には、例えば、雄ねじ部が形成された棒状の固定部材314が挿通され、固定部材314がナット締めされることで、複数のケースブロック31は一体的に拘束される。さらに、エンドプレート50のプレートリブ部52に形成された貫通孔521にも固定部材314が挿通され、エンドプレート50と複数のケースブロック31が一体的に拘束される。また、ブロック側壁311と突出部312は一体的に形成されている。
エンドプレート50は、積層方向において、積層された複数の単電池21の両端に配置された金属製の板状部材である。また、積層方向からみたときに、エンドプレート50の外形は、複数の単電池21の投影面積より大きい。エンドプレート50は、プレート本体部51及びプレートリブ部52を備える。プレート本体部51は、積層方向にみたときに、複数の単電池21の投影面と重なる領域に配置された部分である。すなわち、この投影面は、積層方向にみたときに、ケースブロック31の中空部分と重なる大きさである。
プレートリブ部52は、プレート本体部51から積層方向に直交する方向に突出する部分である。プレートリブ部52は、プレート本体部51の4隅から突出するように形成されている。プレートリブ部52は、プレート本体部51の一辺から2つ突出し、奥行き方向の反対側に位置する一辺から2つ突出している。積層された複数の単電池21を積層方向に覆うように配設した状態において、プレートリブ部52は突出部312に対向するように配置される。また、プレートリブ部52には、積層方向に貫通する貫通孔521が形成されている。積層された複数の単電池21を積層方向の外側から覆うように配設した状態において、貫通孔313と貫通孔521は積層方向に対向するように設けられている。
プレート本体部51は、積層された単電池21のうち積層方向において最も外側にある単電池21を積層方向に押圧して、電池積層体2を圧縮するように拘束する役割を担う。押圧力は、固定部材314によって与えられる。固定部材314は、貫通孔313及び貫通孔521に挿通されてエンドプレート50と複数のケースブロック31とを一体化する機能を有する。また、固定部材314は、積層方向の両側からナット等で締め付けられることにより、エンドプレート50を介して電池積層体2及び積層体ケース30に対して、積層方向に押圧力を加える。この押圧力により、プレート本体部51は複数の単電池21に対して押圧力を加えることになる。
固定部材314の軸方向の寸法とは、ナットで締めた状態でプレート本体部51が複数の単電池21に押圧力を加えることが可能な長さに設定される。また、固定部材314には、シャフトをナット締めする形態のほか、拘束バンドによって拘束するなどの形態を採用することができる。
また、積層された複数の単電池21のうち積層方向において最も外側に位置する単電池21とエンドプレート50とは接着プレートによって密着している。エンドプレート50は、重ね合された2枚の板材によって複数の単電池21を押圧している。これは、エンドプレート50の剛性を確保するためである。
送風装置4は、パックケース10の内部に収容された電池積層体2を冷却する流体を、パックケース10の内部に形成された電池用通路60に循環させる流体駆動装置の一例である。冷却用流体としては、例えば、空気、各種のガス、水、冷媒を用いることができる。
図5に示すように、送風装置4は、モータ41と、モータ41により回転駆動される遠心ファン42、遠心ファン42を内蔵するケーシング43とを備える。ケーシング43は、電池用通路60に通じる吸入口431及び吐出口432を備える。送風装置4は、電池パック1において奥行き側の端部であって、電極端子23が突出する側とは反対側で電池積層体2に対向するように設けられている。
遠心ファン42、モータ41及び吸入口431は、横方向について電池パック1の中央に設けられている。各吐出口432は、遠心ファン42の遠心方向であって、遠心ファン42よりも外側に設けられ、電池用通路60に接続される。また、吐出口432は、横方向について遠心ファン42の両側にそれぞれ設けられている。
吸入口431は、ケーシング43の吸込み口を構成し、遠心ファン42の回転軸方向に延びる通路である。また、吸入口431は、遠心ファン42によってパックケース10の外部から吸い込まれた流体がパックケース10の内部において初めに通過する通路である。したがって、遠心ファン42の吸引力により、吸入口431から回転軸方向に吸い込まれた流体は、遠心方向に向きを変えて、吐出口432から電池用通路60へ流出する。
吐出口432を構成するケーシング43の壁面は、電池用通路60を構成する壁面であるケースブロック31の外壁面及びパックケース10の内壁面に接続されている。この構成により、冷却用流体は吐出口432から電池用通路60へスムーズに流れるように構成されている。
モータ41は、ケースブロック31において横方向に並ぶ二つの突出部312間に形成され、積層方向にみて凹部状をなす凹部状空間に設けられている。モータ41は、凹状部空間に収まっており、遠心ファン42の一部は凹部状空間の外側に設けられている。また、プレートリブ部52とモータ41は、横方向について、一直線上に配置されている。また、遠心ファン42には、シロッコファンの他、ターボファン等を用いることができる。
電池用通路60は、電池パック1の内部において、複数の単電池21を冷却するための流体が通過する通路である。電池用通路60は、積層されたケースブロック31とパックケース10との間に形成された空間である。各単電池21において発生した熱は、遠心ファン42の両側に接続される二つの電池用通路60のそれぞれに突出する熱伝導板22の端部に伝達し、熱伝導板22に冷却用流体が接触することにより、冷却用流体は熱伝導板22から熱を奪う。
図5に図示するように、電池用通路60は、湾曲通路62、直線通路63及び出口通路64を備える。湾曲通路62は、吐出口432の下流側に位置して吐出口432に接続される通路であり、ケースブロック31の突出部312に隣接する通路である。湾曲通路62は、上流で吐出口432に接続し、下流で直線通路63に接続する外側に向けて膨らむカーブを描く通路である。湾曲通路62は、吐出口432から吐出した冷却用流体がスムーズに直線通路63へ流れるように、積層方向に見たときに通路の軸心がなめらかな曲線形状をなしている。
直線通路63は、ケースブロック31のブロック側壁311に隣接する領域である。直線通路63は、電池積層体2に沿って奥行き方向に延びる通路であり、パックケース10の側壁13や側壁14とブロック側壁311との間に形成される通路である。したがって、側壁13、ブロック側壁311、天壁12及び底壁11は、電池用通路60を形成するダクト部を構成する。このように、直線通路63、電極端子23が配置される各領域は、冷却用流体が電極端子23と接触しないように隔絶されている。これにより、冷却用流体による電極端子23の腐食等を防止することができる。フィン221は、直線通路63における上流端から下流端にわたって万遍なく配置されている。遠心ファン42の両側それぞれに湾曲通路62が接続されるため、直線通路63は、電池パック1の横方向の両端において、電池積層体2の両側のそれぞれに設けられている。
出口通路64は、直線通路63の下流側に接続される通路であり、外部に露出する開放された通路である。したがって、冷却用流体は、ダクト部内の直線通路63から流出して出口通路64に至った際には電池パック1の外部の雰囲気と混合する。パックケース10には奥行き方向に向けて開口する流体出口61が形成されている。流体出口61は、電池パック1の内部を流れる冷却用流体をパックケース10の外部に排出するためのダクト部における流出口部であり、流体出口61よりも下流は、出口通路64を構成する。
出口通路64は、ダクト部を流出した冷却用流体が流れる通路であるため、ジャンクションボックス8の外郭である部品ケース80に沿うように延びる通路である。したがって、出口通路64は、直線通路63を流体流下方向に延長した通路である。
部品ケース80の内部には、作動状態に応じて発熱する電気部品82が設置されている。部品ケース80は、電気部品容器を構成する。電気部品82の熱は、部品ケース80に伝わり部品ケース80の表面から外部に放熱される。部品ケース80は、箱体形状である電池パック1において、流体流下方向(奥行き方向)の端部の外郭を形成する部分である。したがって、部品ケース80は、横方向両側の端面のそれぞれに位置する上流側表面800と、各上流側表面800に隣接しかつ交差する下流側表面801と、を放熱用表面として備える。
上流側表面800は、部品ケース80の一表面であって流体出口61の直後に位置し、電池パック1の外部の雰囲気に露出するとともに、直線通路63に平行に延びる放熱用表面を構成する。図1及び図2に図示するように、冷却用流体が強制的に流れていない場合には、部品ケース80内の熱は、上流側表面800に伝わった後、上流側表面800において上方に伝わり、自然対流作用によって上流側表面800の上部から外部に放出される。この場合、自然対流作用によって促される放熱は、各上流側表面800だけでなく、電池パック1の奥行き側の端部において外部に露出する下流側表面801においても行われる。
一方、冷却用流体が強制的に流れている場合には、冷却用流体が各上流側表面800に接触するため、各上流側表面800から熱を奪うようになる。つまり、冷却用流体の強制流がある場合には、強制対流作用によって二つの上流側表面800から放熱が促進され、自然対流作用によって下流側表面801から放熱が行われるため、単電池21を冷却するとともに、電気部品82を冷却することができる。
このように電池パック1は、冷却風がない場合には、二つの上流側表面800及び下流側表面801の三つの表面から自然対流による放熱が行われる。また、冷却風がある場合には、二つの上流側表面800で強制対流による放熱が行われ、下流側表面801で自然対流による放熱が行われる。したがって、電池パック1は、送風装置4の停止、運転の状態に関わらず、電気部品82の熱を外部に放出することを実現する。
図7に図示するように、電気部品82は、部品ケース80の内部において、上下方向の中央よりも下方に位置するように設置されていることが好ましい。つまり、電気部品82は、部品ケース80の内部において下部に設置されることが好ましい。この高さ位置によれば、電気部品82の熱が、部品ケース80の壁、例えば上流側表面800、下流側表面801を伝って移動する場合に、熱移動距離を長く設定することが可能である。さらに、この電気部品82の高さ位置によれば、放熱経路として使用できる壁の表面積を大きくすることができ、放熱効果を高めることに貢献できる。
ジャンクションボックス8は、電池積層体2と電気的に接続されて電流制御に関わる電気部品82を部品ケース80の内部に有する。電気部品82には、電気部品82及び電池積層体2に関する結線図である図3に図示する、各種のリレー装置、プリチャージ抵抗823、ヒューズ85等が含まれる。
図5に図示するように、ジャンクションボックス8を形成する部品ケース80内に収容される部品は、回路基板81、電気部品82、伝熱部材83である。電気部品82は、回路基板81に実装されている。回路基板81は、部品ケース80を形成する壁にねじ締め構造等によって固定されている。回路基板81と部品ケース80の壁との間には、伝熱部材83が介在し、伝熱部材83は、回路基板81と部品ケース80の壁とで挟持されて両方の表面に密着している。部品ケース80は、例えば、アルミニウム、銅、もしくはその合金等の熱伝導性に優れた金属その他の素材で形成されている。伝熱部材83は、熱伝導性を有するシリコン系ゴム、グリース、樹脂やセラミックス等を使用することができる。また、伝熱部材83は、蒸着、コーティング、一体成形等によって形成することができる。
したがって、電気部品82の熱は、回路基板81、伝熱部材83、部品ケース80を介して、部品ケース80の上流側表面800に伝達するようになっている。回路基板81に実装される電気部品82は、例えば、リレー装置、コンバータ装置、インバータ装置、抵抗器、パワー素子等である。
リレー装置は、複数の単電池21に関する電流の流れを制御する装置であり、機械式(接点式)のリレー装置、出力部を半導体で構成する半導体リレーを採用することができる。ジャンクションボックス8の内部には、リレー装置である、正極側のメインリレー、負極側のメインリレー、及びプリチャージリレーの少なくとも一つが収容される。第1実施形態では、部品ケース80に収容されるリレー装置は、正極側のメインリレー820、負極側のメインリレー821、プリチャージリレー822である。
複数の単電池21に電気的に繋がる機器は、メインリレー820、メインリレー821、プリチャージリレー822、プリチャージ抵抗823、ヒューズ85、電流センサ86である。さらに複数の単電池21には、正極側の入力端子870、正極側の出力端子871、負極側の入力端子872、負極側の出力端子873が電気的に接続される。出力端子871は、電池積層体2の正極側に位置し、例えばインバータ装置に接続される。出力端子873は、電池積層体2の負極側に位置し、例えばインバータ装置に接続される。入力端子870は、電池積層体2の正極側とジャンクションボックス8とを接続する接続端子である。入力端子872は、電池積層体20の負極側とジャンクションボックス8とを接続する接続端子である。
また、高電圧仕様の電池パック1の場合、複数の単電池21において、所定の接続端子間、すなわち、所定の2つの単電池21の間を連結するサービスプラグを設置するようにしてもよい。このサービスプラグは、所定の接続端子間を連結するように装着され、サービスプラグの両側に位置する単電池21間を非導通状態及び導通状態にできる抜き取り式のプラグである。例えば、サービスプラグは、メンテナンス時に操作される非通電用のスイッチであり、プラグを抜けば電流が流れない非導通状態を外部から目視でき、電池積層体2の通電を強制的に切断することができる。
メインリレー820は、電池積層体2における正極側にバスバを介して接続されるとともに、反対側で出力端子871にバスバを介して接続されている。電池積層体2の正極側の総端子(入力端子870)とメインリレー820との間には、バスバを介して接続されたヒューズ85、電流センサ86が設けられている。電流センサ86は、バスバが電流センサ86の検出用のコア部を貫通可能な箇所に配置される。
プリチャージリレー822とプリチャージ抵抗823は、バスバを介して直列に接続されている。プリチャージリレー822及びプリチャージ抵抗823は、メインリレー821と並列に接続されている。メインリレー821及びプリチャージリレー822の共通結線部分は、電池積層体2における負極側の総端子(入力端子872)にバスバを介して接続されている。メインリレー821及びプリチャージ抵抗823の共通結線部分は、バスバを介して接続されている。このように、各種部品は、バスバによって他の部品と電気的に接続されている。これらのメインリレーは、オンしたときに電池積層体2全体が通電状態になり、オフしたときに電池積層体2の全体が非通電状態になる。
メインリレー820、821、プリチャージリレー822、プリチャージ抵抗823、ヒューズ85及び電流センサ86は、ジャンクションボックス8を形成する部品ケース80の内部に設けられている。電池管理ユニット7(Battery Management Unit)は少なくとも電池積層体2の蓄電量を管理する機器であり、電池積層体2に係る制御を行う電池制御ユニットの一例である。
また、電池管理ユニット7は、電池積層体2に関する電流、電圧、温度を監視するとともに、電池積層体2の異常、漏電異常等を管理する機器であってもよい。電池管理ユニット7は、車両に搭載された各種の電子制御装置と通信可能に構成されている。電池管理ユニット7には、電流センサ86によって検出された電流値に係る信号が入力される。また、電池管理ユニット7は、メインリレー820、821、及びプリチャージリレー822の作動を制御する制御装置であってもよい。また、電池管理ユニット7は、送風装置4のモータの作動を制御する機器として機能することができる。
単電池21は、例えば、放電して電流が取り出される出力時及び充電される入力時に自己発熱する。電池管理ユニット7は、単電池21の温度を常時モニターし、単電池21の温度に基づいて送風装置4の運転を制御する。例えば、電池管理ユニット7は、送風装置4のモータに、最大電圧に対して0%〜100%に含まれる任意の値のデューティ比に制御した電圧を印加して、各ファンの回転数を可変させる。電池パック1では、このデューティ制御によってファンの回転数を変化させることにより、送風装置4による風量を多段階または無段階的に調節することができる。
次に、冷却用流体の流れについて説明する。モータ41により回転駆動する遠心ファン42によって、パックケース10の外部から吸入口431を介して流体が奥行き方向に電池パック1内に導入される。流体は遠心ファン42によって、自身の流れ方向を遠心方向(横方向)に変え、さらに各吐出口432から、電池積層体2の両側に位置する電池用通路60のそれぞれに流入する。
吐出口432から吐出された流体は湾曲通路62を流れる過程で、横方向に流れはじめ、さらに奥行き方向に向きを変える。湾曲通路62を流れた流体は、次に直線通路63を奥行き方向に流下する。この過程で、熱伝導板22に形成されたフィン221と流体が接触することで各単電池21から発生した熱が放熱される。フィン221に接触しながら流下した流体は、出口通路64に流出し、部品ケース80の上流側表面800に接触しながらさらに流下する。この一連の流れが繰り返されることで、各単電池21の熱と電気部品82の熱とはパックケース10の外部へ放熱される。電池パック1内において、直線通路63が上流側、出口通路64が下流側となる。つまり、流体は、先に電池本体部24と熱交換を行い、そのあとで部品ケース80と熱交換を行う。
次に、第1実施形態によって得られる効果について説明する。電池パック1は、電池積層体2と、電池積層体2に接触するように冷却用流体が流れ、または電池積層体2の熱が熱移動する部材に接触する冷却用流体が流れるように形成される電池用通路60と、電池用通路60を形成するダクト部と、を備える。電池パック1は、さらに冷却用流体を駆動して電池用通路60に流通させる送風装置4と、電池積層体2における充電時または放電時に作動する電気部品82を収容する部品ケース80と、を備える。部品ケース80は、外部の雰囲気に露出する放熱用表面を有し、部品ケース80は、送風装置4によって駆動されてダクト部から流出した冷却用流体が放熱用表面に接触するように設けられる。
この構成によれば、送風装置4により駆動される冷却用流体によって、電池積層体2を冷却した後に、さらにジャンクションボックス8内の電気部品82を冷却することができる。部品ケース80は外部の雰囲気に露出する放熱用表面を有するため、冷却用流体がダクト部から流出しないときでも、放熱用表面からの放熱を自然対流によって外部に排出できる。一方、冷却用流体がダクト部から流出するときには、冷却用流体は電池用通路60を流通する際に電池積層体2を冷却した後、放熱用表面に接触するため、放熱用表面からの放熱を強制対流によって外部に排出できる。
このように、電気部品82からの発熱は、送風装置4の停止時には自然対流作用によって排出され、送風装置4の動作時には強制対流作用によって排出される。したがって、送風装置4の運転状態にかかわらず、電気部品82の発熱を外部に排出でき、送風装置4の停止時であっても電気部品82の熱が内部にこもることを回避できる。以上より、電池パック1によれば、強制的な冷却流が発生しない状況でも、電気部品82からの発熱を外部に放出できるので、電池積層体2及び電気部品82の冷却性能向上できるとともに、送風装置4の運転時間を抑制できる。
電池パック1によれば、冷却用流体は、電池冷却後に、電気部品82を冷却するため、電池よりも温度が高く発熱しやすい電気部品82から先に吸熱して温度上昇することがなく、電池積層体2を冷却する能力が不足してしまうという事態を回避することができる。したがって、電池積層体2と電気部品82とをバランスよく冷却することができる。
また、電池パック1がもたらす冷却性能向上によって電気部品82が小型化すると、電気部品82の方が単電池21よりも冷却を必要とする頻度が多くなる場合がある。このような電池パック1においても、強制対流による冷却作用と自然対流による冷却作用とを組み合わせることにより、冷却性能を確保しつつ、消費エネルギを抑制することができる。
電気部品82に含まれるリレー装置には、電池積層体2の正極側リレーであるメインリレー820、下流側通路形成部の負極側リレーであるメインリレー821、及びプリチャージ用のプリチャージリレー822の少なくとも一つが含まれる。これによれば、電池制御において駆動頻度が高く、発熱量が大きいリレー装置について、冷却性能の確保と消費エネルギ抑制との両方を満たせる電池パック1を提供できる。さらに当該リレー装置には、正極側リレーであるメインリレー820、負極側リレーであるメインリレー821、及びプリチャージリレー822のすべてが含まれることが好ましい。
また、リレー装置として半導体リレーを用いた場合には、電気部品82の方が単電池21よりも冷却を必要とする頻度が多くなる場合がある。このような電池パック1においても、強制対流による冷却作用と自然対流による冷却作用とをバランスよく組み合わせることにより、冷却性能の確保と消費エネルギの抑制との両立を図ることができる。
また、電池積層体2とジャンクションボックス8は、電池用通路60及び出口通路64の間において、冷却用流体の流下方向(奥行き方向)に並んで設けられる。この構成によれば、流下方向に対して直交する高さ方向や積層方向について電池パック1の大きさを抑えることができるので、高さ方向の占有スペースを抑制でき、高さ制限のある搭載条件に対応可能な電池パック1を提供できる。
電池パック1は、電池積層体2に蓄電された電力を走行駆動動力として用いる車両に搭載されることが好ましい。このような車両においては、加速時、減速時等で電気部品82が発熱しやすい状況になる。このため、電池パック1によれば、車両の走行能力の長寿命化に寄与する電気部品82を提供できる。
放熱用表面の一つである上流側表面800は、ダクト部における冷却用流体の流体出口61の直後に位置し、流体出口61を通過する冷却用流体の流出方向に沿うように延びる面である。これによれば、流体出口61から出口通路64に流出した冷却用流体は、上流側表面800に接触しながらスムーズに流下する。このような流れが形成できるため、流体との接触度合いを高めつつ流体との流れ抵抗を小さくすることができ、上流側表面800における放熱性能を向上することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態の電池パック1の他の形態である電池パック101について図8及び図9を参照して説明する。図8、図9において、第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、第1実施形態と相違する内容について説明する。
電池パック101は、第1実施形態の電池パック1に対して、部品ケース80の表面に、放熱を促進できるヒートシンクを備える点が相違する。電池パック101は、図8及び図9に図示するように、ヒートシンクの一例として、上流側表面800から突出する突出片部9を複数備える。
板状の突出片部9は、上流側表面800から垂直な方向(横方向)及び流下方向(奥行き方向)に延びる形状の板材で構成される放熱フィンである。突出片部9は、その両側面、すなわち上面及び下面が流下方向に沿う形状である。複数の突出片部9は、上下方向(積層方向)に間隔をあけて並んでいる。複数の突出片部9は、上流側表面800において、上下方向及び流下方向の長さのほぼ全体にわたって設けられる。したがって、流体出口61から出口通路64に流出した冷却用流体は、各突出片部9の両側面に接触しながら流下方向に流下する。このような姿勢で複数の突出片部9が設けられているため、流体との接触度合いを高めつつ流体との流れ抵抗を小さくすることができ、上流側表面800における放熱性能を向上することができる。すなわち、複数の突出片部9は、強制対流による放熱時と自然対流による放熱時の両方において、上流側表面800における放熱量を増大することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、第2実施形態の電池パック101の他の形態である電池パック201について図10及び図11を参照して説明する。図10、図11において、第1実施形態及び第2実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、前述の実施形態と相違する内容について説明する。
電池パック201は、第2実施形態の電池パック101に対して、ヒートシンクの形状が相違する。電池パック201は、図10及び図11に図示するように、ヒートシンクの一例として、上流側表面800から突出する突出片部109を複数備える。
板状の突出片部109は、上流側表面800から斜め上方及び流下方向に延びる形状の板材で構成される放熱フィンである。すなわち、突出片部109は、根元側の一端109aが先端側の他端109bよりも下方に位置して傾斜した形状である。したがって、突出片部109は、先端に向かうほど上方に位置するように上流側表面800から突出する。
突出片部109は、その両側面、すなわち上面及び下面が流下方向に沿う形状でもある。複数の突出片部109は、上下方向(積層方向)に間隔をあけて並んでいる。複数の突出片部109は、上流側表面800において、上下方向及び流下方向の長さのほぼ全体にわたって設けられる。したがって、流体出口61から出口通路64に流出した冷却用流体は、各突出片部109の両側面に接触しながら流下方向に流下する。このような姿勢で複数の突出片部109が設けられているため、流体との接触度合いを高めつつ流体との流れ抵抗を小さくすることができる。さらに、上流側表面800から各突出片部109に伝わった熱は、周囲の雰囲気よりも温度が高いため、上方に移動しやすい。各突出片部109は、上流側表面800から斜め上方に突出するため、先端側に熱移動しやすく、先端部での放熱性の高いヒートシンクを提供できる。したがって、複数の突出片部109は、強制対流による放熱時と自然対流による放熱時の両方において、上流側表面800における放熱量を向上することができる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、第2実施形態の電池パック101の他の形態である電池パック301について図12及び図13を参照して説明する。図12、図13において、第1実施形態及び第2実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、第1実施形態及び第2実施形態と相違する内容について説明する。
電池パック301は、第2実施形態の電池パック101に対して、ヒートシンクの形状が相違する。上流側表面800から突出する複数の突出片部209のそれぞれは、冷却用流体の流下方向(奥行き方向)について、一端が他端よりも上方に位置して傾斜した板状の突出片部である。複数の突出片部209は、上下方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出片部209aと、上下方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出片部209bと、を備えて構成される。上下に列をなす複数の突出片部209aと上下に列をなす複数の突出片部209bとは、流下方向に間隔をあけて交互に設けられる。
突出片部209aは、流下方向について、下流側に位置する下流端209a1が上流側に位置する上流端209a2よりも上方に位置して傾斜した板状の突出片部である。したがって、突出片部209aは、下流に向かうほど上方に位置するように上流側表面800から突出する。突出片部209bは、流下方向について、上流側に位置する上流端209b1が下流側に位置する下流端209b2よりも上方に位置して傾斜した板状の突出片部である。したがって、突出片部209bは、上流に向かうほど上方に位置するように上流側表面800から突出する。
複数の突出片部209は、上流側表面800において、上下方向及び流下方向の長さのほぼ全体にわたって設けられる。したがって、流体出口61から出口通路64に流出した冷却用流体は、まず突出片部209aと突出片部209aとの間を斜め上方に流下して突出片部209aの両側面に接触しながら進む。次に流体は、突出片部209bと突出片部209bとの間に流れて斜め下方に流下して突出片部209bの両側面に接触しながら進む。さらに流体は、突出片部209aと突出片部209aとの間に流れて斜め上方に流下して突出片部209aの両側面に接触しながら進む。
このような姿勢で複数の突出片部209が設けられているため、流体は蛇行しながら各突出片部209との接触度合いを高めつつ、流れ抵抗を小さくして流下できる。さらに、上流側表面800から各突出片部209に伝わった熱は、周囲の雰囲気よりも温度が高いため、上方に移動しやすい。各突出片部209においては、上方に位置する側の端部に熱移動しやすく、上方の先端部での放熱性が高いヒートシンクを提供できる。したがって、複数の突出片部209は、強制対流による放熱時と自然対流による放熱時の両方において、上流側表面800における放熱量を向上することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、第4実施形態の電池パック301の他の形態である電池パック401について図14〜図16を参照して説明する。図14〜図16において、前述の実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、第4実施形態等と相違する内容について説明する。
電池パック401は、第4実施形態の電池パック301に対して、ヒートシンクの位置が相違する。電池パック401は、上流側表面800に加えて、下流側表面801にもヒートシンクを有する。電池パック401における部品ケース80は、ヒートシンクを有する放熱用表面として、隣接しかつ互いに交差する二つの面である二つの上流側表面800と下流側表面801とを備える。ヒートシンクである突出片部209は上流側表面800から外方に突出する第1の突出片部を構成し、突出片部309は下流側表面801から外方に突出する第2の突出片部を構成する。
さらに電池パック1は、上流側表面800に沿って流れる冷却用流体が、さらに下流側表面801に流れるように流れの向きを変更する案内部材90を備える。案内部材90は、上流側表面800と下流側表面801とで形成される角部から間隔をあけて外方に設けられる。案内部材90は、下流側表面801の横方向の両端部にそれぞれ設けられる。各案内部材90は、断面L字状の壁であり、上流側表面800及び下流側表面801の上下方向の長さのほぼ全体にわたって設けられる。また、各案内部材90は、冷却用流体が流れる内壁面に湾曲面が形成されてスムーズに流体を案内する形状を構成するものでもよい。
また、各案内部材90は、車両側の部材として設置された車両側案内部材190に置き換えることができる。したがって、上流側表面800に接触して流れる冷却用流体は、車両側案内部材190によって流れの向きが変更されて、さらに下流側表面801に流れるようになる。
下流側表面801から突出する複数の突出片部309のそれぞれは、冷却用流体の流下方向(横方向)について、一端が他端よりも上方に位置して傾斜した板状の突出片部である。複数の突出片部309は、上下方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出片部309aと、上下方向に間隔をあけて並ぶ複数の突出片部309bと、を備えて構成される。上下に列をなす複数の突出片部309aと上下に列をなす複数の突出片部309bとは、流下方向に間隔をあけて交互に設けられる。
突出片部309aは、流下方向について、下流側に位置する下流端309a1が上流側に位置する上流端309a2よりも上方に位置して傾斜した板状の突出片部である。したがって、突出片部309aは、下流に向かうほど上方に位置するように下流側表面801から突出する。突出片部309bは、流下方向について、上流側に位置する上流端309b1が下流側に位置する下流端309b2よりも上方に位置して傾斜した板状の突出片部である。したがって、突出片部309bは、上流に向かうほど上方に位置するように下流側表面801から突出する。
複数の突出片部309は、下流側表面801において、上下方向及び流下方向の長さのほぼ全体にわたって設けられる。したがって、案内部材90によって、流れの向きが直角に変更された冷却用流体は、まず突出片部309bと突出片部309bとの間を斜め下方に流下して突出片部309aの両側面に接触しながら進む。次に流体は、突出片部309aと突出片部309aとの間に流れて斜め上方に流下して突出片部309aの両側面に接触しながら進む。さらに流体は、突出片部309bと突出片部309bとの間に流れて斜め下方に流下して突出片部309bの両側面に接触しながら進む。下流側表面801においてはこのような流れが繰り返される。
このような姿勢で複数の突出片部309が設けられているため、流体は蛇行しながら各突出片部309との接触度合いを高めつつ、流れ抵抗を小さくして下流側表面801を流下できる。さらに、下流側表面801から各突出片部309に伝わった熱は、周囲の雰囲気よりも温度が高いため、上方に移動しやすい。各突出片部309においては、上方に位置する側の端部に熱移動しやすく、上方の先端部での放熱性が高いヒートシンクを提供できる。したがって、複数の突出片部309は、強制対流による放熱時と自然対流による放熱時の両方において、下流側表面801における放熱量を向上することができる。
第5実施形態の電池パック401によれば、案内部材90を備えることにより、上流側表面800から下流側表面801に沿って冷却用流体が回り込みやすく、上流側表面800と下流側表面801とにおいて二段階で強制対流による放熱を実施することができる。したがって、電池パック401は、強制対流による放熱時と自然対流による放熱時の両方において、部品ケース80の表面における放熱量を向上することができる。
(第6実施形態)
第6実施形態では、第5実施形態の電池パック401の他の形態である電池パック501について図17〜図19を参照して説明する。図17〜図19において、前述の実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。以下、第5実施形態等と相違する内容について説明する。
電池パック501は、第5実施形態の電池パック401に対して、ヒートシンクの形状が相違する。電池パック501は、電池パック401における複数の突出片部209、複数の突出片部309を、それぞれ、電池パック201の突出片部109、突出片部109と同じ形状である突出片部409に置き換えたものである。突出片部109は上流側表面800から外方に突出する第1の突出片部を構成し、突出片部409は下流側表面801から外方に突出する第2の突出片部を構成する。
板状の突出片部409は、下流側表面801から斜め上方及び流下方向に延びる形状の板材で構成される放熱フィンである。すなわち、突出片部409は、根元側の一端409aが先端側の他端409bよりも上方に位置して傾斜した形状である。したがって、突出片部409は、先端に向かうほど上方に位置するように下流側表面801から突出する。
突出片部409は、その両側面、すなわち上面及び下面が流下方向に沿う形状でもある。複数の突出片部409は、上下方向(積層方向)に間隔をあけて並んでいる。複数の突出片部409は、下流側表面801において、上下方向及び流下方向の長さのほぼ全体にわたって設けられる。したがって、案内部材90によって、流れの向きが直角に変更された冷却用流体は、各突出片部409の両側面に接触しながら流下方向(横方向)に流下する。このような姿勢で複数の突出片部409が設けられているため、流体との接触度合いを高めつつ流体との流れ抵抗を小さくすることができる。さらに、下流側表面801から各突出片部409に伝わった熱は、周囲の雰囲気よりも温度が高いため、上方に移動しやすい。
各突出片部409は、下流側表面801から斜め上方に突出するため、先端側に熱移動しやすく、先端部での放熱性の高いヒートシンクを提供できる。したがって、複数の突出片部109は、強制対流による放熱時と自然対流による放熱時の両方において、上流側表面800における放熱量を向上することができる。
第6実施形態の電池パック501によれば、案内部材90を備えることにより、上流側表面800から下流側表面801に沿って冷却用流体が回り込みやすく、上流側表面800と下流側表面801とにおいて二段階で強制対流による放熱を実施することができる。したがって、電池パック501は、強制対流による放熱時と自然対流による放熱時の両方において、部品ケース80の表面における放熱量を向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
前述の実施形態において、リレー装置はバスバによって他の部品や端子と電気的に接続されるものであると開示しているが、リード線等の配線によって接続される形態でもよい。
前述の実施形態において電池積層体2を構成する単電池21は、角形の単電池で構成することもできる。単電池21は、アルミニウム、アルミニウム合金等からなる外装ケースによってその外周面を被覆された扁平状直方体であってもよい。この場合の電池積層体2は、単電池21と絶縁スペーサとを交互に所定個数積層した集合体を、積層方向の両端部から拘束部材で挟み、内側に向かう拘束力を作用させて一体にしたものとすることができる。
前述の実施形態において、電池用通路60は、電池積層体2の熱が熱移動する熱伝導板22やフィン221に冷却用流体が接触するように流れる通路であるが、冷却用流体が電池積層体2に接触するように流れる電池用通路を備える電池パック1を構成してもよい。
前述の実施形態においては、電池用通路60は、積層されたケースブロック31及びパックケース10の間に形成された領域であるが、専用のダクトの内部に形成される通路であってもよい。
前述の実施形態では、電池用通路60は、側壁13及び側壁14と積層体ケース30との間に、それぞれ奥行き方向に延びる壁部が形成されており、積層体ケース30と壁部とで囲まれる空間が電池用通路60となっていてもよい。つまり、パックケース10の壁面が電池用通路60を形成する壁面でなくてもよい。
前述の実施形態において、電池積層体2は1個の電池積層体であるが、例えば、流体流下方向に並ぶ2個以上の電池積層体であってもよい。
前述の実施形態において、電池積層体2を構成する複数の単電池21は、積層体ケース30の収容空間で、隣接する単電池間に隙間を設けずに接触させた状態で設置される形態でもよいし、単電池間に所定の隙間をあけて設置するようにしてもよい。
前述の実施形態において、電池積層体2を構成する複数の単電池21の積層方向は、流体の流下方向でもよいし、横方向でもよい。