JP6368907B2 - レンズの光学性能評価方法、設計方法及びレンズの光学性能表示方法 - Google Patents
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Description
これらのことから、レンズを設計する際には左右一対のレンズのうちの設計しようとするレンズ(以下、設計対象レンズ)のみの特性を単独で評価して設計するのではなく、装用時にペアとなるレンズの特性を併せて評価することが望ましいことが理解できる。
また、特許文献3では輻輳収差を定義することにより、両眼システムでの収差を提案した点に意義があるものの、両眼でどのように見えているかをシミュレートするためには、輻輳収差のように輻輳していない状態と輻輳している状態の差よりも、むしろ左右眼での見え方がどのように違うのかの方が影響度として大きいはずである。そのため、レンズの評価や設計において両眼で見た映像が左右眼でどのように違うのかをシミュレートできる手法が望まれていた。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、まず両眼でどのように見えているかをシミュレートするための光学性能評価方法を提供することであり、また、評価をフィードバックさせて設計することができるレンズの設計方法を提供することであり、更に両眼でどのように見えているかをシミュレートした結果を特に評価しやすくするためのレンズの光学性能評表示方法を提供することである。
次に第2の工程で、レンズを通して見る物点をレンズの外方に位置を明確にして設定し、その物点から左右の眼球モデルそれぞれに対して光線を照射し、光線がレンズを通って屈折して眼球モデルに入射する時の前記設計対象レンズ上及び前記ペアレンズ上の座標の光学性能値をそれぞれ算出する。ここで、物点の位置を明確にして設定するのは、物点までの距離により、眼球モデルに入射する光線の光学評価値が異なる為である。そのため、物点は眼球からどちらの方向にあるかだけでなく、どちらの方向にどれぐらい離れているかをシミュレーションモデル上で設定することが大切である。
そして第3の工程で、第2の工程で算出された前記ペアレンズの光学性能値を前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用する。ここで、前記ペアレンズの光学性能値を設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用するとは、前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標と前記ペアレンズの光学性能値を関連付けることである。図2に示したように、物点Zの位置をある一点に定めた場合、その物点Zから左右眼球モデルに入射させる光線がレンズ上を通過する光線の座標は設計対象レンズ上の座標A、ペアレンズ上の座標Bと定まる。ここで設計対象レンズ上の座標Aにペアレンズの座標Bを通過した光線の光学性能値を関連付けることで、設計対象レンズおよびペアレンズの見え方(光学性能値)を1つの座標系で扱うことが出来るようになる。
最後に第4の工程により、設計対象レンズおよびペアレンズの光学性能値を比較することで両眼で見たときにどのように見えるかをシミュレートすることが可能となる。
「光学性能値」とは、既存レンズ評価において用いているレンズの性能値のことを言い、例えば、S度数、C度数、等価球面度数(S+C/2)、乱視度数とその軸度、プリズム量とそのベース値、累進屈折力レンズにおける加入度、非点収差、歪曲収差、度数誤差(パワーエラー)などを単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。
「眼球モデル」としては、例えば、グストランドの模型眼に代表される実測された眼のデータを用いても良いし、簡易的に眼回旋中心をレンズ裏面から24〜29mm程度離れた位置に設定しても良い。レンズ裏面から眼回旋中心までの距離は、軸性の近視のような場合には距離が長くなるし、鼻の高さによりレンズの位置が変化する場合などにも距離が変動するため、シミュレートする条件に合わせて設定することが好ましい。
また、基準位置から物点までの距離はシミュレーションモデルにおける設計対象レンズの高さに応じて異なり、上方ほど長距離に設定されることがよい。これは実際に物体を目視する際にはレンズの上方側は遠方を見て下方側は近傍を見るために使用するため、実際の目視状況に応じた物点距離を設定しようとするものである。特に、累進屈折力レンズではそもそもそのような目視を念頭に設計されるものであるため、このような物点距離の設定はより好ましい。
また、2種類の分布図はいずれか一方の表示態様を変えて表示させることがよい。これは重ねる場合には特に有効である。表示態様を変えるとは、例えば、両者の表示する線図の色を変更したり、線種(実線とか破線とかでの区別)を変更したりすることが可能である。また、分布図で等高線を表示せずに色の濃さなどにより表現することも可能である。尚、分布図は二次元平面として表示させても、三次元的な表示(表示画面は二次元であるが、高さがあるように表現する)としてもよい。
また、他の評価の方法として算出された設計対象レンズの光学性能値と設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用されたペアレンズの光学性能値とから光学性能値の差分を算出し、設計対象レンズの光学性能値を算出した座標における両眼収差として評価することも可能である。その場合には上記と同様に差分の分布図を作成し、それに基づいて評価することがよい。
この場合にも、物点は左右の眼球モデルの眼回旋中心から等距離となる位置(以下、基準位置)を基準として設定されることがよく、基準位置から物点までの距離は設計対象レンズ形状モデルの高さに応じて異なり、上方ほど長距離に設定されることがよい。
図1は本発明の評価方法を実現するための装置の一例の概略ブロック図である。シミュレーション用のコンピュータ1には表示手段及び出力手段としてのモニター2と入力手段としてのキーボード3が接続されている。
コンピュータ1はCPU(中央処理装置)及びその周辺装置によって構成される。CPUは各種プログラムに基づいて処理を実行する。本発明に特化した処理として、CPUはシミュレーションプログラムに基づいてモニター2上に左右一対の累進屈折力レンズ及び眼球モデルに基づく3次元座標で構成されたシミュレーションモデルを展開させ、物点から設計対象レンズを通り眼球モデルに入射するように光線透過のシミュレーションを実行させて累進屈折力レンズの設計対象レンズ上の透過位置座標を算出し、その透過位置座標における光学性能値(S度数、C度数、透過球面度数、乱視軸方向、プリズム値、プリズム軸方向、非点収差、歪曲収差、度数誤差(パワーエラー)等)を算出する。そして、ペアレンズについても同様に光学性能値を算出し、ペアレンズ形状モデルの座標として得られた光学性能値を設計対象レンズの透過位置座標に投影する(投影位置データにペアレンズのレンズ処方値を適用する)。また、得られたレンズ処方値に基づいて補間計算を行ってモニター3にレンズの光学特性を示す分布図として表示させる。
更に、CPUは累進屈折力レンズの形状データを修正した場合に設計対象レンズ及びペアレンズについて新たに修正したシミュレーションモデルをモニター2上に展開させ、再度レンズの光学性能値を算出させる。
より具体的には、以下のような内容が実行される。
図2は、累進屈折力レンズを装用している様子を両眼の眼回旋中心と物点Zを通る平面で輪切りにした状態を上から見たモデル図である。ここでは右眼のレンズを設計対象レンズとして左眼のレンズを装用時に設計対象レンズとペアとなるペアレンズとする。このモデルでは実際に眼鏡を装用した際の状態と同じになるように左右の眼の中心を装用者の瞳孔間距離(mm)だけ離して配置し、レンズ裏面から角膜表面頂点までの頂点距離(mm)及びレンズ裏面から眼回旋中心までの距離(mm)を設定し、レンズ裏面の中心座標を基準として、レンズの3次元形状を設定する。
レンズを通して見る物点を設定する。図3のように物点Zの原点を設計対象眼とペア眼の眼回旋中心から等距離の正中線(面)上に設定し、物点原点から物点Zまでの距離を物点距離とする。物点原点は、正中線(面)上であればどこでも構わないが、鼻根点となる座標、左右眼の中心座標、首の回転中心座標などに設定することが望ましい。発明者の検討によれば、物点原点が鼻根点であれば、両眼で見る場合のヒトの距離感と良く一致し、物点原点が左右眼の中心座標であれば、物点原点と設計対象眼の原点、ペア眼の原点を同一平面上にできるため計算が容易になる。また、物点原点を首の回転中心座標とすれば、首を振って見える映像、すなわち動的な揺れの程度をシミュレートするのに都合がよい。
物点距離は同じレンズ高さにおいて物点原点から等距離となる円弧の上、または正面から側方に掛けて徐々に距離が離れていく曲線の上にセッティングされる。円弧とした場合には、計算は簡易であるが近用部側方の距離感が実際の使用と異なるようになる。一方で、正面から側方に掛けて徐々に距離が離れていく曲線とした場合には、近用部側方の距離感が実際の使用に近づくことが期待できる。また、物点距離はレンズ高さに応じて設定することがよく、例えばレンズ上方では物点距離が遠方距離(無限遠方)、レンズ下方では物点距離を近方距離(例えば、33cm)とし、レンズ上方から下方にかけては、連続的に距離が変化するようにことがよく、本実施の形態ではシミュレートする累進レンズの主注視線上の加入度曲線に合わせて遠方から近方に物点が近づけるように設定されている。
物点Zはレンズ全体をできるだけ均等にカバーできるように設定されることが好ましく、物点Zの数はどの程度の精度を求めるかによって適宜変更することができる。本実施の形態では設計対象レンズ表面の座標で垂直方向、水平方向に1mm間隔の格子点を設定し、その格子点を通って設計対象眼に入射する光線を求め、その光線の出発点に対応する物点Z0〜nを設定するものとする。
各物点Z0〜nから設計対象レンズを通って設計対象眼の眼回旋中心に入射する光線を光線追跡により求め光線が通過する設計対象レンズの表面座標をA0〜n座標とし、各座標における光学性能値をa0〜nとする。つまり、光学性能値はレンズを透過する光線の数(n)だけ存在する。
4)ペアレンズの光学性能値の取得
各物点Z0〜nからペアレンズを通ってペア眼の眼回旋中心に入射する光線を光線追跡により求め、各光線がペア眼に入射する際の光学性能を算出する。上記に倣ってペアレンズの表面座標をB0〜n座標とし、光学性能値をb0〜nとする。
5)ペアレンズの光学性能値の設計対象レンズへの適用
ここで、ペアレンズについて得られた光学性能値b0〜nを設計対象レンズの表面座標に投影すると考える。つまり、ある物点Zmから光線を入射させて設計対象レンズを透過させた際の設計対象レンズのある表面座標にAmに、ある物点Zmから光線を入射させてペアレンズを透過させた際の光学性能値bmを投影(適用)するわけである。光学性能値b0〜nはA0〜n座標について1対1で対応する。
6)両レンズの光学性能値のデータの補間計算
A0〜n座標について元々の設計対象レンズの光学性能値のデータと、5)のようにペアレンズ側で取得された光学性能値のデータはレンズ面に散布的(例えば格子状等)に設定される。このシミュレーションで得られた座標(X,Y)と光学性能値を周知の補間計算を行って、任意の座標(X,Y)とその位置における光学性能値を算出する。
7)両レンズの収差評価(分布図の作成)
6)で補間計算を行った結果に基づいて作成した光学性能値の分布図をモニター2上に表示させる。更に、設計対象レンズの光学性能値のデータと、ペアレンズ側で取得された光学性能値のデータとの差(収差)に基づいて作成した分布図をモニター2上に表示させる。
実施例1として具体的な分布図を表示し、それら分布図に基づいた評価について説明する。
<評価条件>
実施例1では設計対象レンズとそのペアとなるレンズは累進屈折力レンズとし、レンズ度数を両眼ともS+0.00 ADD2.00とし、素材の屈折率1.70、中心厚2.0mmとする。累進帯長は13mm、遠用素数測定位置は幾何中心から8mm上方、近用度数測定位置は幾何中心から14mm下方で打ち寄せ量2.2mmである。このレンズ1を頂点距離(PD)64mm、レンズ裏面から回旋中心までの距離25mm、そり角0度で装用した際の両眼での見え方を評価するものとする。
<物点距離の設定>
実施例1では計算を簡易的にするため両眼の回旋中心の中心を結ぶ直線の中点を原点とした例である。そして、両眼の回旋中心を同時に通る平面をレンズ上方から下方にかけて移動させ、その時の設計眼の主注視線と両眼の回旋中心を両方とも通る平面が交わる座標をY座標とする。そのY座標となる平面上にある物点原点からの物点距離を図4のようにY座標が遠用測定度数位置より上方の場合には無限遠方(すなわち、物点距離の逆数=0.0)とし、遠用度数測定位置(Y=8mm)から近用度数測定位置(Y=−14mm)にかけて33.3cm(すなわち物点距離の逆数=3.0)となるまで徐々に近づけ、Y座標が近用度数測定位置よりも下方では物点距離33.3cmで一定であるとする。
上記の評価条件の設計対象レンズについて光学性能値のうちの等価球面度数と非点収差成分の補間データに基づいて作成した度数分布図と非点収差分布図を図5(a)及び(b)として示す。また、同様にペアレンズについての平均度数と非点収差成分の補間データに基づいて作成した度数分布図と非点収差分布図を図6(a)及び(b)として示す。
また、図5(a)と図6(a)の度数分布図を重ねたもの(つまり設計対象レンズ表面座標(X,Y)に重ねて投影した図)を図7(a)として示す。同様に、図5(b)と図6(b)の非点収差分布図を重ねたものを図7(b)として示す。尚、図においてはカラー表記ができないため、彩度のない黒と灰色の線描で区別をしているが、色を変えて(灰色部分を例えば赤色で表示させる)区別することがよりよい。
このように設計対象レンズの光学性能値とペアレンズの光学性能値を同一の座標上に重ねて比較することで、設計対象眼の視線が設計対象レンズのどの座標を通った時に両眼の見え方の差がどのように発生するのかを目視にて確認することができる。例えば、この実施例1の設計対象レンズ(累進屈折力レンズ)では、遠用部側方の左右で両目で見たときに大きな度数成分および非点収差成分の両眼での見え方の差、すなわち両眼収差が発生していることがわかる。また、近用部やや側方を見たときには度数成分の両眼収差が発生していることがわかる。
次に、<第1の評価>で分布図を作成した設計対象レンズとペアレンズの対応する設計対象レンズ表面座標(X,Y)の光学性能値(平均度数と非点収差成分)の差分(収差)を算出し、この差分(収差)の分布を表示させた両眼度数誤差分布図と両眼非点収差分布図を図8(a)及び(b)として示す。このような表示を行うことで設計対象レンズ表面座標(X,Y)における両眼での見え方の差が図示できることとなる。設計対象レンズとペアレンズの収差が少ないほど等高線の高さは小さくなる。ここでは単に等高線だけではなく、等高線間の領域にグラデーションをつけることでより微妙な収差状況も評価することができる。
両眼度数誤差や両眼非点収差の値は、設計対象レンズのレンズ表面座標(X,Y)における収差値として数値化できているため、減衰最小二乗法などの最適化手法を用いて両眼収差を改善したレンズ面の設計をすることが可能となる。
尚、両眼収差として求める設計対象レンズの光学性能値とペアレンズの光学性能値の差分は、単純に片眼ごとの収差量の差(数値の差)ではなく、例えばC度数であれば、軸方向も含めて計算を行い、両眼での残余乱視の計算を行うことが重要である。例えば、設計対象レンズの収差量がC−1.00 AX90のときに、ペアレンズの収差量がC−1.00 AX90であれば、残余乱視はC−0.00となるが、ペア眼の収差量がC−1.00 AX90以外であれば、C度数が一緒であっても残余乱視が発生する。
実施例2は実施例1の<第2の評価>のバリエーションであり、実際に評価に基づいてレンズ形状を修正してレンズ設計を行う場合を説明するものである。
実施例1と同じ条件において、まず設計対象レンズとペアレンズの対応する設計対象レンズ表面座標(X,Y)の非点収差成分の差分(収差)を算出し、この差分(収差)の分布を表示させた両眼非点収差分布図を図9(a)として示す。この分布図からはレンズ側方部に両眼非点収差が多くあるという評価ができる。
ここでは、この評価に基づいて、設計対象レンズのレンズ表面座標のフィッティングポイントから左右水平ラインの両眼収差を低減するように減衰最小二乗法を行った。その結果、図9(b)のように、フィッティングポイント(幾何中心の2mm上の「×」)から水平方向の両眼非点収差が無くなり、中間部から近用部左右の両眼非点収差も大きく低減した累進屈折力レンズを得ることができた。このようにレンズ設計においてはレンズの一部の光学性能を設計目標値として適切に選定することで、レンズ全面の光学性能を最適化することが出来る。発展的な方法としては、レンズ全面に均等に目標値を配置するなどすることで更に微妙なレンズ性能を設計することも本実施例と同一のアルゴリズムで可能である。
・上記実施例は累進屈折力レンズについて説明したが、非球面の単焦点レンズについても同様に評価をし、その結果をフィードバックすることが可能である。
・本実施例では、累進屈折力レンズの設計例として設計対象レンズとペアレンズが同度数の例を示したが、異なる度数であっても適用できる。
・設計対象レンズとペアレンズの分布図の表示において線種を変えて表示するようにしてもよい。また線を表示せずに等高線の高さを色で表現するなども自由である。
・上記各実施例では分布図はXY平面として表現するものであったが、等高線があるため、三次元的な表現、例えば俯瞰図的に収差の大きさを高さとして表現するようにしてもよい。
・物点原点の位置も上記実施の形態に限定されるものではない。
・眼球モデル側から物点に向かって光線を照射してシミュレーションをするようにしてもよい 。その他本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更した態様で実施をすることは自由である。
Claims (10)
- 左右一対のレンズ及び同各レンズの背後にそれぞれ配置された眼球モデルに対して光線を透過させて前記レンズの光学性能を評価するコンピュータシミュレーションによるレンズの光学性能評価方法であって、
左右一対の前記レンズの左右いずれかを設計対象レンズとし、いずれか他方を装用時にペアとなるレンズ(以下、ペアレンズ)として、前記各レンズの背後に前記眼球モデルを配置したシミュレーションモデルを設定する第1の工程と、
前記第1の工程におけるシミュレーションモデルについて、前記レンズの外方に設定された位置の明確な物点と左右の前記眼球モデルとの間に光線を照射させるシミュレーションを実行させて前記設計対象レンズ上及び前記ペアレンズ上の座標の光学性能値を算出する第2の工程と、
前記第2の工程で算出された前記ペアレンズの光学性能値を前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用する第3の工程と、
前記第2の工程で算出された前記設計対象レンズの光学性能値と前記第3の工程で前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用された前記ペアレンズの光学性能値とを比較することで前記設計対象レンズの光学性能値を評価する第4の工程を有し、
算出された前記設計対象レンズの光学性能値と前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用された前記ペアレンズの光学性能値に基づいて2種類の光学性能の分布図を作成し、前記2種類の光学性能の分布図を分布状態が交錯するように重ねた状態で比較することで前記設計対象レンズの光学性能を評価することを特徴とするレンズの光学性能評価方法。 - 前記物点は左右の前記眼球モデルの眼回旋中心から等距離となる位置(以下、基準位置)を基準として設定されることを特徴とする請求項1に記載のレンズの光学性能評価方法。
- 前記基準位置から前記物点までの距離は前記シミュレーションモデルにおける前記設計対象レンズの高さに応じて異なり、上方ほど長距離に設定されることを特徴とする請求項2に記載のレンズの光学性能評価方法。
- 前記2種類の分布図はいずれか一方の表示態様を変えて表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレンズの光学性能評価方法。
- 左右一対のレンズ及び同各レンズの背後にそれぞれ配置された眼球モデルに対して光線を透過させるコンピュータシミュレーションを利用したレンズの設計方法であって、
左右一対の前記レンズの左右いずれかを設計対象レンズとし、いずれか他方を装用時にペアとなるレンズ(以下、ペアレンズ)として、前記各レンズの背後に前記眼球モデルを配置したシミュレーションモデルを設定する第1の工程と、
前記第1の工程におけるシミュレーションモデルについて、前記レンズの外方に設定された位置の明確な物点と右の前記眼球モデルとの間に光線を照射させるシミュレーションを実行させて前記設計対象レンズ上及び前記ペアレンズ上の座標の光学性能値を算出する第2の工程と、
前記第2の工程で算出された前記ペアレンズの光学性能値を前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用する第3の工程と、
前記第2の工程で算出された前記設計対象レンズの光学性能値と前記第3の工程で前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用された前記ペアレンズの光学性能値とを比較することで前記設計対象レンズの光学性能値を評価する第4の工程を有し、
算出された前記設計対象レンズの光学性能値と前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用された前記ペアレンズの光学性能値に基づいて2種類の光学性能の分布図を作成し、前記2種類の光学性能の分布図を分布状態が交錯するように重ねた状態で比較することで前記設計対象レンズの光学性能を評価し、その評価結果に基づいて前記設計対象レンズの形状を修正することを特徴とするレンズの設計方法。 - 前記物点は左右の前記眼球モデルの眼回旋中心から等距離となる位置(以下、基準位置)を基準として設定されることを特徴とする請求項5に記載のレンズの設計方法。
- 前記基準位置から前記物点までの距離は前記シミュレーションモデルにおける前記設計対象レンズの高さに応じて異なり、上方ほど長距離に設定されることを特徴とする請求項6に記載のレンズの設計方法。
- 前記2種類の分布図はいずれか一方の表示態様を変えて表示させることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のレンズの設計方法。
- 左右一対のレンズ及び同レンズの背後に配置された眼球モデルに対して光線を透過させるシミュレーションをモニター画面上に表示させるコンピュータシミュレーションによるレンズの光学性能表示方法であって、
左右一対の前記レンズの左右いずれかを設計対象レンズとし、いずれか他方を装用時にペアとなるレンズ(以下、ペアレンズ)として、前記各レンズの背後に前記眼球モデルを配置したシミュレーションモデルを設定する第1の工程と、
前記第1の工程におけるシミュレーションモデルについて、前記レンズの外方に設定された位置の明確な物点と左右の前記眼球モデルとの間に光線を照射させるシミュレーションを実行させて前記設計対象レンズ上及び前記ペアレンズ上の座標の光学性能値を算出する第2の工程と、
前記第2の工程で算出された前記ペアレンズの光学性能値を前記設計対象レンズの光学性能値を算出した座標に適用する第3の工程と、
前記第2及び第3の工程で算出された前記設計対象レンズの光学性能値と前記設計対象レンズに適用された前記ペアレンズの光学性能値に基づいて2種類の光学性能の分布図を作成する第4の工程を有し、
前記2種類の分布図を分布状態が交錯するように重ねた状態で表示するようにしたことを特徴とするレンズの光学性能表示方法。 - 前記2種類の分布図はいずれか一方の表示態様を変えて表示するようにすることを特徴とする請求項9に記載のレンズの光学性能表示方法。
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