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JP5940428B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents

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JP5940428B2 JP2012232208A JP2012232208A JP5940428B2 JP 5940428 B2 JP5940428 B2 JP 5940428B2 JP 2012232208 A JP2012232208 A JP 2012232208A JP 2012232208 A JP2012232208 A JP 2012232208A JP 5940428 B2 JP5940428 B2 JP 5940428B2
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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。さらに詳しくは、本発明は、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力に関係なく、高倍率でかつ柔軟な発泡体が得られる押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物により得られたポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
現在、樹脂成分としてポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを含む発泡体は耐衝撃性、成形性などに優れることから、包装用緩衝材、自動車用構造部材などとして幅広く利用されている。
また、ポリオレフィン系樹脂発泡体は前記以外の用途として、その加工性や柔軟性を生かして電子・電気機器用に用いられる粘着テープおよびシーリング材用の基材として使用されるようにもなっている。この場合、ポリオレフィン系樹脂発泡体には、シール性を確保するための高い柔軟性が求められる。さらに、樹脂発泡体をこのような用途で使用するには、高い柔軟性に加えて優れた引張強度および粘着剤との接着性も求められる。
そこで、例えば、特許第4036601号公報(特許文献1)には、発泡後に著しい収縮や変形を起こさず、柔らかさやクッション性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体が開示されている。
具体的には、上記特許文献1には、230℃での溶融張力が1.5〜30cNであるポリオレフィン系樹脂とゴムまたは熱可塑性エラストマー成分とを含み、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ゴムまたは熱可塑性エラストマー成分が30〜500重量部含まれる樹脂組成物を、発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を用いて発泡成形し、相対密度が0.01〜0.14の範囲にあるポリオレフィン系樹脂発泡体を得る電子機器の内部絶縁体用または緩衝材用ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法が開示されている。
特許第4036601号公報
しかしながら、上記の先行技術では、ポリオレフィン系樹脂について高い溶融張力が必須であるため、発泡グレード以外のポリオレフィン系樹脂を用いることができず、汎用性に劣るという課題がある。
そこで、本発明は、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力に関係なく、高倍率でかつ柔軟な発泡体が得られる押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれにより得られたポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、特定の配合割合のポリオレフィン系樹脂、エラストマーおよびプラストマーを含む樹脂組成物を押出発泡することにより、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力に関係なく、高倍率でかつ柔軟な発泡体が得られることを見出し、本発明に至った。
くして、本発明によれば、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとしてのエチレン/α−オレフィン共重合体とを含み、前記(a)と(b)との配合割合が質量比で80/20〜20/80の範囲でありかつ前記(b1)と(b2)との配合割合が質量比で85/15〜15/85の範囲である押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂発泡体であって、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡体が、30〜100kg/m 3 の範囲の見掛け密度、0.1〜3.0mmの範囲の厚みおよび15〜100kPaの範囲の50%圧縮応力を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体が提供される。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂の溶融張力に関係なく、高倍率でかつ柔軟な発泡体が得られる押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物およびそれにより得られたポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することができる。すなわち、本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂の種類、具体的には溶融張力によらずに、発泡直後でも樹脂粘度を保持でき、発泡倍率を高め、高倍率でかつ柔軟な発泡体を得ることができ、ポリオレフィン系樹脂の汎用性が向上する。
本発明の押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物は、
[1](a)と(b)との配合割合が質量比で80/20〜20/80の範囲でありかつ(b1)と(b2)との配合割合が質量比で85/15〜15/85の範囲である、
[2]温度190℃、見掛けのせん断速度10〜20sec-1の範囲において、常に20000〜30000Pa・secの範囲の見掛けの粘度を有する、
[3](a)ポリオレフィン系樹脂が230℃、荷重21.18Nにおいて0.1〜5.0の範囲のメルトフローレートを有し、(a)ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートを1としたとき、(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーがそれぞれ1〜50の範囲の比に対応する230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレートを有する、および
[4](b2)プラストマーが、エチレン/α−オレフィン共重合体である、好ましくはα−オレフィンが、1−ブテン、1−へキセンおよび1−オクテンから選択される少なくとも1種である
のいずれか1つの条件を満たす場合に上記の効果をさらに発揮する。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、30〜100kg/m3の範囲の見掛け密度、0.1〜3.0mmの範囲の厚みおよび15〜100kPaの範囲の50%圧縮応力を有する場合に上記の効果をさらに発揮する。
ポリオレフィン系樹脂組成物の見掛けのせん断速度と見掛けの粘度の関係を示す図である。 本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体(シート)の製造に用いる金型円環ダイの一例を示す概略断面図である。
[押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物]
(1)樹脂組成物
本発明の押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物(単に「樹脂組成物」ともいう)は、
(a)ポリオレフィン系樹脂と、
(b)(b1)エラストマーおよび
(b2)プラストマーとを含み、
(a)と(b)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲でありかつ
(b1)と(b2)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲である
ことを特徴とする。
本発明の樹脂組成物では、(b1)エラストマーが柔軟性に、(b2)プラストマーが高倍率化に、それぞれ寄与しているものと考えられる。これにより、(a)ポリオレフィン系樹脂として、特殊な発泡グレードのポリオレフィン系樹脂ではなく、後述するような溶融張力の低い非発泡グレードのポリオレフィン系樹脂を用いた場合であっても、高倍率でかつ柔軟な発泡体を得ることができる。
(2)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂は、上記のようにグレードに特に限定されず、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体などが挙げられる。なお、本発明において、(a)ポリオレフィン系樹脂は、(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーを含まない。
ポリオレフィン系樹脂は、耐熱性の点で、ポリプロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体が好ましい。
プロピレンと共重合する他のオレフィンとしては、例えば、エチレンの他に、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数が4〜10であるα−オレフィンが挙げられる。
プロピレンと他のオレフィンとの共重合体としてはエチレン成分の少ない共重合体が好ましく、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよいが、耐熱性に優れていることから、ブロック共重合体が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリプロピレン系樹脂では、通常、溶融張力が5cN未満のものを汎用グレード、溶融張力が5cN以上のものを高溶融張力グレード(HMS−PP)と区分され、高溶融張力は押出発泡に適しているとされている。
本発明では、5cN以上30cN以下の範囲の溶融張力、0.1〜3g/minの範囲のMFRを有する高溶融張力グレードのポリプロピレン系樹脂を好適に用いることができる。
また、本発明では、0.1cN以上5cN未満の範囲の溶融張力、0.1〜5g/minの範囲のMFRを有するグレードのポリプロピレン系樹脂も同様にして、好適に用いることができる。
(3)エラストマー
エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するもので、常温でゴム弾性を示し、高温では熱可塑性樹脂と同様に可塑化され成形できるという性質を有する。
一般的には、ハードセグメントがポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂であり、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのゴム成分または非結晶性ポリエチレンである。
エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を多段階で行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させる際に架橋剤を加えることによって、ポリオレフィン系樹脂マトリックス中に、ゴム成分を完全架橋または部分架橋させミクロ分散させて得られる、動的架橋されたエラストマーが挙げられる。
本発明では、非架橋エラストマーおよび架橋エラストマーを共に利用することが可能であり、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造された非架橋エラストマーは、製造された発泡体のリサイクル性を考慮すると好ましい。また、通常のポリオレフィン系樹脂を押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が容易に可能となる。
さらに、発泡体をリサイクルし再び押出機へ供給して同じ発泡成形をする場合でも、架橋ゴムによる発泡不良などが抑えられる。
一方、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させると同時に、ゴム成分を部分架橋または動的架橋された架橋エラストマーは、ポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れることや、得られる発泡体の耐熱性を向上できることなどから好ましい。
このようなエラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなど各種エラストマーが挙げられる。
上記エラストマーのうち、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーを構成するジエン成分としては、例えばエチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。ここで、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよく、このようなエチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーを使用することにより、通常のポリオレフィン系樹脂を押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が容易となる。
(4)プラストマー
プラストマーとしては、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィンのような共重合体成分を含むポリエチレン系重合体などのポリエチレン系プラストマーを挙げることができる。
α−オレフィンとしては、炭素数4〜8のものが好ましく、1−ブテン、1−へキセンおよび1−オクテンから選択された少なくとも1種であるのがより好ましい。
エチレン/α−オレフィン共重合体としては、例えば、住友化学株式会社製の製品名:エスプレンNO416(エチレン−1−ブテン共重合体)、日本ポリエチレン株式会社製の製品名:カーネルKS240T(エチレン−1−ヘキセン共重合体)およびダウ・ケミカル社製の製品名:アフィニティーEG8100(エチレン−1−オクテン共重合体)などが挙げられる。
ポリエチレン系プラストマーは、密度が0.85〜0.91g/cm3の範囲である超低密度ポリエチレン系樹脂であるのが好ましい。
ポリエチレン系プラストマーの密度が0.85g/cm3未満では、ポリオレフィン系樹脂発泡体の硬度が下がり過ぎ、所望の強度を得ることができないことがある。一方、ポリエチレン系プラストマーの密度が0.91g/cm3を超えると、ポリオレフィン系樹脂発泡体の硬度が上がり過ぎ、所望の柔軟性を得ることができないことがある。
(5)配合割合
本発明の樹脂組成物は、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーの合計との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲でありかつ(b1)と(b2)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲である。
(a)が上記の範囲未満、すなわち(b)が上記の範囲を超えると、発泡体の硬度が下がり過ぎ、機械物性などの良好な発泡体が得られないことがある。一方、(a)が上記の範囲を超える、すなわち(b)が上記の範囲未満では、発泡体の硬度が上がり過ぎ、柔軟性の良好な発泡体が得られないことがある。
(b1)が上記の範囲未満、すなわち(b2)が上記の範囲を超えると、樹脂粘度が下がり過ぎ、高倍の発泡体が得られないことがある。一方、(b1)が上記の範囲を超える、すなわち(b2)が上記の範囲未満では、発泡体の硬度が上がり過ぎ、柔軟性の良好な発泡体が得られないことがある。
好ましくは(a)と(b)との配合割合が質量比で80/20〜20/80の範囲でありかつ(b1)と(b2)との配合割合が質量比で85/15〜15/85の範囲である。
(6)メルトフローレート(MFR)
本発明の樹脂組成物における上記3成分のMFRは、本発明の効果を得るための重要な要因の1つである。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
ポリオレフィン系樹脂は、エラストマーおよびプラストマーの物性にもよるが、230℃、荷重21.18Nにおいて0.1〜5.0g/10minの範囲のMFRを有していることが好ましい。この範囲内のMFRを有することで、高倍の発泡体を提供できる。
MFRが0.1g/10min未満では、押出機の負荷が大きくなり、発泡体の生産性が低下し、あるいは発泡剤を含む溶融した樹脂組成物が金型内を円滑に流れることができなくなり、得られる発泡体の表面にムラが発生して外観の品位が低下することがある。一方、MFRが5.0g/10minを超えると、金型円環ダイ手前での樹脂圧力が低下し、円環ダイ気泡生成部における樹脂圧力も低下することから、気泡生成部手前で気泡が生成してしまい発泡体形成部で破泡が急激に生じることにより発泡性が低下し、得られる発泡体の外観の品位が低下もしくは発泡体が得られなくなることがある。より好ましいMFRの範囲は0.2〜4.0g/10minであり、さらに好ましいMFRの範囲は0.3〜3.0g/10minである。
エラストマーおよびプラストマーは、ポリオレフィン系樹脂のMFRを1としたとき、それぞれ1〜50の範囲の比に対応する230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレートを有するのが好ましい。
エラストマーおよびプラストマーのMFRが上記の下限未満である場合や上限を超える場合には、ポリオレフィン系樹脂のMFRがその上下限外であるときと同様の弊害が生じることがある。
エラストマーの好ましいMFRは、1〜15g/10minの範囲である。
また、プラストマーの好ましいMFRは、1〜15g/10minの範囲である。
本発明の樹脂組成物におけるポリオレフィン系樹脂に対するエラストマーおよびプラストマーの分散状態も本発明の効果、すなわち高倍率でかつ柔軟な発泡体を得るための重要な要因の1つである。
分散状態は、ポリオレフィン系樹脂が「海」となり、かつエラストマーおよびプラストマーが「島」となる海島構造をとることが望ましい。これは、樹脂組成物にせん断が掛かったときに、エラストマーおよびプラストマーが島状のドメインを形成し、このドメインが伸び縮みすることにより、樹脂の粘度が高くなるものと考えられるからである。
エラストマーおよびプラストマーが島状のドメインを形成するためには、ポリオレフィン系樹脂の硬度(デュロ硬度)がエラストマーおよびプラストマーよりも高い必要がある。ポリプロピレンの硬度がD50であることから、エラストマーおよびプラストマーの硬度はD50未満であることが望ましい。
一方、ポリオレフィン系樹脂の硬度に対して、エラストマーおよびプラストマーの硬度が低すぎると、押出機内で樹脂組成物にせん断が掛かったときに、ドメインが細かく千切れてしまい、樹脂の粘度を高める効果が期待できないことから、エラストマーおよびプラストマーの硬度はD10以上であることが望ましい。
(7)他の添加剤
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、公知の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤、耐候性安定剤、光安定剤、顔料、染料、難燃剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤などが挙げられる。
界面活性剤は、すべり性およびアンチブロッキング性を付与するものである。
また、分散剤は、樹脂組成物の構成成分の分散性を向上させるものであり、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミドなどが挙げられる。
添加剤の含有量は、気泡の形成、発泡体の物性などを損なわない範囲で適宜選択でき、通常の発泡体に含まれる含有量を採用できる。
(8)樹脂組成物の物性
見掛けのせん断速度および見掛けの粘度
本発明の樹脂組成物は、温度190℃、見掛けのせん断速度10〜20sec-1の範囲において、常に20000〜30000Pa・secの範囲の見掛けの粘度を有するのが好ましい。なお、具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
樹脂組成物の見掛けの粘度が20000Pa・sec未満では、押出機内で圧力保持ができず、高倍な発泡体が得られないことがある。一方、樹脂組成物の見掛けの粘度が30000Pa・secを超えると、押出機内での圧力が高くなりすぎ、押出機に負荷が掛かることがある。
図1は、ポリオレフィン系樹脂組成物の見掛けのせん断速度と見掛けの粘度の関係を示す図であり、本発明では、上記の見掛けのせん断速度の範囲において、上記の範囲の見掛けの粘度を有する領域が好ましい。
[ポリオレフィン系樹脂発泡体]
(1)樹脂発泡体
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体(単に「発泡体」ともいう)は、本発明の押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物を押出発泡させることにより得られる。
本発明の発泡体は、高倍率でかつ優れた柔軟性を有しており、包装用緩衝材、自動車用構造部材、同軸ケーブルのような通信ケーブルの配線被覆材、配線基板の配線被覆材など、種々の用途に使用可能である。
(2)樹脂発泡体の各種物性
(i)見掛け密度
本発明の発泡体は、30〜100kg/m3の範囲の見掛け密度を有しているのが好ましい。なお、具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
発泡体の見掛け密度が30kg/m3未満では、オレフィン系樹脂発泡体の機械的強度が低下することがある。一方、発泡体の見掛け密度が100kg/m3を超えると、ポリオレフィン系樹脂発泡体の圧縮応力が大きくなり過ぎたり、クッション性または柔軟性が低下することがある。
より好ましい発泡体の見掛け密度は、35〜85kg/m3の範囲である。
(ii)厚み
本発明の発泡体は、0.1〜3.0mmの範囲の厚みを有しているのが好ましい。なお、具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
発泡体の厚みが0.1mm未満では、発泡体の強度が低下することがある。一方、発泡体の厚みが3.0mmを超えると、成形性が問題となることがある。
より好ましい発泡体の厚みは、0.2〜2.8mmの範囲である。
(iii)50%圧縮応力
本発明の発泡体は、15〜100kPaの範囲の50%圧縮応力を有しているのが好ましい。なお、具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
発泡体の50%圧縮応力が15kPa未満では、強度が不足しハンドリング性が悪く
なることがある。一方、発泡体の50%圧縮応力が100kPaを超えると、緩衝部材として好適に使用できないことがある。
より好ましい発泡体の50%圧縮応力は、35〜90kPaの範囲である。
[樹脂組成物および発泡体の製造]
本発明の樹脂組成物は、上記のような特定の配合割合のポリオレフィン系樹脂、エラストマーおよびプラストマーならびに任意の添加剤を公知の方法により溶融混練することにより得ることができる。
また、本発明の発泡体は、本発明の樹脂組成物を押出発泡させること、具体的には、樹脂組成物と、気泡核剤と、発泡剤としての二酸化炭素とを含む溶融物を押出発泡させることにより得ることができる。
(1)気泡核剤
気泡核剤は樹脂組成物が気泡を形成する際に気泡核の生成を促すものであり、気泡の微細化と均一性に効果を示す。
気泡核剤としては、例えばタルク、マイカ、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズなどの無機化合物;ポリテトラフルオロエチレン、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などの有機化合物、窒素などの不活性ガスなどが挙げられる。これらの中でも、無機化合物ではタルク、有機化合物ではポリテトラフルオロエチレンが気泡微細化に効果が高いため好ましい。また、ポリテトラフルオロエチレンは分散させた際にフィブリル状になることで樹脂の溶融張力が上がるようになるものが特に好ましい。
気泡核剤は、そのものの形態で樹脂組成物と混合して、または個別に押出機内へ供給してもよく、さらにマスターバッチとして樹脂組成物と混合して、または個別に押出機内へ供給してもよい。
マスターバッチの基材樹脂としては、樹脂組成物に対する相溶性に優れるものであれば、特に限定されず、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどを好適に使用できる。
気泡核剤の使用量は、溶融物中の樹脂100質量部当たり、0.01〜15質量部が好ましい。
気泡核剤の使用量が0.01質量部未満では、得られる発泡体の気泡数を増加させることが困難となり、得られる発泡体の表面平滑性が低下することがある。一方、気泡核剤の使用量が15質量部を超えると、二次凝集を起こし易くなり押出発泡不良による発泡体の表面平滑性が低下することがある。より好ましい使用量は、0.1〜12質量部である。
(2)発泡剤
発泡剤としては、発泡体からの抜けが早いことから、二酸化炭素が好ましい。
二酸化炭素は、どのような状態で樹脂組成物中に圧入されても発泡体を得ることができるが、超臨界状態であることが好ましい。超臨界状態の二酸化炭素を使用することで、溶融物への二酸化炭素の含浸量を増大させることが可能となり、より微細な気泡を有する発泡体を提供できる。なお、二酸化炭素は、31℃の臨界温度以上および7.4MPaの臨界圧力以上で超臨界状態となる。
押出機内に圧入される発泡剤の量は、所望する発泡体の発泡倍率に応じて適宜、調整されればよいが、発泡剤の使用量は、溶融物中の樹脂100質量部当たり、1〜10質量部が好ましい。
発泡剤の使用量が1質量部未満では、発泡体の発泡倍率が低くなり、軽量性および断熱性が低下することがある。一方、発泡剤の使用量が10質量部を超えると、金型内において発泡を生じ、破泡あるいは発泡体中に大きな空隙が生じることがある。より好ましい発泡剤の使用量は2〜8質量部である。
(3)押出機
本発明の発泡体は押出発泡成形法により製造される。
この方法に使用できる押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機などが挙げられる。これらの中でも、押出条件を調整し易いことから、タンデム型押出機が好ましい。
発泡体の原料は、押出機内で混練され、押出機の先端に設けられた金型(ダイ)から押出発泡することで発泡体となる。通常、金型としてはTダイや円環ダイなどが用いられる。そのようなダイの好ましい一例として、図2の概略断面図に示す円環ダイがある。
図2に示す円環ダイDは、発泡剤含有混練溶融樹脂流路部3の絞りに形成された気泡生成部2と、気泡生成部2に連続し、この生成した気泡の成長および発泡体表面の平滑化を行う発泡体成形部1とを有している。図2中、4は円環ダイイン側金型、5は円環ダイアウト側金型である。円環ダイ手前での樹脂圧力は、押出機先端から円環ダイまでの流路において、ストレインゲージのような測定器によって測定される圧力である。具体的には、押出機先端フランジ、両サイドにフランジのある直管金型、円環ダイと順に接続した直管金型部に取り付けた、ストレインゲージにて測定できる。
気泡生成部の間隙は、0.1〜1.0mm程度が好ましく、発泡体成形部出口部の間隙は、1〜5mm程度が好ましく、気泡生成部間隙と発泡体成形部出口部間隙の比は、発泡体成形部出口部間隙/気泡生成部間隙=4〜20が好ましい。また、気泡生成部のダイ口径と発泡体成形部出口部のダイ口径との比は、発泡体成形部出口部ダイ口径/気泡生成部ダイ口径=1.5〜4.0が好ましい。これらは、製造するポリオレフィン系樹脂発泡シートの見掛け密度や厚みに応じて適宜決定される。
前記のような円環ダイを用いて発泡体を形成することで、発泡体を構成する気泡が従来より微細であっても、表面平滑性を低下させる多数のコルゲートの表面での発生を抑制できる。これは、円環ダイが、発泡体成形部における適度なすべり抵抗によって、気泡生成部でのコルゲートの発生を抑制できるためであると発明者らは考えている。ここで「コルゲート」とは、円環ダイから出た発泡体が体積膨張による円周方向の線膨張分を吸収するために波打ちしてできる、多数の山谷状のヒダのことを意味する。
円環ダイDの気泡生成部2における樹脂の押出速度Vが50〜300kg/cm2・時かつ円環ダイD手前での樹脂圧力が7〜20MPaとなる条件下で押出発泡させることが好ましい。
押出速度Vが50kg/cm2・時程度より小さい場合、気泡の微細化や高発泡倍率の発泡体を得ることが困難となる。一方、押出速度Vが300kg/cm2・時程度より大きい場合、金型気泡生成部で樹脂が発熱して気泡破れをきたし、発泡倍率が低下しやすくなる。また、皺状のコルゲートが発生しやすくなり気泡径が不均一となって発泡体の表面平滑性が低下することがある。押出速度Vは、円環ダイ気泡生成部の断面積、押出量により適宜調節できる。
ここで、樹脂の押出速度V(kg/cm2・時)は、下式により定義される値である。
V=押出樹脂質量/金型気泡生成部断面積・時間
押出樹脂質量は、金型から押し出された総質量をいう。したがって、押出樹脂質量は、樹脂成分と発泡剤との合計量となる。また、押出樹脂質量は、1時間当りの押出量(kg/時)で表すことができる。
円環ダイ手前での樹脂圧力が7MPaよりも低いと、円環ダイ気泡生成部より手前で気泡生成が始まり、良好な発泡体が得られないことがある。一方、円環ダイ手前での樹脂圧力が20MPaより高くなると、押出機の負荷が高くなり過ぎることがある。また、注入圧力が高くなりすぎて発泡剤を圧入できなくなることがある。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、溶融樹脂粘度と押出量、円環ダイ気泡生成部断面積によって適宜調節できる。さらに溶融樹脂粘度は、配合樹脂組成物の粘度と発泡剤の添加量、および溶融樹脂温度によって適宜調節できる。
溶融樹脂温度とは、円環ダイ手前での樹脂圧力を測定する直管金型において、溶融樹脂に直接接触させる形で取り付けられた熱電対にて測定された温度を意味する。
溶融樹脂温度は、概ねポリプロピレン系樹脂の融点より10〜20℃の高い範囲とすることが、発泡性を高める上で好ましい。溶融樹脂温度が融点に近づくと、ポリプロピレン系樹脂の結晶化が始まり、急激に粘度が上昇し押出条件が不安定になったり、押出機の負荷が上昇したりすることがある。逆に溶融樹脂温度が高すぎると発泡後の樹脂固化が発泡スピードに追い着かず、発泡倍率が上がらないことがある。
得られた発泡体は二次加工する場合の加工性が向上し、例えばスライス加工して得られる発泡シートは、表面平滑性に優れたものが得られる。気泡生成部の断面積の調整方法としては、金型の気泡生成部の長さ(フラット金型の場合)や口径(円環ダイの場合)を変える方法と、金型の気泡生成部の間隔(フラット金型または円環ダイの場合)を変える方法との2通りの方法が挙げられる。
本発明の発泡体は、切断や切削などの加工性に優れている。
切断または切削の方法としては公知のスライス方法などを用いることができ、例えばカッターやスプリッティングマシンを用いて表皮を切断することや、サンドブラストを用いて表皮を切削することができる。
例えば、上記のように押出発泡法で得られた発泡体(シート)をスライス加工して、表裏面から発泡体内部よりも見掛け密度の高い表皮を取り除き表裏面全面にわたって気泡断面を露出させることが好ましい。こうすることで、厚み精度、表面平滑性に優れ、より柔軟で粘着剤との接着性に優れた発泡シートを得ることができる。表裏面全面にわたって気泡断面を露出させた発泡シートは、粘着テープ用基材、シーリング材用基材として好適に用いることができる。また、発泡シートの表裏面に粘着剤の層を積層することにより高品質な両面粘着テープを得ることもできる。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例および比較例において使用した材料ならびに得られた樹脂組成物および発泡体(発泡シート)の物性値を次のようにして測定・評価した。
なお、測定・評価装置は特に限定されず、同等の測定が可能な装置を用いてもよい。
[溶融張力]
ポリオレフィン系樹脂の溶融張力は、下記のようにして測定された値をいう。
具体的には、測定装置にツインボアキャピラリーレオメーター(チアスト社(現:インストロン社)製、型式:Rheologic 5000T)を用い、試験温度230℃、バレル径15mm、ダイ径2.095mm、ダイ長さ8mmのキャピラリー形状、押出速度0.0676mm/s、巻取速度初速4mm/sから12mm/s2の加速の条件で溶融張力(cN)を測定する。
[MFR]
ポリオレフィン系樹脂、エラストマーおよびプラストマーのMFRは、JIS K7210−1999 熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準拠して、下記のようにして測定された値をいう。
具体的には、測定装置にセミオートメルトインデクサー(株式会社東洋精機製作所製)を用い、温度230℃、荷重21.18N、予熱時間5分間の試験条件でMFR(g/10min)を測定する。
[デュロ硬度]
ポリオレフィン系樹脂、エラストマーおよびプラストマーのデュロ硬度は、JIS K7215−1986 プラスチックのデュロメータ硬さの試験方法に準拠して、下記のようにして測定された値をいう。
具体的には、測定装置にデュロメータ硬さ計(テクロック社製、型式:GSD720J)を用い、圧子タイプ:先端R0.1、30°円すい形、押付け荷重5kgfの条件でデュロ硬度(D)を測定する。
[見掛けのせん断速度および見掛けの粘度]
樹脂組成物の見掛けのせん断速度および見掛けの粘度は、下記のようにして測定された値をいう。
具体的には、測定装置にラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、型式:4M150、単軸押出機D2020)および粘度測定用スリットダイ(CAPF、流路:W=20mm、L=100mm、検出距離L’=60mm、H=1mm)ならびに付属する解析ソフト「スリットダイ粘度測定プログラム」を用い、次の条件で測定した圧力損失のデータから見掛けのせん断速度(sec-1)および見掛けの粘度(Pa・sec)を算出する。
温度190℃、スクリュー回転数5、10、15、20および25rpmの設定で、それぞれのスクリュー回転数においてスリットダイから吐出された樹脂を100秒間採取し、その質量を電子天秤で測定、ソフトに入力する。測定した樹脂流量と、樹脂を採取している間(100秒間)のスリットダイにおける圧力損失を測定する。
[厚み]
発泡シートの厚み(mm)は、シックネスゲージ(株式会社ミツトヨ製、型式:547−301)を用いて、シート幅方向に12点測定した厚みの平均値をいう。
[見掛け密度]
発泡シートの見掛け密度は、JIS K 7222−1999 発泡プラスチックおよびゴム 見掛け密度の測定方法に準拠して、下記のようにして測定された値をいう。
具体的には、試料から10cm3以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を、試料の元のセル構造を変えないように切断し、その質量を測定して次式により算出する。
見掛け密度(kg/m3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)×103
[50%圧縮応力]
発泡シートの50%圧縮応力は、JIS K6767−1999 発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法に準拠して、下記のようにして測定された値をいう。
具体的には、測定装置にテンシロン万能試験機(株式会社オリエンテック製、型式:UCT−10T)を用い、50mm×50mmに裁断した試験片を1mm/分の圧縮速度で50%圧縮した際の圧縮応力(MPa)を測定する。試験片の厚みが2mm以上である場合にはそのまま測定し、試験片の厚みが2mm未満である場合には約2mmとなるように重ねて測定する。
(実施例1)
口径が65mmの第一押出機の先端に、口径が75mmの第二押出機を接続してなるタンデム型押出機を用意した。
このタンデム型押出機の第一押出機に、非発泡(汎用)グレードのポリプロピレン系樹脂(株式会社プライムポリマー製、製品名:プライムポリプロ VP103W、MFR:3.0g/10min、溶融張力:0.7cN、デュロ硬度:D50)80質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー(株式会社プライムポリマー製、製品名:プライムTPO R110E、MFR:1.5g/10min、デュロ硬度:D22)10質量部およびプラストマー(エチレン−1−ヘキセン共重合体、日本ポリエチレン株式会社製、製品名:カーネル KS240T、MFR:2.0g/10minデュロ硬度:D31)10質量部を加え、気泡核剤として平均粒子径12μmのタルクを70質量%含有したマスターバッチ(日東粉化株式会社製、製品名:タルペット70P)10質量部を混合して樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を第一押出機に供給して溶融混練した。第一押出機の途中から発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を4.2質量部圧入した。圧入後、溶融状態の樹脂組成物と二酸化炭素を均一に混合混練した上で、この発泡剤を含む溶融樹脂組成物を第二押出機に連続的に供給して溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。
その後、第二押出機の先端に取り付けた金型の円環ダイ(図2参照)から吐出量30kg/hr(吐出速度V=109kg/cm2・hr)、溶融樹脂温度178℃、円環ダイ手前での溶融樹脂圧力7〜8MPaの条件で押出発泡させた。
円環ダイは、気泡生成部直径φ36mm、金型の気泡生成部間隔0.3mm(気泡生成部の断面積:0.275cm2)、発泡体成形部の間隔3.5mm、発泡体成形部の出口直径φ70mmを有している。
円環ダイの発泡体成形部において成形された発泡体を、冷却されたマンドレル上に添わせると共に、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却することで、円筒状の発泡体を成形した。
次いで、マンドレル上の一点で、カッターにより円筒状の発泡体を切開して、シート状のポリプロピレン系樹脂発泡体(発泡シート)を得た。
(実施例2)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を60質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を30質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例3)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を60質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を20質量部に、プラストマー10質量部を20質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例4)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を60質量部に、プラストマー10質量部を30質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例5)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を40質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を50質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例6)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を40質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を40質量部に、プラストマー10質量部を20質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例7)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を40質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を30質量部に、プラストマー10質量部を30質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例8)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を40質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を20質量部に、プラストマー10質量部を40質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例9)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を40質量部に、プラストマー10質量部を50質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例10)
ポリプロピレン系樹脂80質量部を20質量部、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を40質量部に、プラストマー10質量部を40質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例11)
ポリプロピレン系樹脂を発泡グレードの高溶融張力ポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製、製品名:プライムポリプロ E110G、MFR:0.3g/10min、溶融張力:5.8cN、デュロ硬度:D50)に変更したこと以外は、実施例3と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(実施例12)
ポリプロピレン系樹脂を発泡グレードの高溶融張力ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製、製品名:ニューストレン SH9000、MFR:0.3g/10min、溶融張力:32cN、デュロ硬度:D50)に変更したこと以外は、実施例3と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(比較例1)
オレフィン系熱可塑性エラストマーを加えず、ポリプロピレン系樹脂80質量部を60質量部に、プラストマー10質量部を40質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
(比較例2)
プラストマーを加えず、ポリプロピレン系樹脂80質量部を60質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を40質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡シート化を試みたが、シート化不能であった。
(比較例3)
オレフィン系熱可塑性エラストマーを加えず、ポリプロピレン系樹脂80質量部を20質量部に、プラストマー10質量部を80質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡シート化を試みたが、シート化不能であった。
(比較例4)
プラストマーを加えず、ポリプロピレン系樹脂80質量部を20質量部に、オレフィン系熱可塑性エラストマー10質量部を80質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡シート化を試みたが、シート化不能であった。
(比較例5)
オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびプラストマーを加えず、ポリプロピレン系樹脂80質量部を100質量部に変更したこと以外は、実施例11と同様にして発泡シート化を試みたが、シート化不能であった。
各実施例および比較例で用いたポリプロピレン系樹脂(PP)、熱可塑性エラストマー(EL)およびプラストマー(PL)の配合割合、それらの溶融張力およびMFRを表1に示す。
また、各実施例および比較例で得られた樹脂組成物の見掛けのせん断速度および見掛けの粘度ならびに得られた発泡シートの厚み、見掛け密度および50%圧縮応力を表2に示す。
Figure 0005940428
Figure 0005940428
実施例1〜12では高倍率でかつ柔軟な発泡体が得られることがわかる。一方、比較例1では高倍率でかつ柔軟な発泡体が得られず、比較例2〜5に至っては発泡体自体が得られないことがわかる。
すなわち、ポリプロピレン系樹脂、エラストマーおよびプラストマーを特定の配合割合で含む本発明の樹脂組成物によれば、ポリプロピレン系樹脂の溶融張力、つまり非発泡グレード(実施例1〜10)や発泡グレード(実施例11〜12)に関係なく、高倍率でかつ柔軟な発泡体が得られることがわかる。
1 発泡体成形部
2 気泡生成部
3 発泡剤含有混練溶融樹脂流路部
4 円環ダイイン側金型
5 円環ダイアウト側金型
D 円環ダイ

Claims (2)

  1. (a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとしてのエチレン/α−オレフィン共重合体とを含み、前記(a)と(b)との配合割合が質量比で80/20〜20/80の範囲でありかつ前記(b1)と(b2)との配合割合が質量比で85/15〜15/85の範囲である押出発泡用ポリオレフィン系樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂発泡体であって、
    前記ポリオレフィン系樹脂発泡体が、30〜100kg/m 3 の範囲の見掛け密度、0.1〜3.0mmの範囲の厚みおよび15〜100kPaの範囲の50%圧縮応力を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。
  2. 前記α−オレフィンが、1−ブテン、1−へキセンおよび1−オクテンから選択される少なくとも1種である請求項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体
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