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JP6389252B2 - ノルモルフィナンの調製 - Google Patents

ノルモルフィナンの調製 Download PDF

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JP6389252B2 JP2016525976A JP2016525976A JP6389252B2 JP 6389252 B2 JP6389252 B2 JP 6389252B2 JP 2016525976 A JP2016525976 A JP 2016525976A JP 2016525976 A JP2016525976 A JP 2016525976A JP 6389252 B2 JP6389252 B2 JP 6389252B2
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    • C07D489/02Heterocyclic compounds containing 4aH-8, 9 c- Iminoethano-phenanthro [4, 5-b, c, d] furan ring systems, e.g. derivatives of [4, 5-epoxy]-morphinan of the formula: with oxygen atoms attached in positions 3 and 6, e.g. morphine, morphinone

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Description

本発明は、一般的にN−置換モルフィナンからのノルモルフィナンの調製に関する。
ノルモルフィナンは、NH基を含有し、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルブフィン、ナルメフェン、及びブプレノルフィンなどの重要なオピオイドを合成するための主要な中間体である。典型的には、ノルモルフィナンは、モルフィン、ヒドロコドン、またはオキシコドンなどのN−メチルモルフィナンのN−脱メチル化によって調製される。このために、一般的にヒドロカルビルクロロホルメートとN−メチルモルフィナンを反応させ、ノルモルフィナンカルバメートを形成する。このような脱メチル化反応は、しかしながら、信頼できない傾向があり、例えば、反応が完了しないことや、大きく過剰なクロロホルメート及び不溶性塩基の添加を必要とすることが多い。このため、ノルモルフィナンの調製中にさらに信頼でき、さらに効率的な脱メチル化反応が必要である。
ノルモルフィナンの調製は、さらにノルモルフィナンを形成するためにノルモルフィナンカルバメートの加水分解を含む。酸性条件下では容易にカルバメートを加水分解することができるが、モルフィナン構造に存在する可能性があるエノールエーテルなどの酸感受性官能基を維持するために、塩基性条件下で加水分解を実施する必要があることが多い。高pH値の加水分解は、典型的には大気圧で水の沸点を超える高い温度を必要とし、防腐食材料でできた加圧反応容器の使用を必要とする。それゆえに、ノルモルフィナンの調製中にカルバメート官能基の除去のために中性加水分解条件(すなわち、中性pHレベル、低温)が必要である。
このため、簡潔にいうと、本開示のひとつの態様は、N−置換モルフィナンからノルモルフィナンを調製する方法を包含する。本方法は、(a)N−置換モルフィナンをヒドロカルビルハロホルメート及びヒンダード第三級アミンと接触させ、N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンを形成すること及び(b)N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンを加水分解剤と接触させ、ノルモルフィナンを形成することを含む。
本開示のもうひとつの態様は、式(I)を含む化合物から式(III)を含む化合物を調製する方法を提供する。本方法は、以下の反応スキームに従って、(a)式(I)を含む化合物をヒドロカルビルハロホルメート、XC(O)OR18、及びヒンダード第三級アミンと接触させ、式(II)を含む化合物を形成すること、及び(b)式(II)を含む化合物を加水分解剤と接触させ、式(III)を含む化合物を形成することを含み、

式中:Aが、酸素、硫黄、または窒素であり;Rが、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R、R、及びRが、独立して水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、独立して水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;#が6、7、8、10、15、16のいずれかである、R#a及びR#bの任意の対が、任意で{=}O、{=}S、{=}CH、{=}NR1612;または、nが1以上の整数である、{−}O(CHO{−}から選択される部分をともに形成し、R18が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R1611及びR1612が、独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;Xがハロゲンであり;R、R、R、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bのうちのひとつ以上が、任意で炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、またはこれらの組合せから選択される環または環系の一部を形成し;位置6及び7、7及び8、ならびに8及び14の炭素原子間の破線は、(a)全炭素原子間の単結合、任意でRの対及びR14のひとつがアルカン架橋を形成する;(b)位置7及び8ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、Rの対のひとつだけが存在する、位置6及び7の炭素間の二重結合;(c)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、R及びRの各対のひとつだけが存在する、位置7及び8の炭素間の二重結合;または(d)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の二重結合、及び、R、R、及びRの各対のひとつだけが存在し、R14が存在しない、位置7及び8の炭素間の単結合から選択される炭素−炭素結合を表す。
以下にさらに詳細に、本発明の他の特徴及び反復法を記載する。
本明細書にノルモルフィナンを調製する方法を開示する。本方法は、N−置換モルフィナンをヒドロカルビルハロホメート及びプロトン受容体と接触させ、ノルモルフィナンカルバメートを形成することを含む。いくつかの実施形態では、プロトン受容体が立体ヒンダード第三級アミンである。ヒンダード第三級アミンを、単独または、無機塩などのプロトン受容体と組み合わせて使用すると、反応の速度及び有効性が増大する。加水分解剤と接触することによってノルモルフィナンカルバメートからカルバメート官能基を除去し、ノルモルフィナンを形成する。いくつかの実施形態では、中性条件下で加水分解反応が生じるように、加水分解剤が第四級アンモニウム塩である。他の実施形態では、加水分解剤が求核剤(例えば、アルカリ金属水酸化物)であり、求核触媒及び/またはその相間移動剤の存在下で反応が生じる。その結果、求核触媒及び/または相間移動剤が存在しない場合より低温で反応が生じる。
(I)ノルモルフィナンの調製方法
本開示のひとつの態様は、N−置換モルフィナンからノルモルフィナンを調製する方法を包含する。本方法は、N−置換モルフィナンをヒドロカルビルハロホルメート及びプロトン受容体と接触させることによってN−置換基を除去し、N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンを形成すること、及び(b)N−ヒドロカルボキシカルボニルモルフィナンを加水分解剤と接触させ、ノルモルフィナンを形成することを含む。プロトン受容体は、ヒンダード第三級アミン、無機塩、またはこれらの組合せとすることができ、加水分解剤は、第四級アンモニウム塩、求核剤、またはこれらの組合せとすることができる。以下のセクション(II)に本方法の各ステップの反応混合物及び反応条件の詳細を記載する。
一般的に、本明細書に詳細を記載したモルフィナン及びノルモルフィナンとしては、以下に図で示したようなモルフィナン構造を含む化合物が挙げられ、式中、Rがモルフィナンではヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、Rがノルモルフィナンでは水素である。図示するため、以下に示したようにコアモルフィナン構造の環原子に番号を付与する。
モルフィナン化合物は不斉中心を有する。特に、コアモルフィナン化合物は、少なくとも4個のキラル炭素(前記の図のアステリスクで示した);すなわち、C−5、C−13、C−14、及びC−9を有することができる。
(II)式(I)を含む化合物から式(III)を含む化合物を調製する方法
本開示のもうひとつの態様は、式(I)を含む化合物から式(III)を含む化合物を調製する方法を提供する。本方法は、式(I)を含む化合物を、ヒドロカルビルハロホルメート、XC(O)OR18、及びヒンダード第三級アミン及び/または無機塩から選択されるプロトン受容体と接触させ、式(II)を含む化合物を形成することを含む。本方法は、さらに式(II)を含む化合物を、加水分解剤と接触させ、式(III)を含む化合物を形成することを含む。図示するため、反応スキーム1で、この本開示の態様に従った式(III)を含む化合物の合成を示す。

式中:Aが、酸素、硫黄、または窒素であり;Rが、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R、R、及びRが、独立して水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、独立して、水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;#が6、7、8、10、15、16のいずれかである、R#a及びR#bの任意の対が、任意で{=}O、{=}S、{=}CH、{=}NR1612;または、nが1以上の整数である、{−}O(CHO{−}から選択される部分をともに形成し;R18が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R1611及びR1612が、独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;Xがハロゲンであり;R、R、R、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bのひとつ以上が、炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、またはこれらの組合せから選択される環または環系の一部を形成することができ;位置6及び7、7及び8、ならびに8及び14の炭素原子間の破線は、(a)全炭素原子間の単結合、任意でRの対及びR14のひとつがアルカン架橋を形成する;(b)位置7及び8ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、Rの対のひとつだけが存在する、位置6及び7の炭素間の二重結合;(c)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、R及びRの各対のひとつだけが存在する、位置7及び8の炭素間の二重結合;または(d)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の二重結合、及び、R、R、及びRの各対のひとつだけが存在し、R14が存在しない、位置7及び8の炭素間の単結合から選択される炭素−炭素結合を表す。
ひとつの実施形態では Aが酸素である。もうひとつの実施形態では、R、R、R、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、存在する場合、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルキル、アルケニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、または置換アリールである。さらにある実施形態では、R及びR18が、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニルまたは置換アリールである。
例示的な実施形態では、Aが酸素であり、Rがメチル、エチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはアリルであり;R及びRが、水素であり;Rが、{−}OH、{−}O−アルキル、{−)O−アリール、または{−}OR1611であり;R、R8a8b、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、存在する場合、水素であり;R14が、水素、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611であり、またはRの対のひとつとアルカン架橋を形成し、R18がアルキル、ハロ−置換アルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アリール、または置換アリールである。ひとつの反復法では、R6aが、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611、または{−}NR16111612であり、R6bが水素であり、またはR6a及びR6bとともに{=}O、{=}CH、または{−}O(CHO{−}を形成し、R7a及びR7bが水素であり、R14が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、破線が位置6及び7ならびに位置8及び14の炭素間の単結合を表す。もうひとつの反復法では、R6aが、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、R6b及びR14が、アルカン架橋を形成し、R7aが、アルキルまたは置換アルキルであり、R7bが水素であり;破線が単結合を表す。
(a)ステップA−反応混合物
本方法のステップAは、式(I)を含む化合物を、ヒドロカルビルハロホルメート、XC(O)OR18、及びプロトン受容体と接触させ、(II)を含む化合物式を形成することを含む。プロトン受容体は、ヒンダード第三級アミン、無機塩、またはこれらの組合せとすることができる。本方法は、前記に詳細を記載した式(I)を含む化合物、ヒドロカルビルハロホルメート、及びプロトン受容体を含む反応混合物の形成で始まる。
(i)ヒドロカルビルハロホルメート
この方法に用いるのに好適なヒドロカルビルハロホルメートには、さまざまなものがある。一般的に、ヒドロカルビルハロホルメートは、式XC(O)OR18で表され、式中、Xがハロゲンであり、R18がヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである。例示的な実施形態では、Xは、クロリドまたはブロミドとすることができ、R18は、アルキル、ハロ−置換アルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アリール、または置換アリールとすることができる。好適なヒドロカルビルハロホルメートの非限定例としては、アルキルハロホルメート(例えば、メチルクロロホルメート、メチルブロモホルメート、エチルクロロホルメート、エチルブロモホルメート、プロピルクロロホルメート、プロピルブロモホルメート、イソプロピルクロロホルメート、イソプロピルブロモホルメート、ブチルクロロホルメート、ブチルブロモホルメート、イソブチルクロロホルメート、イソブチルブロモホルメートなど);ハロ−置換アルキルハロホルメート(例えば、クロロメチルハロホルメート、ブロモメチルハロホルメート、クロロエチルハロホルメート、ブロモエチルハロホルメートなど);アルケニルハロホルメート(例えば、ビニルクロロホルメート、ビニルブロモホルメート、アリルクロロホルメート、アリルブロモホルメートなど)、アルコキシアルキルハロホルメート(例えば、メチオキシメチルクロロホルメート、メチオキシメチルブロモホルメート、エトキシメチルクロロホルメート、エトキシメチルブロモホルメートなど);アリールハロホルメート(例えば、ベンジルクロロホルメート、ベンジルブロモホルメート、フェニルクロロホルメート、フェニルブロモホルメート、メンチルクロロホルメート、メンチルブロモホルメート、ニトロフェニルクロロホルメート、ニトロフェニルブロモホルメートなど)が挙げられる。例示的な実施形態では、ヒドロカルビルハロホルメートは、フェニルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、またはクロロエチルクロロホルメートとすることができる。
式(I)を含む化合物と接触させるヒドロカルビルハロホルメートの量は、変えることができる。一般的に、式(I)を含む化合物のヒドロカルビルハロホルメートに対するモル比は、約1:1〜約1:4の範囲とすることができる。さまざまな実施形態では、式(I)を含む化合物のヒドロカルビルハロホルメートに対するモル比を、約1:1.0、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7:1:1.8、1:1.9、1:2.0、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3.0、1:3.2、1:3.4、1:3.6、1:3.8、または1:4.0とすることができる。例示的な実施形態では、式(I)を含む化合物のヒドロカルビルハロホルメートに対するモル比は、約1:1.5〜約1:3.0の範囲とすることができる。
(ii)プロトン受容体は、ヒンダードアミン及び/または無機塩である。
反応混合物は、プロトン受容体も含む。一般的に、好適なプロトン受容体のpKaは、約7〜約13の範囲である。プロトン受容体は、有機または無機とすることができる。
いくつかの実施形態では、プロトン受容体は立体ヒンダード第三級アミンとすることができる。好適なヒンダード第三級アミンの非限定例としては、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジイソプロピル−2−エチルブチルアミン;N,N−ジイソプロピル−3−ペンチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエチルアミン、N−エチルピペリジン(piperdine)、またはこれらの組合せが挙げられる。
他の実施形態では、プロトン受容体は無機塩とすることができる。無機塩は、反応混合物中で不可溶のものとすることができる。代表的な無機塩としては、ホウ酸塩(例えば、NaBOなど)、ジ−及びトリ−塩基性リン酸塩(例えば、NaHPO及びNaPOなど)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、これらの混合物など)、水酸化物塩(例えば、NaOH、KOH、これらの混合物など)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、これらの混合物など)、及び前記のいずれかの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。さらに他の実施形態では、プロトン受容体は、ヒンダード第三級アミン及び無機塩、前記に詳細を記載している例の組合せとすることができる。
式(I)を含む化合物のプロトン受容体に対するモル比は、約1:1〜約1:6の範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、式(I)を含む化合物のプロトン受容体に対するモル比は、約1:1.0、1:1.5、1:2.0、1:2.4、1:2.6、1:2.8、1:3.0、1:3.2、1:3.4、1:3.6、1:3.8、1:4.0、1:4.2、1:4.4、1:4.6、1:4.8、1:5.0、1:5.5、または1:6.0とすることができる。プロトン受容体がヒンダード第三級アミンである実施形態では、式(I)を含む化合物のヒンダードアミンに対するモル比は、約1:1.6〜約1:2.0の範囲とすることができる。プロトン受容体が無機塩を含む実施形態では、式(I)を含む化合物のプロトン受容体に対するモル比は、1:2.5〜約1:4.5の範囲とすることができる。プロトン受容体がヒンダードアミン及び無機塩の組合せである実施形態では、ヒンダードアミンの無機塩に対するモル比は、約1:7〜約1:8の範囲とすることができる。
(iii)溶媒
反応は、一般的に溶媒または溶媒系の存在下で起こる。溶媒は、非極性有機溶媒または極性非プロトン性溶媒とすることができる。代表的な非極性溶媒としては、アルカン及び置換アルカン溶媒(シクロアルカンを含む)、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、ケトン及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。用いることができる特異的非極性溶媒としては、例えば、ベンゼン、ブチルアセテート、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルケトン、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、エチルアセテート、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、メチルイソブチルケトン、ペンチルアセテート、プロピルアセテート、トルエン及びこれらの組合せが挙げられる。好適な非プロトン性溶媒の非限定例としては、アセトン、アセトニトリル、ジエトキシメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルプロパンアミド(またはジメチルプロピオンアミド;DMP)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1,4−ジオキサン、エチルホルメート、ホルムアミド、ヘキサメチルホスホラミド、メチルアセテート、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、メチレンクロリド、メトキシエタン、モルホリン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、ピリジン、スルホラン、テトラメチル尿素、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリクロロメタン、及びこれらの組合せが挙げられる。
プロトン受容体がヒンダードアミンである実施形態では、溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、またはこれらの組合せとすることができる。プロトン受容体が無機塩を含む実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、またはこれらの組合せとすることができる。
一般的に、溶媒の式(I)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。さまざまな実施形態では、溶媒の式(I)を含む化合物に対する容積と質量の比は、0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲とすることができる。例示的な実施形態では、溶媒の式(I)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約5:1〜約20:1の範囲とすることができる。
(b)ステップA−反応条件
一般的に、当該反応は、約0℃〜約120℃の範囲の温度で起こる。さまざまな実施形態では、当該反応は、約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、約80℃〜約100℃、または約100℃〜約120℃の温度で起こすことができる。プロトン受容体がヒンダードアミンを含む実施形態では、当該反応は約20℃〜約60℃の温度で起こすことができる。プロトン受容体が無機塩である実施形態では、当該反応は約20℃〜約80℃の温度で起こすことができる。当該反応は、一般的に不活性雰囲気下(例えば、窒素またはアルゴン下)及び大気圧下で起こる。
典型的には、当該反応は、クロマトグラフィー(例えば、HPLC)またはもうひとつの好適な方法によって測定されるとおり、反応が完了するまで十分な時間で進行する。この文脈では、「完了した反応」とは、一般的に反応混合物が、反応の初めに存在したそれぞれの量と比較して、有意に減少した量の式(I)を含む化合物、及び有意に増加した量の式(II)を含む化合物を含有することを意味する。典型的には、反応完了後に反応混合物中に残っている式(I)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満とすることができる。一般的に、当該反応は、約20分間から約24時間、進行する可能性がある。典型的には、当該反応の持続時間は、反応温度が低いほど長い。特定の実施形態では、当該反応は、およそ以下の範囲の時間、すなわち約0.5時間〜約3時間、約3時間〜約5時間、約5時間〜約10時間、または約10時間〜約24時間進行させることができる。例示的な実施形態では、当該反応は、約2時間〜約6時間進行させることができる。
いくつかの実施形態では、式(II)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離することができる。好適な技術の非限定例としては、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化が挙げられる。他の実施形態では、式(II)を含む化合物を単離せず、同じ反応ポットまたは反応器で本方法のステップ(b)を進行させることができる。
式(II)を含む化合物の収率は、変わる可能性があり、変わるであろう。典型的には、式(II)を含む化合物の収率は、少なくとも約40%とすることができる。ひとつの実施形態では式(II)を含む化合物の収率は、約40%〜約60%の範囲とすることができる。もうひとつの実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、約60%〜約80%の範囲とすることができる。さらにある実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、約80%〜約90%の範囲とすることができる。さらにもうひとつの実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、約90%超、または約95%超とすることができる。
(c)ステップB−反応混合物
本方法は、さらに、式(II)を含む化合物を加水分解剤と接触させ、N−ヒドロカルボキシカルボニル基を式(II)を含む化合物から除去し、式(III)を含む化合物を形成することを含む。いくつかの実施形態では、加水分解剤は、第四級アンモニウム塩とすることができる。他の実施形態では加水分解剤は、求核剤とすることができ、プロピレングリコールを含む溶媒系の存在下で反応を起こすことができる。この実施形態のさまざまな反復法では、求核触媒及び/または相間移動剤の存在下で反応を起こすことができる。
(i)加水分解剤は、第四級アンモニウム塩である。
いくつかの実施形態では、加水分解剤は、第四級アンモニウム塩とすることができる。第四級アンモニウム塩は、第四級アンモニウムカチオン(NR’R’’R’’’R’’’’)及びアニオンからなる。一般的に、好適な第四級アンモニウムカチオンのR’、R’’、R’’’及びR’’’’は、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールであり、アルキルが、一般的に主鎖に1から6個の炭素原子を有する。代表的な第四級アンモニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、テトラベンジルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム、トリメチルアルキルアンモニウム、トリエチルアルキルアンモニウム、トリプロピルアルキルアンモニウム、トリブチルアルキルアンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアニオンの非限定例としては、ブロミド、クロリド、フルオリド、水酸化物、スルホネート、パークロレート、シアニド及びチオシネートが挙げられる。例示的な実施形態では、第四級アンモニウム塩は、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリドまたはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドとすることができる
反応混合物に添加する第四級アンモニウム塩の量は、変わる可能性があり、変わるであろう。一般的に、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:10〜約1:100の範囲とすることができる。特定の実施形態では、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:10〜約1:20、約1:20〜約1:40、約1:40〜約1:80、または約1:80〜約1:100の範囲とすることができる。特定の実施形態では、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:20〜約1:80の範囲とすることができる。ひとつの実施形態では式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:30〜約1:40の範囲とすることができる。もうひとつの実施形態では、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:70〜約1:80の範囲とすることができる。
一般的に、溶媒または溶媒系の存在下で第四級アンモニウム塩と接触させる。前記のセクション(II)(a)(iii)に好適な溶媒の詳細を記載している。例示的な実施形態では、溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルプロパンアミド(DMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)またはこれらの組合せとすることができる。
一般的に、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。さまざまな実施形態では、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲とすることができる。例示的な実施形態では、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約5:1〜約20:1の範囲とすることができる。
(ii)加水分解剤は求核剤である。
他の実施形態では、加水分解剤は、求核剤とすることができる。本方法のこのステップに用いるのに好適な求核試薬には、さまざまなものがある。一般的に、求核剤のpKaは、約13を超える。この方法に用いるのに好適なこの特性を有する求核試薬としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属(例えば、NaOH及びCa(OH)など)の水酸化物、及びアルコキシド(例えば、メトキシド、エトキシドなど)が挙げられる。例示的な実施形態では、求核剤は、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物とすることができる。
反応混合物に添加する求核剤の量は、変わる可能性があり、変わるであろう。一般的に、式(II)を含む化合物の求核剤に対するモル比は、約1:2〜約1:20の範囲とすることができる。さまざまな実施形態では、式(II)を含む化合物の求核剤に対するモル比は、約1:2〜約1:4、約1:4〜約1:6、約1:6〜約1:8約1:8〜約1:10、約1:10〜約1:15、または約1:15〜約1:20の範囲とすることができる。ひとつの例示的な実施形態では、求核剤がアルカリ金属水酸化物であり、式(II)を含む化合物のアルカリ金属水酸化物に対するモル比は、約1:5〜約1:10の範囲とすることができる。
グリコールを含む溶媒系の存在下で求核剤と接触させることができる。好適なグリコールの非限定例としては、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ジエチレングリコール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピルアミングリコール、またはこれらの組合せが挙げられる。ひとつの実施形態では、溶媒系がプロピレングリコールを含む。もうひとつの実施形態では、溶媒系がプロピレングリコール及び水からなる。さらにある実施形態では、溶媒系がジエチレングリコールを含む。さらに他の実施形態では、溶媒系が、アセトニトリル、ジオキサン、プロピオニトリル、ピリジン、または水のうちのひとつ以上と組み合わせて、プロピレングリコールまたはジエチレングリコールなどのグリコールを含む。さらにある実施形態では、溶媒系が、前記のセクション(II)(a)(iii)に挙げた溶媒のうちのひとつ以上と組み合わせて、プロピレングリコールまたはジエチレングリコールなどのグリコールを含む。他の実施形態では、溶媒系がグリコールを含まず、前記のセクション(II)(a)(iii)に挙げた溶媒のうちのひとつ以上を含む。ひとつの反復法では、溶媒系がグリコールを含まず、アセトニトリル、ジオキサン、プロピオニトリル、またはピリジンのうちのひとつ以上を含む。
一般的に、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。さまざまな実施形態では、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲とすることができる。例示的な実施形態では、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約5:1〜約20:1の範囲とすることができる。
加水分解剤が求核剤である実施形態では、反応混合物がさらに求核触媒、相間移動剤、またはこれらの組合せを含むことができる。求核触媒及び/または相間移動剤を添加すると、反応が低温で進行し、反応速度が増加し、収率及び/または転化率が増加し、及び/または副生物形成を減少させることができる。代表的な求核触媒としては、イミダゾール、メチルイミダゾール(NMI)、ピリジン、ピロリジノピリジン(PPY)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、アルギニン、リジン、オルニチン、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適な相間移動剤の非限定例としては、例えば、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、及びAliquant336などの第四級アンモニウム塩;及び、例えば、テトラメチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、ヘキサデシルトリブチルホスホニウム塩、ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、及びジメチルジフェニルホスホニウム塩などの第四級ホスホニウム塩が挙げられる。一般的に、式(II)を含む化合物の求核触媒または相間移動剤に対するモル比は、約1:0.0005〜約1:0.5の範囲とすることができる。
(d)ステップB−反応条件
反応が起こる温度は、変わる可能性があり、変わるであろう。一般的に、反応の温度は、約50℃〜約140℃の範囲である。さまざまな実施形態では、反応の温度は、約50℃〜約70℃、約70℃〜約90℃、約90℃〜約110℃、約110℃〜約125℃、または約125℃〜約140℃の範囲とすることができる。加水分解剤が第四級アンモニウム塩である実施形態では、当該反応は、約70℃〜約100℃の範囲の温度で起こすことができる。加水分解剤が求核剤である実施形態では、溶媒が、プロピレングリコールを含み、反応混合物が求核触媒または相間移動剤を含まず、反応の温度は、約100℃〜約130℃の範囲とすることができる。しかしながら、加水分解剤が求核剤である実施形態では、溶媒系がアセトニトリル、ジオキサン、プロピレングリコール、ピリジン、水、またはこれらの組合せを含み、及び/または反応混合物が、求核触媒及び/または相間移動剤のうちのひとつ以上を含有し、反応の温度は、約60℃〜約100℃の範囲とすることができる。
典型的には、当該反応は、前記に詳細を記載したとおり、反応が完了するまで十分な時間で進行する。反応が完了すると、反応混合物に残っている式(II)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満とすることができる。一般的に、当該反応は、約1時間から約24時間、進行する可能性がある。いくつかの実施形態では、当該反応は、約1時間〜約3時間、約3時間〜約4時間、約4時間〜約6時間、約6時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、約12時間〜約18時間、または約18時間〜約24時間、進行する可能性がある。
式(III)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離することができる。好適な技術の非限定例としては、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化が挙げられる。当業者に公知の技術を用いて、式(III)を含む化合物をそのまま用いることができる、またはもうひとつの化合物に転換することができる。
式(III)を含む化合物の収率は、変わる可能性があり、変わるであろう。典型的には、式(III)を含む化合物の収率は、少なくとも約35%とすることができる。ひとつの実施形態では式(III)を含む化合物の収率は、約35%〜約65%の範囲とすることができる。もうひとつの実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約65%〜約75%の範囲とすることができる。さらにもうひとつの実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約75%〜約85%の範囲とすることができる。さらにある実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約85%〜約95%の範囲とすることができる。さらにもうひとつの実施形態では、式(III)を含む化合物の収率は、約95%超とすることができる。
(e)例示的な実施形態
特定の実施形態では、本方法は式(Ia)を含む化合物をヒドロカルビルハロホルメート、XC(O)OR18、及びプロトン受容体と接触させ、式(IIa)を含む化合物を形成することを含む。プロトン受容体は、ヒンダード第三級アミン及び/または無機塩とすることができる。本方法は、さらに式(IIa)を含む化合物を、加水分解剤と接触させ、式(IIIa)を含む化合物を形成することを含む。加水分解剤は、第四級アンモニウム塩または求核剤とすることができる。反応スキーム2で、この本開示の態様に従った式(IIIa)を含む化合物の合成を示す。

式中:Rが、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R、R、及び Rが、 独立して、 水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または 置換 ヒドロカルビルであり;R6a及びR6bが、独立して、水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであり、または{=}O、{=}S、{=}CH、{=}NR1612;またはnが1以上の整数である、{−}O(CHO{−}から選択される部分をともに形成し;R7a及びR7bが、独立して、水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;R14が、水素、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611である、またはRの対のひとつとアルカン架橋を形成し;R18が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R1611及びR1612が、独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;Rが二重結合である場合、Rの 対のひとつだけが存在するならば、破線が単または二重結合である。
例示的な実施形態では、Rがメチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはアリルであり;R及びRが水素であり;Rが、{−}OH、{−}O−アルキル、{−)O−アリール、または{−}OR1611であり;R18がアルキル、ハロ−置換アルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アリール、または置換アリールである。ひとつの反復法では、R6aが{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611、または{−}NR16111612であり、及びR6bが水素である、またはR6a及びR6bがともに{=}O、{=}CH、または{−}O(CHO{−}を形成し、R7a及びR7bが水素であり、R14が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、及び破線が単結合を表す。もうひとつの反復法では、R6aが、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、R6b及びR14が、アルカン架橋を形成し、R7aが、アルキルまたは置換アルキルであり、R7bが水素であり;破線が単結合を表す。
前記のセクション(II)(a)〜(d)に本方法のステップの詳細を記載している。
(f)二次用途
いくつかの実施形態では、式(III)または(IIIa)を含む化合物は、薬学的に許容される塩に転換することができる。用語「薬学的に許容される塩」は、アルカリ金属塩を形成し、遊離酸または遊離塩基の添加塩を形成するために一般に使用される塩である。薬学的に許容されるならば、塩の性質は変えることができる。式(III)または(IIIa)を含む化合物の好適な薬学的に許容される酸添加塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。かかる無機酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸及びリン酸である。好適な有機酸は、脂肪族酸、脂環族酸、芳香族酸、アリール脂肪酸(araliphatic)、複素環式酸、カルボン酸及び有機酸のスルホン酸クラス、から選択することができる。その例はギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸である。好適な薬学的に許容される塩基添加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から生成した金属塩またはN、N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン−(N−メチルグルカミン)及びプロカインから生成した有機塩が挙げられる。これらの塩すべては、例えば、式(III)または(IIIa)を含む化合物のいずれかと好適な酸または塩基を反応させることにより、従来の手段によって対応する化合物から調製することができる。
他の実施形態では、式(III)または(IIIa)を含む化合物は、好適なN−アルキル化剤と接触させることによって例えば、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルブフェン(nalbuphene)、ナルメフェン、またはナルフラフィンなどの「ナル」化合物、に転換することができる、さらに他の実施形態では、式(III)または(IIIa)を含む化合物は、誘導体化し、ブプレノルフィン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ジプレノルフィンなどの化合物を形成することができる。
(g)立体化学
式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)、(III)、または(IIIa)のいずれかを含む化合物は、偏光の回転に関して、(−)または(+)配向を有する可能性がある。さらに具体的には、モルフィナンまたはノルモルフィナンの各キラル中心が、RまたはS立体配置を有する可能性がある。本明細書に記載した化合物は、少なくとも4つのキラル中心、すなわち炭素C−5、C−9、C−13、及びC−14を有する可能性がある。各キラル中心で、炭素原子の立体化学は、独立して、RまたはSである。C−15及びC−16原子がともに分子のα面または分子のβ面にあるならば、C−5、C−9、C−13、及びC−14の立体配置は、それぞれ、RRRR、RRRS、RRSR、RSRR、SRRR、RRSS、RSSR、SSRR、SRRS、SRSR、RSRS、RSSS、SRSS、SSRS、SSSR、またはSSSSとすることができる。
(III)式(II)を含む化合物から式(III)を含む化合物の調製方法
別の態様では、本開示は、式(II)を含む化合物から式(III)を含む化合物の調製方法を提供する。本方法は、反応スキーム3に示したとおり、式(II)を含む化合物を第四級アンモニウム塩と接触させ、式(III)を含む化合物を形成することを含む。

式中:Aが、酸素、硫黄、または窒素であり;R、R、及び Rが、 独立して、 水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または 置換 ヒドロカルビルであり;R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、独立して水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;#が6、7、8、10、15、16のいずれかである、R#a及びR#bの任意の対が、任意で{=}O、{=}S、{=}CH、{=}NR1612、または、nが1以上の整数である、{−}O(CHO{−}から選択される部分をともに形成し;R18が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R1611及びR1612が、独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R、R、R、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bのうちのひとつ以上が、任意で炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、またはこれらの組合せから選択される環または環系の一部を形成し;位置6及び7、7及び8、ならびに8及び14の炭素原子間の破線は、(a)全炭素原子間の単結合、任意でRの対及びR14のひとつがアルカン架橋を形成する;(b)位置7及び8ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、Rの対のひとつだけが存在する、位置6及び7の炭素間の二重結合;(c)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、R及びRの各対のひとつだけが存在する、位置7及び8の炭素間の二重結合;または(d)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の二重結合、及び、R、R、及びRの各対のひとつだけが存在し、R14が存在しない、位置7及び8の炭素間の単結合から選択される炭素−炭素結合を表す。
ひとつの実施形態ではAが酸素である。もうひとつの実施形態では、R、R、R、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、存在する場合、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アルキル、アルケニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、または置換アリールである。さらにある実施形態では、R及びR18が、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニルまたは置換アリールである。
例示的な実施形態では、Aが酸素であり、Rがメチル、エチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはアリルであり;R及びRが、水素であり;Rが、{−}OH、{−}O−アルキル、{−)O−アリール、または{−}OR1611であり;R、R8a8b、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、存在する場合、水素であり;R14が、水素、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611であり、またはRの対のひとつとアルカン架橋を形成し、R18がアルキル、ハロ−置換アルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アリール、または置換アリールである。ひとつの反復法では、R6aが、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611、または{−}NR16111612であり、R6bが水素であり、またはR6a及びR6bとともに{=}O、{=}CH、または{−}O(CHO{−}を形成し、R7a及びR7bが水素であり、R14が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、破線が位置6及び7ならびに位置8及び14の炭素間の単結合を表す。もうひとつの反復法では、R6aが、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、R6b及びR14が、アルカン架橋を形成し、R7aが、アルキルまたは置換アルキルであり、R7bが水素であり;破線が単結合を表す。
(a)反応混合物
本方法は、式(II)を含む化合物及び第四級アンモニウム塩を含む反応混合物の形成で始まる。第四級アンモニウム塩は、第四級アンモニウムカチオン(NR’R’’R’’’R’’’’)及びアニオンからなる。一般的に、好適な第四級アンモニウムカチオンのR’、R’’、R’’’及びR’’’’は、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールであり、アルキルが、一般的に主鎖に1から6個の炭素原子を有する。代表的な第四級アンモニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、テトラベンジルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム、トリメチルアルキルアンモニウム、トリエチルアルキルアンモニウム、トリプロピルアルキルアンモニウム、トリブチルアルキルアンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアニオンの非限定例としては、ブロミド、クロリド、フルオリド、水酸化物、スルホネート、パークロレート、シアニド及びチオシネートが挙げられる。例示的な実施形態では、第四級アンモニウム塩は、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリドまたはテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドとすることができる
反応混合物に添加する第四級アンモニウム塩の量は、変わる可能性があり、変わるであろう。一般的に、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:10〜約1:100の範囲とすることができる。特定の実施形態では、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:10〜約1:20、約1:20〜約1:40、約1:40〜約1:80、または約1:80〜約1:100の範囲とすることができる。特定の実施形態では、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:20〜約1:80の範囲とすることができる。ひとつの実施形態では式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:30〜約1:40の範囲とすることができる。もうひとつの実施形態では、式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比は、約1:70〜約1:80の範囲とすることができる。
一般的に、溶媒の存在下で第四級アンモニウム塩と接触させる。前記のセクション(II)(a)(iii)に好適な溶媒の詳細を記載している。例示的な実施形態では、溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルプロパンアミド(DMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)またはこれらの組合せとすることができる。
一般的に、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。さまざまな実施形態では、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲とすることができる。例示的な実施形態では、溶媒の式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比は、約5:1〜約20:1の範囲とすることができる。
(b)反応条件
反応が起こる温度は、変わる可能性があり、変わるであろう。一般的に、反応の温度は、約50℃〜約140℃の範囲である。さまざまな実施形態では、反応の温度は、約50℃〜約70℃、約70℃〜約90℃、約90℃〜約110℃、約110℃〜約125℃、または約125℃〜約140℃の範囲とすることができる。例示的な実施形態では、当該反応は、約70℃〜約100℃の範囲の温度で起こすことができる。
典型的には、当該反応は、前記に詳細を記載したとおり、反応が完了するまで十分な時間で進行する。反応が完了すると、反応混合物に残っている式(II)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満とすることができる。一般的に、当該反応は、約1時間から約12時間、進行する可能性がある。さまざまな実施形態では、当該反応は、約1時間〜約3時間、約3時間〜約4時間、約4時間〜約6時間、約6時間〜約8時間、または約8時間〜約12時間進行させることができる。
式(III)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離することができる。式(III)を含む化合物の収率は、前記のセクション(II)(d)に詳細が記載され、化合物の立体化学は、前記のセクション(II)(g)に記載されている。式(III)を含む化合物は、前記のセクション(II)(f)に詳細が記載されたとおり、薬学的に許容される塩に転換する、またはもうひとつの化合物に転換することができる。
定義
本明細書に記載した化合物は、不斉中心を有する。非対称に置換原子を含有する本発明の化合物は、光学活性またはラセミ形態に単離することができる。特異的立体化学または異性形態が具体的に示されなければ、構造の全キラル、ジアステレオマー、ラセミ形態及び全幾何異性形態を意図している。
用語「アシル」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、有機カルボン酸の基COOHからヒドロキシ基を除去することによって形成される部分、例えば、RC(O)−を意味し、式中、Rが、R、RO−、RN−、またはRS−であり、Rがヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、Rが水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。
用語「アシルオキシ」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、前記に記載したとおり、酸素結合(O)により結合したアシル基、例えば、RC(O)O−を意味し、式中、Rが、用語「アシル」と関連して定義される。
用語「アルキル」は、本明細書で使用する場合、好ましくは主鎖に1〜8個の炭素原子及び20個以下の炭素原子を含有する低アルキル基を示す。これは、直鎖または分枝鎖または環状とすることができ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが挙げられる。
用語「アルケニル」は、本明細書で使用する場合、好ましくは主鎖に2〜8個の炭素原子及び20個以下の炭素原子を含有する低アルケニル基を示す。これは、直鎖または分枝鎖または環状とすることができ、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなど、が挙げられる。
用語「アルキニル」は、本明細書で使用する場合、好ましくは主鎖に2〜8個の炭素原子及び20個以下の炭素原子を含有する低アルキニル基を示す。これは、直鎖または分枝鎖とすることができ、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
用語「芳香族」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、非局在化電子を含む任意で置換したホモ−または複素環結合平面環または環系を意味する。この芳香族基は、好ましくは環部分に5〜14個の原子を含有する単環式(例えば、フランまたはベンゼン)、二環式、または三環式基である。用語「芳香族」は、以下に定義した「アリール」基を包含する。
用語「アリール」または「Ar」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、環部分に6〜10個の炭素を含有する、任意で置換した同素環式芳香族基、好ましくは単環式または二環式基を意味し、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチルなどである。
用語「カルボシクロ」または「炭素環」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、任意で置換した、芳香族または非−芳香族の同素環式環または環系を意味し、環の全原子が炭素であり、好ましくは各環に5または6個の炭素原子である。例示的な置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちのひとつ以上が挙げられる。
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素を意味する。
用語「ヘテロ原子」は、炭素及び水素以外の原子を意味する。
用語「ヘテロ芳香族」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、少なくともひとつの環に少なくともひとつのヘテロ原子、及び好ましくは各環に5または6個の原子を有する、任意で置換した芳香族基を意味する。ヘテロ芳香族基は、好ましくは環に1または2個の酸素原子及び/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素を介して残りの分子に結合されている。例示的な基としては、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンジミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾピリジルなどが挙げられる。例示的な置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちのひとつ以上が挙げられる。
用語「ヘテロシクロ」または「複素環」は、単独またはもうひとつの基の一部として本明細書で使用する場合、少なくともひとつの環に少なくともひとつのヘテロ原子、及び好ましくは各環に5または6個の原子を有する、任意で置換した、完全に飽和した、または不飽和の、単環式または二環式、芳香族または非−芳香族基を意味する。ヘテロシクロ基は、好ましくは環に1または2個の酸素原子及び/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素またはヘテロ原子を介して残りの分子に結合されている。例示的なヘテロシクロ基としては、前記に記載したとおり、ヘテロ芳香族が挙げられる。例示的な置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちのひとつ以上が挙げられる。
用語「炭化水素」及び「ヒドロカルビル」は、本明細書で使用する場合、元素の炭素及び水素だけからなる有機化合物または有機基を表す。この部分としては、アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール部分が挙げられる。この部分としては、このほか、他の脂肪族または環状炭化水素基で置換したアルキル、アルケニル、アルキニル及びアリール部分が挙げられ、アルカリル、アルケナリル及びアルキナリルなどである。別段の記載がない限り、この部分は、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む。
用語「酸素保護基」は、本明細書で使用する場合、酸素原子を保護することができる基(このため、保護ヒドロキシル基を形成する)を意味し、残りの分子を妨げることなく、保護を用いる反応後に、保護基を除去することができる。例示的な酸素保護基としては、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカルボネート、2,2,2−トリクロロエチルカルボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などが挙げられる。さまざまな酸素保護基及びその合成は、「Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis」、第4版、P.G.M.Wuts及びT.W.Greene著、John Wiley & Sons,Inc.、2007にみつけることができる。
本明細書に記載した「置換ヒドロカルビル」部分は、炭素以外の少なくともひとつ原子で置換されているヒドロカルビル部分であり、炭素鎖原子が窒素、酸素、シリコン、リン、ホウ素などのヘテロ原子、またはハロゲン原子で置換されている、部分及び炭素鎖が別の置換基を含む部分を含む。この置換基としては、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオが挙げられる。
本発明またはその好ましい実施形態(単数及び複数)の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、要素のひとつ以上が存在することを意味することが意図されている。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」は、記載した要素以外の別の要素が存在する可能性があることを含み、意味することが意図されている。
本発明の詳細を記載したため、添付のクレームで定義した本発明の範囲を逸脱しない、修正及び変更が可能であることは明らかである。
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すために挙げられる。発明者が発見した技術を示す実施例に開示した技術は、本発明の実施においてうまく機能すると当業者には理解される。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態に多くの変更を実施することができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様またはほぼ同じ結果がなお得られ、示した全事項が例示であり、意味を制限するものではないと解釈されることを理解しなければならない。
実施例1〜5:N−フェノキシカルボニルノルジヒドロテバインの合成
実施例1〜5は、さまざまな溶媒及び反応条件を試験した、(+)−ジヒドロテバインから(+)−N−フェノキシカルボニルノルジヒドロテバインの合成の詳細を記載する。当該反応は、以下のとおりであった。

実施例1:
乾燥させた三首反応フラスコに、30gの(+)−ジヒドロテバイン、33gの重炭酸ナトリウム、及び210mLのジクロロエタンを充填した。次に24mLのフェニルクロロホルメートを添加し、窒素下で75℃まで得られた混合物を加熱した。75℃で45分間、撹拌後、当該反応物を室温まで冷却した。固体を濾過し、105mLのジクロロメタンを添加することによって濾液を希釈した。得られた溶液に240mLの0.52N NaOH水溶液を添加した。室温で2時間、撹拌後、水相を分離し、無視した。さらに、240mLの0.52N水酸化ナトリウム溶液で3回、240mLの水で1回、有機相を洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過及び揮発物の除去後、イソプロパノール/ジクロロメタンの混合物から残留物を再結晶化し、33.2gの淡黄色のカルバメート誘導体固体を生成した。
実施例2:
一連の反応を実施し、さまざまな溶媒、反応温度、及び反応時間を試験した。さまざまな反応条件を表1に示している。一般に、乾燥させた三首反応フラスコに1gの(+)−ジヒドロテバイン、1.1gの重炭酸ナトリウム、0.8mLのフェニルクロロホルメート、及び7mLの溶媒を充填した;窒素下で、所望の温度で、所望の時間、得られた混合物を撹拌した。室温まで冷却後、10mLの水及び7mLのジクロロメタンを添加することによって当該反応をクエンチした。15分間、撹拌後、有機相を分離し、2時間、8mLの0.52N NaOH水溶液で処理し、その後、有機相を分離し、さらに7mLの0.52N水酸化ナトリウムで3回、洗浄した。その後、7mLの5%ギ酸で1回、8mLの水で1回、有機相を洗浄し、その後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過及び揮発物の除去後、イソプロパノールから粗材料を再結晶化し、所望のカルバメート誘導体を生成した(表1を参照)。ジクロロエタンの存在下で反応させると、低温でも高収率が得られることがわかった。

実施例3:
乾燥させた三首反応フラスコに、98gの(+)−ジヒドロテバイン、84gの重炭酸ナトリウム、及び708mLのアセトニトリルを充填した。窒素下で、氷浴で10分間、得られた混合物を撹拌し、反応物に64.5mLのフェニルクロロホルメートを充填した。3時間、50℃まで得られた反応物を加熱した。反応物を室温まで冷却した後、反応物に708mLのエチルアセテート及び300mLの水を添加した。分離した有機相に、さらに300mLのエチルアセテート及び100mLのジクロロメタンを充填した。0.5N NaOH溶液で4回、塩水で1回、得られた有機相を洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過及び揮発物の除去後、イソプロパノール及びクロロホルムの混合物から残留物を再結晶化し、112gのカルバメート誘導体を生成した。
実施例4:
乾燥させた三首反応フラスコに、35.5gの(+)−ジヒドロテバイン、39gの重炭酸ナトリウム、12.4gの無水硫酸マグネシウム、及び256mLのアセトニトリルを充填した。窒素下で30分間、得られた混合物を撹拌し、その後、氷浴で15分間、冷却した。反応物に、28.4mLのフェニルクロロホルメートを充填した。3時間、50℃まで得られた反応物を加熱した。反応物を室温まで冷却した後、混合物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。2時間、混合した濾液及び洗液を0.52N NaOH水溶液で処理した。有機相を分離した及びさらに300mLの0.52N NaOH水溶液で3回、0.3%HClで1回、10%塩水で1回、洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過及び揮発物の除去後、イソプロパノール/エチルアセテートから粗材料を結晶化し、38.2gのカルバメート誘導体を生成した。
実施例5:
乾燥させた三首反応フラスコに、15.1gの(+)−ジヒドロテバイン、13gの重炭酸ナトリウム、及び113mLのクロロホルムを充填した。窒素下で、氷浴で10分間、撹拌後、反応混合物に10mLのフェニルクロロホルメートを添加した。5時間、50℃まで反応物を加熱した。その後、反応物にさらに8.3gの重炭酸ナトリウム及び6.6mLのフェニルクロロホルメートを添加した。さらに2時間、50℃で反応を継続させた。室温まで冷却後、反応物に300mLのジクロロメタンを添加した。固体を濾過して除去し、120mLの1.0N水酸化ナトリウム水溶液で3回、4%ギ酸3回、水で1回、有機濾液を洗浄し、その後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濾過及び揮発物の除去後、IPA中で粗材料を結晶化し、17.4gのカルバメート誘導体を生成した。
実施例6:N−エトキシカルボニルノルジヒドロテバインの合成
以下の反応スキームに従って、ジヒドロテバインからN−エトキシカルボニルノルジヒドロテバインを調製した。
25.03gの(−)−ジヒドロテバイン、28.08gのNaHCO及び175mLのエタノールを含まないクロロホルムの混合物に、23mLのエチルクロロホルメートを添加した。この結果、反応混合物が室温から33℃になった。50℃を超える温度で、4.5時間、混合物を維持し、その後、室温で一晩、撹拌した。氷中で混合物を冷却し、ゆっくりと300mLの水でクエンチした。分液漏斗及びフラスコに混合物を注入し、100mLの水で洗浄し、漏斗に添加した。層を分離させた。200mLのクロロホルムで水層を抽出した。25gのMgSOと、半時間、混合したクロロホルム相を撹拌した。濾過及び揮発物の除去後、98%の面積純度で35gの油カルバメート誘導体が生成された。
実施例7:ヒンダードアミンの存在下でのフェニルカルバメート誘導体の合成
以下の反応スキームに従って、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び/またはNaHCOの存在下で、フェニルクロロホルメートによってジヒドロテバインをジメチル化した。
当該反応では、ジクロロメタンの基質に対する容積と質量の比10:1で、2.5当量のフェニルクロロホルメートと(−)−ジヒドロテバイン(DHT)を反応させた。各反応に添加したDIPEA及び/またはNaHCOの量は、表2に示している。40℃で、2時間、反応を進行させた。表2にカルバメートの収率を示している。ヒンダードアミンを存在させた結果、基質のジメチル化化合物への転化率が高くなった。

実施例8:ヒンダードアミンの存在下でのクロロエチルカルバメート誘導体の合成
以下の反応スキームに従って、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び/またはNaHCOの存在下で、クロロエチルクロロホルメートによってジヒドロテバインをジメチル化した。
メタノールの基質に対する容積と質量の比10:1で、2.5当量の1−クロロエチル(chlorotheyl)クロロホルメートと、(−)−ジヒドロテバイン(DHT)を反応させた。各反応に添加したDIPEA及び/またはNaHCOの量は、表3に示している。40℃で、2時間、反応を進行させた。表3にカルバメートの収率を示している。ヒンダードアミンを存在させた結果、基質のジメチル化化合物への転化率が高くなった。

実施例9:N−フェノキシカルボニルノルジヒドロテバインの加水分解
以下の反応スキームに従って、N−フェノキシカルボニルジヒドロテバインをノルジヒドロテバインに加水分解した。
KOH、ノルジヒドロテバインフェニルカルバメート、プロピレングリコール(PPG;漏斗から離れたオピエート中で洗浄するために用いた)及び水の混合物を、半リットルのHastelloy Parr反応器に入れ、窒素でフラッシュし及び密封した。表4に、4つの別々の実験で用いた基質、KOH、PPG、及び水の量を示している。100℃を超える温度で、4時間、115〜125℃で少なくとも3時間、反応器を加熱した。室温まで冷却後、反応器に出発カルバメート1グラム当たり7.8mLの水を添加し、混合物を撹拌し、ビーカーに注入した。最少量の水で反応器の内部をすすぎ、ビーカー中の水混合物に添加した。氷浴で、カルバメート1グラム当たり9.4mLのジクロロメタンと混合物を撹拌した。層を分離させた。各回、カルバメート1グラム当たり6.2mLのジクロロメタンで4回、水層を抽出した。有機抽出物を混合した。混合した有機抽出物中の揮発物の除去後、油残留物が残った。カルバメート1グラム当たり9.4mLのジクロロメタン中で、油残留物を溶解し、その後、2M NaOHで洗浄し、ジクロロメタンを除去し、残留物にカルバメート1グラム当たり0.94mLのメタノールを添加した。全揮発物の除去後、出発カルバメート1グラム当たり3.75mLのエチルアセテート中で、残留油を再溶解した。混合物を撹拌し、冷却した。濾過によって得られた固体を採集し、エチルアセテートで洗浄し、真空下で乾燥させ、固体生成物が得られた。表4に生成したノルジヒドロテバインの量を示している。

実施例10:N−エトキシカルボニルノルジヒドロテバインの加水分解
以下の反応スキームに従って、ノルジヒドロテバインエチルカルバメートをノルジヒドロテバインに加水分解した。
40mLのイソプロパノール中に、35gの粗(−)−17−エチルカルボマチル−4,5−エポキシ−3−メトキシ−6−メトキシ−(5α)−モルフィナン−6−エン(29〜30gの所望の材料と残留溶媒と6gの追加の固体材料を含有すると推定される)を撹拌した。化合物の結晶化を開始し、化合物が溶解するまで混合物を加熱した。半リットルParr反応器に温かい混合物を注入し、20mLのイソプロパノールで出発容器をすすぎ、反応器に添加した。反応器に220mLのプロピレングリコール、80mLの水及び35gのKOHを添加した。反応器を窒素でフラッシュし、密閉した。最初にサンプリングする前に、120℃(全体で110〜125℃の範囲で)を超える温度で、計12時間、反応物を加熱した。HPLC面積によると、90%がノルジヒドロテバインであり、カルバメートの1.7%が残った。さらに2時間、110℃を超える温度で加熱すると、カルバメートの0.8%が残った。200mLの水で内容物を反応器から洗い出し、300mLのジクロロメタンと撹拌した。150mLのジクロロメタンで2回、水層を抽出した。ジクロロメタン抽出物を混合し、100mLの水で洗浄した。ロータリー蒸発すると、36gの油が得られた。125mLのエチルアセテート中でこれを加熱すると、固体が得られた。内容物をロータリー蒸発すると89gが得られた。氷浴で冷却し、続いて濾過すると、16.2gのノルジヒドロテバイン(58%)が得られた。
実施例11:ノルジヒドロテバインHCl塩の合成
結晶化することなく、加熱により50mLのイソプロパノール中で実施例10で調製した粗油(−)−ノルジヒドロテバインの試料(12.9g)を溶解した。温かい混合物に、4.4gの濃塩酸を添加した。固体を沈殿させた。室温で混合物を濾過し、冷たいイソプロパノールで洗浄した。オーブンで乾燥させると13.0gの(−)−ノルジヒドロテバイン塩酸塩が得られた。
実施例12:加水分解反応の変更
低温で加水分解反応を実施できるかどうかを決定するためにいくつかの異なる溶媒系を試験した。反応温度を低下させると、ガラスのアルカリ腐食を減少させることができる。出発カルバメートが低温で完全に溶解しなかった場合、相間移動剤を含めた。さらに、求核触媒が加水分解の速度を増加させるかどうかを決定するために求核触媒を試験した。
ひとつの実験では、水性水酸化カリウムとともに、プロピオニトリル及びプロピレングリコールの混合物と(+)−ノルジヒドロテバインフェニルカルバメートの方が、プロピレングリコール及び水性水酸化カリウムより80℃で溶解した(実施例9で用いたとおり)。加水分解の速度は、最初、80℃で、標準溶媒系と比較してプロピオニトリル及びプロピレングリコール溶媒系の方が速かった。しかしながら、反応が進行すると、プロピオニトリルが加水分解を開始し、水酸化カリウムを消費し、カルバメートの加水分解速度を低下させた。持続的に速い加水分解速度を維持するために水酸化カリウムの反応混合物への添加を計量することによって、この方法を変更することができると予測される。
もうひとつの実験では、標準プロピレングリコール溶媒混合物に、理論量以下のアルギニンを添加し、標準110℃で反応物を加熱した。ノルジヒドロテバインフェニルカルバメートが、1時間以内で完全に加水分解してノルジヒドロテバインとなるのが認められた。同じ溶媒及び温度条件で、加水分解しない反応での3時間と比較して45分間であった。
さらに、ジオキサン及び水を含む溶媒系を用いた。反応混合物が、80℃で完全に混和しなかったので、当該反応は、この温度で遅い加水分解速度を示した。その後、相間移動剤としてテトラブチルアンモニウムブロミドを添加した。加水分解速度が、80℃で劇的に増加するのが認められた。さらに、理論量以下のイミダゾールを含有した、反応混合物が、加水分解しない反応混合物の速度の2倍の速さであった加水分解速度を示した。もうひとつの実験では、ジオキサン及びプロピレングリコールの混合物が、80℃で水、水酸化カリウム、及び基質と単一相を形成するのが認められた。
さらにもうひとつの実験では、水性水酸化カリウム及び基質とジオキサン及びピリジンの混合物を混合した。80℃で、理論量以下のイミダゾールを含有する反応混合物は、加水分解するのが、加水分解しない反応より2.6倍速いことが認められた。80℃で、テトラブチルアンモニウムブロミドを含有する反応混合物は、加水分解するのが、加水分解しない反応より1.6倍速いことが認められた。イミダゾールが求核触媒であり、及びテトラブチルアンモニウムブロミドが相間移動剤であるので、2つの物質は2つの異なる機序によって反応を加速するはずである。このため、これらの2つの物質の組合せが加成的である、またはさらに協調作用があると予測される。
実施例13:テトラブチルアンモニウム塩による加水分解
以下の反応に従って、中性条件下で、環状−エチレンアセタール−N−フェノキシカルボニルノルジヒドロコデイノンを環状−エチレンアセタール−ノルジヒドロコデイノンに加水分解した。
溶媒の基質に対する容積と質量の比10:1で、溶媒と(+)−環状−エチレンアセタール−N−フェノキシカルボニルノルジヒドロコデイノンを混合した。これに、THF中の容積1.0Mのテトラブチルアンモニウムフルオリドを添加した。表5に各反応で用いた溶媒及びテトラブチルアンモニウムフルオリドの量を示している。THFが蒸留除去される第1の温度まで、油浴中で得られた混合物を加熱した。その後、第2の温度で窒素下で特定の時間、反応混合物を維持した。表5に温度及び時間を示している。HPLCにより生成物を分析し、各反応の収率(すなわち、生成物の積分面積)を表5に示している。中性加水分解条件下で高収率のノルジヒドロコデイノンが得られた。

実施例14:ノルブプレノルフィンの合成
以下の反応スキームに従って、ノルブプレノルフィンを調製することができる。
第1のステップでは、約1.5〜3当量のフェニルクロロホルメート及び約3〜4当量の重炭酸ナトリウムと、N−メチル−3−O−メチルブプレノルフィンを接触させることができ、約20〜80℃の温度で反応を実施することができる。第2のステップでは、約6〜8当量のKOH及び約7〜10当量のジエチレングリコールとN−フェノキシカルボニル−3−O−メチルブプレノルフィンを接触させることができ、約110〜125℃の温度で反応を実施することができる。標準的方法を用いて反応混合物から3−O−メチルノルブプレノルフィンを単離することができる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(III)を含む化合物の調製方法であって、前記方法が、(a)式(I)を含む化合物をヒドロカルビルハロホルメート、XC(O)OR18、及びヒンダード第三級アミンと接触させ、式(II)を含む化合物を形成すること;及び(b)以下の反応スキームに従って、式(II)を含む化合物を加水分解剤と接触させ、式(III)を含む化合物を形成することを含み、

式中:Aが、酸素、硫黄、または窒素であり;Rが、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R、R、及びRが、独立して水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、独立して、水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;#が6、7、8、10、15、16のいずれかである、R#a及びR#bの任意の対が、任意で{=}O、{=}S、{=}CH、{=}NR1612、または、nが1以上の整数である、{−}O(CHO{−}から選択される部分をともに形成し;R18が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R1611及びR1612が、独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;Xがハロゲンであり;R、R、R、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bのうちのひとつ以上が、炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、またはこれらの組合せから選択される環または環系の一部を形成することができ;位置6及び7、7及び8、ならびに8及び14の炭素原子間の破線は、(a)全炭素原子間の単結合、任意でRの対及びR14のひとつがアルカン架橋を形成する;(b)位置7及び8ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、Rの対のひとつだけが存在する、位置6及び7の炭素間の二重結合;(c)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、R及びRの各対のひとつだけが存在する、位置7及び8の炭素間の二重結合;または(d)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の二重結合、及び、R、R、及びRの各対のひとつだけが存在し、R14が存在しない、位置7及び8の炭素間の単結合から選択される炭素−炭素結合を表す、前記方法。
(項目2)
Aが酸素であり;Rがメチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはアリルであり;Rが、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり;R、R、R、R8a8b、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、存在する場合、水素であり;R14が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611であり、またはRの対のひとつとアルカン架橋を形成し、R18が、アルキル、ハロ−置換アルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アリール、または置換アリールである、項目1に記載の方法。
(項目3)
6aが、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611、または{−}NR16111612であり、R6bが水素であり、またはR6a及びR6bがともに{=}O、{=}CH、または{−}O(CHO{−}を形成し、R7a及びR7bが水素であり、R14が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり;またはR6aが{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、R6b及びR14がアルカン架橋を形成し、R7aがアルキルまたは置換アルキルであり、R7bが水素である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記ヒドロカルビルハロホルメートがアルキルハロホルメート、ハロ−置換アルキルハロホルメート、アルケニルハロホルメート、アルコキシアルキルハロホルメートまたはアリールハロホルメートであり;前記ヒンダード第三級アミンがN,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジイソプロピル−2−エチルブチルアミン;N,N−ジイソプロピル−3−ペンチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエチルアミン、N−エチルピペリジン(piperdine)、またはこれらの組合せであり;前記式(I)を含む化合物の前記ヒドロカルビルハロホルメートと前記ヒンダード第三級アミンに対するモル比が、約1:1:1〜約1:3:3である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
ステップ(a)が、さらに無機プロトン受容体を含み、前記無機プロトン受容体が無機塩であり、前記ヒンダード第三級アミンの前記無機塩に対するモル比が約1:7〜約1:8である、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
ステップ(a)がジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(I)を含む化合物に対する容積と質量の比が、約2:1〜約20:1であり;ステップ(a)が約20℃〜約60℃の温度で実施される、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記加水分解剤が第四級アンモニウム塩であり;式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比が約1:20〜約1:80であり;ステップ(b)がジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピルアミド、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比が約5:1〜約20:1であり;ステップ(b)が約70℃〜約100℃の温度で実施される、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記加水分解剤が求核剤であり;前記求核剤がアルカリ金属水酸化物であり;前記式(II)を含む化合物の前記アルカリ金属水酸化物に対するモル比が約1:5〜約1:10である、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
ステップ(b)がグリコールを含む溶媒系の存在下で実施され、かつステップ(b)が約100℃〜約130℃の温度で実施される、またはステップ(b)がアセトニトリル、ジオキサン、プロピオニトリル、ピリジン、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され、かつステップ(b)が約60℃〜約100℃の温度で実施される、項目8に記載の方法。
(項目10)
さらに求核触媒、相間移動剤、またはこれらの組合せを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
ステップ(a)及び(b)が、前記の式(II)を含む化合物の単離なしで、単一の反応ポット中で実施される、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記の式(I)、(II)、及び(III)を含む化合物が、独立して、(−)または(+)の光学活性を有し;C−15及びC−16炭素がともに分子のα面または分子のβ面にあるならば、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSである、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
ステップ(a)が省略され、前記加水分解剤が第四級アンモニウム塩である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比が約1:20〜約1:80であり;前記方法がジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピルアミド、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比が約5:1〜約20:1であり;前記方法が約70℃〜約100℃の温度で実施される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記の式(II)及び(III)を含む化合物が、独立して、(−)または(+)の光学活性を有し;C−15及びC−16炭素がともに分子のα面または分子のβ面にあるならば、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSである、項目13または14に記載の方法。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目がさらに提供される。
(項目1)
式(III)を含む化合物の調製方法であって、前記方法が、(a)式(I)を含む化合物をヒドロカルビルハロホルメート、XC(O)OR 18 、及びヒンダード第三級アミンと接触させ、式(II)を含む化合物を形成すること;及び(b)以下の反応スキームに従って、式(II)を含む化合物を第四級アンモニウム塩と接触させ、式(III)を含む化合物を形成することを含み、

式中:Aが、酸素、硫黄、または窒素であり;Rが、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R 、R 、及びR が、独立して水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR 1611 、{−}SH、{−}SR 1611 、{−}NHR 1611 、{−}NR 1611 1612 、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;R 、R 6a 、R 6b 、R 7a 、R 7b 、R 8a 8b 、R 、R 10a 、R 10b 、R 14 、R 15a 、R 15b 、R 16a 、及びR 16b が、独立して、水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR 1611 、{−}SH、{−}SR 1611 、{−}NHR 1611 、{−}NR 1611 1612 、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;#が6、7、8、10、15、16のいずれかである、R #a 及びR #b の任意の対が、任意で{=}O、{=}S、{=}CH 、{=}NR 1612 、または、nが1以上の整数である、{−}O(CH O{−}から選択される部分をともに形成し;R 18 が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R 1611 及びR 1612 が、独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;Xがハロゲンであり;R 、R 、R 、R 、R 6a 、R 6b 、R 7a 、R 7b 、R 8a 8b 、R 、R 10a 、R 10b 、R 14 、R 15a 、R 15b 、R 16a 、及びR 16b のうちのひとつ以上が、炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、またはこれらの組合せから選択される環または環系の一部を形成することができ;位置6及び7、7及び8、ならびに8及び14の炭素原子間の破線は、(a)全炭素原子間の単結合、任意でR の対及びR 14 のひとつがアルカン架橋を形成する;(b)位置7及び8ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、R の対のひとつだけが存在する、位置6及び7の炭素間の二重結合;(c)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、R 及びR の各対のひとつだけが存在する、位置7及び8の炭素間の二重結合;または(d)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の二重結合、及び、R 、R 、及びR の各対のひとつだけが存在し、R 14 が存在しない、位置7及び8の炭素間の単結合から選択される炭素−炭素結合を表す、前記方法。
(項目2)
Aが酸素であり;Rがメチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはアリルであり;R が、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR 1611 であり;R 、R 、R 、R 8a 8b 、R 、R 10a 、R 10b 、R 15a 、R 15b 、R 16a 、及びR 16b が、存在する場合、水素であり;R 14 が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR 1611 であり、またはR の対のひとつとアルカン架橋を形成し、R 18 が、アルキル、ハロ−置換アルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アリール、または置換アリールである、項目1に記載の方法。
(項目3)
6a が、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR 1611 、または{−}NR 1611 1612 であり、R 6b が水素であり、またはR 6a 及びR 6b がともに{=}O、{=}CH 、または{−}O(CH O{−}を形成し、R 7a 及びR 7b が水素であり、R 14 が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR 1611 であり;またはR 6a が{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR 1611 であり、R 6b 及びR 14 がアルカン架橋を形成し、R 7a がアルキルまたは置換アルキルであり、R 7b が水素である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記ヒドロカルビルハロホルメートがアルキルハロホルメート、ハロ−置換アルキルハロホルメート、アルケニルハロホルメート、アルコキシアルキルハロホルメートまたはアリールハロホルメートであり;前記ヒンダード第三級アミンがN,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジイソプロピル−2−エチルブチルアミン;N,N−ジイソプロピル−3−ペンチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエチルアミン、N−エチルピペリジン(piperdine)、またはこれらの組合せであり;前記式(I)を含む化合物の前記ヒドロカルビルハロホルメートと前記ヒンダード第三級アミンに対するモル比が、約1:1:1〜約1:3:3である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
ステップ(a)が、さらに無機プロトン受容体を含み、前記無機プロトン受容体が無機塩であり、前記ヒンダード第三級アミンの前記無機塩に対するモル比が約1:7〜約1:8である、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
ステップ(a)がジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(I)を含む化合物に対する容積と質量の比が、約2:1〜約20:1であり;ステップ(a)が約20℃〜約60℃の温度で実施される、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比が約1:20〜約1:80であり;ステップ(b)がジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピルアミド、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比が約5:1〜約20:1であり;ステップ(b)が約70℃〜約100℃の温度で実施される、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
ステップ(a)及び(b)が、前記の式(II)を含む化合物の単離なしで、単一の反応ポット中で実施される、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記の式(I)、(II)、及び(III)を含む化合物が、独立して、(−)または(+)の光学活性を有し;C−15及びC−16炭素がともに分子のα面または分子のβ面にあるならば、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
ステップ(a)が省略される、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
式(II)を含む化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比が約1:20〜約1:80であり;前記方法がジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピルアミド、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(II)を含む化合物に対する容積と質量の比が約5:1〜約20:1であり;前記方法が約70℃〜約100℃の温度で実施される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記の式(II)及び(III)を含む化合物が、独立して、(−)または(+)の光学活性を有し;C−15及びC−16炭素がともに分子のα面または分子のβ面にあるならば、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSである、項目10または11に記載の方法。

Claims (12)

  1. 式(III)化合物の調製方法であって、前記方法が、(a)式(I)化合物をヒドロカルビルハロホルメート、XC(O)OR18、及びヒンダード第三級アミンと接触させ、式(II)化合物を形成すること;及び(b)以下の反応スキームに従って、式(II)化合物を第四級アンモニウム塩と接触させ、式(III)化合物を形成することを含み、

    式中:Aが、酸素、硫黄、または窒素であり;Rが、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;R、R、及びRが、独立して水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、独立して、水素、アミノ、ハロゲン、{−}OH、{−}OR1611、{−}SH、{−}SR1611、{−}NHR1611、{−}NR16111612、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;#が6、7、8、10、15、16のいずれかである、R#a及びR#bの任意の対が、任意で{=}O、{=}S、{=}CH、{=}NR1612、または、nが1以上の整数である、{−}O(CHO{−}から選択される部分をともに形成し;R18が、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、R1611及びR1612が、独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;Xがハロゲンであり;R、R、R、R、R6a、R6b、R7a、R7b、R8a8b、R、R10a、R10b、R14、R15a、R15b、R16a、及びR16bのうちのひとつ以上が、炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、またはこれらの組合せから選択される環または環系の一部を形成することができ;位置6及び7、7及び8、ならびに8及び14の炭素原子間の破線は、(a)全炭素原子間の単結合、任意でRの対及びR14のひとつがアルカン架橋を形成する;(b)位置7及び8ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、Rの対のひとつだけが存在する、位置6及び7の炭素間の二重結合;(c)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の単結合、及び、R及びRの各対のひとつだけが存在する、位置7及び8の炭素間の二重結合;または(d)位置6及び7ならびに8及び14とも炭素間の二重結合、及び、R、R、及びRの各対のひとつだけが存在し、R14が存在しない、位置7及び8の炭素間の単結合から選択される炭素−炭素結合を表す、前記方法。
  2. Aが酸素であり;Rがメチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、またはアリルであり;Rが、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり;R、R、R、R8a8b、R、R10a、R10b、R15a、R15b、R16a、及びR16bが、存在する場合、水素であり;R14が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611であり、またはRの対のひとつとアルカン架橋を形成し、R18が、アルキル、ハロ−置換アルキル、アルコキシアルキル、アルケニル、アリール、または置換アリールである、請求項1に記載の方法。
  3. 6aが、{−}OH、{−}O−アルキル、{−}OR1611、または{−}NR16111612であり、R6bが水素であり、またはR6a及びR6bがともに{=}O、{=}CH、または{−}O(CHO{−}を形成し、R7a及びR7bが水素であり、R14が水素、{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり;またはR6aが{−}OH、{−}O−アルキル、または{−}OR1611であり、R6b及びR14がアルカン架橋を形成し、R7aがアルキルまたは置換アルキルであり、R7bが水素である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ヒドロカルビルハロホルメートがアルキルハロホルメート、ハロ−置換アルキルハロホルメート、アルケニルハロホルメート、アルコキシアルキルハロホルメートまたはアリールハロホルメートであり;前記ヒンダード第三級アミンがN,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジイソプロピル−2−エチルブチルアミン;N,N−ジイソプロピル−3−ペンチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエチルアミン、N−エチルピペリジン(piperdine)、またはこれらの組合せであり;前記式(I)化合物の前記ヒドロカルビルハロホルメートと前記ヒンダード第三級アミンに対するモル比が、:1:1〜:3:3である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ステップ(a)が、さらに無機プロトン受容体を含み、前記無機プロトン受容体が無機塩であり、前記ヒンダード第三級アミンの前記無機塩に対するモル比が:7〜:8である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ステップ(a)がジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(I)化合物に対する容積と質量の比が、:1〜0:1であり;ステップ(a)が0℃〜0℃の温度で実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 式(II)化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比が:20〜:80であり;ステップ(b)がジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピルアミド、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(II)化合物に対する容積と質量の比が:1〜0:1であり;ステップ(b)が0℃〜00℃の温度で実施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップ(a)及び(b)が、前記(II)化合物の単離なしで、単一の反応ポット中で実施される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  9. 前記(I)の化合物(II)の化合物、及び(III)化合物が、独立して、(−)または(+)の光学活性を有し;C−15及びC−16炭素がともに分子のα面または分子のβ面にあるならば、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSである、前記請求項のいずれかに記載の方法。
  10. ステップ(a)が省略される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  11. 式(II)化合物の第四級アンモニウム塩に対するモル比が:20〜:80であり;前記方法がジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピルアミド、またはこれらの組合せから選択される溶媒の存在下で実施され;前記溶媒の前記式(II)化合物に対する容積と質量の比が:1〜0:1であり;前記方法が0℃〜00℃の温度で実施される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記の式(II)の化合物及び(III)化合物が、独立して、(−)または(+)の光学活性を有し;C−15及びC−16炭素がともに分子のα面または分子のβ面にあるならば、C−5、C−13、C−14、及びC−9の立体配置が、それぞれ、RRRR、RRSR、RRRS、RRSS、RSRR、RSSR、RSRS、RSSS、SRRR、SRSR、SRRS、SRSS、SSRR、SSSR、SSRS、またはSSSSである、請求項10または11に記載の方法。
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