JP5857525B2 - シリカ粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、突起物を化学結合により母体粒子に結着する等して、表面を突起状にすることにより非球状としたシリカ粒子が提案されている(例えば、特許文献5乃至11参照)。
さらに、例えば、特許文献12及び13に、球状のシリカ粒子を合一させた、繭型ないし落花生様双子型のシリカ粒子が開示されている。
請求項1に係る発明は、
第1のシリカ粒子と、
前記第1のシリカ粒子の表面に付着し、粒径が前記第1のシリカ粒子よりも小さく、前記粒径が前記第1のシリカ粒子の10%以上40%以下であり、平均円形度が0.7以上0.85以下である第2のシリカ粒子と
を有し、平均円形度が0.5以上0.75以下であり、体積平均粒径が100nm以上500nm以下であるシリカ粒子である。
アルコールを含む溶媒中に、0.8mol/L以上1.0mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルカリ触媒を供給せずに、0.7mol/L以上1.8mol/L以下の濃度のテトラアルコキシシランを供給する工程と
を有するシリカ粒子の製造方法である。
前記テトラアルコキシシランは、前記アルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.010mol/(mol・min)以下の供給速度で、前記アルカリ触媒溶液中に供給する請求項2に記載のシリカ粒子の製造方法である。
本実施形態に係るシリカ粒子は、第1のシリカ粒子と、前記第1のシリカ粒子の表面に付着し、粒径が前記第1のシリカ粒子よりも小さく、平均円形度が0.7以上0.85以下である第2のシリカ粒子とを有して構成される。
すなわち、本実施形態に係るシリカ粒子は、少なくとも第1のシリカ粒子と第2のシリカ粒子との大小2種のシリカ粒子を含んで構成され、第1のシリカ粒子の表面に付着している第2のシリカ粒子の平均円形度が0.7以上0.85以下である。
以下、第1のシリカ粒子を「シリカ母粒子」、第2のシリカ粒子を「シリカ子粒子」とも称する。
本実施形態に係るシリカ粒子を上記構成とすることで、シリカ粒子は付着対象物(例えば、樹脂粒子や鉄粉等)の表面の凹部への移動を抑制する。かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと考えられる。
また、付着対象物が、シリカ子粒子の食い込み難い成分により構成される物であっても、シリカ子粒子が異形であることで、シリカ子粒子が球状である場合に比べて、付着対象物との接触箇所が多くなり、付着対象物にシリカ子粒子が引っかかり易いものと考えられる。
以上より、本実施形態に係るシリカ粒子は、付着対象物の表面への付着状態を維持し易く、付着対象物の表面の凹部に移動しにくいと考えられる。
以下、本実施形態のシリカ粒子について詳細に説明する。
本実施形態に係るシリカ子粒子(第2のシリカ粒子)は、シリカ母粒子(第1のシリカ粒子)の表面に付着している。
シリカ子粒子とシリカ母粒子との付着状態は特に制限されず、例えば、シリカ子粒子とシリカ母粒子とが機械的に固着した状態であってもよいし、シリカ子粒子とシリカ母粒子とが接着剤等により接着している状態であってもよいし、シリカ子粒子の一部とシリカ母粒子の一部とが融合して一体的に結合している状態であってもよい。
中でも、シリカ粒子の強度や、シリカ子粒子の脱離抑制の観点からは、シリカ子粒子の一部とシリカ母粒子の一部とが融合して一体的に結合している状態で付着していることが好ましい。
シリカ子粒子の被覆率は、SEMによる画像解析によりシリカ子粒子の付着面積を測定し、シリカ母粒子の表面積bに対するシリカ子粒子の総付着面積aの割合〔(a/b)×100〕から算出される。
シリカ母粒子表面のシリカ子粒子の被覆率は、42%以上75%以下であることがより好ましい。
−平均円形度−
本実施形態に係るシリカ子粒子(第2のシリカ粒子)は、一次粒子の平均円形度が0.7以上0.85以下である。
シリカ子粒子の平均円形度が0.85を超えると、一次粒子が球形に近くなる為、シリカ粒子を付着対象物へ添加した際に、シリカ粒子の突起部分であるシリカ子粒子が付着対象物に引っかかりにくく、付着対象物への密着性が悪くなる。そのため、例えば、シリカ粒子と樹脂粒子とを混合し攪拌した場合や、経時保存後に、シリカ粒子が偏って樹脂粒子等に付着したり、樹脂粒子等から脱離し得る。
シリカ子粒子の平均円形度が0.7未満であると、粒子の縦/横比が大きな形状となり、シリカ子粒子に機械的負荷が加わった場合に応力集中が生じ、欠損し易くなる。なお、本実施形態に係るシリカ粒子をゾルゲル法により製造する場合は、一次粒子の平均円形度が0.7未満であるシリカ子粒子は製造が困難である。
シリカ子粒子の平均円形度は、0.75以上0.80以下であることがより好ましい。
円形度(100/SF2)=4π×(A/I2) 式(1)
〔式(1)中、Iは画像上における一次粒子の周囲長を示し、Aは一次粒子の投影面積を表す。
一次粒子の平均円形度は、上記画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
まず、表面が平滑な体積平均粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50,000)に、シリカ粒子を分散付着させる。シリカ粒子が付着した前記樹脂粒子を、電子線三次元粗さ解析装置を用いて、倍率10,000倍の視野で10nm毎にX−Y軸方向の高さ解析を行い、高さ解析数値を得る。次いで、前記高さ解析数値を、表計算ソフトMicrosoft Excel(Microsoft社製)を用いて、条件付き書式(二色スケール)により画像化する。かかる画像化により、母粒子と比較して高さが高い子粒子のみを浮き上がらせた子粒子の二次元画像が得られる。
シリカ粒子の一次粒子の平均円形度が0.5以上であることで、シリカ粒子の強度の低下を抑制し、シリカ粒子の一次粒子の平均円形度が0.85以下であることで、シリカ粒子を付着対象物に添加した場合に、シリカ粒子を付着対象物に付着し易くなる。
シリカ粒子の一次粒子の平均円形度は、0.6以上0.75以下であることがより好ましい。
シリカ粒子の一次粒子の平均円形度は、上記平面画像解析によって得られた一次粒子100個の円形度の累積頻度における50%円形度として得られる。
シリカ子粒子は、粒径がシリカ母粒子の粒径よりも小さければ、特に制限されないが、シリカ子粒子の付着対象物への食い込み易さの観点から、シリカ子粒子の粒径は、シリカ母粒子の粒径の10%以上40%以下であることが好ましい。
シリカ子粒子の粒径が、シリカ母粒子の粒径の10%以上であることで、シリカ子粒子が付着対象物に食い込んでも外れ難い。一方、シリカ子粒子の粒径が、シリカ母粒子の粒径の40%以下であることで、シリカ子粒子が付着対象物に食い込み易くなる。
円相当径=2√(面積/π) 式(2)
シリカ粒子の体積平均粒径が100nm以上であることで、樹脂粒子、鉄粉等の付着対象物にシリカ粒子を被覆する場合に、シリカ粒子が付着対象物表面に分散し易い。
シリカ粒子の体積平均粒径が500nm以下であることで、シリカ粒子に機械的負荷が加わった場合に、欠損しにくく、また、シリカ粒子を付着対象物に被覆した場合に、付着対象物の強度を向上し易く、シリカ粒子を付着する付着対象物の流動性を上げ易い。
シリカ粒子の体積平均粒径は、100nm以上350nm以下であることがより好ましく、100nm以上250nm以下であることがさらに好ましい
本実施形態に係るシリカ粒子は、シリカ、すなわちSiO2を主成分とする粒子であればよく、結晶性でも非晶性でもよい。また、水ガラスやアルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
また、シリカ粒子の分散性の観点から、シリカ粒子表面は疎水化処理されていることが望ましい。例えば、シリカ粒子表面がアルキル基で被覆されることにより、シリカ粒子は疎水化される。そのためには、例えば、シリカ粒子にアルキル基を有する公知の有機珪素化合物を作用させればよい。疎水化処理の方法の詳細は後述する。
本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法は、シリカ母粒子(第1のシリカ粒子)と、前記シリカ母粒子の表面に付着し、粒径が前記シリカ母粒子よりも小さく、平均円形度が0.7以上0.85以下であるシリカ子粒子とを有するシリカ粒子を製造し得る方法であれば、特に制限されない。いわゆる乾式方法によっても、湿式方法によってもよい。
乾式方法による製造方法としては、例えば、粒径が500nmを超えるシリカ粒子を粉砕し、分級して、大小2種のシリカ粒子(シリカ母粒子とシリカ子粒子)を得て、シリカ子粒子をシリカ母粒子に機械的に押し付けて固定する方法が挙げられる。
湿式方法による製造方法としては、例えば、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物を原料とし、ゾルゲル法によって、前記大小2種のシリカ粒子を得て、シリカ子粒子とシリカ母粒子とを融合して一体的に結びつけて固定する方法が挙げられる。湿式方法としては、ゾルゲル法のほかに、水ガラスを原料としてシリカゾルを得る方法もある。
以下、アルコールを含む溶媒中に、0.8mol/L以上1.0mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程を、単に「準備工程」とも称し、アルカリ触媒溶液中に、さらにアルカリ触媒を供給せずに、0.7mol/L以上1.8mol/L以下の濃度のテトラアルコキシシランを供給する工程を、単に「供給工程」とも称する。
本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法では、上記手法により、シリカ母粒子と、シリカ母粒子の表面に付着し、粒径が前記シリカ母粒子よりも小さく、平均円形度が0.7以上0.85以下であるシリカ子粒子とを有するシリカ粒子が得られる。この理由は、定かではないが以下の理由によるものと考えられる。
この反応系に対して、さらにテトラアルコキシシランを供給すると、別途、核粒子が成長して得られたシリカ母粒子よりも小さいシリカ粒子が形成され易い環境になる。
なお、反応系内は、アルカリ触媒が不足しているため、シリカ子粒子の核粒子の成長は制限され、シリカ子粒子の粒径は、シリカ母粒子の粒径よりも小さくなる。
その上、本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法では、生成した異形状の核粒子が異形状を保ったまま粒子成長され、シリカ粒子が得られると考えられることから、機械的負荷に強く、壊れ難いシリカ粒子が得られる。
特に、シリカ母粒子とシリカ子粒子とは、供給工程におけるテトラアルコキシシランがシリカ母粒子とシリカ子粒子との隙間を覆い、テトラアルコキシシランが反応することにより固着するため、異形のシリカ粒子同士を焼結させて付着させる従来の方法に比べて結びつきが強く、シリカ粒子が機械的負荷を受けても、シリカ母粒子からシリカ子粒子が脱離し難い、強度に優れたシリカ粒子とし得ると考えられる。
以下、本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法の詳細を説明する。
準備工程は、アルコールを含む溶媒を準備し、これにアルカリ触媒を添加して、アルカリ触媒溶液を準備する。
なお、アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
アルカリ触媒の濃度が、0.80mol/L以上であると、粒子生成工程でテトラアルコキシシランを供給したときに、生成した核粒子の成長過程の核粒子の分散性が安定となり、2次凝集物等の粗大凝集物が生成を抑制し、ゲル化状となることを抑制し得る。
一方、アルカリ触媒の濃度が、1.0mol/Lより多いと、生成した核粒子の安定性が過大となり、真球状の核粒子が生成され、平均円形度が0.85以下の異形状の核粒子が得られず、その結果、異形状のシリカ粒子が得られない。
なお、アルカリ触媒の濃度は、アルコール触媒溶液(アルカリ触媒+アルコールを含む溶媒)に対する濃度である。
次に、供給工程について説明する。
供給工程は、アルカリ触媒溶液中に、前記アルカリ触媒を供給せずに、0.7mol/L以上1.8mol/L以下の濃度のテトラアルコキシシランを供給して、シリカ粒子を生成する工程である。本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法では、このように粒子成長を進ませる中で、アルカリ触媒を不足状態とすることにより、シリカ母粒子とシリカ子粒子とを形成し、両者を固着させて、シリカ粒子を形成する。
テトラアルコキシシランの濃度が0.7mol/L未満であると、シリカ子粒子が生成しないか、生成しても、平均円形度が0.7以上0.85以下の範囲であるシリカ子粒子を形成し得ない。
テトラアルコキシシランの濃度が1.8mol/Lを超えると、シリカ母粒子に付着したシリカ子粒子が、テトラアルコキシシランにより埋没し、得られるシリカ粒子が、付着対象物の表面を移動し易くなる。
すなわち、テトラアルコキシシランの供給速度は、アルカリ触媒溶液中のアルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.010mol/(mol・min)以下とすることが好ましい。
これは、アルカリ触媒溶液を準備する工程で用いたアルコール1molに対して、1分間当たり0.001mol以上0.010mol以下の供給量でテトラアルコキシシランを供給することを意味する。
テトラアルコキシシランの供給速度が0.010mol/(mol・min)以上であれば、核粒子を形成する段階におけるテトラアルコキシシラン同士の反応や、粒子成長におけるテトラアルコキシシランと核粒子との反応に対する供給量が過大とならず、反応系がゲル化しにくく、核粒子形成及び粒子成長を阻害しにくい。
具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられるが、反応速度の制御性や得られるシリカ粒子の形状、粒径、粒度分布等の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがよい。
乾燥されたシリカ粒子は、必要に応じて解砕、篩分により、粗大粒子や凝集物の除去を行うことがよい。解砕方法は、特に限定されないが、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、ピンミルなどの乾式粉砕装置により行う。篩分方法は、例えば、振動篩、風力篩分機など公知のものにより行う。
疎水化処理剤としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラザン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなどのシラン化合物、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン等)等が挙げられる。疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
これら疎水化処理剤の中も、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどのトリメチル基を有する有機珪素化合物が好適である。
ここで、粉体のシリカ粒子を疎水化処理する方法としては、ヘンシェルミキサーや流動床などの処理槽内で粉体の親水性シリカ粒子を攪拌し、そこに疎水化処理剤を加え、処理槽内を加熱することで疎水化処理剤をガス化して粉体のシリカ粒子の表面のシラノール基と反応させる方法が挙げられる。処理温度は、特に限定されないが、例えば、80℃以上300℃以下がよく、望ましくは120℃以上200℃以下である。
なお、本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法により得られるシリカ粒子は、シリカ母粒子と、シリカ母粒子の表面に付着し、シリカ母粒子よりも粒径の小さいシリカ子粒子とを含んで構成され、シリカ子粒子の平均円形度が0.7以上0.85以下の範囲である特徴を有する。
さらに、本実施形態に係るシリカ粒子の製造方法により得られるシリカ粒子は、平均収縮率が8以上30以下である特徴を有する。
シリカ粒子の収縮率=(1−H/I)×100 ・・・・・式(3)
〔式(3)中、Hは、画像上におけるシリカ粒子の包絡周囲長を示し、Iは、画像上におけるシリカ粒子の周囲長を示す。
包絡周囲長とは、平面画像におけるシリカ粒子の凸部の頂点を最短の距離をもって結んだときの周囲の長さを意味し、周囲長とは、平面画像におけるシリカ粒子の輪郭そのものの長さを意味する。
シリカ粒子の平均収縮率は、100個のシリカ粒子について、式(3)から算出される各シリカ粒子の収縮率の平均として算出される。
シリカ粒子の平均収縮率は、10以上20以下であることがより好ましい。
−準備工程〔アルカリ触媒溶液(1)の調製〕−
攪拌翼、滴下ノズル、温度計を有したガラス製反応容器を窒素ガス置換した後、反応容器にメタノール62.37g、触媒(NH3)濃度が10%のアンモニア水13.94gを入れ、攪拌混合して、アルカリ触媒溶液(1)を得た。こときのアルカリ触媒溶液(1)のアンモニア触媒量、すなわち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、0.90mol/Lであった。
次に、アルカリ触媒溶液(1)の温度を20℃に調整し、アルカリ触媒溶液(1)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(1)を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)を1g/minの流量で滴下した。
テトラメトキシシランの供給開始後15min経過した時点で、テテトラメトキシシランの供給を完了し(テトラメトキシシランの全供給が15g)、シリカ粒子懸濁液(1)を得た。テトラメトキシシランの供給を完了した時点でのテトラメトキシシランの全供給量は、準備工程で反応容器に添加したアルコールの量に対して1.070mol/Lであった。
−シリカ粒子(1)の体積平均粒径−
供給工程により得られたシリカ粒子懸濁液(1)中のシリカ粒子について、既述の手法により、体積平均粒径(D50v)、及び、粒度分布を測定したところ、シリカ粒子(1)の体積平均粒子径(D50v)は240nm、粒度分布指標は1.18であった。
シリカ粒子(1)のシリカ母粒子とシリカ子粒子の粒径を、SEM測定によるシリカ粒子(1)の写真観察から測定したところ、シリカ母粒子の粒径は211nm、シリカ子粒子の粒径は44.9nmであった。
粒径100μmの樹脂粒子(ポリエステル、重量平均分子量Mw=50000)20gに、シリカ粒子(1)を添加し、SEM観察を行った。既述の手法により画像解析を行った結果、シリカ粒子(1)の平均円形度(100/SF2)は0.67、シリカ粒子(1)の子粒子の平均円形度(100/SF2)は0.809、シリカ粒子(1)の平均収縮率は11.3であった。
シリカ粒子の凹部移動抑制性、シリカ粒子が付着した樹脂粒子の流動性、及びシリカ粒子の強度の観点から、シリカ粒子(1)を評価した。
評価結果を表2に示す。併せて、シリカ粒子(1)の製造条件、シリカ粒子(1)の特徴を表1及び表2に示した。
樹脂粒子に付着させたシリカ粒子(1)に機械的負荷をかけた後のシリカ粒子(1)の分散性の観点から、シリカ粒子(1)の凹部移動抑制性を評価した。具体的には、次のようにして行なった。
樹脂粒子に、シリカ粒子(1)を添加し、0.4Lサンプルミルにて15000rpmで30秒間混合して、樹脂粒子にシリカ粒子(1)を付着させた。これをSEMにて観察し付着及び食い込みの様子を確認した。ついで、シリカ粒子(1)が付着した樹脂粒子5gと、100μmの鉄粉200gとをガラス瓶に入れ、ターブラ振とう機で60分間混合した。その後、SEM装置により樹脂粒子の表面を観察した。更に画像解析によりシリカ粒子(1)の付着面積を測定し、シリカ粒子(1)の被覆率を算出して、下記評価基準に基づいて評価した。
◎:樹脂粒子の表面凹部へのシリカ粒子の移動が見られない。
○:樹脂粒子の表面凹部へのシリカ粒子の移動が僅かに見られるが、樹脂粒子表面のシリカ粒子の被覆率は40%以上である。
△:樹脂粒子表面の凹部にシリカ粒子の移動が見られるが、樹脂粒子表面のシリカ粒子の被覆率は30%以上40%未満である。
×:樹脂粒子表面の凹部にシリカ粒子の移動が多く見られ、樹脂粒子表面のシリカ粒子の被覆率は30%未満である。
シリカ粒子(1)を樹脂粒子に分散させたときの流動性を、下記手法により評価した。
樹脂粒子2gに、シリカ粒子(1)0.05gを添加し、振とう機を用いて60分間振とうして混合した後、75μmの篩にのせ、振幅1mmで90秒間振動させて、樹脂粒子の落下の様子を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
◎:篩上に樹脂粒子が全く残らない。
○:篩上に樹脂粒子がほとんど残らない。(全量の0%を超え5%未満)
△:篩上に樹脂粒子が若干残る。 (全量の5%以上20%未満)
×:篩上にかなりの樹脂粒子が残る。 (全量の20%以上)
実施例1および後述する実施例2〜実施例5においては、シリカ粒子を樹脂粒子へ分散した際の付着性および食い込みの評価を行なった。具体的には次のとおりである。
前述の樹脂粒子に、シリカ粒子(1)を添加し、0.4Lサンプルミルにて15000rpmで30秒間混合して、樹脂粒子にシリカ粒子を付着させた後のSEM観察の結果から、下記評価基準に基づいて評価した。
◎:添加量に対し、相当する付着が確認される。
○:添加量に対し、やや少ない付着、またはわずかに遊離が認められる。
△:添加量に対し、少ない付着、または遊離が認められるが許容範囲である。
×:明らかに付着量が少ない。または遊離が多い。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、供給工程におけるテトラメトキシシランの供給を、テトラメトキシシランの供給開始後15min経過した時点で完了して、テトラメトキシシランの流量を1.67g/min、全供給量を25gとした他は同様にして、実施例2のシリカ粒子(2)を製造した。
なお、テトラメトキシシランの供給を完了した時点でのテトラメトキシシランの全供給量は、準備工程で反応容器に添加したアルコールの量に対して1.783mol/Lであった。
また、シリカ粒子(2)の平均円形度(100/SF2)は0.68、シリカ粒子(2)の子粒子の平均円形度(100/SF2)は0.773、シリカ粒子(2)の平均収縮率は28.7であった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、供給工程におけるテトラメトキシシランの供給を、テトラメトキシシランの供給開始後15min経過した時点で完了して、テトラメトキシシランの流量を0.67g/min、全供給量を10gとした他は同様にして、実施例3のシリカ粒子(3)を製造した。
なお、テトラメトキシシランの供給を完了した時点でのテトラメトキシシランの全供給量は、準備工程で反応容器に添加したアルコールの量に対して0.713mol/Lであった。
また、シリカ粒子(3)の平均円形度(100/SF2)は0.68、シリカ粒子(3)の子粒子の平均円形度(100/SF2)は0.831、シリカ粒子(3)の平均収縮率は9.2であった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、準備工程における触媒(NH3)濃度が10%のアンモニア水の量を15.5gにした他は同様にして、実施例4のシリカ粒子(4)を製造した。
なお、準備工程で用いたアルカリ触媒溶液のアンモニア触媒量、すなわち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、0.99mol/Lであった。
また、シリカ粒子(4)の平均円形度(100/SF2)は0.74、シリカ粒子(4)の子粒子の平均円形度(100/SF2)は0.845、シリカ粒子(4)の平均収縮率は8.3であった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、準備工程における触媒(NH3)濃度が10%のアンモニア水の量を12.5gにした他は同様にして、実施例5のシリカ粒子(5)を製造した。
なお、準備工程で用いたアルカリ触媒溶液のアンモニア触媒量、すなわち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、0.82mol/Lであった。
また、シリカ粒子(5)の平均円形度(100/SF2)は0.56、シリカ粒子(5)の子粒子の平均円形度(100/SF2)は0.711、シリカ粒子(5)の平均収縮率は19.5であった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、準備工程における触媒(NH3)濃度が10%のアンモニア水の量を16.5gにした他は同様にして、比較例1のシリカ粒子(101)を製造した。
なお、準備工程で用いたアルカリ触媒溶液のアンモニア触媒量、すなわち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、1.04mol/Lであった。
また、シリカ粒子(101)の平均円形度(100/SF2)は0.80、シリカ粒子(101)の子粒子の平均円形度(100/SF2)は0.920、シリカ粒子(101)の平均収縮率は4.5であった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、準備工程における触媒(NH3)濃度が10%のアンモニア水の量を11.0gにした他は同様にして、比較例2のシリカ粒子(101)を製造した。
なお、準備工程で用いたアルカリ触媒溶液のアンモニア触媒量、すなわち、NH3量(NH3〔mol〕/(NH3+メタノール+水)〔L〕)は、0.73mol/Lであった。
シリカ粒子(102)は、粉体混じりの粒子として得られた。
シリカ粒子(102)のシリカ母粒子の粒径は102nm、シリカ子粒子の粒径は11nmであった。
また、シリカ粒子(102)の平均円形度(100/SF2)は0.91、シリカ粒子(102)の子粒子の平均円形度(100/SF2)は0.93、シリカ粒子(102)の平均収縮率は0.760であった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、供給工程におけるテトラメトキシシランの供給を、テトラメトキシシランの供給開始後15min経過した時点で完了して、テトラメトキシシランの流量を2g/min、全供給量を30gとした他は同様にして、比較例3のシリカ粒子(103)の製造を試みた。
なお、テトラメトキシシランの供給を完了した時点でのテトラメトキシシランの全供給量は、準備工程で反応容器に添加したアルコールの量に対して2.143mol/Lであった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、供給工程におけるテトラメトキシシランの供給を、テトラメトキシシランの供給開始後15min経過した時点で完了して、テトラメトキシシランの流量を0.53g/min、全供給量を8gとした他は同様にして、比較例4のシリカ粒子(104)を製造した。
なお、テトラメトキシシランの供給を完了した時点でのテトラメトキシシランの全供給量は、準備工程で反応容器に添加したアルコールの量に対して0.571mol/Lであった。
比較例4では、シリカ子粒子が形成されず、シリカ粒子(104)は、シリカ子粒子を含んでいなかった。
また、シリカ粒子(104)の平均円形度(100/SF2)は0.92であり、シリカ粒子(104)の平均収縮率は0.750であった。
実施例1のシリカ粒子(1)の製造において、供給工程におけるテトラアルコキシシランの供給と同時に、触媒濃度が10%のアンモニア水を0.13g/minで供給し、テトラメトキシシランの供給完了と同時に供給を完了(全供給量2g)した他は同様にして、比較例5のシリカ粒子(105)を製造した。
シリカ粒子(105)は、シリカ子粒子が形成されなかった。
また、シリカ粒子(105)の平均円形度(100/SF2)は0.98、シリカ粒子(105)の平均収縮率は0.02であった。
Claims (3)
- 第1のシリカ粒子と、
前記第1のシリカ粒子の表面に付着し、粒径が前記第1のシリカ粒子よりも小さく、前記粒径が前記第1のシリカ粒子の10%以上40%以下であり、平均円形度が0.7以上0.85以下である第2のシリカ粒子と
を有し、平均円形度が0.5以上0.75以下であり、体積平均粒径が100nm以上500nm以下であるシリカ粒子。 - アルコールを含む溶媒中に、0.8mol/L以上1.0mol/L以下の濃度でアルカリ触媒が含まれるアルカリ触媒溶液を準備する工程と、
前記アルカリ触媒溶液中に、前記アルカリ触媒を供給せずに、0.7mol/L以上1.8mol/L以下の濃度のテトラアルコキシシランを供給する工程と
を有するシリカ粒子の製造方法。 - 前記テトラアルコキシシランは、前記アルコールに対して、0.001mol/(mol・min)以上0.010mol/(mol・min)以下の供給速度で、前記アルカリ触媒溶液中に供給する請求項2に記載のシリカ粒子の製造方法。
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