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JP6033424B2 - 可変起磁力型回転電機、及び可変起磁力型回転電機の制御装置 - Google Patents

可変起磁力型回転電機、及び可変起磁力型回転電機の制御装置 Download PDF

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JP6033424B2 JP2015520134A JP2015520134A JP6033424B2 JP 6033424 B2 JP6033424 B2 JP 6033424B2 JP 2015520134 A JP2015520134 A JP 2015520134A JP 2015520134 A JP2015520134 A JP 2015520134A JP 6033424 B2 JP6033424 B2 JP 6033424B2
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Description

本発明は、車両用モータ等に用いられる可変起磁力型回転電機、及び可変起磁力型回転電機の制御装置に関する。
IPMモータ(埋め込み磁石型モータ)に用いられる回転電機として、例えば、特許文献1(特開2008−295138号公報)に記載されたものが知られている。該特許文献1では、固定子のq軸磁路上に複数のフラックスバリヤ(低透磁率層)を形成し、d軸上に磁路を設けてLd>Lq(Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス)なる特性を持たせ、強め界磁制御を行ない、永久磁石への反磁界を抑制することで磁石量の低減を図ることが開示されている。
しかし、これらの電動機を高回転域で使用する場合には、弱め界磁制御は、通常のFW−IPM(flux-weakening interior permanent magnet)よりは少ないものの、依然として弱め界磁制御が必要になるため「Nd−Fe−B」(Nd;ネオジム、Fe;鉄、B;ホウ素)の合金に、Dy(ジスプロシウム)を添加した高価な高保磁力の磁石を用いる必要がある。
また、可変特性という観点から言えば、特許文献2(特開2006−280195号公報)に開示された回転電機が提案されている。しかし、この回転電機では高保磁力磁石と低保磁力磁石を組み合わせる必要があり、高保磁力磁石の原材料の供給が難しくなった場合に適用が難しい。また、高負荷状態では低保磁力磁石の負荷逆減磁が発生するため、着磁状態を保つために強め界磁制御を行なう必要があったが、Ld>Lqで無い場合には、マグネットトルクと逆方向のリラクタンストルクが発生するため、高負荷域での効率が悪化するという問題があった。
本発明は、高回転域において弱め界磁制御を不要とし、また、高価な高保磁力の磁石を用いることなく安定したトルクを得ることができる可変起磁力型回転電機、可変起磁力型回転電機の制御装置を提供することを目的としている。
上記に鑑み、本発明の可変起磁力型回転電機は、固定子と回転子を備える。回転子は、d軸磁路を形成するための少なくとも一つの永久磁石を含む。また、回転子は、一つの極のd軸磁路中に設けられた永久磁石と、これに隣接する異極磁石との間に磁気的空隙部を設けることにより、固定子巻線に電流を印加しない無負荷状態のときに、永久磁石により発生する磁石磁束を、隣接する磁石へ漏洩させるd軸バイパス路を形成する。更に、d軸バイパス路を形成することにより、d軸方向の磁気抵抗が該d軸抵抗と直交するq軸方向の磁気抵抗よりも小さくなるように設定する。永久磁石は、電力供給用のインバータによって発生し得る電機子反作用以下の磁界によって完全着磁が可能となる保磁力を有する磁石である。更に、永久磁石は、磁石磁束が固定子側へ鎖交する部分の幅の、一極の回転子周長に対する比率が50%以下である。磁気的空隙部は、q軸磁路中に設けられ、該磁気的空隙部のq軸磁路方向の距離は、永久磁石の磁化方向距離よりも長く形成されている。
この可変起磁力型回転電機は、ティースに巻回された固定子巻線に通電しうる最大電流により得られる電機子反作用の最大値によって着磁及び減磁が可能となるように、永久磁石の保磁力、及び厚さを規定する。また、d軸磁路に永久磁石を通過しないd軸バイパス路を設け、更に、q軸磁路に磁気的空隙部を設けることにより、Ld>Lqなる特性を備える。また、永久磁石の極弧比を50%以下とする。これにより、回転電機が駆動状態の場合に着磁状態を保持することができる。また、Ld>Lqなる特性を有することにより、高回転域において弱め界磁運転となった場合に再着磁が可能となり、保磁力の高い材料を使用する必要がなく、コストを低減することができる。
添付の図面を参照して、開示の一部とする。
図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機の構成を示す図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、回転子主要部を示す図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、回転子主要部を示す図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、無負荷状態における磁束の流れを示す図である。
図5は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、固定子巻線にq軸電流を通電したときの磁束の流れを示す図である。
図6は、q軸電流値と固定子巻線の鎖交磁束との関係を示す特性図である。
図7は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、回転子主要部を示す図である。
図8は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、d軸磁路に磁路間接続部を形成した場合の磁路の変化を示す図である。
図9は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、固定子コアに設けられるティースを示す図である。
図10は、回転電機に用いられる永久磁石の厚みと保磁力との関係を示す特性図である。
図11は、永久磁石として、ニュークリエーション型磁石を用いた場合の、外部磁場と磁界強度との関係を示す特性図である。
図12は、永久磁石として、ピンニング型磁石を用いた場合の、外部磁場と磁界強度との関係を示す特性図である。
図13は、本発明の一実施形態に係る回転電機の、回転数とトルクの関係を、着磁率毎に示した特性図である。
図14は、本発明の一実施形態に係る回転電機の制御装置の構成を示すブロック図である。
図15は、本発明の一実施形態に係る回転電機の制御装置の、着磁状態保持限界線を示す特性図である。
選択した実施形態を、図面を参照して説明する。実施形態の記載は、当業者が明らかになる例示として提示したものに過ぎず、添付の特許請求の範囲に定義の本発明及びそれらの均等物を限定するものではない。
初めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る回転電機について説明する。図1に示すように、この回転電機は、固定子コア2に複数のスロット1が形成されている。また、円環形状をなす固定子3と、該固定子3の内周側に配置された回転子6を備えている。
回転電機は、固定子3と同心円状である。また、固定子3と回転子6との間には、隙間となるエアーギャップが形成されている。
固定子3は、固定子コア2と、該固定子コア2から内周側に向けて突起する複数(例えば、36個)のティース51を有している。隣接するティース51間の空間がスロット1とされている。そして、ティース51に固定子巻線Cが巻回される。固定子コア2は、例えば、積層鋼板により形成されている。
回転子6は、回転子コア5を有している。該回転子コア5は、透磁率の高い金属製の鋼板を積層した、いわゆる積層鋼板構造により円筒形に形成されている。また、回転子コア5の、固定子3と対向する周辺部には、周方向に沿って6個の永久磁石4が設けられている。永久磁石4は、互いに等間隔で、且つ、互いに隣接する永久磁石4の極性が異極性となるように設けられている。
永久磁石4は、回転子コア5の対応部分に空隙を設け、この空隙内に嵌め込んで固定している。ここで、本実施形態では、幾何学的な磁石中心7をd軸とし、d軸から電気角で90度の位置8をq軸(本実施例では3極対なので機械角で30度の位置)と定義する。
図2、図3は、回転子6の主要部分を示す説明図である。以下、図2、図3を参照して回転子6の詳細な構成について説明する。永久磁石4と、これに隣接する永久磁石4aとの間には、回転子6の外周部の円弧とは反対の逆円弧状をなす内側磁気的空隙部12が形成されている。「磁気的空隙部」とは樹脂や空気等の比透磁率が1に近い材質で構成される部位である。
更に、該内側磁気的空隙部12の外周側には、周囲部が回転子6の外周部の円弧に沿った円弧状をなす外側磁気的空隙部13が形成されている。そして、内側磁気的空隙部12と外側磁気的空隙部13との間は、内側d軸バイパス路10とされ、外側磁気的空隙部13の外周部は、外側d軸バイパス路11とされている。従って、内側d軸バイパス路10は逆円弧状をなしており、外側d軸バイパス路11は円弧状をなしている。
d軸磁路は、薄型の永久磁石4を経由する磁路9と、経路中に永久磁石4を含まない内側d軸バイパス路10、及び外側d軸バイパス路11からなる。従って、d軸の磁気抵抗は、これらの磁路9,内側d軸バイパス路10,及び外側d軸バイパス路11により決定される。磁路9と内側d軸バイパス路10との間には内側磁気的空隙部12が設けられており、内側d軸バイパス路10と外側d軸バイパス路11との間には、外側磁気的空隙部13が設けられているので、磁路9と内側d軸バイパス路10との間、及び内側d軸バイパス路10と外側d軸バイパス路11との間での磁束の漏洩は抑制される。
また、d軸磁路のうち、磁路9中に配置される永久磁石4は、システムのインバータによって発生し得る電機子反作用以下の磁界によって完全着磁が可能となる程度の小さな保磁力を持つ磁石が用いられる。具体的には、Al−Ni−Co、Sm−Co、Fe−Cr−Co等の、保磁力が100〜200[KA/m]程度の磁石材料を採用することができる。しかし、これらの保磁力は、インバータシステム及び磁気回路設計によって異なる。図3に示すように、永久磁石4の周方向の幅14は、回転子6の1極当たりの周方向の幅15に対して50%以下となるように、その大きさが決定されている。例えば、図3に示すように、永久磁石4のそれぞれは、回転子6の周方向に測定された回転子6における1極(図3の円周長さ15に対応する)の長さの50%以下の幅を有する。この構成により、回転子6の円周上の、1極の幅に対する各永久磁石4の磁束が鎖交する部分の比率が、約50%以下になる。鎖交する部分は、永久磁石4のそれぞれの磁束がステータ3と鎖交している部分である。
また、q軸磁気抵抗に影響する内側磁気的空隙部12の径方向の幅17と、外側磁気的空隙13の径方向の幅18とを加算した加算値は、d軸の磁気的空隙と等価となる永久磁石4の厚さ16(即ち、永久磁石の着磁方向の長さ)よりも厚く設定される。これらの構成により、本実施形態に係る回転電機では、d軸磁気抵抗がq軸磁気抵抗より小さくなっている。換言すれば、d軸インダクタンスLdと、q軸インダクタンスLqとの間には、Ld>Lqなる関係が設定されている。
本実施形態に係る回転電機では、保磁力の高い永久磁石や、厚さの大きい永久磁石を用いるといった高コストな永久磁石を使用しない。固定子巻線とシステムの電源制御で再着磁が可能となるように、厚みの薄い低保磁力の磁石を使用する。通常のモータで弱め界磁運転が必要な高回転域では磁力を減じさせて電圧を抑制する。低回転高トルクが必要な領域では再着磁を行なって所望の磁石磁束を得るものである。
通常のモータで保磁力の小さい磁石を用いると、トルク電流(q軸電流)を印加した際にも電機子反作用により減磁が発生してしまう。この問題を解消するため、本実施形態ではq軸に磁気的空隙部12,13を設けることでq軸の磁気抵抗を高め、q軸電流による永久磁石4への反磁界を低減すると共に、極弧比を50%以下に抑えて、電機子反作用の比較的小さい部分にのみ永久磁石4を配置し、電機子反作用の影響を軽減する。
その結果、保磁力の小さい永久磁石4を用いた場合であっても、q軸印加時(トルク電流印加時)に、該永久磁石4の着磁状態を保持することができる。更に、瞬間的に大きなトルクが要求される状況下では、一時的に定格よりも大きな電流を流すこともあるが、この場合には、正のd軸電流(増磁方向)を併せて通電することにより、永久磁石4の減磁を回避しながらトルクを発生させることができる。このとき、重要な点は、本実施形態に係る固定子3は、外側d軸バイパス路11、及びこれよりも幅の広い内側d軸バイパス路10を設けており、且つ、q軸磁路上に内側磁気的空隙部12、及び外側磁気的空隙部13を備えていることにより、Ld>Lqなる特性を有しているということである。
例えば、文献「可変磁力メモリモータの原理と基本特性、平成21年電気学会産業応用部門大会」では高負荷時に、正のd軸電流を通電して着磁状態を保つことが提案されているが、「Ld<Lq」なる特性を有しているために、正のd軸電流を印加すると磁石トルクに対して逆方向のリラクタンストルクが発生してしまい、最大トルクが減少してしまう。
本実施形態では、上記の文献とは反対に「Ld>Lq」なる特性を有しているので、磁石トルクと同じ方向のリラクタンストルクを得ることが可能であり、合成のトルクを増大させることができる。また、永久磁石4の着磁状態を保持しながら正のリラクタンストルクを得ることができるので、結果的にモータ効率を向上させることができる。
つまり、運転中に磁力を可変するモータで、「Ld<Lq」なる特性を有する場合、磁石トルク、及びリラクタンストルクを有効に利用するためには、負のd軸電流を印加した際にも低保磁力の永久磁石4が減磁しないように、その保磁力を比較的高めに設定する必要がある。これは、着減磁制御に必要な電流が大きくなりエネルギーの損失が増加することを意味している。
これに対して、本実施形態に係る回転電機では、「Ld>Lq」なる関係を有するので、増磁方向である正のd軸電流により正のリラクタンストルクが得られ、永久磁石4の保磁力は小さくて良く、着減磁に必要な電流容量も小さくて良い。即ち、高価な材料を使用することなく、安定した特性を得ることができる。
このように、本実施形態に係る回転電機では、q軸磁気抵抗を高くしてLd>Lqの特性とし、且つ永久磁石4の周方向比率(極弧比)を50%以下にすることで、コストが安く、安定供給が可能な保磁力の小さい磁石を用いても、駆動状態においてその着磁状態を保持することができる。
また、通常の永久磁石モータでは高回転域において弱め界磁運転が用いられた際に、永久磁石4に減磁が生じないように、Dy等の高価で安定供給の難しい保磁力の高い材料を使用する必要があるが、本実施形態では、永久磁石の再着磁が可能であるので、低い保磁力の永久磁石4を使用することが可能である。
更に、瞬時に定格電流以上のトルクが必要な動作点においては、永久磁石4に対する電機子反作用が大きくなるが、遅れ位相電流制御(増磁方向)を行なうことで、着磁状態を保持可能であると共に、Ld>Lqの特性により正のリラクタンストルクが得られるため、従来の可変磁力型電動機に比べて高負荷時の効率を向上させることができる。
次に、回転電機に生じる磁束について説明する。図4は、電流を印加しない無負荷状態に生じる磁束の流れを示す説明図である。図4に示すように、永久磁石4から出力される磁束は、固定子3側に流れて固定子巻線(図示省略)に鎖交する磁束19と、内側d軸バイパス路10を経由して隣接する左右の異極磁石へ漏洩する磁束20に分かれる。つまり、無負荷状態で回転子6を回転させた場合には、固定子3に鎖交する磁束数が、漏れが存在しない場合(内側d軸バイパス路10を設けない場合)と対比して減少するので、固定子3内で発生する鉄損が低減されることとなる。
図5は、固定子巻線にq軸電流を通電したときの、磁束の流れを示す説明図である。図5に示すように、永久磁石4から出力される磁束21は、固定子3側からの電機子反作用22によって回転方向23側へ傾斜する。このとき、電機子反作用22は、磁石磁束が内側d軸バイパス路10側へ漏洩するのを妨げる向きに作用し、q軸電流を大きくするに連れて、内側d軸バイパス路11及び外側d軸バイパス路10に連結されるバイパス路経由部24を流れる磁束量が減少する。
図6は、q軸電流値と固定子巻線の鎖交磁束との関係を示す特性図である。横軸がq軸電流Iq[A]を示し、縦軸が鎖交磁束Ψd[Wb]を示している。
本実施形態において、無負荷時と定格負荷時の鎖交磁束を比較すると、q軸電流の印加により約30%の磁束を制御できていることが判る。つまり、大きなトルクが必要ない低負荷領域での永久磁石4の磁束は自動的に抑制されて固定子鉄損を低減し、大きなトルクが要求される高負荷領域では、q軸電流の印加と共に内側d軸バイパス路10への磁束漏洩が抑制され、結果的に固定子3に鎖交する磁束が増大するので、要求トルクを満足することができる。なお、このときの永久磁石4の着磁状態は変化していないので、q軸電流Iqのみの制御により磁石磁束の鎖交量を約30%可変できていることになる。磁石磁束の鎖交量を約30%変化させることができるが、それは必要、希望に応じて磁石の磁束交磁の量は約10%以上変化させることができることが本開示から明らかになるであろう。
また、機械強度的な観点から言えば、内側d軸バイパス路10及び外側d軸バイパス路11に生じる遠心力は、両端のバイパス路経由部24により支持されることになる。しかし、このバイパス路経由部24は、無負荷時においてある程度の磁束を漏洩させるために幅を大きく設定するので、結果的に機械強度も向上させることができる。
このように、本実施形態では、無負荷時及び要求トルクの小さい負荷電流の小さい領域においては、内側d軸バイパス路10を経由して磁石磁束が漏洩するので、固定子3に鎖交する磁束が減少する。このため、鉄損が減少して効率が向上する。
また、外側d軸バイパス路11を回転子6のエアギャップ近傍に設けているので、負荷電流を大きくするに連れて、バイパス路経由部24における反磁界が増大して各d軸バイパス路10,11へ漏洩する磁石磁束量が減少し、固定子3に鎖交する磁束が増加する。従って、高トルクでの回転時には十分な磁石磁束が得られる。加えて、各d軸バイパス路10,11に作用する遠心力を支持するために必要な強度も得られる。
更に、本実施形態では、図7に示すように2つのd軸バイパス路10,11のうち、外側d軸バイパス路11は、回転子外形の円周形状25に沿うように配置され、且つ、内側d軸バイパス路10は、回転子外形の円弧に対して略逆円弧となるd軸磁束線形状26に沿うように配置される。そして、前述したように、内側d軸バイパス路10は、永久磁石4の磁束量制御のための漏洩路としての機能と、d軸磁気抵抗を小さくするための機能を有する。一方で、回転子表面に設置される外側d軸バイパス路11は、突極比検出型のセンサレス制御特性とトルクリップル性能に影響を与える。
外側d軸バイパス路11の幅を大きくしていくと、固定子3側から見た回転子6上のd軸とq軸のパーミアンスの差が小さくなるので、この差を利用して磁極位置を推定するセンサレス制御では推定精度が低下する。このため、できるだけ外側d軸バイパス路11の幅を小さくすることが磁極位置の推定精度を向上させる上で望ましい。一方で、トルクリップルを低減するという観点からは、パーミアンス脈動を小さくすることが効果的であるので、ある程度のバイパス路幅を確保することが有効である。本実施形態に係る回転電機の固定子3では、トルクリップルを低減し、且つ、要求されるセンサレス制御の推定精度の双方を満足する幅であるということができる。
このように、本実施形態に係る回転電機では、外側d軸バイパス路11を設けることにより、Ld>Lqなる特性を確保しながらも、エアギャップ部での磁束変動を平滑化してトルクリップルを低減することができる。また、外側d軸バイパス路11の幅を小さく設定することで、回転子6の突極性を検出する方式のセンサレス制御の性能の低下を抑制しつつ、内側d軸バイパス路10を設けることによりLd>Lqの特性や磁石磁束の漏洩特性を確保することができる。
更に、本実施形態では、図7に示すように回転子6の外側d軸バイパス路11と内側d軸バイパス路10との間には、外側磁気的空隙部13が設けられ、内側d軸バイパス路10と永久磁石4による磁路9との間には、内側磁気的空隙部12が設けられている。これらの配置により、各磁気回路はそれぞれが独立磁路を形成している。仮に、図8の符号27,28に示すような磁路間を接続する部位が配置された場合には、これらの部位27,28を経由して永久磁石4の磁束が磁石表面から磁石裏面へ回り込む漏洩磁束29が増加することになる。そして、この漏洩磁束29は前述したq軸電流による制御ができないので、単純に磁束の損失となってしまう。本実施形態では、各d軸バイパス路10,11と磁路9とが回転子6の表面近傍でのみ連結される構成とされているので、このような損失が生じることを抑制することができる。
このように、外側d軸バイパス路11と、逆円弧形状をなす内側d軸バイパス路10の間には大きな外側磁気的空隙部13が存在するため、固定子3側からの磁束が永久磁石4を有するd軸磁路に干渉を与えない。これにより、電機子反作用が着磁状態に与える影響を回避できる。また、永久磁石4を通過する磁路9と、これに隣接する各d軸バイパス路10,11との間には、磁性体による磁気回路が存在しないので、磁石表面から同磁石の裏面に回る漏洩磁束を抑制できる。
また、本実施形態では、図9に示すように、固定子コア2に形成されるティース51の幅Aと、ティース先端部の幅Bの比率η(=A/B)を、0.7≦η<1.0の範囲に設定している。そして、このような構成により、固定子コア2が磁気的に飽和した場合でも、磁界強度が低下することを抑制する。
即ち、固定子コア2に形成されるティース51の幅Aと、ティース51先端部の幅Bの比率η(=A/B)が1の場合(ティース51の幅が根本から先端まで一定である場合)には、ティース51中における磁束密度分布は略一定となる。そして、この比率ηが小さくなるほど、固定子巻線を施す部分の磁束密度は増大する。ここで、磁束密度がそれほど高くない回転電機においては大きな問題にはならないが、固定子巻線を用いて運転中に着減磁を行なうような本実施形態に係る回転電機では注意が必要である。
特に、着磁工程においては、磁石内が着磁磁界となるまで磁界を印加する必要があるが、固定子コア2が磁気的に飽和することに伴って、該固定子コア2の透磁率が減少するので、所望の磁界強度が得られなくなってしまう。従って、本実施形態では、固定子巻線を用いて永久磁石4の着減磁を行なう際に、比率ηを0.7≦η<1.0の範囲に設定することにより磁界強度が低下することを抑制している。
このように、従来の磁石では、固定子巻線に通電して着磁を行なう場合に、通常の定格電流よりも大きな着磁磁界を印加する必要があるので、ティース51の最も狭い部分である巻線を施す部分の飽和が起こりやすい。そして、この部分が飽和すると透磁率が低下するので、印加電流を大きくしても着磁に必要な磁界が得られない。加えて、ティース51先端部分の幅を巻線部よりも大きくするほど、ティース51先端で捕捉する磁束量が増加して巻線部の飽和がより顕著になる。本実施形態では、比率ηを0.7≦η<1.0の範囲に設定することにより、ティース51の磁気飽和を軽減して必要な着磁磁界を得易くすることができる。
更に、本実施形態では、下記の手法で永久磁石4の厚さ、及び保磁力を決定する。即ち、固定子コア2のティース51に巻回される固定子巻線の諸元、及び電源の最大電流値Iが決定されると、これらの条件で、着磁及び減磁を実現するために必要な永久磁石4の厚さ、及びその保磁力が決定される。
図10は、永久磁石4の厚さと該永久磁石4の保磁力との関係を示す特性図である。永久磁石4が最低限必要な保磁力、及び厚さは、無負荷回転時のパーミアンス脈動において減磁が発生しないことが条件となる。図10に示すグラフ中の符号30に示す曲線よりも下側の条件が必要となる。符号30に示す曲線は、永久磁石4の保磁力(Hcj[KA/m])と磁石厚(tm[mm])とに基づいて、下記(1)式で示すことができる。
Hcj=−(1.05*tm)+33.8*tm−359 …(1)
また、許容できる永久磁石4の最大保磁力、及び厚さは、グラフ中31に示す曲線より上側の条件が必要となる。符号31に示す曲線は、下記(2)式で示すことができる。
Hcj=(−243/tm)−17 …(2)
従って、永久磁石4の保磁力(Hcj)と磁石厚(tm)との関係が、下記(3)式で表される範囲内に設定されることが望ましい。
−(1.05*tm)+33.8*tm−359
<Hcj<(−243/tm)−17 …(3)
勿論、(3)式の範囲以外での設計も可能であるが、この場合には、より大きな電流源が必要になりコスト高を招くことになる。
このように、基本的に永久磁石4をどのような保磁力及び磁石厚みとしても、固定子側の巻数及び電流容量に制限が無ければ、着磁状態を固定子電流で制御することは可能である。しかし、上記(3)式に示す範囲から逸脱する場合には着磁するために非常に大きな電流が必要となったり、負荷状態で着磁状態を保持することが難しくなる。本実施形態では、永久磁石4の保磁力と厚さ16との関係が上記(3)式を満たすようにすることで、不必要にインバータ容量が大きくなることを防止することができる。
また、本実施形態では、永久磁石4として、ニュークリエーション型磁石ではなく、ピンニング型磁石を用いる構成としている。図11は、ニュークリエーション型磁石の外部磁場と磁界強度との関係を示す特性図である。図11に示すように、ニュークリエーション型磁石では、完全着磁に必要な磁界強度32が、保磁力33に対して大きく、結果的に大きな着磁電流が必要となる。一方、図12は、ピンニング型磁石の外部磁場と磁界強度との関係を示す特性図である。図12に示すように、ピンニング型磁石では、完全着磁に必要な磁界強度34が保磁力35とほぼ同程度と低い。且つ、そのマイナーループ特性も線形に近いので、着磁状態の制御が容易になる。
また、永久磁石4を着減磁するために流す電流は、トルク発生用の電流と異なり、着減磁に伴うエネルギーロスを抑制する観点から、できる限り短い時間だけ通電する(パルス状に電流を流す)ことが望ましい。しかし、このようなパルス状電流を通電すると、それによって得られる着磁磁界を妨げる向きの渦電流が永久磁石4内に発生する。これは着減磁性能を妨げ、着磁分布も不均一にする可能性がある。これらの反作用を克服して着減磁を行なうためには、更に大きな電流が必要となり、コスト増大を招く。
そこで、この問題を解決するためには、着減磁パルス電流による永久磁石4内の渦電流損失を低減するため、分割磁石を用いることがより望ましい、また、磁石粉を絶縁のバインダーでバインドしたボンド磁石等を用いることも効果的である。
このように、着磁状態を変化させるためには必要な磁界強度を与えればよいが、着磁電流は機械出力に対して寄与せずに損失となるため、できるだけ通電時間を短くしたい。ところが一方で通電時間を短くすると永久磁石4内に発生する渦電流によって着磁磁界が妨げられる。このため、着磁が不十分になったり、部位によって不均一な着磁状態となることがある。従って、永久磁石4を分割、或いはバインドにより高抵抗とすることで、磁石内の渦電流の発生を抑制して着減磁を容易にすることができる。また、エネルギー消費も抑えることができる。
また、本実施形態では、回転子6に設けられる永久磁石4が完全に着磁され、且つ、弱め界磁制御を行なわない場合には、システムの目標回転数における誘起電圧がシステムのDC電圧を超えるように、固定子巻線の巻数を設定する。
図13は、着磁率が100%、80%、60%、40%、20%のときの、回転数とトルクとの関係を示す特性図である。図13に示すように、システムの目標回転数が、符号36に示す回転数である場合には、永久磁石が100%着磁状態において誘起電圧がシステム電圧を超えるために、所望するトルクを発生することができない。
しかし、磁力を変化させることが可能な本実施形態に係る回転電機においては、100%磁力で目標回転数36まで出力可能に設計すると、低回転域でのトルク低下につながる。従って、低回転域のトルク向上のためには、少なくとも目標回転数(符号37)以下で誘起電圧がシステムのDC電圧を上回るように設計することが望ましい。この場合、図13に示すように、着磁率を変化させながら駆動することにより、低速大トルクと、高速回転を両立して出力範囲を大きくとることが可能となる。
このように、完全着磁状態で高回転域における誘起電圧がシステムのDC電圧を超えないように巻線数を設定すると、低回転域における最大トルクが制限を受けてしまう。着磁状態を可変できることを前提に巻線数を設定することで、低速大トルクと高速回転の両立が可能となる。
次に、本発明に係る回転電機の制御装置について説明する。図14は、制御装置のブロック図である。図14に示すように、dq軸指令値id*,iq*が与えられると、この指令値とdq軸電流値id,iqとの偏差が演算され、更に、演算された偏差は、PI-dq電流制御器52に供給される。偏差は、PI-dq電流制御器52にて補正される。PI-dq電流制御器52では、補正された偏差に基づいて、dq軸電圧指令値Vd*,Vq*を演算する。
また、非干渉制御部61は、id指令値id*と、iq指令値iq*、及び電気角速度ωに基づいて、dq軸干渉電圧指令値vd’及びvq’を求め、dq軸電圧指令値Vd*,Vq*と加算することにより、補正後のdq軸電圧指令値Vd,Vqを求めて、dq−3相変換部53に出力する。
dq−3相変換部53は、dq軸電圧指令値Vd,Vqと、モータの回転子位相角θに基づいて、3相電圧指令値Vu,Vv,Vwを演算する。更に変調率演算部54にて、インバータ56のDC電圧Vdcに基づき、変調率mu,mv,mwを求める。
三角波比較部55は、変調率mu,mv,mwと三角波を比較することにより、PWM信号を生成する。このPWM信号をインバータ56に出力する。そして、インバータ56は、PWM信号に基づいて、上アーム及び下アームからなるスイッチ回路(図示省略)を制御することにより、直流電圧から3相交流信号を生成し、モータMに出力する。これにより、本実施形態に係る回転電機が適用されたモータMを回転駆動させることができる。
また、インバータ56出力のU相、及びW相には電流センサ57が設けられている。電流センサ57で検出された電流iu,iwは、3相-dq変換部58に供給される。モータMには、レゾルバ等の回転角度センサ60が設けられており、その検出信号は位相速度演算部59に供給される。該位相速度演算部59では、モータMの位相角θを求めて3相-dq変換部58、及びdq-3相変換部53に出力する。更に、モータMの回転数ωを演算し、演算した回転数ωを磁束オブザーバ40に出力する。
3相-dq変換部58は、インバータ56より出力されるU相、V相、W相電流iu,iv,iwと、モータMの位相角θに基づいて、dq軸電流値id,iqを算出する。この算出結果は、磁束オブザーバ40に供給され、且つ、dq軸指令値id*,iq*との偏差演算に用いられる。
磁束オブザーバ40は、3相-dq変換部58で求められたdq軸電流値id,iqと、位相速度演算部59で求められたモータMの回転数ωに基づいて、着磁率Ψaを算出し、算出した着磁率Ψaを着磁状態保持制御部41に出力する。着磁率Ψaは、固定子と鎖交する磁石の磁束の合計である。より具体的には、磁束オブザーバ40は、dq軸電流値id,iq、及び回転数ωに基づき、磁石温度を予測するために使用される従来公知の技術(特開2004−201425号公報を参照)により予め求められるモータパラメータを含むモータ電圧方程式を取得し、着磁率Ψaを算出する。
着磁状態保持制御部41は、目標トルクとなるトルク指令値T*、及び後述する磁束オブザーバ40より出力されるΨaに基づいて、dq軸指令値id*,iq*の組み合わせを生成して出力する。
本実施形態に係る回転電機は、保磁力の小さい永久磁石4を用いているので、動作点の要求に応じてその着磁状態を変化させる構成としている。この際、その着磁状態を保持することができる限界条件を常に把握しておかなければ、意図しない磁力変化が発生することになり制御が安定しない。
そこで、本実施形態に係る回転電機の制御装置では、従来より用いられている電流ベクトル制御ブロックに加えて、磁束オブザーバ40、及び、着磁状態保持制御部41とを備えている。磁束オブザーバ40は、電流センサ57で検出されるdq軸電流id,iqと、モータMの回転数ω、及びモータMのパラメータに基づいて磁石磁束を推定する。着磁状態保持制御部41は、磁石磁束に基づいて着磁状態を保持できるように、dq軸電流値id,iqを制御する。これにより、要求される駆動条件により磁石の着磁状態が意図せずに変化することを抑制でき、安定した制御が可能になる。図14に示す着磁状態保持制御部41は、図15に示すように、id−iq平面状にIq<α(Ψa)×id+β(Ψa)の一次式にて表現される制御則に則って行なわれる。
例えば、着磁率ΨaがΨa=100%である場合には、q軸電流Iqが着磁状態保持限界線42を上回らないように制御される。また、Ψa=20%の場合には、Iqが着磁状態保持限界線43を上回らないように制御される。基本的には着磁率Ψaが低い状態では着磁率保持限界線も上方向に移動する。
このように、各着磁状態における限界線を簡単に制御することができ、動作点が大きく変化するような使用条件において、どの条件において着磁状態を変化させるのかを、複雑な計算無しに制御することが可能となる。
なお、本実施形態では、6極の回転電機について説明したが、他の極数に代えても同様に適用することができる。
このように、選択した実施形態により本発明の説明を行ったが、添付の特許請求の範囲に定義の本発明の要旨を逸脱しない範囲で本開示から様々な変更や修正が可能であることは当業者なら言うまでもない。特定の実施形態において全ての効果を同時に奏する必要はない。また、先行技術にない各特徴は、単独或いは他の特徴との組み合わせで、本出願人による更なる発明の別個の記載として考えるべきであり、これらの特徴により具現化された構造的、機能的思想を含む。従って、本発明に係る上記実施形態の記載は、例示として提示したものに過ぎず、添付の特許請求の範囲及びその均等物に定義の本発明を限定するものではない。

Claims (12)

  1. 円環形状をなし複数のティースに固定子巻線が巻回された固定子と、該固定子と同心円状をなしd軸磁路に少なくとも一つの永久磁石を備えた回転子とを備えた回転電機において、
    前記回転子は、一つの極のd軸磁路中に設けられた少なくとも一つの永久磁石と、これに隣接する異極磁石との間に磁気的空隙部を設けることにより、前記固定子巻線に電流を印加しない無負荷状態のときに、永久磁石により発生する磁石磁束を、隣接する磁石へ漏洩させるd軸バイパス路を形成し、且つ、該d軸バイパス路を形成することにより、d軸方向の磁気抵抗が該d軸抵抗と直交するq軸方向の磁気抵抗よりも小さくなるように設定し、
    少なくとも一つの永久磁石は、電力供給用のインバータによって発生し得る電機子反作用以下の磁界によって完全着磁が可能となる保磁力を有する磁石であり、且つ、少なくとも一つの永久磁石は、磁石磁束が固定子側へ鎖交する部分の幅の、一極の回転子周長に対する比率が50%以下であり、
    前記磁気的空隙部はq軸磁路中に設けられ、該磁気的空隙部のq軸磁路方向の距離は、少なくとも一つの永久磁石の磁化方向距離よりも長く形成された可変起磁力型回転電機。

  2. 請求項1に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    前記固定子巻線に電流を印加しない無負荷状態において、前記永久磁石から発生する磁石磁束のうち10%以上の磁束が前記d軸バイパス路を経由して、隣接する異極磁石へ漏洩するように構成し、前記d軸バイパス路は、前記回転子と固定子との間の隙間であるエアギャップの近傍にて、d軸磁路に連結される可変起磁力型回転電機。
  3. 請求項1または2に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    前記d軸バイパス路は、回転子外形の円周形状に沿うように配置された円周形状のd軸バイパス路と、回転子外形の円弧に対して逆方向を向く円弧状となるd軸磁束線形状に沿うように配置された逆円弧形状のd軸バイパス路の2つが形成されている可変起磁力型回転電機。
  4. 請求項3に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    前記逆円弧形状のd軸バイパス路は、前記円周形状のd軸バイパス路よりも、路幅を大きくした可変起磁力型回転電機。
  5. 請求項3または4に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    前記円周形状のd軸バイパス路、及び、前記逆円弧形状のd軸バイパス路は、互いに前記磁気的空隙部により隔離されてそれぞれ独立磁路を形成し、このうち前記永久磁石を通るd軸磁路に隣接するd軸バイパス路は、回転子表面における接続部以外では、少なくとも一つの永久磁石を通過するd軸磁路とは、磁気的に隔離されている可変起磁力型回転電機。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    前記固定子に設けられるティースは、固定子巻線を巻回する主磁路となる部分の幅をAとし、エアギャップに対向する部分の幅をBとしたとき、これらの比率η(=A/B)が、0.7≦η<1.0なる関係を有する形状である可変起磁力型回転電機。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    少なくとも一つの永久磁石の保磁力(Hcj[KA/m])と、磁石厚(tm[mm])との関係が、下記式で表される範囲内に設定され、進角制御無しの状態で着磁状態を変化させることなく通電できる最大電流値をIとした際に、着磁時に必要な最大電流振幅が2I以下、脱磁時に必要な最大電流振幅が0.5I以下とした可変起磁力型回転電機。
    −(1.05*tm)+33.8*tm−359
    <Hcj <(−243/tm)−17
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    少なくとも一つの永久磁石は、ピンニング型の特性を有する磁石である可変起磁力型回転電機。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    前記電動機に用いる永久磁石は少なくとも2つ以上のセグメント磁石を絶縁層を介して積層接合した分割磁石、或いは、磁粉間を絶縁材でバインドしたボンド磁石のうちのいずれかである可変起磁力型回転電機。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の可変起磁力型回転電機であって、
    前記回転子に設けられる少なくとも一つの永久磁石が完全に着磁され、且つ、弱め界磁制御を行なわない場合に、システムの目標回転数における誘起電圧がシステムのDC電圧を超えるように、前記固定子巻線の巻数を設定する可変起磁力型回転電機。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載した可変起磁力型回転電機を制御する制御装置であって、
    回転電機に供給される電圧値、または電流値に基づいて、少なくとも一つの永久磁石の着磁状態を推定する磁束オブザーバ部と、
    前記着磁状態の情報と、予め設定したパラメータに基づいて、dq軸電流指令値と、dq軸電流値との偏差を補正する着磁状態保持制御部と、
    前記着磁状態保持制御部で補正された偏差に基づいて、電圧指令値を生成する電圧指令値生成部と、
    前記電圧指令値に基づいて生成されるPWM信号に基づいて、前記回転電機を駆動するインバータと、
    前記インバータより出力される電流値を測定する電流センサと、
    を有する可変起磁力型回転電機の制御装置。
  12. 請求項11に記載の可変起磁力型回転電機の制御装置であって、
    前記着磁状態保持制御部は、下記式に基づいてq軸電流Iqを補正する可変起磁力型回転電機の制御装置。
    Iq<α(Ψa)×Id+β(Ψa)
    (但し、Idはd軸電流、α、βは磁石の着磁率Ψaの関数)

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