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JP5932214B2 - 減摩コーティング - Google Patents

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Description

本発明は、スズに加えて、主要合金元素としてアンチモン及び銅からなる群からの少なくとも1つの他の元素を含有し、所望により鉛及び/又はビスマスと、また所望によりジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル及び銀からなる群からの少なくとも1つの元素を含有し、製造工程中にそれらの元素に由来する不可避の不純物を含有するスズベースの合金から作製された多層構造の摩擦軸受用減摩コーティングであり、アンチモンの割合が最大で20重量%、銅の割合が最大で10重量%であり、鉛とビスマスの合計の割合が最大で1.5重量%、銅とアンチモンの合計の割合が少なくとも2重量%であり、ジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル及び銀の合計の割合が最大で3重量%であって、スズが金属間相の形で結合され且つβスズ結晶粒を有するスズ相の形で自由に存在している多層構造の摩擦軸受用減摩コーティングであって、この多層構造の摩擦軸受は、少なくとも1つの金属基材層と、減摩コーティングを含み、所望により前記減摩コーティングと前記金属基材層との間に配置された軸受金属層とを備えている多層構造の摩擦軸受用減摩コーティングと、前記減摩コーティングを製造する方法とに関する。
多層構造摩擦軸受の減摩コーティングにスズベースの合金を使用することは、先行技術からすでに知られている。
例えば、文献DE 82 06 353 U1には、鋼の軸受胴と、軸受層を含み、所望により1以上の結合層及び/又は遮断層を含むとともに、最大で2重量%のCu、2〜18重量%のSb、0〜最大で0.6重量%のAs、0〜最大で0.5重量%のNi及び0〜最大で1.5重量%のCdを含有するスズベースのホワイトメタル軸受合金から作製された電着(galvanically deposited)減摩コーティングを含む、減摩軸受胴が記載されている。
文献DE 20 2007 018 616 U1には、5〜20重量%のSb、0.5〜25重量%のCu及び最大で0.7重量%のPbを含有するスズベースの合金から作製された基材層上に電着された減摩コーティングをやはり有する、減摩エレメントが記載されている。他の全ての元素の合計含有量は0.5重量%未満である。この場合における重要な特徴は、スズ結晶が大部分は球状であるということである。
上述した文献の最初のもの、DE 82 06 353 U1の場合には、銅の割合が高くなるほど減摩コーティングのトライボロジー特性の面で不利となるが、この文献DE 20 2007 018 616 U1において開示される教示は、明らかにこれと反対である。
減摩コーティングにおける銅の割合を下げる必要を避けるために、文献GB 2 375 801 Aには、二層構造の減摩コーティングを有する多層構造の軸受が記載されており、その外側の部分層は、0.5〜10重量%のCuと、所望により5重量%までのZn、In、Sb又はAgとを含有するスズベースの合金から作製され、下に位置する第2の部分層は5〜20重量%のCuを含有するスズベースの合金から作製される。
文献DE 10 2007 030 017 B4には、いわゆる溝付軸受のための、スズベースの合金を含有する減摩コーティングが開示されており、このスズベースの合金は、減摩コーティングの溝に組み込まれ、そして20重量%までのCuを含有し、所望により10重量%までのAgと15重量%までのSbを含有している。
文献DE 100 54 461 A1にも、耐腐食摩耗性を高めるように設計されたスズベースの三層構造の減摩コーティングを有する多層構造の摩擦軸受が記載されている。このスズベースの合金は、Cu、Sb、Ag、In、Zn、Ni、Co及びFeからなる群からの少なくとも1つの金属を30重量%までの割合で含有する。窒化物又は炭化物の形の硬質粒子も、25容量%までの割合で取り入れることができる。減摩コーティングの中間層は、最上部分層及び最下部分層よりもこれらの添加剤をより大きな割合で含有する。
文献DE 197 28 777には、スズに加えて、3〜20重量%のCuを含有し、所望によりそれぞれ20重量%までのBi、Ag又はNiを含有する、多層構造の摩擦軸受のための減摩コーティングが開示されている。
鉛にはスズに勝る有意の利点があることから、これまでは、鉛コーティングも減摩層として用いられることが多かった。しかしながら、鉛は、環境に優しいものではないという点において問題がある。
本発明の目的は、鉛含有量が低いか又は鉛を含まない減摩コーティングを提供することである。
この目的は、いずれの場合も独立に、βスズ構造に基づくスズ結晶粒が式K=A/(S+3*C+O)(式中、Kは平均粒度をμm単位で表し、Aは係数であり、Sはアンチモンの合金割合を重量%で表し、Cは銅、銀、ニッケルの合計の合金割合を表し、Oは鉛、ビスマス、亜鉛、他の合金元素及び非金属粒子の合計の合金割合を重量%として表す)を用いて計算されたμm単位の少なくとも所定の値の平均結晶粒度を有する、上に概説したタイプの減摩コーティングにより達成される。係数Aは50、特に70、好ましくは100の値であり、スズベースの合金中のβスズ構造を有するスズ結晶粒はいずれの場合も、本発明によって提案される減摩コーティングを備えている上記の多層構造摩擦軸受の結果、また、スズ濃度が0.1mol/l〜1mol/l、アンチモン及び/又は銅濃度がそれぞれ最大で0.3mol/lまでであり、且つ所望によりそれぞれ最大で0.1mol/lの濃度の鉛及び/又はビスマスを含有するとともに、所望によりそれぞれ0.3mol/lの濃度のジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル及び銀からなる群からの少なくとも1つの元素を含有する電解液を用い、被着工程が少なくとも1.2A/dm2の電流密度で行われる、前記減摩コーティングの製造方法の結果、少なくとも2.5μmの平均結晶粒度を有する。
本発明によって提案されるように、βスズ構造を有するスズ結晶粒は可能な限り大きいが、本発明により提案される方法によって作製していない同じ組成のスズ合金におけるよりも大きくはない。スズ結晶粒がより大きいことで、粒界に沿った拡散プロセスが減少し、そのため、例えば、粒界でのクリープのような減摩軸受を機能しなくさせる付随のメカニズムも減少し、又は銅の含有量も低下し、その結果として減摩軸受をより長く運転することができる。これについては、本出願人により仮定されたこの理論は本発明に関して何ら限定するものではなく、減摩コーティングの向上した特性を説明しようとするものに過ぎないことを指摘すべきである。しかしながら、この仮説は本発明によって提案される減摩コーティングの試験中に何回か確認された。
耐摩耗性を更に向上させるためには、すなわち、減摩コーティングにより大きな硬さを与えるためには、ジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル及び銀からなる群からの少なくとも1つの元素を合計して最大で3重量%の割合で用いてスズベースの合金を合金化すると有利である。これについては、ジルコニウムの割合は最大で1.5重量%であってもよく、ケイ素の割合は最大で1.2%であってもよい。
上に明記した濃度は、元素として又は合金粒子の形で存在するものとして、金属イオン、あるいは場合によっては金属自体に関するものである。
この段階において、上記結晶粒は通常不規則な晶癖を有することを指摘すべきである。例えば、スズ結晶粒は一方ではほぼ球状である場合があり、他方では棒状であり、言い換えれば一方向に延びている場合がある。これについては、これらの2つの極端な状態の間の総ての中間的状態も考えられる。本発明の目的の範囲内における「最大寸法」という表現は、その値に関して最大である寸法、言い換えれば、棒状のスズ結晶粒の場合長手方向に延びる寸法のことを言う。言い換えれば、この表現はスズ結晶粒を取り囲んで包み込む円又は包み込む球の直径を規定するものである。
前記の式は、スズベースの合金に添加される合金元素、言い換えれば、例えば銅、アンチモン、鉛又はビスマスが、βスズ結晶粒に対して結晶粒微細化効果を及ぼし、その結果としてこれらの他の合金元素の合金含有量が高くなるほど、粗大結晶粒を被着することが難しくなるか、又は、例えば減摩コーティングを熱処理に供することにより、結晶粒が粗大になるという事実を考慮に入れるものである。
本発明との関連で言うと、平均結晶粒度とは、結晶粒パターンの断面において認識できるように、結晶粒が幾何学的に平均的なものであると見なされる場合に、この結晶粒の最大寸法と最小寸法の値から計算した算術平均を意味し、この平均値は、結晶粒パターンにおいて認識できる最大の結晶粒からより小さい結晶粒までをベースとして、その平均値を計算するために用いられる結晶粒の断面の合計が総てのβスズ結晶粒の合計断面の80%に相当するに至るまで計算される。
この方法は、結晶粒の断面サンプルを作る際に、隅の箇所近くにある結晶粒も切断し、それによってその測定結果へのそれらの影響を減らすということを考慮に入れている。
このようにして求められた結晶粒度は通常、最小代表結晶粒で測定された典型的な結晶粒度に非常に近く一致する。
βスズ結晶粒を金属間化合物の結晶粒と識別する手段として、化学的もしくは物理的エッチング法又は電子線法(EBSD)を用いることができる。
スズベースの合金中のβスズ構造を有するスズ結晶粒は、好ましくは少なくとも5μm、特に少なくとも7μm、より特に好ましくは少なくとも9μmの平均結晶粒度を有する。
一実施形態の場合には、βスズ結晶粒は平均結晶粒度が2.5μm〜40μmの範囲内である。結晶粒の大きさが2.5μmより小さいと、上記の効果は十分には観察されなかった。しかしながら、興味深いことに、βスズ結晶粒の平均の結晶粒の大きさが40μmを超えると耐摩耗性の悪化が認められた。既存構造の更なる粗大化は過剰な摩耗につながると考えられる。
減摩コーティングの好ましい実施形態は、本発明の範囲内において、βスズ結晶粒の平均結晶粒度が5μm〜40μmの範囲内、特に10μm〜40μmであるものである。
減摩コーティングの被覆厚さが41μm未満である場合には、この減摩コーティングの耐摩耗性は、βスズ結晶粒が減摩コーティングの被覆厚さの8分の1を上回る、好ましくは4分の1を上回る平均結晶粒度を有する場合に向上し得ることが分かった。この場合には、減摩コーティングが長期間にわたる摩耗により部分的に摩滅している場合でさえも、その効果が維持される。
本発明の範囲内で、アンチモンの割合が5重量%〜15重量%であり、そして銅の含有量が0.5重量%〜5重量%である場合が好ましい。これにより、βスズ結晶粒はなおも所望の有利な大きさを有するにもかかわらず、良好な埋め込み特性を示すことに加えてより良好な耐摩耗性も提供する減摩コーティングを製造することができた。
特に、アンチモンの割合は7重量%〜12重量%であることができ、銅の含有量は1重量%〜3.75重量%であることができる。
本発明は基本的には無鉛の減摩コーティング得ることであったが、今でもなお許容されるであろう最大で0.1重量%、特に最大で0.05重量%の鉛含有量を選ぶことが本発明の範囲内において可能であることが分かった。本発明のこれらの実施形態は、EUの使用済み自動車に関する指令(指令2000/53/EC「ELV指令」)の意義の範囲内において、なおも無鉛と見なすことができる。
しかしながら、いくつかの用途については、スズベースの合金の鉛含有量及び/又はビスマス含有量が高い方が有利であることが立証されているが、とは言えかかる状況では、鉛含有量及び/又はビスマス含有量は0.2重量%〜0.5重量%の値、特に0.2重量%〜0.35重量%の値に制限される。鉛は粒界に蓄積し、それらの強度を増大すると考えられる。ビスマスは明らかに同じ機能を果たし、無鉛合金において鉛の代わりに用いることができる。
鉛及び/又はビスマスの含有量が1.5重量%を超えて増加すると、合金コーティングの耐熱性の急激な低下につながり、そのためいかなる利点もない。
一実施形態として、ジルコニウムとケイ素が元素としてあるいは金属間相として存在しない代わりに、スズベースの合金が酸素及び/又は炭素も含有するという選択肢があり、そしてこれはスズベースの合金中に分散しているZrO2及びSiCの硬質粒子が存在することを意味し、これは同じように減摩コーティングの強度を向上させるのを可能にする。
これに関連して言うと、βスズ結晶粒の所望の結晶粒度を得るためには、これらのZrO2粒子及びSiC粒子は平均結晶粒度が0.01μm〜1μmであると有利である。
多層構造摩擦軸受の一実施形態の場合には、中間コートが軸受金属層と減摩コーティングとの間に配置され、その中間コートは、電着されるか又は拡散により適用される1以上の部分コーティングを含み、その部分コーティングのおのおの又は中間コーティング自体がクロム、ニッケル、鉄、コバルト、銅及びスズからなる群からの1以上の元素を含有する。これによると、多層構造の摩擦軸受のより良好な構造上の硬さを、特に減摩コーティングの比較的軟質なスズベースの合金に関して、得ることが可能であった。
これに関して言うと、減摩コーティングがより良好なトライボロジー特性を有し且つより軟質であるように、中間コーティングが減摩コーティングの硬さよりも少なくとも3倍大きく、そしてまた中間コーティングが適用される基材の硬さよりも大きい硬さを有し、それにより基材上の減摩コーティングにとってのより良好な支持体となると有利である。
また、中間コーティングの硬さが減摩コーティングの硬さよりも少なくとも5倍大きい場合も有利である。
βスズ結晶粒の大きさを増大するための方法の一実施形態によると、電着により適用された減摩コーティングを、130℃〜220℃の範囲から選択された温度で0.5時間〜100時間の範囲から選択された時間熱処理する。
より明確に理解するために、添付の図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
それは模式簡略図であり、以下を例示している。
摩擦軸受胴の形をした多層構造の摩擦軸受を示す図である。
図1は、半割りにした摩擦軸受胴の形での多層構造の摩擦軸受1の断面を示している。図示している実施形態は、金属の基材層2と、軸受金属層3と、減摩コーティング4とを備えている多層構造の摩擦軸受1の三層構造の実施形態である。軸受金属層3は、減摩コーティング4と金属基材層2との間に配置されている。
例えば自動車に用いられているような、かかる三層式の軸受の主構造は、先行技術から知られているものであり、従って更に説明することを要しない。とは言え、他のコーティングを適用してもよく、例えば密着性を与えるためのコーティングを減摩コーティング4と軸受金属層3及び/又は拡散バリアコーティングとの間に適用してもよく、また同じように軸受金属層3と金属基材層2との間に密着コーティングを設けてもよい、ということを指摘すべきである。
本発明の範囲内において、多層構造の摩擦軸受1は異なる設計のものでもよく、例えば、図1において破線で示されるように軸受ブッシュであってもよい。他の考えられる実施形態としては、シンクロナイザーリング、軸方向に延びるスライディングブロック又は同様のものが挙げられる。
本発明の範囲内において提供されるもう一つの可能性は、軸受金属層3をなくすことであり、この場合には減摩コーティング4は金属基材層2に直接か又は間に塗布した接着剤を用いて適用され、及び/又は金属基材層2に拡散バリアコーティングを適用することである。やはり本発明の範囲内において、直接コーティングを、例えばロッドアイを連結するために適用してもよく、この場合には金属基材層2は必ずしも層構造設計のものではない。
金属基材層2は、通常、鋼鉄、又は多層構造の摩擦軸受1に必要な構造強度を与える材料から作製される。かかる材料は先行技術から知られている。
軸受金属層3には、減摩軸受エレメントのための標準として用いられているものなどの様々な合金を用いることができる。これらの例は、アルミニウムの基材を備えた軸受用金属、例えば、AlSn6CuNi、AlSn20Cu、AlSi4Cd、AlCd3CuNi、AlSi11Cu、AlSn6Cu、AlSn40、AlSn25CuMn、AlSi11CuMgNi、AlZn4Si、あるいは、銅の基材を備えた軸受用金属、例えば、CuSn10、CuAl10Fe5Ni5、CuZn31Si、CuPb24Sn2、CuSn8Bi10、CuSn4Zn、である。
当然、上記のもの以外の軸受用金属も用いることができる。
本発明により提案されるように、減摩コーティング4は、アンチモン及び銅からなる群からの少なくとも1つの元素を含有し、所望により鉛及び/又はビスマスを含有している、スズベースの合金から作製される。アンチモンの割合は最大で20重量%、特に5重量%〜15重量%であり、銅のそれは最大で10重量%、特に0.5重量%〜5重量%である。鉛及び/又はビスマスの合計の割合は最大で1.5重量%、特に0.2重量%〜0.5重量%である。アンチモン及び銅の両方を用いる場合には、これらの元素の合計の割合は少なくとも2重量%、特に2重量%〜22重量%である。本発明により提案される無鉛スズベースの合金を得るためには、鉛含有量は最大で0.1重量%、好ましくは最大で0.05重量%に限定される。
スズのマトリックスを強化するために、もう1つの選択肢は、スズベースの合金が少なくとも、ジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル、及び銀からなる群からの元素を含有することであり、この場合それらの割合は最大で3重量%に限定される。この点に関して言うと、ジルコニウムとケイ素は必ずしも金属間相として存在しなくてよく、その代わりにZrO2粒子又はSiC粒子の形で存在してもよい。この場合は、これらの粒子の平均径が0.01μm〜1μm、特に0.05μm〜0.75μmに制限されると有利である。
減摩コーティング4の被覆厚さは10μm〜2000μmでよい。これに関して言うと、コーティングを金属基材層1に直接適用する場合には500μm〜2000μmの被覆厚さを用いるのに対し、減摩コーティング4を例えば青銅上の鋳造ホワイトメタルの代わりとして用いる場合には100μm〜400μmの被覆厚さを用いるのが好ましく、そして減摩コーティング4を3つの材料から作製される軸受におけるランニング層として用いる場合には、15μm〜40μmの被覆厚さを選ぶことが好ましい。
上述したように、多層構造の摩擦軸受1に中間コーティングを適用してもよい。これらの中間コーティングは、単一層で構成してもよく、あるいはいくつかの部分コーティングから構成してもよい。詳しく言うと、これらの中間コーティングは、クロム、ニッケル、鉄、銅又はスズからなる群からの一元素から作製され、また、混合した態様も可能であって、例えば、これらの元素のうちの少なくとも2つ、例としてクロムとニッケル、又は鉄とスズを含有する中間コーティングを用いることが可能である。いくつかの部分コーティングで構成されている中間コーティングの場合には、個々の部分コーティングにおける割合は異なっていてよく、例えば、硬化用の合金元素、すなわちクロム、ニッケル、鉄、銅の含有量を、減摩コーティング4の下に最外部の部分コーティングから軸受金属層3に向かう方向に、例えば勾配の形でもって適用してもよく、あるいは金属基材層2が(それぞれの)次の部分コーティングに向かって、例えば勾配の形でもって増加する部分コーティングを有してもよい。
密着力を与えることを目的として、スズコーティング又はスズベースの合金のコーティングを、本発明により提案される多層構造の摩擦軸受1の中間コーティングとして用いると有利であることが判明した。
上述の、好ましくは中間の、コーティングの代わりに、先行技術から知られている他のコーティングを用いることも可能であろう。
中間コーティングの被覆厚さ、又は部分コーティングの合計の被覆厚さは、0.5μm〜10μm、好ましくはそれぞれ1μm、4μmでよい。この中間コーティングは全体として、又は部分コーティングの少なくとも1つは、減摩コーティング4よりも3倍硬く、好ましくは基材よりも硬質であると、特に有利である。減摩コーティング4は、例えばビッカース硬さが10〜50でよく、その結果中間コーティング、又は部分コーティングの少なくとも1つは、HV80〜HV300の硬さを持つことができる。試験荷重レベルは、それ自体公知の方法により測定されるコーティングの被覆厚さに依存する。40μmの被覆厚さまでは1ポンド〜3ポンドの試験荷重、80μm〜300μmでは10ポンドの試験荷重が用いられる。
減摩コーティング4は、好ましくは電気めっき法により製造される。この目的のためには、鋼鉄の保護層と軸受金属層3から作製されるバイメタルストリップをまず最初に作り、そして所望により材料を除去して形を作り直し及び/又は加工する。本発明により提案される減摩コーティング4は軸受金属層3上に、例えば次の条件下で被着される。
SnSb6Cuの場合の電解質及び被着パラメーター:
Sn 60g/l(テトラフルオロホウ酸スズ(II)として)
Sb 3g/l(三フッ化アンチモンとして)
Cu 0.5g/l(テトラフルオロホウ酸銅(II)として)
安定剤且つ塩基性電解質、導電性塩又は錯化剤
酸化防止剤
添加剤1及び/又は2
電流密度 3A/dm2
温度 30℃
SnSb11Cu4Biの場合の電解質及び被着パラメーター:
Sn 50g/l(テトラフルオロホウ酸スズ(II)として)
Sb 6g/l(三フッ化アンチモンとして)
Cu 4g/l(テトラフルオロホウ酸銅(II)として)
Bi 0.2g/l(テトラフルオロホウ酸鉛(III)として)
安定剤且つ塩基性電解質、導電性塩又は錯化剤
酸化防止剤
添加剤1及び/又は2
電流密度 5A/dm2
温度 15℃
SnSb4Cu4Biの場合の電解質及び被着パラメーター:
Sn 50g/l(メタンスルホン酸スズ(II)として)
Sb 5g/l(三フッ化アンチモンとして)
Cu 4g/l(メタンスルホン酸銅(II)として)
Bi 0.2g/l(メタンスルホン酸ビスマス(III)として)
安定剤且つ塩基性電解質、導電性塩又は錯化剤
酸化防止剤
添加剤1及び/又は2
電流密度 1.5A/dm2
温度 22℃
スズは、テトラフルオロホウ酸スズ(II)、メタンスルホン酸スズ(II)、硫酸スズ(II)、ピロリン酸スズ(II)の形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中のスズの濃度は0.1mol/l〜1mol/lでよい。
アンチモンは、テトラフルオロホウ酸アンチモン(III)、三フッ化アンチモン、酸化アンチモン(III)、酒石酸アンチモンカリウムの形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中のアンチモンの濃度は最大0.3mol/lまででよい。
銅は、テトラフルオロホウ酸銅(II)、メタンスルホン酸銅(II)、硫酸銅(II)、ピロリン酸銅(II)の形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中の銅の濃度は最大0.3mol/lまででよい。
鉛は、テトラフルオロホウ酸鉛(II)、メタンスルホン酸鉛(II)、ピロリン酸鉛(II)、酢酸鉛の形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中の鉛の濃度は最大0.01mol/lまででよい。
ビスマスは、三フッ化ビスマス、メタンスルホン酸ビスマス(III)、硫酸ビスマス(III)、ピロリン酸ビスマス(III)の形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中のビスマスの濃度は最大0.01mol/lまででよい。
銀は、テトラフルオロホウ酸銀、メタンスルホン酸銀、ピロリン酸銀、硫酸銀の形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中の銀の濃度は最大0.3mol/lまででよい。
亜鉛は、テトラフルオロホウ酸亜鉛(II)、メタンスルホン酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)、ピロリン酸亜鉛(II)の形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中の亜鉛の濃度は最大0.3mol/lまででよい。
ニッケルは、テトラフルオロホウ酸ニッケル(II)、メタンスルホン酸ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、ピロリン酸ニッケル(II)の形で用いることができる。一般的に言えば、電解液中のニッケルの濃度は最大0.3mol/lまででよい。
考えられる安定剤且つ塩基性電解質、導電性塩又は錯化剤は、総濃度0.2mol/l〜2mol/lの、テトラフルオロホウ酸、フッ化物系の酸、メタンスルホン酸、酒石酸並びにそのアルカリ塩及びアンモニウム塩、クエン酸並びにそのアルカリ塩及びアンモニウム塩、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸アルカリ塩、ホスホン酸並びにそのアルカリ塩及びアンモニウム塩、2,2−エチレンジチオジエタノール、フェノールスルホン酸、及びクレゾールスルホン酸、である。
考えられる酸化防止剤は、総濃度0.03mol/l〜0.3mol/lの、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロカテコール、ピロガロール、ホルムアルデヒド、メタノール、である。
考えられる添加剤1は、総濃度0.0005mol/l〜0.05mol/l、好ましくは0.002mol/l〜0.02mol/lの、フェノールフタレイン、チオ尿素及びその誘導体、α又はβナフトール及びそのエトキシレート、α及びβナフトールスルホン酸及びそのエトキシレート、o−トルイジン、ヒドロキシキノリン、リグニンスルホネート、ブチエンジオール、である。
考えられる添加剤2は、総濃度0g/l〜20g/lの、ゼラチン、陶砂、非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール及びそれらの機能性誘導体、ペプトン、グリシン、である。
上記の電解質群の構成物質の混合物、例えば、1つの金属又は各金属の少なくとも2種の塩、及び/又は少なくとも2種の安定剤、及び/又は少なくとも2種の酸化防止剤、及び/又は少なくとも2種の添加剤1、及び/又は少なくとも2種の添加剤2、を用いることも可能である。
ジルコニウム及びケイ素は、浴中に分散された上記の粒度を有するZrO2又はSiC粒子の形で用いることができる。
亜鉛、ニッケル、鉛、ビスマス、銀及びその他の合金用元素は、上記の可溶性化合物又は錯体の形で適当な電解液に添加し、これらから被着させることができる。合金を形成するもう1つの方法は、前記元素をコーティング中に拡散させるか又は電解液中に懸濁された粒子からそれらを被着させることによるものである。
被着状態において適切な粒度を得ることができない場合、もう1つの可能性は、最初に被着するスズ結晶粒をより粗大にするために、減摩コーティング4を、130℃〜220℃、特に150℃〜215℃、好ましくは165℃〜190℃の温度、言い換えれば合金の第1の融点より低い温度で、0.5時間〜100時間、特に1時間〜10時間、好ましくは1.5時間〜4時間、少なくとも1回の熱処理に供することである。
スズの絶対融解温度(505K)の、80%〜98%、好ましくは87%〜92%の温度でのこの一般的でない高温の熱処理の目的は、結晶粒を一定して成長させながら同時に結晶粒の数を減らすことである。
この熱処理の温度は、軸受を所定の位置に取り付けるときの通常の作業中に予想される標準的な温度も上回る。
合計の割合が3.3重量%より多い銅、ニッケル、亜鉛及び銀、又は合計の割合が0.9重量%より多いビスマス及び鉛を含有するコーティングの場合には、熱処理中に200℃、好ましくは180℃の温度を超えないようにすることが有利である。これにより、粒界に集中している合金元素が共晶を生じて融解することが防がれる。
このようにして製造された減摩コーティングははっきりしたβスズ相を有し、そしてそれには金属間相が他の合金用元素の個々のものとともに及び/又は他の合金用元素間に存在する。
本発明により提案されるように、スズベースの合金中のβスズ構造を有するスズ結晶粒はいずれの場合も、少なくとも2.5μmの平均結晶粒度を有するか、又は上記の式に基づいて計算した平均結晶粒度を有する。
スズベースの合金中に含まれるβスズ構造を有するスズ結晶粒は通常、結晶粒度が様々である。複数の相互に独立した同時に発生する変数の平均値(中央値)からの分散は十分であるから、特定の結晶粒度の出現頻度はほぼ正規分布に従う。
本発明により提案されるスズベースの合金の利点は、先行技術から知られている合金と比べて最大限可能な平均結晶粒度を有するということである。特に、断面パターンにおいて認識できる全断面の割合に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%の割合のスズ結晶粒が、少なくとも5μmの平均径を有する。これの利点は、最大の結晶粒度が狭い正規分布に従う場合、個別の結晶粒の大きさの中央値からの分散は最大で±1.5μmであるということである。
スズに添加される合金元素はβスズ構造を有するスズ結晶粒を微細化する効果を有するため、本発明の一実施形態は、結晶粒度の面で、βスズ構造を有するスズ結晶粒が式K=A/(S+3*C+O)(式中、Kは平均粒度をμm単位で表し、Aは係数を表し、Sはアンチモンの合金割合を重量%として表し、Cは銅、銀、ニッケルの合計の合金割合を表し、Oは鉛、ビスマス、亜鉛、他の合金元素及び非金属粒子の合計の合金割合を重量%として表す)に基づいて計算された平均結晶粒度を有し、係数Aが50、特に70、好ましくは100の値であるようなものである。例えば、SnSb6Cu1の合金は、平均結晶粒度がそれぞれ少なくとも5.56μm(=50/9)、7.8μm(=70/9)、11.1μm(=100/9)となり、合金SnSb11Cu4の場合には、平均結晶粒度はそれぞれ少なくとも3.0μm(=70/23)、4.3μm(=100/23)になる。上述した合金の後者の場合には、係数Aの50の値は、スズ結晶粒の最大寸法の最小値2.5μmより小さい平均結晶粒度となるため、採用できない。
減摩コーティング4について行った試験中に、本発明による下記の合金組成を例として作った。以下の表1及び表2に示した組成に関する総ての数値は重量%によるものとして読み取るべきである。いずれの場合も100重量%にするための残量はスズである。結晶粒度について示した数値は、平均結晶粒度を意味すると解すべきである。
Figure 0005932214
例15における115℃での熱処理は、本発明の目的の範囲内における、すなわちスズ結晶粒をより粗大にするための、熱処理ではなく、この熱処理は事実上異なる目的で実施されることに注意すべきである。
比較を可能にするために、表2に提示する合金組成を作り、被着は先行技術から知られているように電気めっきにより行った。
Figure 0005932214
例1〜17及び例I〜XIについての試験結果をやはり表1及び表2に提示している。
試験は、25〜35μm被覆厚さの減摩コーティング4を有する、鋼鉄の基材層2と鉛青銅の軸受金属層3から作製された図1に図示したタイプの摩擦軸受胴について行った。軸受胴についての試験は、スライド速度12m/秒で荷重を徐々に変化させながら特定の荷重振幅60Mpaで300万回の荷重サイクルをかけて行った。
試験後に、半割りの胴を測定し、こうして減摩コーティング4の摩耗を判定した。減摩コーティング4の疲労強度を視覚的に評価した。
視覚的評価での評点1〜5は、非常に良好な状態(1:円滑運転)から非常に不良の状態(5:広い表面積に顕著な永久的破損)までの範囲に及ぶ。
結晶粒度は、光学顕微鏡により撮影した顕微鏡写真から測定し、評価を上述のように行った。この目的のために、互いに対し直角に延在する2つの面の顕微鏡写真を撮影した。
先行技術に基づく例と比べて、本発明に基づく減摩コーティングは、特に同じ又はよく似た化学組成のコーティングを直接比較すると、摩耗及び疲労強度についてより良好な値を示したことが明らかである。
総てのまとめられた試験結果から(それらの全部をここに複製できたわけではないが)、βスズ結晶粒が最小の結晶粒度を有し且つ少なくとも1つの方向において主要寸法の特定値を超える場合に、耐摩耗性及び焼付き傾向の面で有利な減摩コーティング4が得られることが分かった。
本発明のもう1つの実施形態において、βスズ結晶粒は、減摩コーティング4の金属間相の平均結晶粒度よりも少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%、特に少なくとも200%大きい平均結晶粒度を有することができ、「平均」という用語に関しては上述した説明を適用すべきである。これはまた上記の効果を向上させる。
減摩コーティング4のトライボロジー特性の更なる向上は、スズ結晶粒が減摩コーティング4において少なくとも1つの結晶学的方向に配向される場合に達成され得ると考えられる。
例として示した実施形態は、減摩コーティング4と多層構造の摩擦軸受1の考えられる変形を示しているが、本発明は具体的に示した変形に限定されないことをこの段階において指摘しておくべきである。何をおいても、減摩コーティング4について表1に示した組成はそれぞれ、いずれの場合も独立した発明の対象を構成するものである。
1 多層構造の摩擦軸受
2 金属基材層
3 軸受金属層
4 減摩コーティング

Claims (15)

  1. スズに加えて、アンチモン、銅、鉛、ビスマス、ジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル及び銀からなる群からの少なくとも1つの元素、製造に用いられるそれらの元素に由来する不可避の不純物からなる、スズベースの合金であり、但しこのスズベースの合金はアンチモンと銅のうちの少なくとも一方を含有することを条件とするスズベースの合金から作製された多層構造摩擦軸受(1)用の減摩コーティング(4)であり、アンチモンの割合が最大で20重量%、銅の割合が最大で10重量%、鉛とビスマスの合計の割合が最大で1.5重量%、銅とアンチモンの合計の割合が少なくとも2重量%であり、ジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル及び銀の合計の割合が最大で3重量%であって、スズが金属間相の形で結合され且つβスズ結晶粒を有するスズ相として自由に存在している多層構造摩擦軸受(1)用の減摩コーティング(4)であって、βスズ構造を有するスズ結晶粒が式K=A/(S+3*C+O)(式中、Kは平均結晶粒度をμm単位で表し、Aは係数を表し、Sは前記合金中のアンチモンの割合を重量%として表し、Cは前記合金中の銅、銀、ニッケルの合計の割合を表し、Oは鉛、ビスマス、亜鉛、他の合金元素及び非金属粒子の合計の合金割合を重量%として表す)に基づいて計算されたμm単位の少なくとも所定の値の平均結晶粒度を有し、前記係数Aは50の値であり、前記平均結晶粒度は、各結晶粒を幾何学的に平均的なものと見なして結晶粒パターンにおいて認識できるこの結晶粒の最大寸法と最小寸法の計算値の算術平均を表し、前記計算は、前記パターンにおいて認知できる最大の結晶粒からより小さい結晶粒までを測定するために、前記平均を求めるために用いられる結晶粒の断面の合計が前記βスズ結晶粒総ての全断面の80%に相当するまで繰り返し、そして前記スズベースの合金中のβスズ構造を有するスズ結晶粒はいずれの場合も少なくとも2.5μmの平均結晶粒度を有することを特徴とする多層構造摩擦軸受(1)用の減摩コーティング(4)。
  2. βスズ構造を有する前記スズ結晶粒が2.5μm〜40μmの範囲の平均結晶粒度を有することを特徴とする、請求項1に記載の減摩コーティング(4)。
  3. 前記減摩コーティングの被覆厚さが41μm未満であり、βスズ構造を有する前記スズ結晶粒が前記減摩コーティングの被覆厚さの8分の1より大きい平均結晶粒度を有し、前記平均結晶粒度はスズ結晶粒の最大寸法についての少なくとも5つの個別の値から得られた算術平均であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の減摩コーティング(4)。
  4. アンチモンの前記割合が5重量%〜15重量%であることを特徴とする、請求項1〜3の一つに記載の減摩コーティング(4)。
  5. 前記銅の含有量が0.5重量%〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜4の一つに記載の減摩コーティング。
  6. 前記鉛の含有量及び/又は前記ビスマスの含有量が0.2重量%〜0.5重量%であることを特徴とする、請求項1〜5の一つに記載の減摩コーティング(4)。
  7. 前記鉛の含有量が最大で0.1重量%であることを特徴とする、請求項1〜5の一つに記載の減摩コーティング(4)。
  8. ジルコニウム及びケイ素が前記スズベースの合金中にZrO2粒子又はSiC粒子の形で存在することを特徴とする、請求項1〜7の一つに記載の減摩コーティング(4)。
  9. 前記ZrO2粒子及び前記SiC粒子が0.01μm〜1μmの平均粒度を有することを特徴とする、請求項8に記載の減摩コーティング(4)。
  10. 前記係数Aが70の値であることを特徴とする、請求項1〜9の一つに記載の減摩コーティング(4)。
  11. 前記係数Aが100の値であることを特徴とする、請求項1〜9の一つに記載の減摩コーティング(4)。
  12. 少なくとも1つの金属基材層(2)と減摩コーティング(4)を含む多層構造の摩擦軸受(1)であって、前記減摩コーティング(4)が請求項1〜11の一つに記載されている減摩コーティングであることを特徴とする多層構造の摩擦軸受(1)。
  13. 前記減摩コーティング(4)と前記金属基材層(2)との間に配置された軸受金属層(3)を更に備えている、請求項12に記載の多層構造の摩擦軸受(1)。
  14. 請求項1〜11の一つに記載のスズベースの合金から作製された多層構造摩擦軸受(1)用の減摩コーティング(4)であり、当該減摩コーティング(4)は電解液から電着されている、多層構造摩擦軸受(1)用減摩コーティング(4)を製造する方法であって、スズの濃度は0.1mol/l〜1mol/l、アンチモン及び/又は銅の濃度はそれぞれ最大で0.3mol/lまで、鉛及び/又はビスマスの濃度はそれぞれ最大0.1mol/lであり、ジルコニウム、ケイ素、亜鉛、ニッケル及び銀からなる群からの少なくとも1つの元素の濃度はそれぞれ0.3mol/lである電解液を使用し、被着を少なくとも1.2A/dm2の電流密度で行うことを特徴とする多層構造摩擦軸受(1)用減摩コーティング(4)の製造方法。
  15. 前記減摩コーティングを、電着後に130℃〜220℃の範囲から選択された温度で0.5時間〜100時間の範囲から選択された時間熱処理することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
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