以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
以下の例においては、本発明に係る加熱調理器の具体例として炊飯器を挙げて説明する。もちろん、加熱調理器は炊飯器に限定されず、オーブンや電子レンジ等の他の加熱調理器であってもよい。
<装置構成>
図1は、本実施の形態に係る炊飯器100を斜め上方から見た概略斜視図である。
図1を参照して、炊飯器100は、炊飯器本体1と、炊飯器本体1に開閉可能に取り付けられた蓋体2とを含む。炊飯器本体1は蓋体2に対して下部に位置する。
炊飯器本体1の前面には、蓋体2を開けるための開ボタン3が配される。炊飯器本体1の後面には電源コード47が配される。この電源コード47の大部分は、炊飯器本体1内のコードリール(図示せず)に引き出し可能に巻き付けられていている。
蓋体2の上面の前部には、炊き方や調理名などを表示する液晶表示部5と、複数の操作スイッチ6とが配され、さらに、操作スイッチ6には動作状態を表わすためのLED(Light Emitting Diode)インジケータ61が設けられている。操作スイッチ6は物理的な押下を受け付けるスイッチであってもよいし、静電容量式タッチキーであってもよい。操作スイッチ6が静電容量式タッチキーである場合には、インジケータ61に替えてタッチキーのバックライトが用いられてもよい。なお、液晶表示部5は表示部の一例である。
蓋体2の上面の後部には、米などの食材である被加熱物を収容するための釜に相当する内鍋7(図2)内の蒸気を排出するための蒸気排出口2aが設けられる。
図2は、蓋体2を開いた状態の炊飯器100の概略斜視図である。
図2を参照して、炊飯器本体1には、被加熱物の一例としての米や水などを収容するための内鍋7が収納されている。
炊飯器本体1の上面の前部には被係止部8が設けられており、蓋体2の下面の前部には係止部23が設けられている。被係止部8には係止部23が解除可能に係止する。
炊飯器本体1内には、蓋体2をロックするための蓋ロック部9が設けられている。蓋ロック部9が蓋体2をロックしていないときには、開ボタン3を押すと被係止部8が後方に移動するため、被係止部8に対する係止部23の係止は解除される。蓋ロック部9が蓋体2をロックしているときは、開ボタン3を押しても被係止部8が後方に移動しないため、被係止部8に対する係止部23の係止は解除されない。
蓋体2は、蓋体2を閉じたときに内鍋7側とは反対側に位置する外蓋21と、蓋体2を閉じたときに内鍋7側に位置する内蓋22とを含む。
外蓋21内には撹拌モータ24が設置されている。外蓋21の中央部内には回転可能に連結軸(図示せず)が設置され、撹拌モータ24が発生した回転駆動力を、プーリ(図示せず)やベルト(図示せず)を介して受けて回転する。
炊飯器本体1と蓋体2との間には回転体25が回転可能に配置されて、蓋体2に着脱可能に取り付けられている。より詳しくは、回転体25の蓋体2側の部分からは回転軸29の一方の端部が突出している(図4参照)。回転軸29は、一方の端部が外蓋21の上記連結軸に着脱可能に連結されて、上記連結軸と一体に回転する。また、回転軸29は回転体25に対して回転可能となっている。
回転体25には第1,第2撹拌体26A,26B(これらを代表させて撹拌体26とも称する)が取り付けられている。第1,第2撹拌体26A,26Bは、それぞれ、径方向において回転体25と隣り合って、内鍋7内の米などに接触した撹拌状態と、内鍋7内の米などから乖離した非撹拌状態とを切替可能になっている。すなわち、第1,第2撹拌体26A,26Bのそれぞれは、一方の端部が回転体25に回動可能に取り付けられて、他方の端部が、回転体25から離れたり、回転体25に近づいたりすることが可能になっている。なお、第1,第2撹拌体26A,26Bは撹拌体の一例である。
図3は、回転体25を内鍋7側から見た概略図である。
回転体25は、蓋体側部材27と、この蓋体側部材27の内鍋7側の表面に着脱可能に取り付けられた内鍋側部材28とを有している。蓋体側部材27と内鍋側部材28との間には、第1,第2撹拌体兼用傘ギア30と、第1撹拌体用ギア31A,32A,33Aと、第2撹拌体用ギア31B,32B,33Bとが配置されている。回転軸29の回転駆動は、第1,第2撹拌体兼用傘ギア30および第1撹拌体用ギア31A,32A,33Aを介して第1撹拌体用回動軸34Aに伝わると共に、第1,第2撹拌体兼用傘ギア30および第2撹拌体用ギア31B,32B,33Bを介して第2撹拌体用回動軸34Bに伝わる。これにより、回転軸29が回転すれば、第1,第2撹拌体26A,26Bを第1,第2撹拌体用回動軸34A,34Bを中心に回動させて、図2,図3に示す非撹拌状態から図4に示す撹拌状態に切り替えたり、上記撹拌状態から上記非撹拌状態に切り替えたりすることが可能になっている。
なお、図4では、第1,第2撹拌体26A,26Bを視認できるように、炊飯器本体1および蓋体2の図示を省略している。
図5は、炊飯器100を上方から見た概略上面図である。
図5を参照して、蓋体2の上面の前部には表示部の一例としての液晶表示部5と、液晶表示部5を囲むように配置された複数の操作スイッチ6とが設けられている。
操作スイッチ6は、保温/取消スイッチ6Aと、お料理選択スイッチ6Bと、炊飯選択スイッチ6Cと、炊飯/スタートスイッチ6Dと、洗米スイッチ6Eと、予約スイッチ6Fと、下方向スイッチ6Gと、上方向スイッチ6Hとを含む。各操作スイッチ6A〜6Hには、それぞれLEDインジケータ61A〜61Hが設けられている。
保温/取消スイッチ6Aは、保温の開始、または開始した調理や選択内容などの取り消しを指示するためのスイッチであって、LEDインジケータ61Aが点灯していることで保温状態であることを表わす。
お料理選択スイッチ6Bは、予め記憶されている調理メニュー内から実行する調理メニューを選択するためのスイッチであって、押すたびに予め規定された順で調理メニューが選択状態となる。LEDインジケータ61Bが点灯していることで調理メニューが選択された状態であることを表わす。
炊飯選択スイッチ6Cは、予め記憶されている炊飯メニューの内から実行する炊飯メニューを選択するためのスイッチであって、押すたびに予め規定された順で炊飯メニューが選択状態となる。LEDインジケータ61Cが点灯していることで炊飯メニューが選択された状態であることを表わす。
炊飯/スタートスイッチ6Dは、炊飯メニューや調理メニューや後述する洗米メニューや設定時間に応じた調理シーケンスのスタートを指示するためのスイッチであって、押すことで、調理シーケンスまたは先に選択されているメニューに対応したプログラムに従った動作(調理等)が開始される。LEDインジケータ61Dが点灯していることで炊飯メニュー、調理メニュー、または洗米メニューが実行中の状態であることを表わす。
洗米スイッチ6Eは、内鍋7に収容された米を水洗いする動作メニューである洗米メニューを選択するためのスイッチである。LEDインジケータ61Eが点灯していることで洗米メニューが選択された状態であることを表わす。
予約スイッチ6Fは、炊飯メニューや調理メニューや洗米メニューなどの開始の予約を指示するためのスイッチであって、押すことで、先に選択されているメニューの開始までの時間(予約時間)を受け付ける状態となる。LEDインジケータ61Fが点灯していることで炊飯メニューや調理メニューや洗米メニューなどの開始が予約された状態であることを表わす。
下方向スイッチ6Gおよび上方向スイッチ6Hは、選択内容や設定時間を先または後へ送る(先送り、後送り)ことを指示するためのスイッチである。LEDインジケータ61G,61Hが点灯していることで先送り操作または後送り操作がなされている状態であることを表わす。
図6は、液晶表示部5の拡大図であり、液晶表示部5が表示可能な文字および図をすべて図示している。
液晶表示部5は、米の種類を表示するための米表示部5aと、米の炊き方を表示するための炊き方表示部5bと、調理メニューを表示するための調理表示部5cと、回転体25や第1,第2撹拌体26A,26Bによる内鍋7内の撹拌状態を表示するための内部状態表示部5dと、時間表示部5eと、操作スイッチ6での操作状態を表示するための操作状態表示部5fとを含む。
米表示部5aは、一例として、「白米」、「無洗米」、「玄米」、「発芽玄米」および「分づき米」のうちの1つを表示する。
炊き方表示部5bは、一例として、「ごはん」、「極上」、「おいそぎ」、「炊きこみ」、「おかゆ」、「極美がゆ」、「カレー用」、「少量」、「おこげ」、「すしめし」および「エコ炊飯」のうちの1つを表示する。
調理表示部5cは、一例として、「煮物」、「シチュー」、「蒸し物」、「お菓子」、「マイメニュー」、「予約1」および「予約2」のうちの1つを表示する。
これらの米表示部5a、炊き方表示部5b、調理表示部5cの表示は、操作スイッチ6の操作に応じて変化する。
内部状態表示部5dの表示は、回転体25および第1,第2撹拌体26A,26Bの状態に応じて変化する。
時間表示部5eの表示は時間または調理工程の経過に伴って変化する。
操作状態表示部5fは、操作スイッチ6での操作が無効状態となっていることを表示する。
図7は、炊飯器100を鉛直面で切った断面の概略図である。
炊飯器100は、上記炊飯器本体1と、炊飯器本体1内に収納される内鍋7と、炊飯器本体1の上部に開閉可能に取り付けられ、内鍋7を覆うように閉じることが可能な蓋体2と、蓋体2を閉じたときに内鍋7側とは反対側に位置する外蓋21と、蓋体2を閉じたときに内鍋7側に位置する内蓋22と、内蓋22を加熱するための蓋ヒータ4aと、内鍋7の側面を加熱することで内鍋7内の被加熱物を保温するための保温ヒータ4bと、炊飯器本体1内の下側に配置され、内鍋7を誘導加熱するための誘導コイル4cと、内鍋7の温度を検知するための内鍋7に関連して設けられた温度センサ15aと、内鍋7に収容された被加熱物の重量を検知するための重量センサ15bと、蓋体2に着脱可能に取り付けられた回転体25とを含む。メインCPU10aは、サブCPU10bを介し重量センサ15bの検知信号から測定された重量を取得し、取得した重量と予め定められた内鍋7の重量とから、内鍋7内に収容された被加熱物の重量を取得(算出)する。なお、誘導コイル4cは加熱部の一例である。
外蓋21内には撹拌モータ24が設置されている。回転体25の回転軸29は内蓋22を貫通し、その一方の端部が図示しないプーリやベルトを介して撹拌モータ24に接続されている。
外蓋21の表面には液晶表示部5および操作スイッチ6が設けられ、外蓋21内には、液晶表示部5および操作スイッチ6と接続され、その操作に従って炊飯器100全体を制御するためのメイン制御部が含まれる。メイン制御部には、メインCPU(Central Processing Unit)10aと、メインROM(Read Only Memory)11aおよびメインRAM(Random Access Memory)12aなどである記憶部が含まれる。
炊飯器本体1と内鍋7との間の空間には、メインCPU10aからの制御信号を受けて、誘導コイル4cによる誘導加熱など、炊飯器本体1に含まれる各部を制御するためのサブ制御部が含まれる。サブ制御部には、サブCPU10bと、サブROMおよびサブRAMなどである記憶部とが含まれる。
サブ制御部および誘導コイル4c近傍には、これらの発熱を冷却するための冷却ファン13が配置される。
<機能構成>
図8は、炊飯器100の制御系の構成の概要を表わしたブロック図である。
図8を参照して、炊飯器100の制御系は、大きくは、蓋体2側のメイン制御系と炊飯器本体1側のサブ制御系とに分かれる。蓋体2側のメイン制御系はメインCPU10aを含み、炊飯器本体1側のサブ制御系はサブCPU10bを含む。
メインCPU10aはメイン制御系に含まれる各機能を制御する他、サブCPU10bに対して制御信号を出力して、サブCPU10bにサブ制御系に含まれる各機能の制御を実行させる。また、サブCPU10bは各種信号をメインCPU10aに対して出力する。
メインCPU10aとサブCPU10bとは電気的に分離(絶縁)されている。そのため、メインCPU10aとサブCPU10bとの間の上記信号のやり取りは、好ましくは無線通信が利用される。一例として、フォトカプラが用いられてもよい。すなわち、メイン制御系およびサブ制御系は、それぞれ、通信部54a,54bを含み、上記信号をやり取りする。通信部54a,54bは好ましくは無線通信を行ない、一例として、フォトカプラが挙げられる。
メイン制御系には電源回路50a、サブ制御系には電源回路50b,50cが含まれる。炊飯器本体1に含まれる電源コード47(図示せず)を介して商用電源470から供給された交流電力は、サブ制御系の電源回路50b,50cにもたらされる。
サブ制御系の電源回路50cは供給された交流電力を直流電力に変換してサブCPU10bに供給する。サブ制御系の電源回路50bはメイン制御系への供給用の電源回路であって、供給された交流電力を直流電力に変換した後に、メイン制御系に供給するための交流電力に変換して絶縁トランス40に渡す。交流電力は絶縁トランス40において変圧された後にメイン制御系の電源回路50aに入力される。メイン制御系の電源回路50aは、入力された交流電力を直流電力に変換してメインCPU10aに供給する。すなわち、電源回路50aおよび電源回路50bは、絶縁トランス40によって電気的に絶縁されており、電磁誘導によって電源回路50aから電源回路50bへ電気エネルギーを伝達する。
図9は、図8の制御系構成の内のメイン制御系の詳細を表わしたブロック図である。一部、説明のためにサブ制御系の構成も図示されている。
図9を参照して、メイン制御系にはメインCPU10aが含まれる。メインCPU10aは電源回路50aから電力供給を受けて動作する。
メインCPU10aには、メインCPU10aで実行されるプログラムを記憶するためのROM11aと、プログラム実行の際の作業領域となるRAM12aとが電気的に接続される。
メインCPU10aには、さらに、通信部54a、液晶表示部5、操作スイッチ6、LEDインジケータ61、ブザー14、タイマー16、着脱検知部55、モータ駆動回路57、および蓋開閉検知部56が電気的に接続されている。
メインCPU10aは操作スイッチ6からの操作信号の入力を受け付けることで対応するプログラムを選択し、実行する。メインCPU10aは、プログラムを実行することで液晶表示部5での表示、LEDインジケータ61の点灯/消灯、ブザー14の鳴動を制御する。また、サブ制御系に含まれる各部のうち上記プログラムの実行に基づいて制御対象となる構成を制御するための制御信号を通信部54aに渡すことで、サブCPU10bに対して出力する。
モータ駆動回路57は撹拌モータ24を駆動させるための機構であり、メインCPU10aは上記プログラムの実行に従って、必要なタイミングで必要な駆動量で撹拌モータ24を駆動させるよう、モータ駆動回路57を制御する。なお、モータ駆動回路57には、後述する蓋開閉検知部56からの検知信号も入力され、その検知に応じて撹拌モータ24を駆動/非駆動するようにしてもよい。
着脱検知部55は、蓋体2に着脱可能に構成されている回転体25の着脱を検知するための機構である。具体的な構成は特定の構成に限定されるものではないが、一例として、回転体25の回転軸29に動力を伝える撹拌モータ24のパルス信号に基づいてその回転量を判断し、回転体25の着脱を検知する構成が挙げられる。他の構成として、たとえば着脱を検知するためのセンサを用いてもよい。
蓋開閉検知部56は蓋体2の炊飯器本体1に対する開閉状態を検知するための機構である。具体的な構成は特定の構成に限定されるものではないが、一例として、被係止部8に対する係止部23の係止を検知するためのセンサを用いてもよい。
また、図9の構成の他、回転体25に対する撹拌体26の状態(撹拌状態、非撹拌状態)を検知するための機構が含まれてもよい。この機構の構成もまた特定の構成に限定されるものではないが、たとえば、センサを用いてもよいし、撹拌モータ24のパルス信号に基づいてその回転量を判断することで撹拌体26の状態を検知してもよい。
これらの検知信号はメインCPU10aに入力され、必要に応じて制御に用いられる。
図10は、図8の制御構成の内のサブ制御系の詳細を表わしたブロック図である。一部、説明のためにメイン制御系の構成も図示されている。
図10を参照して、サブ制御系にはサブCPU10bが含まれる。サブCPU10bは電源回路50cから電力供給を受けて動作する。
サブCPU10bには、同期検出部43、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)45、カレントトランス59、リレー51a,51b、パルス信号を発生させるための発振回路52、蓋ロック駆動部44、ファン駆動回路58、温度検知回路41、およびリセット制御を行なうためのリセット回路53が電気的に接続されている。
商用電源470からの電力線は、リレー51cを経て整流回路48に接続されている。商用電源470から整流回路48までの間にはカレントトランス59が接続される。カレントトランス59は、電力線に流れる電流を検出し、検出値をサブCPU10bに対して出力する。
整流回路48にはチョークコイル42を経てコンデンサ46,49が接続され、コンデンサ46に並列に誘導コイル4cが接続されている。整流回路48によって直流に変換された電力がチョークコイル42およびコンデンサ49からなる平滑回路を経て誘導コイル4cに供給される。コンデンサ46および誘導コイル4cはIGBT45を経てサブCPU10bに接続されている。
さらに、商用電源470からの電力線は、ダイオードD1,D2を経て蓋ヒータ4aおよび保温ヒータ4bに接続され、これらヒータに電力が供給される。蓋ヒータ4aおよび保温ヒータ4bへの給電経路には、リレー51a,51bが接続される。リレー51a,51bはサブCPU10bからの制御信号に応答してON/OFFされる。リレー51a,51bは、蓋ヒータ4a、保温ヒータ4bへの給電経路を遮断可能な「開閉装置」を構成する。
サブCPU10bにはさらに通信部54bが電気的に接続され、メインCPU10aからの制御信号を通信部54bで受信してその制御信号に従って各部を制御する。このとき、サブCPU10bは、サブROMに記憶されているプログラムを読出し実行するようにしてもよい。
すなわち、サブCPU10bは、メインCPU10aからの制御信号に従ってIGBT45のON/OFFを制御することで、誘導コイル4cでの加熱を制御する。このとき、同期検出部43が商用電源470から供給される交流電力から同期信号を抽出し、サブCPU10bに入力する。サブCPU10bは、同期信号に基づくタイミングでIGBT45のON/OFFを制御する。
また、サブCPU10bは、メインCPU10aからの制御信号に従ってリレー51a,51bのON/OFFを制御することで、蓋ヒータ4aおよび保温ヒータ4bでの加熱、保温を制御する。
蓋ロック駆動部44は蓋ロック部9を駆動させるための機構であり、サブCPU10bはメインCPU10aからの制御信号に従って蓋ロック部9に施錠/解錠させるよう蓋ロック駆動部44を制御する。
ファン駆動回路58は冷却ファン13を駆動させるための機構であり、サブCPU10bはメインCPU10aからの制御信号に従って冷却ファン13を駆動させるよう、ファン駆動回路58を制御する。
温度検知回路41は内鍋7の温度を検知するための機構であり、温度センサ15aからのセンサ信号に基づいて温度を検知して、検知信号をサブCPU10bに入力する。サブCPU10bは、検知信号をデジタルデータに変換しメインCPU10aに出力する。これにより、メインCPU10aは、入力するデジタルデータから温度センサ15aが測定した内鍋7の温度を示す温度データを取得する。
リレー51cは、商用電源470から供給された電力の、蓋ヒータ4a、保温ヒータ4b、および誘導コイル4cへの供給を遮断する。リレー51cの励磁コイルは、メイン制御系のメインCPU10aに接続される。メインCPU10aから励磁コイルに電力が供給されると、リレー51cの接点が閉成(OFF)される。励磁コイルの非通電時には、リレー51cに接点が開放(ON)される。すなわち、メイン制御系のメインCPU10aは、実行するプログラムに従って蓋ヒータ4a、保温ヒータ4b、および誘導コイル4cへ電力の供給を直接遮断するための制御が可能となる。
(動作の概要)
図11は、本発明の実施の形態に係る炊飯器100による加熱調理のための処理の概略を説明するためのフローチャートである。ここでは、誘導コイル4cは加熱調理のために内鍋7を加熱するための加熱部に相当する。
ROM11aには、異なる時間データのそれぞれに対応し、加熱部による内鍋7の加熱温度および加熱時間が変化するように制御するための加熱シーケンスを示す調理シーケンスの情報が予め記憶される。詳細は後述する。
調理シーケンスの情報は、加熱部による内鍋7の加熱温度および加熱時間が変化するように各部を制御するためのプログラムを含み、当該プログラムはメインCPU10aにより実行される。ここでは、メインCPU10aが当該プログラムを実行することを“調理シーケンスを実行する”とも言う。
炊飯器100により加熱調理を開始する際に、ユーザは予め内鍋7内に食材などの被加熱物を収容して内鍋7を炊飯本体1内にセットし、蓋体2を閉じていると想定する。
まず、ユーザは下方向スイッチ6Gおよび上方向スイッチ6Hを操作して、所望の調理時間を設定する。スイッチ操作に従って設定される時間は、時間表示部5eに表示される。時間表示部5eの表示を確認しながら、所望の時間(たとえば20分など)が設定されたことを判断すると、ユーザは炊飯/スタートスイッチ6Dを操作する。これにより、CPU10aには、ユーザが操作して設定した調理時間が入力されるとともに、調理開始の指示が入力される(ステップT3)。
メインCPU10aは、入力した調理時間に基づきROM11aを検索し、検索結果、入力調理時間に該当する時間データに対応した調理シーケンスの情報を読出す。これにより、実行するべき調理シーケンスを決定する(ステップT5)。
メインCPU10aは、読出された調理シーケンスの情報に従って調理シーケンスを実行する。これにより、加熱部に対する通電率が可変に制御されて、内鍋7および収容されている被加熱物は加熱される(ステップT7)。タイマー16は調理シーケンスの実行開始(加熱開始)からの経過時間を計時し、時間データをメインCPU10aに出力する。
なお、加熱部(すなわち誘導コイル4c)の通電率(Duty比)は、サブCPU10bが、メインCPU10aからの制御信号に従ってIGBT45のON/OFFを制御することで可変に切替えられる。
加熱を開始後、メインCPU10aはステップT3でユーザが設定した調理時間と、タイマー16からの時間データが示す時間とを比較し、比較結果から、加熱を終了するか否かを判定する(ステップT9)。
メインCPU10aは、加熱終了と判定すると、加熱部に対する通電率を、内鍋7を保温するための予め定められた通電率となるように切替える。これにより、調理シーケンス終了(加熱終了)後は内鍋7内の食材を保温するための保温工程が実行される。
図11の具体的例を、以下の実施の形態1と2で説明する。
[実施の形態1]
図12は本実施の形態1に係る加熱調理のための処理フローチャートである。図13は本発明の実施の形態1に係るROM11aの記憶内容の一例を説明する図である。図12の処理フローチャートに従うプログラムは、予めROM11aに格納される。メインCPU10aはROM11aからプログラムを読出し実行することにより炊飯器100内の各部をプログラムに従って制御する。プログラム実行時には図13のデータが読出される。
図13を参照して、ROM11aは領域E1およびE2を有する。領域E1には、異なる時間(単位:分)の幅(レンジ)を示す時間データのそれぞれに対応し、内鍋7の加熱温度および加熱時間が変化するように加熱部を制御するための調理シーケンスの情報を一意に識別するための加熱モードを示すモードデータが格納される。たとえば、時間データが1〜19分を示す場合には95℃温調を示すモードデータが、また20〜39分であれば炊飯のための早炊きシーケンスのモードデータが、40〜69分であれば白米炊飯のための白米シーケンスのモードデータが、および70〜90分であれば玄米炊飯のための玄米シーケンスのモードデータがそれぞれ対応付けて格納される。
領域E2には、玄米炊飯のための調理シーケンスの情報、白米炊飯のための調理シーケンスの情報、早炊き炊飯のための調理シーケンスの情報、および95℃温調のための調理シーケンスの情報が予め格納されており、これら調理シーケンスの情報は、領域E1の対応する加熱モードを示すモードデータそれぞれと関連付けて(たとえばポインタ情報などを用いて関連付けされて)格納される。したがって、メインCPU10aは領域E1のモードデータから、領域E2の当該モードデータに関連付けられた調理シーケンスの情報、すなわち加熱制御のためのプログラムを選択的に読出すことができる。
図14〜図16それぞれは実施の形態1に係る調理シーケンスを実行した場合の内鍋7の温度変化を模式的に示すグラフであり、縦軸には温度(単位:℃)がとられ、横軸には時間(単位:分)がとられる。これらグラフは、本実施の形態1に係る玄米シーケンス、白米シーケンスおよび早炊きシーケンスに従って炊飯した場合の内鍋7の温度変化を模式的に示す。メインCPU10aは、内鍋7の温度データを温度センサ15aから取得する。メインCPU10aは、加熱制御プログラムに従って、内鍋7の温度データとタイマー16からの時間データなどをパラメータにして、加熱部への通電率を可変に制御する。なお、内鍋7内には予め定められた量のコメと予め定められた量の水(温度20℃)が収容されていると想定する。
図14には、玄米シーケンスによる玄米(分づき米や胚芽米などを含む)炊飯時の温度変化が示される。図14を参照して、炊飯/スタートスイッチ6Dが操作されて、玄米シーケンスが実行開始されると、先ず被加熱物に吸水させるための吸水工程を含む予熱工程が実行される。吸水工程は、予め定められた吸水温度まで被加熱物を昇温加熱する工程である。予熱工程では、加熱部が制御されて、比較的に短時間のうちに内鍋7の温度を20℃→60℃まで上昇させる。その後は、予め定められた時間が経過するまで60℃を保持するように加熱部が制御される(保持工程)。
その後、予め定められた期間内に温度を沸騰温度(100℃)まで昇温させるように加熱部が制御され(立上工程)、その後、沸騰状態を維持するように加熱部が制御される(沸騰維持工程)。沸騰維持工程では、内鍋7内の水は十分に沸騰状態(100℃)に維持される。
その後、内鍋7の温度が炊上げ完了判定のための予め定められた温度以上にまで達したとき、蒸らし工程に進んで、加熱部を制御して、予め定められた蒸らし温度での蒸らし工程を、予め定められた時間期間実行する(蒸らし工程)。
そして、蒸らし工程時間が過ぎると、炊飯は完了し、以後は保温工程に移行する。保温工程では、ユーザにより設定された保温時間内だけ予め定められた保温温度で、保温制御が実行される。図14の玄米シーケンスが実行される場合には、加熱開始から終了までの時間は、約105分である。
図15には、白米シーケンスによる白米炊飯時の温度変化が示される。図15を参照して、炊飯/スタートスイッチ6Dが操作されて、白米シーケンスが実行開始されると、先ず予熱工程が実行される。予熱工程は被加熱物に吸水させるための吸水工程に相当し、加熱部が制御されて、比較的に短時間のうちに温度を20℃→60℃まで上昇させる。その後は、シーケンスの実行開始から予め定められた時間が経過するまで60℃を保持するように加熱部が制御される(保持工程)。白米の場合には、保持工程期間は、玄米のそれに比べると短い。
その後、予め定められた期間内に温度を沸騰温度(100℃)まで昇温させるように加熱部が制御され(立上工程)、その後、沸騰状態を維持するように加熱部が制御される(沸騰維持工程)。沸騰維持工程では、内鍋7内の水は十分に沸騰状態(100℃)に維持される。
その後、内鍋7の温度が炊上げ完了判定のための予め定められた温度以上にまで達したとき、蒸らし工程に進む。蒸らし工程では、予め定められた蒸らし温度での加熱を予め定められた時間期間実行する(蒸らし工程)。
そして、蒸らし工程時間が過ぎると、炊飯は完了し、以後は保温工程に移行する。保温工程では、ユーザにより設定された保温時間内だけ予め定められた保温温度で、保温制御が実行される。図15の白米シーケンスが実行される場合には、加熱開始から終了までの時間は、約60分である。
図16には、早炊きシーケンスによる炊飯時の温度変化が示される。図16を参照して、炊飯/スタートスイッチ6Dが操作されて、早炊きシーケンスが実行開始されると、先ず立上工程が実行される。立上工程の開始時には、被加熱物に吸水させるための吸水工程が実行される。立上工程では、加熱部が制御されて、比較的に短時間のうちに温度を20℃→100℃(沸騰温度)まで上昇させる。その後は、予め定められた期間だけ沸騰状態を維持するように加熱部が制御される(沸騰維持工程)。沸騰維持工程では、内鍋7内の水は十分に沸騰状態(100℃)に維持される。
その後、内鍋7の温度が炊上げ完了判定のための予め定められた温度以上にまで達したとき、蒸らし工程に進む。蒸らし工程では、予め定められた蒸らし温度での加熱を予め定められた時間期間実行する(蒸らし工程)。
そして、蒸らし工程時間が過ぎると、炊飯は完了し、以後は保温工程に移行する。保温工程では、ユーザにより設定された保温時間内だけ予め定められた保温温度で、保温制御が実行される。図16の早炊きシーケンスが実行される場合には、加熱開始から終了までの時間は約30分である。
図14〜図16に示すように炊飯のための調理シーケンスは複数工程からなり、複数工程は、加熱により予め定められた吸水温度まで内鍋7を、すなわち被加熱物を昇温させる吸水工程と、それにつづく加熱工程からなる。加熱工程では、予め定められた沸騰温度まで内鍋7を、すなわち被加熱物を昇温加熱する工程である。
図14〜図16それぞれは、調理シーケンスを実行開始してから終了するまでの所要時間が、すなわち加熱時間の長さが異なる。メインCPU10aは、ユーザの設定時間の長さに応じた所要時間の調理シーケンスを選択し、実行する。
図12を参照し、実施の形態1に係る加熱調理のための具体的処理を説明する。図12のステップS7、S9およびS21はステップT5に相当し、ステップS11とS13はステップT7に相当し、ステップS15、S17、S19,S25およびS27はステップT9に相当する。
まず、メインCPU10aは、ステップT3で入力した時間データに基づき、ROM11aの領域E1を検索し、検索結果のモードデータに関連付けされた調理シーケンスの情報を領域E2から読出す(ステップS7)。
続いて、メインCPU10aは、調理シーケンス実行(加熱)開始に先立って、内鍋7の温度から調理シーケンスの工程の一部の実行を省くか否かを判定する(ステップS9)。
具体的には、メインCPU10aは、温度センサ15aの出力から内鍋7の温度を判定する(ステップS9)。つまり、内鍋7の温度と予め定められた温度とを比較し、比較結果から、内鍋7の温度が高温であるか否かを判定する。予め定められた温度以上である、すなわち高温であると判定すると(ステップS9で“高温である”)、メインCPU10aは、ステップS7で読出した調理シーケンスの情報を、複数工程のうちの一部の実行が省略されるように変更する(ステップS21)。省略は、たとえば、ジャンプ命令により省略されるべき部分に該当するプログラム中の命令コードの実行を省略することにより実現される。
また、ステップS9では、温度とステップT3におけるユーザ設定時間との組合わせから、工程の一部の実行を省くか否かを判定するとしてもよい。たとえば、内鍋7の温度が高温であり、且つ設定時間が予め定められた時間よりも長い時間であると判定した場合には、工程の一部の実行を省くと判定する(ステップS9でYES)としてもよい。
工程の一部の実行を省く場合には、たとえば、図14〜図15の炊飯工程を構成する複数の工程のうち、立上工程または予熱工程など1つ以上の工程の実行が省略されて、その後に続く工程から実行が開始される。また、立上工程または予熱工程など工程全部の省略に限定されず、立上工程または予熱工程の一部分の実行を省略するとしてもよい。
また、工程の一部の実行を省略するための方法は、上記のジャンプ命令を用いる方法に限定されない。
このように加熱開始時の内鍋7の温度などに基づき工程の一部の実行が省略されることで、内鍋7内の被加熱物の過加熱を防止し、また調理時間を短縮できる。
その後は、変更後の調理シーケンスが実行されて加熱が開始され(ステップS21)、調理シーケンスに従い加熱が進行する(ステップS13)。
一方、ステップS9で、予め定められた温度未満である、すなわち高温でないと判定されると(ステップS9で“高温でない”)、ステップS7で選択された調理シーケンスが実行開始されて、加熱が開始され(ステップS11)、調理シーケンスに従って加熱が進行する(ステップS13)。
その後、メインCPU10aは、タイマー16からの時間データが示すステップS11における加熱開始からの経過時間と、ステップS5で入力された設定時間とを比較し、(経過時間<設定時間)の条件が成立するか否かにより、設定時間が経過したか否かを判定する(ステップS15)。設定時間が経過したと判定されると(ステップS15でYES)、メインCPU10aは調理シーケンスが実行終了したか否かを判定する(ステップS17)。調理シーケンスの実行が終了したと判定すると(ステップS17でYES)、内鍋7の被加熱物を保温するための保温工程へ移行する(ステップS27)。これにより、一連の加熱調理が終了する。
一方、調理シーケンスは実行終了していないと判定されると(ステップS17でNO)、メインCPU10aは調理シーケンスの実行を強制終了し(ステップS19)、保温工程へ移行する(ステップS27)。したがって、設定時間が経過しても加熱シーケンスが終了しない場合には、調理シーケンスの実行が強制終了されることから、ユーザが設定した時間を超えて加熱調理が継続する事態を回避することができる。
ステップS15に戻り、(経過時間<設定時間)の条件が成立せず、設定時間が経過したと判定されなければ(ステップS15でNO)、調理シーケンスが終了したか否かが判定される(ステップS25)。調理シーケンスが終了していないと判定されると(ステップS25でNO)、処理はステップS13に戻り加熱が継続する。
一方、設定時間は経過していないが(ステップS15でNO)、調理シーケンスの実行は終了した、すなわち加熱工程の全ての実行は終了したと判定されると(ステップS25でYES)、保温工程へ移行する(ステップS27)。
[実施の形態2]
上述した実施の形態1ではユーザの設定時間から調理シーケンスを決定したが、本実施の形態では、加熱開始後の内鍋7の温度の変化から調理シーケンスの情報を決定する、すなわち加熱コースを決定する。実施の形態2では、“加熱コース”は実施の形態1の調理シーケンスに相当するものであり、内鍋7の加熱温度および加熱時間が変化するように加熱部を制御するためのプログラムを示す。したがって、メインCPU10aが当該プログラムを実行することを、“加熱コースを実行する”と言う。
本実施の形態2では、加熱コースとして、たとえば食材を焼いて調理するための焼物コースおよび食材を煮込んで調理するための煮込コースを示すが、加熱コースの種類はこれらに限定されるものではない。
図17は本実施の形態2に係る加熱調理のための処理フローチャートである。図18は本発明の実施の形態2に係るROM11aの記憶内容の一例を説明する図である。図19は、本実施の形態に係る加熱動作を説明するための図である。
図17の処理フローチャートに従うプログラムは、予めROM11aに格納される。メインCPU10aはROM11aからプログラムを読出し実行することにより炊飯器100内の各部をプログラムに従って制御する。フローチャートに従うプログラム実行時には図18のデータが読出される。
図18を参照して、ROM11aにはテーブルTBが予め格納される。テーブルTBのデータは、予め実験などにより取得されたデータである。テーブルTBは、複数種類の加熱コースを示すコースデータD1と、コースデータD1のそれぞれに対応しDuty比データD2、および加熱時間データD3とを含む。
Duty比データD2は、対応する加熱コースに従い加熱調理をする際の加熱部の通電率を示す。加熱時間データD3は、対応する加熱コースに従い加熱調理の所要時間を示す。ここでは、Duty比データD2および加熱時間データD3は、対応の加熱コースのプログラムのパラメータ(変数)を示す。したがって、パラメータ(変数)によって、加熱部による加熱温度および加熱時間を可変に変更することができる。
本実施の形態2では、ユーザが調理時間を設定し加熱調理が開始されると、加熱開始から加熱部を予め定められた通電率で制御する。予め定められた通電率で、且つ予め定めた時間(たとえば、数分間)が経過したときの温度センサ15aからの内鍋7の温度データに基づき、温度上昇速度を取得する。
本実施の形態では、内鍋7内の食材の量(重量)が同じであれば温度上昇速度は、内鍋7の食材の種類、すなわち食材の比熱により相違することに着目し、温度上昇速度に基づき加熱コースを選択する。これにより、食材に適した加熱コースが決定されて、決定される加熱コースが示す食材に適した温調温度、通電率および加熱時間に従って加熱コースが実行されることで、食材の加熱不足や過加熱を防止することができる。
温度上昇速度に基づく加熱コースの選択について、図19を参照し説明する。図19(A)は、内鍋7内の食材の量および温度が同じであるときの、煮込コースG1および焼物コースG2のそれぞれについて当該加熱コースを実行した場合の内鍋7の温度変化を示すグラフを示し、グラフの縦軸に温度(単位:℃)が取られ、横軸に加熱開始からの経過時間(単位:分)が取られている。なお、加熱開始時の内鍋7の温度、すなわち食材の温度は予め定められた温度TH1であると想定する
図19(A)のグラフに関連して、図19(B)と図19(C)には焼物コースG2と煮込コースG1のそれぞれに対応し、加熱部の通電率(Duty比)の時間経過に従う変化が模式的に示される。図19(A)、図19(B)および図19(C)の時間軸は相互に一致させている。時間軸では、加熱調理を開始後の予め定められた時間TS1と、加熱調理終了の時間TE(すなわち、加熱調理開始から終了までの所要時間)が示される。図19では、説明を簡単にするために、ユーザ設定の調理時間と時間TEとは一致していると想定する。
図19を参照して、加熱コースにかかわらず予め定められた通電率(たとえば、50%)で加熱部を制御し加熱が開始される。メインCPU10aはタイマー16からの時間データに基づき、加熱開始から予め定められた時間TS1が経過したと判定したとき、内鍋7の温度上昇が速いか否かを判定する。具体的には、内鍋7の加熱開始時の温度(温度TH1)と、時間TS1における温度とから温度上昇速度を算出し、算出した温度上昇速度と予め定められた速度と比較し、その比較結果から、温度上昇速度が速いか否かを判定する。
時間TS1をたとえば5分とした場合に、5以内に110℃に到達していると判定された場合、メインCPU10aは、加熱コースを焼物コースG2と決定する。また、比較結果、温度上昇に時間が掛かり時間TS1(5分)以内に110℃に到達していない、すなわち温度上昇が遅い場合は、メインCPU10aは、さらなる時間が経過したとき、たとえば加熱開始から10分後の内鍋7の温度が90℃以下であるか否かを判定する。90℃以下であると判定した場合、メインCPU10aは加熱コースを煮込コースG1と決定する。
図19(A)および(B)を参照し、加熱開始からたとえば5分後において焼物コースG2と決定した場合、メインCPU10aはテーブルTBを検索し、“焼物コース”を示すコースデータD1に対応付けられたDuty比データD2と加熱時間データD3とを読出す。メインCPU10aは、読出されたDuty比データD2が示すDuty比(25%)に基づき、加熱部を制御することにより、加熱部の通電率は50%→25%に変更されて加熱は継続する。タイマー16からの時間データに基づき加熱開始から加熱時間データD3が示す加熱時間TEが経過したと判定されると加熱は終了する。その後は、加熱部の通電率を可変に制御することで、加熱調理後の保温工程に移行する。
このように、焼物コースで調理されるべき食材(たとえば、ケーキ材料など水分は比較的少ない食材)は、一般的に高温で加熱を継続すると過加熱により焦げやすいことから、通電率を下げて加熱温度を低くすることで過加熱状態は回避される。
図19(A)および(C)を参照し、加熱開始からたとえば10分後において煮込コースG1と決定した場合、メインCPU10aはテーブルTBを検索し、“煮込コース”を示すコースデータD1に対応付けられたDuty比データD2と加熱時間データD3とを読出す。メインCPU10aは、読出したDuty比データD2が示すDuty比(90%)に基づき、加熱部を制御することにより、加熱部の通電率は50%→90%に変更されて、変更後の通電率で加熱は継続する。タイマー16からの時間データに基づき加熱開始から加熱時間データD3が示す加熱時間TEが経過したと判定されると加熱は終了する。その後は、加熱部の通電率を可変に制御することで、加熱調理後の保温工程に移行する。このように、煮込コースで調理される食材(たとえば、スープ材料など水分が比較的多い食材)は、一般的に高温で加熱しない場合には食材に十分に熱が通るまで長い時間を要し、また加熱時間が十分でない場合には食材に熱が通らず加熱不足となることから、通電率を上げて加熱温度を高くすることで加熱不足状態が回避される。
なお、加熱コース毎の通電率(50%、90%など)は一例であって、これら値に限定されない。
図17を参照し、実施の形態2に係る加熱調理のための具体的処理を説明する。図17のステップS9、S13、S17、S21、S37、S41およびS45はステップT5に相当し、ステップS25はステップT7に相当する。ここでは、ステップS25以降ではステップT9が、すなわち図12のステップS15、S17、S19,S25およびS27の処理が実行される。
図17を参照し、まず、ユーザはステップT3で加熱調理のための設定時間を入力し、炊飯/スタートスイッチ6Dを操作する。これにより、調理開始の指示が炊飯器100に対して入力される。
メインCPU10aは調理開始の指示を入力すると、予め定められた通電率となるように加熱部を制御し、加熱を開始する(ステップS9)。タイマー16からの時間データから加熱開始から予め定められた時間TS1が経過したと判定すると、上述の温度上昇速度を算出することにより取得し、上述したように温度上昇速度が速いか否かを判定する(ステップS13)。
速いと判定すると(ステップS13で“速い”)、メインCPU10aは加熱開始から5分以内に内鍋7の温度が110℃に到達したか否かを判定する(ステップS17)。110℃に到達したと判定すると(ステップS17でYES)、メインCPU10aは加熱コースを“焼物コース”と選択(決定)する(ステップS21)。
一方、温度上昇速度は速いが5分以内に110℃に到達していなければ(ステップS13で“速い”、ステップS17でNO)、メインCPU10aは他のコース、すなわち焼物コースおとび煮込コースを除く加熱コースを選択する(ステップS45)。
ステップS13に戻り、メインCPU10aは、温度上昇速度は速くないと判定すると(ステップS13で“遅い”)、ステップS37において、加熱開始から10分後において内鍋7の温度が90℃以下であるか否かを判定する(ステップS37)。90℃以下であると判定すると(ステップS37でYES)、加熱コースを煮込コースと選択する(ステップS41)。一方、10分後の温度が90℃以下ではない、すなわち10分後の温度が90℃よりも高いと判定した場合には(ステップS37でNO)、メインCPU10aは他のコースを選択する(ステップS45)。
以上の処理において、加熱コースとして焼物コースまたは煮込コースのいずれかが選択されていると想定する。
加熱コースが選択的に決定されると、処理はステップS25に移行する。ステップS25では、メインCPU10aは、選択された加熱コースに従ってテーブルTBを検索し、選択した加熱コースを示すコースデータD1に対応するDuty比データD2および加熱時間データD3を読出し、上述の図19で示したように、選択した加熱コースに従って加熱調理が進行する。
なお、ステップS25の処理に関連して、図12のステップT9と同様の処理が行われる。つまり、ステップT3でのユーザ設定時間と加熱時間データD3が示す加熱コース毎の加熱時間とが比較されて、比較結果に基づく加熱コースの実行終了の判定と、その後の保温工程への移行とが行われる。
以上により、ユーザが所望の調理時間を設定するだけで、食材に適した加熱コースによる加熱調理を行わせることができる。
<実施の形態の変形例>
実施の形態1では調理シーケンスの一部の工程を省略するか否かは、加熱調理開始時の内鍋7の温度に基づき判定したが、判定方法はこれに限定されず、内鍋7の温度とユーザの設定時間の長さとから決定するようにしてもよい。具体的には、メインCPU10aは加熱調理開始時の内鍋7の温度が高温であり、且つ設定時間が予め定められた時間よりも長いと判定する場合には、調理シーケンスの予熱工程を省略し加熱工程から実行開始するとしてもよい。
実施の形態2では、内鍋7に収容される食材は予め定められた量(標準量)であると想定しているが、量に応じて加熱コースの通電率を変更するとしてもよい。つまり、メインCPU10aは、内鍋7が炊飯器本体1にセットされたときの重量センサ15bの出力から内鍋7に収容されている食材の量を検出し、検出した食材の量と温度センサ15aの出力が示す温度データとから、通電率を変更するとしてもよい。
また、実施の形態2では加熱コース毎に通電率を異ならせたが、加熱調理の目標温度(温調温度)を異ならせてもよい。つまり、ROM11aに加熱コース毎に異なる目標温度のデータを予め格納しておく。動作において、加熱コースが選択的に決定されると、メインCPU10aは、加熱を開始し、開始後は内鍋7の測定温度と加熱コースに対応の目標温度との差分に基づきDuty比を変更することで、内鍋7の温度が目標温度となるように加熱部を制御するとしてもよい。
また、実施の形態1の加熱制御に、実施の形態2の食材に応じた制御を組合わせてもよい。つまり、実施の形態1でユーザ設定時間から選択された調理シーケンスに対応する図14〜図16の立上工程または予熱工程において、図19(A)に示すように当該工程開始後の時間TS1で温度上昇速度が速いか否か判定し、さらに、その後の予め定めた時間における内鍋7の温度に基づき通電率(Duty比)または目標温度などの調理シーケンスの情報を変更、すなわち調理シーケンス(プログラム)のパラメータ値を可変に変更するとしてもよい。さらに実施の形態2における食材の量から通電率を変更する制御を組合わせるとしてもよい。
実施の形態1と2では、内鍋7の温度を、内鍋7に関連した温度センサ15aにより検知したが、蓋体2に関連して別の温度センサを設け、温度センサ15aに代替し当該別の温度センサの検知信号を用いてもよい。または、温度センサ15aと別の温度センサとの両者を用いて温度を検知し、メインCPU10aは両方の温度センサの検知信号に基づく温度データを参照し、加熱部を含む炊飯器100の動作を制御するとしてもよい。
また、実施の形態1と2では、ステップT3の設定時間はユーザがスイッチ操作することで炊飯器100に対し入力したが、入力方法はこれに限定されない。たとえば、炊飯器100は通信部を有し、メインCPU10aは外部端末と通信部を介しデータ通信する場合には、メインCPU10aはユーザが外部端末から送信した時間データを、当該通信部を介し受信することで、設定時間を入力するとしてもよい。
また、メインCPU10aは、時間データ受信時に合わせて炊飯/スタートスイッチ6Dの出力指示に相当する加熱開始指示を受信するとしてもよい。
<実施の形態の効果>
市販の炊飯器を用いた加熱調理を紹介する料理本では、加熱時間のみが記載されている場合がある。その場合、ユーザが当該料理本の所望の料理を作りたいと希望した場合には、従来は、ユーザは手持ちの炊飯器の加熱モードの種類・機能を理解し、当該炊飯器で所望の料理を加熱調理するには、いずれの加熱モードを選択するべきかを事前に検討する必要があった。
対して、本実施の形態では、ユーザは料理本で紹介されている加熱時間をステップT3で設定時間として入力操作することで、加熱調理をスタートさせることができて、上述の検討は必要とされない。
また、実施の形態1では、内鍋7の食材が炊飯器100により予め加熱調理されて内鍋7の温度が高温である場合には、その温度に応じて加熱工程の一部が省略されるように調理シーケンスが変更されて(ステップS21参照)、加熱調理開始時の内鍋7の温度に応じた調理シーケンスに切換えることができる。たとえば、予め内鍋7で食材を加熱し下準備している場合には、加熱調理開始時に既に内鍋7の温度が高温であることから、加熱工程の一部(たとえば、予熱工程など)を省略して加熱工程から開始することで、過加熱になるのを回避することができる。
また、実施の形態1と2では、実施の形態1の調理シーケンスの加熱工程(炊飯工程:加熱→炊き上げ→蒸らし)が終了したときに、また実施の形態2の加熱コースが終了したときに、ユーザの設定時間がまだ残っている場合には(ステップS15でNO、ステップS25でYES)、調理シーケンス(または加熱コース)の実行を終了した時点で保温工程に移行させるよう加熱部を制御することで、保温により食材に対する加熱を継続させることができ、料理が冷めてしまうのを防止できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。