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JP6236803B2 - 組織の製造方法 - Google Patents

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JP6236803B2
JP6236803B2 JP2013041046A JP2013041046A JP6236803B2 JP 6236803 B2 JP6236803 B2 JP 6236803B2 JP 2013041046 A JP2013041046 A JP 2013041046A JP 2013041046 A JP2013041046 A JP 2013041046A JP 6236803 B2 JP6236803 B2 JP 6236803B2
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Description

本発明は、細胞培養容器が設置される遠心分離機に関する。
コラーゲン等の培養担体上で細胞を培養させて製造される生体組織は細胞密度が低いため、医療目的の移植用組織として適したものではない。移植に適した、細胞密度が高い細胞シートなどの組織を製造する技術はテッシュエンジニアリングの分野において重要な技術であるといえる。しかしながら、従来の高細胞密度の生体組織の製造法には幾つかの問題点が存在する。
細胞を培養支持体上に播種し、細胞シートを形成することは一般に広く行われている。細胞シートの剥離を容易にする目的で、細胞接着面に温度応答性高分子化合物の層を設け、細胞の剥離を促進させる技術も開発されており、異物をほとんど含まない細胞シートの回収が可能である。しかしながらこの方法により形成される細胞シートは単層または3層以下の細胞層から構成されることが通常である。このため、多層化を行うには、細胞シートを複数重ね合わせることが必要である。細胞シートは極めて薄く、取り扱いが困難であるため、複数重ね合わせることは容易でなく手間がかかる。
そこで、移植に適した生体組織を得るため、細胞非接着性であるか、細胞非接着性に変化することが可能である内底面を有する細胞培養容器が開発されている。生体組織を作製する場合、まず細胞を含有する培養液を細胞培養容器に注入する。次に細胞培養容器を遠心分離器に設置して内底面方向への遠心力を作用させながら、細胞間接着が形成される条件下で細胞培養を行ない、細胞間を接着させて組織を形成することにより内底面に生体組織を堆積させている(特許文献1〜3参照)。
特開2010−161952号公報 特開2010−161953号公報 特開2010−161954号公報
上述のように移植に適した生体組織を得るための細胞培養容器が開発されている。またこのような細胞培養容器は遠心分離機に設置され、細胞培養容器に対して遠心力が付与されて細胞培養が行なわれる。
しかしながら、細胞培養容器を遠心分離機に設置して、細胞培養容器に対して遠心力を付与する場合、遠心力を付与する工程中に細胞培養容器内から培養液が外部へ流出してしまうことがある。例えば、細胞培養容器を遠心分離機のバスケットに配置する際、細胞培養容器の重心がバスケットの中心に位置していないと、バスケットが傾いて細胞培養容器が傾いてしまう。傾いた状態の細胞培養容器に対して遠心分離処理を行うと、培養液の漏れが生じたり、沈殿する細胞の層が均一にならないといった問題が生じる。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、遠心力を付与する工程中に培養液の漏れが生じたり、沈殿する細胞の層が均一にならないといった不具合を防止することができる遠心分離機を提供することを目的とする。
本発明に係る遠心分離機は、細胞非接着性であるか、細胞非接着性に変化することが可能である内底面を有する容器本体を有し、細胞を含有する培養液を収納し、前記内底面方向へ遠心力を作用させながら、細胞間接着が形成される条件下で細胞培養を行ない、前記細胞間を接着させて組織を形成して前記内底面に生体組織を堆積させる細胞培養容器が設置される遠心分離機において、回動軸と、前記回動軸に固定され、前記回動軸とともに回動するアームと、前記アームの先端に揺動軸を介して揺動可能に取付けられ、前記細胞培養容器が設置されるバスケットとを備え、前記バスケット上に、前記細胞培養容器の底部を固定する底部固定部を有する固定治具を設け、前記回動軸が停止しているとき、前記バスケット、前記固定治具および前記細胞培養容器から構成される組合体の重心を通る鉛直線が前記揺動軸を通るように、前記底面固定部が配置されたことを特徴とする。
本発明に係る遠心分離機において、前記底部固定部は、凹部を含んでいてもよい。
本発明に係る遠心分離機において、前記底部固定部内に、異なる大きさの細胞培養容器を前記底部固定部内に設置するための調整用部材を設けたものであってもよい。
本発明に係る遠心分離機において、前記調整用部材は、調整用リングを含んでいてもよい。
本発明に係る遠心分離機において、前記調整用部材は、スプリング又はジャッキを含んでいてもよい。
本発明に係る遠心分離機において、前記底部固定部は、面ファスナーを含んでいてもよい。
本発明に係る遠心分離機において、前記底部固定部は、複数の突起を含んでいてもよい。
本発明に係る遠心分離機において、前記固定治具は、複数の底部固定部を有していてもよい。
本発明に係る遠心分離機において、前記細胞培養容器の前記容器本体は、シャーレ型、プレート型又はフラスコ型であってもよい。
以上のように本発明によれば、遠心力を付与する工程中に培養液の漏れが生じたり、沈殿する細胞の層が均一にならないといった不具合を防止することができる。
図1は本発明による遠心分離機の一実施の形態を示す正面図。 図2は本発明による遠心分離機の一実施の形態を示す平面図。 図3(a)は、回動軸が停止している際の遠心分離機を示す正面図、図3(b)は、回動軸が回動している際の遠心分離機を示す正面図。 図4は細胞培養容器を示す断面図。 図5は細胞培養容器を示す斜視図。 図6(a)(b)(c)は細胞培養容器を用いた細胞培養の作用を示す図。 図7は固定治具の一変形例を示す平面図。 図8は固定治具の他の変形例を示す平面図。 図9は固定治具の他の変形例を示す平面図。 図10は固定治具の他の変形例を示す斜視図。 図11は固定治具の他の変形例を示す斜視図。 図12は固定治具の他の変形例を示す平面図。 図13は細胞培養容器の一変形例を示す斜視図。 図14は細胞培養容器の他の変形例を示す斜視図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図6は本発明による遠心分離機20の一実施の形態を示す図である。
図1および図2に示すように、遠心分離機20は回動軸21と、回動軸21に固定されたアーム22と、アーム22の先端に揺動軸24を介して揺動可能に取付けられたバスケット23とを有している。
このうち回動軸21は、鉛直方向に延びる棒状部材からなっており、図示しないモータ等の駆動装置によって回動するようになっている。
また、アーム22は、水平方向、すなわち回動軸21に対して垂直な方向に延びる棒状部材からなっている。このアーム22は、回動軸21の回動に伴って、回動軸21とともに水平面に沿って回動可能となっている。図2において、4本のアーム22が回動軸21から放射状に延びているが、アーム22の本数は1本以上であれば良く、これに限られるものではない。なお、アーム22は、水平方向に延びる場合に限らず、水平方向に対して傾斜して延びるものであってもよい。
各バスケット23は、それぞれアーム22の先端に吊設されており、その上に細胞培養容器10が設置されるようになっている。また、各バスケット23は、それぞれ揺動軸24を介してアーム22に対して揺動可能となっている。この揺動軸24は、平面から見て(図2参照)、アーム22に対して直交する方向(すなわちアーム22の先端が通過する回動円の接線方向)に延びている。そして回動軸21が回動するのに伴って、各バスケット23は、遠心力によってその底面23aが水平方向(図3(a)参照)から略鉛直方向(図3(b)参照)を向くように上昇する。
また、各バスケット23上に、細胞培養容器10をバスケット23上の所定位置に固定する固定治具25が設けられている。この固定治具25は、細胞培養容器10の底部10aを嵌合固定する凹部(底部固定部)25aを有している。なお、固定治具25は、バスケット23にねじや接着剤等によって固定されていても良く、あるいはバスケット23に対して取外し可能に固定されていても良い。
この場合、凹部25aは、細胞培養容器10の底部10aに対応する形状(この場合は平面円形状)を有しており、細胞培養容器10が凹部25aに収容された後、細胞培養容器10がバスケット23および固定治具25に対して取外し可能に固定されるようになっている。
さらに、図1に示すように、回動軸21が停止しているとき、各バスケット23、各固定治具25、および、各細胞培養容器10(後述する培養液1を含む)から構成される組合体26の重心Gを通る鉛直線27は、揺動軸24を通るようになっている。
これにより、回動軸21が停止した状態で、細胞培養容器10を各バスケット23上に配置した際、各バスケット23が傾いて細胞培養容器10が傾くことが防止される。このとき細胞培養容器10に収容された培養液1の液面が、バスケット23の底面23aに対して平行となる。また、回動軸21が回動している際も、細胞培養容器10に収容された培養液1の液面は、バスケット23の底面23aに対して平行となる。
なお、本実施の形態において、組合体26の重心Gを通る鉛直線27は、揺動軸24とアーム22の先端との両方を通過しているが、これに限られるものではない。鉛直線27は少なくとも揺動軸24を通っていれば良く、必ずしもアーム22の先端からずれた位置を通っていても良い。
次に、細胞培養容器10について説明する。細胞培養容器10は、図4および図5に示すように、細胞非接着性であるか、細胞非接着性に変化することが可能である内底面11aを有するとともに上方開口11bを有する容器本体11と、容器本体11の上方開口11bを覆う蓋体12とを備えている。このうち容器本体11は円筒状をなすシャーレ型の容器本体となっている。
このような細胞培養容器10は、細胞2を含有する培養液1を収納し、内底面11a方向へ遠心力を作用させながら、細胞2間接着が形成される条件下で細胞培養を行なうものであり、細胞2間を接着させて組織を形成して内底面11aに生体組織を堆積させるものである(図6(a)(b)(c)参照)。
この場合、細胞含有培養液1(図6(a)(b)(c)参照)を収容する容器部分の内表面のうち少なくとも内底面11aが細胞非接着性であるか、細胞非接着性に変化することが可能であればよいが、特に、細胞含有培養液を収容する容器部分の内表面のうち、細胞と接触する表面の全て(例えば容器の内底面11aおよび内側面11c)が細胞非接着性であるか、細胞非接着性に変化することが可能であることが好ましい。
本実施の形態に用いられる細胞としては接着性細胞であれば特に限定されない。そのような細胞としては、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞、クッパー細胞、血管内皮細胞や角膜内皮細胞などの内皮細胞、線維芽細胞、骨芽細胞、砕骨細胞、歯根膜由来細胞、表皮角化細胞などの表皮細胞、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞などの上皮細胞、乳腺細胞、ペリサイト、平滑筋細胞や心筋細胞などの筋細胞、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、末梢神経細胞や視神経細胞などの神経細胞、軟骨細胞、骨細胞などが挙げられる。これらの細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。さらにこれら細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞などの多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞などの単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであっても良い。また、細胞は単一種を培養してもよいし二種以上の細胞を共培養してもよい。
本実施の形態において、細胞非接着性である表面としては、親水性の表面、具体的には20℃の静的水接触角が45°以下である表面が挙げられる。このような表面は、炭素酸素結合を有する有機化合物の皮膜を基材の表面上に形成することにより得ることができる。あるいは基材自体を親水性を有する材料で構成してもよい。
親水性被膜を表面上に形成するための基材の材料は特に限定されず、具体的には、金属、ガラス、セラミック、シリコン等の無機材料、エラストマー、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。好適には、ポリスチレンが用いられる。
細胞非接着性表面は、炭素酸素結合を有する有機化合物により形成される、静的水接触角が45°以下である親水性膜により形成することができる。
炭素酸素結合とは、炭素と酸素との間に形成される結合を意味し、単結合に限らず二重結合であってもよい。炭素酸素結合としてはC−O結合、C(=O)−O結合、C=O結合が挙げられる。
親水性膜の主原料としては、水溶性高分子、水溶性オリゴマー、水溶性有機化合物、界面活性物質、両親媒性物質等の親水性有機化合物が挙げられる。これらが相互に物理的または化学的に架橋し、基材と物理的または化学的に結合することにより親水性膜となる。
本実施の形態で用いられる細胞培養容器の内底面をはじめとする内表面の細胞接触領域は、細胞非接着性であることが、組織の剥離の容易性という観点から好ましいが、細胞培養時には細胞接着性であるが剥離の際に細胞非接着性に変化することが可能である表面であってもよい。このような表面は、温度応答性ポリマー、pH応答性ポリマー及びイオン応答性ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の刺激応答性高分子が共有結合し基材の表面に固定化することにより形成することができる。刺激応答性高分子としては刺激の付与が容易である温度応答性ポリマーが好ましいがこれには限定されない。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず図6(a)に示すように、容器本体11内に上方開口11bから細胞2を含有する培養液1を注入する。
次に容器本体11の上方開口11bを蓋体12により覆い、容器本体11の上方開口11bを蓋体12により密閉する。
次に細胞培養容器10を図1および図2に示す遠心分離機20に設置する。
この際、細胞培養容器10を遠心分離機20のバスケット23上に設置する(図3(a)参照)。この場合、細胞培養容器10の底部10aを固定治具25の凹部25aに嵌合させる。
上述したように、本実施の形態において、回動軸21が停止しているとき、各バスケット23、各固定治具25、および、各細胞培養容器10から構成される組合体26の重心Gを通る鉛直線27は、揺動軸24を通るようになっている。したがって、バスケット23の底面23aは水平方向と平行となり、バスケット23が傾いて細胞培養容器10が傾くことが防止される。これにより、培養液1が細胞培養容器10から漏れたり、培養液1中で沈殿する細胞2の層が均一にならなかったりする不具合が防止される。
次に回動軸21を回動させる(図3(b)参照)。具体的には、図示しない駆動装置により回動軸21の回動速度を徐々に上昇させていき、数分間かけて最大速度に到達させる。このとき、アーム22の先端に揺動軸24を介して取付けられたバスケット23が上方へ持上げられ、回動軸21の回動に伴なって細胞培養容器10に対して、容器本体11の内底面11a方向に向かう遠心力が働く。このとき、バスケット23は、揺動軸24を中心として、遠心力によってその底面23aが略鉛直方向を向くように上昇する。この場合においても、細胞培養容器10の培養液1の液面が、バスケット23の底面23aに対して平行となるので、培養液1中で沈殿する細胞2の層が均一にならない不具合が防止される。このように回動軸21が回動している間も、組合体26の重心Gを通る鉛直線27は、揺動軸24を通っている。
このように、容器本体11の内底面11a側へ遠心力が働くことにより、培養液1中の細胞2間が接着して組織を形成し、内底面11aにシート状の生体組織3が堆積する。
このようにしてシート状の生体組織3が他の培養液1と分離される(図6(b)参照)。
次に細胞培養容器10に対して遠心力を付与する工程について更に述べる。
細胞培養容器10に収容された培養液1に内底面11a方向への遠心力を作用させることにより、細胞間接着が形成される条件下で細胞培養を行い、細胞間を接着させて組織を形成する。遠心力により細胞2が内底面11aの形状に応じて内底面11aに密着した状態で、細胞2同士が接着し、所望の形状の組織が形成される。
図3(a)(b)に示す遠心分離機20から付与される遠心力の大きさは、細胞2の機能に悪影響を与えることなく組織の形成が可能な範囲で適宜選択することができる。例えば2G〜1440Gが好ましく、2G〜720Gがより好ましい。
ここで「細胞間接着が形成される条件」とは細胞が活動して細胞同士が接着できる条件を指す。培養する細胞の種類に応じて変動するが、例えば温度条件は20〜40℃が好ましく、雰囲気ガス条件としては二酸化炭素濃度が3〜5%であることが好ましく、培養時間としては0.5〜24時間が好ましい。本実施の形態の有利な特徴の一つは培養時間を短くすることができ、細胞へのダメージを小さくすることができる点にある。培養時間は後述する細胞外マトリクスを別途調製し添加する実施形態では短縮することが可能あり、培養時間を0.5〜3時間とすることができるため好ましい。細胞外マトリクスを添加しない実施形態では、培養時間を1〜24時間とすることができる。
本実施の形態では細胞培養容器を所望の雰囲気ガス(二酸化炭素濃度5%)で満たされたインキュベータ内で数分間放置したのち、雰囲気ガスが変化しないように細胞培養容器に蓋をして加重培養を行なう。しかしながらこれには限定されず、例えば雰囲気ガスおよび温度が制御されたインキュベータ内であれば細胞培養容器を開放した状態で加重培養を行うこともできる。
遠心力を付与して細胞培養を行なう場合、細胞間接着が形成されれば十分であり、細胞数を増殖により増やすことは必須ではない。培養液中における細胞数を適宜調節することにより、作製される組織の厚さ(すなわち組織の厚さ方向の細胞積層数)を制御することが可能である。このように細胞培養工程において細胞の増殖を行う必要がないため、比較的短時間で組織を得ることができる。また組織の厚さ、形状を自在に調節することができる。
また本実施の形態の遠心分離機を用いた細胞培養方法によれば、細胞が高密度化された組織を得ることが可能となる。細胞が高密度化された組織は移植用途に好ましい。
次に遠心力を付与する工程の終了後に、得られた生体組織3を細胞培養容器10の内底面11aから剥離し回収する(図6(c)参照)。例えばピペッティング操作などの物理的な操作よって細胞を剥離することができる。細胞培養容器10の内底面11aが細胞非接着性表面であればこの操作は容易であり短時間の培養で組織の作製及び剥離回収が可能である。細胞培養容器10の内底面11aが刺激応答性高分子などの、細胞非接着性に変化する表面である場合には、細胞非接着性となるような環境(例えば下限臨界温度以下の温度)において剥離操作を行う。
以上のように本実施の形態によれば、回動軸21が停止しているとき、バスケット23、固定治具25および細胞培養容器10から構成される組合体26の重心Gを通る鉛直線27は、揺動軸24を通る。このことにより、バスケット23が傾いて細胞培養容器10が傾くことを防止することができるので、細胞培養容器10を遠心分離機20のバスケット23上に設置し、細胞培養容器10に対して内底面11a側へ向う遠心力を作用させながら細胞培養する場合において、容器本体11内の培養液1が外方へ流出してしまうことはない。また、培養液1中で沈殿する細胞2の層を均一することができる。
固定治具の変形例
以下、固定治具の各種変形例について、図7乃至図12を参照して説明する。図7乃至図12において、図1乃至図6に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
図7は、固定治具25の一変形例を示している。図7において、異なる大きさの細胞培養容器10を凹部(底部固定部)25a内に設置するための2つの調整用リング(調整用部材)41、42が設けられている。ここで、図7は固定治具25と調整用リング41、42とを示す平面図である。
図7に示すように、第1の調整用リング41は、円形の内周41aと、凹部25aの内周25bに対応する円形の外周41bとを有している。また、第2の調整用リング42は、円形の内周42aと、第1の調整用リング41の内周41aに対応する円形の外周42bとを有している。
この場合、互いに異なる3種類の口径の底部10aをもつ細胞培養容器10を固定治具25に設置することが可能となる。すなわち、細胞培養容器10の底部10aが、凹部25aの内周25bに対応する形状をもつ場合、当該細胞培養容器10の底部10aを凹部25aに直接嵌め込む。また、細胞培養容器10の底部10aが、第1の調整用リング41の内周41aに対応する形状をもつ場合、第1の調整用リング41を凹部25aに嵌め込み、細胞培養容器10の底部10aを第1の調整用リング41の内周41aに嵌め込む。さらに、細胞培養容器10の底部10aが、第2の調整用リング42の内周42aに対応する形状をもつ場合、第1の調整用リング41を凹部25aに嵌め込むとともに第2の調整用リング42を第1の調整用リング41の内周41aに嵌め込み、細胞培養容器10の底部10aを第2の調整用リング42の内周42aに嵌め込む。
このように、調整用リング41、42を用いることにより、異なる大きさ(口径)の底部10aをもつ細胞培養容器10を凹部25a内に設置することが可能となる。なお、調整用リング41、42の数は、2つに限られるものではなく、1つ以上であればよい。また、調整用リング41、42は、それぞれ円形の内周41a、42aと、円形の外周41b、42bとを有しているが、これに限られるものではない。例えば、調整用リング41、42が矩形の内周および/または矩形の外周を有していても良い。あるいは、調整用リング41、42が円形の外周(内周)と矩形の内周(外周)とを有していても良い。このような態様によれば、細胞培養容器10が円形である場合、細胞培養容器10の口径によらず重心は同心円の中心に位置するため、多種類の細胞培養容器10に対応させることができる。
図8は、固定治具25の他の変形例を示している。図8において、異なる大きさの細胞培養容器10を凹部(底部固定部)25a内に設置するためのスプリング(調整用部材)43が設けられている。ここで、図8は固定治具25とスプリング43とを示す平面図である。
図8に示すように、凹部25aの内周25bの2箇所にスプリング43が設けられている。各スプリング43の先端には、細胞培養容器10に当接する当接部材44が設けられている。この場合、細胞培養容器10の底部10aを2つの当接部材44間に嵌め込むことにより、スプリング43および当接部材44によって、細胞培養容器10を固定治具25にしっかりと固定することができる。
このように、スプリング43および当接部材44を用いることにより、異なる大きさの細胞培養容器10を凹部25a内に設置することが可能となる。とりわけ、当接部材44の可動範囲内であれば、大きさが連続的に変化する様々な細胞培養容器10を凹部25a内に設置することが可能となる。なお、細胞培養容器10を凹部25aの中心に配置するために、2つのスプリング43は互いに同一のバネ定数をもつことが好ましい。また、スプリング43の数は、2つに限られるものではなく、複数であればよい。また、複数のスプリング43は、凹部25aの内周25bに沿って、等間隔で設けられていることが好ましい。
図9は、固定治具25の他の変形例を示している。図9において、異なる大きさの細胞培養容器10を凹部(底部固定部)25a内に設置するためのジャッキ(調整用部材)45が設けられている。ここで、図9は固定治具25とジャッキ45とを示す平面図である。
図9に示すように、凹部25aの内周25bに2つのジャッキ45が設けられている。各ジャッキ45の先端には、細胞培養容器10に当接する当接部材46が設けられている。
この場合、細胞培養容器10の底部10aを2つの当接部材46間に嵌め込み、ジャッキ45によって2つの当接部材46の位置を調整する。これにより、ジャッキ45および当接部材46によって、細胞培養容器10を固定治具25にしっかりと固定することができる。
このように、ジャッキ45および当接部材46を用いることにより、異なる大きさの細胞培養容器10を凹部25a内に設置することが可能となる。とりわけ、当接部材46の可動範囲内であれば、連続的に大きさが変化する様々な細胞培養容器10を凹部25a内に設置することが可能となる。なお、ジャッキ45の数は、2つに限られるものではなく、複数であればよい。また、複数のジャッキ45は、凹部25aの内周25bに沿って、等間隔で設けられていることが好ましい。
図10は、固定治具25の他の変形例を示している。図10において、固定治具25は、面ファスナー(底部固定部)47を含んでいる。ここで、図10は固定治具25および細胞培養容器10を示す斜視図である。
図10に示すように、バスケット23の所定位置(例えば中央部)に一方の面ファスナー47が取り付けられている。また、細胞培養容器10の底部10aには他方の面ファスナー48が取り付けられている。これら面ファスナー47、48のうち一方が複数のフックを有し、他方が複数のループを有していても良い。また面ファスナー47、48の取り付け位置は、上記組合体26の重心Gを通る鉛直線27が揺動軸24を通るように予め調整されている。
この場合、細胞培養容器10の底部10aに設けられた面ファスナー48をバスケット23に設けられた面ファスナー47に取り付けることにより、細胞培養容器10をバスケット23に着脱自在に固定することができる。また、固定治具25として面ファスナー47を用いることにより、異なる様々な大きさの細胞培養容器10をバスケット23上に設置することが可能となる。
図11は、固定治具25の他の変形例を示している。図11において、固定治具25は、複数(4つ)の突起49を含んでいる。ここで、図11は固定治具25および細胞培養容器10を示す斜視図である。
図11に示すように、バスケット23の所定位置に複数の突起49が突設されている。複数の突起49は、細胞培養容器10の底部10aを取り囲むように配置されている。この場合、細胞培養容器10の底部10aを、複数の突起49によって囲まれる領域に嵌合させることにより、細胞培養容器10を固定治具25に固定することができる。なお、突起49の数は限定されるものではないが、3つ以上とすることが好ましい。
図12は、固定治具25の他の変形例を示している。図12において、固定治具25は、複数の凹部25a(底部固定部)を含んでいる。ここで、図12は固定治具25を示す平面図である。
図12に示すように、固定治具25は、それぞれ細胞培養容器10の底部10aが嵌合する複数の凹部25aを含んでいる。このように、各細胞培養容器10の底部10aをそれぞれ凹部25aに嵌合させることにより、複数の細胞培養容器10を1つのバスケット23に設置することができる。なお、底部固定部の構成はこれに限られるものではなく、例えば固定治具25が、図7乃至図11に示す底部固定部を複数有していても良い。
細胞培養容器の変形例
次に、細胞培養容器の変形例について説明する。上述したように、図4および図5に示す細胞培養容器10は、シャーレ型の容器本体11を有している。しかしながら、細胞培養容器の容器本体としては、シャーレ型のものに限られない。
例えば、図13に示す細胞培養容器30は、複数の液収納部31Aと、液収納部31A間を連結する連結プレート31Bとを有する容器本体31と、容器本体31に装着される蓋体32とを備え、容器本体31はプレート型の容器本体からなる。容器本体31の各液収納部31Aは内底面31aと内側面31cとを有し、上方に上方開口31bが形成されている。また容器本体31の各液収納部31Aの上方開口31bは蓋体32により覆われている。
この場合、各液収納部31Aの内底面31aは細胞非接着性であるか、または細胞非接着性に変化することが可能となっている。このため各液収納部31Aの内底面31aに堆積した生体組織3をピペッティング操作により容易に剥離して回収することができる(図6(c)参照)。
図14は、細胞培養容器の他の変形例を示している。図14に示す細胞培養容器60は、口部63と液収容部64とを有する容器本体61と、容器本体61の口部63に螺着される蓋体62とを備え、容器本体61はフラスコ型の容器本体からなる。容器本体61の液収容部64は、内底面64aを有している。
この場合、液収容部64の内底面64aは細胞非接着性であるか、または細胞非接着性に変化することが可能となっている。このため液収容部64の内底面64aに堆積した生体組織3をピペッティング操作により容易に剥離して回収することができる(図6(c)参照)。
10 細胞培養容器
11 容器本体
12 蓋体
20 遠心分離機
21 回動軸
22 アーム
23 バスケット
24 揺動軸
25 固定治具
25a 凹部(底部固定部)
26 組合体
27 鉛直線

Claims (9)

  1. 細胞非接着性である親水性の内底面を有する容器本体を有し、細胞を含有する培養液を収納し、前記内底面方向へ遠心力を作用させながら、細胞間接着が形成される条件下で細胞培養を行ない、前記細胞間を接着させて組織を形成して前記内底面に生体組織を堆積させる細胞培養容器が設置される遠心分離機を用いた、組織の製造方法において、
    前記遠心分離機に前記細胞培養容器を設置する工程と、
    前記遠心分離機に設置された前記細胞培養容器に対して遠心力を付し、前記細胞間を接着させて組織を形成する工程と、
    前記細胞培養容器の前記内底面に堆積した、前記細胞間を接着された前記組織を剥離し回収する工程と、を備え、
    前記遠心分離機は、
    回動軸と、
    前記回動軸に固定され、前記回動軸とともに回動するアームと、
    前記アームの先端に揺動軸を介して揺動可能に取付けられ、前記細胞培養容器が設置されるバスケットとを備え、
    前記バスケット上に、前記細胞培養容器の底部を固定する底部固定部を有する固定治具を設け、
    前記回動軸が停止しているとき、前記バスケット、前記固定治具および前記細胞培養容器から構成される組合体の重心を通る鉛直線が前記揺動軸を通るように、前記底部固定部が配置されたことを特徴とする組織の製造方法。
  2. 前記底部固定部は、凹部を含むことを特徴とする請求項1記載の組織の製造方法。
  3. 前記底部固定部内に、異なる大きさの細胞培養容器を前記底部固定部内に設置するための調整用部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の組織の製造方法。
  4. 前記調整用部材は、調整用リングを含むことを特徴とする請求項3記載の組織の製造方法。
  5. 前記調整用部材は、スプリング又はジャッキを含むことを特徴とする請求項3記載の組織の製造方法。
  6. 前記底部固定部は、面ファスナーを含むことを特徴とする請求項1記載の組織の製造方法。
  7. 前記底部固定部は、複数の突起を含むことを特徴とする請求項1記載の組織の製造方法。
  8. 前記固定治具は、複数の底部固定部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の組織の製造方法。
  9. 前記細胞培養容器の前記容器本体は、シャーレ型、プレート型又はフラスコ型であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の組織の製造方法。
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