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JP5867155B2 - 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法 - Google Patents

環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法 Download PDF

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Description

本発明は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法に関する。より詳しくは環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を経済的且つ簡易な方法で効率よく回収する方法に関する。
芳香族環式化合物はその環式であることから生じる特性に基づく高機能材料や機能材料への応用展開可能性、たとえば包接能を有する化合物としての特性や、開環重合による高分子量直鎖状高分子の合成のための有効なモノマーとしての活用など、その構造に由来する特異性で近年注目を集めている。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンも芳香族環式化合物の範疇に属し、上記同様に注目に値する化合物である。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収方法としては、例えば少なくとも線状のポリフェニレンエーテルエーテルケトンと環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物をクロロホルムで抽出し、さらにクロロホルム可溶成分を、塩化メチレンを用いたシリカゲルクロマトグラフィー精製する方法が開示されている(たとえば非特許文献1参照。)。この方法によれば確かに高純度の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収可能であるが、クロロホルムや塩化メチレンといった環境負荷の大きい塩素系溶媒を多量に用いることを必要要件とした回収方法であるため工業的な実現性に乏しい方法であると言える。さらに、該非特許文献1では環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの合成原料として、例えば下式に示したように両末端に水酸基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーと、両末端にフッ素基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーを用いているため、得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは繰り返し数mが3および/または6のものであり、異なる3つ以上の繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは生成しない。
Figure 0005867155
また、前述のシリカゲルクロマトグラフィー以外の方法で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収する方法として、例えば少なくとも線状のポリフェニレンエーテルエーテルケトンと環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物をアセトンで抽出し、抽出液からアセトンを除去することにより得られた固形分をさらにジメチルスルホキシド(DMSO)で再結晶精製する方法が開示されている(たとえば非特許文献2参照。)。この方法においても確かに高純度の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収可能であるが、再結晶溶剤であるDMSOを環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対して多量に用いる必要があること、さらに再結晶により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの大部分をロスすることから工業的に利用可能な回収方法とは言い難い方法である。さらに、該非特許文献2においては、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造原料として、下式に示した通り、両末端に水酸基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを用いているため、得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは環状2量体(m=2)の単核体であると記載されている。
Figure 0005867155
また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収する別の方法として、下式に示した通りN−フェニル(4,4’−ジフルオロジフェニル)ケチミンとヒドロキノンを反応させ、次いで反応生成物を酸性条件下で加水分解、さらにテトラヒドロフラン(THF)抽出、メタノール再沈殿により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収する方法が開示されている(たとえば非特許文献3参照。)。
Figure 0005867155
しかしながら、一般に芳香族ケチミン化合物は対応する芳香族ケトン化合物と比較して反応性が低く、さらに超希薄条件下で反応を行っているため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミン合成反応終了後でも、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンとの分離が困難な低分子量の線状オリゴマーが残存しており、この方法では環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして不純物を多量に含む純度の低いものしか得られなかった。さらに、この方法により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収するには、原料となる芳香族ケチミン化合物を調製する工程、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンを調製・精製する工程、回収した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンを加水分解することによる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを調製・精製する工程が少なくとも必須であり、多段階の煩雑な反応工程が必要となるため、工業的に活用可能な回収方法とは言い難い方法である。
Macromolecules 1996, 29, 5502 Macromol. Chem. Phys. 1996, 197, 4069 Polymer Bulletin 1999, 42, 245
本発明は上記課題を解決し、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を経済的且つ簡易な方法で効率よく回収する方法を提供することを課題とする。
本発明はかかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.少なくとも下記一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)および有機アミド溶媒(b)を含む混合物であって、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の50重量%以上が溶解している混合物(A)に、有機アミド溶媒(b)とは異なるプロトン性溶媒(c)を、有機アミド溶媒(b)の重量以下加えることにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収することを特徴とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法であって、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が、下記一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)を60重量%以上含む組成物である環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
Figure 0005867155
(ここで(I)中のmは2〜40の整数である)
2.少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(B)を有機アミド溶媒(b)と接触させて、有機アミド溶媒(b)可溶成分として混合物(A)を調製することを特徴とする1記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
3.有機アミド溶媒(b)が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性が高く、且つ線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性に乏しい溶媒であることを特徴とする1または2に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
4.環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が、前記一般式(I)における異なる繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の混合物を含み、且つ該組成物の融点が270℃以下である環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
5.環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)が、少なくとも異なる3つ以上の整数mからなる混合物であることを特徴とする記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
6.環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)が少なくとも連続する異なる3つ以上の整数mからなる混合物であることを特徴とする記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
7.プロトン性溶媒(c)を混合物(A)に加えた際に、プロトン性溶媒(c)が有機アミド溶媒(b)と混和することを特徴とする1〜6のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
8.プロトン性溶媒(c)を加えた後に、固液分離を行うことで環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することを特徴とする1〜のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
.1〜のいずれかに記載の回収方法により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を得、次いで得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合することを特徴とするポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
本発明によれば、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法が提供でき、より詳しくは環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を経済的且つ簡易な方法で効率よく回収する方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン
本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、下記一般式(I)で表される環式化合物である。
Figure 0005867155
式(I)における繰り返し数mの範囲は2〜40であり、2〜20がより好ましく、2〜15がさらに好ましく、2〜10が特に好ましい範囲として例示できる。繰り返し数mが大きくなると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点が高くなる傾向にあるため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを低温で溶融解させるとの観点から、繰り返し数mを前記範囲にすることが好ましい。
また、式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは異なる繰り返し数mからなる混合物であることが好ましく、少なくとも異なる3つ以上の繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物であることがさらに好ましく、4つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることがより好ましく、5つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることが特に好ましい。さらに、これら繰り返し数mが連続するものであることが特に好ましい。単一の繰り返し数mを有する単独化合物と比較して異なる繰り返し数mからなる混合物の融点は低くなる傾向にあり、さらに2種類の異なる繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物と比較して、3種類以上の繰り返し数mからなる混合物の融点はさらに低くなる傾向にあり、さらに不連続の繰り返し数mからなる混合物よりも連続する繰り返し数mからなる混合物の方がさらに融点が低くなる傾向にある。なおここで、各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは高速液体クロマトグラフィーによる成分分割により分析が可能であり、さらに環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成、すなわち環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに含まれる各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は、高速液体クロマトグラフィーにおける各環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのピーク面積比率より算出することが可能である。
さらに、本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は融点が270℃以下であり、対応する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと比較して大幅に融点が低いという特徴を有する。その融点としては250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましく例示できる。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が低いほど加工温度を下げることが可能であり、さらには環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンをポリフェニレンエーテルエーテルケトンプレポリマーとして用いて高重合度体を得る際のプロセス温度を低く設定可能となるため加工に要するエネルギーを低減し得るとの観点で有利となる。なおここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点および結晶化温度は示差走査型熱量測定装置を用いて、吸熱ピークまたは発熱ピーク温度を観測することにより測定することが可能である。
また、本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であり、65重量%以上含む組成物であることがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましく、75重量%以上含む組成物であることがよりいっそう好ましい。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における不純物成分、即ち環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分としては線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを主に挙げることができる。この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは融点が高いため、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が高くなると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が高くなる傾向にある。従って、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が上記範囲にあることで、融点の低い環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物となる傾向にあり、さらに環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物をポリフェニレンエーテルエーテルケトンプレポリマーとして用いた際に、十分に高重合度化が進行したポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られるという観点からも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が上記範囲にあることが好ましい。
上記のような特徴を有する本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の還元粘度(η)としては、0.1dL/g以下であることが好ましく例示でき、0.09dL/g以下であることがより好ましく、0.08dL/g以下であることがさらに好ましく例示できる。なお、本発明における還元粘度とは特に断りのない限り、濃度0.1g/dL(環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の重量/98重量%濃硫酸の容量)の濃硫酸溶液について、スルホン化の影響を最小にするために溶解完了直後に、25℃においてオストワルド型粘度計を用いて測定した値である。また、還元粘度の計算は下記式により行った。
η={(t/t0)−1}/C
(ここでのtはサンプル溶液の通過秒数、t0は溶媒(98重量%濃硫酸)の通過秒数、Cは溶液の濃度を表す。)。
(2)有機溶媒(b)
本発明では混合物中に存在する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのうち50重量%以上が溶解している混合物(A)から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収するが、この混合物(A)を調製する際に有機溶媒(b)を用いる。ここで混合物中に存在する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのうち50重量%以上が溶解している混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを固形分として回収することにより、回収操作による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度向上や回収操作性に優れる形状として環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物固体が回収できるようになる。
ここで有機溶媒(b)は、混合物(A)中に存在する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上を溶解する溶解能を有する有機溶媒であれば特に制限はないが、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性が高く、且つ線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性に乏しい溶媒であることが好ましい。ここでの有機溶媒の溶解力は、溶解を行う際の温度や圧力、使用量などさまざまな要因が影響するため、前記条件に合致する有機溶媒であればその選択に特に制限はないが、より効率よく且つ簡易な操作で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施するとの観点では、より少量の有機溶剤の使用量で多量の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶解できることが望ましい。このような特性を有する溶剤としては例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン、1、1、1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2、6−ジクロロトルエンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−εカプロラクタム、ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどに代表される非プロトン性溶媒などの有機溶媒を例示できる。
(3)溶媒(c)
本発明では環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)、および有機溶媒(b)を含む混合物に、有機溶媒(b)とは異なる溶媒(c)を加えることで環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収する。
ここで用いる溶媒(c)は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)および有機溶媒(b)を含む混合物(A)に加えることで混合物(A)中の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上を固形分として回収できる特性を有するものであれば良い。従って、溶媒(c)は有機溶媒(b)よりも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解能が低いものであることが必要である。また、溶媒(c)を加えることで、より効率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを固形分とするためには、溶媒(c)は有機溶媒(b)と混和することが望ましい。このような特性を有する溶媒は一般に極性の高い溶媒があり、用いた有機溶媒(b)の種類により好ましい溶媒は異なるので限定はできないが、例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールに代表されるアルコール類などのプロトン性溶媒が例示できる。これら溶媒は極性が特に高く環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶解性が低いため好適に利用でき、プロトン性溶媒のなかでの入手性、経済性、取り扱い性の容易さの観点から水、メタノール、エタノールが好ましく、水が特に好ましい。
(4)線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン
本発明における線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、下記一般式(II)で表される線状化合物である。
Figure 0005867155
式(II)における繰り返し数nに特に制限はないが、10〜10000の範囲が例示でき、20〜5000の範囲が好ましく、30〜1000の範囲がより好ましく例示できる。
また、本発明における線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度(η)に特に制限はないが、一般的な線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度(η)としては、通常0.1〜2.5dL/gの範囲が例示でき、好ましくは0.2〜2.0dL/g、より好ましくは0.3〜1.8dL/gの範囲が例示できる。
(5)混合物(A)
本発明では少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)および有機溶媒(b)を含む混合物であって、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の50重量%以上が溶解している混合物(A)に有機溶媒(b)とは異なる溶媒(c)を加えることにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収する。
ここでの混合物(A)においては、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)と有機溶媒(b)以外は存在しないことが好ましいが、本発明の本質を損なわない範囲でその他の成分を含んでいても良い。なお、このような第3成分の量が増大すると、本回収方法により単離回収される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度が低下する傾向にあるため、前述したような好ましい純度の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を得るためには第3成分は少ないことが望まれる。
この混合物(A)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の含有率(環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)と有機溶媒(b)の重量の総和に対する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の重量分率)は高いほど好ましく、一般に含有率が高いほど回収操作後に得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収量が増大し、効率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収できる。この観点から、混合物(A)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の含有率は1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、5重量%以上がよりいっそう好ましい。一方、混合物(A)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の含有率の上限に特に制限はないが、一般に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは各種溶剤に対する溶解性が低い傾向にあるため、含有率が高すぎると不溶成分が生じる傾向となり、回収操作に不都合を生じることもある。この回収操作上の不都合としては、たとえば混合物(固形分を含むスラリー状の場合もある)が不均一になり、局所的な組成が異なり回収物の品質が低下するなどである。また、このような不都合が生じる傾向は用いる有機溶媒(b)の特性や混合物(A)調製時の条件などに大きく依存するため、混合物(A)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の含有率の上限を定めることはできないが、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下の含有率が望ましい。
(6)混合物(A)の調製
本発明における混合物(A)の調製方法としては、上記の混合物(A)が得られれば如何なる調製方法でも良いが、例えば少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させて、有機溶媒(b)可溶成分として混合物(A)を調製する方法を好ましい方法として例示できる。一般的に、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは結晶性が高く、溶剤への溶解性が非常に低いという特徴を有することが知られており、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解性は大きく異なり、一般的に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの方が溶剤への溶解性は高い。このことから、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(B)と有機溶媒(b)を接触させるという方法により、混合物(B)から固形分として線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを分離でき、少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(b)を含む混合物(A)を得ることが可能となる。
この方法において、混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させる際の反応系圧力に特に制限はないが、常圧もしくは微加圧が好ましく、特に常圧が好ましく、このような圧力の反応系はそれを構築する反応器の部材が安価であるという利点がある。このような観点から反応系圧力は、高価な耐圧容器を必要とする加圧条件は避けることが望ましい。このような反応系圧力で混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させることで、混合物(B)中の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを効率よく抽出回収することが可能となる傾向にある。
また、混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させる際の雰囲気に特に制限はないが、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、この中でも特に経済性および取り扱いの容易さの観点から窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
上記混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させる温度に制限はないが、一般に温度が高いほど混合物(B)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの有機溶媒(b)への溶解は促進される傾向にあり、前記した好ましい有機溶媒(b)を用いる場合には例えば20〜150℃を具体的な温度範囲として例示できる。
混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させる時間は、用いる有機溶媒(b)の種類や温度によって異なるため一意的には限定できないが、例えば1分〜50時間が例示でき、このような範囲では環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの有機溶媒(b)への溶解が十分になる傾向にある。
また、混合物(B)と有機溶媒(b)を接触させる方法は、公知の一般的な手法を用いれば良く、特に限定はないが、例えば混合物(B)と有機溶媒(b)を混合し、必要に応じて撹拌した後に可溶部分を回収する方法、各種フィルター上の上記混合物(B)に有機溶媒(b)をシャワーすると同時に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを有機溶媒(b)に溶解させる方法、ソックスレー抽出原理による方法など、いかなる方法も用いることができる。混合物(B)と有機溶媒(b)を接触させる際の有機溶媒(b)の使用量に特に制限はないが、例えば混合物(B)の重量に対する浴比で0.5〜100の範囲が例示できる。浴比がこの様な範囲の場合、上記混合物(B)と有機溶媒(b)を均一に混合し易く、また環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが有機溶媒(b)に十分に溶解し易くなる傾向にある。一般に浴比が大きいほうが環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの有機溶媒(b)への溶解には有利であるが、大きすぎてもそれ以上の効果は望めず、逆に溶剤使用量増大による経済的不益が生じることがある。なお、混合物(B)と有機溶媒(b)の接触を繰り返し行う場合は、小さい浴比でも十分な効果が得られる場合が多く、ソックスレー抽出法はその原理上、類似の効果が得られるのでこの場合も小さい浴比で十分な効果が得られる場合が多い。
混合物(B)と有機溶媒(b)を接触させた後に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶解した溶液が固形状の線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む固液スラリー状で得られた場合、公知の固液分離法を用いて混合物(A)を回収することができる。固液分離方法としては、例えばろ過による分離、遠心分離、デカンテーションなどを例示できる。また、固体成分については環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンがまだ残存している場合、再度有機溶媒(b)との接触および溶液の回収を繰り返し行うことで環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのロスなく混合物(A)を得ることが可能となる。
また、このようにして得られた混合物(A)に溶媒(c)を加えて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収する操作を行う前に、混合物(A)中の有機溶媒(b)を留去して、混合物(A)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン含有量を調整することも可能である。
(7)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
本発明では、少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)および有機極性溶媒(b)を含む混合物であって、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の50重量%以上が溶解している混合物(A)に溶媒(c)を加えることにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収することを特徴とする。
この際、(5)項に記したような回収操作における不都合を回避し、混合物(A)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の含有率を高くするために、混合物(A)を加熱することも可能である。この温度は(2)項において述べたとおり、用いる有機溶媒(b)の特性に応じて異なるため一意的に決めることはできないが、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。一方で上限温度としては使用する有機溶媒(b)の常圧における沸点以下が好ましい。このような温度範囲内では、混合物(A)中の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン含有量を高く保ちつつ安定した回収操作を行える傾向にあり好ましい。なお、この混合物(A)を調製するにあたり、撹拌や震動などの操作を施すことも可能であり、より均一な混合物の状態を保つとの観点でも望ましい操作と言える。なおここで、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)および有機溶媒(b)からなる混合物(A)においては、この混合物中に存在する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのうち50重量%以上が溶解していることが必要であり、これにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収におけるメリットが生じることは前記した通りである。ここで、混合物(A)に溶解している環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを定量する方法としては、たとえば混合物(A)を通常の固液分離操作に処して不溶成分を回収し、これの重量を求めることで定量する方法が例示できる。
本回収方法においては次に、上記のごとき混合物(A)に、有機溶媒(b)とは異なる溶媒(c)を加えることで、溶媒(b)に溶解している環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを固形分として析出させて回収する。ここで混合物(A)に溶媒(c)を加える方法に特に制限はないが、溶媒(c)を加えたことで粗大な固形分が生成するような添加方法は避けるべきであり、好ましくは混合物を撹拌しながら溶媒(c)を滴下する方法が好ましい。溶媒(c)を加える温度に制限はないが、温度が低いほど溶媒(c)を加えた際に粗大な固形分が生成する傾向が高まるため、このような操作上の不都合を回避し混合物の均一性を保つとの観点で50℃以上が好ましく例示できる。一方で上限温度としては使用する有機溶媒(b)および溶媒(c)の常圧における沸点以下が好ましい。このような好ましい温度範囲で溶媒(c)を加える操作を行うことで、操作の視点および設備の観点でより簡易な方法で回収操作を実施できる傾向にある。
また、本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収方法においては、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収方法として従来採用されてきた方法と比べて少量の溶媒の使用でも効率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収することが可能であるため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)と有機溶媒(b)を含む混合物(A)に加える溶媒(c)の重量を有機溶媒(b)の重量以下とすることも可能である。さらに前述したように本発明において好ましい有機溶媒(b)と溶媒(c)の選択をすることで、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)と有機溶媒(b)を含む混合物に加える溶媒(c)の重量を有機溶媒(b)の重量の50重量%以下にすることも可能であり、より好ましい条件では40重量%以下、さらに好ましい条件では35重量%以下の条件を設定することも可能となる。一方で、溶媒(c)を加える重量の下限に特に制限はないが、より効率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収するためには同じく5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。本発明においては混合物(A)中に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の50重量%以上を固形分として回収することが可能であるが、前記のような好ましい溶媒(c)の使用量の範囲では環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の80重量%以上を固形分として回収できる傾向にあり、より好ましくは90重量%以上を、さらに好ましくは95重量%以上を、よりいっそう好ましくは98重量%以上を回収することも可能である。なお、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収方法として従来採用されてきた再沈法においては、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの少なくとも一部が溶解した溶液もしくはスラリーを環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの貧溶媒に滴下する方法で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収がなされてきたが、一般にこの方法で用いられる貧溶媒の使用量は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン溶液またはスラリーに対して大過剰であるため回収操作において大量の廃液が発生する課題があった。また、この再沈法において貧溶媒の使用量を低減し、例えば前述した本発明における好ましい溶媒使用量の例示範囲で再沈操作を実施した場合、粗大な固形分が発生する、反応容器に固形分が固着する、さらに得られる固形分中の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度が低下するなどさまざまな不都合が生じる傾向にあった。これに対し本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収方法はこれら従来の再沈法の課題を大幅に改善できる傾向にある点でも、極めて優れた方法であると言える。
上記までの操作の実施により得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)と有機溶媒(b)および溶媒(c)の混合物中(以降混合物(d)と称する場合もある)には、混合物中に存在する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)のうち50重量%以上が固形分として存在する。従って、公知の固液分離法を用いて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を回収することができ、固液分離法としては、例えばろ過による分離、遠心分離、デカンテーションなどを例示できる。ここで環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収率をより高くするためには、混合物(d)を50℃未満の状態にしてから固液分離を行うことが好ましく、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下で行うことが好ましい。なお、このような好ましい温度としてから環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行うことは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収率を高める効果のみならず、より簡易な設備で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を行えるようになるとの観点でも好ましい条件と言える。なお、混合物(d)の温度の下限は特にないが、温度が低下することで混合物(d)の粘度が高くなりすぎるような条件や、固化するような条件は避けることが望ましく、一般的には常温近傍とすることが最も望ましい。
このような固液分離を行うことで混合物(d)中に存在する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上を固形分として単離・回収することができる。このようにして分離した固形状の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが混合物(d)中の液成分(母液)を含む場合には、固形状の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を各種溶剤を用いて洗浄することで、母液を低減することも可能である。ここで固形状の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の洗浄に用いる各種溶剤としては環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解能が低い溶剤が望ましく、例えば前記(3)項に示した溶媒(c)が好ましい溶媒として例示できる。このような溶剤を用いた洗浄を付加的に行うことで、固形状の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が含有する母液量を低減できるのみならず、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が含む溶剤に可溶な不純物を低減できるという効果もある。この洗浄方法としては固形分ケークが積層した分離フィルター上に溶剤を加えて固液分離する方法や固形分ケークに溶剤を加えて撹拌することでスラリー化した後に再度固液分離する方法などが例示できる。また、前述の母液を含有、もしくは洗浄操作による溶剤成分を含有するなど、液成分を含む湿潤状態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を例えば一般的な乾燥処理を施すことにより液成分を除去して乾燥状態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を得ることも可能である。
なお、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収操作を行う際の雰囲気は非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。これにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を回収する際の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの架橋反応や分解反応、酸化反応などの好ましくない副反応の発生を抑制できるのみならず、回収操作に用いる有機溶媒(b)や溶媒(c)の酸化劣化など、好ましくない副反応を抑制できる傾向にある。なお、非酸化性雰囲気とは回収操作に処する各種成分が接する気相における酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ち窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることを指し、この中でも特に経済性および取り扱いの容易さの面からは窒素雰囲気が好ましい。
(8)ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
本発明の方法により回収できる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物はポリフェニレンエーテルエーテルケトンプレポリマーとして用いて、加熱開環重合することによりポリフェニレンエーテルエーテルケトンへと転化することができる。なお、ここでのポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、一般式(II)で表される線状化合物である。
Figure 0005867155
また、本発明の方法により回収できる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合することにより得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度(η)に特に制限はないが、好ましい範囲として0.1〜2.5dL/g、より好ましくは0.2〜2.0dL/g、さらに好ましくは0.3〜1.8dL/gを例示できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合することによりポリフェニレンエーテルエーテルケトンへと転化する際の加熱温度は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が溶融解する温度以上であることが好ましく、このような温度条件であれば特に制限はない。加熱温度が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶融解温度未満では加熱開環重合によりポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得るのに長時間が必要になる。もしくは加熱開環重合が進行せずにポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られなくなる傾向にある。なお、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が溶融解する温度は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成や分子量、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率、さらには加熱時の環境により変化するため、一意的に示すことはできないが、例えば環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を示差走査型熱量計で分析することにより溶融解温度を把握することが可能である。加熱温度の下限としては、150℃以上が例示でき、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上である。この温度範囲では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が溶融解し、短時間でポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得ることができる傾向にある。一方、加熱開環重合の温度が高すぎると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、加熱により生成したポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、およびポリフェニレンエーテルエーテルケトンと環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にあり、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの特性が低下する場合があるため、このような好ましくない副反応が顕著に生じる温度は避けることが望ましい。加熱温度の上限としては、500℃以下が例示でき、好ましくは400℃以下、より好ましくは360℃以下、さらに好ましくは335℃以下、よりいっそう好ましくは300℃以下である。この温度範囲以下では、好ましくない副反応による得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの特性への悪影響を抑制できる傾向にある。公知の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いた場合、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点が高いため、上記の好適な温度範囲では加熱開環重合に長時間を要する。もしくは加熱開環重合が進行せずポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られない傾向になるのに対し、本発明の融点が270℃以下という特徴を有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は上記好適な温度範囲において、効率よく加熱開環重合が進行し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られる。本発明のポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法では、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点以下の温度で、加熱開環重合をすることも可能である。
反応時間は、使用する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率や組成比、加熱温度や加熱開環重合方法などの条件によって異なるため一様には規定できないが、前記した架橋反応などの好ましくない副反応が起こらないように設定することが好ましく、0.01〜100時間の範囲が例示でき、0.05〜20時間が好ましく、0.05〜10時間がより好ましい。これら好ましい反応時間とすることにより、架橋反応などの好ましくない副反応の進行による得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの特性への悪影響を抑制できる傾向にある。
本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合によるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法においては、触媒の非存在下または触媒の存在下に行うことができる。ここでの触媒とは、本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合反応を加速させる効果のある化合物であれば特に制限はなく、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、遷移金属触媒など公知の触媒を用いることができるが、なかでもアニオン重合開始剤が好ましい。アニオン重合開始剤としては、無機アルカリ金属塩または有機アルカリ金属塩を例示することができ、無機アルカリ金属塩としてはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物を例示でき、また有機アルカリ金属塩としては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、またはナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ナトリウム−4−フェノキシフェノキシド、カリウム−4−フェノキシフェノキシドなどのアルカリ金属フェノキシド、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属酢酸塩を例示することができる。また、これらアニオン重合開始剤は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を求核攻撃することにより触媒作用を発現していると推測している。従って、これらアニオン重合開始剤と同等の求核攻撃能を有する化合物を触媒として用いることも可能であり、このような求核攻撃能を有する化合物としては、アニオン重合性末端を有するポリマーを挙げることができる。これらアニオン重合開始剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合をこれら好ましい触媒の存在下に行うことにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが短時間で得られる傾向にあり、具体的には加熱開環重合の加熱時間として、2時間以下、さらには1時間以下、0.5時間以下が例示できる。
使用する触媒の量は、目的とするポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分子量ならびに触媒の種類により異なるが、通常、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの主要構成単位である式
Figure 0005867155
の繰り返し単位1モルに対して、0.001〜20モル%、好ましくは0.005〜15モル%、さらに好ましくは0.01〜10モル%である。この好ましい範囲の触媒量を添加することにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合が短時間で進行する傾向にある。
これら触媒の添加に関しては、そのまま添加しても構わないが、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に触媒を添加した後、均一に分散させることが好ましい。均一に分散させる方法として、例えば機械的に分散させる方法、溶媒を用いて分散させる方法などを挙げられる。機械的に分散させる方法として、具体的には粉砕機、撹拌機、混合機、振とう機、乳鉢を用いる方法などが例示できる。溶媒を用いて分散させる方法として、具体的には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を適宜な溶媒に溶解または分散し、これに触媒を加えた後、溶媒を除去する方法などが例示できる。また、触媒の分散に際して、触媒が固体である場合、より均一な分散が可能となるため重合触媒の平均粒径は1mm以下であることが好ましい。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合は、溶媒中または実質的に溶媒を含まない条件下のいずれでも行うことが可能であるが、短時間での昇温が可能であり、反応速度が速く、短時間でポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得やすい傾向にあるため、実質的に溶媒を含まない条件下で行うことが好ましい。ここでの実質的に溶媒を含まない条件とは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中の溶媒が20重量%以下であることを指し、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
また、加熱方法としては、通常の重合反応装置を用いる方法で行うのはもちろんのこと、成形品を製造する型内で行っても良いし、押出機や溶融混練機を用いて行うなど、加熱機構を具備した装置であれば特に制限なく行うことが可能であり、バッチ式、連続式など公知の方法が採用できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合の際の雰囲気は非酸化性雰囲気で行うことが好ましく、減圧条件下で行うことも好ましい。また、減圧条件下で行う場合、反応系内の雰囲気を一度非参加性雰囲気としてから減圧条件にすることが好ましい。これにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、加熱開環重合により生成したポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、およびポリフェニレンエーテルエーテルケトンと環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間などでの架橋反応や分解反応などの好ましくない副反応の発生を抑制できる傾向にある。なお、非酸化性雰囲気とは環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが接する気相における酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、すなわち窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることを指し、この中でも特に経済性および取り扱いの容易さの観点からは窒素雰囲気が好ましい。また、減圧条件下とは反応を行う系内が大気圧よりも低いことを指し、上限として50kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましく、10kPa以下がさらに好ましい。下限としては0.1kPa以上が例示でき、0.2kPa以上がより好ましい。減圧条件が好ましい下限以上では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に含まれる分子量の低い環式化合物が揮散しにくく、一方好ましい上限以下では、架橋反応など好ましくない副反応が起こりにくい傾向にある。
前記した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの加熱は繊維状物質の共存下で行うことも可能である。ここで繊維状物質とは細い糸状の物質のことであって、天然繊維のごとく細長く引き延ばされた構造である任意の物質が好ましい。繊維状物質の存在下で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物のポリフェニレンエーテルエーテルケトンへの転化を行うことで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと繊維状物質からなる複合材料構造体を容易に作成することができる。このような構造体は、繊維状物質によって補強されるため、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン単独の場合に比べて、例えば機械物性に優れる傾向にある。
ここで、各種繊維状物質の中でも長繊維からなる強化繊維を用いることが好ましく、これによりポリフェニレンエーテルエーテルケトンを高度に強化することが可能になる。一般に樹脂と繊維状物質からなる複合材料構造体を作成する際には、樹脂が溶融した際の粘度が高いことに起因して、樹脂と繊維状物質のぬれが悪くなる傾向にあり、均一な複合材料が出来なかったり、期待通りの機械物性が発現しないことが多い。ここでぬれとは、溶融樹脂のごとき流体物質と、繊維状化合物のごとき固体基質との間に実質的に空気または他のガスが捕捉されないようにこの流体物質と固体基質との物理的状態の良好かつ維持された接触があることを意味する。ここで流体物質の粘度が低い方が繊維状物質とのぬれは良好になる傾向にある。本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は融解した際の粘度が、一般的な熱可塑性樹脂、例えばポリフェニレンエーテルエーテルケトンと比べて著しく低いため、繊維状物質とのぬれが良好になりやすい傾向にある。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物と繊維状物質が良好なぬれを形成した後、本発明のポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法によれば環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物がポリフェニレンエーテルエーテルケトンに転化するので、繊維状物質とポリフェニレンエーテルエーテルケトンが良好なぬれを形成した複合材料構造体を容易に得ることができる。
繊維状物質としては長繊維からなる強化繊維が好ましいことは前述した通りであり、本発明に用いられる強化繊維に特に制限はないが、好適に用いられる強化繊維としては、一般に、高性能強化繊維として用いられる耐熱性および引張強度の良好な繊維が挙げられる。例えば、その強化繊維には、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維が挙げられる。このうち、比強度、比弾性率が良好で、軽量化に大きな寄与が認められる炭素繊維や黒鉛繊維が最も良好なものとして例示できる。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じて、あらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引張強度450Kgf/mm、引張進度1.6%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。長繊維状の強化繊維を用いる場合、その長さは5cm以上であることが好ましい。この長さの範囲では、強化繊維の強度を複合材料として十分に発現させることが容易となる。また、炭素繊維や黒鉛繊維は、他の強化繊維を混合して用いても構わない。また、強化繊維は、その形状や配列を限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状、組み紐状であても使用可能である。また、特に比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
また、前記した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物のポリフェニレンエーテルエーテルケトンへの転化は充填剤の存在下で行うことも可能である。充填剤としては、例えば非繊維状ガラス、非繊維状炭素や、無機充填剤、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナなどを例示できる。
(9)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の用途
本発明の方法により回収できる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の溶融粘度を大幅に低減させる傾向が強く、熱可塑性樹脂の流動性向上の効果を発現する。これは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが、通常の線状化合物や線状ポリマーと異なり末端構造を持たないため、分子間の絡み合いが小さくなることに起因する効果である。
ここでの熱可塑性樹脂とは、溶融成形可能な樹脂であればいずれでもよく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂を他の樹脂とブレンドまたはグラフト重合させて変性させた変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ1−ブテン樹脂、ポリ1−ペンテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、エチレン/α−オレフィン共重合体、(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体、(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化して得られるポリオレフィン、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素のブロック共重合体、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素のブロック共重合体の水素化物、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂などのアクリル樹脂、アクリロニトリルを主成分とするアクリロニトリル系共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、塩化ビニル/エチレン共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびエチレン/酢酸ビニル共重合体のケン化物などが挙げられ、1種または2種以上併用してポリマーアロイとして用いてもよい。
本発明の回収方法により得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物とこれら熱可塑性樹脂は任意の割合で混合することができるが、好ましい構成割合として熱可塑性樹脂70〜99.9重量%、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.1〜30重量%を例示でき、さらに好ましくは熱可塑性樹脂90〜99.9重量%、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.1〜10重量%であり、より好ましくは熱可塑性樹脂95〜99.5重量%、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.5〜5重量%を例示できる。
このような環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物と熱可塑性樹脂を配合してなる熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、熱可塑性樹脂および環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の溶融温度以上で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましい方法として例示できる。混練方法としては、1)熱可塑性樹脂、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを一括混練する方法、2)熱可塑性樹脂に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを高濃度に含む樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように該樹脂組成物、熱可塑性樹脂を添加し溶融混練する方法(マスターペレット法)などを例示することができ、どのような混練方法を用いてもよい。本発明の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、融点が270℃以下と低融点である特徴を有する。従って、熱可塑性樹脂組成物を製造する際の溶融混練時の設定することができるため、熱可塑性樹脂との溶融混練が容易となる傾向にある。
このようにして得られる熱可塑性樹脂組成物は、通常公知の射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、シート、繊維などとして利用でき、フィルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
また、各種物性は高速液体クロマトグラフィー、示差走査型熱量測定装置(DSC)、赤外分光分析装置(IR)、オストワルド型粘度計を用いて測定を行った。詳細な分析条件は以下の通りである。
(高速液体クロマトグラフィー)
装置 : 島津製作所製 LC−10Avpシリーズ
カラム : Mightysil RP−18GP150−4.6
検出器 : フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nmを使用)
カラム温度 : 40℃
サンプル : 0.1重量%THF溶液
移動相 : THF/0.1w%トリフルオロ酢酸水溶液
(示差走査型熱量測定装置)
装置 : セイコーインスルツ株式会社製 ロボットDSC
(赤外分光分析装置)
装置 : Perkin Elmer System 2000 FT−IR
サンプル調製: KBr法
(粘度測定)
粘度計 : オストワルド型粘度計
溶媒 : 98重量%硫酸
サンプル濃度: 0.1g/dL(サンプル重量/溶媒容量)
測定温度 : 25℃
還元粘度計算式:η={(t/t0)−1}/C
t : サンプル溶液の通過秒数
t0 : 溶媒の通過秒数
C : 溶液の濃度
[参考例1]
ここでは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造した例を示す。
撹拌機を具備したオートクレーブに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン1.1kg(5mol)、ヒドロキノン0.55kg(5mol)、炭酸カリウム0.69kg(5mol)、N−メチル−2−ピロリドン50Lを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.33リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
得られた反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈、ろ過によりTHF不溶成分を分離除去することにより高速液体クロマトグラフィー分析サンプルを調製、反応混合物の分析を行った。結果、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認、絶対検量線法により算出した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのヒドロキノンに対する収率は15.0%であった。
このようにして得られた反応混合物50kgに1重量%酢酸水溶液150kgを加え、撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをフィルターでろ過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水50kgに分散させ70℃で30分間保持してろ過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を70℃で一晩真空乾燥に処し、乾燥固体約1.3kg(混合物(ア))を得た。
さらに、上記で得られた乾燥固体1.3kgをクロロホルム30kgを用いて、80℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後、固液分離を行うことにより得られた抽出液からクロロホルムを留去、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体0.2kgを得た。
この白色固体は赤外分光分析における吸収スペクトルよりフェニレンエーテルケトン単位からなる化合物であることを確認、また高速液体クロマトグラフィーにより成分分割したマススペクトル分析(装置:日立製M−1200H)、さらにMALDI−TOF−MSによる分子量情報により、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることが分かった。さらに、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の分析を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は88%であり、160℃の融点を有すること、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の還元粘度は0.02dL/g未満であることも分かった。
また、上記のクロロホルム抽出・固液分離で得られた、クロロホルムに不溶の固形成分を70℃で一晩真空乾燥に処しオフホワイト色の固形分1.1kgを得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。このことから、上記方法により調製した混合物(ア)は、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物であることが分かる。
[実施例1]
ここでは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして参考例1で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を、有機溶媒(b)としてN−メチル−2−ピロリドンを、溶媒(c)として水を用いて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した例を示す。
参考例1で得られた純度88%の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物2.5gにNMP100gを加えて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを2.4重量%含む混合物(A)を調製し、攪拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。この際、常温では一部不溶成分が存在したが100℃に到達した段階、さらに80℃に冷却した段階では不溶部は認められず、80℃以上の条件においては混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度80℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いて水43gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は70:30)。この際、水の滴下に伴い混合物の温度は約75℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーを攪拌したまま約1時間かけて約30℃まで冷却し、次いで30℃以下で約30分間攪拌を継続した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引ろ過した。得られた固形分(母液含む)を約30gの水に分散させ70℃で15分間攪拌した後、前述同様にガラスフィルターで吸引ろ過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して乾燥固体を得た。
乾燥固体をHPLCで分析した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることが確認でき、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は98.2重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は89%であった。また、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンをガスクロマトグラフィーにより分析した結果、NMPの含有率は0.1重量%未満であることが分かった。本発明における好ましい方法で環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収を行うことで高純度の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を高収率で得ることができた。
[実施例2]
溶媒(c)として用いる水の量を54g(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は65:35)とした以外は実施例1と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収率は99.6重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度は88%であった。用いる溶媒(c)の量を増やすことで収率は向上し、純度の向上効果はやや低下するものの、高純度の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を高収率で得ることができた。
[実施例3]
溶媒(c)として用いる水の量を33g(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は75:25)とした以外は実施例1と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収率は93.6重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度は90%であった。用いる溶媒(c)の量を減らすことでわずかに収率が低下するが、より純度の高い環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を得ることができることがわかった。
[実施例4]
溶媒(c)として用いる水の量を25g(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は80:20)とした以外は実施例1と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収率は88.9重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度は92%であった。用いる溶媒(c)の量をさらに減らすことで収率が低下する一方で、極めて純度の高い環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を得ることができることがわかった。
[比較例1]
溶媒(c)を加えない以外は実施例1と同様に実施した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収率は8重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度は93%であった。
溶媒(c)を加えない場合にはごくわずかな量の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物しか得ることができず、極めて低収率となることが分かった。また、得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、NMPが1重量%以上含まれていることが分かり、後処理(水洗操作)による母液の除去効率が悪いことが判明した。
[比較例2]
ここでは環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法として公知の再沈法にて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した例を示す。
参考例1で得られた純度88%の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物2.5gにNMP100gを加えて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を2.4重量部含む混合物を調製し、攪拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。この混合液を約25℃の水900gに攪拌条件下で滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は10:90)。この際、混合液の滴下により水は乳濁し、乳濁の度合いは滴下を進めるに従って強まったが、滴下が終了した段階でも乳濁した状態であったため、攪拌したまま約5時間室温で放置したが、乳濁状態のままであった。この乳濁液を実施例1と同様にガラスフィルター吸引ろ過したところ、著しくろ過性が悪く、また濾液が乳濁していた。
以下、実施例1と同様に処理を行った結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収率は80重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度は87%であった。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法として公知の再沈法にて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収を実施した場合、回収操作において本発明と比較して大量の廃液が発生するのみならず、固液分離における操作性も著しく悪化することが分かった。また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の純度向上効果もないことが分かった。
[実施例5]
参考例1記載の方法により調製した混合物(ア)20.0gをNMP120gを用いて、100℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(NMP)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを3.2重量%(3.0g)含んでいることが分かった。
得られた混合物(A)を攪拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。100℃に到達した段階および80℃に冷却した段階では不溶部は認められず、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度80℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いて水41gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は70:30)。この際、水の滴下に伴い混合物の温度は約75℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーを攪拌したまま約1時間かけて約30℃まで冷却し、次いで30℃以下で約30分間攪拌を継続した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引ろ過した。得られた固形分(母液含む)を約30gの水に分散させ70℃で15分間攪拌した後、前述同様にガラスフィルターで吸引ろ過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して乾燥固体を得た。
乾燥固体をHPLCで分析した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることが確認でき、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は98.0重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は89%であった。
混合物(A)として、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させて得られる可溶成分を用いても、高純度の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を高収率で得ることができた。
[実施例6]
参考例1記載の方法により調製した混合物(ア)20.0gをNMP120gを用いて50℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(NMP)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを3.0重量%(2.9g)含んでいることが分かった。
ここで得られた混合物(A)を用い、実施例5と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は98.2重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は91%であった。
混合物(B)を有機溶媒(b)と接触させて、有機溶媒(b)可溶成分として混合物(A)を調製する場合、混合物(B)と有機溶媒(b)との接触温度を低くすることにより、高純度の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を高収率で得ることができることがわかった。
[参考例2]
ここでは、特許公表2007−506833の実施例に記載の方法を参考にしたポリフェニレンエーテルエーテルケトンの調製について記す。
攪拌機、窒素吹き込み管、ディーン・スターク装置、冷却管、温度計を具備した4つ口フラスコに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン18.0g(82.4mmol)、ヒドロキノン8.8g(80mmol)、およびジフェニルスルホン49gを仕込んだ。窒素を通じながら140℃にまで昇温したところ、ほぼ無色の溶液を形成した。この温度で炭酸ナトリウム8.5g(80mmol)および炭酸カリウム0.2g(1.6mmol)を加えて混合物を調製した。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対する有機極性溶媒の量は約0.2リットルである。
混合物を内温200℃にまで昇温後に1時間保持、250℃にまで昇温後に1時間保持、さらに315℃にまで昇温後に3時間保持して反応を行った。反応終了後、放冷して反応混合物を得た。
得られた反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果、ヒドロキノンに対する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は1.8%であった。
反応混合物を、水およびアセトンで洗浄することにより、副生塩およびジフェニルスルホンを洗浄除去後、120℃の熱風乾燥機中で乾燥させることにより混合物(イ)を得た。
得られた混合物(イ)約1.0gを、クロロホルム100gを用いて浴温80℃で5時間ソックスレー抽出後、クロロホルムに不溶の固形成分を70℃で一晩真空乾燥に処しオフホワイト色の固形成分約0.97gを得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状のポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。このことから、上記方法により調製した混合物(イ)は、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物であることが分かる。
[参考例3]
ここでは、特開2007−302895の実施例に記載の方法を参考にしたポリフェニレンエーテルエーテルケトンの調製について記す。
攪拌機、窒素吹き込み管、ディーン・スターク装置、冷却管、温度計を具備した4つ口フラスコに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン26.2g(120.1mmol)、ヒドロキノン13.2g(119.9mmol)、炭酸ナトリウム13.2g(124.5mmol)、炭酸カリウム0.64g(4.6mmol)、およびジフェニルスルホン69.2gを加えて混合物を調製した。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対する有機極性溶媒の量は約0.2リットルである。
混合物を内温320℃にまで昇温後に8時間保持し反応を行った。反応終了後、放冷して反応混合物を得た。
得られた反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果、ヒドロキノンに対する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は1.9%であった。
反応混合物をエタノールおよび水で洗浄することにより、副生塩およびジフェニルスルホンを洗浄除去後、120℃の熱風乾燥機中で乾燥させることにより混合物(ウ)を得た。
得られた混合物(ウ)約1.0gを、クロロホルム100gを用いて浴温80℃で5時間ソックスレー抽出後、クロロホルムに不溶の固形成分を70℃で一晩真空乾燥に処しオフホワイト色の固形成分約0.97gを得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状のポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。このことから、上記方法により調製した混合物(ウ)は、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物であることが分かる。
[参考例4]
ここでは、特開2010−95614の実施例に記載の方法を参考にしたポリフェニレンエーテルエーテルケトンの調製について記す。
攪拌機、窒素吹き込み管、ディーン・スターク装置、冷却管、温度計を具備した4つ口フラスコに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン22.2g(101.5mmol)、ヒドロキノン11.0g(100.0mmol)、およびスルホラン164gを仕込んだ。窒素を通じながら80℃にまで昇温したところ、ほぼ無色の溶液を形成した。この温度で炭酸カリウム14.0g(101.0mmol)を加えて混合物を調製した。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対する有機極性溶媒の量は約0.54リットルである。
混合物を内温が265℃になるまで昇温し、265℃で4時間保持して反応を行った。反応終了後、放冷して反応混合物を得た。
得られた反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果、ヒドロキノンに対する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は5.9%であった。
反応混合物を水で洗浄することにより、副生塩およびスルホランを洗浄除去後、120℃の熱風乾燥機中で乾燥させることにより混合物(エ)を得た。
得られた混合物(エ)約1.0gを、クロロホルム100gを用いて浴温80℃で5時間ソックスレー抽出後、クロロホルムに不溶の固形成分を70℃で一晩真空乾燥に処しオフホワイト色の固形成分約0.93gを得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状のポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。このことから、上記方法により調製した混合物(エ)は、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物であることが分かる。
[実施例7]
ここでは参考例2記載の方法で調製した少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(イ)からの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収について記す。
混合物(イ)20.0gをNMP120gを用いて、100℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(NMP)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを0.2重量%(0.2g)含んでいることが分かった。
得られた混合物(A)を減圧下120℃に加熱することにより、NMP80gを留去することにより混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有率の調整を行った(1.3重量%(0.2g))。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン含有率の調整を行った混合物(A)を攪拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。100℃に到達した段階および80℃に冷却した段階では不溶部は認められず、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度80℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いて水6.5gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は70:30)。この際、水の滴下に伴い混合物の温度は約75℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーを攪拌したまま約1時間かけて約30℃まで冷却し、次いで30℃以下で約30分間攪拌を継続した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引ろ過した。得られた固形分(母液含む)を約30gの水に分散させ70℃で15分間攪拌した後、前述同様にガラスフィルターで吸引ろ過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して乾燥固体を得た。
乾燥固体をHPLCで分析した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることが確認でき、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は98.0重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は92%であった。
[実施例8]
ここでは参考例3記載の方法で調製した少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(ウ)からの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収について記す。
混合物(ウ)20.0gをNMP120gを用いて、100℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(NMP)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを0.4重量%(0.4g)含んでいることが分かった。
得られた混合物(A)を減圧下120℃に加熱することにより、NMP65gを留去することにより混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有率の調整を行った(1.3重量%(0.4g))。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン含有率の調整を行った混合物(A)を攪拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。100℃に到達した段階および80℃に冷却した段階では不溶部は認められず、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度80℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いて水12.9gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は70:30)。この際、水の滴下に伴い混合物の温度は約75℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーを攪拌したまま約1時間かけて約30℃まで冷却し、次いで30℃以下で約30分間攪拌を継続した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引ろ過した。得られた固形分(母液含む)を約30gの水に分散させ70℃で15分間攪拌した後、前述同様にガラスフィルターで吸引ろ過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して乾燥固体を得た。
乾燥固体をHPLCで分析した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることが確認でき、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は98.1重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は92%であった。
[実施例9]
ここでは参考例4記載の方法で調製した少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(エ)からの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収について記す。
混合物(エ)20.0gをNMP120gを用いて、100℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(NMP)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを1.2重量%(1.2g)含んでいることが分かった。
混合物(A)を攪拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。100℃に到達した段階および80℃に冷却した段階では不溶部は認められず、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度80℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いて水40.7gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるNMPと水の重量比率は70:30)。この際、水の滴下に伴い混合物の温度は約75℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーを攪拌したまま約1時間かけて約30℃まで冷却し、次いで30℃以下で約30分間攪拌を継続した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引ろ過した。得られた固形分(母液含む)を約30gの水に分散させ70℃で15分間攪拌した後、前述同様にガラスフィルターで吸引ろ過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間処理して乾燥固体を得た。
乾燥固体をHPLCで分析した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることが確認でき、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は99.0重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は91%であった。
[実施例10]
ここでは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして参考例1で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を、有機溶媒(b)としてアセトンを、溶媒(c)として水を用いて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した例を示す。
参考例1で得られた純度88%の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物2.5gにアセトン100gを加えて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを2.4重量%含む混合物(A)を調製し、攪拌しながら50℃に加温した。この際、不溶部は認められず、混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度50℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いて水33gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるアセトンと水の重量比率は75:25)。この際、水の滴下に伴い混合物の温度は約46℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーからの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施例1と同様の方法により実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は99.5重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は89%であった。
[実施例11]
ここでは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして参考例1で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を、有機溶媒(b)としてアセトンを、溶媒(c)としてメタノールを用いて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した例を示す。
参考例1で得られた純度88%の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物2.5gにアセトン100gを加えて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを2.4重量%含む混合物(A)を調製し、撹拌しながら50℃に加温した。この際、不溶部は認められず、混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度50℃にて撹拌したまま、チューブポンプを用いてメタノール67gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるアセトンとメタノールの重量比率は60:40)。この際、メタノールの滴下に伴い混合物の温度は約44℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、メタノールの滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーからの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施例1と同様の方法により実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は91.3重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は92.0%であった。
[実施例12]
ここでは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして参考例1で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を、有機溶媒(b)としてTHFを、溶媒(c)として水を用いて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した例を示す。
参考例1で得られた純度88%の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物2.5gにTHF100gを加えて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを2.4重量%含む混合物(A)を調製し、攪拌しながら60℃に加温した。この際、不溶部は認められず、混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度60℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いて水33gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるTHFと水の重量比率は75:25)。この際、水の滴下に伴い混合物の温度は約54℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーからの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施例1と同様の方法により実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は99.1重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は90%であった。
[実施例13]
ここでは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして参考例1で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を、有機溶媒(b)としてTHFを、溶媒(c)としてメタノールを用いて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した例を示す。
参考例1で得られた純度88%の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物2.5gにTHF100gを加えて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを2.4重量%含む混合物(A)を調製し、撹拌しながら55℃に加温した。この際、不溶部は認められず、混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度55℃にて撹拌したまま、チューブポンプを用いてメタノール67gを約25分かけてゆっくりと滴下した(水の滴下終了後の混合物におけるTHFとメタノールの重量比率は60:40)。この際、メタノールの滴下に伴い混合物の温度は約50℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、メタノールの滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーからの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施例1と同様の方法により実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は90.8重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は92%であった。
[実施例14]
ここでは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして参考例1で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を、有機溶媒(b)としてクロロホルムを、溶媒(c)としてメタノールを用いて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した例を示す。
参考例1で得られた純度88%の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物2.5gにクロロホルム100gを加えて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを2.4重量%含む混合物(A)を調製し、攪拌しながら55℃に加温した。この際、不溶部は認められず、混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの50重量%以上が溶解していることを確認した。
次いで、この混合物(A)を系内温度55℃にて攪拌したまま、チューブポンプを用いてメタノール67gを約25分かけてゆっくりと滴下した(メタノールの滴下終了後の混合物におけるクロロホルムとメタノールの重量比率は60:40)。この際、メタノールの滴下に伴い混合物の温度は約48℃にまで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、メタノールの滴下が終了した段階では白濁したスラリー状となったが塊状の粗大な固形分の生成は認められず均一に固形分が分散したスラリーとなった。
このスラリーからの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施例1と同様の方法により実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は95.0%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は93%であった。
[実施例15]
参考例1記載の方法により調製した混合物(ア)20.0gをTHF120gを用いて60℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(THF)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを3.0重量%(2.9g)含んでいることが分かった。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例12と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は99.1重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は92%であった。
[実施例16]
参考例1記載の方法により調製した混合物(ア)20.0gをTHF120gを用いて60℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(THF)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを3.0重量%(2.9g)含んでいることが分かった。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例13と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は91.0%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は93%であった。
[実施例17]
参考例2記載の方法により調製した混合物(イ)20.0gをアセトン120gを用いて50℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(アセトン)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを0.2重量%(0.2g)含んでいることが分かった。
得られた混合物(A)を減圧下50℃に加熱することにより、アセトン80gを留去することにより混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有率の調整をおこなった(1.3重量%(0.2g))。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例10と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は99.5重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は93%であった。
[実施例18]
参考例2記載の方法により調製した混合物(イ)20.0gをアセトン120gを用いて50℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(アセトン)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを0.2重量%(0.2g)含んでいることが分かった。
得られた混合物(A)を減圧下50℃に加熱することにより、アセトン80gを留去することにより混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有率の調整を行った(1.3重量%(0.2g))。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例11と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は91.5重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は93.5%であった。
[実施例19]
参考例3記載の方法により調製した混合物(ウ)20.0gをアセトン120gを用いて50℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(アセトン)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを0.4重量%(0.4g)含んでいることが分かった。
得られた混合物(A)を減圧下50℃に加熱することにより、アセトン70gを留去することにより混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有率の調整を行った(1.6重量%(0.4g))。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例10と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は99.4重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は93%であった。
[実施例20]
参考例3記載の方法により調製した混合物(ウ)20.0gをアセトン120gを用いて50℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(アセトン)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを0.4重量%(0.4g)含んでいることが分かった。
得られた混合物(A)を減圧下50℃に加熱することにより、アセトン70gを留去することにより混合物(A)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有率の調整をおこなった(1.6重量%(0.4g))。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例11と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は91.5重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は94%であった。
[実施例21]
参考例4記載の方法により調製した混合物(エ)20.2gをアセトン120gを用いて50℃で5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(アセトン)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを1.3重量%(1.2g)含んでいることが分かった。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例10と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は99.0重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は94%であった。
[実施例22]
参考例4記載の方法により調製した混合物(エ)20.0gをアセトン120gを用いて50gで5時間抽出操作を行った。抽出操作後に固液分離を行い、濾液成分として少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび有機溶媒(アセトン)を含む混合物(A)95gを得た。この混合物(A)の分析を行った結果、混合物(A)には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを1.3重量%(1.2g)含んでいることが分かった。
ここで得られた混合物(A)を用い実施例11と同様に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収を実施した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収率は92.0重量%、回収された環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度は94%であった。
[実施例23]
ここでは、本発明の回収方法により得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の開環重合について示す。
実施例1記載の方法により得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの主要構成単位である式−(O−Ph−O−Ph−CO−Ph)−の繰り返し単位に対してフッ化セシウムを5モル%混合した粉末100mgを、ガラス製アンプルに仕込み、アンプル内を窒素で置換した。350℃に温調した電気炉内にアンプルを設置し60分間加熱した後、アンプルを取り出し室温まで冷却し、黒色固体を得た。
示差走査型熱量分析装置を用いて、黒色固体の分析を行った結果、融点332℃、結晶化温度240℃の熱特性を有することが分かった。また、黒色固体の還元粘度を測定した結果、ηは0.5dL/gであることが分かった。

Claims (9)

  1. 少なくとも下記一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)および有機アミド溶媒(b)を含む混合物であって、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の50重量%以上が溶解している混合物(A)に、有機アミド溶媒(b)とは異なるプロトン性溶媒(c)を、有機アミド溶媒(b)の重量以下加えることにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を固形分として回収することを特徴とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法であって、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が、下記一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)を60重量%以上含む組成物である環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
    Figure 0005867155
    (ここで、(I)中のmは2〜40の整数である)
  2. 少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物(B)を有機アミド溶媒(b)と接触させて、有機アミド溶媒(b)可溶成分として混合物(A)を調製することを特徴とする請求項1記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
  3. 有機アミド溶媒(b)が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性が高く、且つ線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性に乏しい溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
  4. 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が、前記一般式(I)における異なる繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)の混合物を含み、且つ該組成物の融点が270℃以下である環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
  5. 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)が、少なくとも異なる3つ以上の整数mからなる混合物であることを特徴とする請求項記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
  6. 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(a)が少なくとも連続する異なる3つ以上の整数mからなる混合物であることを特徴とする請求項記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
  7. プロトン性溶媒(c)を混合物(A)に加えた際に、プロトン性溶媒(c)が有機アミド溶媒(b)と混和することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
  8. プロトン性溶媒(c)を加えた後に、固液分離を行うことで環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の回収方法により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を得、次いで得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合することを特徴とするポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
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