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JP5913981B2 - ドネペジル含有経皮吸収型製剤 - Google Patents

ドネペジル含有経皮吸収型製剤 Download PDF

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Description

本発明は、支持体と粘着基剤および薬物を含有する粘着剤層とを備えた経皮吸収型製剤に関わり、詳細には、有効成分として含有する薬物が、認知症治療に用いられるドネペジルである抗認知症治療剤の経皮吸収型製剤に関する。
ドネペジルはアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有し、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制、いわゆるアルツハイマー病の治療剤として広く使用されている薬物である。脳内コリン作動性神経系の障害が報告されているアルツハイマー病において、ドネペジルの様なアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、その脳内アセチルコリンを増加させ、脳内コリン作動性神経系を活性化する。従来、実用的に用いられているドネペジルの製剤は錠剤、カプセル剤、シロップ剤もしくは顆粒剤等の経口投与の他に、注射投与、直腸投与等が知られている。
しかしながら、症状が進んだ認知症患者にあっては、抗認知症薬物を服用することが困難となる場合が少なくない。このような場合に適した剤形として、特許文献1ではドネペジルを含有する経皮適用製剤、および坐剤が記載されているが、主として軟膏剤、クリーム剤あるいは坐剤に関する発明であり、長時間にわたって有効成分を持続的に投与できるものではない。
また特許文献2には、ドネペジルを含有したプラスター剤が記載されており、その皮膚透過速度が少なくとも1.2μg/cm/hr以上であることを特徴としているものであるが、有効成分が貼付剤中に分散して配合されるため、薬物の経皮吸収性、特に、投与後の速やかな薬物血中濃度の上昇については不十分なものであった。
特開平11−315016号公報 国際公開WO03/032960号
したがって、本発明ではかかる従来の問題を解決するために、長期間にわたってドネペジルの持続的投与が可能であり、また、ドネペジルの速やかな血中濃度の上昇と、持続的なドネペジル放出性を両立できるドネペジル含有経皮吸収型製剤を提供することを課題とする。
また別の課題として、吸収促進剤を配合した経皮吸収型製剤において、経皮吸収促進剤の配合に起因する主薬の結晶化を防止し、長期保存条件下であっても製剤中のドネペジルが結晶化することのない安定性の高い経皮吸収型製剤を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、疎水性高分子、及び吸収促進剤を配合した貼付剤基剤に、有効成分であるドネペジルを溶解させた経皮吸収型製剤とすることにより、薬物の皮膚吸収速度を高めることができることを見出した。
またその上で、特にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」と略記する場合もある。)を主基剤とする製剤(以下、「SIS製剤」と略記する場合もある。)については、粘着付与剤である水添ロジングリセリンエステルと主薬成分であるドネペジルとを最適な配合比率で配合することにより主薬の経皮吸収性が高く、かつ長期保存条件下でもドネペジルの結晶が析出することなく、安定的に主薬を放出することのできる製剤を提供できることを見出した。
さらにSIS製剤においては、SISと流動パラフィンの配合比率を適正化することによって、製剤の粘着物性を低下させることなく、製剤中のドネペジルの結晶化を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって本発明は、具体的には、以下の構成からなる経皮吸収型製剤である。
すなわち、本発明の基本的態様は、
(1)疎水性高分子、及び吸収促進剤を配合した貼付剤基剤に、有効成分であるドネペジルを溶解させてなる経皮吸収型製剤、
(2)該吸収促進剤が、ラウリルアルコール、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸セチル、オレイルアルコール、ソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ラウロマクロゴール、N−メチル−2−ピロリドン及びトリアセチンから選ばれる1種あるいは2種以上である上記(1)に記載の経皮吸収型製剤、
(3)該吸収促進剤が、ラウリルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ラウロマクロゴール、トリアセチンから選ばれる1種あるいは2種以上である上記(1)または(2)に記載の経皮吸収型製剤、
である。
そのなかでも、本発明は一つの態様として、SIS製剤であり、具体的には、
(4)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水添ロジングリセリンエステル、流動パラフィン、及び吸収促進剤を配合した貼付剤基剤に、有効成分であるドネペジルを溶解させてなる経皮吸収型製剤、
(5)該吸収促進剤がラウリルアルコール、ラウロマクロゴール、トリアセチンから選ばれる1種あるいは2種以上である上記(4)に記載の経皮吸収型製剤、
(6)該吸収促進剤の配合量が1〜10重量%である上記(4)または(5)に記載の経皮吸収型製剤、
(7)水添ロジングリセリンエステルとドネペジルの配合比率が、水添ロジングリセリンエステル/ドネペジル=1.5〜8である上記(4)〜(6)のいずれかに記載の経皮吸収型製剤、
(8)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体と流動パラフィンの配合比率が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体/流動パラフィン=0.7〜1.5である上記(4)〜(7)のいずれかに記載の経皮吸収型製剤、
である。
したがって、最も具体的な本発明は、
(9)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体5〜90重量%、水添ロジングリセリンエステル5〜70重量%、及び流動パラフィン10〜70重量%を配合した貼付剤基剤に、有効成分であるドネペジル5〜30重量%溶解させてなる経皮吸収製剤において、水添ロジングリセリンエステルとドネペジルの配合比率が、水添ロジングリセリンエステル/ドネペジル=1.5〜8でありかつ、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体と流動パラフィンの配合比率がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体/流動パラフィン=0.7〜1.5である経皮吸収型製剤、
である。
また本発明は、別の態様として、
(10)アクリル系高分子、および吸収促進剤としてミリスチン酸イソプロピルを配合した貼付剤基剤に、有効成分であるドネペジルを溶解してなる経皮吸収型製剤、
(11)該吸収促進剤としてのミリスチン酸イソプロピルの配合量が10〜30重量%である上記(10)に記載の経皮吸収型製剤、
である。
本発明により、疎水性高分子、および吸収促進剤を配合した溶解型のドネペジル含有経皮吸収型製剤が提供される。
本発明が提供する溶解型のドネペジル含有経皮吸収型製剤とすることで、投与後におけるドネペジルの速やかな血中濃度の上昇、及び長時間にわたる有効血中濃度を示すことができるという効果を発揮できるものである。
また、本発明は、長期保存時においても主薬の結晶化が起きることなく安定的な主薬放出性を示す製剤を提供できるものである。
したがって、本発明が提供するドネペジル含有経皮吸収型製剤により、ドネペジルを、皮膚を介して循環血中に効率よく吸収させることができ、経口投与において見られる消化器系の副作用や、急激な血中濃度の上昇に伴って起こり得る中枢系の副作用も回避できる利点を有している。
その結果、症状が進んだ認知症患者においても、副作用が軽減され、効率的にドネペジルを持続投与することが可能となり、高度の認知症疾患の治療に極めて効果的なドネペジル含有経皮吸収型製剤を提供できるものである。
本発明の試験例1のin vitro皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。 本発明の試験例2のin vitro皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。 本発明の試験例3のin vitro皮膚透過性試験の結果を示すグラフである。 本発明のドネペジル含有経皮吸収型製剤について、ドネペジルのウサギ血中濃度測定試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明が提供するドネペジル含有経皮吸収型製剤に関して、さらに詳細に説明する。
本発明でいう経皮吸収型製剤とは、少なくとも支持体と粘着組成物を含有する貼付剤をいい、薬物貯蔵層を有するリザーバータイプの外用貼付剤、及び単層マトリックスタイプの外用貼付剤を包含する。
マトリックスタイプの外用貼付剤は自己粘着力および有効成分を有する粘着組成物が直接皮膚に接着するため、リザーバータイプの外用貼付剤と比較して接着性に優れ、薬剤の吸収性も優れる。
したがって、以下は本発明の経皮吸収型製剤について、主としてマトリックスタイプの貼付剤を例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明が提供する経皮吸収型製剤は、粘着組成物がドネペジルを溶解して含み、ドネペジルが薬理学的に有効な速度で放出されればよく、特にその形態は限定されるものではない。
典型的には、薬物(ドネペジル)を含有する粘着剤層と、その背面に積層される支持体からなる形態である。この粘着剤層は、24時間以上皮膚表面に、治療上問題無い有効面積をもって貼着し得る自己粘着力を有することが好ましいが、それが困難な場合には、薬物含有層より面積が大きく、且つ粘着力を有するシート状のカバーを用いて使用することも可能である。
本発明の経皮吸収型製剤は、粘着組成物中にドネペジルおよび/またはその薬学的に許容し得る塩を溶解させることで、付着性に問題なく安定した薬物供給を可能とする。
塩の種類としては、特に限定されず、塩酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩および酢酸塩が挙げられる。
したがって、本発明においては、ドネペジルおよびその薬学的に許容し得る塩の両者を含めてドネペジルと称している。
また、その配合量は、粘着剤組成物全体の重量に対して5〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは10〜20重量%である。
本発明の粘着組成物には、自己粘着力を有する粘着組成物として、疎水性の高分子を含有するものである。
疎水性の高分子としては特に限定はされるものではないが、ゴム系高分子、アクリル系高分子、あるいはシリコン系高分子が好ましく用いられる。
ゴム系の高分子としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソプレン、ポリイソブチレン(以下、「PIB」と略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」と略記する)、スチレン−ブタジエンゴム(以下、「SBR」と略記する)等が挙げられ、そのなかでもSISが好ましい。
アクリル系高分子としては、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート等に代表される(メタ)アクリル酸誘導体を少なくとも一種含有させて共重合したものであれば特に限定されない。
具体的には、例えば、医薬品添加物辞典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されているアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、DURO−TAKアクリル系粘着剤シリーズ(ヘンケル社製)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等が使用できる。
シリコン系高分子の具体例としては、ポリオルガノシロキサン等のシリコーンゴムを挙げることができる。
このような疎水性高分子は2種以上を混合して使用してもよく、これら高分子の組成全体の重量に基づく配合量は、粘着剤層の形成及び充分な透過性を考慮して、5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは10〜70重量%である。
本発明が提供する経皮吸収型製剤の粘着組成物にあっては、吸収促進剤を含有させるのが好ましく、使用され得る吸収促進剤としては、脂肪酸エステル、高級アルコール、界面活性剤等を挙げられることができる。
具体的には、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル(以下、IPMと略記する)、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、トリアセチン、乳酸セチル、乳酸ラウリル、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸エチレングリコール、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セタノール、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ラウロマクロゴール、HCO−60、ラウリン酸ジエタノールアミド、N−メチル−2−ピロリドン、クロタミトン、ジメチルスルホキシドが挙げられるが、好ましくはクエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸セチル、オレイルアルコール、ソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ラウロマクロゴール、N−メチル−2−ピロリドン及びトリアセチン等を挙げることができる。
そのなかでも、ミリスチン酸イソプロピル、ラウロマクロゴール、ラウリルアルコール、あるいはトリアセチンから選択される1種あるいは2種以上を配合した製剤は、貼付初期における高い主薬放出性と、優れた薬物放出持続性を示すことができるものである。特に疎水性高分子としてSISを使用した場合はラウロマクロゴール、ラウリルアルコール、あるいはトリアセチンと組み合わせた場合に効果が高い。また、アクリル系高分子を使用した場合はミリスチン酸イソプロピルと組み合わせて使用するのが好ましい。
このような吸収促進剤は、貼付製剤としての充分な主薬の透過性、及び発赤、浮腫等の皮膚刺激性等を考慮して、粘着層の組成全体の重量に基づいて、0.01〜30重量%程度配合することが好ましいが、特にSISとトリアセチン、ラウロマクロゴール、およびラウリルアルコールから選択される1種あるいは2種以上を組み合わせて使用する場合は、これら吸収促進剤の配合量は1〜10重量%がより好ましく、さらに好ましくは3〜8重量%である。
一方、アクリル系高分子とミリスチン酸イソプロピルを組み合わせて使用した場合は10〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜30重量%である。吸収促進剤の配合量が0.01%より少ない場合は所望の主薬放出性を得ることが不可能であり、逆に30重量%より多く配合した場合には製剤物性の低下、あるいは皮膚刺激性が高くなるなど好ましくない影響が出る。
本発明が提供する経皮吸収型製剤における粘着剤組成物には、可塑剤を含有させてもよい。使用され得る可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、トール油、ラッカセイ油、ひまし油)、シリコーンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム)、液状脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。特に流動パラフィン、液状ポリブテン、あるいはシリコーンオイルが好ましい。最も好ましくは、流動パラフィンである。
これらの成分は2種以上混合して使用してもよく、このような可塑剤の粘着層の組成全体に基づく配合量は、充分な皮膚透過性および貼付製剤としての充分な凝集力の維持を考慮して合計で、10〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
本発明の粘着層には、製剤の粘着力を調整するために、粘着付与樹脂を配合することが望ましい。また、粘着付与樹脂の中にはドネペジルを溶解する作用を示すものもあり、貼付剤中でのドネペジルの溶解性を調節するためにも使用されるものでもある。
使用され得る粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジングリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジングリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂(例えばアルコンP100、荒川化学工業社製)、脂肪族系炭化水素樹脂(例えばクイントンB170、日本ゼオン社製)、テルペン樹脂(例えばクリアロンP−125、ヤスハラケミカル社製)、マレイン酸レジン等が挙げられるが、製剤の粘着性と、製剤中のドネペジル溶解性を考慮した場合、特に水添ロジングリセリンエステルが好ましい。
このような粘着付与樹脂の粘着組成物の組成全体に基づく配合量は、貼付製剤としての充分な粘着力及び剥離時の皮膚への刺激性を考慮して、5〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%であることができる。
本発明が提供するドネペジル含有経皮吸収型製剤は、全身作用性の経皮吸収型製剤のため、保存中の主薬の結晶化は貼付時のドネペジルの血中濃度の低下に繋がる原因となり好ましいものではない。したがって、長期保存条件においても製剤中にドネペジルの結晶が生成しないことが望ましい。しかし本発明は経皮吸収促進剤を配合する製剤の故、長期保存品においては基剤の均一性を保ちにくく、基剤の不均一化による主薬の結晶化が懸念されるものである。
そのためSIS製剤においては、水添ロジングリセリンエステルを粘着付与樹脂としてだけではなく、ドネペジルの溶解剤として機能させ、ドネペジルの溶解性を高めようと試みているが、水添ロジングリセリンエステルを一定量以上配合した場合には、ドネペジルの溶解性が高まり過ぎることによる主薬放出性の低下が見られるため、水添ロジングリセリンエステルとドネペジルを適正な配合比率で配合することが必要である。
本発明者らの検討によれば、本発明のドネペジル含有経皮吸収型製剤における水添ロジングリセリンエステルとドネペジルの好ましい配合比率は、水添ロジングリセリンエステル/ドネペジル=1.5〜8であり、より好ましくは1.5〜5、さらに好ましくは2〜4であることが判明した。すなわち、水添ロジングリセリンエステル/ドネペジルが1.5より小さい場合は、製剤中のドネペジルの溶解性が低いため保存中の製剤において主薬の結晶化が懸念され、また、8より大きい場合は主薬放出性の低下が起こる。
さらにSIS製剤においては、SIS配合量とドネペジルの結晶化とに関連性があることが判明した。すなわちSISを配合することにより、製剤中におけるドネペジルの移動性が抑えられ、その結果、主薬の結晶化が抑制できる。しかしながらSISを多量に配合した場合は製剤の粘着性低下を引き起こす可能性がある。
反対に流動パラフィンの配合はドネペジルの結晶化を促進する。すなわち、流動パラフィンの配合により製剤中のドネペジルの移動性を促進するだけではなく、流動パラフィン自体がドネペジルに対する溶解性が低いため、製剤全体としてのドネペジルの溶解性を低下させる。しかしながら、流動パラフィン配合量を低く抑えることは粘着物性の低下に繋がる。
これらの状況を踏まえ、本発明においては流動パラフィンとSISの配合比率を適正化することにより、粘着物性を損なうことなく、ドネペジルの結晶化を抑えることを可能とした。
すなわち、本発明におけるSISと流動パラフィンの配合比率は、SIS/流動パラフィン=0.7〜1.5であり、好ましくは0.8〜1.5である。SIS/流動パラフィンが0.7より小さい場合は流動パラフィンの配合量が過剰となり、長期保存製剤中におけるドネペジルの結晶化が懸念される。一方、1.5より大きい場合はSIS含量が高すぎるために粘着力の低下を引き起こす。
本発明が提供する経皮吸収型製剤にあっては、必要に応じて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤を用いることができる。
抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと略記する)、ブチルヒドロキシアニソール等が望ましい。
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、二酸化ケイ素等が望ましい。
架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属または金属化合物等の無機系架橋剤が望ましい。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が望ましい。
紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、アミノ酸系化合物、ジオキサン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体等が望ましい。
このような抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤等は、製剤の粘着層の組成全体の重量に基づいて、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下で配合することができる。
上記したような組成を有する本発明の経皮吸収型製剤は、いずれの方法によっても製造することができる。例えば、一般にホットメルト法と呼ばれる、薬物を含む基剤組成を熱融解させ、剥離フィルム又は支持体に塗工後、支持体又は剥離フィルムと貼り合わせて目的とする本剤を得る方法、もしくは一般に溶媒法と呼ばれる、薬物を含む基剤成分をトルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶媒に溶解させ、剥離フィルム又は支持体上に伸展して溶剤を乾燥除去後、支持体又は剥離フィルムと貼り合わせ目的とする本剤を得る方法である。
本発明の経皮吸収型製剤の支持体としては、伸縮性または非伸縮性の支持体を用いることができる。例えば布、不織布、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する)、アルミニウムシート等、又はそれらの複合素材から選択される。
また剥離フィルムは、経皮吸収型製剤を皮膚に適用するまで、粘着層を保護し、含有される抗認知症剤であるドネペジルが変質しないもので、かつ、容易に剥離できるようにシリコンコートされているものであれば特に限定されない。
その具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムをシリコンコートしたものが挙げられる。
以上のようにして調製された本発明の経皮吸収型製剤は、有効成分であるドネペジルが、疎水性高分子、及び吸収促進剤、更には上述した種々の添加剤を配合した貼付剤基剤中に溶解されており、それにより、投与後におけるドネペジルの速やかな血中濃度の上昇と、長時間にわたる有効血中濃度の維持という優れた効果を発揮するのである。
以下、本発明の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内での種々の変更が可能である。なお、以下の実施例において、%は、特に示さない限り全て重量%を意味する。
実施例1
(処方)
SIS 15%
流動パラフィン 24%
BHT 1%
水添ロジングリセリンエステル 35%
トリアセチン 5%
ドネペジル 20%
全 量 100%
予め、ドネペジルをトリアセチンおよびトルエン混液に溶解した後、トルエンに溶解した残りの成分と混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後、トルエンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、本発明の経皮吸収型製剤を得た。
実施例2〜実施例10
下記表1に示す配合により、上記実施例1に記載の方法に準じ、本発明の実施例2〜実施例10の経皮吸収型製剤を得た。
Figure 0005913981
比較例1
実施例1の経皮吸収型製剤において、吸収促進剤(トリアセチン)を配合しないで製造した経皮吸収型製剤を調製して、比較例1とした。
なお、製造工程は実施例1と同様とした。
実施例11〜実施例21
下記表2に示した配合により、ドネペジルの配合量、及び吸収促進剤としてトリアセチン、ラウロマクロゴール、及びラウリルアルコールの配合量を変化させて、実施例1の方法に準じて、実施例11〜実施例21の経皮吸収型製剤を得た。
Figure 0005913981
実施例22
(処方)
アクリル系粘着剤 70%
(DURO−TAK 87-2287、ヘンケル社製)
IPM 10%
ドネペジル 20%
全 量 100%
上記処方により、アクリル系粘着剤を使用し、本発明の実施例22の経皮吸収型製剤を得た。
すなわち、ドネペジル、IPM、およびアクリル系粘着剤に溶剤(酢酸エチル)を加えよく混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後酢酸エチルを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、本発明の経皮吸収型製剤を得た。
実施例23〜実施例25
下記表3に記載の処方により、実施例22と同様に本発明の実施例23〜実施例25の経皮吸収型製剤を得た。
実施例26
(処方)
シリコーンゴム 75%
(BIO−PSA 4601、ダウコーニング社製)
トリアセチン 5%
ドネペジル 20%
全 量 100%
ドネペジル、トリアセチン及びシリコーンゴムに溶剤(酢酸エチル)を加え、よく混合した。混合物を剥離フィルム上に塗工後酢酸エチルを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、本発明の実施例26の経皮吸収型製剤を得た。
比較例2
実施例22の処方において、吸収促進剤(IPM)を配合しないで製造した経皮吸収型製剤を調製して、比較例2とした。
なお、製造工程は実施例22と同様とした。
これらの実施例22〜実施例26、及び比較例2の処方をまとめて表3に示した。
Figure 0005913981
試験例1:ヘアレスラットにおける皮膚透過性試験
SIS製剤におけるドネペジルの薬物放出性、特に、投与直後〜貼付初期におけるドネペジル放出性を検討するため、実施例1〜9、および比較例1の各経皮吸収型製剤につき、ラットにおけるin vitro皮膚透過性試験を行った。
[方法]
ヘアレスラットの腹部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流した。
各試験製剤を円状(1.54cm)に打ち抜き、摘出皮膚に貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、ドネペジル透過量を測定し、定常状態(試験開始後8〜10時間)における皮膚透過速度(μg/cm/hr)を算出した。
[結果]
その結果を図1に示した。
図中に示した結果から、本発明の実施例1〜9の製剤は比較例1の製剤より速やかな薬物放出性を示す製剤であることが確認された。
試験例2:ラットにおける皮膚透過性試験
SIS製剤におけるドネペジルの薬物放出性、特に、投与直後〜貼付初期におけるドネペジル放出性を検討するため、実施例11〜13、15〜18、および実施例20〜21の各経皮吸収型製剤につき、ラットにおけるin vitro皮膚透過性試験を行った。
[方法]
ヘアレスラットの腹部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流した。
各試験製剤を円状(1.54cm)に打ち抜き、摘出皮膚に貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、ドネペジル透過量を測定し、定常状態(試験開始後12〜24時間)における皮膚透過速度(μg/cm/hr)を算出した。
[結果]
その結果を図2に示した。
図中に示した結果から、各実施例の製剤は速やかな薬物放出性を示す製剤であることが確認された。その点は、試験例1における比較例1と、皮膚透過速度を比較してみても確認できるものである。
試験例3:ラットにおける皮膚透過性試験
アクリル製剤におけるドネペジルの薬物放出性、特に、投与直後〜貼付初期におけるドネペジル放出性を検討するため、実施例23〜25および比較例2の各経皮吸収型製剤につき、ラットにおけるin vitro皮膚透過性試験を行った。
[方法]
除毛したウィスター系ラットの腹部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流した。
各試験製剤を円状(1.54cm)に打ち抜き、摘出皮膚に貼付し、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、ドネペジル透過量を測定し、定常状態(試験開始後12〜24時間)における皮膚透過速度(μg/cm/hr)を算出した。
[結果]
その結果を図3に示した。
本発明の各実施例の製剤は、比較例3の製剤に比べ速やかな薬物放出性を示す製剤であることが確認された。
試験例4:ウサギ血中濃度測定試験
実施例1及び比較例1の経皮吸収型製剤について、ドネペジルのウサギ血漿中濃度測定試験を行った(薬物投与量各々70mg)。
それぞれの貼付剤(経皮吸収型製剤)を、除毛したウサギ背部に24時間貼付し、経時的に採血し、LC−MS法により血漿中のドネペジル濃度を測定した。
その結果を図4に示した。
図中の結果から、本発明の実施例1の貼付剤(経皮吸収型製剤)は、比較例1の貼付剤(経皮吸収型製剤)より持続的な薬物放出が可能な製剤であることが判明した。
試験例5:製剤の安定性試験
実施例1、3、7、11、17、23および24の各経皮吸収型製剤について、60℃の保存条件で1ヶ月間保存した試料について以下の安定性試験を行った。その結果を表4に示した。
なお、試験項目は、以下のとおりである。
(1)製剤表面の結晶析出の有無の観察
各保存製剤について、製剤表面への結晶析出の有無について、目視及び顕微鏡(×450)で観察した。
評価は以下にしたがった。
結晶析出が目視確認できるもの :×
結晶析出が顕微鏡で確認できるもの:△
結晶析出が確認できないもの :○
(2)主薬の安定性試験
保存製剤中、結晶析出が観察されなかった実施例11、17、23及び24の製剤中の薬物濃度を液体クロマトグラフ法により測定し、保存前の各製剤中におけるドネペジル含量を初期値(100%)として、保存後の各製剤の薬物残存率(対初期%)を計算した。
(3)主薬の放出安定性試験
保存製剤中、結晶析出が観察されなかった実施例11、17、23及び24の製剤をUSP Drug Release Apparatus 6(Cylinder)法を用いて放出試験を行い、液体クロマトグラフ法によりドネペジルの放出率を求めた。
表4:各製剤の安定性試験結果
Figure 0005913981
各保存製剤とも目視で確認できる結晶の析出はなく、特に実施例11、実施例17、実施例23及び実施例24の各製剤は、顕微鏡観察においても結晶の析出が観察されなかった。
また実施例11、17、23、および24の各製剤の主薬含量、および放出性とも顕著な低下はなく、優れた安定性を示す経皮吸収型製剤であることが判明した。
試験例6:ウサギ皮膚一次刺激性試験
実施例11、13、18〜21、23〜24、及び対照製剤として市販の抗認知症貼付剤(リバスチグミン 9.6mg含有)の皮膚一次刺激性について、ウサギを用いたDraize法にて試験を行った。
ウサギ背部の健常皮膚、及び損傷皮膚に各試験製剤を24時間貼付し、剥離1時間、24時間、48時間後の皮膚症状を表5の判定基準に従って目視判定し、各試験製剤の刺激指数を算出した。
刺激指数の判定基準を表5に示し、測定結果を表6に示した。
Figure 0005913981
(1)刺激指数は、下式により求めた。
刺激指数=[剥離後1及び48時間後の評点合計]/4
(2)得られた刺激指数による刺激性の評価は、以下のとおりである。
刺激性評価:
刺激指数=0 :無刺激性
0<刺激指数<2 :弱い刺激性
2≦刺激指数<5 :中等度の刺激性
5≦刺激指数 :強い刺激性
Figure 0005913981
上記結果より、本発明の経皮吸収型製剤は安全性が高く、市販の抗認知症貼付剤と比較しても同等か、より安全性の高い製剤であることが確認できた。
本発明が提供するドネペジル含有経皮吸収型製剤によれば、有効成分であるドネペジルを、皮膚を介して循環血中に効率よく吸収させることができる。
また経口投与の場合に見られる消化器系の副作用や急激な血中濃度の上昇に伴って起こり得る中枢系の副作用も回避でき、またドネペジルの長時間投与を目的とする外用製剤として特に有効であり、認知症疾患治療に光明を与えるものである。

Claims (6)

  1. スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水添ロジングリセリンエステル、流動パラフィン、及び吸収促進剤を配合した貼付剤基剤に、有効成分であるドネペジルを溶解させてなる経皮吸収型製剤であって、
    (a)水添ロジングリセリンエステルとドネペジルの配合比率が、水添ロジングリセリンエステル/ドネペジル=1.5〜8であり、かつ
    (b)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体と流動パラフィンの配合比率が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体/流動パラフィン=0.7〜1.5である、
    ことを特徴とする経皮吸収型製剤。
  2. 該吸収促進剤の配合量が1〜10重量%である請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
  3. スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体5〜90重量%、水添ロジングリセリンエステル5〜70重量%、流動パラフィン10〜70重量%、及び吸収促進剤1〜10重量%を配合した貼付剤基剤に、有効成分であるドネペジル5〜30重量%溶解させてなる経皮吸収製剤であって、
    (a)水添ロジングリセリンエステルとドネペジルの配合比率が、水添ロジングリセリンエステル/ドネペジル=1.5〜8であり、かつ、
    (b)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体と流動パラフィンの配合比率がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体/流動パラフィン=0.7〜1.5である、
    ことを特徴とする経皮吸収型製剤。
  4. 該吸収促進剤が、ラウリルアルコール、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸セチル、オレイルアルコール、ソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ラウロマクロゴール、N−メチル−2−ピロリドン及びトリアセチンから選ばれる1種あるいは2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
  5. 該吸収促進剤が、ラウリルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ラウロマクロゴール、トリアセチンから選ばれる1種あるいは2種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
  6. 該吸収促進剤がラウリルアルコール、ラウロマクロゴール、トリアセチンから選ばれる1種あるいは2種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
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