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JP6120084B2 - 透過模様印刷物 - Google Patents

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JP6120084B2 JP2013236801A JP2013236801A JP6120084B2 JP 6120084 B2 JP6120084 B2 JP 6120084B2 JP 2013236801 A JP2013236801 A JP 2013236801A JP 2013236801 A JP2013236801 A JP 2013236801A JP 6120084 B2 JP6120084 B2 JP 6120084B2
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Description

本発明は、偽造防止効果を必要とするセキュリティ印刷物である銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード、通行券等の貴重印刷物の分野において、反射光下と透過光下で画像の一部の色彩が変化する透過模様印刷物に関わるものである。
近年のスキャナ、プリンター、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そのため、前述したような複製や偽造を防止するため、プリンターやコピー機では再現不可能な様々な偽造防止技術が必要とされている。
この偽造防止技術の一つとして、用紙の粗密や薄厚によって模様を形成して透過光下で視認させる、いわゆる透かし技術が存在する。この透かし技術は、一定量以上の光さえ存在すれば、あらゆる環境下で真偽判別が可能な技術であり、また、知名度も抜群に高いことから、古くから存在する古典的な技術であるにも関わらず、今なお世界中の銀行券で用いられている。
透かし技術は、用紙の製造段階で形成する必要があることから、用紙メーカでなければ製造不可能であり、加えて用紙メーカが製造した場合でも製造コストが高くなるという問題があることから、これを擬似的に再現する方法として、印刷工程で特殊な浸透型インキを用いて、この透かしに相当する透過画像を印刷で形成する偽造防止技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、浸透型インキを用いて透過光下で透かしのような透過画像を認証する透かし印刷を用いた偽造防止技術に関しては、浸透型インキ自体が多くのメーカから市販されており、一般人であっても容易に入手可能であることから、偽造者にとっても作製が容易であるという問題があった。
このような問題を解決するために、本出願人はすでに、反射光下では等色に観察されるが、透過率が異なる二つのインキをペアインキとして用いて印刷画像を形成する技術であって、反射光下で視認される反射画像とは異なる透過光下で視認される透過画像を形成してなる真偽判別と偽造防止効果に優れた透過潜像印刷物を出願している(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
また、本出願人は、浸透型インキに着色顔料を混合した有色浸透インキと有色浸透インキと対を成す反射インキをペアインキとして、特殊で複雑な網点構成によって画像を形成する印刷物であって、反射光下で観察できる画像と透過光下で観察できる画像とが全く相関のない異なる画像であることを特徴とする透過潜像印刷物をすでに出願している(例えば、特許文献4参照)。
特開平6−228900号公報 特開2011−37234号公報 特開2011−143669号公報 特開2012−223905号公報
特許文献2から特許文献4に記載の技術はいずれも反射光下で等色であって、透過光下で異色に見える等色ペアインキを用いて形成する技術である。このような特徴を有するペアインキは、一方のインキに浸透成分を有するワニスを用い、もう一方のインキに通常型のワニスを用い、それぞれのワニスに同じ着色顔料を同じ分量配合すれば、この後、微量の着色顔料を添加して色彩を微調整するだけで作製できてしまうことから、特殊インキの作製に関わる者にとっては偽造が比較的容易であるという問題があった。
特許文献2から特許文献4に記載の技術は、いずれも極めて淡い濃度の等色ペアインキを用いて形成する必要があり、潜像印刷物の色彩は淡いモノトーン調に制限されるために色彩表現に乏しいという問題があった。加えて、このペアインキの濃度は極端に淡いために潜像領域以外の他の部分への流用も難しい。このような専用のペアインキによって印刷機の印刷胴を2胴も占有してしまうため、潜像画像以外に使用できる色数も限定され、セキュリティ印刷物全体の色彩をデザインする上で大きな制約となっていた。
また、特許文献3及び特許文献4に記載の技術は、拡散反射光下で見えていた有意情報が、正反射光下では全く相関のない異なる有意情報へと変化する、いわゆる画像のチェンジ効果を実現した技術であるが、所望の効果を得るためには、複数の微細な印刷要素同士が重なり合わないように印刷しなければならず、極めて高精度な刷り合わせが要求され、印刷者の高い技能と高精度な印刷機が必須であり、製造難易度が高いという問題があった。
本発明は、前述した課題の解決を目的とし、ペアインキの偽造が困難であって偽造抵抗力に優れ、かつ、デザイン上や製造上の自由度の拡大を目的とするものであり、印刷画像の色彩が極めて淡い濃度に制限されることがなく、高精度な刷り合わせが要求されず、印刷者の高い技能と高精度な印刷機も必要とせず、特殊な浸透型インキを用いずとも一定の効果を発現する透過模様印刷物を提供するものである。
さらに、二つの領域を明度と光透過性を異ならせることで、反射光下で異色に観察できる画像が、透過光下で等色に変化することを特徴とする真偽判別と偽造防止効果に優れた透過模様印刷物を提供するものである。
本発明は、光透過性を有する基材上の少なくとも一部に、基材と異なる色の印刷画像を備え、印刷画像は、色相が同じ第一の領域と第二の領域から成り、第一の領域は、第二の領域よりも明度が高く、かつ、光透過性を低くすることで、第二の領域と透過光下で等色に形成され、反射光下で第一の領域と第二の領域は明度の差により色彩が異なって区分けして視認でき、透過光下では、第一の領域と第二の領域が等色となることを特徴とする透過模様印刷物である。

また、本発明の透過模様印刷物は、光遮断性の特性を有する第1のインキにより形成されたことを特徴とする。
また、本発明の透過模様印刷物は、第1のインキは、光遮断性の高い金属顔料を含んでいることを特徴とする。
また、本発明の透過模様印刷物は、第二の領域は、第一のインキと比較して、光遮断性が低い特性を有する第2のインキにより形成されたことを特徴とする。
また、本発明の透過模様印刷物は、第2のインキは、有色浸透インキであることを特徴とする。
さらに、本発明の透過模様印刷物は、第一の領域は、第二の領域より彩度が高いことを特徴とする。
本発明の透過模様印刷物は、反射光下で異色であって、透過光下で等色に変化する二つの領域から成る。それぞれの領域の形成に用いるペアインキは、従来のような反射光下で等色であって、透過光下で異色に変化するペアインキのように、同じ顔料を同じ量だけ配合することでは作製不可能であり、作製には、より専門的な知識が必要となる。このため、従来のペアインキを用いて形成する潜像印刷物と比較すると、作製が困難であって、偽造抵抗力が高い。
本発明の透過模様印刷物の印刷画像は、従来の技術の印刷画像と異なり、印刷画像に含まれる二つの領域は色彩が異なり、また色濃度も極端に淡い必要もないため色彩選択の自由度が格段に広い。よって、透過模様印刷物の印刷画像は、従来の等色ペアインキで作製する潜像画像が単調な色彩表現に限定されているのと比較して、色彩豊かな表現が可能である。加えて、ペアインキは、セキュリティ印刷物中の本発明の印刷画像が付与された以外の印刷領域にもそれぞれ流用することができるため、従来の技術と比較してセキュリティ印刷物全体も色彩の変化に富んだデザインとすることができる。
本発明の透過模様印刷物においては、二つの印刷領域を異なるインキで形成する単純な構成であるため、従来技術のような高精度な刷り合わせを必要とせず、製造難度が低い。
以上の手法で形成した透過模様印刷物は、生産性の高い印刷方式であるオフセット印刷で製造可能であることからコストパフォーマンスに優れ、また最新のデジタル機器を用いたとしても透過画像の再現は不可能であることから、偽造防止効果に優れる。また、特別な道具を用いることがなく透かすだけで認証できるため、判別性に優れる。
本発明における透過模様印刷物を示す。 本発明における透過模様印刷物の構成の概要を示す。 (a)は、本発明における透過模様印刷物が反射光下で視認される画像を示し、(b)は、本発明における透過模様印刷物が透過光下で視認される画像を示す。 本発明における透過模様印刷物の構成の概要を示す。 (a)は、本発明における透過模様印刷物が反射光下で視認される画像を示し、(b)は、本発明における透過模様印刷物が透過光下で視認される画像を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
図1に、本発明における透過模様印刷物(1)を示す。透過模様印刷物(1)は、基材(2)の上に、基材(2)と異なる色を有する印刷画像(3)が形成されて成る。
本発明における透過模様印刷物(1)を構成する基材(2)は、上質紙やコート紙、透明フィルムやプラスティックのように、光を透過する特性、いわゆる光透過性を有する必要がある。不透明なプラスティックや金属では透過光下での効果は得られない。基材(2)や印刷画像(3)の色彩については特に制約はない。
図2に、印刷画像(3)の構成の概要を示す。印刷画像(3)は、第一の領域(4)と第二の領域(5)の二つの領域を有する。本実施の形態において、印刷画像(3)は桜の花びら全体を表し、第一の領域(4)は三つの花びら、第二の領域(5)は二つの花びらを表して成る。印刷画像(3)は、基材(2)と異なる色彩を有していれば、透明以外の如何なる色彩であっても良い。
印刷画像(3)を構成する第一の領域(4)と第二の領域(5)とは色相が同じである必要があるが、色彩は異なっており、明度及び彩度が異なり、特に明度が異なっている必要がある。第一の領域(4)は明度が高く、第二の領域(5)は明度が低い。この場合の「明度が高い」、「明度が低い」とは他方の領域と比較して相対的に高いか低いかを指す。
なお、本明細書中でいう明度とは色の明るさを指し、高い場合には明るく、低い場合には暗い。また、彩度とは、色の鮮やかさの度合いを指す。加えて、本発明における「色彩」とは、色相、彩度及び明度の概念を含んで色を表したものであり、また、「色相」とは、赤、青、黄といった色の様相のことであり、具体的には、可視光領域(400〜700nm)の特定の波長の強弱の分布を示すものである。また、本発明における「色相が同じ」とは、二つの色において赤、青、黄といった色の様相が一致し、可視光領域の波長の強弱の分布が二つの色において相関を有することである。
「第一の領域の明度が高く、第二の領域の明度は低い」条件とは前述の通り、相対的な関係を満たすことが絶対条件であるが、その具体的な数値の差異としては、第一の領域と第二の領域のL表色系の明度Lの値はその明度差ΔL=5以上異なっている必要があり、より好ましくは10以上異なっていることが望ましい。
また、第一の領域(4)と第二の領域(5)を観察者が特に注意を払うことなく一瞥しただけで、二つの領域が同じ色彩ではなく、異なる色彩であると感じる程度に色彩が異なっている必要がある。具体的にはL表色系における色差ΔEが6以上異なる必要があり、より好ましくは色差ΔEが12以上離れていることが望ましい。
また、第一の領域(4)と第二の領域(5)は光透過性が異なっている必要がある。具体的には、第一の領域(4)は、光透過性が低い必要があり、一方の第二の領域(5)は光透過性が高い必要がある。第一の領域(4)と第二の領域(5)の形成にあたり、仮にこの特性をインキの特性のみによって実現する場合、第一の領域(4)を形成するインキである第一のインキに、第二の領域(5)を形成するインキである第二のインキと比較してより高い光遮断性を付与する必要がある。これは、本発明の透過光下での効果を生じさせるために必須となる特性である。
第一の領域(4)の低い光透過性をインキの性能によって実現する場合、第一の領域(4)を形成する第一のインキは、高い光遮断性を有する必要がある。具体的には、二酸化チタンや酸化鉄、酸化亜鉛等のような光反射性の高い金属顔料を含んだインキを用たり、二酸化ケイ素や炭酸カルシウム等を含んだインキを用いることもできる。あるいは、特殊な金属顔料を含まない一般的なインキを用いて、厚い膜厚で印刷することで高い光遮断性を実現しても良い。
一方、第二の領域(5)の高い光透過性をインキの性能によって実現する場合、第二の領域(5)を形成する第二のインキは、高い光遮断性を有する必要はなく、第一のインキと比較して、相対的に光遮断性が低い必要がある。第二のインキとしては、一般的な着色顔料や着色染料を用いても良い。効果をより強調したい場合には、従来技術同様に透かしインキ(浸透型インキ)に着色染料や着色顔料を混合したインキを用いても問題ない。このようなインキを「有色浸透インキ」と呼ぶが、このインキについては、後述する。
なお、第一の領域(4)と第二の領域(5)の光透過性の違いは、第一のインキと第二のインキの光学特性によって実現する方法に限るものではなく、例えば、基材(2)に黒透き入れと白透き入れを施すことによっても実現することができる。黒透き入れ部は光透過性が低く、白透き入れ部は光透過性が高くなる。この透き入れ部の上に、明度の異なるインキを重ねて二つの領域を形成しても良い。
また、第一の領域(4)と、第二の領域(5)は、反射光下では色彩が異なって観察されるものの、透過光下では等色に変化する必要がある。透過時のそれぞれの領域の色彩は、それぞれの領域の光透過性に依存して、反射光下の色彩から変化する。光透過性が低い領域は、明度が低下して濁った色彩に変化し、光透過性が高い領域(5)は、明度が増加して鮮やかな色彩へと変化する。そのため、反射光下の色彩の明度が高い第一の領域(4)の透過光下の色彩は明度が低下し、反射光下の色彩の明度が低い第二の領域(5)の色彩は明度が増加するため、それぞれの反射光下の色彩と、それぞれの光透過性を制御することで、二つの領域を透過光下で等色とすることができる。ここで記載される等色は、第一の領域(4)と第二の領域(5)の色差ΔEが5以下であることをいう。
加えて、透過光下では明度だけでなく、彩度も変化する。透過光下では第一の領域(4)の彩度は相対的に減少する一方で、第二の領域の彩度は上昇する。このため、反射光下における第一の領域(4)の彩度を高く、第二の領域(5)の彩度を低く設計してもよい。混じりけのない純粋な色は彩度が高く、白や灰色、黒等の無彩色ほど値がゼロに近い。第一の領域(4)と第二の領域(5)の明度だけでなく、彩度も大きく異なる場合には色彩表現もより豊かになるため、印刷画像の見栄えが良くなり、より好ましい。また、明度が異なる色彩は、同じインキを用いて面積率の違いによって表現できるが、大きく彩度が異なる色彩は同じインキを用いて単純な面積率の違いだけで表現することは困難であるため、より再現することが難しく、偽造抵抗力にもより優れる形態となる。
以上のように、二つのインキの色彩設計が適切であった場合、第一のインキを酸化チタン含有のインキとし、第二のインキを通常の着色インキとした場合、二つのインキの間に反射光下の色差ΔEに10前後の差があった場合でも、透過光下においてこの差異をほぼゼロすることができる。加えて、第二のインキに後述する有色浸透インキを用いた場合には、反射光下の色差ΔEに20前後の差があった場合でも、透過光下においてこの差異をほぼゼロすることができる。
以上の構成で形成した透過模様印刷物(1)の効果を図3に説明する。図3に示すように、透過模様印刷物(1)を反射光下で観察した場合、観察者(7)には、第一の領域(4)と第二の領域(5)が異色である印刷画像(3)が視認される。
また、図3(b)に示すように、透過模様印刷物(1)を透過光下で観察した場合、観察者(7)には、第一の領域(4)と第二の領域(5)が等色に変化した印刷画像(3)が視認される。
以上のように本発明の透過模様印刷物(1)は、観察条件に応じて、印刷画像(3)の中の第一の領域(4)と第二の領域(5)が異色となり、もしくは第一の領域(4)と第二の領域(5)が等色となる効果を有する。
なお、本発明における「反射光下での観察」とは、観察者の視点が、正反射光がほとんど存在しない領域中にあって、透過模様印刷物(1)を可視光下で観察している状況を示しており、本発明における「透過光下での観察」とは、観察者の視点が、透過光下の領域中にあって、透過模様印刷物(1)を観察している状況を示している。
本発明の透過模様印刷物(1)の最大の特徴は、色相は同じだが、明度の異なるペアインキを用いて非等色の二つの領域を形成することにある。反射光下と透過光下で二つの領域の色彩の関係が変化することを基準として判別ができるという真偽判別機能は、二つの領域を等色に形成する従来の技術と基本的には変わらず、この機能が損なわれることはない。その一方で、従来の技術のように等色でないペアインキを用いた構成とした場合、印刷物の色彩設計上、以下の大きな利点が生まれる。
発明が解決しようとする課題でも触れたが、等色ペアインキを用いて形成する潜像印刷物において、画像が変化する印刷画像は濃淡の変化でのみ情報を表せず、モノトーン調の画像にしか成り得ないため、色彩表現に乏しい。これは等色ペアインキを用いた印刷画像自体に対する問題であるが、等色ペアインキを用いた印刷画像を配置するセキュリティ印刷物自体に対しても、色彩設計上の問題が生じる場合が多い。この問題について以下に記す。
オフセット印刷のようなインキ転移量の少ない印刷方式を用いて、本発明のように画像を変化させる特殊な効果を有する印刷画像を形成した場合、印刷画像がモノトーンとなるだけでなく、その印刷画像の色彩自体にも制限が設けられることが多い。具体的には淡い色彩に制限されることが多い。
これは、優れた光学変化特性を有する最新の機能性顔料を含んだインキを用いたとしても、オフセット印刷等で転移させられるインキ転移量には限界があり、結果として、形成した画像で実現できる色彩変化等は極めて小さくなるため、もともとの印刷画像が高い濃度であった場合には、その変化が認識されづらいことが一因にある。そのため、例えば、引用文献2から引用文献4までに挙げた潜像印刷物を印刷する場合、極端に淡い色彩で等色の関係にある等色ペアインキが必要になる。
一方、印刷機が一度に使用できるインキの色数には当然のことながら制約があり、例えば、セキュリティ印刷物を印刷するために四色印刷機を用いた場合、この潜像画像を印刷するためだけに、等色ペアインキを使用しなければならず、同じ色彩のインキによって二色分のユニットが占有される。
また、この二色が極端に淡い色彩である場合には、潜像画像以外のセキュリティ印刷物に必要とされる他の印刷要素、例えば、地紋模様や彩紋、文字、マーク、記号、記載事項等への流用も困難である。そのため、一般的な四色印刷機を使用した場合には、潜像画像以外の領域を二種類の色ですべて形成する必要がある。
たとえ機能が優先されるセキュリティ印刷物であっても、印刷物上の色数が多く、色鮮やかな表現が成されたものがより見栄えが良いことは言うまでもなく、潜像画像の形成にあたって、前述したように流用の効かない極端に淡い二種類のインキを使用しなければならないことは、セキュリティ印刷物全体としての色彩設計上の大きな負荷となっていた。
本技術では、印刷画像(3)の形成にあたって従来のような等色ペアインキではなく、明度の大きく異なった非等色ペアインキを用いることで、この問題を解決した。従来のような極めて淡い等色ペアインキでなく、一定の濃度を有する二つの色彩の異なるインキの組合せることで、真偽判別機能を損なうことなく、反射光下における印刷画像(3)の色彩表現が豊かになることに加え、それぞれ色彩の異なるインキを印刷画像以外の印刷要素、すなわち、地紋模様や彩紋、文字、マーク、記号、記載事項等への流用もできるため、印刷画像(3)が形成されるセキュリティ印刷物自体の色彩を豊かにすることができる。現実の問題としてセキュリティ印刷物を製造する場合、一つの印刷機を使用して透過模様印刷物(1)のみを形成すれば良いわけでなく、セキュリティ印刷物全体を形成する必要があり、印刷物全体に対して異なった多くの色彩を使用できることは大きな利点である。
また、第一の領域(4)と第二の領域(5)のそれぞれの領域の印刷要素の面積率は同じである必要はなく、反射光下の等色性や透過時の異色性を高めるために必要に応じて、第一の領域(4)と第二の領域(5)のそれぞれの面積率の大小や印刷膜厚の厚薄、単位面積当たりの網点、画線等の粗密を調整しても良い。
また、第一のインキだけでなく、第二のインキにも特殊な機能性インキを用いても良い。第二のインキに用いることが可能な機能性インキとして、最も効果が高い、「有色浸透インキ」について説明する。有色浸透インキとは、印刷した画像が透過光下で透けて見える(非印刷部よりも明るく観察される)効果を有する浸透成分を含む浸透型インキに、色材を混合することで形成したインキである。
有色浸透インキとは、基材に印刷した場合に、反射光下では、はっきりと視認できる色彩を有した画像を形成できる一方、透過光下では、その画像を極端に淡く変化させる効果を有する。言い換えると、通常の着色インキと比較して、「透かすと画像がより淡く見える」効果を有したインキである。有色浸透インキは、浸透成分と色材とを含んで構成され、浸透成分が基材内部の光の散乱を抑制することで生じさせる透過率の上昇によって、画像が淡く見える効果を実現している。
浸透成分が透かしインキとして一般に販売されているインキに相当する程度の性能を備えていれば、一定量の色材を混合して「透かすと画像が淡く見える」効果を有する有色浸透インキとすることは可能である。有色浸透インキに混合する色材は、着色顔料や着色染料として販売されている印刷色材を用いれば良い。印刷物として市場に流通させることを目的とすると、長期にわたる堅牢性が得られやすい着色顔料を用いることが望ましい。
なお、本発明における浸透成分とは、印刷時に用紙内部へと浸透して印刷領域の透過率を上昇させる働きを成す成分のことを指し、具体的には、セルロースの屈折率(1.49)に近い樹脂やワックス、動植物油等を指す。これらの成分は、印刷した場合に用紙の中に存在するセルロース繊維間の空隙を埋め、主として用紙内部における光の散乱を抑制することで光の透過率を上げる働きを成す。
また、本発明における「浸透型インキ」とは、前述した浸透成分を含み、一般に透かしインキとして販売されているインキを指す。このようなインキとしては、T&K TOKA製ベストワン透かしインキ、帝国インキ製ユニマーク、東洋インキ製SMXすかしインキ、合同インキ製E2ニス等が存在する。本発明の有色浸透インキは、これらのインキを用いても作製可能である。
第一のインキには光遮断性に優れる機能性インキを用い、一方の第二のインキに有色浸透インキを用いた場合、第一の領域(4)の光透過性は低く、第二の領域(5)の光透過性は高く成るため、それぞれのインキの明度の違いを大きくすることができる。すなわち、第一のインキの明度は高く、第二のインキの明度は低くすることで、第一のインキと第二のインキの色差を大きくすることができる。この場合、反射光下における第一の領域(4)と第二の領域(5)の異色性が最も高まり、反射光下と透過光下での色彩の変化の割合も大きくなることから、効果を優先したい場合には望ましい構成である。
また、第一のインキ及び第二のインキに脱刷や印刷不良等の発生の有無を見極めることを目的又は真偽判別性の向上を目的として、蛍光顔料や蛍光染料、燐光顔料、蓄光顔料等の発光顔料や発光染料、赤外線吸収材料や赤外反射材料等の機能性材料を添加しても何ら問題ない。
また、実施の形態の説明では、印刷画像(3)が桜の花びらを表現した有意情報を表し、透過光下で有意情報が異なる色彩へと変化する例で説明したが、図4に示す例のように、第一の領域(4´)と第二の領域(5´)が一つの有意情報(アルファベットの「A」の文字)の濃淡が反転した関係にある二つの画像の構成を用いて印刷画像(3´)を形成することによって、図5に示すように反射光下で認識可能な有意情報が、透過光下で消失する形態とすることもできる。
本発明の透過模様印刷物(1)の印刷方式は、オフセット印刷で十分な効果を発揮するが、製造者のシーズに応じてフレキソ印刷やグラビア印刷、凹版印刷やスクリーン印刷等で形成しても良い。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した透過模様印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
本実施例は、実施の形態同様に図1から図3までを用いて説明する。図1に実施例1における透過模様印刷物(1)を示す。透過模様印刷物(1)は、基材(2)の上に、緑系の色彩を有した印刷画像(3)が形成されて成る。基材(2)には、一般的な白色上質紙(しらおい 日本製紙製)を使用した。
印刷画像(3)は、図2に示す第一の領域(4)と第二の領域(5)から構成した。反射光下の観察では、第一の領域(4)は黄緑色であり、第二の領域(5)は深緑色である。
第一の領域(4)は、図3(a)に示すような面積率100%のベタの構成で第一のインキを用いて形成した。第一のインキは、チタンを大量に含有する淡い緑インキ(ベストワン Panton381 淡淡緑 T&K TOKA製)を用いた。この第一のインキは高い光遮断性を有する。以上の構成の第一の領域(4)をオフセット印刷で印刷した。
第二の領域(5)は、図2(b)に示すような網点面積率100%のベタの構成で、第二のインキを用いて形成した。これを表1に示す第二のインキを用いて印刷した。この第二のインキは高い光透過性を有する浸透成分を含んだ深緑色の有色浸透インキである。
Figure 0006120084
この例における第一の領域(4)の色彩はL表色系の値でL=80.36 a=−14.88 b=63.52であり、第二の領域(5)の色彩はL=69.32 a=−15.15 b=57.17であった。第一の領域(4)と第二の領域(5)の明度差ΔLは、約11であり、第一の領域(4)の彩度は65.2であり、第二の領域(5)の彩度は59.1であって彩度の差ΔCabは、約6であった。また、この二つの領域の色差ΔEは12.7であった。
以上の構成で作製した透過模様印刷物(1)の効果について、図3を用いて以下に説明する。図3(a)に示すように、透過模様印刷物(1)を反射光下で観察した場合、観察者(7)には、第一の領域(4)が黄緑色で、第二の領域(5)が深緑色で視認された。
また、図3(b)に示すように、透過模様印刷物(1)を透過光下で観察した場合、観察者(7)には、第一の領域(4)と第二の領域(5)が同じ緑色の色彩に変化した印刷画像(3)が視認された。
以上のように本発明の透過模様印刷物(1)は、観察条件に応じて、印刷画像(3)の中の第一の領域(4)と第二の領域(5)が異色となり、若しくは第一の領域(4)と第二の領域(5)が等色となる効果を有することが確認できた。
1 透過模様印刷物
2 基材
3 印刷画像
4 第一の領域
5 第二の領域
6 光源
7 観察者の視点

Claims (6)

  1. 光透過性を有する基材上の少なくとも一部に、前記基材と異なる色の印刷画像を備え、
    前記印刷画像は、色相が同じ第一の領域と第二の領域から成り、
    前記第一の領域は、前記第二の領域よりも明度が高く、かつ、光透過性を低くすることで、前記第二の領域と透過光下で等色に形成され、
    反射光下で前記第一の領域と前記第二の領域は明度の差により色彩が異なって区分けして視認でき、透過光下では、前記第一の領域と前記第二の領域が等色となることを特徴とする透過模様印刷物。
  2. 前記第一の領域は、光遮断性の特性を有する第のインキにより形成されたことを特徴とする請求項1記載の透過模様印刷物。
  3. 前記第のインキは、光遮断性の高い金属顔料を含んでいることを特徴とする請求項2記載の透過模様印刷物。
  4. 前記第二の領域は、前記第一のインキと比較して、光遮断性が低い特性を有する第のインキにより形成されたことを特徴とする請求項2又は3記載の透過模様印刷物。
  5. 前記第のインキは、有色浸透インキであることを特徴とする請求項4記載の透過模様印刷物。
  6. 前記第一の領域は、前記第二の領域より彩度が高いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の透過模様印刷物。
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