以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態は、説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
図1を参照して、本実施の形態に係るハイブリッド車両1(以下の説明においては、単に車両1と記載する)の全体ブロック図が説明される。車両1は、エンジン10と、駆動軸16と、第1モータジェネレータ(以下、第1MGと記載する)20と、第2モータジェネレータ(以下、第2MGと記載する)30と、動力分割装置40と、減速機58と、PCU(Power Control Unit)60と、バッテリ70と、充電装置78と、駆動輪80と、表示装置150と、モード切替スイッチ152と、ECU(Electronic Control Unit)200とを含む。
この車両1は、エンジン10および第2MG30の少なくとも一方から出力される駆動力によって走行する。エンジン10が発生する動力は、動力分割装置40によって2経路に分割される。2経路のうちの一方の経路は減速機58を介して駆動輪80へ伝達される経路であり、他方の経路は第1MG20へ伝達される経路である。
第1MG20および第2MG30は、たとえば、三相交流回転電機である。第1MG20および第2MG30は、PCU60によって駆動される。
第1MG20は、動力分割装置40によって分割されたエンジン10の動力を用いて発電してPCU60を経由してバッテリ70を充電するジェネレータとしての機能を有する。また、第1MG20は、バッテリ70からの電力を受けてエンジン10の出力軸であるクランク軸18を回転させる。これによって、第1MG20は、エンジン10を始動するスタータとしての機能を有する。
第2MG30は、バッテリ70に蓄えられた電力および第1MG20により発電された電力の少なくともいずれか一方を用いて駆動輪80に駆動力を与える駆動用モータとしての機能を有する。また、第2MG30は、回生制動によって発電された電力を用いてPCU60を経由してバッテリ70を充電するためのジェネレータとしての機能を有する。
エンジン10は、たとえば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。
エンジン10は、複数の気筒102と、複数の気筒102の各々に燃料を供給する燃料噴射装置104とを含む。なお、エンジン10の気筒102は、1つ以上あればよい。
燃料噴射装置104は、ECU200からの制御信号S1に基づいて、各気筒に対して適切な時期に適切な量の燃料を噴射したり、各気筒に対する燃料の噴射を停止したりする。燃料噴射装置104による燃料噴射量は、噴射時間によって調整される。
さらに、エンジン10には、エンジン回転速度センサ11が設けられる。エンジン回転速度センサ11は、エンジン10のクランク軸18の回転速度(以下、エンジン回転数と記載する)Neを検出する。エンジン回転速度センサ11は、検出されたエンジン回転数Neを示す信号をECU200に送信する。
動力分割装置40は、駆動輪80を回転させるための駆動軸16、エンジン10のクランク軸18および第1MG20の回転軸の三要素の各々を機械的に連結する。動力分割装置40は、上述の三要素のうちのいずれか一つを反力要素とすることによって、他の2つの要素間での動力の伝達を可能とする。第2MG30の回転軸は、駆動軸16に連結される。
動力分割装置40は、サンギヤ50と、ピニオンギヤ52と、キャリア54と、リングギヤ56とを含む遊星歯車機構である。ピニオンギヤ52は、サンギヤ50およびリングギヤ56の各々と噛み合う。キャリア54は、ピニオンギヤ52を自転可能に支持するとともに、エンジン10のクランク軸18に連結される。サンギヤ50は、第1MG20の回転軸に連結される。リングギヤ56は、駆動軸16を介在して第2MG30の回転軸および減速機58に連結される。
減速機58は、動力分割装置40や第2MG30からの動力を駆動輪80に伝達する。また、減速機58は、駆動輪80が受けた路面からの反力を動力分割装置40や第2MG30に伝達する。
PCU60は、スイッチング素子を複数個含む。PCU60は、スイッチング素子のオン・オフ動作を制御することによってバッテリ70に蓄えられた直流電力を第1MG20および第2MG30を駆動するための交流電力に変換する。PCU60は、ECU200からの制御信号S2に基づいて制御されるコンバータおよびインバータ(いずれも図示せず)を含む。コンバータは、バッテリ70から受けた直流電力の電圧を昇圧してインバータに出力する。インバータは、コンバータが出力した直流電力を交流電力に変換して第1MG20および/または第2MG30に出力する。これにより、バッテリ70に蓄えられた電力を用いて第1MG20および/または第2MG30が駆動される。また、インバータは、第1MG20および/または第2MG30によって発電される交流電力を直流電力に変換してコンバータに出力する。コンバータは、インバータが出力した直流電力の電圧を降圧してバッテリ70へ出力する。これにより、第1MG20および/または第2MG30により発電された電力を用いてバッテリ70が充電される。なお、コンバータは、省略してもよい。
バッテリ70は、蓄電装置であり、再充電可能な直流電源である。バッテリ70としては、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池が用いられる。バッテリ70の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ70は、上述したように第1MG20および/または第2MG30により発電された電力を用いて充電される他、外部電源302から供給される電力を用いて充電されてもよい。なお、バッテリ70は、二次電池に限らず、直流電圧を生成できるもの、たとえば、キャパシタ、太陽電池、燃料電池等であってもよい。
バッテリ70には、電池温度センサ156と、電流センサ158と、電圧センサ160とが設けられる。
電池温度センサ156は、バッテリ70の電池温度TBを検出する。電池温度センサ156は、電池温度TBを示す信号をECU200に送信する。
電流センサ158は、バッテリ70の電流IBを検出する。電流センサ158は、電流IBを示す信号をECU200に送信する。
電圧センサ160は、バッテリ70の電圧VBを検出する。電圧センサ160は、電圧VBを示す信号をECU200に送信する。
ECU200は、バッテリ70の電流IBと、電圧VBと、電池温度TBとに基づいてバッテリ70の残容量(以下の説明においては、SOC(State of Charge)と記載する)を推定する。ECU200は、たとえば、電流IBと、電圧VBと、電池温度TBとに基づいてOCV(Open Circuit Voltage)を推定し、推定されたOCVと所定のマップとに基づいてバッテリ70のSOCを推定してもよい。あるいは、ECU200は、たとえば、バッテリ70の充電電流と放電電流とを積算することによってバッテリ70のSOCを推定してもよい。
充電装置78は、充電プラグ300が車両1に取り付けられることによって外部電源302から供給される電力を用いてバッテリ70を充電する。充電プラグ300は、充電ケーブル304の一方端に接続される。充電ケーブル304の他方端は、外部電源302に接続される。充電装置78の正極端子は、PCU60の正極端子とバッテリ70の正極端子とを接続する電源ラインPLに接続される。充電装置78の負極端子は、PCU60の負極端子とバッテリ70の負極端子とを接続するアースラインNLに接続される。
第1レゾルバ12は、第1MG20に設けられる。第1レゾルバ12は、第1MG20の回転速度Nm1を検出する。第1レゾルバ12は、検出された回転速度Nm1を示す信号をECU200に送信する。
第2レゾルバ13は、第2MG30に設けられる。第2レゾルバ13は、第2MG30の回転速度Nm2を検出する。第2レゾルバ13は、検出された回転速度Nm2を示す信号をECU200に送信する。
減速機58と駆動輪80とを連結するドライブシャフト82には、車輪速センサ14が設けられる。車輪速センサ14は、駆動輪80の回転速度Nwを検出する。車輪速センサ14は、検出された回転速度Nwを示す信号をECU200に送信する。ECU200は、受信した回転速度Nwに基づいて車速Vを算出する。なお、ECU200は、回転速度Nwに代えて第2MG30の回転速度Nm2に基づいて車速Vを算出するようにしてもよい。
表示装置150は、ECU200からの制御信号S3に基づいてバッテリ70における電力消費量やEV走行時の走行可能距離等の情報を表示する。なお、EV走行とは、エンジン10を停止させた状態で第2MG30を用いて車両1を走行させるような車両1の走行状態を指す。表示装置150は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)等を用いたものであってもよい。なお、表示装置150に代えて音声等を用いて電力消費量や走行可能距離等の情報を車両1の乗員に通知する通知装置を用いてもよい。
モード切替スイッチ152は、車両の乗員によって操作された場合に走行モードを切り替えるための信号SWをECU200に送信する。モード切替スイッチ152は、たとえば、プッシュスイッチ、レバースイッチあるいはダイヤルスイッチ等である。
走行モードは、HV走行よりもEV走行を優先させるCD(Charge Depleting)モードと、EV走行よりもHV走行を優先させるCS(Charge Sustaining)モードとを含む。HV走行とは、エンジン10を作動させて第1MG20により発電を行ない、バッテリ70のSOCを目標値に維持するような車両1の走行状態を指す。
走行モードを切り替えるための信号SWは、たとえば、CDモードの選択を指示するための信号であってもよいし、CSモードを選択するための信号であってもよいし、現在の走行モードから現在の走行モードと異なる走行モードへの切替を指示するための信号であってもよい。
アクセルペダル162は、運転席に設けられる。アクセルペダル162には、ペダルストロークセンサ164が設けられる。ペダルストロークセンサ164は、アクセルペダル162のストローク量APを検出する。ペダルストロークセンサ164は、ストローク量APを示す信号をECU200に送信する。なお、ペダルストロークセンサ164に代えてアクセルペダルに対する車両1の乗員の踏力を検出するためのアクセルペダル踏力センサを用いてもよい。
ECU200は、エンジン10を制御するための制御信号S1を生成し、その生成した制御信号S1をエンジン10へ出力する。また、ECU200は、PCU60を制御するための制御信号S2を生成し、その生成した制御信号S2をPCU60へ出力する。ECU200は、表示装置150を制御するための制御信号S3を生成し、その生成した制御信号S3を表示装置150へ出力する。
ECU200は、エンジン10およびPCU60等を制御することによって車両1が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体、すなわち、バッテリ70の充放電状態、エンジン10、第1MG20および第2MG30の動作状態を制御する。
ECU200は、運転席に設けられたアクセルペダル162のストローク量APおよび車速Vに対応する要求パワーを算出する。さらに、ECU200は、補機を作動させる場合には補機の作動に要するパワーを算出された要求パワーに加算する。ここで、補機とは、たとえば、空調装置である。ECU200は、算出された要求パワーに応じて、第1MG20のトルク、第2MG30のトルク、または、エンジン10の出力を制御する。
ECU200は、車両の乗員によるモード切替スイッチ152の操作によってCDモードが選択された場合に要求パワーを第2MG30のみで満足させるようにPCU60を制御する。
ECU200は、CDモードが選択された場合において、要求パワーが第2MG30の出力の上限値を超える場合には、第1MG20を用いてエンジン10を作動させる。ECU200は、第2MG30の出力と作動したエンジン10の出力とにより要求パワーを満足させるようにエンジン10およびPCU60を制御する。このとき、エンジン10の出力は、バッテリ70の充電に用いられずに走行パワーとして用いられる。
ECU200は、CDモードが選択された場合において、バッテリ70のSOCがしきい値SOC(1)よりも低下した場合には、CDモードからCSモードに自動的に走行モードを切り替える。
ECU200は、CSモードが選択された場合には、バッテリ70のSOCが目標値になるようにバッテリ70に対する充放電制御を実行する。
ECU200は、たとえば、バッテリ70のSOCが目標値よりも低い場合には、要求パワーを満足させつつ、充電電力を放電電力よりも大きくなるようにエンジン10の出力、第1MG20のトルクあるいは第2MG30のトルクを制御する。
ECU200は、たとえば、バッテリ70のSOCが目標値よりも高い場合には、放電電力が充電電力よりも大きくなることを許容しつつ、車両1の要求パワーを満足させるようにエンジン10の出力、第1MG20のトルクあるいは第2MG30のトルクを制御する。すなわち、エンジン10の出力は、バッテリ70への充電パワーおよび走行パワーとして用いられる。
バッテリ70のSOCの目標値は、一定値であってもよいし、CSモードが選択された時点のバッテリ70のSOCであってもよいし、CSモードが選択された時点のSOCに所定値を加算あるいは減算した値であってもよい。
ECU200は、たとえば、CSモードが選択された場合であって、かつ、バッテリ70のSOCの現在値がSOCの上限値よりも大きい場合には、エンジン10を停止させてEV走行を行なうようにしてもよい。
さらに、ECU200は、たとえば、充電完了後に走行を開始する際に、CSモードが選択された場合であって、かつ、EV走行時である場合には、車両1の走行距離Dt(km)と当該走行距離Dtを走行する際に消費したバッテリ70の電力消費量Wp(Wh)とに基づいて単位距離当りの電力消費量をバッテリ70の電力消費率Rpc(Wh/km)として算出する。ECU200は、バッテリ70の電力消費量Wpを車両1の走行距離Dtで除算することによってバッテリ70の電力消費率Rpcを算出する。
ECU200は、算出された電力消費率Rpcに基づいて電力消費率の学習処理を実行し、電力消費率の学習値を算出する。学習処理については後述する。ECU200は、算出された学習値を電力消費率として表示装置150に表示させる。さらに、ECU200は、算出された学習値に基づいて電力消費量の推定値Wp’あるいはEV走行による走行可能距離を算出するための処理を実行したり、あるいは、電力消費量の推定値Wp’あるいはEV走行による走行可能距離を表示装置150に表示させたりする。
以上のような構成を有する車両1において、乗員に正確な電力消費率、電力消費量および走行可能距離を通知するためには、電力消費率、電力消費量および走行可能距離を精度高く推定する必要がある。しかしながら、走行条件によっては、電力消費率、電力消費量あるいは走行可能距離の推定値と実際の値とが乖離する場合がある。
そこで、本実施の形態においては、ECU200が、HV走行時において、車両1の走行距離とエンジン10の出力の積算値とバッテリ70の電力消費量とに基づいてEV走行時に算出された電力消費率を更新する点を特徴とする。ECU200は、更新された電力消費率を車両1の乗員に通知するための処理およびEV走行による走行可能距離を算出するための処理のうちの少なくともいずれかを実行する。
図2を参照して、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECU200は、CDモードが選択されているか否かを判定する。CDモードが選択されている場合には(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでない場合には(S100にてNO)、処理はS100に戻される。
S102にて、ECU200は、第1学習処理を実行する。具体的には、ECU200は、バッテリ70の放電電力Pbatの積算値ΣPbatとエンジン10の出力Peの積算値ΣPeとの和(ΣPbat+ΣPe)を走行距離Dtで除算することによって得られる車両1の走行効率を電力消費率Rpcとして算出する。すなわち、ECU200は、エンジン10が作動している状態(以下、オン状態と記載する)である場合においては、エンジン10の出力分もバッテリ70から出力されていると仮定して、電力消費率Rpcを算出するものである。
ECU200は、たとえば、バッテリ70の電流IBおよび電圧VBに基づいてバッテリ70の放電電力Pbatを算出する。ECU200は、算出された放電電力Pbatと予め定められた時間間隔Δtを乗算する。ECU200は、乗算した値を前回の計算サイクルにおいて算出された積算値に加算することによって今回の計算サイクルの積算値ΣPbatを算出する。予め定められた時間間隔Δtは、計算サイクルの実行間隔に対応する。
ECU200は、外部電源302を用いたバッテリ70の充電が完了した直近の時点で積算値を初期値(すなわち、ゼロ)にリセットして積算を開始する。すなわち、ECU200は、走行距離の起算開始時に積算値ΣPbatの積算を開始する。なお、ECU200は、電流IBおよび電圧VBに加えて電池温度TBに基づく内部抵抗の変化を考慮してバッテリ70の放電電力Pbatを算出してもよい。
ECU200は、たとえば、第1MG20のトルク指令値Tm1および第1MG20の回転速度Nm1に基づいてエンジントルクTeとエンジン回転数Neを推定して、推定されたエンジントルクTeとエンジン回転数Neとを乗算してエンジン10の出力Peの推定値を算出してもよい。
あるいは、ECU200は、たとえば、エンジン回転数Neの検出値と、エンジン10への吸入空気量やエンジン10のスロットルバルブの開度等に基づいて推定されるエンジントルクTeとを乗算してエンジン10の出力Peの推定値を算出してもよい。
ECU200は、充電が完了した時点から現在まで予め定められた時間間隔Δt毎にエンジン10の出力Peと予め定められた時間間隔Δtとを乗じた値を加算していくことによって積算値ΣPeを算出する。なお、積算値ΣPeを初期値(すなわち、ゼロ)にリセットして積算を開始する時点は、積算値ΣPbatと同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返されない。
本実施の形態において電力消費率Rpcを計算するための車両1の走行距離Dtは、外部電源302を用いた充電が完了した直近の時点における車両1の位置からの走行距離であるとして説明するが、たとえば、1日、1週間、1月あるいは1年等を単位とした所定の期間の走行距離であってもよいし、車両の乗員が設定した地点からの走行距離であってもよいし、直前の車両1が走行を開始した位置からの走行距離であってもよいし、車両1が最初に走行を開始した時点の位置からの走行距離であってもよい。
さらに、ECU200は、算出された電力消費率Rpcと前回の計算サイクルにおいて算出された電力消費率の学習値Rl(n−1)(以下、単に前回の学習値Rl(n−1)と記載する)とに基づいて今回の計算サイクルにおいて算出された電力消費率の学習値Rl(n)(以下、単に今回の学習値Rl(n)と記載する)を算出する。
ECU200は、算出された電力消費率Rpcおよび前回の学習値Rl(n−1)に係数α、1−αをそれぞれ乗じて得られた値の和を今回の学習値Rl(n)として算出する。すなわち、ECU200は、今回の学習値Rl(n)=(1−α)×前回の学習値Rl(n−1)+α×電力消費率Rpcの式によって今回の学習値Rl(n)を算出してもよい。なお、係数αは、たとえば、0よりも大きく、かつ、1よりも小さい値である。なお、ECU200は、算出された電力消費率Rpcを今回の学習値Rl(n)としてもよい。
S104にて、ECU200は、今回の学習値Rl(n)を用いて電力消費量の推定値Wp’およびEV走行による走行可能距離を算出する。ECU200は、算出された今回の学習値Rl(n)に走行距離Dtを乗じた値を外部電源302を用いた充電が完了した直近の時点からの電力消費量の推定値Wp’として算出する。
さらに、ECU200は、バッテリ70の現在のSOCとSOCの下限値との差ΔSOC(%)に対応する電力残量Wrを今回の学習値Rl(n)で除算した値をEV走行による走行可能距離として算出する。ECU200は、たとえば、ΔSOCとバッテリ70の満充電容量とにより電力残量Wrを算出する。
S106にて、ECU200は、今回の学習値Rl(n)を学習後の電力消費率として表示するように表示装置150を制御する。さらに、ECU200は、S104にて算出した電力消費量および走行可能距離を表示するように表示装置150を制御する。なお、ECU200は、電力消費率、電力消費量および走行可能距離のうちの少なくともいずれか一つを表示させるようにしてもよい。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU200の動作について説明する。
たとえば、外部電源302を用いたバッテリ70への充電が完了した後に車両1が走行を開始した場合を想定する。また、このとき、車両1の乗員によってCDモードが選択されている場合を想定する(S100にてYES)。
アクセルペダル162のストローク量AP、車速Vおよび補機の作動状態に基づく車両1の要求パワーが第2MG30の出力の上限値以下である場合には、ECU200は、エンジン10を停止させた状態で第2MG30を用いて車両1を走行させる。このとき、第1学習処理が実行される(S102)。第1学習処理において、エンジン10が停止中であるため、エンジン10の出力の積算値ΣPeは、ゼロとなる。そのため、バッテリ70の放電電力Pbatの積算値ΣPbatが走行距離Dtで除算された値を電力消費率Rpcとして算出される。算出された電力消費率Rpcと前回の学習値Rl(n−1)とを用いて今回の学習値Rl(n)が算出される。なお、第1学習処理における今回の学習値Rl(n)の算出方法については上述したとおりである。そのため、その詳細な説明は繰り返されない。
算出された今回の学習値Rl(n)に基づいて電力消費量の推定値Wp’およびEV走行による走行可能距離が算出される(S104)。算出された今回の学習値Rl(n)が学習後の電力消費率として表示装置150に表示される。さらに、外部電源302を用いて充電が完了した直近の時点からの電力消費量の推定値Wp’と、EV走行による走行可能距離とが表示装置150に表示される(S106)。電力消費量の推定値Wp’およびEV走行による走行可能距離の算出方法については上述したとおりである。そのため、その詳細な説明は繰り返されない。
その後において、CDモードが選択されている場合であって、かつ、EV走行中に車両1の乗員がアクセルペダル162を踏み込むなどして車両1の要求パワーが第2MG30の出力の上限値を超える場合には、ECU200は、エンジン10を始動させて、HV走行を行なう。このとき、第1学習処理が実行される(S102)。
第1学習処理において、エンジン10が作動状態になるため、バッテリ70の放電電力Pbatの積算値ΣPbatとエンジン10の出力Peの積算値ΣPeとの和が走行距離Dtで除算された値が電力消費率Rpcとして算出される。算出された電力消費率Rpcと前回の学習値Rl(n−1)とを用いて今回の学習値Rl(n)が算出される。
また、その後において、CDモードが選択されている場合であって、かつ、HV走行中に車両1の乗員がアクセルペダル162の踏み込みを解除するなどして車両1の要求パワーが第2MGの出力の上限値以下になる場合には、ECU200は、エンジン10の作動を停止させて、EV走行を行なう。このとき、第1学習処理が実行される(S102)。第1学習処理において、現在の時点までの積算値ΣPbatと、HV走行時において積算された積算値ΣPeとの和が走行距離で除算された値が電力消費率Rpcとして算出される。
上述のとおりECU200が動作することによって、図3に示すように車両1の走行モードに基づいて学習の実行の有無が決定される。
図3に示すように、たとえば、走行モードがCSモードである場合には、エンジン10の作動の有無に関わらず、学習処理は実行されない。一方、走行モードがCDモードである場合には、エンジン10の作動の有無に関わらず第1学習処理が実行される。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両によると、アクセルペダルのストローク量AP等の変化によりEV走行からHV走行に切り替わる場合において、EV走行時に算出された電力消費率の学習値は、HV走行時に車両1の走行距離Dtとエンジン10の出力Peの積算値ΣPeとバッテリ70の放電電力Pbatの積算値ΣPbatとに基づいて算出される電力消費率を用いて更新される。これにより、車両10の走行履歴のうちのEV走行による履歴部分に加えて、HV走行による履歴部分を考慮して電力消費率を算出することができる。そのため、電力消費率を精度高く推定することができる。したがって、電力消費量および走行可能距離を精度高く推定する車両を提供することができる。
本実施の形態においては、ECU200は、走行モードがCDモードである場合に、バッテリ70の放電電力Pbatの積算値ΣPbatとエンジン10の出力の積算値ΣPeとの和を走行距離Dtで除算した値を電力消費率Rpcとして算出し、算出された電力消費率Rpcを用いて今回の学習値Rl(n)を算出する第1学習処理を実行するとして説明した。
しかしながら、電力消費率Rpcの算出方法としては、上述の方法に特に限定されるものではない。たとえば、ECU200は、走行モードがCDモードであって、かつ、エンジン10が停止状態である場合には、積算値ΣPbatを走行距離Dtで除算した値を電力消費率Rpcとして算出して、算出された電力消費率Rpcを用いて今回の学習値Rl(n)を算出する第2学習処理を実行してもよい。
あるいは、ECU200は、走行モードがCDモードであって、かつ、エンジン10が作動状態である場合には、車両1の走行パワーの積算値を走行距離Dtで除算した値(走行効率)を電力消費率Rpcとして算出して、算出された電力消費率Rpcを用いて今回の学習値Rl(n)を算出する第3学習処理を実行してもよい。
図4を参照して、ECU200がエンジン10の作動の有無に応じて第2学習処理および第3学習処理のうちのいずれかを実行するプログラムの制御構造について説明する。
なお、図4に示したフローチャートの中で、前述の図2に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返されない。
走行モードがCDモードである場合に(S100にてYES)、S200にて、ECU200は、エンジン10の作動が停止した状態(以下、オフ状態と記載する)であるか否かを判定する。ECU200は、たとえば、エンジン10の回転速度Neがしきい値以下の停止状態である場合には、エンジン10がオフ状態であると判定してもよい。
なお、しきい値は、エンジン10が停止状態であると判定できる値であって、たとえば、ゼロであってもよいし、エンジン回転速度センサ11の誤差の上限値を考慮したほぼゼロの予め定められた値であってもよい。あるいは、ECU200は、たとえば、エンジン10に対して制御信号S1を送信していない等、エンジン10の制御処理を実行していない場合に、エンジン10がオフ状態であると判定してもよい。
エンジン10がオフ状態である場合(S200にてYES)、処理はS202に移される。もしそうでない場合(S200にてNO)、処理はS204に移される。
S202にて、ECU200は、第2学習処理を実行する。具体的には、ECU200は、バッテリ70の放電電力Pbatの積算値ΣPbatを走行距離Dtで除算した値を電力消費率Rpcとして算出する。積算値ΣPbatおよび走行距離Dtの算出方法については上述したとおりであるためその詳細な説明は繰り返されない。
さらに、ECU200は、算出された電力消費率Rpcと前回の学習値Rl(n−1)とに基づいて今回の学習値Rl(n)を算出する。なお、今回の学習値Rl(n)の算出方法については上述の第1学習処理において説明したとおりであるためその詳細な説明は繰り返されない。
S204にて、ECU200は、第3学習処理を実行する。具体的には、ECU200は、車両1の走行パワーPtの積算値ΣPtを走行距離Dtで除算した値(走行効率)を電力消費率Rpcとして算出する。
ECU200は、車速Vに駆動力指令値Fdcを乗じた値(V×Fdc)にパワー損失Plsを加算した値(V×Fdc+Pls)を走行パワーPtとして算出する。ECU200は、第1MG20のトルク指令値Tmc1と第2MG30のトルク指令値Tmc2とギヤ比とに基づいて駆動指令値Fdcを算出する。ECU200は、算出された駆動力指令値Fdcに基づいてパワー損失Plsを推定する。ECU200は、たとえば、駆動力指令値Fdcとパワー損失Plsとの関係を示すマップ等を用いて駆動力指令値Fdcからパワー損失Plsを推定する。
さらに、ECU200は、算出された電力消費率Rpcと前回の学習値Rl(n−1)とに基づいて今回の学習値Rl(n)を算出する。なお、今回の学習値Rl(n)の算出方法については上述の第1学習処理において説明したとおりであるためその詳細な説明は繰り返されない。
図4に示すようなフローチャートに基づくECU200に動作について説明する。たとえば、外部電源302を用いたバッテリ70への充電が完了した後に車両1が走行を開始した場合を想定する。また、このとき、車両1の乗員によってCDモードが選択されている場合を想定する(S100にてYES)。
アクセルペダル162のストローク量AP、車速Vおよび補機の作動状態に基づく車両1の要求パワーが第2MG30の出力の上限値以下である場合には、ECU200は、エンジン10を停止させた状態で第2MG30を用いて車両1を走行させる(S200にてYES)。そのため、第2学習処理が実行される(S202)。
第2学習処理において、バッテリ70の放電電力Pbatの積算値ΣPbatが走行距離Dtで除算された値を電力消費率Rpcとして算出される。算出された電力消費率Rpcと前回の学習値Rl(n−1)とを用いて今回の学習値Rl(n)が算出される。
算出された今回の学習値Rl(n)に基づいて電力消費量の推定値Wp’およびEV走行による走行可能距離が算出される(S104)。算出された今回の学習値Rl(n)が学習後の電力消費率として表示装置150に表示される。さらに、外部電源302を用いて充電が完了した直近の時点からの電力消費量の推定値Wp’と、EV走行による走行可能距離とが表示装置150に表示される(S106)。電力消費量の推定値Wp’およびEV走行による走行可能距離の算出方法については上述したとおりである。そのため、その詳細な説明は繰り返されない。
その後において、CDモードが選択されている場合であって、かつ、EV走行中に車両1の乗員がアクセルペダル162を踏み込むなどして車両1の要求パワーが第2MG30の出力の上限値を超える場合には、ECU200は、エンジン10を始動させて、HV走行を行なう(S200にてNO)。そのため、第3学習処理が実行される(S204)。
第3学習処理において、車両1の走行パワーPtの積算値ΣPtが走行距離Dtで除算された値が電力消費率Rpcとして算出される。算出された電力消費率Rpcと前回の学習値Rl(n−1)とを用いて今回の学習値Rl(n)が算出される。
また、その後において、CDモードが選択されている場合であって、かつ、HV走行中に車両1の乗員がアクセルペダル162の踏み込みを解除するなどして車両1の要求パワーが第2MGの出力の上限値以下になる場合には、ECU200は、エンジン10の作動を停止させて、EV走行を行なう(S100にてYES、かつ、S200にてYES)。そのため、第2学習処理が実行される(S202)。
第2学習処理において、現在の時点までの積算値ΣPbatを走行距離で除算された値が電力消費率Rpcとして算出される。
上述のとおりECU200が動作することによって、図5に示すように車両1の走行モードとエンジン10の状態とに基づいて学習の実行の有無および実行される学習処理が決定される。
図5に示すように、たとえば、走行モードがCSモードである場合には、エンジン10の作動の有無に関わらず、学習処理は実行されない。一方、走行モードがCDモードである場合には、エンジン10がオフ状態であるときには第2学習処理が実行され、エンジン10がオン状態であるときには第3学習処理が実行される。
なお、本実施の形態においては、走行モードがCSモードである場合には学習処理が実行されないとして説明したが、ECU200は、走行モードがCSモードである場合に第1学習処理を実行してもよいし、走行モードがCSモードである場合にエンジン10のオン/オフに応じて第2学習処理および第3学習処理のうちのいずれかを実行してもよい。
このようにすると、車両1がより長距離を走行する場合には、走行モードがCSモードとなる頻度が多くなる。そのため、エンジンのオフ状態だけでなく、オン状態の走行効率を考慮して電力消費率を算出することにより、電力消費率の精度を向上させることができる。
本発明が適用される車両としては、たとえば、図1を用いて説明したように、走行状態に応じてEV走行とHV走行とのうちのいずれか一方から他方に切り替わる車両であることが望ましい。また、車両1の構成としては、EV走行とHV走行とが可能な車両であれば特に、図1に示したような構成に限定されるものではない。また、本実施の形態における車両1は、充電装置78により外部電源302を用いてバッテリ70の充電が可能であるとして説明したが、充電装置78を搭載していない車両であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。