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JP6373252B2 - オーロラキナーゼ阻害薬を使用する癌の治療方法 - Google Patents

オーロラキナーゼ阻害薬を使用する癌の治療方法 Download PDF

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Description

本発明は、様々な細胞増殖性障害の治療方法に関する。特に、本発明は、パクリタキセルまたはドセタキセルなどのタキサン系化学療法と併用するオーロラAキナーゼの選択的阻害薬の投与による様々な細胞増殖性障害の治療方法を提供する。
癌は、米国で二番目に多い死亡原因であり、世界中で、死亡の8人に1人を占める。2010年に、米国対がん協会は、米国単独で、おおよそ1,529,560人が新たに癌と診断され、推定569,490人の米国人が癌で死亡するだろうと推定した。2008年に、推定1240万人が新たに癌と診断され、世界中で、760万人の人々が癌で死亡した。医学の進歩により、癌の生存率は向上しているが、新規のより有効な治療が引き続き必要とされている。
癌は、制御できない細胞分裂を特徴とする。有糸分裂阻害剤および微小管阻害薬は、それらの細胞分裂周期での重要な役割により、癌治療に対する標的として探求されてきた。休止状態から細胞増殖への移行を制御する細胞分裂周期は、4期:G1期、S期(DNA合成)、G2期、およびM期(有糸分裂)を含む。非分裂性細胞は、休止状態、G0期で休止している。有糸分裂の仕組みの阻害は、多様な配列の結果をもたらし、一次的に細胞を死または停止に至る。
有糸分裂阻害剤の効果は、癌細胞のみに限定されないので、臨床の場において、これらの製剤の用量制限毒性は、急速に分裂する組織および微小管阻害薬の場合に頻繁に顕在化し、微小管阻害薬の場合に重篤な末梢神経障害を伴うことが多い。従って、有糸分裂阻害剤の低治療係数は、これらの製剤の作用機序を理解し、これらの治療の合理的開発の確率を最大限にすることを必要とする。
伝統的な有糸分裂阻害剤としては、微小管動態、有糸分裂紡錘体集合の本質的要素およびDNAの娘細胞へ引き続き起こる整列と分離に直接干渉するものが挙げられる。タキサン類などの微小管阻害薬は、現在、臨床の場で使用されている。例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルは、卵巣癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、および前立腺癌を含む類似の薬効範囲の臨床活性を有する。
タキサン類は、微小管脱重合の動態を変化させることにより、微小管を安定化する。培養した哺乳類細胞では、高濃度のパクリタキセルが微小管集合体を安定化させる(Schiff and Horwitz(1980)Proc Natl Acad Sci USA 77:1561−1565)。臨床の場で得られる曝露に似ている低濃度では、パクリタキセルの初期効果は、微小管を安定化させ、それにより、効率的な紡錘体集合に必要な微小管の動的不安定性を抑える。この抑えることの結果として、微小管は、迅速に成長および収縮することができず、有糸分裂中の凝縮した染色体への結合性能が損なわれる。効率的な染色体整列が、このようにして影響を受け、この染色体整列ができないことで、紡錘体集合チェックポイントを介してもたらされる有糸分裂遅延が起こる。
該紡錘体集合チェックポイントは、染色体が、姉妹染色体が反対極に分離する後期の開始に先立って、中期赤道面に適切に整列することを保証する。興味深いことに、低濃度のパクリタキセルでは、有糸分裂停止延長なしで、非効率な染色体整列が起こることが観察されており、従って、パクリタキセルの効果は、有糸分裂の停止または遅延の誘導性能に依存するわけではない(Chen and Horwitz(2002)Cancer Res 62:1935−1938);Kelling et al.(2003)Cancer Res 63:2794−2801)。
その類似物のドセタキセルだけでなく、パクリタキセルの生体外研究で、有糸分裂停止延長が起こらない濃度においてさえ、異常なDNA含量および細胞死の存在が立証されている(Chen and Horwitz(2002) Cancer Res 62:1935−1938;Hernandez−Vargas et al.(2007)Cell Cycle 6:780−783;Hernandez−Vargas et al.(2007)Cell Cycle 6:2662−2668。この所見と一致して、異種移植モデルの前臨床研究で、有糸分裂停止の程度および腫瘍増殖阻害の間に明確な相関関係を立証することはできなかった(Gan et al.(1998)Cancer Chemother Pharmacol 42:177−182;Milross et al.(1996)J Natl Cancer Inst 88:1308−1314;Schimming et al.(1999)Cancer Chemother Pharmacol 43:165−172)、そして、同様な所見が臨床の場で報告されている(Symmans et al.(2000)Clin Cancer Res 6:4610−4617)。
抗有糸分裂化合物が正常な分裂を行う細胞の性能を損なうことは、確立している。細胞は、有糸分裂停止延長で分裂できずに、直接、細胞死に至るか、DNAの不均等分布で異常分裂するか、どちらかとなる(Gascoigne and Taylor(2008)Cancer Cell 14:111−122;Rieder and Maiato(2004)Dev Cell 7:637−651;Weaver and Cleveland (2005)Cancer Cell 8:7−12)。このような不成功な分裂に続き、細胞は、周期を繰り返すかまたは細胞周期の停止もしくは細胞死に至り得る。この有糸分裂阻害剤での治療に続く結果の多様性は、使用した有糸分裂阻害剤の濃度だけでなく、細胞型に依ることが示されている(Gascoigne and Taylor(2008)Cancer Cell 14:111−122; Orth et al.(2008)Mol Cancer Ther 7:3480−3489;Shi et al.(2008)Cancer Res 68:3269−3276)。
有糸分裂停止延長モデルは、製剤の持続性高濃度が抗腫瘍性効果に必要であることを示唆する。3週間毎に1回のタキサン療法スケジュール相当の効率を有する毎週のタキサン治療の所見は、同じ効果が製剤の投与総量を分割して得られることを示唆する。
パクリタキセルおよびドセタキセルに関連する毒性は似ており、有意な末梢神経障害と共に、主な用量制限毒性として、好中球減少症が挙げられる。事実、これらの毒性の重症度を軽減するために、多数の前治療歴のある患者では、減量は頻繁に行われる。臨床研究で、減量により製剤の臨床反応は減少せず、最適な生物学的用量は、最大耐量より低い可能性を示唆した(Salminen et al.,(1999)J Clin Oncol 17:1127)。毎週のタキサン投与は、臨床反応の減少なしに、より少ない骨髄機能低下を示す臨床データとして、より頻繁に使用されるようになった(Gonzalez−Angulo et al.,(2008)J Clin Oncol 26:1585)。乳癌の研究で、毎週のパクリタキセルは、3週間毎に1回の投薬よりも良好な反応率を示した(Seidman et al.,J Clin Oncol 26:1642(2008))。しかしながら、毎週のパクリタキセルは、3週間毎に1回のスケジュールよりも、より多くの神経障害を示した。
細胞分裂周期は、また、癌細胞でしばしば過剰発現する様々なプロテインキナーゼと関わる。例えば、オーロラAキナーゼは、いくつかの腫瘍型の病変形成に関係する重要な分裂調節因子である。酵母(Ipl1)、ツメガエル(Eg2)およびショウジョウバエ(オーロラ)で最初に同定されたオーロラキナーゼは、重大な意味を持つ有糸分裂の調節因子である。(Embo J(1998)17,5627−5637;Genetics(1993)135,677−691;Cell(1995)81,95−105;J Cell Sci(1998)111(Pt 5),557−572)。ヒトでは、オーロラA、オーロラBおよびオーロラCを含む3つのオーロラキナーゼのアイソフォームが存在する。オーロラAおよびオーロラBは、有糸分裂を通して、通常の細胞進行に重要な役割を果たすが、オーロラCの活性は、減数分裂細胞に大きく制限される。オーロラAおよびオーロラBは、構造的に密接に関係している。それらの触媒領域は、C−末端にあり、そのC−末端は数種のアミノ酸のみの点で異なるだけである。非触媒性のN−末端領域では非常に多様である。それは、互いに異なるタンパク質パートナー間の相互作用を指示するオーロラAおよびオーロラBのこの領域の配列多様性であり、これらのキナーゼが有糸分裂細胞内で独特の細胞内局在化および機能を有することを許している。
オーロラBキナーゼおよびオーロラAキナーゼは、どちらもオーロラキナーゼファミリーの一員であるが、有糸分裂プロセス中で互いに異なる役割を有する。通常の有糸細胞分裂プロセスでは、細胞は、一端の紡錘極に各々集中し、他端の染色体と結合する2つの微小管放射状配列で双極紡錘体を構築する。娘細胞への姉妹染色分体分離の間際に、染色体は、一直線(「中期赤道面」)に並ぶ。完全に整列した染色体を有する双極紡錘体を構築するこのプロセスは、有糸分裂中に細胞の染色体対合の整合性を保証する働きをする。
オーロラA遺伝子(AURKA)は、通常、腫瘍型の多様な配列に高頻度で増幅または過剰発現する染色体20q13.2に局在する。(Embo J(1998)17,3052−3065;Int J Cancer(2006) 118,357−363;J Cell Biol(2003)161,267−280;Mol Cancer Ther(2007)6,1851−1857;J Natl Cancer Inst(2002)94,1320−1329)。オーロラA遺伝子の発現増加は、癌の病因および予後悪化に相関づけられている。(Int J Oncol(2004)25,1631−1639;Cancer Res(2007)67,10436−10444;Clin Cancer Res(2004)10,2065−2071;Clin Cancer Res(2007)13,4098−4104;Int J Cancer(2001)92,370−373;Br J Cancer (2001)84,824−831;J Natl Cancer Inst(2002)94,1320−1329)。この概念は、オーロラAの過剰発現が発癌性形質転換に至ることを示す実験モデルで支持されている。(Cancer Res(2002)62,4115−4122;Mol Cancer Res(2009)7,678−688;Oncogene(2006)25,7148−7158;Cell Res(2006)16,356−366;Oncogene(2008)27,4305−4314;Nat Genet(1998)20,189−193)。オーロラAキナーゼの過剰発現は、染色体不安定および引き続く形質転換イベントに至るオーロラAおよびその調節パートナー間の化学量論的不均衡をもたらすことが疑われる。オーロラAの潜在的癌化の役割から、このキナーゼを癌治療のための標的にすることにかなりの興味が注がれてきた。
重要な有糸分裂調節因子として、オーロラAは、有糸分裂への移行および有糸分裂を通して細胞の正常進行に主要な役割を果たす。(Nat Rev Mol Cell Biol(2003)4,842−854;Curr Top Dev Biol(2000)49,331−42;Nat Rev Mol Cell Biol(2001)2(1),21−32)。正常な細胞周期中、オーロラAキナーゼは、中心体に局在し、細胞の有糸分裂への移行だけでなく、中心体成熟および分離に機能するG2期で最初に発現する。有糸分裂細胞中で、オーロラAキナーゼは、中心体および初期紡錘体の近位部へ支配的に局在化する。そこで、紡錘体極および紡錘体の形成、動原体の姉妹染色分体への紡錘体の付着、引き続き起こる染色体の整列および分離、紡錘体集合チェックポイントならびに細胞質分裂に集団的に機能する多様なタンパク質と相互作用しリン酸化する。(J Cell Sci(2007)120,2987−2996;Trends Cell Biol(1999)9,454−459;Nat Rev Mol Cell Biol(2003)4,842−854;Trends Cell Biol(2005)15,241−250)。
オーロラAキナーゼの選択的阻害は、有糸分裂開始の遅延をもたらす(The Journal of biological chemistry(2003)278,51786−51795)が、細胞は、通常、不活性なオーロラAキナーゼを有するにもかかわらず有糸分裂を開始する。その中でオーロラAキナーゼが選択的阻害を受けるその細胞は、紡錘体異常(単極紡錘体または多極紡錘体)を含む様々な有糸分裂欠損および染色体整列プロセスでの欠損を示す。時間が経つと、単極紡錘体および多極紡錘体は、そのいくつかは直ぐに欠損した有糸分裂を経て細胞死に至る可能性があるが、2つの反対側の紡錘体極を形成して解決する可能性もある。オーロラAキナーゼ阻害からもたらされる紡錘体欠損が有糸分裂遅延を引き起こす一方で、おそらく紡錘体集合チェックポイントの活性化を通して、細胞は、究極的に未処理細胞に近い頻度で分裂する。(Mol Cell Biol(2007)27(12),4513−25;Cell Cycle(2008)7(17),2691−704.;Mol Cancer Ther(2009)8(7),2046−56.)。この不適当な細胞分裂は、オーロラAキナーゼが機能しないために紡錘体集合チェックポイントの遅い抑制作用に続き起こる。(Cell Cycle(2009)8(6),876−88)。オーロラAキナーゼ機能の非存在下に形成される双極紡錘体は、しばしば、中期での染色体集合欠損、後期での遅滞染色体、および終期橋を含む染色体の整列および分離の欠損を示す。
染色体分離欠損と一致して、MLN8054、オーロラAキナーゼ選択的阻害剤で処理した細胞は、長時間かけて増加する異数性を発現する。有糸分裂異常が継代を繰り返した後に、MLN8054で処理した細胞は、しばしば、老化、特有の形態特性を有する不可逆増殖停止を起こす。(Mol Cancer Res(2010)8(3),373−84)。いくつかの細胞株では、MLN8054で処理した細胞は、有糸分裂を終了し、p53−依存性有糸分裂後G1チェックポイントを活性化し、その後に、p21およびBaxを誘導し、G1期停止に至り、続いて、アポトーシス誘導に至る。(Mol.Cancer Ther(2009)8(7),2046−56)。いくつかの細胞は、また、細胞質分裂なしで有糸分裂を終了する可能性もある。これらの細胞は、正常なDNAの2倍の含量を有して細胞周期のG1期を開始し、従って、G1の4倍体細胞と呼ばれる。最後に、いくつかの細胞は、重篤な染色体分離欠損にもかかわらず分裂する可能性がある。(Mol Cell Biol(2007)27(12),4513−25)。後者2つの結果では、有糸分裂異常は、細胞死または停止に至る有害な異数性をもたらす。あるいは、異数性は、腫瘍細胞増殖の抑制因子および促進因子の両方であることが示されているので、これらの細胞の一部がこれら末期の結果に耐性があり得るし、細胞周期を再度開始できる可能性がある。
細胞周期の駆動に関与するプロテインキナーゼの重要性を考えると、これらのキナーゼを標的にして、より効率的な治療法が開発できれば有益であろう。特に、有糸分裂阻害薬と併用した治療法は、細胞増殖性障害に苦しむ患者に有益であり得るし、再発率の低減、または時折これらの患者に見られる特定の抗癌剤耐性の克服でさえ潜在的にあり得る。
製剤耐容性および副作用の有病率は、細胞増殖性障害治療のために用量のスケジュール化およびスケジュールの選択をする際に、考慮すべき重要なことである。例えば、好中球減少症などの重度有害事象をもたらすタキサン類などの治療薬の使用を必要とする治療は、患者の服薬コンプライアンスが不十分なため、または患者に有効治療量を投与できないために、効果がでない可能性もある。同様に、結果として長期間のより高い有効濃度活性成分に終わる治療は、治療有効性増加をもたらし得る。ゆえに、併用療法を含む新規な癌治療法が必要とされており、併用療法は、有害性からもたらされる不快な副作用を回避または回復し、一方で、改良した曝露有効性を達成することにより高治療効果を提供する。
Schiff and Horwitz(1980)Proc Natl Acad Sci USA 77:1561−1565 Chen and Horwitz(2002)Cancer Res 62:1935−1938);Kelling et al.(2003)Cancer Res 63:2794−2801 Chen and Horwitz(2002) Cancer Res 62:1935−1938 Hernandez−Vargas et al.(2007)Cell Cycle 6:780−783 Hernandez−Vargas et al.(2007)Cell Cycle 6:2662−2668 Gan et al.(1998)Cancer Chemother Pharmacol 42:177−182 Milross et al.(1996)J Natl Cancer Inst 88:1308−1314 Schimming et al.(1999)Cancer Chemother Pharmacol 43:165−172 Symmans et al.(2000)Clin Cancer Res 6:4610−4617 Gascoigne and Taylor(2008)Cancer Cell 14:111−122 Rieder and Maiato(2004)Dev Cell 7:637−651 Weaver and Cleveland (2005)Cancer Cell 8:7−12 Gascoigne and Taylor(2008)Cancer Cell 14:111−122 Orth et al.(2008)Mol Cancer Ther 7:3480−3489 Shi et al.(2008)Cancer Res 68:3269−3276 Salminen et al.,(1999)J Clin Oncol 17:1127 Gonzalez−Angulo et al.,(2008)J Clin Oncol 26:1585 Seidman et al.,J Clin Oncol 26:1642(2008) Embo J(1998)17,5627−5637 Genetics(1993)135,677−691 Cell(1995)81,95−105;J Cell Sci(1998)111(Pt 5),557−572 Embo J(1998)17,3052−3065 Int J Cancer(2006) 118,357−363 J Cell Biol(2003)161,267−280 Mol Cancer Ther(2007)6,1851−1857
1.概要
上述したように、癌治療のための別の療法、特に、現在既存の療法の不快な副作用を回避または改善する療法を提供する必要性が依然としてある。付加的および相乗的な抗腫瘍活性がタキサン類とオーロラAキナーゼ選択的阻害剤の併用が示されている一方で、好中球減少症は、共通の用量制限毒性である。
本発明において、パクリタキセルの標準週間投与量を約80mg/mから約60mg/mに減らすことで、効率を失うことなく許容可能な耐容性プロフィールで驚くべき高いアリセルチブ(MLN8237)用量を達成することを発見した。約10mgBID(1日2回)の用量のアリセルチブは、標準週間投与量約80mg/mのパクリタキセルとの併用で得られる最大耐量であった。予想外に、約40mgBIDまではるかに高い用量のアリセルチブが、パクリタキセルの週間投与量を約60mg/mまで減少したときに、パクリタキセルとの併用で耐容性を示した。
従って、本発明は、パクリタキセルまたはドセタキセルなどのタキサンの同時投与または連続的投与を併用して、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬を、各々の薬剤を併用時に治療効果のある量で、その治療を必要としている患者に投与することを含む細胞増殖性障害の治療方法に関する。
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
細胞増殖性障害の治療のため、その治療を必要としている対象に対する、パクリタキセルと併用するアリセルチブの使用であって、パクリタキセルを週1回の用量で併用して、28日間投与計画の対象に対して、アリセルチブを1日2回の用量で投与し、
前記アリセルチブの1日2回の投与用量は、約30mg〜約50mgであり、28日間の計画中1〜3日目、8〜10日目、および15〜17日目に投与し;そして、
前記パクリタキセルの週1回の投与用量は、約50mg/m 〜約70mg/m であり、28日間の計画中1日目、8日目、および15日目に投与する使用。
(項目2)
前記アリセルチブの投与が、パクリタキセルの投与と同時である、項目1に記載の使用。
(項目3)
前記アリセルチブの1日2回の用量が、約40mg〜約50mgである、項目1に記載の使用。
(項目4)
前記アリセルチブの1日2回の用量が、約30mg〜約40mgである、項目1に記載の使用。
(項目5)
前記アリセルチブの1日2回の用量が、約35mgである、項目1に記載の使用。
(項目6)
前記アリセルチブの1日2回の用量が、約40mgである、項目1に記載の使用。
(項目7)
前記アリセルチブの1日2回の用量が、約45mgである、項目1に記載の使用。
(項目8)
前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/m 〜約70mg/m である、項目1に記載の使用。
(項目9)
前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/m である、項目1に記載の使用。
(項目10)
前記細胞増殖性障害が癌である、項目1〜9のいずれかに記載の使用。
(項目11)
前記癌が、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、頭頚部癌、膀胱癌、肺癌、膵癌またはエイズ関連カポジ肉腫である、項目10に記載の使用。
(項目12)
前記該癌が、卵巣癌、乳癌、肺癌またはエイズ関連カポジ肉腫である、項目10に記載の使用。
(項目13)
前記癌が卵巣癌である、項目10に記載の使用。
(項目14)
前記癌が小細胞肺癌である、項目10に記載の使用。
(項目15)
細胞増殖性障害の治療を必要とする対象において細胞増殖性障害を治療するための医薬の製造でのアリセルチブの使用であって、前記医薬は、パクリタキセルと併用使用するためのものであり、この使用に従って、前記医薬は、パクリタキセルを週1回の用量で併用して、28日間投与計画中に1日2回、対象に投与し、
前記1日2回投与する医薬は、約30mg〜約50mgのアリセルチブを含み、28日間の計画中1〜3日目、8〜10日目、および15〜17日目に投与し、そして、
前記パクリタキセルの週1回の投与用量は、約50mg/m 〜約70mg/m であり、28日間の計画中1日目、8日目、および15日目に投与する使用。
(項目16)
前記医薬の投与が、パクリタキセルの投与と同時である、項目15に記載の使用。
(項目17)
前記1日2回の投与する医薬が、約40mg〜約50mgのアリセルチブを含む、項目15に記載の使用。
(項目18)
前記1日2回の投与する医薬が、約30mg〜約40mgのアリセルチブを含む、項目15に記載の使用。
(項目19)
前記1日2回の投与する医薬が、約35mgのアリセルチブを含む、項目15に記載の使用。
(項目20)
前記1日2回の投与する医薬が、約40mgのアリセルチブを含む、項目15に記載の使用。
(項目21)
前記1日2回の投与する医薬が、約45mgのアリセルチブを含む、項目15に記載の使用。
(項目22)
前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/m 〜約70mg/m である、項目15に記載の使用。
(項目23)
前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/m である、項目15に記載の使用。
(項目24)
前記細胞増殖性障害が癌である、項目15〜23のいずれかに記載の使用。
(項目25)
前記癌が、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、頭頚部癌、膀胱癌、肺癌、膵癌またはエイズ関連カポジ肉腫である、項目24に記載の使用。
(項目26)
前記癌が、卵巣癌、乳癌、肺癌またはエイズ関連カポジ肉腫である、項目24に記載の使用。
(項目27)
前記癌が卵巣癌である、項目24に記載の使用。
(項目28)
前記癌が小細胞肺癌である、項目24に記載の使用。
(項目29)
アリセルチブ、またはその薬剤的に許容可能な塩;パクリタキセル、またはその薬剤的に許容可能な塩;および前記パクリタキセル、またはその薬剤的に許容可能な塩と併用する前記アリセルチブまたはその薬剤的に許容可能な塩の与指示を含むキット。
NCI−H69小細胞肺癌腫瘍モデルで、パクリタキセルと併用したアリセルチブの抗腫瘍活性(時間の関数として平均腫瘍量)を示す。 NCI−H82小細胞肺癌腫瘍モデルで、パクリタキセルと併用したアリセルチブの抗腫瘍活性(時間の関数として平均腫瘍量)を示す。 CTG−0166初期小細胞肺癌腫瘍モデルで、パクリタキセルと併用したアリセルチブの抗腫瘍活性(時間の関数として平均腫瘍量)を示す。
2.定義
本明細書で使用される場合、「細胞増殖性障害」および「癌」という語は、制御不可または調節不可な細胞増殖、細胞分化の減少、不適当な周辺組織への侵入能力、および/または異所での新たな腫瘍定着能力を特徴とする細胞障害をいう。「細胞増殖性障害」および「癌」という語は、固形腫瘍および血液由来腫瘍を含むが、これらに限定されない。「細胞増殖性障害」および「癌」という語は、皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液、および血管の疾病を包含する。「細胞増殖性障害」および「癌」という語は、更に、原発性および転移性癌を包含する。本明細書で使用される場合、「細胞増殖性障害」という語は、癌性過剰増殖性障害(例えば、脳癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、腎癌、肝臓癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、結腸癌、類表皮癌、食道癌、精巣癌、婦人科癌、または甲状腺癌、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、中皮腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経芽細胞腫、および急性リンパ性白血病(ALL));非癌性過剰増殖性障害(例えば、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、および良性前立腺肥大症(BPH));および血管形成または血管新生関連疾病(例えば、腫瘍血管新生、血管腫、膠腫、黒色腫、カポジ肉腫、ならびに卵巣癌、乳癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、結腸癌および類表皮癌)をいうが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「患者」という語は、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくは、ヒトをいう。いくつかの実施形態では、患者は、本発明の治療の開始に先立って、例えば、オーロラAキナーゼ選択的阻害剤またはタキサンなどの薬剤を用いた治療をしている。更にいくつかの実施形態では、患者は、増殖性障害を発症または再発する危険性を抱えた患者である。
「治療効果のある」および「治療効果」という表現は、本明細書で論じられる増殖性障害症状の治療または改善を含む利益性をいうが、これに限定されない。治療効果量または治療効果を呈するのに必要な薬剤量は、対象とする応用(生体外または生体内)、または治療する対象および疾病(例えば、治療する状態の重症度の内容、特定の阻害剤、投与経路ならびに年齢、重量、健康状態、および個々の患者の反応)に依り変わり、当業者により容易に決定することができることは認められているだろう。例えば、ある量のタキサンと併用時のオーロラAキナーゼ選択的阻害剤の量は、もし本明細書で論じられる増殖性障害症状の治療または改善の効果が十分であれば、治療効果がある。
「予防効果のある」および「予防効果」という表現は、本明細書で論じられる増殖性障害症状の予防を含む利益性をいうが、これに限定されない。予防効果量または予防効果を呈するのに必要な薬剤量は、対象とする応用(生体外または生体内)、または予防する対象および疾病(例えば、予防する状態の重症度の内容、特定の阻害剤、投与経路ならびに年齢、重量、健康状態、および個々の患者の反応)に依り変わり、当業者により容易に決定することができることは認められているだろう。例えば、ある量のタキサンと併用時のオーロラAキナーゼ選択的阻害剤の量は、もし本明細書で論じられる増殖性障害症状の予防の効果が十分であれば、予防効果がある。
本明細書で使用される場合、「オーロラAキナーゼ」という語は、有糸分裂進行に関連するセリン/トレオニンキナーゼをいう。オーロラAキナーゼは、また、AIK、ARK1、AURA、BTAK、STK6、STK7、STK15、AURORA2、MGC34538、およびAURKAとしても知られている。細胞分裂で役割を果たす様々な細胞タンパク質は、オーロラAキナーゼ酵素によりリン酸化する基質であり、p53、TPX−2、XIEg5(ツメガエルの)、およびD−TACC(ショウジョウバエの)が挙げられるが、これらに限定されない。該オーロラAキナーゼ酵素は、また、それ自体が、例えば、Thr288で、自己リン酸化する基質である。好ましくは、該オーロラAキナーゼは、ヒトオーロラAキナーゼである
「オーロラAキナーゼの阻害薬」または「オーロラAキナーゼ阻害薬」という語は、オーロラAキナーゼと相互作用でき、その酵素活性を阻害する化合物を示すために使用する。オーロラAキナーゼ酵素活性を阻害するというのは、オーロラAキナーゼが基質ペプチドまたはタンパク質をリン酸化する能力を低下させることを意味する。様々な実施形態では、そのようなどのオーロラAキナーゼの活性低下は、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%である。更に様々な実施形態では、オーロラAキナーゼ酵素活性を低下させるのに必要なオーロラAキナーゼ阻害薬の濃度は、約1μM未満、約500nM未満、約100nM未満、または約50nM未満である。好ましくは、オーロラAキナーゼ酵素活性を阻害するのに必要な該濃度は、オーロラBキナーゼ酵素活性を阻害するのに必要な阻害剤濃度より低いのがよい。更に様々な実施形態では、オーロラAキナーゼ酵素活性を低下させるのに必要なオーロラAキナーゼ阻害薬濃度は、オーロラBキナーゼ酵素活性を低下させるのに必要な阻害剤の濃度よりも、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約500倍、または少なくとも約1000倍である。
オーロラAの阻害およびオーロラBの阻害は、顕著に異なる細胞表現型をもたらす。(Proc.Natl.Acad.Sci.(2007)104:4106;Mol Cancer Ther(2009)8(7),2046−56;Chem Biol.(2008)15(6)552−62)。例えば、オーロラBの阻害なしでオーロラAの阻害は、セリン10(pHisH3)上のリン酸化したヒストンH3の定量測定から分裂指数が増加した結果となる。pHisH3は、生理系(例えば、無傷細胞)でオーロラBの独特の基質である。対称的に、オーロラBの阻害またはオーロラAおよびオーロラBの両方の阻害は、pHisH3が減少する結果となる。従って、本明細書で使用される場合、「オーロラAキナーゼの選択的阻害薬」または「選択的オーロラAキナーゼ阻害薬」という語は、効果的な抗腫瘍濃度でオーロラAキナーゼ阻害薬の表現型を示す阻害薬をいう。いくつかの実施形態では、血漿中の遊離画分調整濃度(Cave)が最大耐量(MTD)でヒトの血漿中で得られた遊離画分調整濃度と等価である用量をマウスに投与したときに、pHisH3の定量測定から、選択的オーロラAキナーゼ阻害薬は、一過性の有糸分裂遅延の原因となる。本明細書で使用される場合、「遊離画分調整濃度」という語は、(タンパク質結合でない)遊離薬剤の血漿中濃度をいう。
本明細書で使用される場合、「タキサン」という語は、タクスス属(イチイ属)の植物から生成されるジテルペン類をいう。タキサン類の例としては、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))およびアブラキサン(登録商標)(パクリタキセル注射)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「併用して」という語は、同じ患者での同じ疾病または病状の治療で、選択的オーロラAキナーゼ阻害薬およびタキサンの両方を使用することをいう。更に下記に示すように、明示的に指定しない限り、「併用して」という語は、選択的オーロラAキナーゼ阻害薬またはタキサンを投与するタイミングを制限しない。
「約」という語は、大ざっぱにまたは前後の領域でおおよそを意味する。「約」という語を数値範囲と併せて使用するとき、明記された数値の上下境界を拡張することにより範囲を修正する意味で本明細書に使用する。一般的に、「約」という語は、本明細書で使用される場合、10%の変動で表示値の上下に数値を修正することになる。
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」という語は、「含む(includes)が、これに限定されない」を意味する。
本明細書で使用される場合、「脂肪族」または「脂肪族基」という語は、置換もしくは非置換直鎖、分岐鎖または環状C1−12炭化水素を意味し、完全に飽和または1つ以上の不飽和基を含むが、芳香族ではない。例えば、適切な脂肪族基としては、置換もしくは非置換直鎖、分岐鎖または環状アルキル、環状アルケニル、環状アルキニル基および(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルもしくは(シクロアルキル)アルケニルなどのそれらの混成体が挙げられる。
単独または大きな部分の一部として使用される「脂環式」という語は、飽和または部分的に不飽和な、3〜約14員の脂肪族環系をいい、該脂肪族環系は任意に置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、脂環式は、3〜8員または3〜6員の炭素原子を有する単環式炭化水素である。制限されない例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、およびシクロオクタジエニエルが挙げられる。いくつかの実施形態では、脂環式は、6〜12員、6〜10員、または6〜8員の炭素原子を有する架橋または縮合二環炭化水素であり、二環系の任意の個々の環は3〜8員を有する。
いくつかの実施形態では、介在する環原子と一緒になって、脂環式の2つの隣接する置換基は、O、N、およびSからなる群から選択されて、0〜3個のヘテロ環原子を有し、任意に置換されていてもよい縮合5〜6員芳香族環または3〜8員非芳香族環を形成する。それゆえ、「脂環式」という語は、1つ以上のアリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル環に縮合した脂肪族環を包含する。制限されない例としては、インダニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノキサリニル、デカヒドロナフチル、またはテトラヒドロナフチルが挙げられ、該脂肪族環上にラジカルまたは結合点がある。「脂環式」という語は、「炭素環(carbocycle)」、「炭素環基(carbocyclyl)」「炭素環式(carbocyclo)」、または「炭素環式の(carbocyclic)」と言い換えることができる。
単独または大きな部分、例えば、「アラルキル」、「アラルコシ」、または「アリールオキシアルキル」などの一部として使用される「アリール(aryl)」および「アラ−(ar−)」という語は、各々の環は任意に置換されていてもよい1〜3個の環を含むC〜C14の芳香族炭化水素をいう。好ましくは、アリール基はC6−10のアリール基である。アリール基としては、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、介在する環原子と一緒になって、芳香族環の2つの隣接する置換基は、O、N、およびSからなる群から選択されて、0〜3個のヘテロ環原子を有し、任意に置換されていてもよい縮合5〜6員芳香族環または4〜8員非芳香族環を形成する。それゆえ、「アリール」という語は、本明細書で使用される場合、1つ以上のヘテロアリール環、脂環式、またはヘテロシクリル環に縮合した芳香族環の群を包含し、該芳香族環上にラジカルまたは結合点がある。そのような縮合環系の制限されない例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、フルオレニル、インダニル、フェナントリジニル、テトラヒドロナフチル、インドリニル、フェノキサジニル、ベンゾジオキサニル、およびベンゾジオキソリルが挙げられる。アリール基は、単環、二環、三環、または多環でもよく、好ましくは、単環、二環、または三環であり、より好ましくは、単環または二環である。「アリール」という語は、「アリール基」、「アリール部分」、および「アリール環」と言い換えることができる。
「アラルキル」基または「アリールアルキル」基は、アルキル基と共有結合で結合したアリール基を含み、そのいずれかが、独立して任意に置換されていてもよい。好ましくは、アラルキル基は、C6−10アリール(C1−6)アルキル、C6−10アリール(C1−4)アルキル、またはC6−10アリール(C1−3)アルキル、これらに限定されないが、ベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルが挙げられる。
単独または大きな部分、例えば、ヘテロアラルキル、または「ヘテロアラルコシ」などの一部として使用される「ヘテロアリール(heteroaryl)」および「ヘテロアラ−(heteroar−)」という語は、5〜14個の環原子、好ましくは、5、6、9、または10個の原子を有し;環状配列中で6、10、または14個のπ共有電子を有し;そして、炭素原子に加えて、1〜4個のヘテロ原子を有する基をいう。「ヘテロ原子」という語は、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子をいい、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化した形態も包含する。ヘテロアリール基としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、およびプテリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、介在する環原子と一緒になって、ヘテロアリールの2つの隣接する置換基は、O、N、およびSからなる群から選択されて、0〜3個のヘテロ環原子を有し、任意に置換されていてもよい縮合5〜6員芳香族環または4〜8員非芳香族環を形成する。それゆえ、「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ−」という語は、また、本明細書で使用される場合、1つ以上のアリール環、脂肪族環、またはヘテロシクリル環に縮合したヘテロ芳香族環の群を包含し、該ヘテロ芳香族環上にラジカルまたは結合点がある。制限されない例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3−b]−1,,4−オキサジン−3(4H)−オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環、二環、三環、または多環でもよく、好ましくは、単環、二環、または三環であり、より好ましくは、単環または二環である。「ヘテロアリール」という語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、または「ヘテロ芳香族」と言い換えることができ、それらの用語はいずれも、任意に置換された環を包含する。「ヘテロアラルキル」という語は、ヘテロアリールに置換されたアルキル基をいい、アルキル部およびヘテロアリール部は、独立して任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用される場合、「ヘテロ環(heterocycle)」、「ヘテロ環基の(heterocyclyl)」、「ヘテロ環ラジカル(heterocyclic radical)」および「ヘテロ環(heterocyclic ring)」という語は、互いに言い換えて用いることができ、飽和または部分的に不飽和のどちらかで、炭素原子に加えて1つ以上の、好ましくは1〜4個の上記ヘテロ原子を有し、安定した3〜7員単環式、または縮合7〜10員もしくは架橋6〜10員二環式ヘテロ環部分をいう。ヘテロ環の環原子に関して用いられるとき、「窒素」という語は、置換された窒素を包含する。例えば、酸素、硫黄または窒素から選択される1〜3個のヘテロ原子を有するヘテロ環では、該窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のNとして)、NH(ピロリジニル中のNとして)またはNR(N−置換ピロリジニル中のNとして)でもよい。ヘテロ環は、結果として安定な構造をもたらす、任意のヘテロ原子または炭素原子に、その側基を結合でき、任意の環原子は、任意に置換されていてもよい。そのような飽和または部分的に不飽和なヘテロ環ラジカルとしては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、およびキヌクリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、O、N、およびSからなる群から選択される0〜3個のヘテロ環原子を有し、任意に置換されていてもよい縮合5〜6員芳香族環または3〜8員非芳香族環のための、介在する環原子と一緒になって、ヘテロ環の2つの隣接する置換基。それゆえ、「ヘテロ環(heterocycle)」、「ヘテロ環基の(heterocyclyl)」、「ヘテロ環(heterocyclic ring)」、「ヘテロ環基(heterocyclic group)」、「ヘテロ環部分(heterocyclic moiety)」、および「ヘテロ環ラジカル(heterocyclic radical)」という語は、本明細書で使用される場合、互いに言い換えることができ、1つ以上のアリール環、ヘテロアリール環、または脂肪族環、例えば、インドリニル、3H−インドリル、クロマニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロイソキノリニルなどに縮合したヘテロ環の群を包含し、該ヘテロ環上にラジカルまたは結合点がある。ヘテロ環基は、単環、二環、三環、または多環でもよく、好ましくは、単環、二環、または三環であり、より好ましくは、単環または二環である。「ヘテロシクリルアルキル」という語は、ヘテロシクリルに置換されたアルキル基をいい、アルキル部およびヘテロシクリル部は、独立して任意に置換されていてもよい。
本明細書で使用される場合、「部分的に不飽和」という語は、環原子の間に、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分をいう。「部分的に不飽和」という語は、複数の不飽和部位を有する環を包含することを意図するが、本明細書で使用される場合、定義したようなアリールまたはヘテロアリール部分を含むことは意図しない。
「ハロ脂肪族」、「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」という語は、場合によって、1つ以上のハロゲン原子に置換された脂肪族基、アルキル基、アルケニル基またはアルコキシ基をいう。本明細書で使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」という語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。「フルオロ脂肪族」という語は、ハロゲンがフルオロであるハロ脂肪族をいう。
「アルキレン」という語は、二価のアルキル基をいう。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、例えば、−(CH−、式中、nは正整数で、好ましくは、1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、または2〜3である。置換アルキレン鎖は、1つ以上のメチレン水素原子が置換基に置換されたポリメチレン基である。適切な置換基は、置換脂肪族基などの下記のものを包含する。アルキレン鎖は、また、脂肪族基または置換脂肪族基が1つ以上の位置で置換されていてもよい。
本明細書で使用される場合、「置換」という語は、置換によって、安定した化合物または化学的に可能な化合物が得られるという条件で、指定部分の水素ラジカルが特定の置換基ラジカルで置換されることを意味する本明細書で使用される場合、「1つ以上の置換基」という表現は、1個から、安定性と化学的可能性の上記状態を満たす利用可能な結合部位の数に基づいて可能性のある置換基の最大数に等しい置換基の数を意味する。特に指示がない限り、任意の置換基は、その基の各々の置換可能な位置の置換基を有してもよく、置換基は同じでも異なっていてもよい。
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル等のアリール部分を含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ等のヘテロアリール部分を含む)は、1つ以上の置換基を含むことができる。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基の例としては、−ハロ、−NO、−CN、−R、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、−SRo、−S(O)Ro、−SORo、−SORo、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCORo、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−NRSORo、−NRSON(R、−P(O)(R、−P(O)(OR、−O−P(O)−OR、および−P(O)(NR)−N(R;または介在する原子と一緒になって、N、O、およびSからなる群から選択されて、0〜3個の環原子を有し、5〜6員不飽和または部分的に不飽和な環を形成する2つの隣接する置換基が挙げられる。
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル等のアリール部分を含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキル、ヘテロアラルコキシ等のヘテロアリール部分を含む)は、1つ以上の置換基を含むことができる。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基の例としては、−ハロ、−NO、−CN、−R、−C(R)=C(R、−C≡C−R、−OR、−SRo、−S(O)Ro、−SORo、−SORo、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R、−NRCORo、−O−CO、−OC(O)N(R、−O−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)R、−C(O)N(R、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R、−NRSORo、−NRSON(R、−P(O)(R、−P(O)(OR、−O−P(O)−OR、および−P(O)(NR)−N(R;または介在する原子と一緒になって、N、O、およびSからなる群から選択されて、0〜3個の環原子を有し、5〜6員不飽和または部分的に不飽和な環を形成する2つの隣接する置換基が挙げられる。
各々のRは、独立して、水素または任意に置換されていてもよい脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロ環基、または窒素原子と一緒になって、その窒素原子に加えてN、O、およびSから選択される0〜2個のヘテロ環原子を有する5〜8員芳香族環または非芳香族環を形成する、同じ窒素原子に結合した2つのRである。各々のRは、独立して、水素または任意に置換されていてもよい脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロ環基である。各々のRoは、任意に置換されていてもよい脂肪族基またはアリール基である。
脂肪族基または非芳香族ヘテロ環基は、1つ以上の置換基により置換されてもよい。脂肪族基または非芳香族ヘテロ環基の飽和炭素上の適切な置換基の例としては、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素として先に挙げたもの、および下記:=O、=S、=C(R、=N−N(R、=N−OR、=N−NHC(O)R、=N−NHCORo、=N−NHSORo、または=N−R(式中、RおよびRoは、上記に定義したとおり)が挙げられるが、これらに限定されない。
非芳香族ヘテロ環の窒素原子に結合する適切な置換基としては、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)−C(O)R−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、および−NRSO(式中、Rは、上記の定義のとおり)が挙げられる。
特に明記しない限り、本明細書で示す構造は、1つ以上の同位体的に濃縮された原子の存在の点でのみ異なる化合物を包含することをも意味する。例えば、水素原子を重水素もしくは三重水素による置換、または炭素原子を13C−もしくは14C−濃縮炭素による置換を除いて、本構造を有する化合物は、本発明の範囲に含まれる。
本明細書に記載の特定の化合物には、互変異性体が存在することは、当業者には明白であり、その化合物のそのような互変異性体全ては、本発明の範囲に含まれる。特に明記しない限り、その構造の全ての立体化学的形態、例えば、各々の不斉中心のRおよびS配置を含むことをも意味する。従って、本化合物の鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物だけでなく、単独の立体化学的異性体は、本発明の範囲内である。
3.詳細な説明
オーロラAキナーゼの選択的阻害薬
オーロラAキナーゼの酵素活性を選択的に阻害できる任意の分子は、本発明の方法、医薬組成物、およびキットに使用され得る。いくつかの実施形態では、選択的オーロラAキナーゼ阻害薬は、低分子量化合物である。特に、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0045501号、米国特許第7,572,784号、国際公開第05/111039号、国際公開第08/021038号、米国特許第7,718,648号、国際公開第08/063525号、米国特許出願公開第2008/0167292号、米国特許第8,026,246号、国際公開第10/134965号、米国特許出願公開第2010/0310651号、国際公開第11/014248号、米国特許出願公開第2011/0039826号、および米国特許出願公開第2011/0245234号(これらの各々はその全体を参照することにより本明細書に組み入れられる)に開示された化合物、4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピリミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸ナトリウム、KW−2449(協和醗酵キリン)、ENMD−2076(EntreMed)、およびMK−5108(Vertex/Merck)だけでなく、本明細書で記載の化合物が挙げられる。また、本発明の方法、医薬組成物、およびキットの使用に適切なものは、これらの化合物のいずれかの溶媒和物および水和物の形態をとるものである。また、本発明の方法、医薬組成物、およびキットの使用に適切なものは、該化合物のいずれかの薬剤的許容可能な塩、およびこのような塩の溶媒和物および水和物の形態をとるものである。これらのオーロラAキナーゼ選択的阻害薬は、有機合成の技術に精通した人であれば周知の多くの方法で作成でき、該方法は、本明細書で示した参考文献に詳細に記載された合成方法が挙げられるが、これらに限定されない。
オーロラAキナーゼ阻害薬は、オーロラAキナーゼを選択的に結合および/または阻害するそれらの能力を生体外または生体内で検定できる。生体外検定は、オーロラAキナーゼの基質タンパク質またはペプチドをリン酸化する能力を選択的阻害するか判定する検定を含む。もうひとつの生体外検定では、該化合物がオーロラAキナーゼと選択的に結合する能力を定量する。選択的阻害薬の結合は、結合前に放射標識し、阻害薬/オーロラAキナーゼ複合体を単離し、結合した放射標識量を決定することにより測定できる。あるいは、選択的阻害薬の結合は、既知の放射性リガンドと結合したオーロラAキナーゼと一緒に新規阻害薬をインキュベートする競合実験をすることにより測定できる。該化合物は、また、オーロラAキナーゼ活性を介して、細胞のまたは生理的機能に影響する能力を検定できる。オーロラAキナーゼのオーロラBキナーゼ存在上での選択性を検定するために、阻害薬もまた、オーロラAキナーゼのときの上記方法と同様な検定方法を利用して、オーロラBキナーゼを選択的に結合および/または阻害する能力を生体外または生体内で検定できる。阻害薬は、オーロラBキナーゼ阻害の存在しない状態でのオーロラAキナーゼを阻害する能力を、pHisH3の免疫蛍光検査によって、生体外および生体内で検定できる。(Proc.Natl.Acad.Sci.(2007)104,4106)。各々のこれら活性検定は、当業者に周知である。
いくつかの実施形態では、選択的オーロラAキナーゼ阻害薬は、式(V)またはその薬剤的に許容可能な塩である:
Figure 0006373252
式中、
は、C1−3脂肪族基、C1−3フルオロ脂肪族基、−R、−T−R、−R、および−T−Rからなる群から選択され;
Tは、任意にフルオロに置換されてもよいC1−3アルキレン鎖であり;
は、任意に置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロ環基であり;
は、ハロ、−C≡C−R、−CH=CH−R、−N(R、および−ORであり;
は、水素または任意に置換されていてもよい脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロ環基であり;
各々のRは、独立して、水素または任意に置換されていてもよい脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロ環基;または窒素原子と一緒になって、その窒素原子に加えてN、O、およびSから選択される0〜2個のヘテロ環原子を有し、任意に置換されていてもよい5〜6員ヘテロアリール環もしくは4〜8員ヘテロ環を形成する、同じ窒素原子に結合した2つのRであり;
は、水素または任意に置換されていてもよい脂肪族基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロ環基であり;そして
は、フルオロ、クロロ、−CH、−CF、−OH、−OCH3、−OCF、−OCHCH、および−OCHCFである。
いくつかの実施形態では、Rは、ハロ、C1−3脂肪族基、およびC1−3フルオロ脂肪族基からなる群から独立して選択される、1つもしくは2つの置換基で任意に置換されていてもよい、5員もしくは6員のアリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環である。ある実施形態では、Rは、ハロ、C1−3脂肪族基、およびC1−3フルオロ脂肪族からなる群から独立して選択される、1つもしくは2つの置換基で任意に置換されていてもよい、フェニル、フリル、ピロリジニル、またはチエニル環である。
いくつかの実施形態では、Rは、水素、C1−3脂肪族基、C1−3フルオロ脂肪族基、または−CH−OCHである。
いくつかの実施形態では、Rは、水素、C1−3脂肪族基、またはC1−3フルオロ脂肪族である。
いくつかの実施形態では、Rは、ハロ、C1−3脂肪族基、C1−3フルオロ脂肪族基、−OH、−O(C1−3脂肪族)、−O(C1−3フルオロ脂肪族)、−C≡C−R、−CH=CH−R、または任意に置換されてもよいピロリジニル環基、チエニル環基、フリル環基、もしくはフェニル環基、式中、Rは、水素、C1−3脂肪族基、C1−3フルオロ脂肪族基、または−CH−OCHである。ある特定の実施形態では、Rは、クロロ、フルオロ、またはC1−3脂肪族基、C1−3フルオロ脂肪族基、−OCH、−OCF、−C≡C−H、−C≡C−CH、−C≡C−CHOCH、−CH=CH、−CH=CHCH、N−メチルピロリジニル、チエニル、メチルチエニル、フリル、メチルフリル、フェニル、フルオロフェニル、およびトリルからなる群から選択される。
表1に、式(V)の化合物の特定例の化学名を示す。
Figure 0006373252
Figure 0006373252
ひとつの実施形態では、式(V)の化合物は、4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピラミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸(アリセルチブ(MLN8237))、またはその薬剤的許容可能な塩。別の実施形態では、式(V)の化合物は、4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピリミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸ナトリウムである。更に別の実施形態では、式(V)の化合物は、4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピリミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸ナトリウム一水和物である。別の実施形態では、式(V)の化合物は、米国特許出願公開第2008/0167292号、米国特許第8,026,246号、および米国特許出願公開第2011/0245234号(これらの各々はそれらの全体を参照することにより本明細書に組み入れられる)に記載されたような4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピリミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸ナトリウム多形体2である。
本明細書で使用される場合、「薬剤的許容可能な塩」という語は、健全で医学的な判断の範囲内で、ヒトおよび過度の有毒性、刺激作用、アレルギー応答等のない下等動物の組織と接触して使用するのに適切で、合理的なリスク対効果比と整合性があるそれらの塩をいう。「薬剤的許容可能な塩」は、被移植者への投与で、本発明の化合物または阻害薬的に活性代謝産物またはその残基を、直接的でも間接的でもどちらかで、提供できる任意の無毒性の塩または本発明の化合物のエステルの塩を意味する。本明細書で使用される場合、「阻害薬的に活性代謝産物またはその残基」という語は、代謝産物またはその残基もまた、オーロラAキナーゼの選択的阻害剤であることを意味する。
もし、オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の薬剤的に許容可能な塩を医薬組成物に利用するならば、好ましくは、塩は、無機酸もしくは有機酸または塩基由来である。適切な塩の総説として、例えば、Berge et al,J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)and Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,ed.A.Gennaro,Lippincott Williams&Wilkins,2000を参照のこと。
適切な酸付加塩の制限のない例としては、次のもの:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、スルショウノウホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩,ルコヘプタン酸塩(lucoheptanoate),グリセロリン酸、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩,メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。
適切な塩基付加塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジクロロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミンおよびコリンなどの有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
塩基性窒素を含む基もまた、メチル、エチル、プロピルおよびブチル塩化物、臭化物およびヨウ化物などの低級アルキルハライド;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルスルホン酸塩などのジアルキルスルホン酸塩、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、臭化物およびヨウ化物などの長鎖ハライド、ベンジルおよびフェネチル臭化物などのアラルキルハライド、ならびに他などの薬剤と四級化されてもよい。これによって、水溶性または油溶性の生成物が得られる。
タキサン類と併用でのオーロラAキナーゼの選択的阻害剤の用量および投与
オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の治療有効量または適切な投与量は、処置する状態の重篤度、特定の阻害剤、投薬経路ならびに年齢、体重、健康状態、および個別の患者の応答を含む多くの因子に依存する。ある実施形態では、適切な用量レベルは、皮膚分裂指数増加または腫瘍有糸分裂細胞の染色体整列および双極紡錘体の減少による測定、または癌患者への有効曝露量の他の標準的測定において有効曝露量に達するものである。ある実施形態では、適切な用量レベルは、腫瘍退縮、または疾病進行、無増悪生存期間もしくは全生存期間の他の標準的測定による測定で治療反応に達するものである。他の実施形態では、適切な用量レベルは、この治療反応に達し、また、治療薬剤の投与に関係するいずれの副作用も最小限にするものである。
オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の適切な1日の投与量は、一般的に、単一投与または分割投与または複数回投与で、単剤として最大耐量の約10%〜約100%の範囲であり得る。ある実施形態では、適切な投薬量は、単剤として最大耐量の約15%〜約100%である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、単剤として最大耐量の約25%〜約90%である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、単剤として最大耐量の約30%〜約80%である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、単剤として最大耐量の約40%〜約75%である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、単剤として最大耐量の約45%〜約60%である。他の実施形態では、適切な投薬量は、単剤として最大耐量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約110%、約105%、または約110%である。
アリセルチブの適切な1日の投与量は、一般的に、単一投与または分割投与または複数回投与で、1日に約20mg〜約120mgの範囲であり得る。アリセルチブの他の適切な1日の投与量は、一般的に、単一投与または分割投与または複数回投与で、1日に約40mg〜約80mgの範囲であり得る。アリセルチブの他の適切な1日の投与量は、一般的に、単一投与または分割投与または複数回投与で、1日に約60mg〜約80mgの範囲であり得る。ある実施形態では、適切な投薬量は、1日約10mgを2回〜1日約40mgを2回である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、1日約20mgを2回〜1日約40mgを2回である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、1日約30mgを2回〜1日約50mgを2回である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、1日約30mgを2回〜1日約40mgを2回である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、1日約40mgを2回〜1日約50mgを2回である。他のいくつかの実施形態では、適切な投薬量は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、1日約90mg、1日約95mg1日、約100mg、1日約105mg、1日約110mg、1日約115mg、1日約120mgである。ある他の実施形態では、適切な投薬量は、1日に、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、または約60mgを2回である。
オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の適切な投薬は、昼夜を問わず可能であると理解されるだろう。いくつかの実施形態では、オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の適切な投薬は晩に行われる。他のいくつかの実施形態では、オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の適切な投薬は朝と晩の両方で行われる。オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の適切な投薬は、食事のあるなしにかかわらず可能であると理解されるだろう。いくつかの実施形態では、オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の適切な投薬は食事と一緒に行われる。いくつかの実施形態では、オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の適切な投薬は絶食中に行われる。
パクリタキセルの適切な毎週の投与量は、一般的に、単一投与または分割投与または複数回投与で、週に約40mg/m〜約80mg/mの範囲であり得る。パクリタキセルの他の適切な毎週の投与量は、一般的に、単一投与または分割投与または複数回投与で、週に約50mg/m〜約75mg/mの範囲であり得る。パクリタキセルの他の適切な毎週の投与量は、一般的に、単一投与または分割投与または複数回投与で、週に約50mg/m〜約70mg/m、または週に約60mg/m〜約70mg/mの範囲であり得る。他の実施形態では、適切な毎週の投与量は、週に、約40mg/m、約45mg/m、約50mg/m、約55mg/m、約60mg/m、約65mg/m、約70mg/m、約75mg/mである。
さらに、任意のこれらの治療薬剤を投与できる頻度は、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約20日、約28日、約1週、約2週、約3週、約4週、約1か月、約2か月毎、約3か月毎、約4か月毎、約5か月毎、約6か月毎、約7か月毎、約8か月毎、約9か月毎、約10か月毎、約11か月毎、約1年毎、約2年毎、約3年毎、約4年毎、または約5年毎の期間に、1回または1回以上投与できる。
例えば、ある薬剤を、毎日、毎週、隔週毎、または毎月、特定の一時期に投与し得る。いくつかの実施形態では、オーロラAキナーゼ選択的阻害剤の一定量を、3日間に毎日のように投与できる。あるいは、ある薬剤を、毎日、毎週、隔週毎、または毎月、特定の一時期に投与し、次いで、特定の期間、投与しなくてもよい。いくつかの実施形態では、オーロラAキナーゼ選択的阻害剤の一定量を、3日間に毎日投与し、次いで、4日間投与せず、その後、3日間に毎日投与し、次いで、さらに4日間投与せず、その後、3日間に毎日投与し、次いで、さらに4日間投与しなくてもよい。いくつかの実施形態では、タキサンの一定量を、3週の期間に毎週投与できる。
いくつかの実施形態では、オーロラAキナーゼ選択的阻害剤およびタキサンは、患者に、周期的に投与される。サイクリング療法は、一時期に第1の薬剤(例えば、第1の予防薬または治療薬)投与し、次いで、一時期に第2および/または第3の薬剤(例えば、第2および/または第3の予防薬または治療薬)投与し、この連続投与を反復する。サイクリング療法は、1つ以上の治療耐性発現の減少または1つの治療の副作用の減少、および/または治療効果の改善ができる。
いくつかの実施形態では、薬剤が投与される治療期間の後に、無治療の特定の持続期間が続き、この間、治療薬を患者に投与しない。本無治療期間の後に、同じまたは異なる時間、同じまたは異なる頻度の継続的治療期間および無治療の一連の期間が続くことが可能である。いくつかの実施形態では、治療期間および無治療期間は、交互に入れ換えられる。サイクリング療法の治療期間は、患者が治療を止めてもよい完全奏効または部分奏効に達するまで続けてよいと理解するだろう。あるいは、サイクリング療法の治療期間は、治療期間が特定のサイクル数続いた時点で、患者が完全奏効または部分奏効に達するまで続けてもよい。いくつかの実施形態では、治療期間の長さは、患者の応答にかかわらず、特定のサイクル数であり得る。いくつかの実施形態では、治療期間の長さは、患者が再発するまで、続けてよい。
例えば、オーロラAキナーゼ選択的阻害剤のある量は、3日間1日に2回投与し、次いで、11日間の無治療期間後、1日2回3日間、投与できる。いくつかの実施形態では、治療期間および無治療期間は、交互に入れ換えられる。他の実施形態では、オーロラAキナーゼの選択的阻害剤の第1量を投与する第1治療期間に次いで、オーロラAキナーゼの同じまたは異なる選択的阻害薬の同じまたは異なる量を投与する別の治療期間が続き得る。第2治療期間に次いで、他の治療期間が続き得る。治療期間および無治療期間の間、1つ以上の追加の治療薬剤を患者に投与できる。
ひとつの実施形態では、投与は、3週間に1週間毎に反復する週1回のパクリタキセルの初回投与と同時に、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬を3日間のスケジュールで1日2回投与後4日間投与なしを3週の間に1週間毎に反復する(1日2回のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬は、1日目、2日目、3日目,8日目、9日目、10日目,15日目、16日目および17日目に投与される;そして、毎週のパクリタキセルは、28日間のスケジュール中の1日目、8日目、15日目に投与される)28日間の投薬スケジュールである。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬の投薬スケジュールは、アリセルチブ投与の投薬スケジュールである。
別の実施形態では、投与は、3週間に1週間毎に反復する週1回のパクリタキセルの初回投与と同時に、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬を2日間のスケジュールで1日2回投与後5日間投与なしを3週の間に1週間毎に反復する(1日2回のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬は、1日目、2日目、8日目、9日目、15日目、および16日目に投与される;そして、毎週のパクリタキセルは、28日間のスケジュール中の1日目、8日目、15日目に投与される)28日間の投薬スケジュールである。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬の投薬スケジュールは、アリセルチブ投与の投薬スケジュールである。
ひとつの実施形態では、投与は、3週間に1週間毎に反復する週1回のパクリタキセルの初回投与と同時に、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬を3日間のスケジュールで1日2回投与後4日間投与なしを3週の間に1週間毎に反復する(1日2回のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬は、1日目、2日目、3日目、8日目、9日目、および10日目に投与される;そして、毎週のパクリタキセルは、28日間のスケジュール中の1日目、8日目、15日目に投与される)28日間の投薬スケジュールである。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬の投薬スケジュールは、アリセルチブ投与の投薬スケジュールである。
ひとつの実施形態では、投与は、3週間に1週間毎に反復する週1回のパクリタキセルの初回投与と同時に、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬を3日間のスケジュールで1日2回投与後11日間投与なしを3週の間に1週間毎に反復する(1日2回のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬は、1日目、2日目、3日目、15日目、16日目、および17日目に投与される;そして、毎週のパクリタキセルは、28日間のスケジュール中の1日目、8日目、15日目に投与される)28日間の投薬スケジュールである。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のオーロラAキナーゼ選択的阻害薬の投薬スケジュールは、アリセルチブ投与の投薬スケジュールである。
オーロラAキナーゼの選択的阻害薬は、当業者に周知の任意の方法で投与し得る。例えば、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬は、ひとつの実施形態では、本明細書で記載したようなオーロラAキナーゼの選択的阻害薬および薬剤的に許容可能な担体の医薬組成物である組成物の形態で投与できる。好ましくは、該医薬組成物は、経口投与に適している。いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、腸溶錠などの経口投与用錠剤である。そのような錠剤は、米国特許出願公開第2010/0310651号に記載されており、その全体を参照することにより本明細書に組み入れられる。他のいくつかの実施形態では、該医薬組成物は、経口投与用液剤形である。そのような液剤形は、米国特許出願公開第2011/0039826号に記載されており、参照することにより本明細書に組み入れられる。ある実施形態では、これらの組成物は、任意に更に1つ以上の追加の治療薬剤を含んでもよい・
タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)は、当業者に周知の任意の方法により投与され得る。例えば、タキサンは、ひとつの実施形態では、本明細書で記載したようなタキサンおよび薬剤的に許容可能な担体の医薬組成物である組成物の形態で投与され得る。いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、静脈内注射または点滴などの静脈内経路で投与できる液剤形である。ひとつの実施形態では、パクリタキセルは、静脈内注射経路で投与される。別の実施形態では、アブラキサン(登録商標)は、静脈内注射経路で投与される。そのような医薬組成物は、米国特許第6096331号および米国特許第6506405号に記載されている。
本明細書で使用される「薬剤的に許容可能な担体」という語は、受容対象、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトと適合性があり、薬剤活性を停止しないで目標部位に活性薬剤を送達するのに適している物質をいう。該担体と関連する有毒性または有害作用は、たとえあったとしても、好ましくは、活性薬剤の意図した使用で合理的リスク対効果比と整合する。
「担体」、「アジュバント」、または「媒体」という語は、本明細書で、交互に使用され、所望の特定の剤形に適する、任意のおよび全ての溶媒、希釈剤、ならびに他の液体媒体、分散剤または懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤等を包含する。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,ed.A.Gennaro,Lippincott Williams&Wilkins,2000は、薬剤的に許容可能な組成物の処方するときに使用される様々な担体およびこれらを調製する公知技術を開示している。但し、従来の分散媒が、望ましくない何らかの生物学的影響を生じることにより、さもなければ、薬剤的に許容可能な組成物の任意の他成分と有害な方法で相互作用することにより本発明の化合物に不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると意図されている。薬剤的許容可能な担体として役立ち得る物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清蛋白、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、発熱物質非含有水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩酸ナトリウム、および亜鉛塩などの塩または電解質、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス類、ポリエチレンポリオキシプロピレンブロック重合体、羊毛脂、ラクトース、グルコース、ショ糖などの糖類、コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、トラガント末;麦芽、ゼラチン、タルク、カカオ脂および坐薬蝋などの賦形剤、ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油類、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどのグリコール、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル類、寒天、アルギン酸、等張食塩水、リンゲル液、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコールおよびグリセロールなどのアルコール類、シクロデキストリン、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、鉱油および石油などの石油炭化水素が挙げられるが、これらに限定されない。着色料、離型剤、コーティング剤、甘味料、香料、および着香剤、防腐剤ならびに酸化防止剤もまた、処方者の判断に従って、組成物中に存在できる。
本発明の医薬組成物は、とりわけ、従来の顆粒化プロセス、混合プロセス、溶解プロセス、カプセル化プロセス、凍結乾燥プロセス、または乳化プロセスなどの当技術分野において周知の方法により製造され得る。組成物は、顆粒剤、沈殿物、または粒子物、凍結乾燥粉末、ロータリー式乾燥粉末、もしくは吹き付け乾燥粉末を含む散剤、非晶質散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、乳剤、エリキシル剤、懸濁剤または溶液を含む様々な形態で生産され得る。処方物は、所望の特定の剤形に適するもので、任意に、溶媒、希釈剤、および他の液体媒体、分散剤または懸濁助剤、表面活性剤、pH調製剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、安定剤および防腐剤、固体結合剤、潤滑剤等を含有できる。
好ましい実施形態に従えば、本発明の組成物は、哺乳動物、好ましくはヒトへの薬剤投与のために処方される。本発明のこのような医薬組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、経口腔的に、経腟的に、または移植レザバーを経由して投与され得る。本明細書で使用される「非経口的に」という語は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内、および頭蓋内注射または点滴技術を包含する。好ましくは、該組成物は、経口的に、静脈内に、または皮下に投与される。本発明の処方物は、短時間作用性、速効性、または長時間作用性になるように設計され得る。更に、化合物は、全身的手段よりもむしろ、腫瘍部位に投与(例えば、注射により)するなどの局所的手段により投与され得る。
経口投与のための液剤形としては、薬剤的に許容可能な乳剤、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液剤形は、例えば、水または他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、シクロデキストリン、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルおよびそれらの混合物など当技術分野で通常使用される不活性希釈剤を含有し得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、また、湿潤剤などのアジュバント、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香料、および着香剤を含有できる。
注射可能な調製物は、例えば、滅菌注射可能水性または油性懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、公知の技術に従って処方され得る。滅菌注射可能調製物は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として無毒性で非経口的に許容できる希釈剤または溶媒の滅菌注射溶液、懸濁液または乳液でもあり得る。使用し得る許容可能な媒体および溶媒の中で、水、リンゲル液、米国薬局方および等張性塩化ナトリウム液がある。加えて、滅菌固定油は、従来、溶媒または懸濁化媒体として使用される。本目的のため、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を使用できる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通して濾過することにより、または使用前に滅菌剤を滅菌水または他の滅菌注射可能媒体中に溶解するか、または分散できる滅菌固体組成物の形態で組み込むことによって滅菌できる。非経口投与のために処方された組成物は、ボーラス注入もしくは定時プッシュ(timed push)によって注射され得るか、または持続点滴により投与され得る。
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶性または非晶質性物質の懸濁液の使用により達成され得る。そして、該化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に、この溶解速度は、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与された化合物形態の吸収の遅延は、該化合物を油性媒体に溶解または懸濁することによって達成される。注射可能なデポー剤の形態は、ポリ乳酸−ポリグリコール酸などの生分解性ポリマー中に該化合物のマイクロカブセルマトリックスを形成することにより作成される。化合物のポリマーに対する比率および使用した特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー剤の注射可能な処方物は、リポソームまたは体組織に適合するマイクロエマルション中に該化合物を封入することによっても調製される。
直腸内投与または腟内投与用組成物は、好ましくは、本発明の化合物を適切な非刺激性賦形剤、または周囲温度では固体だが体温で液体になり、それゆえ、直腸腔または腟腔で融けて活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールもしくは坐薬蝋などの担体と混合することにより調製され得る坐薬類である。
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体投薬形態では、活性化合物は、少なくともひとつの不活性な、薬剤的に許容可能な賦形剤またはクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カリウムなどの担体および/またはa)デンプン類、ラクトース、ショ糖、グルコース、マニトール、およびケイ酸などの充填材または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、いくつかのケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、e)パラフィンなどの溶液緩染剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物などの潤滑剤を混合する。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は、リン酸塩または炭酸塩などの緩衝剤をも含み得る。
同様の固体組成物は、高分子量ポリエチレングリコール類等だけでなく、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤を使用する軟質充填ゼラチンカプセルおよび硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても使用され得る。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、腸溶コーティング剤および医薬製剤技術分野で周知の他のコーティング剤などのコーティング剤ならびに殻で調合され得る。それらは、任意に不透明化剤を含有してもよく、活性成分のみ放出し、または優先的に腸管のある部分で放出し、任意に遅延して放出する組成物でもあり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。同様の固体組成物は、高分子量ポリエチレングリコール類等だけでなく、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤を使用する軟質充填ゼラチンカプセルおよび硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても、使用され得る。
活性化合物は、1つ以上の上記賦形剤からマイクロカプセル形態でもあり得る。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、腸管コーティング剤、放出制御コーティング剤および医薬製剤技術分野で周知の他のコーティング剤などのコーティング剤ならびに殻で調合され得る。このような固体投薬形態では、活性化合物は、ショ糖、ラクトースまたはデンプンなどの少なくともひとつの不活性な希釈剤で混合され得る。このような投薬形態は、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、打錠用潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの他の錠剤化剤も含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は緩衝剤を含んでいてもよい。それらは、任意に不透明化剤を含有してもよく、活性成分のみ放出し、または優先的に腸管のある部分で放出し、任意に遅延して放出する組成物でもあり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられてもよい。
本発明の化合物の局所的または経皮的投与のための投薬形態としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤またはパッチ剤が挙げられる。活性成分は、薬剤的に許容可能な担体および要求され得る任意の必要とする防腐剤または緩衝剤と滅菌条件下混合される。目の処方物、点耳剤、および点眼剤もまた、本発明の範囲内であると意図される。更に、本発明は、体への化合物の制御された送達を提供する追加的利点を有する経皮貼布の使用を意図する。このような投薬形態は、適切な媒体に化合物を溶解または分配することにより作成され得る。吸収促進薬も、化合物の皮膚透過を増加するために使用され得る。該速度は、速度制御膜の提供、または高分子マトリックスもしくは高分子ゲルへの化合物の分散のいずれかにより制御され得る。
本発明の方法で使用する組成物は、投与の容易性および投薬の均一性のために単位投薬形態で処方され得る。本明細書で使用される「単位投薬形態」という語は、治療する患者に適した、物理的に不連続単位の薬剤をいう。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日総使用量は、健全な意訳的判断の範囲内で主治医により決定されると理解されるだろう。非経口投与のための単位投薬形態は、アンプル中または複数回用量容器(multi−dose containers)中であり得る。
本発明はまた、増殖性疾病の治療のためのキットおよび他の製造物に関する。ひとつの実施形態では、キットは、本明細書に記載のオーロラAキナーゼの選択的阻害薬またはその薬剤的に許容可能な塩;本明細書に記載のタキサンまたはその薬剤的に許容可能な塩;そして指示書を含むキットで提供される。該キットは、任意に、本明細書に記載のひとつ以上の追加の治療薬剤も含み得る。該指示書は、該キットが使用される病状、保管情報、投薬情報および/または、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬、タキサンおよび/または追加の治療薬剤の投与の手引きに関する指示を示し得る。該キットはまた、パッケージ物質を含み得る。該パッケージ物質は、該キットの内容物を収容するための容器を含み得る。該キットはまた、任意に、該キットの内容物を投与するためのシリンジなどの追加のコンポーネントを含み得る。該キットは、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬、タキサン、および/または追加の治療薬剤または単一用量もしくは複数回用量の形態での薬剤を含み得る。
別の実施形態では、製造物は、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬またはその薬剤的に許容可能な塩;タキサンまたはその薬剤的に許容可能な塩;そしてパッケージ物質を含むものが提供される。該製造物は、任意に、更に1つ以上の追加の治療薬剤を含み得る。該パッケージ物質は、製造物の内容物を収容するための容器を含み得る。該容器は、任意に、該物品が使用される病状、保管情報、投薬情報および/または、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬、タキサンおよび/または追加の治療薬剤の投与の手引きに関する指示を含み得る。該物品はまた、任意に、組成物を投与するためのシリンジなどの追加のコンポーネントを含み得る。該物品は、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬、タキサン、および/または追加の治療薬剤または単一用量もしくは複数回用量の形態での薬剤を含み得る。
多種多様な治療薬剤は、本発明のオーロラAキナーゼの選択的阻害薬およびタキサンの併用での組み合わせにおいて、治療的に関連する別の利点を有する可能性がある。1つ以上の他の治療薬剤ならびに本発明のオーロラAキナーゼの選択的阻害薬およびタキサンの組み合わせを含む併用治療は、例えば、1)本発明の方法の治療効果および/または該1つ以上の他の治療薬剤の治療効果を増強するため;2)本発明の方法により示す副作用および/または該1つ以上の治療薬剤により示す副作用を減少するため;3)本発明のオーロラAキナーゼの選択的阻害薬およびタキサンの有効量および/または該1つ以上の他の治療薬剤の有効量の減量のために使用され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、タキサンおよび追加の治療薬剤との併用でオーロラAキナーゼの選択的阻害薬の投与を含み、各々の薬剤の量は併用使用時に治療的に有効である。
ある実施形態では、タキサンとの併用でのオーロラAキナーゼの選択的阻害薬は、シスプラチンまたはドキソルビシンの同時投与または連続的投与と一緒に投与される。該併用治療は、同時にまたは連続的に該治療薬剤の投与を含むことが認識されるだろう。あるいは、該治療薬剤は患者に投与される1つの組成物中に組み合わされ得る。
本発明のオーロラAキナーゼの選択的阻害薬およびタキサンの併用と組み合わせて使用し得る治療薬剤の例としては、抗増殖剤、抗癌剤、アルキル化剤、抗生物質製剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、植物由来製剤、および生物剤が挙げられるが、これらに限定されない。追加の治療薬剤の上記分類のいくつかの例は、例示を目的に下記に一覧されるが、これらに限定することが目的ではなく、これらの例は全てを含んでいない。下記例の多くは、多くの分類の抗癌剤に一覧され得、それらが一覧にある分類に限定されない。
アルキル化剤は、水素イオンをアルキル基で置換する能力を有する多官能性化合物である。アルキル化剤の例としては、ビスクロロエチルアミン類(ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード)、アジリジン類(例えば、チオテパ)、スルホン酸アルキルアルコン類(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素類(カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン)、非定型性アルキル化剤(アルトレタミン、ダカルバジン、およびプロカルバジン)、白金化合物(カルボプラスチン(carboplastin)、シスプラチン)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、リン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、スルフィヒドリル基、カルボキシ基、およびイミダゾール基と反応する。生理学的条件下、これらの薬剤は、イオン化して正電荷イオンを生じて反応性のある核酸およびタンパク質に結合して、細胞周期停止および/または細胞死に至らせる。本発明の阻害剤およびアルキル化剤を含む併用療法は、癌に対する治療の相乗効果を有し、これらの化学療法薬関連の副作用を軽減し得る。
抗生物質製剤は、天然物の修飾物として抗生物質に似た方法で生産した製剤の1群である。抗生物質製剤の例としては、アントラサイクリン系薬剤(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびアントラセンジオン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン(plicatomycin)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの抗生物質製剤は、種々の細胞成分を標的にして細胞増殖を妨害する。例えば、アントラサイクリン系薬剤は、DNA鎖切断に至る転写活性DNAの領域において、DNAトポイソメラーゼIIの作用を妨害すると、一般的に考えられている。ブレオマイシンは、鉄をキレート化して活性錯体を形成し、これが、DNA塩基に結合して、鎖切断および細胞死の原因となると一般的に考えられている。本発明の阻害薬および抗生物質製剤を含む併用治療は、癌に対する治療の相乗効果を有し、これらの化学療法薬関連の副作用を軽減し得る。
抗生物質製剤は、癌細胞の生理機能および増殖にとって重要な代謝過程を妨害する製剤の1群である。活発に増殖する癌細胞は、核酸、タンパク質、脂質および他の生命に不可欠な細胞構成要素の大量の継続的合成を必要とする。多くの代謝拮抗剤は、プリンもしくはピリミジンヌクレオチドの合成を阻害し、またはDNA複製酵素を阻害する。いくつかの代謝拮抗剤はまた、リボヌクレオチドおよびRNAおよび/またはアミノ酸代謝作用およびタンパク質合成も妨害する。生命に不可欠な細胞構成要素の合成を妨害することにより、代謝拮抗剤は、癌細胞増殖を遅延または停止し得る。代謝拮抗剤の例としては、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、およびゲムシタビンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の阻害薬および代謝拮抗剤を含む併用治療は、癌に対する治療の相乗効果を有し、これらの化学療法薬関連の副作用を軽減し得る。
ホルモン剤は、それらの標的組織の増殖および発育を調節する製剤の1群である。ホルモン剤のほとんどは、エストロゲン、アンドロゲン、およびプロゲスチンなどの、性ステロイドおよびそれらの誘導体およびそれらの類似体である。これらのホルモン剤は、生命遺伝子の受容体発現および転写を下方制御する性ステロイドの受容体アンタゴニストとしての役割をし得る。このようなホルモン剤の例は、合成エストロゲン類(例えば、ジエチルスチルベストロール)、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、フルオキシメステロールおよびラロキシフェン)、抗アンドロゲン類(ビカルタミド、ニルタミド、およびフルタミド)、アロマターゼ阻害薬(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾールおよびテトラゾール)、ケトコナゾール、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロールおよびミフェプリストンである。本発明の阻害薬およびホルモン剤を含む併用治療は、癌治療での相乗効果を有し、これらの化学療法薬関連の副作用を軽減し得る。
植物由来製剤は、植物由来または製剤の分子構造に基づいて修飾した製剤の1群である。植物由来製剤の例としては、ビンカアルカロイド類(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジンおよびビノレルビン)、およびポドフィロトキシン類(例えば、エトポシド(VP−16)およびテニポシド(VM−26))が挙げられるが、これらに限定されない。これらの植物由来製剤は、一般的に、チューブリンと結合して有糸分裂を阻害する有糸分裂阻害剤として作用する。エトポシドなどのポドフィロトキシン類は、トポイソメラーゼIIとの相互作用によりDNA合成を妨害して、DNA鎖切断に至ると考えられている。本発明の阻害薬および植物由来製剤を含む併用治療は、癌治療での相乗効果を有し、これらの化学療法薬関連の副作用を軽減し得る。
生物剤は、単独使用時、または化学療法および/または放射線療法との併用時に、癌/腫瘍退縮を誘発する生体分子の1群である。生物剤の例としては、サイトカイン類などの免疫調節性タンパク質、腫瘍抗原に対するモノクロナール抗体、癌抑制遺伝子、および癌ワクチン類が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の阻害薬および生物剤を含む併用治療は、癌治療での相乗効果を有し、腫瘍化シグナルへの患者の免疫応答を増強し、これらの化学療法薬に関連する潜在的副作用を軽減し得る。
サイトカイン類は、著明な免疫調節活性を有する。インターロイキン−2(IL−2、アルデスロイキン)およびインターフェロンなどのいくつかのサイトカイン類は、抗腫瘍活性を示し、転移性腎細胞癌および転移性悪性黒色腫の患者の治療で認可されている。IL−2は、T細胞介在免疫応答の中核をなすT細胞増殖因子である。幾人かの患者においてIL−2の選択的抗腫瘍効果は、自己または非自己の間の識別をする細胞性免疫応答の結果であると考えられている。本発明の阻害剤と併せて使用され得るインターロイキン類の例としては、インターロイキン2(IL−2)、およびインターロイキン4(IL−4)、インターロイキン12(IL−12)が挙げられるが、これらに限定されない。
インターフェロンは、オーバーラップした活性を有する23以上の関連するサブタイプを含み、全てのインターフェロンサブタイプは、本発明の範囲内である。インターフェロンは、多くの固形悪性腫瘍および造血器腫瘍に対する活性を示し、後者は特に感受性が高いように思われる。
本発明の阻害剤と併用して使用され得る他のサイトカイン類は、血液学的および免疫機能に著明な効果を発揮するサイトカイン類を含む。このようなサイトカイン類の例としては、エリトロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(フィルグラスチン(filgrastin))、および顆粒球、マクロファージ−コロニー刺激因子(サルグラモスチム)が挙げられるが、これらに限定されない。これらのサイトカイン類は、化学療法誘導骨髄造血性毒性を軽減するために本発明の阻害剤と併用して使用され得る。
サイトカイン類以外の他の免疫調節剤はまた、細胞増殖性異常を阻害するために、本発明の阻害剤と併用使用され得る。このような免疫調節剤の例としては、カルメット・ゲラン桿菌、レバミソール、およびオクトレオチド、自然分泌されるソマトスタチンホルモン効果を擬態する長時間作用性オクタペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
腫瘍抗原に対するモノクロナール抗体類は、腫瘍により発現した抗原、好ましくは、腫瘍特異性抗原に対して誘発された抗体である。例えば、モノクロナール抗体ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)は、転移性乳癌を含むいくつかの乳腺腫瘍で過剰発現されるヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)に対して抗体産生する。HER2タンパク質の過剰発現は、臨床の場で、より進行性の疾患および予後不良と関連がある。ハーセプチン(登録商標)は、その腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌患者の治療のための単剤として使用される。本発明の阻害薬およびハーセプチン(登録商標)を含む併用治療は、腫瘍、特に転移性癌に対する治療の相乗効果を有し得る。
腫瘍抗原に対するモノクロナール抗体の別例としては、リンパ腫細胞上のCD20に対して抗体産出し、正常および悪性のプレB細胞および成熟B細胞のCD20を選択的に枯渇させるリツキサン(登録商標)(リツキシマブ)がある。リツキサン(登録商標)は、再発または難治性低悪性度または濾胞性の非ホジキンリンパ腫のB細胞CD20+を有する患者の治療のために単剤使用される。本発明の阻害薬およびリツキサン(登録商標)を含む併用治療は、リンパ腫だけでなく、悪性腫瘍の他の形態または型にも治療の相乗効果を有し得る。
腫瘍抑制遺伝子は、細胞増殖および細胞分裂周期を阻害し、従って、腫瘍発達を防止するように機能する遺伝子である。腫瘍抑制遺伝子変異は、1つ以上の抑制シグナルのネットワーク構成成分を無視する細胞の原因となり細胞周期チェックポイントを克服して制御された細胞増殖速度をより速くする結果をまねき、癌になる。腫瘍抑制遺伝子の例としては、DPC−4、NF−1、NF−2、RB、p53、WT1、BRCA1、およびBRCA2が挙げられるが、これらに限定されない。
DPC−4は、膵癌に関係し、細胞分裂を阻害する細胞質経路に関与する。NF−1は、Rasを阻害するタンパク質、細胞質抑制タンパク質をコードする。NF−1は、神経系の神経線維腫および褐色細胞腫および骨髄性白血病に関係する。NF−2は、髄膜腫、神経鞘腫、および神経系上衣細胞腫である核タンパク質をコードする。RBは、pRBタンパク質、細胞周期の主要な阻害剤である核タンパク質をコードする。RBは、骨癌、膀胱癌、小細胞肺癌および乳癌だけでなく、網膜芽細胞腫に関係する。P53は、細胞分裂を調節しアポトーシスを誘起できるp53タンパク質をコードする。p53の変異および/または不活動は、広範囲の癌で見られる。WT1は、腎臓のウイルムス腫瘍に関係する。BRCA1は、乳癌および卵巣癌に関係し、BRCA2は、乳癌に関係する。腫瘍抑制遺伝子は、その腫瘍退縮機能を発揮する腫瘍細胞の中へ転移し得る。本発明の阻害薬および腫瘍退縮を含む併用治療は、様々な形態の癌に苦しむ患者に治療相乗効果を有し得る。
癌ワクチン類は、腫瘍に対し体の特異的免疫応答を誘発する薬剤の1群である。研究開発および臨床試験下のほとんどの癌ワクチン類は、腫瘍関連抗原類(TAAs)である。腫瘍関連抗原は、腫瘍細胞に存在し、正常細胞には比較的存在しないかまたは減少する構造(すなわち、タンパク質、酵素または炭化水素)である。腫瘍細胞にかなり独特である長所により、腫瘍関連抗原類は、それらの病変を認識および原因する免疫システムの標的を提供する。腫瘍関連抗原類の例としては、ガングリオシド類(GM2)、前立腺特異抗原(PSA)、αフェトプロテイン(AFP)、癌胎児抗原(CEA)(結腸癌および他の腺癌(乳癌、肺癌、胃癌および膵癌など)により産出)、抗原関連メラノーマ類(MART−1、gp100、MAGE1,3チロシナーゼ)、パピローマウイルスE6およびE7断片、自己由来腫瘍細胞および同種間腫瘍細胞の全細胞または部分細胞/細胞溶解液が挙げられるが、これらに限定されない。
アジュバントは、腫瘍関連抗原類への免疫応答を増強するために使用され得る。アジュバントの例としては、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、エンドトキシンリポ多糖類、キーホールリンペットヘモシアニン(GKLH)、インターロイキン2(IL−2)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびシトキサン、低用量時に腫瘍による抑制低下が考えられる化学療法薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施形態では、1つ以上の追加の治療は、放射線、化学療法、免疫療法、または他の標的抗癌療法から選択される。
オーロラAキナーゼの選択的阻害薬またはその併用で治療する癌
本発明は、細胞増殖疾病の新規治療方法を提供する。本発明で使用される「細胞増殖疾病」という語は、過剰増殖疾病(例えば、脳癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、乳癌、頭部癌、頚部癌、腎癌、肝癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、結腸癌、類表皮癌、食道癌、精巣癌、婦人科癌、もしくは甲状腺癌、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、中皮腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、神経芽細胞腫、および急性リンパ性白血病(ALL));非癌性過剰増殖疾病(例えば、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、および前立腺肥大症(BPH);および血管形成もしくは血管新生に関連する疾病(例えば、腫瘍血管新生、血管腫、グリオーマ、悪性黒色腫、カポジ肉腫および卵巣癌、乳癌、肺癌、膵癌、結腸癌および類表皮癌)を包含するが、これらに限定されない。細胞増殖疾病は、更に、原発性および転移性癌を包含する。
特に、該化合物は、患者の癌の治療に有用であり、該癌としては、非小細胞肺癌(NSCLC)を含む肺癌および気管支癌、扁平上皮肺癌、気管支肺胞上皮癌(BAC)、肺腺癌、および小細胞肺癌(SCLC);アンドロゲン非依存性前立腺癌およびアンドロゲン依存性前立腺癌を含む前立腺癌;転移性乳癌を含む乳癌;膵癌;結腸癌および直腸癌;甲状腺癌;肝癌および胆内胆管癌;肝細胞癌;胃癌;子宮内膜癌;黒色腫;腎臓癌;および腎盂癌、膀胱癌;子宮体癌;子宮頚癌;進行性上皮癌および原発性腹膜癌を含む卵巣癌;多発性骨髄腫;食道癌;急性骨髄性白血病(AML);移行期慢性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病急性転化期(CML−BP)を含む慢性骨髄性白血病(CML);リンパ性白血病;骨髄性白血病;急性リンパ性白血病(ALL);慢性リンパ性白血病;ホジキン病(HD);濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)を含むB細胞リンパ腫;T細胞リンパ腫;多発性骨髄腫(MM);アミロイドーシス;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、(芽球増加型不応性貧血(RAEB)、および変異芽細胞過剰性難治性貧血症(RAEB−T)を含む骨髄異形成症候群;および骨髄増殖性症候群;グリオーマ/神経膠芽腫、退形成乏突起膠腫、および成人未分化星細胞腫を含む脳癌;転移性神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌癌;頭頚部扁平上皮癌、および上咽頭癌を含む頭頚部癌;口腔癌;および咽頭癌;小腸癌;骨癌;軟部肉腫;および絨毛結腸腺腫が包含されるが、これらに限定されない。
ひとつの実施形態では、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬およびタキサン類での併用治療可能な疾病および障害としては、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、胃癌、頭頚部癌、膀胱癌、肺癌、卵巣上皮癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびエイズ関連カポジ肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬およびタキサン類での併用治療可能な疾病および障害としては、卵巣癌、乳癌、肺癌、およびエイズ関連カポジ肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。更に別の実施形態では、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬およびタキサン類での併用治療可能な疾病および障害は、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵管癌、または原発性腹膜癌である。別の実施形態では、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬およびタキサン類での併用治療可能な疾病および障害としては、小細胞肺癌が挙げられるが、これに限定されない。
オーロラAキナーゼの選択的阻害薬のパクリタキセルとの併用効果の測定
好ましくは、本発明の方法は、接触細胞の細胞増殖を阻害する原因となる。「細胞増殖を阻害する」という語は、オーロラAキナーゼの選択的阻害薬および/またはタキサンの阻害薬と非接触細胞と比較して、接触細胞の細胞数または細胞増殖の阻害能力を意味するために使用される。細胞増殖の評価は、細胞カウンタを使用して細胞を計数し、または細胞生存率評価、例えば、BrdUアッセイ、MTTアッセイ、XTTアッセイ、またはWSTアッセイで、非接触細胞に対する接触細胞増殖サイズを比較することにより行うことができる。細胞が充実性増殖(例えば、固形腫瘍または固形臓器)にある場合、このような細胞増殖評価は、例えば、ノギスまたは磁気共鳴画像法およびポジトロン放出断層撮影などの断層撮影技術で増殖を測定することにより行うことができる。
好ましくは、オーロラAキナーゼ選択的阻害薬およびタキサンと接触した細胞増殖は、非接触細胞増殖と比較して、少なくとも約50%遅延する。様々な実施形態では、接触細胞増殖は、非接触細胞増殖と比較して、少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%である。いくつかの実施形態では、「細胞増殖を阻害する」という表現は、非接触細胞と比較して、接触細胞数の減数を包含する。従って、接触細胞で細胞増殖を阻害するオーロラAキナーゼの選択的阻害薬および/またはタキサンは、該接触細胞を増殖遅延、増殖停止プログラム細胞死(すなわち、アポトーシス)、またはネクローシス様細胞死を誘導し得る。
4.実験手順
下記実施例で、アリセルチブ(MLN8237)は、そのナトリウム塩:4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピリミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸ナトリウム一水和物を指す。
(実施例1)
乳癌マウスモデルにおけるパクリタキセル投与と併用したアリセルチブ投与の生体内効率の研究
実験手順
腫瘍細胞培養および原発性ヒト腫瘍。MDA−MB−231細胞は、米国培養細胞系統保存機関から得られ、熱失活した10%ウシ胎児血清および1%L−グルタミンを添加したダルベッコ変法イーグル培地で培養した。MDA−MB−231細胞(2x10)は、ヌードマウスの乳房脂肪体中に正所性に注射した。生体内有効性研究。異種移植腫瘍(MDA−MB−231)を有するマウス;(n=10動物/群)に、1日1回のスケジュール(QD)で21日間、媒体またはアリセルチブ(10、20mg/kg)を経口(PO)投与した。パクリタキセル(5、10、20および30mg/kg)を週1回のスケジュール(QW)で全3回、静注投与した。腫瘍増殖は、ノギスを用いて測定し、腫瘍増殖阻害(TGI)は、次式で算出した:TGI=(Δ対照−Δ処置)x100/Δ対照。腫瘍増殖遅延(TGD)は、媒体処置群と比較して1000mmの平均腫瘍量に達するのに要した各々の処置群の時間(日数)である。腫瘍増殖の処置群の組間の統計的有意性は、線形混合効果回帰モデルを使って評価した。これらのモデルは、各々の動物を複数時点で測定した事実を説明する。各比較で個別のモデルを適合させ、モデルから予測した値を用いて、各処置群の曲線化面積(AUC)を算出した。そして、対照群と比較した曲線下面積(AUC)の本減少量を算出した。
結果
表1は、アリセルチブの正所性乳癌生体内異種移植モデルにおけるパクリタキセル投与との併用時の付加的および相乗的抗腫瘍活性を実証したことを示す。更に、単剤と比較して、処置中断後に有意な腫瘍増殖遅延が起こった。
Figure 0006373252
生体内データの統計解析
MDA−MB−231モデルで、0日目〜20日目の測定を分析した。全腫瘍量は、log10変換前にそれらに1を加算した値を有する。これらの値を、経時で傾向の差が統計的有意であるかどうかを評価するために、処置群を横断して比較した。処置群の組を比較するために、次の混合効果線形回帰モデルを最尤推定法によりデータ近似した:
Figure 0006373252
式中、Yijkは、i回目処置のk番目の動物のj番目時点におけるlog10腫瘍値であり、Yi0kは、i回目処置のk番目の動物の0日目のlog10腫瘍値であり、dayは、メジアン中央時点であり、連続変数として処理され、eijkは、有意誤差である。空間べき乗則共分散マトリックスを用いて、経時的に同じ動物に対して反復測定で計算した。day 項だけでなく交互作用項は、統計学的に有意でなければ除外した。
尤度比検定は、処置群の所与の組が統計的有意差を示したかどうかを評価するために使用した。フルモデルの−2尤度を、処置項(縮約モデル)のないものと比較し、その値の差をカイ二乗検定により検定した。検定の自由度を、フルモデルと縮約モデルの自由度間の差として算出した。
統計的有意性に加えて、各処置の効果の大きさの測度を見出した。log腫瘍値(Yijk−Yi0k)vs.時間の予測される差は、各処置群の平均曲線下面積(AUC)を計算する上記モデルから得られた。そして、dAUC値は、次式から算出した:
Figure 0006373252
相乗性解析では、log腫瘍値の観測された差は、各動物の曲線下面積(AUC)値を算出するために使用する。処置群の動物が研究から除去された場合は、最後の観測された腫瘍値を、その後の全時点を通して引き延ばした。処置AおよびBの併用時の相乗スコアは、次式のように定義した:
Figure 0006373252
式中、AUCAB、AUC、AUC、およびAUCctlは、それぞれ、併用群、A群、B群、および対照群の動物のAUC値である。相乗スコアの標準誤差は、動物間のAUC値差に基づいてコンピュータ処理で算出した。もし相乗スコアが有意に0から乖離しているときは、両側t検定を用いて測定した。もし、P値が0.05未満、および相乗スコアが0未満であるときは、併用が相乗的であるとした。もし、P値が0.05以上であれば、相加的であるとした。
(実施例2)
準機構的好中球減少症モデル
好中球減少症は、タキサン類およびアリセルチブの共通用量制限毒性であるので、準機構的モデルを、アリセルチブおよびパクリタキセルの併用時の投与量および投与計画の選択に役立つ、血漿薬物動態(血漿PK)対好中球絶対数(ANC)の時間経過を予測するために展開した。このモデルは、その薬剤が直接好中球というより前駆細胞に影響するので、薬剤曝露と好中球絶対数間の時間遅延を説明する。
該モデルを、アリセルチブおよび/またはパクリタキセル処置で複数の日数で投薬したマウスまたはラットからの薬物動態(PK)および好中球絶対数(ANC)データを使用して好中球減少症を記述するために使用した。モデルを構築するために、げっ歯類にドセタキセルおよびアリセルチブを投与するか、この2つを合わせたものを投与し、投与前および投与スケジュールによって異なる予定日にANCを定量した。ラットは、ドセタキセル(1日目に、3.5〜10mg/kg、静注)およびアリセルチブ(5〜35mg/kg、経口、1日1回x3、7、または14)またはその2つの併用で投薬を受けた。ANCを、投薬前、1日目、2日目、4日目、6日目、8日目、11日目、14日目、および17日目に定量した。
コンパートメント薬物動態モデルを、時間依存性薬剤濃度を記述するために使用し、好中球減少症を、Fribergらにより記載の準機構的モデルを使用して記述した。(Friberg et al J Clin Oncol.2002;20(24):4713−21)。アリセルチブヒトPK値は、チンパンジーPK値およびヒトシステムから推定し、タキサン薬剤関連のパラメータは公表された情報源およびげっ歯類およびヒト顆粒球マクロファージ前駆細胞(CFU−GM)の細胞株からの生体外データから得た。血漿タンパク質結合とCFU−GMの最大阻害能の50%濃度(IC50s)の差異は、ヒト−げっ歯類種間変異を補正するために使用した。該モデルを、薬剤関連パラメータ(PKおよび勾配)をパクリタキセルの公表値で置き換えることによりドセタキセルからパクリタキセルに拡大した。
この前臨床モデルから、毎週のパクリタキセル用量を減少すると、アリセルチブ用量のより高い耐容性が達成できることが予測された。この予測は、以下の実施例3の用量漸増研究で確認できた。該モデルから、アリセルチブの2週目の投薬を省くと、サイクル1後機構的毒性に苦しむ患者に付加的にアリセルチブの用量漸増または用量変更を可能にし、更に、好中球減少症を軽減することも予測された。
(実施例3)
用量漸増研究
表2は、再発性卵巣癌患者におけるアリセルチブおよびパクリタキセルの安全性および抗腫瘍活性の臨床評価を表す。この臨床研究では、28日間のスケジュールで週1回x3の最初の投薬と同時に、アリセルチブを1日2回、但し、3日間投与あり/4日間投与なしで投与した。パクリタキセルが毎週80mg/mの投与で、アリセルチブの1日2回10mgで耐容性を示した(例えば、安全な用量を考慮して)が、ところが実は、パクリタキセルが毎週60mg/mの投与で、アリセルチブの1日2回40mgで耐容性を示した
Figure 0006373252
(実施例4)
曝露効率モデル
曝露効率モデルを、アリセルチブおよびパクリタキセルのどの組み合わせが最高の抗腫瘍効率の結果になるのかを予測するために開発した。腫瘍増殖阻害へのアリセルチブおよびパクリタキセルの曝露を比較するアイソボログラムを、実施例1に記載の担癌マウスの生体内有効性研究から作成した。実施例3に記載の用量漸増研究からアリセルチブおよびパクリタキセルの臨床的に達成された曝露を、血漿タンパク質結合および両薬剤の最大耐容曝露のマウス−ヒト変動の補正によりアイソボログラム上に位置づけた。これらのデータから、80および60mg/mのパクリタキセルで、いくつかの癌徴候の臨床観察と一致する、同様なレベルの有効性が得られると予測される。用量漸増研究において60mg/mのパクリタキセルで達成したアリセルチブの高投与量(40mg1日2回)は80mg/mのパクリタキセルで10mg1日2回のアリセルチブより高い有効性が得られると予測される。
(実施例5)
小細胞肺癌の生体内腫瘍モデル
アリセルチブの抗腫瘍活性を、免疫無防備状態マウスで成長したヒト小細胞肺癌の複数モデルでパクリタキセルとの併用で検定した。ここで述べるデータは、小細胞肺癌異種移植モデルで、パクリタキセルと併用したアリセルチブの付加的抗腫瘍性の利点を示している。
NCI−H69
手順。NCI−H69は、確立した小細胞肺癌細胞株である。例えば、A.W.Tong et al.,Cancer Res.1984 Nov;44(11):4987−92を参照のこと。1群当たり10匹の免疫無防備状態nu/nu雌マウスを含む全群に、NCI−H69腫瘍の断片の皮下腫瘍生着に続いて、腫瘍がおおよそ200mmに達するときに、処置を開始した。MLN8237を、1日2回x21−8時間おきx2のスケジュールで20mg/kgを経口投与、および1日4回x21のスケジュールで20mg/kgおよび10mg/kgの投与で検定した。パクリタキセルは、週1回x3のスケジュールで、30mg/kgおよび15mg/kgの用量の静注投与で評価した。各パクリタキセルの投与は、1日1回x21処置スケジュールで各MLN8237投与と併用した。併用処置群では、MLN8237を動物に最初に投与し、続いて、直ぐにパクリタキセルを投与した。ひとつの群は、1日4回x21のスケジュールでMLN8237の媒体で経口処置して、媒体処置対照群とした。
要約。小細胞肺癌細胞株異種移植NCI−H69で、1日1回(QD)10mg/kgのアリセルチブおよび週2回(QW)15mg/kgのパクリタキセルで、抗腫瘍活性が顕著に増加する結果で、QD20mg/kgのアリセルチブおよびQW15mg/kgのパクリタキセルで、処置停止でさえ持続的に治癒する結果であった。図1参照のこと(BID=1日2回;IV=静注;MLN8237=アリセルチブ;PO=経口;QD=1日1回;担癌マウスをアリセルチブ(PO、QD、またはBID)、パクリタキセル(IV、QW)、または指示した投与で両方の併用。腫瘍は週2回測定した。バーは平均の標準誤差を表す。斜線領域は21日の処置期間を示す。)。このモデルで、1日2回20mg/kgおよび1日1回30mg/kgでマウスの単剤最大耐量のアリセルチブおよびパクリタキセルで、それぞれ、長期的退縮および持続的治癒の結果となった。
NCI−H82。
手順。NCI−H82は、確立した小細胞肺癌細胞株である。例えば、Y. Nakanishi et al.,Exp Cell Biol.1988;56(1−2):74−85を参照のこと。腫瘍がおおよそ200mmに達し、続いて、1群当たり10匹の免疫無防備状態の雌nu/nuマウスを含む全群に、NCI−H82腫瘍断片で皮下腫瘍生着を施したときに処置を始めた。MLN8237は、1日2回x21−8時間に1回x2のスケジュールで20mg/kgの用量を経口投与し、ならびに1日4回x21のスケジュールで20mg/kgおよび10mg/kgの用量で経口投与して検定した。パクリタキセルは、週1回x3のスケジュールで30mg/kgおよび15mg/kgの用量を静注投与して検定した。各々のパクリタキセルの用量を各々のMLN8237の1日1回x21の処置スケジュールでの用量と併用した。併用処置群では、MLN8237は、最初に動物に投与し、続いて直ぐにパクリタキセルを投与した。1つの群は、1日2回x21のスケジュールでMLN8237媒体の経口処置を受ける媒体処理対照群としての役目とした。
要約。パクリタキセルと併用してアリセルチブの抗腫瘍活性を小細胞肺癌細胞株異種移植NCI−H82で検定した。単剤で1日1回10mg/kgのアリセルチブおよび単剤で週1回15mg/kgのパクリタキセルでは、抗腫瘍活性は有しなかったが、併用では、単剤と比較して抗腫瘍活性の増加が得られた。図2参照のこと(BID=1日2回;IV=静注;MLN8237=アリセルチブ;PO=経口;QD=1日1回。担癌マウスは、アリセルチブ(経口、1日1回または1日2回)、パクリタキセル(静注、週1回)、または指示した用量で両方の併用で21日間処置した。腫瘍は週2回測定した。バーは、平均標準誤差を表す。斜線領域は、21日の処置期間を示す。)。抗腫瘍活性の中程度の増加が、単剤と比較して、ならびにアリセルチブ単剤の最大耐量の1日2回20mg/kgと比較して、1日1回20mg/kgのアリセルチブおよび週1回30mg/kgのパクリタキセルでも起こった。
CTG−0166。
手順。CTG−0166は、小細胞肺癌細胞株(Champions Oncology,Baltimore,MD,www.championsoncology.com)である。腫瘍が180および250mmの間に達し、続いて、1群当たり8匹の免疫無防備状態の雌nu/nuマウスを含む全群に、CTG−0166腫瘍断片で皮下腫瘍生着を施したときに処置を始めた。MLN8237は、1日2回x21のスケジュールで20mg/kgの用量を経口投与して検定し、パクリタキセルは、週1回x3のスケジュールで15mg/kgの用量を静注投与して検定し、トポテカンを1日1回x5のスケジュールで1.5mg/kgの用量を静注投与して検定した。併用処置群では、MLN8237は、最初に動物に投与し、続いて直ぐにパクリタキセルを投与した。1つの群は、1日2回x21のスケジュールでMLN8237媒体の経口処置を受ける媒体処理対照群としての役目とした。
要約。ヒト初期小細胞肺癌モデルCTG−0166において、1日1回20mg/kgのアリセルチブおよび週1回15mg/kgのパクリタキセルの併用から、それぞれの単回投与と比較して、抗腫瘍活性のわずかな増加が得られた。図3参照のこと(BID=1日2回;IV=静注;MLN8237=アリセルチブ;PO=経口;QD=1日1回。担癌マウスは、アリセルチブ(経口、1日1回)、パクリタキセル(静注、週1回)、または指示した用量で両方の併用で21日間処置した。トポテカン(静注、1日1回x5)は、対照として含めた。腫瘍は週2回測定した。バーは、平均標準誤差を表す。斜線領域は、21日の処置期間を示す。)。本モデルでは、単剤で最大耐量の1.5mg/kg1日1回x5のトポテカンも検定した。
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載のものと類似または等価ないかなる方法や物質であっても、本発明の実行または試験に利用でき、好ましい方法、装置および物質が本明細書に記載されている。本明細書中の全ての文献は、本発明に関連して使用される文献で報告された物質および方法論の記述と開示の目的でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み入れられる。

Claims (16)

  1. 肺癌の治療を必要としている対象において肺癌を治療するための、オーロラAキナーゼ阻害剤およびパクリタキセルを含む組み合わせ物であって、前記オーロラAキナーゼ阻害剤が、4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピラミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸またはその薬剤的許容可能な塩であり、パクリタキセルを週1回の用量で併用して、28日間投与計画の対象に対して、前記オーロラAキナーゼ阻害剤が1日2回の用量で投与され、
    前記オーロラAキナーゼ阻害剤の用量は、約30mg、約35mg、約40mg、または約45mgであり、28日間の計画中1〜3日目、8〜10日目、および15〜17日目に1日2回投与され;そして、
    前記パクリタキセルの週1回の投与用量は、約50mg/m〜約70mg/mであり、28日間の計画中1日目、8日目、および15日目に投与されることを特徴とする、組み合わせ物。
  2. 前記オーロラAキナーゼ阻害剤の投与が、パクリタキセルの投与と同時である、請求項1に記載の組み合わせ物。
  3. 前記オーロラAキナーゼ阻害剤の用量が、約35mgを1日2回である、請求項1に記載の組み合わせ物。
  4. 前記オーロラAキナーゼ阻害剤の用量が、約40mgを1日2回である、請求項1に記載の組み合わせ物。
  5. 前記オーロラAキナーゼ阻害剤の用量が、約45mgを1日2回である、請求項1に記載の組み合わせ物。
  6. 前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/m〜約70mg/mである、請求項1に記載の組み合わせ物。
  7. 前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/mである、請求項1に記載の組み合わせ物。
  8. 前記肺癌が小細胞肺癌である、請求項1に記載の組み合わせ物。
  9. 肺癌の治療を必要とする対象において肺癌を治療するための、オーロラAキナーゼ阻害剤を含む組成物であって、前記オーロラAキナーゼ阻害剤が、4−{[9−クロロ−7−(2−フルオロ−6−メトキシフェニル)−5H−ピラミド[5,4−d][2]ベンザゼピン−2−イル]アミノ}−2−メトキシ安息香酸またはその薬剤的許容可能な塩であり、前記組成物は、パクリタキセルと併用して投与され、前記組成物は、パクリタキセルを週1回の用量で併用して、28日間投与計画中に1日2回、対象に投与され、
    前記1日2回投与する組成物は、約30mg、約35mg、約40mg、または約45mgの前記オーロラAキナーゼ阻害剤を含み、28日間の計画中1〜3日目、8〜10日目、および15〜17日目に投与され、そして、
    前記パクリタキセルの週1回の投与用量は、約50mg/m〜約70mg/mであり、28日間の計画中1日目、8日目、および15日目に投与されることを特徴とする、組成物。
  10. 前記組成物の投与が、パクリタキセルの投与と同時である、請求項に記載の組成物。
  11. 前記1日2回投与する組成物が、約35mgの前記オーロラAキナーゼ阻害剤を含む、請求項に記載の組成物。
  12. 前記1日2回投与する組成物が、約40mgの前記オーロラAキナーゼ阻害剤を含む、請求項に記載の組成物。
  13. 前記1日2回投与する組成物が、約45mgの前記オーロラAキナーゼ阻害剤を含む、請求項に記載の組成物。
  14. 前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/m〜約70mg/mである、請求項に記載の組成物。
  15. 前記パクリタキセルの週1回の用量が、約60mg/mである、請求項に記載の組成物。
  16. 前記肺癌が小細胞肺癌である、請求項に記載の組成物。
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