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JP6318544B2 - 歯ブラシ - Google Patents

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JP6318544B2
JP6318544B2 JP2013222049A JP2013222049A JP6318544B2 JP 6318544 B2 JP6318544 B2 JP 6318544B2 JP 2013222049 A JP2013222049 A JP 2013222049A JP 2013222049 A JP2013222049 A JP 2013222049A JP 6318544 B2 JP6318544 B2 JP 6318544B2
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Description

本発明は、ヘッド部の植毛台に有底の植毛穴を形成し、その植毛穴に平線を用いて複数本のフィラメントを束ねて二つ折りにした毛束を植設した歯ブラシに関する。
従来より、歯ブラシは口腔内、特に頬側面や臼歯、智歯などをブラッシングする際の使い勝手を良くする観点から、植毛台をより薄く作製することが求められている(特許文献1参照)。
しかし、平線を用いて毛束を植毛穴に植設した歯ブラシにおいては、植毛台を薄くすることにより、毛束を構成するフィラメントの一部が植毛穴から抜け易くなるという問題や、平線を打ち込んで毛束を植設する際の衝撃力により割れ易くなるという問題が生じる。このため、植毛台にある程度の厚みが必要であり、平線を用いて毛束を植設する歯ブラシの場合、少なくとも4.5〜5mm程度の厚みを有する植毛台が用いられているが、このような厚みの植毛台では使い勝手の点で十分満足できるものではなかった。
毛束や毛束を構成するフィラメントの植毛穴からの抜けを抑制することを目的とした歯ブラシは種々提案されている。特許文献2の歯ブラシの植毛穴は、植毛台の植毛面に開口し、大きい径を有する上部領域と、上部領域から同軸状に深さ方向に延びる、小さい径を有する下部領域とからなり、小さい径を有する下部領域にて毛束の充填率を高め、毛束の抜けを抑制すると共に、充填率を高めることで植毛台から突出するフィラメントが広がろうとするのを大きい径の上部領域により防止することを特徴とする。
しかしながら、このように小さな径の下部領域に無理矢理植毛すると、植毛台の植毛穴における植毛穴周辺(特に下部領域周辺)の残留応力が過大となり、製造時乃至使用時に植毛台の割れ等が生じ易く、特に安全上の問題から植毛穴底側の植毛台厚さがある程度必要になり、また毛束の抜け防止に寄与しない上部領域も必要になることから、このような歯ブラシでは植毛台の薄肉化には一定の限界がある。
特開平10−52319号公報 特開平4−261605号公報
本発明の目的は、有底の植毛穴に平線を用いて毛束を植設した歯ブラシにおいて、毛束の抜けや、毛束を植設する際の衝撃力や残留応力による植毛台の割れを防止しつつ、植毛台の更なる薄肉化が可能になる歯ブラシを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するべく、毛束の植毛穴からの抜け落ちや毛束植設時の植毛台の割れと植毛穴との関連性について検討を重ねた。
図10(a)は、平坦な底面と、該底面の周縁から該底面に対してほぼ垂直に立ち上がる内周面とからなるほぼ円柱状の従来タイプの植毛穴100の形状を示している。このように底面が平坦であると、毛束を平線により植毛穴100に打ち込んで植設する際の衝撃力が、植毛穴100の底面の所定領域に集中して図中矢印Aのようにほぼ垂直な方向に付加されるので、植毛台の割れを防止するためには、植毛穴100の底面と植毛台における植毛面とは反対側の背面との間の肉厚をある程度大きくして強度を維持しなければならない。また、毛束の植毛穴100からの抜けを防止するためには、平線の打ち込み位置を出来るだけ深くする必要があるが、そうすると平線を打ち込む際に植毛台に割れを生じ易い。したがって、植毛穴100を有する植毛台を薄肉化することは難しい。
また、植毛穴100の底面の隅部に毛束が接触しない空間が生じ、毛束の折り返した屈曲部の深さ方向側先端部分がこの空間において変形することにより、植毛穴100内部と毛束を構成するフィラメントとの摩擦抵抗が大きくなり、毛束中のフィラメントが部分的に抜けることが抑制される傾向にある。しかし、植毛穴100の内周面のようなストレート面では、変形部分がアンカー効果を発揮することはほとんどないので、個々のフィラメントの抜けを抑制できても、毛束の抜け強度が低くなることは避けられない。
図10(b)は、底面が断面視ほぼ半円状の凹曲面である従来タイプの植毛穴101の形状を示している。この半円状の凹曲面は、毛束の屈曲部の曲率半径にほぼ対応する曲率半径を有している。これによれば、毛束植設の際の衝撃は図中矢印Bに示すように凹曲面により力と方向が分散され、残留応力の集中による植毛台の割れは生じにくくなり、植毛穴101の底面と植毛台背面との間の肉厚を薄くすることができる。しかし、底面を前記のような凹曲面とするためには、植毛穴101の底部が所定の深さを有していることが必要になるので、その分だけストレート状の内周面の深さ寸法は小さくなる。一方、毛束の抜け強度は、例えば、毛束の外周面と植毛穴101の内周面との接触面積にも依存しているので、ストレート状内周面の深さ寸法が小さくなると、毛束は抜け易くなる。このようにストレート状内周面の深さと凹曲面を構成する底部の深さとを合わせると、植毛台の薄肉化には限界がある。
また、底面が前記のような断面視ほぼ半円状の凹曲面であると、毛束の屈曲部の植毛穴深さ方向側先端部分はほとんど変形することがなく、毛束を構成するフィラメントと植毛穴101内部との摩擦抵抗が小さくなるので、個々のフィラメントの抜けも発生し易くなる。すなわち、植毛穴101を有する植毛台を薄肉化した場合には、毛束の抜けだけでなく、フィラメントの抜けも発生し易くなるので、植毛台の薄肉化には限界がある。
本発明者らは、上記知見に基づいて更に研究を重ねた結果、植毛穴の底面を、毛束の折り返しによる屈曲部に対応した凹曲面とするのではなく、毛束の屈曲部の曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲面とすると共に、これに植毛穴の内周面に形成される縮径段差部を組み合わせることにより、毛束の植設時の衝撃力をある程度分散および緩和して植毛台の割れを防止することができ、当該凹曲面の軸方向の寸法(すなわち深さ寸法)を小さくすることができ、さらに毛束の抜け強度を高めることができるので、植毛台の薄肉化にも対応可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(5)の歯ブラシを提供する。
(1)植毛台に単又は複数の有底の植毛穴を設け、該植毛穴に複数本のフィラメントを束ねて二つ折りにした毛束を平線を用いて植設してなる歯ブラシであって、植毛穴の内周面における毛束の折り返しによる屈曲した外周面に対面する所定の深さ位置に、前記外周面に食い込む縮径段差部を設けるとともに、植毛穴の底面に、毛束の折り返しの曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲面よりなる当接面を設けてなることを特徴とする歯ブラシ。
(2)毛束の屈曲した外周面が、平線の植毛方向先端側の端面の位置から先端側の領域に形成され、縮径段差部を、平線の端面に対応する位置よりも底側の所定の深さ位置に設けてなる上記(1)の歯ブラシ。
(3)縮径段差部における植毛穴開口側の面を深さ方向に沿って次第に縮径する傾斜面とし、該傾斜面を、植毛穴の軸に対する傾斜角が、対応する毛束外周面の位置の接線の植毛方向に対する傾斜角よりも大きな部分円錐面、部分凸球面、部分凹球面、又はこれらの組み合わせとしてなる上記(1)又は(2)の歯ブラシ。
(4)縮径段差部における植毛穴開口側の傾斜面に連続する底側の面を、軸平行なストレート面としてなる上記(3)の歯ブラシ。
(5)植毛穴の開口面積(S)と、植毛穴内周面における縮径段差部の頂部により囲まれた穴領域の面積(S1)との比(S1/S)が0.35〜0.8の範囲である上記(1)〜(4)のいずれかの歯ブラシ。
本発明によれば、有底の植毛穴に複数本のフィラメントを束ねて二つ折りにした毛束を平線を用いて植設してなる歯ブラシにおいて、植毛穴の内周面における毛束の折り返しによる屈曲部の外周面に対面する所定の深さ位置に、該外周面に食い込む縮径段差部を設けるとともに、植毛穴の底面に、毛束の折り返しの曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲面よりなる当接面を設けるように構成されている。
植毛穴の内周面の所定深さ位置に設けられた縮径段差部は、毛束植設時の平線の打ち込みによる衝撃力を底面に達する前に緩和することができる。また、植毛穴の底面に設けられた、毛束の折り返しによる屈曲部の曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲面よりなる当接面は、該衝撃力を該凹曲面の曲率に沿って多方向に分散させることにより緩和することができる。したがって、毛束植設時の衝撃力はまず縮径段差部により緩和され、弱められた衝撃力は次に凹曲面によりさらに緩和される。このため、平線により毛束を打ち込む際の衝撃力により植毛台に割れが発生するのを顕著に防止できる。また、底面に前記のような凹曲面を有する当接面を設けることにより、該凹曲面ひいては該凹曲面を含む底面の軸方向の寸法(深さ寸法)を小さくすることができると共に、該底面と植毛台背面との間の肉厚を、断面視がほぼ半円状の底面に比べて全体的にほぼ均一にかつ薄くすることが可能になるので、植毛台を薄肉化することが可能になる。
また、毛束の折り返しによる屈曲部の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する前記のような凹曲面を有する当接面を底面に設けることにより、毛束の屈曲部の主に植毛穴深さ方向側の先端部分の変形を促進して植毛穴内周面への密着度を高めることができる。これと共に、植毛穴の内周面における毛束の屈曲部の外周面に対面する所定の深さ位置に、前記外周面に食い込む縮径段差部を設けているので、毛束の屈曲部先端の変形した部分が、縮径段差部によりアンカー効果を発揮し、毛束の抜けを防止することができる。また、毛束の屈曲部の主に植毛穴深さ方向側の先端部分の変形により、毛束の密着性だけでなく、毛束を構成するフィラメントの密着性ひいてはフィラメントと植毛穴内周面との摩擦抵抗が高まるので、毛束の抜けだけでなくフィラメントの部分的な抜けも防止できる。
すなわち、前述の構成を有する当接面を底面に設け、かつ内周面の所定深さ位置に縮径段差部を設けることにより、毛束植設時の平線の打ち込みによる衝撃力で植毛台が割れるのを防止するとともに、毛束の抜け強度を高めて毛束の抜けを防止し、フィラメントの植毛台内部との摩擦抵抗を高めてフィラメントの抜けを防止し、植毛台を薄肉化することができる植毛穴が得られる。
また、本発明によれば、毛束の屈曲部の外周面が、平線の植毛方向先端側の端面の位置から先端側の領域に配置され、かつを、平線の端面に対応する位置よりも底側の所定の深さ位置に縮径段差部を設けるように構成することにより、毛束の屈曲部先端の変形部分と縮径段差部との協働による毛束の抜けを防止する効果を一層高めることができる。
また、本発明によれば、縮径段差部における植毛穴開口側の面を、深さ方向に沿って次第に縮径する傾斜面とすることにより、毛束植設時の平線打ち込みによる衝撃力の緩和効果が大きくなり、さらに該傾斜面を、植毛穴の軸に対する傾斜角が、対応する毛束の屈曲部の外周面の位置の接線の植毛方向に対する傾斜角よりも大きな部分円錐面、部分凸球面、部分凹球面、又はこれらの組み合わせとなるように構成することにより、縮径段差部による毛束の屈曲部の外周面への食い込みの度合いが大きくなるので、毛束の抜けを抑制する効果をより一層高めることができる。
また、本発明によれば、縮径段差部における植毛穴開口側の傾斜面に連続する底側の面が、軸平行なストレート面となるように構成することにより、毛束の屈曲部の植毛穴深さ方向側先端部分が変形し易くなるので、縮径段差部と毛束の屈曲部先端の変形部分との協働による毛束の抜けを防止する効果を更に高めることができる。
また、本発明によれば、植毛穴の開口面積(S)と、植毛穴内周面における縮径段差部の頂部により囲まれた穴領域の面積(S1)との比(S1/S)が0.35〜0.8の範囲となるように構成することにより、毛束の抜けを抑制する効果や植毛台の割れを抑制する効果をほとんど損なうことなく、植毛台のさらなる薄肉化を図ることができる。
本発明の第1実施形態である歯ブラシの外観を示す平面図である。 図1に示す歯ブラシの植毛台を拡大して示す平面図である。 図2に示す植毛台に形成された植毛穴の構成を模式的に示す断面図である。 図3の植毛穴に平線を用いて毛束を植設した状態を示す断面図である。 縮径段差部における傾斜面の傾斜角、および毛束における屈曲部外周面の傾斜角を示す断面図である。 植毛台の変形例を示す断面図である。 植毛台の別の変形例を示す断面図である。 植毛台のさらに別の変形例を示す断面図である。 本発明の第2実施形態である歯ブラシの外観を示す斜視図である。 代表的な従来タイプの植毛穴の構成を模式的に示す断面図である。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態である歯ブラシ1の外観を示す平面図である。図2は、図1に示す歯ブラシ1の植毛台10を拡大して示す平面図である。図3は、図2に示す植毛台10に形成された植毛穴11の構成を模式的に示す断面図である。図4は、図3の植毛穴11に平線14を用いて毛束12を植設した状態を示す断面図である。図5は、縮径段差部15における傾斜面33、および毛束12における屈曲部20の外周面30のそれぞれの傾斜角α、βを示す断面図である。
図1に示す本実施形態の歯ブラシ1は、複数の毛束12を植設した植毛台10を有するヘッド部2と、持ち手としての柄部3と、ヘッド部2と柄部3とを連結する首部4と、からなる。なお、柄部3および首部4には、従来から公知の種々の変更を施すことができる。また、首部4を設けることなく、ヘッド部2と柄部3とを直接連結することもできる。
以下、ヘッド部2を構成する植毛台10について、詳しく説明する。
植毛台10の植毛面10aには、複数の、断面視がほぼ円形である有底の植毛穴11が形成されている。より具体的には、図1および図2に示すように、植毛台10の長手方向に所定の間隔を空けて複数の植毛穴11がほぼ直線状に並ぶ植毛穴11の列が、植毛台10の幅方向にほぼ平行に3列配置されている。なお、植毛穴11の列における植毛穴11の個数、および植毛穴11の列の数は本実施形態に限定されず、植毛台10の材質や縦横厚み寸法、植毛穴11の開口径および深さ、毛束12を構成するフィラメント13の本数や材質など、種々の条件に応じて適切な範囲から選択される。また、本実施形態では植毛穴11は断面視がほぼ円形に形成されているが、これに限定されず、矩形、六角形、八角形などの多角形や楕円形、長円などでも良い。なお、植毛台10の厚さ寸法の一例を挙げれば、例えば、2.5mm〜5mm程度である。
図4に示すように、各植毛穴11には、複数本のフィラメント13を束ねて二つ折りにした毛束12が平線14を用いて植設されている。植毛穴11の内径および断面積(植毛穴11の深さ方向にほぼ垂直な方向の円領域の面積)は、一般的な毛束12を平線14により植設できる寸法であれば良いが、その一例を挙げれば、内径が1.2〜2.4mm程度、及び断面積が1.0〜4.6mm2程度である。植毛穴11に植設された毛束12は、二つ折り(折り返し)により屈曲した屈曲部20と、屈曲部20から植毛穴11の開口11aを経て毛束12の遊端部(不図示)に至る、ほぼ直線状に延びるストレート部21と、からなる。
本実施形態では、屈曲部20は、その外周面30が、平線14における植毛方向(植毛穴11の深さ方向)先端側の端面14aの位置よりも植毛方向先端側の領域に位置するように構成されている。ここで、フィラメント13の材質は特に限定されず、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンなどの樹脂材料からなる人工毛でもよく、豚毛などの天然毛でもよい。平線14の材質および寸法も特に限定されず、一般的な歯ブラシにおいて用いられる公知の平線と同様でよい。
植毛穴11は、図3および図4に示すように、植毛穴11の深さ方向に延び、主に毛束12のストレート部21の外周面31に接触する内周面22と、内周面22における毛束12の屈曲部20の外周面30に対面する所定の深さ位置に設けられている縮径段差部15と、縮径段差部15の傾斜面33に連続する底側内周面34と、底側内周面34に連続し、毛束12の屈曲部20の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する凹曲面よりなる、毛束12の屈曲部20(主にその先端部分)が当接する当接面が設けられた底面23と、からなることを特徴とする。
内周面22は、本実施形態では、植毛穴11の軸にほぼ平行なストレート面となっている。
縮径段差部15は、平線14により毛束12を打ち込む際の衝撃力を緩和する効果を有しており、縮径段差部15により弱められた該衝撃力がさらに底部23において分散および緩和されるので、植毛台10における割れやクラックの発生を顕著に防止できる。本実施形態において、縮径段差部15が設けられる位置は、植毛穴11の内周面22において、毛束12の屈曲部20の外周面30に対面し、かつ平線14の植毛方向先端側(植毛穴11の深さ方向側)の端面14aに対応する位置よりも底側(植毛穴11の深さ方向側)の所定の深さ位置である。縮径段差部15は、その底側端部(頂部32)において内周面22よりも径が小さくなった底側内周面34に連続し、底側内周面34はその底側端部において底面23に連続している。
縮径段差部15は、その断面視がほぼ直角三角形の形状を有する円環状の突出部分であり、該直角三角形において、植毛穴11の内周面22に沿う辺と、植毛穴11の内周面22に対してほぼ垂直方向に延びる底辺とが成す角の角度がほぼ90度であり、かつ該底辺と面33を示す斜辺とが鋭角で交わっている。該底辺の内周面22に対してほぼ90度の角度で延びる先端が、縮径段差部15における植毛穴11の内部空間に対して最も突出した頂部32となっている。
頂部32で周囲を囲まれた円領域の面積は、植毛穴11の内部空間において最も面積の小さな領域となっている。該円領域の面積は特に限定されないが、毛束12又はフィラメント13に適度に引っ掛かり、これらの植毛穴11からの抜けを抑制し、植毛穴11内部の乾燥性を向上させるという観点から、例えば、0.4〜2.9mm2程度とすることができる。
また、縮径段差部15のほぼ直角三角形状の断面形状において、斜辺で示される面33は、植毛面10aにおける植毛穴11の開口11aを臨む円環状の傾斜面である。本明細書では、面33を傾斜面33と呼ぶことがある。また、植毛穴11の内部空間における、傾斜面33で周囲を囲まれた空間領域は、その径が植毛穴11の深さ方向に沿って次第に縮径するほぼ逆円錐台状の形状を有しているので、本明細書では、傾斜面33を円錐面と呼ぶことがある。
本実施形態では、傾斜面33を円錐面として構成しているが、これに限定されず、傾斜面33の少なくとも一部を、円錐面、植毛穴11の内部空間に向けて突出した凸曲面である凸球面または植毛穴11の内周面22に向けて凹んだ凹曲面である凹球面で構成した、部分円錐面、部分凸球面または部分凹球面としてもよい。或いは、円錐面、凸球面、凹球面などの2種以上を組み合わせた面として傾斜面33を構成してもよい。傾斜面33を前記のような面で構成することにより、毛束12の屈曲部20の外周面30への傾斜面33の食い込みが大きくなり、毛束12の抜けを防止する効果を更に高めることができる。
前記のような傾斜面33を有する縮径段差部15を前記所定の深さ位置に設け、かつ、毛束12の屈曲部20の外周面30が平線14の前記端面14aの位置よりも植毛方向先端側の領域に位置し、外周面30の少なくとも一部が縮径段差部15の傾斜面33特に頂部32に当接するように構成することにより、縮径段差部15、特に縮径段差部15の頂部32が毛束12の屈曲部20の外周面30に食い込み、後述する底面23による毛束12の屈曲部20の主に底側先端部分を変形させる作用と相俟って、毛束12の抜けを防止する効果が発揮される。
本実施形態では、図5に示す傾斜面33の植毛穴11の軸Aに対する傾斜角αが、毛束12における屈曲部20の外周面30の傾斜角βよりも大きくなるように構成することが好ましい。なお、図5における毛束12は、植毛穴11に植設される前のものであり、傾斜角βは、毛束12を植毛穴11に植設した場合に対応する外周面30の位置X(すなわち傾斜面33特に頂部32に接触する位置)における接線Yの、植毛方向Zに対する角度である。ここで、植毛方向は、植毛穴11の軸をその深さ方向に延ばした方向とほぼ同じである。このように構成することにより、傾斜面33、特に頂部32が毛束12の屈曲部20の外周面30に食い込む度合いを大きくすることができる。このとき、傾斜面33を部分円錐面、部分凸球面、部分凹球面またはこれらの組み合わせとすることにより、傾斜面33および/または頂部32による毛束12の屈曲部20の外周面30への食い込み効果を一層高めることができる。
本実施形態では、縮径段差部15は、断面視ほぼ直角三角形状に設けられているが、これに限定されず、断面視がほぼ1/4円状、ほぼ1/4半楕円状、方形状などであってもよい。また、本実施形態では、縮径段差部15は植毛穴11の内周面22に円環状に設けられているが、これに限定されず、一部に1または複数の切り欠きが設けられていても良い。
縮径段差部15の傾斜面33に連続する植毛穴11の底側内周面34は、その内径が内周面22よりも小さい、植毛穴11の軸にほぼ平行なストレート面として構成されている。本明細書では、底側内周面34は、植毛穴11の開口側において縮径段差部15の傾斜面33に連続し、かつ植毛穴11の底側において前記構成を有する底面23の周縁に連続している。
植毛穴11の底面23は、前述のように、毛束12の屈曲部20の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する凹曲面よりなる、毛束12の屈曲部20(主に屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分および/またはその近傍部分)が当接する当接面となるように構成されている。本実施形態では。屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分およびその近傍部分が底面23に当接するように構成されているが、これに限定されず、屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分が底面23に接触しかつその近傍部分が底面23に近接するように構成してもよく、さらに屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分およびその近傍部分が共に底面23に近接するように構成してもよい。
底面23を構成する該凹曲面の曲率半径は、毛束12の屈曲部20の曲率半径よりも大きければ特に限定されないが、毛束12を植設する際の衝撃力を多方向にほぼ均一に分散させるという観点や、底面23および底側内周面34で囲まれた空間領域において毛束12の屈曲部20に変形の余地を与える観点などから、植毛穴11の内周面22で囲まれる領域の穴径をd、該凹曲面の曲率半径をRとした場合に、Rは0.5d+0.05〜2dの範囲とすることが好ましい。
該凹曲面を有する底面23は、縮径段差部15により緩和され弱められた平線12を打ち込む際の衝撃力をさらに分散および緩和する。すなわち、該凹曲面を有する底面23を設けることにより、縮径段差部15により弱められた衝撃力を、底面23に対してほぼ垂直な方向だけでなく、該凹曲面の曲率に沿って多方向にほぼ均一に分散および緩和させることができるので、平線14により毛束12を打ち込む際の衝撃力により植毛台10に割れやクラックが発生するのを顕著に防止できる。また、底面23に前記のような凹曲面を有する底面23を設けることにより、該凹曲面ひいては該凹曲面を含む底面23の軸方向の寸法を小さくすることが可能になると共に、該底面23と植毛台10の背面10bとの間の肉厚を、断面視がほぼ半円状の底面に比べて全体的にほぼ均一にかつ薄くすることが可能になるので、植毛台10を薄肉化することが可能になる。
さらに、該凹曲面を有する底面23を設けることにより、植毛穴11における底面23とストレート面である底側内周面34とで囲まれた空間領域において、毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分が適度に変形する余地が生じ易くなり、毛束12の屈曲部20の外周面30が植毛穴11の底面23及び底面23近傍の底側内周面34に接触しながら、毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分が、曲率半径の相対的に小さい状態(二つ折りにした状態)から曲率半径の相対的に大きな状態(やや丸みを帯びた状態)に変形し易くなる。すなわち、毛束12の屈曲部20が底面23に当接する位置では、毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分が変形してやや膨らんだ状態が生じるように構成することができる。
そして、毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端の変形部分は、毛束12が植毛穴11から抜ける方向への動きが縮径段差部15により制限されるので、該変形部分がアンカー効果を発揮し、毛束12の植毛穴11からの抜けを顕著に防止することができる。また、個々のフィラメント13は、前記のような変形部分が生じることにより、植毛穴11内部との接触面積ひいては植毛穴11の内部との摩擦抵抗が大きくなるので、部分的なフィラメント13の抜けも抑制できる。
本実施形態では、底面23全体を毛束12の屈曲部20よりも曲率半径の大きな凹曲面として構成しているが、毛束12の屈曲部20における縮径部分よりも底側の部分が変形して拡径部分が生じるスペースを確保できるのであればこの構成に限定されず、底面23の一部を毛束12の屈曲部20よりも曲率半径の大きな凹曲面としてもよい。
本実施形態の歯ブラシ1において、植毛穴11の植毛面10aにおける開口11aの面積(S)と、植毛穴11の内周面22における縮径段差部15の頂部32により囲まれた穴領域の面積(S1)との比(S1/S)が、毛束12又はフィラメント13の植毛穴11からの抜けのより一層の抑制や植毛穴11内部の乾燥性といった観点から、0.35〜0.8の範囲であることが好ましい。比S1/Sが0.35未満では、植毛穴11内部の乾燥性が低下するおそれがあり、一方比S1/Sが0.8を超えると、毛束12の屈曲部20の外周面30およびストレート部21の外周面31と、植毛穴11の内周面22、34との接触面積が低下したり、または毛束12やフィラメント13の縮径段差部15への引っ掛かりが弱くなったりすることから、毛束12又はフィラメント13が植毛穴11から抜け易くなるおそれがある。
また、本実施形態の歯ブラシ1において、植毛穴11の植毛面10aにおける開口11aの開口径(D)と、植毛穴11の内周面22における縮径段差部15の頂部32により囲まれた穴領域の内径(D1)との比(D1/D)が、毛束12又はフィラメント13の植毛穴11からの抜けのより一層の抑制や植毛穴11内部の乾燥性といった観点から、0.6〜0.8の範囲であることが好ましい。比D1/Dが0.6未満では、植毛穴11内部の乾燥性が低下するおそれがあり、一方比D1/Dが0.8を超えると、毛束12やフィラメント13の縮径段差部15への引っ掛かりが弱くなったりすることなどから、毛束12又はフィラメント13が植毛穴11から抜け易くなるおそれがある。
図6は、植毛穴40〜42の構成を模式的に示す断面図である。図6(a)は植毛穴40、図6(b)は植毛穴41、および図6(c)は植毛穴42をそれぞれ示す。植毛穴40〜42は、植毛穴11の変形例であるので、植毛穴11と共通する部分に関しては図1〜5と同じ参照符号を付して説明を省略する。
図6(a)に示す植毛穴40は、植毛穴40の内周面22における所定の深さ位置に設けられた縮径段差部16の、植毛穴40の植毛面10aにおける開口40aに臨む傾斜面50が、植毛穴40の内周面22に向けて凹んだ凹曲面である凹球面として構成されている。このような構成では、特に縮径段差部16の頂部32による毛束12の屈曲部20の外周面30への食い込み度合いが比較的大きくなるので、縮径段差部16による食い込みと、所定の曲率半径を有する底面23および底側内周面34に囲まれた空間領域における毛束12の屈曲部20の底側先端の変形との協働による、毛束12の植毛穴40からの抜けを抑制する効果が十分に発揮される。
図6(b)に示す植毛穴41は、植毛穴41の内周面22における所定の深さ位置に設けられた縮径段差部17の、植毛穴41の植毛面10aにおける開口41aに臨む傾斜面51が、植毛穴41の内周面22から開口41aを臨む方向に突出する凸曲面である凸球面として構成されている。このような構成では、特に縮径段差部17の傾斜面51による毛束12の屈曲部20の外周面30への食い込み度合いが比較的大きくなるので、縮径段差部17による食い込みと、所定の曲率半径を有する底面23および底側内周面34に囲まれた空間領域における毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分の変形との協働による、毛束12の植毛穴41からの抜けを抑制する効果が十分に発揮される。
図6(c)に示す植毛穴42は、底側内周面35が植毛穴42の軸に対して傾斜角を有するように形成され、植毛穴42の内部空間における底側内周面35で周囲を囲まれた空間領域が、植毛穴43の深さ方向に向けて次第に縮径するほぼ逆円錐台状の形状を有している。本実施形態では、縮径段差部15の傾斜面33の植毛穴42の軸に対する傾斜角が、底側内周面35の植毛穴42の軸に対する傾斜角よりも大きくなるように構成されている。本実施形態では、縮径段差部15の頂部32による、毛束12の屈曲部20の外周面30への食い込みが十分に機能するので、毛束12の植毛穴42からの抜けを抑制する効果が得られる。
なお、植毛穴40〜42において、縮径段差部15〜17による毛束12の植設時の衝撃力を緩和する効果と、所定の曲率半径を有する底面23による、毛束12の植設時の衝撃力を底面23の曲率に沿ってほぼ均一に分散させて、底面23と植毛台10の背面10bとの間に付加される力を和らげる効果とが発揮され、植毛台10におけるクラックの発生や植毛台10の割れを抑制する効果が得られる点は、植毛穴11の場合とほぼ同じである。また、植毛穴40〜42も所定の底面23を有しているので、毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分の変形による植毛穴40〜42の内部とフィラメント13との摩擦抵抗の高まりにより、フィラメント13の部分的な抜けが防止される効果も、植毛穴11とほぼ同じである。
図7は、植毛穴43、44の構成を模式的に示す断面図である。図7(a)は植毛穴43、および図7(b)は植毛穴44をそれぞれ示す。植毛穴43、44は、植毛穴11、40〜42の変形例であるので、これらの植毛穴と共通する部分に関しては図1〜6と同じ参照符号を付して説明を省略する。
図7(a)に示す植毛穴43は、植毛面10aにおける植毛穴43の開口43aを臨む面52が傾斜面ではなく、開口43aに対してほぼ平行な平らな面であり、頂部37がほぼ直角である縮径段差部18が、植毛穴43の内周面22における所定の深さ位置に設けられている。このような構成でも、縮径段差部18の頂部37による毛束12の屈曲部20の外周面30への食い込み、および所定の曲率半径を有する底面23と底側内周面34とで囲まれる空間領域における毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分の変形との協働により、毛束12の植毛穴43からの抜けを抑制する効果が十分に発揮される。
図7(b)に示す植毛穴44は、その内周面22における所定の深さ位置に設けられ、かつ植毛面10aにおける植毛穴44の開口44aを臨む面52が傾斜面ではなく、該植毛面10aに対してほぼ平行な平らな面であり、頂部37が鈍角である縮径段差部18と、縮径段差部18の面52に連続し、植毛穴44の軸に対して傾斜角を有する底側内周面36とを有している。植毛穴45の内部空間における底側内周面36で周囲を囲まれた空間領域は、植毛穴44の深さ方向に向けて次第に縮径するほぼ逆円錐台状の形状を有している。本実施形態においても、縮径段差部18の頂部37による毛束12の屈曲部20の外周面30への食い込みと、所定の曲率半径を有する底面23および底側内周面36とで囲まれる空間領域における毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分の変形との協働により、毛束12の植毛穴44からの抜けを抑制する効果が発揮される。
なお、植毛穴43、44において、縮径段差部15〜17による毛束12の植設時の衝撃力を緩和する効果と、所定の曲率半径を有する底面23による、毛束12の植設時の衝撃力を底面23の曲率に沿ってほぼ均一に分散させて、底面23と植毛台10の背面10bとの間に付加される力を和らげる効果とが発揮され、植毛台10におけるクラックの発生や植毛台10の割れを抑制する効果が得られる点は、植毛穴11の場合とほぼ同じである。また、植毛穴43、44も所定の底面23を有しているので、毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分の変形による植毛穴43、44の内部とフィラメント13との摩擦抵抗の高まりにより、フィラメント13の部分的な抜けが防止される効果も、植毛穴11とほぼ同じである。
図8は、植毛穴45の構成を模式的に示す断面図である。植毛穴45は、植毛穴11、40〜44の変形例であるので、これらの植毛穴と共通する部分に関しては図1〜7と同じ参照符号を付して説明を省略する。
植毛穴45は、その内周面22における所定の深さ位置に設けられた縮径段差部15と、縮径段差部15の傾斜面33に続き、植毛穴45の軸に対してほぼ平行なストレート面として設けられた底側内周面39と、底側内周面39に続くように設けられた、所定の曲率半径を有する底面24と、を有している。図3に示す植毛穴11と植毛穴45とを比較すると、底側内周面34、39はいずれもストレート面であるが、底側内周面39の植毛穴45の深さ方向寸法が、底側内周面34の植毛穴11の深さ方向寸法よりも小さくなるように設定されている。また、底面24の曲率半径は、底面23の曲率半径よりも小さく、かつ毛束12の屈曲部20の曲率半径よりも大きくなるように設定されている。
本実施形態のように、底面24の曲率半径が毛束12の曲率半径に近づくように設定しても、底側内周面39の深さ寸法を調整することにより、縮径段差部15の毛束12の屈曲部20の外周面30への食い込みと、底面24と底側内周面39とで囲まれた空間領域における毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分の変形との協働による、毛束12の植毛穴45からの抜けを抑制する効果を得ることができる。
なお、植毛穴45において、底面24が所定の曲率半径を有することによる、毛束12の植設時の衝撃力を底面24の曲率に沿ってほぼ均一に分散させて、底面24と植毛台10の背面10bとの間に付加される力を和らげ、植毛台10におけるクラックの発生や植毛台10の割れを抑制する効果は、植毛穴11の場合とほぼ同じである。さらに、底面24と底側内周面39とを設けることにより、毛束12の屈曲部20の植毛穴深さ方向側先端部分が変形して、植毛穴45内部とフィラメント13との摩擦抵抗が高まり、フィラメント13の部分的な抜けが防止される効果も、植毛穴11とほぼ同じである。
以上で説明した植毛穴40〜45には、植毛穴11に関して説明した種々の変更を施すことができる。
図9は、本発明の第2実施形態である歯ブラシ5の要部の構成を模式的に示す斜視図である。歯ブラシ5はシングルタフトタイプの歯ブラシであり、ヘッド部である植毛台60の植毛面60aに1個形成された有底の植毛穴61を有し、複数本のフィラメント13を束ねて二つ折りにした毛束12が平線(不図示)を用いて植毛穴61に植設されている。植毛穴61は、本実施形態では植毛穴11と同じ構成を有しているが、さらに植毛穴40〜45の何れか一つの構成を有していても良い。歯ブラシ5には、植毛台60に植毛穴61を1個形成する以外は、歯ブラシ1と同様の変更を施すことができる。
なお、植毛穴61の内径および断面積(植毛穴61の深さ方向にほぼ垂直な方向の円領域の面積)は、一般的な毛束12を平線14により植設できる寸法であれば良いが、その一例を挙げれば、内径が3.0〜4.0mm程度、及び断面積が7.0〜12.6mm2程度である。
下記表2に示す穴断面を有する本発明品、および比較品1〜2について、毛束植設時の衝撃力(荷重)の穴内部における応力分布、および応力変位を、コンピュータシミュレーションソフト(商品名:SolidWorks Simulation、Dassault Systemes SolidWorks Corportion社製、米国)を用いて求めた。結果を表2に示す。なお、比較品1〜2は、それぞれ、縮径段差部と、平坦な底面またはC面に相当する底面(図10(b)に示す底面形状がC面である。本形態では断面において、底面と内周面との境界が直角ではなく曲線になっている。)と、の組み合わせたものである。
なお、本発明品、および比較品1〜2の植毛穴を下記表1(a)に示す立方体にそれぞれ1個形成したサンプルを用い、底面の形状を除く植毛穴の各寸法(mm)は共通仕様とし、表1(b)に示した。また、応力分布は、250gの荷重を植毛穴の軸方向に各縮径段差部に掛けて求めた。応力変位は、250gの荷重を植毛穴の軸方向に植毛穴の底面に掛けて求めた。
Figure 0006318544
Figure 0006318544
表2から、本発明品では、縮径段差部に掛かる応力が大きくなり、かつ穴底に掛かる応力が小さくなったのに対し、比較品1および2では、縮径段差部に掛かる応力と穴底に掛かる応力とがほぼ等しくなり、縮径段差部による応力の緩和効果が少ないことが分かる。また、穴底における最大変位も本発明品が最も少なかった。これらのことから、単に縮径段差部を設けるだけでは衝撃力を緩和する効果は不十分であり、所定の曲率半径を有する凹曲面を含む底面と、縮径段差部とを組み合わせて設けることが衝撃力の緩和には必要であることが明らかである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
1、5 歯ブラシ
2 ヘッド部
3 柄部
4 首部
10、60 植毛台
10a 植毛面
10b 背面
11、40、41、42、43、44、45、61 植毛穴
12 毛束
13 フィラメント
14 平線
15、16、17、18、19 縮径段差部
20 屈曲部
21 ストレート部
22 内周面
23、24 底面
30、31 外周面
32、37、38 頂部
33、50、51 傾斜面
34、35、36、39 底側内周面

Claims (4)

  1. 植毛台に単又は複数の有底の植毛穴を設け、該植毛穴に複数本のフィラメントを束ねて二つ折りにした毛束を平線を用いて植設してなる歯ブラシであって、
    前記植毛穴の内周面における前記毛束の折り返しによる屈曲した外周面に対面する所定の深さ位置に、前記植毛穴の開口を臨む円環状の傾斜面を有し、前記外周面に食い込む縮径段差部を設けるとともに、
    前記植毛穴の底面に、前記毛束の折り返しの曲率半径よりも大きな曲率半径の凹曲面よりなる当接面を設け
    前記凹曲面の曲率半径Rが(0.05d+0.05)〜2d(式中、dは前記植毛穴の前記内周面で囲まれた領域の穴径を示す。)の範囲であり、
    前記毛束の屈曲した外周面が、平線の植毛方向先端側の端面の位置から先端側の領域に形成され、前記縮径段差部を、前記平線の端面に対応する位置よりも底側の所定の深さ位置に設けてなることを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記縮径段差部における植毛穴開口側の面を深さ方向に沿って次第に縮径する傾斜面とし、
    該傾斜面を、植毛穴の軸に対する傾斜角が、対応する前記毛束外周面の位置の接線の植毛方向に対する傾斜角よりも大きな部分円錐面、部分凸球面、部分凹球面、又はこれらの組み合わせとしてなる請求項1記載の歯ブラシ。
  3. 前記縮径段差部における前記植毛穴開口側の傾斜面に連続する底側の面を、軸平行なストレート面としてなる請求項記載の歯ブラシ。
  4. 前記植毛穴の開口面積(S)と、前記植毛穴内周面における前記縮径段差部の頂部により囲まれた穴領域の面積(S1)との比(S1/S)が0.35〜0.8の範囲である請求項1〜のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
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