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JP5990990B2 - シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法に関する。
1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法としては、従来、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−ヨウ化プロパンをアルコール性水酸化カリウムにより脱ヨウ化水素する方法(非特許文献1)、または1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)をジブチルエーテル中で水酸化カリウムにより脱フッ化水素する方法(非特許文献2)などが知られている。また、特許文献1では1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンをクロム/活性炭触媒で脱フッ化水素する方法が、特許文献2ではクロムベースの触媒との接触により1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンから1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る方法が開示されている。
一方、一般的なフルオロアルカン化合物における、気相中での脱フッ化水素反応の例として、特許文献3に1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンをガス状態にして活性炭又は酸化クロム触媒と接触させることで、対応するプロペンを製造する方法、そして特許文献4ではフルオロエタンを活性炭と接触させて熱分解する方法が開示されている。
また、特許文献5では、気相中、触媒存在下、ジルコニウム化合物を金属酸化物又は活性炭に担持したジルコニウム化合物担持触媒を用いて1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る方法が開示されている。
特開平11−140002号公報 特開2000−63300号公報 特開平9−67281号公報 米国特許2480560号明細書 特開2008−019243号公報
R.N.Haszeldineら,J.Chem.Soc.1953,1199−1206; CA 48 5787f I.L.Knunyantsら,Izvest.Akad.Nauk S.S.S.R.,Otdel.Khim.Nauk.1960,1412−18;CA 55,349f
上記、非特許文献1や非特許文献2のような水酸化カリウムにより脱ハロゲン化水素する方法は、反応率および選択率に優れた方法ではあるが、溶媒を用いなければならないこと、水酸化カリウムが化学量論量以上必要であること、また反応の結果生成するカリウム塩が多大となること等から工業的に適用するには困難な点が多かった。
また、気相中でのフルオロアルカン化合物の脱フッ化水素反応は、反応条件が過酷である割には、転化率がそれほど高くないのが一般的であった。例えば特許文献3の方法は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを、ガス状態にして活性炭または酸化クロム触媒によって行う方法であるが、選択率はほぼ定量的であるが、転化率が4%〜50%程度であった。
Figure 0005990990
また、特許文献4では、750〜900℃程度の、かなりの高温にて熱分解を行っているが、この方法でも転化率も40%程度である。
Figure 0005990990
上述のような脱ハロゲン化水素において、転化率を向上させるには反応条件をさらに過酷なものにしなければならず、また、高温での反応であることからも、生成物のタール化、炭化、反応器の耐久性等、工業的に製造することは相当な困難を強いられることが予想される。
このような背景の下、本願発明の対象とする1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、それ自身、二重結合を有する化合物であり、構造異性体として「トランス体」及び「シス体」が存在するが、従来技術で開示されている方法を用いて製造する場合、これらの異性体の混合物として得られることが多い(特許文献5など)。その中で、本願発明で対象とするシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを「選択的に製造する方法」が、必ずしも工業的規模で製造できる方法として明確に開示されているわけではなかった。
本願発明の課題は、目的物であるシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを、高い転化率で、工業的規模かつ効率的に得る製造方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる問題を解決するため、鋭意検討した結果、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させる際、高い転化率でもって該反応が進行し、かつトランス体及びシス体の混合物として得られる1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを、各種分離精製する手段を採用することで、高収率でシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る製造方法を見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の[発明1]−[発明12]に記載する、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法を提供する。
[発明1]
以下の工程を含む、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
第1工程:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
第2工程:第1工程で得られた前記反応混合物を蒸留することで、該反応混合物からトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを分離し、続いてシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
第3工程:第2工程で得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を、塩基と反応させることにより、該反応混合物からシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る工程。
[発明2]
前記第1工程において、脱フッ化水素反応を、気相中、触媒存在下で行うことを特徴とする、発明1に記載の方法。
[発明3]
触媒が、ジルコニウム化合物を金属酸化物又は活性炭に担持したジルコニウム化合物担持触媒を用いることを特徴とする、発明2に記載の方法。
[発明4]
金属酸化物がアルミナ、ジルコニア、チタニア、及び、マグネシアからなる群より選ばれる少なくとも1種である、発明3に記載の方法。
[発明5]
ジルコニウム化合物が、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及び、オキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、発明3又は発明4に記載の方法。
[発明6]
前記第1工程又は第2工程において、反応混合物に含まれるフッ化水素を取り除く工程を更に含む、発明1乃至5の何れかに記載の方法。
[発明7]
前記第2工程において、蒸留により分離したトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンに変換した後に、前記第1工程の原料として再び用いることを特徴とする、発明1乃至6の何れかに記載の方法。
[発明8]
前記変換反応を、触媒の存在下、気相中、フッ化水素と反応させることにより行う、発明7に記載の方法。
[発明9]
前記第3工程において、用いる塩基がアルカリ金属の水酸化物、又はアルカリ土類金属の水酸化物である、発明1乃至8の何れかに記載の方法。
[発明10]
アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、又はセシウムであり、アルカリ土類金属が、マグネシウム、カルシウム、又はストロンチウムである、発明9に記載の方法。
[発明11]
以下の工程を含む、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを併産する方法。
第1工程:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
第2工程:第1工程で得られた前記反応混合物を蒸留することで、該混合物からトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを分離し、続いてシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
第3工程:第2工程で得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を、塩基と反応させることにより、該反応混合物からシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る工程。
[発明12]
発明1乃至11の何れかに記載の方法で得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを蒸留することを特徴とする、高純度シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
本発明で対象とする1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、シス体、及びトランス体の構造異性体が存在し、これらの混合物として得られる。この他、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、フッ化水素等を含む反応混合物として得られることが多い。
一方、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンとが共沸様組成を示すことから、蒸留精製を行う事でこれらの化合物を分離することは非常に困難であった。
本願発明者らは、上記の工程を経ることで、高純度のシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを効率よく得る知見を得た。
従来、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの脱フッ化水素反応は広く知られているが、その多くはトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを高い収率で得る方法に主眼を置いていた。その一方、本願発明のように、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを高純度で製造できる本願発明は、工業的なスケールで採用し易い、有用性のある方法である。また、環境に負荷がかからず、高い生産性で目的とするシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造できることとなった。
本発明のシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法により、工業的に入手可能な1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを原料とし、好適な反応条件下で各工程が良好に進行し、良好な収率でシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造できるという効果を奏する。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
第1工程
まず、第1工程について説明する。第1工程は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程である。
本発明に使用する原料である1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは、硬質ポリウレタンフォームの発泡剤等として工業的に生産されており容易に入手できる物質である。
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは、例えば、特開2000−007591号公報、特開2000−007592号公報、及び特開2000−143561号公報等の従来公知の方法で製造できる。
本工程の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの脱フッ化水素反応は、液相または気相にて実施することができる。
気相中で反応を行う際は、触媒存在下で行うのが好ましい。触媒としてはジルコニウム化合物を金属酸化物又は活性炭に担持したジルコニウム化合物担持触媒を用いるのが良い。
本発明にかかるジルコニウム系触媒は、ジルコニウム化合物を金属酸化物または活性炭に担持したジルコニウム化合物担持触媒、もしくはジルコニアである。ジルコニウム化合物担持触媒の調製時に用いられるジルコニウム化合物は、ジルコニウムのフッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、オキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、担体として有用な金属酸化物は、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアからなる群より選ばれる少なくとも一種である。また、もう一つの担体として有用な活性炭は、各種のものが市販されているのでそれらのうちから選んで使用すればよい。例えば、瀝青炭から製造された活性炭(例えば、カルゴン粒状活性炭CAL(東洋カルゴン(株)製)、椰子殻炭(例えば、日本エンバイロケミカルズ(株)製)などを挙げることができるが、当然これらの種類、製造業者に限られることはない。
本発明にかかるジルコニウム化合物担持触媒を調製する方法は限定されないが、担体として用いられる金属酸化物、活性炭、またはそれらを予めフッ化水素、塩化水素、塩素化フッ素化炭化水素などによりハロゲンで修飾処理した化合物に、ジルコニウムの可溶性化合物を溶解した溶液を含浸するか、スプレーすることで調製できる。
ジルコニウム化合物担持量は、担体との合計量に占める割合が、0.1〜80wt%、好ましくは1〜40wt%が適当である。担体に担持させるジルコニウムの可溶性化合物としては、水、塩酸、アンモニア水、エタノール、アセトンなどの溶媒に溶解する該当金属の硝酸塩、リン酸塩、塩化物、酸化物、オキシ塩化物、オキシフッ化物、などが挙げられる。
担持させる金属化合物として、ジルコニウムのほかに、クロム、チタン、アルミニウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、ニオブ、タンタル、イリジウム、錫、ハフニウム、バナジウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属化合物をジルコニウムと共存させて担持することができる。
何れの方法で金属を担持した触媒も、使用の前に所定の反応温度以上の温度で予めフッ化水素、フッ素化炭化水素などのフッ素化剤で処理し、触媒の活性化を行うことが有効である。触媒の活性化においては、あらかじめ塩素化炭化水素で処理後、フッ素化する方法を用いることもできる。また、反応中に酸素、塩素、フッ素化または塩素化炭化水素などを反応器中に供給することは触媒寿命の延長、反応率、反応収率の向上のため有効な手段である。
反応温度は200〜600℃、好ましくは200〜500℃であり、より好ましくは200℃〜400℃である。反応温度が200℃よりも低ければ反応が遅く、実用的とは必ずしも言えない。一方、反応温度が600℃を超えると触媒寿命が短くなり、また、反応は速く進行するが分解生成物などが生成し、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの選択率が低下することがある。このうち、反応温度を300〜350℃にすることは、副生成物を顕著に抑えられることから、特に好ましい態様の一つとして挙げられる。
本発明の方法において、反応領域へ供給する1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを同時に供給してもよい。また、フッ化水素を共存させてもよい。
反応圧力は特に限定されないが、装置の面から0.1〜10kg/cm2で行うのが好ましい。また、系内に存在する原料有機物とフッ化水素が、反応系内で液化しないような条件を選ぶことが望ましい。接触時間は、通常0.1〜300秒、好ましくは5〜200秒である。
本発明で用いる反応器は、耐熱性とフッ化水素、塩化水素などに対する耐食性を有する材質で作られれば良く、ステンレス鋼、ハステロイ、モネル、白金などが好ましい。また、これらの金属でライニングされた材料で作ることもできる。
本工程の反応により処理されて反応器より流出する1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む生成物は、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物として得られる。また、該反応混合物には、酸性ガス(フッ化水素など)も含まれるが、本工程でそれを取り除いても良いし、次の第2工程において取り除いても良い。取り除く際の詳細な反応条件は、後述の第2工程と同じ条件が採用できる。
本願発明の対象であるシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを当該混合物から単離・精製を行う場合、後述する第2工程〜第3工程の方法に付すことで効率的に得ることができる。
なお、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと同時に得られるトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンについても、続く第2工程の方法を用いることにより分離することができる。
第2工程
次に、第2工程について説明する。本工程は第1工程で得られた前記反応混合物を蒸留することで、該混合物からトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを分離し、続いてシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程である。
第1工程で得られる反応混合物には、フッ化水素が含まれる為、フッ化水素を該反応混合物から取り除くことが必要である。
本工程では、フッ化水素を取り除く操作については、特に制限はなく、蒸留操作の直前に行っても良いし、蒸留後の各留分に対して行っても良い。一方、前述した第1工程で行っても良く(後述の実施例参照)、当業者が適宜調整することができる(なお、第1工程でフッ化水素を取り除く操作を行った場合には、本工程におけるフッ化水素の除去については特に必要ではなく、任意である)。
フッ化水素の除去方法は、特に制限はないが、たとえば硫酸との接触、もしくは水洗等により、フッ化水素を取り除くことが可能である。例えば、本願実施例にように、水の中に前記第1工程で得られた反応混合物を吹き込むことでもフッ化水素を十分取り除くことができる。
更に、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等とフッ化水素の錯体を形成させて分離することができ、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩又はこれらの水溶液と反応させることにより、フッ化カルシウム(CaF2)として固定化処理を行い、該混合物からフッ化水素を取り除くことができる。
また、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩等とフッ化水素を反応させることで、それぞれ対応するフッ化金属塩として固定化処理を行い、該混合物からフッ化水素を取り除くこともできる。
例えば、硫酸を用いる場合、フッ化水素と硫酸を主とする液相部と、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(シス体、トランス体)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン等の有機物とを主とする気相部とに分割し、液相部から主としてフッ化水素を分離することによりフッ化水素を分離回収することができる。
硫酸の量は、該反応混合物に含まれるフッ化水素の量に依存する為、当業者が適宜調整することができる。例えば、溶解度の温度に対するグラフを用いて、100%硫酸中のフッ化水素の溶解度から、必要とされる硫酸の最小量を決めることができる(例えば30℃では、約34gのフッ化水素が100gの100%硫酸に溶解する)。
硫酸の純度は特に限定されないが、好ましくは50%以上の純度であり、約98%〜100%の純度を有するものがさらに好ましい。通常は市販されている工業用硫酸(98%)が使用できる。
フッ化水素分離する場合、硫酸へのフッ化水素の吸収が可能であれば、如何なる装置形態、操作方法を採用してもよく、硫酸を槽に張り込み、そこへ反応混合物をガス状態で吹き込む方法、充填物を充填した硫酸洗浄塔へ吹き込み、ガスと硫酸を向流接触させる方法等が採用されるが、硫酸へのフッ化水素の吸収が可能であれば、これらに方法に限らず、別の方法を用いることができる。
例えば、硫酸で処理する際、取り除いたフッ化水素は分離し、回収して再び再利用することも可能である。すなわち、このフッ化水素を別の反応の出発原料として使用し、硫酸についてはフッ化水素を抽出する工程で再利用することもできる。例えば、フッ化水素については、本願発明でシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと同時に生成したトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンに変換させる際の反応試剤として用いることもできる(詳細は後述)。
次に、フッ化水素を分離した後の混合物を蒸留することで、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのシス体及びトランス体をそれぞれ分離することができる。蒸留については、バッチ式で行うことも連続式で行うこともでき、操作圧力は常圧(大気圧)または加圧、いずれの圧力下においても、可能であるが、蒸留における凝縮温度を上げることができる圧力条件を選定することが好ましい。
例として、第1蒸留塔および第2蒸留塔からなる2連の蒸留塔を用いて連続で行う場合について説明する。しかしながら、さらに多段の蒸留塔群を用いることも、バッチ式で蒸留を行うことも可能である。
第1蒸留塔においては、例えば、低沸点のトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを蒸留塔の頂部から留出物として分離・回収する。第2蒸留塔においては、高沸点である目的物のシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを蒸留塔の頂部から留出物として回収する。
ただし、この場合、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(沸点:常温、常圧で9℃)及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(沸点:常温、常圧で15.3℃)が、共沸様組成を形成する為、蒸留時に分離できないことが多い。従って、続く第3工程に付すことで、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを効率的に単離することができる。
使用する蒸留塔は、壁面が蒸留物に対して不活性であればよく、壁面がガラス製またはステンレス製でもよく、鋼等の基材に四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂またはガラスを内部にライニングしている蒸留塔でもよい。蒸留塔は、棚段式あるいは、ラシヒリング、レッシングリング、ディクソンリング、ポールリング、インターロックサドルまたはスルザーパッキン等の充填物を充填した充填塔であってもよい。
蒸留は、常圧でも行うことができるが、加圧条件下で行うと、蒸留塔内の圧力損失を小さくすることができ、凝縮器の負荷を低減することができるため好ましい。この蒸留操作に要求される蒸留塔の段数に制限はないが、5段〜100段が好ましく、さらに好ましくは10段〜50段である。
第3工程
次に第3工程について説明する。第3工程は第2工程で分離したシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を、塩基と反応させることにより、該反応混合物からシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る工程である。
ここでは、該混合物中に含まれる1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを塩基と反応させることで分解され、結果として実質的に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含まないシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得ることが可能である。
なお、ここで言う「実質的に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含まないシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン」とは、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン/シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのモル比が、塩基と反応させる前よりも、塩基と反応させた後の方が小さいシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのことをいい、通常、1/100以下であり、1/500以下が好ましく、1/1000以下とするのがさらに好ましい。
例えば、後述の実施例で示すように、本工程にて塩基を反応させることで、転化率99.99%でもって反応が進行し、実質的に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含まないシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが得られることは、本工程における好ましい態様の一つである。
本工程で用いる塩基は、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物である。ここでアルカリ金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、又はセシウムであり、アルカリ土類金属とは、マグネシウム、カルシウム、又はストロンチウムのことを言う。
アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物の、具体的な化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウムなどが挙げられる。これらのうち、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムが好ましく、さらに安価で工業的に大量に入手できることから、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
なお、本発明で用いる塩基は、1種類又は2種類以上を併用して使用することもできる。
本発明で用いる塩基の量は、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物に対し、1モル換算で、少なくとも1モルを必要とし、通常1〜10モルの範囲を適宜選択できるが、好ましくは1〜4モルであり、更に好ましくは1〜2モルである。また、10モルより多く塩基を使用することも可能であるが、特に大量使用するメリットもない。
なお、本発明において、式[1]の化合物1モルに対して、1モルより少ない塩基を用いた場合、反応の変換率が低下することがある。
上記で明記した塩基については、常温・常圧において固体である為、応じて、少なくとも1種類以上の溶媒に別途加えて溶液として反応させることも可能であり、当業者が適宜選択することができる。用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等のアルカン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチルニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート等のグリコール類、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、そして水などが例示できる。また、これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
例えば、実施例に示すように、塩基として水酸化カリウム、溶媒として水を用いることは、本発明において特に好ましい態様の一つである。
本発明において、溶媒の他に、添加剤として相間移動触媒を用いることもできる。相間移動触媒を用いる場合、塩基として、特にアルカリ金属の水酸化物を用いた場合に、反応が促進することからも、好ましく用いられる。
相間移動触媒としては、クラウンエーテル、クリプテート、又はオニウム塩を用いることができる。クラウンエーテルは金属カチオンを包摂して反応性を高めることができ、Kカチオンと18−クラウン−6、Naカチオンと15−クラウン−5、Liカチオンと12−クラウン−4の組み合わせ等が挙げられる。また、クラウンエーテルのジベンゾまたはジシクロヘキサノ誘導体等も有用である。
クリプタンドは多環式大環状キレート化剤で、例えばKカチオン、Naカチオン、Rbカチオン、Csカチオン、Liカチオンと錯体(クリプテート)を形成し、反応を活性化することができ、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]イコサン(クリプタンド211)、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(クリプタンド222)等が挙げられる。
オニウム塩は、4級アンモニウム塩あるいは4級ホスホニウム塩があり、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラn−ブチルアンモニウムクロリド、テトラn−ブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラn−ブチルホスホニウムクロリド、テトラn−ブチルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムクロリドが挙げられる。
本工程では、腐食性ガスの発生がないため反応器の材質としては、常圧又は加圧条件下で反応を行う際、圧力に耐えるものであれば材質に特に制限はなく、一般的なステンレス、ガラス、フッ素樹脂からなるか、または、ガラスもしくはフッ素樹脂によりライニングされた材料の反応容器を使用することができる。
第3工程において、反応後に得られた気体を、冷却したコンデンサーに流通させた後、該気体を捕集容器で捕集させて液化させシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得るが、得られた反応生成物には、ごくわずかであるがトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが混入している場合がある。そこで、得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを、さらに蒸留に付すことにより、高純度のシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得ることが可能である。
第3工程後のシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの精製においては、蒸留操作が、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを高純度で得ることができることからも、特に好ましい態様として挙げられる。蒸留操作における蒸留塔の材質には制限はなく、ガラス製のもの、ステンレス製のもの、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ガラスなどを内部にライニングしたもの等を、用いることができる。蒸留塔には、充填剤を詰めることもできる。蒸留は、第2工程と同様、常圧又は加圧条件下で行うのが好ましい。この蒸留に要求される蒸留搭の段数に制限はないが、5〜100段が好ましく、さらに好ましくは10〜50段である。
このように、各種工程を経ることで、高純度のシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得ることができる。
なお、本願発明ではシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと同時に第2工程でトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンも生成する。このように、本発明は、工業的に入手が容易な1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを原料として、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンと、その構造異性体であるトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをそれぞれ効率的に併産することができる。
ここで得られたトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは別の用途で用いても良いが、本願発明では、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンに変換させた後に、第1工程の原料として再利用することもできる。
この変換における反応条件としては、例えば、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを触媒の存在下、気相中、フッ化水素と反応させることにより行うことができる。ここで用いるフッ化水素は、前記第2工程で分離したフッ化水素を用いてもよいし、別途新たに準備したものを用いても良い。
触媒としては、五塩化アンチモン、三塩化アンチモン、五臭化アンチモン、三臭化アンチモン、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化モリブテン、五塩化タンタル、五塩化ニオブ等を活性炭、フッ素化アルミナ、フッ素化ジルコニア等の担体に担持した固体触媒を用い、気相で過剰のフッ化水素と反応させるか、液相で五塩化アンチモン、三塩化アンチモン、五臭化アンチモン、三臭化アンチモン、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化モリブテン、五塩化タンタル、五塩化ニオブ等の触媒存在下でフッ化水素と反応させる方法が挙げられる。
特に五塩化アンチモンを活性炭に担持した触媒を用いて、連続的にフッ化水素と反応させることは好ましい態様の一つである。
反応器から排出した過剰のフッ化水素を含む1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを、そのまま第1工程の反応系に戻すことができる。
[実施例]
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。ここで、組成分析値の「%」とは、反応混合物を直接ガスクロマトグラフィー(特に記述のない場合、検出器はFID)によって測定して得られた組成の「面積%」を表す。また、「シス−1234ze」はシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを、「トランス−1234ze」はトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを、「HFC−245fa」は「1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン」を表す。
[調製例]225gの特級試薬ZrOCl・8HOをメタノールに溶かした。この溶液に直径5mm、球状アルミナ2.5リットルを浸漬し、一昼夜放置した。次に濾過により溶媒を除き、120℃窒素流通下で乾燥した。得られたジルコニウム担持アルミナを、電気炉を備えた直径4.12cm・長さ270cmの円筒形SUS316製反応管に充填し、窒素ガスを流しながら200℃まで昇温し、水の流出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素を同伴させその濃度を徐々に高めた。充填されたジルコニウム化合物担持アルミナのフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで反応器温度を450℃に上げ、その状態を1時間保ち触媒の調製を行った。
[第1工程:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの脱フッ化水素反応;第2工程:蒸留操作]
外部加熱装置により加熱する円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径4.12cm・長さ270cm)に触媒として調製例で調製した触媒を1.7リットル充填した。約6.8l/分の流量で窒素ガスを流しながら反応管の温度を330℃に上げ、フッ化水素を約6.8g/分の速度で1時間にわたり導入し続けた。フッ化水素および窒素ガスの導入を停止し、原料有機物として1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを予め気化させて約61g/分の速度で反応器へ供給開始した。
反応器から排出する生成ガスを水中に吹き込み酸性ガスを除去し、モレキュラーシーブス3A(商品名)を充填した乾燥塔を経由して、ドライアイス−アセトン−トラップで捕集した。12時間反応を継続し、37.58kgの反応生成物を回収した。捕集した有機物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、組成はトランス−1234ze 66.47%、シス−1234ze 17.74%、HFC−245fa 15.70%であった。
次に反応生成物を蒸留し、初留分としてトランス−1234zeを分留後、シス−1234zeを濃縮した留分を得た。シス−1234ze含有留分を分析したところ、組成はHFC−245fa 10.86%、シス−1234ze 89.04%であった。
[第3工程:塩基との反応、及び第3工程後の蒸留操作]
SUS316製ジャケット付10LオートクレーブにSUS316製の二重管式凝縮器を取り付け、凝縮器ジャケットに−5℃のエチレングリコール水溶液を循環させた。オートクレーブを真空ポンプで減圧し、オートクレーブジャケットに−5℃のエチレングリコール水溶液を循環させ、テトラn−ブチルアンモンニウムブロミド57g、48wt%水酸化カリウム水溶液 2302g(水酸化カリウムとして19.7mol)、シス−1234ze含有有機物(HFC−245fa 10.86%、シス−1234ze 89.04%) 8170g(70.6mol)を導入した。攪拌機で攪拌し、オートクレーブジャケットに40〜45℃の温水を循環させ、19時間加熱した。反応終了後、凝縮器の冷却を停止し、ドライアイスアセトンで冷却したガラストラップに7623gの反応生成物を回収した。HFC−245fa転化率は99.99%であり、組成はトランス−1234ze 7.41%、シス−1234ze 92.35%であった。反応生成物を蒸留で精製し、純度99.9%のシス−1234zeが6480g得られた。
本願発明の対象化合物であるシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、医農薬、機能性材料の中間体として利用できる。

Claims (12)

  1. 以下の工程を含む、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
    第1工程:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
    第2工程:第1工程で得られた前記反応混合物を蒸留することで、該反応混合物からトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを分離し、続いてシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
    第3工程:第2工程で得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化ストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基と反応させることにより、該反応混合物から実質的に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含まないシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る工程。
  2. 前記第1工程において、脱フッ化水素反応を、気相中、触媒存在下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 触媒が、ジルコニウム化合物を金属酸化物又は活性炭に担持したジルコニウム化合物担持触媒を用いることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 金属酸化物がアルミナ、ジルコニア、チタニア、及び、マグネシアからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の方法。
  5. ジルコニウム化合物が、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、及び、オキシフッ化塩化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3又は請求項4に記載の方法。
  6. 前記第1工程又は第2工程において、反応混合物に含まれるフッ化水素を取り除く工程を更に含む、請求項1乃至5の何れかに記載の方法。
  7. 前記第2工程において、蒸留により分離したトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンに変換した後に、前記第1工程の原料として再び用いることを特徴とする、請求項1乃至6の何れかに記載の方法。
  8. 前記変換反応を、触媒の存在下、気相中、フッ化水素と反応させることにより行う、請求項7に記載の方法。
  9. 「実質的に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含まないシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン」の、該プロペンにおける1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン/シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのモル比が1/100以下である、請求項1乃至8の何れかに記載の製造方法。
  10. 以下の工程を含む、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及びトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを併産する方法。
    第1工程:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び未反応の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
    第2工程:第1工程で得られた前記反応混合物を蒸留することで、該混合物からトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを分離し、続いてシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を得る工程。
    第3工程:第2工程で分離したシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む反応混合物を、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化ストロンチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基と反応させることにより、該反応混合物から実質的に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含まないシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得る工程。
  11. 「実質的に1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含まないシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン」の、該プロペンにおける1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン/シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのモル比が1/100以下である、請求項10に記載の併産方法。
  12. 請求項1乃至11の何れかに記載の方法で得られたシス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを蒸留することを特徴とする、高純度シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法。
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