以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面に平行な任意の方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記し、Z方向に平行な軸周りの方向はθZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る板材加工システム100の一例を示す斜視図である。図2、図3、図4(a)は、板材加工システム100をそれぞれ−Z方向、+Y方向、+X方向から見たときの図である。
図1〜図4(a)に示すように、板材加工システム100は、例えば水平な床部に載置されて用いられる。板材加工システム100は、金属材料などを用いて形成された矩形板状のワークWに対して、少なくとも切断加工及び成形加工を行うと共に、タップ加工、打ち抜き加工等の複数種類の加工を行う。第1実施形態では、ワークWに対して切断加工及び成形加工を行う板材加工システム100を例に挙げて説明する。
板材加工システム100は、第1加工装置10と、第2加工装置20と、搬送装置30とを備えている。また、板材加工システム100は、上記第1加工装置10、第2加工装置20及び搬送装置30を統括的に制御する不図示の制御装置を有している。
第1加工装置10は、ワークに対してレーザ加工を施すことにより、所望の形状の製品M(図9(a)参照)に切断するレーザ加工機である。第1加工装置10は、レーザヘッド11と、ヘッド駆動部12とを有している。レーザヘッド11は、−Z方向にレーザ光を射出する射出部(不図示)を有している。レーザヘッド11は、光ファイバ11aなどの光伝送体を介してレーザ光源11bに接続されている。レーザ光源11bとしては、例えばファイバーレーザなどの固体レーザの光源が用いられる。これにより、例えば炭酸ガスレーザなどに比べて熱密度の高いレーザ光が得られるため、高速で加工を行うことが可能となっている。
レーザヘッド11は、ヘッド駆動部12により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能に設けられている。なお、レーザヘッド11がX方向及びY方向に移動することにより、加工領域10a(図2参照)が設定される。レーザヘッド11は、加工領域10aに配置されたワークWを加工することができる。
ヘッド駆動部12は、ガントリー12aと、スライダ12bと、昇降部12cとを有している。ガントリー12aは、矩形の柱状に形成されており、Y方向に沿って配置されている。ガントリー12aは、一対のガイドレール12d上に配置されている。一対のガイドレール12dは、加工領域10aをY方向に挟むように配置されている。一対のガイドレール12dは、フレーム18の上面のうち−Y側の辺及び+Y側の辺に沿ってそれぞれ配置されている。一対のガイドレール12dは、X方向に沿って互いに平行に配置されている。ヘッド駆動部12は、例えばボールねじ機構など、ガントリー12aをX方向に移動させる不図示の駆動機構を有している。ガントリー12aは、この駆動機構により、ガイドレール12dに沿ってX方向に移動可能となっている。
ガントリー12aの+Z側の面には、ガイド12eが設けられている。ガイド12eは、Y方向に沿って形成されており、スライダ12bを案内する。スライダ12bは、ガントリー12aの+Z側の面から−X側の面に亘って配置されている。ヘッド駆動部12は、例えばボールねじ機構など、スライダ12bをY方向に移動させる不図示の駆動機構を有している。スライダ12bは、この駆動機構により、ガイド12eに沿ってY方向に移動可能となっている。なお、スライダ12bを案内するガイドが、ガントリー12aの−X側の面に形成されてもよい。
スライダ12bの−X側の面には、ガイド12fが設けられている。ガイド12fは、Z方向に沿って形成されており、昇降部12cを案内する。昇降部12cは、スライダ12bの−X側の面上に配置されている。ヘッド駆動部12は、例えばボールねじ機構など、昇降部12cをZ方向に移動させる不図示の駆動機構を有している。昇降部12cは、この駆動機構により、ガイド12fに沿ってZ方向に移動可能となっている。
上記レーザヘッド11は、昇降部12cに保持されている。ガントリー12aがX方向に移動することでレーザヘッド11、スライダ12b及び昇降部12cが一体でX方向に移動する。スライダ12bがY方向に移動することでレーザヘッド11及び昇降部12cが一体でY方向に移動する。昇降部12cがZ方向に移動することでレーザヘッド11がZ方向に移動する。これにより、レーザヘッド11は、加工領域10aの上方をX方向、Y方向及びZ方向に移動可能となっている。なお、ガイドレール12dやガイド12e、12fは、X方向、Y方向又はZ方向に対してそれぞれ傾いた方向に配置されてもよい。
加工領域10aには、加工パレット13が配置される。加工パレット13は、不図示の搬入装置等を用いて図2に示す位置13Pに搬入され、または位置13Pから搬出される。加工パレット13は、加工領域10aに対してワークWを搬入または搬出する。また、加工パレット13は、加工領域10aにおいて、ワークWを支持するテーブルとしても機能する。加工パレット13は、載置部14(図3参照)上に載置される。載置部14には、加工パレット13を位置決めするための位置決め部が設けられてもよい。載置部14は、パレット駆動部15(図3参照)によってZ方向に移動可能に設けられている。加工パレット13が載置部14に載置された状態で載置部14をZ方向に移動させることで、加工パレット13をZ方向に移動させることが可能である。
加工パレット13は、ベースプレート13a及び支持プレート(ワーク支持部)13bを有している。ベースプレート13aは、例えば矩形状に形成されている。支持プレート13bは、ワークWの下面(−Z側の面)を支持する。支持プレート13bは、ベースプレート13aの上面(+Z側の面)に複数設けられている。
複数の支持プレート13bは、ベースプレート13aに対して立った状態で設けられ、X方向に並んで配置されている。各支持プレート13bは、例えば鋸歯状に形成された複数の上端部13cを有している。各上端部13cは、ベースプレート13aからの高さ(Z方向の位置)が同一となるように形成されている。
複数の上端部13cには、ワークWが載置される。複数の上端部13cの高さが同一であるため、ワークWが安定した姿勢で配置される。また、上端部13cが鋸歯状に形成されているため、上端部13cとワークWとの間の接触面積が小さくなる。なお、上端部13cは、鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状や波形状としてもよい。また、加工パレット13は、複数の支持プレート13bを用いることに限定されず、例えば、複数のピンがベースプレート13a上に配置されたものでもよい。
加工パレット13は、ワークWを支持プレート13bの上端部13cに載置した状態で外部から搬入され、ワークWを乗せたまま第1加工装置10の加工領域に配置される。また、加工パレット13は、加工済みのワークWを載置して外部に搬出される。したがって、加工パレット13は、第1加工装置10と外部とを往復移動するように構成される。
また、第1加工装置10には、ブラシユニット16が設けられている。ブラシユニット16は、支持プレート13bに支持されるワークWの下方位置に対して、例えばY方向に進退可能に形成されている。
ブラシユニット16は、基部16aと、腕部16bと、ブラシ部16cとを有している。基部16aは、X方向に延びた形状に形成されている。基部16aは、不図示の駆動装置によってY方向に移動可能に設けられている。腕部16bは、基部16aから+Y方向に延びるように形成されている。腕部16bは、X方向に複数設けられている。各腕部16bは、支持プレート13bとほぼ等しいピッチでX方向に並んで配置されている。ブラシユニット16は、基部16aを+Y方向に移動させた場合に各腕部16bが支持プレート13b同士の間を+Y方向に侵入可能となる位置に配置されている。
ブラシ部16cは、例えば樹脂等の材料を用いて形成されており、ワークWを搬送する際にワークWを支持する。ブラシ部16cは、各腕部16bの上面(+Z側の面)に複数設けられており、Y方向に所定間隔で配置されている。ブラシ部16cは、ワークWに当接する上端部(+Z側の端部)がほぼ同一の高さとなるように設定される。ブラシ部16cは、ワークWを搬送する際の抵抗を低減するとともに、ワークWの下面(−Z側の面)に傷が付くことを抑制する。なお、ブラシ部16cに代えて、複数のフリーボール(全方向に転動可能)が使用されてもよい。また、図1に示すように、腕部16bの上面にY方向に沿って満遍なく一列にブラシ部16dが配置されてもよい。
また、第1加工装置10は、回収部17を有している。回収部17は、ワークWの一部を切断した製品を回収する。回収部17は、蓋部17aとコンベアー17bとを有している。蓋部17aは、例えば第1加工装置10の−X側端部に配置されている。蓋部17aは、矩形の板状に形成され、Y方向に長手となっている。蓋部17aは、水平面(XY平面)に平行に配置され、上面がブラシ部16cの上面とほぼ同一の高さとなるように設定される。蓋部17aは、例えば図3に示すように、+X側の端辺を中心としてY軸周りに回動可能となっている。蓋部17aは、−X側の端部が−Z側に傾くように回動する。蓋部17aが回動することにより、蓋部17aの上面が−Z側に傾く。ワークWから切り離された製品が蓋部17aの上面に載置された状態で蓋部17aを傾けることにより、ワークWから切り離された製品をコンベアー17b側へ滑らせるように落下させることが可能である。
蓋部17aは、レーザヘッド11の移動可能な領域(加工領域10a)内に配置されている。蓋部17aには、スリット17cが形成されている。スリット17cは、Y方向に沿って直線状に形成されている。スリット17cが設けられることにより、第1加工装置10では、蓋部17a上に載置されるワークWに対してレーザヘッド11による加工を行うことが可能となっている。なお、蓋部17aの配置は、第1加工装置10の−X側端部に限定されるものではなく、他の位置に配置されてもよい。
コンベアー17bは、蓋部17aの−Z側に配置されており、蓋部17aよりも−X側にずれた位置に設けられている。コンベアー17bは、蓋部17aから落下した製品を受けて−Y側に送り出す。コンベアー17bは、ベルトを回転させる不図示の駆動機構が設けられており、蓋部17aから落下した製品を第1加工装置10の外部に搬出可能となっている。
続いて、第2加工装置20は、ワークWを上下から挟むことでワークWに対して成型加工を行う。第2加工装置20は、第1加工装置10の−X側に配置されている。したがって、第1加工装置10及び第2加工装置20は、X方向に並んで配置されている。第2加工装置20は、本体部21と、本体駆動部22と、テーブル23とを有している。
例えば図4(a)に示すように、本体部21は、上部フレーム21a及び下部フレーム21bを有している。上部フレーム21aには、回転軸26を介して上部タレット24が保持されている。下部フレーム21bには、回転軸27を介して下部タレット25が保持されている。
上部タレット24及び下部タレット25は、共に円盤状に形成され、モータ等の不図示の駆動装置を駆動することにより、回転軸26、27を軸として回転可能に形成される。上部タレット24及び下部タレット25は、互いに対向した状態で配置される。上部タレット24には、複数の上側金型(加工工具)24aが回転軸26を中心とした周回方向に並べて搭載される。下部タレット25には、複数の下側金型(加工工具)25aが回転軸27を中心とした周回方向に並べて搭載される。
上部タレット24及び下部タレット25は、不図示の駆動装置により回転して、対となる1組の上側金型24aおよび下側金型25aがパンチ位置Pに選択される。パンチ位置Pの上側金型24aは、上側昇降部28によって降下する。一方、パンチ位置Pの下側金型25aは、下側昇降部29によって上昇する。第2加工装置20では、パンチ位置PにワークWを配置させ、上側金型24a及び下側金型25aの少なくとも一方が昇降することでワークWを挟み込んで成形加工を行う。上部タレット24及び下部タレット25の回転や、上側金型24a及び下側金型25aの駆動は、不図示の制御装置によって制御されてもよく、また、作業者がボタンを押して上側昇降部28や下側昇降部29を駆動させるなど、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。
図4(b)は、上側金型24aの一部及び下側金型25aの一例を模式的に示す断面図である。なお、上側金型24a及び下側金型25aの構成は、以下説明する構成には限定されない。また、図4(b)では、図を判別しやすくするため、下側金型25aの一部の構成を省略して示している。図4(b)に示すように、下側金型25aは、下部タレット25に配置される保持台25cの貫通孔25b内に挿入される筒状の固定部56を備える。固定部56の上部は、外径を大きくした状態に形成される。この外径が大きい部分の下方には、例えばキー溝が形成される。固定部56は、該キー溝により、貫通孔25bの上下方向に位置決めされるとともに、下部タレット25に対する回転方向の角度が位置決めされる。
下側金型25aは、ダイホルダ51と、ダイ金型部52と、を備える。ダイ金型部52は、ボルト59によりダイホルダ51に固定される。ダイホルダ51は、固定部56の内周面56aに摺動可能に配置され、固定部56(保持台25c)に対して上下方向に移動可能である。従って、固定部56の内周面56aは、ダイホルダ51のガイドとして機能する。
ダイホルダ51は、ボルト53を挿通するとともに、コイルスプリング等のエジェクタばね54の下部を保持する。ダイホルダ51の−Z側端部には、突部57が取り付けられる。ボルト53は、ダイホルダ51に対して上下方向に移動可能に配置される。ダイホルダ51の上方には、エジェクタプレート55が配置される。エジェクタプレート55は、上端中央の平面部から下方に向けて徐々に外径を拡げた傘状に形成される。エジェクタプレート55の平面部のほぼ中央には、ダイ金型部52が貫通される。エジェクタプレート55は、ボルト53の先端が固着されるとともに、エジェクタばね54の上部が接続される。エジェクタプレート55は、エジェクタばね54とボルト53とによって所定位置に保持される。この所定位置は、ダイ金型部52がエジェクタプレート55の上面から上方に突出しない位置である。エジェクタプレート55は、エジェクタばね54の弾性力に抗して降下可能となっている。ボルト53は、エジェクタプレート55の上下方向の移動をガイドするとともに移動ストロークを規定する。エジェクタプレート55が降下した際、ダイ金型部52はエジェクタプレート55の上面から上方に突出した状態となる。
下側昇降部29は、駆動源61とスライダ62とを備える。駆動源61としては、例えば、サーボモータ等の電動駆動を利用したものや、空気や水やオイルを用いた流体駆動を利用したものなど、いずれが使用されてもよい。スライダ62は、上面側に下方側の平面である第1面62aと、上方側の平面である第2面62bと、これらの間に形成された傾斜面62cと、を有する。第1面62a、第2面62b、及び傾斜面62cは、突部57の下端面と当接する。これら第1面62a、第2面62b、傾斜面62cの表面や突部57の下端面は両者間の摩擦抵抗を低減するための表面処理が施されてもよい。
第1面62aの高さは、下側金型25aが下方に位置するときの突部57の下端面に対応する。第2面62bの高さは、下側金型25aを上方へ移動させた時の突部57の下端面に対応する。第1面62aと第2面62bとの高さの差は、下側金型25aの移動量に相当する。傾斜面62cの傾斜角度は、スライダ62が移動した際に、突部57の下端面に対して摺動可能な角度に設定される。
駆動源61を駆動することにより、スライダ62は、図4(b)の矢印方向に移動する。駆動源61の駆動は、不図示の制御部等によって制御されてもよく、また作業者がボタンを押して駆動源61を駆動させるなど、作業者によるマニュアル操作によって行ってもよい。なお、下側昇降部29は、上記構成に限定されるものではなく、例えばカム機構などが使用されてもよい。
本体駆動部22は、本体部21をY方向に移動させる。本体駆動部22は、ガイドレール22a及び駆動部22bを有している。ガイドレール22aは、Y方向に沿って形成されている。本体部21は、ガイドレール22a上に配置されている。駆動部22bは、本体部21をガイドレール22aに沿って移動させる。
テーブル23は、ワークWを支持する。テーブル23の上面には、複数のブラシ部(不図示)が配置されている。ブラシ部は、第1加工装置10に設けられるブラシ部16cと同様のものが用いられ、ワークWに当接する上端部(+Z側の端部)がほぼ同一の高さとなるように設定される。また、ブラシ部に代えて、複数のフリーボール(全方向に転動可能)が使用されてもよい。
テーブル23は、可動テーブル23aを有している。可動テーブル23aは、例えば外力によって変形したり撓んだりしにくい剛体として形成されている。可動テーブル23aは、例えば固定部材等を介して下部フレーム21bに固定されている。可動テーブル23aは、本体部21の移動方向(Y方向)に沿って、該本体部21と一体で移動する。本体部21が+Y方向に移動する場合、可動テーブル23aの+Y側端部は、後述のキャリッジ31を貫通して第2加工装置20の+Y側から飛び出すようになっている。なお、キャリッジ31には、可動テーブル23aを貫通させる貫通穴が形成されている。可動テーブル23aは、上記構成に限定されず、例えば可撓性を有する構成であってもよい。この構成では、本体部21が+Y方向に移動する場合に、可動テーブル23aの+Y側端部が第2加工装置20から飛び出さないように、可動テーブル23aの−Y側端部を巻き取るようにすることができる。また、この構成において、本体部21が−Y方向に移動する場合には、巻き取った可動テーブル23aを送り出す構成とすればよい。これにより、Y方向のスペースを節約することができる。
続いて、搬送装置30は、第1加工装置10及び第2加工装置20に跨ってワークWをX方向に搬送する。搬送装置30は、第1加工装置10及び第2加工装置20の+Y側に配置されている。搬送装置30は、キャリッジ31と、クロススライド32と、ワークホルダ33と、フレーム34とを有している。
キャリッジ31は、フレーム18とフレーム34とに跨って固定されている。キャリッジ31は、第1加工装置10の+X側端部から、第2加工装置20の−X側端部にかけて、X方向に沿って形成されている。キャリッジ31には、X方向に沿った不図示のガイドが設けられている。このガイドは、キャリッジ31と同様、第1加工装置10の+X側端部から、第2加工装置20の−X側端部にかけてX方向に沿って形成されている。
クロススライド32は、不図示の駆動装置により、上記ガイドに沿ってX方向に移動可能である。したがって、クロススライド32は、第1加工装置10の+X側端部から第2加工装置20の−X側端部にかけて、第1加工装置10及び第2加工装置20を跨ぐように移動可能となっている。
ワークホルダ33は、クロススライド32に複数設けられている。複数のワークホルダ33は、X方向に間隔を空けて2つ以上(例、3つ)設けられている。各ワークホルダ33は、ワークWを例えば上下方向に挟み込んで保持する。ワークホルダ33は、クロススライド32から−Y方向に突出して設けられている。
搬送装置30は、ワークホルダ33によってワークWを保持した状態でクロススライド32がX方向に移動することにより、ワークWをX方向(一方向)に搬送する。このとき、クロススライド32が第1加工装置10及び第2加工装置20に跨がって移動することにより、ワークWが第1加工装置10及び第2加工装置20に跨って搬送される。ワークホルダ33によって保持されたワークWは、第1加工装置10では加工領域10aに配置され、第2加工装置20ではテーブル23上に配置される。
次に、図5〜図9を参照して、上記のように構成された板材加工システム100の動作を説明する。図5〜図9は、板材加工システム100の動作の流れを示す図である。
まず、図5(a)に示すように、板材加工システム100にワークWを搬入する。ワークWの搬入は、外部のローダ装置(不図示)等を用いて行われる。本実施形態では、第1加工装置10の+X側の端部からワークWが搬入される。ワークWを搬入する際には、まず加工パレット13上にワークWを載置した状態とし、この状態で加工パレット13を外部から第1加工装置10の内部に搬入する。そして、搬入した加工パレット13を載置部14に載置する。これにより、ワークWが第1加工装置10の加工領域10aに配置される。なお、このときワークホルダ33に対してワークWの位置合わせを行ってもよい。ワークWが加工領域10aに配置された後、ワークホルダ33によってワークWを上下に挟み込んで保持する。
次に、ワークWに対してレーザ加工を行う。レーザ加工では、図5(b)に示すように、ヘッド駆動部12によってレーザヘッド11をX方向及びY方向に移動させつつ、レーザヘッド11からワークWに対してレーザ光を射出する。レーザ加工では、ワークWのうち予め設定された領域(例、切断領域H1、H2:図6(a)等参照)が切断される。このとき、切断領域の全部を切断するのではなく、一部を切断せずに繋げておいてもよい。また、このレーザ加工後に、ワークWに対して成形加工を行う場合には、このレーザ加工ではワークWの外周切断を行わないようにする。この場合、後述するように、外周切断は成形加工の後に行うようにする。
次に、レーザ加工後のワークWを第2加工装置20に搬送する。ワークWの搬送に先立ち、ワークWの支持を、加工パレット13の支持プレート13bから、ブラシユニット16のブラシ部16cに切り替えるようにする。具体的には、図6(a)に示すように、まずブラシユニット16を+Y方向に移動させ、各腕部16bを支持プレート13bの間に配置させる。このとき、図6(b)に示すように、ワークWの下面は、支持プレート13bの上端部13cによって保持されると共に、ブラシ部16cの上端によっても保持される。次に、図6(c)に示すように、パレット駆動部15によって載置部14を−Z方向に移動させる。載置部14の移動により、加工パレット13が−Z方向に移動し、支持プレート13bによるワークWの支持が外れる。そして、ブラシ部16cの上端によってワークWが支持される。なお、加工パレット13からブラシ部16cにワークWを移し変える動作として、載置部14を−Z方向に移動させる動作には限定されない。例えば、ブラシ部16c側を+Z方向に移動させることで加工パレット13からブラシ部16cにワークWを移し変えてもよい。また、ブラシユニット16を+Z方向に移動させると共に、載置部14を−Z方向に移動させてもよい。
次に、ブラシ部16cによってワークWが支持された状態で、クロススライド32を−X方向に移動させる。ワークWがワークホルダ33に保持されたままとなっているため、クロススライド32の移動によってワークWは−X方向に搬送され、第2加工装置20に搬入される。このとき、第1加工装置10ではブラシ部16cによって支持された状態でワークWが搬送され、第2加工装置20ではテーブル23上の不図示のブラシによって支持された状態でワークWが搬送されるため、搬送時のワークWの抵抗が低減されるとともに、ワークWの下面に傷が付くことを抑制することができる。
次に、ワークWに対して成形加工を行う。この成形加工では、上部タレット24及び下部タレット25を回転させ、1組の上側金型24aおよび下側金型25aをパンチ位置Pに選択する。その後、図7(a)に示すように、クロススライド32をX方向に移動させることでX方向についての位置決めを行う。また、本体部21をY方向に移動させることでY方向についての位置決めを行う。また、ワークホルダ33によってワークWを保持したままの状態で位置決めを行うことができるため、ワークWの持ち直しなどの動作が不要となる。このため、ワークWの位置ズレ等を防ぐことができる。このようなワークWのY方向についての位置決めにより、ワークWのうち予め設定された領域(成形領域P1:図7(b)等参照)がパンチ位置Pに配置される。なお、本体部21をY方向に移動させる場合、該本体部21と一体に設けられた可動テーブル23aの+Y側端部が第2加工装置20の+Y側に突出する。これにより、本体部21に設けられる下部タレット25とテーブル23との間の干渉が回避される。
その後、図8(a)に示すように、下側昇降部29の駆動源61を駆動してスライダ62を前進させる(紙面右方に移動させる)。これにより、突部57は、スライダ62の第1面62aから傾斜面62cを介して第2面62bと当接し、ダイホルダ51を上昇させる。ダイホルダ51は、固定部56の内周面56aに沿って移動する。これにより、ダイ金型部52及びエジェクタプレート55も下部タレット25に対して上昇し、エジェクタプレート55の上面にワークWを当接させた状態となる。
次いで、図8(b)に示すように、上側昇降部28(図4(a)参照)を駆動して、上側金型24aを降下させる。上側金型24aによってエジェクタプレート55を降下させつつ、エジェクタプレート55から上方に突出するダイ金型部52が凹部24bに入り込むことにより、ワークWの成形加工が行われる。このとき、エジェクタプレート55は、上側金型24aとの間にワークWを挟んだまま、エジェクタばね54の弾性力に抗して降下する。ボルト53は、エジェクタプレート55とともに移動し、ダイホルダ51に対してボルトヘッドを降下させる。なお、ダイ金型部52は、ダイホルダ51及び突部57を介してスライダ62に支持されており、成形時の力をスライダ62で受け止めている。
このように、パンチ位置Pの下側金型25aを上昇させた後、上側金型24aを降下させることにより、上側金型24aと下側金型25aとでワークWを挟み込んで成形加工を行う。その後、上側金型24aを上昇させることにより、エジェクタプレート55は、エジェクタばね54の弾性力によって上昇する。なお、ボルト53も同時に上昇し、ボルトヘッドが係止されることによりエジェクタプレート55の上昇を停止させる。エジェクタプレート55の上昇により、ワークWも上昇してダイ金型部52から引き離される。この状態では、ダイ金型部52はエジェクタプレート55に没入した状態となる。
そして、駆動源61を駆動してスライダ62を後退させる(紙面左方に移動させる)。これにより、突部57は、スライダ62の第2面62bから第1面62aに移動し、ダイホルダ51を降下させる。ダイホルダ51の降下により、ダイ金型部52及びエジェクタプレート55が降下し、ワークWがパスライン上に配置される。上記した一連の動作により成形加工が終了する。この後、別のワークWが搬送される場合の他に、同一のワークWを移動させて他の箇所の成形を行うことができる。成形加工後、本体部21を−Y方向に退避させる。
次に、成形後のワークWを第1加工装置10に搬送する。この場合、クロススライド32を+X方向に移動させ、ワークWを第1加工装置10の加工領域10aに再び配置させる。なお、ワークWの搬送に先立ち、加工領域10aにはブラシユニット16を配置させておく。レーザ加工の後に第2加工装置20へワークWを搬送する際、ブラシユニット16を第1加工装置10の外部に戻さず、そのまま配置しておいてもよい。そして、ワークWを第1加工装置10に搬送した後、ブラシユニット16を第1加工装置10の外部に退避させる。
次に、ワークWに対して再度レーザ加工を行う。このレーザ加工では、先のレーザ加工で切断領域の一部を切断せずに繋げておいた部分を切断したり、ワークWの外周切断を行ったりする。具体的には、図7(b)に示すように、ヘッド駆動部12によってレーザヘッド11をX方向及びY方向に移動させつつ、レーザヘッド11からワークWに対してレーザ光を射出して切断する。これにより、所望の形状の製品M(図9(a)参照)が生成される。
次に、加工後の製品Mを搬出する。具体的には、まず、ワークホルダ33によるワークWの保持を解除する。その後、図9(a)に示すように、例えば外部の搬出装置を用いて加工パレット13を第1加工装置10の+X側から搬出する。なお、外部の搬出装置を用いることなく、第1加工装置10の内部機構によって加工パレット13を搬出してもよい。製品Mは、ワークWのうち製品M以外の部分と共に加工パレット13に載置された状態で搬出される。
なお、製品Mを搬出する場合には、加工パレット13によって搬出する場合に限定されず、例えば回収部17を用いて製品Mを搬出してもよい。この場合、図9(b)に示すように、レーザ加工によってワークWから製品Mを切断し、直接回収部17に回収させるようにする。具体的には、蓋部17aの上方にワークWの切断部分を配置する。そして、ガントリー12aを−X方向に移動させ、蓋部17aに形成されるスリット17cの上方にレーザヘッド11を配置させる。その後、図10(a)に示すように、レーザヘッド11からワークWに対してレーザ光を射出する。そして、レーザヘッド11をスリット17cに沿ってY方向に移動させると共に、クロススライド32をX方向に移動させてワークWをX方向に移動させる。このように、レーザヘッド11とワークWとをX方向及びY方向に相対的に移動させつつワークWの切断を行うことにより、レーザヘッド11をX方向に移動させることなく、ワークWを切断できる。切断されたワークWは、蓋部17a上に載置される。この状態で、図10(b)に示すように、蓋部17aを傾ける。この動作により、切断された製品Mはコンベアー17bへ落下する。コンベアー17bに落下した製品Mは、例えば該コンベアー17bによって−Y方向に搬送され、第1加工装置10の外部に搬出される。
以上のように、第1実施形態によれば、レーザヘッド11をX方向及びY方向に移動するため、レーザヘッド11による加工を高速で行うことができる。また、第1加工装置10と第2加工装置20とがX方向に並んで配置され、搬送装置30による一度のワークW保持動作によりレーザヘッド11及び上側金型24a及び下側金型25aによる加工を行うことができるため、ワークWを持ち替える動作が不要となり、精度よくワークWを加工することができる。これにより、レーザヘッド11の移動による切断加工の利点を活かすと共に成形加工等の複合加工を精度よく行うことができる。
<変形例>
次に、変形例を説明する。図11は、変形例に係る板材加工システム100Aの一例を示す図である。図11では、+X方向に板材加工システム100Aを見たときの例を示している。
上記第1実施形態では、第2加工装置20において、ワークWに対して本体部21がY方向に移動可能な構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば図11に示すように、本体部21を固定し、上部タレット24及び下部タレット25をY方向に移動可能とする構成であってもよい。この場合、上部タレット24は回転軸26と共にY方向に移動可能であり、下部タレット25は回転軸27と共にY方向に移動可能である。この構成によれば、本体部21の全体をY方向に移動させるものに比べて、効率的にパンチ位置Pを移動させることができる。
次に、他の変形例を説明する。図12は、変形例に係る板材加工システム100Bの一例を示す図である。図12では、−Z方向に板材加工システム100Bを見たときの例を示している。
上記第1実施形態では、板材加工システム100のうちワークWの搬入側(+X側)に第1加工装置10が配置され、該第1加工装置10の−X側に第2加工装置20が配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば図12に示すように、ワークWの搬入側に第2加工装置20が配置され、該第2加工装置20の−X側に第1加工装置10が配置されてもよい。
この構成において、加工パレット13は、不図示のローダ装置等を用いてテーブル23上の位置13Qに搬入出される。上記第1実施形態では、加工パレット13が第1加工装置10の外部(+X側)の位置13Pに搬入出されるのに対して、本構成では、第2加工装置20の内部の位置13Qに加工パレット13が直接搬入出される。この場合、第1加工装置10及び第2加工装置20の外部に加工パレット13の搬入出位置を設ける必要が無い。したがって、板材加工システム100BのX方向の寸法を短くすることができ、スペースを節約することが可能となる。
第2加工装置20には、第1実施形態と同一のブラシユニット16が設けられている。このブラシユニット16は、支持プレート13bに支持されるワークWの下方位置に対して、例えばY方向に進退可能に形成されている。ブラシユニット16は、基部16aと、腕部16bと、ブラシ部16cとを有している。各部の構成は、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
なお、第1加工装置10は、X方向の配置が第2加工装置20の−X側であること以外は、第1実施形態と同一の構成であるため、説明を省略する。また、板材加工システム100Bは、加工パレット13をX方向に移動させる不図示の駆動装置を有している。この駆動装置は、例えば位置13Qと第1加工装置10の加工領域10aとの間で加工パレット13を移動させる。
上記のように構成された板材加工システム100Bの動作の一例を簡単に説明する。
まず、位置13Qに加工パレット13が搬入された後、ワークホルダ33にワークWを保持させる。次に、このワークWに対してレーザ切断加工を行う場合、ワークWを第1加工装置10に搬送する。
この場合、第2加工装置20に設けられたブラシユニット16を+Y方向に移動させ、ワークWの下方位置に配置させる。そして、ブラシユニット16を上昇させる又は加工パレット13を下降させることにより、加工パレット13からブラシユニット16へワークWを移し替える。ワークWの移し替えを行った後、駆動装置を用いて加工パレット13を−X方向に搬送し、加工領域10aに配置させる。また、第1加工装置10に設けられたブラシユニット16をY方向に移動させ、第2加工装置20のブラシユニット16との間でブラシ部16cの上端がほぼ等しい高さとなるようにブラシユニット16の高さ(Z方向の位置)を調整する。
その後、クロススライド32を−X方向に移動させ、第1加工装置10の加工領域10aにワークWを位置決めする。このとき、例えば加工パレット13に重なる位置にワークWを位置決めする。その後、第1加工装置10においてブラシユニット16から加工パレット13の支持プレート13bにワークWを移し替え、ブラシユニット16を第1加工装置10の外部に退避させた後、レーザ切断加工を行う。
レーザ切断加工の後、成形加工を行う場合には、支持プレート13bからブラシユニット16にワークWを移し替え、ワークWを+X方向に搬送して、所定のパンチ位置にワークWを位置決めする。その後、第2加工装置20を用いてワークWを成形加工する。成形加工の後、ワークWを位置13Qに移動させる場合には、不図示の第1加工装置10の加工領域10aに配置された加工パレット13を+X方向に移動させ、位置13Qに配置させる。また、第1加工装置10と第2加工装置20とでブラシ部16cの上端が揃うようにブラシユニット16をそれぞれ配置して、クロススライド32を+X方向に移動させ、ワークWを加工パレット13の上方に配置させる。その後、ブラシユニット16から加工パレット13へとワークWを移し替え、ワークWを支持プレート13b上に載置させる。その後、不図示のローダ装置により加工パレット13ごとワークWが搬出される。
以上のように、本変形例によれば、第2加工装置20のテーブル23に搬入出の位置13Qが設定されるため、第1加工装置10及び第2加工装置20の外部に加工パレット13の搬入出位置を設ける必要が無い。したがって、板材加工システム100BのX方向の寸法を短くすることができ、スペースを節約することが可能となる。
なお、図12に示す例では、+X側のブラシユニット16がくし歯状に形成された構成を説明したが、これに限定するものではなく、Y方向に移動可能な平板状の構成であってもよい。この場合、ブラシユニット16が+Y方向に移動する際に加工パレット13に対して干渉しないように、位置13Qにおいて加工パレット13が昇降可能な構成とすることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態では、搬送装置のキャリッジがY方向に移動可能であることや、第1加工装置と第2加工装置との位置関係等が上記第1実施形態とは異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図13は、第2実施形態に係る板材加工システム200の一例を示す図である。図13(a)は、−Z方向に板材加工システム200を見たときの例を示している。図13(b)は、−X方向に板材加工システム200を見たときの例を示している。ただし、図13(b)は、第2加工装置220側の図示を省略している。
図13に示すように、板材加工システム200は、第1加工装置210と、第2加工装置220と、搬送装置230と、移動装置240と、テーブル部250とを備えている。第1加工装置210は、ワークに対してレーザ加工を施すレーザ加工機である。第1加工装置210は、ワークWの搬入出位置Qに対して−X側に離れた位置に配置されている。第1加工装置210は、レーザヘッド211と、ヘッド駆動部212と、フレーム215とを有している。
フレーム215は、X方向視でコ字状に形成されており、後述するレーザヘッド211の加工領域210aを上下に囲むように配置されている。フレーム215は、天井部215aと、底部215bと、側部215cとを有している。天井部215aは、加工領域210aの上方(+Z側)に配置される。底部215bは、加工領域210aの下方(−Z側)に配置される。側部215cは、加工領域210aの側方(−Y側)に配置される。なお、フレーム215は、加工領域210aの+Y側が空いた状態となっている。ワークWは、フレーム215の+Y側から加工領域210aに搬入及び搬出されるようになっている。
レーザヘッド211は、フレーム215の天井部215aに配置されている。レーザヘッド211は、ヘッド駆動部212によってX方向、Y方向及びZ方向に移動可能に設けられる。レーザヘッド211がX方向及びY方向に移動することにより、加工領域210a(図13(a)参照)が設定される。レーザヘッド211は、加工領域210aに配置されたワークWを加工することができる。
ヘッド駆動部212は、ガントリー212a、スライダ212b及び昇降部212cを有している。ガントリー212aは、矩形の柱状に形成されており、Y方向に沿って配置されている。ガントリー212aは、フレーム215の天井部215aに吊り下げられた状態で配置されている。ガントリー212aは、不図示の駆動機構により、X方向に移動可能となっている。
ガントリー212aの+Z側の面には、ガイド212eが設けられている。ガイド212eは、Y方向に沿って形成されており、スライダ212bを案内する。スライダ212bは、ガントリー212aの+Z側の面から+X側の面に亘って配置されている。スライダ212bは、不図示の駆動機構により、ガイド212eに沿ってY方向に移動可能となっている。
スライダ212bの+X側の面には、ガイド212fが設けられている。ガイド212fは、Z方向に沿って形成されており、昇降部212cを案内する。昇降部212cは、スライダ212bの+X側の面上に配置されている。昇降部212cは、不図示の駆動機構により、ガイド212fに沿ってZ方向に移動可能となっている。
レーザヘッド211は、昇降部212cに保持されている。ガントリー212aがX方向に移動することでレーザヘッド211、スライダ212b及び昇降部212cが一体でX方向に移動する。スライダ212bがY方向に移動することでレーザヘッド211及び昇降部212cがY方向に移動する。昇降部212cがZ方向に移動することでレーザヘッド211がZ方向に移動する。これにより、レーザヘッド211は、加工領域210aの上方をX方向、Y方向及びZ方向に移動可能となっている。
フレーム215の底部215bには、加工パレット213が配置される。加工パレット213は、フレーム215の−X側から搬入又は搬出される。加工パレット213は、ベースプレート213a及び支持プレート(ワーク支持部)213bを有している。ベースプレート213aは、例えば矩形状に形成されている。支持プレート213bは、ワークWの下面(−Z側の面)を支持する。支持プレート213bは、ベースプレート213aの上面(+Z側の面)に複数設けられている。
複数の支持プレート213bは、ベースプレート213aに対して立った状態で設けられ、X方向に並んで配置されている。各支持プレート213bは、例えば鋸歯状に形成された複数の上端部213cを有している。各上端部213cは、ベースプレート213aからの高さ(Z方向の位置)が同一となるように形成される。加工パレット213は、各上端部213cの高さが後述の第5テーブル255の上面の高さと同一となるように配置可能である。
複数の上端部213cには、ワークWが載置される。複数の上端部213cの高さが同一であるため、ワークWが安定した姿勢で配置される。また、上端部213cが鋸歯状に形成されているため、上端部213cとワークWとの間の接触面積が小さくなる。なお、上端部213cは、鋸歯状とすることに限定されず、例えば、剣山状や波形状としてもよい。また、加工パレット213は、複数の支持プレート213bを用いることに限定されず、例えば、複数のピンがベースプレート213a上に配置されたものでもよい。
第2加工装置220は、ワークWに対して成型加工を行う。第2加工装置220は、第1加工装置210の+X側に配置されている。このように、第1加工装置210及び第2加工装置220は、X方向に並んで配置されており、X方向についての配置が第1実施形態とは異なっている。第2加工装置220は、本体部221を有している。本体部221は、床部に載置されており、位置が固定されている。本体部221の他の構成については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
搬送装置230は、第1加工装置210及び第2加工装置220に跨ってワークWをX方向及びY方向に搬送する。搬送装置230は、ワークWの搬入出位置Qの+Y側に配置されている。搬送装置230は、キャリッジ231と、クロススライド232と、ワークホルダ233とを有している。
キャリッジ231は、後述の移動装置240により、Y方向に移動可能に設けられている。キャリッジ231には、後述のクロススライド232を案内するためのX方向に沿ったガイドが設けられている。
クロススライド232は、不図示の駆動装置により、上記ガイドに沿ってX方向に移動可能である。したがって、クロススライド232は、第1加工装置210の−X側端部から第2加工装置220の+X側端部にかけて、第1加工装置210及び第2加工装置220を跨ぐように移動可能となっている。ワークホルダ233は、クロススライド232に複数設けられている。ワークホルダ233の具体的構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
搬送装置230は、ワークホルダ233によってワークWを保持した状態でクロススライド232がX方向に移動することにより、ワークWをX方向に搬送する。このとき、クロススライド232が第1加工装置210及び第2加工装置220に跨がって移動することにより、ワークWが第1加工装置210及び第2加工装置220に跨って搬送される。
移動装置240は、搬送装置230をY方向に移動させる。移動装置240は、例えばボールねじ機構などの不図示の駆動機構を有している。移動装置240は、例えばキャリッジ231に接続されており、キャリッジ231をY方向に移動させることで、クロススライド232及びワークホルダ233を含む搬送装置230の全体をY方向に移動可能である。キャリッジ231は、後述のテーブル部250には連結されず、別体として設けられる。このため、キャリッジ231は、テーブル部250に対して独立して移動可能となっている。
テーブル部250は、第1テーブル251と、第2テーブル252と、第3テーブル253と、第4テーブル254と、第5テーブル255とを有している。第1テーブル251〜第5テーブル255の上面(+Z側の面)には、不図示のブラシ部が形成されている。ブラシ部は、X方向及びY方向にそれぞれ所定の間隔で配置されている。例えば各ブラシ部の上端は、高さ(Z方向の座標)が揃うように形成される。第1テーブル251〜第5テーブル255は、それぞれ固定テーブルである。
第1テーブル251は、ワークWの搬入出位置Qに配置されている。第2テーブル252は、第1テーブル251の−Y側に配置されている。第2テーブル252は、キャリッジ231がワークWを保持して−Y方向に移動する場合にワークWが−Y方向にはみ出さないように支持する。
第3テーブル253は、第1テーブル251の−X側に配置されている。第4テーブル254は、第2テーブル252の−X側に配置されている。第3テーブル253と第4テーブル254とは、Y方向に並んで配置されている。第4テーブル254は、第2加工装置220の本体部221のうち上部フレーム21aと下部フレーム21bとの間に配置されている。
第5テーブル255は、第3テーブルの−X側であって、第1加工装置210のフレーム215の+Y側に配置されている。第5テーブル255の下側(−Z側)には、ブラシユニット216が設けられている。ブラシユニット216は、加工パレット213に支持されるワークWの下方位置に対して、例えばY方向に進退可能に形成されている。
ブラシユニット216は、基部216aと、腕部216bと、ブラシ部216cとを有している。ブラシユニット216の各部の構成は、第1実施形態に記載のブラシユニット16と同様であるため、説明を省略する。ブラシユニット216の各腕部216bは、加工パレット213の支持プレート213bとほぼ等しいピッチでX方向に並んで配置されている。ブラシユニット216は、基部216aを+Y方向に移動させた場合に各腕部216bが支持プレート213b同士の間を+Y方向に侵入可能となる位置に配置されている。
また、ブラシユニット216は、加工パレット213の下側においてZ方向に昇降可能に設けられる。ワークWが支持プレート213bに支持された状態で、ブラシユニット216の腕部216bを支持プレート213bの間に挿入し、ブラシユニット216を+Z方向に移動させることで、ワークWを支持プレート213bからブラシ部216cに移し替えることが可能となる。また、ワークWがブラシ部216cに支持された状態でブラシユニット216を−Z方向に移動させることで、ワークWをブラシ部216cから支持プレート213bに移し替えることが可能となる。なお、加工パレット213がZ方向に昇降可能な構成であってもよい。この場合、ブラシユニット216及び加工パレット213のうち少なくとも一方が昇降することでワークWの移し替えが可能となる。
上記構成の板材加工システム200では、外部の搬入装置等によってワークWが搬入出位置Qに搬入された場合、ワークWは第1テーブル251の不図示のブラシ部上に載置される。その後、例えばレーザ加工を行う場合には、まず、ワークホルダ233でワークWを保持し、クロススライド232を−X方向に移動させることで、ワークWを第5テーブル255上に配置させる。次に、移動装置240によってキャリッジ231を−Y方向に移動させる。なお、このキャリッジ231の移動に先立ち、加工領域210aにブラシユニット216を配置させておく。この状態でキャリッジ231を−Y方向に移動させることにより、キャリッジ231、クロススライド232、及びワークホルダ233がワークWと一体で−Y方向に移動し、ワークWがフレーム215の天井部215aと底部215bとの間に挿入される。そして、ワークWが加工領域210aに配置され、ブラシユニット216に支持される。その後、加工パレット213を+Z側に移動させる又はブラシユニット216を−Z側に移動させることで、ブラシユニット216から加工パレット213へワークWの移し替えを行う。そして、ブラシユニット216を+Y方向に退避させた後、レーザヘッド211からレーザ光をワークWに射出しつつレーザヘッド211をX方向及びY方向に移動させることで、ワークWを切断加工する。
また、ワークWに成形加工を行う場合には、ワークWを第2加工装置220まで移動させる。この場合、キャリッジ231及びクロススライド232をそれぞれ移動させることで第2加工装置220のパンチ位置に対してワークWの加工対象位置の位置決めを行う。位置決めを行った後、第2加工装置220の上側金型24a及び下側金型25aによって成形加工を行う。
ワークWに対して加工を終えた場合、ワークWを板材加工システム200から搬出する。この場合、まず、キャリッジ231及びクロススライド232をそれぞれ移動させることでワークWを加工パレット213上に配置させる。その後、例えば外部の搬出機構等を用いて加工パレット213を第1加工装置210の−X側から搬出する。なお、外部の搬出装置を用いることなく、第1加工装置210の内部機構によって加工パレット213を搬出してもよい。
以上のように、搬送装置230のキャリッジ231がY方向に移動可能な場合においても、レーザヘッド211がX方向及びY方向に高速で移動しつつワークWを加工することができる。また、第1加工装置210と第2加工装置220とがX方向に並んで配置され、搬送装置230による一度のワークWの保持動作によりレーザヘッド211及び上側金型24a及び下側金型25aによる加工を行うことができるため、ワークWを持ち替える動作が不要となり、精度よくワークWを加工することができる。これにより、レーザヘッド211の移動による切断加工の利点を活かすと共に成形加工及び切断加工等の複合加工を精度よく行うことができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、板材加工システムが切断加工を行う第1加工装置10、210と、少なくとも成形加工を行う第2加工装置20、220とを備える構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、第1加工装置10、210及び第2加工装置20、220が、タップ加工を行う機構や、打ち抜き加工を行う機構など、他の加工を行う機構を更に有する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、第2加工装置20、220において、加工工具(上側金型24a及び下側金型25a)を保持するツールホルダの構成として、上部タレット24及び下部タレット25が設けられる例を説明したが、これに限定するものではなく、ブロック型のツールホルダが用いられてもよい。
また、上記実施形態では、第2加工装置20、220において、ワークW及び加工工具(上側金型24a、下側金型25a)のいずれか一方の位置を固定させて他方をY方向に移動させることで、両者をY方向に相対的に移動させる場合を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、ワークW及び加工工具(上側金型24a、下側金型25a)の両方をY方向に移動させてもよい。