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JP6034022B2 - 不織布積層体 - Google Patents

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JP6034022B2
JP6034022B2 JP2011286167A JP2011286167A JP6034022B2 JP 6034022 B2 JP6034022 B2 JP 6034022B2 JP 2011286167 A JP2011286167 A JP 2011286167A JP 2011286167 A JP2011286167 A JP 2011286167A JP 6034022 B2 JP6034022 B2 JP 6034022B2
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Description

本発明は、衛生製品の、トップシート、バックシート、サイドギャザー部等の吸収性部材において使用するのに特に適した不織布であって、加工性に優れるポリオレフィン系長繊維で構成された不織布に関する。
近年、使い捨てオムツ等の、不織布で構成された衛生製品の普及はめざましく、その生産量も急増してきている。このような環境下、例えば使い捨てオムツにおいて、その製造ラインでのロスの減少及び品質の安定性が重要である。オムツ製造ラインにおいて、素材となる不織布の地合が悪いと、吸収体であるSAP(超吸収性ポリマー)の漏れの問題、及びフィルムと不織布との貼り合わせ工程でホットメルト剤が不織布を抜けてしまうという問題等、様々な不具合が生じる。一方、バックシート用途においては、不織布の地合が悪い場合、不織布の厚みにムラがあり不織布の白色に濃淡があると、不織布の繊維が多く白色が濃い箇所では、バックシートの内側に一般的に使用しているキャラクター等が印刷されているフィルムの印刷が、最外層となる不織布側から見ると不鮮明になるという問題が生じ、また不織布の繊維が少なく白色が薄い箇所では排泄物が表面に見えてしまうという問題が生じる。
従来、不織布の粉漏れ防止性及び地合を改善する手段としては、目付を上げる方法、繊度を細くする方法、2層のスパンボンド不織布の間に極細の繊維であるメルトブローン不織布をサンドウィッチしてなる積層不織布を用いる方法等がある。しかし、目付を上げる方法では、目付の増大に従って柔軟性が低下するため、衛生製品に用いる場合には厚ぼったい感触となる問題がある。繊度を細くする方法では、スパンボンド法において生産性を落とすことで繊度を細くすることが可能ではあるが、商業性を考慮するとスパンボンド法における細繊化には限界がある。また、メルトブローン層を入れて積層する方法では、隠蔽性が高くなり過ぎて通気性が悪くなり、ムレ等の症状が生じる。またメルトブローン層が入ると、バックシート内側のフィルムに印刷されたキャラクター等の印刷が極細の繊維により不鮮明となる問題がある。
スパンボンド不織布を積層する方法によれば、単層の不織布のムラが複数重なることで積層体としては均一性を向上させることができる。しかし、商業的な大量生産のためには生産ラインの高速化が必須となる。生産ラインの高速化は、繊維を積層する際にウェブが吹き飛んだり、コンベア上でメクレが発生したりするという問題を生じさせるため、3層以上の積層不織布を高速で得るのは非常に困難であった。
特許文献1には、細デニール繊維のスパンボンド不織布を用いて高強力で濾過性能の良好なフィルター濾材を得る方法が開示されている。また、特許文献2には、連続長繊維群を高速気流牽引装置により牽引して細化延伸させ、連続長繊維群開繊用反射板に衝突させて、良好な地合のスパンボンド不織布を得る方法が開示されている。更に、特許文献3には、捲縮糸を用いた、嵩高性に富み地合の良好な積層不織布を得る方法が開示されている。
特許第3427903号公報 特開平8−226063号公報 特開平5−209352号公報
しかし、特許文献1において使用されるポリエステル樹脂は剛軟度が高く、衛生製品に使用するには柔軟性に問題が生じる。また特許文献2の技術では、地合を良好にするための開繊用反射板の調整が煩雑である。またこの文献には積層に関する記載はない。更に、特許文献3における捲縮糸を用いたスパンボンド不織布では、耐毛羽性に問題があり、これを衛生製品に使用する場合、不織布から発生した毛羽を乳児が誤飲する等の問題が生じる。
本発明が解決しようとする課題は、衛生製品における吸収性部材であるトップシート、バックシート又はサイドギャザー部を形成するのに特に適した、地合が良好で、隠蔽性に優れ、かつホットメルト剤及びSAPの漏れが少ない不織布を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、特定範囲の平均単糸繊度を有する繊維を含む長繊維不織布層が3層以上積層されており、かつ特定の地合指数を有する不織布積層体によれば、良好な遮蔽性、並びにホットメルト剤及びSAPの漏れの低減を実現できることを見出した。更に本発明者らは、上記の不織布積層体が、不織布積層体の生産工程におけるコンパクションロールの接圧及び温度を特定範囲とし、更に、繊維を堆積させるコンベアネットの通気度を特定範囲とすることで、良好かつ確実に製造されることを見出した。一般的に、生産能力を向上させ、低い目付の不織布を生産するためには、生産ラインの高速化が必要である。しかし生産ラインを高速化すると繊維の配向がタテ流れとなり、地合が悪くなりムラが生じる。本発明者らは、コンパクションロールの接圧及び温度を特定範囲とし、かつ繊維を堆積させるコンベアネットの通気度を制御することで、長繊維不織布層のウェブを積層する際のウェブの吹き飛び及びメクレ等を防止し、該ウェブを3層以上に積層することができ、地合が良好で高い隠蔽性を有する不織布積層体を得ることができることを見出した。すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1] ポリオレフィン系長繊維を含む長繊維不織布層を3層以上含む不織布積層体であって、
該不織布積層体の地合指数が58以上80以下であり、かつ
該ポリオレフィン系長繊維の平均単糸繊度が0.7dtex以上3.5dtex以下である、不織布積層体。
[2] 分子配向度のMOR値で1.05以上2.0以下である繊維配向を有する、上記[1]に記載の不織布積層体。
[3] 粉漏れ率が3%以上50%以下である、上記[1]又は[2]に記載の不織布積層体。
[4] 目付が5g/m2以上30g/m2以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布積層体。
[5] 通気度が100cm3/cm2/秒以上800cm3/cm2/秒以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の不織布積層体。
[6] 嵩密度が0.05g/cm3以上0.20g/cm3以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の不織布積層体。
[7] 該ポリオレフィン系長繊維がポリプロピレン系長繊維である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の不織布積層体。
[8] スパンボンド不織布である、上記[1]〜「7」のいずれかに記載の不織布積層体。
[9] 該長繊維不織布層を4層以上含む、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の不織布積層体。
[10] 親水化剤を更に含む、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の不織布積層体。
[11] 柔軟化剤を更に含む、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の不織布積層体。
[12] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の不織布積層体の製造方法であって、以下の工程:
ポリオレフィン系長繊維を含む繊維成分をコンベアネット上に堆積させることによって長繊維不織布層を形成する不織布層形成工程、及び
該不織布層形成工程で得た長繊維不織布層を3層以上重ねて圧着することによって不織布積層体を形成する圧着工程、
を含み、
生産速度が170m/分以上であり、かつ
以下の関係式:繊維成分の繊度[dtex]×生産速度[m/分]≧200を満足する、不織布積層体の製造方法。
[13] 上記コンベアネットの通気度が200cm3/cm2/秒以上500cm3/cm2/秒以下であり、
該圧着工程を、コンパクションロールを用いて接圧2kgf/cm以上5kgf/cm以下及び温度が該ポリオレフィン系長繊維の融点より0℃以上60℃以下低い温度で行う、上記[12]に記載の不織布積層体の製造方法。
[14] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の不織布積層体を含む、衛生製品。
[15] 使い捨てオムツ、生理用ナプキン又は失禁パットである、上記[14]に記載の衛生製品。
本発明の不織布積層体は、ポリオレフィン系長繊維で構成される長繊維不織布層を含み、特定範囲の地合指数及び平均単糸繊度を有するため、衛生製品用途においてホットメルト剤及び吸収体であるSAPの漏れを良好に抑制することができるとともに、良好な生産性で製造することが可能である。更に、本発明の不織布積層体は3層以上からなる積層不織布であるため、単層不織布のムラが均一化されており、極めて高い隠蔽性を有する。
更に、本発明の不織布積層体を例えばバックシート用途に適用する場合には、最外層となる不織布の地合が良好であるため、バックシートの内側に一般的に使用している、キャラクター等が印刷されているフィルムの印刷が鮮明にきれいに見えるという効果、及び不織布の厚みが極端に小さい箇所でも破断が抑制されるという効果が得られる。
本発明の不織布積層体は、上記の構成を有することにより、衛生製品において吸収性部材であるトップシート、バックシート又はサイドギャザー部に使用するのに特に適した加工性に優れる不織布である。
以下、本発明について詳述する。
<不織布積層体>
本発明の一態様は、ポリオレフィン系長繊維を含む長繊維不織布層を3層以上含む不織布積層体であって、該不織布積層体の地合指数が58以上80以下であり、かつ該ポリオレフィン系長繊維の平均単糸繊度が0.7dtex以上3.5dtex以下である、不織布積層体を提供する。
本発明の不織布積層体における各々の長繊維不織布層は、ポリオレフィン系長繊維で構成される。長繊維不織布層は、ポリオレフィン系長繊維のみで構成されてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲(例えば全体の20モル%以下、より好ましくは10モル%以下)でポリオレフィン系長繊維以外の繊維を含んでもよい。ポリオレフィン系長繊維とは、主要構成成分(具体的には全体の50モル%超)がポリオレフィンである長繊維を意味する。
ポリオレフィン系長繊維としては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、並びに、エチレン及び/又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体等の樹脂から成る繊維が挙げられる。なかでも、強度が強く使用時において破断し難く、且つ衛生製品の生産時における寸法安定性に優れることから、ポリオレフィン系長繊維がポリプロピレン系繊維であることが好ましい。ポリプロピレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよい。また、エチレンランダム共重合ポリプロピレンも使用できる。エチレンランダム共重合ポリプロピレンにおけるエチレン含有量は、衛生製品に好適に使用できる強度の観点から、2モル%未満、好ましくは1モル%未満であることが好ましい。他のα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のα−オレフィン、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。これらは1種類単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。更に、ポリオレフィン系樹脂部分とポリオレフィン系樹脂以外の部分とからなる繊維、例えばポリオレフィン系樹脂を表面層とする芯鞘繊維等も使用できる。
長繊維不織布層が含有しうる、ポリオレフィン系長繊維以外の繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、共重合ポリエステル繊維等のポリエステル系繊維;ナイロン−6繊維、ナイロン−66繊維、共重合ナイロン繊維等のポリアミド系繊維;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の生分解性樹脂からなる繊維;等が挙げられる。これらの繊維は1種類又は2種類以上組み合わせて使用できる。紡糸安定性の観点から、好ましくは1種類単独で用いる。
繊維形状は種々可能であり、円形断面を有する通常の繊維に加え、捲縮繊維、異形繊維等の特殊形態の繊維を使用可能である。
長繊維不織布層は、強度及び寸法安定性の観点から、ホモポリプロピレンであることが特に好ましい。この場合のホモポリプロピレンのMFR(メルトフローレイト)は、好ましくは20g/10分以上、より好ましくは30g/10分超、更に好ましくは40g/10分超、特に好ましくは53g/10分超であり、また、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは85g/10分以下、更に好ましくは70g/10分以下、特に好ましくは65g/10分未満である。MFRがこの範囲にあると樹脂の流動性が良く、かつ曲げ柔軟度の良好な不織布を得ることができる。MFRは、JIS−K7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」の表1、試験温度230℃、及び試験荷重2.16kgに準じて測定を行って求めることができる。
ポリオレフィン系長繊維は、核剤、難燃剤、無機充填剤、顔料、着色剤、耐熱安定剤、帯電防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
本発明の不織布積層体の地合指数は、58以上80以下であり、好ましくは59以上78以下、より好ましくは60以上75以下である。地合指数が80以下であれば、粉漏れ率が良好となり、地合が58以上であれば通気性が良好である。地合指数は、以下の方法で測定される値である。フォーメーションテスターを用い、試料台上に置いた試料に照射ランプの光を当てて透過像を二次元CCDカメラで撮影し、適切な画素数(例えばA4サイズ試料で320×320画素)に分解し、各画素が受ける光の強さを測定する。次に、各画素についての透過率(t%)を下記式で算出する。
絶対透過率(t%)=(Vt−Vr)/(V100−V0)×100%
V100:照射ランプ点灯の光度、V0:照射ランプの消灯の光度
Vt:試料をのせた状態の、照射ランプ点灯の光度
Vr:試料をのせた状態の、照射ランプ消灯の光度
絶対透過率(t%)を、下記式:
吸光度(E)=2−logt
に従って吸光度(E)に換算し、下記式:
地合指数=吸光度(E)の変動係数×10
に従って地合指数を算出する。
ポリオレフィン系長繊維の平均単糸繊度は、0.7dtex以上3.5dtex以下である。該平均単糸繊度は、好ましくは0.8dtex以上3.3dtex以下、より好ましくは0.9dtex以上3.0dtex以下である。該平均単糸繊度は、紡糸安定性の観点から、0.7dtex以上であり、不織布の強力(特に衛生製品において重要である)の観点から、3.5dtex以下である。平均単糸繊度は、例えばマイクロスコープを用いて繊維直径を測定し、測定値の数平均を算出することにより得られる値である。測定点は、1本の長繊維全体での繊度の平均値が反映されるように選択すればよい。例として、長繊維の両端を除いた後、不織布積層体の幅方向にほぼ5等分して試料片を作製し、5つの繊維断面の各々で20点ずつ繊維直径を測定し、全100点の数平均を算出することによって平均単糸繊度を評価できる。
ポリオレフィン系長繊維を含む繊維成分を接合して長繊維不織布層を製造する際の接合手段としては、部分熱圧着法、熱風法、溶融成分(ホットメルト剤)での接合法(ホットメルト法)、その他各種の方法が挙げられるが、強度の観点から、熱圧着法が好ましい。
上記部分熱圧着法における熱圧着面積率は、強度保持及び柔軟性の点から、好ましくは3%以上40%以下であり、より好ましくは4%以上25%以下であり、更に好ましくは4%以上20%以下であり、特に好ましくは5%以上15%以下である。
部分熱圧着処理は、超音波法により、又は加熱エンボスロール間にウェブを通すことにより行うことができ、これにより、表裏一体化される。部分熱圧着処理により、例えば、ピンポイント状、楕円形状、ダイヤ形状、矩形状等の浮沈模様を不織布全面に散点させることができる。生産性の観点から、加熱エンボスロールを用いることが好ましい。
不織布積層体の繊維配向の指標である分子配向度のMOR値は、好ましくは1.05以上2.0以下であり、より好ましくは1.1以上2.0以下、更に好ましくは1.2以上1.7以下である。MOR値が1.05以上であれば、繊維配向が製造ラインの流れ方向となり、幅の寸法変化が非常に小さくなるため衛生製品の加工適性が良好となる。また、MOR値が2.0以下であると、衛生製品に使用する際に不織布積層体の横強度が良好に得られる。MOR値は、分子配向計を用いて測定される値である。
不織布積層体の粉漏れ率は、好ましくは3%以上50%以下であり、より好ましくは5%以上45%以下、更に好ましくは7.5%以上40%以下である。粉漏れ率がこの範囲にあれば、不織布積層体の通気性を良好に保持したままホットメルト剤及びSAPの漏れの問題を防止できるため、不織布積層体を衛生製品に好適に使用することができる。粉漏れ率は以下の方法で測定される値である。不織布積層体からタテ10cm×ヨコ10cmの試料片を採取する。試料片を二つ折りにして縁を180℃で10秒間ヒートシールする。その中へJIS−Z8901試験用粉体1種ダストを約1g入れ、重量W1を正確に測定し、袋状にした試料の口を同様にヒートシールする。この袋状にした試料をポリエチレンの袋に入れ、1.5mの高さから自然落下にて10回落下させる。その後試料袋から漏れた粉体の重量W2を測定し、下記式に従って算出した粉漏れ率を算出する。5回の測定による数平均値を採用する。
粉漏れ率(%)=W2/W1×100
本発明の不織布の目付は、好ましくは5g/m2以上30g/m2以下であり、より好ましくは8/m2以上30g/m2以下、更に好ましくは10g/m2以上30g/m2以下、更に好ましくは10g/m2以上25g/m2以下、特に好ましくは10g/m2以上23g/m2未満である。目付が5g/m2以上であれば、衛生製品に使用される不織布に要求される強力要件が良好であり、一方、30g/m2以下であれば、衛生製品に使用される不織布の柔軟性が良好で、外観的に厚ぼったい印象を与えない点で有利である。目付は、JIS−L1906に準拠して測定される値である。
不織布積層体の通気度は、好ましくは100cm3/cm2/秒以上800cm3/cm2/秒以下であり、より好ましくは150cm3/cm2/秒以上700cm3/cm2/秒以下、更に好ましくは200cm3/cm2/秒以上600cm3/cm2/秒以下である。通気度が800cm3/cm2/秒以下であれば、粉漏れの抑制性が良好であり、通気度が100cm3/cm2/秒以上であれば、衛生製品に使用するのに適した良好な通気性が与えられる。通気度は、JIS−L1096に準拠して測定される値である。
不織布積層体の嵩密度は、好ましくは0.05g/cm3以上0.20g/cm3以上であり、より好ましくは0.06g/cm3以上0.19g/cm3以下、更に好ましくは0.07g/cm3以上0.18g/cm3以下である。嵩密度が0.05g/cm3以上であれば衛生製品に好適に使用できる強度を得ることができる。0.20g/cm3以下であれば衛生製品に好適に使用できる通気性を得ることができる。嵩密度は、不織布積層体の上記の目付及び厚みから下記式に従って算出される値である。
嵩密度(g/cm3)=目付(g/m2)/厚み(mm)/1000
不織布積層体は、親水化剤を更に含んでもよい。親水化剤は、例えば、繊維中に含浸され、又は繊維表面に付着していることができる。親水化剤の使用は、例えば衛生製品のトップシート用途において不織布積層体に親水性を付与できる点で有利である。親水化剤としては、人体への安全性、工程での安全性等を考慮して、高級アルコール;高級脂肪酸;アルキルフェノール等のエチレンオキサイドを付加した非イオン系界面活性剤;アルキルフォスフェート塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤;等が好適である。これらは単独で又は2種類以上の混合物として好ましく用いられる。
親水化剤の使用量は、要求される性能によって異なるが、通常は、不織布積層体を構成している繊維100質量%に対して0.1質量%以上1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.15質量%以上0.8質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以上0.6質量%以下である。使用量がこの範囲にあると、例えば衛生製品のトップシートに要求される親水性能を良好に満足し、加工性も良好となる。
親水化剤を含む不織布積層体を製造する方法としては、通常、希釈した親水化剤を用いた、浸漬法、噴霧法、コーティング(キスコーター又はグラビアコーターにより)法等の既存の方法を採用することができる。2種類以上を必要により予め混合した親水化剤を、水等の溶媒で希釈して繊維に塗布することも好ましい。
親水化剤を水等の溶媒で希釈して繊維に塗布する方法では、乾燥工程を必要とする場合がある。その際の乾燥方法としては、対流伝熱、伝導伝熱、放射伝熱等を利用した既知の方法を採用することができ、熱風又は赤外線による乾燥方法、熱接触による乾燥方法等を用いることができる。
不織布積層体は、柔軟化剤を更に含んでもよい。柔軟化剤としては、エステル化合物が好ましく、より好ましくは3〜6価のポリオールとモノカルボン酸とのエステル化合物が挙げられる。
3〜6価のポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のポリオール、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビタン、ジグリセリン、エチレングリコールジグリセリルエーテル等の4価のポリオール、トリグリセリン、トリメチロールプロパンジグリセリルエーテル等の5価のポリオール、ソルビトール、テトラグリセリン、ジペンタエリスリトール等の6価のポリオール等が挙げられる。
モノカルボン酸としては、例えば、オクタン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタデセン酸、ドコセン酸、イソオクタデカン酸等のモノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、メチルベンゼンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシオクタデセン酸等のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸、アルキルチオプロピオン酸等の含イオウ脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
エステル化合物は、単一成分である必要はなく、2種類以上の混合物であってもよい。また、エステル化合物は天然物由来の油脂類であってもよい。但し、不飽和脂肪酸を含むエステル化合物は酸化されやすく紡糸時に酸化劣化し易いため、飽和の脂肪族モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸が好ましい。天然物由来の油脂類としては、原料油に比べて無臭で安定であるという観点から、水素添加されたエステル化合物が好ましく用いられる。
エステル化合物としては、モノカルボン酸の分子量が比較的大きく、親油性が高いものが好ましい。親油性が高いことにより、ポリオレフィン系長繊維の非晶部に入り込み、結晶化を阻害して非晶領域を増加させるため、曲げ柔軟度がより小さくなる効果が得られる。
かかる効果を得るためには、エステル化合物の融点は70℃以上であることが好ましく、より好ましくは80℃以上150℃以下である。融点は、示差走査熱量測定装置(DSC)で測定される値である。DSCで測定されるエステル化合物の融解ピークがブロードで、ある範囲を有する場合には、該融点は、融解ピークの最も高い点(すなわちピークトップ)の温度を意味する。なお、融点70℃以上のエステル化合物と、他の組成物、例えば融点が70℃未満のエステル化合物、その他の有機化合物等との混合物も使用可能である。
柔軟化剤、特にエステル化合物の使用量は、不織布積層体を構成する繊維100質量%に対し、0.3質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。柔軟化剤(特にエステル化合物)は、少量の使用でも曲げ柔軟度及び滑り易さを著しく向上させ、0.3質量%以上であれば良好な柔軟化効果が与えられる。一方、柔軟化剤は、使用量を大きく増やしても使用量に見合った性能向上は見られない。そのため、紡糸性及び発煙性を加味し、該使用量は5.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上3.5質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下である。
不織布積層体は、強度(これは特に衛生製品において重要である)の観点から、スパンボンド不織布であることが好ましい。
本発明の不織布積層体は、3層以上の長繊維不織布層を含むことによって不織布のムラが均一化されており、良好な地合を有する。不織布積層体は、4層以上の長繊維不織布層を含むことが好ましい。積層数が増えるほど、単層の不織布のムラの均一化効果が良好であり、地合は良好となる。
<不織布積層体の製造>
本発明の不織布積層体は、例えば、ポリオレフィン系長繊維を含む繊維成分を紡糸し、コンベアネット上に該繊維成分を堆積させて長繊維不織布層を形成し、そして該長繊維不織布層を3層以上重ねて圧着することにより製造できる。
本発明の別の態様は、上述した本発明の不織布積層体の製造方法であって、以下の工程:
ポリオレフィン系長繊維を含む繊維成分をコンベアネット上に堆積させることによって長繊維不織布層を形成する不織布層形成工程、及び
該不織布層形成工程で得た長繊維不織布層を3層以上重ねて圧着することによって不織布積層体を形成する圧着工程、
を含み、
生産速度が170m/分以上であり、かつ
以下の関係式:繊維成分の繊度[dtex]×生産速度[m/分]≧200を満足する、不織布積層体の製造方法を提供する。
不織布積層体の生産速度は好ましくは170m/分以上であり、より好ましくは250m/分以上、更に好ましくは300m/分以上、特に好ましくは350m/分以上である。ここで生産速度とは、繊維成分を熱圧着する際の熱圧着ロール(エンボスロール、フラットロール等)の回転速度のことである。生産速度が170m/分以上であれば商業的な費用対効果が良好である。不織布積層体の生産速度の上限は特に限定されるものではないが、不織布積層体の安定生産の観点から、好ましくは1500m/分以下、より好ましくは1200m/分以下、更に好ましくは1000m/分以下、特に好ましくは800m/分以下である。
不織布積層体を製造する際、用いる繊維成分の繊度と、生産速度とは地合に大きく影響し、一般的に繊維成分の繊度は細くなるほど地合は良好となり、生産速度は遅いほど地合は良好となる。しかし、生産性を落とさず繊度を細くするためには、繊維の延伸比を大きくすることが必要であり、糸切れの問題が発生する。また、生産性を落とさず、生産速度を遅くするためには目付を大きくすることが必要であり、衛生製品に使用する薄い不織布を得ることは困難である。地合が良好な不織布積層体を商業的に生産するためには繊度と生産速度とのバランスを保つことが必要である。
上記観点から、繊維成分の繊度[dtex]×生産速度[m/分]の値は、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは350以上である。上限は特に限定されないが、衛生製品に適した柔軟性を得るため、また不織布を安定的に得るために、好ましくは3500以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2500以下、特に好ましくは1700以下である。なお繊維成分の繊度は、繊度の異なる繊維を含む不織布の場合、最も多量に含まれている繊維についての繊度を意味する。
不織布積層体は、コンパクションロールの温度を、ポリオレフィン系長繊維の融点よりも、好ましくは0℃以上60℃以下低く、より好ましくは15℃以上55℃以下低く、更に好ましくは30℃以上50℃以下低く設定して得られる。2種類以上のポリオレフィン系長繊維を組み合わせる場合、上記ポリオレフィン系長繊維の融点とは、主成分となるポリオレフィン系長繊維の融点を意味する。
例えば、ポリオレフィン系長繊維がポリプロピレン繊維であれば、コンパクションロールの温度は、好ましくは100℃以上160℃以下、より好ましくは105℃以上145℃以下、更に好ましくは110℃以上130℃以下である。コンパクションロールの温度が100℃以上であれば、不織布層の積層時の仮接着が良好となり、積層時のウェブの吹き飛び及びメクレを抑制することができる。またコンパクションロールの温度が160℃以下であれば、ポリプロピレンを溶融することなく繊維形状を維持したまま不織布積層体を形成することができる。
また、コンパクションロールの接圧は、好ましくは2kgf/cm以上5kgf/cm以下であり、より好ましくは3kgf/cm以上4.75kgf/cm以下、更に好ましくは3.5kgf/cm以上4.5kgf/cm以下である。コンパクションロールの接圧がこの範囲であれば、例えば衛生製品に用いるのに好適な柔軟性を保持したまま繊維同士を十分に仮接着することができる。
更に、不織布を形成するために繊維成分を堆積させるコンベアネットの通気度は、好ましくは200cm3/cm2/秒以上500cm3/cm2/秒以下であり、好ましくは200cm3/cm2/秒以上400cm3/cm2/秒以下、より好ましくは250cm3/cm2/秒以上350cm3/cm2/秒以下である。コンベアネットの通気度がこの範囲であれば、堆積した不織布ウェブが積層時に吹き飛んだり、メクレが発生したりすることがなく、コンベアから熱圧着ロールに乗り移る際にも不織布ウェブがコンベアに貼り付いたまま断布等することがなく、良好に生産することができる。
好ましい態様においては、コンベアネットの通気度が200cm3/cm2/秒以上500cm3/cm2/秒以下であり、かつ圧着工程を、コンパクションロールを用いて接圧2kgf/cm以上5kgf/cm以下及び温度はポリオレフィン系長繊維の融点より0℃以上60℃以下低い温度で行う。
特に好ましい態様においては、コンベアネットの通気度が250cm3/cm2/秒以上350cm3/cm2/秒以下であり、かつ圧着工程を、コンパクションロールを用いて接圧3.5kgf/cm以上4.5kgf/cm以下及び温度はポリオレフィン系長繊維の融点より30℃以上50℃以下低い温度で行う。
ポリオレフィン系長繊維の紡糸温度は、好ましくは190℃以上260℃以下、より好ましくは200℃以上255℃以下、更に好ましくは205℃以上230℃以下、特に好ましくは210℃以上225℃以下である。紡糸温度が260℃以下であれば、樹脂分解物による紡口表面の汚れが少なく、更に樹脂の粘度が低くなることによる糸切れの発生を抑制することができる。また、紡糸温度が高いと、作製した不織布は、樹脂分解物による影響のために、曲げ柔軟度が高くなるとともに不織布として硬い傾向を示す。紡糸温度が190℃以上であれば、樹脂の粘度が高くなることによる糸切れの発生を抑制し、更に紡糸時の紡口内圧力が高くなることによる樹脂漏れ等を抑制することができる。
<不織布積層体の用途>
本発明の不織布積層体は、地合が非常に良好なため衛生製品の製造に好適に使用することができる。本発明の別の態様は、上述した本発明の不織布積層体又は本発明の不織布積層体の製造方法によって得られた不織布積層体を含む、衛生製品を提供する。衛生製品としては、使い捨てオムツ、生理用ナプキン又は失禁パットが挙げられる。不織布積層体は、上記のような衛生製品における、表面のトップシート、外側のバックシート、足回りのサイドギャザー等に好適に使用される。
また、本発明の不織布積層体の用途は上記用途に限られず、例えば、マスク、カイロ、テープ基布、防水シート基布、貼布薬基布、救急絆基布、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シート等に使用することもできる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において製造した不織布積層体の各種特性の評価方法は下記のとおりであり、得られた物性を以下の表1に示す。
1.平均単糸繊度(dtex)
試料の両端10cmを除き、不織布積層体の幅方向にほぼ5等分して1cm角の試験片をサンプリングし、マイクロスコープで繊維の直径を各試験片につき20点ずつ測定し、その数平均値を平均単糸繊度として算出した。
2.目付(g/m2
JIS−L1906に準じ、タテ20cm×ヨコ5cmの試験片を任意に5枚採取して質量を測定し、その数平均値を単位面積当たりの質量に換算して求めた。
3.厚み(mm)
プレッサーフートの大きさが直径9mm以上の適当な測定機を用いて、100gf/cm2の荷重のもとで、厚さが落ち着くまでの適当な時間(10秒程度)放置して、試料片を幅方向等間隔で5箇所測定し、その数平均値を厚みとした。
4.嵩密度(g/cm3
目付と厚みとから下記式により算出した。
嵩密度(g/cm3)=目付(g/m2)/厚み(mm)/1000
5.地合指数
野村商事製フォーメーションテスター(FMT−MIII)測定器を用い、A4サイズ(タテ29.7cm×ヨコ21cm)の試料を試料台の上に置き、二次元CCDカメラで照射ランプによる透過像を捕らえ、320×230画素に分解し、それぞれの画素が受ける光の強さを測定した。次いで画素それぞれに対する透過率(t)を下記の式で算出した。
絶対透過率(t%)=(Vt−Vr)/(V100−V0)×100%
V100:照射ランプ点灯の光度、V0:照射ランプの消灯の光度
Vt:試料をのせた状態の、照射ランプ点灯の光度
Vr:試料をのせた状態の、照射ランプ消灯の光度
絶対透過率(t%)を、下記式:
吸光度(E)=2−logt
に従って吸光度(E)に換算し、下記式:
地合指数=吸光度(E)の変動係数×10
に従って地合指数を算出した。
6.分子配向度(MOR値)
分子配向計(王子計測機器(株)製:MOA−6004)を用いて、試料に偏波したマイクロ波をあて、繊維の分子の双極子との相互作用により、その分子の主軸の配向を検知した。試料を回転することで異方性(配向性)を求め、TD方向及びMD方向の透過マイクロ波強度を得た。下記式:
MOR値=透過マイクロ波強度の最大値/透過マイクロ波強度の最小値
に従ってMOR値を求めた。このMOR値はウェブ中の繊維の配列比に関連する値であり、値が1の場合は等方性を示し、1超であれば特定方向に繊維が配列されていることを示し、値が大きい程その配列の程度が強いことを示す。ただし、透過強度による測定のため配向の絶対値を示すものではない。
7.粉漏れ率(%)
不織布積層体の端部を除いた後、幅方向に均等間隔をあけた5箇所からタテ10cm×ヨコ10cmの試料片を採取した。試料片を二つ折りにして縁を180℃で10秒間ヒートシールした。その中へJIS−Z8901試験用粉体1種ダストを約1g入れ、重量W1を正確に測定し、袋状にした試料の口を同様にヒートシールした。この袋状にした試料をポリエチレンの袋に入れ、1.5mの高さから自然落下にて10回落下させた。その後試料袋から漏れた粉体の重量W2を測定し、下記式に従って粉漏れ率を算出した。5回の測定による数平均値を採用した。
粉漏れ率(%)=W2/W1×100
8.通気度(cm3/cm2/秒)
JIS−L1096に準じ、タテ15cm×ヨコ15cmの試験片を任意に5枚採取して、フラジール形試験機を用い、円筒の一端に試料を取り付けた後、加減抵抗器によって吸い込みファンを調整し、傾斜形気圧計が水柱1.27cmを示すように空気を吸い込ませ、そのときの垂直気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属する表によって、試料を通過する空気量を求め、その数平均値を通気度とした。
〔実施例1〕
MFRが60g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂(融点161℃)をスパンボンド法により、ノズル径φ0.4mm、紡糸温度215℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットにより牽引し、コンベアネット(通気度:270cm3/cm2/秒)に平均単糸繊度1.1dtexの長繊維ウェブを堆積した。得られた長繊維ウェブを温度120℃のコンパクションロール(表面材質:HCr、梨地模様)とバックアップロール(表面材質:硬度90°合成ゴム)を用い、接圧4.2kgf/cmで仮圧着した。
次いで、得られた長繊維ウェブに同様のスパンボンド法で得られた長繊維ウェブを吹きつけ堆積し、同様に仮接着した。
更に、同様にもう1層積層し、計3層積層となる長繊維ウェブを得た。
次いで、得られた長繊維ウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度135℃及び線圧35kgf/cmで繊維同士を接着し、生産速度380m/分で目付17g/m2の不織布積層体を得た。
〔実施例2〕
生産速度を400m/分とした他は実施例1と同様にして平均単糸繊度1.5dtex、目付13g/m2の不織布積層体を得た。得られた不織布積層体を、室温22℃の雰囲気下にて放電量40W・分/m2(放電度4.0W/cm2)の条件でコロナ放電処理機に通し、濡れ張力39mN/mの不織布積層体を得た。
得られた不織布にポリエーテル系の親水化剤をグラビアコーターによるコーティング法により付与し、次いで120℃のシリンダードライヤーに通して乾燥し、親水化剤付着量が繊維100質量%に対して0.3質量%である不織布積層体を得た。
〔実施例3〕
生産速度を600m/分とし、積層数を4層とした他は実施例1と同様にして平均単糸繊度2.8dtex、目付15g/m2の不織布積層体を得た。なお4層目は実施例1の3層目と同様にして形成した。
〔実施例4〕
生産速度を800m/分とし、積層数を4層とした他は実施例2と同様にして、親水化剤付着量が繊維100質量%に対して0.5質量%、平均単糸繊度1.3dtex、目付11g/m2の不織布積層体を得た。なお4層目は実施例2の3層目と同様にして形成した。
〔実施例5〕
融点が86〜90℃(平均融点88℃)のオクタデカン酸のグリセリド(水添動植物油脂)をポリオレフィン系長繊維100質量%に対して1.25質量%混合し、生産速度を500m/分とした他は実施例3と同様にして平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m2の不織布積層体を得た。
〔実施例6〕
生産速度を175m/分とし、積層数を5層とした他は実施例1と同様にして平均単糸繊度2.0dtex、目付25g/m2の不織布積層体を得た。なお4層目及び5層目は実施例1の3層目と同様にして形成した。
〔実施例7〕
生産速度を1000m/分とし、積層数を5層とした他は実施例5と同様にして、オクタデカン酸のグリセリド(水添動植物油脂)をポリオレフィン系長繊維100質量%に対して3.5質量%混合し、平均単糸繊度2.8dtex、目付15g/m2の不織布積層体を得た。なお4層目及び5層目は実施例5の3層目と同様にして形成した。
〔実施例8〕
エチレン成分含有率が4.3モル%、MFRが24g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のエチレン・プロピレン共重合体(融点128℃)を使用し、コンパクションロールの温度を110℃、熱接着温度を120℃、生産速度を330m/分とした以外は実施例3と同様にして平均単糸繊度1.1dtex、目付17g/m2の不織布積層体を得た。
〔実施例9〕
MFRが17g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の線状低密度ポリエチレン(融点129℃)を鞘成分とし、MFRが60g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(融点161℃)を芯成分とした鞘芯比1:9(質量比)の長繊維ウェブを得た。次いで、コンパクションロールの温度を110℃、熱接着温度を120℃として熱接着し、生産速度を600m/分とし、上記以外は実施例6と同様にして平均単糸繊度2.0dtex、目付20g/m2の不織布積層体を得た。
〔実施例10〕
生産速度を50m/分とした他は実施例1と同様にして平均単糸繊度2.8dtex、目付17g/m2の不織布積層体を得た。
〔比較例1〕
生産速度を100m/分とし、積層数を2層とした(すなわち3層目を形成しなかった)他は実施例1と同様にして平均単糸繊度2.8dtex、目付20g/m2の不織布積層体を得た。得られた不織布の地合は80を超え、更に生産性が非常に悪く、商業的に生産することは困難であった。
〔比較例2〕
生産速度を600m/分とし、積層数を4層とした他は実施例1と同様にして平均単糸繊度5.8dtex、目付15g/m2の不織布積層体を得た。なお4層目は実施例1の3層目と同様にして形成した。
〔比較例3〕
実施例1と同様にして平均単糸繊度1.8dtexとなる長繊維ウェブを調製した。次いで、MFRが1200のポリプロピレン樹脂を紡糸温度260℃、加熱エア280℃、吐出エア600Nm3/時/mの条件下で、メルトブローン法により紡糸して、平均繊維径1.8μm、平均単糸繊度0.023dtexのポリプロピレン繊維を、上記で調製された長繊維ウェブに向けて直に噴出させた。この際、メルトブローンノズルから長繊維ウェブの上面までの距離は、100mmとし、メルトブローンノズル直下の捕集面における吸引を0.2kPa、風速約7m/秒に設定した。更に、実施例1と同様にして調製したポリプロピレン繊維を積層し、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドで構成された3層積層ウェブを得た。
次いで、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドの3層積層ウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して温度135℃及び線圧35kgf/cmで繊維同士を接着し、生産速度400m/分で不織布積層体を得た。得られた不織布積層体は、トータル目付15g/m2、メルトブローン繊維の比率が13wt%であった。
Figure 0006034022
本発明の不織布積層体は、地合が良好で、隠蔽性に優れ、かつホットメルト剤及びSAPの漏れが少ない。また本発明の不織布積層体は良好な生産性で製造できるため商業的生産に有利である。本発明の不織布積層体は衛生製品のトップシート、バックシート、サイドギャザー等に好適に利用可能である。

Claims (12)

  1. リプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布層を3層以上含む不織布積層体であって、
    前記不織布積層体の地合指数が58以上80以下であり、かつ
    前記ポリプロピレン長繊維の平均単糸繊度が0.7dtex以上3.5dtex以下であり、
    目付が5g/m2以上30g/m2以下である、不織布積層体。
  2. 分子配向度のMOR値で1.05以上2.0以下である繊維配向を有する、請求項1に記載の不織布積層体。
  3. 粉漏れ率が3%以上50%以下である、請求項1又は2に記載の不織布積層体。
  4. 通気度が100cm3/cm2/秒以上800cm3/cm2/秒以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  5. 嵩密度が0.05g/cm3以上0.20g/cm3以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  6. 前記長繊維不織布層を4層以上含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  7. 親水化剤を更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  8. 柔軟化剤を更に含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布積層体の製造方法であって、以下の工程:
    ポリプロピレン長繊維を含む繊維成分をコンベアネット上に堆積させることによって長繊維不織布層を形成する不織布層形成工程、及び
    前記不織布層形成工程で得た長繊維不織布層を3層以上重ねて圧着することによって不織布積層体を形成する圧着工程、
    を含み、
    生産速度が170m/分以上であり、かつ
    以下の関係式:繊維成分の繊度[dtex]×生産速度[m/分]≧200を満足する、不織布積層体の製造方法。
  10. 前記コンベアネットの通気度が200cm3/cm2/秒以上500cm3/cm2/秒以下であり、
    前記圧着工程を、コンパクションロールを用いて接圧2kgf/cm以上5kgf/cm以下及び温度が前記ポリプロピレン長繊維の融点より0℃以上60℃以下低い温度で行う、請求項9に記載の不織布積層体の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布積層体を含む、衛生製品。
  12. 使い捨てオムツ、生理用ナプキン又は失禁パットである、請求項11に記載の衛生製品。
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