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JP6285820B2 - ガランタミン含有経皮吸収製剤 - Google Patents

ガランタミン含有経皮吸収製剤 Download PDF

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Description

本発明は、ガランタミン含有経皮吸収製剤に関する。
ガランタミンは、コリンエステラーゼ阻害作用を有しており、アルツハイマー病の治療薬として知られている。アルツハイマー病の症状として、軽度症状として記憶障害を生じ、中程度症状として言語、論理的思考、感覚処理および意識的思考を制御する脳の領域に障害を生じることがある。したがって、アルツハイマー患者自身が、その病状の進行度により、充分な服薬コンプライアンスを遵守することは困難である。
そこで、近年、アルツハイマー病の治療薬として経皮吸収製剤が注目されており、さまざまな研究が行なわれている(特許文献1〜3)。経皮吸収製剤によれば、嚥下困難な患者への投与が可能な製剤であり、投与の有無の確認が簡便であり、さらに介護者が投薬を補助する場合においても介護者の負担を軽減することができる。
特表平8−505632号公報 米国特許出願公開第2007/0104771号明細書 特表2014−505724号公報
しかしながら、本発明者らは、ガランタミンまたはその塩を含有する経皮吸収製剤は、皮膚に貼付したとき、付着性が低下し、充分な付着性を確保することができないことを見出した。また、皮膚に貼付した後、汗や皮脂の分泌に伴い、さらに付着性が低下する可能性がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、皮膚へ貼付したときに充分な付着性を有し、かつガランタミンの皮膚透過性に優れた経皮吸収製剤を提供することを目的とする。
本発明は、支持体と、上記支持体に積層された粘着剤層とを備える経皮吸収製剤であって、上記粘着剤層が、粘着剤と、ガランタミンまたはその塩と、アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースと、を含有する経皮吸収製剤を提供する。
上記粘着剤は、カルボキシ基を有しないアクリル粘着剤を含むことが好ましい。また、上記粘着剤は、スチレン系ブロック共重合体をさらに含むことがより好ましい。
また、上記粘着剤層は、炭素数8〜18の脂肪酸をさらに含有することが好ましい。
さらに、上記粘着剤層は、脂肪酸エステルをさらに含有することが好ましい。上記脂肪酸エステルは、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸モノグリセリド、プロピレングリコールモノラウレートおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される1種または2種以上であることがより好ましい。
上記脂肪酸エステルの含有量は、粘着剤層全体を基準として、1質量%以上5質量%未満であることが好ましい。
本発明の経皮吸収製剤によれば、皮膚へ貼付したときに充分な付着性を有し、かつガランタミンの皮膚透過性に優れる。
以下に、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
本発明の一実施形態は、支持体と、前記支持体に積層された粘着剤層とを備える経皮吸収製剤であって、上記粘着剤層が、ガランタミンまたはその塩と、アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースと、を含有する経皮吸収製剤である。
支持体としては、通常貼付剤に使用できる伸縮性または非伸縮性のものが用いられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;エチレン酢酸ビニル重合体、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリウレタン、セルロース誘導体、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂や綿等の合成樹脂で形成された、フィルム若しくはシートまたはこれらの積層体、多孔質膜、発泡体、織布および不織布等の布帛、多孔質膜、発泡体、紙材等を好適に用いることができる。
粘着剤層には、ガランタミンまたはその塩と、アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含有する。
ガランタミンは、(4α,6β)−4a,5,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−3−メトキシ−11−メチル−6H−ベンゾフロ[3a,3,2−ef][2]ベンズアゼピン−6−オールとも呼ばれる化合物である。ガランタミンの塩としては、臭化水素酸塩などが知られている。
ガランタミンまたはその塩の含有量は、粘着剤層を基準として0.1〜50質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、5〜16質量%であることが更に好ましい。ガランタミンまたはその塩の含有量が2質量%以上であると、アルツハイマー治療に対する有効血中濃度を維持することができる。また、ガランタミンまたはその塩の含有量が16質量%以下であると、ガランタミンに起因する副作用が生じにくい。
粘着剤層は、カルボキシ基を有しないアクリル粘着剤を含有することが好ましい。
アクリル粘着剤は、カルボキシ基を有しないアクリル酸エステルの重合体であれば、特に制限はない。アクリル粘着剤は、ガランタミンおよびその塩の溶解性が高く、ガランタミンまたはその塩を含有する粘着剤層に使用する粘着剤として好ましい。また、アクリル粘着剤は、1種または2種以上のアクリル酸エステルを重合させたものであってもよい。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられる。
また、アクリル酸エステルは、種々の置換基を有しているものであってもよい。アクリル酸エステルは、ガランタミンの皮膚透過性を向上させる点から、水酸基を有するアクリル酸エステルであることが好ましい。水酸基を有するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
カルボキシ基を有しないアクリル粘着剤としては、具体的に、DURO−TAK 87−900A、DURO−TAK 87−9301、DURO−TAK 87−4098、DURO−TAK 387−2510、DURO−TAK 87−2510、DURO−TAK 387−2287、DURO−TAK 87−2287、DURO−TAK 87−4287、DURO−TAK 387−2516、DURO−TAK 87−2516、DURO−TAK 87−6908、GELVA GMS 3083、GELVA GMS 3253、GELVA GMS 788(Henkel株式会社)が挙げられる。中でも、水酸基を有するアクリル粘着剤として、DURO−TAK 387−2510、DURO−TAK 87−2510、DURO−TAK 387−2287、DURO−TAK 87−2287、DURO−TAK 87−4287、DURO−TAK 387−2516、DURO−TAK 87−2516、GELVA GMS 788が挙げられる。
アクリル粘着剤の含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として40〜99質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがより好ましく、60〜80質量%であることが更に好ましい。アクリル粘着剤の含有量が40質量%以上であると、皮膚への付着性がより向上する点で好ましい。また、アクリル粘着剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤層は、スチレン系ブロック共重合体をさらに含有することが好ましい。
スチレン系ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)系粘着剤、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系粘着剤、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系粘着剤およびスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)系粘着剤等などが挙げられる。好ましいスチレン系ブロック共重合体としては、SISである。
スチレン系ブロック共重合体の含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として0〜50質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることがさらに好ましい。また、スチレン系ブロック共重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル酸デンプンは、デンプンとアクリル酸のエステルであればよく、高置換度アクリル酸デンプンであっても、低置換度アクリル酸デンプンであってもよい。また、アクリル酸デンプンは、市販のものを用いてもよく、公知の方法により調製して用いてもよい。また、アクリル酸デンプンの調製方法としては、例えば、アクリル酸無水物、アクリル酸クロリドまたはアクリル酸を用いて、デンプンをエステル化することにより調製することができる。
アクリル酸デンプンの含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。アクリル酸デンプンの含有量が0.1質量%以上であると、皮膚への付着性がより向上する点で好ましい。また、アクリル酸デンプンは、1種を単独で用いてもよく、置換度等が異なる2種以上のアクリル酸デンプンを組み合わせて用いてもよい。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒプロメロースまたはHPMCとも呼ばれる化合物であり、粘度または置換度によって細かく分類される。粘着剤層に使用するヒドロキシプロピルメチルセルロースは、特に粘度等によって制限されない。粘着剤層がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有することにより、粘着剤層の凝集力がより向上し、皮膚への付着性もより向上することができる。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量が0.1質量%以上であると、皮膚への付着性がより向上する点で好ましい。
アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースは、アクリル粘着剤への溶解性が低いものの、粘着剤層中に均一に分散させることができ、粘着剤層の生産性がより高くなる傾向がある。一方、アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースに代えて、デンプン、プルラン、ローカストビーンガム、エチルセルロース、トレハロースまたはカルボキシメチルセルロースを使用した経皮吸収製剤では、これらの成分が粘着剤層中に均一に分散しやすくなる、または、皮膚への付着性が向上するという効果は見られない。
本実施形態において、粘着剤層は、炭素数8〜18の脂肪酸をさらに含有することが好ましい。炭素数8〜18の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸またはリノレン酸を挙げることができ、イソステアリン酸またはオレイン酸が好ましい。
炭素数8〜18の脂肪酸の含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として、0.1〜80質量%であることが好ましい。脂肪酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
特に、上記脂肪酸としてイソステアリン酸またはオレイン酸を使用する場合には、イソステアリン酸またはオレイン酸の含有量は、粘着剤層全体の質量を基準として、3〜20質量%であることが好ましく、5〜14質量%であることがより好ましい。含有量が3質量%以上であると、ガランタミンの結晶析出をより抑制できる。また、粘着剤層がオレイン酸またはイソステアリン酸を含有することにより、ガランタミンまたはその塩の粘着剤層に対する溶解性を向上させることができ、結晶の析出をより抑制することができる。また、オレイン酸またはイソステアリン酸を含有する粘着剤層によれば、ガランタミンの皮膚透過性をより向上させることができる。
なお、オレイン酸やイソステアリン酸に代えて、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸または乳酸を使用した経皮吸収製剤では、ガランタミンまたはその塩の結晶の析出を抑制する、または、ガランタミンの皮膚透過性が向上するという効果は見られない。したがって、有機酸または有機溶媒を添加すれば、上記効果を奏するというわけではない。
本実施形態において、粘着剤層は、脂肪酸エステルをさらに含有することが好ましい。脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数4〜30のカルボン酸とアルコールとのエステルを挙げることができる。
上記カルボン酸は、炭素数4〜30のカルボン酸であり、炭素数6〜22のカルボン酸であることが好ましく、炭素数8〜18のカルボン酸であることがさらに好ましい。上記カルボン酸としては、飽和カルボン酸であってもよく、不飽和カルボン酸であってもよい。炭素数8〜18のカルボン酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸またはリノレン酸を挙げることができ、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸またはオレイン酸が好ましい。
また、上記アルコールは、1価のアルコールでもよく、多価アルコールであってもよい。1価のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールが挙げられ、好ましくはイソプロパノールである。また、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリンが挙げられ、好ましくはプロピレングリコールまたはグリセリンである。
脂肪酸エステルとしては、具体的には、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸モノグリセリド、プロピレングリコールモノラウレートまたはミリスチン酸イソプロピルが好ましい。
また、脂肪酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸エステルは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、粘着剤への溶解性を考慮し、当業者が適宜設定することができる。脂肪酸エステルの含有量は、粘着剤層全量を基準として0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがさらに好ましく、1〜4質量%であることが特に好ましい。脂肪酸エステルの含有量が0.1質量%以上であると、皮膚透過性がより向上する傾向がある。また、脂肪酸エステルの含有量が20質量%以下であると、凝集力がより高くなる傾向がある。
粘着剤層は、必要に応じて、その他の成分として粘着付与樹脂、充填剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、溶剤、香料等を含有してもよい。
粘着付与樹脂としては、脂環族飽和炭化水素樹脂;ロジン、ロジングリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジングリセリンエステルまたはロジンペンタエリスリトールエステルなどのロジン誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂またはマレイン酸レジンなどを好適に用いることができる。粘着付与樹脂の具体例としては、エステルガム(荒川化学工業社製、商品名)、ハリエスター(ハリマ化成社製、商品名)、ペンタリン(登録商標、イーストマンケミカル社製、商品名)、フォーラル(イーストマンケミカル社製、商品名)、KE−311(荒川化学工業社製、商品名)等のロジン系樹脂、YSレジン(ヤスハラケミカル社製、商品名)、ピコライト(ルースアンドディルワース社製、商品名)等のテルペン系樹脂、アルコン(登録商標、荒川化学工業社製、商品名)、リガレッツ(イーストマンケミカル社製、商品名)、ピコラスチック(イーストマンケミカル社製、商品名)、エスコレッツ(エクソン社製、商品名)、ウイングタック(グッドイヤー社製、商品名)、クイントン(登録商標、日本ゼオン社製、商品名)等の石油樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が使用可能である。
上記粘着付与樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、粘着付与樹脂の含有量は、貼付剤の十分な粘着力および剥離時の局所刺激性を考慮し、当業者が適宜設定することが可能であるが、粘着剤層全量を基準として0.1〜50質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、8〜20質量%であることが更に好ましい。
充填剤としては、ケイ酸アルミニウムやケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン等が例示できる。
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が例示できる。
抗酸化剤としては、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、アスコルビン酸およびそのエステル誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ピロリン酸およびその塩等を好適に用いることができる。
上記充填剤、紫外線吸収剤および抗酸化剤は、合計で、粘着剤層全量を基準として、好ましくは0.01〜7質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%の量で配合される。
溶剤としては、例えば、エタノール、アセトン、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等を好適に用いることができる。
また、本実施形態の貼付剤には、保存中の外的な環境から粘着剤層を保護するために、粘着剤層の表面を剥離ライナーで被覆してもよい。貼付剤が剥離ライナーを備える場合、貼付剤を使用する時に、剥離ライナーを剥離して除去する。
剥離ライナーとしては、一般に貼付剤の剥離ライナーとして使用できる紙、フィルム、箔およびこれらの積層体等を使用することができ、実質的に薬物非透過性のプラスチック製フィルムが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アルミニウム等の金属、セルロース等を好適に使用することができる。
剥離ライナーの粘着剤層に面する表面は、シリコーンおよびテフロン(登録商標)等による離型処理を施してもよい。離型処理することにより、剥離除去しやすくすることができる。特に、シリコーンによる離型処理がより好ましく、剥離特性が経時安定的に保持される。
本実施形態に係る貼付剤は、アルミニウム製の包材(包装材料ともいう)中に封入して、保管することが好ましい。アルミニウム製の包材には、本実施形態に係る貼付剤とともに、乾燥剤、脱酸素剤等の保存剤を同封することがより好ましい。このような保存剤としては、例えば、焼成珪藻土、未焼成珪藻土、結晶性シリカ、ソルビン酸等が挙げられ、具体的には、ファーマキープ(登録商標、三菱ガス化学社製)、エージレス(登録商標、三菱ガス化学社製)等を使用することができる。また、上記包材は機能性包材であってもよい。機能性包材としては、例えば、乾燥機能、脱酸素機能等を有する包材が挙げられる。具体例としては、ドライキープ(登録商標、佐々木化学薬品株式会社)、NS−AAP(日新シール工業株式会社)、モイストキャッチ(登録商標、共同印刷株式会社)、オキシキャッチ(登録商標、共同印刷株式会社)が挙げられる。
本実施形態に係る貼付剤は、例えば、以下のような方法で製造することができる。まず、粘着剤と溶剤、必要に応じて、その他の成分を溶媒中で混合して、均一な基剤を調製する。次に、得られた基剤に、ガランタミンまたはその塩と、アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースとを混合し、粘着剤溶液を調製する。そして、得られた粘着剤溶液を離型処理されたフィルム(剥離ライナー)上に展延した後、溶剤を乾燥除去させて粘着剤層を形成させる。最後に、該粘着剤層上に支持体を圧着させることにより、貼付剤を得る。したがって、得られた貼付剤は、剥離ライナー、粘着剤層、支持体の順に積層される。また、ガランタミンまたはその塩の結晶の析出を抑制するために、得られた貼付剤を加温してもよい。
実施例および比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。なお、表中の数字は、特記しない限り、質量パーセントを意味する。
(1)粘着剤の検討1
比較例1〜4の貼付剤は、表1の記載にしたがい、以下のとおり製造した。得られた貼付剤に対して、結晶析出の評価を行った。
比較例1,2の製造
混合機を用いて、ガランタミン臭化水素酸塩、水酸化ナトリウム(400g/L水溶液)、アクリル粘着剤(DURO−TAK387−4287)を混合し、粘着剤溶液を得た。得られた粘着剤溶液を離型処理されたフィルム上に展延し、溶剤を乾燥除去させて粘着剤層を形成した。次に、粘着剤層上に支持体(PETとポリエチレンのラミネートフィルム)を積層させて、粘着剤層を圧着転写させることにより、比較例1および2の貼付剤をそれぞれ得た。
比較例3の製造
アクリル粘着剤(DURO−TAK387−4287)に代えて、ゴム系粘着剤(SIS、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンの混合物)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3の貼付剤を得た。
比較例4の製造
アクリル粘着剤(DURO−TAK387−4287)に代えて、シリコーン系粘着剤(BIO−PSA 7−4202)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例4の貼付剤を得た。
Figure 0006285820
<結晶析出の評価>
各貼付剤は、室温で3か月間保存した後、開封して貼付剤の粘着剤層を観察し、薬物の結晶析出がみとめられるかを調べた。
結果を表2に示す。比較例3および比較例4の貼付剤では、3か月経過した後にガランタミンの結晶が析出したが、比較例1の貼付剤では、ガランタミンの結晶の析出は見られなかった。したがって、ゴム系粘着剤またはシリコーン系粘着剤よりもアクリル粘着剤の方が、ガランタミンの結晶の析出を抑制しやすい傾向があるといえる。一方、比較例2の貼付剤では、比較例1の貼付剤よりもガランタミン臭化水素酸塩の含有量が増加しており、3か月経過後に結晶の析出が確認された。
Figure 0006285820
(2)粘着剤の検討2
比較例5〜7の貼付剤は、表3の記載にしたがい、以下のとおり製造した。得られた貼付剤に対して、インビトロ皮膚透過試験を行った。
比較例5〜7の製造
アクリル粘着剤(DURO−TAK 387−4287)に代えて、他のアクリル粘着剤(DURO−TAK 87−4098、DURO−TAK 87−2194、DURO−TAK 387−2516)を用いたこと以外は、比較例2と同様にして、比較例5〜7の貼付剤をそれぞれ調製した。
Figure 0006285820
<インビトロ皮膚透過試験>
ヘアレスマウスから摘出した皮膚の角質層側に3cmの貼付剤を貼り、その真皮側がレセプター槽側になるように32℃に保温したフロースルー型拡散セルに装着した。試験は、レセプター槽にリン酸緩衝生理食塩水を置換しつつ、所定時間ごとに液を採取した。得られた液中の薬物濃度を高速液体クロマトグラフ法により測定した。前記濃度値から各時間における透過薬物量を算出し、薬物の皮膚透過速度を算出した上、最大皮膚透過速度Jmax(μg/h/cm)を求めた。
結果を表4に示す。比較例2、5〜7の貼付剤の中では、比較例2および7の貼付剤では、特に最大皮膚透過速度が高かった。ここで、比較例2および7の貼付剤で使用したアクリル粘着剤は、水酸基を有するアクリル粘着剤であるのに対し、比較例5の貼付剤で使用したアクリル粘着剤は、官能基のないアクリル粘着剤であり、比較例6の貼付剤で使用した粘着剤は、カルボキシ基を有するアクリル粘着剤である。したがって、アクリル粘着剤がカルボキシ基を有する場合、皮膚透過性が低下する傾向にあり、アクリル粘着剤が水酸基を有する場合、皮膚透過性がより向上する傾向があるといえる。
Figure 0006285820
(3)皮膚透過性向上の検討
皮膚透過性の向上を目的として、アクリル粘着剤とガランタミン臭化水素酸塩の混合物に、ジメチルスルホキシド(DMSO)、氷酢酸と酢酸ナトリウムの混合物、乳酸、イソステアリン酸またはオレイン酸を添加して、比較例8〜13の貼付剤をそれぞれ調製した。なお、各成分の含有量は、表5に記載のとおりである。
Figure 0006285820
得られた比較例8〜13の貼付剤に対して、結晶析出の評価、インビトロ皮膚透過試験を行った。試験方法は、上述のとおりである。
結果を表6に示す。比較例9の貼付剤は、比較例8の貼付剤と同様、3か月経過後にガランタミンの結晶の析出が見られ、比較例10または11の貼付剤では、貼付剤の製造時に粘着剤層が白濁した。また、比較例9〜11の貼付剤では、皮膚透過性が著しく低下した。一方、比較例12または13の貼付剤では、結晶の析出が抑制され、皮膚透過性も比較例8に対して向上した。したがって、イソステアリン酸またはオレイン酸を含有する貼付剤では、結晶の析出抑制および皮膚透過性がともに向上することがわかった。
Figure 0006285820
(4)付着性改善の検討
表7の記載にしたがい、実施例1および2、参考例1〜4の貼付剤をそれぞれ調製した。得られた貼付剤に対して、凝集力、粘着力およびヒト皮膚付着性の評価、ならびにインビトロ皮膚透過試験を行った。なお、インビトロ皮膚透過性試験の方法は、上述のとおりである。
Figure 0006285820
<凝集力および粘着力の評価>
各貼付剤を離型処理されたフィルムから剥離し、粘着剤の表面に親指を押し付けてから離した際の貼付剤の凝集力、粘着力について、以下の評価基準にしたがい、評価した。
(評価基準)
○:充分に強い
△:充分な強さではない
×:非常に弱い
<ヒト皮膚付着性の評価>
ヒト死体から摘出した皮膚の角質層側に各貼付剤を貼って、32℃で3時間保存した後に貼付剤を剥離し、その際の剥離抵抗を以下のとおり評価した。
(評価基準)
○:充分に強い
△:充分な強さではない
×:非常に弱い
結果を表8に示す。表中、「N.D.」とは、検出不可を意味する。参考例3及び4の貼付剤を比較すると、ガランタミンまたはその塩を含有することにより、凝集力とヒト皮膚付着性が低下することがわかった。これに対し、実施例1および2の貼付剤では、アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含有することにより、凝集力およびヒト皮膚付着性が改善した。一方、参考例1および2の貼付剤では、凝集力が改善するものの、ヒト皮膚付着性の改善は充分ではなく、皮膚透過性も著しく低下した。なお、実施例1の貼付剤において、アクリル酸デンプンに代えて、アルギン酸ナトリウム、デンプン、プルランまたはローカストビーンガムを使用した貼付剤では、これらの成分が粘着剤層中に均一に分散させることはできなかった。
Figure 0006285820
(5)皮膚透過性改善の検討
表9の記載にしたがい、比較例13と同様にして、比較例14〜24の貼付剤を調製した。得られた貼付剤に対して、結晶析出の評価、皮膚透過性試験を行った。なお、結晶析出の評価、皮膚透過性試験の方法は、上述のとおりである。
Figure 0006285820
結果を表10に示す。比較例14の貼付剤では、比較例13の貼付剤と比較して、皮膚透過性および凝集力ともに低下したものの、比較例15〜22の貼付剤では、皮膚透過性が向上した。特に比較例18および19の貼付剤では、凝集力が比較例13と同程度であった。したがって、モノオレイン酸グリセリン、プロピレングリコールモノラウレート、パルミチン酸イソプロピルまたはミリスチン酸イソプロピルをさらに含有することにより、皮膚透過性がより向上することが理解できる。特に、パルミチン酸イソプロピルの含有量が1〜3質量%にすることにより、粘着剤層の凝集力も高かった。一方、ガランタミンまたはその塩の含有量を高めた比較例22の貼付剤においても、凝集力が多少弱まるものの、高い皮膚透過性を示した。官能基を有しないアクリル粘着剤を使用した比較例23では、若干皮膚透過性が低下するものの、実用性の観点から充分な値であった。さらに、アクリル粘着剤とSISを混合して使用した比較例24の貼付剤では、凝集力が高く、かつ皮膚透過性も高かった。
Figure 0006285820
(6)製剤例
表11の記載にしたがい、実施例3〜5の貼付剤を調製した。実施例3〜5の貼付剤は、優れたヒト皮膚付着性および皮膚透過性を示した。
Figure 0006285820

Claims (6)

  1. 支持体と、前記支持体に積層された粘着剤層とを備える経皮吸収製剤であって、
    前記粘着剤層が、粘着剤と、ガランタミンまたはその塩と、アクリル酸デンプンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースと、を含有する経皮吸収製剤。
  2. 前記粘着剤が、カルボキシ基を有しないアクリル粘着剤を含む、請求項1に記載の経皮吸収製剤。
  3. 前記粘着剤層が、炭素数8〜18の脂肪酸をさらに含有する、請求項1または2に記載の経皮吸収製剤。
  4. 前記粘着剤層が、脂肪酸エステルをさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の経皮吸収製剤。
  5. 前記脂肪酸エステルが、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸モノグリセリド、プロピレングリコールモノラウレートおよびミリスチン酸イソプロピルからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項4に記載の経皮吸収製剤。
  6. 前記脂肪酸エステルの含有量が、粘着剤層全体を基準として、1質量%以上5質量%未満である、請求項4または5に記載の経皮吸収製剤。
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