以下、本発明の一実施の形態について、図3〜図20を参照しながら説明する。また、以下において、発光機とは、特殊信号発光機を構成する発光機や、信号機等を構成する発光機等を示す。
上述した問題を解決するために、制御装置と発光機の間を接続する1ペアのケーブルに複数の高周波信号を送信するか、または、特定の極性の信号を送信するか、もしくは、それぞれの周波数において特定の極性の信号を送信することができる回路を提案する。発光機側は、そのうちの特定の周波数の信号、または、特定の極性の信号、もしくは、特定の周波数かつ特定の極性の信号のみを取り出し、その信号に応じた制御を実行する。図3〜図13を参照して、制御装置と発光機の回路構成について説明する。
第1グループの構成例においては、1つの制御装置が、複数の発振回路(特定の周波数の信号を生成する回路)とそれらを送信制御する機能を有し、周波数ごとにスイッチング制御を行って、周波数ごとに異なる情報を持たせ、それらの信号を混在させて、1ペアの信号線を用いて、複数の発光機のそれぞれに送信する。複数の発光機は、フィルタと発光ダイオードを実装し、フィルタには、特定の周波数の信号のみが流れるか、または、特定の周波数の信号は流れないようにする。すなわち、発光ダイオードには、選択的に特定の周波数の信号のみが流れるので、複数の発光機は、それぞれに所定の周波数の信号に含まれる情報に基づいて発光する。
図3は、制御装置31に複数の発光機32を直列に接続し、発光機32を並列共振により発光させる場合の回路図である。
制御装置31は、スイッチング制御部41、スイッチング制御部41によりスイッチングされるスイッチ42−1,42−2,42−3、スイッチ42−1に接続された発振部43−1、スイッチ42−2に接続された発振部43−2、スイッチ42−3に接続された発振部43−3、および、断線検知部44で構成されている。
スイッチング制御部41は、スイッチ42−1,42−2,42−3のスイッチングを行う。スイッチ42−1,42−2,42−3は、それぞれ異なる周波数の信号を生成する発振部43−1,43−2,43−3に接続されている。すなわち、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は発振部43−1が生成する周波数の信号として、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は発振部43−2が生成する周波数の信号として、スイッチ42−3のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は発振部43−3が生成する周波数の信号として、制御装置31から、直列に接続されている複数の発光機32のそれぞれに送信される。また、ここではスイッチ42−1,42−2,42−3を、スイッチの回路記号を使用して図示しているが、例えば、トランジスタを使用したスイッチング回路のような、デジタル回路によるスイッチング制御方法を使用して制御してもよい。
断線検知部44は、発振部43−3が生成する周波数の、ケーブルの信号レベルを監視する機能を実装し、発振部43−3が生成する周波数の信号レベルがある一定の値以下となった場合、断線が発生していることを検知することができる。
発振部43−1,43−2,43−3は、それぞれ、異なる周波数の信号を生成する。ここでは、情報伝達用に発振部43−1が10kHzの信号を、発振部43−2が20kHzの信号を生成し、断線検知用に発振部43−3が50kHzの信号を生成しているものとして説明しているが、それぞれ、異なる周波数であれば、これら3種類の周波数とは異なる周波数の信号を生成してもよいことは言うまでもない。
また、ここでは、発光機32−1,32−2の2つの発光機32を制御装置31が制御している場合を図示して説明しているが、制御装置31において、情報伝達用に3つ以上の発振部43を備え、スイッチング制御部41が3つ以上のスイッチ42をスイッチングし、3種類以上の周波数の信号を用いて情報を送信することにより、3つ以上の発光機32を制御装置31に接続して制御させてもよいことは言うまでもない。
発光機32−1は、10kHzの周波数の信号を遮断するフィルタ51と、発光ダイオード52を有する。フィルタ51には、例えば、コイルとコンデンサによる並列共振回路が用いられる。フィルタ51、すなわち、コイルとコンデンサと、発光ダイオード52は並列に接続され、並列共振回路を構成している。フィルタ51の働きにより、発光ダイオード52には、10kHzの周波数の電流のみが流れるため、発光機32−1の発光ダイオード52は、10kHzの周波数成分を持つパターン化した信号、すなわち、制御装置31においてスイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンに基づいた信号が流れる。したがって、発光機32−1の発光ダイオード52は、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅する。
そして、発光機32−2は、20kHzの周波数の信号を遮断するフィルタ53と、発光ダイオード52を有する。フィルタ53には、例えば、コイルとコンデンサによる並列共振回路が用いられる。フィルタ53、すなわち、コイルとコンデンサと、発光ダイオード52は並列に接続され、並列共振回路を構成している。フィルタ53の働きにより、発光ダイオード52には、20kHzの周波数の電流のみが流れるため、発光機32−2の発光ダイオード52は、20kHzの周波数成分を持つパターン化した信号、すなわち、制御装置31においてスイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンに基づいた信号が流れる。したがって、発光機32−2の発光ダイオード52は、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅する。
このようにして、1つの制御装置31から、1ペアのケーブルで直列接続されている複数の発光機32を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。
図4は、図3を用いて説明した場合と同一の制御装置31に、複数の発光機61を直列に接続し、発光機61を直列共振により発光させる場合の回路図である。
制御装置31は、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報を発振部43−1が生成する周波数の信号として、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報を発振部43−2が生成する周波数の信号として、スイッチ42−3のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報を発振部43−3が生成する周波数の信号として、直列に接続されている複数の発光機32のそれぞれに送信する。また、ここではスイッチ42−1,42−2,42−3を、スイッチの回路記号を使用して図示しているが、例えば、トランジスタを使用したスイッチング回路のような、デジタル回路によるスイッチング制御方法を使用して制御してもよい。
発光機61−1は、10kHzの周波数のみを通過させるフィルタ71、発光ダイオード52、および、10kHz以外の周波数の信号を通過させる負荷72を有する。フィルタ71には、例えば、コイルとコンデンサによる直列共振回路が用いられる。フィルタ71、すなわち、コイルとコンデンサと、発光ダイオード52は直列に接続され、直列共振回路を構成している。フィルタ71の働きにより、発光ダイオード52には、10kHzの周波数の電流のみが流れるため、発光機32−1の発光ダイオード52は、10kHzの周波数成分を持つパターン化した信号、すなわち、制御装置31においてスイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンに基づいた信号が流れ、負荷72には、10kHz以外の周波数の電流が流れる。したがって、発光機61−1の発光ダイオード52は、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅する。
発光機61−2は、20kHzの周波数のみを通過させるフィルタ73、発光ダイオード52、および、負荷74を有する。フィルタ73には、例えば、コイルとコンデンサによる直列共振回路が用いられる。フィルタ73、すなわち、コイルとコンデンサと、発光ダイオード52は直列に接続され、直列共振回路を構成している。フィルタ73の働きにより、負荷74には20kHz以外の周波数の電流が流れ、発光ダイオード52には、20kHzの周波数の電流のみが流れるため、発光機61−2の発光ダイオード52は、20kHzの周波数成分を持つパターン化した信号、すなわち、制御装置31においてスイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンに基づいた信号が流れ、負荷74には、20kHz以外の周波数の電流が流れる。したがって、発光機61−2の発光ダイオード52は、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅する。
このようにして、1つの制御装置31から、1ペアのケーブルで直列接続されている複数の発光機61を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。
また、図3および図4を用いて説明した回路構成を用いた場合、発振周波数の種類、スイッチの数、フィルタの種類を増やすことにより、直列接続可能な発光機の数を増やすことが可能である。また、図3および図4を用いて説明した回路構成を用いた場合、断線検知を容易に行うことが可能となる。
図5は、制御装置81に、図3を用いて説明した場合と同様の複数の発光機32を並列に接続し、発光機32を並列共振により発光させる場合の回路図である。
制御装置81は、スイッチング制御部41、スイッチング制御部41によりスイッチングされるスイッチ42−1,42−2、スイッチ42−1に接続された発振部43−1、および、スイッチ42−2に接続された発振部43−2で構成されている。
ここでは、スイッチング制御部41は、スイッチ42−1,42−2のスイッチングを行う。スイッチ42−1,42−2は、それぞれ異なる周波数の信号を生成する発振部43−1,43−2に接続されている。すなわち、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は発振部43−1が生成する周波数の信号として、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は発振部43−2が生成する周波数の信号として、制御装置81から、並列に接続されている複数の発光機32のそれぞれに送信される。また、ここではスイッチ42−1,42−2,42−3を、スイッチの回路記号を使用して図示しているが、例えば、トランジスタを使用したスイッチング回路のような、デジタル回路によるスイッチング制御方法を使用して制御してもよい。
そして、発光機32−1においては、図3を用いて説明した場合と同様に、フィルタ51の働きにより、発光ダイオード52には、10kHzの周波数の電流のみが流れる。このため、発光機32−1の発光ダイオード52は、10kHzの周波数成分を持つパターン化した信号、すなわち、制御装置31においてスイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンに基づいた信号が流れ、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅する。また、発光機32−2においても、図3を用いて説明した場合と同様に、フィルタ53の働きにより、発光ダイオード52には、20kHzの周波数の電流のみが流れる。このため、発光機32−2の発光ダイオード52は、20kHzの周波数成分を持つパターン化した信号、すなわち、制御装置31においてスイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンに基づいた信号が流れ、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅する。
このようにして、1つの制御装置81から、1ペアのケーブルで並列接続されている複数の発光機32を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。
図6は、図5を用いて説明した場合と同一の制御装置81に、図4を用いて説明した場合と同様の複数の発光機61を並列に接続し、発光機61を直列共振により発光させる場合の回路図である。
すなわち、制御装置81は、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報を、発振部43−1が生成する周波数の信号として、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報を、発振部43−2が生成する周波数の信号として、並列に接続されている複数の発光機61のそれぞれに送信する。そして、直列共振回路により構成されている発光機61−1の発光ダイオード52は、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅し、直列共振回路により構成されている発光機61−2の発光ダイオード52は、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられる情報を伝達するためのパターンで点滅する。また、ここではスイッチ42−1,42−2,42−3を、スイッチの回路記号を使用して図示しているが、例えば、トランジスタを使用したスイッチング回路のような、デジタル回路によるスイッチング制御方法を使用して制御してもよい。
このようにして、1つの制御装置81から、1ペアのケーブルで並列接続されている複数の発光機61を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。
また、図5および図6を用いて説明した回路構成を用いた場合、図3および図4と同様の断線検知を行うことはできないが、図3および図4を用いて説明した場合と同様に、発振周波数の種類、スイッチの数、フィルタの種類を増やすことにより、並列接続可能な発光機の数を増やすことが可能である。また、発光機32または発光機61を並列に接続した場合、図1を用いて説明したような従来における回路構成に対して、フィルタや負荷の追加と発光機内部の配線の変更を行うのみで、制御システムを更新することができ、制御装置81と発光機32または発光機61を接続する長いケーブルを引きなおす必要がないため、回路の変更にかかるコストおよび工数を抑えることができる。
つぎに、第2グループの構成例においては、1つの制御装置が、少なくとも1つの発振回路(特定の周波数の信号を生成する回路)と、信号波形を+側および−側に整流、すなわち、半波整流することができる回路を備え、それぞれの方向の電流に対してスイッチング制御を行い、それぞれに異なる情報を持たせ、1ペアの信号線を用いて、複数の発光機のそれぞれに送信する。
また、制御装置は、発光機が直列に接続されている場合、2つ以上の発振回路を有して、そのうち1つを断線検知用に用いても良い。複数の発光機は、発振周波数が1種類である場合は、発光ダイオードの極性によって、選択的に、いずれかの方向の電流に基づいたパターンで発光する。なお、制御装置からの信号に、複数の発振周波数が混在している場合、発光機は、フィルタを実装することによって、発光ダイオードに、特定の周波数の信号のみを流すようにする。
図7は、制御装置91に、複数の発光機32−1および発光機92を直列に接続し、発光機32−1および92のそれぞれを並列共振により発光させる場合の回路図である。
制御装置91は、スイッチング制御部41、スイッチング制御部41によりスイッチングされるスイッチ42−1,42−2,42−3、スイッチ42−1に接続された整流回路101、スイッチ42−2に接続された整流回路102、整流回路101および整流回路102と接続された発振部43−1、スイッチ42−3に接続された発振部43−3、ならびに、断線検知部44で構成されている。
スイッチング制御部41は、スイッチ42−1,42−2,42−3のスイッチングを行う。スイッチ42−1とスイッチ42−2とは、半波整流回路101および半波整流回路102により、それぞれ異なる極性を有する電流が流され、半波整流回路101および半波整流回路102と、スイッチ42−3とは、異なる周波数の信号を生成する発振部43−1または43−3に接続されている。すなわち、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は、発振部43−1が生成する周波数の、正極性の信号として、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は、発振部43−1が生成する周波数の、負極性の信号として、スイッチ42−3のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は、発振部43−3が生成する周波数の信号として、制御装置91から、直列に接続されている複数の発光機32−1および発光機92のそれぞれに送信される。また、ここではスイッチ42−1,42−2,42−3を、スイッチの回路記号を使用して図示しているが、例えば、トランジスタを使用したスイッチング回路のような、デジタル回路によるスイッチング制御方法を使用して制御してもよい。
発振部43−1および43−3は、それぞれ、異なる周波数の信号を生成する。ここでは、情報伝達用に発振部43−1が10kHzの信号を、断線検知用に発振部43−3が50kHzの信号を生成しているものとして説明しているが、それぞれ、異なる周波数であれば、これら2種類の周波数とは異なる周波数の信号を生成してもよいことは言うまでもない。
発光機32−1は、図3を用いて説明した発光機32−1と同一のものであるので、その詳細な説明は省略する。発光機32−1の発光ダイオード52は、その極性と、フィルタ51の働きとにより、10kHzの周波数かつ正極性の信号のみ通過させるため、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
発光機92は、10kHzの周波数の信号を遮断するフィルタ51と、発光機32−1の発光ダイオード52とは極性が逆となるように接続されている発光ダイオード111を有する。フィルタ51には、例えば、コイルとコンデンサによる並列共振回路が用いられる。フィルタ51、すなわち、コイルとコンデンサと、発光ダイオード111は並列に接続され、並列共振回路を構成している。発光ダイオード111は、その極性と、フィルタ51の働きとにより、10kHzの周波数かつ負極性の電流のみが流れるため、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
このようにして、1つの制御装置91から、1ペアのケーブルで直列接続されている複数の発光機32−1および発光機92を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。
図8は、図7を用いて説明した場合と同一の制御装置91に、複数の発光機61−1および121を直列に接続し、発光機61−1および発光機121を直列共振により発光させる場合の回路図である。
発光機61−1は、図4を用いて説明した発光機61−1と同一のものであるので、その詳細な説明は省略する。発光機61−1の発光ダイオード52は、その極性と、フィルタ71の働きとにより、10kHzの周波数かつ正極性の信号のみ通過させるため、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
発光機121は、10kHzの周波数のみを通過させるフィルタ71、負荷74、発光機61−1の発光ダイオード52とは極性が逆となるように接続されている発光ダイオード111を有する。フィルタ71には、例えば、コイルとコンデンサによる直列共振回路が用いられる。フィルタ71、すなわち、コイルとコンデンサと、発光ダイオード111は直列に接続され、直列共振回路を構成している。発光ダイオード111には、フィルタ71の働きとその極性により、10kHzの周波数かつ負極性の電流のみが流れるため、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
このようにして、1つの制御装置91から、1ペアのケーブルで直列接続されている複数の発光機61−1および発光機121を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。また、図7および図8を用いて説明した回路構成を用いた場合、断線検知を容易に行うことが可能となる。
図9は、半波整流回路を有する制御装置131が、複数の発光機132および133を並列に接続し、発光ダイオードの極性によって信号を選択させて発光させる場合の回路図である。
制御装置131は、スイッチング制御部41、スイッチング制御部41によりスイッチングされるスイッチ42−1および42−2、スイッチ42−1に接続された整流回路101、スイッチ42−2に接続された整流回路102、ならびに、整流回路101および整流回路102と接続された発振部43−1で構成されている。
スイッチング制御部41は、スイッチ42−1および42−3のスイッチングを行う。スイッチ42−1とスイッチ42−2とは、半波整流回路101および半波整流回路102により、それぞれ異なる極性を有する電流が流される。すなわち、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は、発振部43−1が生成する周波数の、正極性の信号として、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンが示す情報は、発振部43−1が生成する周波数の、負極性の信号として、制御装置131から、直列に接続されている複数の発光機132および133のそれぞれに送信される。
発光機132は、正極性の電流のみ通過させる発光ダイオード52を含んで構成される。発光機132の発光ダイオード52は、その極性により、正極性の信号のみ通過させるため、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
発光機133は、負極性の電流のみ通過させる発光ダイオード111を含んで構成される。発光機133のダイオード111は、その極性により、負極性の信号のみ通過させるため、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
このようにして、1つの制御装置131から、1ペアのケーブルで並列接続されている複数の発光機132および発光機133を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。
図10は、図9の発光機132および発光機133に代わって、並列共振回路を含む発光機32−1および発光機92を用いた場合、すなわち、半波整流回路を有する制御装置131が、複数の発光機32−1および92を並列に接続し、それぞれの発光機を並列共振により発光させる場合の回路図である。
そして、図11は、図9の発光機132および発光機133に代わって、直列共振回路を含む発光機61−1および発光機121を用いた場合、すなわち、半波整流回路を有する制御装置131が、複数の発光機61−1および121を並列に接続し、それぞれの発光機を直列共振により発光させる場合の回路図である。
また、図9〜図11を用いて説明した回路構成を用いた場合、図7または図8を用いて説明したような断線検知を行うことはできないが、図1を用いて説明したような従来における回路構成に対して、フィルタや負荷の追加と発光機内部の配線の変更を行うのみでシステムを更新させることができ、制御装置131と複数の発光機とを接続する長いケーブルを引きなおす必要がないため、回路の変更にかかるコストおよび工数を抑えることができる。
このように、図7〜図11を用いて説明した回路においては、制御装置において、1種類の周波数で2種類の異なる情報を意味する信号を送信することが可能となり、発振部43の個数を削減することができる。
次に、第3グループの構成例は、第1グループと第2グループとのそれぞれの特徴を併せ持つものである。
図12は、制御装置151において、複数種類の周波数の信号のそれぞれを半波整流して、複数種類の情報を表す信号パターンを1ペアのケーブルを用いて複数の発光機に送信し、制御装置151に対して並列接続された発光機が並列共振により発光する場合の回路図である。
制御装置151は、スイッチング制御部41、スイッチング制御部41によりスイッチングされるスイッチ42−1,42−2,42−3,42−4、スイッチ42−1に接続された整流回路101−1、スイッチ42−2に接続された整流回路102−1、スイッチ42−3に接続された整流回路101−2、スイッチ42−4に接続された整流回路102−2、整流回路101−1および整流回路102−1と接続された発振部43−1、ならびに、整流回路101−2および整流回路102−2と接続された発振部43−2で構成されている。
制御装置151には、並列共振回路を有する発光機32−1,32−2、および、発光機92−1,92−2が並列に接続されている。
発光機32−1の発光ダイオード52には、10kHzの周波数かつ正極性の電流のみが通過する。したがって、発光機32−1の発光ダイオード52は、スイッチ42−1のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
発光機32−2の発光ダイオード52には、20kHzの周波数かつ正極性の電流のみが通過する。したがって、発光機32−2の発光ダイオード52は、スイッチ42−3のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
発光機92−1のダイオード111には、10kHzの周波数かつ負極性の電流のみが通過する。したがって、発光機92−1のダイオード111は、スイッチ42−2のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
発光機92−2のダイオード111には、20kHzの周波数かつ負極性の電流のみが通過する。したがって、発光機92−1のダイオード111は、スイッチ42−4のスイッチングにより与えられるパターンの通りに点滅する。
このようにして、2種類の周波数を生成するとともに半波整流回路を備えた1つの制御装置151から、1ペアのケーブルで並列接続されている複数の発光機32−1,32−2、および、発光機92−1,92−2を、それぞれ異なる情報を伝達するためのパターンで点滅させることができる。
なお、ここでは、2つの発振周波数の信号をそれぞれ半波整流することにより、4つの発光機32−1,32−2、および、92−1,92−2をそれぞれ異なるパターンで点滅する場合について説明したが、発振周波数の種類を増やすことにより、接続可能な発光機の数を増加することが可能である。
また、ここでは、制御装置151に、並列共振回路を有する複数の発光機を並列に接続した場合について説明したが、上述した場合と同様にして、制御装置151には、直列共振回路を有する複数の発光機を直列に接続したり、直列共振回路を有する複数の発光機を並列に接続したり、並列共振回路を有する複数の発光機を直列に接続することが可能であるのは言うまでもない。
なお、発光機を直列に接続した場合、制御装置151には、スイッチをさらに1つ備え、そのスイッチに接続された、発振部43−1および43−2とは異なる周波数の信号を生成する発振部43−3、ならびに、断線検知部44をさらに設けるようにしてもよい。
図3〜図12を用いて説明した回路は、すべて、1つの制御装置から1ペアのケーブルを用いて複数の発光機を直列または並列に接続し、それぞれの発光機をそれぞれ異なる情報をあらわす異なるパターンで点滅可能とする。この回路を利用して、複数の特殊信号発光機が連続して多数存在するような場合においても、誤ることなく、自動的に、特殊信号発光機の視認可否を点検し確認することができる。
また、このような回路を適用することにより、例えば、信号機が複数の発光ユニットを有している場合において、制御箱等から1ペアのケーブルを信号機に配線するだけで、複数の発光ユニットをそれぞれ個別に点灯制御することが可能となる。したがって、信号機の設置にかかるコストや工数を削減することが可能となる。
次に、図13および図14を参照して、図3〜図12を用いて説明した各種回路を利用して、複数の特殊信号発光機が連続して多数存在するような場合においても、誤ることなく、自動的に、信号機の視認可否を点検し確認するための確認装置の構成および処理について説明する。
特殊信号発光機の視認可否を点検し確認する場合、それぞれの特殊信号発光機に設けられた、図3〜図12を用いて説明したいずれかの制御装置は、接続されている複数の特殊信号発光機を、どの踏切に対応する何番目の特殊信号発光機であるかを区別可能なパターンで点滅させる。例えば、検測車または営業列車などに、上述した特許文献(特許第4925987号公報または特開2010−173597号公報)に記載の確認装置を搭載し、運転士の視野と同等の視野となるように画像を撮像して解析させることにより、複数の特殊信号発光機が連続して多数存在するような場合においても、誤ることなく、自動的に、特殊信号発光機の視認可否を点検し確認することが可能となる。
図13は、確認装置201の構成を示すブロック図である。
確認装置201は、ビデオカメラ211、A/D変換部212、画像データ蓄積部213、制御部214、入力部215、設定部216、プログラム記憶部217、データ記憶部218、および、表示部219で構成されている。
ビデオカメラ211は、運転士の視野と同等の視野において、所定のサンプリングデータ(例えば、30Hz)で、画像を撮像し、A/D変換部212に供給する。
A/D変換部212は、ビデオカメラ211から供給されたアナログの撮像データをデジタル画像データに変換し、画像データ蓄積部213に供給する。
画像データ蓄積部213は、A/D変換部212から供給されたデジタル画像データを蓄積する。
制御部214は、プログラムに従って演算制御を行うことにより、画像データ蓄積部213に蓄積された画像の処理や、画像処理の結果、それぞれの特殊信号発光機の点滅パターンを正しく認識できたか否かを判断する処理などを実行したり、例えば、入力部215により入力された情報をデータ記憶部218に記憶させるなど、確認装置201の各部の処理を制御する。
入力部215は、例えば、それぞれの特殊信号発光機の点滅パターンなど、処理に必要な各種データなどの入力を受ける。
設定部216は、制御部214による演算制御のための各種の設定を行う。
プログラム記憶部217は、制御部214が実行する演算制御プログラムを記憶する。
データ記憶部218は、例えば、入力部215から入力された各種情報や、制御部が演算制御プログラムを実行することにより得られた結果などの各種データを記憶する。
表示部219は、例えば、液晶表示パネルやLED(Light Emitting Diode)表示パネルなどで構成され、制御部214の制御に基づいて、例えば、視認可否の判定結果などを運転士または保全関係社員などに知らせるための所定の情報を表示する。
なお、図13においては、例えば、視認可否の判定結果などを運転士または保全関係社員などに知らせるために、表示部219を備えるものとして説明したが、確認装置201には、例えば、表示部219に代わって、または、表示部219に加えて、音声出力部などを備え、音声を用いて、例えば、視認可否の判定結果などを運転士または保全関係社員などに知らせる事ができるようにしても良い。
次に、図14のフローチャートを参照して、確認装置201の信号検査処理について説明する。
このとき、制御装置のスイッチング制御部41は、それぞれ、いずれの踏切の、何番目の発光機であるかを区別可能な信号検査用パターンを、対応する信号がそれぞれ発光することができるようにスイッチ42のスイッチング動作を制御している。
また、確認装置201においては、予め、入力部215から、検査区間中、いずれの踏切の、何番目の発光機であるかを区別可能な信号検査用パターンと、それらが確認されるべき順番や区間を示す情報が入力され、データ記憶部218に記憶されている。
ステップS11において、制御部214は、データ記憶部218に記憶されている信号検査用パターンを読み込む。
ステップS12において、制御部214は、ステップS11において読み込まれた信号検査用パターンから、次に取得するべき信号のパターンを抽出する。
ステップS13において、A/D変換部212は、ビデオカメラ211により所定のサンプリングデータで撮像された画像を取得し、アナログの撮像データをデジタル画像データに変換し、画像データ蓄積部213に供給する。そして、画像データ蓄積部213は、A/D変換部212から供給されたデジタル画像データを蓄積する。
ステップS14において、制御部214は、例えば、上述した特許文献(特許第4925987号公報または特開2010−173597号公報)に記載の処理などにより、画像データ蓄積部213に蓄積されているデジタル画像データを解析し、ステップS12において抽出された、次に取得するべき信号のパターンが正しく撮像されているか否かの判別処理を実行する。
ステップS15において、制御部214は、ステップS14の判別処理の結果、所定の区間内で、対応する信号パターンに合致する点滅を検出できたか否かを判断する。
ステップS15において、対応する信号パターンに合致する点滅を検出できたと判断された場合、ステップS16において、制御部214は、データ記憶部218に、いずれの踏切に対応する何番目の信号が視認できたかを示す検出済みログを記録する。
ステップS15において、対応する信号パターンに合致する点滅を検出できなかったと判断された場合、ステップS17において、制御部214は、表示部219を制御して、いずれの踏切に対応する何番目の信号が視認できなかったかを示すエラー通知を行うとともに、データ記憶部218に、いずれの踏切に対応する何番目の信号が視認できなかったかを示すエラー検出ログを残す。
ステップS18において、制御部214は、信号用検査パターンを用いた視認可否確認が全て終わったか否かを判断する。
ステップS18において、視認可否確認が全て終わっていないと判断された場合、処理は、ステップS12に戻り、それ以降の処理が繰り返される。ステップS18において、視認可否確認が全て終わったと判断された場合、処理が終了される。
このような処理により、複数の信号機が連続して多数存在するような場合においても、誤ることなく、自動的に、信号機の視認可否を点検し確認することが可能となる。
また、上述した処理を応用することにより、緊急停止信号以外にも、ある程度緊急性が低い故障などを、列車を運行中の運転士などに知らせたり、必要に応じて、保全関係社員などに知らせるようにすることができる。
具体的には、踏切に、例えば、踏切内に人や自動車などが取り残された場合などの緊急停止が必要な状態のみならず、踏切警報音の音量の低下、踏切警報音発生器の片系故障、電気踏切遮断機の軽度の故障、遮断稈の折損、踏切警報灯の光量の減少などの軽度な故障も検知することが可能なセンサをそれぞれ設ける。線路脇に、通常、緊急停止信号が発生されるような、踏切内に人や車などが取り残された場合に点灯される緊急停止信号以外に、異常検出通知用ライト(または、異常検出通知用発光ユニット:以下、同様)を設け、踏切に設けられた制御装置が、緊急停止信号と異常検出通知用ライトとを、それぞれ個別に点灯制御することにより、緊急停止信号以外にも、ある程度緊急性が低い故障などを運転士や、必要に応じて、保全関係社員に知らせるようにすることができる。
図15を用いて、このときに用いられる、制御装置の一例である、制御装置231について説明する。
制御装置231は、図3を用いて説明した制御装置31に、新たに、センサ241を設ける。そして、制御装置231には、直列に、図3を用いて説明した発光機32−1、32−2が接続されている。例えば、発光機32−1は、非常停止用信号とし、発光機32−2は、異常検出通知用ライトとすることができる。センサ241は、例えば、踏切内に人や自動車などが取り残された場合などの緊急停止が必要な状態のみならず、踏切警報音の音量の低下、踏切警報音発生器の片系故障、電気踏切遮断機の軽度の故障、遮断稈の折損、踏切警報灯の光量の減少などの軽度な故障も検知することが可能である。センサ241は、1つではなく複数用いられていても良いし、複数のセンサから構成されるセンサユニットなどであっても良い。
スイッチング制御部41は、センサ241からの入力に基づいて、非常停止用信号の点灯制御を、スイッチ42−1のスイッチングを制御することにより行うとともに、異常検出通知用ライトの点灯制御を、スイッチ42−2のスイッチングを制御することにより行う。
なお、ここでは、制御装置231は、図3を用いて説明した制御装置31に対して、新たにセンサ241を設けたものとして説明したが、図3〜図12を用いて説明したいずれの制御装置に対して、新たに、センサ241を設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
また、ここでは、制御装置231には、直列に、発光機32−1,32−2が接続されているものとして説明したが、制御装置231において、情報伝達用に3つ以上の発振部43を備え、スイッチング制御部41が3つ以上のスイッチ42をスイッチングし、3種類以上の発振周波数を用いて情報を送信することにより、3つ以上の発光機32を制御装置231に接続して制御させてもよいことは言うまでもない。さらに、ここでは、制御装置231には、直列に、図3を用いて説明した発光機32−1,32−2が接続されているものとして説明したが、図3〜図12を用いて説明したこれ以外の接続方法を用いて複数の発光機を接続してもよいことは言うまでもない。
次に、図16のフローチャートを参照して、制御装置231が実行する異常検出処理1について説明する。
ステップS41において、スイッチング制御部41は、センサ241から異常検出の通知があったか否かを判断する。ステップS41において、センサ241から異常検出の通知がなかったと判断された場合、ステップS41の処理が繰り返される。
ステップS41において、センサ241から異常検出の通知があったと判断された場合、ステップS42において、スイッチング制御部41は、踏切内に人や自動車などが取り残された場合などの、緊急停止が必要な異常が検出されたか否かを判断する。
ステップS42において、緊急停止が必要な異常が検出されていないと判断された場合、ステップS43において、スイッチング制御部41は、例えば、踏切警報音の音量の低下、踏切警報音発生器の片系故障、電気踏切遮断機の軽度の故障、遮断稈の折損、踏切警報灯の光量の減少などの緊急停止が必要でない異常が検出されたか否かを判断する。ステップS43において、緊急停止が必要でない異常が検出されていないと判断された場合、処理は、ステップS41に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS43において、緊急停止が必要でない異常が検出されたと判断された場合、ステップS44において、スイッチング制御部41は、スイッチ42−2のスイッチングを制御することにより、発光機32−2、すなわち、異常検出通知用ライトを点灯させ、処理は、ステップS41に戻る。
ステップS42において、緊急停止が必要な異常が検出されたと判断された場合、ステップS45において、スイッチング制御部41は、スイッチ42−1のスイッチングを制御することにより、発光機32−1、すなわち、緊急停止信号を点灯させて、処理が終了される。
このような処理により、列車走行中の運転士は、通常の緊急停止信号以外に、軽度の異常が検出されたことを、異常検出通知用ライトの点灯により認識することができ、例えば、軽度の異常が検出された踏切を、速度を落として十分注意して通過するなど、より安全に配慮した運転を行うことができる。
図16を用いて説明した処理により点灯制御される緊急停止信号および異常検出通知用ライトは、運転士によって目視確認されるものであっても良いが、上述した確認装置201を用いて、緊急停止信号および異常検出通知用ライトの点灯を自動的に検出し、表示出力することにより、運転士に通知することができるようにしても良い。
次に、図17のフローチャートを参照して、確認装置201が実行する信号パターン検出処理1について説明する。
このとき、制御装置231のスイッチング制御部41は、図16を用いて説明したように、非常停止用信号および異常検出通知用ライトの点灯制御を、センサ241からの入力に基づいて、スイッチ42−1およびスイッチ42−2のスイッチングを制御することにより行っている。
また、確認装置201においては、入力部215から、緊急停止信号および異常検出通知用ライトの位置が、予め入力され、データ記憶部218に記憶されている。
ステップS61において、A/D変換部212は、ビデオカメラ211により所定のサンプリングデータで撮像された画像を取得し、アナログの撮像データをデジタル画像データに変換し、画像データ蓄積部213に供給する。そして、画像データ蓄積部213は、A/D変換部212から供給されたデジタル画像データを蓄積する。
ステップS62において、制御部214は、例えば、上述した特許文献(特許第4925987号公報または特開2010−173597号公報)に記載の処理などにより、画像データ蓄積部213に蓄積されているデジタル画像データを解析し、撮像された画像に、緊急停止信号または異常検出通知用ライトの点灯が写っているか否かの判別処理を実行する。
ステップS63において、制御部214は、ステップS62の判別処理の結果、緊急停止信号を検出したか否かを判断する。
ステップS63において、緊急停止信号を検出していないと判断された場合、ステップS64において、制御部214は、ステップS62の判別処理の結果、異常検出通知用ライトの点灯を検出できたか否かを判断する。ステップS64において、異常検出通知用ライトの点灯を検出できなかったと判断された場合、処理は、ステップS61に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
スステップS64において、異常検出通知用ライトの点灯を検出したと判断された場合、テップS65において、制御部214は、表示部219を制御して、異常検出通知用ライトの点灯を検出したことを運転士に通知するための出力処理を行う。
ステップS66において、制御部214は、データ記憶部218に、異常検出通知用ライトの点灯の検出済みログを残し、処理は、ステップS61に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS63において、緊急停止信号を検出したと判断された場合、ステップS67において、制御部214は、表示部219を制御して、運転士に緊急停止を通知するための処理を行い、処理が終了される。
このような処理により、緊急停止信号および異常検出通知用ライトの点灯を自動的に検出し、表示出力することにより、運転士に通知することができる。
また、異常検出通知用ライトを点灯させるのみならず、異常検出通知用ライトを所定のパターンで点滅させ、確認装置201において、そのパターンにより、どの踏切においてどのような異常が発生したかを検出し、その緊急度に応じた処理を実行可能なようにしても良い。
図18を参照して、異常検出通知用ライトを所定のパターンで点滅させ、そのパターンにより、どの踏切においてどのような異常が発生したかを示すことができる制御装置の一例である、制御装置251について説明する。
制御装置251は、図15を用いて説明した制御装置231に対して、どの踏切において、どのような異常が発生したかを個別に区別可能な点滅パターンを予め記憶しているメモリ261を新たに設けている。そして、制御装置251には、直列に、図3を用いて説明した発光機32−1,32−2が接続されている。例えば、発光機32−1は、非常停止用信号とし、発光機32−2は、異常検出通知用ライトとすることができる。
スイッチング制御部41は、センサ241からの入力に基づいて、非常停止用信号の点灯制御を、スイッチ42−1のスイッチングを制御することにより行うとともに、異常検出通知用ライトの点滅制御を、メモリ261に記憶された点滅パターンに基づいて、スイッチ42−2のスイッチングを制御することにより行う。
また、確認装置201においては、予め、入力部215から、いずれの踏切においてどのような異常が発生したかを個別に区別可能な点滅パターンの入力を受け、その点滅パターンとともに、どのような異常が、例えば、走行中の列車を運転している運転士に通知が必要な、重要度の高い第1の重要度であり、どのような異常が、重要度が比較的低いので、運転士に即時通知する必要は無く、異常検出を記録するのみでよい程度の第2の重要度であるかを示す情報が、データ記憶部218に記憶されている。
なお、ここでは、制御装置251は、図15を用いて説明した制御装置231に対して、新たにメモリ261を設けたものとして説明したが、図3〜図12を用いて説明したいずれの制御装置に対して、新たに、センサ241およびメモリ261を設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
また、ここでは、制御装置251には、直列に、発光機32−1,32−2が接続されているものとして説明したが、制御装置251において、情報伝達用に3つ以上の発振部43を備え、スイッチング制御部41が3つ以上のスイッチ42をスイッチングし、3種類以上の発振周波数を用いて情報を送信することにより、3つ以上の発光機32を制御装置231に接続して制御させてもよいことは言うまでもない。さらに、ここでは、制御装置251には、直列に、図3を用いて説明した発光機32−1,32−2が接続されているものとして説明したが、図3〜図12を用いて説明したこれ以外の接続方法を用いて複数の発光機を接続してもよいことは言うまでもない。
次に、図19のフローチャートを参照して、制御装置が実行する異常検出処理2について説明する。
ステップS81において、スイッチング制御部41は、センサ241から異常検出の通知があったか否かを判断する。ステップS81において、センサ241から異常検出の通知がなかったと判断された場合、ステップS81の処理が繰り返される。
ステップS81において、センサ241から異常検出の通知があったと判断された場合、ステップS82において、スイッチング制御部41は、踏切内に人や自動車などが取り残された場合などの、緊急停止が必要な異常が検出されたか否かを判断する。
ステップS82において、緊急停止が必要な異常が検出されていないと判断された場合、ステップS83において、スイッチング制御部41は、例えば、踏切警報音の音量の低下、踏切警報音発生器の片系故障、電気踏切遮断機の軽度の故障、遮断稈の折損、踏切警報灯の光量の減少などの緊急停止が必要でない異常が検出されたか否かを判断する。ステップS83において、緊急停止が必要でない異常が検出されていないと判断された場合、処理は、ステップS81に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS83において、緊急停止が必要でない異常が検出されたと判断された場合、ステップS84において、スイッチング制御部41は、メモリ261から、異常検出内容に対応する点滅パターンを読み出す。
ステップS85において、スイッチング制御部41は、発光機32−2、すなわち、異常検出通知ライトが対応するパターンで点滅するように、スイッチ42−2のスイッチングを制御して、処理は、ステップS81に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS82において、緊急停止が必要な異常が検出されたと判断された場合、ステップS86において、スイッチング制御部41は、スイッチ42−1のスイッチングを制御することにより、発光機32−1、すなわち、緊急停止信号を点灯させて、処理が終了される。
このような処理により、緊急停止信号を点灯させるのみならず、その異常の内容に基づいて、異常検出通知用ライトを所定のパターンで点滅させることができるので、確認装置201に、より詳細な異常情報を検出させることが可能となる。
次に、図20のフローチャートを参照して、確認装置201が実行する信号パターン検出処理2について説明する。
ステップS101において、A/D変換部212は、ビデオカメラ211により所定のサンプリングデータで撮像された画像を取得し、アナログの撮像データをデジタル画像データに変換し、画像データ蓄積部213に供給する。そして、画像データ蓄積部213は、A/D変換部212から供給されたデジタル画像データを蓄積する。
ステップS102において、制御部214は、例えば、上述した特許文献(特許第4925987号公報または特開2010−173597号公報)に記載の処理などにより、画像データ蓄積部213に蓄積されているデジタル画像データを解析し、撮像された画像に、緊急停止信号の点灯、または、異常検出通知用ライトの点滅が写っているか否かの判別処理を実行する。
ステップS103において、制御部214は、ステップS102の判別処理の結果、緊急停止信号を検出したか否かを判断する。
ステップS103において、緊急停止信号を検出していないと判断された場合、ステップS104において、制御部214は、ステップS102の判別処理の結果、故障通知に対応する信号パターンに合致する点滅を検出できたか否かを判断する。ステップS104において、異常検出通知用ライトの点滅を検出できなかったと判断された場合、処理は、ステップS101に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS104において、異常検出通知用ライトの点滅を検出できたと判断された場合、ステップS105において、制御部214は、データ記憶部218に記憶されている情報に基づいて、検出された故障の内容の重要度を判別する。
ステップS106において、制御部214は、検出された故障の内容の重要度は、運転士に知らせるべき重要度である第1の重要度であるか否かを判断する。
ステップS106において、検出された故障の内容の重要度は第1の重要度であると判断された場合、ステップS107において、制御部214は、データ記憶部218に記憶されている情報に基づいて、表示部219を制御して、いずれの踏切でどのような故障が発生しているかを運転士に通知するための出力処理を行う。
ステップS106において、検出された故障の内容の重要度は第1の重要度でないと判断された場合、故障の内容は、第2の重要度である。したがって、ステップS106において、検出された故障の内容の重要度は第1の重要度でないと判断された場合、または、ステップS107の処理の終了後、ステップS108において、制御部214は、データ記憶部218に、いずれの踏切でどのような故障が発生しているかを示す検出済みログを残し、処理は、ステップS101に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS103において、緊急停止信号を検出したと判断された場合、ステップS109において、制御部214は、表示部219を制御して、運転士に緊急停止を通知するための処理を行い、処理が終了される。
このような処理により、緊急停止信号の検出のみならず、異常の内容に基づいて点滅される異常検出通知用ライトが示す情報を、誤ることなく自動的に検出し、表示出力することにより、運転士に通知することができるので、運転士は、例えば、軽度の異常が検出された踏切を、速度を落として十分注意して通過するなど、より安全に配慮した運転を行うことができる。また、運転士に即時通知が必要でないような軽度の異常の検出ログを残しておくことができるので、蓄積されたログに基づいて、速やかに保守点検を行うことが可能となる。
また、例えば、検出された内容が、運転士に即時通知が必要でないような軽度の異常である渋滞情報のとき、ログを蓄積して、渋滞発生を検出した踏切やその時間を解析し、例えば、ダイヤ改正などに反映させて、渋滞を軽減させるようにすることができる。
このように、1個の制御装置で、2個以上の信号機や特殊信号発光機を個別に制御することを可能とすることにより、制御装置やケーブルの数を削減でき、システムの簡略化が可能となる。
従来においては、新たな発光機を設けて、すでにある発光機とは異なるタイミングの点灯制御を行いたい場合には、新たにケーブルを敷設する必要があった。一般に、制御装置と発光機との距離は長い場合が多く、野外に敷設されるケーブルは、劣悪な状況に耐えるため、高価なものである場合が多いため、ケーブルの本数が増えることは、設置時および保守時に要するコストや工期の増加につながる。これに対して、上述した技術を適用することにより、1ペアのケーブルのみで、2種類以上の情報を制御装置から発光機に送信することができるため、例えば、発光機を新たに設け、他の発光機とは個別に発光タイミングを制御したい場合においても、長く高価なケーブルを新たに敷設する必要がない。
また、従来、制御装置に並列に複数の発光機を接続して、それぞれ同一のタイミングで点灯させていた状態から、上述した技術を用いて、複数の発光機をそれぞれ個別に点灯制御するようにシステムを変更する場合、ケーブルを取り換えず、発光機のみの交換、または、発光機内部の部品や配線の交換を行えばよい。このため、システムの変更にかかるコストや工期の問題を解決することができる。
また、発光機を制御装置に対して直列に接続した場合、ケーブルの断線検知が容易に可能となる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。