本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を示すシステム模式構成図である。図2は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置において、コイルユニットを受電コイルとともに示す断面図である。なお、本発明に係るコイルユニットは、ワイヤレス電力伝送装置におけるワイヤレス送電装置あるいはワイヤレス受電装置のいずれにも適用可能であるが、ここでは、本発明に係るコイルユニットをワイヤレス送電装置に適用した例を用いて説明する。
ワイヤレス電力伝送装置S1は、図1に示されるように、ワイヤレス送電装置Ut1と、ワイヤレス受電装置Ur1と、を有する。
ワイヤレス送電装置Ut1は、第1の電源PW1と、第2の電源PW2と、第1のインバータINV1と、第2のインバータINV2と、コイルユニットLtu1と、を有する。ワイヤレス受電装置Ur1は、受電コイルLrと、共振キャパシタCrと、整流回路DBと、負荷Rと、を有する。ワイヤレス電力伝送装置S1は、ワイヤレス送電装置Ut1のコイルユニットLtu1とワイヤレス受電装置Ur1の受電コイルLrが対向することにより、ワイヤレス送電装置Ut1からワイヤレス受電装置Ur1にワイヤレスにて電力が伝送される。
まず、ワイヤレス送電装置Ut1について説明する。第1の電源PW1は、直流電力を後述する第1のインバータINV1に供給する。第1の電源PW1としては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、あるいはスイッチングコンバータ等のスイッチング電源装置などが挙げられる。
第2の電源PW2は、直流電力を後述する第2のインバータINV2に供給する。第2の電源PW2としては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、あるいはスイッチングコンバータ等のスイッチング電源装置などが挙げられる。
第1のインバータINV1は、第1の電源PW1から供給される入力直流電力を交流電力に変換する機能を有している。第1のインバータINV1としては、複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このスイッチング回路を構成するスイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)やIBGT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの素子が挙げられる。第1のインバータINV1は、第1の電源PW1から供給される入力直流電力を交流電力に変換し、後述するコイルユニットLtu1の第1のコイルLtr1に供給する。なお、第1のインバータINV1と第1のコイルLtr1の間には、回路の力率を向上させるためのキャパシタ(図示しない)が挿入されてもよい。
第2のインバータINV2は、第2の電源PW2から供給される入力直流電力を交流電力に変換する機能を有している。第2のインバータINV2としては、複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このスイッチング回路を構成するスイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)やIBGT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの素子が挙げられる。第2のインバータINV2は、第2の電源PW2から供給される入力直流電力を交流電力に変換し、後述するコイルユニットLtu1の補助コイルLnに供給する。なお、第2のインバータINV1と補助コイルLnの間には、回路の力率を向上させるためのキャパシタ(図示しない)が挿入されてもよい。ここで、第2のインバータINV2は、第1のインバータINV1から出力される交流電流の周波数と同じ周波数の交流電流が出力される。但し、第2のインバータINV2は、第1のインバータINV1から出力される交流電流の電流位相と90度ずれた電流位相の交流電流が出力される。
コイルユニットLtu1は、図1および図2に示されるように、第1のコイルLtr1と、補助コイルLnと、電磁遮蔽板Sと、第1の磁性コアFtと、第2の磁性コアFnと、を有する。なお、第1のコイルLtr1と、補助コイルLnと、電磁遮蔽板Sは、コイルユニットLtu1と後述する受電コイルLrとの対向方向と直交する方向から見て、後述する受電コイルLrに近い側から、第1のコイルLtr1、電磁遮蔽板S、補助コイルLnの順で配置されている。すなわち、補助コイルLnが後述する受電コイルLrと最も離れた位置に配置されることとなる。このコイルユニットLtu1は、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、地中または地面近傍に配設されることとなる。
第1のコイルLtr1は、電磁共鳴によって後述する受電コイルLrへワイヤレスで電力を送電する機能を有する。すなわち、第1のコイルLtr1が送電コイルとして機能することとなる。本実施形態においては、第1のコイルLtr1は互いに電気的に接続された第1の巻線LtrAおよび第2の巻線LtrBを含む。第1および第2の巻線LtrA,LtrBは、コイルユニットLtu1と後述する受電コイルLrとの対向方向と直交する方向に並置された平面状のスパイラル構造のコイルであり、銅やアルミニウム等のリッツ線を巻回して形成されている。第1および第2の巻線LtrA,LtrBの巻数は、コイルユニットLtu1と後述する受電コイルLrとの間の離間距離や所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。なお、第1の巻線LtrAの巻回方向と第2の巻線LtrBの巻回方向は互いに逆向きとなっており、第1および第2の巻線LtrA,LtrBの軸方向は、共にコイルユニットLtu1と後述する受電コイルLrとの対向方向と平行となっている。すなわち、第1のコイルLtr1に電流が流れたとき、第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBは、互いに逆位相の磁界を発生することとなる。そのため、互いに逆位相の磁界を発生する第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBにより、第1のコイルLtr1が発生する漏洩磁界を低減することができる。
補助コイルLnは、第2のインバータINV2と電気的に接続されている。すなわち、補助コイルLnには、第1のコイルLtr1に流れる電流の位相と90度ずれた位相の電流が流れる。補助コイルLnは、ソレノイド構造のコイルであり、銅やアルミニウム等のリッツ線を螺旋状に巻回して形成されている。補助コイルLnの軸方向は、後述する受電コイルLrの軸方向と略一致しており、本実施形態においては、補助コイルLnの軸方向は、コイルユニットLtu1と後述する受電コイルLrとの対向方向と直交する方向であって、補助コイルLnの軸方向は、第1のコイルLtr1の第1および第2の巻線LtrA,LtrBの軸方向と直交する方向である。さらに、補助コイルLnは、補助コイルLnが発生する磁界が、後述する受電コイルLrが発生する磁界とは逆位相となるように巻線が巻回されている。またさらには、補助コイルLnの巻数は、コイルユニットLtu1と後述する受電コイルLrとの間の離間距離や所望の漏洩磁界低減効果などに基づいて適宜設定される。
電磁遮蔽板Sは、第1のコイルLtr1と補助コイルLnとの間であって、補助コイルLnの軸方向に沿って配置される。具体的には、電磁遮蔽板Sは、後術する第1の磁性コアFtと補助コイルLnの間に配置される。この電磁遮蔽板Sは、第1のコイルLtr1と補助コイルLnの不要な磁気結合を抑制するシールド材として機能する。言い換えれば、電磁遮蔽板Sは、誘導電流、渦電流などにより磁界を打消して磁束の通過を抑制するシールド材として機能する。これにより、第1のコイルLtr1と補助コイルLnとの間の不要な電磁的干渉を低減することができる。このような電磁遮蔽板Sとしては、表面が電磁シールド材として機能する非磁性の導体であれば特に制限されず、銅やアルミニウム、あるいは表面に亜鉛メッキを施した鋼板等が挙げられる。
第1の磁性コアFtは、フェライト等の磁性体により構成され、板状の両端に突起部を有する略U字形状を呈しており、一方の突起部が第1のコイルLtr1の第1の巻線LtrAの軸を貫通し、他方の突起部が第1のコイルLtr1の第2の巻線LtrBの軸を貫通するように配置されている。つまり、第1の磁性コアFtは、第1のコイルLtr1の第1および第2の巻線LtrA,LtrBのコアとして機能する。そのため、第1の磁性コアFtによって、ワイヤレス電力伝送のための磁束を効率良く発生させることができる。
第2の磁性コアFnは、板状または棒状のフェライト等の磁性体により構成され、補助コイルLnの軸を貫通するように配置されている。つまり、第2の磁性コアFnは、補助コイルLnのコアとして機能する。そのため、補助コイルLnによって、後述する受電コイルLrが発生する漏洩磁界を低減するための磁束を効率良く発生させることができる。
続いて、ワイヤレス受電装置Ur1の構成について説明する。なお、本実施形態において、電磁共鳴によって第1のコイルとの間で電力の送受電が行われる他のコイルとは、受電コイルLrのことを意味する。受電コイルLrは、ソレノイド構造のコイルであり、銅やアルミニウム等のリッツ線から構成される巻線Wrを第3の磁性コアFrに螺旋状に巻回して形成されている。受電コイルLrの軸方向は、コイルユニットLtu1と受電コイルLrとの対向方向に対して直交する方向である。受電コイルLrの巻数は、コイルユニットLtu1と受電コイルLrとの間の離間距離や所望の電力伝送効率などに基づいて適宜設定される。このように構成される受電コイルLrは、第1のコイルLtr1から送電された交流電力を受電する機能を有している。また、受電コイルLrは、後述する整流回路DBに電気的に接続されている。なお、受電コイルLrは、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、車両下部に搭載されることとなる。ここで、第3の磁性コアFrは、板状または棒状のフェライト等の磁性体により構成され、受電コイルLrの軸を貫通するように配置されている。つまり、第3の磁性コアFrは、受電コイルLrのコアとして機能する。そのため、第1のコイルLtr1が発生する磁束が選択的に第3の磁性コアFrを通過する磁路を形成することから、受電コイルLrに鎖交する磁束が増加し、電力伝送効率を向上させることができる。
共振キャパシタCrは、受電コイルLrと後述する整流回路DBの間に挿入されている。共振キャパシタCrの静電容量は、受電コイルLrのインピーダンスに対して、第1のインバータINV1から供給される電流の周波数で共振するように設定される。これにより、受電コイルLrが電磁共鳴によって第1のコイルLtr1との間でワイヤレスにて電力の伝送が行われる。本実施形態では、共振キャパシタCrは受電コイルLrと並列に接続されているが、共振キャパシタCrは、受電コイルLrと直列に接続されてもよい。いずれの場合においても、受電コイルLrのインピーダンスに対して、第1のインバータINV1から供給される電流の周波数で共振するように共振キャパシタCrの静電容量が設定されていればよい。
整流回路DBは、受電コイルLrが受電した交流電力を直流電力に整流する機能を有している。整流回路DBとしては、ダイオードブリッジを用いた全波整流機能と、コンデンサおよび三端子レギュレータを用いた電力平滑化機能を備えた変換回路などが挙げられる。この整流回路DBにより整流された直流電力は、負荷Rに出力される。ここで、負荷Rとしては、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1を電気自動車などの車両への給電設備に適用した場合、車両が有する二次電池が挙げられる。
続いて、図3を参照して、本実施形態における第1のコイルLtr1、補助コイルLn、受電コイルLrのそれぞれが発生する磁界と、不要な漏洩磁界の低減作用について詳細に説明する。図3aは、図2において、第1のインバータの出力電流位相が0度のときに各コイルが発生する磁界の向きを模式的に示した図である。図3bは、図2において、第1のインバータの出力電流位相が90度のときに各コイルが発生する磁界の向きを模式的に示した図である。なお、図3aおよび図3bにおいて、説明の便宜上、第1の磁性コアFt、第2の磁性コアFn、および第3の磁性コアFrは省略している。
第1のコイルLtr1に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が0度のとき、すなわち、正弦波状の第1のインバータINV1の出力電流瞬時値が最大となるとき、図3aに示されるように、第1のコイルLtr1が有する第1および第2の巻線LtrA,LtrBのそれぞれが発生する磁界HLtrA,HLtrBの強度が最大となる。なお、磁界HLtrA,HLtrBはコイルユニットLtu1と受電コイルLrとの対向方向に平行な向きであり、互いに逆位相の磁界である。したがって、互いに逆位相の磁界を発生する第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBにより、第1のコイルLtr1が発生する漏洩磁界を低減することができる。
また、磁界HLtrA,HLtrBは互いに逆位相の磁界のため、磁界HLtrA,HLtrBによって、第1のコイルLtr1が有する第1および第2の巻線LtrA,LtrBを共に鎖交する第1の磁束が発生する。この第1の磁束が受電コイルLrにも鎖交することで、受電コイルLrに起電力が生じ、電流が流れる。そして、受電コイルLrに生じた電流は、整流回路DBによって整流され、負荷Rに電力が出力される。ここで、第1のコイルLtr1と補助コイルLnとの間には磁気結合を抑制する電磁遮蔽板Sが設置されているため、磁界HLtrA,HLtrBによって、発生する磁束が補助コイルLnに鎖交することは抑制される。
さらに、受電コイルLrには共振キャパシタCrが接続されているため、受電コイルLrの電流の位相は、第1のコイルLtr1に流れる電流の位相に対して90度ずれる。すなわち、図3bに示されるように、第1のコイルLtr1に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が90度のとき、受電コイルLrに流れる電流によって発生する磁界HLrの強度が最大となる。
一方、補助コイルLnには、第2のインバータINV2から、第1のインバータINV1から第1のコイルLtr1に出力される電流の位相とは90度位相がずれた電流が供給されるため、図3bに示されるように、第1のコイルLtr1に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が90度のとき、補助コイルLnに流れる電流瞬時値は最大となり、補助コイルLnによって発生する磁界HLnの強度が最大となる。また、補助コイルLnの軸方向は、受電コイルLrの軸方向と一致しており、さらに、補助コイルLnは、補助コイルLnが発生する磁界HLnが、受電コイルLrが発生する磁界HLrとは逆位相となるように巻回されているので、補助コイルLnが発生する磁界HLnと受電コイルLrが発生する磁界HLrは互いに逆位相となる。その結果、ワイヤレス電力伝送装置S1から離れた場所においては、受電コイルLrが発生する磁界HLrと補助コイルLnが発生する磁界HLnが互いに打消し合うことで、漏洩磁界が低減される。このとき、補助コイルLnと第1のコイルLtr1との間には電磁遮蔽板Sがあるため、第1のコイルLtr1と補助コイルLnとの間の不要な電磁的干渉を低減することができ、補助コイルLnによって、受電コイルLrが発生する漏洩磁界をより確実に低減することができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1は、コイルユニットLtu1における補助コイルLnが、電磁共鳴によって第1のコイルLtr1との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrが発生する磁界HLrと逆位相の磁界HLnを発生している。そのため、補助コイルLnが、電磁共鳴によって第1のコイルLtr1との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrと逆位相の磁界を発生することで、他のコイルである受電コイルLrが発生する不要な漏洩磁界を低減することができる。その結果、対向配置されるコイルである受電コイルLrの大型化および重量化を抑制しつつ、対向配置されるコイルである受電コイルLrから発生する不要な漏洩磁界の低減ができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1においては、第1のコイルLtr1と補助コイルLnとの磁気結合を抑制する電磁遮蔽板Sを備えている。そのため、第1のコイルLtr1と補助コイルLnとの間の不要な電磁的干渉を低減することができるので、他のコイルである受電コイルLrが発生する不要な漏洩磁界をより確実に低減することができる。
さらに、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1においては、第1のコイルLtr1は、互いに電気的に接続された第1および第2の巻線LtrA,LtrBを含み、第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBは、互いに逆位相の磁界HLtrAと磁界HLtrBを発生する。そのため、互いに逆位相の磁界HLtrAと磁界HLtrBを発生する第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBにより、第1のコイルLtr1が発生する不要な漏洩磁界を低減することができる。
(第2実施形態)
次に、図4および図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2の構成について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を示すシステム模式構成図である。図5は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置において、コイルユニットを受電コイルとともに示す断面図である。なお、本発明に係るコイルユニットは、ワイヤレス電力伝送装置におけるワイヤレス送電装置あるいはワイヤレス受電装置のいずれにも適用可能であるが、ここでは、本発明に係るコイルユニットをワイヤレス送電装置に適用した例を用いて説明する。
ワイヤレス電力伝送装置S2は、図4に示されるように、ワイヤレス送電装置Ut2と、ワイヤレス受電装置Ur1と、を有する。ワイヤレス送電装置Ut2は、第1の電源PW1と、第1のインバータINV1と、コイルユニットLtu2と、を有する。ワイヤレス受電装置Ur1は、受電コイルLrと、共振キャパシタCrと、整流回路DBと、負荷Rと、を有する。ワイヤレス電力伝送装置S2は、ワイヤレス送電装置Ut2のコイルユニットLtu2とワイヤレス受電装置Ur1の受電コイルLrが対向することにより、ワイヤレス送電装置Ut2からワイヤレス受電装置Ur1にワイヤレスにて電力が伝送される。ここで、第1の電源PW1、第1のインバータINV1、受電コイルLr、共振キャパシタCr、整流回路DB、負荷Rの構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2では、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1のコイルユニットLtu1および電磁遮蔽板Sに代えて、それぞれコイルユニットLtu2および電磁遮蔽板Sbを備え、さらに、第2の電源PW2と、第2のインバータINV2を備えない点において、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態においても、電磁共鳴によって第1のコイルとの間で電力の送受電が行われる他のコイルとは、第1実施形態と同様、受電コイルLrのことを意味する。
コイルユニットLtu2は、図4および図5に示されるように、第1のコイルLtr1と、第2のコイルLteと、共振キャパシタCtと、補助コイルLnと、電磁遮蔽板Sbと、第1の磁性コアFtと、第2の磁性コアFnと、を有する。ここで、第1のコイルLtr1と、第1の磁性コアFtと、第2の磁性コアFnは第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S1と同様である。
第2のコイルLteは、第1のコイルLtr1の近傍に配置されているため、第1のコイルLtr1と強く磁気結合する。本実施形態においては、第2のコイルLteは、第1のコイルLtr1が備える第1の巻線LtrAの受電コイルLrと対向する側とは反対側であって、第1の巻線LtrAと近接し、第2のコイルLteの軸が第1の巻線LtrAの軸と一致するように配置され、第1の磁性コアFtの一方の突起部に銅やアルミニウム等のリッツ線から構成される巻線を巻回して構成されている。なお、第2のコイルLteは、第1のコイルLtrが備える第2の巻線LtrBの受電コイルLrと対向する側とは反対側であって、第2の巻線LtrBと近接し、第2のコイルLteの軸が第2の巻線LtrBの軸と一致するように配置され、第1の磁性コアFrの他方の突起部に巻線を巻回して構成してもよい。また、第2のコイルLteの巻数は、第1のコイルLtrの第1または第2の巻線LtrA,LtrBの巻数に比べて少なく設定される。ここで、第2のコイルLteには後述する共振キャパシタCtが接続されているため、第1のコイルLtr1から見た第2のコイルLteの電気的なインピーダンスは非常に小さいので、第2のコイルLteの巻数が少なくても、第2のコイルLteと補助コイルLnに十分な電流を発生させることができる。
共振キャパシタCtは、第2のコイルLteと補助コイルLnに電気的に接続されている。共振キャパシタCtの静電容量は、第2のコイルLteと補助コイルLnのインピーダンスに対して、第1のインバータINV1から供給される電流の周波数で共振するように設定される。本実施形態では、共振キャパシタCtは、第2のコイルLteと補助コイルLnと直列に接続されているがこれに限られることなく、共振キャパシタCtは、第2のコイルLteと補助コイルLnと並列に接続されてもよい。いずれの場合においても、第2のコイルLteと補助コイルLnのインピーダンスに対して、第1のインバータINV1から供給される電流の周波数で共振するように共振キャパシタCtの静電容量が設定されていればよい。
補助コイルLnは、第2のコイルLteおよび共振キャパシタCtと電気的に接続されている。補助コイルLnは、ソレノイド構造のコイルであり、銅やアルミニウム等のリッツ線を螺旋状に巻回して形成されている。補助コイルLnの軸方向は、後述する受電コイルLrの軸方向と略一致しており、本実施形態においては、補助コイルLnの軸方向は、コイルユニットLtu2と後述する受電コイルLrとの対向方向と直交する方向であって、補助コイルLnの軸方向は、第1のコイルLtr1の第1および第2の巻線LtrA,LtrBの軸方向と直交する方向である。この補助コイルLnは、後述する受電コイルLrが発生する磁界と逆位相の磁界を発生する。ここで、補助コイルLnが発生する磁界を、後述する受電コイルLrが発生する磁界と逆位相とするためには、補助コイルLnの巻線が、後述する受電コイルLrの巻線の巻回方向と逆向きに巻回されればよい。補助コイルLnの巻数は、コイルユニットLtu1と後述する受電コイルLrとの間の離間距離や所望の漏洩磁界低減効果などに基づいて適宜設定される。
電磁遮蔽板Sbは、第1のコイルLtr1および第2のコイルLteと補助コイルLnとの間であって、補助コイルLnの軸方向に沿って配置される。具体的には、電磁遮蔽板Sbは、第1の磁性コアFtと補助コイルLnとの間に配置される。この電磁遮蔽板Sbは、第1のコイルLtr1および第2のコイルLteと補助コイルLnの不要な磁気結合を抑制するシールド材として機能する。言い換えれば、電磁遮蔽板Sbは、誘導電流、渦電流などにより磁界を打消して磁束の通過を抑制するシールド材として機能する。これにより、第1のコイルLtr1および第2のコイルLteと補助コイルLnとの間の不要な電磁的干渉を低減することができる。このような電磁遮蔽板Sbとしては、表面が電磁シールド材として機能する非磁性の導体であれば特に制限されず、銅やアルミニウム、あるいは表面に亜鉛メッキを施した鋼板等が挙げられる。なお、第2のコイルLteと補助コイルLnを電気的に接続する配線は、電磁遮蔽板Sbに空けた穴を貫通するように引き回してもよく、電磁遮蔽板Sbを迂回して引き回してもよい。
続いて、図6を参照して、本実施形態における第1のコイルLtr1、第2のコイルLte、補助コイルLn、受電コイルLrのそれぞれが発生する磁界と、不要な漏洩磁界の低減作用について詳細に説明する。図6aは、図5において、第1のインバータの出力電流位相が0度のときに各コイルが発生する磁界の向きを模式的に示した図である。図6bは、図5において、第1のインバータの出力電流位相が90度のときに各コイルが発生する磁界の向きを模式的に示した図である。なお、図6aおよび図6bにおいて、説明の便宜上、第1の磁性コアFt、第2の磁性コアFn、および第3の磁性コアFrは省略している。
第1のコイルLtr1に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が0度のとき、すなわち、正弦波状の第1のインバータINV1の出力電流瞬時値が最大となるとき、図6aに示されるように、第1のコイルLtr1の第1および第2の巻線LtrA,LtrBのそれぞれが発生する磁界HLtrA,HLtrBの強度が最大となる。なお、磁界HLtrA,HLtrBは、コイルユニットLtu2と受電コイルLrとの対向方向に平行な向きであり、互いに逆位相の磁界である。したがって、互いに逆位相の磁界を発生する第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBにより、第1のコイルLtr1が発生する漏洩磁界を低減することができる。
また、磁界HLtrA,HLtrBは互いに逆位相の磁界のため、磁界HLtrA,HLtrBによって、第1のコイルLtr1の第1および第2の巻線LtrA,LtrBを共に鎖交する第1の磁束が発生する。この第1の磁束が受電コイルLrにも鎖交することで、受電コイルLrに起電力が生じ、電流が流れる。そして、受電コイルLrに生じた電流は、整流回路DBによって整流され、負荷Rに電力が出力される。
さらに、受電コイルLrには共振キャパシタCrが接続されているため、受電コイルLrに流れる電流の位相は、第1のコイルLtr1に流れる電流の位相に対して90度ずれる。すなわち、図6bに示されるように、第1のコイルLtr1に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が90度のとき、受電コイルLrに流れる電流によって発生する磁界HLrの強度が最大となる。
一方、第1のコイルLtr1の第1および第2の巻線LtrA,LtrBが発生する磁束は第2のコイルLteにも鎖交するため、第2のコイルLteにも起電力が生じ、電流が流れる。このとき、第2のコイルLteには共振キャパシタCtが接続されているため、第1のコイルLtr1から見た第2のコイルLteの電気的なインピーダンスは非常に小さいので、第2のコイルLteの巻数が少なくても、第2のコイルLteに十分な電流が発生する。また、第2のコイルLteには共振キャパシタCtが接続されているため、第2のコイルLteの電流の位相は、第1のコイルLtr1に流れる電流の位相に対して90度ずれる。すなわち、第2のコイルLteに流れる電流の位相は、受電コイルLrに流れる電流の位相と同位相となる。ここで、第1のコイルLtr1および第2のコイルLteと補助コイルLnとの間には磁気結合を抑制する電磁遮蔽板Sbが設置されているため、磁界HLtrA,HLtrBによって、発生する磁束が補助コイルLnに鎖交することは抑制される。
さらに、補助コイルLnは、第2のコイルLteと電気的に接続されているため、補助コイルLnには第2のコイルLteと同位相の電流が流れる。すなわち、補助コイルLnには、受電コイルLrに流れる電流と同位相の電流が流れ、第1のコイルLtr1に電流を供給するインバータ出力電流位相が90度のとき、補助コイルLnに流れる電流によって発生する磁界HLnの強度が最大となる。ここで、補助コイルLnの軸方向は受電コイルLrの軸方向と一致しており、補助コイルLnの巻線の巻回方向と受電コイルLrの巻線の巻回方向は互いに逆方向であるので、補助コイルLnが発生する磁界HLnと受電コイルLrが発生する磁界HLrは互いに逆位相となる。その結果、ワイヤレス電力伝送装置S2から離れた場所においては、受電コイルLrが発生する磁界HLrと補助コイルLnが発生する磁界HLnが互いに打消し合うことで、漏洩磁界が低減される。このとき、補助コイルLnと同じ電流が流れる第2のコイルLteによって磁界HLteが発生するが、第2のコイルLteの巻数は少ないため、磁界HLteの強度は低い。したがって、第2のコイルLteにより、コイルユニットLtu2から離れた場所に形成される漏洩磁界強度も低く、影響は小さい。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2は、コイルユニットLtu2における補助コイルLnが、電磁共鳴によって第1のコイルLtr1との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrが発生する磁界HLrと逆位相の磁界HLnを発生している。そのため、補助コイルLnが、電磁共鳴によって第1のコイルLtr1との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrと逆位相の磁界を発生することで、他のコイルである受電コイルLrが発生する不要な漏洩磁界を低減することができる。その結果、対向配置されるコイルである受電コイルLrの大型化および重量化を抑制しつつ、対向配置されるコイルである受電コイルLrから発生する不要な漏洩磁界の低減ができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2においては、コイルユニットLtu2が、第1のコイルLtr1と磁気結合する第2のコイルLteと、第2のコイルLteに接続される共振キャパシタCtと、をさらに備え、補助コイルLnは第2のコイルLteに電気的に接続されるとともに、他のコイルである受電コイルLrが発生する磁界HLrと逆位相の磁界HLnを発生するように巻線が巻回されている。ここで、第1のコイルLtr1は第2のコイルLteと磁気結合し、且つ、第2のコイルLteは共振キャパシタCtに接続されるため、第2のコイルLteに流れる電流の位相は、第1のコイルLtr1に流れる電流の位相に対して90度ずれる。さらに、第1のコイルLtr1との間で電磁共鳴によってワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrに流れる電流の位相は、第1のコイルLtr1に流れる電流の位相に対して90度ずれる。このとき、第2のコイルLteに流れる電流の位相および第2のコイルLteに電気的に接続される補助コイルLnに流れる電流の位相と第1のコイルLtr1との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrに流れる電流の位相は同位相となる。したがって、補助コイルLnは、補助コイルLnが発生する磁界が、他のコイルである受電コイルLrが発生する磁界とは逆位相となるように巻線が巻回されているため、他のコイルである受電コイルLrと逆位相の磁界HLnを発生することとなる。そのため、他のコイルである受電コイルLrが発生する不要な漏洩磁界を低減することができる。その結果、第1のコイルLtr1および第2のコイルLteに電力を供給するために、複数の交流電力源を必要とせず、一つの交流電力源のみで対向配置されるコイルである受電コイルLrの大型化および重量化を抑制しつつ、対向配置されるコイルである受電コイルLrから発生する不要な漏洩磁界の低減ができる。また、ワイヤレス電力伝送装置S2全体の顕著な大型化および重量化も抑制することができる。
さらに、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2では、コイルユニットLtu2が、第1のコイルLtr1および第2のコイルLteと補助コイルLnとの磁気結合を抑制する電磁遮蔽板Sbをさらに備えている。そのため、第1のコイルLtr1と補助コイルLnとの間の不要な電磁的干渉を低減することができるので、他のコイルである受電コイルLrが発生する不要な漏洩磁界をより確実に低減することができる。
(第3実施形態)
次に、図7および図8を参照して、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S3の構成について説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置を示すシステム模式構成図である。図8は、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置において、コイルユニットを受電コイルとともに示す断面図である。なお、本発明に係るコイルユニットは、ワイヤレス電力伝送装置におけるワイヤレス送電装置あるいはワイヤレス受電装置のいずれにも適用可能であるが、ここでは、本発明に係るコイルユニットをワイヤレス送電装置に適用した例を用いて説明する。
ワイヤレス電力伝送装置S3は、図7に示されるように、ワイヤレス送電装置Ut3と、ワイヤレス受電装置Ur1と、を有する。ワイヤレス送電装置Ut3は、第1の電源PW1と、第1のインバータINV1と、コイルユニットLtu3と、を有する。ワイヤレス受電装置Ur1は、受電コイルLrと、共振キャパシタCrと、整流回路DBと、負荷Rと、を有する。ワイヤレス電力伝送装置S3は、ワイヤレス送電装置Ut3のコイルユニットLtu3とワイヤレス受電装置Ur1の受電コイルLrが対向することにより、ワイヤレス送電装置Ut3からワイヤレス受電装置Ur1にワイヤレスにて電力が伝送される。ここで、第1の電源PW1、第1のインバータINV1、受電コイルLr、共振キャパシタCr、整流回路DB、負荷Rの構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2と同様である。第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S3では、コイルユニットLtu2に代えて、コイルユニットLtu3を備えている点において、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2と相違する。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態においても、電磁共鳴によって第1のコイルとの間で電力の送受電が行われる他のコイルとは、第1実施形態と同様、受電コイルLrのことを意味する。
コイルユニットLtu3は、第1のコイルLtr2と、第2のコイルLteと、共振キャパシタCtと、補助コイルLnと、電磁遮蔽板Sbと、第1の磁性コアFtと、第2の磁性コアFnと、第4の磁性コアFtCと、第5の磁性コアFtDと、を有する。ここで、共振キャパシタCtと、第2のコイルLteと、補助コイルLnと、電磁遮蔽板Sbと、第1の磁性コアFnと、第2の磁性コアFnの構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2と同様である。
第1のコイルLtr2は、第1の巻線LtrAと、第2の巻線LtrBと、第3の巻線LtrCと、第4の巻線LtrDと、を含む。本実施形態では、第1の巻線LtrA、第2の巻線LtrB、第3の巻線LtrC、第4の巻線LtrDが電気的に直列に接続されている。ここで、第1および第2の巻線LtrA,LtrBの構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S2の第1のコイルLtr1の第1および第2の巻線LtrA,LtrBと同様である。
第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAの背面側に配置されている。すなわち、第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAの受電コイルLrと対向する面とは反対面側に配置されている。より具体的には、第3の巻線LtrCは、図8に示されるように、コイルユニットLtu3と受電コイルLrとの対向方向から見て、第1の巻線LtrAと重なり合うように配置されている。この第3の巻線LtrCは、ソレノイド構造のコイルであり、銅やアルミニウム等のリッツ線を螺旋状に巻回して形成されている。また、第3の巻線LtrCの軸方向は、コイルユニットLtu3と受電コイルLrとの対向方向と直交する方向である。すなわち、第3の巻線LtrCの軸方向は、第1の巻線LtrAの軸方向と直交する方向である。そのため、第3の巻線LtrCにより、第3の巻線LtrCから離れた場所にまで周回する磁束をより発生させ易くなり、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界をより一層低減することができる。またさらには、第3の巻線LtrCの巻数は、所望の漏洩磁界低減効果などに基づいて適宜設定される。
ここで、第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAに鎖交する第2の磁束を発生する。具体的には、図8において、第1の巻線LtrAが、第1の巻線LtrAから受電コイルLrに向かう方向(図示上向き)の磁界を発生しているときには、第3の巻線LtrCが、第3の巻線LtrCから第1の巻線LtrAに向かう方向(図示右向き)の磁界を発生すれば、第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAに鎖交する第2の磁束を発生することとなる。一方、第1の巻線LtrAが、受電コイルLrから第1の巻線LtrAに向かう方向(図示下向き)の磁界を発生しているときには、第3の巻線LtrCが、第1の巻線LtrAから第3の巻線LtrCに向かう方向(図示左向き)の磁界を発生すれば、第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAに鎖交する第2の磁束を発生することとなる。このような磁界を発生させるには、第3の巻線LtrCにおける第1の巻線LtrAと最も近接する部分(図示第3の巻線LtrCの上面部分)を通過する電流の向きが、第1の巻線LtrAにおける第3の巻線LtrCと最も近接する部分(図示第1の巻線LtrAの左側部分)を通過する電流の向きと同じとなるように、リッツ線の巻回方向を選択して第3の巻線LtrCを構成すればよい。また、第3の巻線LtrCは、第3の巻線LtrCが発生する第2の磁束の周回方向が、第1および第2の巻線LtrA,LtrBが発生する第1の磁束の周回方向とは逆向きとなるように配置されている。このような磁束とするためには、受電コイルLrから見て、第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBの並び方向において、第1の巻線LtrAの中心から第2の巻線LtrBの中心へ向かう方向とは反対側にずれた位置に第3の巻線LtrCが配置されればよい。
第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBの背面側に配置されている。すなわち、第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBの受電コイルLrと対向する面とは反対面側に配置されている。より具体的には、第4の巻線LtrDは、図8に示されるように、コイルユニットLtu3と受電コイルLrとの対向方向から見て、第2の巻線LtrBと重なり合うように配置されている。この第4の巻線LtrDは、ソレノイド構造のコイルであり、銅やアルミニウム等のリッツ線を螺旋状に巻回して形成されている。また、第4の巻線LtrDの軸方向は、コイルユニットLtu3と受電コイルLrとの対向方向と直交する方向である。すなわち、第4の巻線LtrDの軸方向は、第2の巻線LtrBの軸方向と直交する方向である。そのため、第4の巻線LtrDにより、第4の巻線LtrDから離れた場所にまで周回する磁束をより発生させ易くなり、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界をより一層低減することができる。またさらには、第4の巻線LtrDの巻数は、所望の漏洩磁界低減効果などに基づいて適宜設定される。
ここで、第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBに鎖交する第3の磁束を発生する。具体的には、図8において、第2の巻線LtrBが、第2の巻線LtrBから受電コイルLrに向かう方向(図示上向き)の磁界を発生しているときには、第4の巻線LtrDが、第4の巻線LtrDから第2の巻線LtrBに向かう方向(図示左向き)の磁界を発生すれば、第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBに鎖交する第3の磁束を発生することとなる。一方、第2の巻線LtrBが、受電コイルLrから第2の巻線LtrBに向かう方向(図示下向き)の磁界を発生しているときには、第4の巻線LtrDが、第2の巻線LtrBから第4の巻線LtrDに向かう方向(図示右向き)の磁界を発生すれば、第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBに鎖交する第3の磁束を発生することとなる。このような磁界を発生させるには、第4の巻線LtrDにおける第2の巻線LtrBと最も近接する部分(図示第4の巻線LtrDの上面部分)を通過する電流の向きが、第2の巻線LtrBにおける第4の巻線LtrDと最も近接する部分(図示第2の巻線LtrBの右側部分)を通過する電流の向きと同じとなるように、リッツ線の巻回方向を選択して第4の巻線LtrDを構成すればよい。また、第4の巻線LtrDは、第4の巻線LtrDが発生する第3の磁束の周回方向が、第1および第2の巻線LtrA,LtrBが発生する第1の磁束の周回方向とは逆向きとなるように配置されている。このような磁束とするためには、受電コイルLrから見て、第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBの並び方向において、第2の巻線LtrBの中心から第1の巻線LtrAの中心へ向かう方向とは反対側にずれた位置に第4の巻線LtrDが配置されればよい。
第4の磁性コアFtCは、板状または棒状のフェライト等の磁性体により構成され、第3の巻線LtrCの軸を貫通するように配置されている。つまり、第4の磁性コアFtCは、第1のコイルLtr2の第3の巻線LtrCのコアとして機能する。そのため、第3の巻線LtrCによって、漏洩磁界を低減するための磁束が効率良く発生する。また、第4の磁性コアFtCは、第1の磁性コアFtに接続されている。したがって、第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAに鎖交する第2の磁束を効率良く発生することができる。なお、第4の磁性コアFtCと第1の磁性コアFtは一体的に形成されていてもよい。
第5の磁性コアFtDは、板状または棒状のフェライト等の磁性体により構成され、第4の巻線LtrDの軸を貫通するように配置されている。つまり、第5の磁性コアFtDは、第1のコイルLtr2の第4の巻線LtrDのコアとして機能する。そのため、第4の巻線LtrDによって、漏洩磁界を低減するための磁束が効率良く発生する。また、第5の磁性コアFtDは、第1の磁性コアFtに接続されている。したがって、第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBに鎖交する第3の磁束を効率良く発生することができる。なお、第5の磁性コアFtDと第1の磁性コアFtは一体的に形成されていてもよい。
続いて、図9を参照して、本実施形態における第1のコイルLtr2、第2のコイルLte、補助コイルLn、受電コイルLrのそれぞれが発生する磁界と、不要な漏洩磁界の低減作用について詳細に説明する。図9aは、図8において、第1のインバータの出力電流位相が0度のときに各コイルが発生する磁界の向きを模式的に示した図である。図9bは、図8において、第1のインバータの出力電流位相が90度のときに各コイルが発生する磁界の向きを模式的に示した図である。なお、図9aおよび図9bにおいて、説明の便宜上、第1の磁性コアFt、第2の磁性コアFn、第3の磁性コアFr、第4の磁性コアFtC、および第5の磁性コアFtDは省略している。
第1のコイルLtr2に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が0度のとき、すなわち正弦波状の第1のインバータINV1の出力電流瞬時値が最大となるとき、図9aに示されるように、第1のコイルLtr2の第1および第2の巻線LtrA,LtrBのそれぞれが発生する磁界HLtrA,HLtrBの強度が最大となる。なお、磁界HLtrA,HLtrBはコイルユニットLtu3と受電コイルLrとの対向方向に平行な向きであり、互いに逆位相の磁界である。したがって、互いに逆位相の磁界を発生する第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBにより、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界を低減することができる。
また、磁界HLtrA,HLtrBは互いに逆位相の磁界のため、磁界HLtrA,HLtrBによって、第1のコイルLtr2の第1および第2の巻線LtrA,LtrBを共に鎖交する第1の磁束が発生する。この第1の磁束が受電コイルLrにも鎖交することで、受電コイルLrに起電力が生じ、電流が流れる。そして、受電コイルLrに生じた電流は、整流回路DBによって整流され、負荷Rに電力が出力される。
さらに、受電コイルLrには共振キャパシタCrが接続されているため、受電コイルLrの電流の位相は、第1のコイルLtr2に流れる電流の位相に対して90度ずれる。すなわち、図9bに示されるように、第1のコイルLtr2に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が90度のとき、受電コイルLrに流れる電流によって発生する磁界HLrの強度が最大となる。
一方、第1のコイルLtr2の第1および第2の巻線LtrA,LtrBが発生する磁束は第2のコイルLteにも鎖交するため、第2のコイルLteにも起電力が生じ、電流が流れる。このとき、第2のコイルLteには共振キャパシタCtが接続されているため、第1のコイルLtr2から見た第2のコイルLteの電気的なインピーダンスは非常に小さいので、第2のコイルLteの巻数が少なくても、第2のコイルLteに十分な電流が発生する。また、第2のコイルLteには共振キャパシタCtが接続されているため、第2のコイルLteに流れる電流の位相は、第1のコイルLtr2に流れる電流の位相に対して90度ずれる。すなわち、第2のコイルLteに流れる電流の位相は、受電コイルLrに流れる電流と同位相となる。ここで、第1のコイルLtr2および第2のコイルLteと補助コイルLnとの間には磁気結合を抑制する電磁遮蔽板Sbが設置されているため、磁界HLtrA,HLtrBによって、発生する磁束が補助コイルLnに鎖交することは抑制される。
さらに、補助コイルLnは、第2のコイルLteと電気的に接続されているため、補助コイルLnには第2のコイルLteと同位相の電流が流れる。すなわち、補助コイルLnには、受電コイルLrに流れる電流と同位相の電流が流れ、第1のコイルLtr2に電流を供給する第1のインバータINV1の出力電流位相が90度のとき、補助コイルLnに流れる電流によって発生する磁界HLnの強度が最大となる。ここで、補助コイルLnの軸方向は受電コイルLrの軸方向と一致しており、補助コイルLnの巻線の巻回方向と受電コイルLrの巻線の巻回方向は同じ方向であるので、補助コイルLnが発生する磁界HLnと受電コイルLrが発生する磁界HLrは互いに逆位相となる。その結果、ワイヤレス電力伝送装置S3から離れた場所においては、受電コイルLrが発生する磁界HLrと補助コイルLnが発生する磁界HLnが互いに打消し合うことで、漏洩磁界が低減される。
続いて、図10を参照して、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界の低減について、詳細に説明する。図10は、図8において、第1のインバータの出力電流位相が0度のときに第1〜4の巻線が発生する磁束を模式的に示した図である。ただし、図10中、第1の磁性コアFt、第2の磁性コアFn、第3の磁性コアFr、第4の磁性コアFtC、および第5の磁性コアFtDの中における磁束の図示は省略している。また、図10では、第1および第2の巻線LtrA,LtrBが発生する第1の磁束のうち、体表的なものとして磁束Bt1a〜Bt1dを示し、第3および第4の巻線LtrC,LtrDが発生する第2および第3の磁束のうち、代表的なものとして磁束Bc1a〜Bc1dを模式的に示している。ただし、これらの磁束は、それぞれの磁束の向きのみを模式的に示したものであって、磁束密度を示すものではない。
図10に示されるように、第1および第2の巻線LtrA,LtrBは、第1および第2の巻線LtrA,LtrBをともに鎖交する第1の磁束Bt1a〜Bt1dを発生している。このうち、第1の磁束Bt1a,Bt1bが受電コイルLrに鎖交する磁束であり、この第1の磁束Bt1a,Bt1bが受電コイルLrに鎖交することで、受電コイルLrに起電力が生じる。一方、本実施形態においては、第1および第2の巻線LtrA,LtrBは平面状に巻回された巻線であるため、第1および第2の巻線LtrA,LtrBは受電コイルLrに鎖交せずに、第1のコイルLtr2.から離れた場所にまで大きく周回する第1の磁束Bt1c,Bt1dも発生している。この第1の磁束Bt1c,Bt1dは第1のコイルLtr2.から離れた場所に不要な漏洩磁界を形成する磁束となる。
第3の巻線LtrCは、第3の巻線LtrCと第1の巻線LtrAをともに鎖交する第2の磁束Bc1a,Bc1bを発生している。第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAの背面側であって、受電コイルLrから見て第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBの並び方向において、第1の巻線LtrAの中心から第2の巻線LtrBの中心へ向かう方向とは反対側にずれた位置に配置されているので、第3の磁束Bc1a,Bc1bの周回方向は、第1の磁束Bt1a〜Bt1dの周回方向とは逆向きとなる。また、本実施形態においては、第3の巻線LtrCの軸方向は第1の巻線LtrAの軸方向と直交しているため、第2の磁束Bc1a,Bc1bは第1のコイルLtr2から離れた場所にまで大きく周回し易くなる。
第4の巻線LtrDは、第4の巻線LtrDと第2の巻線LtrBをともに鎖交する第3の磁束Bc1c,Bc1dを発生している。第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBの背面側であって、受電コイルLrから見て第1の巻線LtrAと第2の巻線LtrBの並び方向において、第2の巻線LtrBの中心から第1の巻線LtrAの中心へ向かう方向とは反対側にずれた位置に配置されているので、第3の磁束Bc1a,Bc1bの周回方向は、第1の磁束Bt1a〜Bt1dの周回方向とは逆向きとなる。また、本実施形態においては、第4の巻線LtrDの軸方向は第2の巻線LtrBの軸方向と直交しているため、第3の磁束Bc1c,Bc1dは第1のコイルLtr2から離れた場所にまで大きく周回し易くなる。
ここで、図10に示されるように、第1のコイルLtr2の近傍では、第1の磁束Bt1a〜Bt1dと第2および第3の磁束Bc1a〜Bc1dはほぼ同じ向きである。すなわち、第2の磁束Bc1a,Bc1bは第1の巻線LtrA近傍の磁界を強め、第3の磁束Bc1c,Bc1dは第2の巻線LtrB近傍の磁界を強める。したがって、第3および第4の巻線LtrC,LtrDにより、電力伝送効率が低下することは抑制される。一方、第1のコイルLtr2から離れた場所では、第1の磁束Bt1c,Bt1dと第2および第3の磁束Bc1a〜Bc1dは互いに逆向きである。その結果、コイルユニットLtu3から離れた場所では、第1の磁束Bt1c,Bt1dと第2および第3の磁束Bc1a〜Bc1dが互いに打消し合い、磁束密度が低くなる。その結果、第1のコイルLtr2.から離れた場所の磁束密度によって示される漏洩磁界強度も低くなる。すなわち、第3および第4の巻線LtrC,LtrDにより、第1および第2の巻線LtrA,LtrBが発生する磁界のうち、漏洩磁界のみが選択的に低減され、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界を一層低減することができる。特に、本実施形態においては、第3および第4の巻線LtrC,LtrDの軸方向は、第1および第2の巻線LtrA,LtrBの軸方向に直交する方向であるため、第2および第3の磁束Bc1a〜Bc1dは第1のコイルLtr2.から離れた場所にまで大きく周回し易くなり、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界をより一層低減することができる。
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S3は、コイルユニットLtu3における補助コイルLnが、電磁共鳴によって第1のコイルLtr2との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrが発生する磁界HLrと逆位相の磁界HLnを発生している。そのため、補助コイルLnが、電磁共鳴によって第1のコイルLtr2との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrと逆位相の磁界を発生することで、他のコイルである受電コイルLrが発生する不要な漏洩磁界を低減することができる。その結果、対向配置されるコイルである受電コイルLrの大型化および重量化を抑制しつつ、対向配置されるコイルである受電コイルLrから発生する不要な漏洩磁界の低減ができる。
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置S3においては、コイルユニットLtu3が、第1のコイルLtr2と磁気結合する第2のコイルLteと、第2のコイルLteに接続される共振キャパシタCtと、をさらに備え、補助コイルLnは第2のコイルLteに電気的に接続されるとともに、他のコイルである受電コイルLrが発生する磁界HLrと逆位相の磁界HLnを発生するように巻線が巻回されている。ここで、第1のコイルLtr2は第2のコイルLteと磁気結合し、且つ、第2のコイルLteは共振キャパシタCtに接続されるため、第2のコイルLteに流れる電流の位相は、第1のコイルLtr2に流れる電流の位相に対して90度ずれる。さらに、第1のコイルLtr2との間で電磁共鳴によってワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrに流れる電流の位相は、第1のコイルLtr2に流れる電流の位相に対して90度ずれる。このとき、第2のコイルLteに流れる電流の位相および第2のコイルLteに電気的に接続される補助コイルLnに流れる電流の位相と第1のコイルLtr2との間でワイヤレスにて電力の送受電が行われる他のコイルである受電コイルLrに流れる電流の位相は同位相となる。したがって、補助コイルLnは、補助コイルLnが発生する磁界が、他のコイルである受電コイルLrが発生する磁界とは逆位相となるように巻線が巻回されているため、他のコイルである受電コイルLrと逆位相の磁界HLnを発生することとなる。そのため、他のコイルである受電コイルLrが発生する不要な漏洩磁界を低減することができる。その結果、第1のコイルLtr2および第2のコイルLteに電力を供給するために、複数の交流電力源を必要とせず、一つの交流電力源のみで対向配置されるコイルである受電コイルLrの大型化および重量化を抑制しつつ、対向配置されるコイルである受電コイルLrから発生する不要な漏洩磁界の低減ができる。また、ワイヤレス電力伝送装置S3全体の顕著な大型化および重量化も抑制することができる。
さらに、本発明に係るワイヤレス電力伝送装置S3においては、コイルユニットLtu3における第1のコイルLtr2は、第1の巻線LtrAの背面側に配置される第3の巻線LtrCと、第2の巻線LtrBの背面側に配置される第4の巻線LtrDと、を備え、第1の巻線LtrA、第2の巻線LtrB、第3の巻線LtrC、および第4の巻線LtrDは、電気的に直列接続されており、第1および第2の巻線LtrA,LtrBは、第1および第2の巻線LtrA,LtrBをともに鎖交する第1の磁束Bt1a〜Bt1dを発生し、第3の巻線LtrCは、第1の巻線LtrAに鎖交する第2の磁束Bc1a,Bc1bを発生し、第4の巻線LtrDは、第2の巻線LtrBに鎖交する第3の磁束Bc1c,Bc1dを発生し、第2および第3の磁束Bc1a〜Bc1dの周回方向は、第1の磁束Bt1a〜Bt1dの周回方向とは逆向きとなるように構成されている。そのため、第2の磁束Bc1a,Bc1bは第1の巻線LtrA近傍の磁界を強め、第3の磁束Bc1c,Bc1dは第2の巻線LtrB近傍の磁界を強める。一方、第1のコイルLtr2から離れた場所では、互いに周回方向が逆向きである第1の磁束Bt1a〜Bt1dと第2および第3の磁束Bc1a〜Bc1dが打消し合うために磁界を弱め合う。その結果、電力伝送効率を低下させることなく、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界を一層低減することができる。
またさらには、本発明に係るワイヤレス電力伝送装置S3においては、コイルユニットLtu3における第3の巻線LtrCの軸方向は、第1の巻線LtrAの軸方向と略直交し、第4の巻線LtrDの軸方向は、第2の巻線LtrBの軸方向と略直交するように構成されている。そのため、第3および第4の巻線LtrC,LtrDにより、第1のコイルLtr2から離れた場所にまで周回する第2の磁束Bc1a,Bc1bおよび第3の磁束Bc1c,Bc1dを発生させ易くなる。その結果、第1のコイルLtr2が発生する漏洩磁界をより一層低減することができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
例えば、「電磁共鳴によって送受電を行う」とは、少なくともワイヤレスで電力を受電するコイルにキャパシタを接続して任意の周波数で共振させることで、キャパシタが無い場合に比べてより効率良くワイヤレス電力伝送を行うことを意味する。ただし、共振周波数とコイルに流れる電流の周波数がある程度ずれたとしても、コイルのインピーダンスとキャパシタのインピーダンスが打消し合うことで、キャパシタが無い場合に比べてより効率良くワイヤレス電力伝送を行うことが可能である。すなわち、ここで言う「電磁共鳴によって送受電を行う」とは、共振キャパシタが電気的に接続されたコイルにより電力伝送を行うことを意図しており、厳密に共振周波数とコイルに流れる電流の周波数が一致しない場合を排除する意味ではない。なお、電磁共鳴によるワイヤレス電力伝送において、送電コイルと受電コイルの位相差が厳密に90度と一致しなくても、本発明によるノイズ低減効果を得ることができることは理解されるべきである。