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JP5900922B2 - 鉄鋼材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼材の製造方法に関し、特に、鉄鋼材の母材に処理を施すことによって強度と延性とを高めた鉄鋼材を製造する鉄鋼材の製造方法に関する。
摩擦攪拌接合(FSW:Friction Stir Welding)は、継手特性を始めとして種々の優れた特性を有し、アルミニウム合金に対しては、開発されてまもなく各種産業分野で適用されている。一方、構造材料の多くを占める鉄鋼材料の摩擦攪拌接合に関しても、近年盛んに研究が行われている。研究段階では下記の非特許文献1〜3に摩擦攪拌接合によって炭素鋼の接合を行うことが報告されている。
ダブリュ・エム・トーマス(W.M.Thomas)、他2名、「科学・技術・溶接・接合4」(Sci. Technol. Weld. Join.4)、1999年、p.365-372 ティー・ジェイ・リナート(T.J.Lienert)、他3名、「接合ジャーナル82」(Weld.J.82)、2003年、1s-9s エイ・ピィー・レイノルズ(A.P.Reynolds)、他3名、「科学・技術・溶接・接合8」(Sci. Technol. Weld. Join.8)、2003年、p.455-460特表平7−505090号公報
ここで、鉄鋼材料は組成および組織等によって機械的特性の向上が図られているが、高強度と高延性を両立させることは極めて困難である。鉄鋼材料の摩擦攪拌継手においても強度と延性の向上は実用的には極めて重要なファクターであり、自動車を始めとする種々の産業界から切望されている。さらに、摩擦攪拌接合以外の圧延および鍛造等の処理においても、鉄鋼材料の強度向上と延性向上とを両立させることは重要な課題である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高強度を有しながらも高延性を有する鉄鋼材を製造することが可能な鉄鋼材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、鉄鋼材の母材をオーステナイトが出現する温度であるAC1点以上に加熱する加熱工程と、母材の組織全面がマルテンサイトとなる温度であるM点が鉄鋼材が使用される温度未満に低下すると推定される量のひずみを母材に導入するひずみ導入工程と、連続冷却変態線図(CCT線図)上の母材にマルテンサイトが生成される領域に冷却曲線を外挿した線が交わると推定される冷却速度により、加熱工程及びひずみ導入工程が施された母材をM点より高い温度に冷却する冷却工程とを含む鉄鋼材の製造方法である。
この構成によれば、加熱工程では、鉄鋼材の母材をオーステナイトが出現する温度であるAC1点以上に加熱する。これにより、母材にオーステナイトを出現させることができる。ひずみ導入工程では、母材の組織全面がマルテンサイトとなる温度であるM点が鉄鋼材が使用される温度未満に低下すると推定される量のひずみを母材に導入する。このため、室温等の鉄鋼材が使用される温度に鉄鋼材が冷却された際に鉄鋼材の組織全面がマルテンサイトとなることを防止することができる。母材にひずみを導入すると、フェライト又はパーライトが生成される領域も拡大する。しかし、冷却工程では、鉄鋼材の母材が連続して冷却された際の相変態を時間及び温度の座標平面上に表した連続冷却変態線図(CCT線図:Continuous Cooling Transformation diagram)のマルテンサイトが生成される領域に母材の時間に対する温度の関数を表す線である冷却曲線を外挿した線が交わると推定される冷却速度により、加熱工程及びひずみ導入工程が施された母材をM点より高い温度に冷却する。このため、製造された鉄鋼材の組織には使用される温度においてオーステナイトが残留する。オーステナイトが残留した鉄鋼材に外部応力が印加された場合、ひずみを受けたオーステナイトが硬質なマルテンサイトに変態し、ひずみを受けた部分の強度が向上する。その結果、この部分の変形が抑制され、相対的に低強度である未変態のオーステナイトの部分に変態が伝搬するTRIP効果が生じる。このため、高強度を有しながらも高延性を有する鉄鋼材を製造することができる。
この場合、冷却工程が施された母材の組織を検査する検査工程をさらに含み、検査工程において母材の組織にオーステナイトが残留しておらず、マルテンサイトが生成していることが判明したときは、次に鉄鋼材を製造する際に、ひずみ導入工程における母材に導入するひずみの量の増加、及び母材へのオーステナイト安定化元素の添加量の増加の少なくともいずれかを行い、検査工程において母材の組織にオーステナイトが残留しておらず、フェライト及びパーライトのいずれかが生成していることが判明したときは、次に鉄鋼材を製造する際に、冷却工程における冷却速度の増加及び母材への拡散変態を抑制する元素の添加量の増加の少なくともいずれかを行うことが好適である。
この構成によれば、冷却工程が施された母材の組織を検査する検査工程をさらに含む。検査工程において母材の組織にオーステナイトが残留しておらず、マルテンサイトが生成していることが判明したときは、鉄鋼材が使用される温度に対して十分にM点が低下していないことが推定される。そこで、次に鉄鋼材を製造する際に、ひずみ導入工程における母材に導入するひずみの量の増加、及び母材へのC、Mn、Ni、Cr及びMo等のオーステナイト安定化元素の添加量の増加の少なくともいずれかが行われる。これにより、鉄鋼材が使用される温度に対して十分にM点を低下させて、オーステナイトを残留させることができる。また、検査工程において母材の組織にオーステナイトが残留しておらず、フェライト及びパーライトのいずれかが生成していることが判明したときは、CTT線図におけるフェライト又はパーライトが生成される領域を回避するためには、冷却速度が低過ぎるか、フェライト又はパーライトが生成される領域が拡大し過ぎていることが推定される。そこで、次に鉄鋼材を製造する際に、冷却工程における冷却速度の増加及びMo、W、V及びTa等のFeよりも原子半径の大きい元素等の拡散変態を阻害する元素の添加量の増加の少なくともいずれかが行われる。これにより、CCT線図上におけるフェライト又はパーライトが生成される領域を回避して、オーステナイトを残留させることができる。
また、加熱工程及びひずみ導入工程では、母材に棒状の回転ツールの先端部を当接させながら回転ツールを回転させることにより、母材の加熱及び母材へのひずみの導入を行い、冷却工程では、母材に回転ツールの先端部を当接させながら回転ツールを回転させた状態で回転ツールの先端部を移動させること、及び回転ツールの先端部を母材から離すことの少なくともいずれかにより、母材の冷却を行うことが好適である。
この構成によれば、加熱工程及びひずみ導入工程では、母材に棒状の回転ツールの先端部を当接させながら回転ツールを回転させることにより、母材の加熱及び母材へのひずみの導入を行ない、冷却工程では、母材に回転ツールの先端部を当接させながら回転ツールを回転させた状態で回転ツールの先端部を移動させること、及び回転ツールの先端部を母材から離すことの少なくともいずれかにより、母材の冷却を行う。このような摩擦攪拌接合の技術を利用することにより、一つの処理で加熱工程、ひずみ導入工程及び冷却工程を行うことが可能となる。また、摩擦攪拌接合の技術を利用することにより、母材を局所的に加熱すること、及び母材に局所的にひずみを導入することが容易となる。また、この構成によれば、回転ツールの先端部の移動速度や、回転ツールの回転数を調節することにより、冷却速度を制御することが容易となる。
本発明の鉄鋼材の製造方法によれば、高強度を有しながらも高延性を有する鉄鋼材を製造することが可能となる。
実施形態の鉄鋼材の製造方法における摩擦攪拌接合の態様を示す斜視図である。 図1の回転ツールの斜視図である。 実施形態の鉄鋼材の工程を示すフローチャートである。 鉄鋼材1の状態図である。 鉄鋼材2のCCT図である。 鉄鋼材においてひずみが導入されることにより、CCT図においてパーライトが生成される領域とマルテンサイトが生成される領域とが変動する作用を示す図である。 Zener-Hollomon因子とMs点との関係を示すグラフ図である。 Moの添加によりパーライトが生成される領域が変動する作用を示す図である。 実施形態の鉄鋼材の製造方法における摩擦攪拌接合の別の態様を示す斜視図である。 実験例1における鉄鋼材1の化学的組成を示す表である。 (a)〜(d)は実験例1における鉄鋼材1の攪拌部のフェーズマップを示し、それぞれ回転速度100rpm、200rpm、300rpm及び400rpmでの攪拌部のフェーズマップを示す。 実験例1における母材及びそれぞれの回転速度の平行部の幅が5mmである試料の引張強度を示すグラフ図である。 実験例1における母材及びそれぞれの回転速度の平行部の幅が5mmである試料の伸びを示すグラフ図である。 実験例1における母材、回転速度100rpmでの試料及び回転速度300rpmでの試料の公称応力‐公称塑性ひずみ曲線を示すグラフ図である。 実験例2における鉄鋼材2及び鉄鋼材3の化学的組成を示す表である。 実験例2における鉄鋼材2の母材のEBSD相分布像を示す図である。 実験例2における鉄鋼材2の回転速度400rpm−接合速度100mm/minでの攪拌部のEBSD相分布像を示す図である。 実験例2における鉄鋼材2の回転速度400rpm−接合速度400mm/minでの攪拌部のEBSD相分布像を示す図である。 実験例2における鉄鋼材2の母材及び回転速度400rpm−接合速度400mm/minでの公称応力‐公称ひずみ曲線を示すグラフ図である。 実験例2における鉄鋼材3の母材のfcc方位マップを示す図である。 実験例2における鉄鋼材3の回転速度200rpm−接合速度400mm/minでの母材のfcc方位マップを示す図である。 実験例2における鉄鋼材3の回転速度300rpm−接合速度400mm/minでの母材のfcc方位マップを示す図である。 実験例2における鉄鋼材3の回転速度400rpm−接合速度400mm/minでの母材のfcc方位マップを示す図である。 実験例3における鉄鋼材4の化学的組成を示す表である。 実験例3における異なる回転速度での攪拌部のXRDパターンを示すグラフ図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る鉄鋼材の製造方法の実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、摩擦攪拌接合の技術を利用して強度と延性とを高めた鉄鋼材を製造する。まず、簡単に摩擦攪拌接合について説明する。
図1に示すように、摩擦攪拌接合では、板状の鉄鋼材の母材1a,1bの端部同士を突き合せて攪拌部20を形成し、母材1a,1bを接合する。母材1a,1bの攪拌部20上に、回転ツール100の先端のプローブ102を当接させつつ、後述する所定の条件により回転させ、さらに攪拌部20の長手方向に沿って回転ツール100を後述する所定の条件により移動させることにより、攪拌部20に強度と延性とを高めた鉄鋼材を製造する。この場合、攪拌部20の長手方向に沿って2回以上、回転ツール100を通過させるようにしても良い。
母材1a,1bは、例えば、フェライト鋼、Cr−Mo鋼及び高炭素鋼を用いることができる。母材1a,1bの攪拌部20上には、状況に応じて添加材10を充填することができる。添加材10としては、紛状又は粒状としたC、Mn、Ni、Cr、Mo、W、V及びTa等を用いることができる。また、添加材10としては、板状や薄いシート状としたC、Mn、Ni、Cr、Mo、W、V及びTa等が攪拌部20上あるいは攪拌部20上以外の母材1a,1bの表面に配置されていても良い。あるいは、添加材10は攪拌部20に限られず、母材1a,1bの全体の組成に添加されていても良い。
後述するように、本実施形態では攪拌部20の冷却速度が重要となるため、攪拌部20の上面又は下面に、冷却された冷媒を循環させることにより攪拌部20を外部から強制的に冷却する冷却手段が配置されていても良い。この場合の冷却手段としては、例えば、液体CO、液体窒素及び水等を攪拌部20に供給することものとできる。
本実施形態では、図2に示すような回転ツール100を用意する。回転ツール100は、略円筒状をなし、先端のショルダー101より小径の略円柱状のプローブ102を備えている。回転ツール100の材質は、例えば、日本工業規格に規格されているSKD61鋼等の工具鋼や、タングステンカーバイト(WC)を主成分とする超硬合金、またはSi等のセラミックスからなるものとすることができる。
以下、上記の摩擦攪拌接合の技術を利用した鉄鋼材の製造方法について説明する。図3に示すように、母材1a,1bの攪拌部20上に回転ツール100の先端のプローブ102を当接させながら回転させることにより、母材1a,1bの攪拌部20が、オーステナイトが出現する温度であるAC1点以上に加熱される(S101)。図4の鉄鋼材1の状態図に示すように、鉄鋼材1等の鉄鋼材は、AC1点以上の温度に加熱されると図中のγに示す領域においてオーステナイトが出現する。例えば、鉄鋼材1では、AC1点は840℃となる。鉄鋼材の組織にオーステナイトを残留させることにより、後述するように高強度を有しながらも高延性を有する鉄鋼材とすることができる。なお、鉄鋼材の組成ごとのAC1点は下式(1)により求めることができる。また、摩擦攪拌処理時における攪拌部20への入熱量Qは下式(2)により求めることができる。



しかしながら、図5の鉄鋼材2の連続して冷却された際の相変態を時間及び温度の座標平面上に表したCCT図(Continuous Cooling Transformation diagram:連続冷却変態線図)に示すように、AC1点を超える温度から室温近くまで鉄鋼材が冷却されると、オーステナイトからマルテンサイトや、オーステナイトからフェライト又はパーライトへの変態が生じる。図5に示すように、速い冷却速度の冷却曲線Cr1〜Cr3によりマルテンサイトが出現する温度であるM点未満に冷却された鉄鋼材では、図中のMの領域に示すように、オーステナイトから靭性が劣るマルテンサイトへの変態が生じる。また、遅い冷却速度の冷却曲線Cr4〜Cr8によりフェライトが出現する温度であるF点や、パーライトが出現する温度であるP点よりも低い温度に冷却された鉄鋼材では、図中のFやPの領域に示すように、オーステナイトからフェライトやパーライトへの変態が生じる。そのため、一般に加熱処理後に室温まで冷却された鉄鋼材の組織にはオーステナイトは残留していない。なお、鉄鋼材の組成ごとのM点は下式(3)により求めることができる。

そこで本実施形態では、図3に示すように、母材1a,1bの組織全面がマルテンサイトとなる温度であるM点が、鉄鋼材が使用される温度未満に低下すると推定される量のひずみが母材1a,1bの攪拌部20に導入されることにより、母材1a,1bの攪拌部20の組織にオーステナイトが残留する(S102)。図6に示すように、母材1a,1bの攪拌部20にひずみが導入されると、マルテンサイトが出現する温度であるM点が低下する。M点の低下に伴い、M点よりも低い温度であり母材1a,1bの組織全面がマルテンサイトとなる温度である不図示のM点も低下する。ひずみ量が十分に大きい場合は、M点及びM点の両方とも、室温(20℃)よりも低い温度に低下する。これにより、鉄鋼材が使用される温度が室温であっても、母材1a,1bの組織にオーステナイトを残留させることが可能となる。なお、本実施形態では、M点を鉄鋼材が使用される温度未満に低下させることにより鉄鋼材が使用される温度でオーステナイトを残留させることが可能であるが、鉄鋼材の組織全面にオーステナイトを残留させるために、M点を鉄鋼材が使用される温度未満に低下させることがより好ましい。
本実施形態では、母材1a,1bの攪拌部20へのひずみの導入は、母材1a,1bの攪拌部20上に回転ツール100の先端のプローブ102を当接させながら回転させることにより、AC1点以上への加熱と同時に一処理で行うことができる。このような摩擦攪拌接合の技術を利用して導入されるひずみの量は、下式(4)により求めることができる。なお下式(4)において、εはひずみ(下式中ではεを時間で微分した単位時間当たりのひずみの導入量であるひずみ速度)であり、Rは回転ツール100の回転速度の1/2の値であり、rは攪拌部20の有効(平均)半径であり、Lは攪拌部20の有効(平均)深さである。これらの値は、回転ツール100の回転速度、ショルダー101の直径、プローブ102の直径及びプローブ102の長さを調整することにより制御することができる。

しかしながら、ひずみの導入によるM点及びM点を低下させる効果は母材1a,1bの温度が高くなるほど低下する。そこで、下式(5)に示すように温度による補償をかけたZener-Hollomon因子Zが、ひずみの導入によるM点及びM点を低下させる効果を算出するために用いられる。図7に示すように、Zener-Hollomon因子Zの自然対数の減少に伴ってM点は低下することが判る。なお、下式(5)において、Rは1molの気体定数であり、Tは、鉄のキュリー温度である。

図3に戻り、母材1a,1bの攪拌部20が、鉄鋼材が使用される温度に冷却される(S103)。ここで、図6に示すように、母材1a,1bの攪拌部20にひずみが導入され、M点及びM点が低下すると、同時にパーライトが生成される領域も拡大する。図6に示すようなCCT図上の母材1a,1bの攪拌部20にパーライトが生成される領域内で母材1a,1bの攪拌部20の冷却が終了すると、母材1a,1bの攪拌部20の組織がパーライトになりオーステナイトが残留しない可能性がある。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、CCT線図上の母材1a,1bの攪拌部20のマルテンサイトが生成される領域に母材1a,1bの攪拌部20の冷却曲線を外挿した線が交わると推定される冷却速度によって、母材1a,1bの攪拌部20は少なくともM点より高く、好ましくはM点よりも高い温度に冷却される(S103)。これにより、冷却後の母材1a,1bの攪拌部20にオーステナイトが残留する。
なお、母材1a,1bの攪拌部20の冷却時に母材1a,1bの攪拌部20の時間に対する温度の関数を表す線がパーライトが生成される領域に交わったとしても、最終的にパーライトが生成される領域外で冷却が終了すればオーステナイトは残留する。しかし、鉄鋼材の組織全面にオーステナイトを残留させるために、母材1a,1bの攪拌部20の冷却時に母材1a,1bの攪拌部20の時間に対する温度の関数を表す線がパーライトが生成される領域と交わらないことが、より好ましい。
本実施形態では、母材1a,1bの攪拌部20の冷却は、母材1a,1bの攪拌部20上に回転ツール100の先端のプローブ102を当接させながら回転させた状態で回転ツール100の先端を攪拌部20に沿って移動させることにより、攪拌部20への加熱とひずみの導入と同時に一処理で行うことができる。回転ツール100の回転速度又は移動速度(接合速度)を増加させることにより冷却速度を増加させ、回転ツール100の回転速度又は移動速度(接合速度)を減少させることにより冷却速度を減少させることができる。
次に母材1a,1bの攪拌部20の標本を採取し、標本の組織の検査が行われる(S104)。標本の検査は、例えば、EBSD(Electron Back-Scatter Diffraction:電子後方散乱回折)や、XRD(X-ray Diffraction:X線回折)により、行うことができる。検査された標本の組織中にオーステナイトが残留している場合は(S105)、次の鉄鋼材を製造する際に、S102で導入されるひずみ量とS103での冷却速度の条件である回転ツール100のショルダー101の直径、プローブ102の直径、プローブ102の長さ、回転速度及び移動速度が維持される(S106)。
検査された標本の組織中にオーステナイトが残留しておらず、マルテンサイトが生成している場合は(S105)、S102においてM点及びM点が十分に低下していないことが推定される。この場合、次の鉄鋼材を製造する際に、S102において、ひずみ量の増加、及び母材1a,1bへの添加材10中のC、Mn、Ni、Cr及びMo等のオーステナイト安定化元素の量の増加の少なくともいずれかが行われる(S107)。ひずみ量の増加は、上式(4)(5)のひずみεあるいはZener-Hollomon因子Zの増大により実現される。具体的には、回転ツール100の回転数の増加、ショルダー101の直径の増加及びプローブ102の直径の増加によって、ひずみ量を増大させることができる。また、摩擦攪拌処理における攪拌部20の温度を低下させることによっても、ひずみ量を増大させることができる。
また、上式(3)に示したように、M点は特にCの添加量が多いほど低下するため、添加材10中のCの量の増加により、M点をさらに低下させることが可能となる。M点についても同様である。なお、M点及びM点を低下させる効果は、Cの添加量が最も影響が大きいため、添加材10中のCの量を制御することにより、M点及びM点の低下の度合を制御することが好ましい。しかしながら、添加材10中のMn、Ni、Cr及びMoのいずれかの量を増大させることによっても、M点及びM点の低下の度合を増大させることができる。
検査された標本の組織中にオーステナイトが残留しておらず、フェライト又はパーライトが生成している場合は(S105)、S103において冷却速度が低過ぎるか、フェライト又はパーライトが生成される領域が拡大し過ぎているために、図6に示すフェライト又はパーライトが生成される領域で冷却が終了していることが推定される。この場合、次の鉄鋼材を製造する際に、S103において、冷却速度の増加、及び母材1a,1bへの添加材10中のMo、W、V及びTa等のFeよりも原子半径が大きい元素等の拡散変態を阻害する元素の量の増加の少なくともいずれかが行われる(S108)。冷却速度の増加は、回転ツール100の回転速度又は移動速度(接合速度)を増加させることにより実現される。あるいは、母材1a,1bの攪拌部20の上部又は下部に設置された冷却手段による冷却量を増大させることにより実現される。この冷却手段としては、液体COの使用量の増加等により、外部からの強制的な冷却量を増大させることができる。
また、図8に示すように、パーライト又はフェライトが生成される領域は、母材1a,1bへの添加材10中のMo、W、V及びTa等のFeよりも原子半径が大きい元素等の拡散変態を阻害する元素の量が多いほど減少する。これは、図6に示すように、攪拌部20にひずみが導入されると、それに伴いパーライト又はフェライトが生成される領域が増大するが、Mo、W、V及びTaのようにFeよりも大きな原子が添加されていると、拡散変態が阻害され、パーライト又はフェライトが生成される領域が増大する作用が抑えられると考えられる。そのため、添加材10中のMo、W、V及びTa等の拡散変態を阻害するFeよりも原子半径が大きい元素の量を増加させることにより、同じ冷却速度であっても、フェライト又はパーライトが生成される領域ではなく、オーステナイトが残留する領域で冷却を終了させることができる。
以上のようにして制御された条件により、次の鉄鋼材が製造される(S109)。なお、S105において、オーステナイトが残留している場合であっても、マルテンサイトが生成している場合にはS107の工程を行い、フェライト又はパーライトが生成している場合にはS108の工程を行うことにより、次の鉄鋼材の製造において、より多くオーステナイトが残留している鉄鋼材を製造することができる。
本実施形態では、鉄鋼材の母材1a,1bがオーステナイトが出現する温度であるAC1点以上に加熱される(S101)。これにより、母材1a,1bにオーステナイトを出現させることができる。母材1a,1bの組織全面がマルテンサイトとなる温度であるM点が室温未満に低下すると推定される量のひずみが母材に導入される(S102)。このため、室温に鉄鋼材が冷却された際に鉄鋼材の組織全面がマルテンサイトとなることを防止することができる。
母材1a,1bにひずみを導入すると、フェライト又はパーライトが生成される領域も拡大する。しかし、鉄鋼材の母材が連続して冷却された際の相変態を時間及び温度の座標平面上に表した連続冷却変態線図(CCT線図:Continuous Cooling Transformation diagram)のマルテンサイトが生成される領域に母材1a,1bの時間に対する温度の関数である冷却曲線を外挿した線が交わると推定される冷却速度により、母材1a,1bが室温に冷却される(S103)。このため、製造された鉄鋼材の組織には室温においてオーステナイトが残留する。
オーステナイトが残留した鉄鋼材に外部応力が印加された場合、ひずみを受けたオーステナイトが硬質なマルテンサイトに変態し、ひずみを受けた部分の強度が向上する。その結果、この部分の変形が抑制され、相対的に低強度である未変態のオーステナイトの部分に変態が伝搬するTRIP効果が生じる。このため、高強度を有しながらも高延性を有する鉄鋼材を製造することができる。
特に本実施形態では、鉄鋼材の全体の化学的組成により高強度及び高延性を有する鉄鋼材とするのではなく、鉄鋼材の母材に対して全体的又は局所的に処理を加えることにより、高強度及び高延性を有する鉄鋼材とすることが可能である。例えば、自動車の構造部材の特定部位においては、衝突時の衝撃に対して、高強度により車体の形状を維持しつつ、高延性により衝撃を吸収し乗員を保護することが必要となる。しかしながら、本実施形態によれば、鉄鋼材の母材の特定部位に局所的な処理を加えて、特定部位のみ高強度及び高延性を持たせることが可能である。このような本実施形態の鉄鋼材を自動車の構造部材に適用した場合は、衝突時の変形中に徐々に強度が上昇するため、衝突時の乗員に対する衝撃を低減することができる。したがって、本実施形態の処理を施された自動車の構造部材は優れた衝突安全性を示すことが期待できる。そのため、本実施形態の産業上の利用性は極めて高い。
また、本実施形態では、母材1a,1bの組織を検査する工程をさらに含む(S104)。母材の組織にオーステナイトが残留しておらず、マルテンサイトが生成していることが判明したときは(S105)、室温に対して十分にM点が低下していないことが推定される。そこで、次に鉄鋼材を製造する際に、S102における母材1a,1bに導入するひずみの量の増加、及び母材1a,1bへのC、Mn、Ni、Cr及びMo等のオーステナイト安定化元素の添加量の増加の少なくともいずれかが行われる(S107)。これにより、室温に対して十分にM点を低下させて、オーステナイトを残留させることができる。
また、母材1a,1bの組織にオーステナイトが残留しておらず、フェライト及びパーライトのいずれかが生成していることが判明したときは(S105)、CCT線図上におけるフェライト又はパーライトが生成される領域を回避するためには、冷却速度が低過ぎるか、フェライト又はパーライトが生成される領域が拡大し過ぎていることが推定される。そこで、次に鉄鋼材を製造する際に、S103における冷却速度の増加、及び母材1a,1bへのMo、W、V及びTa等のFeよりも原子半径が大きい元素等の拡散変態を阻害する元素の添加量の増加の少なくともいずれかが行われる(S108)。これにより、CCT線図上におけるフェライト又はパーライトが生成される領域を回避して、オーステナイトを残留させることができる。
また、本実施形態では、母材1a,1bに棒状の回転ツール100の先端部を当接させながら回転ツール100を回転させることにより、母材1a,1bの加熱及び母材1a,1bへのひずみの導入を行ない、母材1a,1bに回転ツール100の先端部を当接させながら回転ツール100を回転させた状態で回転ツール100の先端部を移動させることにより、母材100の冷却を行う。このような摩擦攪拌接合の技術を利用することにより、一つの処理で加熱、ひずみの導入及び冷却を行うことが可能となる。また、摩擦攪拌接合の技術を利用することにより、母材1a,1bを局所的に加熱すること、及び母材1a,1bに局所的にひずみを導入することが容易となる。また、本実施形態では、回転ツール100の先端部の移動速度や、回転ツール100の回転数を調節することにより、冷却速度を制御することが容易となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、上記実施形態では、母材1a,1bに回転ツール100の先端部を当接させながら回転ツール100を回転させた状態で回転ツール100の先端部を移動させることにより、母材1a,1b同士を接合し、接合による攪拌部20に鉄鋼材を生成させる態様を主に説明した。しかし、本発明では、母材1a,1bに回転ツール100の先端部を当接させながら回転ツール100を回転させた状態で回転ツール100の先端部を単数あるいは複数の部位で停止させるスポット型の摩擦攪拌接合の技術により、攪拌部20に鉄鋼材を生成させても良い。この場合、母材1a,1bの冷却は、回転ツール100の先端部を母材1a,1bから離すことにより行うことができる。冷却速度の制御は、回転ツール100の引き抜き速度及び回転速度等を調節することにより行うことができる。
あるいは、図9に示すように、板状の母材1a,1bを重ね合わせ、その間に粉状又は粒状の添加材10を充填するか、板状又はシート状の添加材10を配置して攪拌部20とし、回転ツール100を母材1aに当接させつつ回転させ、母材1a上を移動させることにより、攪拌部20を攪拌する重ね合わせ接合に類似した態様で摩擦攪拌処理を行っても良い。この場合も、回転ツール100の移動を伴わないスポット型の摩擦攪拌処理とすることができる。
あるいは、母材同士の接合を伴わず、単一の母材1aの表面に粉状、粒状、板状又はシート状の添加材10を供給した後に、回転ツール100を母材1aに当接させつつ回転させ、母材1a上を移動させることにより、攪拌部20を攪拌することにより、攪拌部20の組織を改質して攪拌部20に鉄鋼材を生成させても良い。この場合も、回転ツール100の移動を伴わないスポット型の摩擦攪拌処理とすることができる。なお、上記の様々な摩擦攪拌接合及び摩擦攪拌処理においては、必要のない場合には添加材10の配置を省略することができる。
さらに、上記実施態様においては、摩擦攪拌処理を利用することにより、高強度と高延性とを有する鉄鋼材を製造する態様を説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、鉄鋼材の母材への加熱、ひずみの導入及び冷却を本発明で規定の条件に合致するように行うことにより、摩擦攪拌処理以外でも高強度と高延性とを有する鉄鋼材を製造することが可能である。例えば、鉄鋼材の母材の加熱は所定の熱源等によっても行うことができる。また、鉄鋼材の母材へのひずみの導入は圧延及び鍛造等の処理によっても行うことができる。また、鉄鋼材の母材の冷却は所定の冷却手段により行うことができる。
(実験例1)
以下、本発明の実験例について説明する。図10に示す化学的組成を有する鉄鋼材1について、摩擦攪拌接合の技術を利用して接合部に鉄鋼材を生成した。回転ツールとしては、WCの超硬合金ツールを使用した。ネジを有しない円柱状のプローブ及び10°の凹み傾斜を有するショルダーを特徴とする単純形状のツールを用いた。長さ200mm×幅50mm×厚さ1.5mmの鉄鋼材1の平板の端部同士を突き合わせ、摩擦攪拌接合により接合した。接合条件は、ショルダーの直径=12mm、プローブの直径=4mm、プローブの長さ=1.3mm、回転ツールの傾き=3°とした。回転速度は100〜400rpmとし、接合速度は100mm/minで一定とした。鉄鋼材1は750℃以上にあると急激に軟化しやすくなるため荷重を出来るだけ減少させて接合を行った。接合時は回転ツールおよび攪拌部の酸化防止のためにシールドガスとしてアルゴンガスを30l/minの流量で使用した。回転ツール及び接合装置の冷却のために水冷のクーリングホルダーを装着した。
攪拌部の検査を行った。図11(a)〜(d)のフェーズマップに示すように、鉄鋼材1の母材の組織はフェライト及び焼き戻しマルテンサイトであるが、回転速度の増加に伴って、図中で黒、灰、白の三色中で灰色に示される残留オーステナイトの量が増加しているのが確認できる。
母材及び各回転速度により得られた接合継手について、試験片の平行部の幅を5mmとして引張試験を行った。図12に示すように、残留オーステナイトの量が多い回転速度300rpm及び400rpmの接合継手は、母材(BM)及び他の回転速度で得られた接合継手に比べて引張強度が増大していることが判る。また、図13に示すように、残留オーステナイトの量が多い回転速度300rpm及び400rpmの接合継手は、引張強度が向上しているにも関わらず、母材(BM)及び他の回転速度で得られた接合継手に比べて伸びも増大していることが判る。すなわち、図14に示すように、残留オーステナイトの量が多い回転速度300rpmの接合継手は、母材や回転速度100rpmの接合継手に比べて強度及び延性の両方が向上したものとなることが判る。
(実験例2)
図15に示す化学的組成を有する鉄鋼材2及び鉄鋼材3について、摩擦攪拌接合の技術を利用して接合部に鉄鋼材を生成した。接合条件は、ショルダーの直径=12mm、プローブの直径=4mm、プローブの長さ=1.4mmとした。接合条件としては、回転ツールの回転速度=200〜400rpm、接合速度=100,400mm/min、回転ツールから母材への接合荷重=1500〜3300kg、鉄鋼材2及び鉄鋼材3の板厚=1.6mmとした。鉄鋼材2については、回転速度400rpmで一定とし、接合速度を100及び400mm/minに変化させた。鉄鋼材3については、接合速度を400mm/minで一定とし、回転速度を200,300及び400rpmに変化させた。
接合部をEBSDにより検査した。図16に示す鉄鋼材2の母材と、図17に示す鉄鋼材2の回転速度400rpm−接合速度100mm/minの条件での接合部では、図中に灰色で示される残留オーステナイトが少ないことが判る。一方、図18に示す鉄鋼材2の回転速度400rpm−接合速度400mm/minの条件での接合部では、図中に灰色で示される残留オーステナイトが多いことが判る。母材及び各接合速度により得られた接合継手について、引張試験を行った。図19に示すように、残留オーステナイトの量が多い接合速度400mm/minの接合継手は、母材に比べて強度及び延性の両方が向上したものとなることが判る。
また、図21に示す鉄鋼材3の回転速度400rpm−接合速度100mm/minの条件での接合部では、図20、図22〜23に示す鉄鋼材3の母材や他の回転速度での接合部に比べて、図中に明るい色で示される残留オーステナイトが多いことが判る。
(実験例3)
図24に示す化学的組成を有する鉄鋼材4について、摩擦攪拌接合の技術を利用して接合部に鉄鋼材を生成した。板厚=2mm、回転ツールの回転速度=100〜400rpmとし、回転ツールの移動速度は100mm/minで一定とした。回転ツールは、超硬合金製であり、ショルダーの直径=12mm、プローブの直径=4mm、プローブの長さ=1.8mmとした。得られた接合部をXRDにより検査した。図25に示すように、回転速度が増加すると残留オーステナイト(γ)のピークが大きくなっていることが判る。
1a,1b…母材、10…添加材、20…攪拌部、100…回転ツール、101…ショルダー、102…プローブ。

Claims (1)

  1. 鉄鋼材の母材をオーステナイトが出現する温度であるAC1点以上に加熱する加熱工程と、
    前記母材の組織全面がマルテンサイトとなる温度であるM点が前記鉄鋼材が使用される温度未満に低下すると推定される量のひずみを前記母材に導入するひずみ導入工程と、
    連続冷却変態線図(CCT線図)上の前記母材にマルテンサイトが生成される領域に冷却曲線を外挿した線が交わると推定される冷却速度により、前記加熱工程及び前記ひずみ導入工程が施された前記母材を前記M点より高い温度に冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程が施された前記母材の組織を検査する検査工程と、
    を含み、
    前記検査工程において前記母材の組織にオーステナイトが残留しておらず、マルテンサイトが生成していることが判明したときは、次に前記鉄鋼材を製造する際に、前記ひずみ導入工程における前記母材に導入するひずみの量の増加、及び前記母材へのオーステナイト安定化元素の添加量の増加の少なくともいずれかを行い、
    前記検査工程において前記母材の組織にオーステナイトが残留しておらず、フェライト及びパーライトのいずれかが生成していることが判明したときは、次に前記鉄鋼材を製造する際に、前記冷却工程における前記冷却速度の増加及び前記母材への拡散変態を抑制する元素の添加量の増加の少なくともいずれかを行い、
    前記加熱工程及び前記ひずみ導入工程では、前記母材に棒状の回転ツールの先端部を当接させながら前記回転ツールを回転させることにより、前記母材の加熱及び前記母材へのひずみの導入を行い、
    前記冷却工程では、前記母材に前記回転ツールの前記先端部を当接させながら前記回転ツールを回転させた状態で前記回転ツールの前記先端部を移動させること、及び前記回転ツールの前記先端部を前記母材から離すことの少なくともいずれかにより、前記母材の冷却を行う、鉄鋼材の製造方法。
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