以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、本発明における暖房負荷である室内ユニットおよび給湯負荷である貯湯タンクとを有し、水冷媒熱交換器で冷媒と熱交換を行った湯水を室内ユニットに循環させて暖房を行い、また、貯湯タンク内部に設置した熱交換部に冷媒を循環させて貯湯タンク内部に貯留された水を加熱するヒートポンプ式暖房給湯装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1は、本発明によるヒートポンプ式暖房給湯装置の構成を示している。このヒートポンプ式暖房給湯装置100は、暖房用ヒートポンプ回路である第1ヒートポンプ回路10aと、給湯用ヒートポンプ回路である第2ヒートポンプ回路10bと、暖房温水回路30と、給湯冷媒回路40とを有している。第1ヒートポンプ回路10aと第2ヒートポンプ回路10bとは、それぞれが独立して運転できる。尚、第2ヒートポンプ回路10bが、本発明における給湯用ヒートポンプ回路である。
第1ヒートポンプ回路10aは、圧縮機1aと、水冷媒熱交換器2aと、流量調整手段である膨張弁3aと、熱源側熱交換器4aと、アキュムレータ5aとが、順次冷媒配管11aで接続されて構成される。圧縮機1aは、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転能力を可変できる能力可変型圧縮機である。水冷媒熱交換器2aは、冷媒配管11aに接続される冷媒側流路2aaと、後述する暖房温水回路30の温水配管31に接続される水側流路2abとを有し、冷媒側流路2aaを流れる冷媒と水側流路2abを流れる水とを熱交換させる。膨張弁3aは電子膨張弁であり、その開度が調整されることで、熱源側熱交換器4aに流入する冷媒量を調整する。熱源側熱交換器4aは、冷媒と、熱源側熱交換器4aの近傍に配置される室外ファン6aの回転により熱源側熱交換器4aに流入する空気とを熱交換させる。アキュムレータ5aは、熱源側熱交換器4aから流入した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機1aに吸入させる。
また、第1ヒートポンプ回路10aは、吐出温度センサ51aと、冷媒温度センサ52aと、熱交温度センサ53aと、外気温度センサ54aとを有している。吐出温度センサ51aは、圧縮機1aの冷媒吐出側付近の冷媒配管11aに設けられ、圧縮機1aから吐出された冷媒の温度を検出する。冷媒温度センサ52aは、水冷媒熱交換器2aと膨張弁3aとの間の冷媒配管11aに設けられ、水冷媒熱交換器2aから流出する冷媒の温度を検出する。熱交温度センサ53aは、膨張弁3aと熱源側熱交換器4aとの間の冷媒配管11aに設けられ、熱源側熱交換器5aに流入する冷媒の温度を検出する。外気温度センサ54aは、熱源側熱交換器5a近傍に配置され、屋外の温度である外気温度を検出する。
第2ヒートポンプ回路10bは、圧縮機1bと、第1三方弁7と、水冷媒熱交換器2bと、第2三方弁8と、流量調整手段である膨張弁3bと、熱源側熱交換器4bと、第3三方弁9と、補助水冷媒熱交換器23と、アキュムレータ5bとが、順次冷媒配管11bで接続されて構成される。圧縮機1bは、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで、運転能力を可変できる能力可変型圧縮機である。水冷媒熱交換器2bは、冷媒配管11bに接続される冷媒側流路2baと、後述する暖房温水回路30の温水配管31に接続される水側流路2bbとを有し、冷媒側流路2baを流れる冷媒と水側流路2bbを流れる水とを熱交換させる。膨張弁3bは電子膨張弁であり、その開度が調整されることで、熱源側熱交換器4bに流入する冷媒量を調整する。熱源側熱交換器4bは、冷媒と、熱源側熱交換器4bの近傍に配置される室外ファン6bの回転により熱源側熱交換器4bに流入する空気とを熱交換させる。補助水冷媒熱交換器23は、冷媒配管11bに接続される冷媒側流路23aと、後述する暖房温水回路30の温水配管31に接続される水側流路23bとを有し、冷媒側流路23aを流れる冷媒と水側流路23bを流れる水とを熱交換させる。アキュムレータ5bは、熱源側熱交換器4bから流入した冷媒を液冷媒とガス冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機1bに吸入させる。
第1三方弁7は、ポートa、ポートb、ポートcの3つのポートを有している。ポートaは、圧縮機1bの冷媒吐出側と冷媒配管11bで接続されている。ポートbは、水冷媒熱交換器2bの冷媒側流路2baの一端と冷媒配管11bで接続されている。ポートcには後述する往き冷媒配管41の一端が接続されている。図1において、第1三方弁7は、ポートcが閉じられて(図1では、閉じられているポートcを黒塗りとしている)、ポートaとポートbとが連通した状態となっている。
第2三方弁8は、ポートd、ポートe、ポートfの3つのポートを有している。ポートdは、水冷媒熱交換器2bの冷媒側流路2baの他端と冷媒配管11bで接続されている。ポートeは、膨張弁3bと冷媒配管11bで接続されている。ポートfには後述する戻り冷媒配管42の一端が接続されている。図1において、第2三方弁8は、ポートfが閉じられて(図1では、閉じられているポートfを黒塗りとしている)、ポートdとポートeとが連通した状態となっている。
第3三方弁9は、ポートk、ポートm、ポートnの3つのポートを有している。ポートkは、熱源側熱交換器4bの冷媒流出側と冷媒配管11bで接続されている。ポートmは、補助水冷媒熱交換器23の冷媒側流路23aの一端と冷媒配管11bで接続されている。ポートnには補助水冷媒熱交換器23をバイパスする第1バイパス管11cの一端が接続されており、第1バイパス管11cの他端は、補助水冷媒熱交換器23の冷媒側流路23aの他端とアキュムレータ5bの冷媒流入側とを接続する冷媒配管11bに接続されている。図1において、第3三方弁9は、ポートmが閉じられて(図1では、閉じられているポートmを黒塗りとしている)、ポートkとポートnとが連通した状態となっている。
また、第2ヒートポンプ回路10bは、吐出温度センサ51bと、冷媒温度センサ52bと、熱交温度センサ53bと、外気温度センサ54bと、補助水冷媒熱交温度センサ57とを有している。吐出温度センサ51bは、圧縮機1bの冷媒吐出口付近の冷媒配管11bに設けられ、圧縮機1bから吐出された冷媒の温度を検出する。冷媒温度センサ52bは、水冷媒熱交換器2bと膨張弁3bとの間の冷媒配管11bに設けられ、水冷媒熱交換器2bから流出する冷媒の温度を検出する。熱交温度センサ53bは、膨張弁3bと熱源側熱交換器4bとの間の冷媒配管11bに設けられ、熱源側熱交換器5bに流入する冷媒の温度を検出する。外気温度センサ54bは、熱源側熱交換器5b近傍に配置され、屋外の温度である外気温度を検出する。補助水熱交温度センサ57は、補助水冷媒熱交換器23とアキュムレータ5bとの間の冷媒配管11bに設けられ、補助水冷媒熱交換器23から流出する冷媒の温度を検出する。
暖房温水回路30は、暖房負荷である室内ユニット21と、補助水冷媒熱交換器23と、水冷媒熱交換器2aと、第4三方弁28と、水冷媒熱交換器2bと、循環ポンプ22とが、順次給湯配管31で接続されて構成される。室内ユニット21は、床暖房パネルやラジエタで構成され、室内ユニット21を流れる温水が、室内ユニット21が設置された部屋の空気を加熱することで部屋の暖房が行われる。補助水冷媒熱交換器23は、給湯配管31に接続される水側流路23bと、前述した第2ヒートポンプ回路11bの冷媒配管11bに接続される冷媒側流路23aとを有し、冷媒側流路23aを流れる冷媒と水側流路23bを流れる水とを熱交換させる。水冷媒熱交換器2aおよび2bは、循環ポンプ22と補助水冷媒熱交換器23との間に配置され、水冷媒熱交換器2aの水側流路2abおよび水冷媒熱交換器2bの水側流路2bbが、それぞれ給湯配管31に接続される。循環ポンプ22は、能力可変型のポンプであり、循環ポンプ22が駆動することにより暖房温水回路30内を温水が循環する。
第4三方弁28は、ポートg、ポートh、ポートjの3つのポートを有している。ポートgは、水冷媒熱交換器2aの水側流路2abと給湯配管31で接続されている。ポートhは、水冷媒熱交換器2bの水側流路2bbと給湯配管31で接続されている。ポートjは、水冷媒熱交換器2bをバイパスする第2バイパス管32の一端が接続されており、第2バイパス管32の他端は、水冷媒熱交換器2bと循環ポンプ22との間の給湯配管31に接続されている。図1において、第4三方弁28は、ポートjが閉じられて(図1では、閉じられているポートjを黒塗りとしている)、ポートgとポートhとが連通した状態となっている。
また、暖房温水回路30は、第1往き温度センサ55と、第2往き温度センサ56とを有している。第1往き温度センサ55は、第4三方弁28側の水冷媒熱交換器2a近傍の給湯配管31に設けられ、水冷媒熱交換器2aから流出する水温である第1往き温度を検出する。第2往き温度センサ56は、循環ポンプ22側の水冷媒熱交換器2b近傍の給湯配管31に設けられ、水冷媒熱交換器2bから流出する水温である第2往き温度を検出する。
給湯冷媒回路40は、第1三方弁7と、給湯負荷である貯湯タンク24と、第2三方弁8とが往き冷媒配管41と戻り冷媒配管42とで接続されて構成される。貯湯タンク24は、熱交換部25と、入水口26と、給湯口27と、貯湯センサ58とを有する。熱交換部25は冷媒配管がスパイラル形状に形成されており、貯湯タンク24内部の下方に配置されている。熱交換部25の下端は往き冷媒配管41の他端と接続され、熱交換部25の上端は戻り冷媒配管42の他端と接続されている。入水口26は、貯湯タンク24の下部に設けられている。入水口26には図示しない水道管が直結されており、水道管から入水口26を介して貯湯タンク24内に水が供給される。給湯口27は、貯湯タンク24の上部に設けられている。給湯口27には図示しない浴槽や洗面台蛇口等と接続する温水配管が接続されており、給湯口27から浴槽や洗面台蛇口等に貯湯タンク24に貯留されている温水が供給される。貯湯センサ58は、貯湯タンク24に貯留されている温水の温度を検出する。また、前述したように、往き冷媒配管41の一端は、第1三方弁7のポートcに接続され、戻り冷媒配管42の一端は、第2三方弁8のポートfに接続されている。
次に、本実施形態におけるヒートポンプ式暖房給湯装置100の運転動作について説明する。まず、図1を用いて、室内ユニット21による暖房運転のみを行っている場合の、第1ヒートポンプ回路10a、第2ヒートポンプ回路10b、および、暖房温水回路30での各構成装置の動作やこれに伴う冷媒や温水の流れについて説明する。次に、図2を用いて、室内ユニット21による暖房運転と貯湯タンク24に貯留されている水の温度を所定温度まで沸き上げる沸き上げ運転とを同時に行っている場合の、第1ヒートポンプ回路10a、第2ヒートポンプ回路10b、暖房温水回路30、および、給湯冷媒回路40での各構成装置の動作やこれに伴う冷媒や温水の流れについて説明する。次に、図3を用いて、貯湯タンク24での沸き上げ運転のみ行っている場合の、第2ヒートポンプ回路10b、および、給湯冷媒回路40での各構成装置の動作やこれに伴う冷媒や温水の流れについて説明する。最後に、図4および図5を用いて、上述した沸き上げ運転のみを行っている状態から、沸き上げ運転停止後に暖房運転のみを行う状態でヒートポンプ式暖房給湯装置100が起動するときの、第1ヒートポンプ回路10a、第2ヒートポンプ回路10b、および、暖房温水回路30での各構成装置の動作やこれに伴う冷媒や温水の流れについて説明する。尚、図1乃至図5において、矢印は各回路での冷媒や温水の流れる方向を表している。また、各三方弁において開いているポートを白抜きとし、閉じているポートを黒塗りとしている。
まず、図1を用いて、室内ユニット21による暖房運転のみを行っている場合について説明する。図1に示すように、ヒートポンプ式暖房給湯装置100で暖房運転のみを行っているとき、第2ヒートポンプ回路10bの第1三方弁7は、ポートcが閉じられてポートaとポートbとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第2三方弁8は、ポートfが閉じられてポートdとポートeとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第3三方弁9は、ポートmが閉じられてポートkとポートnとが連通する状態とされている。また、暖房温水回路30の第4三方弁28は、ポートjが閉じられてポートgとポートhとが連通する状態とされている。そして、第1ヒートポンプ回路10aおよび第2ヒートポンプ回路10bの圧縮機1a、1bと、暖房温水回路30の循環ポンプ22とが駆動されている。
尚、以下の説明では、室内ユニット21で使用者が設定する暖房運転の設定温度Tiを24℃、この設定温度Tiを実現するために、室内ユニット21に流入する温水温度の目標値となる目標温水温度Ttを40℃とした場合を例に挙げて説明する。
第1ヒートポンプ回路10aおよび第2ヒートポンプ回路10bにおいて、圧縮機1a、1bで圧縮されて吐出された冷媒は、水冷媒熱交換器2a、2bの冷媒側流路2aa、2baに流入する。水冷媒熱交換器2a、2bの冷媒側流路2aa、2baに流入した冷媒は、水冷媒熱交換器2a、2bの水側流路2ab、2bbを流れる水と熱交換を行って凝縮し、水冷媒熱交換器2a、2bから流出する。
水冷媒熱交換器2a、2bから流出した冷媒は、膨張弁3a、3bを通過する際に減圧されて熱源側熱交換器4a、4bに流入する。熱源側熱交換器4a、4bに流入した冷媒は、室外ファン6a、6bの回転により熱源側熱交換器4a、4bに流入する空気と熱交換を行って蒸発し、熱源側熱交換器4a、4bから流出する。第1ヒートポンプ回路10aにおいては、熱源側熱交換器4aから流出した冷媒は、アキュムレータ5aを介して圧縮機1aに吸入されて再び圧縮される。第2ヒートポンプ回路10bにおいては、熱源側熱交換器4bから流出した冷媒は、第3三方弁9のポートkに流入し、ポートnから第1バイパス管11cに流出し、アキュムレータ5bを介して圧縮機1bに吸入されて再び圧縮される。
一方、暖房温水回路30において、循環ポンプ22の駆動により水冷媒熱交換器2aの水側流路2abに流入した水は、水冷媒熱交換器2aの冷媒側流路2aaを流れる冷媒と熱交換を行って加熱され、目標温水温度Ttより低い第1所定温度T1(例えば、30℃)の温水となって水冷媒熱交換器2aから流出する。水冷媒熱交換器2aから流出した温水は、第4三方弁28を介して水冷媒熱交換器2bの水側流路2bbに流入する。
水冷媒熱交換器2bの水側流路2bbに流入した水は、水冷媒熱交換器2bの冷媒側流路2baを流れる冷媒と熱交換を行ってさらに加熱され、第2所定温度T2(=目標温水温度Tt:40℃)の温水となって水冷媒熱交換器2bから流出する。水冷媒熱交換器2bから流出した温水は、循環ポンプ22を介して室内ユニット21に流入し、室内ユニット21に流入した温水が放熱することで、室内ユニット21が設置された部屋の暖房がなされる。そして、室内ユニット21から流出した温水は、補助水冷媒熱交換器23を介して水冷媒熱交換器2aおよび2bに流入して再び加熱される。
ここで、第1ヒートポンプ回路10aにおいては、水冷媒熱交換器2aから流出する水の温度が上述した第1所定温度T1となるよう、つまり、第1往き温度センサ55で検出した温水温度が第1所定温度T1となるように、圧縮機1aの回転数、膨張弁3aの開度、および、室外ファン6aの回転数が、それぞれ制御される。また、第2ヒートポンプ回路10bにおいては、水冷媒熱交換器2bから流出する水の温度が上述した第2所定温度T2となるよう、つまり、第2往き温度センサ56で検出した温水温度が第2所定温度T2となるように、圧縮機1bの回転数、膨張弁3bの開度、および、室外ファン6bの回転数が、それぞれ制御される。
以上説明したように、ヒートポンプ式暖房給湯装置100で暖房運転のみを行っているとき、第1ヒートポンプ回路10aと第2ヒートポンプ回路10bとを運転し、室内ユニット21に流入する温水温度を目標温水温度Ttまで上昇させる。
次に、図2を用いて、室内ユニット21による暖房運転と貯湯タンク24における沸き上げ運転とを同時に行っている場合について説明する。図2に示すように、室内ユニット21による暖房運転と貯湯タンク24における沸き上げ運転とを同時に行っているとき、第2ヒートポンプ回路10bの第1三方弁7は、ポートbが閉じられてポートaとポートcとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第2三方弁8は、ポートdが閉じられてポートeとポートfとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第3三方弁9は、ポートmが閉じられてポートkとポートnとが連通する状態とされている。また、暖房温水回路30の第4三方弁28は、ポートhが閉じられてポートgとポートjとが連通する状態とされている。そして、第1ヒートポンプ回路10aおよび第2ヒートポンプ回路10bの圧縮機1a、1bと、暖房温水回路30の循環ポンプ22とが駆動されている。
尚、以下の説明では、室内ユニット21で使用者が設定する暖房運転の設定温度Tiを24℃、この設定温度Tiを実現するために、室内ユニット21に流入する温水温度の目標値となる目標温水温度Ttを40℃、貯湯タンク24に貯留されている水を沸き上げる際の目標温度である沸き上げ温度Tbを60℃とした場合を例に挙げて説明する。
第1ヒートポンプ回路10aにおける冷媒の流れについては、前述した暖房運転を行う場合と同じであるため、説明を省略する。第2ヒートポンプ回路10bにおいて、圧縮機1bで圧縮されて吐出された冷媒は、冷媒配管11bから第1三方弁7を介して往き冷媒配管41を流れ、貯湯タンク24の熱交換部25に流入する。熱交換部25に流入した冷媒は、貯湯タンク24に貯留されている水と熱交換を行い、熱交換部25から流出する。熱交換部25から流出した冷媒は、戻り冷媒配管42を流れ第2三方弁8を介して冷媒配管11bに流入する。
冷媒配管11bに流入した冷媒は、膨張弁3bを通過する際に減圧されて熱源側熱交換器4bに流入する。熱源側熱交換器4bに流入した冷媒は、室外ファン6bの回転により熱源側熱交換器4bに流入する空気と熱交換を行って蒸発し、熱源側熱交換器4bから流出する。そして、熱源側熱交換器4bから流出した冷媒は、第3三方弁9のポートkに流入し、ポートnから第1バイパス管11cに流出し、アキュムレータ5bを介して圧縮機1bに吸入されて再び圧縮される。
一方、暖房温水回路30において、循環ポンプ22の駆動により水冷媒熱交換器2aの水側流路2abに流入した水は、水冷媒熱交換器2aの冷媒側流路2aaを流れる冷媒と熱交換を行って加熱され、第2所定温度T2(=目標温水温度Tt:40℃)の温水となって水冷媒熱交換器2aから流出する。水冷媒熱交換器2aから流出した温水は、温水配管31から第4三方弁28を介して第2バイパス管32に流入し、第2バイパス管32から再び温水配管31に流入する、つまり、水冷媒熱交換器2bをバイパスするように流れる。
第2バイパス管32から温水配管31に流入に流入した温水は室内ユニット21に流入し、室内ユニット21に流入した温水が放熱することで、室内ユニット21が設置された部屋の暖房がなされる。そして、室内ユニット21から流出した温水は、補助水冷媒熱交換器23を介して水冷媒熱交換器2aに流入して再び加熱される。
ここで、第1ヒートポンプ回路10aにおいては、水冷媒熱交換器2aから流出する水の温度が上述した第2所定温度T2となるよう、つまり、第1往き温度センサ55で検出した温水温度が第2所定温度T2となるように、圧縮機1aの回転数、膨張弁3aの開度、および、室外ファン6aの回転数が、それぞれ制御される。また、第2ヒートポンプ回路10bにおいては、貯湯タンク24に貯留されている温水の温度、つまり、貯湯センサ58で検出する温水の温度が上述した沸き上げ温度Tbとなるように、圧縮機1bの回転数、膨張弁3bの開度、および、室外ファン6bの回転数が、それぞれ制御される。
以上説明したように、ヒートポンプ式暖房給湯装置100では、室内ユニット21による暖房運転を第1ヒートポンプ回路10aを運転することで実行し、これと同時に、貯湯タンク24における沸き上げ運転を第2ヒートポンプ回路10bを運転することで実行できる。
尚、貯湯タンク24に貯留されている温水の温度が沸き上げ温度Tbとなれば沸き上げ運転を終了し、ヒートポンプ式暖房給湯装置100は、図1に示す状態、つまり、第1ヒートポンプ回路10aと第2ヒートポンプ回路10bとを運転して室内ユニット21による暖房運転を行う状態に切り換わる。
次に、図3を用いて、貯湯タンク24における沸き上げ運転のみ行っている場合について説明する。昼間や夜間に洗面台の蛇口やシャワーへの温水の供給によって貯湯タンク24に貯留されている温水が減少すれば、入水口26から貯湯タンク24内に水道水が供給される。貯湯タンク24内に水道水が供給されると、貯湯タンク24内に貯留されている温水温度が低下するので、この温水温度を沸き上げ温度Tbまで上昇させる沸き上げ運転が行われる。通常、沸き上げ運転は、昼間に比べて電気料金の安価な夜間に行われ、例えば、タイマー運転にて深夜0時〜5時の間で行われる。
図3に示すように、貯湯タンク24における沸き上げ運転のみ行っているとき、第2ヒートポンプ回路10bの第1三方弁7は、ポートbが閉じられてポートaとポートcとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第2三方弁8は、ポートdが閉じられてポートeとポートfとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第3三方弁9は、ポートmが閉じられてポートkとポートnとが連通する状態とされている。そして、第2ヒートポンプ回路10bの圧縮機1bが駆動されている。
尚、以下の説明では、貯湯タンク24に貯留されている水を沸き上げる際の目標温度である沸き上げ温度Tbを60℃とした場合を例に挙げて説明する。
沸き上げ運転のみ行っている場合は、図2を用いて説明した暖房運転と沸き上げ運転とを同時に行っている場合において、第1ヒートポンプ回路10aおよび暖房温水回路30を停止した状態となる。すなわち、第2ヒートポンプ回路10bにおいて、圧縮機1bで圧縮されて吐出された冷媒は、冷媒配管11bから第1三方弁7を介して往き冷媒配管41を流れ、貯湯タンク24の熱交換部25に流入する。熱交換部25に流入した冷媒は、貯湯タンク24に貯留されている水と熱交換を行い、熱交換部25から流出する。熱交換部25から流出した冷媒は、戻り冷媒配管42を流れ第2三方弁8を介して冷媒配管11bに流入する。
冷媒配管11bに流入した冷媒は、膨張弁3bを通過する際に減圧されて熱源側熱交換器4bに流入する。熱源側熱交換器4bに流入した冷媒は、室外ファン6bの回転により熱源側熱交換器4bに流入する空気と熱交換を行って蒸発し、熱源側熱交換器4bから流出する。そして、熱源側熱交換器4bから流出した冷媒は、第3三方弁9のポートkに流入し、ポートnから第1バイパス管11cに流出し、アキュムレータ5bを介して圧縮機1bに吸入されて再び圧縮される。
ここで、第2ヒートポンプ回路10bにおいては、貯湯タンク24に貯留されている温水の温度、つまり、貯湯センサ58で検出する温水の温度が上述した沸き上げ温度Tbとなるように、圧縮機1bの回転数、膨張弁3bの開度、および、室外ファン6bの回転数が、それぞれ制御される。
以上説明したように、ヒートポンプ式暖房給湯装置100では、第2ヒートポンプ回路10bを運転することで、貯湯タンク24における沸き上げ運転のみを単独で実行できる。
尚、貯湯タンク24に貯留されている温水の温度が沸き上げ温度Tbとなる、つまり、沸き上げ運転が完了すれば、第2ヒートポンプ回路10bの圧縮機1bは停止し、ヒートポンプ式暖房給湯装置100が停止する。
次に、図4および図5を用いて、上述した沸き上げ運転が完了してヒートポンプ式暖房給湯装置100が停止した後、図1を用いて説明した暖房運転のみ行う状態でヒートポンプ式暖房給湯装置100が起動する場合について説明する。尚、以下の説明では、タイマー運転で開始された沸き上げ運転が午前5時に完了し、その後午前7時に暖房運転が行われる場合を例に挙げて説明する。
図3を用いて説明した、第2ヒートポンプ回路10bのみ運転して沸き上げ運転のみを行っている場合は、沸き上げ運度Tbが高い(本実施形態では、沸き上げ温度Tbは60℃)ことから、貯湯タンク24の熱交換部25における凝縮圧力が高くなる。熱交換部25における凝縮圧力が高くなると、第2ヒートポンプ回路10bの熱源側熱交換器4bに冷媒が偏りやすくなる。
この状態で、午前5時に貯湯タンク24内の水が沸き上げ運度Tbまで上昇して沸き上げ運転が完了して第2ヒートポンプ回路10bが停止し、第2ヒートポンプ回路10bが停止してから2時間が経過した午前7時までの間に、熱源側熱交換器4bに多量の液冷媒が寝込む。そして、熱源側熱交換器4bに多量の液冷媒が寝込んだ状態で、午前7時にヒートポンプ式暖房給湯装置100で暖房運転を開始するために第2ヒートポンプ回路10bを起動すれば、圧縮機1bに熱源側熱交換器4bに滞留している液冷媒が吸い込まれる所謂液バックが発生し、圧縮機1bが破損する虞がある。
そこで、本発明のヒートポンプ式暖房給湯装置100は、沸き上げ運転後の暖房運転開始のときに、以下のように動作する。まずは、図4に示すように、第2ヒートポンプ回路1bは起動せず、第1ヒートポンプ回路10aおよび暖房温水回路30が起動する。このとき、暖房温水回路30の第4三方弁28は、ポートhが閉じられてポートgとポートjとが連通する状態とされている。そして、第1ヒートポンプ回路10aの圧縮機1bおよび暖房温水回路30の循環ポンプ22が起動される。
尚、以下の説明では、図1を用いて暖房運転のみを行う場合について説明したときと同様に、室内ユニット21で使用者が設定する暖房運転の設定温度Tiを24℃、この設定温度Tiを実現するために、室内ユニット21に流入する温水温度の目標値となる目標温水温度Ttを40℃として説明する。
図4に示すヒートポンプ式暖房給湯回路100では、第1ヒートポンプ回路10aおよび暖房温水回路30が運転しているときの各構成装置の動作や冷媒及び温水の流れは、図2を用いて説明した暖房運転と沸き上げ運転とを同時に行う場合と同じであるため、詳細な説明は省略する。また、第1ヒートポンプ回路10aにおいては、水冷媒熱交換器2aから流出する水の温度が上述した第2所定温度T2となるよう、つまり、第1往き温度センサ55で検出した温水温度が第2所定温度T2となるように、圧縮機1aの回転数、膨張弁3aの開度、および、室外ファン6aの回転数が、それぞれ制御される。
図4に示す状態でヒートポンプ式暖房給湯回路100を運転しているときに、水冷媒熱交換器2aから流出する水の温度が第2所定温度T2となれば、図5に示すように、第1ヒートポンプ回路10aおよび暖房温水回路30に加えて、第2ヒートポンプ回路10bが起動される。このとき、第2ヒートポンプ回路10bの第1三方弁7は、ポートcが閉じられてポートaとポートbとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第2三方弁8は、ポートfが閉じられてポートdとポートeとが連通する状態とされている。また、第2ヒートポンプ回路10bの第3三方弁9は、ポートnが閉じられてポートkとポートmとが連通する状態とされている。また、暖房温水回路30の第4三方弁28は、ポートjが閉じられてポートgとポートhとが連通する状態とされている。そして、第2ヒートポンプ回路10bの圧縮機1bが駆動される。
第2ヒートポンプ回路10bが起動した後のヒートポンプ式暖房給湯回路100の動作について、第1ヒートポンプ回路10aおよび暖房給湯回路30の動作は、図1を用いて説明した暖房運転のみを行う場合の動作と同じであるため、詳細な説明を省略する。第2ヒートポンプ回路10bにおいて、圧縮機1bで圧縮されて吐出された冷媒は、水冷媒熱交換器2bの冷媒側流路2baに流入する。水冷媒熱交換器2bの冷媒側流路2baに流入した冷媒は、水冷媒熱交換器2bの水側流路2bbを流れる水と熱交換を行って凝縮し、水冷媒熱交換器2bから流出する。
水冷媒熱交換器2bから流出した冷媒は、膨張弁3bを通過する際に減圧されて熱源側熱交換器4bに流入する。熱源側熱交換器4bに流入した冷媒は、室外ファン6bの回転により熱源側熱交換器4bに流入する空気と熱交換を行って熱源側熱交換器4bから流出する。前述したように、熱源側熱交換器4bには、沸き上げ運転終了時(午前5時)から暖房運転開始時(午前7時)までの間に寝込んだ液冷媒が滞留しているので、熱源側熱交換器4bで冷媒は蒸発し切らず、冷媒は熱源側熱交換器4bから気液二相状態で流出する。
熱源側熱交換器4bから流出した冷媒は、第3三方弁9を介して補助水冷媒熱交換器23の冷媒側流路23aに流入する。補助水冷媒熱交換器23の冷媒側流路23aに流入した冷媒は、補助水冷媒熱交換器23の水側流路23bを流れる温水と熱交換を行って蒸発し、補助水冷媒熱交換器23から流出する。補助水冷媒熱交換器23から流出した冷媒は、冷媒配管11bを流れてアキュムレータ5bを介して圧縮機1bに吸入されて再び圧縮される。
ここで、第1ヒートポンプ回路10aにおいては、水冷媒熱交換器2aから流出する水の温度が上述した第1所定温度T1となるよう、つまり、第1往き温度センサ55で検出した温水温度が第1所定温度T1となるように、圧縮機1aの回転数、膨張弁3aの開度、および、室外ファン6aの回転数が、それぞれ制御される。また、第2ヒートポンプ回路10bにおいては、水冷媒熱交換器2bから流出する水の温度が上述した第2所定温度T2となるよう、つまり、第2往き温度センサ56で検出した温水温度が第2所定温度T2となるように、圧縮機1bの回転数、膨張弁3bの開度、および、室外ファン6bの回転数が、それぞれ制御される。
以上説明したように、本実施形態のヒートポンプ式暖房給湯装置100では、図3に示す状態で沸き上げ運転が完了して第2ヒートポンプ回路10bを停止した後、暖房運転を行うために第2ヒートポンプ回路1bを起動する場合は、図4に示す第1ヒートポンプ回路10aと暖房温水回路30とを先に起動して暖房温水回路30を循環する水の温度を上昇させた後、図5に示すように第3三方弁9のポートkとポートmとが連通するようにして第2ヒートポンプ回路10bを起動する。これにより、補助水冷媒熱交換器23において熱源側熱交換器4bから流出した冷媒と暖房温水回路30を循環する温水との間で熱交換が行われるので、沸き上げ運転終了後に熱源側熱交換器4bに寝込んでいて熱源側熱交換器4bで蒸発し切らない冷媒が、補助水冷媒熱交換器23において蒸発して圧縮機1bに吸入されるので、圧縮機1bへの液バックを防止できる。
尚、次に説明する条件(寝込み解消条件)が成立すれば、ヒートポンプ式暖房給湯装置100は、図5に示す状態から図1に示す状態、つまり、第3三方弁9においてポートkとポートmとが連通して補助水冷媒熱交換器23に冷媒が流れる状態から、ポートkとポートnとが連通して第1バイパス管11cにより補助水冷媒熱交換器23がバイパスされる状態に切り換えられる。
寝込み解消条件は、例えば、圧縮機1bの冷媒吸入側における冷媒の過熱度である吸入過熱度が5℃以上である状態が5分間継続した場合、である。つまり、寝込み解消条件とは、熱源側熱交換器4bに寝込んでいる液冷媒が全て熱源側熱交換器4bから流出し、補助水冷媒熱交換器23において蒸発し、補助水冷媒熱交換器23には熱源側熱交換器4bで蒸発し切った冷媒が供給されていることを示す条件である。尚、圧縮機1bの吸入過熱度は、補助水熱交温度センサ57で検出する補助水冷媒熱交換器23から流出する冷媒の温度から、熱交温度センサ53bで検出する熱源側交換器4bに流入する冷媒の温度を引くことで求めることができる。また、上記吸入過熱度やその継続時間は、外気温度や室内ユニット21から流出する温水の温度に応じて異ならせてもよい。
以上説明した通り、本発明のヒートポンプ式暖房給湯装置は、給湯用ヒートポンプ回路のみ運転している状況で、この給湯用ヒートポンプ回路を停止した後再起動する場合に、暖房温水回路を循環する温水と、給湯用ヒートポンプ回路における熱源側熱交換器から流出する冷媒とを補助水冷媒熱交換器で熱交換させる。これにより、熱源側熱交換器に寝込んでいる液冷媒を、圧縮機に吸入される前に暖房温水回路を流れる温水と熱交換させて蒸発させるので、圧縮機への液バックを防止できる。
尚、以上説明した実施形態では、ヒートポンプ回路を2つ備えたヒートポンプ式暖房給湯装置を例に挙げて説明したが、本発明のヒートポンプ式暖房給湯装置はヒートポンプ回路を3つ以上備えてもよい。そして、ヒートポンプ回路を3つ以上備える場合、例えば、暖房負荷の熱負荷が給湯負荷の熱負荷より大きい場合は給湯用ヒートポンプ回路を1つとする、また、暖房負荷の熱負荷が給湯負荷の熱負荷より小さい場合は給湯用ヒートポンプ回路を2つとする、というように、暖房負荷と給湯負荷との熱負荷のバランスに応じて、適宜給湯用ヒートポンプ回路を増減すればよい。