JP5910400B2 - 非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
1.表層部付近の硬さを低下させ、さらには低降伏比を達成するためには、少なくとも表層部のミクロ組織において、軟質相であるフェライト(50面積%以上)を析出させ、硬質相との複相組織とすることが必要で、さらに、表層部におけるフェライトの平均粒径を所望の適正範囲内に調整することにより、表層部の延性・靭性を所望の範囲内とすることができる。
2.下記(1)〜(4)を満足する厚鋼板であれば、冷間曲げ加工後にも建築構造物部材用として必要な変形性能を確保できる。
(1)鋼板の、少なくとも表層部(表面および裏面から板厚方向に1〜5mmの領域)ミクロ組織をフェライトおよび硬質相からなる複相組織とすること。
(2)鋼板表層部の平均硬さが225HV以下を満足すること。
(3)鋼板表層部と板厚中央部の硬度差が60HV以下であること。
(4)鋼板表層部の平均フェライト粒径が4.0〜18.0μmの範囲を満足すること。
ここで、硬質相とはパーライト、ベイナイト、マルテンサイトのうちの1種または2種以上からなる相を意味し、鋼板表層部とは鋼板表裏面から板厚方向に1〜5mmの領域を、また、板厚中央部とは板厚中心±2mmの領域を指す。なお、鋼板表層部の組織、硬さを限定した理由は、溶接構造物の破壊に対しては、鋼板表面または裏面から板厚方向に5mmの領域である表層部の影響が大きいことを見出したことに基づく。
(1)質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、N:0.0040%以下、Ti:0.005〜0.020%、Ti/N≧2.5、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成と、少なくとも鋼板の表層部において、平均結晶粒径が4.0〜18.0μmのフェライトと、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなる硬質相からなり、フェライト面積率が50%〜70%のミクロ組織を有し、鋼板の表層部の平均硬さが225HV以下で、該表層部と板厚中央部との硬度差が60HV以下であることを特徴とする、冷間加工後の表層部の延性・靭性に優れる降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比75%以下である非調質低降伏比高張力厚鋼板。
(2)成分組成が、さらに質量%で、Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.30%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
(3)成分組成が、更に質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%、Mg:0.0010〜0.0050%の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
(4)成分組成が(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の鋼素材を1050〜1200℃に加熱後、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900℃以下Ar3変態点以上となる熱間圧延を行い、その後、第一段冷却とし表面温度でAr3変態点以上の温度から、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、表面温度が(Ar3変態点−100℃)以下550℃以上となるまで加速冷却し、冷却停止後復熱させ、第2段冷却として表面温度が(Ar3変態点−20℃)以下600℃以上、かつ、表面温度が極大値をとった時点から、式1を満たす時間t1(秒)以上、式2を満たす時間t2(秒)以内から、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、冷却停止後の復熱で表面温度が600℃以下400℃以上になる冷却停止温度まで加速冷却することを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
(6)第二段冷却を、表面温度が(Ar3変態点−20℃)以下600℃以上、かつ、表面温度が極大値をとった時点から、式1を満たす時間t1(秒)以上、式2を満たす時間t2(秒)以内から開始し、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、冷却停止後復熱で表面温度が400℃以上となる冷却停止温度まで加速冷却する冷却を、複数回繰り返す冷却とし、前記複数回の加速冷却において、冷却停止後の復熱で表面温度が600℃以下400℃以上になる冷却停止温度まで冷却する加速冷却を最終冷却とすることを特徴とする(4)または(5)の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
[成分組成]以下の説明において、%は質量%とする。
C:0.05〜0.16%
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するのに有用な元素である。さらにCは、硬質相の体積率を増加させ、降伏比を低下させる作用を有する。このような効果を得るためには0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.16%を超える含有は、溶接性と靭性を顕著に低下させる。このため、Cは0.05〜0.16%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.06〜0.15%である。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶し鋼材の強度を増加させる。このような効果を得るためには0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.45%を超える含有は、母材の靱性を低下させるとともに、溶接熱影響部(HAZ)靱性を顕著に低下させる。このため、Siは0.05〜0.45%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.05〜0.35%である。
Mnは、固溶して鋼の強度を増加させる作用を有する元素で安価であり、高価な他の合金元素の含有を最小限に抑えることを目的の一つとする本発明では、所望の高強度(引張強さ550MPa以上)を確保するために、1.2%以上の含有を必要とする。一方、1.8%を超える含有は、母材の靱性およびHAZ靱性を著しく低下させる。このため、Mnは1.2〜1.8%の範囲に限定した。なお、好ましくは1.2〜1.6%である。
Pは、鋼の強度を増加させる作用を有する元素であるが、靱性、とくに溶接部の靱性を低下させる元素であり、本発明ではできるだけ低減することが望ましいが、過度の低減は、精錬コストを高騰させ経済的に不利となるため、0.005%程度以上とすることが好ましい。一方、0.020%を超えて含有すると、上記した悪影響が顕著となるため、Pは0.020%以下に限定した。なお、好ましくは0.015%以下である。
Sは、鋼中ではMnS等の硫化物系介在物として存在し、母材および溶接部の靱性を劣化させるとともに、鋳片中央偏析部などに多量に偏在して鋳片等における欠陥を発生しやすくする。このような傾向は0.005%を超える含有で顕著となる。このため、Sは0.005%以下に限定した。好ましくは0.003%以下である。なお、過度のS低減は、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、Sは0.001%程度以上とすることが望ましい。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいては、脱酸剤として、もっとも汎用的に使われる。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましいが、0.05%を超える含有は、母材の靱性が低下するとともに、溶接時に溶接金属に混入して溶接金属部靱性を低下させる。このため、Alは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.010〜0.045%である。
Nbは、焼入性を高めるとともに、制御圧延の効果を高めミクロ組織を微細化する作用を介して、母材強度を増加させる元素であり、高強度化のために有用な元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが必要となる。一方、0.025%を超える含有は、母材やHAZの靭性を低下させる。このため、Nbは0.005〜0.025%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.007〜0.020%である。
Nは、鋼中に固溶している場合には、冷間加工後に歪時効を起こし靭性を劣化させるため、本発明ではできるだけ低減することが望ましい。0.0040%を超えて含有すると、靭性の劣化が著しくなる。このため、Nは0.0040%以下に限定した。
Tiは、Nとの親和力が強い元素であり、凝固時にTiNとして析出し、鋼中の固溶Nを減少させ、冷間加工後のNの歪時効による靭性劣化を低減する作用を有する。また、Tiは、HAZの組織改善を介して、HAZ靭性の向上にも寄与する。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.020%を超えて含有すると、TiN粒子が粗大化し、上記した効果が期待できなくなる。このため、Tiは0.005〜0.020%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.007〜0.015%である。
本発明では、N含有量(質量%)に見合う量のTiを含有させ、固溶NをTiNとして固定する。このため、Ti含有量(質量%)とN含有量(質量%)との比、Ti/Nが2.5以上を満足するように、Ti含有量(質量%)、N含有量(質量%)を調整する。Ti/Nが2.5未満では、N含有量(質量%)に比べてTi含有量(質量%)が少なすぎ、多くのNが固溶Nとして残存して、HAZ靭性が低下、溶接部からの脆性破壊発生により部材変形性能が低下する場合がある。このため、Ti/Nを2.5以上に限定した。なお好ましくは、3.0〜5.0の範囲である。
Cu、Ni、Cr、Mo、Vはいずれも、鋼の強度を増加させる作用を有する元素であり、選択して含有できる。
Ca、REM、Mgはいずれも、硫化物の形態制御を介して母材の靭性向上および延性向上に寄与する。また、微細な硫化物粒子を鋼中に分散させた場合には、フェライト変態核として作用することによってHAZ靱性の向上にも寄与する。これらの効果を得るためには、Caでは少なくとも0.0005%、REMおよびMgではそれぞれ少なくとも0.010%を含有することが好ましいが、Ca、REM、Mgをいずれも0.0050%を超えて含有すると、過剰な介在物が生成し、逆に靱性が低下する場合がある。このため、含有する場合には、Caは0.0005〜0.0050%、REMおよびMgはそれぞれ、0.0010〜0.0050%の範囲に限定することが好ましい。
本発明では、ミクロ組織を平均結晶粒径が4.0〜18.0μmのフェライトと、硬質相としてパーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなり、フェライト面積率が50%〜70%の複相組織とする。
鋼板の表層部の平均硬さが225HV以下で、該表層部と板厚中央部(板厚中央位置を中心に±2mmの領域で、以降同じとする)との硬度差が60HV以下である板厚方向の硬さ分布とする。
加熱温度が1050℃未満では、強度が低下しやすく、一方、1200℃を超えると、組織が粗大化して得られる靱性が低下したり、焼入性が増加しすぎて、表層硬さが増加しやすくなる。このため、鋼素材の加熱温度は1050℃〜1200℃の範囲に限定した。なお、好ましくは1080℃〜1150℃である。
ミクロ組織を適度に微細化するため、鋼板の表面温度が950℃以下の温度域で制御圧延を行う。該温度域での累積圧下量が30%未満では、組織が粗大化し、また焼入性が増加しすぎて、所望の靭性、表層硬さを確保できなくなる。このため、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量を30%以上に限定した。なお、好ましくは35%以上である。
圧延終了温度が表面温度で900℃を超えると、組織が粗大化し、焼入性が増加しすぎて、所望の靭性、表層硬さを確保できなくなる。一方、圧延終了温度が表面温度でAr3変態点未満では、圧延中あるいは圧延直後にフェライトが生成し、粗大化して、表層部の靱性が低下する。このため、圧延終了温度は表面温度で900℃以下Ar3温度以上に限定した。なお、好ましくは880〜780℃である。
(式において、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)で
、上記式で記載された元素が含有されない場合には、当該元素を零として計算するものとする。)
圧延後、加速冷却する冷却工程を施す。冷却工程は、第一段冷却と、冷却を停止し復熱させる過程と、第二段冷却とからなる。第一段冷却で、表層部を過冷却したのち復熱させ、第二段冷却の開始までの時間(冷却停止時間)を利用して、表層部のフェライト変態を進行させて所望の表層ミクロ組織を得る。第二段冷却は、第一段冷却後に、未変態である部分をパーライト、ベイナイト、マルテンサイト等の硬質相とするために行う。未変態部分を硬質相とすることにより、最終組織を(フェライト+(パーライト、ベイナイト、マルテンサイトの内1つ以上を有する組織))とすることができ、所望の高強度、低降伏比を実現できる。
第一段冷却は、表面温度でAr3変態点以上の温度から冷却を開始し、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度で2℃/s以上の冷却速度で加速冷却し、表面温度が(Ar3変態点−100℃)以下550℃以上、好ましくはかつ表面と板厚中央位置との温度差が150℃以上、となる時点で、加速冷却を停止する。
第一段冷却の開始温度が、Ar3変態点未満では、加速冷却開始前にフェライトが生成し、粗大化するため、表層部のフェライト粒の微細化が達成できなくなる。このため、第一段冷却の開始温度をAr3変態点以上に限定した。
冷却速度が2℃/s未満では、冷却が遅く、冷却中に粗く靭性の低いフェライト粒が生成する場合がある。このため、第一段冷却の冷却速度を、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度で2℃/s以上に限定した。なお、第一段冷却の冷却速度の上限はとくに限定する必要はなく、板厚、冷却装置の能力によってほぼ決定され、板厚:60mmでは概ね5℃/s程度以上となる。「板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度」とは、板厚(t)の1/4位置における加速冷却開始から終了までの平均の冷却速度をいう。
本発明における第一段冷却では、表層部とそれより内部との温度差が大きくなるように冷却し、第一段冷却停止後の復熱と、復熱後、第二段冷却を開始するまでの時間(以降、保持時間と呼ぶ)に、表層部にフェライトを生成させる。
第一段冷却を停止したのち、フェライトを生成させるために復熱後、第二段冷却を開始する。復熱は、復熱後に鋼板表面温度が(Ar3変態点−20℃)以下600℃以上となり、且つ所定の保持時間を満足するまで行う。
未変態部分を硬質相とするために、第二段冷却では、2℃/s以上、好ましくは8℃/s以上で冷却する。冷却速度が2℃/s未満では、硬質相への変態量が低下し、所望の高強度、低降伏比を実現できなくなる。
第二段冷却の冷却停止温度が、第二段冷却の冷却停止後の復熱で表面温度が600℃超えとなる温度では、硬質相への変態量が低下したり、自己焼戻しによって強度が低下し、所望の高強度を確保できなくなる。一方、復熱で表面温度が400℃未満となるような冷却停止温度では、硬質相硬さが高くなりすぎて靱性が低下する。このため、第二段冷却の冷却停止温度は、冷却を停止した後の復熱で表面温度が600℃以下400℃以上になる温度に限定した。復熱後の温度は、加速冷却停止時の板厚(t)の1/2位置の温度に依存するので各種伝熱計算から予測することができる。
(1)組織観察
板厚全厚の組織観察用試験片のL方向断面を研磨、ナイタール腐食後、表層部と板厚中央部を光学顕微鏡(倍率:400倍)または走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)を用いて、ミクロ組織を各3視野以上観察し、撮像して画像解析により、組織の種類、およびフェライトの組織分率(面積率%)を求めた。
(2)硬さ試験
板厚全厚の硬さ測定用試験片を採取し、ビッカース硬さ計を用いて、JIS Z 2244の規定に準拠して、板厚方向断面について、硬さ測定を行った。測定位置は、表層部、および板厚中央部とし、各領域で板厚方向に1mmピッチで、4点以上測定した。試験荷重(試験力)は1kg(9.8kN)とした。得られた硬さHVを算術平均し、その領域での平均硬さHVとした。
(3)引張試験
引張方向がL方向となるように、JIS Z 2201の規定に準拠して、JIS5号全厚引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張試験を実施し、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を求めた。また、得られた測定値から、降伏比YR(=YS/TS×100%)を算出した。
(4)衝撃試験
板厚(t)の1/4位置および表面下1mm(試験片中央位置が表面下6mm)位置から、JIS Z 2242に準拠して、Vノッチ衝撃試験片(試験片幅:10mm)を採取し、シャルピー衝撃試験を実施し、破面遷移温度vTrs(℃)を求めた。なお、vTrsが、1/4位置および表面下1mm位置ともに、−40℃以下である場合を靭性に優れるとした。
得られた厚鋼板を用いて、冷間プレス加工により、角形鋼管(プレスコラム)を作製した。角形鋼管(プレスコラム)の断面寸法は、500×500(mm)、長さは3250(mm)とし、シーム(継目)溶接は両面各1層のサブマージアーク溶接とした。
η=Σθpl/θp
但し、θp=(Pp/2)L2/(3・E・I)+Pp/2/(G・Aw)
ここで、Pp:全塑性時荷重(N)=Mp/L、
L:コラムの片持ち長さ(ダイアフラムからコラム端支持点までの距離、3250mm)
E:ヤング率205000(MPa)、G:剪断剛性率79000(MPa)、
Mp:コラムの全塑性モーメントで下式による。
ここでIは下式による。
r:コラム角部内面の曲げ半径、R=r+t
Aw:剪断面積(mm2)で下式による。
2 通しダイアフラム
3 溶接部
4 裏当て金
1a プレスコラム
2a ダイアフラム(通しダイアフラム)
3a 4面BOX柱
4a、5a 溶接部
6 試験体
Claims (6)
- 質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、N:0.0040%以下、Ti:0.005〜0.020%、Ti/N≧2.5、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成と、少なくとも鋼板の表層部において、平均結晶粒径が4.0〜18.0μmのフェライトと、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなる硬質相からなり、フェライト面積率が50%〜70%のミクロ組織を有し、鋼板の表層部の平均硬さが225HV以下で、該表層部と板厚中央部との硬度差が60HV以下であることを特徴とする、冷間加工後の表層部の延性・靭性に優れる降伏強さ385MPa以上、引張強さ550MPa以上、降伏比75%以下である非調質低降伏比高張力厚鋼板。
- 成分組成が、さらに質量%で、Cu:0.05〜0.30%、Ni:0.05〜0.30%、Cr:0.05〜0.50%、Mo:0.04〜0.40%、V:0.01〜0.06%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
- 成分組成が、更に質量%で、Ca:0.0005〜0.0050%、REM:0.0010〜0.0050%、Mg:0.0010〜0.0050%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法であって、鋼素材を1050〜1200℃に加熱後、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900℃以下Ar3変態点以上となる熱間圧延を行い、その後、第一段冷却とし表面温度でAr3変態点以上の温度から、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、表面温度が(Ar3変態点−100℃)以下550℃以上となるまで加速冷却し、冷却停止後復熱させ、第2段冷却として表面温度が(Ar3変態点−20℃)以下600℃以上、かつ、表面温度が極大値をとった時点から、式1を満たす時間t1(秒)以上、式2を満たす時間t2(秒)以内から、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、冷却停止後の復熱で表面温度が600℃以下400℃以上になる冷却停止温度まで加速冷却することを特徴とする非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
- 第一段冷却を、表面温度でAr3変態点以上の温度から冷却を開始し、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、冷却停止温度が表面温度で550℃以上となる加速冷却を、複数回繰り返す冷却とし、前記複数回の加速冷却において、冷却停止温度が表面温度で(Ar3変態点−100℃)以下550℃以上となる加速冷却を少なくとも1回含むことを特徴とする請求項4記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
- 第二段冷却を、表面温度が(Ar3変態点−20℃)以下600℃以上、かつ、表面温度が極大値をとった時点から、式1を満たす時間t1(秒)以上、式2を満たす時間t2(秒)以内から開始し、板厚(t)の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、冷却停止後復熱で表面温度が400℃以上となる冷却停止温度まで加速冷却する冷却を、複数回繰り返す冷却とし、前記複数回の加速冷却において、冷却停止後の復熱で表面温度が600℃以下400℃以上になる冷却停止温度まで冷却する加速冷却を最終冷却とすることを特徴とする請求項4または5記載の非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
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