JP6052418B2 - 摩擦ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、摩擦ブレーキ装置に係り、更に詳細には遊星歯車機構を含む摩擦ブレーキ装置に係る。
摩擦ブレーキ装置は、ブレーキロータに摩擦部材を押圧して摩擦力を発生させることにより制動力を発生する。摩擦ブレーキ装置の技術分野においては、高い摩擦力を発生させることによって高い制動力を発生させる研究が行われている。例えば、摩擦部材をブレーキロータに押圧すると共に、摩擦部材がブレーキロータより受ける回転トルクを利用してくさび作用を発生させ、これによりブレーキロータに対する摩擦部材の押圧力を増大させる構造が既に知られている。この種の摩擦ブレーキ装置の一例が下記の特許文献1に記載されている。
この種の摩擦ブレーキ装置によれば、くさび作用による押圧力の増大が行われない一般的なブレーキ装置に比して、摩擦部材を押圧する押圧装置の押圧力を高くすることなくブレーキ装置が発生する制動力を高くすることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記特許文献1に記載されているような従来のくさび作用を発生させる摩擦ブレーキ装置においては、摩擦部材はブレーキロータと摩擦係合し、ブレーキロータに対しその回転軸線の周りに相対回転する際の摩擦力により制動力を発生する。また、摩擦部材は摩擦力により回転軸線の周りに非回転部材に対し相対的に回転変位せしめられることによりくさび作用を発生する。
上記特許文献1に記載されているような従来のくさび作用を発生させる摩擦ブレーキ装置においては、摩擦部材はブレーキロータと摩擦係合し、ブレーキロータに対しその回転軸線の周りに相対回転する際の摩擦力により制動力を発生する。また、摩擦部材は摩擦力により回転軸線の周りに非回転部材に対し相対的に回転変位せしめられることによりくさび作用を発生する。
しかし、従来の一般的な摩擦ブレーキ装置と同様に、摩擦部材は回転軸線の周りのブレーキロータに対する相対回転以外の運動をしないため、摩擦力により発生される制動力が制限される。よって、従来の一般的な摩擦ブレーキ装置及びくさび作用を発生させる従来の摩擦ブレーキ装置には、制動力を高くする上で改善の余地がある。
本発明は、従来の摩擦ブレーキ装置における上述の如き問題に鑑みてなされた発明である。そして、本発明の主要な課題は、遊星歯車機構を利用して、摩擦部材などの部材にブレーキロータに対する回転軸線の周りの相対回転以外の運動をさせることにより、高い摩擦力を発生させて高い制動力を発生させることである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
上述の主要な課題は、本発明によれば、回転軸線に垂直に延在する両側面に摩擦面を有し、回転軸線の周りに回転する第一の歯車部材と、回転軸線に垂直に延在する一方の側面に第一の歯車部材の一方の摩擦面と摩擦係合可能な摩擦面を有する第二の歯車部材と、回転軸線に垂直に延在する一方の側面に第一の歯車部材の他方の摩擦面と摩擦係合可能な摩擦面を有する第三の歯車部材と、回転軸線に沿って第一乃至第三の歯車部材を相対変位させ、対応する摩擦面を摩擦係合させるアクチュエータと、を有し、第一乃至第三の歯車部材は、回転軸線に沿って互いに他に対し相対変位可能であり、第一乃至第三の歯車部材の一つ、他の一つ及び残りの一つは、それぞれ太陽歯車部材、遊星歯車部材及び内歯車部材として機能することにより、第一乃至第三の歯車部材は回転軸線を回転中心とする遊星歯車機構を構成しており、内歯車部材として機能する歯車部材は、静止支持部材により前記回転軸線の周りに回転可能に支持されたブレーキロータである、摩擦ブレーキ装置によって達成される。
上記の構成によれば、第一乃至第三の歯車部材の一つ、他の一つ及び残りの一つは、それぞれ太陽歯車部材、遊星歯車部材及び内歯車部材として機能することにより、第一乃至第三の歯車部材は回転軸線を回転中心とする遊星歯車機構を構成している。内歯車部材として機能する歯車部材は、静止支持部材により回転軸線の周りに回転可能に支持されたブレーキロータである。よって、内歯車部材として機能する歯車部材以外の二つの歯車部材がブレーキロータに対し太陽歯車部材及び遊星歯車部材として機能し、遊星歯車部材として機能する歯車部材はブレーキロータ及び太陽歯車部材として機能する歯車部材に対し回転軸線の周りに公転しながら自転する。
従って、遊星歯車部材として機能する歯車部材が回転軸線の周りに公転することによる摩擦面の摩擦係合に加えて、自転することによる摩擦面の摩擦係合が行われ、公転の摩擦係合及び自転の摩擦係合の両者により摩擦力が発生される。また、太陽歯車部材及び内歯車部材が回転軸線の周りに逆回転することによる摩擦面の摩擦係合により摩擦力が発生される。よって、摩擦部材がブレーキロータと公転の摩擦係合しかしない従来のブレーキ装置に比して高い制動力を発生させることができる。
また、本発明によれば、上記の構成に於いて、第一乃至第三の歯車部材は、それぞれ太陽歯車部材、遊星歯車部材及び内歯車部材として機能し、第一の歯車部材は、回転軸線と平行な方向において第二の歯車部材と第三の歯車部材との間に位置し且つ両側面に摩擦面を有する円環板状部と、該円環板状部の内周部と一体をなし且つ第二の歯車部材と噛合する太陽歯車を備えたベース部とを有しており、第二の歯車部材は、キャリア部材により回転軸線と平行な自転軸線の周りに回転可能に支持され、第一の歯車部材の側の側面に摩擦面を有しており、第三の歯車部材は、内周部にて静止支持部材により回転軸線の周りに回転可能に支持され且つ第二の歯車部材の側の側面に摩擦面を有するディスク部と、該ディスク部の外周部と一体をなし且つ回転軸線に沿って延在し第二の歯車部材と噛合する内歯車を備えた円筒部とを有していてよい。
上記の構成によれば、第一の歯車部材は、回転軸線の周りに第三の歯車部材とは逆方向に回転し、第二の歯車部材は第一の歯車部材に対し回転軸線の周りに公転すると共に、自転軸線の周りに自転する。よって、第一の歯車部材は、第三の歯車部材と摩擦係合することによって摩擦力を発生し、第二の歯車部材は公転による摩擦係合及び自転による摩擦係合の両者によって摩擦力を発生する。従って、第一及び第三の歯車部材の相対回転の摩擦係合による摩擦力、第二の歯車部材の公転の摩擦係合による摩擦力及び第二の歯車部材の自転の摩擦係合による摩擦力によって、高い制動力を発生させることができる。
また、本発明によれば、上記の構成に於いて、第一乃至第三の歯車部材は、それぞれ遊星歯車部材、太陽歯車部材及び内歯車部材として機能し、第一の歯車部材は、回転軸線と平行な方向において第二の歯車部材と第三の歯車部材との間にて、これらの歯車部材により回転軸線と平行な自転軸線の周りに回転可能に支持されており、第二の歯車部材は、第一の歯車部材と噛合する太陽歯車を備え、内周部にて静止支持部材により回転軸線の周りに回転しないよう拘束されており、第三の歯車部材は、内周部にて静止支持部材により回転軸線の周りに回転可能に支持され且つ第一の歯車部材の側の側面に摩擦面を有するディスク部と、該ディスク部の外周部と一体をなし且つ回転軸線に沿って延在し第一の歯車部材と噛合する内歯車を備えた円筒部とを有していてよい。
上記の構成によれば、第三の歯車部材は、回転しない第二の歯車部材に対し回転軸線の周りに回転し、第一の歯車部材は、第二の歯車部材と第三の歯車部材との間にてこれらの歯車部材に対し回転軸線の周りに公転すると共に、自転軸線の周りに自転する。よって、第三の歯車部材は、第一の歯車部材と摩擦係合することによって摩擦力を発生し、第一の歯車部材は公転による摩擦係合及び自転による摩擦係合の両者によって摩擦力を発生する。従って、第一及び第三の歯車部材の相対回転の摩擦係合による摩擦力、第一の歯車部材の公転の摩擦係合による摩擦力及び第一の歯車部材の自転の摩擦係合による摩擦力によって、高い制動力を発生させることができる。
また、本発明によれば、上記の構成に於いて、第一乃至第三の歯車部材は、それぞれ内歯車部材、太陽歯車部材及び遊星歯車部材として機能し、第一の歯車部材は、内周部にて静止支持部材により回転軸線の周りに回転可能に支持され且つ両側面に摩擦面を有するディスク部と、該ディスク部の外周部と一体をなし回転軸線に沿って延在し第三の歯車部材と噛合する内歯車を備えた円筒部とを有しており、第二の歯車部材は、第三の歯車部材と噛合する太陽歯車を備え、内周部にて静止支持部材により回転軸線に沿って静止支持部材に対し変位可能に且つ回転軸線の周りに回転不能に支持された可動部と、静止支持部材と一体的に形成され回転軸線に垂直に延在する静止円環板状部とを有しており、第三の歯車部材は、回転軸線と平行な方向において第一の歯車部材に対し静止円環板状部とは反対の側にて、第一及び第二の歯車部材により回転軸線と平行な自転軸線の周りに回転可能に支持されていてよい。
上記の構成によれば、第一の歯車部材は、回転しない第二の歯車部材の円環板状部と第三の歯車部材との間にて第二の歯車部材に対し回転軸線の周りに回転し、第三の歯車部材は、第一の歯車部材に対し回転軸線の周りに公転すると共に、自転軸線の周りに自転する。よって、第一の歯車部材は、第三の歯車部材と摩擦係合することによって摩擦力を発生し、第三の歯車部材は公転による摩擦係合及び自転による摩擦係合の両者によって摩擦力を発生する。従って、第一及び第二の歯車部材の相対回転の摩擦係合による摩擦力、第三の歯車部材の公転の摩擦係合による摩擦力及び自転の摩擦係合による摩擦力によって、高い制動力を発生させることができる。
また、本発明によれば、上記の構成に於いて、アクチュエータは、第二の歯車部材を第一の歯車部材の円環板状部に対し押圧すると共に、第一の歯車部材の円環板状部を第三の歯車部材のディスク部に対し押圧するようになっていてよい。
上記の構成によれば、第二の歯車部材は第一の歯車部材の円環板状部に対し押圧されると共に、第一の歯車部材の円環板状部は第三の歯車部材のディスク部に対し押圧される。よって、これらの互いに押圧される部位の摩擦係合により制動力を発生させることができ、押圧力の制御により制動力を制御することができる。
また、本発明によれば、上記の構成に於いて、アクチュエータは、第二の歯車部材を第一の歯車部材に対し押圧することにより、第一の歯車部材を第三の歯車部材に対し押圧するようになっていてよい。
上記の構成によれば、第二の歯車部材が第一の歯車部材に対し押圧されることにより、第一の歯車部材が第三の歯車部材に対し押圧される。よって、第二の歯車部材と第一の歯車部材との間の摩擦係合により制動力を発生させると共に、第一の歯車部材と第三の歯車部材との間の摩擦係合により制動力を発生させることができ、押圧力の制御により制動力を制御することができる。
また、本発明によれば、上記の構成に於いて、アクチュエータは、第三の歯車部材を第一の歯車部材のディスク部に対し押圧すると共に、第一の歯車部材のディスク部を静止円環板状部に対し押圧するようになっていてよい。
上記の構成によれば、第三の歯車部材が第一の歯車部材のディスク部に対し押圧されると共に、第一の歯車部材のディスク部が静止円環板状部に対し押圧される。よって、第三の歯車部材と第一の歯車部材のディスク部との間の摩擦係合により制動力を発生させると共に、第一の歯車部材のディスク部と静止円環板状部との間の摩擦係合により制動力を発生させることができ、押圧力の制御により制動力を制御することができる。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は、電磁式の車両用ブレーキ装置として構成された本発明の第一の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10を、回転軸線を通る切断面にて切断して示す部分断面図、図2は、第一の実施形態を図1の右方より見た部分正面図である。なお、図1は、図2のI−Iに沿う断面図である。
図1は、電磁式の車両用ブレーキ装置として構成された本発明の第一の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10を、回転軸線を通る切断面にて切断して示す部分断面図、図2は、第一の実施形態を図1の右方より見た部分正面図である。なお、図1は、図2のI−Iに沿う断面図である。
図1において、ブレーキ装置10は、ブレーキロータ12と、該ブレーキロータ内にて静止部材14の両側に配置された回転摩擦部材16R及び16Lと、回転摩擦部材に対し静止部材14とは反対の側に配置された直線変位部材18R及び18Lとを有している。回転摩擦部材16R及び16Lは、それぞれ回転軸線20の周りに均等に隔置された状態で4つずつ設けられている。直線変位部材18R及び18Lは、ブレーキロータ12の回転軸線20と平行な方向において、それぞれブレーキロータ12と回転摩擦部材16R及び16Lとの間に配置されている。図示の実施形態においては、回転摩擦部材16R、16L及び直線変位部材18R、18Lは、静止部材14の中心平面に対し互いに鏡像の関係をなす形状を有し、それらの大きさは互いに同一である。
後に詳細に説明するように、直線変位部材18R及び18Lは、太陽歯車部材として機能する第一の歯車部材であり、回転摩擦部材16R及び16Lは、遊星歯車部材として機能する第二の歯車部材であり、ブレーキロータ12は、内歯車部材として機能する第三の歯車部材である。よって、この実施形態の摩擦ブレーキ装置10は、請求項2に対応する実施形態である。
ブレーキロータ12は、回転軸22と共に一体的に回転軸線20の周りに回転する。特に、図示の実施形態においては、ブレーキロータ12は、回転軸22と一体をなすメインロータ24と、該メインロータと共に一体的に回転するサブロータ26とを有している。静止部材14は、回転軸線20に垂直に回転軸線20の周りに延在する円板状をなしている。ブレーキロータ12及び回転摩擦部材16R、16Lは、常磁性を有する金属材料にて形成されているが、静止部材14は常磁性を有しない金属材料にて形成されてよい。
メインロータ24は、ディスク部24Aと、回転軸線20に沿って延在する円筒部24Bとを有している。ディスク部24Aは、内周部にて回転軸22と一体に連結され、回転軸線20に垂直に回転軸線20の周りに実質的に円環板状に延在している。円筒部24Bは、ディスク部24Aの外周部と一体に接続され、回転軸線20を中心軸線として円筒状に延在している。サブロータ26は、回転軸線20に垂直に回転軸線20の周りに円環板状に延在し、外周部にて円筒部24Bのディスク部24Aとは反対側の端部に複数のボルト28によって連結されている。
ディスク部24A、円筒部24B及びサブロータ26は、回転軸線20を通る径方向の切断面で見て径方向内方へ開いたコの字形の断面形状をなしている。ディスク部24A及びサブロータ26の互いに対向する面は、回転軸線20に垂直に且つ互いに平行に回転軸線20の周りに全周に亘り延在する円環状の摩擦面24S及び26Sをそれぞれ郭定している。
回転軸22は、一対のボールベアリング30を介して静止部材としての車輪支持部材32のスリーブ部32Aにより回転軸線20の周りに回転可能に支持されている。一対のボールベアリング30と回転軸22とスリーブ部32Aとの間の空間は、グリースの如き潤滑剤にて充填されている。一対のボールベアリング30に対し軸線方向両側には一対のシール部材34が配置されており、シール部材34は、ボールベアリング30に粉塵や泥水が侵入しないよう回転軸22とスリーブ部32Aとの間をシールしている。
図には示されていないが、メインロータ24のディスク部24Aは、回転軸線20の周りに互いに90°隔置された状態にて4本のボルト36及びこれに螺合するナットにより車輪のリム部に一体的に連結されるようになっている。従って、回転軸22及びブレーキロータ12(メインロータ24及びサブロータ26)は、車輪と共に回転軸線20の周りに回転する。
図示の実施形態においては、サブロータ26の内周部は車輪支持部材32のスリーブ部32Aに嵌合している。サブロータ26の内周部とスリーブ部32Aとの間には、回転軸線20の周りに全周に亘り延在するシール部材38が配置されている。従って、メインロータ24及びサブロータ26は、回転軸22、車輪支持部材32、シール部材38と共働して密閉空間40を形成しており、静止部材14、回転摩擦部材16R、16L及び直線変位部材18R、18Lは、密閉空間40に収容されている。密閉空間40には潤滑剤が充填されている。
回転摩擦部材16Rは、回転軸線20の周りに90°隔置された位置に設けられ、回転摩擦部材16Lも、回転摩擦部材16Rに整合して回転軸線20の周りに90°隔置された位置に設けられている。各回転摩擦部材16R及び16Lは、回転軸線20に平行な軸線42を中心とする実質的に円板状をなしており、静止部材14に固定され軸線42に沿って延在する支持軸44により、軸線42の周りに回転可能に且つ軸線42に沿って移動可能に支持されている。静止部材14は、内周部に回転軸線20に沿って延在する円筒部14Aを有し、円筒部14Aは車輪支持部材32のスリーブ部32Aに例えば圧入により固定されている。よって、静止部材14及び支持軸44は、回転軸線20の周りに回転することなく、回転摩擦部材16R及び16Lを軸線42の周りに回転可能に支持するキャリア部材として機能する。
回転摩擦部材16Rは、直線変位部材18Rの側の側面に摩擦部46Rを有し、回転摩擦部材16Lは、直線変位部材18Lの側の側面に摩擦部46Lを有している。各摩擦部は、円板状の本体の側面より隆起した状態で軸線42の周りに環帯状に延在している。なお、回転摩擦部材16R及び16Lが例えば粉末焼結法によって製造されることにより、摩擦部は円板状の本体と一体に形成されてよい。また、摩擦部は、環帯状の摩擦材が本体の側面に接着又は他の手段により固定されることにより形成されてもよい。
更に、回転摩擦部材16R及び16Lは、それぞれ外周部に平歯の外歯車48R及び48Lを有している。外歯車48R及び48Lは、径方向外側においてメインロータ24の円筒部24Bの内面に形成された平歯の内歯車50と噛合し、径方向内側においてそれぞれ直線変位部材18R及び18Lに形成された平歯の外歯車52R及び52Lと噛合している。外歯車48R及び48Lは互いに同一のピッチ円直径を有し、外歯車52R及び52Lも互いに同一のピッチ円直径を有している。
直線変位部材18Rは、回転軸線20に垂直に回転軸線の周りに延在する円環板状部18RDと、該円環板状部の内周部と一体をなすベース部18RBとを有している。円環板状部18RDは、回転摩擦部材16Rとメインロータ24のディスク部24Aとの間に配置されている。円環板状部18RDの回転摩擦部材16Rに対向する内面は、摩擦面18RSIを郭定し、円環板状部18RDのディスク部24Aに対向する外面は、摩擦面18RSOを郭定している。外歯車52Rはベース部18RBの円筒状の外周面に形成されている。
ベース部18RBの内周面及びこれに径方向に対向する回転円筒体54Rの外面には、回転軸線20に沿って延在し互いに対向するキー溝が設けられ、それらのキー溝にはキー56Rが嵌め込まれている。回転円筒体54Rは、静止部材14の円筒部14Aによりボールベアリング58Rを介して回転軸線20の周りに回転可能に支持されている。よって、直線変位部材18Rは、車輪支持部材32により回転軸線20の周りに回転可能に且つ回転軸線20に沿って変位可能に支持されている。
直線変位部材18Rの円環板状部18RDは、回転軸線20の周りに全周に亘り延在し径方向外方へ開いた環状溝60Rを有している。環状溝60Rにはソレノイド62Rが配置されており、ソレノイド62Rは回転軸線20の周りに環状に延在している。直線変位部材18Rのベース部18RBには、径方向に互いに隔置された通電装置64R及び66Rが設けられている。
図3に詳細に示されているように、通電装置64R及び66Rは、それぞれ回転軸線20に沿って延在するシリンダ孔64RA及び66RAと、シリンダ孔に嵌合する円柱状のピストン64RB及び66RBと、これらのピストンを静止部材14へ向けて付勢する圧縮コイルばね64RC及び66RCとを有している。ピストン64RB及び66RBは導電体にて形成されているが、それらの円筒状の外周面は電気絶縁材にてコーティングされている。
静止部材14の通電装置64R及び66Rに対向する部分には、それぞれ導電体64RD及び66RDが固定されている。導電体64RD及び66RDは、対応するピストン64RB及び66RBに対向する部分を除き、電気絶縁材65Rにて電気的に絶縁されている。導電体64RD、66RD及び電気絶縁材65Rは、回転軸線20の周りに環状に延在している。ピストン64RB及び66RBの外端は、それぞれ導電体64RD及び66RDに通電可能に当接しており、これらのピストンの内端はそれぞれ導線68R及び70Rによりソレノイド62Rに接続されている。
同様に、直線変位部材18Lは、回転軸線20に垂直に回転軸線の周りに延在する円環板状部18LDと、該円環板状部の内周部と一体をなすベース部18LBとを有しており、円環板状部18LDは回転摩擦部材16Lとサブロータ26との間に配置されている。円環板状部18LDの回転摩擦部材16Lに対向する内面は、摩擦面18LSIを郭定し、円環板状部18LDのサブロータ26に対向する外面は、摩擦面18LSOを郭定している。外歯車52Lはベース部18LBの円筒状の外周面に形成されている。
ベース部18LBの内周面及びこれに径方向に対向する回転円筒体54Lの外面には、回転軸線20に沿って延在し互いに対向するキー溝が設けられ、それらのキー溝にはキー56Lが嵌め込まれている。回転円筒体54Lは、静止部材14の円筒部14Aによりボールベアリング58Lを介して回転軸線20の周りに回転可能に支持されている。よって、直線変位部材18Lは、車輪支持部材32により回転軸線20の周りに回転可能に且つ回転軸線20に沿って変位可能に支持されている。
直線変位部材18Lの円環板状部18LDは、回転軸線20の周りに全周に亘り延在し径方向外方へ開いた環状溝60Lを有している。環状溝60Lにはソレノイド62Lが配置されており、ソレノイド62Lは回転軸線20の周りに環状に延在している。直線変位部材18Lのベース部18LBには、径方向に互いに隔置された通電装置64L及び66Lが設けられている。
図3に詳細に示されているように、通電装置64L及び66Lは、それぞれ回転軸線20に沿って延在するシリンダ孔64LA及び66LAと、シリンダ孔に嵌合する円柱状のピストン64LB及び66LBと、これらのピストンを静止部材14へ向けて付勢する圧縮コイルばね64LC及び66LCとを有している。ピストン64LB及び66LBは導電体にて形成されているが、それらの円筒状の外周面は電気絶縁材にてコーティングされている。
静止部材14の通電装置64L及び66Lに対向する部分には、それぞれ導電体64LD及び66LDが固定されている。導電体64LD及び66LDは、対応するピストン64LB及び66LBに対向する部分を除き、電気絶縁材65Lにて電気的に絶縁されている。導電体64LD、66LD及び電気絶縁材65Lは、回転軸線20の周りに環状に延在している。ピストン64LB及び66LBの外端は、それぞれ導電体64LD及び66LDに通電可能に当接しており、これらのピストンの内端はそれぞれ導線68L及び70Lによりソレノイド62Lに接続されている。
通電装置64R及び66Rを介して行われるソレノイド62Rに対する通電及び通電装置64L及び66Lを介して行われるソレノイド62Lに対する通電は、図には示されていない電子制御装置によって制御される。この場合、ブレーキペダルに対する踏力の如き運転者の制動操作量が検出され、制動操作量が高いほど電流値が高くなるようソレノイド62R及び62Lに対する制御電流が制御されてよい。
前述のように、直線変位部材18R及び18Lは太陽歯車部材として機能し、回転摩擦部材16R及び16Lは遊星歯車部材として機能し、ブレーキロータ12は内歯車部材として機能する。よって、ブレーキロータ12が回転軸線20の周りに回転すると、回転摩擦部材16R及び16Lは、回転軸線20の周りにブレーキロータ12とは逆方向へ相対的に公転すると共に、軸線42の周りにブレーキロータ12と同一方向へ自転する。直線変位部材18R及び18Lは、回転軸線20の周りに回転摩擦部材16R及び16Lとは逆方向へ回転するので、回転軸線20の周りにブレーキロータ12とは逆方向へ回転する。
ソレノイド62R及び62Lに制御電流が通電されていないときには、これらのソレノイドは電磁な吸引力を発生しないので、メインロータ24のディスク部24A及び直線変位部材18Rを吸引しない。よって、直線変位部材18Rはディスク部24Aに対し押圧されず、回転摩擦部材16Rも直線変位部材18Rに対し押圧されない。同様に、直線変位部材18Lはサブロータ26に対し押圧されず、回転摩擦部材16Lも直線変位部材18Lに対し押圧されない。従って、ブレーキロータ12が回転軸線20の周りに回転していれば、これらの部材は上記遊星歯車として相対回転するが、それらの摩擦面24Sなどは摩擦係合しないので、摩擦力による制動力は発生しない。
これに対し、ソレノイド62R及び62Lに制御電流が通電されると、それらのソレノイドにより電磁的な吸引力が発生される。ソレノイド62Rの吸引力は、メインロータ24のディスク部24Aを吸引し、これにより直線変位部材18Rの円環板状部18RDをディスク部24Aに対し押圧する。また、ソレノイド62Rの吸引力は、回転摩擦部材16Rを吸引し、これにより回転摩擦部材16Rを円環板状部18RDに対し押圧する。同様に、ソレノイド62Lの吸引力は、サブロータ26を吸引し、これにより直線変位部材18LRの円環板状部18LDをサブロータ26に対し押圧する。また、ソレノイド62Lの吸引力は、回転摩擦部材16Lを吸引し、これにより回転摩擦部材16Lを円環板状部18LDに対し押圧する。
従って、ブレーキロータ12が回転軸線20の周りに回転していれば、これらの部材は上記遊星歯車として相対回転し、それらの摩擦面24Sなどが摩擦係合するので、摩擦力による制動力が発生する。摩擦係合による摩擦力は、互いに摩擦係合する摩擦面間の押圧力に比例し、これらの押圧力はソレノイド62R及び62Lの電磁力に比例する。よって、ソレノイド62R及び62Lの電磁力を制御することにより、従ってこれらのソレノイドに通電される制御電流を制御することにより、摩擦ブレーキ装置10が発生する制動力を制御することができる。
以上の説明より解るように、ソレノイド62R及び通電装置64R、66Rは、直線変位部材18Rの円環板状部18RD、メインロータ24のディスク部24A及び回転摩擦部材16Rを相対的に変位させて互いに他に対し押圧するアクチュエータとして機能する。同様に、ソレノイド62L及び通電装置64L、66Lは、直線変位部材18Lの円環板状部18LD、サブロータ26及び回転摩擦部材16Lを相対的に変位させて互いに他に対し押圧するアクチュエータとして機能する。
第一の実施形態によれば、直線変位部材18Rの円環板状部18RDが、メインロータ24のディスク部24Aに対し回転軸線20の周りに逆方向へ回転し、摩擦面18RSO及び24Sが摩擦係合することにより摩擦力が発生する。また、回転摩擦部材16Rが円環板状部18RDに対し回転軸線20の周りに回転し、摩擦部46R及び摩擦面18RSIが摩擦係合することにより摩擦力が発生する。更に、回転摩擦部材16Rが円環板状部18RDに対し軸線42の周りに自転し、摩擦部46R及び摩擦面18RSIが摩擦係合することにより摩擦力が発生する。
同様に、直線変位部材18Lの円環板状部18LDが、サブロータ26に対し回転軸線20の周りに逆方向へ回転し、摩擦面18LSO及び26Sが摩擦係合することにより摩擦力が発生する。また、回転摩擦部材16Lが円環板状部18LDに対し回転軸線20の周りに回転し、摩擦部46L及び摩擦面18LSIが摩擦係合することにより摩擦力が発生する。更に、回転摩擦部材16Lが円環板状部18LDに対し軸線42の周りに自転し、摩擦部46L及び摩擦面18LSIが摩擦係合することにより摩擦力が発生する。
よって、図には示されていないが、ブレーキディスクが静止状態の摩擦部材に対し回転軸線の周りに回転し、摩擦部材がブレーキディスクの一方の摩擦面に対してしか押圧されない従来のブレーキ装置に比して、高い制動トルクを発生させることができる。
例えば、図1には示されていないが、回転軸線20と軸線42との距離を120mmとし、外歯車48R及び48Lのピッチ円の半径を25mmとする。内歯車50のピッチ円の半径を150mmとし、外歯車52R及び52Lのピッチ円の半径を90mmとする。また、各摩擦面及び摩擦部の摩擦係数をμとし、ソレノイド62R及び62Lにより発生される電磁的な吸引力により各摩擦係合部に与えられる押圧力は同一であり、その押圧力をF(kgf)とする。
回転摩擦部材16R及び16Lがそれぞれディスク部24A及びサブロータ26に対し押圧された状態にてこれらに対し相対的に回転軸線20の周りに回転することにより発生される制動トルクTrv(kgfmm)は、下記の式(1)により表される。
Trv=μ×F×120×2
=240μF……(1)
Trv=μ×F×120×2
=240μF……(1)
回転摩擦部材16R及び16Lがそれぞれ直線変位部材18R及び18Lの円環板状部18RD及び18LDに対し回転軸線20の周りに公転することにより発生する抗力トルクがメインロータ24に与える抗力Frt(kgf)は、下記の式(2)により表される。
Frt=μ×F×150/120×2
=2.5μF……(2)
Frt=μ×F×150/120×2
=2.5μF……(2)
回転摩擦部材16R及び16Lがそれぞれ直線変位部材18R及び18Lの円環板状部18RD及び18LDに対し軸線42の周りに自転することにより発生する抗力トルクがメインロータ24に与える抗力Fst(kgf)は、下記の式(3)により表される。
Fst=μ×F×25/30×2
=1.66μF……(3)
Fst=μ×F×25/30×2
=1.66μF……(3)
よって、抗力Frt及びFstによる制動トルクTrst(kgfmm)は、下記の式(4)により表される。
Trst=(Frt+Fst)×150
=624μF……(4)
Trst=(Frt+Fst)×150
=624μF……(4)
従って、上記式(1)の制動トルクTrvと上記式(4)の制動トルクTrstと和であるトータルの制動トルクTb(kgfmm)は、下記の式5により表される。
Tb=240μF+624μF
=864μF ……(5)
Tb=240μF+624μF
=864μF ……(5)
回転摩擦部材16R及び16Lがただ単にディスク部24A及びサブロータ26に対し押圧力Fにて押圧されることと等価な従来の一般的なブレーキ装置における制動トルクTcは、上記の式(1)により表される値である。
従来の一般的なブレーキ装置との対比における第一の実施形態の制動トルクのサーボ比Rbt(=Tb/Tc)は、下記の式6により表される。従って、第一の実施形態によれば、従来の一般的なブレーキ装置に比して高い制動力を発生させることができる。
Rbt=864μF/240μF
=3.6 ……(6)
Rbt=864μF/240μF
=3.6 ……(6)
[第二の実施形態]
図4は、電磁式の車両用ブレーキ装置として構成された本発明の第二の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10を、回転軸線を通る切断面にて切断して示す部分断面図である。なお、図4において、図1乃至図3に示された部材と同一の部材にはこれらの図において付された符号と同一の符号が付されている。このことは、後述の他の実施形態についても同様である。
図4は、電磁式の車両用ブレーキ装置として構成された本発明の第二の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10を、回転軸線を通る切断面にて切断して示す部分断面図である。なお、図4において、図1乃至図3に示された部材と同一の部材にはこれらの図において付された符号と同一の符号が付されている。このことは、後述の他の実施形態についても同様である。
この第二の実施形態においては、サブロータ26は設けられておらず、第一の実施形態の静止部材14の左側の部材が省略されている。即ち、第一の実施形態における回転摩擦部材16L、直線変位部材18L及びこれらに関連する部材は設けられていない。この実施形態の他の点は第一の実施形態と同様に構成されている。
従って、メインロータ24、回転摩擦部材16R、直線変位部材18R及びこれらに関連する部材により、第一の実施形態の場合と同様に摩擦面及び摩擦部の摩擦係合による制動力が発生される。この実施形態の制動力は、第一の実施形態の制動力の半分であるが、それでも従来の一般的なブレーキ装置に比して高い制動力を発生させることができる。
[第三の実施形態]
図5は、油圧式の車両用ブレーキ装置として構成された本発明の第三の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10を、回転軸線を通る切断面にて切断して示す部分断面図である。
図5は、油圧式の車両用ブレーキ装置として構成された本発明の第三の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10を、回転軸線を通る切断面にて切断して示す部分断面図である。
この第三の実施形態においては、第一の実施形態におけるソレノイド62R、62L、通電装置64R、66R及び64L、66L及びこれらに関連する部材は設けられていない。回転摩擦部材16R、16L及び直線変位部材18R、18Lは、四つの油圧式のアクチュエータ72により相対的に移動され、押圧される。アクチュエータ72は、回転摩擦部材16R、16Lに対応して回転軸線20の周りに互いに90°隔置された位置に設けられている。
各アクチュエータ72は、静止部材14の外周部に設けられ軸線42に整合して延在するシリンダ74を有している。シリンダ74には軸線42に沿って往復動可能にピストン76R及び76Lが嵌合し、ピストン76R及び76Lはシリンダ74と共働してシリンダ室78を郭定している。シリンダ室78の両側にてピストン76R及び76Lとシリンダ74との間の領域は、Oリングシール80によりシールされている。
ピストン76R及び76Lの外端(シリンダ室78とは反対側の端部)は、軸線42に沿って外方へ突出する球面状をなしており、それぞれ回転摩擦部材16R及び16Lの内面82R及び82Lに当接している。内面82R及び82Lは、軸線42に沿って外方へ窪む球面状をなしており、その半径はピストン76R及び76Lの外端の球面状の表面の半径と実質的に同一である。
静止部材14には、外端にて対応するシリンダ室78と連通し、径方向に延在する四つの内部通路84が設けられている。また、静止部材14の円筒部14Aの内面には、回転軸線20の周りに延在する環状溝86が形成されており、環状溝86は内部通路84の内端と連通している。環状溝86は、円筒部14Aの外端に設けられた連通孔88及び図5には示されていない導管により油圧回路に接続されている。
シリンダ室78内の圧力は、図5には示されていない電子制御装置によって油圧回路が制御されることにより、運転者の制動操作量に応じて制御される。特に、運転者により制動操作が行われていないときには、シリンダ室78内の圧力は標準圧力、例えば大気圧に維持され、これによりピストン76R及び76Lの外端は回転摩擦部材16R及び16Lを押圧することなく、それらの内面82R及び82Lに当接した状態を維持する。
これに対し、運転者により制動操作が行われているときには、シリンダ室78内の圧力は、運転者の制動操作量に応じて標準圧力よりも高い圧力に制御され、これによりピストン76R及び76Lの外端は回転摩擦部材16R及び16Lを押圧する。回転摩擦部材16R及び16Lは、それぞれ直線変位部材18R及び18Lの円環板状部18RD及び18LDを押圧し、これにより円環板状部18RD及び18LDは、それぞれメインロータ24のディスク部24A及びサブロータ26を押圧する。
この第三の実施形態は、回転摩擦部材16R、16L及び直線変位部材18R、18Lが、油圧式のアクチュエータ72により相対的に移動され、押圧される点を除き、第一の実施形態と同様に構成されている。従って、第三の実施形態によれば、上述の第一の実施形態と同様に高い制動力を発生させることができる。
[第四の実施形態]
図6に示された第四の実施形態における回転摩擦部材16R及び16Lは、遊星歯車部材として機能する第一の歯車部材である。直線変位部材18R及び18Lは、太陽歯車部材として機能する第二の歯車部材であり、ブレーキロータ12は、内歯車部材として機能する第三の歯車部材である。よって、この実施形態の摩擦ブレーキ装置10は、請求項3に対応する実施形態である。
図6に示された第四の実施形態における回転摩擦部材16R及び16Lは、遊星歯車部材として機能する第一の歯車部材である。直線変位部材18R及び18Lは、太陽歯車部材として機能する第二の歯車部材であり、ブレーキロータ12は、内歯車部材として機能する第三の歯車部材である。よって、この実施形態の摩擦ブレーキ装置10は、請求項3に対応する実施形態である。
この第四の実施形態においては、静止部材14は設けられておらず、直線変位部材18R及び18Lは互いに隣接する状態にて配置されている。第一の実施形態における回転円筒体54R、54L及びボールベアリング58R、58Lは設けられておらず、直線変位部材18R及び18Lのベース部18RB及び18LBの内周面及びこれに径方向に対向する車輪支持部材32のスリーブ部32Aの外面には、回転軸線20に沿って延在し互いに対向するキー溝が設けられ、それらのキー溝にはキー56が嵌め込まれている。
よって、直線変位部材18R及び18Lは、回転軸線20に沿って移動可能であるが、回転軸線20の周りに回転しないよう、車輪支持部材32のスリーブ部32Aにより支持されている。直線変位部材18R及び18Lは、回転軸線20の周りに回転しないので、第一の実施形態における通電装置64R、66R及び64L、66Lは設けられておらず、導電体64RD、66RD及び64LD、66LDも設けられていない。
回転摩擦部材16Rは、直線変位部材18Rの円環板状部18RDとメインロータ24のディスク部24Aとの間に配置されており、外歯車48Rは、径方向外側においてはメインロータ24の円筒部24Bの内面に形成された平歯の内歯車50Rと噛合している。回転摩擦部材16Rは、内側及び外側の側面にそれぞれ摩擦部46RI及び46ROを有している。摩擦部46RI及び46ROは、それぞれ直線変位部材18Rの円環板状部18RDの外面の摩擦面18RSO及びディスク部24Aの内面の摩擦面24Sと摩擦係合可能である。
同様に、回転摩擦部材16Lは、直線変位部材18Lの円環板状部18LDとサブロータ26との間に配置されており、外歯車48Lは、径方向外側においてはメインロータ24の円筒部24Bの内面に形成された平歯の内歯車50Lと噛合している。回転摩擦部材16Lは、内側及び外側の側面にそれぞれ摩擦部46LI及び46LOを有している。摩擦部46LI及び46LOは、それぞれ直線変位部材18Lの円環板状部18LDの外面の摩擦面18LSO及びサブロータ26の内面の摩擦面26Sと摩擦係合可能である。
ソレノイド62R及び62Lに制御電流が通電されると、それらのソレノイドにより電磁的な吸引力が発生される。ソレノイド62Rによる電磁的な吸引力は、メインロータ24のディスク部24Aを吸引し、これにより直線変位部材18Rの円環板状部18RDを回転摩擦部材16Rに対し押圧し、回転摩擦部材16Rをディスク部24Aに対し押圧する。同様に、ソレノイド62Lによる電磁的な吸引力は、サブロータ26を吸引し、これにより直線変位部材18Lの円環板状部18LDを回転摩擦部材16Lに対し押圧し、回転摩擦部材16Lをサブロータ26に対し押圧する。この実施形態の他の点は第一の実施形態と同様に構成されている。
よって、第四の実施形態は、太陽歯車部材として機能する直線変位部材18R及び18Lが回転軸線20の周りに回転しない点を除き、第一の実施形態の場合と実質的に同様に作動する。従って、この実施形態によれば、直線変位部材18R及び18Lは回転軸線20の周りにディスク部24A及びサブロータ26に対し逆回転しないが、上述の第一の実施形態と同様に高い制動力を発生させることができる。
[第五の実施形態]
図7に示された第五の実施形態においては、サブロータ26は設けられておらず、第四の実施形態の左半分の部材が省略されている。即ち、第四の実施形態における回転摩擦部材16L、直線変位部材18L及びこれらに関連する部材は設けられていない。この実施形態の他の点は第四の実施形態と同様に構成されている。
図7に示された第五の実施形態においては、サブロータ26は設けられておらず、第四の実施形態の左半分の部材が省略されている。即ち、第四の実施形態における回転摩擦部材16L、直線変位部材18L及びこれらに関連する部材は設けられていない。この実施形態の他の点は第四の実施形態と同様に構成されている。
従って、メインロータ24、回転摩擦部材16R、直線変位部材18R及びこれらに関連する部材により、第四の実施形態の場合と同様に摩擦面及び摩擦部の摩擦係合による制動力が発生される。この実施形態の制動力は、第四の実施形態の制動力の半分であるが、上述の第二の実施形態と同様に、高い制動力を発生させることができる。
[第六の実施形態]
図8に示された第六の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10は、ブレーキロータ12と、回転摩擦部材16と、直線変位部材18とを有している。ブレーキロータ12は、内歯車部材として機能する第一の歯車部材であり、直線変位部材18は、太陽歯車部材として機能する第二の歯車部材であり、回転摩擦部材16は、遊星歯車部材として機能する第三の歯車部材である。よって、この実施形態の摩擦ブレーキ装置10は、請求項4に対応する実施形態である。
図8に示された第六の実施形態にかかる摩擦ブレーキ装置10は、ブレーキロータ12と、回転摩擦部材16と、直線変位部材18とを有している。ブレーキロータ12は、内歯車部材として機能する第一の歯車部材であり、直線変位部材18は、太陽歯車部材として機能する第二の歯車部材であり、回転摩擦部材16は、遊星歯車部材として機能する第三の歯車部材である。よって、この実施形態の摩擦ブレーキ装置10は、請求項4に対応する実施形態である。
図8に示されているように、第一の実施形態における静止部材14、回転円筒体54R、54L及びボールベアリング58R、58Lは設けられておらず、直線変位部材18は回転軸線20に沿って延在する実質的に円筒状をなしている。直線変位部材18の内周面及びこれに径方向に対向する車輪支持部材32のスリーブ部32Aの外面には、回転軸線20に沿って延在し互いに対向するキー溝が設けられ、それらのキー溝にはキー56が嵌め込まれている。スリーブ部32Aの一端には、直線変位部材18が図8で見て左方へスリーブ部32Aに対し過剰に変位することを阻止するロックナット90が螺合により固定されている。
直線変位部材18は、ボールベアリング92を介してブレーキロータ12を回転軸線20の周りに回転可能に支持している。ブレーキロータ12は回転軸線20に垂直に回転軸線20の周りに延在する実質的に円環板状部12Aを有している。ブレーキロータ12の外周部には回転軸線20に沿って延在する円筒部12Bが設けられており、円筒部12Bの内面には平歯の内歯車50が形成されている。回転摩擦部材16は、径方向外側にて内歯車50と噛合し、径方向内側にて直線変位部材18の外周面に形成された外歯車52と噛合している。よって、回転摩擦部材16は、回転軸線20と平行な軸線42に沿ってブレーキロータ12及び直線変位部材18に対し変位可能であると共に、軸線42の周りに回転(自転)可能である。
回転摩擦部材16は、ブレーキロータ12の円環板状部12Aに対向する内側の側面に摩擦部46を有しており、摩擦部46は円環板状部12Aの内面の摩擦面12SIと摩擦係合し得るようになっている。直線変位部材18の外周部及び円筒部12Bの内周部には、回転摩擦部材16に対しブレーキロータ12の円環板状部12Aとは反対の側に、それぞれCリング94及び96が固定されている。Cリング94及び96は、回転摩擦部材16がブレーキロータ12及び直線変位部材18に対しブレーキロータ12の円環板状部12Aから過剰に離れる方向へ移動することを阻止する。
車輪支持部材32のスリーブ部32Aの他端には、回転軸線20に垂直に回転軸線20の周りに延在するフランジ32Fが一体に設けられている。フランジ32Fの内面は、ブレーキロータ12の内周部の外面に設けられた摩擦面12SOと摩擦係合可能な摩擦面32FSを有している。ブレーキロータ12の円環板状部12Aの外面側には、回転軸線20の周りに90°隔置された状態にて四つのボルト孔98が設けられている。図8には示されていないが、各ボルト孔98にボルトがねじ込まれることにより、車輪のリム部がブレーキロータ12に一体的に連結されるようになっている。
ブレーキロータ12は、回転軸線20の周りに全周に亘り延在し径方向外方へ開いた環状溝60を有している。環状溝60にはソレノイド62が配置されており、ソレノイド62は回転軸線20の周りに環状に延在している。ブレーキロータ12のソレノイド62よりも径方向内側の部分には、第一の実施形態における通電装置64R及び66Rと同様の通電装置64及び66が設けられている。図8には示されていないが、車輪支持部材32のフランジ32Fには、第一の実施形態における導電体64RD、66RD及び電気絶縁材65Rと同様の導電体及び電気絶縁材が設けられている。
この第六の実施形態においては、ソレノイド62に制御電流が通電されていないときには、ソレノイドは電磁的な吸引力を発生しない。よって、回転摩擦部材16はブレーキロータ12に対し押圧されず、ブレーキロータ12もフランジ32Fに対し押圧されない。従って、ブレーキロータ12が回転軸線20の周りに回転していれば、ブレーキロータ12、回転摩擦部材16及び直線変位部材18は上記遊星歯車として相対回転するが、それらの摩擦面12SOなどは摩擦係合しないので、摩擦力による制動力は発生しない。
なお、ブレーキロータ12は直線変位部材18及びフランジ32Fに対し回転軸線20の周りに回転し、回転摩擦部材16はブレーキロータ12に対し回転軸線20の周りに公転しつつ軸線42の周りに自転する。
これに対し、ソレノイド62に制御電流が通電されると、ソレノイド62により電磁力が発生される。ソレノイド62の電磁力は、吸引力として作用し、回転摩擦部材16をブレーキロータ12に対し押圧すると共に、ブレーキロータ12の円環板状部12Aをフランジ32Fに対し押圧する。この場合、フランジ82Fを含む車輪支持部材32は、遊星歯車部材として機能する回転摩擦部材16及び内歯車部材として機能するブレーキロータ12との相対回転について見ると、直線変位部材18と共働して太陽歯車部材の一部として機能する。
よって、ブレーキロータ12が回転軸線20の周りに回転していれば、これらの部材は上記遊星歯車部材として相対回転し、それらの摩擦面が摩擦係合して摩擦力を発生する。即ち、回転摩擦部材16がブレーキロータ12に対し回転軸線20の周りに公転しつつ軸線42の周りに自転することにより、摩擦部46が直線変位部材18の摩擦面18SIと公転及び自転による摩擦係合にて摩擦力を発生する。また、直線変位部材18の摩擦面18SO及びフランジ32Fの摩擦面32FSが、回転軸線20の周りの相対回転による摩擦係合にて摩擦力を発生する。従って、第六の実施形態によれば、上述の第二及び第五の実施形態と同様に、上記摩擦力による高い制動力を発生させることができる。
以上の説明から解るように、上記各実施形態によれば、遊星歯車機構の太陽歯車部材、遊星歯車部材及び内歯車部材として機能する三種の歯車部材の間の側面における摩擦係合による摩擦力により制動力が発生される。従って、回転軸線の周りの相対回転の摩擦係合のみによる摩擦力により制動力が発生される従来のブレーキ装置に比して、高い制動力を発生させることができる。
また、摩擦部材がブレーキロータより受ける回転トルクを利用してくさび作用が発生され、これによりブレーキロータに対する摩擦部材の押圧力が増大される上記特許文献1に記載された摩擦ブレーキ装置においては、くさび作用の状況によって押圧力の増大が変動し、そのため制動力を正確に制御することが困難である。
これに対し、上記各実施形態によれば、遊星歯車機構を構成する三種の歯車部材の間の摩擦係合による摩擦力は、歯車部材同士の間の押圧力に比例し、押圧力はアクチュエータにより正確に制御可能である。よって、アクチュエータにより歯車部材同士の間の押圧力を制御することにより、制動力を正確に制御することができる。
特に、第一、第三及び第四の実施形態によれば、一対の遊星歯車機構が設けられ、各遊星歯車機構の三種の歯車部材が摩擦係合せしめられ、それらの摩擦係合の摩擦力によって制動力が発生される。よって、一つの遊星歯車機構しか設けられていない第二、第五及び第六の実施形態に比して、高い制動力を発生させることができる。
逆に、第二、第五及び第六の実施形態によれば、遊星歯車機構は一つであるので、第一、第三及び第四の実施形態に比して、部品点数が少なく、ブレーキ装置の構造を単純化することができる。
また、第一、第三及び第四の実施形態によれば、回転摩擦部材16R、16L及び直線変位部材18R、18Lは、密閉空間40内に収容されている。よって、回転摩擦部材などが密閉空間内に収容されていない場合に比して、回転摩擦部材などの噛合部や摩擦係合部に粉塵や泥水などの異物が侵入する虞れを効果的に低減することができる。
また、第三の実施形態によれば、一つのアクチュエータ72によりピストン76R及び76Lを同一の駆動力にて同時に駆動する。よって、回転摩擦部材16R、16L及び直線変位部材18R、18Lを、同時に同一の押圧力にてそれぞれメインロータ24のディスク部24A及びサブロータ26に押圧することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の第一、第三及び第四の実施形態においては、回転摩擦部材16R及び16Lは、共通の自転軸線42の周りに回転するようになっているが、これらの回転摩擦部材は、径方向又は周方向の位置が異なる軸線の周りに回転するようになっていてもよい。
また、上述の第一、第三及び第四の実施形態においては、回転摩擦部材16R及び16Lは、互いに同一のピッチ円直径を有し、外歯車52R及び52Lも互いに同一のピッチ円直径を有している。しかし、これらのピッチ円直径は異なっていてもよい。また、回転摩擦部材16R及び16Lは、回転軸線20と平行な方向に互いに整合しているが、これらは互いに整合していなくてもよい。
また、上述の第一、第三及び第四の実施形態においては、円筒部24Bはディスク部24Aと一体に形成されてメインロータ24を形成している。しかし、円筒部24Bはサブロータ26と一体に形成されてもよく、またディスク部24A、円筒部24B、サブロータ26が別体に形成されてもよい。
また、上述の第一、第三及び第四の実施形態においては、メインロータ24及びサブロータ26は、車輪支持部材32及びシール部材38と共働して密閉空間40を形成しているが、密閉空間が形成されていなくてもよい。
なお、上述の第一、第三及び第四の実施形態においては、回転摩擦部材16R、16L及び直線変位部材18R、18Lは密閉空間40内に収容されている。よって、回転摩擦部材及び直線変位部材が密閉空間内に収容されていない場合に比して、ブレーキ装置10の作動時にそれらの部材の温度が上昇し易い。しかし、摩擦部及び摩擦面が上述の如く耐熱性にも優れたセラミック形の摩擦材料にて形成されていれば、温度上昇に起因する制動力の低下は小さい。また、回転摩擦部材及び直線変位部材が密閉空間内に収容される場合には、それらの部材の温度上昇が抑制されるよう、メインロータ24やサブロータ26に空冷用のフィンが設けられてもよい。
また、上述の第一及び第二の実施形態においては、キャリア部材の一部として機能する静止部材14は円筒部14Aにて車輪支持部材32一体的に連結され、回転軸線20の周りに回転しないようになっている。しかし、キャリア部材は、回転摩擦部材を自転軸線の周りに回転可能に支持しつつ回転摩擦部材と共に回転軸線20の周りに回転する円環板状の部材に置き換えられてもよい。
また、上述の第三の実施形態以外の実施形態においては、回転摩擦部材16R、16Lなどが、アクチュエータを構成するソレノイド62R、62Lによる電磁力によって駆動され押圧されるようになっている。しかし、第二乃至第六の実施形態において、アクチュエータが第三の実施形態と同様に油圧式のアクチュエータに置き換えられてもよい。また、各実施形態のブレーキ装置は車両用のブレーキ装置であるが、本発明のブレーキ装置は車両以外の用途に適用されてもよい。
Claims (7)
- 回転軸線に垂直に延在する両側面に摩擦面を有し、前記回転軸線の周りに回転する第一の歯車部材と、
前記回転軸線に垂直に延在する一方の側面に前記第一の歯車部材の一方の摩擦面と摩擦係合可能な摩擦面を有する第二の歯車部材と、
前記回転軸線に垂直に延在する一方の側面に前記第一の歯車部材の他方の摩擦面と摩擦係合可能な摩擦面を有する第三の歯車部材と、
前記回転軸線に沿って前記第一乃至第三の歯車部材を相対変位させ、対応する摩擦面を摩擦係合させるアクチュエータと、を有し、
前記第一乃至第三の歯車部材は、前記回転軸線に沿って互いに他に対し相対変位可能であり、
前記第一乃至第三の歯車部材の一つ、他の一つ及び残りの一つは、それぞれ太陽歯車部材、遊星歯車部材及び内歯車部材として機能することにより、前記第一乃至第三の歯車部材は前記回転軸線を回転中心とする遊星歯車機構を構成しており、
前記内歯車部材として機能する歯車部材は、静止支持部材により前記回転軸線の周りに回転可能に支持されたブレーキロータである、
摩擦ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の摩擦ブレーキ装置において、
前記第一乃至第三の歯車部材は、それぞれ前記太陽歯車部材、前記遊星歯車部材及び前記内歯車部材として機能し、
前記第一の歯車部材は、前記回転軸線と平行な方向において前記第二の歯車部材と第三の歯車部材との間に位置し且つ両側面に前記摩擦面を有する円環板状部と、該円環板状部の内周部と一体をなし且つ前記第二の歯車部材と噛合する太陽歯車を備えたベース部とを有しており、
前記第二の歯車部材は、キャリア部材により前記回転軸線と平行な自転軸線の周りに回転可能に支持され、前記第一の歯車部材の側の側面に前記摩擦面を有しており、
前記第三の歯車部材は、内周部にて前記静止支持部材により前記回転軸線の周りに回転可能に支持され且つ前記第二の歯車部材の側の側面に前記摩擦面を有するディスク部と、該ディスク部の外周部と一体をなし且つ前記回転軸線に沿って延在し前記第二の歯車部材と噛合する内歯車を備えた円筒部とを有する、
摩擦ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の摩擦ブレーキ装置において、
前記第一乃至第三の歯車部材は、それぞれ前記遊星歯車部材、前記太陽歯車部材及び前記内歯車部材として機能し、
前記第一の歯車部材は、前記回転軸線と平行な方向において前記第二の歯車部材と第三の歯車部材との間にて、これらの歯車部材により前記回転軸線と平行な自転軸線の周りに回転可能に支持されており、
前記第二の歯車部材は、前記第一の歯車部材と噛合する太陽歯車を備え、内周部にて前記静止支持部材により前記回転軸線の周りに回転しないよう拘束されており、
前記第三の歯車部材は、内周部にて前記静止支持部材により前記回転軸線の周りに回転可能に支持され且つ前記第一の歯車部材の側の側面に前記摩擦面を有するディスク部と、該ディスク部の外周部と一体をなし且つ前記回転軸線に沿って延在し前記第一の歯車部材と噛合する内歯車を備えた円筒部とを有する、
摩擦ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の摩擦ブレーキ装置において、
前記第一乃至第三の歯車部材は、それぞれ前記内歯車部材、前記太陽歯車部材及び前記遊星歯車部材として機能し、
前記第一の歯車部材は、内周部にて前記静止支持部材により前記回転軸線の周りに回転可能に支持され且つ両側面に摩擦面を有するディスク部と、該ディスク部の外周部と一体をなし前記回転軸線に沿って延在し前記第三の歯車部材と噛合する内歯車を備えた円筒部とを有しており、
前記第二の歯車部材は、前記第三の歯車部材と噛合する太陽歯車を備え、内周部にて前記静止支持部材により前記回転軸線に沿って前記静止支持部材に対し変位可能に且つ前記回転軸線の周りに回転不能に支持された可動部と、前記静止支持部材と一体的に形成され前記回転軸線に垂直に延在する静止円環板状部とを有しており、
前記第三の歯車部材は、前記回転軸線と平行な方向において前記第一の歯車部材に対し前記静止円環板状部とは反対の側にて、前記第一及び第二の歯車部材により前記回転軸線と平行な自転軸線の周りに回転可能に支持されている、
摩擦ブレーキ装置。 - 請求項2に記載の摩擦ブレーキ装置において、前記アクチュエータは、前記第二の歯車部材を前記第一の歯車部材の前記円環板状部に対し押圧すると共に、前記第一の歯車部材の前記円環板状部を前記第三の歯車部材の前記ディスク部に対し押圧する、摩擦ブレーキ装置。
- 請求項3に記載の摩擦ブレーキ装置において、前記アクチュエータは、前記第二の歯車部材を前記第一の歯車部材に対し押圧することにより、前記第一の歯車部材を前記第三の歯車部材に対し押圧する、摩擦ブレーキ装置。
- 請求項4に記載の摩擦ブレーキ装置において、前記アクチュエータは、前記第三の歯車部材を前記第一の歯車部材のディスク部に対し押圧すると共に、前記第一の歯車部材のディスク部を前記静止円環板状部に対し押圧する、摩擦ブレーキ装置。
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