JP6334640B2 - 磁気テープおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
磁性層は脂肪酸エステルを含み、
磁気テープを真空加熱する前に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシング分布の半値全幅は、0nm超かつ5.0nm以下であり、
磁気テープを真空加熱した後に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシング分布の半値全幅は、0nm超かつ5.0nm以下であり、かつ
磁気テープを真空加熱した後に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシングSafterと、磁気テープを真空加熱する前に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシングSbeforeとの差分、Safter−Sbefore、は、0nm超かつ8.0nm以下である磁気テープ、
を新たに見出した。上記磁気テープは、優れた電磁変換特性を発揮することができ、かつ繰り返し走行における磁気テープ表面と磁気ヘッドとの貼り付きおよび磁気テープ表面の傷の発生の抑制が可能である。この点に関する本発明者らによる推察は、後述する。
磁気テープと透明な板状部材(例えばガラス板等)を、磁気テープの磁性層側表面が透明な板状部材と対向するように重ね合わせた状態で、磁気テープの磁性層側とは反対側から5.05×104N/m(0.5atm)の圧力で押圧部材を押しつける。この状態で、透明な板状部材を介して磁気テープの磁性層側表面に光を照射し(照射領域:150000〜200000μm2)、磁気テープの磁性層側表面からの反射光と透明な板状部材の磁気テープ側表面からの反射光との光路差によって発生する干渉光の強度(例えば干渉縞画像のコントラスト)に基づき、磁気テープの磁性層側表面と透明な板状部材表面との間のスペーシング(距離)を求める。ここで照射される光は特に限定されるものではない。照射される光が、複数波長の光を含む白色光のように、比較的広範な波長範囲にわたり発光波長を有する光の場合には、透明な板状部材と反射光を受光する受光部との間に、干渉フィルタ等の特定波長または特定波長域以外の光を選択的にカットする機能を有する部材を配置し、反射光の中の一部の波長または一部の波長域の光を選択的に受光部に入射させる。照射させる光が単一の発光ピークを有する光(いわゆる単色光)の場合には、上記の部材は用いなくてもよい。受光部に入射させる光の波長は、一例として、例えば500〜700nmの範囲にあることができるが、特に限定されるものではない。また、透明な板状部材は、この部材を介して磁気テープに光を照射し干渉光が得られる程度に、照射される光を透過する透明性を有する部材であればよい。
以上の測定は、例えばMicro Physics社製 Tape Spacing Analyzer等の市販のテープスペーシングアナライザー(TSA;Tape Spacing Analyzer)を用いて行うことができる。実施例におけるスペーシング測定は、Micro Physics社製 Tape Spacing Analyzerを用いて実施した。
また、本発明および本明細書におけるスペーシング分布の半値全幅とは、上記スペーシングの測定により得られる干渉縞画像を300000ポイントに分割して各ポイントのスペーシング(磁気テープの磁性層側表面と透明な板状部材の磁気テープ側表面との間の距離)を求め、これをヒストグラムとし、このヒストグラムをガウス分布でフィッティングしたときの半値全幅(Full Width at Half Maximum; FWHM)である。
また、差分Safter−Sbeforeは、上記300000ポイントにおける真空加熱後の最頻値から真空加熱前の最頻値を差し引いた値をいうものとする。
AFM(Veeco社Nanoscope4)で磁気テープの磁性層側表面の面積40μm×40μmの領域を測定する。スキャン速度(探針移動速度)は40μm/sec、分解能は512pixel×512pixelとする。
非磁性支持体上に、強磁性粉末、結合剤および脂肪酸エステルを含む磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させることにより磁性層を形成すること、および、
形成した磁性層に振動を加えること、
を含む磁気テープの製造方法、
に関する。
非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
磁性層は脂肪酸エステルを含み、
磁気テープを真空加熱する前に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシング分布の半値全幅(以下、「FWHMbefore」ともいう。)は、0nm超かつ5.0nm以下であり、
磁気テープを真空加熱した後に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシング分布の半値全幅(以下、「FWHMafter」ともいう。)は、0nm超かつ5.0nm以下であり、かつ
磁気テープを真空加熱した後に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシングSafterと、磁気テープを真空加熱する前に磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシングSbeforeとの差分、Safter−Sbefore、は、0nm超かつ8.0nm以下である磁気テープ
である。
以上の点に関して本発明者らは、脂肪酸エステルが真空加熱により揮発する性質を有する成分であることに着目し、真空加熱後(脂肪酸エステルによる液膜が揮発し除去された状態)と真空加熱前(脂肪酸エステルによる液膜が存在している状態)のスペーシングの差分Safter−Sbeforeを、磁気テープ表面における脂肪酸エステルにより形成される液膜の厚みの指標として採用した。この値が0nm超かつ8.0nm以下となるように磁気テープ表面に脂肪酸エステルの液膜を存在させることが、貼り付きの発生を抑制しつつ傷の発生を防ぐことにつながると、本発明者らは推察している。
この点に関し、上記のスペーシングの値がばらつく要因は、磁気テープ表面の突起の高さのばらつきと、脂肪酸エステルによる液膜の厚みのばらつきにあると考えられる。真空加熱前、即ち磁気テープ表面に脂肪酸エステルの液膜が存在する状態で測定されるスペーシング分布FWHMbeforeは、突起の高さのばらつきと脂肪酸エステルの液膜の厚みのばらつきが大きいほど大きくなり、中でも脂肪酸エステルの液膜の厚みのばらつきが大きく影響すると、本発明者らは推察している。これに対し、真空加熱後、即ち磁気テープ表面から脂肪酸エステルの液膜が除去された状態で測定されるスペーシング分布FWHMafterは、突起の高さのばらつきが大きいほど大きくなると本発明者らは考えている。即ち、スペーシング分布FWHMbefore、FWHMafterがともに小さいほど、磁気テープ表面の脂肪酸エステルの液膜の厚みのばらつきも突起の高さのばらつきも小さいことを意味すると、本発明者らは推察している。そしてスペーシング分布FWHMbefore、FWHMafterがともに0nm超かつ5.0nm以下となるように、突起の高さおよび脂肪酸エステルの液膜の厚みの均一性を高めることにより、走行中の磁気テープ表面とヘッドとの貼り付きおよび傷の発生を抑制することが可能になり、しかも電磁変換特性の向上も可能になることが、明らかになった。なお特許文献1にもスペーシングに関する記載があるが、特許文献1には、真空加熱前後のスペーシングやスペーシング分布に関する記載もスペーシング分布を制御することを示唆する記載もない。
上記磁気テープにおいて測定される真空加熱前のスペーシング分布FWHMbefore、および真空加熱後のスペーシング分布FWHMafterは、ともに0nm超かつ5.0nm以下である。走行中の磁気テープ表面とヘッドとの貼り付きおよび傷の発生をより一層抑制する観点からは、FWHMbeforeおよびFWHMafterは、4.5nm以下であることが好ましく、4.0nm以下であることがより好ましく、3.5nm以下であることが更に好ましく、3.0nm以下であることが一層好ましく、2.5nm以下であることが更に一層好ましく、2.0nm以下であることがより一層好ましい。FWHMbeforeおよびFWHMafterは、例えば0.5nm以上であることができるが、値が小さいほど走行中の磁気テープ表面とヘッドとの貼り付きおよび傷の発生の抑制の観点から好ましいため、これを下回ってもよい。
真空加熱前のスペーシング分布FWHMbeforeは、主に脂肪酸エステルの液膜の厚みのばらつきを低減することにより小さくすることができる。具体的な手段の一例は後述する。一方、真空加熱後のスペーシング分布FWHMafterは、磁気テープ表面の突起の高さのばらつきを低減することにより小さくすることができる。そのためには、磁性層に含まれる粉末成分、例えば詳細を後述する非磁性フィラーの磁性層における存在状態を制御することが好ましい。具体的な手段の一例は後述する。
上記磁気テープにおいて測定される真空加熱前後のスペーシングの差分Safter−Sbeforeは、0nm超かつ8.0nm以下である。傷の発生をより一層抑制する観点から、差分Safter−Sbeforeは、0.1nm以上であることが好ましく、1.0nm以上であることがより好ましい。一方、走行中の磁気テープ表面とヘッドとの貼り付きをより一層抑制する観点からは、差分Safter−Sbeforeは、7.0nm以下であることが好ましく、6.0nm以下であることがより好ましく、5.0nm以下であることが更に好ましく、4.0nm以下であることが一層好ましく、3.5nm以下であることがより一層好ましく、3.0nm以下であることが更に一層好ましい。差分Safter−Sbeforeは、磁性層形成用組成物に添加する脂肪酸エステル量によって制御することができる。また、非磁性支持体と磁性層との間に非磁性層を有する磁気テープについては、非磁性層形成用組成物に添加する脂肪酸エステル量によっても制御することができる。非磁性層は、潤滑剤を保持し磁性層に供給する役割を果たすことができ、非磁性層に含まれる脂肪酸エステルは磁性層側に移行し磁気テープ表面に存在し得るからである。
(脂肪酸エステル)
上記磁気テープは、磁性層に脂肪酸エステルを含む。脂肪酸エステルは、一種のみ含まれていてもよく、二種以上が含まれていてもよい。脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等のエステルを挙げることができ、具体例としては、例えば、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル(ブチルステアレート)、ネオペンチルグリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、オレイン酸オレイル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ブトキシエチル等を挙げることができる。
磁性層の脂肪酸エステル含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0.1〜10.0質量部であり、好ましくは1.0〜7.0質量部である。なお脂肪酸エステルとして二種以上の異なる脂肪酸エステルを使用する場合、含有量とは、それらの合計含有量をいうものとする。この点は、本発明および本明細書において、特記しない限り、他の成分の含有量についても同様とする。
また、上記磁気テープが非磁性支持体と磁性層との間に非磁性層を有する場合、非磁性層の脂肪酸エステル含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0〜10.0質量部であり、好ましくは0.1〜8.0質量部である。
上記磁気テープは、潤滑剤の一種である脂肪酸エステルを含むが、脂肪酸エステル以外の潤滑剤を任意に磁性層および/または非磁性層に含んでいてもよい。なお上記の通り、非磁性層に含まれる潤滑剤は、磁性層側に移行し磁気テープ表面に存在し得る。任意に含まれる潤滑剤としては、脂肪酸を挙げることができる。また、脂肪酸アミド等を挙げることもできる。なお脂肪酸エステルは流体潤滑剤として機能することができる成分と言われているのに対し、脂肪酸および脂肪酸アミドは、境界潤滑剤として機能することができる成分と言われている。境界潤滑剤は、粉末(例えば強磁性粉末)の表面に吸着し強固な潤滑膜を形成することで接触摩擦を下げることのできる潤滑剤と考えられる。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることができ、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。なお脂肪酸は、金属塩等の塩の形態で磁性層に含まれていてもよい。
脂肪酸アミドとしては、上記の各種脂肪酸のアミド、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等を挙げることができる。
脂肪酸と脂肪酸の誘導体(アミドおよびエステル等)については、脂肪酸誘導体の脂肪酸由来部位は、併用される脂肪酸と同様または類似の構造を有することが好ましい。例えば、一例として、脂肪酸としてステアリン酸を用いる場合にステアリン酸エステルやステアリン酸アミドを使用することは好ましい。
磁性層の脂肪酸含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0〜10.0質量部であり、好ましくは0.1〜10.0質量部であり、より好ましくは1.0〜7.0質量部である。磁性層の脂肪酸アミド含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0〜3.0質量部であり、好ましくは0〜2.0質量部であり、より好ましくは0〜1.0質量部である。
また、上記磁気テープが非磁性支持体と磁性層との間に非磁性層を有する場合、非磁性層の脂肪酸含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0〜10.0質量部であり、好ましくは1.0〜10.0質量部であり、より好ましくは1.0〜7.0質量部である。非磁性層の脂肪酸アミド含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0〜3.0質量部であり、好ましくは0〜1.0質量部である。
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、各種磁気記録媒体の磁性層において通常用いられる強磁性粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは、磁気テープの記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末としては、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において、強磁性粉末およびその他の粉末についての平均粒子サイズとは、特記しない限り、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状の(ただし、厚みまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
そして、特記しない限り、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚みまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
上記磁気テープは、磁性層に、強磁性粉末、脂肪酸エステルとともに結合剤を含む。結合剤とは、一種以上の樹脂である。結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂である。なおこれらの樹脂は、ホモポリマーでもよく、コポリマー(共重合体)でもよい。これらの樹脂は、後述する非磁性層やバックコート層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報の段落0028〜0031を参照できる。また、結合剤は、電子線硬化型樹脂等の放射線硬化型樹脂であってもよい。放射線硬化型樹脂については、特開2011−48878号公報の段落0044〜0045を参照できる。
また、上記結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤とは、1分子中に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の架橋性官能基を有する化合物である。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報の段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、磁性層等の各層の強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で使用することができる。
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。上記磁性層は、一種以上の非磁性フィラーを含むことが好ましい。非磁性フィラーとしては、主に磁気テープ表面の突起制御のために添加される非磁性フィラー(以下、「突起形成剤」ともいう。)と、磁気テープ表面に研磨性を付与する研磨剤として添加される非磁性フィラーが挙げられる。磁性層は、少なくとも突起形成剤を含むことが好ましく、突起形成剤と研磨剤を含むことがより好ましい。
1.磁性層を約1g削り取る。削り取りは、例えば、かみそり刃などにより行うことができる。
2.削り取って得られた磁性層試料を、ナスフラスコ等の容器に入れ、この容器にテトラヒドロフランを100ml添加する。なおテトラヒドロフランは、安定剤を添加し市販されているものと安定剤無添加で市販されているものがあるが、安定剤無添加のテトラヒドロフランを用いる。以下に記載の洗浄に用いるテトラヒドロフランについても、同様である。
3.上記容器に還流管を取り付けて、水温60℃の湯浴において90分間加熱する。加熱後の容器内の内容物をろ紙によりろ過後、ろ紙上に残った固形分を数回テトラヒドロフランで洗浄し、洗浄後の固形分をビーカー等の容器に移す。この容器に4N(4mol/L)塩酸水溶液を添加して溶解せずに残った残渣をフィルタろ過により取り出す。フィルタとしては、孔径が0.05μmより小さいものを用いる。例えば、クロマトグラフィー分析用に使用されるメンブレンフィルタ (例えば、メルク社製のMFミリポア)を用いることができる。フィルタろ過により取り出した残渣は、数回、純水で洗浄後、乾燥させる。
上記操作により強磁性粉末および有機物(結合剤等)が溶解され、非磁性粒子が残渣として回収される。
以上の工程により、磁性層から非磁性粒子を取り出すことができる。こうして取り出した非磁性粒子の中に、複数種の非磁性粒子が含まれている場合には、密度の違いによって複数種の非磁性粒子を分別することができる。
磁気テープの磁性層側表面の平滑性が高いことは、電磁変換特性向上の観点から好ましい。この観点から、上記磁気テープの磁性層側表面において測定される中心線平均表面粗さRaは、2.8nm以下であることが好ましく、2.5nm以下であることがより好ましく、2.0nm以下であることが更に好ましい。また、上記中心線平均表面粗さRaは、例えば1.2nm以上または1.3nm以上であることができる。ただし、電磁変換特性向上の観点からは、磁気テープの磁性層側表面の平滑性は高いことが好ましいため、上記例示した範囲を下回ってもよい。磁気テープの磁性層側表面の平滑性は、公知の方法により制御することができる。例えば、磁性層に含まれる各種粉末(例えば、強磁性粉末、先に記載した非磁性フィラー等)のサイズ、磁気テープの製造条件等により磁気テープの磁性層側表面の平滑性は変わり得るため、これらを調整することにより、磁気テープの磁性層側表面において測定される中心線平均表面粗さRaを制御することができる。
上記磁気テープは、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有することもできる。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等が挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報の段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報の段落0040〜0041も参照できる。非磁性層における非磁性粉末の含有量(充填率)は、好ましくは50〜90質量%の範囲であり、より好ましくは60〜90質量%の範囲である。
上記磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する側とは反対側に、非磁性粉末および結合剤を含むバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラックおよび無機粉末の一方または両方が含有されていることが好ましい。バックコート層に含まれる結合剤、任意に含まれ得る各種添加剤については、磁性層や非磁性層の処方に関する公知技術を適用することができる。
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理等を行ってもよい。
上記磁気テープにおける非磁性支持体および各層の厚みについては、非磁性支持体の厚みは、例えば3.00〜80.00μmの範囲であり、好ましくは3.00〜50.00μmの範囲であり、より好ましくは3.00〜10.00μmの範囲である。
(各層形成用組成物の調製)
磁性層、または任意に設けられる非磁性層、バックコート層を形成するための組成物は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される各種有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン、シクロヘキサン等を使用することができる。
磁性層は、磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に直接、または非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。バックコート層は、バックコート層形成用組成物を、非磁性支持体の磁性層を有する(または磁性層が追って設けられる)側とは反対側に塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報の段落0066を参照できる。
磁気テープ製造のためのその他の各種工程については、特開2010−231843号公報の段落0067〜0070を参照できる。
好ましい製造方法としては、磁気テープ表面における脂肪酸エステルの液膜の厚みの均一性向上のために、磁性層に振動を加える製造方法を挙げることができる。振動を加えることにより、磁気テープ表面の脂肪酸エステルの液膜が流動し、液膜の厚みの均一性が向上すると、本発明者らは推察している。
即ち、本発明の一態様は、上記磁気テープの製造方法であって、
非磁性支持体上に、強磁性粉末、結合剤および脂肪酸エステルを含む磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させることにより磁性層を形成すること、および、
形成した磁性層に振動を加えること、
を含む磁気テープの製造方法、
に関する。磁性層に振動を加える点以外は、通常の磁気テープの製造工程と同様であり、その詳細は先に記載した通りである。
<磁性層形成用組成物>
(磁性液)
強磁性六方晶バリウムフェライト粉末:100.0部
(保磁力Hc:2100Oe(168kA/m)、平均粒子サイズ:25nm)
スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂:15.0部
シクロヘキサノン:150.0部
メチルエチルケトン:150.0部
(研磨剤液)
α−アルミナ(平均粒子サイズ110nm):9.0部
塩化ビニル共重合体(日本ゼオン製MR110):0.7部
シクロヘキサノン:20部
(シリカゾル)
ゾルゲル法により調製されたコロイダルシリカ(平均粒子サイズ:表1参照):3.5部
メチルエチルケトン:8.2部(その他成分)
ブチルステアレート:1.0部
ステアリン酸:1.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネート):2.5部
(仕上げ添加溶媒)
シクロヘキサノン:180.0部
メチルエチルケトン:180.0部
非磁性無機粉末(α−酸化鉄):80.0部
(平均粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、BET(Brunauer−Emmett−Teller)比表面積:52m2/g)
カーボンブラック(平均粒子サイズ20nm):20.0部
電子線硬化型塩化ビニル共重合体:13.0部
電子線硬化型ポリウレタン樹脂:6.0部
フェニルホスホン酸:3.0部
シクロヘキサノン:140.0部
メチルエチルケトン:170.0部
ブチルステアレート:表1参照
ステアリン酸:表1参照
非磁性無機粉末(α−酸化鉄):80.0部
(平均粒子サイズ:0.15μm、平均針状比:7、BET比表面積:52m2/g)
カーボンブラック(平均粒子サイズ20nm):20.0部
カーボンブラック(平均粒子サイズ100nm):3.0部
塩化ビニル共重合体:13.0部
スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂:6.0部
フェニルホスホン酸:3.0部
シクロヘキサノン:140.0部
メチルエチルケトン:170.0部
ステアリン酸:3.0部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネート):5.0部
メチルエチルケトン:400.0部
磁性層形成用組成物は、以下の方法によって調製した。
上記磁性液をオープンニーダにより混練・希釈処理後、横型ビーズミル分散機により、粒径0.5mmのジルコニア(ZrO2)ビーズ(以下、「Zrビーズ」と記載する)を用い、ビーズ充填率80体積%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、12パスの分散処理を行った。
研磨剤液は、上記成分を混合した後、粒径1mmのZrビーズとともに縦型サンドミル分散機に入れ、ビーズ体積/(研磨剤液体積+ビーズ体積)が60%になるように調整し、180分間サンドミル分散処理を行い、処理後の液を取り出し、フロー式の超音波分散ろ過装置を用いて、超音波分散ろ過処理を施した。
磁性液、シリカゾルおよび研磨剤液と、その他の成分および仕上げ添加溶媒をディゾルバー攪拌機に導入し、周速10m/秒で30分間攪拌した後、フロー式超音波分散機により流量7.5kg/分で表1に示すパス回数で処理した後に、表1に示す孔径のフィルタで表1に示す回数ろ過して磁性層形成用組成物を調製した。
潤滑剤(ブチルステアレート、ステアリン酸)を除く上記成分をオープンニーダにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ブチルステアレート、ステアリン酸)を添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌して混合処理を施して非磁性層形成用組成物を調製した。
潤滑剤(ステアリン酸)およびポリイソシアネート、メチルエチルケトン(400.0部)を除く上記成分をオープンニーダにより混練・希釈処理して、その後、横型ビーズミル分散機により分散処理を実施した。その後、潤滑剤(ステアリン酸)およびポリイソシアネート、メチルエチルケトン(400.0部)を添加して、ディゾルバー攪拌機にて攪拌して混合処理を施し、バックコート層形成用組成物を調製した。
厚み6.00μmのポリエチレンナフタレート支持体上に、乾燥後の厚みが1.00μmになるように非磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた後、125kVの加速電圧で40kGyのエネルギーとなるように電子線を照射した。その上に乾燥後の厚みが50nmになるように磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させ、更にバックコート層形成用組成物を支持体の反対面に乾燥後の厚みが0.50μmになるように塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダロールを用いて、カレンダ処理速度80m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、および表1に示すカレンダロールの表面温度で表面平滑化処理(カレンダ処理)を行った。その後、雰囲気温度70℃の環境で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性層表面に押し当たるように取り付けたテープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行いテープ試料を得た。
得られたテープ試料を、図1に示す振動付与装置に、バックコート層側表面が振動付与ユニットと接するように設置し、テープ試料(図1中、符号101)を搬送速度0.5m/sで搬送させてテープ試料の磁性層に振動を付与した。図1中、符号102はガイドローラ(符号102は2つのガイドローラの一方に付した)、符号103は振動付与装置(内部に超音波振動子を含む振動付与ユニット)、矢印は搬送方向を示す。テープ試料上の任意の箇所が振動付与ユニットとの接触を開始してから接触が終了するまでの時間を振動付与時間として、表1に示す。超音波振動子の振動周波数および強度を表1に示す値として、上記振動付与を行った。
以上により、磁気テープを作製した。
表1に示すように各層形成用組成物の処方および/または製造条件を変更した点以外、実施例3と同様の方法で磁気テープを作製した。振動付与時間は、テープ試料の搬送速度を変えることにより調整した。
表1中、CSは、ゾルゲル法で調製されたコロイダルシリカである。なお実施例および比較例で用いたコロイダルシリカが、先に記載の定義に当てはまるコロイド粒子であることを確認した。
表1中、CBは、表1に示す平均粒子サイズ(平均一次粒子サイズ)を有するカーボンブラックである。磁性層の非磁性フィラーとしてカーボンブラックを用いた実施例、比較例では、シリカゾルに代えて、以下に記載の方法で調製したカーボンブラック液を、磁性層形成用組成物におけるカーボンブラック含有量が3.5質量部となる量で用いて磁性層形成用組成物を調製した。
カーボンブラック液は、
表1に示すカーボンブラック:0.50部
トリオクチルアミン(花王製ファーミン(登録商標)T08):0.05部
シクロヘキサン:4.50部
を混合し、以下の処理を施し調製した。攪拌機付きバッチ型超音波分散装置にて、攪拌回転数1500rpmで、6時間超音波処理して液化処理した。液化したカーボンブラック液を横型ビーズミル分散機により、粒径0.5mmのZrビーズを用い、ビーズ充填率80体積%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、6パスの分散処理を行った。その液をディゾルバー攪拌機で周速10m/秒で30分攪拌後、フロー式超音波分散機にて流量3kg/分で、3パス処理した。
<各層形成用組成物の調製>
実施例1と同様に、磁性層形成用組成物、非磁性層形成用組成物およびバックコート層形成用組成物を調製した。
厚み6.00μmのポリエチレンナフタレート支持体上に、乾燥後の厚みが1.00μmになるよう非磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させた後、125kVの加速電圧で40kGyのエネルギーとなるよう電子線を照射した。その上に乾燥後の厚みが50nmになるように磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させて磁性層を形成した。
その後、上記のように支持体上に非磁性層および磁性層を形成したテープ試料を、図1に示す振動付与装置に、非磁性層および磁性層を形成した表面とは反対側の表面が振動付与ユニットと接するように設置し、このテープ試料を搬送速度0.5m/sで搬送させて磁性層に振動を付与した。上記テープ試料の任意の箇所が振動付与ユニットとの接触を開始してから接触が終了するまでの時間を振動付与時間として、表1に示す。超音波振動子の振動周波数および強度を表1に示す値として振動付与を行った。
その後、上記テープ試料の、非磁性層および磁性層を形成した表面とは反対側の表面上に、バックコート層形成用組成物を乾燥後の厚みが0.50μmになるように塗布し乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダロールを用いて、カレンダ処理速度80m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、および表1に示すカレンダロールの表面温度で表面平滑化処理(カレンダ処理)を行った。その後、雰囲気温度70℃の環境で36時間熱処理を行った。熱処理後、1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性層表面に押し当たるように取り付けたテープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行った。
以上により、磁気テープを作製した。
表1に示すように各層形成用組成物の処方および/または製造条件を変更した点以外、実施例10と同様の方法で磁気テープを作製した。振動付与時間は、テープ試料の搬送速度を変えることにより調整した。
表1中、MPとは、強磁性金属粉末であり、平均粒子サイズ(平均長軸長)は30nmであった。
<1.真空加熱前後のスペーシング分布FWHMbefore、FWHMafter>
TSA(Tape Spacing Analyzer (Micro Physics社製))を用いて、以下の方法により、真空加熱前後のスペーシング分布FWHMbefore、FWHMafterを求めた。
磁気テープの磁性層側表面上に、TSAに備えられたガラス板を配置した状態で、押圧部材としてTSAに備えられているウレタン製の半球を用いて、この半球を磁気テープのバックコート層側表面に、5.05×104 N/m(0.5atm)の圧力で押しつけた。この状態で、TSAに備えられているストロボスコープから白色光を、ガラス板を通して磁気テープの磁性層側表面の一定領域(150000〜200000μm2)に照射し、得られる反射光を、干渉フィルタ(波長633nmの光を選択的に透過するフィルタ)を通してCCD(Charge−Coupled Device)で受光することで、この領域の凹凸で生じた干渉縞画像を得た。
この画像を300000ポイントに分割して各ポイントのガラス板の磁気テープ側の表面から磁気テープの磁性層側表面までの距離(スペーシング)を求めこれをヒストグラムとし、ヒストグラムをガウス分布でフィッティングしたときの半値全幅をスペーシング分布の半値全幅とした。
真空加熱は、磁気テープを、200Pa以上0.01MPa以下の真空度の内部雰囲気温度70〜90℃の真空定温乾燥機に24時間保存することにより行った。
上記1.で得た真空加熱後のヒストグラムの最頻値から、真空加熱前のヒストグラムの最頻値を差し引いて、差分Safter−Sbeforeとした。
AFM(Veeco社Nanoscope4)で、磁気テープの磁性層側表面の面積40μm×40μmの領域を測定し、中心線平均表面粗さRaを求めた。スキャン速度(探針移動速度)は40μm/sec、分解能は512pixel×512pixelとした。
<1.電磁変換特性(Signal−to−noise ratio; SNR)の評価>
雰囲気温度23℃±1℃、相対湿度50%の環境下にて、上記で作製した磁気テープについて、記録ヘッド(MIG(Metal−in−gap)ヘッド、ギャップ長0.15μm、1.8T)と再生用GMR(Giant Magnetoresistive)ヘッド(再生トラック幅1μm)をループテスターに取り付けて、線記録密度325kfciの信号を記録し、その後、再生出力、SNRを測定した。比較例1のSNRを0dBとした時にSNRが0dB以上であれば高密度記録用磁気テープとして好適であり、1.0dB以上であれば、高密度記録化に伴う今後の厳しいニーズに対応しうる性能を有すると評価することができる。
走行中に磁気テープ表面に傷が発生すると、傷が発生した箇所で局所的に再生信号振幅が低下する現象が確認される。そこで以下の方法により、再生信号振幅の低下の発生頻度に基づき、走行中の磁気テープ表面の傷発生の評価を行った。
雰囲気温度40℃±1℃、相対湿度80%の環境下にて、IBM社製LTO(登録商標)G6(Linear Tape−Open Generation 6)ドライブから取り外した磁気記録再生ヘッドをテープ走行系に取り付け、0.6Nのテンションをかけながらテープ長20mの磁気テープを、送り出しロールから送り出し、12m/sで走行させ、巻き取りロールへ巻き取る方法で10000サイクル走行させた。サイクル後のテープをIBM社製LTO G6ドライブにて走行させ、記録再生信号出力を外部AD(Analog/Digital)変換装置に取り込み、再生信号振幅が平均(全長での測定値の平均)に対して70%以上落ち込んだ頻度をカウントした。上記頻度が、テープ単位長さあたり10個/m以下であれば、高密度記録化に伴う今後の厳しいニーズに対応しうる性能を有すると評価することができる。
上記2.のヘッドに歪みゲージを取付け、上記2.の条件での走行中に得られる電圧値をモニターし、その電圧値から換算した荷重が1.5Nを超えると貼り付きと判断した。10000サイクル走行の間、貼り付き回数が1回以下であれば、高密度記録化に伴う今後の厳しいニーズに対応しうる性能を有すると評価することができる。
Claims (11)
- 非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
前記磁性層は脂肪酸エステルを含み、
前記磁気テープを真空加熱する前に前記磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシング分布の半値全幅は、0nm超かつ5.0nm以下であり、
前記磁気テープを真空加熱した後に前記磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシング分布の半値全幅は、0nm超かつ5.0nm以下であり、かつ
前記磁気テープを真空加熱した後に前記磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシングSafterと、前記磁気テープを真空加熱する前に前記磁気テープの磁性層側表面において光学干渉法により測定されるスペーシングSbeforeとの差分、Safter−Sbefore、は、0nm超かつ8.0nm以下である磁気テープ。 - 前記磁気テープの磁性層側表面で測定される中心線平均表面粗さRaは2.8nm以下である請求項1に記載の磁気テープ。
- 前記磁気テープの磁性層側表面で測定される中心線平均表面粗さRaは2.5nm以下である請求項1または2に記載の磁気テープ。
- 前記磁気テープの磁性層側表面で測定される中心線平均表面粗さRaは2.0nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気テープ。
- 前記磁性層は、非磁性フィラーを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
- 前記非磁性フィラーは、コロイド粒子である請求項5に記載の磁気テープ。
- 前記コロイド粒子は、シリカコロイド粒子である請求項6に記載の磁気テープ。
- 前記非磁性フィラーは、カーボンブラックである請求項5に記載の磁気テープ。
- 前記非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気テープ。
- 前記磁性層は、脂肪酸を更に含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気テープ。
- 請求項1〜10いずれか1項に記載の磁気テープの製造方法であって、
非磁性支持体上に、強磁性粉末、結合剤および脂肪酸エステルを含む磁性層形成用組成物を塗布し乾燥させることにより磁性層を形成すること、および、
形成した磁性層に振動を加えること、
を含む、前記磁気テープの製造方法。
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