本発明の一の例示的な実施形態について以下に述べる。
図1は、本実施形態に係る使い捨て下着であるパンツ型の使い捨ておむつ1の正面図であり、図2はその背面図である。図3は、使い捨ておむつ1の腹側部材2及び背側部材3を形成するための裁断予定線、伸長状態の弾性部材及び非弾性領域を示す図である。図4は、使い捨ておむつ1の各弾性部材が伸長された状態での展開図である。図5は、使い捨ておむつ1の股部材4の弾性部材を伸長した状態での正面図である。図6は、図5の股部材4のVI−VI線に沿った模式的断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の使い捨ておむつ1は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部材2と、背側に位置する背側部材3と、これらの各中央部2c,3cに架け渡されて接合された股部材4とを備える。腹側部材2及び背側部材3は、腹側部材2の胴周り方向の両端部2a,2b及び背側部材3の胴周り方向の両端部3a,3bに沿って形成される両接合部5a,5bで、互いに接合される。両接合部5a,5bの下部及びその周辺には、位置決め用接合部K1,K2が形成されている。腰開口部6は、腹側部材2の上端縁7及び背側部材3の上端縁8に囲まれて形成される。左右の脚開口部9a,9bは、腹側部材2の下端縁10と、背側部材3の下端縁11と、股部材4の左側縁4a又は右側縁4bとに囲まれて形成される。
図1及び図2に示すように、腹側部材2及び背側部材3には、各胴周り方向に胴周り弾性部材12が延在している。腹側部材2の左右の脚開口部9a,9bには、第1弾性部材である第1脚周り弾性部材13が延在している。背側部材3の左右の脚開口部9a,9bには、第2脚周り弾性部材14が延在している。非弾性領域P1,P2,P3は、それぞれの領域内に延在する各弾性部材12,13,14の張力を消失させた領域である。腹側部材2及び背側部材3の腰開口部6及びその周辺には、腰周りギャザー15,15が形成されている。腹側部材2及び背側部材3の腰周りギャザー15,15の下には、胴周りギャザー16,16が形成されている。腹側部材2の左右の脚開口部9a,9bには、脚周りギャザー17,17が形成されている。背側部材3の左右の脚開口部9a,9bには、脚周りギャザー18,18が形成されている。股部材4の左右の脚開口部9a,9b及びその周辺の股部弾性部材25(すなわち、25a,25b及び25c)が延在する領域には、股部ギャザー19,19が形成されている。
図3に示すように、使い捨ておむつ1の腹側部材2及び背側部材3は、着用時に着用者側に位置する内面シート101と、着用者と反対側に位置する外面シート102とが、それらの間に伸長状態で適宜配置された胴周り弾性部材12、第1脚周り弾性部材13及び第2脚周り弾性部材14を挟んで、貼り合わされた構造を含む積層体を、裁断予定線Cに沿って切り分けることによって形成される。腹側部材2の下端縁10及び背側部材3の下端縁11は、共通の裁断予定線Cで裁断されて形成されるものであり、伸展された状態で突き合わされたときに、一致する。
使い捨ておむつ1の内面シート101及び外面シート102の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の化学繊維、綿、セルロース等の天然繊維、又はこれらの組合せなどからなる不織布である。なお、該材料は、不織布に限らず、樹脂フィルム、ティッシュ、伸縮材、若しくは、それらの積層体、又はそれらを適宜つなぎ合わせてシート状としたものでもよい。
図4に示すように、伸展された状態の腹側部材2は、長方形において一長辺の両端を除く部分が内側に略台形状に凹んだ形状をしている。腹側部材2の胴周り方向の両端部2a,2b及び上端縁7は、直線状である。腹側部材2の下端縁10は、一対の両端ライン10a,10aと、一対の傾斜ライン10b,10bと、中央ライン10cを含んでいる。両端ライン10a,10aは、腹側部材2の胴周り方向に略平行であり、両端部2a,2bから接合部5a,5bを少し越えた位置まで延びる。傾斜ライン10b,10bは、両端ライン10a,10aから、腹側部材2の股部材4と重なる領域である中央部2cの左右境界まで、上端縁7側へ次第に上昇して延びる。中央ライン10cは、胴周り方向に略平行であり、両傾斜ライン10b,10b間をつないでいる。
図4に示すように、伸展された状態の背側部材3は、長方形において一長辺の両端を除く部分が外側に略台形状に突出した形状をしている。背側部材3の胴周り方向の両端部3a,3b及び上端縁8は、直線状である。背側部材3の下端縁11は、一対の両端ライン11a,11aと、一対の傾斜ライン11b,11bと、中央ライン11cを含んでいる。両端ライン11a,11aは、背側部材3の胴周り方向に略平行であり、両端部3a,3bから接合部5a,5bを少し越えた位置まで延びる。傾斜ライン11b,11bは、両端ライン11a,11aから、背側部材3の股部材4と重なる領域である中央部3cの左右境界まで、上端縁8と反対側へ次第に下降して(図4においては上昇して)延びる。中央ライン11cは、胴周り方向に略平行であり、両傾斜ライン11b,11b間をつないでいる。
図4に示すように、腹側部材2の胴周り方向ないし左右方向の長さ、すなわち腹側部材2の直線状の上端縁7の長さは、背側部材3の胴周り方向ないし左右方向の長さ、すなわち背側部材3の直線状の上端縁8の長さと略等しい。また、腹側部材2の股上、すなわち腹側部材2の上端縁7から下端縁10までの距離は、両接合部5a,5b付近で最長となり、股部材4と重なる中央部2cの左右境界付近で最短となる。背側部材3の股上、すなわち背側部材3の上端縁8から下端縁11までの距離は、両接合部5a,5b付近で最短となり、股部材4と重なる中央部3cの左右境界付近で最長となる。腹側部材2の両端部2a,2b、背側部材3の両端部3a,3b、及び両部材の接合部5a,5bの各股上は略等しい。腹側部材2の接合部5a,5bでの股上と腹側部材2の中央部2cの左右境界での股上との差、及び、背側部材3の中央部3cの左右境界での股上と背側部材3の接合部5a,5bでの股上との差は、大人用の使い捨ておむつでは、3〜12cmであり、より望ましくは5〜9cmである。
図4に示すように、股部材4は、腹側部材2及び背側部材3の各中央部2c,3cの内面シート101,101に接合される。内面シート101が使い捨ておむつ1の内側になるように股部材4を二つ折りして、腹側部材2の両端部2a,2bを、背側部材3の両端部3a,3bにそれぞれ重ね合わせる。重ね合わせた両端部2a,3a及び2b,3bに沿って接合部5a,5bが形成される。接合部5a,5bは、接着剤による接着、ヒートシール、超音波シール等の様々なシール方法で形成することができる。接合部5a,5bは、腹側部材2及び背側部材3の上端縁7,8と、下端縁の平行な両端ライン10a,10b,11a,11bとの間の領域に形成される。そのため、両端部2a,2b,3a,3bの上下長全体に沿って、且つ十分な幅で、接合部5a,5bを形成することができる。接合部5a,5bは、両端部2a,2b,3a,3bの上下長全体に亘って間欠的に形成される。なお、接合部5a,5bは、これに限られず、両端部2a,2b,3a,3bの上下長全体に亘って連続的に形成されてもよい。
図4に示すように、腹側部材2及び背側部材3の胴周り方向の両端部2a,3a及び2b,3bに沿って形成された接合部5a,5bの下部及びその周辺には、接合部5a,5bの一部に重なって形成された位置決め用接合部K1,K2が形成されている。位置決め用接合部K1は端部2a,3aに接しておらず、位置決め用接合部K2は端部2b,3bに接していない。なお、これに限らず、位置決め用接合部は、前記各端部に接していてもよい。また、位置決め用接合部は、接合部5a,5bに重ならずに、接合部5a,5bの一部として形成されてもよい。また、位置決め用接合部は、接合部5a,5bに重ならずに、接合部5a,5bの周辺に形成されてもよい。
図3及び図4に示すように、胴周り弾性部材12,第1弾性部材である第1脚周り弾性部材13,及び第2脚周り弾性部材14は、いずれも、一群の複数の糸状の弾性部材である。各糸状の弾性部材は、伸長された状態で、腹側部材2及び背側部材3を構成する内面シート101又は外面シート102上に適宜配置されて接着される。両シート101,102は、各弾性部材を間に挟んで、貼り合わされる。
図3及び図4に示すように、胴周り弾性部材12は、胴周り弾性部材12a,12b,12c,12d,12e,及び12fを含んでいる。胴周り弾性部材12a,12b,及び12cは、腹側部材2の胴周り方向に伸長された状態で配置されている。胴周り弾性部材12aは、腹側部材2の上端縁7に沿った腰開口部6及びその周辺の領域に配置されている。胴周り弾性部材12bは、胴周り弾性部材12aより下で腹側部材2の中央ライン10cより上の領域に配置されている。胴周り弾性部材12cは、胴周り弾性部材12bより下で、第1脚周り弾性部材13の両端部より上の領域に配置されている。図3に示すように、胴周り弾性部材12cは裁断予定線Cを横切る。そのため、胴周り弾性部材12cの一部は、背側部材3の中央ライン11cの周辺に延在している。
図3及び図4に示すように、胴周り弾性部材12d,12e,及び12fは、背側部材3の胴周り方向に伸長された状態で配置されている。胴周り弾性部材12dは、背側部材3の上端縁8に沿った腰開口部6及びその周辺の領域に配置されている。胴周り弾性部材12eは、胴周り弾性部材12dより下、すなわち下端縁11側の領域に配置されている。胴周り弾性部材12fは、胴周り弾性部材12eより下、すなわち下端縁11側であって、第2脚周り弾性部材14より上、すなわち上端縁8側の領域に配置されている。背側部材3の胴周り弾性部材12d,12e,及び12fの配置された領域の上下長、すなわち胴周り方向と垂直な方向の長さは、それぞれ、腹側部材2の胴周り弾性部材12a,12b,及び12cの配置された領域の上下長と略等しい。
腹側部材2の胴周り弾性部材12a、12b、及び12cの中で、構成要素の糸状の各弾性部材の配列間隔は、胴周り弾性部材12aが最も狭く、胴周り弾性部材12bが2番目に狭く、胴周り弾性部材12cが最も広い。背側部材3の胴周り弾性部材12d,12e,及び12fの該配列間隔は、それぞれ、腹側部材2の胴周り弾性部材12a,12b,及び12cの該配列間隔と略等しい。なお、本実施形態では、胴周り弾性部材12aの構成要素である糸状の各弾性部材の配列間隔が略等しくなっているが、これに限らず、等間隔でなくてもよい。他の胴周り弾性部材12bから12fについても同様である。胴周り弾性部材12の配列間隔は、上記に限られず、着用者の身体各部の形状を考慮してフィット性や外観性の向上を図るために適宜調整することができる。
本実施形態では、腹側部材2の胴周り弾性部材12aから12c及び第1脚周り弾性部材13並びに第2脚周り弾性部材14は、単位長さ当たりの張力及び延伸倍率が同じである。これに対して、背側部材3の胴周り弾性部材12dから12fは、腹側部材2の胴周り弾性部材12aから12cよりも、延伸倍率が低くなっている。すなわち、腹側部材2の胴周り弾性部材12は、背側部材3の胴周り弾性部材12よりも、高い張力を有している。腹側部材2及び背側部材3は、胴周り方向の長さが略等しい。図1に示すように、腹側部材2が背側部材3よりも胴周り方向に縮んで、接合部5a,5bが使い捨ておむつ1の腹側部材2の側すなわち正面側に現れる。
なお、本実施形態の変形例として、腹側部材2の胴周り弾性部材12の張力を、12a,12b,12cの順に高くしてもよい。また、背側部材3の胴周り弾性部材12の張力を、12d,12e,12fの順に高くしてもよい。このようにして、腹側部材2及び背側部材3の胴周り弾性部材12の張力が、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かって、領域毎に又は段階的に低くなるようにしてもよい。このように変形した使い捨ておむつ1は、腰開口部6が縮んで、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かって広がる形状とすることをより詳細に調節して、着用者へのフィット性を向上させることができる。なお、胴周り弾性部材12の張力は、腰開口部2から下方の脚開口部9a,9bへ向かって、領域毎にではなく、弾性部材1本ごとに次第に低くなるようにしてもよい。弾性部材の張力を異なるものとするためには、弾性部材の延伸倍率を異なるものとしてもよく、異なる弾性率の弾性部材を使用してもよい。
図3及び図4に示すように、第1弾性部材である第1脚周り弾性部材13は、腹側部材2の左右の脚開口部9a,9bを形成する下端縁10に沿って延びるのではなく、腹側部材2の両接合部5a,5bの下部から胴周り方向の中央まで上端縁7側へ上昇して延在している。第1脚周り弾性部材13は、各接合部5a,5bの下部から、胴周り弾性部材12aの下端付近の中央へ向かう方向に、略直線状に延びている。第1脚周り弾性部材13が延在する、腹側部材2の股部材4と重なる領域及びその周辺の脚開口部9a,9bの領域は、着用者へのフィット性が良い。第1脚周り弾性部材13の中央部分は、緩やかな曲線状である。第1脚周り弾性部材13の張力は、第1脚周り弾性部材13が左接合部5aの下部から右接合部5bの下部まで直線状に延びるように働くので、腹側部材2の上端縁7の中央部7aを引き下げる力を生じさせる。これにより、使い捨て下着1は、腹側部材2の上端縁7の中央部7aが、背側部材3の上端縁8よりも下がっている。なお、第1脚周り弾性部材13を構成する各糸状の弾性部材は、並行しており、配列間隔が略等しいが、これに限らず、並行してなくてもよく、配列間隔が等しくなくてもよい。
図3及び図4に示すように、第2脚周り弾性部材14は、背側部材3の両接合部5a,5の下部から中央ライン11cまで上端縁8と反対側へ下降して延在している。第2脚周り弾性部材14は、各接合部5a,5bの下部から、中央ライン11cの左右端部まで、略直線状に延びている。背側部材3の第2脚周り弾性部材14が延在する領域は、着用者へのフィット性が良い。第2脚周り弾性部材14は、背側部材3の股部材4と重なる中央部3c及びその左右周辺の領域で、胴周り弾性部材12cと交差している。図3に示すように、第2脚周り弾性部材14は、裁断予定線Cを横切る。そのため、第2脚周り弾性部材14の一部は、腹側部材2の中央部2cの領域に延在している。なお、第2脚周り弾性部材14を構成する各糸状の弾性部材は、並行しており、配列間隔が略等しいが、これに限らず、並行してなくてもよく、配列間隔が等しくなくてもよい。
胴周り弾性部材12,第1脚周り弾性部材13,及び第2脚周り弾性部材14を構成する各糸状の弾性部材は、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、伸縮性ホットメルト等の伸縮可能な材料により形成される。なお、各弾性部材12,13,14は、糸状の弾性部材に限らず、帯状やシート状の弾性部材を使用してもよい。また、腹側部材2又は背側部材3全体を伸縮性シートなどの素材で形成してもよい。シート状の弾性部材を使用する場合や、腹側部材2又は背側部材3全体を伸縮性シートで形成する場合には、張力が各弾性部材12,13、及び14の延在する方向に働くようにする必要がある。
図3及び図4において、非弾性領域P1、P2及びP3は、領域内の弾性部材の張力を消失させた領域である。弾性部材の張力を消失させる加工としては、例えば、多数の凸部やカッター刃等による弾性部材の切断や、熱シール等、適宜選択して行ってよい。
図3及び図4に示すように、非弾性領域P1は、腹側部材2の胴周り方向の中央に、上端縁7側に頂点を有する三角形状に形成されている。非弾性領域P1の三角形の頂点は、腹側部材2の胴周り方向の中心線上であって、胴周り弾性部材12bの配置された領域の上端付近に位置している。非弾性領域P1の三角形の底辺は、下端縁10の中央ライン10c上に位置している。非弾性領域P1を形成されたことによって、胴周り弾性部材12bは中央部で分断され、下端縁10に近いほど、張力を消失した部分が長くなる。
なお、非弾性領域P1の形状は、三角形状に限られず、腹側部材2の上端縁7側に頂点を有する先細り形状であればよく、例えば、放物線状、円弧状などでもよい。
図3及び図4に示すように、腹側部材2の胴周り弾性部材12aは、非弾性領域が形成されていないので、張力を有する部分が最も長い。胴周り弾性部材12bは、非弾性領域P1によって左右に分断され、張力を有する部分が下端縁10に近いほど短くなる。胴周り弾性部材12cは、下端縁10によって左右に分断されており、張力を有する部分は、胴周り弾性部材12bよりも短く、しかも下方に向かうほど短い。
このように、非弾性領域P1を形成することによって、腹側部材2は、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かうに従って、胴周り弾性部材12の張力を有する部分の長さが短くなる。そのため、図1に示すように、腹側部材2は、腰開口部6が縮んで、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かって緩やかに広がる形状となる。使い捨ておむつ1は、腰周りから両脚付け根へ向かって幅広となる体形を通常有する着用者へのフィット性が良い。
図1、図3及び図4に示すように、非弾性領域P1によって、第1脚周り弾性部材13は、その中央に三角形状に張力を消失した部分を形成され、張力を有する部分を中央で分断されている。しかし、左右の接合部5a,5bの下部から中央まで上端縁7側へ上昇して延びる略直線状部分には、非弾性領域がない。第1脚周り弾性部材13の左右に分断された張力を有する部分同士が、左接合部5aの下部から中央まで上端縁7側へ略直線状に上昇する方向の張力と、右接合部5bの下部から中央まで上端縁7側へ略直線状に上昇する方向の張力とで引き合うことによって、腹側部材2の中央部を引き下げる力を生じさせている。これにより、図1に示すように、使い捨ておむつ1は、腹側部材2の上端縁7が、その中央部7aを最下方位置として、背側部材3の上端縁8よりも下がっている。
図2から図4に示すように、非弾性領域P2は、背側部材3の中央部3cの中央ライン11c上に一長辺を有する略長方形状に形成されている。非弾性領域P2の左右幅は、非弾性領域P1の三角形の底辺の幅と同じである。非弾性領域P2を形成されたことによって、胴周り弾性部材12cの中央部、及び、第2脚周り弾性部材14の一部は、張力を消失されている。
図2から図4に示すように、非弾性領域P3は、背側部材3の胴周り方向の中央に、上端縁8側を頂点とする略三角形と、該三角形の底辺と同幅の略長方形とを結合した形状、言わばホームベース形状に形成されている。非弾性領域P3の三角形部分の頂点は、背側部材3の胴周り方向の中心線上であって、胴周り弾性部材12eの配置された領域内の上部に位置している。非弾性領域P3の三角形部分の底辺は、胴周り弾性部材12eと胴周り弾性部材12fとの間に位置している。非弾性領域P3の長方形部分の下端縁11c側の底辺は、胴周り弾性部材12fより下端縁11側に位置している。非弾性領域P3の左右幅は、非弾性領域P1及びP2の各左右幅よりも大きい。非弾性領域P3を形成されたことによって、胴周り弾性部材12eは、中央部で分断され、下端縁11に近いほど、張力を消失した部分が長くなる。胴周り弾性部材12fは、その中央部に、張力を消失された部分が広がっている。なお、非弾性領域P3の形状は、ホームベース形状に限られず、背側部材3の上端縁8側に頂点を有する先細り形状であればよい。
図3及び図4に示すように、背側部材3の胴周り弾性部材12dは、非弾性領域が形成されていないので、張力を有する部分が最も長い。胴周り弾性部材12eは、非弾性領域P3によって左右に分断され、張力を有する部分が下端縁11に近いほど短くなる。胴周り弾性部材12fは、非弾性領域P3によって左右に分断されており、張力を有する部分の長さは、胴周り弾性部材12eの最も下端縁11寄りにある張力を有する部分の長さと同じである。このように、非弾性領域P3を形成することによって、背側部材3は、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かうに従って、胴周り弾性部材12の張力を有する部分の長さが短くなる。そのため、図2に示すように、背側部材3は、腰開口部6が縮んで、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かって緩やかに広がる形状となる。使い捨ておむつ1は、腰周りから両脚付け根へ向かって幅広となる体形を通常有する着用者へのフィット性が良い。
図4に示すように、非弾性領域P1,P2,及びP3は、腹側部材2及び背側部材3に股部材4が接合されたときに、股部材4に配置される吸収体20の内側となる位置に、形成されている。非弾性領域P1,P2,及びP3によって、吸収体20を配置される領域に含まれる弾性部材の主要な部分は、張力を消失されている。これにより、弾性部材の張力より吸収体20が変形したり縮んだりするのが抑制される。
図1及び図2に示すように、腰周りギャザー15,15は、腹側部材2及び背側部材3の腰開口部6及びその周辺であって、胴周り弾性部材12a又は12dが配置された領域に形成されている。腰周りギャザー15,15は、使い捨ておむつ1の腰開口部6を着用者に適度に密着させて、おむつ1のずり下がりや、腰開口部6からの排泄物等の漏れを防止する。
図1及び図2に示すように、胴周りギャザー16,16は、腹側部材2及び背側部材3の腰周りギャザー15,15の領域の下で、胴周り弾性部材12b及び12c、又は、胴周り弾性部材12e及び12fが配置された領域に形成されている。胴周りギャザー16,16は、使い捨ておむつ1の腹側部材2及び背側部材3を着用者に適度に密着させ、かつ、非弾性領域P1,P2及びP3により股部材4及び吸収体20の変形を抑制されつつ、おむつのフィット性を高め、排泄物等の漏れを防止する。
図1に示すように、脚周りギャザー17,17は、腹側部材2の左右の脚開口部9a,9b及びその周辺であって、第1脚周り弾性部材13が配置された領域に形成されている。図1及び図2に示すように、脚周りギャザー18,18は、背側部材3の左右の脚開口部9a,9b及びその周辺であって、第2脚周り弾性部材14が配置された領域に形成されている。脚周りギャザー17,17及び18,18は、使い捨ておむつ1の左右の脚開口部9a,9bを着用者に適度に密着させ、脚開口部9a,9bからの排泄物等の漏れを防止する。
図4から図6に示すように、股部材4は、股部材本体である股部シート4と、吸収材21を上層ティッシュ22a及び下層ティッシュ22bで包んだ吸収体20と,トップシート23と、バックシート24と、股部シート4に伸長された状態で適宜配置される股部弾性部材25と、腹側接合部J1及び背側接合部J2を含んでいる。
図4に示すように、股部材4の本体である股部シート4は、腹側部材2の中央部2cと背側部材3の中央部3cとに架け渡されて、各内面シート101上に接合される。股部シート4は、腹側部材2に重なる面のほぼ全面である腹側接合部J1、及び、背側部材3に重なる面のほぼ全面である背側接合部J2を、それぞれ腹側部材2及び背側部材3に接着剤で接合される。股部シート4の材料は、不織布を使用しているが、これに限らず、腹側部材2及び背側部材3の内面シート101及び外面シート102と同様の材料を使用することができる。
図4から図6に示すように、股部シート4は、腹側部材2と背側部材3に架け渡される方向を長手方向とする、略長方形状である。股部シート4の腹側端縁4cは、腹側部材2の胴周り弾性部材12aと胴周り弾性部材12bとの間に位置する。股部シート4の背側端縁4dは、背側部材3の胴周り弾性部材12eの領域内の上部に位置する。股部シート4の幅方向の両端部が吸収体20側へ折り返され、その折り目が股部材4の左右側縁4a,4bを形成している。股部シート4の折り返し片の端縁4e,4fは、股部シート4に配置される吸収体20の最大幅部分の左右の外縁に位置する。なお、これに限らず、股部シート4の折り返し片の端縁4e,4fは、吸収体20の内縁に位置してもよい。股部材4の幅、すなわち左右側縁4a,4b間の距離は、吸収体20の最大幅よりも広くなっている。なお、股部シート4の形状は、略長方形状に限られず、腹側端縁又は背側端縁が曲線である帯状であってもよい。股部材4が腹側部材2又は背側部材3に接合される位置及び大きさは、前記したものに限られず、おむつのサイズや形状に合わせて適宜変更してよい。
図4から図6に示すように、吸収体20は、股部シート4の中央に配置される。吸収体20の長手方向の長さは、股部シート4の長手方向の長さより少し短い。吸収体20の長さは、着用者の鼠蹊部上端から仙骨上端までの長さが好ましい。吸収体20の腹側の最大幅は、着用者の鼠蹊部の幅に合わせることが好ましい。吸収体20の背側の最大幅は、腹側の最大幅と同じであるが、これに限らず、腹側の最大幅より大きくしてもよい。吸収体20は、砂時計形状に形成されており、最大幅を有する腹側幅広部20a及び背側幅広部20cの間に、最小幅を有するくびれ部20bを有している。吸収体20は、吸収紙、綿状パルプ、高分子吸収材などの組合せで構成されており、尿や血液などの液状体を素早く吸収して、内部に保持する。
図6に示すように、吸収体20は、下から順に、下層ティッシュ22b、吸収材21、上層ティッシュ22aが積層されており、上層ティッシュ22aの上に下層ティッシュ22bの折り返し片が重ねられて接合された構造を有する。吸収材21は、粉砕パルプと高分子吸収材を混合して成形される。上層ティッシュ22aは、吸収材21の上面全体を覆う吸収紙である。下層ティッシュ22bは、吸収材21の下面全体を覆う吸収紙である。
図6に示すように、股部材4は、下から順に、股部シート4、バックシート24、吸収体20、トップシート23が積層され、トップシート23の上に股部シート4の折り返し片が重ねられ接合された構造を有する。トップシート23は、吸収体20の上面全体を覆うシート部材であり、使い捨ておむつ1の内側において着用者の肌に触れる側に配置される。トップシート23は、例えば、不織布などの液透過性材料から形成され、おむつ1内に排出された尿や血液等を透過させて、吸収体20へ送る。バックシート24は、吸収体20の下面全体を覆うシート部材であり、股部シート4上に固定される。バックシート24は、例えば、ポリエチレンフィルムなどの液不透過性材料から形成され、トップシート23を透過した液状体、吸収体20が吸収しきれなかった液状体が股部シート4や外部へ漏れるのを防止する。
図4から図6に示すように、股部弾性部材25は、股部側縁弾性部材25a、腹側接続弾性部材25b、股部底弾性部材25cを含んでいる。股部弾性部材25はいずれも、股部シート4の長手方向に伸長された状態で配置される。各股部弾性部材25の破線で示した部分は、伸張された状態の各股部弾性部材25が股部シート4と接着剤などで接合される部分であり、張力を有する部分である。股部弾性部材25は、胴周り弾性部材12、第1脚周り弾性部材13、及び第2脚周り弾性部材14よりも、高い張力を有している。股部弾性部材25のうち、腹側接続弾性部材25bは、最も高い張力を有している。
図4から図6に示すように、股部側縁弾性部材25aは、股部シート4とその左右の折り返し片との間で接合される。股部側縁弾性部材25aは、股部材4の左右端部4a,4bである折り目に1本ずつ、それより中央寄りに1本ずつ、配置されている。股部側縁弾性部材25aの張力を有する部分は、腹側部材2に重ねられて接合される腹側接合部J1、及び、背側部材3に重ねられて接合される背側接合部J2との間に、間隙を有している。言わば、股部側縁弾性部材25aは、腹側接合部J1及び腹側部材2に接続されておらず、背側接合部J2及び背側部材3にも接続されていない。使い捨ておむつ1が着用されたときに、股部側縁弾性部材25aの張力を有する部分は、腹側の端部が、着用者の恥骨付近に位置し、背側の端部が、着用者の坐骨付近に位置することが好ましい。
図4から図6に示すように、腹側接続弾性部材25bは、股部シート4とバックシート24との間で接着材などで接合される。腹側接続弾性部材25bは、左右の股部側縁弾性部材25aより中央側に、1本ずつ配置されている。腹側接続弾性部材25bは、吸収体20の腹側の最大幅部分20aの左右外縁に沿って、股部材4の長手方向に延在している。腹側接続弾性部材25bの張力を有する部分の腹側の端部は、股部材4の腹側接合部J1に重なる位置にある。股部材4が腹側接合部J1で腹側部材2に接合されることにより、腹側接続弾性部材25bは腹側部材2に接続される。腹側接続弾性部材25bの背側の端部は、股部材4の背側接合部J2に重ならず、背側部材3に接続されない。腹側接続弾性部材25bの背側の端部は、股部側縁弾性部材25aの背側の端部よりも、腹側接合部J1寄りにある。使い捨ておむつ1が着用されたとき、腹側接続弾性部材25bの張力を有する部分は、腹側の端部が、着用者の鼠蹊部上部に位置し、背側の端部が、着用者の坐骨付近に位置することが好ましい。
図1に示すように、腹側部材2に接続された腹側接続弾性部材25bの張力は、腹側部材2の胴周り弾性部材12及び第1脚周り弾性部材13に対して横切る方向に働いて、腹側部材2を股部材4側に引き寄せるので、腹側部材2の上端縁7の中央部7aを引き下げる。
使い捨ておむつ1が着用者に着用されるとき、股部材4の一対の腹側接続弾性部材25b,25bが腹側部材2に接続されており、腹側部材2と股部材4は互いに引き合うので、着用者へのフィット性が高い。一対の腹側接続弾性部材25b,25bは、吸収体20の腹側の最大幅部分の両外縁に位置しており、着用者の鼠蹊部の両外側に位置する。股部材4の左右側部は、股部側縁弾性部材25a及び腹側接続弾性部材25bを長手方向に沿って接合されており、ギャザーが形成される。股部材4のギャザーを形成された左右側部は、腹側部材2に接続された腹側接続弾性部材25bの張力により、両側壁のように立ち上がり、立体ギャザーの機能を発揮する。股部側縁弾性部材25aは腹側部材2にも背側部材3にも接続されていないので、股部材4の幅は、着用者の体形や動きに応じて伸縮可能である。このようにして、股部材4は、着用者の腹側から股間にかけての部分の側面及び底面を覆う立体的な形状となり、フィット性が高い。股部材4は、股部側縁弾性部材25a、腹側接続弾性部材25bの張力によって立体的形状を維持し、股部材4の左右側縁4a,4bからの排泄物の漏れを防止できる。
図4に示すように、股部材4の背側部材3に接合される部分は、吸収体20の背側の最大幅よりも広い幅を有している。なお、本実施形態の吸収体20の背側の最大幅は、腹側の最大幅と同じであるが、これに限らず、腹側の最大幅より大きくしてもよい。股部弾性部材25は背側部材3に接続されていないので、着用者の動きにより股部弾性部材25が収縮しても、股部材4の背側部材3に接続された部分が動かない。これより、使い捨ておむつ1は、股部材4の背側の広い幅を着用者の臀部を覆うために使用することができる。
図4から図6に示すように、股部底弾性部材25cは、股部シート4とバックシート24との間で接合される。股部底弾性部材25cは、腹側接続弾性部材25b,25bより中央側に、1本ずつ配置されている。股部底弾性部材25cの張力を有する部分は、股部材4に配設される吸収体の形状に合わせて配置されるのが好ましい。吸収体20が砂時計形状である場合は、股部底弾性部材25cは、吸収体20の最小幅部分であるくびれ部20bの左右側縁と、吸収体20の腹側の最大幅部分の外縁にある腹側接続弾性部材25bとの間の隙間領域に、吸収体20に重ならないように配置される。股部底弾性部材25cは、上記隙間領域にギャザーを形成して、股部材4の底部のダブつきを抑え、着用者にフィットさせる。また、股部材4の底部の形状を安定させる。なお、股部底弾性部材25cは左右に1本ずつに限らず、複数本形成してもよい。吸収体20の腹側の最大幅と最小幅の差が小さく、上記隙間領域が小さい場合には、股部底弾性部材25cは無くてもよい。
本実施形態では、股部側縁弾性部材25aが左右2本ずつ、腹側接続弾性部材25bが左右1本ずつ、股部底弾性部材25cが左右1本ずつであるが、これに限られない。
股部弾性部材25は、胴周り弾性部材12,第1脚周り弾性部材13,第2脚周り弾性部材14と同様に、天然ゴム、ポリウレタン樹脂、伸縮性のホットメルト等の伸縮可能な糸状の材料により形成される。また、糸状の弾性部材だけでなく、帯状やシート状の弾性部材を使用することも可能である。また、股部ギャザー19が形成される領域全体を伸縮性シートなどの素材で形成してもよい。シート状の弾性部材を使用する場合や、股部ギャザー19が形成される領域全体を伸縮性シートで形成する場合には、張力が、糸状の各股部弾性部材25の延在する方向に働くようにする必要がある。
図7、図8、及び図9は、それぞれ、本実施形態の使い捨ておむつ1が着用された状態を示す正面図、背面図、及び左側面図である。破線A―Aは、着用者のへそ周りの水平ラインである。破線Bは、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘に沿ったラインである。破線Z−Zは、着用者の垂直方向の中心線である。
図1及び図7に示すように、本実施形態の使い捨ておむつ1は、腹側部材2の第1脚周り弾性部材13が、両接合部5a,5bから胴周り方向の中央まで上端縁7側へ略直線状に延在している。第1脚周り弾性部材13は、胴周り弾性部材12よりも長い。第1脚周り弾性部材13は、非弾性領域P1によって中央で分断されているものの、各接合部5a,5bから胴周り方向の中央まで上端縁7側へ略直線状に延在する部分同士が、互いに引き合うことによって、腹側部材2の上端縁7の中央部7aを引き下げる。また、股部材4の腹側接続弾性部材25bは、腹側部材2に接続されており、腹側部材2の上端縁7の中央部7aを引き下げる。他方、腹側部材2には胴周り弾性部材12による胴周り方向の張力が働いているので、腹側部材2の上端縁7の中央部7aが下がるのを抑制する。また、非弾性領域P1は、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かうに従って、胴周り弾性部材12の張力を有する部分の長さを短くし、胴周り弾性部材12の張力を弱めているので、腹側部材2の上端縁7の中央部7aが引き下げられるのを助長する。更に、腹側部材2の胴周り弾性体12の張力は、背側部材3の胴周り弾性体13の張力よりも強いので、腹側部材2は背側部材3よりも胴周り方向に縮み、使い捨ておむつ1の胴周り方向の両端部に沿った接合部5a,5bの上部が、腹側部材2の中央側へ引き寄せられ、腹側部材2の上端縁7の中央部7aが引き下げられるのを助長する。このような第1脚周り弾性部材13、腹側接続弾性部材25b、胴周り弾性部材12、及び非弾性領域P1の作用のバランスした位置まで、腹側部材2の上端縁7が下がり、かかる位置で安定する。これにより、図1及び図7に示すように、使い捨ておむつ1は、腹側部材2の上端縁7が、その中央部7aを最下方として、背側部材3の上端縁8より下がっている。なお、本実施形態では、第1脚周り弾性部材13、腹側接続弾性部材25b、胴周り弾性部材12、及び非弾性領域P1の全てを用いて、使い捨ておむつ1の腹側部材2の上端縁7の中央部7aが背側部材3の上端縁8より下がることを達成しているが、これに限らず、第1脚周り弾性部材13、腹側接続弾性部材25b、胴周り弾性部材12、又は非弾性領域P1を単独で又は適宜組合せて用いることで達成してもよい。
図7及び図9に示すように、使い捨ておむつ1が着用されたとき、腹側部材2の上端縁7は、着用者のへそ周りラインAより下方にある。腹側部材2の上端縁7は、両接合部5a,5bから、着用者の腸骨稜から上前腸骨棘を通るラインBの角度に合わせて下降し、上端縁7の中央部7aを最下方とする。これにより、使い捨ておむつ1は、腹側部材2の胴周り弾性部材12がへそ周りを通らないので、へそ周りを圧迫しない。また、使い捨ておむつ1は、腰開口部6が腸骨稜の上に掛かって止まるので、着用位置が安定する。また、脚周り弾性部材13は、着用者の動いた脚に当たることで、元の位置に戻りやすいので、使い捨ておむつ1の着用位置が安定する。また、使い捨ておむつ1は、股上、特に腹側の股上が短いので、ズボンやスカートからはみ出さない。また、使い捨ておむつ1は、着用者の腹側を覆う面積が小さいので着用感が良く、少ない資材で製造できる。
図1及び図2に示すように、腹側部材2の上端縁7側に頂点を有する略三角形状である非弾性領域P1、及び、背側部材3の上端縁8側に先細りの略ホームベース形状である非弾性領域P3は、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かうに従って、胴周り弾性部材12の張力を有する部分の長さを短くし、胴周り弾性部材12の胴周り方向の張力を弱めている。そのため、腹側部材2及び背側部材3は、腰開口部6が縮んで、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かって広がる形状となる。これにより、図7及び図8に示すように、使い捨ておむつ1は、着用者の腰周りから両脚付け根へ向かって幅広となる体形に良くフィットし、着用者が座位や前屈姿勢を取っても、腰開口部6が下がることを抑制する。また、図8の背面図に示すように、使い捨ておむつ1が着用者に着用されたとき、背側部材3は、上端縁8が着用者のへそ周りの水平ラインA−Aより少し下に略水平に位置しており、着用者の骨盤を覆う広さがある。
図9に示すように、使い捨ておむつ1が着用されたとき、着用者のへそ周りの水平ラインA−Aに対して、腹側部材2の上端縁7及び背側部材3の上端縁8で囲まれて形成される腰開口部6は、腸骨稜から上前腸骨棘を通るラインBの角度に合わせて、腹側部材2の上端縁7の中央部7aが下がった斜めのラインになる。また、腹側部材2の胴周り弾性部材12は、背側部材3の胴周り弾性部材12よりも高い張力を有しているので、着用者の垂直方向の中心線Z−Zに対して、腹側部材2と背側部材3の接合部5bは、上端部が腹側にあり、下端部が背側にある、斜めのラインになる。更に、腹側部材2の股部材4との境界付近は上下長つまり股上が短く、背側部材3の中央部の上下長つまり股上は長いので、腹側部材2の下端縁10及び背側部材3の下端縁11で形成される脚開口部9bは、斜めのラインになる。このように、使い捨ておむつ1は、着用者の中心線Z−Zに対して、斜めに着用されており、腹側部材2の股上を短くする一方で、背側部材3の股上を長くし、両者の股上を必要且つ十分で無駄のない長さにすることができる。
次に、本実施形態の使い捨ておむつ1の製造方法について説明する。
図3に示すように、まず、内面シート101又は外面シート102に、各弾性部材12,13,14を適宜配置して接着する。このとき、糸状の各弾性部材の表面に接着剤等が塗布されていてもよいし、スプレーコート等により、内面シート101及び外面シート102の弾性部材を挟む面に接着剤を塗布されていてもよい。糸状の各弾性部材は、それぞれ、必要となる張力に応じて伸長された状態で、内面シート101及び外面シート102に接合される。次に、各弾性部材12,13,14を間に挟んで、内面シート101及び外面シート102を貼り合わせて、積層体を形成する。次に、積層体に弾性部材12,13,又は14の一部の張力を消失させる加工を行って、非弾性領域P1、P2,P3を形成する。弾性部材の張力を消失させる加工としては、例えば、多数の凸部やカッター刃等による弾性部材の切断や、熱シール等、適宜選択して行ってよい。次に、該積層体を裁断予定線Cに沿って切断して、腹側部材2と背側部材3とに切り分ける。
次に、図4に示すように、腹側部材2と背側部材3との間隔を広げる。次に、股部材4の一方の端部を腹側部材2に、他方の端部を背側部材3に、ホットメルト等の接着剤によって接合する。これにより、図4に示すように伸展された状態の使い捨て下着1が形成される。次に、腹側部材2及び背側部材3の内面シート101が内側となるように、股部材4を二つ折りして、腹側部材2及び背側部材3を重ね合わせる。次に、重ね合わせた腹側部材2及び背側部材3の両端部に沿って、熱シール、超音波シール、接着剤(ホットメルト)等により接合部5a,5bを形成して、腹側部材2と背側部材3を接合する。更に、積層体が腹側部材2及び背側部材3が流れ方向に同じ向きで連続する積層体である場合には、接合部5a,5bに沿って積層体を切断する。このようにして、使い捨ておむつ1が製造される。なお、腹側部材2及び背側部材3の両端部に沿った接合部を形成する前に、接合部の一部として又は接合部の一部に重なって又は接合部の周辺に、腹側部材2と背側部材3を部分的に接合する位置決め用接合部K1,K2を形成することを追加してもよい。
上述のように、本実施形態によれば、股上が短く、着用者のへそ周りを圧迫せず、着用位置が安定し、省資源である、使い捨ておむつ1を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の他の実施形態の使い捨て下着について述べる。
図10は、本実施形態の使い捨ておむつ30の弾性部材を伸長した状態での展開図である。前述の実施形態と同様の構造及び機能を有する構成要素は、同一の符号を付し、または、重複する説明を適宜省略する。本実施形態の使い捨ておむつ30は、非弾性領域P31、P32、P33の形状が異なることを除き、前述の実施形態の使い捨ておむつ1と同じである。
本実施形態の使い捨ておむつ30は、前述した実施形態の使い捨ておむつ1と異なり、非弾性領域P31の三角形の頂点が、第1脚周り弾性部材13の中央の下部に位置しており、第1脚周り弾性部材13及び胴周り弾性部材12bの各々の中央の上部が分断されていない。また、非弾性領域P31、P32,P33の幅が、吸収体20の最大幅部分を越えて、股部材4の左右端縁4a,4b近傍まで広がっている。また、ホームベース形状の非弾性領域P33の三角形部分の頂点が、吸収体20及び股部材4の腹側端縁4dを越えてはみ出して形成されている。
使い捨ておむつ30は、非弾性領域P31によって第1脚周り弾性部材13の中央の上部が分断されていないので、分断されていない第1脚周り弾性部材13の張力は、第1脚周り弾性部材13が左接合部5aの下部から右接合部5bの下部まで直線状に延びるように働くので、腹側部材2の中央部を引き下げる力が、使い捨ておむつ1の非弾性領域P1よりも強くなる。他方、非弾性領域P31によって分断されていない胴周り弾性部材12bもある。両者のバランスを適宜調整することにより、使い捨ておむつ30は、腹側部材2の上端縁7の中央部7aが、背側部材3の上端縁8より下がる。
使い捨ておむつ30は、使い捨ておむつ1と比べて、非弾性領域P31、P32,P33の幅が、吸収体20の最大幅部分を越えて、股部材4の左右端縁4a,4b近傍まで広がっている。非弾性領域P31によって、腹側部材2の股部材4と重なる領域に延在した第2脚周り弾性部材14が全て張力を消失されるので、腹側部材2と股部材4との接続部分のしわの発生を抑制できる。また、非弾性領域P32によって、背側部材3の中央ライン11C付近の弾性部材の大部分の張力を消失させられるので、股部材4の背側部材3に接続される部分は、胴回り方向に縮むのが抑制され、着用者の臀部を広く覆うことができる。また、非弾性領域P33によって、股部材4の背側部材3と重なる部分に延在する胴周り弾性部材12e,12fの大部分の効力を消失させられるので、股部材4及び吸収体20が縮んだり変形したりするのを抑制できる。
使い捨ておむつ30は、非弾性領域P33の三角形部分の頂点が、吸収体20及び股部材4の腹側の端縁4dを越えて、はみ出して形成されているので、背側部材3の胴周り弾性部材12e,12fの張力を消失される部分の左右幅及び上下範囲が大きくなる。そのため、背側部材3は、腰開口部6から脚開口部9a,9bへ向かって、胴周り弾性部材12の張力が弱くなる程度が大きくなるので、腰開口部6が縮んで、腰開口部6から脚開口部9a,9bへ向かって広がる形状になるのが一層容易になる。
なお、使い捨ておむつ1及び使い捨ておむつ30では、腹側部材2及び背側部材3の股部材4の重なる領域にある中央ライン10c及び中央ライン11cが、胴周り方向に平行な直線状であったが、これに限らず、腹側部材2の中央ライン10cが上端縁7側に緩やかに突出する曲線状に形成され、背側部材3の中央ライン11cが、突き合わせた際に中央ライン10cと一致するように、背側部材3の上端縁8と反対側に緩やかに突出する曲線状に形成されてもよい。使い捨ておむつ30や、上述した変形例は、前述した使い捨ておむつ1と同様の製造方法によって製造可能である。
(第3実施形態)
次に、本発明の更に他の実施形態の使い捨て下着について述べる。
図11は、本実施形態の使い捨ておむつ60の弾性部材を伸長した状態での展開図である。前述の実施形態の使い捨ておむつ1と同様の構造及び機能を有する構成要素には、同一の符号を付して、又は、重複する説明を適宜省略する。本実施形態の使い捨ておむつ60は、前述の実施形態の使い捨ておむつ1と比べて、腹側部材62の下端縁66及び背側部材63の下端縁67の形状が異なり、腹側部材62の胴周り弾性部材12の構成要素の本数が異なり、第1脚周り弾性部材68及び第2脚周り弾性部材69が異なり、非弾性領域P61、P62,P63の形状が異なる。
図11に示すように、本実施形態の使い捨ておむつ60は、腹側部材62、背側部材63、股部材4を備え、腹側部材62及び背側部材63は両接合部5a,5bで接合される。腹側部材62の上端縁7及び背側部材63の上端縁8に囲まれて腰開口部6が形成され、腹側部材62の下端縁66、背側部材63の下端縁67、及び、股部材4の左側縁4a又は右側縁4bに囲まれて左右の脚開口部が形成される。腹側部材62及び背側部材63には胴周り弾性部材12が延在し、腹側部材62の左右の脚開口部には第1脚周り弾性部材68が延在し、背側部材63の左右の脚開口部には第2脚周り弾性部材69が延在している。股部材4は、吸収体20、股部弾性部材25などを備えている。
本実施形態の使い捨ておむつ60は、腹側部材62の下端縁66が、一対の略平行な両端ライン66a,66aと、両端ライン66a,66aから股部材4の左右端部4a,4bへ次第に上昇する一対の傾斜ライン66b,66bと、略平行な中央ライン66cと、傾斜ライン66b,66bから中央ライン66cへ緩やかに湾曲して下降する湾曲ライン66d、66dとからなる点で、使い捨ておむつ1の腹側部材2の下端縁10とは相違する。使い捨ておむつ60は、使い捨ておむつ1と比べて、傾斜ライン66b、66bの傾きがより急である。湾曲ライン66d,66dと股部材4の左右端部4a,4bとの交点における股上、すなわち上端縁7と下端縁66との距離が、使い捨ておむつ1のものよりも短い。そのため、使い捨ておむつ60は、着用されたときに、着用者の脚を動かしやすい。
使い捨ておむつ60は、第1脚周り弾性部材68が、腹側部材62の接合部5a,5bから胴周り弾性部材12aの中央下部まで上昇して、股部材4より上まで延びており、使い捨ておむつ1の第1脚周り弾性部材13よりも上端縁7に近い位置まで延びている。第1脚周り弾性部材68を構成する各糸状の弾性部材の配置間隔が、使い捨ておむつ1のものよりも広くなっている。また、第1脚周り弾性部材68は、その下端部にのみ、非弾性領域P61が形成されている。そのため、第1脚周り弾性部材68が左接合部5aの下部から右接合部5bの下部まで直線状に延びるように働く張力は、前述した各実施形態の使い捨ておむつ1や使い捨ておむつ30よりも強いので、腹側部材62の上端縁7の中央部7aを引き下げる力が一層強くなる。
他方、使い捨ておむつ60は、腹側部材62の胴周り弾性部材12b及び12cを構成する糸状の弾性部材の本数が、使い捨ておむつ1のものと比べて、各1本ずつ少ない。そのため、腹側部材62の胴周り弾性部材12の張力は、使い捨ておむつ1のものよりも弱くなっている。そのため、使い捨ておむつ60は、使い捨ておむつ1、使い捨ておむつ30に比べて、腹側部材62の上端縁7の中央部7aが、背側部材63の上端縁8より大きく下るようにすることができる。使い捨ておむつ60は、前述した使い捨ておむつ1と同様の製造方法によって製造可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明のさらに他の実施形態の使い捨て下着について述べる。
図12は、本実施形態の使い捨ておむつ70の弾性部材を伸長した状態での展開図である。前述の実施形態の使い捨ておむつ1と同様の構造及び機能を有する構成要素には、同一の符号を付し、または、重複する説明を適宜省略する。前述した実施形態の使い捨ておむつ1は、図4に示すように、伸展された状態の腹側部材2が、長方形において一長辺が内側に略台形状に凹んだ形状である。これに対して、図12に示すように、本実施形態の使い捨ておむつ70は、腹側部材72が略長方形状である。
図12に示すように、本実施形態の使い捨ておむつ70は、腹側部材72、背側部材3、股部材4を備える。腹側部材72及び背側部材3は両接合部5a,5bで接合される。腹側部材72の上端縁7及び背側部材3の上端縁8で囲まれて腰開口部6が形成される。腹側部材72の下端縁76、背側部材3の下端縁11、及び、股部材4の左右側縁4a,4bで囲まれて左右の脚開口部が形成される。腹側部材72及び背側部材3には胴周り弾性部材12が延在し、背側部材3の左右の脚開口部には第2脚周り弾性部材79が延在している。股部材4は、吸収体20、股部弾性部材75などを備えている。
使い捨ておむつ70における第1弾性部材78は、腹側部材72の左右の脚開口部に延在せずに、腹側部材72の各接合部5a,5bから胴周り方向の中央まで上端縁7側へ上昇して延在する。第1弾性部材78は、腹側部材72の股部材4より上まで上昇しており、その一部が、上端縁7側に頂点を有する先細り形状であるホームベース形状の非弾性領域P71によって分断されているだけである。分断されていない第1弾性部材78の張力は、第1弾性部材78が左接合部5aの下部から右接合部5bの下部まで直線状に延びるように働くので、使い捨ておむつ70は、腹側部材72の上端縁7の中央部7aを引き下げる力が、使い捨ておむつ1よりも強い。そのため、使い捨ておむつ70は、腹側部材72の上端縁7の中央部7aが、背側部材3の上端縁8より一層引き下げられることが可能である。
使い捨ておむつ70は、腹側部材72の上端縁7側に頂点を有する先細り形状であるホームベース形状の非弾性領域P71、長方形状の非弾性領域P72,及び、背側部材3の上端縁8側に頂点を有する先細り形状であるホームベース形状の非弾性領域P73が、吸収体20の最大幅よりも広く、股部材4の左右端縁4a,4b近傍まで広がっている。非弾性領域P71及びP73によって、腹側部材72及び背側部材3の背側部材3の胴周り弾性部材12の張力を消失される部分の左右幅は、使い捨ておむつ1に比べて大きい。これより、使い捨ておむつ70は、腹側部材72及び背側部材3が、腰開口部6から下方の脚開口部9a,9bへ向かって一層広がる形状にできる。
使い捨ておむつ70は、腹側部材72の左右の脚開口部を形成する下端縁76には、腹側部材72の胴周り弾性部材12cが延在する。背側部材3の左右の脚開口部を形成する下端縁11には、第2脚周り弾性部材79が延在する。股部材4の左右側縁4a,4bのうち、股部材4の左右の脚開口部を形成する部分の長さは、使い捨て下着1の当該部分の長さよりも短い。それに応じて、使い捨ておむつ70の股部材4の股部弾性部材75も短い。腹側部材72、背側部材3、及び股部材4に囲まれて形成される左右の脚開口部は、使い捨ておむつ1のものに比べて小さくなる。使い捨ておむつ70は、脚を動かしにくいおそれはあるものの、密着性が高まり、腹側部材72の面積が大きいことも相まって、排泄物等の漏れ防止が向上する。
前述した各実施形態及び変形例は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上に説明した各実施形態や変形例に限られない。例えば、本発明に係る使い捨て下着は、股部材の内部に吸収体がなく、吸収体を備えた吸収パッドを装着して使用される、パッドホルダーであってもよい。