本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収体を有する。本発明の吸収性物品の態様としては、尿パッド(失禁パッドを含む)、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等が示される。
吸収性物品は、前後方向と幅方向とを有する。「前後方向」とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。「幅方向」とは、吸収性物品と同一面上にあり、前後方向と直交する方向を意味する。前後方向と幅方向から形成される平面上の方向を平面方向と規定する。また本発明において、「上側」とは、吸収性物品を着用した際の着用者側を意味し、「下側」とは、吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側、すなわち外側を意味する。上側から下側に延びる方向を、上下方向と規定する。
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が尿パッドである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が示される。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、吸収性物品は、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置し吸収体が備えられた股部とから構成される。使い捨ておむつとしては、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるパンツ部材の肌側面に、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された吸収性本体が設けられてもよい。このとき、吸収性本体の形状としては略長方形等が示される。使い捨ておむつとしてはまた、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された積層体が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを形成してもよい。なお、前腹部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前腹部と後背部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、後背部の左右側端に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつであったり、ウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。
トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルム等を用いてもよい。
バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。本発明において、液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
パンツ部材は、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。パンツ部材は、内側シートに外側シートが積層されて形成されることが好ましく、親水性の内側シートに液不透過性の外側シートが積層されて形成されることがより好ましい。
上記説明した各シート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
吸収性物品には、幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向の両側に設けられることが好ましく、これにより着用者から排泄された尿等が、立ち上がりフラップの間で液溜まりなどを形成することなく、トップシートを透過して吸収体に速やかに吸収されやすくなる。
立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、前後方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向内方に弾性部材を設けることにより形成される。このようにサイドシートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向内方が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
立ち上がりフラップに設けられる弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接合手段としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤が用いられる。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
吸収体は、トップシートとバックシートの間に配され、着用者から排泄されてトップシートを透過した尿等を吸収し保持する。本発明の吸収性物品は、吸収体として、複数層のシート部材を含み、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された第1吸収体を有する。第1吸収体は、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成されているため、高い吸収容量を有しながら、薄型に形成することができる。なお後述するように、吸収性物品は、吸収体として、第1吸収体のバックシート側に第2吸収体を有していてもよく、第2吸収体は吸水性樹脂とパルプ繊維を含有することが好ましい。第1吸収体は好ましくは吸収体の中で最上側に配され、また第2吸収体が設けられる場合は、第1吸収体は第2吸収体と隣接して設けられる。
第1吸収体は、吸水性樹脂の上側と下側にそれぞれシート部材が設けられ、いわば上側のシート部材と下側のシート部材を有する。上側のシート部材と下側のシート部材は別々のシート部材から構成されてもよく、1つのシート部材を折り返し、折り返された一方側を上側のシート部材とし、他方側を下側のシート部材としてもよい。
第1吸収体は、複数層のシート部材を含み、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成される限り、第1吸収体が複数重なって形成されてもよい。例えば、第1吸収体は、上側吸収層と下側吸収層が積層されて構成され、上側吸収層と下側吸収層のそれぞれが複数層のシート部材を含み、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成されてもよい。この場合、吸水性樹脂が配された層(すなわち吸水性樹脂層)が複数形成されることとなる。もちろん第1吸収体は、吸水性樹脂層が1層のみ形成されるものでもよい。
第1吸収体に設けられるシート部材は液透過性であり、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたものを用いることができる。また、シート部材として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。好ましくは、シート部材として、不織布製シート部材(不織布シート)を用いる。
第1吸収体は、上側のシート部材と下側のシート部材の間に吸水性樹脂が配されるが、これらのシート部材の間にはパルプ繊維は配されない。なお第1吸収体において、製造上不可避的に混入するパルプ繊維の存在は許容される。第1吸収体は、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成されるため、高い吸収容量を有しつつ薄型に形成することができる。
吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸系の吸水性樹脂;デンプン−アクリロニトリルグラフト共重合体、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体、デンプン−アクリルアミドグラフト共重合体等のデンプン系の吸水性樹脂;ポリビニルアルコール架橋体等のポリビニルアルコール系の吸水性樹脂等を用いることができる。吸水性樹脂としては、高い液吸収量を有する点で、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸系の吸水性樹脂を用いることが好ましい。
第1吸収体は、幅方向の両側に端部領域とこれらの間に位置する中央領域を有する。端部領域は、第1吸収体の幅方向の一方端を含む領域と他方端を含む領域とから構成される。中央領域は、第1吸収体の一方側の端部領域と他方側の端部領域の間に、それぞれに隣接して設けられる。第1吸収体の端部領域と中央領域の幅方向の長さは特に限定されないが、中央領域は、第1吸収体の幅方向の長さの25%〜80%(より好ましくは30%〜75%)となるように設けられることが好ましい。なお、第1吸収体の端部領域と中央領域はそれぞれ、前後方向の全体にわたって形成されることが好ましい。
ところで、従来、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収体は、高い吸収容量を実現できるものの、パルプ繊維が含まれていないために尿等の吸収速度が遅くなりがちであり、そのため尿等の横漏れ防止という点では改善の余地があった。また、吸水性樹脂が一旦尿等を吸収すると、吸水性樹脂が膨潤することにより、吸収体での尿等の拡散が阻害されやすくなり、尿等の吸収性能が低下するおそれがあった。この点で、尿等の吸収速度を高めて横漏れ防止効果を高めることと、尿等の拡散性を確保して吸収性能を高めることとは、相反する関係にあり、両性能を同時に高めることは難しかった。
そこで本発明の吸収性物品は、第1吸収体の端部領域に、ボルテックス法による吸水速度が20秒以下である吸水性樹脂を配し、中央領域に、ボルテックス法による吸水速度が40秒以上である吸水性樹脂を配するようにしている。すなわち、第1吸収体の端部領域には比較的吸水速度の速い吸水性樹脂が配され、中央領域には比較的吸水速度の遅い吸水性樹脂が配されている。なお以下の記載において、ボルテックス法による吸水速度が20秒以下の吸水性樹脂を「速効性吸水性樹脂」と称し、ボルテックス法による吸水速度が40秒以上の吸水性樹脂を「遅効性吸水性樹脂」と称する場合がある。
本発明の吸収性物品は、第1吸収体の端部領域に速効性吸水性樹脂が配されているため、着用者から排泄された尿等が第1吸収体上で幅方向に広がっても、尿等が端部領域に配された速効性吸水性樹脂によって速やかに吸収され、尿等の横漏れが起こりにくくなる。一方、第1吸収体の中央領域は着用者から排泄された尿等を受けやすいところ、中央領域には遅効性吸水性樹脂が配されているため、尿等が中央領域で拡散しやすくなり、第1吸収体に配された吸水性樹脂が広範囲で尿等の吸収に寄与し、尿等の吸収性能を高めることができる。
速効性吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度は、20秒以下であり、15秒以下が好ましく、10秒以下がより好ましい。一方、前記吸水速度の下限は特に限定されないが、速効性吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度は、例えば、1秒以上であればよく、2秒以上がより好ましい。ボルテックス法による吸水速度が20秒以下の吸水性樹脂としては、例えば、住友精化株式会社製のアクアキープ(登録商標)10SH−PFを用いることができる。
遅効性吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度は、40秒以上であり、60秒以上が好ましく、80秒以上がより好ましく、100秒以上がさらに好ましい。一方、前記吸水速度の上限は特に限定されないが、尿等が吸水性樹脂によって好適に固定されるようにする点から、遅効性吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度は、300秒以下が好ましく、240秒以下がより好ましい。ボルテックス法による吸水速度が40秒以上の吸水性樹脂としては、従来一般に吸収性物品に使用される吸水性樹脂を用いることができる。
吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度は、JIS K 7224(1996年版)に従って測定する。具体的には次のようにして吸水速度を求める。100mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)を入れ、ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製HPS−100)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±60rpmに調整し、生理食塩水を撹拌する。吸水性樹脂2.0gを、撹拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、吸水性樹脂のビーカーへの投入が完了した時点で計時を開始し、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)で計時を止め、その時間(秒)を吸水速度として記録する。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。なお、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に吸水性樹脂を同環境で24時間以上保存した後に測定する。
吸収性物品からの吸水性樹脂の取り出しは次のようにして行う。第1吸収体から吸水性樹脂を取り出す場合は、吸水性樹脂を間に配したシート部材を分離するなどして、シート部材の間に配された吸水性樹脂を取り出す。この際、端部領域と中央領域のそれぞれから吸水性樹脂を取り出して、各領域に配された吸水性樹脂の吸水速度を測定する。また後述するように、第2吸収体が吸水性樹脂とパルプ繊維を有し、第2吸収体に配される吸水性樹脂の吸水速度を測定する必要性が生じた場合は、吸水性樹脂とパルプ繊維の混合物を篩を用いて吸水性樹脂とパルプ繊維とに分離することにより、吸水性樹脂を取り出す。
第1吸収体の中央領域には、遅効性吸水性樹脂のみが配されることが好ましい。第1吸収体の中央領域に遅効性吸水性樹脂のみが配されていれば、着用者から受けた尿等が中央領域で平面方向に拡散しやすくなり、第1吸収体に配された吸水性樹脂が広範囲で尿等の吸収に寄与しやすくなる。
一方、端部領域には、速効性吸水性樹脂と遅効性吸水性樹脂の両方が配されていてもよい。例えば、第1吸収体が端部領域で複数層の吸水性樹脂層を有する場合などは、少なくとも1つの吸水性樹脂層に速効性吸水性樹脂が配されていればよい。
端部領域には、速効性吸水性樹脂のみが配されていてもよい。例えば、第1吸収体が吸水性樹脂層を1層のみ有する場合は、端部領域には速効性吸水性樹脂のみが配されていることが好ましい。また、第1吸収体が端部領域で複数層の吸水性樹脂層を有する場合は、端部領域の各吸水性樹脂層に速効性吸水性樹脂を配することで、端部領域に高さの高い拡散防止壁が形成されやすくなり、尿等の横漏れを防止効果が高まる。
第1吸収体は、シート部材どうしが互いに接合されて封止部が形成されていることが好ましい。一方、シート部材どうしが互いに接合されない非封止部には、吸水性樹脂が配されて、吸収領域が形成されていることが好ましい。封止部は、シート部材どうしを接着剤で接合したり、ヒートシール(熱融着)や超音波接着することにより形成される。封止部は、シート部材どうしが接合される部分として規定され、封止部での吸水性樹脂の存在は許容される。
第1吸収体に封止部が形成されていれば、封止部を通って尿等が第1吸収体上を拡散しやすくなる。また、第1吸収体の下側に第2吸収体が設けられる場合などは、封止部を尿等が透過して、尿等が第2吸収体に移行しやすくなり、第2吸収体によって尿等が好適に吸収されやすくなる。
第1吸収体は、各端部領域の幅方向の両側で、シート部材どうしが互いに接合されて封止部が形成されていることが好ましい。第1吸収体がこのように形成されていれば、端部領域に配された吸水性樹脂が尿等を吸収することにより膨潤して、端部領域が上下方向に高く膨らみやすくなる。その結果、端部領域により拡散防止壁が形成され、尿等がそれ以上幅方向の外方に拡散しにくくなり、尿等の横漏れ防止効果が高まる。
封止部は、第1吸収体の前後方向の全長にわたって延びるように設けられることが好ましい。また吸収領域は、第1吸収体の前後方向の全長にわたって延びるように設けられることが好ましい。例えば、端部領域の幅方向の両側に、第1吸収体の前後方向の全長にわたって延びるように封止部が設けられれば、端部領域の前後方向の全体にわたって拡散防止壁が好適に形成され、尿等の横漏れが防止されやすくなる。
封止部は、各端部領域の幅方向の両側とその間に合計3つ以上幅方向に並んで設けられてもよい。この場合、封止部は、端部領域において吸収領域を幅方向に分割するように設けられることとなる。このように端部領域に封止部が設けられれば、封止部を通って尿等が第1吸収体を前後方向に拡散しやすくなり、端部領域に配された吸水性樹脂のより多くが尿等の吸収に寄与しやすくなり、第1吸収体の吸収能を高めることができる。なお、端部領域の吸水性樹脂が尿等を吸収することによって、より高い拡散防止壁が形成されるようにする点からは、封止部は、端部領域では、幅方向の両側のみに設けられることが好ましい。
封止部は、中央領域に設けられてもよい。例えば、封止部は、中央領域の吸収領域を幅方向に分割するように設けられることが好ましい。このように封止部が設けられれば、中央領域において尿等が第1吸収体の前後方向に拡散しやすくなり、中央領域に配された吸水性樹脂のより多くが尿等の吸収に寄与しやすくなり、第1吸収体の吸収性能を高めることができる。
封止部は、第1吸収体が吸水しても、シート部材どうしの接合が維持されることが好ましい。このように封止部が形成されることにより、第1吸収体が尿等を吸収することによって吸収領域が上下方向に膨らんで拡散防止壁がより高く形成されやすくなる。封止部でシート部材どうしの接合が維持されやすくするためには、シート部材どうしを、ゴム系接着剤(例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレン等)やスチレン系エラストマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等)で接着したり、ヒートシール(熱融着)あるいは超音波接着することが好ましい。
第1吸収体の吸収領域(すなわち非封止部に吸水性樹脂が配される領域)に配される吸水性樹脂の量は、50g/m2以上が好ましく、100g/m2以上がより好ましく、また400g/m2以下が好ましく、385g/m2以下がより好ましい。吸収領域に吸水性樹脂が50g/m2以上の量で配されていれば、第1吸収体の吸収容量を高めやすくなる。一方、吸収領域に吸水性樹脂が400g/m2以下の量で配されていれば、吸収領域に配された吸水性樹脂の吸収能が効率的に活用されやすくなる。
端部領域の吸収領域に配される速効性吸水性樹脂の量(単位面積当たりの質量)は、中央領域の吸収領域に配される遅効性吸水性樹脂の量(単位面積当たりの質量)よりも少ないことが好ましい。速効性吸水性樹脂は、尿等を速やかに吸収するために、すぐに膨潤して、遅効性吸水性樹脂よりも吸水性樹脂全体が尿等の吸収に寄与しにくくなる。そのため、吸水性樹脂の吸収能を有効に活用し、かつ吸収容量をできるだけ高める点から、速効性吸水性樹脂の配設量は遅効性吸水性樹脂の配設量よりも少なくすることが好ましい。
端部領域の吸収領域に配される速効性吸水性樹脂の量は、例えば、50g/m2以上が好ましく、100g/m2以上がより好ましく、また200g/m2以下が好ましく、180g/m2以下がより好ましい。中央領域の吸収領域に配される遅効性吸水性樹脂の量は、例えば、100g/m2以上が好ましく、150g/m2以上がより好ましく、また400g/m2以下が好ましく、385g/m2以下がより好ましい。
第1吸収体では、吸水性樹脂が接着剤によってシート部材に固定されていることが好ましい。すなわち、シート部材には接着剤が塗布されて接着剤層が設けられ、吸水性樹脂が接着剤層でシート部材に固定されていることが好ましい。接着剤層は、上側のシート部材と下側のシート部材の少なくとも一方に設けられればよいが、好ましくは、接着剤層は上側のシート部材と下側のシート部材の両方に設けられる。吸水性樹脂は、少なくとも一部が接着剤層に固定されていればよく、例えば、接着剤層に接する吸水性樹脂が接着剤層に固定されていればよい。吸水性樹脂が接着剤層によりシート部材に固定されていれば、吸水性樹脂がシート部材の間で移動しにくくなり、第1吸収体が所望する性能を発揮しやすくなる。
接着剤層は、吸水性樹脂を固定しつつ、吸水性樹脂による吸水や膨潤を阻害しないことが好ましい。この点から、接着剤層は断続的なパターンで設けられることが好ましく、例えば、接着剤層は、接着剤を網状やストライプ状や散点状に塗布することにより形成されることが好ましい。接着剤層を網状に形成する場合は、カーテンスプレー法、スパイラルコーティング法、オメガコーティング法等により接着剤を塗布すればよい。
接着剤層を形成する接着剤としては、上記に説明したような封止部を形成するのに使用可能な接着剤を使用することができる。また、接着剤層によって封止部が形成されてもよい。この場合、接着剤層によってシート部材どうしが接合され、これにより封止部が形成されることとなる。
第1吸収体の構成例について、図面を参照して説明する。図1は、第1吸収体の幅方向断面図の一例を表し、図2は、図1に示した第1吸収体の一部切欠き平面図を表す。図3は、第1吸収体の幅方向断面図の他の例を表し、図4は、第1吸収体の幅方向断面図のさらに他の例を表す。図面において、矢印x、y、zはそれぞれ吸収性物品の幅方向、前後方向、上下(厚み)方向を表す。
図1および図2に示した第1吸収体について説明する。第1吸収体11は、複数層のシート部材12を含み、シート部材12の間に吸水性樹脂13を有しパルプ繊維を有しないように構成され、幅方向xの両側に端部領域15とこれらの間に位置する中央領域16を有している。端部領域15には、ボルテックス法による吸水速度が20秒以下である速効性吸水性樹脂13Aが配され、中央領域16には、ボルテックス法による吸水速度が40秒以上である遅効性吸水性樹脂13Bが配されている。このように第1吸収体11が形成されることにより、着用者から排泄された尿等は中央領域16で平面方向に拡散して、広範囲にわたって尿等が吸水性樹脂13によって吸収され、効率的な尿等の吸収が実現される。一方、幅方向xに広がった尿等は、端部領域15に配された速効性吸水性樹脂13Aによって速やかに吸収され、尿等の横漏れが効果的に防止される。
図1および図2に示した第1吸収体11は、シート部材12に接着剤が塗布されて接着剤層14が形成され、吸水性樹脂13が接着剤層14によりシート部材12に固定されている。第1吸収体11は、シート部材12どうしが接合された部分に封止部17が形成され、シート部材12どうしが接合されない部分に非封止部18が形成されている。封止部17は、シート部材12どうしが接着剤層14によって互いに接合されることにより形成され、非封止部18には吸水性樹脂13が配されて吸収領域が形成されている。各端部領域15は幅方向xの両側に封止部17が形成されており、これにより、端部領域15に配された吸水性樹脂13Aが尿等を吸収した際、吸水性樹脂13Aが膨潤して、端部領域15が上下方向zに高く膨らみやすくなる。その結果、端部領域15により拡散防止壁が形成され、尿等がそれ以上幅方向xの外方に拡散しにくくなり、尿等の横漏れ防止効果が高まる。
図1および図2に示した第1吸収体11は、速効性吸水性樹脂13Aが配された端部領域15と遅効性吸水性樹脂13Bが配された中央領域16とが同一面上に形成されている。このように第1吸収体11が形成されていれば、中央領域16と同一面上に形成された端部領域15に速効性吸水性樹脂13Aが配されているため、中央領域16に排泄された尿等が幅方向xに拡散しても、端部領域15の速効性吸水性樹脂13Aによって尿等が確実に吸収・固定されやすくなる。また端部領域15の速効性吸水性樹脂13Aが尿等を吸収することにより、端部領域15が盛り上がって、尿等が端部領域15によって堰き止められるようになり、横漏れ防止効果が高まる。
次に図3および図4に示した第1吸収体について説明する。なお下記において、上記と重複する説明を省略する。また、図3と図4では参照符号が一部省略して示されているが、省略された参照符号は図1に基づき図3と図4にも同じように適用されるものとする。
図3に示した第1吸収体11は、端部領域15のみに存在する上側吸収層11Uと、端部領域15と中央領域16に存在する下側吸収層11Lとを有し、上側吸収層11Uに速効性吸水性樹脂13Aが配され、下側吸収層11Lに遅効性吸水性樹脂13Bが配されている。詳細には、端部領域15は上側吸収層11Uと下側吸収層11Lとから構成され、中央領域16は下側吸収層11Lのみから構成されている。そして、端部領域15に速効性吸水性樹脂13Aのみが配され、中央領域16に遅効性吸水性樹脂13Bのみが配されている。図3に示した第1吸収体11は、いわば図1に示した第1吸収体を下側吸収層11Lとして、その上に、速効性吸水性樹脂13Aが配された上側吸収層11Uが端部領域15に設けられている。このように第1吸収体11が形成されていれば、端部領域15の速効性吸水性樹脂13Aが尿等を吸収することにより、端部領域15に高さの高い拡散防止壁が形成され、尿等の横漏れ防止効果が高まる。
図4に示した第1吸収体11も、端部領域15のみに存在する上側吸収層11Uと、端部領域15と中央領域16に存在する下側吸収層11Lとを有し、上側吸収層11Uに速効性吸水性樹脂13Aが配され、下側吸収層11Lに遅効性吸水性樹脂13Bが配されている。しかし図4に示した第1吸収体11では、下側吸収層11Lに遅効性吸水性樹脂13Bのみが配されており、従って、端部領域15には、上側吸収層11Uに速効性吸水性樹脂13Aが配され、下側吸収層11Lに遅効性吸水性樹脂13Bが配されていることとなる。このように第1吸収体11が形成されていれば、下側吸収層11Lは平面方向の全体にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなり、尿等の吸収効率を高めることができるとともに、上側吸収層11Uが尿等を吸収することにより端部領域15に拡散防止壁が形成されて、尿等の横漏れを防止することができる。また、中央領域16に遅効性吸水性樹脂13Bが配され、端部領域15に速効性吸水性樹脂13Aが配された第1吸収体11を簡便に製造することができる。
なお、図面には示されていないが、図3や図4に示すように第1吸収体が上側吸収層と下側吸収層から構成される場合、第1吸収体は、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収シート体が幅方向の両端部で折り返されることにより形成され、上側吸収層が折り返された両端部から形成され、下側吸収層が両端部の間の中間部から形成されてもよい。このように第1吸収体が形成されていれば、下側吸収層で尿等が幅方向の端縁まで拡散しても、吸収シート体の折り返し部によって尿等がそれ以上幅方向の外方に拡散するのが防止され、尿等の横漏れ防止効果がさらに高まる。
次に、第2吸収体について説明する。本発明の吸収性物品は、吸収体として、第1吸収体のバックシート側に第2吸収体が設けられてもよく、第2吸収体は吸水性樹脂とパルプ繊維を含有することが好ましい。第1吸収体のバックシート側に第2吸収体を設けることにより、第1吸収体を透過したり第1吸収体から溢れ出た尿等が第2吸収体で吸収され、尿等のバックシート側からの漏れ防止効果が高まる。
第2吸収体に配される吸水性樹脂は、第1吸収体に配される吸水性樹脂と同じであっても異なっていてもよい。第2吸収体に含まれるパルプ繊維としては、解繊パルプ繊維が好ましく用いられ、解繊パルプ繊維は繊維塊として用いられることが好ましい。第2吸収体は、パルプ繊維を含むことにより尿等の速やかな吸収を実現し、また第2吸収体での尿等の拡散性が高められる。第2吸収体は、吸水性樹脂を含むことにより尿等の保持能力が高められる。
第2吸収体には、ボルテックス法による吸水速度が40秒以上である吸水性樹脂が配されていることが好ましい。第2吸収体に配される吸水性樹脂がこのような吸水速度を有していれば、第2吸収体内での尿等の拡散性が高まり、第2吸収体の吸収能が広範囲にわたって活用されるようになる。第2吸収体に配される吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度は、より好ましくは60秒以上であり、さらに好ましくは80秒以上であり、特に好ましくは100秒以上である。一方、前記吸収速度の上限は特に限定されないが、尿等が吸水性樹脂によって好適に固定されるようにする点から、第2吸収体に配される吸水性樹脂のボルテックス法による吸水速度は、300秒以下が好ましく、240秒以下がより好ましい。
第2吸収体の吸水性樹脂の含有量は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、また40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。吸水性樹脂の含有量が5質量%以上であれば、第2吸収体の尿等の保持能力が高まり、吸水性樹脂の含有量が40質量%以下であれば、尿等の第2吸収体内での拡散性が高まる。
第2吸収体の目付は、90g/m2以上が好ましく、100g/m2以上がより好ましく、また150g/m2以下が好ましく、140g/m2以下がより好ましい。第2吸収体の目付が90g/m2〜150g/m2の範囲にあれば、第2吸収体の厚みが厚くなりすぎず、尿等の吸収性能に優れた第2吸収体が得やすくなる。
第2吸収体には、前後方向に延びる溝または開口が設けられることが好ましい。例えば、第2吸収体が吸水性樹脂とパルプ繊維を含有する成形体を有する場合は、当該成形体に前後方向に延びる溝または開口が形成されることが好ましい。この際、第2吸収体の溝または開口は、第1吸収体の中央領域と重なって設けられることが好ましい。このように第2吸収体に溝または開口が設けられることにより、第1吸収体の中央領域を透過した尿等が第2吸収体を前後方向に拡散しやすくなり、尿等が第2吸収体によって速やかに吸収されるようになる。
本発明において、「開口」とは上下方向に貫通して設けられるものであり、一方「溝」とは表面に形成された窪みを意味し、底面を有するものとして規定される。溝または開口は第2吸収体の上面に設けられればよく、第2吸収体の成形体に溝または開口が形成される場合は、成形体の溝または開口が被覆シートで覆われていてもよい。
溝または開口は、前後方向の長さが幅方向の長さよりも長くなるように延びるように設けられる限り、その形状は特に限定されない。溝または開口の形状としては、例えば、長方形、角の丸まった長方形、楕円形、多角形、砂時計形、亜鈴形等が挙げられる。
溝または開口の数は1つであってもよく複数であってもよい。溝または開口が複数設けられる場合、溝または開口は、幅方向に並んで複数設けられることが好ましい。なお、第2吸収体の吸収容量と拡散性の両方を確保する点から、溝または開口は1つまたは2つ設けられることが好ましい。溝または開口が1つのみ設けられる場合は、溝または開口は、第2吸収体の幅方向の中央部に設けられることが好ましく、すなわち、第2吸収体の幅方向の中心線(すなわち前後方向に延びる中心線)を含むように設けられることが好ましい。溝または開口が2つ設けられる場合は、前後方向に延びる溝または開口が幅方向に並んで2つ設けられることが好ましい。この場合、溝または開口は第2吸収体の幅方向の中心線に対して略対称となるように設けられることが好ましい。
第2吸収体に設けられる溝または開口は、着用者の排尿部付近に面するように設けられることが好ましい。例えば第2吸収体の溝または開口は、第2吸収体の前後方向に対する相対的位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、少なくとも30%〜60%の範囲(より好ましくは25%〜70%の範囲)に延在することが好ましい。
第2吸収体の溝または開口は、第2吸収体の前後方向の全体に設けられてもよく、前後方向の一部に設けられてもよい。なお、第2吸収体の溝または開口は、第2吸収体の前後方向の一部のみに設けられることが好ましく、このように第2吸収体に溝または開口を設けることにより、尿等が前後方向に漏れにくくなる。この場合、溝または開口の前後方向の両端が、第2吸収体の前側端と後側端よりも前後方向の内方に位置するように設けられることが好ましい。例えば第2吸収体の溝または開口は、第2吸収体の前後方向に対する相対的位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、溝または開口の前側端が10%〜30%の範囲(より好ましくは15%〜25%の範囲)に位置し、溝または開口の後側端が60%〜90%(より好ましくは70%〜85%の範囲)に位置することが好ましい。
第2吸収体には、溝が設けられることが好ましい。第2吸収体に開口ではなく溝を設けることにより、吸収性物品のバックシート側からの漏れが起こりにくくなり、また、第2吸収体に尿等が速やかに吸収されやすくなる。
第2吸収体に溝が設けられる場合、第2吸収体が次のように構成されれば、第2吸収体に製造上簡便に溝を形成することができる。すなわち、第2吸収体は吸水性樹脂とパルプ繊維を含有する成形体を有し、当該成形体は、トップシート側に設けられた上側成形体とバックシート側に設けられた下側成形体から構成され、上側成形体に前後方向に延びる開口が設けられ、下側成形体が上側成形体の開口と重なって設けられることにより、成形体に前後方向に延びる溝が形成されてもよい。この場合、下側成形体は上側成形体の開口を完全に覆うように上側成形体の下側に配されることとなる。
第2吸収体の溝または開口の幅(幅方向の長さ)は、例えば、8mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、また30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましい。第2吸収体の溝または開口の幅が8mm以上であれば、尿等の前後方向への拡散性が高められ、第2吸収体の溝または開口の幅が30mm以下であれば、第2吸収体の吸収容量が増大する。
第1吸収体と第2吸収体の前後方向の長さは特に限定されない。第1吸収体と第2吸収体の幅方向の長さも特に限定されない。なお、第1吸収体は、シート部材の間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成され、比較的厚みが薄く形成されるため、第1吸収体の形状保持性を考慮すると、第2吸収体は第1吸収体の前後方向と幅方向の長さと同じかそれより長く形成されることが好ましい。
吸収性物品に立ち上がりフラップが設けられる場合は、第1吸収体は、立ち上がりフラップの立ち上がる起点となる基部よりも幅方向の内方に設けられ、第2吸収体は、立ち上がりフラップの基部よりも幅方向の外方に延在するように設けられることが好ましい。この場合、第1吸収体の幅方向の端縁が、立ち上がりフラップの基部よりも幅方向の内方に位置することとなる。このように第1吸収体と第2吸収体が設けられていれば、第1吸収体上に尿等が多量に排泄されたりして第1吸収体から尿等が溢れ出ても、尿等が第1吸収体と立ち上がりフラップの基部との間の隙間を通って第2吸収体に移行し、第2吸収体で好適に吸収されるようになる。その結果、尿等の横漏れ防止効果が高まる。
第1吸収体が立ち上がりフラップの基部よりも幅方向の内方に設けられる場合、第1吸収体は、幅方向の端縁が、立ち上がりフラップの基部から内方に10mm以上離れて設けられることが好ましく、15mm以上離れていることがより好ましい。第1吸収体がこのように設けられていれば、第1吸収体から溢れた尿等が速やかに第2吸収体に移行しやすくなる。また第1吸収体は、幅方向の端縁が、立ち上がりフラップの基部から内方に40mm以下離れて設けられることが好ましく、30mm以下離れていることがより好ましい。第1吸収体がこのように設けられていれば、第1吸収体の設置面積が十分に確保され、第1吸収体による吸収容量が高められる。
吸収性物品に立ち上がりフラップが設けられる場合は、第1吸収体の端部領域が立ち上がりフラップの基部と重なるように設けられることも好ましい。このように第1吸収体が設けられれば、第1吸収体の端部領域に配された吸水性樹脂が尿等を吸収して端部領域が上下方向に膨らむことにより、立ち上がりフラップの基部が上方に持ち上げられ、立ち上がりフラップによって高さの高い防漏壁が形成されるようになる。その結果、尿等の横漏れ防止効果が高まる。
次に、本発明の吸収性物品の構成例について、図5および図6を参照して説明する。図5および図6には、図1および図2に示した第1吸収体を備えた吸収性物品を示した。図5は、吸収性物品として尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。図6は、図5に示した吸収性物品のVI−VI断面図を表す。図5では、図の上側が吸収性物品の前側に相当し、図の下側が吸収性物品の後側に相当する。なお、本発明は、図面に示された実施態様に限定されない。
吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体10とを有する。トップシート2は、着用者の肌に面するように配置され、尿等の排泄物を透過する。トップシート2を透過した排泄物は、吸収体10により収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
吸収体10は、トップシート2側から第1吸収体11と第2吸収体21を有する。第1吸収体11の詳細な構成は図1および図2に示され、上記に説明した通りである。すなわち、第1吸収体11は、複数層のシート部材12を含み、シート部材12の間に吸水性樹脂13を有しパルプ繊維を有しないように構成され、端部領域15に速効性吸水性樹脂13Aが配され、中央領域16に遅効性吸水性樹脂13Bが配されている。第2吸収体21は、吸水性樹脂とパルプ繊維を含有し、第1吸収体11の中央領域16と重なって、前後方向yに延びる溝22が形成されている。このように第1吸収体11と第2吸収体21が設けられることにより、尿等の横漏れが効果的に防止され、また尿等の吸収効率が高められる。なお、第2吸収体21には、溝22の代わりに開口が設けられてもよい。
吸収性物品1には、トップシート2の幅方向xの両側に、前後方向yに延びる立ち上がりフラップ5が設けられている。図5および図6では、トップシート2の幅方向xの両側に、前後方向yに延在するサイドシート4が接合され、サイドシート4の幅方向xの内方端に設けられた起立用弾性部材7の収縮力によりサイドシート4の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより立ち上がりフラップ5が形成されている。立ち上がりフラップ5により、尿等の幅方向xの横漏れが防止される。なお、立ち上がりフラップ5は前後方向yの端部の内面がトップシート2上に接合されてもよく、これにより立ち上がりフラップ5の立ち上がりが容易になる。
立ち上がりフラップ5は立ち上がる起点となる基部6を有し、第1吸収体11は、立ち上がりフラップ5の基部6よりも幅方向xの内方に設けられ、第2吸収体21は、立ち上がりフラップ5の基部6よりも幅方向xの外方に延在するように設けられていている。このように第1吸収体11と第2吸収体21が設けられていれば、尿等が多量に排出されたりして第1吸収体11から尿等が溢れても、尿等が第1吸収体11と立ち上がりフラップ5の基部6との間の隙間を通って第2吸収体21に移行し、第2吸収体21で好適に吸収されるようになる。その結果、尿等の横漏れ防止効果がさらに高められる。