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JP6380174B2 - 銀めっき付き銅端子材及び端子 - Google Patents

銀めっき付き銅端子材及び端子 Download PDF

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Description

本発明は、銅又は銅合金からなる基材に銀めっきを施した銀めっき付き銅端子材及びそのような銀めっきを施した端子に関する。
ハイブリットカーや電気自動車ではモーターを動力とするため、バッテリーとモーター間を接続する高圧ケーブルに流れる電流量は、従来の自動車電気配線のものよりも飛躍的に増大している。高圧ケーブルの端末には組立時と整備時に取り外しするための端子が取り付けられることがある。この端子は大電流が流れた際に接点部で発生する発熱を抑えるため接点部に銀めっきが施されるとともに、大型で非常に高い接圧に設定されるため、挿抜時に端子の銀めっきが削れないように硬度が高いことが求められる。また、当該箇所は通電電流量が大きいためジュール熱の発生が不可避であり、熱負荷がかかった際の接触抵抗上昇がないことが求められている。
特許文献1には、銅又は銅合金からなる母材の表面が銀めっき層により被覆されているコネクタ用銀めっき端子において、銀めっき層が、下層側の第一の銀めっき層と、該第一の銀めっき層の上層側の第二の銀めっき層とからなり、第一の銀めっき層の結晶粒径が第二の銀めっき層の結晶粒径よりも大きく、平均粒径で2μm以上であるものが開示されている。特許文献1に開示の端子においては、銀めっき層を下層と上層とに分け、母材側の銀めっき層の結晶粒を肥大なものとして銅の拡散を防ぎ、表面側の銀めっき層の結晶粒を微細なものとすることで耐摩耗性を保持しつつも、接触抵抗の悪化を防ごうとしている。
また、特許文献2には、素材上に{111}面と{200}面と{220}面と{311}面の各々のX線回折強度の和に対する{200}面のX線回折強度の割合が40%以上である第1の銀めっき層が形成され、この第1の銀めっき層上にビッカース硬度Hv140以上でアンチモンを含む第2の銀めっき層が形成されている銀めっき材が開示されている。結晶方位を制御した第1の銀めっき層の上にアンチモン含有銀めっき層を形成することで、接触抵抗の悪化を防ぎつつも耐摩耗性を向上している。
さらに、特許文献3では、素材の表面または素材上に形成された下地層の表面に、銀からなる表層が形成された銀めっき材において、表層の{200}方位の面積分率が15%以上であるものが開示されており、曲げ加工性が良好であり且つ高温環境下で使用しても接触抵抗の上昇を抑制することができると記載されている。
特開2008−169408号公報 特開2013−189680号公報 特開2014−198895号公報
しかしながら特許文献1に開示の構成では熱負荷がかかった際に銀が再結晶してしまい、表面側の微細結晶粒を保持できず、挿抜時に表面側の銀めっき層が削れてしまう問題がある。また、特許文献2に開示の銀めっき材では、アンチモン含有銀めっき層の再結晶は抑えられるものの、熱負荷がかかった際に表面でアンチモン酸化皮膜が形成されて接触抵抗が上昇してしまう問題があった。特許文献3に開示の銀めっき材においても、熱負荷時の再結晶化の抑制効果はまだ不十分であった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、熱負荷時の銀めっき層の再結晶化を抑制して、挿抜時の銀めっき層の削れを防止するとともに、接触抵抗の上昇を抑制することを目的とする。
本発明の銀めっき付き銅端子材は、銅又は銅合金からなる基材に銀めっき層が形成された端子材であって、前記銀めっき層は、炭素が0.1質量%以上0.6質量%以下の含有率で共析しているとともに、銀結晶組織の平均結晶粒径が2μm以上25μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が60%以上85%以下である。
この銀めっき付き銅端子材は、銀めっき層中に炭素が上記の質量比率で共析していることにより、この炭素の析出物によるピン止め効果によって熱負荷がかかったときの再結晶化が阻止される。したがって、銀結晶組織の微細な結晶粒が維持されることから、銀めっき層が軟化せずにコネクタとしての挿抜時の削れを防止することができる。この場合、炭素の含有量が0.1質量%未満では硬度を保つ効果がなく、0.6質量%を超えると銀めっき層が脆くなり加工性が悪化する。また、平均結晶粒径が2μm未満では銀めっき層が脆くなって加工性が悪化し、25μmを超えると硬度が低下して耐摩耗性が悪化する。
特殊粒界は一般粒界よりも原子の整合性が高いため、粒界拡散を起こしがたい。このため粒界拡散の観点からは特殊粒界の長さ比率がなるべく高い方がよく、最低60%以上必要である。一方で、特殊粒界の長さ比率が85%を超えると硬度が保てなくなる。
本発明の銀めっき付き銅端子材において、前記銀めっき層は、シュミットファクターの値が0.45未満である結晶粒が、表面の面積比率で30%以上含有しているとよい。ここでのシュミットファクターは端子材の板厚方向に平行な圧縮力を加える条件において解析される値である。
シュミットファクターが小さい結晶粒は変形し難いため、このような結晶粒が多い金属組織は、塑性変形し難く強度が高くなる。このためシュミットファクターの値が0.45未満の結晶粒が面積率で30%以上を占めると、銀めっき層の強度が高まり、耐摩耗性が向上する。30%未満では耐摩耗性を向上させる効果が乏しい。
従来のアンチモン添加型の銀めっきでは平均結晶粒径を2μm以下と非常に微細化することで高い硬度を得ていたが、この手法で得た銀めっき皮膜は脆く曲げ加工性が劣るという問題があったところ、本発明では、シュミットファクターの値を最適に制御することで、平均結晶粒径が2μm以上であっても比較的高い硬さを保持し、さらに加工性が良好な銀めっき皮膜を得ることができる。
本発明の銀めっき付き銅端子材において、前記銀めっき層の厚みは1μm以上70μm以下であるとよい。銀めっき層の厚みが1μm未満であると、下地である基材からの銅の拡散を防ぐことが難しく、銅の拡散により接触抵抗の増大を招くおそれがある。一方、銀めっき層の厚みが70μmを超えると加工性が悪化するおそれがある。
本発明の銀めっき付き銅端子材において、前記基材と前記銀めっき層との間に厚み0.3μm以上2μm以下のニッケルめっき層が形成されており、前記銀めっき層は前記ニッケルめっき層の上に積層されているとよい。下地めっき層としてのニッケルめっき層は、基材からの銅の拡散をより防ぐ効果があり、その厚みが0.3μm以上あると効果的である。一方で、このニッケルめっき層は靱性に乏しいため、厚みが2μmを超えると割れやすくなり、加工性が悪化するおそれがある。
本発明の銀めっき付き銅端子材において、前記基材と前記銀めっき層との間に、前記基材から順に銅錫合金層、錫層が積層されているとよい。端子材として一般的に用いられるリフロー錫めっき端子材に本発明を適用することで、はんだ付け性等にも優れる端子を得ることができる。
本発明の銀めっき付き銅端子は、銅又は銅合金からなる基材に銀めっき層が形成された端子であって、前記銀めっき層は、炭素が0.1質量%以上0.6質量%以下共析しているとともに、銀結晶組織の平均結晶粒径が2μm以上25μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が60%以上85%以下である。
この場合、基材に銀めっき層を形成してから端子に成形してもよいし、基材により端子を成形した後に銀めっき層を形成してもよい。また、端子として電線と接続される部分と他の端子等に挿抜される部分とに分けたときに、挿抜される部分にのみ銀めっき層を形成してもよい。
本発明の銀めっき付き端子材によれば、炭素共析によるピン止め効果により、熱負荷がかかった際の再結晶が阻止され、銀めっき層が軟化しないので、コネクタとしての挿抜時の削れの発生が防止され、また、基材からの銅の粒界拡散を防ぎ、低い接触抵抗を維持することができる。
本発明の実施形態の銀めっき付き銅端子材を説明する。
本実施形態の銀めっき付き銅端子材は、銅又は銅合金からなる基材上にニッケルめっき層を介して銀めっき層が形成されている。
基材は、銅又は銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。
ニッケルめっき層は、基材の上に銀めっき層を形成する前の下地層として、基材にニッケル又はニッケル合金を電解めっきすることにより形成される。このニッケルめっき層は、基材からの銅の拡散を防ぐ効果があり、その厚みが0.3μm以上存在すると効果的である。一方で、このニッケルめっき層は靱性に乏しいため、厚みが2μmを超えると割れやすくなり、加工性が悪化するおそれがある。
銀めっき層は、炭素が0.1質量%以上0.6質量%以下の含有率で共析しているとともに、銀結晶組織の平均結晶粒径が2μm以上25μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が60%以上85%以下である。
銀めっき層中に炭素が上記の質量比率で共析していることにより、この炭素の析出物によるピン止め効果によって熱負荷がかかったときの再結晶化が阻止される。したがって、銀結晶組織の微細な結晶粒が維持されることから、軟化せずにコネクタとしての挿抜時の削れを防止することができる。この場合、炭素の含有量が0.1質量%未満では硬度を保つ効果がなく、0.6質量%を超えると銀めっき層が脆くなり加工性が悪化する。
銀結晶組織の平均結晶粒径が2μm未満では銀めっき層が脆くなって加工性が悪化し、25μmを超えると硬度が低下して耐摩耗性が悪化する。この平均結晶粒径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)による後方散乱電子線回折(Electron Backscatter Diffraction Pattern:EBSD又はEBSP)法にて銀めっき層表面から測定することができる。
特殊粒界は一般粒界よりも原子の整合性が高いため、粒界拡散を起こしがたい。このため粒界拡散の観点からは特殊粒界の長さ比率がなるべく高い方がよく、最低60%以上必要である。一方で、特殊粒界の長さ比率が85%を超えると硬度が保てなくなる。
ここで、特殊粒界とは、「Trans.Met.Soc.AIME,185,501(1949)」に基づき定義されるΣ値で3≦Σ≦29に属する対応粒界であって、かつ、「Acta.Metallurgica.Vol.14,p.1479,(1966)」で述べられている当該対応粒界における固有対応部位格子方位欠陥Dqが、Dq≦15°/Σ1/2を満たす結晶粒界であるとして定義される。
特殊粒界の長さ比率は、EBSD法にて測定した、表面の結晶粒の粒界のうち、全結晶粒の全粒界長さLを単位面積1mm当たりに換算した単位全粒界長さLに対する、特殊粒界の全特殊粒界長さLσを単位面積1mm当たりに換算した単位全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)である。
EBSD測定装置(HITACHI製 S4300−SE,EDAX/TSL社製 OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社製 OIM Data Analysis ver.5.2)とを用いて、試料表面から得られる「菊池線」と呼ばれる電子線の回折パターンに関する情報を解析することにより、結晶粒界、特殊粒界を特定し、単位全粒界長さLおよび単位全特殊粒界長さLσを求めることができる。
また、この銀めっき層は、シュミットファクターの値が0.45未満である結晶粒が、表面の面積比率で30%以上含有していることが好ましい。このシュミットファクターについては、銀めっき浴として、シアン化カリウムとシアン化銀やシアン化銀カリウムを主成分とするカリウム浴に特定の有機添加剤を加えることで、結晶の成長方位を制御し、所望の値を得ることができる。
金属組織学において塑性変形は、結晶の原子密度が細密な面、いわゆるすべり面がすべり、結晶が変形することに起因する。このすべり面のすべりやすさの指標がシュミットファクター(最大は0.5)である。材料の引張り方向と結晶すべり面の法線の角度(θ)、及び引張り方向と結晶のすべり方向の角度(φ)により決定されるものであり(シュミットファクター=cos(θ)cos(φ))、それぞれの角度が45°の時に、シュミットファクターは最大値(0.5)となる。
このシュミットファクターも、EBSD法で測定して得られたデータを上記のソフトを使って解析することで算出でき、加える応力に対する各結晶粒における所定のシュミットファクターの値、もしくは所定のシュミットファクターの値の範囲の結晶粒が測定領域内に占める割合を面積率で算出することができる。
本発明の端子材は、多結晶体であるので、銀めっき層内に複数の結晶粒が存在しており、その複数の結晶粒はそれぞれの結晶方位を有する。ここで各結晶粒の方位が異なると、すべり面の向きが異なる、つまり様々なシュミットファクターの結晶粒が存在していることになる。シュミットファクターが小さい結晶粒は、シュミットファクターを解析する際に規定した方向の応力に対して変形し難いため、このような結晶粒が多い金属組織は、塑性変形し難く強度が高くなる。このためシュミットファクターの値が0.45未満の結晶粒が面積率で30%以上を占めると、銀めっき層の強度が高まり、耐摩耗性が向上する。30%未満では耐摩耗性を向上させる効果が乏しい。
さらに、銀めっき層の厚みは、1μm以上70μm以下が好ましい。厚みが1μm未満であると、下地である基材からの銅の拡散を防ぐことが難しく、銅の拡散により接触抵抗の増大を招くおそれがある。一方、銀めっき層の厚みが70μmを超えると加工性が悪化するおそれがある。
このように構成される銀めっき付き銅端子材は、銅又は銅合金からなる基材に、脱脂、酸洗等の処理をすることによって表面を清浄にした後、ニッケルめっき、銀めっきを順に施すことにより製造される。
ニッケルめっきは、一般的なニッケルめっき浴を用いればよく、硫酸ニッケル(NiSO)、ホウ酸(HBO)を主成分としたワット浴、スルファミン酸ニッケル(Ni(NHSO))、ホウ酸(HBO)を主成分としたスルファミン酸浴等が用いられる。酸化反応を起こし易くする塩類として塩化ニッケル(NiCl)などが加えられる場合もある。また、浴の温度は40℃以上55℃以下、電流密度は1A/dm以上40A/dm以下とされる。
銀めっきは、一般的な銀めっき浴であるシアン化銀めっき浴に、皮膜の組織を所望の形とするためにめっき膜中に取り込まれやすい有機添加剤を添加すればよい。有機添加剤としては、例えば、2,2チオエタノールなどのチオアルコール類、ベンゾチアゾール類、ベンゾトリアゾールなどのアゾール類、イミダゾールなどのイミダゾール類を用いることができる。この有機添加剤の添加濃度は0.1g/L以上10g/L以下とするのがよい。シアン化銀めっき浴にはシアン化カリウムとシアン化銀やシアン化銀カリウムを主成分とするカリウム浴とシアン化ナトリウムとシアン化銀やシアン化銀ナトリウムを主成分とするナトリウム浴が従来から用いられているが、本発明ではカリウム浴を用いることが望ましい。カリウム浴とナトリウム浴では結晶の優先成長方位が異なり、ナトリウム浴ではシュミットファクターの小さい結晶粒の比率が少なくなり、強度が劣る傾向がある。銀めっき浴の温度は15℃以上35℃以下、電流密度は0.1A/dm以上10A/dm以下とされる。なお、この銀めっきの前に、いわゆる銀ストライクめっきを施してもよく、めっき層の密着性を高めることができる。
以上のめっき浴を用いて基材の上にニッケルめっき及び銀めっきを順に施すことにより、銀めっき付き銅端子材を得ることができ、この端子材は、プレス加工により、端子に成形される。大電流の通電による発熱等が生じる場合でも、銀めっき層の再結晶化が抑制され、挿抜時の銀めっき層の削れを防止するとともに、接触抵抗の上昇を抑制することができる。
なお、実施形態では、ニッケルめっきを下地として形成してから銀めっき層を形成したが、ニッケルめっき層を省略することは可能である。ただし、ニッケルめっき層を下地として形成しておくことにより、基材からの銅の拡散をより効果的に防止することができる。
また、端子材として銀めっき層を形成したものを端子に成形したが、銀めっき層を形成していない基材を端子に成形した後に銀めっき層を形成してもよい。その場合、端子の必要な部分(例えば接点部)のみに銀めっき層を形成することも可能である。
また、本発明は、一般に端子材として用いられているリフロー錫めっき端子材を適用することも可能である。例えば、基材に銅めっき、錫めっきを順に施した後にリフロー熱処理をし、その後、ニッケルめっきを施して銀めっき層を形成することにより、製造することができ、はんだ付け性等にも優れる端子を得ることができる。この場合も、リフロー錫めっき端子材に対して、端子に成形した後に、本発明の銀めっき層を部分的に形成することが可能であり、例えば、端子のうちはんだ付けされる部分は表面をリフロー錫めっき層とし、その他の部分を銀めっき層とすることができる。
また、基材を端子に成形した後に、必要な部分にのみ錫めっき及び銀めっきを施すことも可能であるが、リフロー錫めっき端子材を製造した後に、銀めっき層を部分的に形成すれば、部分的な錫めっきと銀めっきとを二回実施する場合に比べて生産性がよい。
基材の銅板に、脱脂、酸洗した後、ニッケルめっき、銀めっきを施した。
ニッケルめっき浴の組成としては、スルファミン酸ニッケル400g/L、臭化ニッケル5g/L、ホウ酸35g/Lとし、浴温45℃、電流密度は5A/dmとした。
銀めっき浴の組成としては、シアン化カリウム130g/L、シアン化銀50g/L、炭酸カリウム15g/L、非イオン性界面活性剤1g/L、及び表1に示す添加剤を表1に示す濃度で添加したものを用いた。浴温は25℃、電流密度は表1に示す通りとした。また、この銀めっきの前に、3g/Lのシアン化銀と90g/Lのシアン化カリウムからなる銀ストライクめっき浴中で電流密度2.5A/dmにて10秒の銀ストライクめっき処理を実施した。
表1中、試料1〜7は基材として無酸素銅を用い、試料8は、市販されているリフロー錫めっき端子材を用いた。
試料9は、基材として無酸素銅を用い、銀めっき浴の組成はナトリウム浴とした。浴組成としては、シアン化ナトリウム120g/L、シアン化銀40g/L、炭酸カリウム15g/L、非イオン性界面活性剤1g/L、及び表1に示す添加剤を表1に示す濃度で添加したものを用いた。浴温は25℃、電流密度は表1に示す通りとした。また、この銀めっきの前に、3g/Lのシアン化銀と90g/Lのシアン化カリウムからなる銀ストライクめっき浴中で電流密度2.5A/dmにて10秒の銀ストライクめっき処理を実施した。
また、試料10は比較例として、上記の銀めっきではなく、公知の硬質銀めっきであるアンチモン添加型の銀めっきを施した。この試料10では、基材として無酸素銅を用い、銀めっき浴はナトリウム浴とした。浴組成としては、シアン化ナトリウム120g/L、シアン化銀40g/L、炭酸カリウム15g/L、非イオン性界面活性剤1g/L、及びアンチモン源として表1に示す酒石酸アンチモニルカリウムを表1に示す濃度で添加したものを用いた。浴温は25℃、電流密度は表1に示す通りとした。また、この銀めっきの前に、3g/Lのシアン化銀と90g/Lのシアン化カリウムからなる銀ストライクめっき浴中で電流密度2.5A/dmにて10秒の銀ストライクめっき処理を実施した。
Figure 0006380174
表1のように作製した各試料の銀めっき層における炭素含有量、銀結晶組織の平均結晶粒径、特殊粒界長さ比率、シュミットファクター0.45未満の結晶粒が占める面積割合、銀めっき層及びニッケルめっき層の厚みをそれぞれ測定した。
炭素含有量は、EPMA((Electron Probe Micro Analyzer)を用いて銀めっき層表面の定量分析により測定した。
平均結晶粒径は、銀めっき層表面に電子線を走査し、EBSD法の方位解析により、特殊粒界も含めて全結晶粒界を特定し、面積割合(Area Fraction)により測定した。
特殊粒界長さ比率は、銀めっき層の断面をEBSD法により解析し、測定範囲における結晶粒界の全粒界長さを測定し、隣接する結晶粒の界面が特殊粒界を構成する結晶粒界の位置を特定し、単位面積1mm当たりの全粒界長さLと特殊粒界長さLσとを算出して求めた。
シュミットファクター0.45未満の結晶粒が占める面積割合は、EBSD法により銀めっき層表面を測定して求めた。
銀めっき層及びニッケルめっき層の厚みは、蛍光X線膜厚計にて測定した。ニッケルめっき層は、銀めっき層を形成する前に測定した。
なお、EBSD法の測定条件、走査型電子顕微鏡SEMでの観察条件は以下の通りとし、試料表面をイオンミリング装置により加速電圧6kV、照射時間2時間で表面を調整した後、測定した。
<EBSD条件>
解析範囲:10.0μm×50.0μm(測定範囲:10.0μm×50.0μm)
測定ステップ:0.1μm
取込時間:11msec/point
<SEM条件>
加速電圧:15kV
ビーム電流:約3.5nA
WD:15mm
これらの分析結果、測定結果を表2に示す。
Figure 0006380174
この表2によれば、試料1〜3は添加剤にチオエタノールを採用したため、炭素含有量、平均粒径、特殊粒界比率、シュミットファクターが最適値範囲内である。試料9は、銀めっき浴が試料1〜8とは異なりナトリウム浴であるため、結晶配向性が変わってシュミットファクターが他の試料のものより小さくなっている。試料5はニッケルめっき層の厚みが他の試料のものより小さく、試料6は逆に大きくなっている。試料7は銀めっき層の厚みが他のものより小さい。
次いで、これらの試料につき、ビッカース強度、接触抵抗を測定し、曲げ加工性を評価した。
ビッカース硬度は、ミツトヨ製マイクロビッカース硬度計を用いて荷重30gfにて銀めっき層表面から測定した。試料作製直後(初期ビッカース硬度とする)と、試料を150℃で1000時間放置した後のそれぞれについて測定した。
接触抵抗は、150℃で1000時間放置した試料につき、山崎精機製接点シミュレーターCRS−1を使用し、接点荷重50g、電流200mAの条件で4端子法にて測定した。
曲げ加工性については、試験片を圧延方向が長手となるように切出し、JISH3110に規定されるW曲げ試験治具を用い、圧延方向に対して直角方向となるように9.8×10Nの荷重で曲げ加工を施した。その後、実体顕微鏡にて観察を行った。曲げ加工性評価は、試験後の曲げ加工部に発生したクラックにより銅合金母材の露出が認められないレベルを「良」と評価し、発生したクラックにより銅合金母材が露出しているレベルを「不良」と評価した。
これらの測定結果、評価結果を表3に示す。
Figure 0006380174
この表3からわかるように、試料1〜3については初期のビッカース硬度が120以上であり、加熱後も硬度がほとんど変化せず、接触抵抗も1mΩ以下と、非常に良い値をとっている。試料4については接触抵抗は優れているものの、シュミットファクター評価が最適値から外れているため、ビッカース硬度がやや低い。試料5はニッケルめっき層が薄いため、接触抵抗が高いが、実用上の問題はないと考えられる。試料6はニッケルめっき層が厚すぎるため、部分的に母材の露出が認められており、試料10と比較すると曲げ加工性がやや劣る結果となった。試料7は銀めっき層の厚みが不足しているため、接触抵抗がやや高いが、実用上の問題はないと考えられる。試料8は最適条件の銀めっき層をリフロー錫めっき端子材の上に施したが、優れた特性を示している。試料9は銀めっき浴にナトリウム浴を用いたため硬度が劣っていた。試料10に関しては、アンチモンを共析させたため、初期のビッカース硬度は優れているが、加熱後に硬度が大幅に低下し、なおかつアンチモン酸化膜が表面に形成したため接触抵抗が悪化した。また銀めっき層が硬いため曲げ加工性が劣っていた。

Claims (6)

  1. 銅又は銅合金からなる基材に銀めっき層が形成された端子材であって、前記銀めっき層は、炭素が0.1質量%以上0.6質量%以下の含有率で共析しているとともに、銀結晶組織の平均結晶粒径が2μm以上25μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が60%以上85%以下であることを特徴とする銀めっき付き銅端子材。
  2. 前記銀めっき層は、シュミットファクターの値が0.45未満である結晶粒が、表面の面積比率で30%以上含有していることを特徴とする請求項1記載の銀めっき付き銅端子材。
  3. 前記銀めっき層の厚みは1μm以上70μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の銀めっき付き銅端子材。
  4. 前記基材と前記銀めっき層との間に厚み0.3μm以上2μm以下のニッケルめっき層が形成されており、前記銀めっき層は前記ニッケルめっき層の上に積層されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の銀めっき付き銅端子材。
  5. 前記基材と前記銀めっき層との間に、前記基材から順に銅錫合金層、錫層が積層されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の銀めっき付き銅端子材。
  6. 銅又は銅合金からなる基材に銀めっき層が形成された端子であって、前記銀めっき層は、炭素が0.1質量%以上0.6質量%以下共析しているとともに、銀結晶組織の平均結晶粒径が2μm以上25μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が60%以上85%以下であることを特徴とする端子。
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