JP6064915B2 - 発現ベクターおよび蛋白質の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]下記蛋白質(Y)をコードする構造遺伝子配列(y)と、前記構造遺伝子配列(y)の下流に位置し、取得しようとする蛋白質である蛋白質(Z)をコードする構造遺伝子配列(z)と、前記蛋白質(Y)部分と前記蛋白質(Z)部分とを含む融合蛋白質を発現させるためのプロモーター配列およびターミネーター配列とを含む発現カセットを有し、
前記蛋白質(Y)がPDI1(protein disulfide isomerase 1)の部分蛋白質、またはその変異蛋白質であり、
前記PDI1の部分蛋白質が、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質、または、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとb’ドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質であり、
前記変異蛋白質が、前記PDI1の部分蛋白質のうち、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加された蛋白質であることを特徴とする発現ベクター。
[2]前記PDI1が、酵母のPDI1、糸状菌由来のPDI1またはヒト由来のPDI1である、前記[1]のいずれの発現ベクター。
[3]前記構造遺伝子配列(y)と前記構造遺伝子配列(z)の間に、細胞内または細胞外で前記蛋白質(Z)部分のN末端側で切断される部位として機能するアミノ酸もしくはペプチドからなる切断部位(W)をコードする構造遺伝子配列(w)を有する、前記[1]または[2]の発現ベクター。
[4]前記切断部位(W)が、細胞内において前記融合蛋白質の蛋白質(Z)部分のN末端側で切断される部位である、前記[3]の発現ベクター。
[5]前記切断部位(W)が、KR(K:リジン、R:アルギニン)である、または前記蛋白質(Z)部分に結合するC末端側がKRであるアミノ酸数3以上のペプチドである、前記[4]の発現ベクター。
[6]前記切断部位(W)が、前記融合蛋白質の蛋白質(Z)部分のN末端側で切断しうるプロテアーゼによって認識される部位である、前記[3]の発現ベクター。
する形質転換体の製造方法。
さらに、形質転換体の製造方法としては、以下の[7−2]の製造法が好ましい。[7−2]前記[1]〜[6]のいずれの発現ベクターを宿主細胞へ導入し、前記発現ベクター中の発現カセットを宿主細胞の染色体の少なくとも1か所に組み込むことを特徴とする形質転換体の製造方法。
[8]前記[1]〜[6]のいずれの発現ベクターを染色体外遺伝子として有することを特徴とする形質転換体。
[9]前記[1]〜[6]のいずれの発現ベクター中の発現カセットを、染色体中に有することを特徴とする形質転換体。
また、前記[8]および[9]の形質転換体における宿主細胞は、酵母または糸状菌であることが好ましく、さらに前記宿主細胞は、シゾサッカロミセス(schizosaccharomyces)属酵母であることがより好ましい。
さらに、蛋白質の製造方法としては、以下の[10−2]と[11]の方法が好ましい。[10−2]前記[4]または[5]の発現ベクター中の発現カセットを染色体中に有するか、または、前記[4]または[5]の発現ベクターを染色体外遺伝子として有する形質転換体を培養し、得られた培養液から前記蛋白質(Z)を取得することを特徴とする、蛋白質の製造方法。
[11]前記[6]の発現ベクター中の発現カセットを染色体中に有するか、または、前記[6]の発現ベクターを染色体外遺伝子として有する形質転換体を培養し、得られた培養液から前記融合蛋白質を取得し、次いでプロテアーゼにより該融合蛋白質の蛋白質(Z)部分のN末端側で切断して前記蛋白質(Z)を製造することを特徴とする、蛋白質の製造方法。
前記蛋白質(Y)がPDI1の部分蛋白質、またはその変異蛋白質であり、
前記PDI1の部分蛋白質が、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質、または、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとb’ドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質であり、
前記変異蛋白質が、前記PDI1の部分蛋白質のうち、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加された蛋白質であることを特徴とするクローニングベクター。
さらに、上記クローニングベクターとしては、下記[12−2]のクローニングベクターが好ましい。[12−2]前記構造遺伝子配列(y)と前記クローニングサイトの間に、KRをコードする、または、C末端側がKRであるアミノ酸数3以上のペプチドをコードする、構造遺伝子配列(w)を有する、クローニングベクター。
また、該形質転換体を用いた本発明の蛋白質の製造方法により、蛋白質を効率よく分泌できる。
形質転換体から分泌させた蛋白質が取得しようとする蛋白質(すなわち、蛋白質(Z))である場合には、培養液から蛋白質(Z)を取得できる。また、分泌させた蛋白質が融合蛋白質の場合には、該融合蛋白質から蛋白質(Z)を製造できる。
本発明の発現ベクターは、下記蛋白質(Y)をコードする構造遺伝子配列(y)と、前記構造遺伝子配列(y)の下流に位置し、取得しようとする蛋白質である蛋白質(Z)をコードする構造遺伝子配列(z)と、前記蛋白質(Y)部分と前記蛋白質(Z)部分とを含む融合蛋白質を発現させるためのプロモーター配列およびターミネーター配列とを含む発現カセットを有し、前記蛋白質(Y)がPDI1の全長蛋白質、PDI1の部分蛋白質、またはこれらの変異蛋白質であることを特徴とする。
分泌シグナルペプチドに代えて、PDI1の全長蛋白質、PDI1の部分蛋白質、または該変異蛋白質を用いることにより、効率よく蛋白質を宿主から分泌された状態で生産できる。分泌された蛋白質が蛋白質(Z)である場合は培養液から該蛋白質(Z)が得られる。分泌された蛋白質が融合蛋白質である場合には、培養液中で、または培養液から分離した後、融合蛋白質の蛋白質(Z)部分のN末端側で融合蛋白質を切断して、蛋白質(Z)を得ることができる。
蛋白質(Y)は、PDI1の全長蛋白質、PDI1の部分蛋白質、またはこれらの変異蛋白質である。
PDI1は、分子シャペロン機能を持ち、ERに局在する酵素であり、ER中の蛋白質をリフォールディングする役割を担う。PDI1には、分子シャペロン機能を担う部分以外に、リボゾームで合成されたPDI1がERに移行するためのシグナルとして機能する部分(ER移行シグナル)、PDI1をERに繋ぎ止めるためのシグナルとして機能する部分(ER局在シグナル)等を有する。
前記のように、PDI1を外来の分泌蛋白質と共発現させることにより、該分泌蛋白質の分泌生産量が増大することが知られている。これは、合成された分泌蛋白質がERを通過する際に、PDI1の分子シャペロン機能により適切な高次構造形成が促進されるためと推察される。PDI1は、ER局在シグナルにより通常はERに局在しているが、過剰発現させた場合には、細胞外へ分泌される。
ドメインやシグナルの単位で部分蛋白質を表すと、たとえば、N末端から順に、ER移行シグナルとaドメインとbドメインとから構成される部分蛋白質[以下、PDI1(ab)]、ER移行シグナルとaドメインとbドメインとb’ドメインとから構成される部分蛋白質[以下、PDI1(abb’)]、ER移行シグナルとaドメインとbドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質[以下、PDI1(abx)]、ER移行シグナルとaドメインとbドメインとb’ドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質[以下、PDI1(abb’x)]、cドメインがないPDI1である部分蛋白質[以下、PDI1(−c)]、ER局在シグナルがないPDI1の部分蛋白質[以下、PDI1(−ADEL)]が挙げられる。
前記部分蛋白質に存在しないドメインやシグナルは、それらの機能が失われている限り、その一部の領域が前記部分蛋白質に存在していてもよい。たとえば、PDI1(−c)においては、そのa’ドメインのC末端側にcドメインのN末端側の一部が存在していてもよい。
アミノ酸配列同士の同一性(相同性)は、2つのアミノ酸配列を、対応するアミノ酸が最も多く一致するように、挿入および欠失に当たる部分にギャップを入れながら並置し、得られたアラインメント中のギャップを除くアミノ酸配列全体に対する一致したアミノ酸の割合として求められる。
相同性の割合の数値は、アミノ酸配列全体を平均した値であり、部分的に該数値よりも高い部分と低い部分が存在しうる。たとえば、蛋白質(Y)としての機能上、必ずしも必要とされていないドメインにおける相同性は低くてもよい。必要とされる機能(ER移行シグナルとしての機能)を担う部分、存在することが好ましい機能(分子シャペロン機能等)を担う部分のアミノ酸配列の相同性は高い方が好ましい。
アミノ酸配列同士の類似性(配列類似性)は、2つのアミノ酸配列を、対応するアミノ酸が最も多く一致するように、挿入および欠失に当たる部分にギャップを入れながら並置し、得られたアラインメント中のギャップを除くアミノ酸配列全体に対して、化学的性質の類似するアミノ酸が一致した割合として求められる。
アミノ酸配列同士の同一性および類似性は、該技術分野で公知の各種相同性検索ソフトウェアを用いて求めることができる。本発明におけるアミノ酸配列の相同性の値は、公知の相同性検索ソフトウェアClustalW(スコア行列としてBLOSUMスコアマトリクスを採用)により得られたアライメントを元にした計算によって得られる。
(1)水酸基を有する親水性の中性アミノ酸であるセリンおよびトレオニン。
(2)嵩高い疎水性の側鎖を有する疎水性アミノ酸であるメチオニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン。
(3)親水性の酸性アミノ酸であるアスパラギン酸およびグルタミン酸。
(4)カルボキシル基がアミド化した官能基を有する親水性の中性アミノ酸であるアスパラギンおよびグルタミン。
(5)親水性の塩基性アミノ酸であるリジン、アルギニン、およびヒスチジン。
(6)芳香環を有する疎水性アミノ酸であるフェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン。
(7)側鎖の構造が類似しているアスパラギンおよびアスパラギン酸、またはグルタミンおよびグルタミン酸の組み合わせ。
本発明の発現ベクターは、蛋白質(Y)をコードする構造遺伝子配列(y)と、該構造遺伝子配列(y)の下流に位置し、蛋白質(Z)をコードする構造遺伝子配列(z)を有する。蛋白質(Z)は、本発明の発現ベクターを導入して製造された形質転換体によって生産させる目的の蛋白質である。
C末端の配列がDDDDKであるアミノ酸数6以上の配列またはIEGRであるアミノ酸数5以上の配列のアミノ酸数は、限定されるものではないが、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。切断部位(W)の長さが長いと融合蛋白質(YWZ)が大きくなり、細胞内における生産効率が低下するおそれがある。
本発明の発現ベクターは、造遺伝子配列(y)の上流にプロモーターを、構造遺伝子配列(z)の下流にターミネーターを有する。該プロモーターおよびターミネーターにより、蛋白質(Y)部分と蛋白質(Z)部分を有する融合蛋白質が合成される。
シゾサッカロミセス属酵母内で機能でき、かつ外来のプロモーターとしては、たとえば、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、特開平10−234375号公報に記載されている動物細胞ウイルス由来のプロモーターが挙げられ、hCMVプロモーター、SV40プロモーターが好ましい。
シゾサッカロミセス属酵母内で機能するターミネーターとしては、たとえば、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、特開平10−234375号公報に記載されているヒト由来のターミネーターが挙げられ、ヒトリポコルチンIのターミネーターが好ましい。
本発明の発現ベクターは、プロモーター配列、構造遺伝子配列(y)、構造遺伝子配列(z)、およびターミネーター配列を含む発現カセットを有するベクターである。好ましくは、さらに、構造遺伝子配列(y)と構造遺伝子配列(z)の間に前記構造遺伝子配列(w)を有するベクターである。なお、発現カセットとは、前記融合蛋白質を発現するために必要なDNAの組み合わせである。
該発現カセットには、プロモーター配列の下流であり、かつ構造遺伝子配列(y)の上流に5’−非翻訳領域が含まれていることが好ましい。また、構造遺伝子配列(z)の下流であり、かつターミネーター配列の上流に3’−非翻訳領域が含まれていることが好ましい。さらに、構造遺伝子配列(z)の下流であり、かつターミネーター配列の上流に(3’−非翻訳領域が含まれている場合にはその上流に)、終止コドンを備えていてもよい。
また、本発明の発現ベクターは、該発現カセットを1個のみ含んでいてもよく、2個以上含んでいてもよい。
前者の形質転換体を作製する場合には、本発明の発現ベクターは、宿主細胞内で複製されるための配列、即ち、自律複製配列(Autonomously Replicating Sequence: ARS)を含む発現ベクターであることが好ましい。
後者の形質転換体を作製する場合には、本発明の発現ベクターは、線状DNA構造であり、かつARSを有していないものとして、宿主細胞へ導入されることが好ましい。たとえば、本発明の発現ベクターは、線状DNAからなるベクターであってもよく、宿主への導入時に、線状DNAに切り開くための制限酵素認識部位を備える環状DNA構造のベクターであってもよい。本発明の発現ベクターがARSを有する場合、ARS部分を削除して線状DNA構造、またはARS部分を開裂させることによりARSの機能を失活させた線状DNA構造とした後、宿主へ導入できる。
本発明の発現ベクターは、前記構造遺伝子配列(z)に代えて該構造遺伝子配列(z)を挿入するためのクローニングサイトを備えた発現カセットを含むクローニングベクターを用いることによっても構築できる。たとえば、本発明の発現ベクターは、下記クローニングベクターのクローニングサイトに、構造遺伝子配列(z)若しくはその部分配列を組み込むことにより構築することもできる。なお、該クローニングサイトには、構造遺伝子配列(w)を構造遺伝子配列(z)と共に組み込むこともできる。
本発明のクローニングベクターは、宿主細胞内で機能しうるプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に位置しかつ該プロモーターによって支配される前記構造遺伝子配列(y)、該構造遺伝子配列(y)の下流に位置しかつ構造遺伝子を導入するためのクローニングサイト、および、該宿主細胞内で機能しうるターミネーター配列を有することを特徴とする。本発明のクローニングベクターは、大腸菌のDNA複製開始点(ori)を有していることが好ましい。クローニングベクターから発現ベクターを構築する際には、通常、発現ベクターを増幅することが必要であり、発現ベクター増幅のために大腸菌が宿主として使用される。
本発明の形質転換体は、前記発現カセットを、染色体中に有するか、または、染色体外遺伝子として有することを特徴とする。発現カセットを染色体中に有するとは、宿主細胞の染色体中の1カ所以上に発現カセットが組み込まれていることであり、染色体外遺伝子として有するとは、発現カセットを含む発現ベクターを細胞内に有するということである。形質転換体の継代培養が容易であることから、該発現カセットを染色体中に有することが好ましい。
本発明の形質転換体は、具体的には、本発明の発現ベクターを宿主細胞へ導入して製造される。
本発明の形質転換体の宿主は、通常、外来蛋白質等を発現させる際に宿主として用いられるいずれの生物種由来の細胞であってもよい。たとえば、大腸菌等の原核細胞であってもよく、酵母、糸状菌等の真核細胞微生物であってもよく、哺乳細胞、昆虫細胞等の動物細胞であってもよく、植物細胞であってもよい。
たとえば、オロチジン5’−リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(ura4遺伝子)が欠失または失活してウラシル要求性となっているシゾサッカロミセス属酵母を宿主とし、ura4遺伝子(栄養要求性相補マーカー)を有する発現ベクターにより形質転換した後、ウラシル要求性が消失したものを選択することにより、発現ベクターが組み込まれた形質転換体を得ることができる。宿主において欠落により栄養要求性となる遺伝子は、形質転換体の選択に用いられるものであればura4遺伝子には限定されず、イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(leu1遺伝子)等であってもよい。
前記発現ベクターを用いて、宿主を形質転換する。形質転換方法は、公知の形質転換方法をいずれも用いることができる。該形質転換方法としては、たとえば、酢酸リチウム法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、ガラスビーズ法等従来周知の方法や、特開2005−198612号公報記載の方法等が挙げられる。また、市販の酵母形質転換用キットを用いてもよい。
本発明の形質転換体は、形質転換前の宿主と同様に培養できる。
本発明の形質転換体の培養のための培養液には、宿主と同種の細胞の培養に用いられる公知の培養培地を用いることができ、宿主細胞が資化しうる炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、宿主細胞の培養を効率良く行えるものであればよい。培養液としては、天然培地を用いてもよく、合成培地を用いてもよい。
窒素源としては、たとえばアンモニア、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機酸または無機酸のアンモニウム塩、ペプトン、カザミノ酸が挙げられる。
無機塩類としては、たとえばリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウムが挙げられる。
培養温度は、23〜37℃であることが好ましい。また、培養時間は適宜決定できる。
培養は、回分培養であってもよく、連続培養であってもよい。
本発明の蛋白質の製造方法は、本発明の発現ベクターを宿主細胞へ導入して得られた形質転換体(本発明の形質転換体)を培養し、得られた培養液から蛋白質(Z)または前記融合蛋白質を取得することを特徴とする。
単離・精製した蛋白質の確認方法としては、公知のウエスタンブロッティング法または活性測定法が挙げられる。精製された蛋白質は、アミノ酸分析、アミノ末端分析、一次構造解析等によりその構造を明らかにできる。
S.pombeのPDI1の全長蛋白質を蛋白質(Y)として用いた。
(発現ベクターの構築)
まず、公知のクローニングベクターpSL6のマルチクローニングサイトに、S.pombeのPDI1をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1、S.pombeのPDI1をコードする構造遺伝子の終止コドンを削除してAflIIの制限酵素認識部位を付加した遺伝子配列を挿入した遺伝子融合用ベクターpPDI1−AflIIを、それぞれ作製した。
具体的には、S.pombeの野生株(ARC032株、ATCC38366、972h−相当)由来のゲノムDNAを鋳型とし、5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を備えるフォワードプライマー(配列番号9)および5’末端にSalIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号10)とを用いたPCRによって、PDI1遺伝子のORF全長の5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にSalIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1フラグメント)を得た。
該PDI1フラグメントを制限酵素BspHIおよびSalIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびSalIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1とした。
また、S.pombeの野生株由来のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび5’末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号11)とを用いたPCRによって、PDI1遺伝子のORF全長のうち終止コドンを削除し、5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3'末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1-AflIIフラグメント)を得た。
該PDI1-AflIIフラグメントを制限酵素BspHIおよびKpnIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1−AflIIとした。
具体的には、変異型hTFをコードする人工合成遺伝子(配列番号12)を鋳型とし、5’末端にAflIIの制限酵素認識部位を備えるフォワードプライマー(配列番号13)および5’末端にXbaIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号14)とを用いたPCRによって、変異型hTF遺伝子のORF全長の5’末端にAflIIの制限酵素認識部位を、3’末端にXbaIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(変異型hTFフラグメント)を得た。
該変異型hTFフラグメントおよびpPDI1−AflIIそれぞれを制限酵素AflIIおよびXbaIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1−hTFとした。
また、変異型hTFをコードする人工合成遺伝子を鋳型とし、5’末端にAflIIの制限酵素認識部位およびKRペプチド配列をコードするコドンを備えるフォワードプライマー(配列番号15)および、配列番号14のリバースプライマーとを用いたPCRによって、変異型hTF遺伝子のORF全長の5’末端にAflIIの制限酵素認識部位とKRペプチド配列をコードするコドンを、3’末端にXbaIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(KR付き変異型hTFフラグメント)を得た。
該KR付き変異型hTFフラグメント、pPDI1−AflIIおよびpSL6P3それぞれを制限酵素AflIIおよびXbaIで二重消化し、KR付き変異型hTFフラグメントとpPDI1−AflII、またはpSL6P3をライゲーションし、続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1−KR−hTF、pP3hTFとした。
本試験例では、宿主として、S.ポンベのロイシン要求株ARC001(遺伝子型:h− 、leu1−32)(以下、A0株)の8つのプロテアーゼ遺伝子を欠失させたA8株(遺伝子型:h− 、leu1−32、ura4−D18、△psp3、△isp6、△oma1、△ppp16、△fma2、△sxa2、△atg4、△ppp20)を用いた。A8株は、遺伝子カセットを用いた標的ORFの遺伝子置換によりあらかじめ構築された株である(国際公開第2007/015470号参照。)。
A8株をYES(0.5%酵母エキス、3%グルコース、0.1mg/mL SPサプリメント)培地で0.6×107細胞数/mLになるまで生育させた。集菌、洗浄後1.0×108細胞数/mLになるように0.1M 酢酸リチウム(pH5.0)に懸濁した。その後、懸濁液100μLに前記で得られた各発現ベクターを制限酵素NotIで消化したもの1μgを加え、さらに50%(w/v)ポリエチレングリコール(PEG4000)水溶液を260μL加えてよく撹拌した後、30℃で30分間インキュベートし、43μLのDMSOを添加後にさらに42℃で5分間インキュベートした。遠心によりPEG4000を除去し、洗浄後150μLの滅菌水に懸濁し、最少寒天培地に塗布した。3〜5日後、形質転換体を得た。
pP3hTFを用いて得た形質転換体をP3hTF株、pP3hTFおよびpPDI1を用いて得た形質転換体をP3hTF+PDI1株、pPDI1を用いて得た形質転換体をPDI1株、pPDI1−hTFを用いて得た形質転換体をPDI1−hTF株、pPDI1−KR−hTFを用いて得た形質転換体をPDI1−KR−hTF株とした。
各形質転換体およびA8株をそれぞれ試験管内の5mLのYPD+MES(1%酵母エキス、1%ペプトン、2%グルコース、0.3M 2−モルホリノエタンスルホン酸一水和物)培地(pH6.0)に植菌し、32℃で3日間培養した。培養液を遠心分離処理し、回収された培養上清4mLにTCA(トリクロロ酢酸)溶液を終濃度10%(w/w)になるよう添加して冷却し、得られた沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち15μL(培養上清1.5mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライし、SDS−PAGE後にCBB染色し、染色像をLAS4000イメージングシステム(富士フィルム社製)で検出した。また、該サンプルのうち2.5μL(培養液0.25mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライし、SDS−PAGE後にPVDF膜に転写し、ウェスタンブロットを行った。ウェスタンブロットの一次抗体としては、1:500に希釈したヤギポリクローナル抗hTF抗体(CALBIOCHEM社製、米国)を用い、二次抗体としては、1:1000に希釈したフォスファターゼ結合ウサギ抗ヤギIgG抗血清(Kirkegaard and Perry Laboratories,Inc.製、米国)を用いた。また、hTFバンド(hTFに特異的なシグナル)は、高感度化学発光(BCIP/NBT Phosphatase Substrate、Kirkegaard and Perry Laboratories,Inc.製、米国)により可視化し、検出した。
S.pombeのPDI1の部分蛋白質の分泌されやすさを調べた。
(発現ベクターの構築)
pSL6のマルチクローニングサイトに、S.pombeのPDI1(ab)をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1(ab)、PDI1(abx)をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1(abx)、PDI1(abb’)をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1(abb’)、PDI1(abb’x)をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1(abb’x)、PDI1(−c)をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1(−c)、PDI1(−x)をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1(−x)、またはPDI1(−ADEL)をコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpPDI1(−ADEL)を、それぞれ作製した。PDI1(−x)は、PDI1の全長蛋白質からxドメインを削除した部分蛋白質である。
また、pPDI1を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび5’末端にKpnIの制限酵素認識部位とPDI1のxドメインをコードする遺伝子を備えるリバースプライマー(配列番号21)とを用いたPCRによって、PDI1の1から232番目までのアミノ酸のC末端にxドメインを配した蛋白質をコードする構造遺伝子の5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1(abx)フラグメント)を得た。
また、pPDI1を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよびb’ドメインをコードする遺伝子領域の3’末端21塩基とa’ドメインをコードする遺伝子領域の5’末端22塩基とをオーバーラップさせたリバースプライマー(配列番号22)とを用いたPCRによって、PDI1の1から339番目までのアミノ酸コードする遺伝子の3’末端にa’ドメインをコードする遺伝子領域の5’末端22塩基を有するPCR産物を得た。一方、b’ドメインをコードする遺伝子領域の3’末端21塩基とa’ドメインをコードする遺伝子領域の5’末端22塩基とをオーバーラップさせたフォワードプライマー(配列番号23)および配列番号20のリバースプライマーとを用いたPCRによって、PDI1の354から488番目までのアミノ酸コードする遺伝子の5’末端にb’ドメインをコードする遺伝子領域の3’末端21塩基を有するPCR産物を得た。両PCR産物を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび配列番号20のリバースプライマーとを用いたPCRによって、PDI1の1から339番目までのアミノ酸と354から488番目までアミノ酸配列を連結させた蛋白質をコードする構造遺伝子の5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1(−x)フラグメント)を得た。
作製した発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(ab)を用いて得た形質転換体をPDI1(ab)株、pPDI1(abx)を用いて得た形質転換体をPDI1(abx)株、pPDI1(abb’)を用いて得た形質転換体をPDI1(abb’)株、pPDI1(abb’x)を用いて得た形質転換体をPDI1(abb’x)株、pPDI1(−c)を用いて得た形質転換体をPDI1(−c)株、pPDI1(−x)を用いて得た形質転換体をPDI1(−x)株、pPDI1(−ADEL)を用いて得た形質転換体をPDI1(−ADEL)株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体および試験例1で作製したPDI1株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。PDI1株の該サンプルのうち8μL(培養上清0.8mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライし、その他の形質転換体については、PDI1株のアプライ量を基準として、各形質転換体中で発現させたPDIの分子量に反比例させた量をアクリルアミドゲルにアプライした。SDS−PAGE後にCBB染色し、染色像をLAS4000イメージングシステム(富士フィルム社製)で検出した。検出されたPDI1のバンドをマルチゲージイメージアナライザー(富士フィルム社製)を用いて定量化し、PDI1株のPDI1の分泌量を1とした場合の各形質転換体のPDI1の相対分泌量を算出した。
試験例2で最も分泌生産量が多かったPDI1(abb’x)を蛋白質(Y)として用いた場合と、P3分泌シグナルペプチドを用いた場合とで、hTFの分泌生産量を比較した。
(発現ベクターの構築)
まず、pSL6のマルチクローニングサイトに、S.pombeのPDI1(abb’x)をコードする構造遺伝子の終止コドンを削除してAflIIの制限酵素認識部位を付加した遺伝子配列を挿入した遺伝子融合用ベクターpPDI1(abb’x)−AflIIを作製した。
具体的には、pPDI1(abb’x)を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび5’末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号24)とを用いたPCRによって、PDI1(abb’x)をコードする遺伝子断片のうち終止コドンを削除し、5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1(abb’x)−AflIIフラグメント)を得た。
該PDI1(abb’x)−AflIIフラグメントを制限酵素BspHIおよびKpnIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1(abb’x)−AflIIとした。
具体的には、pPDI1−hTFおよびpPDI1−KR−hTFそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化して変異型hTFフラグメントおよびKR付き変異型hTFフラグメントを回収し、一方で、pPDI1(abb’x)−AflIIを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化し、変異型hTFフラグメントまたはKR付き変異型hTFフラグメントとpPDI1(abb’x)−AflIIをライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(abb’x)−hTF、pPDI1(abb’x)−KR−hTFとした。
作製した発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(abb’x)−hTFを用いて得た形質転換体をabb’x−hTF株、pPDI1(abb’x)−KR−hTFを用いて得た形質転換体をabb’x−KR−hTF株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例1で作製したP3hTF株およびP3hTF+PDI1株、試験例2で作製したPDI1(abb’x)株、並びにA8株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例2と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、P3hTF株のhTFの分泌量を1とした場合の各形質転換体のhTFの相対分泌量を算出した。abb’x−hTF株では、融合蛋白質の全長は分泌量が少ないため、該融合蛋白質の分解によって得られたhTFの相対分泌量を算出した。
試験例2で最も分泌生産量が多かったPDI1(abb’x)を蛋白質(Y)として用いた場合と、P3分泌シグナルペプチドを用いた場合とで、EGFPの分泌生産量を比較した。
(発現ベクターの構築)
pPDI1(abb’x)−AflIIのマルチクローニングサイトに、EGFPをコードする構造遺伝子を挿入することでS.pombeのPDI1(abb’x)とEGFPの融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abb’x)−EGFP、同様にしてKRペプチドを介してS.pombeのPDI1(abb’x)およびEGFPを結合させた融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abb’x)−KR−EGFPを、それぞれ作製した。また、pSL6P3中のマルチクローニングサイトに、EGFPをコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpP3EGFPを作製した。
具体的には、EGFPをコードする人工合成遺伝子(配列番号25)を鋳型とし、5’末端にAflIIの制限酵素認識部位を備えるフォワードプライマー(配列番号26)および5’末端にKpnIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号27)とを用いたPCRによって、EGFP遺伝子のORF全長の5’末端にAflIIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(EGFPフラグメント)を得た。
該EGFPフラグメントおよびpPDI1(abb’x)−AflIIそれぞれを制限酵素AflIIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1−EGFPとした。
また、EGFPをコードする人工合成遺伝子を鋳型とし、5’末端にAflIIの制限酵素認識部位およびKRペプチド配列をコードするコドンを備えるフォワードプライマー(配列番号28)および、配列番号27のリバースプライマーとを用いたPCRによって、EGFP遺伝子のORF全長の5’末端にAflIIの制限酵素認識部位とKRペプチド配列をコードするコドンを、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(KR付きEGFPフラグメント)を得た。
該KR付きEGFPフラグメント、pPDI1(abb’x)−AflIIおよびpSL6P3、それぞれを制限酵素AflIIおよびKpnIで二重消化し、KR付きEGFPフラグメントとpPDI1−AflIIまたはpSL6P3をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(abb’x)−KR−EGFP、pP3EGFPとした。
作製した発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pP3EGFPを用いて得た形質転換体をP3EGFP株、pP3EGFPおよびpPDI1を用いて得た形質転換体をP3EGFP+PDI1株、pPDI1(abb’x)−EGFPを用いて得た形質転換体をabb’x−EGFP株、pPDI1(abb’x)−KR−EGFPを用いて得た形質転換体をabb’x−KR−EGFP株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例2で作製したPDI1(abb’x)株、およびA8株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例2と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、P3EGFP株のEGFPの分泌量を1とした場合の各形質転換体のEGFP(融合蛋白質を含む)の相対分泌量を算出した。
宿主をS.pombeのA0株とし、試験例2で最も分泌生産量が多かったPDI1(abb’x)を蛋白質(Y)として用いた場合と、P3分泌シグナルペプチドを用いた場合とで、hTFおよびEGFPの分泌生産量を比較した。
(形質転換体の作製)
宿主をA0株とし、試験例1〜4で作製した発現ベクターpP3hTF、pPDI1(abb’x)−KR−hTF、pP3EGFP、pPDI1(abb’x)−KR−EGFP、pPDI1(abb’x)、およびpPDI1を用いて、試験例1と同様にして形質転換体を作製した。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体およびA0株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例1と同様にして、CBB染色像を取得した。
蛋白質(Y)としてPDI1(abb’x)を用いた場合とPDI1(abx)を用いた場合とで、hTFの分泌生産量を比較した。
(発現ベクターの構築)
まず、pSL6のマルチクローニングサイトに、S.pombeのPDI1(abx)をコードする構造遺伝子の終止コドンを削除してAflIIの制限酵素認識部位を付加した遺伝子配列を挿入した遺伝子融合用ベクターpPDI1(abx)−AflIIを作製した。
具体的には、pPDI1(abx)を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび配列番号24のリバースプライマーとを用いたPCRによって、PDI1(abx)をコードする遺伝子断片のうち終止コドンを削除し、5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1(abx)−AflIIフラグメント)を得た。
該PDI1(abx)−AflIIフラグメントを制限酵素BspHIおよびKpnIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1(abx)−AflIIとした。
次いで、pPDI1(abx)−AflIIのマルチクローニングサイトに、変異型hTFをコードする構造遺伝子を挿入することで、S.pombeのPDI1(abx)と変異型hTFの融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abx)−hTF、同様にしてKRペプチドを介してS.pombeのPDI1(abx)および変異型hTFを結合させた融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abx)−KR−hTFを、それぞれ作製した。
具体的には、pPDI1−hTFおよびpPDI1−KR−hTFそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化して変異型hTFフラグメントおよびKR付き変異型hTFフラグメントを回収した。一方、pPDI1(abx)−AflIIを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化し、変異型hTFフラグメントまたはKR付き変異型hTFフラグメントとpPDI1(abx)−AflIIをライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(abx)−hTF、pPDI1(abx)−KR−hTFとした。
作製した発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(abx)−hTFを用いて得た形質転換体をabx−hTF株、pPDI1(abx)−KR−hTFを用いて得た形質転換体をabx−KR−hTF株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例2で作製したPDI1(abb’x)株およびPDI1(abx)株、試験例3で作製したabb’x−hTF株およびabb’x−KR−hTF株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例3と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、P3hTF株のhTFの分泌量を1とした場合の各形質転換体のhTFの相対分泌量を算出した。
蛋白質(Y)としてPDI1(abb’x)を用いた場合と、PDI1(abb’x)中の分子シャペロン機能の活性部位に変異を入れた蛋白質を用いた場合とで、hTFの分泌生産量を比較した。
(発現ベクターの構築)
まず、pSL6のマルチクローニングサイトに、S.pombeのPDI1(abb’x)のaドメイン中の分子シャペロン活性の活性中心(CGHC)の2つのシステイン残基(C)をセリン残基(S)に置換した変異蛋白質PDI1(abb’x)(C→S)をコードする構造遺伝子を挿入したpPDI1(abb’x)(C→S)、PDI1(abb’x)(C→S)をコードする構造遺伝子の終止コドンを削除してAflIIの制限酵素認識部位を付加した遺伝子配列を挿入した遺伝子融合用ベクターpPDI1(abb’x)(C→S)−AflIIをそれぞれ作製した。
具体的には、pPDI1(abb’x)を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよびaドメイン中の分子シャペロン活性の活性中心(CGHC)の2つのシステイン残基(C)をセリン残基(S)に置換するようコドンに変異を導入した部分を含むリバースプライマー(配列番号29)とを用いたPCRによって、PDI1の1から55番目までのアミノ酸をコードし、かつ51番目と54番目のシステイン残基がセリン残基に置換した蛋白質をコードする部分遺伝子のPCR産物を得た。一方、pPDI1(abb’x)を鋳型とし、配列番号29のプライマーの相補鎖にあたるフォワードプライマー(配列番号30)および配列番号18のリバースプライマーとを用いたPCRによって、PDI1の49から354番目までのアミノ酸をコードし、かつ51番目と54番目のシステイン残基がセリン残基に置換した蛋白質をコードする部分遺伝子のPCR産物を得た。両PCR産物を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび配列番号18のリバースプライマーとを用いたPCRによって、PDI1の1から354番目までのアミノ酸をコードし、かつ51番目と54番目のシステイン残基がセリン残基に置換した蛋白質をコードする構造遺伝子の5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1(abb’x)(C→S)フラグメント)を得た。
該PDI1(abb’x)(C→S)フラグメントを制限酵素BspHIおよびKpnIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1(abb’x)(C→S)とした。
また、pPDI1(abb’x)(C→S)を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび配列番号24のリバースプライマーとを用いたPCRによって、PDI1(abb’x)(C→S)をコードする遺伝子断片のうち終止コドンを削除し、5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1(abb’x)(C→S)−AflIIフラグメント)を得た。
該PDI1(abb’x)(C→S)−AflIIフラグメントを制限酵素BspHIおよびKpnIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1(abb’x)(C→S)−AflIIとした。
具体的には、pPDI1−hTFおよびpPDI1−KR−hTFそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化して変異型hTFフラグメントおよびKR付き変異型hTFフラグメントを回収し、一方で、pPDI1(abb’x)(C→S)−AflIIを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化し、変異型hTFフラグメントまたはKR付き変異型hTFフラグメントとpPDI1(abb’x)(C→S)−AflIIをライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(abb’x)(C→S)−hTF、pPDI1(abb’x)(C→S)−KR−hTFとした。
作製した発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(abb’x)(C→S)を用いて得た形質転換体をabb’x(C→S)株、pPDI1(abb’x)(C→S)−hTFを用いて得た形質転換体をabb’x(C→S)−hTF株、pPDI1(abb’x)(C→S)−KR−hTFを用いて得た形質転換体をabb’x(C→S)−KR−hTF株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例2で作製したPDI1(abb’x)株、試験例3で作製したabb’x−hTF株およびabb’x−KR−hTF株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例3と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、P3hTF株のhTFの分泌量を1とした場合の各形質転換体のhTFの相対分泌量を算出した。
蛋白質(Y)としてPDI1(abb’x)を用いた場合と、PDI1(abb’x)中の分子シャペロン機能の活性部位に変異を入れた蛋白質を用いた場合とで、EGFPの分泌生産量を比較した。
(発現ベクターの構築)
pPDI1(abb’x)(C→S)−AflIIのマルチクローニングサイトに、EGFPをコードする構造遺伝子を挿入することでS.pombeのPDI1(abb’x)(C→S)とEGFPの融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abb’x)(C→S)−EGFP、同様にしてKRペプチドを介してS.pombeのPDI1(abb’x)(C→S)およびEGFPを結合させた融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abb’x)(C→S)−KR−EGFPを、それぞれ作製した
具体的には、pPDI1(abb’x)−EGFPおよびpPDI1(abb’x)−KR−EGFPそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalI出二重消化してEGFPフラグメントおよびKR付きEGFPフラグメントを回収し、一方で、pPDI1(abb’x)(C→S)−AflIIを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化し、変異型hTFフラグメントまたはKR付き変異型hTFフラグメントとpPDI1(abb’x)(C→S)−AflIIをライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(abb’x)(C→S)−EGFP、pPDI1(abb’x)(C→S)−KR−EGFPとした。
作製した発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(abb’x)(C→S)−EGFPを用いて得た形質転換体をabb’x(C→S)−EGFP株、pPDI1(abb’x)(C→S)−KR−EGFPを用いて得た形質転換体をabb’x(C→S)−KR−EGFP株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例2で作製したPDI1(abb’x)株、試験例4で作製したabb’x−EGFP株およびabb’x−KR−EGFP株、試験例7で作製したPDI1(abb’x)(C→S)株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例4と同様にして、CBB染色像を取得した。
PDI1(abb’x)に全長蛋白質と同様に分子シャペロン活性があるのか調べた。
(形質転換体の作製)
試験例1と同様にしてA8株を宿主として、pP3hTFおよびpPDI1(abb’x)を用いて形質転換体P3hTF+PDI1(abb’x)株を、pP3hTFおよびpPDI1(abb’x)(C→S)を用いて形質転換体P3hTF+PDI1(abb’x)(C→S)株を、それぞれ作製した。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例1で作製したP3hTF株、P3hTF+PDI1株、試験例2で作製したPDI1(abb’x)株、試験例3で作製したPDI1(abb’x)−hTF株およびPDI1(abb’x)−KR−hTF株、A8株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例3と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、P3hTF株のhTFの分泌量を1とした場合の各形質転換体のhTFの相対分泌量を算出した。
試験例2で最も分泌生産量が多かったPDI1(abb’x)を蛋白質(Y)として用いた場合と、P3分泌シグナルペプチドを用いた場合とで、ヒト成長ホルモン(hGH)およびヒト顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)の分泌生産量を比較した。
pPDI1(abb’x)−AflIIのマルチクローニングサイトに、hGHまたはGCSFをコードする構造遺伝子を挿入することで、KRペプチドを介してS.pombeのPDI1(abb’x)とhGHまたはGCSFの融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abb’x)−KR−hGHおよびpPDI1(abb’x)−KR−GCSFを、それぞれ作製した。また、pSL6P3中のマルチクローニングサイトに、hGHまたはGCSFをコードする構造遺伝子を挿入した発現ベクターpP3hGHおよびpP3GCSFを作製した。
また、GCSFをコードする遺伝子(配列番号34)を鋳型とし、5’末端にAflIIの制限酵素認識部位およびKRペプチド配列をコードするコドンを備えるフォワードプライマー(配列番号35)および5’末端にKpnIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号36)とを用いたPCRによって、GCSF遺伝子のORF全長の5’末端にAflIIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(KR付きGCSFフラグメント)を得た。
作製した発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(abb’x)−KR−hGHを用いて得た形質転換体をabb’x−KR−hGH株、pP3hGHを用いて得た形質転換体をP3hGH株、pPDI1(abb’x)−KR−GSCFを用いて得た形質転換体をabb’x−KR−GCSF株、pP3GCSFを用いて得た形質転換体をP3GCSF株とした。
試験例1と同様にして、作製された各形質転換体を培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例2と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、P3シグナル分泌株(P3hGH株およびP3GCSF株)の各標的蛋白質(Z)の分泌量を1とした場合の各形質転換体の標的蛋白質(Z)の相対分泌量を算出した。
S.pombeを発現宿主とした、ヒト由来PDI1(hPDI)の部分蛋白質の分泌されやすさを調べ、S.pombe由来PDI1と分泌量を比較した。
まず、pSL6のマルチクローニングサイトに、S.pombe由来PDI1のシグナルペプチド部分をコードする遺伝子とPvuIIの制限酵素認識部位を付加した遺伝子配列を挿入したPDI1のシグナルペプチド付加用ベクターpPDI1(SP)−PvuIIを作製した。
具体的には、pPDI1を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび5’末端にKpnIおよびPvuIIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号37)とを用いたPCRによって、PDI1のシグナルペプチド部分をコードする遺伝子断片の5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIおよびPvuIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(PDI1(SP)−PvuIIフラグメント)を得た。
PDI1(SP)−PvuIIフラグメントを制限酵素BspHIおよびKpnIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドをpPDI1(SP)−PvuIIとした。
具体的には、hPDIをコードする遺伝子(配列番号38)を鋳型とし、5’末端にシトシンおよびチミンを付加したフォワードプライマー(配列番号39)および5’末端にKpnIの制限酵素認識部位を備える配列番号40から配列番号43までの各リバースプライマーを用いたPCRによって、hPDIの18から236番目まで、349番目まで、364番目まで、および508番目までのアミノ酸それぞれをコードする各構造遺伝子の5’末端にシトシンおよびチミンを、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有する各PCR産物(hPDI(ab)フラグメント、hPDI(abb')フラグメント、hPDI(abb'x)フラグメント、およびhPDI(abb’xa’c)フラグメント)を得た。
また、hPDIをコードする遺伝子を鋳型とし、配列番号39のフォワードプライマーおよび5’末端にKpnIの制限酵素認識部位とhPDIのxドメインをコードする遺伝子を備えるリバースプライマー(配列番号44)とを用いたPCRによって、hPDIの18から236番目までのアミノ酸のC末端にxドメインを配した蛋白質をコードする構造遺伝子の5’末端にシトシンおよびチミンを、3’末端にKpnIの制限酵素認識部位を有するPCR産物(hPDI(abx)フラグメント)を得た。
作製した各発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(SP)−hPDI(ab)を用いて得た形質転換体をhPDI(ab)株、pPDI1(SP)−hPDI(abx)を用いて得た形質転換体をhPDI(abx)株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’)を用いて得た形質転換体をhPDI(abb’)株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)を用いて得た形質転換体をhPDI(abb’x)株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’xa’c)を用いて得た形質転換体をhPDI(abb’xa’c)株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体および試験例2で作製したPDI1(ab)株、PDI1(abx)株、PDI1(abb’)株、PDI1(abb’x)株およびPDI1株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、CBB染色により蛋白質バンドを可視化した。
蛋白質(Y)としてPDI1(abx)やPDI1(abb’x)を用いた場合と、S.pombe由来PDI1のシグナルペプチドとhPDI(abx)との融合蛋白質(PDI1(SP)−hPDI(abx))やS.pombe由来PDI1のシグナルペプチドとhPDI(abb’x)との融合蛋白質(PDI1(SP)−hPDI(abb’x))を用いた場合とで、hTFの分泌生産量を比較した。
まず、pSL6のマルチクローニングサイトに、PDI1(SP)−hPDI(abx)またはPDI1(SP)−hPDI(abb’x)をコードする構造遺伝子の終止コドンを削除してAflIIの制限酵素認識部位を付加した遺伝子配列を挿入した遺伝子融合用ベクターpPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIを作製した。
具体的には、pPDI1(SP)−hPDI(abx)またはpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)を鋳型とし、配列番号9のフォワードプライマーおよび5’末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を備えるリバースプライマー(配列番号45)とを用いたPCRによって、PDI1(SP)−hPDI(abx)またはPDI1(SP)−hPDI(abb’x)の各融合蛋白質をコードする各遺伝子断片のうち終止コドンを削除し、5’末端にBspHIの制限酵素認識部位を、3’末端にKpnIおよびAflIIの制限酵素認識部位を有する各PCR産物(PDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIフラグメントおよびPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIフラグメント)を得た。
PDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIフラグメントおよびPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIフラグメントを制限酵素BspHIおよびKpnIで二重消化し、またpSL6を制限酵素AarIおよびKpnIで二重消化し、両者をライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIとした。
具体的には、pPDI1−hTFおよびpPDI1−KR−hTFそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化して変異型hTFフラグメントおよびKR付き変異型hTFフラグメントを回収した。一方、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化し、変異型hTFフラグメントまたはKR付き変異型hTFフラグメントとpPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIまたはpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIをライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(SP)−hPDI(abx)−hTF、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−hTF、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−hTF、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−hTFとした。
作製した各発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(SP)−hPDI(abx)−hTFを用いて得た形質転換体をhPDI(abx)−hTF株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−hTFを用いて得た形質転換体をhPDI(abb’x)−hTF株、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−hTFを用いて得た形質転換体をhPDI(abx)−KR−hTF株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−hTFを用いて得た形質転換体をhPDI(abb’x)−KR−hTF株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例3で作製したabb’x−hTF株およびabb’x−KR−hTF株、試験例6で作製したabx−hTF株およびabx−KR−hTF株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例3と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、abx−KR−hTF株のhTFの分泌量を1とした場合の各形質転換体のhTFの相対分泌量を算出した。
蛋白質(Y)としてPDI1(SP)−hPDI(abb’x)を用いたhPDI(abb’x)−KR−hTF株およびhPDI(abb’x)−hTF株では、それぞれPDI1(abb’x)を用いたabb’x−KR−hTF株およびabb’x−hTF株よりも、hTF分泌量が低下しており、特にhPDI(abb’x)−KR−hTF株では蛋白質(Y)と標的蛋白質(Z)との分離が不充分であった。一方で、hPDI(abb’x)−hTF株では、蛋白質(Y)と標的蛋白質(Z)の融合蛋白質の分泌効率が高かった。
蛋白質(Y)がPDI1(SP)−hPDI(abx)、PDI1(SP)−hPDI(abb’x)のいずれの場合でも、P3分泌シグナルペプチドを用いた場合よりも分泌生産効率が高まっていた。
蛋白質(Y)としてPDI1(abx)やPDI1(abb’x)を用いた場合と、PDI1(SP)−hPDI(abx)PDI1(SP)−hPDI(abb’x)を用いた場合とで、EGFPの分泌生産量を比較した。
pPDI1(abx)−AflII、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIのマルチクローニングサイトに、EGFPをコードする構造遺伝子を挿入することで、PDI1(abx)、PDI1(SP)−hPDI(abx)またはPDI1(SP)−hPDI(abb’x)とEGFPの融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abx)−EGFP、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−EGFPおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−EGFP、同様にしてKRペプチドを介してPDI1(abx)、PDI1(SP)−hPDI(abx)またはPDI1(SP)−hPDI(abb’x)とEGFPを結合させた融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abx)−KR−EGFP、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−EGFPおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−EGFPを、それぞれ作製した。
具体的には、pPDI1(abb’x)−EGFPおよびpPDI1(abb’x)−KR−EGFPそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化してEGFPフラグメントおよびKR付きEGFPフラグメントを回収した。一方、pPDI1(abx)−AflII、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化し、EGFPフラグメントまたはKR付きEGFPフラグメントとpPDI1(abx)−AflII、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIまたはpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIをライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(abx)−EGFP、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−EGFP、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−EGFP、pPDI1(abx)−KR−EGFP、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−EGFP、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−EGFPとした。
作製した各発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(abx)−EGFPを用いて得た形質転換体をabx−EGFP株、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−EGFPを用いて得た形質転換体をhPDI(abx)−EGFP株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−EGFPを用いて得た形質転換体をhPDI(abb’x)−EGFP株、pPDI1(abx)−KR−EGFPを用いて得た形質転換体をabx−KR−EGFP株、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−EGFPを用いて得た形質転換体をhPDI(abx)−KR−EGFP株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−EGFPを用いて得た形質転換体をhPDI(abb’x)−KR−EGFP株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例4で作製したabb’x−EGFP株およびabb’x−KR−EGFP株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例3と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、abx−KR−EGFP株のEGFPの分泌量を1とした場合の各形質転換体のEGFPの相対分泌量を算出した。
切断部位(W)を付与しない場合、abx−EGFP株よりもhPDI(abx)−EGFP株で、abb’x−EGFP株よりもhPDI(abb’x)−EGFP株で、蛋白質(Y)とEGFPの融合蛋白質の分泌量が明らかに向上しており、abxやabb’x部分をS.pombe由来のものからヒト由来のものに置換した蛋白質(Y)の優位性が示された。
蛋白質(Y)としてPDI1(abx)やPDI1(abb’x)を用いた場合と、PDI1(SP)−hPDI(abx)PDI1(SP)−hPDI(abb’x)を用いた場合とで、GCSFの分泌生産量を比較した。
pPDI1(abx)−AflII、pPDI1(abb’x)−AflII、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIのマルチクローニングサイトに、GCSFをコードする構造遺伝子を挿入することで、PDI1(abx)、PDI1(abb’x)、PDI1(SP)−hPDI(abx)またはPDI1(SP)−hPDI(abb’x)とGCSFの融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abx)−GCSF、pPDI1(abb’x)−GCSF、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−GCSFおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−GCSF、同様にしてKRペプチドを介してPDI1(abx)、PDI1(SP)−hPDI(abx)またはPDI1(SP)−hPDI(abb’x)とGCSFを結合させた融合蛋白質をコードする構造遺伝子を構成させた発現ベクターpPDI1(abx)−KR−GCSF、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−GCSFおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−GCSFを、それぞれ作製した。
また、pPDI1(abb’x)−KR−GCSFを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化してKR付きGCSFフラグメントを回収した。一方、pPDI1(abx)−AflII、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIおよびpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIそれぞれを制限酵素AflIIおよびSalIで二重消化し、KR付きGCSFフラグメントとpPDI1(abx)−AflII、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−AflIIまたはpPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−AflIIをライゲーションして続く大腸菌DH5αへの形質転換後、各プラスミドを得た。該プラスミドそれぞれをpPDI1(abx)−KR−GCSF、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−GCSF、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−GCSFとした。
作製した各発現ベクターを用いて、試験例1と同様にしてA8株を宿主として形質転換体を作製した。pPDI1(abx)−GCSFを用いて得た形質転換体をabx−GCSF株、pPDI1(abb’x)−GCSFを用いて得た形質転換体をabb’x−GCSF株、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−GCSFを用いて得た形質転換体をhPDI(abx)−GCSF株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−GCSFを用いて得た形質転換体をhPDI(abb’x)−GCSF株、pPDI1(abx)−KR−GCSFを用いて得た形質転換体をabx−KR−GCSF株、pPDI1(SP)−hPDI(abx)−KR−GCSFを用いて得た形質転換体をhPDI(abx)−KR−GCSF株、pPDI1(SP)−hPDI(abb’x)−KR−GCSFを用いて得た形質転換体をhPDI(abb’x)−KR−GCSF株とした。
試験例1と同様にして、作製された形質転換体、試験例Aで作製したabb’x−KR−GCSF株をそれぞれ培養し、TCA沈殿で沈殿物を回収した。該沈殿物に40μLのSDS−PAGE用サンプルバッファーを添加し、95℃で5分間インキュベートし、サンプルを調製した。該サンプルのうち10μL(培養上清1mL相当)をアクリルアミドゲルにアプライしてSDS−PAGEを行い、試験例3と同様にして、CBB染色像を取得した後、各バンドを定量化し、abx−KR−GCSF株のGCSFの分泌量を1とした場合の各形質転換体のGCSFの相対分泌量を算出した。
なお、2012年1月23日に出願された日本特許出願2012−010569号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (12)
- 下記蛋白質(Y)をコードする構造遺伝子配列(y)と、前記構造遺伝子配列(y)の下流に位置し、取得しようとする蛋白質である蛋白質(Z)をコードする構造遺伝子配列(z)と、前記蛋白質(Y)部分と前記蛋白質(Z)部分とを含む融合蛋白質を発現させるためのプロモーター配列およびターミネーター配列とを含む発現カセットを有し、
前記蛋白質(Y)がPDI1(protein disulfide isomerase 1)の部分蛋白質、またはその変異蛋白質であり、
前記PDI1の部分蛋白質が、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質、または、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとb’ドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質であり、
前記変異蛋白質が、前記PDI1の部分蛋白質のうち、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加された蛋白質であることを特徴とする発現ベクター。 - 前記PDI1が、酵母のPDI1、糸状菌由来のPDI1またはヒト由来のPDI1である、請求項1に記載の発現ベクター。
- 前記構造遺伝子配列(y)と前記構造遺伝子配列(z)の間に、細胞内または細胞外で前記蛋白質(Z)部分のN末端側で切断される部位として機能するアミノ酸もしくはペプチドからなる切断部位(W)をコードする構造遺伝子配列(w)を有する、請求項1または2に記載の発現ベクター。
- 前記切断部位(W)が、細胞内において前記融合蛋白質の蛋白質(Z)部分のN末端側で切断される部位である、請求項3に記載の発現ベクター。
- 前記切断部位(W)が、KR(K:リジン、R:アルギニン)である、または前記蛋白質(Z)部分に結合するC末端側がKRであるアミノ酸数3以上のペプチドである、請求項4に記載の発現ベクター。
- 前記切断部位(W)が、前記融合蛋白質の蛋白質(Z)部分のN末端側で切断しうるプロテアーゼによって認識される部位である、請求項3に記載の発現ベクター。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の発現ベクターを宿主細胞へ導入することを特徴とする形質転換体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の発現ベクターを染色体外遺伝子として有することを特徴とする形質転換体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の発現ベクター中の発現カセットを、染色体中に有することを特徴とする形質転換体。
- 請求項8または9に記載の形質転換体を培養し、得られた培養液から前記融合蛋白質または前記蛋白質(Z)を取得することを特徴とする、蛋白質の製造方法。
- 請求項6に記載の発現ベクター中の発現カセットを染色体中に有するか、または、請求項6に記載の発現ベクターを染色体外遺伝子として有する形質転換体を培養し、得られた培養液から前記融合蛋白質を取得し、次いでプロテアーゼにより該融合蛋白質の蛋白質(Z)部分のN末端側で切断して前記蛋白質(Z)を製造することを特徴とする、蛋白質の製造方法。
- 宿主細胞内で機能しうるプロモーター配列、該プロモーター配列の下流に位置しかつ該プロモーターによって支配される下記蛋白質(Y)をコードする構造遺伝子配列(y)、該構造遺伝子配列(y)の下流に位置しかつ構造遺伝子を導入するためのクローニングサイト、および、該宿主細胞内で機能しうるターミネーター配列を有し、
前記蛋白質(Y)がPDI1の部分蛋白質、またはその変異蛋白質であり、
前記PDI1の部分蛋白質が、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質、または、小胞体移行シグナルとaドメインとbドメインとb’ドメインとxドメインとから構成される部分蛋白質であり、
前記変異蛋白質が、前記PDI1の部分蛋白質のうち、1〜20個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加された蛋白質であることを特徴とするクローニングベクター。
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