以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
<第1実施形態>
図1〜図19を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるチップ抵抗器の実装構造の断面図である。
同図に示すチップ抵抗器の実装構造891は、チップ抵抗器100と、実装基板893と、導電性接合部895とを備える。
実装基板893は、たとえばプリント配線基板である。実装基板893は、たとえば、絶縁基板と、当該絶縁基板に形成されたパターン電極(図示略)とを含む。当該絶縁基板は、たとえば、ガラスエポキシ樹脂基板である。チップ抵抗器100は実装基板893に実装されている。チップ抵抗器100と、実装基板893との間には、導電性接合部895が介在している。導電性接合部895は、チップ抵抗器100と実装基板893とを接合している。導電性接合部895は、たとえばハンダよりなる。
図2は、図1のII−II線に沿うチップ抵抗器の矢視図(一部透視化)である。図3は、図1、図2のIII−III線に沿うチップ抵抗器の断面図である。図4は、図1、図2のIV−IV線に沿うチップ抵抗器の断面図である。図5は、図2から第1メッキ層および第2メッキ層を省略した図(一部透視化)である。図6は、図1に示したチップ抵抗器の右側面図(一部透視化)である。図7は、図1に示したチップ抵抗器の左側面図(一部透視化)である。図8は、図1に示したチップ抵抗器の正面図である。図9は、図1に示したチップ抵抗器の背面図である。
これらの図に示すチップ抵抗器100は、基板1と、抵抗体2と、第1電極4と、第2電極5と、絶縁層6と、を備える。
基板1は板状である。基板1は、絶縁性あるいは導電性である。基板1が絶縁性である場合、基板1を構成する材料には、たとえば、樹脂あるいはセラミックを含む。基板1を構成する材料に樹脂を含む場合、基板1を構成する樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂である。基板1を構成する材料にセラミックを含む場合、このようなセラミックとしては、たとえば、Al2O3、AlN、およびSiCが挙げられる。基板1が導電性である場合、基板1を構成する材料は、たとえば、CuあるいはAgである。なお、本実施形態においては、基板1はガラスエポキシ樹脂基板である。
基板1は、基板表面11と、基板主面12と、第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16と、を有する。
基板表面11と、基板主面12と、第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16はいずれも、平坦である。図1に示すように、同図の上下方向を基板1の厚さ方向Z1とする。そして、図2に示すように、同図の右方向を第1方向X1とし、左方向を第2方向X2とし、上方向を第3方向X3とし、下方向を第4方向X4とする。基板1の最大厚さ(厚さ方向Z1の最大寸法)は、たとえば、60〜300μmである。厚さ方向Z1は、第1方向X1、第2方向X2、第3方向X3、第4方向X4と互いに直交する。また、第1方向X1および第2方向X2はそれぞれ、第3方向X3および第4方向X4と直交する。
なお、チップ抵抗器100の第1方向X1における寸法は、たとえば、5〜10mmであり、チップ抵抗器100の第3方向X3における寸法は、たとえば、2〜10mmである。
基板表面11および基板主面12は互いに反対側を向く。第1基板側面13は第1方向X1を向いている。第2基板側面14は第2方向X2を向いている。すなわち第1基板側面13および第2基板側面14は互いに反対側を向いている。第1基板端面15は第3方向X3を向いている。第2基板端面16は第4方向X4を向いている。すなわち第1基板端面15および第2基板端面16は互いに反対側を向いている。
上述のように本実施形態では、基板1はガラスエポキシ樹脂基板である。そのため、基板1は、ガラス繊維部191および樹脂部192を含む。
樹脂部192は、基板1の外郭形状を規定している。樹脂部192は、たとえば、エポキシ樹脂よりなる。樹脂部192は、基板表面11および基板主面12を構成している。
ガラス繊維部191はガラス繊維よりなる。具体的には、ガラス繊維部191は、ガラス繊維製の布(クロス)を重ねたものである。ガラス繊維部191は、第1基板側面13の一部、第2基板側面14の一部、第1基板端面15の一部、および、第2基板端面16の一部を構成している。
本実施形態とは異なり、基板1がガラスエポキシ樹脂基板でなくてもよい。この場合、基板1がガラス繊維部191を含んでいない。
図1に示すように、抵抗体2は基板1に配置されている。具体的には抵抗体2は基板1の基板表面11側に配置されている。抵抗体2の厚さ(厚さ方向Z1方向における寸法)は、たとえば、50〜200μmである。本実施形態では、抵抗体2は厚さ方向Z1視において、サーペンタイン状である。抵抗体2がサーペンタイン状であることは、抵抗体2の抵抗値を大きくできる点において好ましい。本実施形態とは異なり、抵抗体2がサーペンタイン状ではなく、たとえば、X1−X2方向に延びる帯状であってもよい。抵抗体2は、金属抵抗材料よりなり、このような金属抵抗材料としては、たとえば、マンガニン、ゼラニン、Ni−Cr合金、Cu−Ni合金、および、Fe−Cr合金が挙げられる。
図1、図3に示すように、抵抗体2は、抵抗体表面21と、抵抗体主面22と、第1抵抗体側面23と、第2抵抗体側面24と、を有する。抵抗体表面21と、抵抗体主面22と、第1抵抗体側面23と、第2抵抗体側面24はいずれも、平坦である。
抵抗体表面21および抵抗体主面22は互いに反対側を向いている。抵抗体表面21は、基板表面11の向く方向と同一方向(すなわち、図1の下方向)を向いている。一方、抵抗体主面22は、基板主面12の向く方向と同一方向(すなわち、図1の上方向)を向いている。抵抗体主面22は基板1の方を向いている。第1抵抗体側面23は第1方向X1を向いている。本実施形態では、第1抵抗体側面23は、第1基板側面13と面一になっている。第2抵抗体側面24は第2方向X2を向いている。本実施形態では、第2抵抗体側面24は第2基板側面14と面一になっている。
本実施形態においては、抵抗体2は、基板1に埋め込まれている。具体的には、チップ抵抗器100は、以下に述べる構成となっている。
抵抗体2は、基板表面11から基板主面12に向かって、基板表面11から基板1にめり込んでいる。厚さ方向Z1において、抵抗体2の全体は、基板1に重なっている。抵抗体2は基板1に直接接している。更に、基板1がガラスエポキシ樹脂基板である本実施形態においては、抵抗体2は、基板1におけるガラス繊維部191に直接接している。
抵抗体表面21は、基板1における基板表面11と面一となっている。このことは、抵抗体表面21および基板表面11に、後述の絶縁層6を形成するのに好適である。抵抗体主面22は、基板1に直接接している。更に、基板1がガラスエポキシ樹脂基板である本実施形態においては、抵抗体主面22は、基板1におけるガラス繊維部191に直接接している。
本実施形態とは異なり、抵抗体2と基板1とが直接接していなくてもよい。たとえば、抵抗体2と基板1との間に接合層を介した状態で、抵抗体2が基板1に埋め込まれていてもよい。抵抗体2がガラス繊維部191に直接接していなくてもよい。
絶縁層6は抵抗体2を覆っている。絶縁層6は抵抗体2および基板1に直接接している。絶縁層6は、抵抗体2における抵抗体表面21と、基板1における基板表面11と、に直接接している。絶縁層6は、抵抗体2のうち第1方向X1側の部分と、抵抗体2のうち第2方向X2側の部分と、を露出させている。絶縁層6は、たとえば熱硬化性の材料よりなる。絶縁層6の第3方向X3における寸法は、基板1の第3方向X3における寸法と同一である。絶縁層6の最大厚さ(厚さ方向Z1における最大寸法)は、たとえば、20〜60μmである。絶縁層6は、たとえば樹脂よりなる。絶縁層6は、抵抗体2にて発生した熱をチップ抵抗器100の外部に放熱しやすくするため、絶縁層6を構成する材料としては熱伝導率が大きいものを用いることが好ましい。絶縁層6の熱伝導率は、基板1を構成する材料(本実施形態では、樹脂部192を構成する材料)の熱伝導率よりも、大きいことが好ましい。絶縁層6の熱伝導率は、たとえば、1.0W/(m・K)〜5.0W/(m・K)であることが好ましい。
絶縁層6は、絶縁層表面61と、絶縁層主面62と、第1絶縁層側面63と、第2絶縁層側面64と、第1絶縁層端面65と、第2絶縁層端面66と、を有する。
絶縁層表面61および絶縁層主面62は互いに反対側を向いている。絶縁層表面61は、抵抗体表面21の向く方向と同一方向(すなわち、図1の下方向)を向いている。絶縁層表面61には、第1電極4および第2電極5が形成されている。絶縁層表面61の一部(絶縁層表面61のうち第1電極4と第2電極5とに挟まれた領域)は、第1電極4および第2電極5から露出している。絶縁層主面62は、抵抗体主面22の向く方向と同一方向(すなわち、図1の上方向)を向いている。本実施形態では、絶縁層主面62は、抵抗体2と、基板1とに直接接している。具体的には、絶縁層主面62は、抵抗体表面21と、基板表面11と、に直接接している。第1絶縁層側面63は第1方向X1を向いている。第2絶縁層側面64は第2方向X2を向いている。第1絶縁層端面65は、第3方向X3を向いている。本実施形態では、第1絶縁層端面65は、第1基板端面15と面一となっている。第2絶縁層端面66は、第4方向X4を向いている。第2絶縁層端面66は、第2基板端面16と面一となっている。
第1電極4は抵抗体2に導通している。第1電極4は、チップ抵抗器100を実装する実装基板893から抵抗体2へと電力を供給するためのものである。第1電極4は、抵抗体2に直接接している。本実施形態においては、第1電極4は、抵抗体2における抵抗体表面21に直接接している。本実施形態では更に、第1電極4は、抵抗体2における第1抵抗体側面23と、絶縁層6と、を覆っている。本実施形態では、第1電極4と抵抗体2との間には、絶縁層6が介在している。本実施形態においては更に、第1電極4は、基板主面12側を覆っていない。本実施形態とは異なり、第1電極4が基板主面12を覆っていてもよい。図1に示すように、実装構造891においては、第1電極4は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。
第1電極4は、第1下地層41と、第1メッキ層43と、を含む。
第1下地層41は抵抗体2に直接接している。本実施形態では、第1下地層41は、絶縁層6上にメッキによって第1メッキ層43を形成するために、形成されている。第1下地層41は抵抗体表面21のうち、絶縁層6から露出した部位に直接接している。第1下地層41は、基板1の厚さ方向Z1視において、抵抗体2に重なっている。また、第1下地層41は、厚さ方向Z1において抵抗体2から離間した部位を有している。第1下地層41および抵抗体2の間には、絶縁層6が介在している。第1下地層41は、第1メッキ層43と絶縁層6との間に介在している。本実施形態では、第1下地層41の第1方向X1における寸法が大きい方が好ましい。好ましくは、第1下地層41の第1方向X1における寸法は、抵抗体2の第1方向X1における寸法の4分の1以上であり、更に好ましくは、抵抗体2の第1方向X1における寸法の3分の1以上である。第1下地層41の第1方向X1における寸法は、たとえば、600〜3200μmである。第1下地層41の厚さは、抵抗体2の厚さよりも薄い。第1下地層41は、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、あるいは印刷によって形成するとよい。本実施形態では、第1下地層41は、PVDのうちのスパッタリングにより形成される。第1下地層41の厚さは、たとえば、100〜500nmである。第1下地層41は、たとえば、NiやCrを含む。
第1下地層41は、第1下地層側面413を有している。第1下地層側面413は第1方向X1を向いている。本実施形態では、第1下地層側面413は、第1基板側面13および第1抵抗体側面23と面一となっている。
第1メッキ層43は、第1下地層41を直接覆っている。第1メッキ層43は、抵抗体2に形成されている。第1メッキ層43は、絶縁層6に直接接している。第1メッキ層43は、絶縁層6のうち、第1下地層41よりも第2方向X2側に位置する部位に、直接接している。実装基板893に実装される前のチップ抵抗器100においては、第1メッキ層43は外部に露出している。そのため、図1に示すように、実装構造891においては、第1メッキ層43は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。なお、本実施形態では、第1メッキ層43は、抵抗体2における第1抵抗体側面23を覆っている。このことは、導電性接合部895にハンダフィレットを形成できる点において好ましい。
本実施形態においては具体的には、第1メッキ層43は、Cu層43aと、Ni層43bと、Sn層43cと、を有する。Cu層43aは第1下地層41を直接覆っている。Ni層43bは、Cu層43aを直接覆っている。Sn層43cは、Ni層43bを直接覆っている。Sn層43cは外部に露出している。チップ抵抗器100の実装構造891においては、Sn層43cには導電性接合部895(本実施形態ではハンダ)が付着する。Cu層43aの厚さは、たとえば10〜50μmであり、Ni層43bの厚さは、たとえば1〜10μmであり、Sn層43cの厚さは、たとえば1〜10μmである。本実施形態とは異なり、第1メッキ層43はNi層43bを含んでいなくてもよい。
第2電極5は、第1電極4に対し第2方向X2側に位置している。第2電極5は抵抗体2に導通している。第2電極5は、チップ抵抗器100を実装する実装基板893から抵抗体2へと電力を供給するためのものである。第2電極5は、抵抗体2に直接接している。本実施形態においては、第2電極5は、抵抗体2における抵抗体表面21に直接接している。本実施形態では更に、第2電極5は、抵抗体2における第2抵抗体側面24と、絶縁層6と、を覆っている。本実施形態では、第2電極5と抵抗体2との間には、絶縁層6が介在している。本実施形態においては更に、第2電極5は、基板主面12側を覆っていない。本実施形態とは異なり、第2電極5が基板主面12を覆っていてもよい。図1に示すように、実装構造891においては、第2電極5は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。
第2電極5は、第2下地層51と、第2メッキ層53と、を含む。
第2下地層51は抵抗体2に直接接している。本実施形態では、第2下地層51は、絶縁層6上にメッキによって第2メッキ層53を形成するために、形成されている。第2下地層51は抵抗体表面21のうち、絶縁層6から露出した部位に直接接している。第2下地層51および抵抗体2の間には、絶縁層6が介在している。第2下地層51は、第2メッキ層53と絶縁層6との間に介在している。本実施形態では、第2下地層51の第2方向X2における寸法が大きい方が好ましい。好ましくは、第2下地層51の第2方向X2における寸法は、抵抗体2の第2方向X2における寸法の4分の1以上であり、更に好ましくは、抵抗体2の第2方向X2における寸法の3分の1以上である。第2下地層51の第2方向X2における寸法は、たとえば、600〜3200μmである。第2下地層51の厚さは、抵抗体2の厚さよりも薄い。第2下地層51は、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、あるいは印刷によって形成するとよい。本実施形態では、第2下地層51は、PVDのうちのスパッタリングにより形成される。第2下地層51の厚さは、たとえば、0.5〜1.0nmである。第2下地層51は、たとえば、NiやCrを含む。
第2下地層51は、第2下地層側面514を有している。第2下地層側面514は第2方向X2を向いている。本実施形態では、第2下地層側面514は、第2基板側面14および第2抵抗体側面24と面一となっている。
第2メッキ層53は、第2下地層51を直接覆っている。第2メッキ層53は、抵抗体2に形成されている。第2メッキ層53は、絶縁層6に直接接している。第2メッキ層53は、絶縁層6のうち、第2下地層51よりも第1方向X1側に位置する部位に、直接接している。実装基板893に実装される前のチップ抵抗器100においては、第2メッキ層53は外部に露出している。そのため、図1に示すように、実装構造891においては、第2メッキ層53は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。なお、本実施形態では、第2メッキ層53は、抵抗体2における第2抵抗体側面24を覆っている。このことは、導電性接合部895にハンダフィレットを形成できる点において好ましい。
本実施形態においては具体的には、第2メッキ層53は、Cu層53aと、Ni層53bと、Sn層53cと、を有する。Cu層53aは第2下地層51を直接覆っている。Ni層53bは、Cu層53aを直接覆っている。Sn層53cは、Ni層53bを直接覆っている。Sn層53cは外部に露出している。チップ抵抗器100の実装構造891においては、Sn層53cには導電性接合部895(本実施形態ではハンダ)が付着する。Cu層53aの厚さは、たとえば10〜50μmであり、Ni層53bの厚さは、たとえば1〜10μmであり、Sn層53cの厚さは、たとえば1〜10μmである。本実施形態とは異なり、第2メッキ層53はNi層53bを含んでいなくてもよい。
次に、チップ抵抗器100の製造方法について簡単に説明する。
まず、図10、図11に示すように、集合シート850を用意する。集合シート850は、基板シート810および抵抗集合体820を含んでいる。本実施形態では、集合シート850は、抵抗集合体820が基板シート810に埋め込まれた状態に形成されている。集合シート850は、たとえば、真空プレスを用いて形成される。集合シート850においては、抵抗集合体820は基板シート810に完全に固定されている。
なお、基板シート810は、上述の基板1になるものである。抵抗集合体820は、上述の抵抗体2になるものである。そのため、集合シート850においては、抵抗集合体820は、ガラス繊維部191に直接接している。
また、抵抗集合体820は、上述の抵抗体2となるべき部分を複数有している。本実施形態では、サーペンタイン状の抵抗体2を形成するべく、予め、エッチングあるいは打ち抜き金型で抵抗集合体820に複数のサーペンタイン状の部分が形成されている。
次に、抵抗集合体820における抵抗体2の抵抗値の調整を行う。抵抗体2の抵抗値の調整は、たとえば、抵抗集合体820を研削することにより行う。
次に、図12、図13に示すように、絶縁膜860を形成する。絶縁膜860は、上述の絶縁層6になるものである。絶縁膜860は、一方向に沿って延びる複数の帯状に形成される。絶縁膜860は、たとえば印刷あるいは塗布によって形成される。絶縁膜860からは、抵抗集合体820の一部が露出している。
次に、図14、図15に示すように、抵抗集合体820上に導電性材料840を積層させる。導電性材料840は、上述の第1下地層41あるいは第2下地層51になるものである。導電性材料840を積層させる工程は、PVDあるいはCVDを用いる。導電性材料840を積層させるために用いるPVDとしては、たとえばスパッタリングが挙げられる。本実施形態においては、導電性材料840を積層させる工程では、導電性材料840を、絶縁膜860の延びる方向に沿って帯状となるように積層させる。そのため、積層された導電性材料840からは、絶縁膜860の一部が露出している。なお、導電性材料840を帯状となるように積層させるには、たとえば、マスキングを行うとよい。導電性材料840は、たとえば、NiやCrである。
次に、図16、図17に示すように、抵抗集合体820を切断することにより、複数の固片886が得られる。本実施形態では、集合シート850(抵抗集合体820および基板シート810)が一括して切断される。固片886を得るには、たとえば、打ち抜きあるいはダイシングを行う。本実施形態では、固片886を得るために打ち抜きを行う。
固片886を得る際の切断によって、上述の第1基板側面13、第2基板側面14、第1基板端面15、第2基板端面16、第1抵抗体側面23、第2抵抗体側面24、第1下地層側面413、第2下地層側面514、第1絶縁層端面65、および第2絶縁層端面66が形成される。基板シート810、および抵抗集合体820等が同時に切断されることによって、上述の第1基板側面13と、第1抵抗体側面23と、第1下地層側面413と、が面一となる。同様に、基板シート810、および抵抗集合体820等が同時に切断されることによって、上述の第2基板側面14と、第2抵抗体側面24と、第2下地層側面514と、が面一となる。同様に、この切断によって、上述の第1基板端面15と、第1絶縁層端面65と、が面一となる。同様に、この切断によって、上述の第2基板端面16と、第2絶縁層端面66と、が面一となる。
次に、固片886に、図1に示した第1メッキ層43(Cu層43a、Ni層43b、およびSn層43c)、および、第2メッキ層53(Cu層53a、Ni層53b、およびSn層53c)を形成する。第1メッキ層43および第2メッキ層53を形成するには、たとえばバレルメッキを用いる。以上の工程を経ることにより、チップ抵抗器100の製造が完成する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、抵抗体2が、基板1に埋め込まれている。このような構成によれば、基板1の厚さ方向Z1における、基板1および抵抗体2の集合体の全体寸法を小さくすることが可能となる。これにより、チップ抵抗器100の薄型化が可能となる。
また、チップ抵抗器100を製造する際には、抵抗集合体820が基板シート810に埋め込まれている集合シート850を用いることができる。そのため、チップ抵抗器100を製造するためには、集合シート850を用意すればよく、抵抗集合体820を基板シート810に貼り付ける手間を削減できる。これは、チップ抵抗器100の製造の効率化に資する。
本実施形態においては、絶縁層6の熱伝導率は、1.0W/(m・K)〜5.0W/(m・K)であり、比較的大きい。このような構成によると、抵抗体2にて発生した熱を、絶縁層6を経由して、チップ抵抗器100の外部に放出させやすい。したがって、チップ抵抗器100が過度に高温となることを防止できる。
本実施形態においては、第1電極4は、抵抗体2に直接接する第1下地層41と、第1下地層41を覆う第1メッキ層43と、を含む。絶縁層6は、第1下地層41と抵抗体2との間に介在している。このような構成によると、絶縁層6の上に第1メッキ層43を形成しやすい。そのため、第1電極4の面積を大きくすることができる。第1電極4の面積を大きくすることができると、抵抗体2にて発生した熱を、第1電極4を介して、実装基板893に放出させやすくなる。すなわち、チップ抵抗器100の放熱性の向上を図ることができる。
本実施形態においては、基板1は、絶縁性の材料よりなる。このような構成では、比較的厚さの厚いCu電極を用いる必要がない。そのため、Cu電極を加工する手間を削減できる。これは、チップ抵抗器100の製造の効率化に資する。
本実施形態では、基板1および実装基板893はいずれも、ガラスエポキシ樹脂基板である。このような構成では、基板1および実装基板893の各々の熱膨張率は、ほぼ同一である。そのため、チップ抵抗器100の使用中に基板1が熱膨張したとしても、実装基板893も同様の割合で熱膨張すると考えられる。したがって、チップ抵抗器100の使用中に、熱膨張の影響によって生じうる不具合(たとえば、チップ抵抗器100が折れる)を防止できる。
<第1実施形態の第1変形例>
図18を用いて、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。
図18は、本発明の第1実施形態の第1変形例を示す断面図である。
同図に示すチップ抵抗器101は、抵抗体2の第1抵抗体側面23と、抵抗体2の第2抵抗体側面24とが、基板1に覆われている点において、チップ抵抗器100と主に相違する。その他の点に関しては、チップ抵抗器100と同様であるから、説明を省略する。
チップ抵抗器101によっても、チップ抵抗器100に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
<第1実施形態の第2変形例>
図19を用いて、本発明の第1実施形態の第2変形例について説明する。
図19は、本発明の第1実施形態の第2変形例を示す断面図である。
同図に示すチップ抵抗器102は、第1メッキ層43が、第1下地層41の第1下地層側面413と面一の面を有している点、および、第2メッキ層53が、第2下地層51の第2下地層側面514と面一の面を有している点において、チップ抵抗器100と主に相違する。その他の点に関しては、チップ抵抗器100と同様であるから、説明を省略する。なお、チップ抵抗器102を製造するには、図16、図17を参照して説明した、集合シート850の切断工程の前に、メッキ層を形成しておく。
チップ抵抗器102によっても、チップ抵抗器100に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
<第2実施形態>
図20〜図39を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図20は、本発明の第2実施形態にかかるチップ抵抗器の実装構造の断面図である。
同図に示すチップ抵抗器の実装構造892は、チップ抵抗器200と、実装基板893と、導電性接合部895とを備える。
実装基板893と、導電性接合部895と、については、第1実施形態で述べた説明を適用できるから、本実施形態では説明を省略する。
図21は、図20のXXI−XXI線に沿うチップ抵抗器の矢視図(一部透視化)である。図22は、図20、図21のXXII−XXII線に沿うチップ抵抗器の断面図である。図23は、図20、図21のXXIII−XXIII線に沿うチップ抵抗器の断面図である。図24は、図21から第1メッキ層および第2メッキ層を省略した図(一部透視化)である。図25は、図20に示したチップ抵抗器の右側面図(一部透視化)である。図26は、図20に示したチップ抵抗器の左側面図(一部透視化)である。図27は、図20に示したチップ抵抗器の正面図である。図28は、図20に示したチップ抵抗器の背面図である。
これらの図に示すチップ抵抗器200は、基板1と、抵抗体2と、接合層3と、第1電極4と、第2電極5と、絶縁層6と、を備える。
基板1は板状である。基板1は、絶縁性あるいは導電性である。基板1が絶縁性である場合、基板1を構成する材料には、たとえば、樹脂あるいはセラミックを含む。基板1を構成する材料に樹脂を含む場合、基板1を構成する樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂である。基板1を構成する材料にセラミックを含む場合、このようなセラミックとしては、たとえば、Al2O3、AlN、およびSiCが挙げられる。基板1が導電性である場合、基板1を構成する材料は、たとえば、CuあるいはAgである。なお、本実施形態においては、基板1はガラスエポキシ樹脂基板である。
基板1は、基板表面11と、基板主面12と、第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16と、を有する。
基板表面11と、基板主面12と、第1基板側面13と、第2基板側面14と、第1基板端面15と、第2基板端面16はいずれも、平坦である。図20に示すように、同図の上下方向を基板1の厚さ方向Z1とする。そして、図21に示すように、同図の右方向を第1方向X1とし、左方向を第2方向X2とし、上方向を第3方向X3とし、下方向を第4方向X4とする。基板1の最大厚さ(厚さ方向Z1の最大寸法)は、たとえば、60〜300μmである。厚さ方向Z1は、第1方向X1、第2方向X2、第3方向X3、第4方向X4と互いに直交する。また、第1方向X1および第2方向X2はそれぞれ、第3方向X3および第4方向X4と直交する。
なお、チップ抵抗器200の第1方向X1における寸法は、たとえば、5〜10mmであり、チップ抵抗器200の第3方向X3における寸法は、たとえば、2〜10mmである。
基板表面11および基板主面12は互いに反対側を向く。第1基板側面13は第1方向X1を向いている。第2基板側面14は第2方向X2を向いている。すなわち第1基板側面13および第2基板側面14は互いに反対側を向いている。第1基板端面15は第3方向X3を向いている。第2基板端面16は第4方向X4を向いている。すなわち第1基板端面15および第2基板端面16は互いに反対側を向いている。
図20に示すように、抵抗体2は基板1に配置されている。具体的には抵抗体2は基板1の基板表面11側に配置されている。抵抗体2の厚さ(厚さ方向Z1方向における寸法)は、たとえば、50〜200μmである。本実施形態では、抵抗体2は厚さ方向Z1視において、サーペンタイン状である。抵抗体2がサーペンタイン状であることは、抵抗体2の抵抗値を大きくできる点において好ましい。本実施形態とは異なり、抵抗体2がサーペンタイン状ではなく、たとえば、X1−X2方向に延びる帯状であってもよい。抵抗体2は、金属抵抗材料よりなり、このような金属抵抗材料としては、たとえば、マンガニン、ゼラニン、Ni−Cr合金、Cu−Ni合金、および、Fe−Cr合金が挙げられる。
図21、図22に示すように、抵抗体2は、抵抗体表面21と、抵抗体主面22と、第1抵抗体側面23と、第2抵抗体側面24と、を有する。抵抗体表面21と、抵抗体主面22と、第1抵抗体側面23と、第2抵抗体側面24はいずれも、平坦である。
抵抗体表面21および抵抗体主面22は互いに反対側を向いている。抵抗体表面21は、基板表面11の向く方向と同一方向(すなわち、図20の下方向)を向いている。一方、抵抗体主面22は、基板主面12の向く方向と同一方向(すなわち、図20の上方向)を向いている。抵抗体主面22は基板1の方を向いている。第1抵抗体側面23は第1方向X1を向いている。本実施形態では、第1抵抗体側面23は、第1基板側面13と面一になっている。第2抵抗体側面24は第2方向X2を向いている。本実施形態では、第2抵抗体側面24は第2基板側面14と面一になっている。
接合層3は基板1および抵抗体2の間に介在している。具体的には、接合層3は基板1における基板表面11と、抵抗体2との間に介在している。接合層3は、抵抗体2を基板表面11に接合している。接合層3は絶縁性の材料よりなることが好ましい。このような絶縁性の材料としては、エポキシ系の材料が挙げられる。接合層3の厚さ(厚さ方向Z1における寸法)は、たとえば、30〜100μmである。図20、図22に示すように、本実施形態においては、接合層3は基板表面11の全面を覆っている。
本実施形態とは異なり、接合層3が基板表面11の一部のみに形成されていてもよい。たとえば、接合層3が、基板表面11のうち抵抗体2と重なる領域のみに形成されていてもよい。
図20、図22に示すように、接合層3は、互いに反対側を向く接合層表面31および接合層主面32を有する。接合層表面31は、基板表面11の向く方向と同一方向(すなわち、図20の下方向)を向いている。接合層表面31は抵抗体2に直接接している。接合層主面32は基板1に直接接している。
絶縁層6は抵抗体2を覆っている。絶縁層6は、接合層3を介して抵抗体2および基板1に配置されている。絶縁層6は、抵抗体2における抵抗体表面21に直接接している。絶縁層6は、抵抗体2のうち第1方向X1側の部分と、抵抗体2のうち第2方向X2側の部分と、を露出させている。絶縁層6は、たとえば熱硬化性の材料よりなる。絶縁層6の第3方向X3における寸法は、基板1の第3方向X3における寸法と同一である。絶縁層6の最大厚さ(厚さ方向Z1における最大寸法)は、たとえば、60〜150μmである。絶縁層6は、たとえば樹脂よりなる。絶縁層6は、抵抗体2にて発生した熱をチップ抵抗器200の外部に放熱しやすくするため、絶縁層6を構成する材料としては熱伝導率が大きいものを用いることが好ましい。絶縁層6の熱伝導率は、基板1を構成する材料の熱伝導率よりも、大きいことが好ましい。絶縁層6の熱伝導率は、たとえば、1.0W/(m・K)〜5.0W/(m・K)であることが好ましい。
絶縁層6は、絶縁層表面61と、絶縁層主面62と、第1絶縁層側面63と、第2絶縁層側面64と、第1絶縁層端面65と、第2絶縁層端面66と、を有する。
絶縁層表面61および絶縁層主面62は互いに反対側を向いている。絶縁層表面61は、抵抗体表面21の向く方向と同一方向(すなわち、図20の下方向)を向いている。絶縁層表面61には、第1電極4および第2電極5が形成されている。絶縁層表面61の一部(絶縁層表面61のうち第1電極4と第2電極5とに挟まれた領域)は、第1電極4および第2電極5から露出している。絶縁層主面62は、抵抗体主面22の向く方向と同一方向(すなわち、図20の上方向)を向いている。本実施形態では、接合層3に直接接している。具体的には、絶縁層主面62は、接合層表面31に直接接している。第1絶縁層側面63は第1方向X1を向いている。第2絶縁層側面64は第2方向X2を向いている。第1絶縁層端面65は、第3方向X3を向いている。本実施形態では、第1絶縁層端面65は、第1基板端面15と面一となっている。第2絶縁層端面66は、第4方向X4を向いている。第2絶縁層端面66は、第2基板端面16と面一となっている。
第1電極4は抵抗体2に導通している。第1電極4は、チップ抵抗器200を実装する実装基板893から抵抗体2へと電力を供給するためのものである。第1電極4は、抵抗体2に直接接している。本実施形態においては、第1電極4は、抵抗体2における抵抗体表面21に直接接している。本実施形態では更に、第1電極4は、抵抗体2における第1抵抗体側面23と、絶縁層6と、を覆っている。本実施形態では、第1電極4と抵抗体2との間には、絶縁層6が介在している。本実施形態においては更に、第1電極4は、基板主面12側を覆っていない。本実施形態とは異なり、第1電極4が基板主面12を覆っていてもよい。図20に示すように、実装構造892においては、第1電極4は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。
図20に示すように、第1電極4は、第1下地層41と、第1メッキ層43と、を含む。
第1下地層41は抵抗体2に直接接している。本実施形態では、第1下地層41は、絶縁層6上にメッキによって第1メッキ層43を形成するために、形成されている。第1下地層41は抵抗体表面21のうち、絶縁層6から露出した部位に直接接している。第1下地層41は、基板1の厚さ方向Z1視において、抵抗体2に重なっている。また、第1下地層41は、厚さ方向Z1において抵抗体2から離間した部位を有している。第1下地層41および抵抗体2の間には、絶縁層6が介在している。第1下地層41は、第1メッキ層43と絶縁層6との間に介在している。本実施形態では、第1下地層41の第1方向X1における寸法が大きい方が好ましい。好ましくは、第1下地層41の第1方向X1における寸法は、抵抗体2の第1方向X1における寸法の4分の1以上であり、更に好ましくは、抵抗体2の第1方向X1における寸法の3分の1以上である。第1下地層41の第1方向X1における寸法は、たとえば、600〜3200μmである。第1下地層41の厚さは、抵抗体2の厚さよりも薄い。第1下地層41は、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、あるいは印刷によって形成するとよい。本実施形態では、第1下地層41は、PVDのうちのスパッタリングにより形成される。第1下地層41の厚さは、たとえば、0.5〜1.0nmである。第1下地層41は、たとえば、NiやCrを含む。
第1下地層41は、第1下地層側面413を有している。第1下地層側面413は第1方向X1を向いている。本実施形態では、第1下地層側面413は、第1基板側面13および第1抵抗体側面23と面一となっている。
第1メッキ層43は、第1下地層41を直接覆っている。第1メッキ層43は、抵抗体2に形成されている。第1メッキ層43は、絶縁層6に直接接している。第1メッキ層43は、絶縁層6のうち、第1下地層41よりも第2方向X2側に位置する部位に、直接接している。実装基板893に実装される前のチップ抵抗器200においては、第1メッキ層43は外部に露出している。そのため、図20に示すように、実装構造892においては、第1メッキ層43は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。なお、本実施形態では、第1メッキ層43は、抵抗体2における第1抵抗体側面23を覆っている。このことは、導電性接合部895にハンダフィレットを形成できる点において好ましい。
本実施形態においては具体的には、第1メッキ層43は、Cu層43aと、Ni層43bと、Sn層43cと、を有する。Cu層43aは第1下地層41を直接覆っている。Ni層43bは、Cu層43aを直接覆っている。Sn層43cは、Ni層43bを直接覆っている。Sn層43cは外部に露出している。チップ抵抗器200の実装構造892においては、Sn層43cには導電性接合部895(本実施形態ではハンダ)が付着する。Cu層43aの厚さは、たとえば10〜50μmであり、Ni層43bの厚さは、たとえば1〜10μmであり、Sn層43cの厚さは、たとえば1〜10μmである。本実施形態とは異なり、第1メッキ層43はNi層43bを含んでいなくてもよい。
第2電極5は、第1電極4に対し第2方向X2側に位置している。第2電極5は抵抗体2に導通している。第2電極5は、チップ抵抗器200を実装する実装基板893から抵抗体2へと電力を供給するためのものである。第2電極5は、抵抗体2に直接接している。本実施形態においては、第2電極5は、抵抗体2における抵抗体表面21に直接接している。本実施形態では更に、第2電極5は、抵抗体2における第2抵抗体側面24と、絶縁層6と、を覆っている。本実施形態では、第2電極5と抵抗体2との間には、絶縁層6が介在している。本実施形態においては更に、第2電極5は、基板主面12側を覆っていない。本実施形態とは異なり、第2電極5が基板主面12を覆っていてもよい。図20に示すように、実装構造892においては、第2電極5は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。
図20に示すように、第2電極5は、第2下地層51と、第2メッキ層53と、を含む。
第2下地層51は抵抗体2に直接接している。本実施形態では、第2下地層51は、絶縁層6上にメッキによって第2メッキ層53を形成するために、形成されている。第2下地層51は抵抗体表面21のうち、絶縁層6から露出した部位に直接接している。第2下地層51および抵抗体2の間には、絶縁層6が介在している。第2下地層51は、第2メッキ層53と絶縁層6との間に介在している。本実施形態では、第2下地層51の第2方向X2における寸法が大きい方が好ましい。好ましくは、第2下地層51の第2方向X2における寸法は、抵抗体2の第2方向X2における寸法の4分の1以上であり、更に好ましくは、抵抗体2の第2方向X2における寸法の3分の1以上である。第2下地層51の第2方向X2における寸法は、たとえば、600〜3200μmである。第2下地層51の厚さは、抵抗体2の厚さよりも薄い。第2下地層51は、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、あるいは印刷によって形成するとよい。本実施形態では、第2下地層51は、PVDのうちのスパッタリングにより形成される。第2下地層51の厚さは、たとえば、0.5〜1.0nmである。第2下地層51は、たとえば、NiやCrを含む。
第2下地層51は、第2下地層側面514を有している。第2下地層側面514は第2方向X2を向いている。本実施形態では、第2下地層側面514は、第2基板側面14および第2抵抗体側面24と面一となっている。
第2メッキ層53は、第2下地層51を直接覆っている。第2メッキ層53は、抵抗体2に形成されている。第2メッキ層53は、絶縁層6に直接接している。第2メッキ層53は、絶縁層6のうち、第2下地層51よりも第1方向X1側に位置する部位に、直接接している。実装基板893に実装される前のチップ抵抗器200においては、第2メッキ層53は外部に露出している。そのため、図20に示すように、実装構造892においては、第2メッキ層53は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。なお、本実施形態では、第2メッキ層53は、抵抗体2における第2抵抗体側面24を覆っている。このことは、導電性接合部895にハンダフィレットを形成できる点において好ましい。
本実施形態においては具体的には、第2メッキ層53は、Cu層53aと、Ni層53bと、Sn層53cと、を有する。Cu層53aは第2下地層51を直接覆っている。Ni層53bは、Cu層53aを直接覆っている。Sn層53cは、Ni層53bを直接覆っている。Sn層53cは外部に露出している。チップ抵抗器200の実装構造892においては、Sn層53cには導電性接合部895(本実施形態ではハンダ)が付着する。Cu層53aの厚さは、たとえば10〜50μmであり、Ni層53bの厚さは、たとえば1〜10μmであり、Sn層53cの厚さは、たとえば1〜10μmである。本実施形態とは異なり、第2メッキ層53はNi層53bを含んでいなくてもよい。
次に、チップ抵抗器200の製造方法について簡単に説明する。
まず、図29に示すように、基板シート810を用意する。基板シート810は上述の基板1になるものである。基板シート810は絶縁材料よりなる。基板シート810はセラミックあるいは樹脂よりなる。セラミックとしては、たとえば、Al2O3、AlN、およびSiCが挙げられる。基板シート810は、互いに反対側を向くシート表面811およびシート裏面812を有する。
次に、図30、図31に示すように、基板シート810のシート表面811に接合材830を接合する。接合材830は、上述の接合層3になるものである。本実施形態においては接合材830は熱伝導性の接着シートである。そして、図31に示した状態では、基板シート810のシート表面811に接合材830が仮熱圧着されている。
次に、図30、図31に示すように、シート表面811に、接合材830によって、抵抗集合体820を接合する。本実施形態では、図30、図31に示した状態では、抵抗集合体820は接合材830に仮圧着されている。抵抗集合体820は、上述の抵抗体2となるべき部分を複数有している。本実施形態では、サーペンタイン状の抵抗体2を形成するべく、抵抗集合体820をシート表面811に接合する前に、エッチングあるいは打ち抜き金型で抵抗集合体820に複数のサーペンタイン状の部分が形成されている。次に、抵抗集合体820にトリミング処理を施す(図示略)。抵抗体2の抵抗値の調整のためである。トリミング処理はたとえば、レーザや、サンドブラストや、ダイサーや、グラインダー等を用いて行われる。
本実施形態とは異なり、基板シート810のシート表面811に抵抗集合体820を接合するのに、接合材830としてシート状の部材を用いずに、液状の接着剤を用いてもよい。
次に、図32、図33に示すように、絶縁膜860を形成する。絶縁膜860は、上述の絶縁層6になるものである。絶縁膜860は、一方向に沿って延びる複数の帯状に形成される。絶縁膜860は、たとえば印刷あるいは塗布によって形成される。絶縁膜860からは、抵抗集合体820の一部が露出している。
次に、図34、図35に示すように、抵抗集合体820上に導電性材料840を積層させる。導電性材料840は、上述の第1下地層41あるいは第2下地層51になるものである。導電性材料840を積層させる工程は、PVDあるいはCVDを用いる。導電性材料840を積層させるために用いるPVDとしては、たとえばスパッタリングが挙げられる。本実施形態においては、導電性材料840を積層させる工程では、導電性材料840を、絶縁膜860の延びる方向に沿って帯状となるように積層させる。そのため、積層された導電性材料840からは、絶縁膜860の一部が露出している。なお、導電性材料840を帯状となるように積層させるには、たとえば、マスキングを行うとよい。導電性材料840は、たとえば、NiやCrである。
次に、図36、図37に示すように、抵抗集合体820を切断することにより、複数の固片886が得られる。本実施形態では、抵抗集合体820および基板シート810が一括して切断される。固片886を得るには、たとえば、打ち抜きあるいはダイシングを行う。本実施形態では、固片886を得るために打ち抜きを行う。
固片886を得る際の切断によって、上述の第1基板側面13、第2基板側面14、第1基板端面15、第2基板端面16、第1抵抗体側面23、第2抵抗体側面24、第1下地層側面413、第2下地層側面514、第1絶縁層端面65、および第2絶縁層端面66が形成される。基板シート810、および抵抗集合体820等が同時に切断されることによって、上述の第1基板側面13と、第1抵抗体側面23と、第1下地層側面413と、が面一となる。同様に、基板シート810、および抵抗集合体820等が同時に切断されることによって、上述の第2基板側面14と、第2抵抗体側面24と、第2下地層側面514と、が面一となる。同様に、この切断によって、上述の第1基板端面15と、第1絶縁層端面65と、が面一となる。同様に、この切断によって、上述の第2基板端面16と、第2絶縁層端面66と、が面一となる。
次に、固片886に、図20に示した第1メッキ層43(Cu層43a、Ni層43b、およびSn層43c)、および、第2メッキ層53(Cu層53a、Ni層53b、およびSn層53c)を形成する。第1メッキ層43および第2メッキ層53を形成するには、たとえばバレルメッキを用いる。以上の工程を経ることにより、チップ抵抗器200の製造が完成する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、絶縁層6の熱伝導率は、1.0W/(m・K)〜5.0W/(m・K)であり、比較的大きい。このような構成によると、抵抗体2にて発生した熱を、絶縁層6を経由して、チップ抵抗器200の外部に放出させやすい。したがって、チップ抵抗器200が過度に高温となることを防止できる。
本実施形態においては、第1電極4は、抵抗体2に直接接する第1下地層41と、第1下地層41を覆う第1メッキ層43と、を含む。絶縁層6は、第1下地層41と抵抗体2との間に介在している。このような構成によると、絶縁層6の上に第1メッキ層43を形成しやすい。そのため、第1電極4の面積を大きくすることができる。第1電極4の面積を大きくすることができると、抵抗体2にて発生した熱を、第1電極4を介して、実装基板893に放出させやすくなる。すなわち、チップ抵抗器200の放熱性の向上を図ることができる。これにより、チップ抵抗器200が過度に高温となることを防止できる。
本実施形態においては、基板1は、絶縁性の材料よりなる。このような構成では、比較的厚さの厚いCu電極を用いる必要がない。そのため、Cu電極を加工する手間を削減できる。これは、チップ抵抗器200の製造の効率化に資する。
本実施形態では、基板1および実装基板893はいずれも、ガラスエポキシ樹脂基板である。このような構成では、基板1および実装基板893の各々の熱膨張率は、ほぼ同一である。そのため、チップ抵抗器200の使用中に基板1が熱膨張したとしても、実装基板893も同様の割合で熱膨張すると考えられる。したがって、チップ抵抗器200の使用中に、熱膨張の影響によって生じうる不具合(たとえば、チップ抵抗器200が折れる)を防止できる。
<第2実施形態の第1変形例>
図38を用いて、本発明の第2実施形態の第1変形例について説明する。
図38は、本発明の第2実施形態の第1変形例を示す断面図である。
同図に示すチップ抵抗器201は、抵抗体2の第1抵抗体側面23と、抵抗体2の第2抵抗体側面24とが、絶縁層6に覆われている点において、チップ抵抗器200と主に相違する。その他の点に関しては、チップ抵抗器200と同様であるから、説明を省略する。
チップ抵抗器201によっても、チップ抵抗器200に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
<第2実施形態の第2変形例>
図39を用いて、本発明の第2実施形態の第2変形例について説明する。
図39は、本発明の第2実施形態の第2変形例を示す断面図である。
同図に示すチップ抵抗器202は、第1メッキ層43が、第1下地層41の第1下地層側面413と面一の面を有している点、および、第2メッキ層53が、第2下地層51の第2下地層側面514と面一の面を有している点において、チップ抵抗器200と主に相違する。その他の点に関しては、チップ抵抗器200と同様であるから、説明を省略する。なお、チップ抵抗器202を製造するには、図36、図37を参照して説明した、基板1シート810および抵抗集合体820の切断工程の前に、メッキ層を形成しておく。
チップ抵抗器202によっても、チップ抵抗器200に関して述べたのと同様の作用効果を奏する。
<第3実施形態>
図40〜図47を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
図40に示すチップ抵抗器の実装構造A893は、チップ抵抗器300と、実装基板893と、導電性接合部895とを備える。
実装基板893と、導電性接合部895と、については、第1実施形態で述べた説明を適用できるから、本実施形態では説明を省略する。
図40、図41に示すチップ抵抗器300は、基板1と、抵抗体2と、接合層3と、第1電極4と、第2電極5と、熱伝導部7と、を備える。
基板1と、抵抗体2と、については、第1実施形態で述べた説明を適用できるから、本実施形態では説明を省略する。
接合層3は抵抗体2を覆っている。接合層3は抵抗体2および基板1に直接接している。接合層3は、抵抗体2における抵抗体表面21と、基板1における基板表面11と、に直接接している。接合層3は、後述の第1導電板A11および第2導電板A12を、基板1および抵抗体2に接合している。接合層3は絶縁性の材料よりなることが好ましい。このような絶縁性の材料としては、エポキシ系の材料が挙げられる。接合層3を構成する材料の熱伝導率は大きい方が好ましい。抵抗体2にて発生した熱を、接合層3を経由してチップ抵抗器300の外部に放出しやすくするためである。接合層3を構成する材料の熱伝導率は、たとえば、0.5〜3.0W/m・Kである。接合層3の厚さ(厚さ方向Z1における寸法)は、たとえば、30〜100μmである。接合層3は、シート状のものに由来していてもよいし、液状のものに由来していてもよい。
第1電極4は抵抗体2に導通している。第1電極4は、チップ抵抗器300を実装する実装基板893から抵抗体2へと電力を供給するためのものである。第1電極4は、抵抗体2に直接接している。本実施形態では更に、第1電極4は、抵抗体2における第1抵抗体側面23と、接合層3と、に接している。本実施形態では、第1電極4と抵抗体2との間には、接合層3が介在している。実装構造A893においては、第1電極4は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。
第1電極4は、第1導電板A11と、第1メッキ層A4と、を含む。
第1導電板A11は板状である。第1導電板A11は導電性の材料よりなる。第1導電板A11を構成する導電性の材料としては、たとえば、Cu、Ag、Au、およびAlが挙げられる。第1導電板A11を経由して、抵抗体2にて発生した熱がチップ抵抗器300の外部に放熱される。第1導電板A11の厚さ(厚さ方向Z1の寸法)は、たとえば、200〜800μmである。
第1導電板A11は、第1導電板表面A111と、第1導電板裏面A112と、第1導電板外側面A113と、第1導電板内側面A114と、第1導電板端面A115と、第1導電板端面A116と、を有する。本実施形態では、少なくとも、第1導電板表面A111と、第1導電板裏面A112と、第1導電板外側面A113と、第1導電板端面A115と、第1導電板端面A116は、いずれも、平坦である。
第1導電板表面A111および第1導電板裏面A112は互いに反対側を向く。第1導電板表面A111は、厚さ方向Z1の一方を向き、第1導電板裏面A112は厚さ方向Z1の他方を向く。第1導電板外側面A113は第1方向X1を向いている。第1導電板内側面A114は第2方向X2を向いている。すなわち第1導電板外側面A113および第1導電板内側面A114は互いに反対側を向いている。第1導電板内側面A114は、第2導電板A12の位置する側を向いている。第1導電板端面A115は第3方向X3を向いている。第1導電板端面A116は第4方向X4を向いている。すなわち第1導電板端面A115および第1導電板端面A116は互いに反対側を向いている。
図40に示す第1メッキ層A4は抵抗体2に導通している。第1メッキ層A4は第1導電板外側面A113を直接覆っている。本実施形態においては更に、第1メッキ層A4は、第1導電板裏面A112と、第1導電板内側面A114と、第1導電板端面A115と、第1導電板端面A116と、を直接覆っている。本実施形態とは異なり、第1メッキ層A4は、第1導電板裏面A112と、第1導電板内側面A114と、第1導電板端面A115と、第1導電板端面A116と、を全て直接覆っている必要はなく、これらの面の一部が第1メッキ層A4から露出していてもよい。第1メッキ層A4は、抵抗体2に接している。
第1メッキ層A4は、第1内側メッキ膜A41および第1外側メッキ膜A43を含む。第1内側メッキ膜A41は、たとえば、Cu、Ag、あるいはAuである。第1内側メッキ膜A41は、第1導電板外側面A113を直接覆っている。本実施形態においては、第1内側メッキ膜A41は、第1導電板外側面A113の全体を直接覆っている。本実施形態においては更に、第1内側メッキ膜A41は、第1導電板裏面A112と、第1導電板内側面A114と、第1導電板端面A115と、第1導電板端面A116と、を直接覆っている。第1外側メッキ膜A43は、第1内側メッキ膜A41に積層されている。チップ抵抗器300の実装の際には、第1外側メッキ膜A43にはハンダ(導電性接合部895)が付着する。第1外側メッキ膜A43は、たとえば、Snである。
本実施形態においては、第1メッキ層A4は、第1中間メッキ膜A42を含む。第1中間メッキ膜A42は、第1内側メッキ膜A41と第1外側メッキ膜A43との間に介在している。第1中間メッキ膜A42は、たとえば、Niである。本実施形態とは異なり第1メッキ層A4が第1中間メッキ膜A42を含んでおらず、第1内側メッキ膜A41と第1外側メッキ膜A43とが直接接していてもよい。
第1内側メッキ膜A41の厚さは、たとえば10〜50μmであり、第1中間メッキ膜A42の厚さは、たとえば1〜10μmであり、第1外側メッキ膜A43の厚さは、たとえば1〜10μmである。
第2電極5は、第1電極4に対し第2方向X2側に位置している。第2電極5は抵抗体2に導通している。第2電極5は、チップ抵抗器300を実装する実装基板893から抵抗体2へと電力を供給するためのものである。第2電極5は、抵抗体2に直接接している。本実施形態では更に、第2電極5は、抵抗体2における第2抵抗体側面24と、接合層3と、に接している。本実施形態では、第2電極5と抵抗体2との間には、接合層3が介在している。実装構造A893においては、第2電極5は、導電性接合部895に直接接しており、導電性接合部895を介して、実装基板893における配線パターン(図示略)と導通している。
第2電極5は、第2導電板A12と、第2メッキ層A5と、を含む。
第2導電板A12は、第1導電板A11に対して離間している。具体的には、第2導電板A12は、第1導電板A11に対して第1方向X1とは反対の第2方向X2に離間している。第2導電板A12は板状である。第2導電板A12は導電性の材料よりなる。第2導電板A12を構成する導電性の材料としては、たとえば、Cu、Ag、Au、およびAlが挙げられる。第2導電板A12を経由して、抵抗体2にて発生した熱がチップ抵抗器300の外部に放熱される。第2導電板A12の厚さ(厚さ方向Z1の寸法)は、たとえば、200〜800μmである。
第2導電板A12は、第2導電板表面A121と、第2導電板裏面A122と、第2導電板外側面A123と、第2導電板内側面A124と、第2導電板端面A125と、第2導電板端面A126と、を有する。本実施形態では、少なくとも、第2導電板表面A121と、第2導電板裏面A122と、第2導電板外側面A123と、第2導電板端面A125と、第2導電板端面A126は、いずれも、平坦である。
第2導電板表面A121および第2導電板裏面A122は互いに反対側を向く。第2導電板表面A121は、厚さ方向Z1の一方を向き、第2導電板裏面A122は厚さ方向Z1の他方を向く。第2導電板外側面A123は第2方向X2を向いている。第2導電板内側面A124は第1方向X1を向いている。すなわち第2導電板外側面A123および第2導電板内側面A124は互いに反対側を向いている。第2導電板内側面A124は、第1導電板A11の位置する側を向いている。本実施形態においては、第2導電板内側面A124の一部は、第1導電板内側面A114の一部と対向している。第2導電板端面A125は第3方向X3を向いている。第2導電板端面A126は第4方向X4を向いている。すなわち第2導電板端面A125および第2導電板端面A126は互いに反対側を向いている。
第2メッキ層A5は抵抗体2に導通している。本実施形態においては、第2メッキ層A5は、第2導電板外側面A123の全体を直接覆っている。本実施形態においては更に、第2メッキ層A5は、第2導電板裏面A122と、第2導電板内側面A124と、第2導電板端面A125と、第2導電板端面A126と、を直接覆っている。本実施形態とは異なり、第2メッキ層A5は、第2導電板裏面A122と、第2導電板内側面A124と、第2導電板端面A125と、第2導電板端面A126と、を全て直接覆っている必要はなく、これらの面の一部が第2メッキ層A5から露出していてもよい。
第2メッキ層A5は、第2内側メッキ膜A51および第2外側メッキ膜A53を含む。第2内側メッキ膜A51は、たとえば、Cu、Ag、あるいはAuである。第2内側メッキ膜A51は、第2導電板外側面A123を直接覆っている。本実施形態においては、第2内側メッキ膜A51は、第2導電板外側面A123の全体を直接覆っている。本実施形態においては更に、第2内側メッキ膜A51は、第2導電板裏面A122と、第2導電板内側面A124と、第2導電板端面A125と、第2導電板端面A126と、を直接覆っている。第2外側メッキ膜A53は、第2内側メッキ膜A51に積層されている。チップ抵抗器300の実装の際には、第2外側メッキ膜A53にはハンダ(導電性接合部895)が付着する。第2外側メッキ膜A53は、たとえば、Snである。
本実施形態においては、第2メッキ層A5は、第2中間メッキ膜A52を含む。第2中間メッキ膜A52は、第2内側メッキ膜A51と第2外側メッキ膜A53との間に介在している。第2中間メッキ膜A52は、たとえば、Niである。本実施形態とは異なり第2メッキ層A5が第2中間メッキ膜A52を含んでおらず、第2内側メッキ膜A51と第2外側メッキ膜A53とが直接接していてもよい。
第2内側メッキ膜A51の厚さは、たとえば10〜50μmであり、第2中間メッキ膜A52の厚さは、たとえば1〜10μmであり、第2外側メッキ膜A53の厚さは、たとえば1〜10μmである。
熱伝導部7は、絶縁性であり、第1導電板A11と第2導電板A12との間に介在している。熱伝導部7は、エポキシ系の材料よりなる。本実施形態においては、熱伝導部7は接合層3(具体的には、接合層3の裏面)を直接覆っている。また、熱伝導部7は、第1導電板A11の第1導電板内側面A114と、第2導電板A12の第2導電板内側面A124とに直接接している。熱伝導部7は、たとえば熱硬化性の材料よりなる。本実施形態では、熱伝導部7は、第1メッキ層A4および第2メッキ層A5に直接接している。抵抗体2にて発生した熱を、熱伝導部7を経由して、チップ抵抗器300の外部に放出しやすくするためには、熱伝導部7を構成する材料の熱伝導率は、接合層3を構成する材料の熱伝導率よりも大きいことが好ましい。熱伝導部7を構成する材料の熱伝導率は、たとえば、0.5〜3.0W/m・Kである。
次に、チップ抵抗器300の製造方法について説明する。
一方、図42〜図44に示すように、母材A810を用意する。図42は、母材A810の母材表面A811を示し、図43は、母材A810の母材裏面A812を示す。母材A810は上述の第1導電板A11および第2導電板A12になるものである。母材A810は導電性の材料よりなる。母材A810を構成する導電性の材料としては、たとえば、Cu、Ag、Au、およびAlが挙げられる。母材A810には、複数の溝816が形成されている。複数の溝816はそれぞれ、一方向に沿うスリット状である。溝816は、母材A810を、母材表面A811から母材裏面A812に貫通している。溝816の内面は、上述の第1導電板内側面A114および第2導電板内側面A124になる。溝816は、たとえば、エッチングあるいは打ち抜きによって形成されている。
次に、図45に示すように、母材表面A811と、集合シート850(基板シート810および抵抗集合体820からなる)と、を接合材830によって接合する。接合材830は、上述の接合層3になるものである。本実施形態においては、接合材830は熱伝導性の接着シートである。本実施形態では、図45に示した状態では、抵抗集合体820は接合材830に仮圧着されている。
本実施形態とは異なり、接合材830としてシート状の部材を用いずに、液状の接着剤を用いてもよい。
次に、図46に示すように、熱伝導部A870を溝816に形成する。熱伝導部A870は上述の熱伝導部7になるものである。次に、図示しないが、図46に示した中間品を、たとえば、150〜200℃にて硬化させる。
次に、図47に示すように、図46に示した中間品から複数の固片886を得る。具体的には、母材A810および基板シート810等を切断することにより、複数の固片886を得る。複数の固片886を得る工程では、たとえば、パンチングあるいはダイシングにより、母材A810を切断する。
次に、固片886に、図40等に示した第1メッキ層A4(第1内側メッキ膜A41、第1中間メッキ膜A42、および第1外側メッキ膜A43)、および、第2メッキ層A5(第2内側メッキ膜A51、第2中間メッキ膜A52、および第2外側メッキ膜A53)を形成する。第1メッキ層A4および第2メッキ層A5を形成するには、たとえばバレルメッキを用いる。以上の工程を経ることにより、チップ抵抗器300の製造が完成する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態においては、抵抗体2が、基板1に埋め込まれている。このような構成によれば、基板1の厚さ方向Z1における、基板1および抵抗体2の集合体の全体寸法を小さくすることが可能となる。これにより、チップ抵抗器300の薄型化が可能となる。
本実施形態においては、接合層3の熱伝導率は、0.5W/(m・K)〜3.0W/(m・K)であり、比較的大きい。このような構成によると、抵抗体2にて発生した熱を、接合層3を経由して、チップ抵抗器300の外部に放出させやすい。したがって、チップ抵抗器300が過度に高温となることを防止できる。
本実施形態では、抵抗体2にて発生した熱を、第1導電板A11および第2導電板A12を介して、効率よく実装基板893に放出させることができる。このことにより、チップ抵抗器300が過度に高温となることを防止できる。
本実施形態では、基板1および実装基板893はいずれも、ガラスエポキシ樹脂基板である。このような構成では、基板1および実装基板893の各々の熱膨張率は、ほぼ同一である。そのため、チップ抵抗器300の使用中に基板1が熱膨張したとしても、実装基板893も同様の割合で熱膨張すると考えられる。したがって、チップ抵抗器300の使用中に、熱膨張の影響によって生じうる不具合(たとえば、チップ抵抗器300が折れる)を防止できる。
図40では、チップ抵抗器300を模式的に示したが、母材A810および基板シート810を切断するためにパンチングを用いた場合、チップ抵抗器300における第1導電板A11の断面形状は完全な矩形状とはならない可能性がある。たとえば、図48に示す形状となる可能性がある。
図48では、第1導電板A11は、厚さ方向Z1のいずれか一方に尖った部分A119を有する。部分A119は第1導電板A11の第1方向X1方向側の端部に形成されている。部分A119は、第1導電板表面A111側に形成されている。第1導電板A11は第1曲面A118を有する。第1曲面A118は、第1導電板裏面A112および第1導電板外側面A113をつないでいる。
一方、パンチングの金型が上下逆になると、チップ抵抗器における第1導電板A11の端部は、図48に示す形状とは逆になる可能性もある。
図49に示すように、部分A119は、第1導電板裏面A112側に形成されている。第1曲面A118は、第1導電板表面A111および第1導電板外側面A113をつないでいる。
図50には、本実施形態の変形例を示している。
同図に示すチップ抵抗器301は、第1導電板A11が、抵抗体2の第1方向X1の端(第1抵抗体側面23)よりも、第1方向X1側にはみ出ている。また、曲面A118が、抵抗体2の第1方向X1の端(第1抵抗体側面23)よりも、第1方向X1側に位置している。同様に、第2導電板A12が、抵抗体2の第2方向X2の端(第2抵抗体側面24)よりも、第2方向X2側にはみ出ている。曲面A128が、抵抗体2の第2方向X2の端(第2抵抗体側面24)よりも、第2方向X2側に位置している。
このようなチップ抵抗器301を製造する方法は、簡単に述べると以下のとおりである。
図45に示した、基板シート810および抵抗集合体820に、図45に示した接合材830が配置された状態で、これらを一括してダイシングによって切断し、図51に示す固片A886を複数形成する。各基板シート810の図51の上面には、ダイシングテープ(図示略)が貼り付けられているので、複数の固片A886は離散しない。
一方、図51に示すように、図44に示した母材A810における溝816に熱伝導部A870を形成した状態で、母材A810のうち、第1導電板A11および第2導電板A12となるべき部分を、部材(図示略)により突く。これにより、図51に示すように、周囲よりも突出させる。だが、第1導電板A11および第2導電板A12となるべき部分は、周囲の部分と未だつながった状態を維持している。
次に、図52に示すように、第1導電板A11および第2導電板A12となるべき部分を、接合材830によって、固片A886に接合する。次に、第1導電板A11および第2導電板A12となるべき部分と、その周囲とをパンチングにより分離する。その後、第1メッキ層A4および第2メッキ層A5を形成することにより、チップ抵抗器301の製造が完成する。
このような構成によると、基板シート810および抵抗集合体820をパンチングにより切断する必要がない。そのため、基板シート810および抵抗集合体820の端部が湾曲することを防止できる。
図53には、本実施形態の変形例を示している。
同図に示すチップ抵抗器302は、抵抗体2の抵抗体主面22の一部が、第1メッキ層A4あるいは第2メッキ層A5に覆われている点において、チップ抵抗器300と異なる。チップ抵抗器302は、パンチングによって固片886を得る前に、ダイシングブレードを用いて、基板1(基板シート810)の一部をダイシングすることにより、製造される。
このようなチップ抵抗器302によっても、チップ抵抗器300によって奏する作用効果を奏する。抵抗体2の抵抗体主面22の一部が、第1メッキ層A4あるいは第2メッキ層A5に覆われている本変形例の構成を、図50のチップ抵抗器301と組み合わせてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
基板に抵抗体が埋め込まれている例として、基板がガラスエポキシ樹脂基板であり、ガラスエポキシ樹脂基板に抵抗体が埋め込まれている構成を示した。しかしながら、基板に抵抗体が埋め込まれていることは、これに限定されない。たとえば、基板が、ガラスエポキシ樹脂基板と、ガラスエポキシ樹脂基板の表面に形成された絶縁層と、を含んでいてもよい。そして、当該絶縁層に抵抗体が埋め込まれていてもよい。このようにして、基板(ガラスエポキシ樹脂基板および絶縁層)に、抵抗体が埋め込まれていてもよい。