図1は、給湯装置の一実施の形態を示している。図1に示す構成の他、各図に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
この給湯装置2には筐体4が設けられ、この筐体4には熱交換筐体5が設置されている。この熱交換筐体5には燃焼室6が備えられている。この燃焼室6には混合気GAを燃焼させるバーナ8が設置されている。バーナ8は燃焼装置の一例である。このバーナ8は複数のバーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5(図15)に区分されている。
バーナ8の上面には着火手段の一例として点火プラグ12、炎検出手段の一例としてフレームロッド14が設置されている。点火プラグ12にはイグナイタ16が接続されている。このイグナイタ16により、点火プラグ12に火花を発生させ、バーナ8の混合気GAに着火する。フレームロッド14は炎検知によって燃焼の有無を検知する。
混合部10は混合気供給手段の一例である。混合部10は混合気GAを生成し、該混合気GAをバーナ8に供給する。この実施の形態の混合部10では、バルブユニット18を介して燃料ガスGが供給されるとともに、空気Aが給気ファン20により供給される。給気ファン20は燃焼室6の下面側に設置され、筐体4内の空気Aを取り込む。筐体4には給気部22が設置されており、この給気部22から空気Aが筐体4内に取り込まれる。
バルブユニット18は、ガス供給路24に供給された燃料ガスGをガス供給路26−1、26−2、26−3のいずれかまたは2以上に分流させ、燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3に供給する。バルブユニット18は、上流から下流に向かってメインバルブ30、比例弁32、ガス電磁弁34−1、34−2、34−3を備えている。メインバルブ30は、燃料ガスGを供給状態または遮断状態に切り換える。比例弁32は、燃料ガスGの供給量を加減する。ガス電磁弁34−1、34−2、34−3は燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3に対応している。ガス電磁弁34−1が開かれたとき、燃料ガス噴射部28−1に燃料ガスGが供給される。ガス電磁弁34−2が開かれたとき、燃料ガス噴射部28−2に燃料ガスGが供給される。ガス電磁弁34−3が開かれたとき、燃料ガス噴射部28−3に燃料ガスGが供給される。
燃焼室6で発生した燃焼排気Eは、燃焼室6から排気筒36に流れる。燃焼室6の上部に設置された熱交換器38は、燃焼排気Eが持つ潜熱、顕熱を上水Wに熱交換する。熱交換後の燃焼排気Eは排気筒36から外気に放出される。燃焼室6には隣接して温度ヒューズ40が設置されている。
熱交換器38には給水管42から上水Wが供給される。この給水管42には温度センサ44、水量センサ46、水量制御弁48が設置されている。温度センサ44は給水温度を検出する。水量センサ46は給水量および給水の有無を検出する。水量制御弁48は給水を制御する。この実施の形態の水量センサ46は、水量制御弁48に設置されている。
熱交換器38で得られた温水HWは給湯管50から給湯される。この給湯管50には給湯ハイリミットスイッチ52、温度センサ54、56が設置されている。給湯ハイリミットスイッチ52は熱交換器38の出湯温度が上限温度を超えたとき、燃料ガスGの供給を停止する。温度センサ54は熱交換器38の出口側の温度を検出する。
給水管42と給湯管50との間にはバイパス管58が設置されている。このバイパス管58にはバイパス水制御弁60が設置されている。このバイパス水制御弁60の開閉により、給水管42からバイパス管58を通して給湯管50に上水Wが供給され、この上水Wが温水HWに混合される。温度センサ56は上水Wの混合後の温水HWの温度を検出する。
給気ファン20の近傍には電装基板62が設置されている。この電装基板62には給湯制御部64が設置されている。給湯制御部64は、混合気GAの燃焼要求量に応じて混合気燃焼を制御する制御手段の一例である。この給湯制御部64にはプロセッサなどの制御手段が含まれる。
<熱交換筐体5の内部構造およびバルブユニット18>
図2は、熱交換筐体5の内部構造およびバルブユニット18を示している。熱交換筐体5には燃焼室6および熱交換器38が備えられている。熱交換器38は燃焼室6の上側に固定され、熱交換器38の上部には既述の排気筒36が設置される。燃焼室6で生成された燃焼排気Eが熱交換器38を経て排気筒36に流れる。
燃焼室6には、下側にバルブユニット18、前面側に燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3が設置されている。燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3にはバルブユニット18が連結されている。
<燃焼室6>
図3は、燃焼室6およびバーナ・混合部ユニット65を示している。図4は、バーナ・混合部ユニット65を上面から示している。
燃焼室6は、底面部66および側壁部68を備える筒体であり、前面側には開口部70が形成されている。バーナ・混合部ユニット65は、バーナ8および混合部10を一体化した部材であり、台座部72および側壁パネル部74を備えている。台座部72には混合部10が固定され、混合部10にはバーナ8が取り付けられている。
側壁パネル部74は台座部72と一体に形成され、燃焼室6の前面側に設置される。燃焼室6に台座部72が収納されると、側壁パネル部74が燃焼室6の開口部70に位置決めされ、開口部70が側壁パネル部74で閉塞される。
側壁パネル部74は、燃焼室6の側壁部68に固定ねじ76で開閉可能に固定される。側壁パネル部74には、混合部10側の燃料・空気導入窓部78−1(図6)に対し、燃料ガスGおよび空気Aを混合部10に導入する燃料・空気導入窓部78−2(図6)が形成されている。この側壁パネル部74には、空気調整板79が設置されている。この空気調整板79には燃料・空気導入窓部78−3(図6)が形成されている。
台座部72には混合部10が設置され、この混合部10の上部にバーナ8が設置されている。このバーナ8の側面には火炎誘導枠80が設置されている。この火炎誘導枠80により、バーナ8の上面内に火炎が誘導される。
側壁パネル部74には絶縁台82が設置され、この絶縁台82には点火プラグ12およびフレームロッド14が取り付けられている。絶縁台82は保持板84を介在させて側壁パネル部74に固定ねじ86により固定されている。
これら点火プラグ12およびフレームロッド14は、図4に示すように、側壁パネル部74の背面側に突出し、バーナ8の上に配置されている。
<バルブユニット18、バーナ・混合部ユニット65および燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3>
図5は、バルブユニット18、バーナ・混合部ユニット65および燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3を示している。図6は、バーナ・混合部ユニット65を分解して示している。
混合部10の前面には既述の側壁パネル部74が設置されている。側壁パネル部74の前面に設置された空気調整板79の前面には燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3が設置されている。混合部10に対する空気Aの供給量が空気調整板79により調整される。
燃料ガス噴射部28−1、28−2、28−3には、燃料ガス噴射ノズルユニット90が備えられている。この燃料ガス噴射ノズルユニット90には、複数のノズル92が設置されている。この実施の形態では、15本のノズル92が設置されている。各ノズル92から噴射された燃料ガスGが空気調整板79の燃料・空気導入窓部78−3から混合部10に供給される。
図6に示すように、バーナ・混合部ユニット65は、混合部10と台座部72とに分離可能である。側壁パネル部74には既述の燃料・空気導入窓部78−2が形成されている。側壁パネル部74には空気調整板79が固定ねじ94により固定される。
図7は、混合部10側の燃料・空気導入窓部78−1(図7のA)、側壁パネル部74の燃料・空気導入窓部78−2(図7のB)、空気調整板79の燃料・空気導入窓部78−3(図7のC)を示している。
混合部10はたとえば、ダイカスト成形により形成されている。このダイカスト成形により、混合部10には同一形状(たとえば、長方形状)の複数の燃料・空気導入窓部78−1が形成されている。この実施の形態では、火炎方向に対して直交方向(水平方向)に15個の燃料・空気導入窓部78−1が配列されている。
側壁パネル部74は、混合部10の燃料・空気導入窓部78−1側を覆って設置される。このため、側壁パネル部74の燃料・空気導入窓部78−2は燃料・空気導入窓部78−1と同一形状である。
空気調整板79は、同一形状の燃料・空気導入窓部78−1、78−2の開口形状に対し、異なる開口形状を持つ複数(この実施の形態では5個)の燃料・空気導入窓部78−3として燃料・空気導入窓部783−1、783−2、783−3、783−4、783−5が形成されている。各燃料・空気導入窓部78−3は、隣接する3個の燃料・空気導入窓部78−1を1組として形成されている。各燃料・空気導入窓部78−3は、3個の燃料・空気導入窓部78−2に対応した長方形状である。
側面側の燃料・空気導入窓部783−1、783−5の開口形状が最も大きく、中央の燃料・空気導入窓部783−3の開口面積が最も小さく、側面側から中央に向かって開口面積を段階的に減少させている。これは、給気ファン20から供給される空気Aの流量ばらつきを補正し、等しい空気量を燃料・空気導入窓部78−1、78−2、78−3に導入するためである。
各燃料・空気導入窓部78−3の中間部には上下方向から突出する突部96が形成されている。各突部96の突出長は各燃料・空気導入部783−1ないし783−5で異なっている。つまり、各突部96により、燃料・空気導入窓部783−1、783−2、783−3、783−4、783−5の中央部の開口面積が突部96の突出長に応じて狭められている。
したがって、同一形状に形成された混合部10の燃料・空気導入窓部78−1から導入される空気Aの導入量が空気調整板79の燃料・空気導入窓部78−3の開口面積および突部96による開口形状により部分的に調整されている。このような空気Aの導入量の調整に対し、燃料ガスGはバルブユニット18側で調整される。
<バーナ・混合部ユニット65>
図8は、バーナ・混合部ユニット65を分解して示している。このバーナ・混合部ユニット65は、バーナ8、混合部10、火炎誘導枠80およびパッキン98を備える。混合部10には、フランジ部100が形成され、このフランジ部100にパッキン98を介在させてバーナ8が固定ねじ102により固定される。
火炎誘導枠80は複数のパネル104を矩形に連結した筒体である。この火炎誘導枠80は、固定ねじ102によりバーナ8の上から混合部10のフランジ部100に固定される。
図9は、図8のIX−IX線断面を示している。図10は、バーナ8を分解して示している。このバーナ8には矩形の平面形状を持つバーナフレーム106が設けられている。このバーナフレーム106は耐熱性金属としてたとえば、ステンレス板の成形により形成されている。このバーナフレーム106にはフランジ部108および膨出部110が一体に形成されている。フランジ部108は、長方形状の環状体であり、膨出部110の周縁に一定幅の平坦面部を構成している。このフランジ部108には複数の取付け孔112が形成されている。
膨出部110には矩形の窓部114および窓部114を周回して縁部116が備えられている。縁部116とフランジ部108との間には対向する一対の立壁部118が備えられ、この立壁部118と直交方向に一対の立壁部120が備えられている。
各立壁部118は、バーナフレーム106の長辺側に設置され、中間に頂部を持った円弧状である。各立壁部120は、バーナフレーム106の短辺側に設置され、フランジ部108と同一の平行高さを備えている。立壁部118の最頂部の高さをH1、立壁部118の最低部および立壁部120の高さをH2とすると、大小関係はたとえば、H1>H2である。
このような大小関係から、バーナフレーム106はフランジ部108を水平面とし、立壁部118が円弧状であることから、高さH1の最頂部側を凸としたなだらかな山形状(アーチ形状)である。つまり、円弧状に突出しているが、ドーム状(半球形状)であってもよい。
このバーナフレーム106にはメタルニット122が設置されている。このメタルニット122は耐熱性金属で形成された繊維を糸状に束ね、ステッチ編みなどにより編み込んだ偏平な金属繊維ネット体である。
メタルニット122は、バーナフレーム106の膨出部110の窓部114に沿って湾曲状態に配置されている。このメタルニット122の背面側にはバックプレート124が設置されている。
このバックプレート124は混合気GAの混合気流出部材の一例である。バックプレート124は、メタルニット122に流す混合気GAの流速を調整する。
メタルニット122の上面側で混合気GAが燃焼した際に、メタルニット122が赤熱状態となる。この赤熱によるメタルニット122の膨張変形は、湾曲状態に維持されているメタルニット122が吸収する。このため、メタルニット122は膨出部110の窓部114に沿った湾曲状態に維持される。
バーナエレメントであるバーナフレーム106の縁部116、メタルニット122およびバックプレート124はスポット溶接により一体に固着され、単一化されてバーナ8が構成されている。
<メタルニット122>
図11は、一例であるメタルニット122の部分拡大を示している。このメタルニット122は金属繊維編体の一例である。このメタルユニット122では、たとえば、4本の金属繊維体126でステッチ編みにより平板状に編み込まれている。金属繊維体126はたとえば、複数のステンレス繊維を集合して糸状にしたものである。このメタルニット122には無数の非定型の通気孔128を備えている。
このように、メタルニット122は、ネット体であるため、通気性を有するとともに、可撓性、弾性および形状維持性を有する。このメタルニット122には通気性により混合気GAの通過が可能である。また、メタルニット122は弾力性を有する故に、面方向および面と交差方向(上下方向)に変形可能である。また、メタルニット122は弾性を持つネット体であるが故に、バックプレート124に沿って形状が維持される(形状維持性)。
<バックプレート124>
図12は、バックプレート124の一例を示している。このバックプレート124は、開口部である複数の混合気流出孔(以下、単に「流出孔」と称する)130と、非開口部である閉鎖部132とを備えるパンチングメタルである。流出孔130は混合気GAを通過させる開口部であり、閉鎖部132は混合気GAを遮る障壁である。流出孔130は細隙(スリット)状炎孔の一例であり、混合気GAを通過させる。閉鎖部132は流出孔130を包囲する閉塞部分である。つまり、流出負荷は流出孔面積に反比例する関係である。バックプレート124は耐熱板としてたとえば、ステンレス板が使用され、このステンレス板の厚さdは流出孔130の幅W(図13)より薄い。
各流出孔130は複数行、複数列のマトリックス状に構成されている。このバックプレート124には、流出孔130の集合体である第1の流出孔領域130−1、第2の流出孔領域130−2、第3の流出孔領域130−3、第4の流出孔領域130−4、第5の流出孔領域130−5が形成されている。閉鎖部132は、第1の閉鎖領域132−1、第2の閉鎖領域132−2、第3の閉鎖領域132−3、第4の閉鎖領域132−4、第5の閉鎖領域132−5で構成されている。流出孔130が混合気GAの流速が速く高負荷部であるのに対し、閉鎖部132または閉鎖領域132−1、132−2、132−3、132−4、132−5は、低速化した混合気GAが供給されるので低負荷部を構成する。
バックプレート124には、周縁部に周回状に閉鎖領域132−1が設定され、中央部に流出孔領域130−3が配置されている。この流出孔領域130−3を挟んで流出孔領域130−2、130−4が配置されている。流出孔領域130−2、130−3の間に閉鎖領域132−3が配置され、流出孔領域130−3、130−4の間に閉鎖領域132−4が配置されている。流出孔領域130−2の外側に閉鎖領域132−2を挟んで流出孔領域130−1が配置されている。流出孔領域130−4の外側に閉鎖領域132−5を挟んで流出孔領域130−5が配置されている。
つまり、流出孔領域130−1は閉鎖領域132−1、132−2で包囲されている。流出孔領域130−2は閉鎖領域132−2、132−3で包囲されている。流出孔領域130−3は閉鎖領域132−3、132−4で包囲されている。流出孔領域130−4は閉鎖領域132−4、132−5で包囲されている。流出孔領域130−5は閉鎖領域132−1、132−5で包囲されている。
<流出孔パターン>
各流出孔130は、図13のAに示すように、細い長円形の細隙(スリット)で構成されている。各流出孔130は、長さをL、幅をWとする平行部134と湾曲部136とを備えている。
各流出孔130は、図13のBに示すように、短径方向に並列に配列された3つずつを単位として流出孔グループ130Gを構成している。流出孔グループ130Gの流出孔130の短径方向に並列に流出孔130を配列している。
流出孔グループ130Gは図13のCに示すように、複数行、複数列に配列されて流出孔スクワッド130S1を構成し、または図13のDに示すように、流出孔スクワッド130S2を構成する。この場合、バーナ8の長手方向をX軸方向、短手方向をY軸方向とし、X軸方向に行数、Y軸方向に列数をとる。流出孔スクワッド130S1は3行2列に構成されている。流出孔スクワッド130S2は3行3列で構成されている。
流出孔スクワッド130S1、130S2において、各流出孔グループ130Gの長径方向の間隔P2は間隔P1より大きく設定されている。各流出孔グループ130Gの短径方向の間隔P3は間隔P2より大きく設定されている。
各流出孔スクワッド130S1、130S2は、図14に示すように、配列されている。各流出孔スクワッド130S1、130S2の長径方向の間隔P4は間隔P3より大きく設定されている。
流出孔130がバックプレート124の開口を構成しているのに対し、各間隔P1、P2、P3、P4はバックプレート124の閉鎖部132を構成している。
(a) 開口部の単位である流出孔130(図13のA)
各流出孔130は間隔P1、P2からなる細い閉鎖部132で包囲されている。このような閉鎖部132で包囲された各流出孔130は高負荷部または高負荷流出孔部を構成する。
(b) 開口部の集合単位である流出孔グループ130G(図13のB)
各流出孔130の集合体である流出孔グループ130Gは間隔P2、P3からなる閉鎖部132で包囲されている。このような閉鎖部132で包囲された流出孔グループ130Gは高負荷部または高負荷流出孔部を構成する。
(c) 開口部の集合体である各流出孔スクワッド130S1、130S2(図13のC、D)
複数の流出孔グループ130Gの集合体として各流出孔スクワッド130S1、130S2は、間隔P3、P4からなる閉鎖部132で包囲されている。このような閉鎖部132で包囲された各流出孔スクワッド130S1、130S2は高負荷部または高負荷流出孔部を構成する。
(d) 開口部の集合体である各流出孔領域130−2、130−3、130−4(図14)
複数の流出孔スクワッド130S1の集合体である流出孔領域130−3は間隔P3、P4からなる閉鎖部132で包囲されている。このような閉鎖部132で包囲された流出孔領域130−3は高負荷部または高負荷流出孔部を構成する。
複数の流出孔スクワッド130S2の集合体である流出孔領域130−2、130−4は間隔P3、P4からなる閉鎖部132で包囲されている。このような閉鎖部132で包囲された流出孔領域130−2、130−4は高負荷部または高負荷流出孔部を構成する。
<バーナ・混合部ユニット65の断面構造>
図15は、バーナ・混合部ユニット65の断面構造を示している。
混合部10には複数の区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6が設置されている。これにより、混合部10は複数の混合室140−1、140−2、140−3、140−4、140−5に区画されている。つまり、各混合室140−1、140−2、140−3、140−4、140−5は独立した空間を構成している。
区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6は混合部10の混合部筐体142のダイカスト成形により形成されている。各区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6の高さは、バーナフレーム106の膨出部110の湾曲面に対応した高さに設定されている。各区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6の表面は封止部材144で被覆されている。封止部材144は耐熱性および弾性を持つ樹脂材料で形成されている。この封止部材144により、各区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6の上縁部がバーナ8のバックプレート124の閉鎖部132に密着している。つまり、各区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6間での混合気GAの漏れや干渉を阻止している。
これにより、バーナ8のバックプレート124が区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6により区画されている。つまり、バーナ8は、複数のバーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5に区分されており、混合室140−1、140−2、140−3、140−4、140−5毎に独立したバーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5が構成されている。つまり、湾曲したバックプレート124の湾曲面に沿って平面状に複数のバーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5が配列されている。
バックプレート124の流出孔130と、バーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5との関係は、バーナ部8−1が流出孔領域130−1、バーナ部8−2が流出孔領域130−2、バーナ部8−3が流出孔領域130−3、バーナ部8−4が流出孔領域130−4、バーナ部8−5が流出孔領域130−5に対応する。つまり、混合室140−1が流出孔領域130−1、混合室140−2が流出孔領域130−2、混合室140−3が流出孔領域130−3、混合室140−4が流出孔領域130−4、混合室140−5が流出孔領域130−5に対応している。
図16は、一部を分解した混合部10を示している。図17は、一部の分離板および整流板を除いた混合部10を示している。
混合部10の各混合室140−1、140−2、140−3、140−4、140−5には、分離板146、混合気GAの整流部として第1の整流板148−1および第2の整流板148−2が設置されている。分離板146には側面側に一対の側壁150が形成され、各側壁150が区画壁138−1、138−2、138−3、138−4、138−5、138−6間に嵌合して保持される。分離板146の基端部には側壁150より高い側壁152が形成され、この側壁152の頂部には支持部154が形成されている。この支持部154は、混合部筐体142のフランジ部100に載せられ、透孔158にフランジ部100側の突部156を嵌合させて位置決めとともに支持される。
各混合室140−1、140−2、140−3、140−4、140−5に設置された分離板146の上面側には整流板148−1、148−2が重ねられて設置される。整流板148−1、148−2には、凹部159および透孔162が形成されている。整流板148−1は凹部159および透孔162を混合部筐体142側の突部156に嵌合させて位置決めとともに支持される。この整流板148−1の上面側には整流板148−2が設置される。整流板148−2は、整流板148−1と同様に凹部159および透孔162を混合部筐体142側の突部156に嵌合させて位置決めとともに支持される。各整流板148−1、148−2は、混合気GAを整流する整流部の一例である。
各混合室140−1、140−2、140−3、140−4、140−5には、図17に示すように、燃料ガスGおよび空気Aの通流方向に複数の分離壁164が形成されている。各分離壁164は、分離板146を支持するとともに、分離板146の下層空間を燃料・空気導入窓部78−1(図8)毎に分割し、分離する。この実施の形態では、分離壁164は、3つの燃料・空気導入窓部78−1に対応しており、分離板146の下層空間を3分割している。このため、2枚の分離壁164で構成している。分離壁164の設置数が2以下でもよく、3以上でもよい。
<混合室140−1、140−2、140−3、140−4、140−5>
図18は、混合室140−1の断面を示している。図19は、混合室140−1および整流板148−1、148−2の切断端面を示している。
混合室140−1は、燃料ガスGおよび空気Aを混合して混合気GAを生成し、バーナ8に供給する。混合室140−1は燃料ガスGおよび空気Aを混合する空間であり、この混合室140−1には分離板146、燃料・空気導入窓部78−1および変流部166が備えられている。これらの構成は混合室140−2、140−3、140−4、140−5も同様である。
混合室140−1は分離板146によって下層室168と上層室170とに区画されている。下層室168の底面には、燃料・空気導入窓部78−1から変流部166に向かって上方に傾斜する傾斜面部172と、この傾斜面部172の終端側から水平となる水平面部174とを備える。下層室168は透孔部176が形成されて開口されている。分離板146は、燃料・空気導入窓部78−1側から変流部166に向かって下降する傾斜面部178と、この傾斜面部178の終端から変流部166に水平となる水平面部180とを備える。つまり、混合室140−1の底面部と分離板146との間隔は、燃料・空気導入窓部78−1側で最も広く、傾斜面部172、178によって狭小空間を形成し、水平面部174、180の平行面から成る最も狭い空間部(第1のオリフィス)を形成している。分離板146は混合部筐体142に取り付けられ、混合室140−1側に突出させた支持部182で支持されている。
変流部166は、下層室168から上層室170に向かう湾曲壁である。透孔部176は、変流部166と分離板146の縁部によって区画されている。
整流板148−1、148−2は、上層室170の上部側に配置され、混合気GAを整流し、バーナ8に供給する。各整流板148−1、148−2はたとえば、薄いステンレス板を板金加工された成形板金部材である。
整流板148−1は上層室170の天井面を構成している。整流板148−2はバーナ8のバックプレート124と整流板148−1との間に水平ないし傾斜させて配置されている。
整流板148−1は、図19のAおよびBに示すように、変流部166、分離板146の傾斜面部178および水平面部180の一部を覆う範囲に配置されている。この整流板148−1には、図19のBに示すように、変流部166側の空間を拡開する方向に傾斜する傾斜面部184を備える。この傾斜面部184の終端に水平面部186が設けられ、この水平面部186から下降する方向の傾斜面部188が形成されている。この傾斜面部188の終端から水平面部190が形成されている。傾斜面部188および水平面部190のそれぞれには複数の透孔192が形成されている。この整流板148−1の長手方向の中間部には透孔部194が形成されている。この透孔部194の縁部には障壁面部196が備えられている。この障壁面部196は透孔部194側に僅かに傾斜させた障壁面を形成している。この障壁面部196の下端には水平面部198が設置されている。水平面部198には複数の透孔192が形成されている。水平面部198に対して分離板146が傾斜している。水平面部198の終端に向かい、上層室170の空間が狭小化(第2のオリフィス)している。下層室168から流れる混合気GAは、変流部166で折り返された後、整流板148−1に沿って流れ、上層室170に向けられ、整流板148−1側の透孔192および透孔部194を経て整流板148−2側に流れる。
整流板148−2には図19のBに示すように、一対の立ち上がり部202−1、202−2を備える。この実施の形態では、立ち上がり部202−1は、立ち上がり部202−2より高く設定されている。これら立ち上がり部202−1、202−2の間に水平面部204が形成されている。水平面部204には複数の透孔206および窓部208が形成されている。透孔206は円孔であり、中央部および端部側に形成されている。窓部208は、中央部の透孔206の形成部分を挟んで穿孔されており、長方形状である。各窓部208の縁部には、窓部208から切り起こされた立壁210が形成されている。各立壁210は直立しており、バーナ8に対して混合気GAの流れ方向を規制している。整流板148−1から流れた混合気GAは整流板148−2で平行流に整流されてバーナ8に流れる。
燃料ガス噴射ノズルユニット90から燃料ガスGが噴射され、空気Aが混合室140−1に流れると、燃料ガスGおよび空気Aは下層室168で初期混合された後、変流部166に衝突する。変流部166側の空間は下層室168より拡開されているので、流れる燃料ガスGおよび空気Aは圧縮状態から開放状態に遷移し、混合される。これにより、混合室140−1で混合気GAが生成される。このような速度変化および変流部166による反転により、燃料ガスGおよび空気Aの混合がより進行する。
分離板146の上面に到達した混合気GAは分離板146の上面側から整流板148−1、148−2に誘導される。整流板148−1を通過した混合気GAは、整流板148−2で平行流に整流されてバーナ8に到達する。
バーナ8ではバックプレート124の流出孔130から混合気GAがメタルニット122を通過する。メタルニット122を通過した混合気GAが燃焼する。
<給湯制御部64>
図20は、給湯制御部64の一例を示している。この給湯制御部64は、コンピュータによって構成されている。この給湯制御部64には一例としてプロセッサ220、ROM(Read-Only Memory)222、RAM(Random-Access Memory)224、入出力(I/O)部226などの機能部が備えられ、各機能部はバス232で接続されている。
プロセッサ220はたとえば、CPU(Central Processing Unit )で構成され、ROM222にあるOS(Operating System)や給湯制御プログラムを実行する。この実行には、フレームロッド14、温度センサ44、54、56、水量センサ46の検出信号が参照される。この実行により、メインバルブ30、比例弁32、ガス電磁弁34−1、34−2、34−3、水量制御弁48、バイパス水制御弁60、イグナイタ16などの機能部が制御される。図示していないが、給湯制御用のリモートコントロール装置が接続される場合には、係るリモートコントロール装置との情報の送受制御もプロセッサ220により実行される。
ROM222はOSや給湯制御プログラムを格納する。このROM222には半導体記憶素子などの記録媒体が用いられる。記録媒体としてハードディスク装置を用いてもよい。
RAM224はワークエリアやデータ記憶エリアを構成する。このRAM224には半導体メモリなど読み書き可能な記憶媒体を用いればよい。図示しないが、不揮発性メモリを用いてデータの格納を行ない、このデータを制御に用いてもよい。
I/O部226は、情報入力や制御出力に用いられる。情報入力は、フレームロッド14、温度センサ44、54、56、水量センサ46の検出信号などが含まれる。制御出力にはメインバルブ30、比例弁32、ガス電磁弁34−1、34−2、34−3、水量制御弁48、バイパス水制御弁60、イグナイタ16、給気ファン20などの機能部に対する駆動信号や制御信号が含まれる。このI/O部226には表示部228、操作部230および給気ファン20が接続されている。
表示部228は、情報提示手段の一例である。この表示部228により給湯制御の状態や、入力情報、出力情報、ガイダンス情報などの情報が文字または図形などにより表示される。キーボードなどの操作部230から操作入力がプロセッサ220に加えられる。
<燃焼状態>
図21のAは、燃焼状態にあるバーナ8の流出孔領域130−2、130−3、130−4の一部を示している。図21のBは、図21のAのXXIB−XXIB線断面の火炎状態を示している。図22のAは、図21のAのXXIIA −XXIIA 線断面の火炎状態を示している。
バーナ8のバックプレート124の下面側から一定濃度の混合気GAの平行流を供給して着火する。メタルニット122の上面側に火炎236(図21のB)が生成される。
既述の流出孔パターンによりメタルニット122の上面側には2種類の火炎236−1、236−2が形成される。火炎236−1は高負荷用の開口部である流出孔130で形成されるブルーフレーム(青色炎)である。火炎236−2は閉鎖部132で形成される保炎(赤色炎)である。火炎236−1は混合気GA−1の流速に応じてメタルニット122から上方に延びる長い火炎を形成する。これに対し、各流出孔130から閉鎖部132に回り込む低流速の混合気GA−2により、メタルニット122の表面近傍に形成される赤色炎であり、火炎236−1に対して保炎機能を果たす。つまり、火炎236−1は下層側から火炎236−2で保炎される。この場合、混合気GA−2はメタルニット122による通風抵抗によって低流速化される。
この場合、各流出孔130には図22のBに示すように、流出孔グループ130Gで集合されて火炎236−1を形成する。各火炎236−1は、間隔P2、P3で形成される火炎236−2で包囲されて保炎される。
<混合気22の流れ>
図23は、バーナ8における混合気GAの流れを示している。バックプレート124の下方から供給された混合気GAは、バックプレート124にある流出孔130からメタルニット122に向かって流出する。流出孔130を通過した混合気GAはメタルニット122内で拡散を始める。流出孔130の中心部側に流れる流速が速い混合気GA−1は、メタルニット122を通過し、直線状の混合気流を生成する。これに対し、流出孔130の縁部側に流れる流速の遅い混合気GA−2はメタルニット122内で閉鎖部132側に拡散し、単位面積当たりの混合気量(流速)が少なくなりメタルニット122による通風抵抗によってさらに低流速化される。このようにして、混合気GA−2は閉鎖部132の上面側に回り込む。
流出孔130側の混合気GA−1では、流出速度が速いので、高負荷の火炎236−1が形成される。これに対し、閉鎖部132側の混合気GA−2の流出速度は単位面積当たりの通過混合気量が少ないので、メタルニット122の表面部で低負荷の火炎236−2が形成され、火炎236−1を保炎する。特に高負荷時(高空気比)における燃焼で、安定した炎形成が行われる。その結果、リフトや過剰CO排出の防止が可能となり、火炎236−2の保炎機能により火炎236−1(高負荷火炎)による高負荷燃焼が実現される。
<燃焼切替え>
図24は、給湯装置2のバルブ制御による燃焼パターンの生成を示している。この燃焼パターンは燃焼切替えの一例である。この燃焼切替えは、給湯需要(つまり、給湯量)に基づき、バーナ8のバーナ部8−1ないしバーナ部8−5の選択的な燃焼動作である。この場合、燃焼パターン238には一段燃焼238−1、二段燃焼238−2、三段燃焼238−3、四段燃焼238−4が含まれる。
給湯動作はシャワーなどの給湯栓が開かれることにより開始される。燃焼開始では給気ファン20が回転し、メインバルブ(MV)30を開くことにより開始される。
(1) 一段燃焼(バーナ部8−2のみの燃焼)
一段燃焼では、ガス電磁弁(SV1)34−1が開かれる。これにより、燃料ガス噴射部28−1のノズル92から燃料ガスGが混合室140−2に噴射される。この燃料ガスGの導入および給気ファン20により、空気Aが混合室140−2に導入される。燃料ガスGと空気Aが混合室140−2で混合され、混合気GAが形成される。この混合気GAがバーナ部8−2に供給される。イグナイタ16が動作を開始し、点火プラグ12に火花が発生する。これによりバーナ部8−2の混合気GAに着火し、燃焼が開始される。これが燃焼パターン238の一段燃焼238−1である。この一段燃焼はバーナ部8−2によって行われ、この燃焼状態は第1の実施の形態で既述したとおりである。バーナ部8−2における混合気GAの燃焼量は比例弁32による燃料ガスGの供給量に比例する。燃料ガスGの供給量は給湯需要に応じて変化する。また、混合室140−2以外の混合室には空気Aのみが導入される。
(2) 二段燃焼(バーナ部8−1、8−2の燃焼)
二段燃焼では、ガス電磁弁34−1、34−2が開かれる。燃料ガス噴射部28−2のノズル92から燃料ガスGが混合室140−1に噴射される。この燃料ガスGの導入および給気ファン20により、空気Aが混合室140−1に導入される。燃料ガスGと空気Aが混合室140−1で混合され、混合気GAが形成される。この混合気GAがバーナ部8−1に供給される。これにより、バーナ部8−2に加え、バーナ部8−1の燃焼が加わった二段燃焼238−2に遷移する。バーナ部8−1、8−2における混合気GAの燃焼量は比例弁32による燃料ガスGの供給量に比例する。この場合も、燃料ガスGの供給量は給湯需要に応じて変化する。また、混合室140−1,140−2以外の混合室には空気Aのみが導入される。
(3) 三段燃焼(バーナ部8−2ないしバーナ部8−5の燃焼)
三段燃焼では、ガス電磁弁34−2が閉じられ、ガス電磁弁34−1、34−3が開かれる。この場合、バーナ部8−1は消火状態となるのに対し、燃焼を維持するため、ガス電磁弁34−1は開状態に維持され、バーナ部8−2は燃焼状態を継続させる。燃料ガス噴射部28−3の各ノズル92から燃料ガスGが混合室140−3、140−4、140−5に噴射される。この燃料ガスGの導入および給気ファン20により、空気Aが混合室140−3、140−4、140−5に導入される。燃料ガスGと空気Aが各混合室140−3、140−4、140−5で混合され、混合気GAが形成される。この混合気GAが、バーナ部8−3、8−4、8−5に供給される。これにより、バーナ部8−2に加え、バーナ部8−3、8−4、8−5の燃焼が加わった三段燃焼238−3に遷移する。バーナ部8−2、8−3、8−4、8−5における混合気GAの燃焼量は比例弁32による燃料ガスGの供給量に比例する。この場合も、燃料ガスGの供給量は給湯需要に応じて変化する。また、混合室140−2、140−3、140−4、140−5以外の混合室には空気Aのみが導入される。
(4) 四段燃焼(バーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5の全燃焼)
四段燃焼では、三段燃焼で閉じられたガス電磁弁34−2が開かれる。消火していたバーナ部8−1から流出する燃料ガスGに着火される。これにより、三段燃焼にバーナ部8−1の燃焼が加わった四段燃焼238−4に遷移する。バーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5における混合気GAの燃焼量は比例弁32による燃料ガスGの供給量に比例する。この場合も、燃料ガスGの供給量は給湯需要に応じて変化する。
(5) 給湯需要に対する燃焼段数
図25は、給湯装置2の給湯制御の処理手順の一例を示している。
この処理手順は、本発明の燃焼制御方法の一例である。この処理手順では、検出流量の取込みを行う(S11)。この検出流量は水量センサ46の検出値である。この検出流量の判定を行う(S12)。この検出流量の判定では、通水検出を行う。この通水検出では検出流量が所定値の一例として、3〔l(リットル)/min〕以上かを判定する。
検出流量≧3〔l/min〕であれば(S13のYES)、給湯温度制御を行い(S14)、空燃比制御を行う(S15)。給湯温度制御では、燃焼量の調整が行われ、その燃焼量の調整として燃焼段数の切替えが行われる。空燃比制御では、炎の監視に基づき、空気供給量の調整が行われる。
S13において、検出流量<3〔l/min〕であれば(S13のNO)、加熱停止状態制御を行う。
図26および図27は、給湯温度制御(S14)の処理手順の一例を示している。
給湯温度制御(S14:図25)の処理手順では、当初、給湯開始か否かを判定する(S141)。給湯開始であれば(S141のYES)、入水温度、目標温度および検出流量より必要能力(号数)を算出する(S142)。
出力と比例弁電流値の関係情報を参照し、燃焼段数および比例弁電流値などを決定する(S143)。出力と比例弁電流値の関係情報は、予めこれらの関係グラフとしてたとえば、データテーブルを作成し、このデータテーブルを参照すればよい。
燃焼段数および比例弁電流値などより給気ファン回転数を決定する(S144)。この決定の後、点火を行い、燃焼を開始する(S145)。
既に燃焼中であれば(S141のNO)、FB(Feed Back )制御を実行する(S146)。
FB制御(S146)はたとえば、図27に示す処理手順で実行される。
この処理手順では、給湯温度が目標温度より高いかの比較を行う(S146−1)。給湯温度>目標温度であれば(S146−1のYES)、燃料供給量(比例弁電流値)を減少させる(S146−2)。
4段燃焼中であるかを判定する(S146−3)。4段燃焼中でなければ(S146−3のNO)、3段燃焼中であるかを判定する(S146−4)、3段燃焼中でなければ(S146−4のNO)、2段燃焼中であるかを判定する(S146−5)、2段燃焼中でなければ(S146−5のNO)、燃焼段数、比例弁電流値などより給気ファン回転数の決定を行い(S146−6)、S146(図26)にリターンする。
S146−3において、4段燃焼中であれば(S146−3のYES)、比例弁電流値が比例弁電流値≦dp4(図28)であるかを判定する(S146−7)。比例弁電流値≦dp4であれば(S146−7のYES)、3段燃焼に切替え、比例弁電流値をdp4sに増加させ(S146−8)、S146−6に移行する。S146−7において、比例弁電流値≦dp4でなければ(S146−7のNO)、S146−8をスキップしてS146−6に移行する。
S146−4において、3段燃焼中であれば(S146−4のYES)、比例弁電流値が比例弁電流値≦dp3(図28)であるかを判定する(S146−9)。比例弁電流値≦dp3であれば(S146−9のYES)、2段燃焼に切替え、比例弁電流値をdp3sに増加させ(S146−10)、S146−6に移行する。S146−9において、比例弁電流値≦dp3でなければ(S146−9のNO)、S146−10をスキップしてS146−6に移行する。
S146−5において、2段燃焼中であれば(S146−5のYES)、比例弁電流値が比例弁電流値≦dp2(図28)であるかを判定する(S146−11)。比例弁電流値≦dp2であれば(S146−11YES)、1段燃焼に切替え、比例弁電流値をdp2sに増加させ(S146−12)、S146−6に移行する。S146−11において、比例弁電流値≦dp2でなければ(S146−11のNO)、S146−12をスキップしてS146−6に移行する。
S146−1において、給湯温度>目標温度でなければ(S146−1のNO)、給湯温度<目標温度であるかを判定する(S146−13)。給湯温度<目標温度であれば(S146−13のYES)、燃料供給量(比例弁電流値)を増加させる(S146−14)。
3段燃焼中であるかを判定する(S146−15)。3段燃焼中でなければ(S146−15のNO)、2段燃焼中であるかを判定する(S146−16)、2段燃焼中でなければ(S146−16のNO)、1段燃焼中であるかを判定する(S146−17)、1段燃焼中でなければ(S146−17のNO)、燃焼段数、比例弁電流値などより給気ファン回転数の決定を行い(S146−18)、S146(図26)にリターンする。
S146−15において、3段燃焼中であれば(S146−15のYES)、比例弁電流値が比例弁電流値≧up3(図28)であるかを判定する(S146−19)。比例弁電流値≧up3であれば(S146−19のYES)、4段燃焼に切替え、比例弁電流値をup3sに減少させ(S146−20)、S146−18に移行する。S146−19において、比例弁電流値≧up3でなければ(S146−19のNO)、S146−20をスキップしてS146−18に移行する。
S146−16において、2段燃焼中であれば(S146−16のYES)、比例弁電流値が比例弁電流値≧up2(図28)であるかを判定する(S146−21)。比例弁電流値≧up2であれば(S146−21のYES)、3段燃焼に切替え、比例弁電流値をup2sに減少させ(S146−22)、S146−18に移行する。S146−21において、比例弁電流値≧up2でなければ(S146−21のNO)、S146−22をスキップしてS146−18に移行する。
S146−17において、1段燃焼中であれば(S146−17のYES)、比例弁電流値が比例弁電流値≧up1(図28)であるかを判定する(S146−23)。比例弁電流値≧up1であれば(S146−23のYES)、2段燃焼に切替え、比例弁電流値をup1sに減少させ(S146−24)、S146−18に移行する。S146−23において、比例弁電流値≧up1でなければ(S146−21のNO)、S146−24をスキップしてS146−18に移行する。
図28は、燃焼段数の切替えにおける燃焼能力と比例弁電流値の関係を示している。横軸に比例弁電流値〔mA〕、縦軸に出力〔kW〕を取っている。比例弁32はたとえば、電磁弁によって構成されている。この比例弁32の開度は入力電流(比例弁電流)値〔mA〕に比例する。図28において、OUT1は一段燃焼の出力範囲、OUT2は二段燃焼の出力範囲、OUT3は三段燃焼の出力範囲、OUT4は四段燃焼の出力範囲を示している。
このような出力範囲により、給湯需要により比例弁32の開度が比例弁電流値〔mA〕により連続的に制御される。この制御範囲を逸脱する場合にはOUT1ないしOUT4の範囲内で段数切替え(増減)が行われる。給湯需要がOUT4の範囲を上回る場合にはOUT4内に維持される。また、給湯需要がOUT1の範囲を下回る場合には消火状態となる。
このように、給湯温度制御における燃焼能力の調整は燃焼段数の切替えと比例弁電流によって行われる。
燃焼段数が増加する場合には、比例弁電流値がup1→up1s、up2→up2s、up3→up3sに切替わる。また、燃焼段数が減少する場合には、比例弁電流値がdp4→dp4s、dp3→dp3s、dp2→dp2sに切替わる。このような切替えを行いながら、燃焼能力が最少能力〜最大能力の調整が行われる。
図29は、空燃比制御(S15:図25)の処理手順を示している。
この空燃比制御では、炎の監視に基づき、空気供給量の調整を行う。この処理手順では、フレームロッド電流値の取得を行い(S151)、使用段数と比例弁電流値よりフレームロッド電流値の理想値を取得する(S152)。
このフレームロッド電流値について、フレームロッド電流値<理想値であるかを判定する(S153)。フレームロッド電流値<理想値であれば(S153のYES)、給気ファン回転数をマイナス側に補正し(S154)、S15(図25)にリターンする。
S153において、フレームロッド電流値<理想値でなければ(S153のNO)、フレームロッド電流値>理想値であるかを判定する(S155)。フレームロッド電流値>理想値であれば(S155のYES)、給気ファン回転数をプラス側に補正し(S156)、S15(図25)にリターンする。
図30のAおよびBは、空燃比制御における炎の形状変化と電流値を示している。炎の中心部付近(PB)では最大電流となり、このPA、PCの位置では電流値が減少する。つまり、炎の中心部付近から離れるに従って電流値が減少する。したがって、フレームロッド14の位置は一定であるため、炎の形状変化が電流値で検知できる。つまり炎が小さくなり、PBがFRAに近づくと電流値が大きくなる。逆に炎が大きくなって、PBがFRAから離れると、電流値が小さくなる。電流値が理想値より大きい場合には、ファン回転数を増加し、電流値が理想値より小さい場合にはファン回転数を減少させる制御を行う。
炎の理想形状は燃焼量(燃焼段数及び比例弁電流値)により変化し、フレームロッド電流値の理想値も変化する。そこで、燃焼段数および比例弁電流値に対し、理想電流値のデータを予め用意しておき、理想値に対する現在の電流値の状態を検知してファン回転数の補正を行なえば、炎の形状を理想的な状態に制御することができる。
<燃焼場の空気比度と燃焼負荷>
図31は、燃料場の空気比(横軸)と燃焼負荷〔kW/m2 〕(縦軸)による燃焼モードを示している。図31において、D1がブルーフレームモード、D2が赤熱モード、D3が中間モードである。D1は、各燃焼段の中間域から高域で生じる。D2は、各燃焼段の低域で見られる。
バーナ8で混合気GAが燃焼すると、メタルニット122の表面には燃焼場が形成される。この燃焼場には、燃焼を継続する限り、混合気GAが供給される。この混合気量に対する空気量が空気比である。この空気比は、燃料量に対する空気量であってもよい。燃焼負荷により使用できる空気比の幅が決定される。この燃焼負荷は単位面積〔m2 〕当たりの燃焼出力〔kW〕で定義される。
グラフより、空気比が低いと赤熱モードが維持され、空気比が高くなるに従って燃焼負荷が高くなると、ブルーフレームモードになりやすいと言える。赤熱モードでは、燃焼エネルギーが対流伝熱に加えて放射伝熱となる。これに対し、ブルーフレームモードでは、燃焼エネルギーのほとんどが対流伝熱になる。同一燃焼負荷であれば、供給される燃料ガス量は同一であるため、空気比が高いほど混合ガスの流速は速くなる。
バーナ8や、該バーナ8を用いた給湯装置2では、限られた燃焼面積において高出力を得る必要がある。このため、高負荷燃焼が必要である。また、熱交換器38の構造上、放射伝熱の利用は限られ、対流伝熱を多く行うブルーフレームモードが有効である。
<空気比に対するCO>
図32は、空気比に対するCO〔%〕の変化を示している。横軸に空気比、縦軸にCO〔%〕を取っている。L1は、赤熱火炎による保炎機能を持たせた場合のバーナ8の燃焼特性であり、L2は、保炎機能が無い場合の燃焼特性を示している。
保炎機能がある場合には空気比を大きく取ることができ、安定したブルーフレームによる燃焼が可能であることは既述したとおりである(図22のC)。
この燃焼特性において、米国ガス検定のCO%基準値COref(COref<0.04)を満足する燃焼使用可能領域S1(L1)、S2(L2)の限界値から空気比a、b、c、dを求める。空気比a、b、c、dは、a<b<c<dの関係である。この結果、燃焼使用可能領域S2では、b<空気比<cであるのに対し、バーナ8の燃焼使用可能領域S1ではa<空気比<dとなり、大幅に改善されている。つまり、バーナ8では空気比の値を広い範囲で設定できる。
<実施の形態の効果>
(a) バーナ8によれば、燃料ガスGおよび空気Aの混合比率が一様な混合気GAが得られる。
(b) 燃料ガスGおよび空気Aの混合比率を安定化することができ、安定した燃焼火炎が得られる。
(c) バーナ8は、バーナフレーム106、メタルニット122およびバックプレート124で構成され、バックプレート124で流量調整手段が構成される。バックプレート124にある流出孔パターンにより高負荷用の開口部である流出孔130と、保炎のために閉鎖部132が構成されている。
(d) 流出孔130、流出孔グループ130Gでは混合気GA−1の流出速度が速く、高負荷燃焼となり、火炎236−1ではブルーフレームを生成させることができる。これに対し、閉鎖部132では火炎236−1を包囲する火炎236−2が形成される。この火炎236−2を形成する混合気GA−2の流出速度が混合気GA−1に対して遅く、低負荷燃焼(赤熱燃焼)となる。つまり、火炎236−1の根元部分(メタルニット122の表面)に火炎236−2が形成される。火炎236−2は、火炎236−1に対して保炎機能を果たす。このため、火炎236−1にリフトが生じるのを抑制でき、失火が防止される。したがって、火炎236−2の保炎機能と相まって流出速度の速い混合気GA−1による高負荷燃焼が維持される。
(e) 閉鎖部132では、流出孔130からの混合気GA−2が生じ、この混合気GA−2は、混合気GAの漏れによって生じる。この混合気GA−2は、メタルニット122を経由して閉鎖部132の上部に噴出する。このため、混合気GA−2の流出速度は遅く、メタルニット122の面に沿って火炎236−2が生成される。これにより、メタルニット122が加熱され、メタルニット122上に高温場が形成される。この高温場では、メタルニット122が赤熱状態となる。この赤熱状態が維持されたメタルニット122の上方に混合気GA−1による火炎236−1が形成される。この結果、メタルニット122の赤熱状態、混合気GA−2の火炎236−2が火炎236−1に対する保炎機能を持つ。つまり、火炎236−1の安定燃焼を火炎236−2により保持する。
(f) 流量調整手段であるバックプレート124の流出孔130および閉鎖部132のパターンにより、混合気GA−1、GA−2の流出速度の制御が行われる。つまり、バックプレート124で燃焼負荷が制御される。これにより、高負荷燃焼が保炎によって維持され、安定した高負荷燃焼が得られる。
(g) 流出孔グループ130Gによる火炎236−1は保炎である火炎236−2によって包囲される(図22のB)。流出孔グループ130Gによる火炎236−1を単位として安定した高負荷燃焼が維持される。
(h) 赤炎の保炎機能によりバーナ8の使用可能な最大出力を高めることができる。この最大出力について、使用可能か否かの判断は、CO、NOx、炎の安定性(リフト)による。保炎機能を持つバーナ8の最大出力は、58〔kW〕が得られたのに対し、閉鎖部132による保炎機能を持たない場合には、使用可能な最大出力は、30〔kW〕に抑えられてしまう。つまり、閉鎖部132による保炎機能を備えることにより、燃焼負荷を2倍程度まで高めることができる。
(i) 赤炎の保炎機能に関し、空気比とCO〔%〕との関係を見ると、保炎機能の有無で図22のCに示すように、特性L1、L2が得られる。特性L1は保炎機能による高負荷燃焼特性、特性L2は保炎機能を持たない高負荷燃焼特性である。保炎機能がない場合には、特性L2のように、空気比幅を広げるとCO%が大きく、高出力領域や燃焼性能の安定性に欠け、空気比幅の使用可能範囲は狭くなる。これに対し、保炎機能を持たせた場合には、特性L1のように、空気比幅を広げてもCO発生が少なく、広い空気比幅で使用可能である。
(j) 保炎機能の向上により、バーナ8の高負荷燃焼が得られる。
(k) 既述の保炎機能の向上によってバーナ8で高負荷燃焼が得られ、コンパクトなバーナや、燃焼室の小型化が可能である。
(l) 保炎機能を向上させるので、使用可能な空気幅を拡大でき、火炎リフトを低減して安定した高負荷燃焼が得られる。
(m) 保炎機能が向上させて安定した高負荷燃焼を維持できるので、COやNOxの発生を抑制でき、環境負荷の低減に寄与する。
(n) 給湯装置2では、バーナ8でブルーフレーム燃焼が得られ、赤熱火炎は保炎機能として利用しているので、高効率化によりバーナ8の小型化を図ることができる。これにより、給湯装置2におけるバーナ8を含む燃焼系統の占有体積を縮小でき、給湯装置2の小型化、軽量化を図ることができる。
(o) ブルーフレーム燃焼によってCOやNOxの低減を図ることができ、安全性の高い給湯装置2が得られる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態ではバーナ8を用いた給湯装置2を例示しているが、バーナ8を用いる熱源機器が給湯装置に限定されるものではない。暖房装置であってもよいし、調理器などであってもよい。
(2) 上記実施の形態ではバーナ8に対し、混合部10から供給する混合気GAの濃度を一定または一定値に近い平行流としているが、混合室ごとに混合気GAの空気比や燃料ガス量を変更してもよい。
(3) 上記実施の形態ではバーナ8を水平に設置しているが、鉛直方向や傾斜方向に設置してもよい。
(4) 単一のバーナ8を以て複数の独立したバーナ部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5が構成されている。この実施の形態では、5組のバーナ部を構成しているが、5組未満でもよく、5組以上でもよい。また、混合気GAを燃焼させるバーナ部8の最低数は単一であってもよいし、複数であってもよい。
(5) バーナ8では、複数の混合気流出孔130を備えているが単一の混合気流出孔130で構成してもよい。
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。