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JP5920782B2 - チタン酸化物単結晶粒子及びその製造方法、並びに該チタン酸化物単結晶粒子を含む電極活物質、該電極活物質を用いてなる蓄電デバイス - Google Patents

チタン酸化物単結晶粒子及びその製造方法、並びに該チタン酸化物単結晶粒子を含む電極活物質、該電極活物質を用いてなる蓄電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、チタン酸化物単結晶粒子及びその製造方法に関する。また、前記チタン酸化物単結晶粒子を含む電極活物質及びこの電極活物質を用いた蓄電デバイスに関する。
現在我が国においては、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯型電子機器に搭載されている二次電池のほとんどは、リチウム二次電池である。また、リチウム二次電池は、今後はハイブリッドカー、電力負荷平準化システム用などの大形電池としても実用化されるものと予想されており、その重要性はますます高まっている。
このリチウム二次電池は、いずれもリチウムを可逆的に吸蔵・放出することが可能な材料を含有する正極及び負極、非水系有機溶媒にリチウムイオン伝導体を溶解させた電解液、セパレータを主要構成要素とする。
これらの構成要素のうち、負極用の活物質としては、エネルギー密度が高く、レート特性に優れたリチウムチタン複合酸化物が普及しており、一方、放電電位が高く、安全性に優れたチタン酸化物も注目されている。
例えば、LiTi12で表されるスピネル型(特許文献1、非特許文献1)、LiTiで表されるラムズデライト型(特許文献2,非特許文献2)等のチタン酸リチウムや、HLiy−xTi(0<x≦y、0.8≦y≦2.7、1.3≦z≦2.2)(特許文献3)で表されるチタン酸水素リチウムを、電極活物質に用いる技術が知られている。
あるいは、TiO(B)で表される二酸化チタン(非特許文献3)、HTi1225で表される水素チタン酸化物(特許文献4、非特許文献4)、HTi1.73(0.5≦x+y≦1.07、0≦y/(x+y)≦0.2、3.85≦z≦4.0、MはLi以外のアルカリ金属)(特許文献5)、ATi(AはNa、Li、Hから選ばれる少なくとも一種)(特許文献6)等で表されるチタン酸化物等を用いる技術も知られている。
これらのチタン酸化物等は、上記リチウム二次電池の電極材料活物質としてのみでなく、例えば、瞬間的に大電流を流すことができる蓄電デバイスであるリチウムイオンキャパシタにおいても電極材料活物質として利用できることが知られている。(非特許文献5)
また、ポストリチウム二次電池として検討されているナトリウム二次電池、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池用途においても、電極材料の活物質として、利用可能なことも知られている。(非特許文献6)
今後、リチウム二次電池をはじめとする蓄電デバイスは、自動車用電源や大容量のバックアップ電源、緊急用電源など、大型で高出力、長寿命のものが必要となることが予測されることから、前述のような酸化物系負極材料活物質について、さらに高性能(高容量)な電極活物質が必要とされている。
このような観点から、特に、酸化物重量当たりの充放電容量が200mAh/gを超え、かつ初回不可逆容量が小さい特性を有するHTi1225等のチタン酸化物について、電極密度を増加させることができれば、電極の体積エネルギー密度を増大させることができ、蓄電デバイスとしての高エネルギー密度化が可能となる。
電極密度を増大させるためには、一定の電極体積中における酸化物の重量密度を増大させること、すなわち、酸化物をできるだけ多く電極に充填することが必要である。そのためには、より大きな粒子サイズの一次粒子、或いは単結晶粒子からなる酸化物活物質が望ましい。
また、単結晶粒子などの高い結晶性を有する酸化物活物質の使用により、リチウムイオンの拡散が容易となることで、電極特性が改善できることも期待される。(非特許文献7)
しかしながら、前述のHTi1225等のチタン酸化物系について、大型の一次粒子、或いは単結晶粒子の製造方法については、検討されていなかった。
特開2002−270175号公報 特開2004−221523号公報 国際公開WO99/003784号パンフレット 国際公開WO2008/111465号パンフレット 特開2007−220406号公報 特開2007−243233号公報
G.X.Wang,D.H.Bradhurst,S.X.Dou,H.K.Liu,Journal of Power Sources,83,156−161(1999) Jie Shu,Electrochimica Acta,54,2869−2876(2009) A.R.Armstrong,G.Armstrong,J.Canales,R.Garcia,P.G.Bruce,Advanced Materials,17,862−865(2005) J.Akimoto,K.Chiba,N.Kijima,H.Hayakawa,S.Hayashi,Y.Gotoh,Y.Idemoto,Journal of The Electrochemical Society,158,A546−A549(2011) G.Wang,Z.Y.Liu,J.N.Wu,Q.Li,Materials Letters,71,120−122(2012) P.Senguttuvan,G.Rousse,V.Seznec,J.−M.Tarascon,M.R.Palacin,Chemistry of Materials,23,4109−4111(2011) K.Ariyoshi,Y.Maeda,T.Kawai,T.Ohzuku,Journal of The Electrochemical Society,158,A281−A284(2011)
したがって、本発明は、上記のような現状の課題を解決し、高容量が期待できる蓄電デバイスの電極活物質に用いることができる、チタン酸化物の単結晶粒子を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、HTi1225の単結晶粒子の製造方法を見出し、さらに、これを蓄電デバイスの活物質に用いると、優れた電池特性が得られることを見出して、本発明を完成させた。
本発明は、下記に示す新型の結晶構造を有するHTi1225の単結晶粒子、及びその製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、化学組成がHTi1225で表記されるチタン酸化物の単結晶粒子である。
また本発明は、粒子サイズが10μm〜500μmのHTi1225の単結晶粒子である。
また本発明は、結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造を有するHTi1225の単結晶粒子である。
さらに本発明は、結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造を有し、結晶系が単斜晶系、空間群がC2/mに属するHTi1225の単結晶粒子である。
さらに本発明は、結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造を有し、結晶系が単斜晶系、空間群がC2/mに属し、その格子定数が格子定数a=12.3〜12.5Å、b=3.7〜3.8Å、c=19.8〜20.1Å、β=94〜96°の範囲にあるHTi1225の単結晶粒子である。
さらに本発明は、HTi1225の単結晶粒子を用いて作製された蓄電デバイス用電極材料活物質である。
また、本発明は、水素チタン酸化物HTiの単結晶粒子を出発原料として、150℃〜300℃の温度範囲で熱処理することによって合成する工程を含む、HTi1225の単結晶粒子の製造方法である。
さらに、本発明で出発原料として用いるHTiの単結晶粒子は、ナトリウム金属及びナトリウム化合物の少なくとも一種と、チタン金属及びチタン化合物の少なくとも一種との混合物を、1200℃〜1500℃の高温で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子を、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することにより合成されることを特徴とする、HTi1225の単結晶粒子の製造方法である。
さらにまた、本発明は、水素チタン酸化物HTi13の単結晶粒子を出発原料として、150℃〜600℃の温度範囲で熱処理することによって合成する工程を含む、HTi1225の単結晶粒子の製造方法である。
さらに、本発明で出発原料として用いるHTi13の単結晶粒子は、ナトリウム金属及びナトリウム化合物の少なくとも一種と、チタン金属及びチタン化合物の少なくとも一種との混合物を、1200℃〜1500℃の高温で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子を、イオン交換反応によってリチウムチタン酸化物LiTi13の単結晶粒子とし、これを原料として、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することにより合成されることを特徴とする、HTi1225の単結晶粒子の製造方法である。
またさらに、本発明は、正極、負極、セパレータ及び電解質を含む蓄電デバイスにおいて、本発明のチタン酸化物単結晶粒子を電極材料活物質として含有する蓄電デバイスである。
本発明によれば、HTi1225の単結晶粒子が製造可能であり、この単結晶粒子を電極材料の活物質として使用することによって、高エネルギー密度化が可能となり、優れた特性を有する蓄電デバイスが得られる。
本発明の蓄電デバイスの1例を示す模式図である。 既知のHTi1225が有する結晶構造を示す模式図である。 既知のTiO(B)が有する結晶構造を示す模式図である。 実施例1で得られた本発明のHTi1225の単結晶粒子の電子回折図形である。 実施例1で得られた本発明のHTi1225の単結晶粒子の電子回折図形である。
本発明者らは、公知のチタン酸化物であるHTi1225について、その製造方法を鋭意検討することで、粒子形状、サイズ、結晶性の制御により、電池特性の改善策を検討してきた。その結果、粒子サイズが10μm〜500μmの単結晶粒子である出発原料を用いた製造工程によって、その結晶性が良好であることから、プロトン交換、および脱水反応を経由する構造変化がスムーズに起こるとともに、イオン交換反応がゆっくり進行することから、合成可能な温度範囲が広くなり、その結果、公知のHTi1225(図2)、およびTiO(B)(図3)の両者と異なる結晶構造を有するHTi1225の単結晶粒子を見出した。
さらにまた、本発明のHTi1225の単結晶粒子を活物質として作製した電極を使用した蓄電デバイスにおいて、優れた電池特性が確認できたことから、本発明は完成するに至った。
本発明は、化学式HTi1225で表記されるチタン酸化物の単結晶粒子である。
また、本発明のHTi1225の単結晶粒子は、その粒子形状として、粒子を形成する最も長い1辺の長さが10μm〜500μmの単結晶粒子であることを特徴とする。
その結晶構造の特徴として、一次元のトンネル構造を有することを特徴とするHTi1225の単結晶粒子である。
より詳しい一次元のトンネル構造の特徴として、結晶系が単斜晶系、空間群がC2/mに属するHTi1225の単結晶粒子である。
さらに詳しい結晶構造の特徴として、その格子定数がa=12.3〜12.5Å、b=3.7〜3.8Å、c=19.8〜20.1Å、β=94〜96°の範囲にあるHTi1225の単結晶粒子である。
また、このHTi1225の単結晶粒子の製造方法は、水素チタン酸化物HTiの単結晶粒子を出発原料として、150℃〜300℃の温度範囲で熱処理することを特徴としている。
さらに出発原料であるHTiの単結晶粒子の製造方法は、ナトリウム金属及びナトリウム化合物の少なくとも一種と、チタン金属及びチタン化合物の少なくとも一種との混合物を、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子を、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする。
さらにまた、出発原料であるHTiの単結晶粒子の別の製造方法は、あらかじめ合成したNaTiを原料として、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子を、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする。
また、この水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子の別の製造方法は、水素チタン酸化物HTi13の単結晶粒子を出発原料として、150℃〜600℃の温度範囲で熱処理することを特徴としている。
さらにこの出発原料であるHTi13の単結晶粒子の製造方法は、ナトリウム金属及びナトリウム化合物の少なくとも一種と、チタン金属及びチタン化合物の少なくとも一種との混合物を、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子を、イオン交換反応によってリチウムチタン酸化物LiTi13の単結晶粒子とし、これを原料として、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする。
さらにまた、出発原料であるHTi13の単結晶粒子の別の製造方法は、あらかじめ合成した単結晶粒子ではないNaTi13を原料として、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子を、イオン交換反応によってリチウムチタン酸化物LiTi13の単結晶粒子とし、これを原料として、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする。
さらに、本発明の水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子は、リチウム二次電池、ナトリウム二次電池、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池、キャパシタ等の蓄電デバイス用の電極材料活物質として使用できることを特徴とする。
本発明に係わる製造方法をさらに詳しく説明する。
(出発原料であるナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子の製造方法1)
本発明のうち、出発原料であるNaTiの単結晶粒子は、原料として、ナトリウム金属、或いはナトリウム化合物の少なくとも1種、及びチタン金属、またはチタン化合物の少なくとも1種を、NaTiの化学組成となるような量比で秤量・混合し、加熱することによって、製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)及びナトリウム化合物の少なくとも1種を用いる。ナトリウム化合物が好ましく、ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えばCHCOONa、CHCOONa・3HO等の酢酸塩、NaNO等の塩類、NaOHなどの水酸化物、NaO、Na等の酸化物、NaCO等の炭酸塩等が挙げられる。或いはすでにNaTiO、NaTi12などのナトリウムチタン酸化物となっている化合物等が挙げられる。これらの中でも、特にNaCOが好ましい。
チタン原料としては、チタン(金属チタン)及びチタン化合物の少なくとも1種を用いる。チタン化合物が好ましく、チタン化合物としては、チタンを含有するものであれば特に制限されず、例えばTiO、Ti、TiO等の酸化物、TiCl等の塩類等が挙げられる。これらの中でも、特にTiOが好ましい。
はじめに、これらを含む混合物を調製する。各構成元素の混合割合は、NaTiの化学組成となるように混合することが好ましい。また、加熱時にナトリウムは揮発しやすいので、若干過剰の仕込み量とした方がよく、好ましくは、化学式当たり2.0〜2.1の範囲とすればよい。また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すればよい。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、原料によって適宜設定することができるが、通常は、1200℃〜1500℃、好ましくは1250℃〜1450℃とすればよい。
焼成雰囲気は、特に制限されず、中でも簡便であることから、空気中が好ましい。
焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷とすればよい。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよいが、ナトリウムの揮発を抑えるためには、1回の焼成とすることが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すればよい。
(出発原料であるナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子の製造方法2)
本発明のうち、出発原料であるNaTiの単結晶粒子についての別の製造方法として、出発原料として公知の単結晶粒子ではないNaTiを用いて、高温焼成することによっても、製造することができる。
すなわち、はじめに出発原料として、公知のNaTiを用いるか、或いは公知の製造方法によってナトリウム原料、およびチタン原料からNaTiを製造する。
次いで、これを加熱する。加熱温度は、通常は、1200℃〜1500℃、好ましくは1250℃〜1450℃とすればよい。また、焼成雰囲気は特に限定されず、簡便であることから空気中が好ましい。
焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷とすればよい。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよいが、ナトリウムの揮発を抑えるためには、1回の焼成とすることが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すればよい。
(前駆体である水素チタン酸化物HTiの単結晶粒子の製造方法)
次いで、上記により得られたナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子を出発原料として、酸性溶液を用いてプロトン交換反応を適用することにより、ナトリウムの一部または全部がプロトンと交換したHTiの単結晶粒子が得られる。
この場合、あらかじめ粉砕したNaTiの単結晶粒子を、酸性溶液中に分散させ、一定時間保持した後、乾燥することが好ましい。使用する酸としては、任意の濃度の塩酸、硫酸、硝酸等のうちで、いずれか1種以上を含む水溶液が適する。このうち、濃度0.1〜1.0モル/リットルの希塩酸の使用が好ましい。処理時間としては、5時間〜10日間、好ましくは、12時間〜6日間である。処理温度は10℃以上80℃以下、好ましくは40℃以上70℃以下である。また、処理時間を短縮するために、適宜溶液を新しいものと交換することが好ましい。乾燥は、公知の乾燥方法が適用可能であるが、真空乾燥などがより好ましい。
このようにして得られたHTiの単結晶粒子には、プロトン交換処理の条件によっては、完全にナトリウムが脱離せず、単結晶粒子中に有意の量のナトリウムが含有されることがある。
しかしながら、その交換処理の条件を最適化することにより、出発原料に由来して残存するナトリウム量を、湿式法による化学分析の検出限界以下にまで低減することが可能である。
(水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子の製造方法)
上記により得られたHTiの単結晶粒子を前駆体として、低温で熱処理することによって、HOの脱水反応を伴って、目的とする水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子が得られる。
この場合、熱処理の温度は、150℃〜300℃、好ましくは200℃〜280℃の範囲である。処理時間は、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜20時間であり、処理温度が高い程、処理時間を短くすることができる。
また、熱処理の雰囲気は、特に限定されず、空気中、または真空中でも良く、中でも簡便なことから空気中が好ましい。
(出発原料であるナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子の製造方法1)
本発明のうち、出発原料であるNaTi13の単結晶粒子は、原料として、ナトリウム金属、或いはナトリウム化合物の少なくとも1種、及びチタン金属、またはチタン化合物の少なくとも1種を、NaTi13の化学組成となるように秤量・混合し、加熱することによって、製造することができる。
ナトリウム原料としては、ナトリウム(金属ナトリウム)及びナトリウム化合物の少なくとも1種を用いる。ナトリウム化合物としては、ナトリウムを含有するものであれば特に制限されず、例えばCHCOONa、CHCOONa・3HO等の酢酸塩、NaNO等の塩類、NaOHなどの水酸化物、NaO、Na等の酸化物、NaCO等の炭酸塩等が挙げられる。或いはすでにNaTiO、NaTi、NaTi12などのナトリウムチタン酸化物となっている化合物等が挙げられる。これらの中でも、特にNaCOが好ましい。
チタン原料としては、チタン(金属チタン)及びチタン化合物の少なくとも1種を用いる。チタン化合物としては、チタンを含有するものであれば特に制限されず、例えばTiO、Ti、TiO等の酸化物、TiCl等の塩類等が挙げられる。これらの中でも、特にTiOが好ましい。
はじめに、これらを含む混合物を調整する。各構成元素の混合割合は、NaTi13の化学組成となるように混合することが好ましい。また、加熱時にナトリウムは揮発しやすいので、若干過剰の仕込み量とした方がよく、好ましくは、化学式当たり2.0〜2.1の範囲とすればよい。また、混合方法は、これらを均一に混合できる限り特に限定されず、例えばミキサー等の公知の混合機を用いて、湿式又は乾式で混合すればよい。
次いで、混合物を焼成する。焼成温度は、原料によって適宜設定することができるが、通常は、1200℃〜1500℃、好ましくは1250℃〜1450℃とすればよい。
焼成雰囲気は、特に限定されず、中でも簡便であることから空気中が好ましい。
焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷とすればよい。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよいが、ナトリウムの揮発を抑えるためには、1回の焼成とすることが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すればよい。
(出発原料であるナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子の製造方法2)
本発明のうち、出発原料であるNaTi13の単結晶粒子についての別の製造方法として、出発原料として公知の単結晶粒子ではないNaTi13を用いて、高温焼成することによっても、製造することができる。
すなわち、はじめに出発原料として、公知のNaTi13を用いるか、或いは公知の製造方法によってナトリウム原料、およびチタン原料からNaTi13を製造する。
次いで、これを加熱する。加熱温度は、通常は、1200℃〜1500℃、好ましくは1250℃〜1450℃とすればよい。また、焼成雰囲気は特に限定されず、簡便であることから空気中が好ましい。
焼成時間は、焼成温度等に応じて適宜変更することができる。冷却方法も特に限定されないが、通常は自然放冷(炉内放冷)又は徐冷とすればよい。
焼成後は、必要に応じて焼成物を公知の方法で粉砕し、さらに上記の焼成工程を実施してもよいが、ナトリウムの揮発を抑えるためには、1回の焼成とすることが好ましい。なお、粉砕の程度は、焼成温度などに応じて適宜調節すればよい。
(リチウム交換体であるリチウムチタン酸化物LiTi13の単結晶粒子の製造方法)
次いで、上記により得られたNaTi13の単結晶粒子を出発原料として、リチウム化合物を含む溶融塩中でリチウムイオン交換反応を適用することにより、出発原料化合物中のナトリウムのほぼすべてがリチウムと交換したリチウムイオン交換体LiTi13の単結晶粒子が得られる。
この場合、リチウム化合物を含む溶融塩中において、あらかじめ粉砕したNaTi13の単結晶粒子を分散させながら、イオン交換処理を施すことが好適である。溶融塩としては、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等の比較的低温で溶融する塩類のうちで、いずれか1種以上を含む溶融塩を用いることができる。好ましい方法としては、あらかじめリチウム塩を溶融させ、そこにNaTi13の単結晶粒子を投入するとよい。混合比は、通常、NaTi13の重量に対するリチウム塩全体の重量の割合として、3〜100、好ましくは10〜30である。
イオン交換処理の温度は、30℃〜500℃、好ましくは200℃〜470℃の範囲である。処理時間は、通常2〜72時間、好ましくは5〜50時間である。
また、イオン交換処理の雰囲気は、特に限定されず、空気中、或いは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、または真空中でも良く、中でも簡便なことから空気中が好ましい。
さらに、リチウムイオン交換処理の方法として、リチウム化合物を融解した有機溶剤又は水溶液中で処理する方法も適する。この場合、リチウム化合物を一定濃度溶解させた有機溶剤又は水中に、あらかじめ粉砕したNaTi13の単結晶粒子を投入し、その有機溶剤又は水の沸点以下の温度で処理する。溶媒の蒸発を避けるために、溶媒を還流させながら、イオン交換することが好ましい。処理温度は通常30℃〜300℃、好ましくは50℃〜180℃で処理する。また、処理時間は特に制限されないが、通常は5〜50時間、好ましくは10〜20時間である。この場合、イオン交換処理の雰囲気は、特に制限されない。
本発明に用いられるリチウム化合物としては、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、ブチルリチウム等が好ましく、これらを単独又は必要に応じて2種類以上を組み合わせて用いる。また、本発明に用いられる有機溶剤としては、ヘキサノール、エトキシエタノール等の高級アルコール類、ジエチルグルコールモノエチルエーテル等のエーテル類、もしくは沸点が140℃以上の有機溶剤が、作業性が良好である点で好ましい。これらを単独又は必要に応じて2種類以上組み合わせて用いる。
有機溶剤又は水溶液中におけるリチウム化合物の濃度は、通常3〜10モル%、好ましくは5〜8モル%である。また、有機溶剤又は水溶液中でのNaTi13原料の分散濃度は、特に制限されないが、操作性及び経済性の観点から1〜20重量%程度が好ましい。
イオン交換処理の後、得られた生成物をエタノール等で洗浄後、乾燥させることによって、目的とするLiTi13の単結晶粒子が得られる。洗浄方法、乾燥方法については、特に限定されず、通常の方法が用いられる他、デシケータ内等における自然乾燥でもよい。
このようにして得られたLiTi13の単結晶粒子は、その交換処理の条件を変化させることによって、出発原料に由来して残存するナトリウム量を、有意な量を残す化学組成から、湿式法による化学分析の検出限界以下の化学組成にまで制御することが可能である。
なお、イオン交換処理の条件によっては、完全にナトリウムが脱離せず、単結晶粒子中に有意の量のナトリウムが含有することがある。
(前駆体である水素チタン酸化物HTi13の単結晶粒子の製造方法)
次いで、上記により得られたリチウムチタン酸化物LiTi13の単結晶粒子を出発原料として、酸性溶液を用いてプロトン交換反応を適用することにより、リチウムがプロトンと交換したHTi13の単結晶粒子が得られる。
この場合、あらかじめ粉砕したLiTi13の単結晶粒子を、酸性溶液中に分散させ、一定時間保持した後、乾燥することが好ましい。使用する酸としては、任意の濃度の塩酸、硫酸、硝酸等のうちで、いずれか1種以上を含む水溶液が適する。このうち、濃度0.1〜1.0モル/リットルの希塩酸の使用が好ましい。処理時間としては、5時間〜10日間、好ましくは、12時間〜6日間である。また、処理時間を短縮するために、適宜溶液を新しいものと交換することが好ましい。乾燥は、公知の乾燥方法が適用可能であるが、真空乾燥などがより好ましい。
このようにして得られたHTi13の単結晶粒子には、プロトン交換処理の条件によっては、完全にリチウムが脱離せず、単結晶粒子中に出発原料に由来した有意の量のナトリウム、およびリチウムが含有されることがある。
しかしながら、その交換処理の条件を最適化することにより、出発原料に由来して残存するリチウム量を、湿式法による化学分析の検出限界以下にまで低減することが可能である。
(水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子の製造方法)
上記により得られたHTi13の単結晶粒子を前駆体として、低温で熱処理することによって、HOの脱水反応を伴って、目的とする水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子が得られる。
この場合、熱処理の温度は、150℃〜600℃、好ましくは260℃〜450℃の範囲である。処理時間は、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜30時間であり、処理温度が高い程、処理時間を短くすることができる。
また、熱処理の雰囲気は、特に限定されず、空気中、或いは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、または真空中でも良く、中でも簡便なことから空気中が好ましい。
(電極活物質)
本発明の水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子は、電極密度を増加させることができ、高エネルギー密度化が可能である。また、粒子内における良好なイオンの拡散が可能であり、また、比表面積を小さくすることができ、電解液との反応性を抑制できる。したがって、かかる単結晶粒子を電極活物質として含有する電極を構成部材として用いた蓄電デバイスは、高容量で、かつ可逆的なリチウム等のイオンの挿入・脱離反応が可能であり、高い信頼性が期待できる蓄電デバイスである。
(蓄電デバイス)
本発明の蓄電デバイスとしては、具体的には、リチウム二次電池、ナトリウム二次電池、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池、キャパシタ等が挙げられ、これらは本発明の水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子を電極活物質として含有する電極、対極及びセパレータと電解液から構成される。
すなわち、電極材料活物質として本発明の水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子を用いる以外は、公知のリチウム二次電池、ナトリウム二次電池、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池、キャパシタ(コイン型、ボタン型、円筒型、ラミネート型、全固体型等)の電池要素をそのまま採用することができる。図1は、本発明の蓄電デバイスの一例であるリチウム二次電池を、コイン型リチウム二次電池に適用した1例を示す模式図である。このコイン型電池1は、負極端子2、負極3、(セパレータ+電解液)4、絶縁パッキング5、正極6、正極缶7により構成される。
本発明では、上記本発明の水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子を含む活物質に、必要に応じて導電剤、結着剤等を配合して電極合材を調整し、これを集電体に圧着することにより電極が作製できる。集電体としては、好ましくは銅メッシュ、ステンレスメッシュ、アルミメッシュ、銅箔、アルミ箔等を用いることができる。導電剤としては、好ましくはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。結着剤としては、好ましくはテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等を用いることができる。
電極合材における水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子を含む活物質、導電剤、結着剤等の配合も特に限定的ではないが、通常は導電剤が1〜30重量%程度(好ましくは5〜25重量%)、結着剤が0〜30重量%(好ましくは3〜10重量%)とし、残部を本発明の水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子の活物質となるようにすればよい。
本発明の蓄電デバイスのうちで、リチウム二次電池においては、上記電極に対する対極としては、例えばリチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムバナジウム複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、リチウム鉄リン酸化合物等のオリビン型化合物など、正極として機能し、リチウムを吸蔵・放出可能な公知のものを採用することができる。
また、本発明の蓄電デバイスのうちで、リチウム二次電池においては、上記電極に対する対極としては、例えば金属リチウム、リチウム合金、及び黒鉛、MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)等の炭素系材料など、負極として機能し、リチウムを吸蔵・放出可能な公知のものを採用することができる。
本発明の蓄電デバイスのうちで、ナトリウム二次電池においては、上記電極に対する対極としては、例えばナトリウム鉄複合酸化物、ナトリウムクロム複合酸化物、ナトリウムマンガン複合酸化物、ナトリウムニッケル複合酸化物等のナトリウム遷移金属複合酸化物など、正極として機能し、ナトリウムを吸蔵・放出可能な公知のものを採用することができる。
また、本発明の蓄電デバイスのうちで、ナトリウム二次電池においては、上記電極に対する対極としては、例えば金属ナトリウム、ナトリウム合金、及び黒鉛等の炭素系材料など、負極として機能し、ナトリウムを吸蔵・放出可能な公知のものを採用することができる。
本発明の蓄電デバイスのうちで、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池においては、上記電極に対する対極としては、例えばマグネシウム遷移金属複合酸化物、カルシウム遷移金属複合酸化物など、正極として機能し、マグネシウム、カルシウムを吸蔵・放出可能な公知のものを採用することができる。
また、本発明の蓄電デバイスのうちで、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池においては、上記電極に対する対極としては、例えば金属マグネシウム、マグネシウム合金、金属カルシウム、カルシウム合金、及び黒鉛等の炭素系材料など、負極として機能し、マグネシウム、カルシウムを吸蔵・放出可能な公知のものを採用することができる。
また、本発明の蓄電デバイスのうちで、キャパシタにおいては、上記電極に対する対極としては、黒鉛等の炭素材料を用いた非対称型キャパシタとすることができる。
また、本発明の蓄電デバイスにおいて、セパレータ、電池容器等も公知の電池要素を採用すればよい。
さらに、電解質としても公知の電解液、固体電解質等が適用できる。例えば、電解液としては、LiPF、LiClO、LiCFSO、LiN(CFSO、LiBF等のリチウム塩を、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、1,2−ジメトキシエタン等の溶媒に溶解させたものが使用できる。
以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1
(出発原料ナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子の合成)
純度99%以上の炭酸ナトリウム(NaCO)粉末と純度99.99%以上の二酸化チタン(TiO)粉末を、モル比でNa:Ti=2:3となるように秤量した。これらを乳鉢中で混合したのち、JIS規格白金製るつぼに充填し、電気炉を用いて、空気中、高温条件下で加熱した。焼成温度は1300℃、焼成時間は10時間とした。その後、毎時200℃の冷却速度で、室温まで冷却し、本発明の出発原料であるNaTi試料を得た。
得られたNaTi試料について、メノウ乳鉢で粉砕した試料について、粉末X線回折装置(リガク製、商品名RINT2550V)により結晶構造を調べたところ、良好な結晶性を有する、単斜晶系、空間群P21/mの公知のNaTiの単一相であり、透過型電子顕微鏡の回折図形から単結晶粒子であることが確認された。
さらに、得られた出発原料であるNaTi単結晶粒子の粒子形状を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子製、商品名JSM−5400)により調べたところ、粒子は針状、或いは柱状であり、その長軸方向の長さは、約30μmから最大200μm程度であった。
(前駆体である水素チタン酸化物HTiの単結晶粒子の合成)
次に、上記で得られたNaTiの単結晶粒子を軽く粉砕したものを出発原料として、0.5モル/リットルの塩酸溶液に浸漬し、空気中60℃の乾燥器中で5日間保持することで、プロトン交換処理を行った。交換処理の速度を早めるために、約12時間毎に溶液を新しいものと交換して行った。その後、水洗し、60℃で乾燥させることで、前駆体である水素チタン酸化物HTi試料を得た。
得られたHTi試料について、ICP発光分析法により、化学組成を分析したところ、ナトリウムは検出されず、ほぼ完全にプロトン交換されたHTiの化学式で妥当であった。さらに粉末X線回折測定により、良好な結晶性を有する、単斜晶系、空間群C2/mの結晶構造を有する公知のHTiの単一相であり、透過型電子顕微鏡の回折図形から単結晶粒子であることが明らかとなった。
さらに、得られた前駆体であるHTi単結晶粒子の粒子形状を走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子製、商品名JSM−5400)により調べたところ、粒子は針状、或いは柱状であり、その長軸方向の長さは、約30μmから最大200μm程度であり、出発原料であるNaTiの単結晶粒子の形状が保持されていることが確認された。
(水素チタン酸化物HTi1225の単結晶粒子の合成)
次に、得られた前駆体であるHTiの単結晶粒子を、空気中260℃で5時間熱処理することによって、目的とするHTi1225の単結晶粒子を得た。
得られた試料について、透過型電子顕微鏡を用いて、逆格子を詳しく調べた。その回折図形を図4と図5に示す。電子線回折像が点状になっており、単結晶粒子であることがわかる。
撮影された24枚の方位が異なる回折図形から、結晶系、空間群、格子定数について解析した結果、単斜晶系、空間群C2/mで妥当であり、また、格子定数は以下の値となった。この値は、公知のHTi1225の格子定数とは異なり、新規な結晶構造を有するHTi1225であることが判明した。
a=12.4Å(誤差:0.1Å以内)
b=3.75Å(誤差:0.05Å以内)
c=19.92Å(誤差:0.1Å以内)
β=95°(誤差:1.0°以内)
このことは、出発原料に、多結晶粒子と比べて結晶性が高い単結晶粒子を用いたことで、イオン交換処理、脱水処理における結晶へのダメージを小さくすることが可能となり、その結果、別の周期性を有する準安定な結晶構造へと変化したものと考察された。
実施例2
(出発原料ナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子の合成)
純度99%以上の炭酸ナトリウム(NaCO)粉末と純度99.99%以上の二酸化チタン(TiO)粉末を、モル比でNa:Ti=2.02:6となるように秤量した。これらを乳鉢中で混合したのち、JIS規格白金製るつぼに充填し、電気炉を用いて、空気中、高温条件下で加熱した。焼成温度は、800℃で、焼成時間は20時間とした。その後、電気炉中で自然放冷した後、再度、乳鉢中で粉砕・混合を行い、800℃で20時間再焼成を行い、出発原料であるNaTi13多結晶体を得た。次にこの多結晶体を、白金製容器に充填・封入し、電気炉を用いて、空気中、高温条件下で加熱した。焼成温度は1450℃、焼成時間は10時間とした。その後、毎時200℃の冷却速度で、室温まで冷却し、本発明の出発原料であるNaTi13試料を得た。
得られたNaTi13試料について、メノウ乳鉢で粉砕した試料について、粉末X線回折装置(リガク製、商品名RINT2550V)により結晶構造を調べたところ、良好な結晶性を有する、単斜晶系、空間群C2/mの公知のNaTi13の単一相であり、透過型電子顕微鏡の回折図形から単結晶粒子であることが確認された。
さらに、得られた出発原料であるNaTi13単結晶粒子の粒子形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により調べたところ、粒子は針状、或いは柱状であり、その長軸方向の長さは、約30μmから最大200μm程度であった。
比較例1
(出発原料ナトリウムチタン酸化物NaTi13の多結晶粒子の合成)
純度99%以上の炭酸ナトリウム(NaCO)粉末と純度99.99%以上の二酸化チタン(TiO)粉末を、モル比でNa:Ti=2.02:6となるように秤量した。これらを乳鉢中で混合したのち、JIS規格白金製るつぼに充填し、電気炉を用いて、空気中、高温条件下で加熱した。焼成温度は、800℃で、焼成時間は20時間とした。その後、電気炉中で自然放冷した後、再度、乳鉢中で粉砕・混合を行い、800℃で20時間再焼成を行い、出発原料であるNaTi13試料を得た。
得られたNaTi13試料について、メノウ乳鉢で粉砕した試料について、粉末X線回折装置(リガク製、商品名RINT2550V)により結晶構造を調べたところ、ややピーク幅が広い、単斜晶系、空間群C2/mの公知のNaTi13の単一相であり、透過型電子顕微鏡の回折図形から多結晶粒子であることが確認された。
さらに、得られた出発原料であるNaTi13多結晶粒子の粒子形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により調べたところ、粒子は針状、或いは柱状であり、その長軸方向の長さは、約1〜5μm程度であり、多結晶粒子であることが確認された。
本発明によれば、蓄電デバイス用の電極活物質として有用な化学組成がHTi1225で表記されるチタン酸化物の単結晶粒子を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、単結晶粒子を低コストで再現性よく製造することができる。
1 コイン型リチウム二次電池
2 負極端子
3 負極
4 セパレータ+電解質
5 絶縁パッキング
6 正極
7 正極缶

Claims (13)

  1. 化学組成がHTi1225で表記されるチタン酸化物の単結晶粒子。
  2. 化学組成がHTi1225であり、粒子を形成する最も長い1辺の長さが10μm〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶粒子。
  3. 化学組成がHTi1225であり、結晶構造が一次元のトンネル構造を有し、粒子を形成する最も長い1辺の長さが10μm〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶粒子。
  4. 化学組成がHTi1225であり、結晶構造が一次元のトンネル構造を有し、結晶系が単斜晶系、空間群がC2/mであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶粒子。
  5. 化学組成がHTi1225であり、結晶構造が一次元のトンネル構造を有し、結晶系が単斜晶系、空間群がC2/mであり、その格子定数がa=12.3〜12.5Å、b=3.7〜3.8Å、c=19.8〜20.1Å、β=94〜96°の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の単結晶粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の単結晶粒子を含む蓄電デバイス用の電極活物質。
  7. 水素チタン酸化物HTiの単結晶粒子を出発原料として、150℃〜300℃の温度範囲で熱処理することを特徴とするHTi1225の単結晶粒子の製造方法。
  8. 出発原料であるHTiの単結晶粒子の製造方法が、ナトリウム金属及びナトリウム化合物の少なくとも一種と、チタン金属及びチタン化合物の少なくとも一種との混合物を、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子を、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする請求項7に記載のHTi1225の単結晶粒子の製造方法。
  9. 出発原料であるHTiの単結晶粒子の製造方法が、あらかじめ合成したNaTiを原料として、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTiの単結晶粒子を、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする請求項7に記載のHTi1225の単結晶粒子の製造方法。
  10. 水素チタン酸化物HTi13の単結晶粒子を出発原料として、150℃〜600℃の温度範囲で熱処理することを特徴とするHTi1225の単結晶粒子の製造方法。
  11. 出発原料であるHTi13の単結晶粒子の製造方法が、ナトリウム金属及びナトリウム化合物の少なくとも一種と、チタン金属及びチタン化合物の少なくとも一種との混合物を、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子を、イオン交換反応によってリチウムチタン酸化物LiTi13の単結晶粒子とし、これを原料として、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする請求項10に記載のHTi1225の単結晶粒子の製造方法。
  12. 出発原料であるHTi13の単結晶粒子の製造方法が、あらかじめ合成したNaTi13を原料として、1200℃〜1500℃で処理することにより作製されたナトリウムチタン酸化物NaTi13の単結晶粒子を、イオン交換反応によってリチウムチタン酸化物LiTi13の単結晶粒子とし、これを原料として、酸性溶液を用いてプロトン交換反応することを特徴とする請求項10に記載のHTi1225の単結晶粒子の製造方法。
  13. 正極、負極、セパレータ及び電解質を含む蓄電デバイスにおいて、前記正極または負極が請求項6に記載の電極活物質を含有する蓄電デバイス。
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