以下、図面を参照して、本発明に係る電力変換装置の実施の形態について説明する。なお、各図において同一要素については同一の符号を記し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電力変換装置100の電気回路の構成図である。以下では、半導体素子として絶縁ゲート型バイポーラトランジスタを使用しており、以下略してIGBTと記す。
電力変換装置100は、バッテリ200から伝達される直流電流が電源直流入力コネクタ210から入力される。入力された直流電流は、昇圧回路部600に供給される。昇圧回路部600は、昇圧コンデンサ610、昇圧リアクトル620、パワー半導体モジュール630を含んで構成される。
パワー半導体モジュール630は、上アームのIGBTとダイオード、下アームのIGBTとダイオードとで構成される。昇圧コンデンサ610は、その一端がバッテリ200の正極側と接続され、他端がバッテリ200の負極側に接続される。昇圧リアクトル620は、当該昇圧リアクトル620の一端が昇圧コンデンサ610の一端と接続される。昇圧リアクトル620の他端は、パワー半導体モジュール630の中間電極631と接続される。パワー半導体モジュール630の下アームを構成するIGBTのエミッタ側に形成される負極端子633は、昇圧コンデンサ610の他端と接続される。
昇圧回路部600が有するパワー半導体モジュール630の正極端子632は、直流電流を平滑化するためのコンデンサモジュール500の一端に接続される。パワー半導体モジュール630の負極端子633は、コンデンサモジュール500の他端に接続される。また、コンデンサモジュール500と並列に、放電抵抗590が接続される。バッテリ200から供給され、昇圧回路部600で昇圧された高電圧の直流電力は、コンデンサモジュール500に入力される。
コンデンサモジュール500の一端は、パワー半導体モジュールの正極側端子310に接続される。コンデンサモジュール500の他端は、パワー半導体モジュールの負極側端子320に接続される。本実施形態の電力変換装置100においては、複数のパワー半導体モジュール300a、300b、300c、300d、300e及び300fが用いられる。本実施形態においては、パワー半導体モジュール300a、300b、300c、300d、300e、300f及び630は特に構成上の差異は設けていないが、基本機能が同一であれば各パワー半導体モジュールによって構成を変更しても構わない。また、本実施形態では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBTを用いているが、金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ(略してMOSFETと記す)を用いてもよい。この場合は、IGBTと並列に接続されるダイオードは不要となる。
本実施形態の電力変換装置100は、パワー半導体モジュール300a、300b及び300cの交流端子330から、交流コネクタ150aを介して交流電力を出力する。パワー半導体モジュール300a、300b及び300cは、出力しようとする交流電力のU相、V相及びW相の3相に対応する。これらの3相は、モータジェネレータの電機子巻線の3相の各相巻線に対応している。また、電力変換装置100は、パワー半導体モジュール300d、300e及び300fの交流端子330から、交流コネクタ150bを介して交流電力を出力する。
また、電力変換装置100は、交流電力をパワー半導体モジュール300a〜300c又は300d〜300fのいずれか、若しくはパワー半導体モジュール300a〜300c及び300d〜300fの両方を用いて直流電力に変換し、バッテリ200に蓄積する。また、パワー半導体モジュール300d〜300fよりなるインバータ回路が回生エネルギーにより変換した電力をパワー半導体モジュール300a〜300cよりなるインバータ回路で再び交流電力に変換し、モータに当該電力を供給する。
図2は、本実施形態に係る電力変換装置100の外観斜視図である。電力変換装置100は、図1に示した回路部品を筐体10内に収納する。筐体10は、略直方体形状のケースであり、その上面側に上蓋11が配置され、下面側に下蓋が配置される。さらに電力変換装置100は、筐体10の側壁側において、電源直流入力コネクタ210、交流コネクタ150a及び150b、制御信号入力コネクタ710、入口配管25a、出口配管25b(不図示)が配置される。
交流コネクタ150aは、筐体10の一側面配置される。交流コネクタ150bは、交流コネクタ150aが配置される筐体10の一側面に、交流コネクタ150aと隣接して配置される。また、交流コネクタ150a及び150bは、下蓋12よりも上蓋11に近い位置に形成される。上蓋11には、交流コネクタ150a及び150bが配置される側の一側面に沿って開口が形成され、当該開口を塞ぐようにアクセスホールカバー15が配置される。電力変換装置100をモータジェネレータと接続する際には、該アクセスホールカバー15を取り外し、筐体10内部の交流端子との接続作業を行う。
図3は、本実施形態の電力変換装置100の分解斜視図である。筐体10は、冷却冷媒を流す流路を形成する流路形成体20を備える。流路形成体20は、筐体10の収納空間内に形成されると共に、筐体10に固定されて形成される。筐体10内において、流路形成体20の上方には、水路カバー680、昇圧コンデンサ610、昇圧リアクトル620、制御回路基板700、制御信号入力コネクタ710、制御回路基板取り付け板750が配置される。筐体10内において、流路形成体20の下方には、パワー半導体モジュール300、交流バスバー335、電流センサ350、駆動回路基板800が配置される。コンデンサモジュール500と端子台400は、流路形成体20の側部に配置される。これらの部品の配置関係は、以降図面を用いて詳しく説明される。
図4は、筐体10の斜視図である。上述のように、筐体10には流路形成体20が固定された状態で形成される。流路形成体20の側部には、コンデンサ収納部50が形成される。コンデンサ収納部50は、流路形成体20と筐体10の内壁の間の空間に形成される空間であり、筐体10の上面側から下面側まで貫通して形成される。
コンデンサ収納部50とは流路形成体20を挟んで反対側の筐体10壁面には、交流コネクタ150a及び150bが形成される。交流コネクタ150a、150bは、後述する端子台400の交流出力バスバー出力端子432とモータに繋がる外部端子との接続部である。端子台400は、後述するように、コンデンサモジュール500と同様に、流路形成体20と筐体10の内壁の間の空間に配置される。
また、交流コネクタ150a、150bが形成される筐体10の面とは異なる面には、直流コネクタ用開口230が形成される。直流コネクタ用開口230には、電源直流入力コネクタ210が図2に示されるように設置される。
図5(a)は、パワー半導体モジュール300の外観斜視図である。パワー半導体モジュール300は、図1の回路構成図に示されるように、インバータ回路のU相、V相あるいはW相のいずれか1相の上下アームを構成するIGBT及びダイオードを有する。パワー半導体モジュール300は、上アームIGBTのコレクタ側に接続される正極側端子310と、下アームIGBTのエミッタ側に接続される負極側端子320と、上アームIGBTのエミッタ側に接続される交流端子330と、IGBTの駆動を制御する制御端子340と、を有する。本実施例のパワー半導体モジュールは、有底筒型形状のケースの開口から正極側端子310、負極側端子320、交流端子330、制御端子340が突出して形成される。正極側端子310と負極側端子320は、互いに対向した状態でケースから突出している。
パワー半導体モジュール300のケースは、放熱フィンが形成された放熱部305を有する。放熱部305は、パワー半導体モジュール300のケースの他の面よりも幅広の面に形成される。また、放熱部305は、パワー半導体モジュール300のケース内部にパワー半導体素子を挟むように、ケース両面に形成される。放熱部305には、放熱フィン305aが形成される。
パワー半導体モジュール300はさらに、当該パワー半導体モジュール300を流路形成体20に固定するための固定部360を有する。パワー半導体モジュール300は、筐体10の下蓋12側から、正極側端子310等を下蓋12側に突出するように、流路形成体20に挿入される。パワー半導体モジュール300は、流路形成体20の下面側に形成されたネジ穴に対して固定部360を固定することにより、流路形成体20に固定される。
図5(b)は、図5(a)の方向Cから見たパワー半導体モジュール300の正面図である。図5(c)は、図5(a)の方向Dから見たパワー半導体モジュール300の側面図である。
本実施例において、パワー半導体モジュール300はパワー半導体素子と対向する放熱面を形成する放熱部305を有する。パワー半導体モジュール300は、略直方体形状を成している。放熱部305は、他の面よりも幅広の面に形成される。
ここで、本実施例のパワー半導体モジュール300について、高さ方向及び厚さ方向を以下のように定義する。
パワー半導体モジュール300の高さ方向は、パワー半導体モジュール300の各端子(正極側端子310、負極側端子320、交流端子330)の突出方向とする。電力変換装置100においては、当該高さ方向は、パワー半導体モジュール300を冷却するための冷媒の流れ方向と垂直な方向である。図5(b)には、放熱部305の高さ方向の長さ302を示している。以下、本実施例において高さ方向を前記のように定義する。
パワー半導体モジュール300の厚さ方向は、パワー半導体素子(IGBT及びダイオード)の実装面と垂直な方向とする。当該厚さ方向は、冷媒の流れ方向と垂直し、かつパワー半導体モジュール300の高さ方向と垂直する方向である。パワー半導体モジュール300において、放熱部305とパワー半導体素子は、当該パワー半導体モジュール300の厚さ方向に積層されている。図5(c)には、パワー半導体モジュール300の厚さ方向の長さ303を示している。
本実施形態のパワー半導体モジュール300は、パワー半導体素子に対して両面に放熱部305が形成される。放熱部305は、電力変換装置100において流路形成体20の形成する冷媒流路内で冷媒と直接接し、熱交換を行う。一方、パワー半導体モジュール300は、厚さ方向にはあまり大きくならないよう形成されている。すなわち、パワー半導体モジュール300の放熱部305は、当該放熱部305の高さ方向の長さ302がパワー半導体モジュール300の厚み方向の長さ303よりも大きくなるように形成される。このように、放熱部305の高さ方向の長さ302をパワー半導体モジュール300の厚み方向の長さ303よりも大きくなるように形成することで、冷媒との接触面積を大きくとり、効率的にパワー半導体素子を冷却する。
パワー半導体モジュール300は、バイパス流抑制部材301を有する。バイパス流抑制部材301は、パワー半導体モジュール300の開口側に形成されたフランジと、放熱フィン305aの間に配置される。バイパス流抑制部材301は、当該バイパス流抑制部材301と放熱フィン305aの配列方向がパワー半導体モジュール300の高さ方向に沿って配置されている。これにより、電力変換装置100において冷媒は、効率的に放熱フィン305aの形成領域を流れ、冷却効率が向上する。
本実施例の電力変換装置100は、図1に示した昇圧回路部600に用いるパワー半導体モジュール630もパワー半導体モジュール300とほぼ同様の構成を有する。この際、パワー半導体モジュール630は、パワー半導体モジュール300の正極側端子310に換えて正極端子632を有し、負極側端子320に換えて負極端子633を有し、交流端子330に換えて中間端子631を有する。パワー半導体モジュール630に用いる半導体素子は、パワー半導体モジュール300と同じものを用いても良いし、要求される性能に応じて異なるものを使用しても良い。
図6は、図2の断面Aで切ったときの電力変換装置100の断面図である。流路形成体20は、筐体10の内部空間において、略中央付近に形成される。筐体10内の空間は、流路形成体20よりも下方の第1空間80と、流路形成体20より上方の第2空間90とに分けられる。
流路形成体20の流路空間は、下側はパワー半導体モジュール300によって塞がれ、上側は水路カバー680によって塞がれることによって形成される。パワー半導体モジュール300の端子は駆動回路基板800の配置方向に向かって形成される。
第1空間80には、正極接続バスバー520a、負極接続バスバー520b、交流バスバー335、駆動回路基板800が配置される。駆動回路基板800は、第1空間80において、パワー半導体モジュール300の制御端子340と接続される。
図9(b)において後述されるように、正極接続バスバー520a、負極接続バスバー520b、交流バスバー335a及び335bは、第1空間80において、パワー半導体モジュール300と接続される。正極接続バスバー520aは、正極側端子310と接続される。負極接続バスバー520bは、負極側端子320と接続される。また、交流バスバー335a及び335bは、交流端子330と接続される。
コンデンサモジュール500は、第1空間80の側部から流路形成体20の側部を経由し、第2空間90の側部まで跨るように形成されている。換言すれば、コンデンサモジュール500が配置されるコンデンサモジュール500が配置される空間は、流路形成体20の側部を通って第1空間80と第2空間90とを繋いでいる。コンデンサモジュール500は、パワー半導体モジュール300と接続バスバー520によって電気的に接続される。パワー半導体モジュール300の正極側端子310、負極側端子320及び接続バスバー520は第1空間80に配置されるため、コンデンサモジュール500は、下蓋12側から、流路形成体20側部のコンデンサ収納部50に挿入配置される。
第2空間90には、昇圧コンデンサ610、昇圧リアクトル620(図7参照)が配置される。昇圧コンデンサ610及び昇圧リアクトル620は、流路形成体20の水路カバー680上に載置される。水路カバー680は、例えばアルミなど熱伝導性の高い部材で形成される。
昇圧回路を構成するパワー半導体モジュール630及びインバータ回路を構成するパワー半導体モジュール300aないし300fは、各パワー半導体モジュールの上下アームの接続点(パワー半導体モジュール630に対しては中間端子631、パワー半導体モジュール300aないし300fに対しては交流端子330)が平滑コンデンサ500とは反対側に一列に形成されるように配置される。このような構成とすることで、端子台400、パワー半導体モジュール300aないし300f及び630、コンデンサモジュール500の配置及び接続が整然とされ、電力変換装置の小型化に寄与する。
第2空間90の上方には、制御回路基板取り付け板750が配置される。制御回路基板取り付け板750は、金属材料により形成される。制御回路基板取り付け板750は、コンデンサモジュール500と対向する領域に、凹形状のコンデンサモジュール500の位置決め部用の凹部751が形成される。コンデンサモジュール500は、制御回路基板取り付け板750に形成された凹部751と嵌合する凸部501が形成される。
制御回路基板取り付け板750の上には、制御回路基板700が配置される。制御回路基板700は、コンデンサモジュール500の側部に沿って配置された不図示のハーネスにより駆動回路基板800と接続される。制御回路基板700から駆動回路基板800へ信号を伝達するためのハーネスは、中空形状のシールド部材に覆われた状態で、コンデンサモジュール500の側部を経由する。
制御回路基板700と駆動回路基板800を空間的に分離して配置しているため、ノイズの影響を低減することができる。特に、制御回路基板700は金属製の制御回路基板取り付け板750がシールド板の機能を奏するため、制御回路基板700に混入するノイズを抑制している。
端子台400は、流路形成体20を挟んでコンデンサモジュー500と対向して配置される。端子台400は、コンデンサモジュール500と同じく、流路形成体20の側部の空間を通って、第1空間80と第2空間90を繋ぐように跨って配置される。端子台400は、流路形成体固定部420によって流路形成体20に固定されている。端子台400の構成については、図12にて詳しく説明する。
端子台400は、第1空間80側において、交流バスバー335a、335bを介してパワー半導体モジュール300と接続される。端子台400の交流出力バスバー入力端子431aは、ネジ締結により交流バスバー335aと接続される。交流出力バスバー入力端子431bは、ネジ締結により交流バスバー335bと接続される。また、交流バスバー335a及び335bには、電流センサ350が設置される。また、端子台400は、第2空間90側において、昇圧リアクトル620とリアクトルバスバー650を介して接続されている。
図7は、図2の断面Bで切ったときの電力変換装置100の断面図である。前述の通り、昇圧リアクトル620は、水路カバー680上に配置される。また、水路カバー680上には、リアクトルホルダー685が形成される。昇圧リアクトル620は、リアクトルホルダー685に保持される。本実施形態では、リアクトルホルダー685は、水路カバー680と同じ材質(アルミ等)で一体形成される。リアクトルホルダー685に保持されるリアクトル620は、例えばエポキシ等の絶縁材料をリアクトルホルダー685に充填することにより、リアクトルホルダー685との絶縁を確保しつつ固定される。すなわち、リアクトルホルダー685は、リアクトル620を保持するとともに、リアクトル620で発生する熱を流路形成体20を流れる冷媒へと伝導する経路として機能する。
このように、昇圧コンデンサ610や昇圧リアクトル620が流路形成体20を流れる流路と対向して配置されるため、昇圧回路部600で発生する熱は、水路カバー680を介して冷媒へと伝達される。水路カバー680は、アルミなどにより形成され、昇圧回路部で発生する熱を効率的に放熱する。昇圧コンデンサ610や昇圧リアクトル620の冷却性能が向上することにより、昇圧コンデンサ610、昇圧リアクトル620の小型化を可能とし、電力変換装置の小型化に寄与する。また、第2空間90の雰囲気温度の上昇を抑制する。
また、水路カバー680は、昇圧コンデンサ610及び昇圧リアクトル620を保持する昇圧回路保持部材として機能すると共に、流路形成体20に形成された開口部を塞ぐことで第1流路22a(図10参照)及び第2流路22bの流路空間を形成する。このように、水路カバー680に昇圧回路保持部材としての機能と流路蓋の機能とを兼用させることにより、昇圧回路部600の冷却性能を向上させるとともに、電力変換装置100の組立性も向上させることができる。
図6に示した通り、端子台400は、当該端子台400の上面に交流出力バスバー出力端子432a、432bが形成される。交流出力バスバー出力端子432a、432bは、交流コネクタ150a、150bを介して外部端子と接続される。交流出力バスバー出力端子432a、432bと外部端子の接続は、アクセスホールカバー15を外して治具を挿入して作業する。したがって、アクセスホールカバー15は、交流出力バスバー出力端子432a及び432bと対向した領域に形成される。
コンデンサモジュール500は、複数のコンデンサセル(不図示)を有する。複数のコンデンサセルは、コンデンサモジュール500内部に形成されたコンデンサバスバー530により、接続バスバー520a、520bに接続される。コンデンサバスバー530は、コンデンサセルと流路形成体20の間に配置される。流路形成体20が配置される側のコンデンサバスバー530の表面は、薄い充填材で覆われる。コンデンサバスバー530が流路形成体20側に配置されることにより、コンデンサバスバー530の熱は流路形成体20側に放熱される。
図7に示されるように本実施例に係る電力変換装置100は、昇圧回路部600を構成する昇圧リアクトル620と、昇圧回路部600によって昇圧された直流電力を平滑化する平滑用のコンデンサモジュール500と、パワー半導体素子を有するパワー回路体であるパワー半導体モジュール300aないし300f及び630と、当該パワー半導体モジュールを放熱する放熱部材である流路形成体20と、を備える。図5(a)ないし図5(c)に示したように、パワー半導体モジュール300は、放熱部305を有し、当該放熱部305は、放熱部305の高さ方向の長さ302がパワー半導体モジュール300の厚み方向の長さ303よりも大きくなるように形成される。
また、放熱部材としてはパワー半導体モジュール300と昇圧リアクトル620の間に配置される水路カバー680が更に配置される。水路カバー680は、流路形成体20に形成された開口を塞ぎ、当該流路形成体20と水路カバー680とで流路空間を形成する。
パワー半導体モジュール300は、放熱部305の高さ方向と直交する面、すなわち有底筒型形状ケースの底面が水路カバー680と対向するように配置される。すなわち、本実施例の電力変換装置100は、昇圧リアクトル620、水路カバー680、パワー半導体モジュール300が高さ方向にこの順で配置される。
また、流路形成体20は、パワー半導体モジュール300の放熱部305と当該流路形成体20の間に冷媒を流す流路22a(図10参照)を形成する。流路形成体20は、パワー半導体モジュール300の放熱部305の高さ方向に沿って形成される。したがって流路形成体20は、放熱部305の高さ方向の長さ302と略同一の高さ方向の長さを有することになる。
放熱部305は、前述のように高さ方向の長さ302がパワー半導体モジュール300の厚み方向の長さ303よりも大きくなるように形成されるため、放熱部305を冷却する流路形成体20も高さ方向に大きくなるように形成される。本実施例の電力変換装置100は、コンデンサモジュール500が流路形成体20を挟んでパワー半導体モジュール300と対向して配置される。すなわち、コンデンサモジュール500は、流路形成体20の高さ方向に沿って配置される。これによりコンデンサモジュール500は、流路形成体20と対向する領域において、流路形成体20を流れる冷媒に放熱することができる。
本実施例の電力変換装置100によれば、第2の放熱部材である流路形成体20の高さ方向の長さを有効に利用してコンデンサモジュール500の冷却を行うことができる。また、電力変換装置において主要な発熱部品であるパワー半導体モジュール300は、当該半導体モジュール300の放熱部305に沿って冷媒が流れるように流路形成体20が形成されるため、積極的にパワー半導体モジュール300で発生する熱を冷却することができる。他の主要な発熱部品である昇圧リアクトル620は、第1の放熱部材である水路カバー680を介して流路形成体20を流れる冷媒に熱を伝えることができるため、効率的に冷却される。したがって電力変換装置100を構成する複数の発熱部品を効率的に冷却することができる。
昇圧回路を備える電力変換装置においては、パワー半導体モジュール300の発熱はもとより、コンデンサモジュール500とパワー半導体モジュール300の間でやり取りされる電流も大きいためにこれらを接続する接続バスバー520による発熱量も大きい。上記の構成を備えた本実施形態に係る電力変換装置は、主要な発熱部品であるパワー半導体モジュール300及び昇圧回路部600は第1空間80及び第2空間90に配置されることで流路形成体20を流れる冷媒により効率的に冷却される。そしてコンデンサモジュール500は、パワー半導体モジュール300と第1空間80において接続バスバー520によって近距離で接続される。したがって接続バスバー520の寄生インダクタンスが増大することを抑制することができる。
第1空間80はパワー半導体モジュール300及び接続バスバー520といった発熱量が大きい部品が配置されるために雰囲気温度が比較的高くなるが、流路形成体20側部の空間を経由して第2空間90側までコンデンサモジュール500を配置することにより、コンデンサモジュール500は雰囲気温度の低い領域に配置される。このような構成により、筐体10内の雰囲気温度は空間的に広く分散され均一化されるとともに、コンデンサモジュール500が配置される空間温度の上昇を防ぐことができる。特に流路形成体20の側部空間は、冷媒が流れているため温度が低くなる。したがってコンデンサの熱に対する信頼性が向上する。
また、流路形成体20は、電力変換装置100の筐体10と一体に形成される構成とすることにより、筐体10自体が効率的に冷却され、筐体10外部の高温雰囲気からの筐体10内部部品の温度上昇を保護することができる。
本実施形態に係る構成では、パワー半導体モジュール300、昇圧回路部600、コンデンサモジュール500といった各発熱部品の発熱量に応じて各部品が配置されているため、効率的に冷却を行うことができる。
また、流路形成体20により筐体10内の空間が第1空間80と第2空間90とに分離されているため、昇圧回路部と駆動回路基板を空間的に分離することができ、ノイズの影響を低減することができる。
また、コンデンサモジュール500は、第1空間80から第2空間90までと、高さ方向に大きく形成されている。コンデンサモジュール500の容量は設計時の性能により決定されるが、高さ方向に大きく形成したことにより、その分コンデンサモジュール500の載置面積を小さくすることができる。したがって電力変換装置の小型化に寄与する。また、コンデンサモジュール500が高さ方向に大きく形成されるが、コンデンサセルと接続されるコンデンサバスバー530は絶縁材料を介して積層状態で形成することにより寄生インダクタンスの増大を抑制している。また、流路形成体20と対向するコンデンサバスバー530の面積も大きく確保することができるため、放熱板560等を介して冷媒へと伝熱させる経路を大きくとることができる。
接続バスバー520には、バスバー放熱部材550が取り付けられる。バスバー放熱部材550は、板状の金属部材と、それを覆う絶縁性部材とにより構成される。バスバー放熱部材550は、接続バスバー520で発生する熱を流路形成体20を流れる冷媒に伝達すべく、流路形成体20に形成されたバスバー放熱部材取り付け部55に設置される。
バスバー放熱部材550の金属部材は、絶縁性部材により覆われる部分と、当該絶縁性部材から露出する部分とを有する。金属部材の絶縁性部材から露出する部分は更に、バスバー放熱部材取り付け部55に設置される部分と、流路形成体20に接触する部分とに分かれている。本実施例では、バスバー放熱部材550は、第2流路22bの底と対向する流路形成体20の下面と熱的に接触している。
バスバー放熱部材550は、絶縁性部材を介して当該バスバー放熱部材550の金属部材が接続バスバー520と接続されているため、接続バスバー520で発生する熱を流路形成体20の冷媒に伝導することができる。したがってバスバー放熱部材550は、高い熱伝導率を有する熱伝導体と、高い熱伝導体を有する絶縁性部材により構成することが好ましい。
本実施例においては、バスバー放熱部材550の熱伝導体は、例えば金属(アルミ)板をプレス成形により屈曲させて形成される。また、絶縁性部材は、弾性を有するシリコンゴム等の絶縁部材により形成される。バスバー放熱部材550の形状を屈曲形状とさせることにより、部材の寸法ばらつきを吸収させ、製造性を向上させることができる。また、バスバー放熱部材550は、第2流路22b側に接続されている。流路形成体20を流れる冷媒は、パワー半導体モジュールを冷却する第1流路22a(図10参照)を流れた後に、第2流路22bを流れるため、バスバー放熱部材550から熱を受け取ることによって各発熱部品の冷却効率を悪化させることはない。
また、コンデンサモジュール500は、第2空間90と対向する領域にコンデンサ放熱部材560が設置される。コンデンサ放熱部材560は、バスバー放熱部材550と同様に、コンデンサモジュール500で発生する熱を流路形成体20を流れる冷媒に伝達するものである。コンデンサ放熱部材560は、当該コンデンサ放熱部材560の一端がコンデンサモジュール500の表面に接続され、他方が水路カバー680に接続される。コンデンサ放熱部材550により、コンデンサバスバー530の熱は、より効率的に流路形成体20へと放熱される。
図8は、筐体10を下蓋12側から見たときの下視図である。流路形成体20が形成する流路は、図7に示したように、上蓋11側に開口して形成されている。一方、下蓋12側は、モジュール収納部30aないし30gに繋がる開口のみが形成される。図7に示されるように、パワー半導体モジュール300は、各端子が下蓋12側に突出するように配置される。このような向きとなるように、パワー半導体モジュール300は、下蓋12側から流路形成体20のモジュール収納部30aないし30gに収納される。パワー半導体モジュール300は、当該パワー半導体モジュール300の放熱面が流路形成体20の第1流路20a内に浸漬されるように、配置される。
また、流路形成体20の下面側には、バスバー放熱部取り付け部55が形成される。バスバー放熱部取り付け部55は、後述するバスバー放熱部550を流路形成体20に取り付けるために形成される。
図9(a)は、電力変換装置100内部の部品配置を示す下視図であり、下蓋12と駆動回路基板800を取り外した状態を示す図である。図9(a)は、図8に示す筐体10に電力変換装置100を構成する部品を配置した図でもある。図9(b)は、図9(a)に示す状態から、電流センサ350及びバスバー押さえ370を取り除いた図である。図3で説明したように、筐体10内部において、流路形成体20の下方には、パワー半導体モジュール300、交流バスバー335、電流センサ350が配置される。
パワー半導体モジュール300は、図1で示したパワー半導体モジュール300aないし300fが配置される。これらは、図8に示したモジュール収納部30aないし30fにそれぞれ対応して配置される。また、電源直流コネクタ210に最も近い位置には、パワー半導体モジュール630が配置される。パワー半導体モジュール630は、図8に示すモジュール収納部30gに配置される。
パワー半導体モジュール300aないし300f及び630は、モジュール収納部30aないし30gへ筐体10の下方から挿入される。パワー半導体モジュール300aないし300f及び630は、正極側端子310等の端子が下向きに突出するように、配置される。パワー半導体モジュール300aないし300f及び630は、正極側端子310及び負極側端子320が交流端子330よりもコンデンサモジュール500の近くに位置するように、配置される。
コンデンサモジュール500は、接続バスバー520を介してパワー半導体モジュール300aないし300f及びパワー半導体モジュール630と接続される。接続バスバー520は、正極接続バスバー520a及び負極接続バスバー520bの積層導体により形成される。接続バスバー520は、コンデンサモジュール500の長辺側から幅広の状態でパワー半導体モジュール300aないし300fの配置方向に向かって突出する部分と、パワー半導体モジュール300aないし300f及び630のそれぞれに向かって分岐する部分とを有する。従ってパワー半導体モジュール300aないし300f及び630はすべて、接続バスバー520によって並列に接続される。
負極接続バスバー520bは、負極接続バスバー端子510bを有する。負極接続バスバー端子50bは、流路形成体20とコンデンサモジュール500の間の隙間を通って流路形成体20下方に延設された負極側昇圧コンデンサバスバー616(図11参照)と接続される。当該接続により、昇圧回路部600を構成する昇圧コンデンサ610の負極は、パワー半導体モジュール630及び300aないし300fや、コンデンサモジュール500と接続される。
パワー半導体モジュール300aないし300cの交流端子330には、交流バスバー335aが接続される。パワー半導体モジュール300dないし300fの交流端子330には、交流バスバー335bが接続される。交流バスバー335aは端子台400の交流出力バスバー入力端子431aに接続され、交流バスバー335bは端子台400の交流出力バスバー入力端子431bに接続される。また、パワー半導体モジュール630の中間端子631には、昇圧バスバー出力端子462が接続される。
交流バスバー335a及び335bには、電流センサ350が設置される。電流センサ350は、交流バスバー335aに対して一組、交流バスバー335bに対して一組、設置される。
交流バスバー335a及び335bは、端子台400に対して、当該端子台400の下面に形成された溝416により位置決めされる。交流バスバー335a及び335bは、端子台400の下面に配置される。交流バスバー335a及び335bは、バスバー押さえ370と端子台400に挟まれる構造となっている。バスバー押さえ370は、交流バスバー335a及び335bを当該バスバー押さえ370と端子台400の間に保持した状態で、端子台400のバスバー押さえ固定部470(図12参照)に固定される。交流バスバー335a及び335bは、バスバー押さえ370によって位置決めされた状態で、交流端子330と溶接接合される。バスバー押さえ370の材料としては、PBT、PPS等の樹脂材料により形成される。
また、バスバー押さえ370は、下蓋12側に向かって突出する回路基板固定部378を有する。当該回路基板固定部378の先端には、駆動回路基板800を固定するためのネジ穴が形成されている。これにより、駆動回路基板800は、バスバー押さえ370の回路基板固定部378の先端に配置される。バスバー押さえ370は、パワー半導体モジュール300の正極側端子310、負極側端子320、交流端子330及び制御端子340の配置を妨げることがないように形成される。パワー半導体モジュール300の制御端子340は、駆動回路基板800に接続される。
また、コンデンサモジュール500の側部には、放電抵抗590が配置される。本実施形態においては、放電抵抗590は、流路形成体20の下面側に配置されている。放電抵抗590を流路形成体20上に配置することで、放電抵抗590を冷却することができる。放電抵抗590は、図1の回路図に示されるように、コンデンサモジュール500に対して並列に接続される。
本実施形態のように、発電用インバータと駆動用インバータとにより構成される2インバータ構造の場合、パワー半導体モジュール300やコンデンサモジュール500を接続する接続バスバーにおいて電流のやり取りが大きく、1インバータ構造に比べ発熱量が大きい。しかしながら、本実施形態に係る電力変換装置によれば、発電用インバータと駆動用インバータとにより構成される2インバータ構造であっても、効率的に構成部品の冷却を行うことができる。
また、複数の発電用と駆動用のパワー半導体モジュール300を隣接させて、発電用と駆動用で共通の接続バスバー520によりコンデンサモジュール500と接続される構成としたことにより、パワー半導体モジュール300同士の接続及びパワー半導体モジュール300とコンデンサモジュール500の接続を短い距離で接続することができる。また、接続バスバー520を共通化したことにより、接続バスバー520を構成する正極接続バスバー520aと負極接続バスバー520bの重ね合わせ面積を並列方向に広く確保することができる。したがって、電力変換装置の小型化と共に、接続バスバーの低インダクタンス化を達成することができる。
上述のように、コンデンサモジュール500とパワー半導体モジュール300を接続する接続バスバー520の発熱は大きいため放熱対策が課題であるが、本実施形態に係る電力変換装置は、接続バスバー520で発生する熱を冷媒が流れる流路形成体20に伝達するバスバー放熱部材550を備えるため、効率的に冷却をすることができる。また、コンデンサモジュール500内部で発生する熱も、接続バスバー520を経由して放熱されるため、コンデンサモジュール500の温度上昇を抑制する上、筐体10内の空気温度の上昇も抑制することができる。
また、本実施例に係る電力変換装置100は、複数のパワー半導体モジュール300が配置される第1流路22aと、当該第1流路22aとコンデンサモジュール500の間に形成される第2流路22bとが流路形成体20に形成される。第2流路22bを第1流路22aとコンデンサモジュール500の間に形成することにより、第1流路22aに配置されるパワー半導体モジュール300とコンデンサモジュール500の間に、第2流路22bの分だけ間隔が発生する。
パワー半導体モジュール300とコンデンサモジュール500は接続バスバー520により接続されているが、パワー半導体モジュール300とコンデンサモジュール500の間に間隔を設けることで、パワー半導体モジュール300aないし300cとパワー半導体モジュール300dないし300fを接続する接続バスバー520の通電導通面積を確保することができる。上述のように、発電用インバータと駆動用インバータを備える本実施例の電力変換装置100においては、発電用インバータと駆動用インバータの間での通電導通面積を大きくすることにより、スイッチング電流による損失を低減することができる。
また、図10に示されるように、第2流路22bは、コンデンサモジュール500に対して幅広の放熱体となる。これにより、第2流路22bの側部空間の空気温度は冷却され、コンデンサモジュール500の温度上昇を抑制する。また、図6、7に示されるように、パワー半導体モジュール300を流路形成体20に組み付ける際の固定部及びシール部が、第2流路22bと電力変換装置100の上下方向で一部重なる配置とすることができるため、電力変換装置100の小型化に寄与する。
図10は、筐体10を上蓋11側から見たときの上視図である。図4(a)で前述のように、筐体10には流路形成体20が形成され、その側部にはコンデンサ収納部50が形成される。また、流路形成体20を挟んでコンデンサ収納部50とは反対側には、端子台収納部40が形成される。端子台収納部40も、コンデンサ収納部50と同様に、筐体10の内壁と流路形成体20の間に形成される空間であり、筐体10の上面側から下面側まで貫通して形成される。端子台収納部40には、端子台400が配置される。端子台収納部40は、交流コネクタ150a、150bを介して外部空間と繋がっている。また、流路形成体20は、当該流路形成体20と端子台収納部40の間に、端子台取り付け部45が形成される。端子台400は端子台取り付け部45に取り付けられる。
コンデンサ収納部50は、交流コネクタ150a、150bが形成される面と対向する筐体10の面の内壁側に形成される。当該コンデンサ収納部50が配置される側の筐体10の面には、流路形成体20に冷媒を導入するための入口配管25a(図11参照)と、流路形成体20から冷媒を導出するための出口配管25b(図11参照)が形成される。
図10を用いて、流路形成体20により形成される冷媒流路の構成について説明する。流路形成体20には、複数のパワー半導体モジュール300を収納するためのモジュール収納部30aないし30gが形成される。モジュール収納部30aないし30gは、図10のような上視図において、幅広の辺と、当該幅広の辺よりも狭い側辺とで形成される略長方形形状の断面である。モジュール収納部30aないし30gは、各々の幅広の辺同士が対向し合うように、モジュール収納部の短手方向に沿って配置される。
冷媒は、図中の矢印21aに示されるように、コンデンサ収納部50が形成される筐体10の壁面からコンデンサ収納部50の側部を通って、流路形成体20内部に導入される。冷媒は、直流コネクタ用開口230が形成される筐体10の壁面とコンデンサ収納部50の間の領域を通って、モジュール収納部30gに導入される。モジュール収納部30gを流れた冷媒は、端子台収納部40側を折り返して、モジュール収納部30a及び30bに導入される。図示されるように、本実施形態の流路形成体20は、モジュール収納部30a、30bが並列流路となるように形成される。モジュール収納部30a、30bを流れた冷媒は再び合流し、モジュール収納部30cに導かれる。その後冷媒は、モジュール収納部30c、30d、30e、30fと順番に流れる。最も入口配管25aから遠い位置に形成されるモジュール収納部30fを流れた冷媒は、続いてモジュール収納部30aないし30fとコンデンサ収納部50の間に形成された流路を、図中に示す矢印21bのように流れる。矢印21bのように、コンデンサ収納部50の長辺に沿って流れた冷媒は、コンデンサ収納部50の角に沿って折れ曲がり、コンデンサ収納部50の短手方向に流れ、矢印21cのように導出される。
このように、流路形成体20は、モジュール収納部30aないし30gを形成する第1流路22aと、第1流路22aとコンデンサ収納部50の間に形成される第2流路22bと、を形成する。なお、本実施例では、モジュール収納部30a及び30bを並列流路とし、それ以外のモジュール収納部を直列流路としている。しかしながら、流路構成はこれに限らず、例えばすべてを直列にしたり、モジュール収納部30cないし30fも並列流路としたり、適宜設計により変更しても良い。冷媒が流れる流路を並列流路とすることにより、冷媒の圧力損失の増大を抑制することができる。
図11は、電力変換装置100内部の部品配置を示す上視図であり、上蓋11と制御回路基板700を取り外した状態を示す図である。図11は、図10に示す筐体10に電力変換装置100を構成する部品を配置した図でもある。図3で説明したように、筐体10内部において、流路形成体20の上方には、水路カバー680、昇圧コンデンサ610、昇圧リアクトル620が配置される。
水路カバー680は、流路形成体20の上面に配置される。水路カバー680は、図10に示される流路空間の開口部を塞ぐことによって、冷媒を流す流路を形成する。昇圧コンデンサ610、昇圧リアクトル620は、水路カバー680の上に載置されている。
昇圧コンデンサ610は、昇圧リアクトル620よりも電源直流入力コネクタ210に近い位置に配置される。昇圧コンデンサ610に接続される正極側昇圧コンデンサバスバー615は、昇圧リアクトル620に電気的に接続される。昇圧リアクトル620は、当該昇圧リアクトル620と接続される端子の一端に正極側昇圧コンデンサバスバー615が接続され、他端にリアクトルバスバー650が接続される。リアクトルバスバー650は、昇圧バスバー460と接続される。リアクトルバスバー650は、昇圧バスバー460を介してパワー半導体モジュール630と電気的に接続される。
コンデンサ収納部50には、コンデンサモジュール500が配置される。コンデンサモジュール500には、コンデンサ放熱部材560が設置されている。コンデンサ放熱部材560は、コンデンサモジュール500において流路形成体20と対向する面に接触すると共に、水路カバー680の上面に接触している。これにより、コンデンサモジュールで発生する熱は、コンデンサ放熱部材560を介して流路形成体20内を流れる冷媒に伝えられる。コンデンサ放熱部材560とコンデンサモジュール500の接触面には、シリコンゴムが配置される。シリコンゴムは、接触面積を確保するとともに、コンデンサモジュール500の充填樹脂表面の摩耗を抑制するために設けられる。
昇圧コンデンサ610は、負極側昇圧コンデンサバスバー616が接続される。負極側昇圧コンデンサバスバー616は、正極側昇圧コンデンサバスバー615よりもコンデンサモジュール500に近い位置に形成されている。負極側昇圧コンデンサバスバー616は、コンデンサモジュール500の外面に沿って出口配管25b側に向かって延設される。その後負極側昇圧コンデンサバスバー616は、流路形成体20とコンデンサモジュール50の間の隙間を通り、コンデンサモジュール50に沿って下方に延設される。
負極側昇圧コンデンサバスバー616は、図1に示されるように、パワー半導体モジュール300及び630や、コンデンサモジュール500と電気的に接続される。これらのパワー半導体モジュール300及び630や、コンデンサモジュール500は、流路形成体20を挟んで第2空間90とは反対側の第1空間80に配置されている。負極側昇圧コンデンサバスバー616を正極側昇圧コンデンサバスバー615よりもコンデンサモジュール500に近い位置に形成することにより、負極側昇圧コンデンサバスバー616はできるだけ短い距離で昇圧コンデンサ610の負極側とコンデンサモジュール500の負極側を接続することができる。
図12(a)は、端子台400の外観斜視図である。図12(b)は、図12(a)とは異なる方向から見た端子台400の外観斜視図である。図12(c)は、図12(a)及び図12(b)とは異なる方向から見た端子台400の外観斜視図である。図12(d)は、端子台400内部の交流出力バスバー430a、430bの配置を説明するための透過斜視図である。
端子台400は、図12(d)に示されるように、当該端子台400の内部に交流出力バスバー430a、430b及び昇圧バスバー460を有する。交流出力バスバー430a、430b及び昇圧バスバー460は、封止部材410により封止され、端子台400として一体の部材を形成している。封止部材410は、例えば絶縁性の樹脂部材等によって形成する。
まず図12(d)を用いて、端子台400の内部のバスバーの配置について説明をする。交流出力バスバー430aは、当該交流出力バスバー430aの一端に交流出力バスバー入力端子431aが形成され、他端に交流出力バスバー出力端子432aが形成される。交流出力バスバー入力端子431aは、パワー半導体モジュール300の交流端子330と、後述する交流バスバー335aを介して接続される。交流出力バスバー出力端子432aは、交流コネクタ150aを介して外部モータと接続される。
交流出力バスバー430bも同様に、交流出力バスバー入力端子431bと、交流出力バスバー出力端子432bが形成される。交流出力バスバー入力端子432aは、パワー半導体モジュール300の交流端子330と、後述する交流バスバー335bを介して接続される。交流出力バスバー出力端子432bは、交流コネクタ150bを介して外部モータと接続される。
交流出力バスバー430aは、図1に示すパワー半導体モジュール300aないし300cに対応して、3本が形成される。交流出力バスバー430bは、図1に示すパワー半導体モジュール300dないし300fに対応して、3本が形成される。交流出力バスバー430aは、交流コネクタ150aに繋がるバスバーとなり、交流出力バスバー430bは、交流コネクタ150bに繋がるバスバーとなる。
昇圧バスバー460は、当該昇圧バスバー460の一端に昇圧バスバー入力端子461が形成され、他端に昇圧バスバー出力端子462が形成される。昇圧バスバー入力端子461は、昇圧リアクトル620と後述するリアクトルバスバー650を介して接続される。昇圧バスバー出力端子462は、パワー半導体モジュール630の中間端子631に接続される。
昇圧バスバー入力端子461は、交流出力バスバー出力端子432aと交流出力バスバー出力端子432bとの間に形成される。また、昇圧バスバー入力端子461は、交流出力バスバー出力端子432aと隣接して形成されている。
昇圧バスバー出力端子462は、端子台400の端部であって、交流出力バスバー入力端子431bとは交流出力バスバー入力端子431aを挟んで反対側に形成される。昇圧バスバー460は、3本の交流出力バスバー430aを横切るように形成される。
図12(a)は、端子台400に対して流路形成体20が配置される側から見たときの上方斜視図である。端子台400は、前述のように筐体10の内部において、流路形成体20の側部を跨いで配置される。端子台400の高さ方向における略中央部分には、流路形成体20に取り付けるための流路形成体固定部420が形成される。端子台400は、筐体10の流路形成体20に形成された端子台取り付け部にネジを挿通させることで、流路形成体20に設置される。端子台400は他にも、端子台400の高さ方向における略中央部分以外にも、筐体10に固定するための固定部を有する。
図12(a)において、昇圧バスバー460の昇圧バスバー入力端子461及び昇圧バスバー出力端子462は、封止部材410から露出して形成されている。交流出力バスバー入力端子431a、431bとは異なり、昇圧バスバー出力端子462は、パワー半導体モジュール630の中間端子631に別部材を介さずに直接接続される。
図12(b)は、端子台400に対して流路形成体20が配置される側とは反対側から見たときの上方斜視図である。図示されるように、端子台400は、壁413を有する。壁413は、交流出力バスバー出力端子432a及び432bの形成される領域と、流路形成体20が配置される側の領域とを仕切るように形成されている。本実施例では、壁413は、交流出力バスバー出力端子432a及び432bの側部から上方に立設され、各々の端子間を仕切るように形成されている。このように壁413を設けることで、交流コネクタ150bを介して交流出力バスバー出力端子とモータとを接続する際にネジが落下することを抑制するため作業性が向上する。
図12(c)は、端子台400に対して流路形成体20が配置される側から見たときの下方斜視図である。端子台400は、駆動回路基板800を保持固定するための回路基板固定部480と、後述するバスバー押さえ370を当該端子台400に固定するためのバスバー押さえ固定部470と、電流センサ350を当該端子台400に固定するための電流センサ固定部450と、を有する。
電流センサ固定部450は、2組の電流センサ350を保持固定するために2対が形成される。また、端子台400には、電流センサ350を電流センサ固定部450に設置する際の位置決め用のピン451が形成される。
交流バスバー335a、335b、電流センサ350、バスバー押さえ370を端子台400に組み付ける作業については、図13(a)にて後述する。
図13(a)は、交流バスバー335a、335b、電流センサ350、バスバー押さえ370を端子台400に組み付ける工程を示す分解斜視図である。本実施形態に係る端子台400の構成については、図12(a)〜図12(d)で前述した通りである。
交流バスバー335a、335bは、前述の通り、パワー半導体モジュール300の交流端子330と、交流出力バスバー入力端子431a、432aを接続する部材である。インバータ回路により交流に変換された電力は、当該交流バスバー335a、335bを介して出力される。電流センサ350は、交流バスバー335aもしくは335bを挿通させるための貫通孔を有する。本実施形態では、電流センサ350は2対設けられ、一方の電流センサ350は3本の交流バスバー335aに対して設置され、他方の電流センサ350は3本の交流バスバー335bに対して設置される。
電流センサ350が設置された交流バスバー335a、335bは、端子台400に設置される。交流バスバー335aは、ネジにより交流出力バスバー入力端子431aに接続される。交流バスバー335bは、交流出力バスバー入力端子432bに接続される。交流バスバー335a及び335bは、端子台400に設置される際に、端子台400に形成された溝416によって位置決めされるため、簡易に組み立てることができる。また、電流センサ350は、電流センサ固定部450に固定される。
バスバー押さえ370は、当該バスバー押さえ370と端子台400との間に交流バスバー335a、335bを挟んだ状態で、端子台400のバスバー押さえ固定部470に設置される。バスバー押さえ370により、交流バスバー335a、335bは端子台400に信頼性高く固定される。バスバー押さえ370は、例えば絶縁性の樹脂部材などにより形成される。
また、バスバー押さえ370は、回路基板固定部378を有する。回路基板固定部378は、端子台400が有する回路基板固定部480と同じく、駆動回路基板800を支持固定するための部材である。回路基板固定部378は、バスバー押さえ370から端子台400が配置される側とは反対側に向かって立設している。
図13(b)は、端子台400に交流バスバー335a、335b、電流センサ350、バスバー押さえ370を組み付けた状態を示す斜視図である。また、図13(c)は、図12(d)と同様に、端子台400内部の交流出力バスバー430a、430bの配置を説明するために封止部材410を不図示とした透過斜視図である。
図示されるように、交流バスバー335a、335bは、電流センサ350が設置された状態で端子台400に組み付けられる。
図13(d)は、図13(b)の断面Eで切断したときの断面図である。なお図中には、回路基板固定部378及び480に保持される駆動回路基板800の配置領域を点線で図示している。
図13(d)に示されるように、交流バスバー335bは、端子台400上で交流出力バスバー入力端子431bにネジ固定される。
バスバー押さえ370は、交流バスバー335bを押止部材として機能すると共に、駆動回路基板800を保持する部材としても機能する。電流センサ350は、端子台400及びバスバー押さえ370によって保持される駆動回路基板800に接続される。