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JP6299048B2 - 熱収縮チューブ及び熱収縮キャップ - Google Patents

熱収縮チューブ及び熱収縮キャップ Download PDF

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Description

本発明は、自動車用ワイヤーハーネスの防水等に使用される熱収縮チューブ及び熱収縮キャップに関するものである。
自動車用や自動二輪用のワイヤーハーネスは複数の絶縁電線を結束帯や粘着テープ等でまとめてなるものであり、各電線は、銅合金等の導体からなる素線(通常複数本である)の束に絶縁体を被覆しているものである。ワイヤーハーネス等の電線束の末端や中間部にある接続部位(ジョイント部)は素線が露出している部分であり、その防水には、その内面にホットメルト型接着剤(内層接着剤)からなる層を有する熱収縮チューブ、熱収縮キャップが用いられ、これらを接続部位に被せ熱収縮させて防水が図られている。
ワイヤーハーネスの防水要求としては、接続部位における外部からの水の浸入を防ぐだけでなく、防水処理をしていない部位から侵入した水の絶縁電線内部での行き来を防ぐために素線の内隙間の止水(素線間止水性)も求められることが多い。理由としては、電線内部を伝い、水が重要な機器まで侵入してしまうからである。しかし、従来の熱収縮チューブ、熱収縮キャップの内層接着剤の粘度は高いので、熱収縮チューブ、キャップを被せて収縮させるのみでは素線間に内層接着剤が浸透せず充分な素線間止水性を得ることができない。
そこで充分な素線間止水性を得るため、従来は、熱収縮チューブやキャップの収縮加工前に、接続部位を粘度の低い接着剤に浸漬させる、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を接続部位の素線間に注入し硬化させる等の作業が行われている。
例えば、特許文献1には、複数電線の端末の電線間の隙間をテープ巻き等により狭小化させるとともに、その部分の芯線間の隙間にシアノ系接着剤を浸透固化させて芯線同士を接着する一方、その内面にホットメルト層(接着層)を備えた熱収縮チューブを前記端末に被せ、ホットメルト層を溶融固化して充填する電線端末の防水構造が記載されている。又、特許文献2には、複数の被覆電線が露出された端末芯線部に、熱硬化特性を有する液状の止水材を付着させ該止水材を芯線間に浸透させる止水材供給工程と、抵抗溶接により発生した熱で前記止水材を硬化させる止水材硬化工程と、内側にホットメルトが塗布された熱収縮キャップを前記被覆電線の端末に被せ、該熱収縮キャップに熱を加えて熱収縮キャップを収縮させるとともに、前記ホットメルトを前記被覆電線間に浸透させて該被覆電線間を止水する線間止水工程と、を順次有するジョイント電線の止水方法が開示されている。
特開平11−233175号公報 特開2009−99385号公報
前記のように、従来の方法では、防水部だけでなく素線間止水も達成するためには、素線間止水のための作業及び熱収縮チューブやキャップを被せ収縮加工する作業の少なくとも2つの作業を要し、その生産性について問題があった。そこで、熱収縮チューブやキャップを被せて加熱収縮をする作業のみで防水部の防水とともに素線間止水もできる方法が望まれていた。
本発明は、自動車用ワイヤーハーネス等の多数の絶縁被覆電線を束ねてなる電線束の接続部位等の電線露出部の防水に用いられる熱収縮チューブ又は熱収縮キャップであって、前記電線露出部に被せて加熱収縮をするだけで電線露出部の防水とともに素線間止水もできる熱収縮チューブや熱収縮キャップを提供することを課題とする。本発明は、又、電線露出部に熱収縮チューブや熱収縮キャップを被せて加熱収縮をするだけで電線露出部の防水とともに素線間止水も達成できる電線束の防水方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、その内面に接して接着剤層を有する熱収縮チューブ又は熱収縮キャップであって、前記チューブ又はキャップ内に、前記チューブ又はキャップを熱収縮させる時の加熱により崩壊するカプセルを含み、前記カプセル内には、前記加熱により、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり、前記チューブ又はキャップの熱収縮後には固化する素線間浸透用接着剤が充填されている熱収縮チューブ又は熱収縮キャップである。
本発明の第2の態様は、複数の絶縁被覆電線を束ねてなる電線束の素線露出部の防水方法であって、前記素線露出部にその内面に接して接着剤層を有する熱収縮チューブ又は熱収縮キャップを被せた後、加熱して前記チューブ又はキャップを熱収縮させる工程よりなり、前記チューブ又はキャップ内には、熱収縮させる時の加熱により崩壊するカプセルを含み、前記カプセル内には、前記加熱により、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり、熱収縮後には固化する素線間浸透用接着剤が充填されている電線束の防水方法である。
本発明の第1の態様によれば、電線束の素線(導体)露出部、すなわち防水が求められる部分に被せて加熱収縮をするだけで素線(導体)露出部の防水とともに素線間止水もできる熱収縮チューブ又は熱収縮キャップが提供される。
本発明の第2の態様によれば、電線束の素線(導体)露出部、すなわち防水が求められる部分に、熱収縮チューブ又は熱収縮キャップを被せて加熱収縮をするだけで素線(導体)露出部の防水とともに素線間止水もできる電線束の防水方法が提供される。従って、この防水方法は、生産性の高いものであり、自動車用ワイヤーハーネスの接続部位等の防水方法として好ましく適用できる。
第1の態様の熱収縮チューブ、熱収縮キャップの一例を表す模式断面図である。 第1の態様の熱収縮チューブ、熱収縮キャップの他の一例を表す模式断面図である。 第2の態様により、ワイヤーハーネスの電線露出部を防水する方法の1工程を示す模式断面図である。 第2の態様により、ワイヤーハーネスの電線露出部を防水する方法の1工程を示す模式断面図である。
以下、第1の態様及び第2の態様について実施するための形態を具体例等に基づき説明する。第1の態様及び第2の態様の発明は、これらの形態や具体例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
本発明者は、従来の熱収縮チューブ又はキャップを用いる電線束の防水方法における前記のような問題を解決するため鋭意検討の結果、内面に接着剤層が形成された熱収縮チューブ又はキャップ中に、保存時には安定であるが前記チューブ又はキャップを熱収縮させる時の加熱温度により崩壊するカプセルを設け、そのカプセル内に、熱収縮時の加熱により電線束の電線間に浸透する低粘度の液状となるとともに、熱収縮後には固化する素線間浸透用接着剤を充填することにより前記の課題を解決できることを見出し、第1の態様及び第2の態様の発明を完成した。
(1)第1の態様の熱収縮チューブ又は熱収縮キャップについて
本発明の第1の態様は、その内面に接して接着剤層を有する熱収縮チューブ又は熱収縮キャップであって、前記チューブ又はキャップ内に、前記チューブ又はキャップを熱収縮させる時の加熱により崩壊するカプセルを含み、前記カプセル内には、前記加熱により、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり、前記チューブ又はキャップの熱収縮後には固化する素線間浸透用接着剤が充填されている熱収縮チューブ又は熱収縮キャップである。
第1の態様及び第2の態様における熱収縮チューブとは、加熱により径方向に収縮する性質を有するチューブであり、通常その両端が開口しており、ワイヤーハーネスの末端にある電線露出部の防水等に用いられるものを言うが、以下の熱収縮キャップも含めて熱収縮チューブと言うことがある。熱収縮キャップとは、熱収縮チューブであってその一端が熱収縮等によりすでに閉じられているものを言い、ワイヤーハーネスの末端にある電線露出部の防水等に用いられる。
第1の態様の熱収縮チューブや熱収縮キャップは、従来の熱収縮チューブと同様な樹脂を用いて構成され、同様な方法により製造することができる。例えば、直鎖状ポリオレフィンの重合体を溶融押出機等によりチューブ状に成形した後、電離放射線照射等により樹脂を架橋し、その後チューブの内部に圧縮空気を送り込む方法等により拡径し、冷却固定して熱収縮性を有する樹脂チューブを製造することができる。熱収縮キャップは、前記のようにして製造された熱収縮チューブの一端を、熱収縮等により閉じることにより製造することができる。
第1の態様の熱収縮チューブや熱収縮キャップは、その内面に接して、被着体との接着性を有する接着性樹脂(内層接着剤)により形成された接着剤層が設けられている。この接着性樹脂により熱収縮チューブや熱収縮キャップと、電線束を構成する絶縁電線(素線露出部を含む)とが接着され、素線露出部が防水される。接着性樹脂とは、熱収縮温度では流動性を有し冷却後は固化して電線露出部の接着をするものであり、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。接着剤層が熱可塑性樹脂により構成される場合は可使時間の制限がない。この接着性樹脂としては、例えば、熱可塑性のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等のホットメルト接着剤を挙げることができる。
この態様の熱収縮チューブや熱収縮キャップは、前記チューブ又はキャップを熱収縮させる時の加熱温度により崩壊するカプセルを含むことを特徴とする。このカプセルは、熱収縮チューブや熱収縮キャップを保存する温度では、安定したカプセル形状を保つが、チューブ又はキャップを熱収縮させる温度では崩壊するものである。従って、カプセルが崩壊する温度は、チューブ又はキャップを熱収縮させる温度(熱収縮温度)より低いことが必要であるが、カプセルが崩壊する温度が低すぎる場合は保存時に安定したカプセル形状を保ちにくくなる場合がある。
よって、熱収縮時にカプセルを確実に崩壊させるともに、保存時に安定したカプセル形状を保つため、具体的には、熱収縮温度より5〜30℃低い温度で崩壊するカプセルが好ましい。カプセルには、熱収縮チューブや熱収縮キャップの保存時に安定したカプセル形状を保つための機械的強度も望まれる。
このカプセルを形成する材料としては、加熱温度で分解又は溶融する熱可塑性樹脂などが使用できる。また、カプセルの大きさは、熱収縮チューブの内径の50%以下が好ましい。カプセルの径が大きい場合は、熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ内にカプセルの位置が保持できるようにして挿入する。またカプセルの径が小さい場合は、カプセルをバインダー等で固めたリング状のチューブとして熱収縮チューブ又は熱収縮キャップの内に挿入することもできる。
カプセル中には、熱収縮温度では、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり素線間に浸透するとともに、熱収縮後冷却したときには固化して、素線間を止水できる素線間浸透用接着剤が充填されている。ここで、電線束の素線間に浸透するとは、電線束を構成する複数の絶縁被覆電線の間に浸透するとともに、それぞれの絶縁被覆電線内部の導体を構成する素線間にも浸透することを意味する。
従って、カプセル中に充填される素線間浸透用接着剤は、熱収縮温度では、電線束の電線間に浸透するような低粘度となる。一方、熱収縮後に冷却したときには、充分な素線間止水性が得られるように固化することが望まれる。チューブやキャップの内面に接して形成された接着剤層を構成する接着性樹脂は、通常、熱収縮温度であっても素線間に浸透するような低粘度とはならず、従ってこの接着性樹脂のみでは素線間止水性は得られない。しかし、第1の態様では、カプセル中に充填された素線間浸透用接着剤が、カプセルの崩壊により電線束の素線間に浸透し、冷却した後には固化しているので充分な素線間止水性が得られる。
カプセル中に充填される素線間浸透用接着剤については、具体的には、以下のような態様を挙げることができる。
a)温度による粘度変化の大きい熱可塑性樹脂からなる接着剤
すなわち、熱収縮チューブや熱収縮キャップにより止水された電線束が使用される温度では、充分な素線間止水性が得られる程度まで固化するが、熱収縮温度では、電線束の電線間に浸透し得る低粘度となる熱可塑性樹脂である。従って、熱収縮温度では、接着剤層を構成する接着性樹脂よりはるかに低粘度となる。そこで、第1の態様のより好ましい態様として、前記素線間浸透用接着剤が、熱収縮温度では、電線束の電線間に浸透し得る低粘度となり、熱収縮後の冷却により固化する熱可塑性樹脂である熱収縮チューブ又は熱収縮キャップを提供する。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等を挙げることができる。
b)カプセル崩壊後、空気と接触し、湿気等により硬化する接着剤
この樹脂は、硬化前は、電線束の電線間に浸透し得る低粘度である。この樹脂は、熱収縮チューブや熱収縮キャップの保存時にはカプセル内に充填されているが、熱収縮時のカプセルの崩壊により流出し電線(素線)間に浸透する。その後、空気中の湿気等により硬化して充分な素線間止水性を達成する。このような接着剤としては、シアノ系接着剤、湿気硬化型ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
c)熱硬化性樹脂よりなる接着剤
この樹脂も、硬化前は、電線束の電線間に浸透し得る低粘度であり、カプセル内に充填されている。熱収縮のための加熱により、カプセルが崩壊して電線(素線)間に浸透するとともに、熱硬化して充分な素線間止水性を達成する。このような接着剤としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
d)硬化剤と硬化剤により硬化する樹脂よりなる接着剤
硬化剤及び前記硬化剤により硬化する樹脂は、熱収縮温度では、電線束の電線間に浸透するような低粘度である。硬化剤と樹脂は、それぞれ別のカプセルに充填されており、カプセルの崩壊前は互いに混合しない。熱収縮のための加熱により、カプセルが崩壊すると、電線間に浸透するとともに、硬化剤と樹脂が混合して硬化し、充分な素線間止水性を達成する。このような接着剤としては、エポキシ樹脂とその硬化剤であるアミン類、ポリアミド樹脂、酸無水物等との組合せ等を挙げることができる。そこで、第1の態様のより好ましい態様として、前記素線間浸透用接着剤が、エポキシ樹脂とその硬化剤からなる熱収縮チューブ又は熱収縮キャップを提供する。
第1の態様の熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ内に含まれるカプセルの量は、カプセル中に充填される素線間浸透用接着剤が、素線間止水を達成するために充分となる量である。又、熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ内には、上記に加えて必要に応じ、発明の趣旨を損ねない範囲で、硬化促進剤、安定剤、酸化防止剤等を加えることができる。
(2)第2の態様の電線束の防水方法について
本発明の第2の態様は、複数の絶縁被覆電線を束ねてなる電線束の素線露出部の防水方法であって、前記素線露出部にその内面に接して接着剤層を有する熱収縮チューブ又は熱収縮キャップを被せた後、加熱して前記チューブ又はキャップを熱収縮させる工程よりなり、前記チューブ又はキャップ内には、熱収縮させる時の加熱温度により崩壊するカプセルを含み、前記カプセル内には、前記加熱により、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり、熱収縮後の冷却時には固化する素線間浸透用接着剤が充填されている電線束の防水方法である。
第2の態様の防水方法によれば、素線露出部に熱収縮チューブ又は熱収縮キャップを被せ、加熱して前記チューブ又はキャップを熱収縮させるとの作業のみで、電線束の防水だけでなく素線間止水もできる。従って、ワイヤーハーネス等の電線束の防水作業の生産性を、従来技術より高めることができる。
第2の態様の防水方法では、その内面に接して接着剤層を有する熱収縮チューブ又は熱収縮キャップであって、熱収縮させる時の加熱により崩壊するカプセルを含み、前記カプセル内には、前記加熱により、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり、熱収縮後の冷却時には固化する素線間浸透用接着剤が充填されている熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ、すなわち本発明の第1の態様の熱収縮チューブ又は熱収縮キャップが用いられる。
第2の態様の防水方法では、先ず、電線束の電線露出部に熱収縮チューブ又は熱収縮キャップが被せられる。この防水方法が適用される電線束とは、絶縁性の樹脂により絶縁被覆がされた電線(導体線、芯線:通常複数本の素線からなる)を複数本束ねたものであり、ワイヤーハーネス、特に自動車用ワイヤーハーネスをその代表例として挙げることができる。そこで、第2の態様のより好ましい態様として、前記電線束が、自動車用ワイヤーハーネスである電線束の防水方法を提供する。
電線束の素線露出部とは、電線束の接続部位や分岐部等に形成される絶縁被覆が除去されて導体が露出した部分である。分岐部では、電線束の中間部に素線露出部が設けられており、この部分の防水・止水には両端が開口している熱収縮チューブが用いられることが多い。接続部位は、電線束の末端に素線露出部が設けられることが多く、この部分の防水・止水には、一端が閉じられた熱収縮チューブである熱収縮キャップが用いられることが多い。
素線露出部に熱収縮チューブ又は熱収縮キャップが被せられた後、熱収縮チューブ又は熱収縮キャップは、熱収縮温度まで加熱される。加熱により、熱収縮チューブ又は熱収縮キャップは熱収縮するとともに、接着剤層を形成する接着剤(内層接着剤)が流動し、素線露出部の絶縁被覆電線の束を外側より覆うので、接着剤が固化することにより素線露出部の防水が達成される。ただし、内層接着剤は、熱収縮温度でも比較的高粘度なので、絶縁被覆電線間や絶縁被覆と導体間、特に導体を構成する複数の素線間には充分浸透しない。すなわち、内層接着剤のみでは、充分な素線間止水性は得られない。
熱収縮温度への加熱により、熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ内のカプセルは崩壊し、カプセル内に充填されている素線間浸透用接着剤が流出する。素線間浸透用接着剤は、熱収縮温度では、内層接着剤より低粘度であって、絶縁被覆と導体間や素線間には浸透し得る粘度の液状となる。その結果、絶縁被覆と導体間や素線間に浸透する。
素線間浸透用接着剤が絶縁被覆と導体間や素線間等に浸透(素線間浸透)した後、素線間浸透用接着剤は硬化する。そして、充分な素線間止水性を達成することができる。
素線間浸透用接着剤が温度による粘度変化の大きい熱可塑性樹脂からなる場合(前記のa))、硬化は、加熱後素線間浸透用接着剤が冷却されることにより行われる。素線間浸透用接着剤が空気と接触し、湿気等により硬化するものである場合(前記のb))は、硬化は、素線間浸透後、接着剤が空気と接触することにより行われる。素線間浸透用接着剤が熱硬化性樹脂よりなる場合(前記のc))は、素線間浸透後、熱収縮温度への加熱により接着剤が硬化する。素線間浸透用接着剤が硬化剤と硬化剤により硬化する樹脂よりなる場合(前記のd))は、熱収縮温度への加熱により、カプセルが崩壊して硬化剤と樹脂が混合して硬化反応をすることにより硬化がされる。
次に、図により、第1の態様の熱収縮チューブ、熱収縮キャップ及びこれらを用いるワイヤーハーネスの防水(すなわち第2の態様)について説明する。
図1(a)は第1の態様の熱収縮チューブ、図1(b)は第1の態様の熱収縮キャップの一例を表す模式断面図である。いずれも熱収縮前の状態を表している。図中、1は熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ(樹脂部)を表し、2は、前記熱収縮チューブ又は熱収縮キャップの内面に形成された接着剤層(内装接着剤層)を表す。なお、図1(b)の熱収縮キャップは、図1(a)の熱収縮チューブの一端を熱収縮させて得られたものである。
図1(a)(b)中の3は、カプセル入り樹脂層を表す。図1(a)(b)は、カプセルの径が小さい場合であり、カプセル5aは、カプセル入り樹脂層3中に分散している。カプセル入り樹脂層3は、カプセルをバインダーで固めたリング状のチューブとし、そのチューブを熱収縮チューブ又は熱収縮キャップの内に挿入して形成することもできる。この場合、前記バインダーが、カプセル入り樹脂層3を構成する樹脂となる。
カプセル5a中には、素線浸透用接着剤が充填されている。熱収縮の際の加熱によりカプセル5aは崩壊する。素線浸透用接着剤は熱収縮の温度では低粘度であるので、崩壊により流出したカプセル5aの素線浸透用接着剤は素線間に浸透する。
図2(a)は第1の態様の熱収縮チューブ、図2(b)は第1の態様の熱収縮キャップの別の例を表す模式断面図である。図1(a)(b)と同様に、図中、1は熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ(樹脂部)を表し、2は、前記熱収縮チューブ又は熱収縮キャップの内面に形成された接着剤層(内装接着剤層)を表す。又、図2(b)の熱収縮キャップは、図2(a)の熱収縮チューブの一端を熱収縮させて得られたものである。
図1(a)(b)は、カプセルの径が小さい場合であるが、図2(a)(b)は、カプセルの径が大きい場合を表している。図2(a)(b)中の4は、カプセル接着層を表す。カプセルの径が大きい場合は、樹脂層中にカプセルを分散させることできないので、カプセル接着層4によりカプセル5bが保持されている。すなわち、カプセル5bは接着剤により熱収縮チューブ又は熱収縮キャップの内面に保持されている。なお、カプセルが保持される方法であれば、カプセル接着層以外の方法により保持されてもよい。
図3、4は、それぞれ、図2(a)で表される熱収縮チューブを用いて、第2の態様により、ワイヤーハーネス7の電線露出部8を防水する方法の1工程を示す模式断面図である。図に示すように熱収縮チューブ内には、ワイヤーハーネス7の電線露出部8が挿入され、熱収縮チューブ1は加熱されて熱収縮する。図3は、熱収縮前の加熱されている段階を表し、図4は、熱収縮後の段階を表している。
カプセル5aと同様に、カプセル5b中には、素線浸透用接着剤6が充填されている。熱収縮の際の加熱によりカプセル5bは崩壊する。カプセル5bの素線浸透用接着剤6は、熱収縮の温度では低粘度であるので、崩壊したカプセル5bより流出し素線浸透用接着剤6は素線間に浸透する。素線浸透用接着剤6は、低温では粘度が大きいものであるので、熱収縮後の冷却により固化し、充分な素線間止水性が得られる。なお、熱収縮キャップの場合であっても、又図1(a)(b)のようなカプセルの径が小さい場合であっても、図3、4で説明した場合と同様にして、充分な素線間止水性が得られる。
(参考実験例)
[実験に使用した素材]
1.熱収縮キャップ: 熱収縮キャップA 10/4×70L(材質:ポリエチレン 収縮前内径10mm、収縮前肉厚0.65mm、収縮後内径4mm、収縮後肉厚1.5mm、長さ70mm)
2.ワイヤーハーネス: 電線AVSS0.5(導体:軟銅より線 絶縁体:塩化ビニル 素線数8本、素線径0.32mm、導体断面積0.56mm、住友電装社製)を超音波溶接により7本をジョイントしたもの
3.接着剤
(1)アロンアルファ201(α−シアノアクリレート、粘度(25℃):2cp、東亞合成社製)
(2)JER827(エポキシ樹脂、エポキシ当量:180〜190、粘度(25℃):9000〜11000cp、三菱化学社製)
+ キュアゾール1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、エポキシ樹脂硬化剤、四国化成社製)
実験1(素線間浸漬用接着剤を使用しない例)
熱収縮キャップに、前記ワイヤーハーネスの一端部にある素線露出部を差し込んだ後、150℃×5分間加熱して熱収縮キャップを熱収縮させた。冷却後、当該端部を水中に浸漬し、ワイヤーハーネスを構成する7本の電線のそれぞれの他方の端部から0.2MPaの圧縮空気を入れ、エアリーク試験を行ったが空気漏れが生じた。
実験2
接着剤としてアロンアルファ201を用い、その0.2gを熱収縮キャップに投入した後、熱収縮キャップに、ワイヤーハーネスの一端を差し込み、150℃×3分間加熱して熱収縮キャップを熱収縮させた。冷却後、当該端部を水中に浸漬し、ワイヤーハーネスを構成する7本の電線のそれぞれの他方の端部から0.2MPaの圧縮空気を入れ、エアリーク試験を行ったが空気漏れはなかった。なお、アロンアルファ201の常温での剪断速度1s−1の時の粘度は2.0Pa・sであった。
実験3
接着剤としてJER827+キュアゾール1B2PZを用い、熱収縮の加熱条件を150℃×10分間とした以外は、実験2と同様に、試験を行ったが空気漏れはなかった。なお、JER827の150℃での剪断速度1s−1の時の粘度は1.0Pa・s以下であった。
以上の結果より、次のことが言える。
1.素線間浸透用接着剤を使用しない場合(実験1)は、素線間止水性は得られない。
2.素線間浸透用接着剤として、150℃での粘度が低いものを用いた場合(実験2、3)は、予め素線間浸透用接着剤を入れた熱収縮キャップ中に、ワイヤーハーネスの一端部を差し込み熱収縮する方法(すなわち、熱収縮キャップ中にワイヤーハーネスの一端部を差し込む前に、その端部を接着剤に浸漬する工程を経ない方法)によって充分な素線間止水性が得られている。
以上の結果は、150℃での粘度が低い接着剤を、150℃以下で崩壊するカプセルに充填して熱収縮キャップ中に入れた場合でも同様と考えられる。そして、カプセルに充填することにより接着剤の保存安定性も向上する。従って、本発明により、電線露出部に被せて加熱収縮をするだけで電線露出部の防水とともに素線間止水もできる熱収縮チューブや熱収縮キャップ及びその熱収縮チューブや熱収縮キャップを用いる電線束の防水方法が提供されることが、前記実験の結果により示されていると言える。
1 熱収縮チューブ、熱収縮キャップ
2 接着剤層
3 カプセル入り樹脂層
4 カプセル接着層
5a、5b カプセル
6 素線浸透用接着剤
7 ワイヤーハーネス
8 電線露出部

Claims (5)

  1. その内面に接して接着剤層を有する熱収縮チューブ又は熱収縮キャップであって、前記チューブ又はキャップ内に、前記チューブ又はキャップを熱収縮させる時の加熱により崩壊するカプセルを含み、前記カプセル内には、前記加熱により、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり、前記チューブ又はキャップの熱収縮後には固化する素線間浸透用接着剤が充填されている熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ。
  2. 前記素線間浸透用接着剤が、熱収縮温度では、電線束の素間に浸透し得る低粘度となり、熱収縮後の冷却により固化する熱可塑性樹脂である請求項1に記載の熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ。
  3. 前記素線間浸透用接着剤が、エポキシ樹脂とその硬化剤からなる請求項1に記載の熱収縮チューブ又は熱収縮キャップ。
  4. 複数の絶縁被覆電線を束ねてなる電線束の素線露出部の防水方法であって、前記素線露出部にその内面に接して接着剤層を有する熱収縮チューブ又は熱収縮キャップを被せた後、加熱して前記チューブ又はキャップを熱収縮させる工程よりなり、前記チューブ又はキャップ内には、熱収縮させる時の加熱により崩壊するカプセルを含み、前記カプセル内には、前記加熱により、前記接着剤層を形成する接着剤より低粘度の液状となり、熱収縮後には固化する素線間浸透用接着剤が充填されている電線束の防水方法。
  5. 前記電線束が、自動車用ワイヤーハーネスである請求項に記載の電線束の防水方法。

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