以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔実施例1〕
本発明に係るベルト搬送装置及びこのベルト搬送装置を有する画像形成装置の実施例について、図面を用いて説明する。
図1は本実施例に係る電子写真方式の画像形成装置の概略斜視図、図2は本実施例に係る電子写真方式の画像形成装置の断面図である。
図1〜図2に示すように、本実施例に係る電子写真画像形成装置として、ロータリー(現像器回転)方式の4サイクルフルカラーレーザープリンターを例示して説明する。
〔カラー画像形成装置の画像形成動作概略〕
駆動ローラ40と第1の従動ローラ(テンションローラ)41および第2の従動ローラ(アイドラローラ)42に張架された中間転写ベルト5aの回転と同期して感光体ドラム(像担持体)1を図2の矢印方向(反時計回り)に回転させる。この感光体ドラム1の表面を帯電ローラ2によって均一に帯電するとともに、露光手段3によってイエロー画像の露光を行い、感光体ドラム1上にイエローの静電潜像を形成する。この静電潜像形成と同時にロータリー現像装置4を駆動してイエローの現像器4Yを現像位置に配置し、感光体ドラム1上の静電潜像にイエロートナーが付着するように感光体ドラム1上の帯電極性と同極性でほぼ同電位の電圧を印加して静電潜像にイエロートナーを付着させて現像する。その後、中間転写ベルトユニット内の1次転写ローラ5jにトナーと逆極性の電圧を印加して感光体ドラム1上のイエロートナー像を中間転写ベルト5a上に1次転写する。
上述のようにしてイエロートナー像の1次転写が終了すると、次の現像器が回転移動してきて、感光体ドラム1に対向する現像位置に位置決めされ、イエローの場合と同様にしてマゼンタ、シアン、ブラックの各色について、静電潜像の形成、現像、1次転写を順次行い、中間転写ベルト5a上に4色のトナー像を重ね合わせる。
この間、2次転写ローラ11は、中間転写ベルト5aとは非接触の状態にある。この時、クリーニングユニットとしての帯電ブラシ22、帯電ローラ23も中間転写ベルト5aとは非接触状態に位置する。
そして、中間転写ベルト5a上に4色のトナー像形成完了後、2次転写ローラ(11が中間転写ベルト5aに当接される(図2の状態)。更に中間転写ベルト5aの回転と同期して、記録媒体が積載手段19からピックアップローラ18により1枚毎分離給送される。そして、給送手段である搬送ローラ対7dによって所定の位置で待機していた記録媒体が中間転写ベルト5aと2次転写ローラ11のニップ部に送り込まれる。
ここで搬送ローラ対7dの直前には記録媒体の先端を検知して搬送ローラ対7dの回転駆動力を一時遮断し、記録媒体を所定の位置で待機させるレジセンサ(不図示)が設けられている。
更に、2次転写ローラ(転写手段)11にトナーと逆極性の電圧を印加して、中間転写ベルト5a上のトナー像を搬送されてきた記録媒体の表面に一括して2次転写する。
このようにして2次転写された記録媒体は定着器8に至り、ここで複数色のトナー像の定着を行った後、排出ローラ対9によってカラー画像形成装置A上部の排出トレイ10に排出され、画像形成を完了する。
一方、1次転写後にクリーニング用帯電ブラシ22と帯電ローラ23が中間転写ベルト5aに当接され、中間転写ベルト5aに残った残留トナーに転写時と逆の電荷を与える。逆の電荷を付与された残留トナーは、感光体ドラム1に静電的に付着され、その後、感光体ドラム1用のクリーニングブレード6により回収されるものである。
ここで駆動ローラ40はベルトの回転方向と直交する幅方向で2次転写ローラ11よりも幅が広く、クリーニング用帯電ブラシ22と帯電ローラ23よりも幅が広い。駆動ローラ40は電気抵抗の低いゴムで表面をコーティングされ、2次転写ローラ11及びクリーニング用帯電ブラシ22、帯電ローラ23の対向電極としての機能を持ち合わせている。
〔中間転写ベルトユニット及び感光体ドラムユニット〕
図3は中間転写ベルトユニット21と感光体ドラムユニット20の主断面図、図4は図3の中間転写ベルトユニット21と感光体ドラムユニット20を上方より見た横断面図である。
図3、図4において、中間転写ベルトユニット21の駆動ローラ40と第1の従動ローラ(テンションローラ)41および第2の従動ローラ(アイドラローラ)42に張架された中間転写ベルト5aの投影上方面に感光体ドラムユニット20を配置している。感光体ドラムユニット20の装置正面には廃トナーボックス16を配置している。また中間転写ベルトユニット21の駆動ローラ40には中間転写ベルト5a上の残留トナーに転写時と逆極性の電荷付与するためのクリーニング用帯電ブラシ22と帯電ローラ23が設けられている。
感光体ドラムユニット20には感光体ドラム1が両端を回転可能に右側軸受202と左側軸受206により保持され、右側端部のカップリング49を介して装置本体から所定の回転駆動力が伝達されるようになっている。
また、感光体ドラム1には帯電ローラ2が両端の軸受25を介して、圧縮バネ26により所定の力で圧接され、従動回転するようになっている。
次にベルト搬送装置としての中間転写ベルトユニット21について説明する。
中間転写ベルトユニット21は、複数の支持ローラである駆動ローラ40と第一の従動ローラ(テンションローラ)41および第2の従動ローラ(アイドラローラ)42と、前記複数の支持ローラ40,41,42に内周面を支持され回転移動するエンドレスベルトである中間転写ベルト5aを有している。
中間転写ベルト5aは、駆動ローラ40と第一の従動ローラ(テンションローラ)41および第2の従動ローラ(アイドラローラ)42により張架されている。
駆動ローラ40は両端を回転可能に右側軸受201と左側軸受205により保持され右側軸受部の駆動ギア48を介して装置本体から所定の回転駆動が伝達されるようになっている。
第一の従動ローラ41の両端の軸受には圧縮バネ44が設けられ、中間転写ベルト5aに所定の張力を与えるようになっている。
中間転写ベルト5aを挟んで、感光体ドラム1と対向する位置には、1次転写ローラ5jが設けられ、両端の軸受46を介して圧縮バネ47により所定の力で圧接され従動回転するようになっている。
前記両端の軸受46の少なくとも一方の軸受46は導電性の部材で構成され、この軸受46を通して1次転写ローラ5jに所定のバイアスを印加する。1次転写ローラ5jに所定のバイアスを印加することにより、感光体ドラム1表面上のトナーが中間転写ベルト5a上に1次転写される。
〔フルカラー画像の各色トナー画像の位置合わせ〕
中間転写ベルト5aには、中間転写ベルト5a上に重ね合わせる各色トナー画像の位置合わせを行う為に、中間転写ベルト5aの搬送方向の位置を検出する位置検出手段が設けられている。
中間転写ベルトの回転方向と直交する幅方向の画像形成領域外に光反射体のマーカー71を貼付し、これに対向するように所定の位置に反射型の光センサー(フォトセンサー)70を配置して、位置検出手段を構成している。この光反射体のマーカー71からの反射光を光センサー70が検知することにより、位置検出手段が中間転写ベルト5aの搬送方向の画像書き出し基準位置を検知する。この位置検出手段からの検知信号に同期して、コントローラ(不図示の制御手段)が、露光手段3による感光体ドラム1への画像データ書き込みタイミングを制御している。
従って、中間転写ベルト5aの搬送速度は画像書き出しタイミングを同期させるために安定していなければならない。中間転写ベルト5aの搬送速度が不安定になると画像書き出しタイミングを同期できず色ずれ画像が発生してしまうことになる。
〔中間転写ベルトの蛇行防止機構〕
次に中間転写ベルト5aの蛇行防止機構について図5を用いて説明する。
中間転写体としてのエンドレスベルト状の中間転写ベルト5aはポリフッ化ビニリデン(PVDF)或いはポリイミド(PI)などの樹脂フィルムで構成され、駆動ローラ40と第一の従動ローラ41、第2の従動ローラ42の3本のローラに張架されている。
駆動ローラ40の表面には回転力を確実に中間転写ベルトに伝達するために摩擦係数μの大きなゴム層等がアルミパイプ等の表面にコーティングされている。すなわち、駆動ローラ40の表層がゴム層である。
従動ローラ41はアルミパイプ等で構成され表面は滑らかで摩擦係数μが低く抑えられている。図4、図5に示すように、中間転写ベルト5aの両端部裏面にはポリウレタンフォームやウレタンゴム等の弾性体で構成されたリブ5bが帯状に配されている。このリブ5bは、中間転写ベルト5aの内周面の両端部に全周(1周)にわたって、リブの真直性を保つように両面テープ等の粘着剤で貼付されている。
駆動ローラ40の両端部には駆動ローラ40と略同径であり片面に斜面をもった回転部材100が回転可能に設けられている。回転部材100と駆動ローラ40の間にはテフロン(登録商標)のような摩擦係数μの小さい材質でできたスペーサ(不図示)等が設けられている。
また、第一の従動ローラ41および第2の従動ローラ(アイドラローラ)42は前述したリブ5bを規制しないよう十分にリブ5bから離れた位置にローラの両端部を設置している。
中間転写ベルト5aのリブ5bは、中間転写ベルト5aに幅方向の寄り力が発生した場合、前述した回転部材100のうちのいずれか一方の回転部材の斜面状の壁に当接して、移動が規制される。これにより、中間転写ベルト5aは各ローラから脱落することなく安定して回転移動していく。
図6に中間転写ベルト5aの寄り力の概念を示す。駆動ローラ40からのベルト駆動力F(以下、ベルト張力ともいう)、駆動ローラ40と中間転写ベルト5aの摩擦係数μ、ベルト張力Fにより発生するローラに垂直な抗力Tとすると、寄り力f=μ・Tで表される。
従って、寄り力fはローラの傾きθ、中間転写ベルト5aの摩擦係数μ、ベルト駆動力Fが大きいほど大きくなる。
ここで、中間転写ベルト5aが回転部材100の斜面状の壁に規制されている場合、寄り力fが大きいと中間転写ベルト5aが変形して波打ってしまう。すると、正常に感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5a上に1次転写されず、波打ち画像という異常画像が発生してしまうことがある。
また、さらに寄り力fが大きいとリブ5bが回転部材100の斜面状の壁を乗り上げてしまって、中間転写ベルト5aの各ローラからの脱落が発生してしまったり、中間転写ベルト5aが変形して破断してしまうことがある。
図7は駆動ローラ40の両端部に設けられた回転部材100に中間転写ベルト5aのリブ5bを突き当てる寄り力の規制の概念図である。
回転部材100により寄り規制されたリブ5bは、寄り方向に対し移動量xだけ移動し回転部材100の規制角度をα、リブ5bの乗り上げ量をyとすると、y=x・tan(α)となる。ここで、規制角度αが一定の場合、移動量xは寄り力fの大きさに比例する。
従って、乗り上げ量yは移動量xもしくは規制角度αが小さいほど小さくなる。
乗り上げ量yが大きいと、中間転写ベルト5aの搬送速度が不安定になり、前述したように画像書き出しタイミングの同期がとれなくなり色ずれ画像となってしまうため、乗り上げ量yを小さくすることは重要である。
規制角度αが大きいと、寄り力fが回転部材100の斜面に対しほぼ垂直抗力となり大きな規制力を確保できるが、乗り上げ量yも大きくなってしまうことで色ずれ画像が発生しやすくなってしまう。
一方で、規制角度αが小さいと、寄り力fに対する規制力も小さくなってしまうため、リブ5bが回転部材100を乗り上げることにより中間転写ベルト5aの各ローラからの脱落が発生しやすくなる。
つまり規制角度αを小さくすることのみで乗り上げ量yを小さくするのには限界がある。
そのため、中間転写ベルト5aの各ローラからの脱落や変形による破断なく、かつ色ずれ・波打ちのない画像を両立させるには、移動量xすなわち寄り力fを小さくすることが重要となる。
〔中間転写ベルトの寄り力低減機構〕
次に、図8〜図11を用いて、本発明の特徴である中間転写ベルト5aの寄り力fの低減機構について説明する。
図8は中間転写ベルト5aが蛇行せずに搬送されている状態を示す断面図である。
図5に示す中間転写ベルト5aの蛇行防止機構に加えて、駆動ローラ40の両端部と回転部材100との間に保持部材50が設けられている。さらに駆動ローラ40の両端部と保持部材50の間には、駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内周面に接触する変形部材30が設けられている。
なお、保持部材50は、回転方向が駆動ローラ40と一体で回転するように駆動ローラ40の軸に保持(軸支)されているが、軸方向は固定されておらず、駆動ローラ40の回転軸上において軸方向に移動可能である。
変形部材30は駆動ローラ40の回転力を確実に中間転写ベルト5aに伝達するために摩擦係数μの大きなゴムで形成されたリング状の弾性体であり、内径側を保持部材50に圧入により保持されている。
よって、変形部材30は駆動ローラ40と一体となって回転し、駆動ローラ40とともに中間転写ベルト5aを回転移動させる部材として機能することになる。
ここで、回転部材100は保持部材50に対して同軸上に回転可能に設けられており、軸方向は固定されておらず、同軸上において軸方向に移動可能である。
なお、図示しないもう一方の駆動ローラ40の端部側も同様の構成になっており、中間転写ベルト5aの蛇行方向が幅方向の左右どちらであっても対応できるようになっている。
図8は中間転写ベルト5aが蛇行していないため、リブ5bと回転部材100の間には隙間がある状態となっている。
図9は中間転写ベルト5aが軸方向左側(軸方向一端側)に蛇行して搬送されている状態を示す断面図である。
図9では、中間転写ベルト5aが蛇行して軸方向一端側に移動している。そのため、軸方向他端側のリブ5bと回転部材100の間には隙間は無くなり、リブ5bが回転部材100に当接して、中間転写ベルト5aの寄り力fがリブ5bを介して回転部材100に掛かっている状態である。
このリブ5bを介して回転部材100に掛かっているベルトの寄り力fは、保持部材50を介して変形部材30にも掛かることになる。そのため、軸方向には移動しない駆動ローラ40の端部と軸方向に移動可能な保持部材50とに挟まれた変形部材30は、主に軸方向に圧縮応力を受けて変形することになる。
このとき、軸方向に圧縮応力を受けた変形部材30はフックの法則により径方向にも変形することになる。詳しくは、変形部材30は、内径は保持部材50に固定されており変化しないため、外径が大きくなる。すなわち、変形前は駆動ローラ40および軸方向一端側の変形していない変形部材30と略同径であった他端側の変形部材30は、変形後は駆動ローラ40および一端側の変形していない変形部材30の外径よりもわずかに大きくなる。
ここで、中間転写ベルト5aは、駆動ローラ40の両端部のどちらかの外径がわずかに大きい場合、その外径がわずかに大きい方向に蛇行(移動)する性質がある。そのため、変形により駆動ローラ40の外径よりもわずかに大きくなった変形部材30の方向に蛇行しようとし、その方向に寄り力fgmaxが発生する。すなわち、中間転写ベルト5aの、他端側の変形部材30と接触する部分の回転速度が、他端側の変形部材30と接触していない部分の回転速度よりも速くなることで、その方向(幅方向の他端側)に中間転写ベルト5aを移動させる寄り力fgmaxが発生する。
図10及び図11は中間転写ベルト5aに発生する寄り力に関するグラフであり、縦軸は寄り力、横軸は時間を表しており、図9のようにリブ5bと回転部材100が当接し始めた時間をtsとして示している。
ここで変形部材30の変形によって発生する寄り力fgmaxは、変形部材30の変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fとは相反する方向の力であるため、マイナス方向の力として示している。
したがって、変形部材30が変形すると寄り力fと寄り力fgmaxの差分が、変形部材30が変形した後の中間転写ベルト5aが発生する寄り力となる。ここでは、変形前の寄り力に対して変形後の寄り力が相反する方向に作用するため、変形部材30が変形した後の中間転写ベルト5aが発生する寄り力が、変形部材30の変形する前の中間転写ベルト5aの寄り力fよりも小さくなる。これにより、結果的に変形部材30の変形量は小さくなり、変形部材30の変形によって中間転写ベルト5aが発生する寄り力fgmaxも小さくなっていく。
つまり、最終的に変形部材30の変形量は、図10に示すように、あるところで収束することになる。図10に示すように、変形部材30の変形が収束した後の中間転写ベルト5aが発生する寄り力をfs、変形部材30の変形によって発生する寄り力fgとすると、fs=f−fgとなる。このように、変形部材30の変形が収束した後の中間転写ベルト5aが発生する寄り力fsは、変形部材30の変形によって発生する寄り力fgの分だけ低減されることになる。
これにより、ベルトの寄り力fによりベルトが変形し破断してしまうことを防ぐとともに、ベルトが速度変動してしまうことによる色ずれ画像やベルトが歪み波打つことによる波打ち画像などの画像不良が発生することなくベルト駆動を行うことができる。
また図11に示すように、特に変形部材30の変形によって発生する寄り力fgmaxが変形部材30の変形する前の中間転写ベルト5aの寄り力fよりも大きくなるような場合については、変形部材30の変形が収束した後の中間転写ベルト5aが発生する寄り力fsはゼロ、すなわちf=fgとなる変形部材30の変形量の状態でつりあい、中間転写ベルト5aは全く蛇行しなくなることになる。
ここまで、駆動ローラ40の端部に設けられた変形部材30の変形によって、中間転写ベルト5aを駆動する部材の端部の外径を変化させる方法について述べてきたが、外径が変化するものは駆動ローラ40そのものの端部であっても良い。
以上説明したように、本実施例では、中間転写ベルト5aの端部に配されたリブ5bを回転部材100の斜面で規制することで中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構に加えて、駆動ローラ40の両端部と回転部材100との間に、駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内面に接触する変形部材30を設けた。
これにより中間転写ベルトに大きな寄り力が発生した場合でも、簡単な構成でベルトの寄り力を低減させることができる。その結果、ベルトの寄り力によりベルトが変形し破断してしまうことを防ぐとともに、ベルトが速度変動してしまうことによる色ずれ画像やベルトが歪み波打つことによる波打ち画像などの画像不良のないコンパクトなカラー電子写真画像形成装置を実現することができる。
ここまでは、変形部材30が寄り力fを受けて変形し、外径が大きくなる場合の中間転写ベルト5aの寄り力低減機構として、変形部材30が寄り力fにより主に軸方向に圧縮応力を受けて変形する構成を例示したが、これに限定されるものではない。
次に変形部材30が寄り力fを受けて変形し、外径が大きくなる場合の中間転写ベルト5aの寄り力低減機構の変形例として、図12〜図13を用いて、寄り力fにより変形部材30が主に径方向に引張応力を受けて変形する場合の中間転写ベルト5aの寄り力低減機構について説明する。
図12は中間転写ベルト5aが蛇行せずに搬送されている状態を示す断面図である。
図5に示す中間転写ベルト5aの蛇行防止機構に加えて、駆動ローラ40の両端部と回転部材100との間に第1の押圧部材60および第2の押圧部材61が設けられている。さらに第1の押圧部材60および第2の押圧部材61の間に駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内面に接触する変形部材30が設けられている。
なお、第1の押圧部材60は駆動ローラ40と固定されており、第2の押圧部材61は固定されておらず、駆動ローラ40の回転軸上において軸方向に移動可能である。
また、第1の押圧部材60および第2の押圧部材61は、介在する変形部材30との接触面(片面)に斜面をもった形状になっている。さらに第1の押圧部材60および第2の押圧部材61は、駆動ローラ40の回転力を変形部材30に確実に伝達するために、表面に摩擦係数μの大きなゴム層が形成されている。
そして、変形部材30は駆動ローラ40の回転力を確実に中間転写ベルト5aに伝達するために摩擦係数μの大きなゴムで形成されたリング状の弾性体であり、第1の押圧部材60と第2の押圧部材61の間に保持されている。
よって、変形部材30は第1の押圧部材60および駆動ローラ40と一体となって回転し、駆動ローラ40とともに中間転写ベルト5aを回転移動させる部材として機能することになる。
ここで、回転部材100は第2の押圧部材61に対して同軸上に回転可能に設けられており、軸方向は固定されておらず、同軸上において軸方向に移動可能である。
図示しないもう一方の駆動ローラ40の端部側も同様の構成になっており、中間転写ベルト5aの蛇行方向が幅方向の左右どちらであっても対応できるようになっている。
図12は中間転写ベルト5aが蛇行していないため、リブ5bと回転部材100の間には隙間がある状態となっている。
図13は中間転写ベルト5aが軸方向左側(軸方向一端側)に蛇行して搬送されている状態を示す断面図である。
図13では、中間転写ベルト5aが蛇行して軸方向一端側に移動している。そのため、軸方向他端側のリブ5bと回転部材100の間には隙間は無くなり、リブ5bが回転部材100に当接して、中間転写ベルト5aの寄り力fがリブ5bを介して回転部材100に掛かっている状態である。
このリブ5bを介して回転部材100に掛かっている寄り力fは、第2の押圧部材61を介して変形部材30にも掛かることになる。そのため、変形部材30は、軸方向には移動しない駆動ローラ40の両端部に当接する第1の押圧部材60と軸方向に移動可能な第2の押圧部材61の間に挟まれる。挟まれた変形部材30は、第1の押圧部材60と第2の押圧部材61の斜面(接触面)から、主に径方向に引張応力を受けて変形することになる。
このとき、径方向に引張応力を受けた変形部材30は伸張変形することになり、外径が大きくなる。そのため、変形前は駆動ローラ40と略同径であった軸方向他端側の変形部材30は、変形後は駆動ローラ40および変形していない軸方向一端側の変形部材30の外径よりもわずかに大きくなる。
ここで、中間転写ベルト5aは、駆動ローラ40の両端部のどちらかの外径がわずかに大きい場合、その外径が大きい方向に蛇行(移動)する性質がある。そのため、中間転写ベルト5aは、変形により駆動ローラ40の外径よりもわずかに大きくなった軸方向他端側の変形部材30の方向に蛇行(移動)しようとし、その方向に寄り力が発生する。
この変形部材30の変形によって発生する寄り力は、変形部材30の変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fとは相反する方向の力である。そのため、前述のように変形部材30の変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fを、低減もしくはゼロとすることができる。
ここまで、実施例1の説明では、中間転写ベルト5aに寄り力が発生した場合に、中間転写ベルト5aの両端部に配されたリブ5bを回転部材100の斜面で規制することで中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構を持つ構成を例示して説明したが、これに限定されるものではない。中間転写ベルト5aのリブ5bおよび回転部材100を軸方向片側の端部のみに備えたベルト搬送装置に用いても良い。
以上説明したように、本実施例では、中間転写ベルト5aの端部に配されたリブ5bを回転部材100の斜面で規制することで中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構に加えて、駆動ローラ40の両端部と回転部材100との間に第1の押圧部材60および第2の押圧部材61を設け、さらに第1の押圧部材60および第2の押圧部材61の間に駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内面に接触する変形部材30を設けた。
これにより中間転写ベルトに大きな寄り力が発生した場合でも、簡単な構成でベルトの寄り力を低減させることができる。その結果、ベルトの寄り力によりベルトが変形し破断してしまうことを防ぐとともに、ベルトが速度変動してしまうことによる色ずれ画像やベルトが歪み波打つことによる波打ち画像などの画像不良のないコンパクトなカラー電子写真画像形成装置を実現することができる。
〔実施例2〕
前述した実施例ではベルトの寄り力fを受けて変形部材30の外径が大きくなる構成の寄り力低減機構について説明したが、本実施例ではベルトの寄り力fを受けて変形部材30の外径が小さくなる構成の中間転写ベルト5aの寄り力低減機構について説明する。
次に実施例2に係る寄り力低減機構として、図14〜図15を用いて、ベルトの寄り力fを受けて変形部材30の外径が小さくなる構成の中間転写ベルト5aの寄り力低減機構について説明する。
〔中間転写ベルトの寄り力低減機構〕
図14は中間転写ベルト5aが蛇行せずに搬送されている状態を示す断面図である。
図5に示す中間転写ベルト5aの蛇行防止機構に加えて、駆動ローラ40の両端部と回転部材101との間に保持部材51L,51Rが設けられている。さらに保持部材51L,51Rと駆動ローラ40の間に、駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内周面に接触する変形部材30L,30Rが設けられている。
なお、保持部材51L,51Rは回転方向は駆動ローラ40と一体で回転するように駆動ローラ40の軸に保持(軸支)されているが、軸方向は固定されておらず、駆動ローラ40の回転軸上において軸方向に移動可能である。
ここで、駆動ローラ40に回転可能に設けられている回転部材101は、両端部が駆動ローラ40と略同径となっている。また回転部材101は、軸方向の一端側および他端側の両面に中間転写ベルト5aに設けたリブ5bL,5bRが当接可能な斜面をもち、かつ一端側と他端側を通して一体となっている。
また、回転部材101は中間転写ベルト5aの回転移動方向と直交する幅方向に移動した場合、幅方向中央部の円管状のリブ101L,101Rが保持部材51L,51Rに当接するようになっている。
変形部材30L,30Rは駆動ローラ40の回転力を確実に中間転写ベルト5aに伝達するために摩擦係数μの大きなゴムで形成されたリング状の弾性体であり、内径側を保持部材51L,51Rに圧入により保持されている。
よって、変形部材30L,30Rは駆動ローラ40と一体となって回転し、駆動ローラ40とともに中間転写ベルト5aを回転移動させる部材として機能することになる。
また、保持部材51L,51Rと駆動ローラ40内部のリブ40aの間には圧縮ばね80L,80Rが設けられており、保持部材51L,51Rには軸方向に常にばね力がかかっている。
駆動ローラ40の両端部とも同様の構成になっており、中間転写ベルト5aの蛇行方向が幅方向の左右どちらであっても対応できるようになっている。
この保持部材51L,51Rに掛かっているばね力は変形部材30L,30Rにも掛かることになる。そのため、軸方向には移動しない駆動ローラ40の両端部と保持部材51L,51Rに挟まれた変形部材30L,30Rは、主に軸方向に圧縮応力を受けて変形することになる。
このとき、軸方向に圧縮応力を受けた変形部材30L,30Rはフックの法則により径方向にも変形することになる。詳しくは、変形部材30L,30Rは、内径は保持部材51L,51Rに固定されており変化しないため、外径が大きくなる。すなわち、軸方向に圧縮応力を受けた変形部材30L,30Rは、駆動ローラ40の外径よりもわずかに大きくなり、なおかつ両端部の変形部材30L,30Rどうしは略同径となっている。
図14は中間転写ベルト5aが蛇行していないため、リブ5bL,5bRと回転部材101の間には隙間がある状態となっている。
図15は中間転写ベルト5aが軸方向左側(軸方向一端側)に蛇行して搬送されている状態を示す断面図である。
図15では、中間転写ベルト5aが蛇行して軸方向一端側に移動している。そのため、軸方向他端側のリブ5bRと回転部材101の間には隙間は無くなり、リブ5bRが回転部材101に当接して、中間転写ベルト5aの寄り力fがリブ5bRを介して回転部材101に掛かっている状態である。
また、回転部材101も軸方向一端側に移動しているため、中央部の円管状のリブ101Lが保持部材51Lに当接している。
ここで、軸方向他端側の回転部材101に掛かっている寄り力fは保持部材51Lを介して変形部材30Lにも掛かることになる。この寄り力fは、圧縮ばね80Lのばね力とは相反する方向の力であるので、変形部材30Lにかかる圧縮応力は小さくなる。そのため、変形部材30Lの変形量も小さくなる。
このとき、変形部材30Lは変形量が小さくなることで、外径も小さくなるが、一方で反対側(軸方向一端側)の駆動ローラ40の端部に設けられた変形部材30Rの外径は変わらないままである。そのため、ベルトの寄り力fがかかった側(軸方向一端側)の端部にある変形部材30Rの外径に比べて、ベルトの寄り力fがかかっていない側(軸方向他端側)の変形部材30Lの外径の方がわずかに小さくなることになる。
ここで、前述のように中間転写ベルト5aは駆動ローラ40の両端部のどちらかの外径がわずかに大きい場合、外径が大きい方向に蛇行(移動)する性質がある。そのため、中間転写ベルト5aは、変形により外径が小さくなった変形部材30Lに比べて、駆動ローラ40の外径よりもわずかに外径が大きい変形部材30Rの方向に蛇行(移動)しようとし、その方向に寄り力が発生する。
この変形部材30Lの変形によって発生する寄り力は、変形部材30Lの変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fとは相反する方向の力である。そのため、前述のように変形部材30Lの変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fを、低減もしくはゼロとすることができる。
ここまで、駆動ローラ40の端部に設けられた変形部材30L,30Rの変形によって、中間転写ベルト5aを駆動する部材の端部の外径を変化させる構成について説明してきたが、外径が変化するものは駆動ローラ40そのものの端部であっても良い。
以上説明したように、本実施例では、中間転写ベルト5aの両端部に配されたリブ5bL,5bRを回転部材101の斜面で規制することで中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構に加えて、駆動ローラ40の両端部と回転部材101との間に保持部材51L,51Rを設け、駆動ローラ40の両端部と保持部材51L,51Rの間に駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内面に接触する変形部材30L,30Rを設けた。さらに保持部材51L,51Rと駆動ローラ40内部のリブ40aの間には圧縮ばね80L,80Rを設けた。そして、保持部材51L,51Rには回転部材101を介して軸方向に常にばね力がかかり、両端部の変形部材30L,30Rは駆動ローラ40の外径よりもわずかに大きくなるように構成した。
これにより中間転写ベルトに大きな寄り力が発生した場合でも、簡単な構成でベルトの寄り力を低減させることができる。その結果、ベルトの寄り力によりベルトが変形し破断してしまうことを防ぐとともに、ベルトが速度変動してしまうことによる色ずれ画像やベルトが歪み波打つことによる波打ち画像などの画像不良のないコンパクトなカラー電子写真画像形成装置を実現することができる。
〔実施例3〕
実施例1および実施例2では、中間転写ベルト5aに寄り力が発生した場合に、中間転写ベルト5aのリブ5bを回転部材100もしくは回転部材101の斜面で規制することで中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構を持つ画像形成装置に関して説明した。
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図16に示すような中間転写ベルト5aの両端部と規制部材を当接させることによって中間転写ベルト5aの寄り方向の規制する蛇行防止機構をもつ画像形成装置においても応用することができる。
〔中間転写ベルトの蛇行防止機構〕
次に中間転写ベルト5aの蛇行防止機構の他の形態について図16を用いて説明する。
図16は、中間転写ベルトの蛇行防止機構の他の形態を示す断面図であり、駆動ローラ40の両端部には規制部材90が設けられている。
中間転写ベルト5aに寄り力が発生した場合、中間転写ベルト5aの端部が規制部材90の壁に規制されて中間転写ベルト5aは各ローラから脱落することなく安定して回転移動していく。
〔中間転写ベルトの寄り力低減機構〕
次に、図17〜図18を用いて、中間転写ベルト5aの寄り力fの低減機構の他の形態について説明する。
図17は中間転写ベルト5aが蛇行せずに搬送されている状態を示す断面図である。
図16に示す中間転写ベルト5aの蛇行防止機構に加えて、駆動ローラ40の両端部に保持部材55が設けられている。さらに駆動ローラ40の両端部と保持部材52の間には、駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内周面に接触する変形部材30が設けられている。
なお、保持部材52は回転方向は駆動ローラ40と固定されているが、軸方向は固定されておらず、駆動ローラ40の回転軸上において軸方向に移動可能である。
変形部材30は駆動ローラ40の回転力を確実に中間転写ベルト5aに伝達するために摩擦係数μの大きなゴムで形成されたリング状の弾性体であり、内径側を保持部材52に圧入により保持されている。
よって、変形部材30は駆動ローラ40と一体となって回転し、駆動ローラ40とともに中間転写ベルト5aを回転移動させる部材として機能することになる。
また、規制部材90と左側軸受205の間には圧縮ばね81が設けられており、保持部材52には規制部材90を介して軸方向に常にばね力がかかっている。
図示しないもう一方の駆動ローラ40の端部側も同様の構成になっており、規制部材90と右側軸受の間には圧縮ばね81が設けられており、保持部材52には規制部材90を介して軸方向に常にばね力がかかっている。これにより、中間転写ベルト5aの蛇行方向が幅方向の左右どちらであっても対応できるようになっている。
この規制部材90に掛かっているばね力は変形部材30にも掛かることになるので、軸方向には移動しない駆動ローラ40の両端部と保持部材52に挟まれた変形部材30は、主に軸方向に圧縮応力を受けて変形することになる。
このとき、軸方向に圧縮応力を受けた変形部材30はフックの法則により径方向にも変形することになる。詳しくは、変形部材30は、内径は保持部材52に固定されており変化しないため、外径が大きくなる。すなわち、軸方向に圧縮応力を受けた変形部材30は、駆動ローラ40の外径よりもわずかに大きくなり、なおかつ両端部の変形部材30どうしは略同径となっている。
図17は中間転写ベルト5aが蛇行していないため、中間転写ベルト5aの端部と規制部材90の間には隙間がある状態となっている。
図18は中間転写ベルト5aが軸方向右側(軸方向他端側)に蛇行して搬送されている状態を示す断面図である。
図18では、中間転写ベルト5aが蛇行して軸方向右側に移動している。そのため、中間転写ベルト5aの端部と規制部材90の間には隙間は無くなり、中間転写ベルト5aの寄り力fが規制部材90に掛かっている状態である。
この規制部材90に掛かっている寄り力fは、圧縮ばね81のばね力とは相反する方向の力であるので、変形部材30にかかる圧縮応力は小さくなる。そのため、変形部材30の変形量も小さくなる。
このとき、変形部材30は変形量が小さくなることで、外径も小さくなるのだが、一方で図示しない反対側(軸方向一端側)の駆動ローラ40の端部に設けられた変形部材30の外径は変わらないままである。そのため、ベルトの寄り力fがかかった側の端部にある変形部材30に比べて、ベルトの寄り力fがかかった側の反対側の端部にある変形部材30の方が外径がわずかに大きくなることになる。
ここで、前述のように中間転写ベルト5aは駆動ローラ40の両端部のどちらかの外径がわずかに大きい場合、外径が大きい方向に蛇行(移動)する性質がある。そのため、中間転写ベルト5aは、変形により外径が小さくなった変形部材30に比べて、駆動ローラ40の外径よりもわずかに外径が大きい変形部材30の方向に蛇行(移動)しようとし、その方向に寄り力が発生する。
この変形部材30の変形によって発生する寄り力は、変形部材30の変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fとは相反する方向の力である。そのため、前述のように変形部材30の変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fを、低減もしくはゼロとすることができる。
ここまで、駆動ローラ40の端部に設けられた変形部材30の変形によって、中間転写ベルト5aを駆動する部材の端部の外径を変化させる方法について述べてきたが、外径が変化するものは駆動ローラ40そのものの端部であっても良い。
以上説明したように、本実施例では、中間転写ベルト5aの両端部と規制部材90を当接させることで中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構に加えて、駆動ローラ40の両端部に保持部材52を設け、駆動ローラ40の両端部と保持部材52の間に駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内面に接触する変形部材30を設けた。さらに規制部材90と両側軸受の間には圧縮ばね81を設けた。そして、保持部材52には規制部材90を介して軸方向に常にばね力がかかり、両端部の変形部材30は駆動ローラ40の外径よりもわずかに大きくなるように構成した。
これにより中間転写ベルトに大きな寄り力が発生した場合でも、簡単な構成でベルトの寄り力を低減させることができる。その結果、ベルトの寄り力によりベルトが変形し破断してしまうことを防ぐとともに、ベルトが速度変動してしまうことによる色ずれ画像やベルトが歪み波打つことによる波打ち画像などの画像不良のないコンパクトなカラー電子写真画像形成装置を実現することができる。
〔実施例4〕
実施例3では、中間転写ベルト5aの端部と規制部材を当接させることによって中間転写ベルト5aの寄り方向の規制する蛇行防止機構をもつ画像形成装置において、ベルトの寄り力fを受けて変形部材30の外径が小さくなる構成の寄り力低減機構について説明したが、本実施例ではベルトの寄り力を受けて変形部材30の外径が大きくなる構成の中間転写ベルト5aの寄り力低減機構について説明する。
次に実施例4に係る寄り力低減機構として、図19〜図20を用いて、ベルトの寄り力fを受けて変形部材30の外径が大きくなる構成の中間転写ベルト5aの寄り力低減機構について説明する。
〔中間転写ベルトの寄り力低減機構〕
図19は中間転写ベルト5aが蛇行せずに搬送されている状態を示す断面図である。
図19に示すように中間転写ベルト5aの端部を規制部材91に当接することによって中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構に加えて、駆動ローラ40の両端部に保持部材53L,53Rが設けられている。さらに駆動ローラ40の両端部と保持部材53L,53Rの間に、駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内面に接触する変形部材30L,30Rが設けられている。
なお、保持部材53L,53Rは回転方向は駆動ローラ40と一体で回転するように保持されているが、軸方向は固定されておらず、同軸上において軸方向に移動可能である。
ここで、駆動ローラ40に設けられている規制部材91は、軸方向の一端側と他端側を通して一体となっている。
また、規制部材91は中間転写ベルト5aの回転移動方向と直交する幅方向に移動した場合、保持部材51L,51Rの外側に設けられた円管状のリブ91L,91Rが保持部材51L,51Rに当接するようになっている。
変形部材30は駆動ローラ40の回転力を確実に中間転写ベルト5aに伝達するために摩擦係数μの大きなゴムで形成されたリング状の弾性体であり、内径側を保持部材53L,53Rに圧入により保持されている。
よって、変形部材30L,30Rは駆動ローラ40と一体となって回転し、駆動ローラ40とともに中間転写ベルト5aを回転移動させる部材として機能することになる。
図19は中間転写ベルト5aが蛇行していないため、中間転写ベルト5aの端部と規制部材91の間には隙間がある状態となっている。
図20は中間転写ベルト5aが軸方向右側(軸方向他端側)に蛇行して搬送されている状態を示す断面図である。
図20では、中間転写ベルト5aが蛇行して軸方向右側に移動している。そのため、軸方向右側の中間転写ベルト5aの端部と規制部材91の間には隙間は無くなり、ベルト端部が規制部材91に当接して、中間転写ベルト5aの寄り力fが規制部材91に掛かっている状態である。
また、規制部材91も軸方向右側に移動しているため、保持部材53Lの外側に設けられた円管状のリブ91Lが保持部材53Lに当接している。
この規制部材91に掛かっている寄り力fは、保持部材53Lを介して変形部材30Lにも掛かることになるので、軸方向には移動しない駆動ローラ40の端部と保持部材53Lに挟まれた変形部材30Lは、主に軸方向に圧縮応力を受けて変形することになる。
このとき、軸方向に圧縮応力を受けた変形部材30Lはフックの法則により径方向にも変形することになる。詳しくは、変形部材30Lは、内径は保持部材53Lに固定されており変化しないため、外径が大きくなるが、一方で反対側(軸方向右側)の駆動ローラ40の端部に設けられた変形部材30Rの外径は変わらないままである。そのため、ベルトの寄り力fがかかった側の反対側の端部にある変形部材30Rに比べて、ベルトの寄り力fがかかった側の端部にある変形部材30Lの方が外径がわずかに大きくなることになる。
ここで、前述のように中間転写ベルト5aは駆動ローラ40の両端部のどちらかの外径がわずかに大きい場合、外径が大きい方向に蛇行(移動)する性質がある。そのため、中間転写ベルト5aは、変形により駆動ローラ40の外径よりもわずかに大きくなった変形部材30Lの方向に蛇行(移動)しようとし、その方向に寄り力が発生する。
この変形部材30Lの変形によって発生する寄り力は、変形部材30Lの変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fとは相反する方向の力である。そのため、前述のように変形部材30Lの変形前に中間転写ベルト5aが蛇行していた方向に働く寄り力fを、低減もしくはゼロとすることができる。
ここまで、駆動ローラ40の端部に設けられた変形部材30L,30Rの変形によって、中間転写ベルト5aを駆動する部材の端部の外径を変化させる方法について述べてきたが、外径が変化するものは駆動ローラ40そのものの端部であっても良い。
また、ここまで実施例4の説明では、中間転写ベルト5aに寄り力が発生した場合に、ベルト端部を駆動ローラ40の両端部に配された規制部材91の壁で規制することで中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構を持つ構成について説明したが、これに限定されるものではない。本実施例は規制部材91および変形部材30を軸方向片側の端部のみに備えたベルト搬送装置に用いても良い。
以上説明したように、本実施例では、中間転写ベルト5aの端部と規制部材91を当接させることによって、中間転写ベルト5aの蛇行を防止する機構に加えて、駆動ローラ40の両端部に保持部材53L,53Rを設け、さらに駆動ローラ40の両端部と保持部材53L,53Rの間に駆動ローラ40と略同径かつ外周が中間転写ベルト5aの内面に接触する変形部材30L,30Rを設けるように構成した。
これにより中間転写ベルトに大きな寄り力が発生した場合でも、簡単な構成でベルトの寄り力を低減させることができる。その結果、ベルトの寄り力によりベルトが変形し破断してしまうことを防ぐとともに、ベルトが速度変動してしまうことによる色ずれ画像やベルトが歪み波打つことによる波打ち画像などの画像不良のないコンパクトなカラー電子写真画像形成装置を実現することができる。
なお、前述した実施例では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。また前述したベルト搬送装置を備えた画像形成装置としては、中間転写体(エンドレスベルト)を使用した画像形成装置に限定されるものでもない。例えば、記録媒体担持体(エンドレスベルト)を使用し、該記録媒体担持体に担持された記録媒体に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられるベルト搬送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。