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JP6156947B2 - 配糖体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンシファー(Ensifer)属に属する微生物由来の糖転移酵素や当該微生物の培養物を用いてOH基を有する化合物の配糖体を製造する方法、特にジンゲロールの配糖体の製造方法に関する。
配糖体は、糖のヘミアセタール性ヒドロキシ基が、非糖成分であるアグリコンに結合した化合物のことである。配糖体は生物界に広く分布し、配糖体としては、植物色素であるアントシアニンやフラボン類、カラシナ類の辛味の主成分であるからし油配糖体、さらにサポニン(ステロイド、ステロイドアルカロイド、トリテルペンの配糖体の総称)、糖脂質、ヌクレオシド、抗生物質等が知られている。配糖体になると、糖が結合する前の化合物よりも水溶性や安定性等が向上する等、物性が変化する。
化合物の水溶性や安定性を向上させることや、新たな機能発現を見いだすことを目的として、配糖化研究がされている。例えば、アスコルビン酸をα-グルコシダーゼやシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼにより配糖化したことが報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。アスコルビン酸は、熱、光や酸素等によって分解しやすいが、配糖化することによって安定に存在できる。また、メントールは揮発しやすく、水にも溶けにくい性質であるが、配糖化することによって、香気を持続させ、水溶性も向上することが開示されている(特許文献1)。メントールの配糖化方法として、例えば、スクロースやマルトース等の糖類とメントールとをα−グルコシダーゼを用いた酵素反応によりメントール配糖体を製造する方法(特許文献2)、Xanthomonas属やStenotrophomonas属、Arthrobacter属に属するメントール配糖化能を有する微生物によって製造する方法等が提案されている(特許文献3)。
ショウガ科(Zingiberaceae)植物の根茎等に含まれる精油成分として知られているジンゲロールには、脂肪蓄積抑制(非特許文献3)、アディポネクチン産生増強(特許文献4)等の効能が知られており、消化薬、緩下剤、鎮咳剤、制酸薬等の医薬品原料として、調味料、清涼飲料、アルコール飲料、菓子類等の食品として、また化粧品の香料としても使用されている。
しかしながら、ジンゲロールは、水に溶けにくく、強い辛味、刺激を有する。また、加熱あるいは酸性条件下で、ジンゲロールは、ショウガオール又はジンゲロンに変換され、さらに水に溶けにくく、強い辛みを呈するようになる。
このような問題を解決すべく、ジンゲロール又はジンゲロール含有物と糖類の熱処理物を組み合わせることにより、安定性及び水溶性の高いジンゲロール含有水溶性組成物を得る方法(特許文献5)が提案されている。しかしながら、当該方法により得られる組成物はカラメル状であるため特定の用途に限定され、また、エタノールが残存することにより、飲食品には利用しにくい等の問題がある。これら問題を改善すべく、ハロモナス(Halomonas)属細菌由来の糖転移酵素を利用してジンゲロールを配糖化すると、得られたジンゲロール配糖体の水溶性、安定性等が改善したことが報告されている(特許文献6)。しかし、ハロモナス属細菌由来の糖転移酵素以外の糖転移酵素から、ジンゲロール配糖体を製造する方法は知られていない。
ジンゲロール配糖体は飲食品、医薬部外品及び医薬品工業等において取扱が容易であり、汎用性が高い。産業的利用においては、配糖体を含めたジンゲロール誘導体及びその効率のよい製造方法が求められている。
特開昭61−83114号公報 特開平9−224693号公報 特開平11−155591号公報 特開2011−1386号公報 特開2008−56572号公報 特開2013−112623号公報
Biochim.Biophys.Acta.,1990,1035,44−50 Agric.Biol.Chem.,1991, 55,1751−1756 J.Med.Chem.,2011,54,6295−6304
本発明の課題は、効率よく配糖化を行うための糖転移酵素や、OH基を有する化合物の配糖体や、該化合物の配糖体の製造方法を提供することにあり、特にジンゲロールを配糖化する糖転移酵素や、ジンゲロール配糖体や、ジンゲロール配糖体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題の解決のために鋭意研究の結果、OH基を有する化合物とマルトース等の糖供与体とをエンシファー(Ensifer)属に属する微生物の培養物の存在下で反応させることによりOH基を有する化合物の配糖体が合成可能であることを見いだした。また、ジンゲロールに、糖供与体の存在下でエンシファー属に属する微生物の培養物を接触させることによりジンゲロール配糖体が生成されることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)OH基を有する化合物及び糖供与体の存在下で、前記化合物の配糖体を生成する活性を有する、エンシファー(Ensifer)属に属する微生物由来の糖転移酵素。
(2)エンシファー属に属する微生物がエンシファー・アドヘレンス(E. adhaerens)である上記(1)の糖転移酵素。
(3)OH基を有する化合物がジンゲロールである上記(1)又は(2)の糖転移酵素。
(4)OH基を有する化合物及び糖供与体の存在下で、前記化合物の配糖体を生成するために使用するための、エンシファー属に属する微生物の培養物。
(5)エンシファー属に属する微生物がエンシファー・アドヘレンスである上記(4)の微生物の培養物。
(6)OH基を有する化合物がジンゲロールである上記(4)又は(5)の微生物の培養物。
(7)OH基を有する化合物又はOH基を有する化合物を含む抽出物に、糖供与体の存在下で上記(1)〜(3)のいずれかの糖転移酵素、又は、上記(4)〜(6)のいずれかの微生物の培養物を作用させる工程を含むことを特徴とするOH基を有する化合物の配糖体の製造方法。
(8)OH基を有する化合物及びOH基を有する化合物を含む抽出物が、それぞれジンゲロール、及びジンゲロールを含む植物抽出物であることを特徴とする上記(7)の配糖体の製造方法。
(9)OH基を有する化合物の配糖体が、該化合物のOH基にグルコース、マルトース又はマルトオリゴ糖が脱水縮合した配糖体であることを特徴とする上記(7)又は(8)の配糖体の製造方法。
(10)配糖体が、下記一般式(1)で示されるジンゲロール配糖体であることを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれかの配糖体の製造方法。
(式中、Rは、グルコシル基、マルトシル基又はマルトオリゴ糖のグルコシル基を示し、nは2,4,6又は8のいずれかの整数を示す。)
(11)一般式(1)で示されるジンゲロール配糖体が、下記式(2)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基にグルコースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体であることを特徴とする上記(10)の配糖体の製造方法。
(12)一般式(1)で示されるジンゲロール配糖体が、下記式(3)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基にマルトースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体であることを特徴とする上記(10)の配糖体の製造方法。
(13)植物がショウガであることを特徴とする上記(8)〜(12)のいずれかの配糖体の製造方法。
(14)OH基を有する化合物及び糖供与体の存在下で前記化合物の配糖体を生成するための、エンシファー属に属する微生物の培養物の使用。
本発明の糖転移酵素や微生物の培養物は、OH基を有する化合物を配糖化することができ、これにより得られた配糖体の水溶性や安定性等の物性は配糖化前よりも向上する。また、配糖化によって、配糖化される前の化合物にはなかった新たな生理活性機能が現れたり、活性の増強がされたりし得る。特に、当該糖転移酵素や当該微生物の培養物は、ジンゲロール配糖体を製造するのに適する。ジンゲロール配糖体は、水に溶解しやすく、ジンゲロールよりも安定であるため、飲食品、医薬品及び化粧品等に配合して用いることができる。さらに、ジンゲロール配糖体とすることで、ジンゲロールのショウガオールやジンゲロンへの変換を抑制でき、ショウガオールやジンゲロン由来の辛味を低減することが可能となる。
ジンゲロール配糖体の生成を示すTLCの分析結果を示す図である。1は6−ジンゲロール(和光純薬工業)のみをスポットしたレーン、2は反応上清1μlをスポットしたレーン、3は反応上清2μlをスポットしたレーン、4は反応上清3μlをスポットしたレーン、5は反応上清4μlをスポットしたレーンである。 ジンゲロール配糖体の生成を示すHPLCの分析結果を示す図である。 ジンゲロール配糖体の生成を示すLC−MSの分析結果を示す図である。
(エンシファー属に属する微生物)
本発明において、エンシファー属に属する微生物とは、16SrRNA遺伝子塩基配列解析の結果から、エンシファー属に含まれることが明らかとなった微生物をいい、従来、例えばシノリゾビウム(Sinorhizobium)属等として分類されていたものも含む。
エンシファー属に属する微生物としては、例えば、エンシファー・アドヘレンス(E.adhaerens)(=シノリゾビウム・モレレンス(S.morelense))、エンシファー・アルボリス(E.arboris)、エンシファー・フレディ(E.fredii)、エンシファー・ガラマンティカス(E.garamanticus)、エンシファー・コスティエンシス(E.kostiensis)、エンシファー・メディカ(E.medicae)、エンシファー・メリロティ(E.meliloti)、エンシファー・サヘリ(E.saheli)、エンシファー・テランガ(E.terangae)、エンシファー・キシンジアンエンシス(E.xinjiangensis)、シノリゾビウム・アメリカナム(S.americanum)等を挙げることができる。
エンシファー属に属する具体的な菌株としては、例えば、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の生物遺伝資源部門生物資源カタログに記載されている、例えば、エンシファー・アドヘレンスNBRC100387、NBRC100388、NBRC108628等、エンシファー・アルボリスNBRC100383等、エンシファー・フレディNBRC100018、NBRC14780等、エンシファー・ガラマンティカスNBRC107849等、エンシファー・コスティエンシスNBRC100382等、エンシファー・メディカNBRC100384等、エンシファー・メリロティNBRC14782等、エンシファー・サヘリNBRC100386等、エンシファー・テランガNBRC100385等、エンシファー・キシンジアンエンシスNBRC100018等、シノリゾビウム・アメリカナムNBRC107163等を挙げることができ、これらは1株を単独で使用してもよく、また2株以上を一緒に使用してもよい。また、これらエンシファー属に属する微生物の中でも、エンシファー・アドヘレンスに属する微生物が好ましく、これらエンシファー・アドヘレンスに属する微生物は、NITEに保存されている菌株の中から、誰にでも容易に入手することができる。
また、上記エンシファー属に属する微生物を紫外線、エックス線、薬品等を用いる人工的な変異手段で変異させることができるが、このような変異株(変異微生物)も、本発明の対象とする糖転移酵素の活性を有するかぎり、本発明の糖転移酵素の由来微生物として使用することができる。
また、上記エンシファー属に属する微生物には、エンシファー属に属する微生物に由来する本発明の糖転移酵素をコードする遺伝子で形質転換し、本発明の糖転移酵素を発現する大腸菌等の宿主細胞(組換え体)も便宜上含まれる。これら組換え体は、例えば以下の方法により作製することができる。
本発明の糖転移酵素の部分アミノ酸配列を常法により決定し、その配列に基づき適当なDNAプローブを調製する。当該DNAプローブを用いて、エンシファーの遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることにより糖転移酵素遺伝子をクローニングすることができる。得られたDNAの塩基配列を部分アミノ酸配列の情報と比較することにより、エンシファー由来の遺伝子が取得できたか否かを確認することができる。なお、エンシファーの遺伝子ライブラリーは、例えば市販の遺伝子ライブラリー作製キット等を用いて作製することができる。
クローニングに用いる微生物DNAの単離、ゲノムライブラリーの作製、スクリーニング、塩基配列の解析は当業者に周知の方法によって行うことができる。例えば、精製した糖転移酵素を加水分解し、その加水分解断片の部分アミノ酸配列の情報をもとにオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、PCR反応を用いて当該糖転移酵素をコードする遺伝子の部分配列を単離する。次いで、この部分配列を用いてDNAプローブを調製し、エンシファーのゲノムライブラリーをスクリーニングし、当該糖転移酵素を発現するクローンを選択することができる。この選択されたクローンより目的とするタンパク質をコードする遺伝子の配列を明らかにすることできる。
上記宿主細胞としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)等を用いることができ、またベクターとしては、エシェリヒア・コリ内で複製できるpUC18、pUC19、pBR322、pGEM3、pGEM4等、バチルス・ズブチリス内で複製できるpUC110、pE194、pC194等、バチルス・ブレビス内で複製できるpNCMO2、pNY326等のプラスミドが使用できる。
エンシファー属に属する微生物はpH5.0〜8.0程度の培地で、培養温度20〜40℃、培養時間1〜7日間培養することが好ましい。微生物の培養培地としては、通常の微生物の培養に使用される培地であれば用いることができ、例えば炭素源、窒素源、無機塩類及びその他の栄養物質等を含有する天然培地又は合成培地等を用いることができる。培地の形状としては、液体培地、半流動培地、固形培地等が挙げられる。
炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース、シュークロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、ガラクトース、澱粉、糖蜜、ソルビトール、グリセリン等の糖質及び糖アルコール;酢酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸又はグルコン酸等の有機酸;エタノール又はプロパノール等のアルコール等を挙げることができる。炭素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これら炭素源の培地における濃度は通常0.1〜10wt%程度である。
窒素源としては、窒素化合物、例えば塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム((NHSO)、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機もしくは有機アンモニウム化合物、尿素、アンモニア水、硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム等を挙げることができる。また、コーンスティープリカー、肉エキス、ペプトン、NZ−アミン、蛋白質加水分解物又はアミノ酸等の含窒素有機化合物等も使用可能である。窒素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。窒素源の培地濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常約0.1〜10wt%程度である。
無機塩類としては、例えばリン酸第一カリウム(KHPO)、リン酸第二カリウム(KHPO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸鉄(FeSO)、塩化ナトリウム、硝酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸コバルト又は炭酸カルシウム等を挙げることができる。これら無機塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。無機塩類の培地濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常0.01〜1.0wt%程度である。
栄養物質としては、例えば肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティープリカー、脱脂粉乳、脱脂大豆塩酸加水分解物又は動植物若しくは微生物菌体のエキスやそれらの分解物等を挙げることができる。栄養物質の培地濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常0.1〜10wt%程度である。
培地のpHは、無機の酸又はアルカリ溶液、有機の酸又はアルカリ溶液、アンモニア、pH緩衝液等によって調整する。
(エンシファー属に属する微生物の培養物)
本発明のエンシファー属に属する微生物の培養物は、OH基を有する化合物及び糖供与体の存在下で、当該化合物の配糖体を生成するために使用するという用途が限定された培養物(菌自体をも含む)である。また、培養物には、当該微生物の培養物の処理物も含まれ、かかる処理物には培養上清を分離した湿菌体、凍結乾燥処理やアセトン処理等による乾燥菌体、これら菌体を担体に結合させた固定化微生物、培養上清等が含まれる。また、上記エンシファー属に属する微生物の培養物には、エンシファー属に属する微生物に由来する本発明の糖転移酵素をコードする遺伝子で、大腸菌等の宿主細胞を形質転換し、本発明の糖転移酵素を発現する当該宿主細胞の培養物も含まれる。
(糖転移酵素)
本発明の糖転移酵素としては、OH基を有する化合物及び糖供与体の存在下で前記化合物の配糖体を生成する活性を有する、前記エンシファー属に属する微生物由来の酵素であれば特に制限されず、当該微生物の培養物から分離、精製処理された糖転移酵素含有組成物、精製された糖転移酵素、担体に当該糖転移酵素含有組成物又は当該精製糖転移酵素を結合させた固定化糖転移酵素等を挙げることができる。
当該微生物の培養物からの糖転移酵素の分離、精製は、超音波やガラスビーズによる微生物菌体の破砕物や培養上清を、例えば硫安沈殿、イオン交換(例えば、DEAEセルロースカラムクロマトグラフィー、セファデックスG−100カラムクロマトグラフィー等)、キレートアフィニティクロマトグラフィーあるいはゲルろ過カラムクロマトグラフィー等といった通常の酵素精製処理手段を組み合わせることにより行うことができる。
前記の乾燥菌体や上記の糖転移酵素を固定化するための担体としては、微生物や酵素の固定化に使用される担体であればいずれも用いることができ、例えばセライト、ケイソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モレキュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭、炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担体、セラミックスパウダー、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、アクリルアミド、カラギーナン、キトサン、イオン交換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合成吸着樹脂等の有機高分子等を挙げることができる。前記担体への微生物や酵素等の固定化の方法としては、吸着法、イオン結合法、共有結合法、生化学的特異結合法等の公知の方法を挙げることができる。固定化された糖転移酵素を用いる場合、バッチ式で繰り返し、又は連続式で配糖体の製造に用いることも可能である。
更に、本発明の糖転移酵素をコードする遺伝子で、大腸菌等を形質転換した組換え体で発現させた糖転移酵素も本発明の糖転移酵素に含まれる。その他、一般的に、ペプチドないしタンパク質は、そのアミノ酸配列中の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されていても同じ活性を有することが知られていることから、これらの欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列や、コドンの縮重により相違する塩基配列によりコードされた遺伝子より発現されたタンパク質であっても、本発明の対象とする糖転移酵素の活性を有するタンパク質をコードしているかぎり利用することができ、発現した当該タンパク質は本発明の糖転移酵素に含まれる。
当該糖転移酵素遺伝子を、適当なプロモーターや形質発現にかかわる配列を導入した、適当なベクターで宿主細胞を形質転換し、得られた組換え体において当該糖転移酵素遺伝子を発現させることが可能であることから、このような遺伝子組換え技術により、本発明の糖転移酵素を大量に製造することが可能である。
(OH基を有する化合物)
本発明におけるOH基を有する化合物としては、本発明の糖転移酵素又は微生物の培養物によって配糖化することができるOH基を1つ以上有する化合物であれば特に制限されず、アルコール性OH基を有する化合物、又はフェノール性OH基を有する化合物を挙げることができる。上記アルコール性OH基を有する化合物としては、第1級アルコール、第2級アルコール及び第3級アルコールが挙げられるが、好ましくは、第1級アルコールや第2級アルコールである。
アルコール性OH基を有する化合物として、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ノナノール、5−ノナノール等の脂肪族アルコール類;ゲラニオール、リナロール等のヒドロキシ基を有するモノテルペン化合物;ジギトキシゲニン、サルササポニゲン、ジギトゲニン等のステロイド類;ソラニジン等のアルカロイド類;ジンゲロール等が挙げられる。
フェノール性OH基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキノン、サリチルアルコール、フロレチン、ピロカテコール、フェノール等のフェノール類;エスクレチン等のクマリン類;アピゲニン、ダイゼイン、ケルセチン、ヘスペレチン、ナリンゲニン等のフラボノイド類;カルタミニジン等のカルコン類;ペラルゴニジン、シアニジン、デルフィニジン等のアントシアニジン類;アリザリン等のアントラキノン類;インドキシル等のインドール類;ドーパミン、アドレナリン等のアルカロイド類等が挙げられる。
上記アルコール性OH基を有する化合物やフェノール性OH基を有する化合物として、植物等に由来する原料から公知の方法による抽出物の他、市販品を用いることもできる。また、本発明において、OH基を有する化合物は、OH基を有する化合物の形態で提供されていてもよく、OH基を有する化合物を含む抽出物の形態で提供されてもよい。例えば、植物由来の原料である場合、OH基を有する化合物を含む抽出物は、植物全体、あるいは葉部、茎部、花部、果肉部、根部等を破砕、搾汁、粉末化、ペースト化等の加工後、必要に応じて熱水抽出、エタノール抽出、超臨界抽出等の抽出処理を行うことにより得ることができる。
これらアルコール性OH基を有する化合物やフェノール性OH基を有する化合物の中でも、アルコール性OH基を有する化合物が好ましく、ジンゲロールがより好ましい。また、OH基を有する化合物は、天然物であっても、合成品であってもよい。
上記ジンゲロールとしては、6−ジンゲロール、4−ジンゲロール、8−ジンゲロール、10−ジンゲロール、3S,5S−6−ジンゲジオール、3R,5S−6−ジンゲジオール等を挙げることができ、これらの混合物を用いてもよい。ジンゲロールとしては、ジンゲロールを含むショウガ科(Zingiberaceae)に属する植物、好ましくはショウガ(Zingiber officinale)等の植物より抽出したものを好適に用いることができる。
(糖供与体)
糖供与体としては、当該酵素の存在下で配糖体が生成するものであれば、特に制限は無いが、例えば、グルコース;マルトース;マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、マルトオクタオース等のマルトオリゴ糖;デキストリン;シクロデキストリン;アミロース等のα−グルカンと称される澱粉加水分解物;又は澱粉及びそれらの混合物等を糖供与体として用いることができる。また、前記糖供与体は、市販品を用いてもよいし、澱粉や澱粉分解物にα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ等の加水分解酵素を作用させたものも用いることができる。
(配糖体)
本発明における配糖体は、糖のヘミアセタール性OH基が、非糖成分に結合した化合物であれば特に制限されず、例えば、前記フェノール類、クマリン類、フラボノイド類、カルコン類、アントシアニジン類、アントラキノン類、インドール類、ステロイド類、アルカロイド類、脂肪族アルコール類、モノテルペン化合物、ジンゲロール等の各配糖体が挙げられる。
例えば、ジンゲロール配糖体は、以下の一般式(1)で示される。
(式中、Rは、グルコシル基、マルトシル基又はマルトオリゴ糖のグルコシル基を示し、nは2,4,6又は8のいずれかの整数を示す。)
前記一般式(1)で表されるジンゲロール配糖体の中でも、好ましくは、下記式(2)で示される6−ジンゲロールの側鎖のOH基にグルコースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体又は下記式(3)で示されるマルトースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体である。
(配糖体の製造)
本発明の配糖体の製造方法としては、OH基を有する化合物と糖供与体との混合物に本発明の糖転移酵素又は微生物の培養物を加え、糖転移反応を生起させる方法を挙げることができる。OH基を有する化合物が非水溶性である場合、通常水相と分離するため、アジテーター、スターラー等で攪拌しながら、あるいはローテーター等を利用して反応を行うことが好適である。反応液に、乳化剤を混合させておいてもよい。また、OH基を有する化合物がジンゲロールである場合、ジンゲロール又はジンゲロールを含む植物抽出物に本発明の糖転移酵素又は微生物の培養物の存在下で糖供与体を接触させることによってジンゲロール配糖体を製造することができる。
本発明の糖転移酵素を用いた配糖体の製造においては、糖転移酵素の使用量と反応条件が製造効率に大きく影響するため、適切な酵素量及び反応時間等の反応条件を選択することが重要である。通常は、経済性の点から、約1〜100時間で反応が終了できるような酵素の添加量を選択することが好ましい。また、本発明の糖転移酵素が十分に作用する条件としては、pH5〜10、温度15〜50℃の範囲から選ばれる条件を挙げることができる。
本発明の糖転移酵素の濃度としては、通常、糖供与体1gあたり0.1〜100U、好ましくは、糖供与体1gあたり0.2〜50Uである。1Uは、1分間につき1μmolの基質の化学反応を促進する酵素量を表す。
本発明の製造方法における、酵素反応溶液におけるOH基を有する化合物の濃度は、通常、1w/v%以上、好ましくは、2〜30w/v%であればよく、糖供与体濃度(w/v)は、OH基を有する化合物に対して、0.5〜30倍の濃度範囲が好ましい。
OH基を有する化合物と糖供与体との反応は溶媒の存在下に行ってもよい。反応に用いられる溶媒としては、反応に影響しない種類と濃度範囲であればよく、具体的には、例えば、メタノール、DMSO、2−プロパノール、エタノール等が通常用い得るものとして挙げられる。これら溶媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
また、本発明の製造方法における配糖体は、OH基を有する化合物に、糖供与体の存在下で、前記微生物の培養物を接触させることによって製造することもできる。「微生物の培養物を接触させる」とは、微生物を培養した培地に、OH基を有する化合物と糖供与体を添加・インキュベーションすることや、例えば、固定化微生物にOH基を有する化合物と糖供与体の溶液を流下・接触させることをいう。その場合、培地中に当該微生物が存在していても、存在していなくてもよく、「微生物の培養物」には、前述したように、当該微生物の乾燥菌体や破砕物、前記糖転移酵素の遺伝子で形質転換された宿主細胞、当該宿主細胞の乾燥菌体や破砕物、精製された糖転移酵素、それらの固定化物等を含まれる。また、培地にグルコース、フルクトース、シュークロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、ガラクトース、澱粉、糖蜜、ソルビトール、グリセリン等の糖質が含まれる場合、前記糖質を糖供与体として用いることができる。
上記のように製造された配糖体及び糖供与体を共存させた状態で、更に他の糖転移酵素を作用させることにより、配糖体のグルコース重合度を2以上とすること、又はグルコース以外の糖を配糖体のグルコシル基に転移することも当然可能であり、また、そのようにして生じた物質はモノグルコシドよりも水溶性が高いと予想される。
混合物を加熱、あるいはpHを下げることなどにより含有されている酵素を失活させ、反応を停止することができる。
上記のように製造された配糖体を含む混合物には配糖体の他、未反応物であるOH基を有する化合物、糖供与体、場合によっては酵素、及びグルコース等の反応副生成物が混合しているため、必要に応じて、α−アミラーゼ(EC番号:EC.3.2.1.1)、β−アミラーゼ(EC番号:EC.3.2.1.2)、グルコアミラーゼ(EC番号:EC3.1.1.3)等によって加水分解処理を行い、残存した糖供与体を低分子化させることができる。
OH基を有する化合物と配糖体では水に対する溶解性が違うため、抽出操作により、油相及び水相に分離することが可能であり、配糖体はより親水性の高い溶媒に溶解するため、この親水性溶媒を更にイオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー等の方法で分離精製することにより、高純度の配糖体の精製品を容易に得ることができる。
抽出操作に用い得る溶媒は特に制限されないが、本発明における配糖体、例えばジンゲロール配糖体はヘキサン等の炭化水素系溶媒に不溶であり、水、THF等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒に可溶であり、ジンゲロールは水に不溶であるので、これらの溶媒を組合せて用いることが好ましい。
具体的には、例えば、反応液から、必要に応じて、微生物を除去後、エステル系溶媒又はエーテル系溶媒で、未反応のジンゲロールと配糖体を抽出し、抽出物を乾固後、未反応のジンゲロールを炭化水素系溶媒で抽出除去し、残渣を必要に応じてエステル系溶媒に溶解し、配糖体を得るのが好ましい。また、反応液から、必要に応じて微生物を除去後、炭化水素系溶媒で先にジンゲロールを抽出除去しても差し支えない。操作手順の詳細は、使用する溶媒量、原料に含まれるオイル状物質、エステル系溶媒中の配糖体純度等から判断すればよい。
用い得るエステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられ、エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、THF等が挙げられるが、これらの中で、酢酸エチルが好ましい。また、炭化水素系溶媒としては、ヘキサン、クロロホルム等が挙げられるが、これらの中で、ヘキサンが好ましい。また、微生物を除去した反応液からエステル系溶媒で未反応のジンゲロールと配糖体を抽出後、ジンゲロール配糖体の貧溶媒となるヘキサンなどの炭化水素系溶媒を加えることでジンゲロール配糖体を優先晶出することも可能である。
上記配糖体の精製方法は、本願発明における微生物を用いて製造したジンゲロール配糖体のみならず、他の微生物の培養物を用いて製造したジンゲロール配糖体にも適用できる。
他の微生物としては、ジンゲロール又はジンゲロールを含む植物抽出物及び糖供与体の存在下で、前記ジンゲロールの配糖体を生成する活性を有する微生物であれば特に制限されない。具体的には、例えば特許文献6に記載のハロモナス(Halomonas)に属する微生物由来の配糖化酵素遺伝子を形質転換した微生物(例えば大腸菌)が挙げられる。
かくして、本発明により、ジンゲロール又はジンゲロールを含む植物抽出物及び糖供与体の存在下で、前記ジンゲロールの配糖体を生成する活性を有する微生物の培養物又はその処理物を接触させてジンゲロール配糖体を生成させる工程、生成したジンゲロール配糖体をエステル系溶媒で抽出する工程を含むことを特徴とするジンゲロール配糖体の製造方法が提供される。
上記配糖体の混合物、混合物の加水分解処理物、混合物の酵素失活処理物、混合物の精製処理物、これらの乾燥、粉末化したもの等を、配糖体を含む、飲食品用、化粧品用、医薬部外品用又は医薬品用組成物として、飲食品、化粧品、医薬部外品又は医薬品に使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]ジンゲロール配糖体の製造
(1)寒天培地の作製
マルトース(日本食品化工製)5g、酵母エキス(ベクトン・ディッキンソン製)100mg、(NHSO(和光純薬工業製)2g、KHPO(関東化学製)1g、KHPO(和光純薬工業製)1g、MgSO・7HO(関東化学製)0.2g、FeSO・7HO(関東化学製)0.01g及び培地用寒天BA−10(伊那食品工業製)を15g量り取り、2Lビーカーに移して蒸留水1Lを加え、溶解し、NaOHでpH7.0に調整した。当該溶液をオートクレーブで121℃、20分間滅菌後、クリーンベンチ内のシャーレに15mlずつ分注した。シャーレの蓋を僅かに開けて20分間静置し、冷却後、寒天培地として利用した。
(2)液体培地の作製
マルトース(日本食品化工製)50g、ポリペプトン(和光純薬工業製)2g、酵母エキス(ベクトン・ディッキンソン製)2g、(NHSO(和光純薬工業製)2g、KHPO(関東化学製)1g、KHPO(和光純薬工業製)1g、MgSO・7HO(関東化学製)0.2gを量り取り、2Lビーカーに移して蒸留水1Lを加え、溶解し、NaOHでpH7.0に調整した。当該溶液50mlを200ml容バッフル付三角フラスコに仕込み、オートクレーブで121℃、20分間滅菌し、冷却後、液体培地として利用した。
(3)培養及びジンゲロール配糖体の製造
上記寒天培地上で、2〜3日間、25℃で培養させた、エンシファー・アドヘレンス NBRC100387、NBRC100388、NBRC108628株をそれぞれ、2白金耳、上記液体培地に植菌し、25℃、160rpmにて42時間振とう培養した。
培養後、6−ジンゲロール14mgを含むメタノール溶液0.1mlを当該培養液に添加し、25℃、160rpmにて反応を開始した。6−ジンゲロール添加から24時間後にメタノールを5ml添加後、遠心分離により菌体を分離し、生成されたジンゲロール配糖体を含む反応上清を取得した。
[実施例2]ジンゲロール配糖体の分析
実施例1で取得した、ジンゲロール配糖体を含む反応上清について、TLC、HPLC及びLC−MSによる分析を行った。
(1)TLCによる分析
TLCプレートとして、TLCアルミプレート(Merk kieselgel 60 F254)を、展開溶媒として、2−プロパノール:n−ブタノール:水=2:2:1を用い、TLCプレートに6−ジンゲロール(和光純薬工業製)のみ(レーン1)、反応上清1μL(レーン2)、反応上清2μl(レーン3)、反応上清3μl(レーン4)、反応上清4μl(レーン5)をスポットし、分析した。展開後、10%(v/v)の硫酸メタノールを噴霧し、加熱により呈色させ、反応生成物を確認した。標品としてグルコース(関東化学製)、マルトース(日本食品化工製)の1w/v%水溶液を1μL使用した。NBRC100387株でのTLCの分析結果を図1に示した。他の2株についてもほぼ同様のTLCの分析結果を得た。
反応1日後には6−ジンゲロールが半減し、ジンゲロール配糖体が生成することが確認された。
(2)HPLCによる分析
分析カラムとしてCOSMOSIL 5C18-MS-II 4.6mm×150mm、溶離液としてメタノール:水=7:3を用い、室温、流速0.6ml/minの条件で、280nmのUV吸収により分析を行った。NBRC100387株での結果を図2に示した。他の2株についてもほぼ同様の結果を得た。
HPLCにおいても、溶出時間8〜9分にピークが観測され、ジンゲロール配糖体の生成が確認された。
(3)LC−MSによる分析
反応上清に等量の酢酸エチルを添加し十分に混和し、静置後、水層及び酢酸エチル層をLC−MSにより測定した。測定は北海道大学 大学院保健科学研究院 健康イノベーションセンター 高度脂質分析ラボで行った。NBRC100387株での結果を図3に示した。他の2株についてもほぼ同様の結果を得た。
LC−MS分析により、6−ジンゲロールにグルコースが結合したジンゲロール配糖体のアンモニウム付加イオン(分子式:C2340N、理論値:474.2698[(M+NH]、実測値:474.2698)及び6−ジンゲロールにマルトースが結合したジンゲロール配糖体のアンモニウム付加イオン(分子式:C295014N、理論値:636.3226[(M+NH]、実測値:636.3231)が観測された。以上のイオンピークが観測されたことは、6−ジンゲロールとマルトースとがグリコシド結合を形成し、ジンゲロール配糖体になったことを示す。
[実施例3]アルコール性水酸基配糖体の製造
糖受容体として、1−ブタノール、5−ノナノール、1−ノナノールを用いて、実施例1と同様の方法で反応を行った。配糖体が生成されているかどうかは、実施例2の(1)と同様の方法でTLCを用いて確認した。その結果を表1に示す。表1中、+が多いほど生成量が多いことを示す。
[実施例4]ジンゲロール配糖体の精製
実施例1で得られた反応液(20mL)に酢酸エチルを等量加え、生成配糖体および未反応の6−ジンゲロールを抽出し、未反応のマルトースを除去した。酢酸エチル画分をエバポレータ―により溶媒除去後、乾固物にヘキサンを上記酢酸エチルと等量加え未反応の6−ジンゲロールを溶解除去した。残った残渣を再び酢酸エチル(5mL)に溶解することで、6−ジンゲロール配糖体の溶液を得ることができる。
本発明のエンシファー属に属する微生物由来の糖転移酵素及び上記微生物の培養物は、OH基を有する化合物を配糖化することに用いることができ、特にジンゲロールの配糖体を製造に用いることができる。製造されたジンゲロール配糖体を含む組成物は、ジンゲロールと比較して、水溶性及び安定性に優れ、飲食品、化粧品、医薬品等に配合して用いることができる。

Claims (13)

  1. OH基を有する化合物及び糖供与体の存在下で、前記化合物の配糖体を生成するために使用するための、エンシファー(Ensifer)属に属する微生物の培養物であって、OH基を有する化合物がアルコール性OH基を有する化合物であり、エンシファー属に属する微生物が6−ジンゲロール及びマルトースの存在下に、6−ジンゲロールの配糖体を生成する活性を有するエンシファー属に属する微生物であり、糖供与体が配糖体を構成するグリコシル基又はマルトシル基となり得る糖供与体であることを特徴とするエンシファー属に属する微生物の培養物
  2. エンシファー属に属する微生物がエンシファー・アドヘレンス(E.adhaerens)、エンシファー・アルボリス(E.arboris)、エンシファー・フレディ(E.fredii)、エンシファー・ガラマンティカス(E.garamanticus)、エンシファー・コスティエンシス(E.kostiensis)、エンシファー・メディカ(E.medicae)、エンシファー・メリロティ(E.meliloti)、エンシファー・サヘリ(E.saheli)、エンシファー・テランガ(E.terangae)、エンシファー・キシンジアンエンシス(E.xinjiangensis)及びシノリゾビウム・アメリカナム(S.americanum)よりなる群から選ばれるいずれかの微生物である請求項1に記載の微生物の培養物。
  3. エンシファー属に属する微生物がエンシファー・アドヘレンスである請求項に記載の微生物の培養物。
  4. OH基を有する化合物がジンゲロールである請求項1から3のいずれかに記載の微生物の培養物。
  5. OH基を有する化合物又はOH基を有する化合物を含む抽出物に、糖供与体の存在下でエンシファー(Ensifer)属に属する微生物の培養物を作用させる工程を含むOH基を有する化合物の配糖体の製造方法であって、OH基を有する化合物がアルコール性OH基を有する化合物であり、エンシファー属に属する微生物が6−ジンゲロール及びマルトースの存在下に、6−ジンゲロールの配糖体を生成する活性を有するエンシファー属に属する微生物であり、糖供与体が配糖体を構成するグリコシル基又はマルトシル基となり得る糖供与体であることを特徴とする配糖体の製造方法
  6. エンシファー属に属する微生物がエンシファー・アドヘレンス、エンシファー・アルボリス、エンシファー・フレディ、エンシファー・ガラマンティカス、エンシファー・コスティエンシス、エンシファー・メディカ、エンシファー・メリロティ、エンシファー・サヘリ、エンシファー・テランガ、エンシファー・キシンジアンエンシス及びシノリゾビウム・アメリカナムよりなる群から選ばれるいずれかの微生物である請求項5に記載の配糖体の製造方法。
  7. エンシファー属に属する微生物がエンシファー・アドヘレンスである請求項6に記載の配糖体の製造方法。
  8. OH基を有する化合物及びOH基を有する化合物を含む抽出物が、それぞれジンゲロール、及びジンゲロールを含む植物抽出物であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の配糖体の製造方法。
  9. OH基を有する化合物の配糖体が、該化合物のOH基にグルコース、マルトース又はマルトオリゴ糖が脱水縮合したアルコール性OH基を有する化合物の配糖体であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の配糖体の製造方法。
  10. 配糖体が、下記一般式(1)で示されるジンゲロール配糖体であることを特徴とする請求項〜9のいずれかに記載の配糖体の製造方法。

    (式中、Rは、グルコシル基、マルトシル基又はマルトオリゴ糖のグルコシル基を示し、nは2,4,6又は8のいずれかの整数を示す。)
  11. 一般式(1)で示されるジンゲロール配糖体が、下記式(2)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基にグルコースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体であることを特徴とする請求項10に記載の配糖体の製造方法。
  12. 一般式(1)で示されるジンゲロール配糖体が、下記式(3)で示される、6−ジンゲロールの側鎖のOH基にマルトースがα−1位で結合したジンゲロール配糖体であることを特徴とする請求項10に記載の配糖体の製造方法。
  13. 植物がショウガであることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の配糖体の製造方法。
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