<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態であるチャージポンプの構成を示す回路図である。図1において、PチャネルトランジスターM1、M2およびM3は、複数のキャパシター間の電荷転送のための転送用MOSFETであり、入力ノードN1と出力ノードN2との間に直列接続されている。ここで、出力ノードN2と第1の基準電圧源である接地との間には負荷とキャパシターCbが並列に介挿されている。また、入力ノードN1には、昇圧対象の入力電圧として第2の基準電圧源である高電位電圧源VDDの出力電圧が与えられる。PチャネルトランジスターM1、M2およびM3は、P型半導体基板に別個に形成された3個のNウェル(低濃度N型不純物領域)内に形成されている。PチャネルトランジスターM1のドレインは入力ノードN1に電気的に接続され、PチャネルトランジスターM1のソースおよびPチャネルトランジスターM1が属するNウェルはPチャネルトランジスターM2のドレインに電気的に接続されている。また、PチャネルトランジスターM2のソースおよびPチャネルトランジスターM2が属するNウェルはPチャネルトランジスターM3のドレインに電気的に接続されている。そして、PチャネルトランジスターM3のソースおよびPチャネルトランジスターM3が属するNウェルは出力ノードN2に電気的に接続されている。
PチャネルトランジスターM1およびM2間のノードN12(より具体的にはPチャネルトランジスターM1のソースおよびNウェルとPチャネルトランジスターM2のドレインとの接続点)にはキャパシターCf1の第1の電極が電気的に接続されている。また、PチャネルトランジスターM2およびM3間のノード23(より具体的にはPチャネルトランジスターM2のソースおよびNウェルとPチャネルトランジスターM3のドレインとの接続点)にはキャパシターCf2の第1の電極が電気的に接続されている。
VDD系回路10とレベルシフタ部20は、周期的なクロックfswに同期して、転送用のPチャネルトランジスターM1、M2およびM3のうち入力ノードN1から数えて偶数番目のトランジスター(すなわち、PチャネルトランジスターM2)のみをONにする第1の制御(以下、フェーズAという)と、入力ノードN1から数えて奇数番目のトランジスターのみをONにする第2の制御(以下、フェーズBという)を交互に繰り返すスイッチング制御手段を構成している。このスイッチング制御手段は、フェーズAおよびBでは、複数のキャパシターCf1およびCf2の一部のキャパシターであって、ONにする転送用のトランジスターの両側のノードのうち出力ノードN2側のノードに第1の電極が接続されたキャパシターの第2の電極を第1の基準電圧源である接地に電気的に接続し、入力ノードN1側のノードに第1の電極が接続されたキャパシターの第2の電極を第2の基準電圧源である高電位電圧源VDDに電気的に接続する。
以下、このスイッチング制御手段の構成について説明する。VDD系回路10は、制御部15と、ノンインバーティングバッファー11および13と、インバーター12および14と、NチャネルトランジスターML1およびPチャネルトランジスターML2からなるインバーターと、NチャネルトランジスターML3およびPチャネルトランジスターML4からなるインバーターとを有する。このVDD系回路10を構成する各回路には高電位電圧源VDDからの電源電圧が供給される。
制御部15は、クロックfswと同一論理の信号Aと、クロックfswを論理反転した信号Bを出力する。ノンインバーティングバッファー11は信号Aをそのままの論理でNチャネルトランジスターML1のゲートに供給し、インバーター12は信号Bを論理反転した信号XBをPチャネルトランジスターML2のゲートに供給する。また、ノンインバーティングバッファー13は信号Bをそのままの論理でNチャネルトランジスターML3のゲートに供給し、インバーター14は信号Aを論理反転した信号XAをPチャネルトランジスターML4のゲートに供給する。そして、NチャネルトランジスターML1およびPチャネルトランジスターML2からなるインバーターは、キャパシターCf2の第2の電極に対して出力電圧CP3を供給する。また、NチャネルトランジスターML3およびPチャネルトランジスターML4からなるインバーターは、キャパシターCf1の第2の電極に対して出力電圧CP1を供給する。
レベルシフタ部20は、レベルシフタS1、S2およびS3により構成されている。ここで、レベルシフタS1は、信号Bのレベルシフトを行うことにより、PチャネルトランジスターM1に対するゲート電圧H_XB1を出力する回路である。また、レベルシフタS2は、信号Aのレベルシフトを行うことにより、PチャネルトランジスターM2に対するゲート電圧H_XAを出力する回路である。また、レベルシフタS3は、信号Bのレベルシフトを行うことにより、PチャネルトランジスターM3に対するゲート電圧H_XB2を出力する回路である。
これらのレベルシフタS1、S2およびS3は、同じ回路構成のレベルシフタである。これらのレベルシフタは、高電位電源ノード、低電位電源ノード(接地ノード)およびクランプ電圧ノードを有している。そして、これらのレベルシフタは、入力信号がLレベル(=0V)である場合、高電位電源ノードに与えられる電圧を出力し、入力信号がHレベル(=VDD)である場合、クランプ電圧ノードの電圧によりクランプされた電圧を出力する。
図1において、レベルシフタS1、S2およびS3の低電位電源ノードは、図示が省略されているが、いずれも第1の基準電圧源である接地に電気的に接地されている。また、レベルシフタS1は、PチャネルトランジスターM1およびM2間のノードN12の電圧CP2が高電位電源ノードに与えられ、接地(=0V)がクランプ電圧ノードに与えられる。従って、レベルシフタS1は、入力信号BがLレベルである場合にPチャネルトランジスターM1およびM2間のノードN12の電圧CP2をPチャネルトランジスターM1のゲートに供給する。また、レベルシフタS1は、入力信号BがHレベルである場合にクランプ電圧ノードの電圧0Vにクランプされた電圧をPチャネルトランジスターM1のゲートに供給する。
また、レベルシフタS2は、PチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23の電圧CP4が高電位電源ノードに与えられ、キャパシターCf2の第2の電極の電圧CP3がクランプ電圧ノードに与えられる。従って、レベルシフタS2は、入力信号AがLレベルである場合にPチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23の電圧CP4をPチャネルトランジスターM2のゲートに供給する。また、レベルシフタS2は、入力信号AがLレベルである場合にクランプ電圧ノードの電圧CP3によりクランプされた電圧をPチャネルトランジスターM2のゲートに供給する。
また、レベルシフタS3は、出力ノードN2の電圧VCPが高電位電源ノードに与えられ、高電位電圧源VDDからの電源電圧がクランプ電圧ノードに与えられる。従って、レベルシフタS3は、入力信号BがLレベルである場合に出力ノードN2の電圧VCPをPチャネルトランジスターM3のゲートに供給する。また、レベルシフタS3は、入力信号BがHレベルである場合にクランプ電圧ノードの電圧VDDによりクランプされた電圧をPチャネルトランジスターM3のゲートに供給する。
以上が本実施形態によるチャージポンプの構成である。
図2は本実施形態によるチャージポンプの各部の波形を示すタイムチャートである。図2に示すように、クロックfswは、Hレベル(=VDD)とLレベル(=0V)を周期的かつ交互に繰り返す。ここで、クロックfswがHレベル(=VDD)の場合、信号AはHレベル、信号BはLレベル、信号XAはLレベル、信号XBはHレベルとなり、チャージポンプはフェーズAでの動作を行う。一方、クロックfswがLレベル(=0V)の場合、信号AはLレベル、信号BはHレベル、信号XAはHレベル、信号XBはLレベルとなり、チャージポンプはフェーズBでの動作を行う。
図3(A)はフェーズAにおけるチャージポンプの各部の状態を示す回路図である。また、図3(B)はフェーズBにおけるチャージポンプの各部の状態を示す回路図である。
まず、フェーズBでは、信号BがHレベル(VDD)となることから、レベルシフタS1はゲート電圧H_XB1としてクランプ電圧0Vによりクランプされた電圧を出力し、PチャネルトランジスターM1をONさせる。また、信号AがLレベル(0V)であることから、レベルシフタS3はゲート電圧H_XB2としてクランプ電圧VDDによりクランプされた電圧を出力する。ここで、フェーズBでは、後述するように出力ノードN2に電圧3VDDが出力される。従って、PチャネルトランジスターM3はONとなる。また、フェーズBでは、信号AがLレベル、信号XBがLレベルとなることから、NチャネルトランジスターML1がOFF、PチャネルトランジスターML2がONとなり、キャパシターCf2の第2の電極の電圧CP3がVDDになる。そして、信号AがLレベルであることから、レベルシフタS2はゲート電圧H_XAとしてPチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23の電圧CP4を出力し、PチャネルトランジスターM2をOFFさせる。
一方、フェーズBでは、信号BがHレベル、信号XAがHレベルとなることから、NチャネルトランジスターML3がON、PチャネルトランジスターML4がOFFとなり、キャパシターCf1の第2の電極の電圧CP1が0Vになる。
この結果、フェーズBでは、図3(B)に示すように、入力ノードN1→PチャネルトランジスターM1→キャパシターCf1→NチャネルトランジスターML3→接地という経路を電流が流れ、電圧VDDがキャパシターCf1に充電される。また、フェーズBでは、高電位電圧源VDD→PチャネルトランジスターML2→キャパシターCf2→PチャネルトランジスターM3→出力ノードN2という経路を電流が流れ、フェーズBになる直前にキャパシターCf2に充電されていた電圧と電圧VDDとを加算した電圧が出力ノードN2に出力される。
次にフェーズAでは、信号BがLレベルとなることから、レベルシフタS1はゲート電圧H_XB1としてPチャネルトランジスターM1およびM2間のノードN12の電圧CP2を出力し、PチャネルトランジスターM1をOFFさせる。また、レベルシフタS3はゲート電圧H_XB2として出力ノードN2の電圧VCPを出力し、PチャネルトランジスターM3をOFFさせる。また、フェーズAでは、信号AがHレベル、信号XBがHレベルとなることから、NチャネルトランジスターML1がON、PチャネルトランジスターML2がOFFとなり、キャパシターCf2の第2の電極の電圧CP3が0Vになる。そして、信号AがHレベルであるため、レベルシフタS2は、クランプ電圧CP3=0Vによりクランプされたゲート電圧H_XAを出力し、PチャネルトランジスターM2をONさせる。
一方、フェーズAでは、信号BがLレベル、信号XAがLレベルとなることから、NチャネルトランジスターML3がOFF、PチャネルトランジスターML4がON、キャパシターCf1の第2の電極の電圧CP1がVDDになる。
この結果、フェーズAでは、図3(A)に示すように、高電位電圧源VDD→PチャネルトランジスターML4→キャパシターCf1→PチャネルトランジスターM2→キャパシターCf2→NチャネルトランジスターML1→接地という経路を電流が流れ、フェーズAになる直前にキャパシターCf1に充電されていた電圧と電圧VDDとを加算した電圧がPチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23に出力され、この電圧がキャパシターCf2に充電される。
ここで、図3(B)を参照して説明したように、フェーズBでは、電圧VDDがキャパシターCf1に充電される。従って、フェーズBの直後のフェーズAにおいて、PチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23の電圧(すなわち、キャパシターCf2の第1の電極の電圧CP4)はVDD+VDD=2VDDとなる。
そして、フェーズAの後のフェーズBにおいて、電圧VDDにキャパシターCf2の充電電圧を加算した電圧がPチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23に出力され、この電圧が出力ノードN2に出力される。ここで、フェーズAでは、キャパシターCf2に電圧2VDDが充電される。従って、フェーズBにおいて、PチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23の電圧(すなわち、キャパシターCf2の第1の電極の電圧CP4)はVDD+2VDD=3VDDとなる。
図4はPチャネルトランジスターM2にゲート電圧H_XAを供給するレベルシフタS2の構成例を示す回路図である。図4に示すように、レベルシフタS2は、差動増幅部21とバッファー部22とにより構成されている。
差動増幅部21において、PチャネルトランジスターM23およびM24は、PチャネルトランジスターM2の両側のノードのうち出力ノードN2側のノードである転送先ノード(すなわち、PチャネルトランジスターM2およびM3間のノードN23)にソースが電気的に接続されている。また、PチャネルトランジスターM23のドレインがPチャネルトランジスターM24のゲートに電気的に接続されている。一方、PチャネルトランジスターM24のドレインがPチャネルトランジスターM23のゲートに電気的に接続されている。ここで、PチャネルトランジスターM24のドレイン電圧が差動増幅部21の出力信号となる。また、以上の構成において、PチャネルトランジスターM23のソースおよびPチャネルトランジスターM24のソースと、後述するPチャネルトランジスターM30のソースとの共通接続点がレベルシフタS2の高電位電源ノードとなっている。
NチャネルトランジスターM21のソースおよびNチャネルトランジスターM22のソースは、第1の基準電圧源である接地に電気的に接続されている。この接地がレベルシフタS2の低電位電源ノードとなっている。また、NチャネルトランジスターM21のゲートには信号Aが入力され、NチャネルトランジスターM22のゲートには信号Aをインバーター25により反転した信号が入力される。従って、クロックfswがHレベルのときはNチャネルトランジスターM21がON、NチャネルトランジスターM22がOFFとなり、クロックfswがLレベルのときはNチャネルトランジスターM21がOFF、NチャネルトランジスターM22がONとなる。このようにNチャネルトランジスターM21およびM22は、クロックfswに応じて排他的にONにされる。
PチャネルトランジスターM27およびM28は、差動増幅部21の出力信号のレベルをクランプ電圧CP3以上にクランプするクランプ用MOSFETである。さらに詳述すると、PチャネルトランジスターM27は、PチャネルトランジスターM23のドレインにソースが接続され、NチャネルトランジスターM21のドレイ電流の電流経路、具体的にはNチャネルトランジスターM25のドレインにドレインが接続されており、クランプ電圧CP3がゲートに与えられる。また、PチャネルトランジスターM28は、PチャネルトランジスターM24のドレインにソースが接続され、NチャネルトランジスターM22のドレイ電流の電流経路、具体的にはNチャネルトランジスターM26のドレインにドレインが接続され、クランプ電圧CP3がゲートに与えられる。このPチャネルトランジスターM27のゲートおよびNチャネルトランジスターM28のゲートと、後述するNチャネルトランジスターM29のソースとの共通接続点がレベルシフタS2のクランプ電圧ノードとなっている。
NチャネルトランジスターM25およびM26は、NチャネルトランジスターM21およびM22のドレイン電圧を電圧VDD以下にクランプするクランプ用MOSFETである。さらに詳述すると、NチャネルトランジスターM25は、ドレインがPチャネルトランジスターM27のドレインに接続され、ソースがNチャネルトランジスターM21のドレインに接続され、ゲートに電圧VDDが与えられる。また、NチャネルトランジスターM26は、ドレインがPチャネルトランジスターM28のドレインに接続され、ソースがNチャネルトランジスターM22のドレインに接続され、ゲートに電圧VDDが与えられる。
以上が差動増幅部21の構成である。
バッファー部22は、差動増幅部21の出力信号に応じて、高電位電源ノードに与えられる電圧CP4またはクランプ電圧ノードに与えられるクランプ電圧CP3を選択し、ゲート電圧H_XAとして出力する選択回路である。具体的には、バッファー部22は、電圧CP4およびCP3間の差電圧を電源電圧として動作するインバーターであり、PチャネルトランジスターM30およびNチャネルトランジスターM29により構成されている。
以上がレベルシフタS2の構成である。他のレベルシフタS1およびS3もこのレベルシフタS2と同様な構成を有している。
図5(A)はフェーズAにおけるレベルシフタS2の各部の状態を示す回路図である。また、図5(B)はフェーズBにおけるレベルシフタS2の各部の状態を示す回路図である。以下、図5(A)および(B)を参照し、本実施形態におけるレベルシフタS2の動作を説明する。なお、以下では、簡単のため、レベルシフタS3を構成する全てのPチャネルトランジスターおよび全てのNチャネルトランジスターの閾値電圧は、同じ絶対値Vthを有しているものとする。
上述したようにフェーズAでは、信号AはHレベル(VDD)となり、電圧CP3は0V、電圧CP4は2VDDとなる。この場合、信号AがHレベルであることから、NチャネルトランジスターM21がON、NチャネルトランジスターM22がOFFとなる。そして、ONになったNチャネルトランジスターM21がドレイン電流を引き込む結果、PチャネルトランジスターM24のゲート電圧がソース電圧CP4=2VDDよりも低くなり、PチャネルトランジスターM24がONになる。また、PチャネルトランジスターM24がONになる結果、差動増幅部21の出力電圧はCP4=2VDDとなり、この電圧CP4=2VDDがゲート電圧としてPチャネルトランジスターM23に与えられるため、PチャネルトランジスターM23はOFFになる。
ここで、フェーズAでは、クランプ電圧CP3=0VがPチャネルトランジスターM27およびM28のゲートに与えられ、PチャネルトランジスターM27およびM28がONになる。この結果、PチャネルトランジスターM27のソース電圧は0V+Vthとなる。
一方、NチャネルトランジスターM25およびM26は、電圧VDDがゲートに与えられるためにONになる。そして、ONであるNチャネルトランジスターM21のドレイン電圧は0Vとなり、OFFであるNチャネルトランジスターM22のドレイン電圧は、NチャネルトランジスターM26に対するゲート電圧VDDから電圧Vthを差し引いた電圧VDD−Vthとなる。
差動増幅部21の出力電圧が2VDDとなる結果、バッファー部22では、PチャネルトランジスターM30がOFF、NチャネルトランジスターM29がONとなる。この結果、クランプ電圧CP3=0VがNチャネルトランジスターM29により選択され、ゲート電圧H_XAとしてPチャネルトランジスターM2に出力される。これによりPチャネルトランジスターM2がONとなり、PチャネルトランジスターM1およびM2間のノードの電圧CP2と、PチャネルトランジスターM2およびM3間のノードの電圧CP4が2VDDとなる。
フェーズBでは、信号AはLレベル(0V)となり、電圧CP3はVDD、電圧CP4は3VDDとなる。
この場合、信号AがLレベルであることから、NチャネルトランジスターM21がOFF、NチャネルトランジスターM22がONとなる。そして、ONになったNチャネルトランジスターM22がドレイン電流を引き込む結果、PチャネルトランジスターM23のゲート電圧がソース電圧CP4=3VDDよりも低くなり、PチャネルトランジスターM23がONになる。また、PチャネルトランジスターM23がONになる結果、電圧CP4=3VDDがゲート電圧としてPチャネルトランジスターM24に与えられるため、PチャネルトランジスターM24はOFFになる。
ここで、フェーズBでは、クランプ電圧CP3=VDDがPチャネルトランジスターM27およびM28のゲートに与えられ、PチャネルトランジスターM27およびM28がONになる。この結果、PチャネルトランジスターM28のソース電圧、すなわち、差動増幅部21の出力電圧はVDD+Vthとなる。
一方、NチャネルトランジスターM25およびM26は、電圧VDDがゲートに与えられるためにONになる。そして、ONであるNチャネルトランジスターM22のドレイン電圧は0Vとなり、OFFであるNチャネルトランジスターM21のドレイン電圧は、NチャネルトランジスターM25に対するゲート電圧VDDから電圧Vthを差し引いた電圧VDD−Vthとなる。
差動増幅部21の出力電圧がVDD+Vthとなる結果、バッファー部22では、PチャネルトランジスターM30がON、NチャネルトランジスターM29がほぼOFFとなる。この結果、電圧CP4=3VDDがPチャネルトランジスターM30により選択され、ゲート電圧H_XAとしてPチャネルトランジスターM2に出力される。これによりPチャネルトランジスターM2がOFFとなり、PチャネルトランジスターM1およびM2間のノードの電圧CP2がVDD、PチャネルトランジスターM2およびM3間のノードの電圧CP4が3VDDとなる。
以上の動作において、クランプ用のPチャネルトランジスターM27およびM28、NチャネルトランジスターM25およびM26は、レベルシフタS2の全てのトランジスターのゲート酸化膜に印加される電圧を2VDD以下にする役割を果たす。
仮にクランプ用のPチャネルトランジスターM27およびM28を設けなかった場合、フェーズBにおいてPチャネルトランジスターM24のドレイン電圧は0Vになるので、PチャネルトランジスターM23、M24およびM30のゲート酸化膜に3VDDの電圧が印加される。
しかしながら、本実施形態では、クランプ用のPチャネルトランジスターM27およびM28が設けられており、フェーズBではこれらのトランジスターのゲートにクランプ電圧CP3=VDDが与えられるため、PチャネルトランジスターM24のドレイン電圧はVDD+Vthにクランプされる。このため、PチャネルトランジスターM23、M24およびM30のゲート酸化膜に印加される電圧を2VDD−Vthにすることができる。
また、仮にクランプ用のNチャネルトランジスターM25およびM26を設けなかった場合、フェーズBにおいてNチャネルトランジスターM21のドレイン電圧が3VDDになるので、NチャネルトランジスターM21のゲート酸化膜に3VDDの電圧が印加される。
しかしながら、本実施形態では、クランプ用のNチャネルトランジスターM25およびM26が設けられており、これらのトランジスターのゲートにクランプ電圧VDDが与えられるため、NチャネルトランジスターM24のドレイン電圧はVDD+Vthにクランプされる。このため、NチャネルトランジスターM24のゲート酸化膜に印加される電圧をVDD+Vthにすることができる。
以上のように、本実施形態では、レベルシフタS2の全てのトランジスターのゲート酸化膜に印加される電圧を2VDD以下にすることができる。従って、3VDDを出力するチャージポンプを2VDDの耐圧のトランジスターにより構成することができる。このように本実施形態によれば、高耐圧のトランジスターを形成するための工程が不要であるので、チャージポンプをなす半導体集積回路の製造コストを安価に抑えることができる。また、本実施形態によれば、チャージポンプの開発に当たって、そのチャージポンプに使用する高耐圧のトランジスターを開発する必要がないため、チャージポンプの開発費用を低減し、開発期間を短縮することができる。
<第2実施形態>
図6は、この発明の第2実施形態であるチャージポンプの構成を示す回路図である。上記第1実施形態では、複数のPチャネルトランジスターにより正電圧の転送および加算を行うことにより昇圧を行ったが、本実施形態では、複数のNチャネルトランジスターにより負電圧の転送および加算を行うことにより昇圧を行う。図6において、NチャネルトランジスターM1’、M2’およびM3’は、転送用MOSFETであり、入力ノードN1’と出力ノードN2’との間に直列接続されている。ここで、出力ノードN2’と第1の基準電圧源である接地との間には負荷とキャパシターCb’が並列に介挿されている。また、入力ノードN1’には、昇圧対象の入力電圧として第2の基準電圧源である低電位電圧源(負電源)VSSの出力電圧が与えられる。NチャネルトランジスターM1’、M2’およびM3’は、N型半導体基板に別個に形成された3個のPウェル(低濃度P型不純物領域)内に形成されている。NチャネルトランジスターM1’のドレインは入力ノードN1’に電気的に接続され、NチャネルトランジスターM1’のソースおよびPウェルはNチャネルトランジスターM2’のドレインに電気的に接続されている。また、NチャネルトランジスターM2’のソースおよびPウェルはNチャネルトランジスターM3’のドレインに電気的に接続されている。そして、NチャネルトランジスターM3’のソースおよびPウェルは出力ノードN2’に電気的に接続されている。
NチャネルトランジスターM1’およびM2’間のノードN12’にはキャパシターCf1’の第1の電極が電気的に接続されている。また、NチャネルトランジスターM2’およびM3’間のノードN23’にはキャパシターCf2’の第1の電極が電気的に接続されている。
VSS系回路10’とレベルシフタ部20’は、周期的なクロックfswに同期して、上記第1実施形態と同様な第1の制御(フェーズA)と第2の制御(フェーズB)を交互に繰り返すスイッチング制御手段を構成している。このスイッチング制御手段は、フェーズAおよびBでは、複数のキャパシターCf1’およびCf2’の一部のキャパシターであって、ONにする転送用のトランジスターの両側のノードのうち出力ノードN2’側のノードに第1の電極が接続されたキャパシターの第2の電極を第1の基準電圧源である接地に電気的に接続し、入力ノードN1’側のノードに第1の電極が接続されたキャパシターの第2の電極を第2の基準電圧源である低電位電圧源VSSに電気的に接続する。
以下、このスイッチング制御手段の構成について説明する。VSS系回路10’は、制御部15’と、ノンインバーティングバッファー12’および14’と、インバーター11’および13’と、NチャネルトランジスターML1’およびPチャネルトランジスターML2’からなるインバーターと、NチャネルトランジスターML3’およびPチャネルトランジスターML4’からなるインバーターとを有する。このVSS系回路10’を構成する各回路には低電位電圧源VSSからの電源電圧が供給される。
制御部15’は、クロックfswと同一論理の信号Aと、クロックfswを論理反転した信号Bを出力する。インバーター11’は信号Aを論理反転した信号A’をNチャネルトランジスターML1’のゲートに供給し、ノンインバーティングバッファー12’は信号Bをそのままの論理で信号XB’としてPチャネルトランジスターML2’のゲートに供給する。また、インバーター13’は信号Bを論理反転して、信号B’としてNチャネルトランジスターML3’のゲートに供給し、ノンインバーティングバッファー14’は信号Aをそのままの論理で信号XA’としてPチャネルトランジスターML4’のゲートに供給する。そして、NチャネルトランジスターML1’およびPチャネルトランジスターML2’からなるインバーターは、キャパシターCf2’の第2の電極に対して出力電圧CP3’を供給する。また、NチャネルトランジスターML3’およびPチャネルトランジスターML4’からなるインバーターは、キャパシターCf1’の第2の電極に対して出力電圧CP1’を供給する。
レベルシフタ部20’は、レベルシフタS1’、S2’およびS3’により構成されている。ここで、レベルシフタS1’は、信号Bのレベルシフトを行うことにより、NチャネルトランジスターM1’に対するゲート電圧H_XB1’を出力する回路である。また、レベルシフタS2’は、信号Aのレベルシフトを行うことにより、NチャネルトランジスターM2’に対するゲート電圧H_XA’を出力する回路である。また、レベルシフタS3’は、信号Bのレベルシフトを行うことにより、NチャネルトランジスターM3’に対するゲート電圧H_XB2’を出力する回路である。
これらのレベルシフタS1’、S2’およびS3’は、同じ回路構成のレベルシフタである。これらのレベルシフタは、高電位電源ノード(接地ノード)、低電位電源ノードおよびクランプ電圧ノードを有している。そして、これらのレベルシフタは、入力信号がHレベル(=0V)である場合、低電位電源ノードに与えられる電圧を出力し、入力信号がLレベル(=VSS)である場合、クランプ電圧ノードの電圧によりクランプされた電圧を出力する。
図6において、レベルシフタS1’、S2’およびS3’の高電位電源ノードは、図示が省略されているが、いずれも第1の基準電圧源である接地に電気的に接地されている。また、レベルシフタS1’は、NチャネルトランジスターM1’およびM2’間のノードN12’の電圧CP2’が低電位電源ノードに与えられ、接地(=0V)がクランプ電圧ノードに与えられる。従って、レベルシフタS1’は、入力信号BがHレベルである場合にNチャネルトランジスターM1’およびM2’間のノードN12’の電圧CP2’をNチャネルトランジスターM1’のゲートに供給する。また、レベルシフタS1’は、入力信号BがLレベルである場合にクランプ電圧ノードの電圧0Vによりクランプされた電圧をNチャネルトランジスターM1’のゲートに供給する。
また、レベルシフタS2’は、NチャネルトランジスターM2’およびM3’間のノードN23’の電圧CP4’が低電位電源ノードに与えられ、キャパシターCf2’の第2の電極の電圧CP3’がクランプ電圧ノードに与えられる。従って、レベルシフタS2’は、入力信号AがHレベルである場合にNチャネルトランジスターM2’およびM3’間のノードN23’の電圧CP4’をNチャネルトランジスターM2’のゲートに供給する。また、レベルシフタS2’は、入力信号AがLレベルである場合にクランプ電圧ノードの電圧CP3’によりクランプされた電圧をNチャネルトランジスターM2’のゲートに供給する。
また、レベルシフタS3’は、出力ノードN2’の電圧VCP’が低電位電源ノードに与えられ、低電位電圧源VSSからの電源電圧がクランプ電圧ノードに与えられる。従って、レベルシフタS3’は、入力信号BがHレベルである場合に出力ノードN2’の電圧VCP’をNチャネルトランジスターM3’のゲートに供給する。また、レベルシフタS3’は、入力信号BがLレベルである場合にクランプ電圧ノードの電圧VSSによりクランプされた電圧をNチャネルトランジスターM3’のゲートに供給する。
以上が本実施形態によるチャージポンプの構成である。
図7はNチャネルトランジスターM2’にゲート電圧H_XA’を供給するレベルシフタS2’の構成例を示す回路図である。図7に示すように、レベルシフタS2’は、差動増幅部21’とバッファー部22’とにより構成されている。
差動増幅部21’において、NチャネルトランジスターM23’およびM24’は、NチャネルトランジスターM2’の両側のノードのうち出力ノードN2’側のノードである転送先ノード(すなわち、NチャネルトランジスターM2’およびM3’間のノードN23’)にソースが電気的に接続される。また、NチャネルトランジスターM23’のドレインはNチャネルトランジスターM24’のゲートに電気的に接続され、NチャネルトランジスターM24’のドレインはNチャネルトランジスターM23’のゲートに電気的に接続される。ここで、NチャネルトランジスターM24’のドレイン電圧が差動増幅部21’の出力信号となる。また、NチャネルトランジスターM23’のソースおよびNチャネルトランジスターM24’のソースと、後述するNチャネルトランジスターM30’のソースとの共通接続点が、レベルシフタS2’の低電位電源ノードとなっている。
PチャネルトランジスターM21’のソースおよびPチャネルトランジスターM22’のソースは、第1の基準電圧源である接地に電気的に接続されている。また、PチャネルトランジスターM21’のゲートには信号Aが入力され、PチャネルトランジスターM22’のゲートには信号Aをインバーター29’により反転した信号が入力される。従って、クロックfswがLレベルのときはPチャネルトランジスターM21’がON、PチャネルトランジスターM22’がOFFとなり、クロックfswがLレベルのときはPチャネルトランジスターM21’がOFF、PチャネルトランジスターM22’がONとなる。このようにPチャネルトランジスターM21’およびM22’は、クロックfswに応じて排他的にONにされる。
NチャネルトランジスターM27’およびM28’は、差動増幅部21’の出力信号のレベルをクランプ電圧CP3’以下にクランプするクランプ用MOSFETである。このNチャネルトランジスターM27’のソースはNチャネルトランジスターM23’のドレインに接続され、NチャネルトランジスターM28’のソースは、NチャネルトランジスターM24’のドレインに接続される。また、NチャネルトランジスターM27’およびM28’のゲートにクランプ電圧CP3’が与えられる。このNチャネルトランジスターM27’ のゲートおよびNチャネルトランジスターM28’のゲートと、後述するPチャネルトランジスターM29’のソースとの共通接続点が、レベルシフタS2’のクランプ電圧ノードとなっている。
PチャネルトランジスターM25’およびM26’は、PチャネルトランジスターM21’およびM22’のドレイン電圧を電圧VSS以上にクランプするクランプ用MOSFETである。このPチャネルトランジスターM25’のソースがPチャネルトランジスターM21’のドレインに接続され、PチャネルトランジスターM26’のソースがPチャネルトランジスターM22’のドレインに接続される。また、PチャネルトランジスターM25’のドレインがNチャネルトランジスターM27’のドレインに接続され、PチャネルトランジスターM26’のドレインがNチャネルトランジスターM28’のドレインに接続される。PチャネルトランジスターM25’のゲートおよびPチャネルトランジスターM26’のゲートに電圧VSSが与えられる。以上が差動増幅部21の構成である。
バッファー部22’は、差動増幅部21’の出力信号に応じて、低電位電源ノードに与えられる電圧CP4’またはクランプ電圧ノードに与えられるクランプ電圧CP3’を選択し、ゲート電圧H_XA’として出力する選択回路である。具体的には、バッファー部22’は、電圧CP4’およびCP3’間の差電圧を電源電圧として動作するインバーターであり、PチャネルトランジスターM29’およびNチャネルトランジスターM30’により構成されている。
以上がレベルシフタS2’の構成である。他のレベルシフタS1’およびS3’もこのレベルシフタS2’と同様な構成を有している。
図8は本実施形態によるチャージポンプの各部の波形を示すタイムチャートである。図8に示すように、クロックfswは、Hレベル(=0V)とLレベル(=VSS)を周期的かつ交互に繰り返す。ここで、クロックfswがHレベルの場合、信号AはHレベル、信号BはLレベル、信号A’はLレベル、信号B’はHレベルとなり、チャージポンプはフェーズBでの動作を行う。すなわち、NチャネルトランジスターM2’がOFF、NチャネルトランジスターM1’およびM3’がONとされ、電圧CP1’が0V、電圧CP3’がVSSとされる。これにより接地→PチャネルトランジスターML2’→キャパシターCf1’→NチャネルトランジスターM1’→VSSという経路を電流が流れ、キャパシターCf1’に電圧VSSが充電される。また、出力ノードN2’→NチャネルトランジスターM3’→キャパシターCf2’→NチャネルトランジスターML3’→VSSという経路を電流が流れ、キャパシターCf2’の充電電圧に電圧VSSを加えた電圧が出力ノードN2’に出力される。
次にクロックfswがLレベルの場合、信号AはLレベル、信号BはHレベル、信号A’はHレベル、信号B’はLレベルとなり、チャージポンプはフェーズAでの動作を行う。すなわち、NチャネルトランジスターM2’がON、NチャネルトランジスターM1’およびM3’がOFFとされ、電圧CP1’がVSS、電圧CP3’が0Vとされる。これにより接地→PチャネルトランジスターML4’→キャパシターCf2’→NチャネルトランジスターM2’→キャパシターCf1’→NチャネルトランジスターML1’→VSSという経路を電流が流れ、キャパシターCf1’の充電電圧に電圧VSSを加算した電圧、すなわち、VSS+VSS=2VSSがNチャネルトランジスターM2’およびM3’間のノードN23’に出力され、この電圧がキャパシターCf2’に充電される。
このようにフェーズAでは、電圧2VSSがキャパシターCf2’に充電される。従って、フェーズAの後のフェーズBでは、キャパシターCf2’の充電電圧2VSSに電圧VSSを加えた電圧3VSSが出力ノードN2’に出力される。
上記第1実施形態と同様、電圧CP3’およびCP4’は、電圧CP1’およびCP2’に連動する。すなわち、キャパシターCf1’の充電電圧がVSSとなるため、電圧CP3’は電圧CP1’よりVSSだけ低い電圧となる。また、キャパシターCf2’の充電電圧が2VSSとなるため、電圧CP4’は電圧CP2’より2VSSだけ低い電圧となる。
以上が本実施形態におけるチャージポンプの動作の概略である。
次にレベルシフタS2’の動作について説明する。フェーズAでは、信号AはLレベルとなり、電圧CP3’は0V、電圧CP4’は2VSSとなる。この場合、信号AがLレベルであることから、PチャネルトランジスターM21’がON、PチャネルトランジスターM22’がOFFとなる。そして、ONになったPチャネルトランジスターM21’がドレイン電流を出力する結果、NチャネルトランジスターM24’のゲート電圧がソース電圧CP4’=2VSSよりも高くなり、NチャネルトランジスターM24’がONになる。また、NチャネルトランジスターM24’がONになる結果、差動増幅部21’の出力電圧はCP4’=2VSSとなり、この電圧CP4’=2VSSがゲート電圧としてNチャネルトランジスターM23’に与えられるため、NチャネルトランジスターM23’はOFFになる。
ここで、フェーズAでは、クランプ電圧CP3’=0VがNチャネルトランジスターM27’およびM28’のゲートに与えられ、NチャネルトランジスターM27’およびM28’がONになる。この結果、NチャネルトランジスターM27’のソース電圧は0V−Vthとなる。
一方、PチャネルトランジスターM25’およびM26’は、電圧VSSがゲートに与えられるためにONになる。そして、ONであるPチャネルトランジスターM21’のドレイン電圧は0Vとなり、OFFであるPチャネルトランジスターM22’のドレイン電圧は、PチャネルトランジスターM26’に対するゲート電圧VSSに電圧Vthを加えた電圧VSS+Vthとなる。
差動増幅部21’の出力電圧が2VSSとなる結果、バッファー部22’では、NチャネルトランジスターM30’がOFF、PチャネルトランジスターM29’がONとなる。この結果、クランプ電圧CP3’=0VがPチャネルトランジスターM29’により選択され、ゲート電圧H_XAとしてNチャネルトランジスターM2’に出力される。これによりNチャネルトランジスターM2’がONとなり、NチャネルトランジスターM1’およびM2’間のノードN12’の電圧CP2’と、NチャネルトランジスターM2’およびM3’間のノードN23’の電圧CP4’が2VSSとなる。
フェーズBでは、信号AはHレベル(0V)となり、電圧CP3’はVSS、電圧CP4’は3VSSとなる。この場合、信号AがHレベルであることから、PチャネルトランジスターM21’がOFF、PチャネルトランジスターM22’がONとなる。そして、ONになったPチャネルトランジスターM22’がドレイン電流を出力する結果、NチャネルトランジスターM23’のゲート電圧がソース電圧CP4’=3VSSよりも高くなり、NチャネルトランジスターM23’がONになる。また、NチャネルトランジスターM23’がONになる結果、電圧CP4’=3VSSがゲート電圧としてNチャネルトランジスターM24’に与えられるため、NチャネルトランジスターM24’はOFFになる。
ここで、フェーズBでは、クランプ電圧CP3’=VSSがNチャネルトランジスターM27’およびM28’のゲートに与えられ、NチャネルトランジスターM27’およびM28’がONになる。この結果、NチャネルトランジスターM28’のソース電圧、すなわち、差動増幅部21’の出力電圧はVSS−Vthとなる。
一方、PチャネルトランジスターM25’およびM26’は、電圧VSSがゲートに与えられるためにONになる。そして、ONであるPチャネルトランジスターM22’のドレイン電圧は0Vとなり、OFFであるPチャネルトランジスターM21’のドレイン電圧は、PチャネルトランジスターM25’に対するゲート電圧VSSに電圧Vthを加えた電圧VSS+Vthとなる。
差動増幅部21’の出力電圧がVSS−Vthとなる結果、バッファー部22’では、PチャネルトランジスターM29’がほぼOFF、NチャネルトランジスターM29’がONとなる。この結果、電圧CP4’=3VSSがNチャネルトランジスターM30’により選択され、ゲート電圧H_XA’としてNチャネルトランジスターM2’に出力される。これによりNチャネルトランジスターM2’がOFFとなり、NチャネルトランジスターM1’およびM2’間のノードN12’の電圧CP2がVSS、NチャネルトランジスターM2’およびM3’間のノードの電圧CP4’が3VSSとなる。
以上の動作において、クランプ用のNチャネルトランジスターM27’およびM28’、PチャネルトランジスターM25’およびM26’は、レベルシフタS2’の全てのトランジスターのゲート酸化膜に印加される電圧を2VSS以内に抑える役割を果たす。
仮にクランプ用のNチャネルトランジスターM27’およびM28’を設けなかった場合、フェーズBにおいてNチャネルトランジスターM24’のドレイン電圧は0Vになるので、NチャネルトランジスターM23’、M24’およびM30’のゲート酸化膜に3VSSの電圧が印加される。
しかしながら、本実施形態では、クランプ用のNチャネルトランジスターM27’およびM28’が設けられており、フェーズBではこれらのトランジスターのゲートにクランプ電圧CP3’=VSSが与えられるため、NチャネルトランジスターM24’のドレイン電圧はVSS−Vthにクランプされる。このため、NチャネルトランジスターM23’、M24’およびM30’のゲート酸化膜に印加される電圧を2VSS+Vthにすることができる。
また、仮にクランプ用のPチャネルトランジスターM25’およびM26’を設けなかった場合、フェーズBにおいてPチャネルトランジスターM21’のドレイン電圧が3VSSになるので、PチャネルトランジスターM21’のゲート酸化膜に3VSSの電圧が印加される。
しかしながら、本実施形態では、クランプ用のPチャネルトランジスターM25’およびM26’が設けられており、これらのトランジスターのゲートにクランプ電圧VSSが与えられるため、PチャネルトランジスターM24’のドレイン電圧はVSS−Vthにクランプされる。このため、PチャネルトランジスターM24’のゲート酸化膜に印加される電圧をVSS−Vthにすることができる。
以上のように、本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。
<応用例>
図9はこの発明によるチャージポンプの応用例であるプリンタ駆動回路の構成例を示す回路図である。図9に示すように、このプリンタ駆動回路は、制御回路31と、電源回路32と、LIF(レベルインタフェース)361および363、LSD(ローサイドドライバ)362、HSD(ハイサイドドライバ)364からなるゲート駆動回路36と、NチャネルトランジスターM33およびPチャネルトランジスターM34からなり、プリンタヘッド35を駆動する出力回路とを有している。ここで、電源回路32は、電源電圧LVDDを昇圧することによりゲート駆動回路36に対する電源電圧GVDDを発生する回路である。そして、ゲート駆動回路36は、制御回路31からの指令に従い、NチャネルトランジスターM33およびPチャネルトランジスターM34を駆動する回路であり、約100mAの電流を消費する。従って、電源回路32は、このゲート駆動回路36に約100mAの電流を供給する必要があるため、出力インピーダンスを極力低くする必要がある。この発明によるチャージポンプは、高効率での昇圧が可能であり、出力インピーダンスを低く抑えることができるので、このような電源回路32に好適である。しかも、この発明によるチャージポンプは、低耐圧のトランジスターにより構成することができるので、製造コストを安価にすることができる。従って、この発明によるチャージポンプを電源回路32として用いることにより、プリンタ駆動回路のコストを低減することができる。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1および第2実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば、次の通りである。
(1)上記第1および第2実施形態では、クランプ用MOSFETを含むレベルシフタにより全てのレベルシフタS1〜S3(S1’〜S3’)を構成したが、トランジスターのゲート酸化膜に高電圧が印加されることにない一部のレベルシフタ(例えばレベルシフタS1またはS1’)をクランプ用MOSFETを含まないレベルシフタとしてもよい。
(2)上記第1実施形態では、レベルシフタS1〜S3にバッファー部22を設けたが、バッファー部22を設けず、差動増幅部21の例えばPチャネルトランジスターM23のドレイン電圧をレベルシフタS1〜S3の出力信号としてもよい(図4参照)。あるいはバッファー部22を2段のインバーターにより構成し、初段のインバーターにPチャネルトランジスターM23のドレイン電圧を供給してもよい。上記第2実施形態についても同様である。
(3)上記第1実施形態では、PチャネルトランジスターM23およびM24のゲートにクランプ電圧CP3を与えたが、PチャネルトランジスターM23およびM24のゲートに電圧VDDを与えてもよい(図4参照)。また、上記第2実施形態では、NチャネルトランジスターM23’およびM24’のゲートにクランプ電圧CP3’を与えたが、NチャネルトランジスターM23’およびM24’のゲートに電圧VSSを与えてもよい(図7参照)。