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JP6231559B2 - 高グリコシル化された持続型ヒト成長ホルモンタンパク質の製造方法及び精製方法 - Google Patents

高グリコシル化された持続型ヒト成長ホルモンタンパク質の製造方法及び精製方法 Download PDF

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Description

本発明は、高グリコシル化されて体内持続性が高められた持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質及びその製造方法に関し、具体的には、体内持続性を増加させる高グリコシル化α1−アンチトリプシン変異体とヒト成長ホルモンが融合された持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質の特定のアイソフォーム(isoform)及びその製造方法に関する。
持続型ヒト成長ホルモンの製造方法は、NexP−hGHの高純度精製方法に関し、具体的には、(a)ヒト成長ホルモン及びα1−アンチトリプシン変異体が融合された持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液を陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーにかけるステップと、(b)前記NexP−hGHを含む生物学的乳液、又はステップ(a)で生成された溶出液を疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけるステップと、(c)前記持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液、ステップ(a)で生成された溶出液、又はステップ(b)で生成された溶出液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーにかけるステップとを含む。
一般に、天然ヒト成長ホルモン(human growth hormone,hGH)とは、191個のアミノ酸から構成されており、約21,500ダルトンの分子量を有するホルモンである。ヒト成長ホルモンは、脳下垂体前葉から分泌され、体内で骨、軟骨などの成長を促進する。この成長ホルモンが欠乏すると、低身長症、心血管疾患のリスク増加、筋肉及び骨密度の減少などを誘発することがある。
成長ホルモン欠乏症を治療するために、1950年代後半からはヒトの脳下垂体に由来するか又は遺伝工学技術により生産された成長ホルモンが用いられるようになり、2009年には、ヒト成長ホルモンは世界的に約3兆ウォンの市場規模となった。ただし、成長ホルモンにおいては、毎日皮下注射で投与しなければならない不便さがあるので、患者の利便性の向上が求められている。このような要求に応えるべく持続型ヒト成長ホルモンが開発されており、持続性を向上させる方法として、徐放性製剤、タンパク質又は糖の融合、糖鎖工学などが用いられている。例えば、徐放性製品としてジェネンテック社がニュートロピンデポ(nutropin depot)を最初に発売し、韓国内ではLG生命科学がディクラーゼを2007年から発売している(特許文献1及び2)。しかし、徐放性治療剤は、人体に好ましくない免疫反応を引き起こし、大きな注射器を用いるので痛みを伴い、低い収率のため経済性に問題があった。特に、ニュートロピンデポは、第1世代製品と比べても有効性が低いため、市場から撤収された。
徐放性製剤以外にも、タンパク質の持続性を向上させる方法として、高分子の糖であるポリエチレングリコールとの融合(非特許文献1)、糖鎖工学(Glycoengineering,特許文献3)、他のタンパク質との融合(特許文献4)などの方法を用いて、体内の吸収、代謝、排泄を行わせることもある。しかし、前記方法は、低い収率により経済性に欠け、長期間にわたって使用すると免疫反応を引き起こし、結合過程で用いられる化学物質が毒性を有するなど、様々な理由により汎用的な半減期延長方法としては用いることができない。よって、このような欠点を最小限に抑えて持続性を増大させる方法を用いた持続型ヒト成長ホルモンの開発が求められており、特許文献5には、体内タンパク質であるα1−アンチトリプシン(A1AT)の変異体とヒト成長ホルモンの結合体形態の持続型ヒト成長ホルモンタンパク質を開発し、タンパク質のサイズ増加による半減期の延長を試みた内容が開示されている。それに加えて、α1−アンチトリプシンに少なくとも1つの遺伝子変異によりN糖鎖を付加して体内半減期の延長をさらに試みた(特許文献6)。
本発明者らにより用いられたα1−アンチトリプシン(A1AT)変異体は、タンパク質分解酵素抑制剤としてのα1−アンチトリプシン固有の体内活性をなくして半減期を延長させるために、所定のアミノ酸を突然変異させたものである。タンパク質分解酵素としての固有の活性をなくしたα1−アンチトリプシンのタンパク質配列、製造方法などは特許文献7に開示されている。
持続型ヒト成長ホルモンは、このようなα1−アンチトリプシン(A1AT)の変異体をヒト成長ホルモンのN末端又はC末端に遺伝子組換えで融合したタンパク質であって、第1世代ヒト成長ホルモンに比べて体内半減期が改善された物質である。大多数の第1世代ヒト成長ホルモン医薬品が大腸菌から製造されるのに対して、持続型ヒト成長ホルモンはCHO細胞において発現してグリコシル化するように製造されている。
従来のα1−アンチトリプシンの精製は、ポリグリコールとpHで不純物のみ沈殿させる方法(特許文献8)、陽イオン交換樹脂(特許文献9及び10)により行われていた。また、第1世代ヒト成長ホルモンは、一般に大腸菌から封入体の形態で過剰発現させ、その後リフォールディングしてそれを陰イオン交換樹脂で精製する方法により得られていた(特許文献11及び非特許文献2)。
一方、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHは、分子量約70〜90kDa、等電点約(pI)3.0〜6.0であるので、第1世代ヒト成長ホルモン又はα1−アンチトリプシンと分子量、等電点及び糖鎖パターンなどの物理化学的性質が異なる新規物質であり、第1世代ヒト成長ホルモン又はα1−アンチトリプシンと同一/類似した精製方法では高純度の持続型ヒト成長ホルモンを得ることができなかった。また、現在まで、論文や特許において持続型ヒト成長ホルモンの精製方法は開示されていない。
このような背景から、本発明者らは、従来の方法では高純度の精製が難しかった持続型ヒト成長ホルモンの効率的な精製方法を見出すために鋭意努力した結果、陰イオン交換樹脂、疎水性樹脂、抗体断片が付着した樹脂などを用いて高純度の持続型ヒト成長ホルモンを精製できることを見出した。
また、体内に存在するタンパク質は、タンパク質の種類によってグリコシル化の程度が半減期及び有効性に影響を及ぼす程度が異なる。その例として、汎用的に多く用いられるタンパク質医薬品であるエリスロポエチンとGCSF(顆粒球コロニー刺激因子)が挙げられる。体内に存在するタンパク質であるエリスロポエチン(非特許文献3)は、シアル酸の含有量によって体内有効性が異なる。具体的には、エリスロポエチンはシアル酸含有量と体内有効性の相関関係が高く、適切な有効性を示すためには、特定の比率以上のシアル酸を含む高グリコシル化糖鎖が必ず必要である。それに対して、GCSFは、糖鎖の有無によってin vitro試験での有効性は25%まで差が出るが、in vivo有効性では差が出ないことが知られている(非特許文献4)。
よって、本発明者らは、免疫原性の可能性が低く、in vitroとin vivoの両方で高い持続性及び薬理活性を示すヒト成長ホルモンを開発するために鋭意努力した結果、動物細胞から製造された前記タンパク質のうち、特定のpIを有するNexP−hGHタンパク質のアイソフォームが優れた体内持続性及び成長効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
韓国登録特許第10−0236771号 韓国登録特許第10−0329336号 米国特許第7217689号 国際公開第93/15199号 韓国登録特許第10−1183262号 韓国公開特許第10−2013−0029713号 韓国公開特許第10−2010−0116558号 欧州特許第0097274号 欧州特許第96929430号 欧州特許第95112630号 韓国登録特許第1998−0003752号 韓国特許出願第10−2010−0037496号
Polyethylene glycol,Sada et al.,J.Ferment Bioeng 71,137−139,1991 Patra AK,Mukhopadhyay R,Mukhija R,Krishnan A,Garg LC,Panda AK.(2000)18,182−192,2000;Protein Expr.Purif. JC Egrie and JK Browne,British J.of Cancer,84,3−10,2001 H Bonig et al.Bone marrow transplantation,28,259−264,2001 Elliott,P.et al.,JMB 275,419−425,1998 Stoller et al.,The Lancet,365,2225−2236,2005
本発明は、動物細胞から製造された、α1−アンチトリプシン変異体(NexP)及びヒト成長ホルモン(hGH)が融合されたタンパク質であって、5.2以下の等電点を有する持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を提供することを目的とする。
また、本発明は、(a)α1−アンチトリプシン変異体(NexP)及びヒト成長ホルモン(hGH)が融合された持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を含む生物学的乳液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーにかけるステップと、(b)等電点の差により等電点(pI)5.2以下の持続型成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を分離するステップとを含む、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質の製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、高純度の持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの精製方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施態様は、動物細胞から製造された、α1−アンチトリプシン変異体(NexP)及びヒト成長ホルモン(hGH)が融合されたタンパク質であって、5.2以下の等電点を有する持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を提供する。
さらに、本発明は、(a)ヒト成長ホルモン及びα1−アンチトリプシン変異体が融合された持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液を陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーにかけるステップと、(b)前記NexP−hGHを含む生物学的乳液、又はステップ(a)で生成された溶出液を疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけるステップと、(c)前記持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液、ステップ(a)で生成された溶出液、又はステップ(b)で生成された溶出液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーにかけるステップとを含む、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの精製方法を提供する。
本発明における用語「ヒト成長ホルモン(human growth hormone,hGH)」とは、ペプチドホルモンであって、ヒトの成長、細胞生産又は再生をもたらすホルモンを意味する。前記ヒト成長ホルモンは、体内で骨端軟骨板の細胞分化を刺激して成長を促進するタンパク質であればいかなるものも含まれる。前記ヒト成長ホルモンには、自然に生産された成長ホルモンと遺伝工学技術を用いて生産された成長ホルモンの両方が含まれ、遺伝工学技術を用いて生産された成長ホルモンであることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、前記ヒト成長ホルモンに関する情報は、米国生物工学情報センター(NCBI)のGenBankなどの公知のデータベースから得ることができ、例えば、Accession Number(受託番号)がAAA98618であるヒト成長ホルモンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヒト成長ホルモンは、体内で骨端軟骨板の細胞分化を刺激することにより成長を促進することができるので、体内合成又は分泌に問題のある個体において治療用タンパク質として重要視されている。しかし、患者に対する投与の利便性及び治療効果の面から、従来の成長ホルモンに比べて半減期が延長された持続型ヒト成長ホルモンの開発が求められているので、本発明者らは、α1−アンチトリプシン変異体を開発し、それをヒト成長ホルモンに融合させ、次いで動物細胞において発現させることにより、高グリコシル化されたヒト成長ホルモンNexP−hGHを開発した。前記高グリコシル化されたヒト成長ホルモンNexP−hGHは、動物細胞から生産され、等電点(pI)5.2以下のタンパク質であり、等電点5.2を超えるものに比べてグリコシル化の程度が高いので、体内持続性や薬効が高い。
本発明における「持続型ヒト成長ホルモン」とは、ヒト成長ホルモン(hGH)及びα1−アンチトリプシン変異体(NexP)が融合された形態のタンパク質であり、本発明においては「NexP−hGH」と混用される。前記NexPは、本発明者らにより開発された、体内持続性を維持することにより体内半減期が延長された体内タンパク質であるα1−アンチトリプシン(alpha 1−Antitrypsin,A1AT)の変異体であり、本発明者らにより命名された用語である。タンパク質分解酵素抑制剤の活性をなくしたα1−アンチトリプシン変異体タンパク質の配列、製造方法などは特許文献5又は6に開示されており、特許文献5及び6の明細書全体は本発明の参考文献として含まれるが、これらに限定されるものではない。
前記α1−アンチトリプシンは、約50,000Daの分子量を有する、哺乳類の血液中に存在するタンパク質の1つであり、α1−プロテアーゼインヒビター(alpha−1 protease inhibitor)とも呼ばれる。血液中から抽出したα1−アンチトリプシンは、FDAの許可を得てプロラスチン(Prolastin)という商品名で肺気腫治療剤として販売されている。プロラスチンは、通常60mg/kgの用量で1週間毎に静脈注射により人体に投与されるが、人体における安全性が立証されているタンパク質である。また、α1−アンチトリプシンのプロテアーゼインヒビターとしての役割や構造などは既によく知られている(非特許文献5)。また、前記α1−アンチトリプシンは、自然界に100種以上の対立遺伝子(allele)が存在し、表現型は等電点電気泳動(IEF、isoelectric focusing)のタイプによってAからZに分けられる(非特許文献6)。そのうち最も多いM対立遺伝子が野生型であり、アミノ酸配列変異によりM1(Val213)、M2、M3のように多くの亜型(subtype)に分けられる。よって、本発明に用いられるα1−アンチトリプシンは、自然界に存在する特定の亜型であり、他の亜型においても同じ効果を得ることができる。前記α1−アンチトリプシンタンパク質に関する情報は、米国生物工学情報センター(NCBI)のGenBankなどの公知のデータベースから得ることができ、例えば、Accession Number(受託番号)がAAH11991である野生型α1−アンチトリプシンタンパク質が挙げられるが、これに限定されるものではない。前記野生型α1−アンチトリプシンタンパク質の配列を配列番号1に示す。
このようなα1−アンチトリプシンは、特定部位の突然変異誘発(site−directed mutagenesis)方法を用いて、少なくとも1つのアミノ酸残基を変形させて固有の体内活性をなくすことにより、半減期を延長させることができる。前記アミノ酸残基の変形により、N−グリコシル化部位を生成してα1−アンチトリプシンのプロテアーゼインヒビターの活性を中和すると共に、体内注入時にアミノ酸置換による免疫原性の可能性を最小限に抑えることができ、遊離システイン残基による二重体形成などを排除することができる。ここで、少なくとも1つのアミノ酸の変異は、P2位置である配列番号1のα1−アンチトリプシンタンパク質の357番目のアミノ酸のプロリン(P)を変異させたことを特徴とし、より具体的には、これをアスパラギン(N)に変異させたことを特徴とする。また、α1−アンチトリプシン変異体は、配列番号1のα1−アンチトリプシンタンパク質の9番目のアミノ酸のグルタミン(Q)のアスパラギンへの変異、232番目のアミノ酸のシステイン(C)のセリン(S)への変異、又は359番目のセリン(S)のスレオニン(T)への変異を含んでもよく、ここで、P2位置である357番目のアミノ酸のプロリンがアスパラギンに変異し、前記変異の少なくとも1つをさらに含んでもよいが、これに限定されるものではない。
前記持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHは、このようなα1−アンチトリプシン(A1AT)の変異体をヒト成長ホルモンのN末端又はC末端に遺伝子組換えで融合したタンパク質である。特に、前記持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHは、ヒト成長ホルモンのN末端に、9番目のアミノ酸のグルタミン及び357番目のアミノ酸のプロリンの両方がアスパラギンに変異したα1−アンチトリプシンタンパク質が融合されたタンパク質(hGH−A1AT(Q9N,P357N))であってもよいが、これに限定されるものではない。
本発明における用語「高グリコシル化された持続型ヒト成長ホルモン」とは、α1−アンチトリプシン変異体とヒト成長ホルモンとを含む形態のタンパク質であって、自然に見られる野生型タンパク質よりグリコシル化の程度が高く、等電点が5.2以下となるようにグリコシル化された持続型ヒト成長ホルモンを意味する。
本発明においては、前記持続型ヒト成長ホルモンのグリコシル化の程度が高くなるほど体内持続性が高くなることを確認し、とりわけ持続型ヒト成長ホルモンの等電点が5.2以下であるとin vitroとin vivoの両方で著しく高い体内持続性及び薬物活性を示すことを解明した。
前記高グリコシル化された持続型ヒト成長ホルモンは、等電点が5.2以下、好ましくは3.5〜5.2であるが、これらに限定されるものではない。
ここで、グリコシル化部位とは、糖鎖構造の付加などのグリコシル化が起こり得るポリペプチド内のアミノ酸残基又は部位を意味し、このような部位としてはN−グリコシル化部位、又はO−グリコシル化部位などが代表的である。保存的なN−グリコシル化部位としては、Asn−X−SerやAsn−X−Thrが挙げられ、ここでXは任意のアミノ酸であるが、これらに限定されるものではない。
前記高グリコシル化された持続型ヒト成長ホルモンは、前記持続型ヒト成長ホルモンをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが導入された動物細胞を培養することにより生産することができる。
本発明における「動物細胞」とは、本発明の持続型ヒト成長ホルモンを発現させることのできる細胞であって、グリコシル化をもたらす細胞であればその種類が特に限定されるものではなく、例えば、CHO細胞、BHK細胞、Vero細胞、HeLa細胞、MDCK細胞、293細胞及び3T3細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の一実施例においては、9番目及び357番目のアミノ酸がどちらもアスパラギンに置換されたα1−アンチトリプシンが融合されたヒト成長ホルモンタンパク質を作製し、前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターをCHO細胞に導入することにより安定細胞株を作製した(実施例1)。また、陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、及び抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーを順に行うことにより、等電点の差によってNexP−hGHタンパク質を得た結果、アイソフォーム1〜3のうちpIの低いアイソフォーム1がアイソフォーム2及び3に比べてグリコシル化の程度が高く、アイソフォーム3に比べてpIの低いアイソフォーム2がアイソフォーム3に比べてグリコシル化の程度が高いことが確認された(図1及び図2)。さらに、ヒト成長ホルモンの薬力学を確認した結果、グリコシル化の程度が高くなるほど本発明の持続型ヒト成長ホルモンの薬力学が良好になり、特に陽性対照群と対等又はより良好になった(図3)。さらに、アイソフォーム1及びアイソフォーム2は、陽性対照群に比べて試験動物の体長を著しく増加させることが確認された(図4)。すなわち、本発明の高グリコシル化された持続型ヒト成長ホルモンは、陽性対照群に比べて有効性が著しく高かった。
本発明の他の態様は、(a)α1−アンチトリプシン変異体(NexP)及びヒト成長ホルモン(hGH)が融合された持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を含む生物学的乳液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーにかけるステップと、(b)等電点の差により等電点(pI)5.2以下の持続型成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を分離するステップとを含む、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質の製造方法を提供する。
前記α1−アンチトリプシン変異体、ヒト成長ホルモン及び持続型ヒト成長ホルモンについては前述した通りである。
以下、前記製造方法の各ステップについて具体的に説明する。
前記ステップ(a)は、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーにかけるステップである。
前記ステップは、NexPと抗体断片の親和性によりNexP−hGHをカラムに付着させるためのステップである。
本発明における用語「持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液」とは、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を生産する細胞の培養上清、前記細胞の破砕物又はこれらを部分精製した形態を意味するが、これらに限定されるものではない。特に、前記生物学的乳液は、前記持続型ヒト成長ホルモンをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターが導入された動物細胞を培養することにより得られた培養上清又は前記細胞の破砕物であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明における「部分精製(partially purified)」とは、クロマトグラフィーなどの分画方法(fractionation procedure)を少なくとも1つ行ったものの、目的とするpI値を有するNexP−hGHタンパク質以外の他のタンパク質も存在する状態を意味する。前記部分精製過程は、特にその種類が限定されるものではなく、例えば、疎水性クロマトグラフィー又は陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記部分精製は、疎水性クロマトグラフィー及び陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーからなる群から選択される少なくとも1つの方法を用いて精製することができ、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を生産する細胞の培養上清又は/及び前記細胞の破砕物を陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー又は疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけて溶出液を生成させることが好ましく、順に陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー及び疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけて溶出液を生成させることがより好ましいが、これらに限定されるものではない。
前記ステップ(b)は、pIの差により等電点(pI)5.2以下の持続型成長ホルモンを分離するステップである。
前記抗体断片が付着した樹脂から分離するステップにおいて、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点が異なる構造的な亜型(isoform)は、MgClの濃度によって分離溶出することができる。
よって、前記ステップ(b)は、等電点(pI)5.2以下の持続型成長ホルモンを分離溶出するために、0〜1000mM MgCl、好ましくは0〜300mM MgCl、より好ましくは0〜200mM MgCl、さらに好ましくは200mM MgClを含むトリス緩衝液を用いることにより、等電点(pI)5.2以下の持続型成長ホルモンを分離溶出することができるが、これらに限定されるものではない。
分離溶出のためのトリス緩衝液において、MgClは選択的に添加してもよく、添加しなくてもよい。
本発明のさらに他の実施態様は、持続型ヒト成長ホルモンの製造方法を提供する。
本発明の具体的な実施例においては、ヒト成長ホルモン/α1−アンチトリプシン変異体が形質転換されたCHO細胞を培養し、培養液の上清を20mMリン酸ナトリウム緩衝液で限外濾過システムによりダイアフィルトレーション(diafiltration)した。前記特許文献12の明細書全体は本発明の参考文献として含まれる。
以下、製造方法について具体的に説明する。
ステップ(a)は、ヒト成長ホルモン及びα1−アンチトリプシン変異体が融合された持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液を陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーにかけるステップであり、平衡化した陰イオン交換樹脂に持続型ヒト成長ホルモンを含む培養液、又は前記培養液をpH6〜9の0〜100mM NaCl含有緩衝液でダイアフィルトレーションした培養液を加えて吸着させ、その後pH6〜9の0〜100mM NaCl含有緩衝液で洗浄し、その後pH6〜9の100〜1000mM NaCl含有緩衝液で持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する分画を溶出するステップであることが好ましい。このような陰イオン交換樹脂を用いることにより、培養液中の染料、DNA/RNAなどの核酸などを除去することができ、生物学的乳液中の持続型ヒト成長ホルモンを濃縮することができる。
本発明における用語「陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー」とは、陽性に荷電した支持体に陰性に荷電した(又は酸性)分子を結合させることにより、分子をこれらの電荷に応じて分離する技法であり、分子の同族体(酸性、塩基性及び中性)はこの技法により容易に分離することができる。本発明の陰イオン交換クロマトグラフィーに用いることのできる樹脂としては、強陰イオン交換樹脂と弱陰イオン交換樹脂を制限なく用いることができ、例えば、セファデックス、セファロース、ソース、モノ、ミニ(商品名,GE healthcare社)などが挙げられ、これらに限定されるものではないが、前記樹脂の官能基がQ(第四級アミン)、DEAE(ジエチルアミノエチル)、QAE(第4級アミノエチル)などである樹脂を用いることができる。前記樹脂の官能基がQ又はDEAEであるものが好ましく、強陰イオン交換樹脂であるQ−セファロースを用いることが最も好ましい。
陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーは、カラムクロマトグラフィーで行うこともでき、バッチモード(batch mode)で行うこともできる。商業的な製造においてはバッチモードを用いることが好ましい。陰イオン交換樹脂を洗浄し、段階的な塩勾配(stepwise salt gradient)又は連続的な塩勾配(continuous salt gradient)で溶出させる。段階的な塩勾配又は連続的な塩勾配は、不純物と持続型ヒト成長ホルモンを分離できるものであればいかなるものであってもよい。
また、本発明の陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーに用いられる陰イオン交換樹脂は、培養液を吸着させる前に水性緩衝液で平衡化してもよい。陰イオン交換樹脂に培養液を吸着させる前に、pH6〜9の0〜100mM NaCl含有緩衝液で培養液を希釈するか、又は濃縮及び透析を行うと、精製収率を一層向上させることができる。これは、限外濾過法を用いたダイアフィルトレーションを行うことにより得ることができる。前記ダイアフィルトレーションは、培養液中の30,000分画分子量(MWCO、molecular weight cut off)以下の低分子物質(例えば、界面活性剤、染料、低分子ペプチド、糖成分など)の除去及び陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー平衡緩衝液への緩衝液交換によりカラム吸着効率を向上させることができる。
一方、限外濾過法は、液体中に溶解又は分散した物質を粒径により分画する方法であり、通常は分子量が数千〜数十万程度の分子又はコロイド粒子を対象に分離、濃縮、精製することができる。限外濾過膜の性能は分画分子量(MWCO)で表わすが、その膜の分画分子量以上の物質は排除されることになる。通常、MWCOは、90%以上排除できる球状タンパク質の分子量で表わす。このような限外濾過膜の主な機能は、ダイアフィルトレーション、精製及び濃縮である。
前記各洗浄及び溶出ステップで用いる緩衝液は、リン酸ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、又はトリス緩衝液であることが好ましい。
本発明の具体的な実施例においては、CHO細胞から持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを発現させて得た培養液を20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で限外濾過システムによりダイアフィルトレーションし、その後前記試料を20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で平衡化したQ−セファロース樹脂が充填されたXK−50カラムに20ml/minの流速で負荷して結合させ、その後3カラム容量の100mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で20ml/minの流速にて不純タンパク質を除去する洗浄を行い、その後200mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で20ml/minの流速、3カラム容量の溶出溶媒により持続型ヒト成長ホルモンを溶出した。その結果、純度は約85%であった(図5)。
ステップ(b)は、前記持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む培養液、又はステップ(a)で生成された溶出液を疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけるステップであり、平衡化した疎水性樹脂に前記陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーステップで回収された溶液を加えて吸着させ、その後pH6〜8の1〜3M NaCl含有緩衝液で洗浄し、その後pH6〜8の0〜1M NaCl含有緩衝液で持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する分画を溶出するステップであることが好ましい。疎水性樹脂は、陰イオン交換樹脂で精製できない細胞由来不純物をさらに除去することができる。これらの結果は、図5の陰イオン交換樹脂の純度が約80%であり、図6の疎水性樹脂の純度が約90%以上であることを比較しても分かる。
このように、ステップ(a)の後にステップ(b)を行うことを構成的特徴とする本発明における精製方法が従来の精製方法と異なる理由は次の通りである。(1)陰イオン交換樹脂(約10〜20mg NexP−hGH/resin 1ml)はNexP−hGHに対する結合容量(binding capacity)において疎水性樹脂(約6mg NexP−hGH/resin 1ml)より優れるので、培養液中のNexP−hGHキャプチャ(capture)を目的とする1次カラムには陰イオン交換樹脂が適することを見出し、(2)工程の効率性においても、陰イオン交換樹脂工程の後に陰イオン交換樹脂溶出液に対する濃透析を行うことなく疎水性樹脂工程を直ちに行うことができるというカラムの特性を見出し、それらから導かれたクロマトグラフィーの組み合わせであるという特徴がある。もし、疎水性樹脂を用いるステップであるステップ(b)を先に行うと、疎水性樹脂溶出液が陰イオン交換樹脂平衡緩衝液で濃透析された後に陰イオン交換樹脂工程を行わなければならないなど、濃透析過程が追加されるという欠点がある。また、(3)培養液由来染料及びDNAの除去に陰イオン交換樹脂が効果的であるので、それを1次カラムに用いる本発明の方法が従来の精製方法より優れた結果をもたらすことができる。
本発明における用語「疎水性樹脂クロマトグラフィー」とは、市販されている各種マトリクスに結合した疎水性、好ましくは芳香族又は脂肪族の電荷を帯びていないリガンドを有するゲルで行われる任意のクロマトグラフィーであり、前記ゲルとして用いることのできる樹脂は、高い解像度を維持するために比較的小さなビーズサイズ(bead size)を有することが好ましい。例えば、ソース(Source,GE healthcare社)、リソース(Resource,GE healthcare社)などの樹脂を用いることができるが、これらに限定されるものではない。リガンドとして作用する前記樹脂の官能基としては、フェニル、オクチル、イソプロピル、ブチル、エチル基などが好ましい。フェニル樹脂であることが好ましい。
本発明の疎水性クロマトグラフィーに用いることのできる溶出液の種類は限定されないが、pH6〜8の0〜1M NaCl含有緩衝液を溶出液として用いることが好ましい。
本発明において、陰イオン交換樹脂溶出液を疎水性樹脂に吸着させる前に、pH6〜8の3〜4M NaCl含有緩衝液で希釈するか、又はpH6〜8の1〜3M NaCl含有緩衝液で濃縮及び透析を行って陰イオン交換樹脂溶出液中のNaCl濃度を2M以上に高めると、精製収率を向上させることができる。
前記各洗浄及び溶出ステップで用いる緩衝液は、リン酸ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、又はトリス緩衝液であることが好ましい。
また、前記緩衝液を用いて陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー溶出液を疎水性樹脂クロマトグラフィーカラムに負荷し、その後クロマトグラフィー樹脂に結合された持続型ヒト成長ホルモンを前記緩衝液により直線濃度勾配で溶出することが好ましい。
本発明の具体的な一実施例においては、Q−セファロースカラム溶出液に4M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を添加して2.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)となるようにしてフェニル−セファロースローディング液を準備し、その後2.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で平衡化したフェニル−セファロースが充填されたXK−50カラムに前記ローディング液を20ml/minの流速で流し、その後3カラム容量の2.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を流して洗浄し、その後4カラム容量の0.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を流して持続型ヒト成長ホルモンを溶出した。その結果、純度は約96%であった(図6)。
ステップ(c)は、前記持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液、ステップ(a)で生成された溶出液、又はステップ(b)で生成された溶出液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーにかけるステップであり、平衡化した抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂に持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する培養液、前記ステップ(a)の溶出液、又は前記ステップ(b)の溶出液を加えて吸着させ、その後pH6.5〜8.5の0〜200mM NaCl含有トリス緩衝液で洗浄し、その後pH6.5〜8.5の0〜1M MgCl含有トリス緩衝液で持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する分画を溶出するステップであることが好ましい。
高純度及び高収率の精製が行える本発明の精製方法は、このように抗体断片が付着した樹脂工程を行うステップ(c)を最後のステップとして行うことに特徴がある。ステップ(c)を最初の工程として用いて、ダイアフィルトレーションされた培養液中に残存する洗浄剤(detergent)、染料、その他不純物などが多量に含まれる培養液を直接ローディングしたとしても、純度90%以上の持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを得ることができるが、結合容量や収率が低下するという欠点を本発明者らが初めて解明した。
最初の工程として、洗浄剤、染料、その他不純物などが存在したとしても、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHに対する結合容量が高い(10mg/ml以上)ステップ(a)を行うことにより不純物を一部除去し、その後ステップ(b)及び(c)を順に行うことが、98%以上の純度及び25%以上の収率を実現する精製工程であることを見出し、本発明の完成に至った。
前記陰イオン交換樹脂及び疎水性樹脂工程で90〜95%の純度の持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを得ることができ、99%以上の高純度の持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを得るために、抗体断片が付着した樹脂を追加してもよい。また、抗体断片が付着した樹脂のみを用いて培養液を精製すると、収率は前記工程に比べて約20%低下するが、約90〜95%の純度の持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHが得られることが確認された。
前記疎水性樹脂から得られた持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する溶出液をpH7〜9の0〜100mM NaCl含有トリス緩衝液で濃縮及び透析するか、又は溶液中のNaCl濃度が200mM以下となるように希釈することが好ましい。濃縮及び透析した溶液、又は希釈した溶液を抗体断片が付着した樹脂、具体的には抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂に加えて吸着させ、pH6.5〜8.5の0〜200mM NaCl含有トリス緩衝液で洗浄し、その後pH6.5〜8.5の0〜1M MgCl含有トリス緩衝液で持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する分画を溶出する。
前記各洗浄及び溶出ステップで用いる緩衝液は、リン酸ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、又はトリス緩衝液であることが好ましい。
本発明の具体的な一実施例においては、前記ステップ(b)で得られた持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを含む溶液を150mM NaCl含有トリス緩衝液(pH7.4)で限外濾過システムによりダイアフィルトレーションした。抗α1−アンチトリプシン(A1AT)抗体断片が付着した樹脂(以下、「AIAT」ともいう)をXK−50カラム(GE Healthcare社)に充填し、150mM NaCl含有トリス緩衝液(pH7.4)を十分に流してカラムを平衡化し、その後前記ダイアフィルトレーション液を20ml/minの流速で前記カラムに流し、その後再び約3カラム容量の150mM NaCl含有トリス緩衝液(pH7.4)を流してカラムを洗浄した。次いで、50mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)でカラムを洗浄し、その後100mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、200mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、300mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)を順に流して持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを含む分画を溶出した。持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する溶出液は、150mM NaCl含有PBS(pH7.45)緩衝液で限外濾過システム(分子量カットオフ30,000)によりダイアフィルトレーションした。回収した溶出液の純度を確認した結果、約99%であった(図7)。
前記方法は、(d)抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィー精製ステップに、0〜1000mM MgClで持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点が異なる構造的な亜型(isoform)を分離溶出するステップをさらに含むことが好ましい。このようなステップ(d)は、MgClではなく、NaClを用いることができ、ここで、MgClの代わりに0〜2000mM NaClで持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点が異なる構造的な亜型を分離溶出するステップであることが好ましい。
前記抗体断片が付着した樹脂から分離ステップにおいて、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点が異なる構造的な亜型は、MgClの濃度によって分離溶出することができる。例えば、100mM MgCl緩衝液は、200mM MgCl緩衝液より、糖鎖が多く、等電点が低い構造的な亜型を選択的に溶出することができる(図8)。
抗体断片が付着した樹脂から得られた溶出液であって、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する溶出液は、さらなる緩衝液交換工程を行ってもよい。緩衝液交換工程は、ゲル濾過や、濃縮及びダイアフィルトレーションなどにより行うことができる。
本発明のさらに他の実施態様は、前記方法で製造された持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を提供する。
前記方法及び持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質については前述した通りである。
本発明の高グリコシル化持続型ヒト成長ホルモン及びその製造方法は、従来のヒト成長ホルモンに比べてグリコシル化が著しく増加し、市販されているディクラーゼなどのヒト成長ホルモンに比べて持続性に著しく優れるだけでなく、その薬効も優れるので、ヒト成長ホルモンが必要な分野に有用である。
また、本発明の方法は、陰イオン交換樹脂、疎水性樹脂、抗体断片が付着した樹脂を用いて、細胞培養液から99%以上の高純度の組換え持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを得ることができる。本発明が提供する高純度の精製方法は、生産工程に適用すると、大量に高純度の持続型ヒト成長ホルモンを精製することができるので、タンパク質治療剤の製造に有用である。
pIの差による持続型ヒト成長ホルモンの分画を示す図である。 pIの差による持続型ヒト成長ホルモンの分画を示す図である。 本発明の高グリコシル化持続型ヒト成長ホルモンアイソフォーム1〜3の体重に及ぼす影響を確認した図である。 本発明の高グリコシル化持続型ヒト成長ホルモンアイソフォーム1〜3における体長を測定した結果を示す図である。 陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて分離した持続型ヒト成長ホルモンの純度をSDS−PAGE及びC4 HPLC分析クロマトグラフィーで測定した結果を示す図である。 疎水性樹脂クロマトグラフィーを用いて分離した持続型ヒト成長ホルモンの純度をSDS−PAGE及びC4 HPLC分析クロマトグラフィーで測定した結果を示す図である。 抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーを用いて分離した持続型ヒト成長ホルモンの純度をSDS−PAGE及びC4 HPLC分析クロマトグラフィーで測定した結果を示す図である。 MgCl濃度によって分離溶出した持続型ヒト成長ホルモンの糖鎖パターン及び等電点の差を示す図である。左図のレーン1は疎水性樹脂溶出液であり、レーン2は100mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHであり、レーン3は200mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHであり、レーン4は300mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHである。右図のレーン1は50mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHであり、レーン2は100mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHであり、レーン3は200mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHであり、レーン4は300mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHである。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。当該分野における通常の知識を有する者であれば、与えられた状況に応じて通常用いられるベクターや培養条件などを適宜選択することができる。
実施例1:ヒト成長ホルモン/α1−アンチトリプシン融合体の作製及び融合体発現細胞株の作製
pSGHV0(GenBank Accession No.AF285183)からshGH、His tag、TEV siteを除去した改良ベクターpAV1を用いてヒト成長ホルモン/α1−アンチトリプシン融合体をクローニングし、タンパク質固有のシグナル配列を用いて細胞外に分泌されるようにした。
また、前記融合体を持続的に発現する細胞株(stable cell line)の構築のための選択マーカーとしてDHFRシステムを導入し、このためにIRES−DHFR遺伝子をpAV1ベクターに挿入した。発現量増加のために、シグナル配列にコザック配列をさらに挿入した。標的タンパク質であるhGH−A1AT(Q9N,P357N)は、A1ATのN末端にhGHを融合する方法で導入した。
次に、このように作製されたクローンをCHO DG44細胞株に遺伝子導入し、メトトレキサート(MTX)を50nMから2倍ずつ増やして4μMまで用いて選別を行うことにより、安定細胞株を確保した。
ただし、当該分野における通常の知識を有する者であれば、与えられた状況に応じて通常用いられるベクター及び細胞株を適宜選択して適用することができる。
実験例1:持続型ヒト成長ホルモン/α1−アンチトリプシン融合体発現細胞株の培養及び融合体の生産
前述したように得られた細胞株から高グリコシル化された成長ホルモン/α1−アンチトリプシン融合体を高収率で得るために、本発明の持続型成長ホルモンである成長ホルモン/α1−アンチトリプシン融合体を通常の細胞培養条件で発現させた。ただし、当該分野における通常の知識を有する者であれば、与えられた状況に応じて通常用いられる培養条件などを適宜選択して適用することができる。
実験例2:ヒト成長ホルモン/α1−アンチトリプシン融合体の各pIの分画
上記実施例で得られた発現細胞株を懸濁培養して得られた細胞培養液に分泌された本発明の新規な持続型成長ホルモンを精製した。
具体的には、培養液を濾過して細胞を除去し、その後上清のみを採取し、平衡緩衝液(20mMリン酸ナトリウム,pH8.0)で限外濾過システム(分子量カットオフ30,000)によりダイアフィルトレーションした。次に、これをQ−セファロース(Q−sepharose,GE Healthcare社,米国)カラムに注入し、平衡緩衝液と50mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で不純タンパク質を除去し、次いで190mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を流し、持続型成長ホルモンを含む溶液を回収した。
Q−セファロースカラム溶出液に4M NaCl/20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を添加して約2.5M NaCl/20mMリン酸ナトリウム(pH7.5)とすることにより、フェニル−セファロース(GE Healthcare社,米国)ローディング液を準備した。次に、これをフェニル−セファロースカラムにローディングし、2.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液でカラムを洗浄した。次に、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で持続型ヒト成長ホルモンを含む溶液を回収した。
フェニルセファロースカラム溶出液を150mM NaCl含有トリス緩衝液(pH7.4)で限外濾過システム(分子量カットオフ30,000)によりダイアフィルトレーションした。次に、これを抗α1−アンチトリプシン(A1AT)抗体断片が付着した樹脂(GE Healthcare社,以下「A1AT」ともいう)にローディングしてカラムに結合させ、その後50mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)で洗浄した。その後、100mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、200mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、300mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)を順に流し、pIの差による本発明の持続型成長ホルモンを分画して溶出した。
ここで、100mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した本発明の持続型成長ホルモンをアイソフォーム1といい、200mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した本発明の持続型成長ホルモンをアイソフォーム2といい、300mM MgCl/トリス緩衝液(pH7.4)で溶出した本発明の持続型成長ホルモンをアイソフォーム3という(図1及び図2)。
前記方法以外にも、当該分野における通常の知識を有する者であれば、等電点によってタンパク質を分離する通常の方法を適宜選択して適用することができる。
実験例3:ヒト成長ホルモン/α1−アンチトリプシン融合体の薬力学実験
本発明による持続型成長ホルモン分画の薬力学を確認するために、次の実験を行った。
脳下垂体除去ラットに前記アイソフォーム1〜3を0.6mg/kgの濃度で皮下(S.C.)投与して14日目まで体重の変化及び体長を測定した。その結果をそれぞれ図3及び図4に示す。
その結果、図3に示すように、陰性対照群であるPBS投与群では体重変化がなかったが、アイソフォーム1〜3及び陽性対照群であるユートロピン(Eutropin)及びディクラーゼ(Declage)投与群では著しい体重増加が見られた。特に、アイソフォーム1及び2は陽性対照群より体重増加率が10日目の時点で大きく、アイソフォーム3は陽性対照群よりやや低調な増加率であった。
また、体長を測定した結果、アイソフォーム1及び2は陽性対照群であるディクラーゼより体長の増加率が大きかったが、アイソフォーム3はやや小さかった(図4)。
これらの結果は、同種の持続型成長ホルモンであっても、グリコシル化の程度により効能の程度に差異があることを示すものであり、特に本発明の方法で製造された、5.2以下のpIを有するNexP−hGHタンパク質が高グリコシル化タンパク質であり、体内持続性及び高い成長効果を有することを示唆するものである。
実施例2:持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHの陰イオン交換樹脂及び疎水性樹脂クロマトグラフィーを用いた精製方法
形質転換されたCHO細胞から実施例1で作製した持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを発現させて得た約2lの培養液を20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で限外濾過システム(分子量カットオフ30,000)によりダイアフィルトレーションした。
約250mlのQ−セファロース(GE Healthcare社)樹脂をXK−50カラム(GE Healthcare社)に充填し、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を十分に流してカラムを平衡化した。準備したQ−セファロールカラムに約1lの前記ダイアフィルトレーション液を20ml/minの流速で流し、その後再び約3CV(カラム体積)の20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を流してカラムを洗浄した。
約3CVの100mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を20ml/minの流速で流して不純タンパク質を除去し、その後約3CVの200mM NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を20ml/minの流速で流して持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを含む溶液を回収した。
回収した溶出液の純度をC4 HPLC分析クロマトグラフィーで測定した結果を図5に示す。その結果、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHの純度が約85%であることが確認された。
Q−セファロールカラム溶出液に4M NaCl/20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を添加して約2.5M NaCl/20mMリン酸ナトリウム(pH8.0)とすることにより、フェニル−セファロース(Phenyl−sepharose)ローディング液を準備した。
約250mlのフェニル−セファロース(GE Healthcare社)樹脂をXK−50カラム(GE Healthcare社)に充填し、2.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を十分に流してカラムを平衡化した。準備したフェニル−セファロースカラムに約1.2lの前記フェニル−セファロースローディング液を20ml/minの流速で流し、その後再び約3CVの2.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を流してカラムを洗浄した。
約4CVの0.5M NaCl含有20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)を20ml/minの流速で流して持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを含む溶液を回収した。
回収した溶出液の純度をC4 HPLC分析クロマトグラフィーで測定した結果を図6に示す。持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHの純度が約96%であることが確認された。
実施例3:抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂の精製方法
実施例2で得られた持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを含む約1lの溶液を150mM NaCl含有トリス緩衝液(pH7.4)で限外濾過システム(分子量カットオフ30,000)によりダイアフィルトレーションした。
約250mlの抗α1−アンチトリプシン(A1AT)抗体断片が付着した樹脂(GE Healthcare社,以下「AIAT」ともいう)をXK−50カラム(GE Healthcare社)に充填し、150mM NaCl含有トリス緩衝液(pH7.4)を十分に流してカラムを平衡化した。
準備したA1ATカラムに約1lのダイアフィルトレーション液を20ml/minの流速で流し、その後再び約3CVの150mM NaCl含有トリス緩衝液(pH7.4)を流してカラムを洗浄した。その後、50mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)でカラムを洗浄し、その後100mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、200mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、300mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)を順に流して持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを含む分画を溶出した。
持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHを含有する溶出液は、150mM NaCl含有PBS(pH7.45)緩衝液で限外濾過システム(分子量カットオフ30,000)によりダイアフィルトレーションした。
回収した溶出液の純度をC4 HPLC分析クロマトグラフィーで測定した結果を図7に示す。持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHの純度が約99%であることが確認された。
実施例4:持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点による分離
実施例3において、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点が異なる構造的な亜型(isoform)は、MgCl濃度によって分離溶出することができる。100mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、200mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)、300mM MgCl含有トリス緩衝液(pH7.4)で分離溶出した持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点の差を図8に示す。
これらの結果は、本発明の陰イオン交換樹脂、疎水性樹脂、抗体断片が付着した樹脂が充填されたカラムを順に用いると、本発明の持続型ヒト成長ホルモンを99%以上の高純度で分離精製できることを裏付けるものであり、グリコシル化の程度の差によって所望のグリコシル化された持続型ヒト成長ホルモンを分離精製できることを示唆するものである。
以上の説明から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態を含むものであると解釈すべきである。

Claims (10)

  1. (a)α1−アンチトリプシン変異体(NexP)及びヒト成長ホルモン(hGH)が融合された持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を含む生物学的乳液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーカラム適用するステップと、
    (b)等電点の差により等電点(pI)5.2以下の持続型成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を、0〜200mMのMgCl を含有する緩衝液で分離溶出するステップとを含む、持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質の製造方法。
  2. 前記緩衝液は、100mM又は200mMMgCl 含有する、請求項に記載の製造方法。
  3. 記緩衝液は100mM又は200mM MgCl含有トリス緩衝液である、請求項に記載の製造方法。
  4. 前記ステップ(a)は、
    (i)持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を含む試料を陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー又は疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけて生成された溶出液を、抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーカラム適用するステップ、又は、
    (ii)持続型ヒト成長ホルモンNexP−hGHタンパク質を含む試料を順に陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー及び疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけて生成された溶出液を、抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーカラム適用するステップ
    である、請求項に記載の製造方法。
  5. (a)ヒト成長ホルモン及びα1−アンチトリプシン変異体が融合された持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液を陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーにかけるステップと、
    (b)前記NexP−hGHを含む生物学的乳液、又はステップ(a)で生成された溶出液を疎水性樹脂クロマトグラフィーにかけるステップと、
    (c)前記持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含む生物学的乳液、ステップ(a)で生成された溶出液、又はステップ(b)で生成された溶出液を抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーカラム適用するステップと
    (d)抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂で充填されたアフィニティークロマトグラフィーカラムを用いた精製ステップにおいて、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの糖鎖パターン及び等電点が異なる構造的な亜型(isoform)を、0〜200mMのMgCl を含有する緩衝液で分離溶出するステップとを含む、持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHの精製方法。
  6. 前記ステップ(a)は、平衡化した陰イオン交換樹脂に持続型ヒト成長ホルモンを含む培養液、又は前記培養液をpH6〜9の0〜100mM NaCl含有緩衝液でダイアフィルトレーションした培養液を加えて吸着させ、その後pH6〜9の0〜100mM NaCl含有緩衝液で洗浄し、その後pH6〜9の100〜1000mM NaCl含有緩衝液で持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する分画を溶出するステップである、請求項に記載の方法。
  7. 前記ステップ(b)は、平衡化した疎水性樹脂に持続型ヒト成長ホルモンを含む培養液、又は前記陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーステップで回収された溶液を加えて吸着させ、その後pH6〜8の1〜3M NaCl含有緩衝液で洗浄し、その後pH6〜8の0〜1M NaCl含有緩衝液で持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する分画を溶出するステップである、請求項に記載の方法。
  8. 前記ステップ(c)は、平衡化した抗α1−アンチトリプシン抗体断片が付着した樹脂に持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する培養液、或いは、前記ステップ(a)の溶出液、又は前記ステップ(b)の溶出液を加えて吸着させ、その後pH6.5〜8.5の0〜200mM NaCl含有緩衝液で洗浄するステップであり前記ステップ(d)は、pH6.5〜8.5の0〜200mM MgCl有緩衝液で持続型ヒト成長ホルモンであるNexP−hGHを含有する分画を溶出するステップである、請求項に記載の方法。
  9. MgCl の濃度が100mM又は200mMである、請求項に記載の方法。
  10. (i)前記陰イオン交換樹脂の官能基は、Q(第四級アミン)、DEAE(ジエチルアミノエチル)、及びQAE(第4級アミノエチル)からなる群から選択されるいずれか、又は、
    (ii)疎水性樹脂クロマトグラフィーの官能基は、フェニル、オクチル、イソプロピル、ブチル、及びエチルからなる群から選択されるいずれか
    である、請求項に記載の方法。
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