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JP5923381B2 - PPARγ活性抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(Peroxisome Proliferator Activated Receptor gamma、PPARγと記載する)の活性を抑制することができる素材に関する。
ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)は、C末端側のリガンド結合領域にリガンドが結合することで活性化される転写因子であり、グルココルチコイド、エストロゲン及びビタミンD等をリガンドとする核内受容体のスーパーファミリーの一つである(非特許文献1)。PPARはリガンドとの結合により活性化されると、レチノイドXレセプター(retinoid X receptor:RXR)とヘテロダイマーを形成し、標的遺伝子の上流に存在するPPAR応答配列(peroxisome proliferator response element:PPRE)に結合して標的遺伝子の発現を活性化する(非特許文献2及び3)。
PPARには、PPARα及びPPARδ及びPPARγと呼ばれる3種のアイソフォームが同定されている。これらは、発現組織が異なっており、それぞれ違った生体機能を有していることが報告されている(非特許文献4)。例えば、PPARγは、栄養が十分にある状態でエネルギー貯蔵に作用し、いわゆる倹約遺伝子として働く分子である。特にPPARγ2は、脂肪細胞に比較的強い特異性を持って発現しており、脂肪細胞分化の中心的役割を果たしていることが明らかになっている。PPARγのリガンドとして知られるチアゾリジン誘導体は脂肪細胞分化を強力に誘導することにより、脂肪細胞を小型化してインスリン感受性を高めることが知られており、インスリン抵抗性改善剤、糖尿病治療薬として広く使用されている(非特許文献5)。
PPARγの活性を抑制することによって、脂肪細胞の分化及び/又は成熟が抑制されるので脂肪合成を抑制することができ、ひいては肥満や、脂質異常症、脂肪肝の予防又は改善、さらには生活習慣病や内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善が可能になる。
さらにPPARγは、皮脂腺細胞(sebaceous cell)で発現していることが知られている。ラット皮脂腺細胞を用いた培養試験においては、PPARγのアゴニストBRL−49653が皮脂腺細胞の脂質産生細胞への分化を促進したことが示されている(非特許文献6)。B領域の紫外線(UVB)や薬剤誘導性の酸化ストレス刺激により、表皮癌細胞や皮脂腺細胞のPPARγが活性化されると、PPARγ活性に依存的なシクロオキシゲナーゼ2の発現亢進が起こり、炎症反応が惹起されたことも報告されている(非特許文献7)。
したがって、PPARγの活性を抑制することによって、皮脂腺における過剰な脂質産生の抑制を介して、ニキビ等の皮膚脂質異常を伴う皮膚疾患又は皮膚トラブルの予防又は改善もまた可能になる。
シトラール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)は、柑橘類やレモングラス等に含まれる香気成分であり、主に香料として使用されており、また血流促進成分としても知られている(特許文献1)。コショウの辛み成分であるピペリン((2E,4E)−1−ピペリジノ−5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2,4−ペンタジエン−1−オン)は、古くから殺虫成分として用いられていた物質であり、また温感物質としても知られている(特許文献2)。
特開2010−024184号公報 特表2011−516092号公報
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本発明は、PPARγの活性を抑制することができる素材の提供に関する。
本発明者らはシトラール又はピペリンがPPARγアンタゴニスト活性を有しており、脂肪細胞の分化及び/又は成熟の抑制、脂肪合成の抑制、皮脂の抑制、ニキビ等の皮膚脂質異常を伴う皮膚疾患又は皮膚トラブルの予防又は改善、あるいは肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群等の疾患又は状態の予防若しくは改善のための有効成分として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)シトラール又はピペリンを有効成分とするPPARγ活性抑制剤。
(2)シトラール又はピペリンを有効成分とする脂肪細胞の分化及び/又は成熟抑制剤。
(3)シトラール又はピペリンを有効成分とする脂肪合成抑制剤。
(4)シトラール又はピペリンを有効成分とする皮脂抑制剤。
(5)シトラール又はピペリンを有効成分とするニキビ予防又は改善剤。
(6)シトラール又はピペリンを有効成分とする肥満予防又は改善剤。
(7)シトラール又はピペリンを有効成分とする脂質異常症の予防又は改善剤。
本発明のPPARγ活性抑制剤は、PPARγアンタゴニスト活性を有し、PPARγ活性化を抑制することができる。本発明のPPARγ活性抑制剤は、脂肪細胞の分化及び/又は成熟の抑制、脂肪合成の抑制、さらには肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)等の疾患若しくは状態の予防又は改善のために使用することができる。さらに本発明のPPARγ活性抑制剤は、皮脂産生の抑制や、ニキビ等の皮膚脂質異常を伴う皮膚疾患又は皮膚トラブルの予防又は改善のために使用することができる。
本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
本明細書において、「改善」とは、疾患、症状若しくは状態の好転、疾患、症状若しくは状態の悪化の防止又は遅延、あるいは疾患、症状若しくは状態の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
本明細書において、「予防」とは、個体における疾患、症状若しくは状態の発生の防止又は遅延、あるいは個体の疾患、症状若しくは状態の発生の危険性を低下させることをいう。
シトラール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)は、特開昭52−148009号公報、特開平9−188645号公報、特開2006−124348号公報等に記載の方法に従って、化学的に合成することができる。あるいは、Sigma Aldrich、和光純薬工業等から購入することができる。
ピペリン((2E,4E)−1−ピペリジノ−5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2,4−ペンタジエン−1−オン)は、例えば、コショウ科植物等のピペリンを含有する生薬の抽出エキス及び乾燥エキスを用いることができる。あるいは、Sigma Aldrich、和光純薬工業等から購入することができる。
後記実施例に示すように、シトラール又はピペリンは、PPARγにアンタゴニストとして作用し、PPARγに依存的な遺伝子の転写活性を抑制する作用を有する。前述のとおり、PPARγはエネルギー貯蔵に作用する分子であり、またPPARγのリガンドにより脂肪細胞分化や(非特許文献5)、皮脂腺細胞の脂質産生細胞への分化(非特許文献6)が促進されることが知られている。すなわち、シトラール又はピペリンは、新規PPARγアンタゴニストであり、PPARγ活性抑制のために使用することができる。さらに、シトラール又はピペリンは、脂肪細胞の分化及び/又は成熟の抑制のため、脂肪細胞の脂肪合成の抑制のため、皮脂の抑制のため、ニキビ等の皮膚脂質異常を伴う皮膚疾患又は皮膚トラブルの予防、治療又は改善のため、あるいは肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)等の疾患若しくは状態の予防、治療又は改善のために使用することができる。当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する組織、器官、細胞等における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。シトラール及びピペリンは、各々単独で使用されてもよく、又は組み合わせて使用されてもよい。
したがって一態様において、本発明は、シトラール又はピペリンを有効成分とするPPARγ活性抑制剤を提供する。また本発明は、シトラール又はピペリンを有効成分とする脂肪細胞の分化及び/又は成熟抑制剤を提供する。また本発明は、シトラール又はピペリンを有効成分とする脂肪合成抑制剤を提供する。また本発明は、シトラール又はピペリンを有効成分とする皮脂抑制剤を提供する。また本発明は、シトラール又はピペリンを有効成分とするニキビ予防又は改善剤を提供する。また本発明は、シトラール又はピペリンを有効成分とする肥満予防又は改善剤を提供する。また本発明は、シトラール又はピペリンを有効成分とする脂質異常症の予防又は改善剤を提供する。
一実施形態において、上記剤は、本質的にシトラール又はピペリンから構成され得る。
別の態様において、本発明は、PPARγ活性抑制剤の製造のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、脂肪細胞の分化及び/又は成熟抑制剤の製造のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、脂肪合成抑制剤の製造のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、皮脂抑制剤の製造のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、ニキビ予防又は改善剤の製造のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、肥満予防又は改善剤の製造のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、脂質異常症の予防又は改善剤の製造のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。
一実施形態において、上記の剤の脂肪細胞の分化及び/又は成熟抑制作用、脂肪合成抑制作用、皮脂抑制作用、ニキビ予防又は改善作用、肥満予防又は改善作用、あるいは脂質異常症の予防又は改善作用は、PPARγ活性抑制によってもたらされる。
さらに別の態様において、本発明は、PPARγ活性抑制のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、脂肪細胞の分化及び/又は成熟抑制のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、脂肪合成抑制のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、皮脂抑制のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、ニキビ予防又は改善のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、肥満の予防又は改善のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。また本発明は、脂質異常症の予防又は改善のためのシトラール又はピペリンの使用を提供する。
さらに本発明は、ニキビの予防、治療又は改善において使用されるためのシトラール又はピペリンを提供する。さらに本発明は、肥満の予防、治療又は改善において使用されるためのシトラール又はピペリンを提供する。さらに本発明は、脂質異常症の予防、治療又は改善において使用されるためのシトラール又はピペリンを提供する。
さらに、シトラール又はピペリンは、PPARγ活性抑制のため、脂肪細胞の分化及び/又は成熟の抑制のため、脂肪合成の抑制のため、皮脂抑制のため、ニキビ予防又は改善のため、あるいは肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群等の疾患若しくは状態の予防又は改善のための組成物、医薬、医薬部外品、化粧料、飲食品等の製造のために使用することができる。
上記組成物、医薬、医薬部外品、化粧料、飲食品等は、ヒト又は非ヒト動物用として製造され、又は使用され得る。シトラール又はピペリンは、当該組成物、医薬、医薬部外品、化粧料、飲食品等に素材として配合され、PPARγ活性抑制のため、脂肪細胞の分化及び/又は成熟の抑制のため、脂肪合成の抑制のため、皮脂抑制のため、ニキビ予防又は改善のため、あるいは肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群等の疾患若しくは状態の予防又は改善のための有効成分であり得る。
上記医薬、医薬部外品又は化粧料は、シトラール又はピペリンを有効成分として含有する。当該医薬、医薬部外品又は化粧料は、シトラール又はピペリンを単独で含有していてもよく、又は薬学的に若しくは化粧料として許容される担体を組み合わせて含有していてもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、被膜剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、増粘剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、保湿剤、香料、矯味剤、矯臭剤等が挙げられ、さらに化粧料においては、美白剤、紫外線保護剤、細胞賦活剤、洗浄剤、角質溶解剤、メークアップ成分(例えば、化粧下地、ファンデーション、おしろい、パウダー、チーク、口紅、アイメーク、アイブロウ、マスカラ、その他)等が挙げられる。さらに、当該医薬、医薬部外品又は化粧料は、シトラール又はピペリンのPPARγ活性抑制作用が失われない限り、他の有効成分、薬理成分又は化粧成分を含有していてもよい。
上記医薬又は医薬部外品は、任意の投与形態で投与され得る。投与は経口でも非経口でもよい。経口投与のための剤型としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形投薬形態、ならびにエリキシル、シロップおよび懸濁液のような液体投薬形態が挙げられ、非経口投与のための剤型としては、注射、輸液、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、吸入、坐剤、ボーラス、貼布剤等が挙げられる。また上記化粧料は、クリーム、乳液、ローション、懸濁液、ジェル、パウダー、パック、シート、パッチ、スティック、ケーキ等、化粧料に使用され得る任意の形態であり得る。
上記医薬、医薬部外品又は化粧料は、シトラール又はピペリンから、あるいは必要に応じて上記担体及び/又は他の有効成分、薬理成分又は化粧成分を組みあわせて、常法により製造することができる。当該医薬又は医薬部外品におけるシトラール又はピペリンの含有量は、1〜100質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましく、20〜80質量%がさらに好ましい。また当該化粧料におけるシトラール又はピペリンの含有量は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましい。
上記飲食品は、シトラール又はピペリンを有効成分として含有する。当該飲食品は、PPARγ活性抑制、脂肪細胞の分化及び/又は成熟の抑制、脂肪合成の抑制、皮脂抑制、ニキビ予防又は改善、あるいは肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群等の疾患若しくは状態の予防又は改善等の効果を得ることが企図され、必要に応じてその旨を表示した飲食品、機能性飲食品、病者用飲食品、特定保健用飲食品、家畜用飼料、家畜用飲料、ペットフード等であり得る。
上記食品の形態としては、例えば、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、スープ類、食用油、調味料等の各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ等)、ならびに家畜用飼料、ペットフード等が挙げられ、飲料の形態としては、例えば、果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、ニアウオーター、スポーツ飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料等が挙げられる。
上記種々の形態の飲食品は、シトラール又はピペリンを単独で、又は他の飲食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて、公知の飲食品の製造法により製造することができる。上記飲食品等におけるシトラール又はピペリンの含有量は、0.0005〜1.5質量%が好ましく、0.0025〜0.3質量%がより好ましく、0.005〜0.1質量%がさらに好ましい。
あるいは、上記医薬品、医薬部外品又は飲食品の投与量(有効摂取量)は、シトラール又はピペリンの質量に換算して、一日あたり2〜5000mg/60kg体重が好ましく、10〜1000mg/60kg体重がより好ましく、20〜500mg/60kg体重がさらに好ましい。
本発明のさらに別の態様において、シトラール又はピペリンは、PPARγ活性抑制のため、脂肪細胞の分化及び/又は成熟の抑制のため、脂肪合成の抑制のため、皮脂抑制のため、ニキビ予防又は改善のため、あるいは肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群等の疾患若しくは状態の予防、治療又は改善のために、それらを必要とする対象に有効量で投与され得る。
一実施形態において、当該投与は、健康促進又は美容目的での、ニキビ等の皮膚脂質異常を伴う皮膚疾患又は皮膚トラブルの予防又は改善、肥満の予防又は改善、体重の低下又は増加の防止、体脂肪量の低下又は増加の防止、あるいは血中脂質量の低下又は増加の防止等を企図して、非治療的に行われる。
投与の対象としては、PPARγ活性化の抑制を必要とする動物、脂肪細胞の分化及び/若しくは成熟の抑制を必要とする動物、脂肪合成の抑制を必要とする動物、皮脂抑制を必要とする動物、ニキビの予防又は改善を必要とする動物、あるいは肥満や脂質異常症の予防若しくは改善を必要とする動物等が挙げられる。あるいは、投与の対象としては、ニキビ等の皮膚脂質異常を伴う皮膚疾患、又は肥満、脂質異常症、脂肪肝、生活習慣病や内臓脂肪症候群等の疾患若しくは状態に罹患している動物、その疑いのある動物、又はその危険性の高い動物が挙げられる。またあるいは、投与の対象としては、上記疾患若しくは状態に罹患している又はその危険性があるとは診断されていないが、健康促進又は美容目的で、ニキビ等の皮膚脂質異常を伴う皮膚疾患又は皮膚トラブルの予防又は改善、体重や体脂肪量の低下若しくは増加の防止、又は血中脂質量の低下若しくは増加の防止を所望する動物が挙げられる。動物は、好ましくはヒト又は非ヒト哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
好ましい投与量は、対象の種、体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔、及び摂取の量や間隔は、当業者によって適宜決定され得る。例えば、ヒトに経口投与する場合、投与量は、シトラール又はピペリンの質量に換算して、成人1人当たり、2〜5000mg/日とすることが好ましく、10〜1000mg/日がより好ましく、20〜500mg/日がさらに好ましい。
あるいは、投与対象は、動物由来の組織、器官、細胞、又はそれらの培養物若しくは分画物であり得る。当該組織、器官、細胞、又はそれらの分画物は、PPARγを発現するか又はPPARγを有する、天然由来又は生物学的若しくは生物工学的に改変された組織、器官、細胞、又はそれらの分画物である。したがって本発明はまた、当該組織、器官、細胞、又はそれらの培養物若しくは分画物においてPPARγの活性を抑制する方法を提供する。本方法は、例えば、PPARγを有し且つPPARγ活性を抑制したい細胞をシトラール又はピペリンの存在下で培養する工程を含む。細胞が細胞培養物の場合、添加されるシトラール又はピペリンの濃度は、1〜100μMであり、好ましくは5〜50μMであり、より好ましくは10〜30μMである。
実施例1:PPARγ活性阻害試験
試験物質として、ピペリン(Sigma Aldrich)、シトラール(Sigma Aldrich)、陽性対照として、PPARγアンタゴニストであるGW9662(和光純薬工業)を用いた。
アフリカミドリザル腎細胞株CV−1を24穴プレートにまき、DMEM(5%チャコール処理ウシ胎児血清)中で1日培養した。ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4結合配列を含むレポータープラスミド(pG5-Luc;invitrogen)と、ヒトPPARγ2リガンド結合部位(NCBI Ref Seq NM_015869,nt703-1606,配列番号1)をpBINDベクター(invitrogen)に挿入したpBIND−PPARγ−LBDとを同時に各々0.25μg/ウェルとなるようにトランスフェクション試薬(Superfect Transfection Reagent;QIAGEN)を用いて上記細胞に導入した。pBIND−PPARγ−LBDベクターは、細胞に導入するとPPARγ2リガンド結合部位とGAL4結合配列に結合する部位との融合蛋白質を発現する。当該融合蛋白質は、PPARγ2リガンドと結合することによりGAL4結合配列とも結合し、その下流のホタルルシフェラーゼ遺伝子の転写を活性化する。よって、ホタルルシフェラーゼ活性を測定することによって、PPARγ2リガンドの結合量を決定することができる。また当該ベクターにはウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子が組み込まれているので、ウミシイタケルシフェラーゼ活性を測定することにより、当該ベクターの導入効率を求めることができる。
ベクター導入の3時間後、培養液をDMEM(5%チャコール処理ウシ胎児血清)に交換し、さらに3時間後、培養液を、表1記載の試験物質を含むDMEM(−ウシ胎児血清)培地に交換した。1時間後、PPARγアゴニストであるピオグリタゾンを添加して一晩培養し、PBSにて洗浄後、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて細胞を溶解し、溶解液にルシフェリンを含む基質溶液を加え、ルミノメーターにてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性を各々測定した。試験物質存在下でのPPARγアゴニストにより惹起されるPPARγ依存的な遺伝子の転写活性(ルシフェラーゼ活性:Luc活性)を測定することにより、当該試験物質のPPARγアンタゴニスト活性を評価した。PPARγ依存的な遺伝子の転写活性(Luc活性)は以下のように定義した。

PPARγ依存的な遺伝子の転写活性(Luc活性)
=(pG5−LucによるホタルLuc活性)/(pBIND−PPARγ−LBDによるウミシイタケLuc活性)

コントロール(試験物質非添加)でのLuc活性を100として、各試験物質存在下でのLuc活性の相対値(%)を求めた。コントロールに対する有意差検定はstudent’s t−testを用いて行った。結果を表1に示す。
Figure 0005923381
実施例2:脂肪細胞分化への影響
マウス前駆脂肪細胞由来細胞株3T3−L1を12穴プレートにまき、10%ウシ胎児血清含有DMEM中で一日培養した。各試験物質を添加しさらに一日培養した後、試験物質を添加した分化誘導培地(5μg/mLインスリン、1μMロシグリタゾン、10%ウシ胎児血清含有DMEM)に交換した。以後、試験物質を添加した分化誘導培地にて2日おきに培地交換を行い、6日後に細胞を回収した。陰性対照として、分化誘導培地に交換せず同期間培養した細胞(未分化群)を調製した。
得られた細胞からトータルRNAを調製し、逆転写反応によりcDNAを得た。得られたcDNAを鋳型として、7500 Fast Real−Time PCR System(アプライドバイオシステム社)を用いた定量的PCRにより、Fabp4、SREBP1c及びFAS各遺伝子の発現量を測定した。Fabp4は脂肪細胞の分化マーカーとして知られている。SREBP1cおよびFASは脂肪細胞における主要な脂質合成関連遺伝子である(The Journal of Nutritional Biochemistry.,2009,20(2):140−148)。
測定した各遺伝子の発現量は、内部標準(36B4遺伝子発現量)により補正した。得られた値は、コントロール(試験物質未添加)における発現量を1としたときの相対値として求めた。得られた値は平均値±標準誤差にてグラフ化した(n=3)。コントロールに対する有意差検定はstudent’s t−testを用いて行った。結果を表2に示す。
Figure 0005923381

Claims (5)

  1. シトラールを有効成分とするPPARγ活性抑制剤(ただし、皮脂抑制、ニキビ予防又は改善、あるいはフルクトースの過剰摂取に起因する肥満、高脂血症又は脂肪肝の予防又は改善に使用する場合を除く)
  2. シトラールを有効成分とする脂肪細胞の分化及び/又は成熟抑制剤(ただし、フルクトースの過剰摂取に起因する肥満、高脂血症又は脂肪肝の予防又は改善に使用する場合を除く)
  3. シトラールを有効成分とする脂肪合成抑制剤(ただし、フルクトースの過剰摂取に起因する肥満、高脂血症又は脂肪肝の予防又は改善に使用する場合を除く)
  4. シトラールを有効成分とする肥満(フルクトースの過剰摂取に起因する肥満を除く)の予防又は改善剤。
  5. シトラールを有効成分とする脂質異常症(フルクトースの過剰摂取に起因する高脂血症を除く)の予防又は改善剤。
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