以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る光断層像撮影装置1の概略構成について説明する。本実施形態の光断層像撮影装置(光コヒーレンストモグラフィーデバイス)1は、被検体内の組織の断層画像を、被検体内に挿入されるプローブ2を利用して撮影する。本実施形態では、被検眼Eの内部組織(例えば、網膜)の断層画像を撮影する眼科撮影装置を例示して説明を行う。しかし、本発明は、眼以外の被検体(例えば、内臓、耳等)の断層画像を撮影する装置にも適用できる。光断層像撮影装置1は、測定部10と制御部30を備える。
測定部10は、光断層干渉計(OCT:Optical Coherence Tomography)の構成(例えば、干渉光学系)を備える。本実施形態の測定部10は、測定光源11、エイミング光源12、カップラー13、カップラー14、参照光学系15、装着部16、開閉部17、ファイバ回転モータ18、検出器(受光素子)19および光路長変更ユニット20を備える。
測定光源11は、断層画像を取得するための光を出射する。一例として、本実施形態の光断層像撮影装置1は、出射するレーザ光の波長を高速で変化させることが可能な測定光源11を備えることで、Swept−source OCT(SS−OCT)計測によって断層画像を取得する。本実施形態の測定光源11は、レーザ媒体、共振器、および波長選択フィルタ等によって構成される。波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、または、ファブリー・ペローエタロンを用いたフィルタ等を採用できる。
エイミング光源12は、測定光の照射位置(つまり、断層画像の撮影位置。)を示すための可視光であるエイミング光を出射する。
カップラー13は、測定光源11から出射された光と、エイミング光源12から出射されたエイミング光とを合波し、2つの光の光軸を一致させる。カップラー14は、カップラー13から入射された光を、測定光(試料光)と参照光に分割する。測定光は、装着部16に装着されたプローブ2に導光される。参照光は、参照光学系15に導光される。また、カップラー14は、被検眼Eによって反射された測定光(反射測定光)と、参照光学系15によって生成された参照光とを合成して干渉光を生成する。カップラー14は、生成した干渉光を検出器19に受光させる。
参照光学系15は、カップラー14から導光された参照光を再びカップラー14に戻す。参照光学系15は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであってもよい。本実施形態では、参照光学系15は、参照ミラー等を備えた反射光学系によって、カップラー14から導かれた参照光を反射させて、カップラー14に再び戻す。前述したように、カップラー14に戻された参照光は、被検眼Eによる反射測定光と合成される。なお、参照光学系15の構成は変更できる。例えば、参照光学系15は、カップラー14から導かれた参照光を反射させずに、光ファイバ等の透過光学系によって検出器19へ透過させてもよい。
装着部(例えばコネクタ)16には、プローブ2におけるファイバ4の後端部(基端部)が着脱可能に装着される。装着部16に対してプローブ2が装着されることによって、カップラー14によって分割された測定光の導光路(例えば、測定部10内のファイバ)と、プローブ2とが接続される。本実施形態のプローブ2は、プローブ本体3と、ファイバ4と、を備える。また、プローブ本体3は、ハンドピース5、およびニードル6を有する。ファイバ4は、測定部10のカップラー14から導かれた測定光とエイミング光を、ニードル6の先端部まで導光する。ファイバ4はトルクコイル(図示せず)によって被覆されており、ハンドピース5に対して回転自在である。ハンドピース5は、作業者(例えば、検者、術者等)によって把持される略筒状の部材である。ニードル6は、ハンドピース5の先端に設けられており、ハンドピース5の外径よりも小さい外径を有する。ニードル6の先端部は、被検体(例えば、被検眼E)の内部に挿入される。ファイバ4は、ハンドピース5の後端部に接続し、ニードル6の先端部まで延びている。プローブ2は、ファイバ4によって導光された測定光およびエイミング光を走査させながら、先端部から出射することができる。プローブ2における先端部の構造の詳細については、図2を参照して後述する。
開閉部17は、装着部16の周囲に設けられ、プローブ2を装着部16に着脱する際に開閉される。本実施形態の光断層像撮影装置1は、開閉部17が開放された状態のときに、プローブ2の着脱が可能となる。一方、開閉部17が閉鎖された状態のときに、開閉部17は、作業者が装着部16に触れてしまうことを防止する。その結果、作業者の指等が後述する装着部16の回転に巻きこまれることを防止する。また、閉鎖部17が閉鎖状態のときにプローブ2は、着脱できなくなる。結果、プローブ2の不用意な脱落を防止する。なお、開閉部17は、作業者等が手動で開閉させるものでもよいし、プローブ2を着脱する所定のタイミングで自動的に開閉するための機構を有したものでもよい。
開閉部17は、開閉検出センサ17aを有している。開閉検出センサ17aは、開閉部17の開閉状態を検出する。開閉検出センサ17aは、接触式のセンサであってよいし、非接触式のセンサであってもよい。
ファイバ回転モータ18は、プローブ2のファイバ4が装着された装着部16を、ファイバ4の軸を中心として回転させることができる。つまり、ファイバ回転モータ18は、装着部16を回転させることでファイバ4を回転させて、測定光およびエイミング光を走査させる。本実施形態において、ファイバ回転モータ18には、回転検出センサ18aが設けられている。回転検出センサ18aは、後端部におけるファイバ4の回転を1回転毎に検出すると共に、検出毎(つまり、1回転毎)に信号を制御部30へ出力する。回転検出センサ18aからの信号は、各々の断層画像(Bスキャン画像)の生成開始のタイミングを決定するために利用される。
検出器19は、反射測定光と参照光の干渉状態を検出する。換言すると、検出器19は、カップラー14によって生成された干渉光の干渉信号を検出する。より詳細には、フーリエドメインOCTの場合には、干渉光のスペクトル強度が検出器19によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって、所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。前述したように、本実施形態の光断層像撮影装置1には、SS−OCTが採用されている。しかし、光断層像撮影装置1には、種々のOCTを採用できる。例えば、Spectral−domain OCT(SD−OCT)、Time−domain OCT(TD−OCT)等のいずれを光断層像撮影装置1に採用してもよい。SS−OCTを採用する場合、複数の受光素子を有する平衡検出器を検出器19として採用することが望ましい。平衡検出器を用いる場合、光断層像撮影装置1は、複数の受光素子からの干渉信号の差分を得て、干渉信号に含まれる不要なノイズを削減することができる。その結果、断層画像の品質が向上する。
なお、測定部10は、測定光と参照光の光路長差を変更する光路長変更ユニット20を有する。本実施形態の光路長変更ユニット20は、参照光学系15が備える光学部材(例えば、参照ミラー)と、駆動部とを含む。参照ミラーは、参照光の光路中に配置され、駆動部によって参照光の光軸方向に移動される。その結果として、測定光と参照光との光路長差が変更される。ただし、光路長差を変更するための光学部材は、測定光の光路中に配置されてもよい。この場合、光学部材が駆動部によって測定光の光軸方向に移動されることによって、光路長調節が行われる。なお、参照光学系15が透過光学系である場合は、少なくとも2本の光ファイバを接続することによって導光路を形成すると共に、2本の光ファイバの端部同士の間隔を変更することによって、光路長差を変更できる。2本の光ファイバの間には、少なくとも一本のファイバの端部と共に駆動されるフォーカシングレンズ、光路長補正用ガラス等が設けられてもよい。より詳細な構成については、特開2010−220774号公報等を参照されたい。
なお、光断層像撮影装置1は、測定光のフォーカス調整を行うための光学系等の種々の構成をさらに備えるが、これらの詳細な説明は省略する。
制御部30は、CPU(プロセッサ)31、RAM32、ROM33、および不揮発性メモリ34等を備える。CPU31は、光断層像撮影装置1、および周辺機器の制御を司る。RAM32は、各種情報を一時的に記憶する。ROM33には、各種プログラム、初期値等が記憶されている。不揮発性メモリ34は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、および、光断層像撮影装置1に着脱可能に装着されるUSBメモリ等を、不揮発性メモリ34として使用することができる。不揮発性メモリ34には、後述するメイン処理(図3参照)を制御するための撮影制御プログラムが記憶されている。また、不揮発性メモリ34には、撮影された断層画像等の各種情報が記憶される。
本実施形態では、測定部10に接続されたパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)が制御部30として用いられる。しかし、PCを用いずに、測定部10と制御部30を1つのデバイスに一体化させてもよい。また、制御部30は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。例えば、PCに設けられた第一制御部と、測定部10内に設けられた第二制御部とによって、光断層像撮影装置1の制御部30が構成されてもよい。この場合、例えば、PCの第一制御部は、PCに接続された操作部の操作に基づいて、撮影の開始および終了等を第二制御部に対して指示すればよい。第二制御部は、第一制御部からの指示に従って、測定光源11、エイミング光源12、ファイバ回転モータ18等の動作を制御すればよい。また、干渉信号に基づく画像の生成処理等は、第一制御部および第二制御部のいずれで行ってもよい。
制御部30には、表示部41、操作部42、および手術顕微鏡46等の周辺機器が電気的に接続される。表示部41には、後述する断層画像等が表示される。表示部41は、PCのディスプレイであってもよいし、光断層像撮影装置1専用のディスプレイであってもよい。複数のディスプレイが併用されてもよい。操作部42は、作業者による各種操作指示を認識するためのデバイスである。操作部42には、例えば、マウス、ジョイスティック、キーボード、タッチパネル等の少なくともいずれかを用いてもよい。
手術顕微鏡46は、被検体(本実施形態では被検眼E)の内部を、手術中、診断中、またはこれらの訓練中に拡大表示(本実施形態では撮影して拡大表示)する。作業者は、手術顕微鏡46を覗き込みながら手術、診断、またはこれらの訓練(本実施形態では、これらをまとめて「作業」という。)を行う。また、本実施形態では、制御部30は、手術顕微鏡46によって撮影された画像を取得し、表示部41に表示させることができる。作業中には、作業者の補助者等は、表示部41に表示された画像を確認することで、作業状況等を確認することができる。なお、手術顕微鏡46を用いずに本発明を実現することも可能である。例えば、被検体の内部の画像を撮影するための観察光学系を、測定部10に設けてもよい。この場合、作業者は、観察光学系によって撮影された画像を確認しながら作業を行うことができる。また、作業者が肉眼でプローブ2の先端部近傍を注視する場合でも、本発明は適用できる。
図2を参照して、プローブ2のニードル6における先端部の構造について詳細に説明する。ニードル6の先端部には、遮光部材61、外筒66、保持部68、および偏向部71等が設けられている。
遮光部材61は、ファイバ4の先端側の周囲(特に、保持部68および偏向部71の周囲)を囲む。本実施形態では、遮光部材61の形状は、略筒状である。遮光部材61は、測定光およびエイミング光を遮光する材質によって形成されている。遮光部材61のうち、軸線方向において偏向部71が位置する部位の近傍には、測定光およびエイミング光の走査方向(軸周りの方向)に所定の幅を有する切欠き62(又は、開口)が形成されている。偏向部71から照射された光は、切欠き62の内側の領域63(以下、「透過領域63」という。)では外部に透過されるが、切欠き62が形成されていない領域64(以下、「遮光領域64」という。)では遮光部材61によって遮光される。
本実施形態では、遮光部材61の内側の面には粗面加工が施されている。つまり、遮光部材61の内側の面には、微細な多数の凹凸が形成されている。この場合、遮光領域64では、遮光部材61の内側の面に照射された光が散乱する。従って、遮光部材61の内側が光を散乱させにくい場合(例えば、内側の面に鏡面加工が施されている場合)に比べて、遮光領域64で反射された反射光が偏向部71に戻らない可能性が低下する。つまり、鏡面加工等が施されている場合には、偏向部71とは異なる方向に光が反射すると、偏向部71には反射光は入射しない。反射光が散乱すると、反射光は偏向部71に戻りやすい。よって、光断層像撮影装置1は、測定光が遮光領域64に照射されていることを検出する場合に、遮光領域64で反射された反射光を用いてより確実な検出を行うことができる。
なお、本実施形態の透過領域63の形状は略矩形であるが、透過領域63の大きさ、形状、数等を変更できることは言うまでもない。また、透過領域63と遮光領域64を形成するための具体的な方法も変更できる。例えば、測定光およびエイミング光を透過する材質と、遮光する材質とを組み合わせて遮光部材61を製造することで、透過領域63と遮光領域64を形成してもよい。
外筒66は、測定光およびエイミング光を透過する材質によって形成されており、遮光部材61の外側を閉塞する。従って、外筒66は、血液、硝子体の組織等が内側に侵入することを防止しつつ、透過領域63の内側と外側との間における光の透過を許容する。なお、外筒66は遮光部材61の内側に位置してもよい。
保持部68は、外形略円柱状の部材であり、遮光部材61に対して固定されている。保持部68の軸心部分には、ファイバ4を回転可能な状態で挿通する挿通孔69が形成されている。保持部68は、遮光部材61に対するファイバ4の軸の位置を一定にした状態で、ファイバ4を回転可能に保持する。
偏向部71は、ファイバ4の先端部に設けられている。偏向部71は、ファイバ4の先端部から出射された光を偏向させる。偏向部71によって偏向された光は、透過領域63を通過したときに被検体の組織に照射される。なお、本実施形態において、偏向部71によって偏向された光は、所定の距離で集光される。偏向部71は、例えば、ボールレンズであってもよいし、プリズムであってもよい。また、偏向部71は、組織で反射された反射測定光を受光し、ファイバ4に入射させる。本実施形態の偏向部71は、ファイバ4の軸方向に対して約70度の角度で光を偏向させるが、偏向の角度は適宜変更できる。なお、ファイバ4のうち、保持部68よりも後端側の部分の外周には、ファイバ4のねじれ等を抑制するためのシャフト73が設けられている。
図3から図11を参照して、光断層像撮影装置1が実行するメイン処理について説明する。本実施形態の光断層像撮影装置1は、反射測定光と参照光の干渉光から干渉信号を取得する。取得した干渉信号を処理することで、組織の断層画像を取得する。本実施形態の光断層像撮影装置1は、被検体上の各位置において測定光が走査されるタイミングと、所期するタイミングとのズレによって生じる断層画像の劣化を抑制する制御を行う。
例えば、ファイバ4の回転速度は、例えば、シャフト73と遮光部材61、又はシャフト73と外筒66の摩擦抵抗等の影響によって不均一(ムラ)になってしまう場合がある。それにも拘わらず、所期する一定の回転速度でファイバ4が回転されているものとして干渉信号が処理されてしまうと、良好な画質の断層画像が得られない場合がある。例えば、ファイバ4の走査速度が不均一な場合に撮影された断層画像は、一定の回転速度でファイバ4が回転された場合の断層画像と比較して、画像の中で被検体の各部位の示される位置が変位してしまったり、画像の一部又は全部が幅広に或いは幅狭に形成されてしまったりする場合がある。これに対し、光断層像撮影装置1は、断層画像の画像情報に基づいて、走査速度の不均一性を補正する。また、例えば、回転動作に伴うファイバ4のねじれ等によって、所期する範囲からズレた範囲においてAスキャンの収集が行われてしまう場合が考えられる(詳細については後述する)。これに対し、本実施形態の光断層像撮影装置1は、断層画像の画像情報に基づいてAスキャンの収集範囲の位置ズレを補正する。
更に、本実施形態の光断層像撮影装置1は、装着部16に対するプローブ2の装着状態の検出結果(本実施形態では、センサからの信号)に基づき、断層画像を生成するための調節を行う。より詳細には、測定部10(つまり、干渉光学系)が制御される。例えば、装着部16に対し新たなプローブ2を装着した場合は、光断層像撮影装置1における測定光および参照光の光路長差が、プローブ2の製造誤差等に起因して以前とは変わってしまう場合がある。これに対し、本実施形態の光断層像撮影装置1は、新たなプローブ2の装着が検出される場合に、光路長調節ユニット20を駆動して、測定光および参照光の光路長差を調節する。本実施形態において、光断層像撮影装置1は、光路長差の調節を、新たに装着されるプローブ2に応じて行う。結果、プローブ2が交換された際に装置の設定を行う作業者の負担が低減される。
制御部30のCPU31は、光断層像撮影装置1の電源がオンとされると、不揮発性メモリ34に記憶された制御プログラムに従って、図3に示すメイン処理を実行する。メイン処理において、CPU31は、新たなプローブ2の装着が検出されたか否かを判定する(S1)。本実施形態では、プローブ2の着脱は開閉部17が開放されたときに行われることから、開閉部17が閉鎖されるときに(即ち、開放状態から閉鎖状態に切り替わるとき)に、新たなプローブ2が装着されたものとみなされる。プローブ2の装着状態を検出するために、開閉検出センサ17aから出力される信号が利用される。より具体的には、CPU31は、開閉部17が閉鎖されるときに開閉検出センサ17aから出力される閉鎖信号(例えば、信号電圧の立ち上がり又は立ち下り)を受信した場合に、新たなプローブ2が装着されたと判定する(S1:Yes)。一方、閉鎖信号を受信していなければ、CPU31は、新たなプローブ2は装着されていないと判定する(S1:No)。その後、S3以下の処理が行われる。
S1の処理において、新たなプローブ2が装着されたと判定される場合(S1:Yes)、CPU31は、光路長調節処理(S2)を実行する。光路長調節処理(S2)では、新たなプローブ2の装着が検出された後に、光路長変更ユニット20を駆動することによって、測定光と参照光との光路長差が補正される。本実施形態の光路長調節処理(S2)は、光路長差の補正を、検出器19から出力される信号に基づいて行う。
図4を参照して、本実施形態における光路長調節処理(S2)の詳細を説明する。初めに、CPU31は、操作部42への操作に基づく撮影に関する動作の実行を、光路長の調節が完了するまでの間禁止する(S11)。撮影に関する動作命令が、光路長の調節と並行して実行されることで、不正常な動作が生じることを予防するためである。但し、撮影に関係しない動作(例えば、被検眼情報の入力等)は、光路長調節が行われている間にバックグラウンドで行われてもよい。また、CPU31は、表示部41にて光路長の調節中である旨を表示させる(S12)。この表示は、光路長の調節が完了するまでの間行われる。
次に、CPU31は、光路長変更ユニット20を制御することによって、参照光学系15が備える参照ミラーを初期位置に移動させる(S13)。例えば、本実施形態では、参照ミラーの可動範囲にて、参照光の光路長を最短にするときの位置を初期位置とする。詳細は後述するが、本実施形態の光断層像撮影装置1は、参照ミラーを初期位置から参照光の光路長を長くする方向に移動させながら光路長差を調節する。勿論、参照光が長い光路長となる初期位置に参照ミラーを置き、参照ミラーを初期位置から参照光の光路長を短くする方向に移動させながら光路長差を調節してもよい。
S13の処理の実行後、測定光源11の発光が開始されると共に、ファイバ回転モータ17による測定光の走査が開始される(S14)。なお、本実施形態においては、遮光部材61の反射測定光による干渉信号を検出できればよいため、必ずしも測定光が走査される必要はない。また、干渉信号の取得と、断層画像の生成とが開始される(S15)。ここで、CPU31は、干渉光を検出する検出器19からの信号を受信することで、干渉信号を取得する。また、CPU31は、取得した干渉信号を処理することで断層画像100(Bスキャン画像)を生成する(図5参照)。なお、図5に示す断層画像は、実像である。被検体の組織に測定光が照射される場合、断層画像100には、少なくとも遮光部材61の干渉像101が含まれ得る。遮光部材61の干渉像101は、遮光部材61の遮光領域64で反射された測定光(反射測定光)に基づいて形成される。なお、本実施形態の光断層像撮影装置1は、偏向部71との距離が離れたものほど画像の下部に示されるように、断層画像100を生成する。
次に、断層画像100を解析し、断層画像100にて領域102に、遮光部材61の干渉像101が含まれているか否かを判定する(S16)。領域102は、遮光部材61の干渉像101を検出するために使用される。本実施形態において、領域102は、断層画像100にて遮光部材61を示す干渉像101の目標位置(つまり、高さ方向の目標位置)を示す。本実施形態において、目標位置は、予め設定されたものとして説明する。領域102は、断層画像100において高さ方向(深さ方向)に所定の幅を持つ。図5の例において、領域102は、断層画像100のうち、高さd1からd2までの範囲を占める。領域102の幅は、干渉像101の幅に対して十分大きな値に設定される。本実施形態において、領域102は、断層画像100の上側に設定される。なお、参照ミラーがS13の処理によって初期位置に配置された直後に取得される断層画像100では、干渉像101は領域102に対して下方に十分間隔を開けた位置に示される。
本実施形態において、光路長調整は、干渉像101が所定の目標位置(本実施形態では、領域102内の位置)に配置されるように光路長差が調整された場合に終了する。領域102内に干渉像101が含まれていると判定される場合に(S16:Yes)、CPU31は、測定光源11の発光、および走査を停止する(S20)。また、CPU31は、S15の処理によって開始された干渉信号の取得と、断層画像の生成動作とを停止する(S21)。また、S11の処理によって禁止されていた撮影に関する動作の実行を許可する(S22)。更に、CPU31は、光路長調節中である旨の表示を終了する(S23)。なお、このとき、CPU31は、調整が終了した旨を、表示および音声出力のいずれかによって作業者等に報知してもよい。S23の実行後、光路長調整処理は終了する。その後、処理は、メイン処理に移行される。
一方、S16の処理において、領域102に干渉像101は含まれていないと判定された場合(S16:No)、CPU31は、光路長変更ユニット20を駆動して、参照光学系の光路長が長くなる方向に参照ミラーを所定量移動させる(S17)。その結果、干渉像101の位置がより上方に変位した断層画像100が撮影されるようになる(例えば、図5(a)→図5(b))。
本実施形態において、CPU31は、領域102に干渉像101が含まれるまで、S16の判定処理と、参照ミラーの移動処理とを繰り返し行う(S16,S17)。本実施形態では、以上のようにして、遮光部材61を示す干渉像101が一定の位置(本実施形態では、領域102内の位置)に示されるように光路長変更ユニット20が制御される。
ここで、S17の処理の後に、CPU31は、参照ミラーが移動制限を超えたか否かを判定する(S18)。移動制限は、例えば、プローブ2による測定光の光路長の誤差を考慮して設定される。通常は、移動制限を超える前に領域102に干渉像が含まれる。よって、通常、S18の判定処理は否定され(S18:No)、S16の処理に戻って処理が続行される。しかし、不正常な状態で装置が動作していると、移動制限を超えても領域102に干渉像101が含まれるとの判定(S16:Yes)がなされない場合が想定される。例えば、そもそも干渉像102が画像として得られない場合に、移動制限を超えてしまうことが考えられる。具体的には、光路長調節ユニット20による光路長の調節範囲に対してファイバ4の長さの誤差が大きい場合、装着部16に対してプローブ2が適正に装着されていない場合、プローブ2の動作不良が生じている場合等が、例示される。本実施形態では、参照ミラーが移動制限を超える場合に(S18:Yes)、エラー処理(S19)が行われる。エラー処理(S19)は、表示部41による表示またはスピーカ43による音声出力等によって、光路長が適正に調節できなかった旨を作業者等に報知する。例えば、「プローブが正しく装着されているか確認を行って下さい」等のエラーへの対処を促すメッセージが、エラー処理において表示等されてもよい。エラー処理(S19)の実行後は、S20〜S23の処理が実行される。その後は、メイン処理に戻って処理が続行される。
図3に戻って、メイン処理の説明を続ける。S3の処理では、撮影が開始されるか否かが判定される。本実施形態では、CPU31における撮影開始信号の受信状況に応じて、S3の判定がなされる。なお、撮影開始信号は、例えば、操作部42への操作に基づいて出力される。作業者は、例えば、プローブ2を被検体(本実施形態では、被検眼E)の内部に挿入した後、操作部4に対して撮影開始のための操作を入力する。CPU31が撮影開始信号を受信している場合、撮影開始の判定は肯定される(S3:Yes)。一方、撮影開始信号がCPU31によって受信されていない場合、撮影開始の判定は否定される(S3:No)。この場合、CPU31は、S1に戻って処理を続ける。
S3の判定が肯定されると(S3:Yes)、測定光源11およびエイミング光源12の発光が開始されると共に、測定光の走査が開始される(S4)。その後、CPU31は、S5〜S8の処理を実行することで、検体上の各位置において測定光が走査されるタイミングと所期するタイミングとのズレによる影響が抑制された断層画像を逐次生成する。
S5の処理では、干渉信号を取得し、干渉信号を処理することで、断層画像200(Bスキャン画像、図6(a)参照)が生成される。断層画像200には、被検体の干渉像201と、遮光部材61の干渉像202とが含まれ得る。図5と同様、干渉像202は、遮光部材61の遮光領域64で反射された測定光(反射測定光)に基づいて形成される。被検体の干渉像201は、透過領域63を透過し、被検体によって反射された測定光に基づいて形成される。
本実施形態において、断層画像200は、所定時間毎に収集したAスキャンを一定間隔で並べ、反射強度毎に濃淡をつける等の画像処理が行われることによって生成される。また、1枚の断層画像に用いるAスキャンの収集期間は、ファイバ4の後端部が一回転する毎に出力される回転検出センサ18aからの信号に基づいてCPU31が設定する。例えば、回転検出センサ18aからの信号がCPU31によって受信されるタイミングで、1枚の断層画像に使用する複数のAスキャンの収集が開始されたり、終了されたりしてもよい。また、回転検出センサ18aからの信号が受信されるタイミングから遅れたタイミングで、1枚の断層画像に使用する複数のAスキャンの収集が開始されたり、終了されたりしてもよい。
断層画像200は、被検体上の各位置において測定光が走査されるタイミングが所期するタイミングよりも速く、又は遅く行われてしまうことによって、干渉像201の位置が所期する位置から変位している可能性がある。例えば、図7(a)にて、所期する収集範囲αにおいてAスキャンが収集される場合、図7(b)に示す断層画像200が生成される。一方、ファイバ4のねじれ等によって、Aスキャンの収集範囲が、範囲βにズレてしまった場合は(図8(a)参照)、収集範囲βにおけるAスキャンによって生成した断層画像200(図8(b)参照)では、被検体の干渉像201の位置が、図7(a)に示す断層画像200対してズレてしまう。また、被検体上の各位置において測定光が走査されるタイミングが、所期するタイミングよりも速く、又は遅く行われてしまうことによって、干渉像201が幅広に或いは幅狭に形成されている恐れがある。
これに対し、本実施形態の光断層像撮影装置1は、走査速度・位置ズレ補正処理(S6)を実行することによって、断層画像の劣化を抑制する。走査速度・位置ズレ補正処理(S6)は、被検体上の各位置において測定光が走査されるタイミングと、所期する走査のタイミングとのズレによる影響を、S5の処理によって得られる断層画像200の画像情報を用いて補正する。ここで、図9を参照して、走査速度・位置ズレ補正処理の詳細を説明する。
図9に示すように、走査速度・位置ズレ補正処理(S6)では、初めに、遮光部材61の干渉像202における透過領域63と遮光領域64との境界が、断層画像200から検出される(S31)。本実施形態では、干渉像202を含む二次元的な領域203の画像情報を利用して境界を検出する。本実施形態では、領域203に含まれる画素の輝度情報および輝度情報の解析結果が利用される場合について説明する。但し、これ以外の画像情報を利用して干渉像202の検出が行われてもよい。
本実施形態において、領域203は、横長の帯状に示されており、断層画像200における遮光部材61の位置を囲む。なお、本実施形態において、領域203は、光路長調節処理(S2)によって光路長差が調節された場合に遮光部材61の干渉像202が示される位置の周囲に設定される。干渉像が高輝度の画素で示される場合、領域203における輝度毎の画素の分布は、例えば、高輝度側にピークを持つ(図10参照)。本実施形態では、分布における最大の輝度を基準に、透過領域63と遮光領域64とを区別するための輝度のしきい値が設定される。例えば、図10の例では、領域203内の画素における最大の輝度値に対し、20%の輝度値がしきい値として利用される。但し、透過領域63と遮光領域64とを区別するための方法は、上記の手法に限定されるものではない。例えば、図6(a)に示す干渉像202のフィッティング曲線(例えば、包絡線)を用いた画像処理によって、透過領域63と遮光領域64とが区別されてもよい。このように、本実施形態では、透過領域63と遮光領域64との境界部分が、断層画像200の画像情報を用いて検出される。
一方、検出器19から出力される干渉信号に対して信号処理を行うことによって、透過領域63と遮光領域64と境界を検出することも考えられる。しかし、干渉信号の信号処理によって透過領域63と遮光領域64との境界を検出することは容易ではない。これに対し、画像情報を用いた場合には、ノイズとノイズではない部分とを、より安定して区別できる。例えば、画像情報を利用することによって、画素の連結性を調べることができる。透過領域63および遮光領域64はいずれも測定光の走査方向(本実施形態では、ファイバ4の円周方向)に沿って連続した領域なので、連続性の無い(又は、少ない)領域はノイズとして認識される。また、本実施形態では、遮光部材61の干渉像202の一部又は全部を含む二次元的な領域203の輝度分布を用いて処理が行われるので、透過領域63と遮光領域64とが適正に区別される。
S32の処理では、補正前の断層画像200に対して、透過領域63と遮光領域64との境界部分の情報を用いて、走査速度の不均一性が補正される。より詳細には、透過領域63の両端が所期する幅(例えば、一定の幅)となるように断層画像200における横方向の縮尺が変更される(図6(a)→図6(b))ことによって、縮尺変更画像210が得られる。所期する幅は、例えば、予め定められた値であってもよいし、あるタイミングで取得された断層画像200を基準とした幅であってもよい。本実施形態の光断層像撮影装置1は、断層画像200の横方向の縮尺が変更されることによって、被検体上における測定光の走査速度の不均一性を補正する。また、透過領域63を介して撮影された範囲を縮尺変更画像210から抽出することによって、断層画像220には、被検体の干渉像201が一定の位置で表される。その結果、Aスキャンの収集範囲の位置ズレが補正される。走査速度の不均一性を補正する処理とAスキャンの収集範囲の位置ズレを補正する処理との順序は、適宜入れ替えることができる。
なお、図7(a)に示すように、本実施形態では、1枚の断層画像200は、偏向部71の1周に満たない収集範囲Aで得られるAスキャンを使用して生成される場合を説明したが、偏向部71の略1周分のAスキャンを使用して断層画像200が生成されてもよい(図11(a)参照)。この場合、透過領域63の途中からAスキャンの収集が開始されると、図11(b)に示すように、断層画像200の両端に、見切れた状態の干渉像201が示されてしまう場合がある。このような場合において、CPU31は、透過領域63を介して撮影された範囲を特定すると共に、断層画像200の両端で干渉像201が接合された補正画像230を生成することによって、Aスキャンの収集範囲の位置ズレを補正してもよい。なお、Aスキャンの収集開始と、終了とで、プローブ2の先端と被検体との位置関係が変化している場合が考えられる。この場合において、両端の干渉像201の高さ方向および横方向のいずれかの位置ずれが補正されたうえで補正画像230を生成する画像処理が行われてもよい。
なお、本実施形態において、走査速度の不均一性、および走査位置のズレが調べられる画像と、走査速度の不均一性、および走査位置のズレが補正される画像とは、同一の断層画像200(同一のタイミングで撮影された画像)であるが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第一のタイミングで撮影された第一断層画像から走査速度の不均一性等を調べると共に、第一のタイミングよりも後の第二のタイミングで撮影された断層画像に対し、第一断層画像における走査速度の不均一性、および走査位置のズレに関する情報を用いて補正を行ってもよい。
S31の処理によって補正断層画像220が生成された後、CPU31は、メイン処理に戻って、S7の処理を行う。
図9に戻ってメイン処理の説明を続ける。S7の処理では、走査速度・位置ズレ補正処理(S6)の結果として得られた補正断層画像220が、表示部41に表示される。また、不揮発性メモリ34に記憶される。
次に、撮影終了の指示をCPU31が受信したか否かが判定される(S8)。撮影終了の指示が受信されていなければ(S8:No)、S5に戻って断層画像の生成および表示等を繰り返し実行する。結果、本実施形態では、リアルタイムに撮影される断層画像が表示部41に表示される。表示部41の画面上の断層画像が表示される領域では、被検体の干渉像201が、一定の位置に、一定の範囲で示される。その結果、例えば、検者は、表示部41の表示によって被検体の断層を良好に観察できる。
一方、撮影停止の指示が受信されていれば(S8:Yes)、測定光源11およびエイミング光源12の発光が停止される(S9)。また、処理は、S3の判定処理に戻される。よって、再度撮影開始の指示が受信されるまで(S3:Yes)、断層画像の撮影は停止される。なお、メイン処理は、電源がオフされることによって、終了する。
以上、実施形態に基づいて発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく様々に変形して実施できる。
例えば、上記実施形態では、被検体上の各位置において測定光が走査されるタイミングと所期するタイミングとのズレによる影響の補正は、断層画像200を変形する画像処理によって行われる場合について説明した。しかし、補正は、画像処理以外の手法で行われてもよい。例えば、各々の断層画像に用いるAスキャンの収集開始および終了のタイミングを変更する制御によって補正が行われてもよい。例えば、上記実施形態に適用する場合は、回転検出センサ18aからファイバ4の1回転毎に出力される信号の出力(又は受信)タイミングに対して、1枚の断層画像200に使用されるAスキャンの収集開始および終了のタイミングを変更してもよい。この場合、例えば、CPU31は、直前に取得した断層画像200を解析することによって、回転検出センサ18aの出力タイミングに対する実際のAスキャンの収集開始のタイミングの誤差情報を取得する。更に、CPU31は、所期するタイミングでAスキャンの収集が行われるように、収集開始および終了のタイミングを、回転検出センサ18aの出力タイミングに対して誤差情報に基づいて遅延させる。その結果、以降に取得される断層画像200において、Aスキャンの収集範囲の位置ズレが補正される。この補正方法は、断層画像200において、干渉像201が見切れてしまう場合(例えば、断層画像200の左右の端部に干渉像202が形成されていない場合、図11(b)参照)に、特に有効である。勿論、画像処理による位置ズレ補正と、Aスキャンの収集開始および終了のタイミングを変更する制御による位置ズレ補正とを組み合わせて補正が行われてもよい。
また、例えば、断層画像200の解析結果に基づいてファイバ回転モータ17の回転速度を制御することによって補正が行われてもよい。
また、上記実施形態では、プローブ2が備えるニードル6の先端部付近に、プローブの外筒66とは別体で遮光部材61を設け、遮光部材61の干渉像を利用することによって、被検体上の各位置において測定光が走査されるタイミングと所期するタイミングとのズレによる影響が補正される場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、遮光部材をプローブの外筒が兼ねる場合、光断層像撮影装置は、制御部30において外筒の干渉像を取得し、外筒の干渉像を用いて補正を行う構成であってもよい。この場合、外筒には、透過領域と遮光領域とが形成されてもよい。
また、上記実施形態において、プローブ2は、プローブ本体3とファイバ4とを含み、装着部16に対するプローブ2の装着は、ファイバ4の後端が装着部16に装着されることによって行われる。但し、ファイバ4とプローブ本体3とが着脱可能な構成においては、ファイバ4の装着部(例えば、先端部)にプローブ本体3を装着することによって、装着部に対するプローブ2の装着が実現されてもよい。この場合、プローブの装着状態を検出するセンサは、ファイバ4側に設けられてもよいし、プローブ本体3側に設けられてもよい。また、センサからの信号は、無線および有線のいずれによって制御部30に入力されてもよい。
また、上記実施形態では、装着部16に対するプローブ2の装着が検出された場合に、断層画像を生成するための調節として干渉光学系(つまり測定部10)が制御されてもよいし、断層画像を生成するための画像処理で使用する情報の取得が行われてもよい。干渉光学系の制御としては、上記実施形態にて示した測定光と参照光との光路長差の調節の他、例えば、測定光学系または参照光学系15の少なくとも一方に設けられたポラライザの制御であってもよい。例えば、CPU31は、検出器19からの出力信号に基づいてポラライザを駆動させることによって、より感度の高い断層画像が光断層像撮影装置1によって撮像される。なお、ポラライザの制御についての詳細は、一例として、特開2013−76587号公報を参照されたい。また、例えば、プローブ2が交換される場合は、検査される被検体も以前とは変わっている可能性がある。これに対し、例えば、測定光の光量、検出器19のゲイン等を、一定の値にリセットする処理が、新たなプローブ2の装着が検出された場合に行われる構成であってもよい。このように、装着部16に対するプローブ2の装着状態を示す信号に基づいて干渉光学系が制御されることによって、検者の負担は低減される。
一方、断層画像を生成するための画像処理で使用する情報としては、例えば、干渉信号の分散補正に使用される分散補正情報、検出器19から出力される干渉信号の位相ずれ情報等が例示される。
分散(dispersion)補正について説明する。分散による影響は、干渉成分の位相をシフトさせ、各波長の合波信号のピークを下げ、信号に拡がりを持たせる(解像度が下がる)。そこで、分散補正では、波長毎にシフトした位相を戻してやることで、干渉信号の低下による解像度の低下を補正する。この場合、波数kの関数としての位相ずれ量φ(k)を求めておき、I(k)・exp-iφ(k)によってkの値毎に位相のずれを戻す。ここで、分散補正すべき位相φ(k)は、キャリブレーションによって予め求めることもできるし、取得された断層画像に対応する位相φ(k)を求めるようにしてもよい。なお、上記のようにソフトウェアによって分散補正を行う手法の詳細については、米国特許第6980299号公報、特表2008−501118号公報、等を参考にされたい。
また、SS−OCTでは、高速に波長を変化させて光源から光を出射させるため、波長可変光源から光を出射させるためのトリガ信号の出力と、光の出射タイミングとのずれ(揺らぎ)が生じる。結果、干渉信号に位相ずれが生じ、断層画像にノイズが残存する。これに対し、干渉信号の位相ずれを情報を演算処理によって求めるようにしてもよい。この処理の詳細は、一例として、特開2013−156229号公報を参照されたい。
また、上記実施形態において、測定光と参照光との光路長差の調節は、検出器19からの信号に基づいて行われる場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、光路長差の調節は、装着部16に新たなプローブ2が装着された場合における測定光の光路長に関する長さ情報に基づいて行われてもよい。長さ情報としては、ファイバ4の長さ情報(例えば、ファイバ4実測値、実際の長さの誤差の値等)であってもよいし、ファイバ4の長さに加えて、測定部10の測定光の光路長を加味した情報であってもよい。長さ情報は、例えば、操作部42に対して検者等により直接入力されることで、CPU31により取得されてもよい。また、例えば、それぞれのプローブ固有の情報記憶媒体(例えば、バーコード、RFID等)から、光断層像撮像装置1に接続されるリーダで情報が読み取られることによって、CPU31により取得されてもよい。この場合においても、光断層像撮影装置1は、装着部16に装着されるプローブ2に応じて装置の光路長を調節できる。
また、光断層像撮影装置1が、撮影中の被検体に関する情報(例えば、被験者又は作業者のID、撮影日時情報、眼の左右識別情報等)を管理している場合、いずれかの情報を、新たなプローブ2の装着が検出された際にリセットする構成であってもよい。
また、上記実施形態では、開閉部17が閉鎖されるときに、新たなプローブ2が装着部16に装着されるものとして、CPU31が光路長の調節を行う場合について説明した。つまり、上記実施形態では、開閉部17の開閉状態を検出する開閉センサ17aが、装着部16に対するプローブ2の装着状態の検出に利用される。しかし、必ずしもこの構成に限定されるものではない。例えば、センサからの信号を用いてプローブ2の装着状態が検出される場合、開閉センサ17の他、装着部16に装着されるファイバ4の後端部を検出するセンサ等、装着部16、又はその近傍に設けられたセンサによって、プローブ2の装着状態が検出されてもよい。また、操作部42に対して入力される撮影開始の操作が、電源投入後はじめて検出された場合に、新たなプローブ2が装着されているものとみなして干渉光学系の制御を行う構成であってもよい。また、検出器19からの信号に基づいて装着部16に対するプローブ2の装着状態が検出されてもよい。例えば、遮光部材61等からの反射測定光と参照光とに基づく干渉信号が検出器19にて検出される場合に、検出器19からの信号を取得するCPU31によってプローブ2の装着が検出されてもよい。
また、上記実施形態では、断層画像100に含まれる遮光部材61の干渉像101を用いて測定光と参照光の光路長差を調節する場合について説明した。しかし、光路長差の調節は、遮光部材61に関する検出器19からの信号に基づいて行われればよく、必ずしも信号に基づいて画像化された干渉像101を利用しなくてもよい。例えば、遮光部材61に関する検出器19からの信号を処理することによって、CPU31が光路長差の調節に必要な情報を取得すると共に、その情報に基づいて光路長差を調節する構成であってもよい。より具体的には、検出器19からの信号に対しフーリエ変換を行って得られた情報(例えば、高さ毎の干渉信号の強度分布110、図2参照)に基づいて光路長差の調節が行われてもよい。この場合、所定の周波数帯域に信号強度のピークが位置するように、CPU31によって光路長差が調節されてもよい。
また、測定光と参照光の光路長差を干渉信号(又は干渉信号に基づく干渉像)に基づいて調節する場合、必ずしも遮光部材61の情報が利用される必要はない。例えば、測定光の光路上に存在する部材による干渉信号(又は干渉信号に基づく干渉像)が利用されてもよい。具体例としては、偏向部71の端部による干渉信号又は干渉像が挙げられる。
また、上記実施形態では、断層画像100における領域102の位置を固定し、参照ミラーを少しずつ移動させることによって、最終的に領域102内に遮光部材61の干渉像101が含まれるように測定光と参照光との光路長差を調節する場合について説明した。しかし、断層画像100における干渉像101の高さ方向の位置を、画像処理で検出し、検出された位置に応じた移動量で参照ミラーを移動させることによって、測定光と参照光との光路長差を調節してもよい。また、この方法と、上記実施形態の方法とを組み合わせて光路長差が調節されてもよい。例えば、断層画像100における干渉像101の高さ方向の位置の検出結果に基づいて、光路長を粗く調節した後、領域102に干渉像101が含まれるまで、光路長の微調整が行われる構成であってもよい。
また、上記実施形態において、領域102は予め定められた目標位置に設定される場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、目標位置は、変更できてもよい。例えば、作業者の所望の位置に目標位置が設定されてもよいし、観察・撮影を行うときに作業者が所望する被検体とプローブ2との間隔に応じて目標位置が設定されてもよいし、偏向部71で偏向された測定光の焦点位置に応じて目標位置が設定されてもよい。被検体とニードル6とをより離して観察・撮影を行いたい場合、および偏向部71で偏向された測定光の焦点位置がニードル6からより離れている場合は、目標位置が断層画像100のより上方に設定されるとよい。この場合、作業者が所望する間隔、又は、測定光の焦点付近で撮影される被検体の干渉像(例えば、干渉像201)が、画像の真ん中に位置するように設定されることが好ましい。
また、上記実施形態においてプローブ2の偏向部71は、ファイバ4と共に回転する構成として説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、より詳細には、偏向部71として、ガルバノミラーおよびAOM(音響光学素子)等、一定の範囲でレーザ光を揺動させる構成が使用されてもよい。