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JP6092443B1 - 菓子類の食感改良剤及び菓子類の製造方法 - Google Patents

菓子類の食感改良剤及び菓子類の製造方法 Download PDF

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JP6092443B1 JP2016071489A JP2016071489A JP6092443B1 JP 6092443 B1 JP6092443 B1 JP 6092443B1 JP 2016071489 A JP2016071489 A JP 2016071489A JP 2016071489 A JP2016071489 A JP 2016071489A JP 6092443 B1 JP6092443 B1 JP 6092443B1
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Abstract

【課題】本発明は、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する比較的水分含量の高い菓子類の食感を改良することができる食感改良剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、特定のα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を有効成分とする食感改良剤により、しっとりとした食感及び口溶け感を改善し、また、水分を増量させても生地の保形性を保つことが可能であり、経時変化による品質劣化も起きにくい、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する比較的水分含量の高い菓子類を提供する。【選択図】 なし

Description

本発明は、菓子類の食感改良剤及び菓子類の製造方法に関する。
菓子類は加熱製造後経時的にしっとり感を失い、硬くなり、好ましくない食感となり、品質が低下することが知られており、この品質低下の主な原因は澱粉の老化に依ると考えられている。
また、菓子類の中でも、比較的水分の高いスポンジケーキ、ホットケーキ、どら焼き、カステラ、マフィン、マドレーヌ、ドーナッツ、ワッフル、ソフトクッキー等の菓子類は加熱製造後の水分含量が10質量%以上であり、ソフトでしっとりとして口溶けのよい食感を有し、比容積が大きくふんわり感があるものが好まれ、やわらかくても型くずれのない外観が求められる傾向にある。しかし、従来より、加熱製造後にある程度水分が残存する菓子類では、「しっとり感」が強まると、「口溶け」が低下し、ねちゃついた食感となることから、2つの食感を両立させることは非常に難しい課題であった。また、澱粉の老化によって経時的にしっとり感やソフト感が失われ、硬くなり、品質が低下するという問題も存在しており、菓子類の食感をより好ましいものに改善するために、従来から生地に様々な加工澱粉を配合する方法が数多く報告されてきた。
例えば、特許文献1や特許文献2には、ケーキにしっとり感をもたせるため、α化澱粉を配合する方法が開示されている。特許文献3には、内相に優れ、しっとりしたソフトな食感を有して口溶けが良く、且つ経時的な食感の劣化が改善された菓子類を得るために、ヒドロキシプロピル澱粉及び/又はアセチル化澱粉と膨潤抑制澱粉を配合することが開示されている。特許文献4には、しっとりとした食感を有し、かつ歯切れ感と口溶け感が良く、風味も良好で、ボリューム感のあるベーカリー製品を提供するために、酸化澱粉及び/又は酸化アセチル化澱粉粉、或いは、酸化澱粉及び/又は酸化アセチル化澱粉とα化澱粉質を配合する方法が開示されている。特許文献5には、ソフトな食感を有し、且つ経時的な品質劣化が改善されたパン類を経済的に提供することを目的として、膨潤度4.0〜35のα化架橋澱粉を、小麦粉を主原料とする原料穀粉に対し、0.5〜10重量%添加することを特徴とするパン類の製造方法が記載されている。特許文献6には、体積が大きくて食感に優れると共に、軽い食感を有し、且つ経時的な食感の劣化が改善された菓子類を提供するために、架橋澱粉を配合する方法が開示されている。特許文献7には、ケーキ類において優れた食感を持ち、焼成後の体積が大きく、且つ保存時の物性劣化の改善をするために、アセチル化架橋澱粉を配合する方法が開示されている。特許文献8には、何ら食味形状に悪影響を与えることなく、経時的品質劣化を抑制し、且つ、ソフトな食感、しっとりした食感等改善された食感を有するベーカリー食品を製造するために、特定の条件を満たす加工澱粉を使用することが開示されている。
特開平8−224057号公報 特開平11−155482号公報 特開平8−242752号公報 特開2009−273421号公報 特開平4−091744号公報 特開平7−75479号号公報 特開平10−276661号公報 特開平5−015296号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法では、α化澱粉を添加した場合、生地がべとついたり、ミキシングにより生地がばらけたりして成形しにくく、作業性に難点を有する他、得られたベーカリー食品や焼き菓子類も所謂ねちゃついて口溶けが悪くなるという問題があった。特許文献3の記載ようにヒドロキシプロピル澱粉及び/又はアセチル化澱粉と膨潤抑制澱粉を配合しても、菓子類は、水分含量が低く、β澱粉の糊化が不十分であることから、加工澱粉の特性を十分に発揮させることができなかった。特許文献4に記載の方法では、口溶けを向上させるという点において、満足のいくものではなかった。特許文献5に記載の製造方法では、ソフト感は得られるものの、歯切れ、口溶けが十分ではなかった。特許文献6に記載の方法では、体積や食感改良の点で改善は見られるものの、焼成後および冷蔵・冷凍後の食感にしっとり感が十分でなかった。特許文献7に記載の方法では、若干のねちゃつきが感じられ、十分な結果は得られていない。特許文献8に記載の方法では、経時的な食感変化の抑制に関し十分な効果が得られなかった。
このように従来より、菓子類に、ソフト感、しっとり感、口溶け等の食感を付与させるために、菓子類の生地原料に様々な加工澱粉を配合することが報告されているが、菓子類の中で比較的水分の高い食品において、生地の保形性を保ち、しっとりとした食感と口溶けの良い食感を両立するとともに経時変化を抑制することに関して、必ずしも満足のいくものではなかった。
そこで本発明は、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する比較的水分含量の高い菓子類の食感を改良することができる食感改良剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、特定のα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を有効成分とする食感改良剤により、しっとりとした食感及び口溶け感を改善し、また、水分を増量させても生地の保形性を保つことが可能であり、経時変化による品質劣化も起きにくい、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する比較的水分含量の高い菓子類が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の食感改良剤は、小麦粉を含む澱粉質原料を含有し、水分含量が10質量%以上である菓子類の食感改良剤であって、アセチル基含量が2.0〜2.5質量%であり、6質量%の糊粘度が200mPa・s以下となるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を有効成分とすることを特徴とする菓子類の食感改良剤であることを特徴とする。
前記菓子類は、前記澱粉質原料100質量部に対して水分50質量部以上添加して調整された生地を加熱して製造されるものであることが好ましい。
さらに、前記菓子類が、スポンジケーキ、バターケーキ、マフィン、マドレーヌ、ワッフル、ホットケーキ、ブッセ、どら焼き、今川焼、たい焼き、カステラ、蒸しケーキ、蒸しカステラ、ドーナツ、及びクッキーからなる群より選ばれた1種であることが好ましい。
また、本発明の菓子類の製造方法は、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する菓子原料に、前記澱粉質原料100質量部に対して水分を50質量部以上添加して生地を作製し、該生地を所定の形状に成形して加熱することにより、水分含有量が10質量%以上である菓子類を製造する方法において、前記菓子原料中に、アセチル基含量が2.0〜2.5質量%であり、6質量%の糊粘度が200mPa・s以下となるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を0.2〜15質量%添加することを特徴とする。
前記α化アセチル化架橋澱粉は、原料タピオカ澱粉をアセチル化処理及び架橋処理した後、ドラムドライヤーによりα化することにより製造することが好ましい。
本発明の菓子類の食感改良剤によれば、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する比較的水分含量の高い菓子類の食感を改良することができる。具体的には、しっとりとした食感及び口溶け感を改善し、また、水分を増量させても生地の保形性を保つことを可能とし、経時変化による品質劣化を抑制することができる。
また、本発明の菓子類の製造方法によれば、しっとりとした食感及び口溶け感を有し、また、生地の保形性を保ち、経時変化による品質劣化が少ない、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する比較的水分含量の高い菓子類を得ることができる。
本発明に係る菓子類の食感改良剤は、小麦粉を含む澱粉質原料を含有し、水分含量が10質量%以上である菓子類の食感改良剤であって、アセチル基含量が2.0〜2.5質量%であり、6質量%の糊粘度が200mPa・s以下となるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を有効成分とする食感改良剤を含む。
本発明において、菓子類とは、小麦粉を含む澱粉質原料に、砂糖、卵、油脂類、種々の副原料及び適量の水を加えて混練して得た生地を、焼く、揚げる、又は蒸すという加熱処理を施して得られる菓子類を意味する。
本発明における菓子類としては、特に限定されないが、具体的には洋焼き菓子として、デコレーションケーキ、ショートケーキ、及びロールケーキ等のスポンジケーキ類、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、及びマフィン等のバターケーキ類、ワッフル、ホットケーキ、及びブッセ等が挙げられ、焼き和菓子としては、どら焼き、今川焼き、たい焼き、及びカステラ等が挙げられ、蒸し菓子としては、蒸しケーキ、及び蒸しカステラ等が挙げられる。さらに、イーストドーナッツ、及びケーキドーナッツ等のドーナツ類、クッキー類等が挙げられる。
本発明において、小麦粉としては、通常の菓子類の製造に使用されている小麦粉が用いられ、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉等が挙げられる。
本発明において、澱粉質原料としては、小麦粉の他に、ライ麦、米、トウモロコシ、大麦、ひえ、あわ、きび、発芽玄米、黒米、赤米、大豆、小豆、アマランサス、及びキヌアなどの穀物粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、粳米澱粉、餅米澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、及びえんどう豆澱粉などの澱粉、並びにこれらを加工処理したもの等が挙げられる。
本発明において、副原料としては、一般に菓子類の製造に使用されている副原料、或いは菓子類の種類や望まれる品質等によって使用されている副原料で、具体的には食塩、膨張剤、砂糖、三温糖、黒糖、メープル、マルトース、トレハロース、グルコース、異性化糖、オリゴ糖、還元澱粉分解物等の糖質、脱脂粉乳、全乳粉末、牛乳、生クリーム、チーズ、クリームチーズ等の乳製品、ショートニング、マーガリン、バター、液油、乳化油脂等の油脂類、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤、グアガム、キサンタンガム、カラギーナン等の増粘多糖類、シナモン、バジリコ等の香辛料、ブランデー、ラム酒等の洋酒類、レーズン、ドライチェリー等のドライフルーツ、アーモンド、ピーナツ等のナッツ類、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ等の酵素、香料(例えばバニラエッセンス)、人工甘味料(例えばアスパルテーム)、ペクチン、グアガム分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストローズ、アルギン酸ナトリウム、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、難消化性デキストリン等の食物繊維、活性グルテン、大豆蛋白、抹茶パウダー、チョコレート、ココアパウダー等が例示できる。
本発明が適用される菓子類は、水分含量が10質量%以上である菓子類である。本発明は、比較的水分量の多い、しっとりとした食感を有する菓子類に対して、しっとりとした食感と口溶けの良い食感を両立させることを目的としているからである。
本発明において、菓子類の水分含有量は、試料3gを105℃で3時間乾燥し、乾燥前後の試料重量より水分を算出する常圧加熱乾燥法を用いることで測定することができる。
本発明における菓子類は、澱粉質原料100質量部に対して水分50質量部以上添加して調整された生地を加熱して製造されたものであることが好ましい。これによって、加熱後の水分含量が10質量%以上で、しっとり感のある菓子類を得やすくなる。
ここで、澱粉質原料100質量部に対して水分50質量部以上添加の水分とは、水に加えて、卵、水飴、液体調味料中の水分も加味するものであり、例えば、澱粉質原料100gに水を45g添加し、水分76質量%含有する卵を10g添加した場合、原料澱粉質原料100質量部に対して水分52.6質量部を添加したこととなる。
本発明においてタピオカ澱粉としては、ウルチ種のタピオカ澱粉を用いることが好ましい。
本発明においてα化アセチル化架橋タピオカ澱粉のα化処理の方法は、澱粉の加熱糊化に使用されている一般的な方法を用いることができる。具体的には、ドラムドライヤー、ジェットクッカー、エクストルーダー、パドルドライヤー、スプレードライヤー等の機械を使用した加熱糊化法が知られているが、α化率の高いα化澱粉を効率的に製造できる点から、ドラムドライヤーでα化処理を行うことが特に好ましい。
本発明においてα化アセチル化架橋タピオカ澱粉のアセチル化は、通常知られたアセチル化剤、例えば、無水酢酸、酢酸ビニルモノマー等を用いて行うことができ、アセチル基含量が2.0〜2.5質量%になるように調整する。用いるアセチル化剤の添加量、反応時間、反応温度、反応pH等の条件を適宜調整することで当業者であれば、所望のアセチル基含量に調節することができる。アセチル基含量が2.0質量%未満であると菓子類の経時変化が大きくなる傾向があり好ましくない。また、アセチル化剤によるアセチル化反応の効率や、食品衛生法の食品、及び添加物等の規格基準を考慮すれば、アセチル化澱粉のアセチル基含量は2.5質量%以下とすることが好ましい。
アセチル基含量は例えば、以下の方法で求めることができる。
試料5.0gを精密に量り、水50mLに懸濁し、フェノールフタレイン試液数滴を加え、液が微紅色を呈するまで0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液を滴下後、0.45mol/L水酸化ナトリウム溶液25mLを正確に加え、温度が30℃以上にならないように注意しながら栓をして30分間激しく振り混ぜる。0.2mol/L塩酸で過量の水酸化ナトリウムを滴定する。終点は液の微紅色が消えるときとする。別に空試験を行い補正する。下記式(1)により遊離アセチル基含量を求め、更に乾燥物換算を行う。
アセチル基含量(%)=(e−f)×n×0.043×100/w…(1)
上記式(1)中、e:空試験滴定量(mL)、f:試料滴定量(mL)、n:0.2mol/L塩酸の規定度、w:試料乾燥物重量(g)を意味する。
本発明におけるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉の架橋処理としては、常法に従って澱粉に架橋剤を反応させて得られる。この際の架橋剤としては、トリメタリン酸ナトリウム、塩化ホスホリル、アクロレイン、エピクロヒドリンが例示され、更にアジピン酸架橋処理を行う場合には、無水酢酸と共にアジピン酸を使用することも出来る。
糊粘度は、架橋度により適宜設定可能であり、架橋度を高めることで澱粉の膨潤が抑制され、糊粘度を抑えることができ、架橋剤の添加量、反応時間、反応温度、反応pH等の条件を適宜調整することで当業者あれば、所望の糊粘度に調節することができる。6質量%の糊粘度は200mPa・s以下、好ましくは150mPa・s以下である。糊粘度が200mPa・sを超えてしまうと、菓子類の口溶けが悪くなってしまうため、好ましくない。
澱粉の6質量%の糊粘度は、Newport Scientific社製のRapid Visco Analyser:RVA、型式RVA−4を用いて以下の方法で測定した粘度のことである。
すなわち、アルミ缶に固形分換算で試料澱粉1.8gを入れ、精製水を加え総量を30g(6質量%)とした後、パドルをセットし、下記表1の条件で測定する。そして、160rpm回転時に得られた粘度データにおいて、最高粘度を糊粘度とした。
また、本発明におけるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉は、本発明の効果を損なわない範囲で、α化、アセチル化、架橋処理以外の加工処理を施すことに制限は無く、エステル化、エーテル化、酸化、湿熱処理、油脂加工、ボールミル処理、微粉砕処理、加熱処理、温水処理、漂白処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理等の物理加工を施すことにも制限はない。
本発明における菓子類の製造方法は、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する菓子原料に、前記澱粉質原料100質量部に対して水分を50質量部以上添加して生地を作製し、該生地を所定の形状に成形して加熱することにより、水分含有量が10質量%以上である菓子類を製造する方法において、前記菓子原料中に、アセチル基含量が2.0〜2.5質量%であり、6質量%の糊粘度が200mPa・s以下となるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を0.2〜15質量%添加する工程を含むものである。
本発明の菓子類の製造方法は、小麦粉に、α化アセチル化架橋タピオカ澱粉を配合した原料澱粉質原料を用いることにより行われるが、原料澱粉質原料100質量%中におけるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉の配合割合は、0.2〜15質量%が好ましく採用される。α化アセチル化架橋タピオカ澱粉が0.2質量%未満であると、保形性及び食感向上効果が得られず、15質量%より多いと、生地粘度の上昇により焼成後のボリュームが低下したり、食感が硬くなったりしてしまうからである。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試料の調製]
・試料1〜5
タピオカ澱粉に水を添加して、タピオカ澱粉を30〜40質量%含有するスラリーとした。このスラリーを30℃に加温した後、タピオカ澱粉の乾燥質量100質量部に対して2質量部の硫酸ナトリウムを溶解した。その後、水酸化ナトリウムを添加してpH11〜12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して、試料1では0.5、試料2では0.05、試料3では0.04、試料4では0.03、及び試料5では0.02質量部の塩化ホスホリルを添加して1時間反応した。次に、硫酸を添加してpH9〜10に調整した後、pHを維持したまま澱粉の乾燥質量100質量部に対して7質量部の酢酸ビニルモノマーを添加して30分間反応した。さらに、硫酸を添加してpH5〜6に調整した後、水洗、脱水した。得られた生成物に水を添加して、該生成物を30〜40質量%含有するスラリーを調製し、このスラリーを表面温度158℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して試料1〜5を得た(表2)。
・試料6
タピオカ澱粉に水を添加して、タピオカ澱粉を30〜40質量%含有するスラリーとした。このスラリーを30℃に加温した後、水酸化ナトリウムを添加してpH9〜10に調整し、pHを維持したまま澱粉の乾燥質量100質量部に対して7質量部の酢酸ビニルモノマーを添加して30分間反応した。硫酸を添加してpH5〜6に調整した後、水洗、脱水した。得られた生成物に水を添加して、該生成物を30〜40質量%含有するスラリーを調製し、このスラリーを表面温度158℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して試料6を得た(表2)。
・試料7
タピオカ澱粉に水を添加して、タピオカ澱粉を30〜40質量%含有するスラリーとした。このスラリーを30℃に加温した後、タピオカ澱粉の乾燥質量100質量部に対して2質量部の硫酸ナトリウムを溶解し、水酸化ナトリウムを添加してpH11〜12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.05質量部の塩化ホスホリルを添加して1時間反応した。硫酸を添加してpH5〜6に調整した後、水洗、脱水した。得られた生成物に水を添加して、該生成物を30〜40質量%含有するスラリーを調製し、このスラリーを表面温度158℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して試料7を得た(表2)。
・試料8
試料2の調製において、澱粉の乾燥質量100質量部に対して7質量部の酢酸ビニルモノマーを添加する代わりに、1.5質量部の酢酸ビニルモノマーを添加した以外は、試料2と同様にして、試料8を得た(表2)。
・試料9
試料2の調製において、澱粉の乾燥質量100質量部に対して7質量部の酢酸ビニルモノマーを添加する代わりに、3質量部の酢酸ビニルモノマーを添加した以外は、試料2と同様にして、試料9を得た(表2)。
・試料10
水120質量部にタピオカ澱粉100質量部を加えてスラリーとし、撹拌下3%の苛性ソーダ水溶液を加えてpH11.3〜11.5に保持しながら、トリメタリン酸ソーダ0.5質量部を加え、39℃で5時間反応した後、硫酸でpH9.5とし、25℃に冷却した。次いで、3%苛性ソーダ水溶液を加えてpH9.0〜9.5に維持しながら無水酢酸6質量部を加えてアセチル化し、硫酸で中和、水洗、脱水した。得られた生成物に水を添加して、該生成物を30〜40質量%含有するスラリーを調製し、このスラリーを表面温度158℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して試料10を得た(表2)。
・試料11
試料2の調製において、澱粉の乾燥質量100質量部に対して7質量部の酢酸ビニルモノマーを添加する代わりに、8質量部の酢酸ビニルモノマーを添加した以外は、試料2と同様にして、試料11を得た(表2)。
・試料12
試料1の調製において、タピオカ澱粉の代わりにコーンスターチを使用し、且つ澱粉(コーンスターチ)の乾燥質量100質量部に対して0.5質量部の塩化ホスホリルを添加する代わりに、0.8質量部のトリメタリン酸ナトリウムを添加した以外は、試料1と同様にして、試料12を得た(表2)。
・試料13
試料1の調製において、タピオカ澱粉の代わりに馬鈴薯澱粉を使用し、且つ澱粉(馬鈴薯澱粉)の乾燥質量100質量部に対して0.5質量部の塩化ホスホリルを添加する代わりに、1質量部のトリメタリン酸ナトリウムを添加した以外は、試料1と同様にして、試料13を得た(表2)。
・試料14
試料1の調製において、タピオカの代わりにワキシーコーンスターチを使用し、且つ澱粉(ワキシーコーンスターチ)の乾燥質量100質量部に対して0.5質量部の塩化ホスホリルを添加する代わりに、0.1質量部のトリメタリン酸ナトリウムを添加した以外は、試料1と同様にして、試料14を得た(表2)。
・試料15
水120質量部に硫酸ナトリウム20質量部を溶解し、馬鈴薯澱粉100質量部を加えてスラリーとし、撹拌下4%の苛性ソーダ水溶液30質量部、酸化プロピレン10質量部に、トリメタリン酸ソーダ1質量部を加え、41℃で20時間反応した後、硫酸で中和、水洗、脱水した。得られた生成物に水を添加して30〜40質量%のスラリー状に調製し、表面温度158℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して試料15を得た(表2)。
なお、ヒドロキシプロピル基(HP基)含量は以下の方法で測定した。
澱粉試料0.05gを精密に量り、0.5mol/L硫酸を25mL加えて沸騰水浴中で加熱して溶解し、冷却後、水を加えて100mLにした。試料液1.0mLを正確に量り、冷水で冷却しながら硫酸8mLを加え、攪拌した後、沸騰水中で正確に3分間加熱し、直ちに氷水中で冷却した。冷却後、ニンヒドリン試薬0.6mLを管壁に沿って加え、直ちに攪拌し、25℃水浴中で100分間反応させた。これに硫酸15mLを加えた後、静かに攪拌したものを検液とし、5分間後、590nmの吸光度を測定した。対照液は、同じ植物を起源とする未加工澱粉を用い、検液の場合と同様の操作を行った。さらに、検量線作成のため、プロピレングリコールを0、15、30、60μg/mLになるように調製し、これらの液についても検液の場合と同様の操作を行った。検量線から、検液中および対照液中のプロピレングリコール濃度(μg/mL)を求め、下記式(2)によりヒドロキシプロピル基含有量を求めた。
ヒドロキシプロピル基含有量(質量%)=(f−e)×0.007763/w…(2)
上記式(2)中、f:検液中のプロピレングリコール濃度(μg/mL)、e:対照液中のプロピレングリコール濃度(μg/mL)、w:試料乾燥物重量(g)を意味する。
・試料16
タピオカ澱粉に水を添加して、タピオカ澱粉を30〜40質量%を含有するスラリーとした。このスラリーを30℃に加温した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2質量部の硫酸ナトリウムを溶解し、水酸化ナトリウムを添加してpH11〜12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.05質量部の塩化ホスホリルを添加して1時間反応した。その後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2質量部の酸化プロピレンを添加して3時間反応した。硫酸を添加してpH5〜6に調整した後、水洗、脱水した。得られた生成物に水を添加して、該生成物を30〜40質量%含有するスラリーを調製し、このスラリーを表面温度158℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して試料16を得た(表2)。
・試料17
試料16の調製において、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.05質量部の塩化ホスホリルを添加する代わりに、0.02質量部の塩化ホスホリルを添加した以外は、試料16と同様にして、試料17を得た(表2)。
・試料18
タピオカに予め水を添加して30〜40質量%のスラリー状にした。30℃に加温した後、水酸化ナトリウムを添加してpH9〜10に調整し、pHを維持したまま澱粉の乾燥質量100質量部に対して7質量部の酢酸ビニルモノマーを添加して30分間反応した。硫酸を添加してpH5〜6に調整した後、水洗、脱水、乾燥して試料18を得た(表2)。
・試料19
タピオカ澱粉に水を添加して、タピオカ澱粉を30〜40質量%含有するスラリーとした。このスラリーを30℃に加温した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2質量部の硫酸ナトリウムを溶解し、水酸化ナトリウムを添加してpH11〜12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.02質量部の塩化ホスホリルを添加して1時間反応した。硫酸を添加してpH5〜6に調整した後、水洗、脱水、乾燥して試料19を得た(表2)。
・試料20
タピオカ澱粉に水を添加して、タピオカ澱粉を30〜40質量%含有するスラリーとした。このスラリーを30℃に加温した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して2質量部の硫酸ナトリウムを溶解し、水酸化ナトリウム等を添加してpH11〜12に調整した後、澱粉の乾燥質量100質量部に対して0.05質量部の塩化ホスホリルを添加して1時間反応した。硫酸を添加してpH9〜10に調整した後、pHを維持したまま澱粉の乾燥質量100質量部に対して7質量部の酢酸ビニルモノマーを添加して30分間反応した。硫酸を添加してpH5〜6に調整した後、水洗、脱水、乾燥して試料20を得た(表2)。
[実施例1:どら焼きの皮]
上記試料の調製で得られた表2に示す試料1〜20を用いて表3に示す配合比率でどら焼きの皮を作製した。つまり、全卵を混合後、上白糖、蜂蜜、みりん、しょうゆ、水飴を投入して混合し、さらに水を加え混合した。この混合物に、薄力粉、各試料を添加混合し、どら焼きの皮の生地とした。生地は澱粉質原料100質量部に対して水分添加量は145質量部であった。出来あがった生地を裏ごしし、冷蔵庫で一晩ねかした。翌日、ベーキングパウダー、重層、炭酸アンモニウムをねかした生地に添加混合した。ホットプレート焼成し、水分含有量が30質量%のどら焼きの皮を得た。粒餡をサンドし脱酸素剤を封入しシールした後常温保存し、調製1日後および調製35日後の官能検査に供した。
なお、水分含有量は、常圧加熱乾燥法の方法によって測定した(以下の実施例においても同様)。
官能検査は、皮の食感について以下の基準に基づいてパネラー8名で評点評価し、結果を平均値で示す。各試料の評点結果を表4に示す。どら焼きの保形性が良好な生地は、焼成時の皮の形が良好で、焼成後も生地に適度な厚みが形成される。生地粘度が高すぎても低すぎても良好な保形性は得られない。
焼成後のどら焼きの皮の保形性の評価は、生地の形や厚みが良好:○、焼成後生地の形や厚みがやや悪い:△、焼成後の生地の形や厚みが悪い:×、とした。
どら焼きの皮のしっとり感は、無添加区のしっとり感を0点とした場合に、無添加区よりややしっとり感が強い:+1点、しっとりしている:+2点、とてもしっとりしている:+3点、ややしっとり感が劣る:−1点、しっとり感が劣る:−2点、とてもしっとり感が劣る:−3点、の基準で評価した。
どら焼きの皮の口溶け感は、無添加区の口溶けを0点とした場合に、無添加区よりやや口溶けが良い:+1点、口溶けが良い:+2点、とても口溶けが良い:+3点、やや口溶けが悪い:−1点、口溶けが悪い:−2点、とても口溶けが悪い:−3点、の基準で評価した。
どら焼きの皮のソフト感は、無添加区のしっとり感を0点とした場合に、無添加区よりややソフト感が強い:+1点、ソフトである:+2点、とてもソフトである:+3点、ややソフト感が劣る:−1点、ソフト感が劣る:−2点、とてもソフト感が劣る:−3点、の基準で評価した。
どら焼きの皮のふんわり感は、噛んだときにつぶれにくくふんわりとした食感を評価した。無添加区のふんわり感を0点とした場合に、無添加区よりややふんわり感が強い:+1点、ふんわり感が強い:+2点、とてもふんわり感が強い:+3点、ややふんわり感が弱い:−1点、ふんわり感が弱い:−2点、とてもふんわり感が弱い:−3点、の基準で評価した。
試料1〜3及び11は、保形性に優れ、調製1日後および35日後において、しっとり感、口溶け感、ソフト感、ふんわり感で良好であった。特に試料11は、優れた食感改良効果を有していた。
架橋処理は行っているが、粘度が200mPa・sより高い試料4、5は、しっとり感とソフト感は良好な評価が得られたものの、口溶け感が不足し、やや重い食感であった。
架橋処理を行っていない粘度が高い試料6は、粘度が高く、火通りが悪くソフト感が不足していた。また、保形性はやや悪く、食感においては、しっとり感はあるものの、生地がつぶれ易く、口溶け感が悪く、ふんわり感のある食感は得られなかった。
アセチル化処理を行っていない試料7は、調製1日後および35日後においてソフト感と共にしっとり感が不足しており、特に調整35日後のしっとり感が劣っており、硬くてパサついた食感であった。アセチル基含量が低い試料8〜10は、ややしっとり感とソフト感の評価が低く、良好な食感が得られなかった。
コーンスターチを原資とした試料12は、調製35日後のしっとり感やソフト感およびふんわり感が低下し、馬鈴薯澱粉を原資にした試料13も同様の傾向がみられ、経時的な老化による食感低下を抑制する効果が低かった。
ワキシーコーンスターチを原資とし、粘度が200mPa・sより高い試料14はしっとり感とソフト感は良好であったものの、口溶け感が非常に悪く、ふんわり感の評価が低く、重い食感であった。
また、ヒドロキシプロピル化した馬鈴薯澱粉である試料15は、調製35日後の口溶け感が低下し、ややじっとりとして口溶けが良好でなかった。
ヒドロキシプロピル化した試料16、17は、しっとり感やソフト感は良好であったものの、口溶け感が非常に悪く、ふんわり感の無い食感であった。
α化処理を行わなかった試料18〜20は、生地の粘度が低く、保形性が悪く、食感改良効果は全体を通して良好なものではなかった。
[実施例2:イーストドーナツ]
上記試料の調製で得られた表2に示す試料1、2、3、4、5、6、及び10を用いて表5に示す配合比率でイーストドーナツを作製した。つまり、強力粉、薄力粉、試料、ベーキングパウダー、イースト、イーストフード、上白糖、ぶどう糖、脱脂粉乳、食塩に溶いた全卵、水を添加撹拌後、油脂を添加して混捏した。28℃、湿度74%で60分間一次発酵させ、40gに分割し、ベンチタイム20分後にガス抜き成型し、36℃で45分間二次発酵させ、170℃で3分間フライしイーストドーナツを得た。イーストドーナツの生地は、原料澱粉質原料100質量部に対して水分添加量が56質量部であった。また、フライ後の水分含有量は27質量%であった。調製1日後と調製3日後に官能検査を実施した。
官能検査は、ドーナツの食感について、しっとり感、口溶け感、及びふんわり感は実施例1と同様に、サックリ感は以下の基準に基づいて、パネラー8名で評点評価し結果を平均値で示す。各試料の評点結果を表6に示す。
ドーナツのサックリ感は、噛んだときの歯切れを評価したものであり、無添加区のサックリ感を0点、無添加区よりややサックリ感が強い:+1点、サックリ感が強い:+2点、とてもサックリ感が強い、ややサックリ感が劣る:−1点、サックリ感が劣る:−2点、とてもサックリ感が劣る:−3点、の基準で評価した。
試料1、2、3は調製1日後および調製3日後においてしっとりとして、口溶け感の良い食感であった。また、ふんわりとしてサックリとした歯切れの良いものであった。一方、アセチル基含量がやや低い試料10は、しっとり感が不足し、特に調製3日後はパサついた食感であった。架橋処理を行っていない粘度の高い試料6は、ねちゃついた食感で口溶け感が非常に悪かった。架橋処理は行われているが、粘度がやや高い試料4及び5も口溶けがやや悪く良好な食感が得られなかった。
[実施例3:蒸しケーキ]
上記試料の調製で得られた試料1、2、3、4、5、6、及び10を用いて、表7に示す配合比率で蒸しケーキを作製した。つまり、上白糖、食塩、乳化油脂、全卵、サラダ油をミキサーボールに入れ撹拌した。さらに薄力粉、試料、ベーキングパウダー、水、水飴を加え、撹拌することで最終的な比重を0.4とし、蒸し加熱にて調製した。蒸しケーキは薄力粉に対して水分添加量が128質量部であった。また、焼成後の水分含有量は36質量%であった。調整1日後と調製4日後に官能検査を実施した。
官能検査は、蒸しケーキの食感について、実施例1と同様に、以下の基準に基づいてパネラー8名で評点評価し、結果を平均値で示した。各試料の評点結果を表8に示す。
試料1、2、3は、ケーキの生地に適度な粘度付けが出来、保形性が良好であった。また、しっとり感が強く、口溶けも良好であった。架橋処理を行っていない粘度が高い試料6は、しっとり感は良好なものの、生地粘度の上昇により生地が硬くなり、焼成時の生地の広がりが悪く、保形性の評価は良好ではなかった。また、食感は口溶け感が悪く、ふんわり感も弱かった。アセチル基含量がやや低い試料10は、調製4日後においてしっとり感が低下し、ややパサついた食感であった。架橋処理は行われているが、粘度が200mPa・sより高い試料4、5は口溶けが好ましくなかった。
[比較例1:パイ]
上記試料の調製で得られた試料2、5、6、10、及び11を用いて表9に示す配合比率でパイを作製した。つまり、マーガリン12質量部に水を少しずつ加えて混合し、食塩、中力粉、試料を添加して撹拌した。一晩冷蔵庫内で寝かした後にマーガリン75質量部を折り込んでパイ生地を作製し、冷蔵庫でさらに寝かした後に折り込んで層をつくり、4mm厚に伸ばしたパイシートを型抜きして約200℃で、20分焼成した。パイの生地は澱粉質原料100質量部に対して水分の添加量が40質量部であり、焼成後の水分含有量は5質量%であった。調整1日後のパイを、官能検査に供した。
官能検査は、パイの食感について、しっとり感、及び口溶け感は実施例1と同様に、サクサク感は以下の基準に基づいてパネラー8名で評点評価し、結果を平均値で示す。各試料の評点結果を表10に示す。
パイのサクサク感は、無添加区のサクサク感を0点、無添加区よりややサクサク感が強い:+1点、サクサク感が強い:+2点、とてもサクサク感が強い:+3点、ややサクサク感が劣る:−1点、サクサク感が劣る:−2点、とてもサクサク感が劣る:−3点、の基準で評価した。
なお、パイのしっとり感は、口あたりにボソつきや粉っぽさが無く口あたりが良いときにしっとり感が強いと評価している。
また、パイの浮き(膨らみ)を、パイの浮きが無添加区よりとても良い:◎、パイの浮きが無添加区より良い:○、パイの浮きが無添加区よりやや良い:△、の基準で評価した。
試料2、10、11は、パイの浮きが改善されず、サクサク感が不足していた。架橋処理が行われていない粘度の高い試料6は、浮きが良好でサクサクとした食感で口溶け感が良好であった。架橋処理は行われているが、粘度がやや高い試料5は、ややサクサク感があり、口溶け感もやや良好であった。しかしながら、試料2、5、6、10、11の全てにおいてしっとり感は十分と言えるほど良好なものではなかった。
[比較例2:ウエハース]
上記試料の調製で得られた試料2、5、6、11、及び20を用いて表11に示す配合比率にてウエハースを作製した。つまり、食塩、脱脂粉乳、炭酸水素アンモニウム、重曹を予め混合しておき、この混合物に卵黄、水を添加し、撹拌した。さらに中力粉と試料を加え、撹拌し、冷蔵庫で1時間ねかした。ワッフルメーカー型に流して焼成し、ウエハースとした。ウエハースの焼成前の生地は、原料澱粉100質料部に対しての水分添加量が136質量部であり、加熱後の水分含有量は1質量%であった。調製1日後に官能検査を実施した。
官能検査は、ウエハースの食感について、しっとり感、口溶け感、サクサク感は比較例1と同様に、パネラー8名で評点評価し、結果を平均値で示す。各試料の評点結果を表12に示す。
α化処理した試料2、5、6、11は、ウエハースが硬くなり、しっとり感、口溶け感、サクサク感全てにおいての良好な食感は得られなかった。α化処理していない試料20は、良好な口溶け感を有し、軽くサクサクとした食感であったが、しっとり感は好ましくなかった。
[比較例3:焼きまんじゅう]
上記試料の調製で得られた試料2、5、6、11、及び20を用いて表13に示す配合比率で焼きまんじゅうを作製した。つまり、上白糖、蜂蜜、全卵、バターをボールに入れ湯煎にかけゴムヘラで撹拌しながら上白糖を溶解した。溶解後常温で室温まで冷却後、重曹と水を添加し撹拌後、薄力粉、試料を添加混合した。出来上がった生地を室温にて1時間ねかせた後、餡を包み、180℃のオーブンで焼成した。焼成前の焼きまんじゅうの生地は、原料澱粉質原料100質量部に対して水分の添加量は35質量部であり、焼成後の水分含有量は19質量%であった。調製1日後および調製45日後に官能検査を実施した。
官能検査は、焼きまんじゅうの食感について、しっとり感、口溶け感、サックリ感は実施例2と同様に、パネラー8名で評点評価し、結果を平均値で示す。各試料の評点結果を表14に示す。
α化していない試料20は、保形性は悪かったが、サックリ感があり、また口溶け感の良い食感であった。アセチル基含量が高く、架橋処理は行われているがやや粘度の高い試料5はしっとり感があるものの、サックリ感が弱く、口溶け感が悪かった。試料2はややしっとり感はあるものの、やはり口溶け感とサックリ感が悪かった。試料6、11は、しっとり感は良好なものの、口溶け感が非常に悪く、しっとり感と口溶け感の両立は不可能であった。

Claims (5)

  1. 小麦粉を含む澱粉質原料を含有し、水分含量が10質量%以上である菓子類の食感改良剤であって、アセチル基含量が2.0〜2.5質量%であり、6質量%の糊粘度が200mPa・s以下となるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を有効成分とすることを特徴とする菓子類の食感改良剤。
  2. 前記菓子類が、前記澱粉質原料100質量部に対して水分50質量部以上添加して調整された生地を加熱して製造されるものである、請求項1記載の菓子類の食感改良剤。
  3. 前記菓子類が、スポンジケーキ、バターケーキ、マフィン、マドレーヌ、ワッフル、ホットケーキ、ブッセ、どら焼き、今川焼、たい焼き、カステラ、蒸しケーキ、蒸しカステラ、ドーナツ、及びクッキーからなる群より選ばれた1種である、請求項1又は2記載の食感改良剤。
  4. 小麦粉を含む澱粉質原料を含有する菓子原料に、前記澱粉質原料100質量部に対して水分を50質量部以上添加して生地を作製し、該生地を所定の形状に成形して加熱することにより、水分含有量が10質量%以上である菓子類を製造する方法において、前記菓子原料中に、アセチル基含量が2.0〜2.5質量%であり、6質量%の糊粘度が200mPa・s以下となるα化アセチル化架橋タピオカ澱粉を0.2〜15質量%添加することを特徴とする菓子類の製造方法。
  5. 前記α化アセチル化架橋澱粉を、原料タピオカ澱粉をアセチル化処理及び架橋処理した後、ドラムドライヤーによりα化することにより製造する請求項4記載の菓子類の製造方法。
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