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JP5857006B2 - 有機エレクトロルミネッセント素子及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセント素子及び照明装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセント(EL:Electro-Luminescence)素子及び照明装置に関する。
有機EL素子は、対向する陽極と陰極との間に有機化合物からなる発光層を有する自己発光型素子であり、陰極と陽極との間に電圧を印加したときに、陰極側から発光層に注入された電子と、陽極側から発光層に注入された正孔(ホール)とが、発光層内で再結合することによって生じた励起子(エキシトン)により発光する。
イーストマンコダック社のTangらは、この有機EL素子の高効率化のため、キャリア輸送性の異なる有機化合物を積層し、電子及び正孔がそれぞれ陰極及び陽極よりバランス良く注入される構造とし、陰極と陽極との間に挟み込まれた有機層の層厚を2000Å以下とすることで、10V以下の印加電圧で1000cd/mと外部量子効率1%の実用化に十分な高輝度及び高効率を得ることに成功した(非特許文献1を参照。)。
また、Tangらの特許の中での記載によれば、陰極と陽極との間に挟み込まれた有機層全体の層厚を1μm以下とすることで、より低い印加電圧によって発光できるデバイスを提供できるとしている。好ましくは有機層の層厚を1000Å〜5000Åの範囲とすれば、25V以下の印加電圧で発光を得るのに有用な電場(V/cm)を得られるとされている(特許文献1〜6を参照。)。
有機EL素子は、このようなTangらが示した素子構造を基礎として発展してきた。また、有機EL素子の素子構造としては、少なくとも1層以上の発光層を含む発光ユニットを1つの単位とし、この発光ユニットを陰極と陽極との間で直列に接続し得るように複数積層したタンデム構造の有機EL素子が開発されている(特許文献7,8を参照。)。
このタンデム構造の有機EL素子は、上述した低電圧であるにもかかわらず大電流を必要としたTangらの有機EL素子の構造では実現できなかった長寿命化や高輝度化、大面積での均一発光を可能とする技術として注目されている。
さらに、複数の発光ユニットの間に電気絶縁性の電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)が配置されたマルチフォトンエミッション(MPE:MultiPhoton Emission)構造の有機EL素子が開発されている(特許文献9,10を参照。)。このMPE構造の有機EL素子では、陰極と陽極との間に電圧を印加したときに、電荷移動錯体中の電荷が、それぞれ陰極側及び陽極側に向かって移動することにより、電荷発生層を挟んで陰極側に位置する一の発光ユニットに正孔を注入し、電荷発生層を挟んで陽極側に位置する他の発光ユニットに電子を注入する。これにより、同じ電流量のまま複数の発光ユニットからの発光が同時に得られるため、発光ユニットの個数倍相当の電流効率及び外部量子効率を得ることが可能である。
上述した有機EL素子は、高速度での発光の切り換えが可能であり、素子構造が簡単で薄型化が可能であるなどの特性を有している。有機EL素子は、このような優れた特性を活かして、例えば携帯電話や車載機器などの表示装置に応用されている。さらに、近年では、薄型面発光という特性を活かして、例えば液晶ディスプレイのバックライトや一般照明などの照明装置としても注目されている。
ところで、有機EL素子を照明装置に応用する場合は、演色性の高い白色光を得る必要がある。有機EL素子で白色光を得る方法としては、補色の関係にある2色の発光材料、例えば青色発光層と黄色発光層とが発する光を混色して白色を得る方法や、赤色、青色、緑色の3つの発光層が発する光を混色して白色を得る方法などがある。その中でも、赤色、青色、緑色の3つの発光層が発する光を混色する方法が、演色性の高い白色光を得るのに適している(特許文献11,12を参照。)。
しかしながら、従来の有機EL素子では、演色性の高い白色光を得る観点から、赤色、緑色、青色の3つの発光層が発光することで得られる白色光の発光スペクトルが必ずしも十分に制御されたものとは言えなかった。すなわち、従来の有機EL素子は、照明装置の光源として必ずしも充分な性能を有するものではなかった。
また、一般照明の中には、照明光の照度を調整(調光という。)できる照明装置や、照明光の発光色を調整(調色という。)できる照明装置がある。一般照明では、その用途や好み等に合わせて照明光の発光色を選ぶことが可能である。例えば、「JIS Z 9112」には、色温度が高い方から順に、昼光色(D)、昼白色(N)、白色(W)、温白色(WW)、電球色(L)といった白色光の色度範囲が規定されている。
したがって、調色可能な有機EL素子とするためには、上述した白色光を得る際の各色光の混色する割合を可変に調整することが求められる。しかしながら、従来の有機EL素子では、陰極と陽極との間にある各色光に対応した複数の発光ユニットを同時に発光させることができるものの、各発光ユニットが発する光の割合を個別に制御することは不可能である。
これに対して、陰極と陽極との間に発光ユニットが配置された素子構造を絶縁層を介して積層したスタック型有機発光デバイス(特許文献13)や、そのような素子構造を並列に並べた自発光表示装置(特許文献14,15)が提案されている。このような構成では、各素子構造を独立に駆動できるため、これら素子構造が発する光の割合を個別に制御することが可能である。
しかしながら、これら特許文献13,14,15に記載の発明は、何れも赤色光、緑色光、青色光の混色する割合を調整する構成である。このため、例えば照明光の発光色を色温度の高い昼光色(D)から色温度の低い電球色(L)まで調色する場合には、赤色光、青色光、緑色光の何れかの発光量を下げる方向に調整を行わなければならない。
例えば、赤色光、緑色光、青色光の発光量が最大となるときの照明光の発光色を色温度の高い昼光色(D)とし、色温度の低い電球色(L)に向けて調色を行う場合は、主に青色光や緑色光の発光量を下げる方向に調整が行われる。この場合、照明光の全体の発光量(輝度)は、昼光色(D)のときよりも電球色(L)のときの方が低くなる。
一方、赤色光、緑色光、青色光の発光量が最大となるときの照明光の発光色を色温度の低い電球色(L)とし、色温度の高い昼光色(D)に向けて調色を行う場合は、主に赤色光の発光量を下げる方向に調整が行われる。この場合、照明光の全体の発光量(輝度)は、電球色(L)のときよりも昼光色(D)のときの方が低くなる。
したがって、何れの場合も、照明光の高輝度化及び高効率化を図る上で不利となってしまう。特に、人間の目の視感度は、緑色光>赤色光>青色光の順で低くなる。このことから、赤色光の発光量を下げる方向に調整が行われると、人間の目には照明光の照度が低下したように認識されてしまう虞がある。
また、上述した調色後に照明光の照度が低下する側の発光色において、照明光の照度を下げる方向に調整(調光)が行われた場合には、赤色光、緑色光、青色光の各色光の発光量をそれぞれ等しく下げることになる。
この場合、発光量が最も小さい色光の発光量を基準にして、各色光の発光量を下げることになり、照明光の調光の幅が狭くなる虞がある。また、発光量が最も小さい色光の発光量が不足してしまうと、照明光の照度を下げたときに、発光色を維持できなくなる虞もある。
特開昭59−194393号公報 特開昭63−264692号公報 特開平2−15595号公報 米国特許第4,539,507号明細書 米国特許第4,769,292号明細書 米国特許第4,885,211号明細書 特開平11−329748号公報 特開2003−45676号公報 特開2003−272860号公報 特開2006−24791号公報 特開2006−287154号公報 特開2009−224274号公報 特表2001−511296号公報 特開2006−140444号公報 特開2006−202685号公報
Appl.Phys.Lett.,51,913(1987).
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、照明光の高輝度化及び高効率化を図ると共に、照明光の調色や調光に対応可能とし、調色や調光を行った場合でも演色性の高い照明光を得ることができる有機エレクトロルミネッセント素子、並びに、そのような有機エレクトロルミネッセント素子を備えた照明装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
(1)第1の陰極と第1の陽極との間に、少なくとも有機化合物からなる発光層を含む1つ又は複数の発光ユニットが配置された第1の素子構造と、
第2の陰極と第2の陽極との間に、少なくとも有機化合物からなる発光層を含む1つ又は複数の発光ユニットが配置された第2の素子構造とを備え、
前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とは、それぞれ独立に駆動されるものであって、
前記第1の素子構造は、駆動時に白色光を発光させ、
前記第2の素子構造は、駆動時に橙色光を発光させ、
前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とを同時に駆動させたときに得られる白色光の相関色温度が、前記第1の素子構造のみを駆動させたときに得られる白色光の相関色温度と異なり、
前記第1の素子構造の駆動による白色光の発光を維持したまま、前記第2の素子構造の駆動により発光される橙色光の発光量を上げていくことで、昼白色から電球色に向けて照明光の発光色を変化させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
(2)前記第2の素子構造による前記橙色光の発光効率が、前記第1の素子構造による前記白色光の発光効率よりも高いことを特徴とする前記(1)に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(3)前記第1の素子構造は、前記赤色波長域に1つのピーク波長を有する赤色光を発する赤色発光層と、前記緑色波長域に1つのピーク波長を有する緑色光を発する緑色発光層とを含む第1の発光ユニットと、
前記青色波長域に少なくとも1つ以上のピーク波長を有する青色光を発する青色発光層を含む第2の発光ユニットとを有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(4)前記第1の素子構造は、前記第1の陽極から前記第1の陰極に向かって、前記第2の発光ユニットと、前記第1の発光ユニットとが、この順で積層されたことを特徴とする前記(3)に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(5)前記第2の素子構造は、黄色光を発する黄色発光層と、赤色光を発する赤色発光層とを含む第3の発光ユニットを有することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(6)前記第2の素子構造は、緑色光を発する緑色発光層と、赤色光を発する赤色発光層とを含む第3の発光ユニットを有することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(7)前記第2の素子構造は、駆動時に500〜680nmの範囲に少なくとも1つ以上のピーク波長を有する橙色光を発光させることを特徴とする(5)又は(6)に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(8)前記基板の上に、前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とが絶縁層を介して積層されていることを特徴とする前記(1)〜(7)の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(9)前記基板の上に、前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とが並んで配置されていることを特徴とする前記(1)〜(7)の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(10)前記複数の発光ユニットが電荷発生層を挟んで積層された構造を有することを特徴とする前記(1)〜(9)の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(11)前記電荷発生層は、電子受容性物質と電子供与性物質とから構成される電気的絶縁層からなり、この電気的絶縁層の比抵抗が1.0×10Ω・cm以上であることを特徴とする前記(10)に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
(12)前記電気的絶縁層の比抵抗が1.0×10Ω・cm以上であることを特徴とする前記(10)に記載の有機エレクトロルミネッセント素子
(13)前記電荷発生層は、前記電子受容性物質と前記電子供与性物質との積層体からなり、
前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加したときに、前記電子受容性物質と前記電子供与性物質との界面において、これら電子受容性物質と電子供与性物質との間での電子移動を伴う反応により発生した電荷が、それぞれ前記陰極側及び前記陽極側に向かって移動することにより、前記電荷発生層を挟んで前記陰極側に位置する一の発光ユニットに正孔を注入し、前記電荷発生層を挟んで前記陽極側に位置する他の発光ユニットに電子を注入することを特徴とする前記(10)に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
14)前記(1)〜(13)の何れか一項に有機エレクトロルミネッセント素子を備える照明装置。
以上のように、本発明によれば、照明光の高輝度化及び高効率化を図ると共に、照明光の調色や調光に対応可能とし、調色や調光を行った場合でも演色性の高い照明光を得ることができる有機エレクトロルミネッセント素子、並びに、そのような有機エレクトロルミネッセント素子を備えた照明装置を提供することが可能である。
図1は、本発明を適用した有機EL素子の一構成例を示す断面図である。 図2は、図1に示す有機ELを駆動制御する駆動制御回路の一例を示すブロック図である。 図3は、第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルの一例を示すグラフである。 図4は、実施例1における有機EL素子の素子構造を示す構成図である。 図5は、実施例1及び実施例2における第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルを示すグラフである。 図6は、実施例1における第2の素子構造が発光する橙色光の発光スペクトルを示すグラフである。 図7は、実施例1における有機EL素子の色調可変時の特性を示す色度図である。 図8は、実施例2における有機EL素子の素子構造を示す構成図である。 図9は、実施例2における第2の素子構造が発光する橙色光の発光スペクトルを示すグラフである。 図10は、実施例2における有機EL素子の色調可変時の特性を示す色度図である。
以下、本発明を適用した有機エレクトロルミネッセント(EL)素子及び照明装置について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明を適用した有機EL素子1の一構成例を示す断面図である。
有機EL素子1は、図1に示すように、基板2の上に、第1の素子構造3と第2の素子構造4とが層間絶縁層5を介して積層された構造を有している。
図1に示す有機EL素子1は、基板2側から順に、第1の素子構造3と、層間絶縁層5と、第2の素子構造4とが積層された構造を有している。一方、本発明を適用した有機EL素子1は、図示を省略するものの、基板2側から順に、第2の素子構造4と、層間絶縁層5と、第1の素子構造3とが積層された構造であってもよい。
第1の素子構造3と第2の素子構造4とは、それぞれ独立に駆動されるものである。このうち、第1の素子構造3は、駆動時に少なくとも380〜780nmの波長域に亘って連続した発光スペクトルを有する白色光を発光させる。一方、第2の素子構造4は、駆動時に500〜680nmの波長域に少なくとも1つ以上のピーク波長を有する橙色光を発光させる。
図1に示す有機EL素子1は、基板2側から照明光となる白色光及び橙色光を取り出す、いわゆるボトムエミッション構造を有している。この場合、基板2には、例えばガラスや透明樹脂などの光透過性を有する基材を用いることが好ましい。一方、本発明を適用した有機EL素子1は、図示を省略するものの、基板2とは反対側から照明光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造であってもよい。トップエミッション構造の場合は、基板2に光透過性を有する基材を用いる必要はない。
第1の素子構造3は、第1の陽極6と第1の陰極7との間に、少なくとも有機化合物からなる発光層を含む1つ又は複数の発光ユニットが配置された構造を有している。具体的に、この第1の素子構造3は、第1の陽極6と第1の陰極7との間で、第1の発光ユニット21と第2の発光ユニット22とが電荷発生層(CGL)24を挟んで積層されたMPE構造を有している。
図1に示す第1の素子構造3は、第1の陽極6から第1の陰極7に向かって、第1の発光ユニット21と、電荷発生層24と、第2の発光ユニット22とが、この順で積層された構造を有している。一方、第1の素子構造3は、図示を省略するものの、第1の陽極6から第1の陰極7に向かって、第2の発光ユニット22と、電荷発生層(CGL)24と、第1の発光ユニット21とが、この順で積層された構造であってもよい。
第1の陽極6は、例えばITO(インジウム・すず酸化物)やIZO(インジウム・亜鉛酸化物)などの透明導電材料を用いて、基板2の面上に矩形状に形成されている。
第1の陰極7は、例えばITO(インジウム・すず酸化物)やIZO(インジウム・亜鉛酸化物)などの透明導電材料を用いて、第1の発光ユニット21(第1の発光ユニット21と第2の発光ユニット22との配置が逆転している場合は、第2の発光ユニット22)の面上に矩形状に形成されている。また、第1の陰極7は、第1の陽極6に対応した形状を有し、且つ、第1の陽極6と平面視で重なる位置に設けられている。
第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22は、従来公知の有機EL素子と同様に種々の構造を採用することができ、少なくとも有機化合物からなる発光層を含むものであれば、如何なる積層構造を有していてもよい。例えば、第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22では、発光層の第1の陽極6側に、正孔輸送層や正孔注入層等を配置する一方、発光層の第1の陰極7側に、電子輸送層や電子注入層等を配置することが可能である。
電子輸送層は、従来公知の電子輸送性物質を用いて形成すればよく、一般に有機EL素子に用いられる電子輸送性物質のなかでも良好な電子輸送性を有することに加え、キャリアバランスの整合を図るためには、ホールブロックの機能を有していることが望ましい。具体的には、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の値が6.0eV以上の準位を有する電子輸送性物質を用いることが好ましい。電子注入層は、第1の陰極7若しくは電荷発生層24から電子の注入効率を向上させるために、第1の陰極7と電子輸送層との間、若しくは電荷発生層24と第1の陽極6側に位置する電子輸送層との間に挿入するものであり、一般的には、電子輸送層と同様な性質を有する電子輸送性物質が使用される。電子輸送層と電子注入層をまとめて、電子輸送層と呼ぶ場合もある。
正孔輸送層は、従来公知の正孔輸送性物質を用いて形成すればよく、特に制限はないが、例えばHOMOが5.7eVより小さく、正孔輸送性、即ち電子供与性を有する有機化合物(電子供与性物質)を用いるのが好ましい。正孔注入層は、第1の陽極6若しくは電荷発生層24から正孔の注入効率を向上させるために、第1の陽極6と正孔輸送層との間、若しくは電荷発生層24と第1の陰極7側に位置する正孔輸送層との間に挿入するものであり、一般的には、正孔輸送層と同様な性質を有する電子供与性物質が使用される。正孔輸送層と正孔注入層をまとめて、正孔輸送層と呼ぶ場合もある。
第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22を構成する各層の成膜方法については、例えば真空蒸着法やスピンコート法などを用いることができる。また、上述した電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層などに用いられる材料についても、従来公知のものを使用することが可能である。
第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22を構成する発光層については、補色の関係にある2つの発光層、例えば青色発光層と黄色発光層とを含むものを用いることができる。この場合、2つの発光層が発する光を混色して白色光を発光させることができる。また、赤色発光層と緑色発光層と青色発光層との3つの発光層を含むものを用いることができる。この場合、3つの発光層が発する光を混色して白色光を発光させることができる。
第1の素子構造3では、演色性の高い発光スペクトルを有する白色光を得るため、例えば、赤色発光層と緑色発光層とを含む第1の発光ユニット21と、青色発光層を含む第2の発光ユニット22とを電荷発生層24を介して積層した構造とすることが好ましい。
具体的に、第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22を構成する赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層は、有機化合物として、通常は主成分であるホスト材料と、少量成分であるゲスト材料とを含み、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層の発光は、特にゲスト材料の性質に起因する。
ゲスト材料は、ドーパント材料とも呼ばれ、このゲスト材料に蛍光発光を利用するものは、通常、蛍光発光材料と呼ばれており、この蛍光発光材料で構成される発光層のことを蛍光発光層と呼ぶ。一方、ゲスト材料に燐光発光を利用するものは、通常、燐光発光材料と呼ばれており、この燐光発光材料で構成される発光層のことを燐光発光層と呼ぶ。
このうち、燐光発光層では、電子と正孔の再結合により生じた75%の三重項励起子に加え、一重項励起子からのエネルギー移動により生成した25%分の三重項励起子も利用できるため、理論上は、100%の内部量子効率が得られる。すなわち、電子と正孔の再結合により生じた励起子が、発光層内で熱失括等を生じることなく光に変換される。実際に、イリジウムや白金等の重原子を含む有機金属錯体では、素子構造の最適化等によって100%に近い内部量子効率を達成している。
燐光発光層のゲスト材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、赤色燐光発光層としては、Ir(piq)やIr(btpy)等の赤色燐光発光材料を用いることができる。また、具体的な赤色燐光発光材料としては、例えば、シグマアルドリッチ社製の688118−250MGや680877−250MG等を使用することができる。一方、緑色燐光発光層としては、Ir(ppy)等の緑色燐光発光材料を用いることができる。また、具体的な緑色燐光発光材料としては、例えば、シグマアルドリッチ社製の694924−250MG等を使用することができる。
赤色燐光発光層及び緑色燐光発光層のホスト材料としては、電子輸送性の材料、ホール輸送性の材料、又は両者を混合したものなどを使用することができる。具体的には、例えば、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−9,10−フェナントロリン(BCP)等を用いることができる。
一方、青色発光層のホスト材料及びゲスト材料については、例えば「国際公開第2012/053216号公報」の段落[0052]〜[0061]に記載される青色蛍光発光材料を用いることができる。また、ゲスト材料としては、例えば、スチリルアミン化合物、フルオランテン化合物、アミノピレン化合物、ホウ素錯体等を用いることができる。
本発明では、素子寿命の向上、並びに高演色性の実現などの観点から、青色発光層のゲスト材料については、青色蛍光発光材料を用いることが好ましい。一方、青色蛍光発光層の代わりに、青色燐光発光層を用いる場合は、Ir(Fppy)等の青色燐光発光材料を用いることができる。また、具体的な青色燐光発光材料としては、例えば、シグマアルドリッチ社製の682594−250MG等を使用することができる。
電荷発生層24は、電子受容性物質と電子供与性物質とから構成される電気的絶縁層からなり、この電気的絶縁層の比抵抗が1.0×10Ω・cm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0×10Ω・cm以上である。
また、電荷発生層24は、異なる物質の混合層からなり、その一成分が金属酸化物であり、この金属酸化物が酸化還元反応による電荷移動錯体を形成しているものであってもよい。
この場合、第1の陽極6と第1の陰極7との間に電圧を印加したときに、電荷移動錯体中の電荷が、それぞれ第1の陽極6側及び第1の陰極7側に向かって移動する。これにより、電荷発生層24を挟んで第1の陽極6側に位置する第1の発光ユニット21に電子が注入される。一方、電荷発生層24を挟んで第1の陰極7側に位置する第2の発光ユニット22に正孔が注入される。(第1の発光ユニット21と第2の発光ユニット22との配置が逆転している場合は、電荷発生層24を挟んで第1の陽極6側に位置する第2の発光ユニット22に電子が注入される。一方、電荷発生層24を挟んで第1の陰極7側に位置する第1の発光ユニット21に正孔が注入される。)
MPE構造では、同じ電流量のまま第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22からの発光が同時に得られるため、これら第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22の個数倍相当の電流効率及び外部量子効率を得ることが可能である。
電荷発生層24は、電子受容性物質と電子供与性物質との積層体からなるものであってもよい。この場合、第1の陽極6と第1の陰極7との間に電圧を印加したときに、電子受容性物質と電子供与性物質との界面において、これら電子受容性物質と電子供与性物質との間での電子移動を伴う反応により電荷が発生する。そして、この電荷が、それぞれ第1の陽極6側及び第1の陰極7側に向かって移動する。これにより、電荷発生層24を挟んで第1の陽極6側に位置する第1の発光ユニット21に電子が注入される。一方、電荷発生層24を挟んで第1の陰極7側に位置する第2の発光ユニット22に正孔が注入される。(第1の発光ユニット21と第2の発光ユニット22との配置が逆転している場合は、電荷発生層24を挟んで第1の陽極6側に位置する第2の発光ユニット22に電子が注入される。一方、電荷発生層24を挟んで第1の陰極7側に位置する第1の発光ユニット21に正孔が注入される。)
このような電荷発生層24を構成する具体的な材料については、例えば、上記特許文献9に記載される材料を用いることができ、その中でも段落[0019]〜[0021]に記載の材料を好適に用いることができる。さらに、「国際公開2010/113493号公報」の段落[0023]〜[0026]に記載の材料を用いることができ、その中でも特に、段落[0059]に記載される強電子受容性物質(HATCN6)は、近年、電荷発生層24によく使用される材料である。
第2の素子構造4は、第2の陽極9と第2の陰極10との間に、少なくとも有機化合物からなる発光層を含む第3の発光ユニット23が配置された構造を有している。
第2の陽極9は、例えばITO(インジウム・すず酸化物)やIZO(インジウム・亜鉛酸化物)などの透明導電材料を用いて、層間絶縁層5の面上に矩形状に形成されている。
第2の陰極10は、例えば金属材料を用いて、第3の発光ユニット23の面上に矩形状に形成されている。第2の陰極10は、第2の陽極9に対応した形状を有し、且つ、第2の陽極9と平面視で重なる位置に設けられている。
第2の陰極10には、一般的に仕事関数の小さい金属又はその合金、金属酸化物等を用いることが好ましい。具体的には、例えば、Li等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属、Eu等の希土類金属などの金属単体、若しくは、これらの金属とAl、Ag、In等を含む合金などを用いることができる。
また、例えば「特開平10−270171号公報」や「特開2001−102175号公報」に開示されるように、第2の陰極10と有機層との界面に金属ドーピングされた有機層を用いた構成であってもよい。この場合、第2の陰極10に導電性材料を用いればよく、その仕事関数等の性質は別段、制限とはならない。
また、例えば「特開平11−233262号公報」や「特開2000−182774号公報」に開示されるように、第2の陰極10に接する有機層をアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンのうち少なくとも1種以上を含有する有機金属錯体化合物により構成してもよい。この場合、有機金属錯体化合物中に含有される金属イオンを真空中で金属に還元し得る金属、例えば、Al、Zr、Ti、Siなどの(熱還元性)金属、若しくはこれらの金属を含有する合金を第2の陰極10に用いることができる。この中でも特に、配線電極として一般に広く使用されているAlが、蒸着の容易さ、光反射率の高さ、化学的安定性等の観点から用いて好ましい。
また、例えば「特開2002−332567号公報」に開示された手法を用いて、有機膜に損傷の無いようなスパッタリング法によってITOの成膜を行う場合は、上記「特開平10−270171号公報」に開示されている金属ドーピングされた有機層を電子注入層に用いることで、上述したITOやIZOなどの透明導電材料を第2の陰極10に使用することもできる。
なお、上述したトップエミッション構造の場合は、第2の陰極10に第1の陰極6と同じ透明導電材料を用いることで、第2の陰極10側から照明光を取り出すことが可能である。
第3の発光ユニット23は、従来公知の有機EL素子と同様に種々の構造を採用することができ、少なくとも有機化合物からなる発光層を含むものであれば、如何なる積層構造を有していてもよい。例えば、第3の発光ユニット23では、発光層の第2の陽極9側に、正孔輸送層や正孔注入層等を配置する一方、発光層の第2の陰極10側に、電子輸送層や電子注入層等を配置することが可能である。
電子輸送層は、従来公知の電子輸送性物質を用いて形成すればよく、一般に有機EL素子に用いられる電子輸送性物質のなかでも良好な電子輸送性を有することに加え、キャリアバランスの整合を図るためには、ホールブロックの機能を有していることが望ましい。具体的には、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)の値が6.0eV以上の準位を有する電子輸送性物質を用いることが好ましい。電子注入層は、第2の陰極10若しくは電荷発生層24から電子の注入効率を向上させるために、第2の陰極10と電子輸送層との間に挿入するものであり、一般的には、電子輸送層と同様な性質を有する電子輸送性物質が使用される。電子輸送層と電子注入層をまとめて、電子輸送層と呼ぶ場合もある。
正孔輸送層は、従来公知の正孔輸送性物質を用いて形成すればよく、特に制限はないが、例えばHOMOが5.7eVより小さく、正孔輸送性、即ち電子供与性を有する有機化合物(電子供与性物質)を用いるのが好ましい。正孔注入層は、第2の陽極9から正孔の注入効率を向上させるために、第2の陽極9と正孔輸送層との間に挿入するものであり、一般的には、正孔輸送層と同様な性質を有する電子供与性物質が使用される。正孔輸送層と正孔注入層をまとめて、正孔輸送層と呼ぶ場合もある。
第3の発光ユニット23を構成する各層の成膜方法については、例えば真空蒸着法やスピンコート法などを用いることができる。また、上述した電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層などに用いられる材料についても、従来公知のものを使用することが可能である。
第3の発光ユニット23を構成する発光層については、黄色発光層と赤色発光層とを含むものを用いることができる。この場合、2つの発光層が発する光を混色して橙色光(黄赤色光)を発光させることができる。
また、第2の素子構造4では、図示を省略するものの、黄色発光層を含む第3の発光ユニットと、赤色発光層を含む第4の発光ユニットとを電荷発生層24を介して積層したMPE構造としてもよい。この場合、第3の発光ユニットが発する黄色光と、第4の発光ユニットが発する赤色光とを混色した橙色光(黄赤色光)を発光させることができる。
第3の発光ユニット23を構成する黄色発光層及び赤色発光層は、有機化合物として、通常は主成分であるホスト材料と、少量成分であるゲスト材料とを含み、黄色光及び赤色光の発光は、特にゲスト材料の性質に起因する。
黄色発光層及び赤色発光層のゲスト材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、赤色燐光発光層としては、例えば、Ir(piq)や、Ir(btpy)等の赤色燐光発光材料を用いることができる。一方、黄色燐光発光層としては、例えば、Ir(bzq)や、btIr(acac)等の黄色燐光発光材料を用いることができる。
赤色燐光発光層及び黄色燐光発光層のホスト材料としては、電子輸送性の材料、ホール輸送性の材料、又は両者を混合したものなどを使用することができる。具体的には、例えば、4,4’−ビスカルバゾリルビフェニル(CBP)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−9,10−フェナントロリン(BCP)等を用いることができる。
また、赤色蛍光発光層及び黄色蛍光発光層のゲスト材料としては、DCJTBやRubrene等をそれぞれ用いることができる。赤色蛍光発光層及び黄色蛍光発光層のホスト材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル(DPVBi)や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等を用いることができる。
第3の発光ユニット23を構成する発光層については、橙色発光層を含むものを用いてもよい。この場合、橙色発光層のゲスト材料については、上述した黄色発光層及び赤色発光層のゲスト材料を任意の割合で混合又は積層したものを用いることができる。また、橙色燐光発光層としては、例えば、pqIr(acac)や、C6Ir(acac)等の橙色燐光発光材料を用いることができる。また、橙色蛍光発光層としては、例えば、tert−ブチルルブレン(TBRb)等の橙色蛍光発光材料を用いることができる。さらに、上述した黄色発光層及び赤色発光層のゲスト材料と組み合わせて用いてもよい。
また、第3の発光ユニット23を構成する発光層については、上述した黄色発光層及び赤色発光層を含むものに限らず、緑色発光層及び赤色発光層を含むものを用いてもよい。すなわち、第3の発光ユニット23については、黄色発光層が発する黄色光と赤色発光層が発する赤色光とを混色して橙色光(黄赤色光)を得るものに限らず、緑色発光層が発する緑色光と赤色発光層が発する赤色光とを混色して橙色光(緑赤色光)を得るものであってもよい。
層間絶縁層5は、第1の陰極7と第2の陽極9との間を電気的に絶縁するものであり、例えば、スパッタリング法やCVD法などにより形成されるSiOやSiN、MgOなどの透明な絶縁材料を用いて、第1の陰極7の面上を覆うように形成されている。
また、素子発光面内における輝度のばらつきを抑制するためには、第1の陽極6、第2の陽極9及び第1の陰極7に対して、比抵抗が低い低抵抗材料からなる補助配線を導入する方式(参考文献:WO2011079815A)や、陽極及び陰極の引き出し部を追加することで、給電箇所を増やし、電圧降下を緩和する方式を組み合わせてもよい。また、第2の陰極10に透明導電材料を使用した場合にも、同様の方式を組み合わせてもよい。
以上のような構成を有する有機EL素子1では、第1の素子構造3と第2の素子構造4とをそれぞれ独立に駆動させることで、照明光(白色光)の色温度を可変に調整することが可能である。
具体的に、有機EL素子1を駆動制御する駆動制御回路(駆動制御手段)30の概略構成を図2に示す。
この駆動制御回路30は、図2に示すように、第1のPWM回路31と、第1の電源回路32と、第2のPWM回路33と、第2の電源回路34と、システムコントローラ35とを概略備えている。
第1のPWM回路31は、第1の陽極6及び第1の陰極7と電気的に接続されている。第1のPWM回路31は、第1の素子構造3をPWM制御により駆動する。
第1の電源回路32は、第1のPWM回路31と電気的に接続されたAC/DCコンバータからなる。第1の電源回路32は、外部の商用電源等から供給される交流電力を直流電力に変換した後、第1のPWM回路31を介して第1の素子構造3に供給する。
第2のPWM回路33は、第2の陽極9及び第2の陰極10と電気的に接続されている。第2のPWM回路33は、第2の素子構造4をPWM制御により駆動する。
第2の電源回路34は、第2のPWM回路33と電気的に接続されたAC/DCコンバータからなる。第2の電源回路34は、外部の商用電源等から供給される交流電力を直流電力に変換した後、第2のPWM回路33を介して第2の素子構造4に供給する。
システムコントローラ35は、第1のPWM回路31及び第1の電源回路32と、第2のPWM回路33及び第2の電源回路34と電気的に接続されたマイクロコンピュータ(CPU)等からなる。システムコントローラ35は、照明光の点灯/消灯、調光、調色などの操作に基づく命令に従って、第1のPWM回路31及び第1の電源回路32と、第2のPWM回路33及び第2の電源回路34との駆動を制御する。
有機EL素子1では、第1の素子構造3と第2の素子構造4とを同時に駆動させたときに得られる白色光の相関色温度は、第1の素子構造3のみを駆動させたときに得られる白色光の相関色温度と異なっている。
すなわち、駆動制御回路30により第1の素子構造3のみを駆動させた場合には、第1の素子構造3が発光する白色光を、色温度の高い照明光として射出することができる。一方、駆動制御回路30により第1の素子構造3と第2の素子構造4とを同時に駆動させた場合には、第1の素子構造3が発光する白色光と、第2の素子構造4が発光する橙色光とを混色した白色光を、色温度の低い照明光として射出することができる。
また、有機EL素子1では、駆動制御回路30により第2の素子構造4が発光する橙色光の発光量を調整しながら、白色光に対して橙色光を混色させる割合の違いによって、照明光の発光色を調整(調色)することができる。
例えば、「JIS Z 9112」には、色温度が高い方から順に、昼光色(D)、昼白色(N)、白色(W)、温白色(WW)、電球色(L)といった白色光の色度範囲が規定されている。本発明では、この中から選ばれる少なくとも2つ以上の色温度を有する白色光を照明光として発光させることができる。
例えば、第1の素子構造3の駆動により発光される白色光の発光色を昼光色(D)とし、第1の素子構造3の駆動による白色光の発光を維持したまま、第2の素子構造4の駆動により発光される橙色光の発光量を上げていくことで、昼白色(N)から電球色(L)に向けて照明光の発光色を変化させることが可能である。
この場合、白色光に対して橙色光の発光量を上げる方向に調整が行われるため、従来のような照明光の照度低下を防ぐことができる。また、色温度の高い昼光色(D)から色温度の低い電球色(L)まで照明光の演色性を維持することができる。
特に、第2の素子構造4による橙色光の発光効率を、第1の素子構造3による白色光の発光効率よりも高くすることで、照明光の高輝度化及び高効率化を図りつつ、演色性の高い照明光を得ることが可能である。
なお、照明光の調色については、照明光の発光色を段階的に切り替えるものや、照明光の発光色を連続的に切り替えるものであってもよい。
さらに、有機EL素子1では、駆動制御回路30により白色光の発光量と橙色光の発光量とを調整することで、照明光の照度を調整(調光)することができる。
この場合、白色光の発光量に合わせて、橙色光の発光量を調整できるため、従来のような照明光の発光色の違いによって、照明光の調光の幅が狭くなることを防ぐことができる。また、照明光の発光色を維持したまま、照明光の照度調整を適切に行うことができる。
本発明では、このような照明光の高輝度化及び高効率化を図ると共に、照明光の調色や調光に対応可能な有機EL素子1を、例えば一般照明などの照明装置の光源として好適に用いることが可能である。すなわち、この有機EL素子1を備える照明装置では、照明光の調色や調光を行った場合でも、演色性の高い照明光(白色光)による照明が可能である。
図3は、第1の素子構造3により得られる白色光の発光スペクトルの一例を示すグラフである。
第1の素子構造3が発光する白色光は、図3に示すように、いわゆる可視光として、少なくとも380〜780nmの波長域に亘って連続した発光スペクトルSを有している。
また、この発光スペクトルSは、600〜640nmの赤色波長域Rに1つのピーク波長pと、500〜540nmの緑色波長域Gに1つのピーク波長pと、440〜490nmの青色波長域Bに2つのピーク波長p,pとを有している。
また、赤色及び緑色波長域(500〜640nm)において、互いに隣接する2つのピーク波長p,pの間隔tは、60nm以上であることが好ましい。一方、緑色及び青色波長域(440〜540nm)において、互いに隣接する3つのピーク波長p,p,pの間隔t,tは、それぞれ15〜50nmであることが好ましい。
さらに、赤色及び緑色波長域(500〜640nm)において、互いに隣接する2つのピーク波長p,pの間にある1つのボトム波長bが、緑色及び青色波長域(440〜540nm)において、互いに隣接する3つのピーク波長p,p,pの間にある2つのボトム波長b,bのうち何れか一方よりも発光強度が低くなることが好ましい。(なお、図2では、ボトム波長bがボトム波長b,bよりも発光強度が低くなっている。)
これにより、有機EL素子1では、演色性の高い白色光を得ることが可能である。具体的に、この有機EL素子では、「JIS Z 9112」に規定される色度範囲のうち、昼光色(D)、昼白色(N)、白色(W)の何れかの光色に該当した白色光を得ることが可能である。また、この有機EL素子1では、平均演色評価数(Ra)が70以上(より好ましくは80以上)となる白色光を得ることが可能である。
第1の素子構造3では、上述した演色性の高い発光スペクトルSを有する白色光を得るため、第1の陽極6と第1の陰極7との間で、赤色波長域Rに1つのピーク波長pを有する赤色光を発する赤色発光層と、緑色波長域Gに1つのピーク波長pを有する緑色光を発する緑色発光層とを含む第1の発光ユニット21と、青色波長域Bに少なくとも1つ以上のピーク波長を有する青色光を発する青色発光層を含む第2の発光ユニット22とを積層した構造とすることが好ましい。
また、本発明では、上記青色発光層が発する青色光が2つのピーク波長p,pを有している。本発明では、主に照明装置への適用を意図していることから、演色性の高い白色光を得るために、青色波長域でのピーク波長が単一とならないように干渉設計を行っている。一方、ディスプレイ等の表示装置への適用を考えた場合、その色純度を向上させるため、1つのピーク波長を強調するように素子構造を設計する手法が用いられている。具体的には、光の干渉を利用して、ある波長で発光強度が極大となるように膜厚を設定する方法があるが、そのような方法を本発明に適用してもよい。
また、第2の素子構造4が発光する橙色光の発光色については、CIE1931xy色度座標におけるx値が0.45〜0.60、y値が0.40〜0.50の範囲にあることが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明を適用した照明装置では、上記有機EL素子1の光取り出し面側に、演色性を向上させるための光学フィルムを備えた構成とすることが可能である。
通常、演色性は、平均演色評価数(Ra)で評価されることが多く、この平均演色評価数(Ra)は、8種類の演色評価数(R1〜R8)の平均値で表されるものである。また、それ以外にも、赤色の色再現性を評価するR9や、西洋人の肌の色の再現性を評価するR13、日本人の肌の色の再現性を評価するR15などの特殊演色評価数がある。
本発明で用いられる光学フィルムは、上記発光スペクトルSのうち、540〜580nmの波長域に現れる窪み(ボトム波長b)をカバーし、演色性の更なる向上を図るためのものである。すなわち、この540〜580nmの波長域をカバーすることは、平均演色評価数(Ra)の向上はもとより、特殊演色評価数を向上させる上でも非常に効果的である。
また、有機EL素子では、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度)発光層の内部で発光し、この発光層が発する光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度で界面に入射する光は全反射を起こし、素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板の表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、「米国特許第4,774,435号明細書」を参照。)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、「特開昭63−314795号公報」を参照。)。素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、「特開平1−220394号公報」を参照。)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、「特開昭62−172691号公報」を参照。)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、「特開2001−202827号公報」を参照。)。基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(例えば、「特開平11−283751号公報」を参照。)などがある。
また、本発明を適用した照明装置では、上述した演色性の向上を図るために、上記光学フィルムの表面に更にマイクロレンズアレイ等を設けた構造としたり、集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めたりすることが可能である。さらに、有機EL素子からの光放射角を制御するために、光拡散フィルムを集光シートと併用して用いてもよい。このような光拡散フィルムとしては、例えば、きもと社製の光拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
また、本発明では、上記有機EL素子1を一般照明などの照明装置の光源として好適に用いることが可能であるが、一般照明用に限らず、様々な用途の照明装置に用いることが可能である。
なお、上記有機EL素子1では、上記図1に示す素子構造を好適に採用するものであるが、このような素子構造に必ずしも制限されるものではない。すなわち、本発明を適用した有機EL素子の素子構造としては、上述した演色性の高い照明光が得られるものであればよく、それに合わせて様々な素子構造や材料等を採用することが可能である。
また、上記有機EL素子1では、第1の素子構造3と第2の素子構造4とが層間絶縁層5を介して積層された構造となっているが、本発明を適用した有機EL素子では、第1の素子構造3と第2の素子構造4とが基板2の面内に並列に配列された構造とすることも可能である。この場合、基板2上において、例えば第1の素子構造3と第2の素子構造4とを任意の割合でストライプ状又はドット状に並べて配置した構造とすればよい。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、実際に図4に示すような素子構造を有する有機EL素子を作製した。なお、図4は、実施例1における有機EL素子の素子構造を示す構成図である。
実施例1における有機EL素子では、図4に示すように、基板(図示せず。)の上に、駆動時に白色光を発光させる第1の素子構造と、駆動時に橙色光(黄赤色光)を発光させる第2の素子構造とを並べて配置した。
このうち、第1の素子構造は、基板の上に、厚さ150nmの陽極と、厚さ105nmの正孔輸送層と、厚さ25nmの青色発光層と、厚さ25nmの電子輸送層と、厚さ6.3nmの電荷発生層と、厚さ30nmの正孔輸送層と、厚さ10nmの赤色発光層と、厚さ20nmの緑色発光層と、厚さ50nmの電子輸送層と、厚さ100nmの陰極とが、順次積層された構造を有している。また、青色発光層中における発光材料の割合は3質量%、赤色発光層中における発光材料の割合は2質量%、緑色発光層中における発光材料の割合は20質量%である。
一方、第2の素子構造は、基板の上に、厚さ150nmの陽極と、厚さ70nmの正孔輸送層と、厚さ10nmの赤色発光層と、厚さ20nmの黄色発光層と、厚さ51nmの電子輸送層と、厚さ100nmの陰極とが、順次積層された構造を有している。また、赤色発光層中における発光材料の割合は2質量%、黄色発光層中における発光材料の割合は10質量%である。
具体的に、この実施例1の有機EL素子を作製する際は、先ず、厚さ0.7mmのソーダライムガラス基板を用意した。この基板の一面には、厚さ300nm、幅2mm、シート抵抗約10Ω/sqのIT〇膜が成膜されている。そして、この基板を、中性洗剤、イオン交換水、アセトン、イソプロピルアルコールで各5分間の超音波洗浄を行った後、スピン乾燥し、更に、この基板にUV/O処理を施した。
次に、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼ(タンタル製又はアルミナ製)の各々に、図4に示す第1の素子構造を構成する各層の構成材料を充填した。そして、上記基板を真空蒸着装置にセットし、真空度1×10−4Pa以下の減圧雰囲気下で、蒸着用るつぼに通電して加熱し、各層を蒸着速度0.1nm/秒の蒸着速度で所定の膜厚で蒸着した。また、発光層など2つ以上の材料からなる層は、所定の混合比で形成されるように、蒸着用るつぼに通電を行い共蒸着した。また、陰極は0.1〜1nm/秒程度の蒸着速度で所定の膜厚で蒸着した。これにより、第1の素子構造を得た。
次に、第1の素子構造を作製した場合と同様に、図4に示す第2の素子構造を構成する各層の構成材料を用いて、第2の素子構造を得た。
以上のように作製された第1の素子構造と第2の素子構造とを、10インチの積分球(Labsphere製)内に並列に配置し、各々の素子構造に計測器ドライバ(KEITHLEY2425)をそれぞれ接続した。
そして、第1の素子構造には、3mA/cmの定電流を通電した。一方、第2の素子構造には、0〜6mA/cmの範囲で電流密度を変化させて通電した。このとき第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルと、第2の素子構造が発光する橙色光(黄赤色光)の発光スペクトルとを、それぞれマルチチャネル分光器(オーシャンオプティクス製USB2000)により測定した。その測定結果を図5及び図6に示す。なお、図5は、第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルを示し、図6は、第2の素子構造が発光する橙色光(黄赤色光)の発光スペクトルを示す。
次に、この測定結果に基づき、第1の素子構造及び第2の素子構造における全光束値及び発光効率(lm/W)を算出した。また、これらの特性値の比較を簡略化するため、第1の素子構造における全光束値、消費電力及び発光効率をそれぞれ1としたときの第2の素子構造における全光束値及び発光効率の相対値を算出した。
次に、第1の素子構造を電流密度3mA/cmにて駆動した状態にて、第2の素子構造の駆動電流密度を0〜6mA/cmの範囲にて駆動させた際に得られた全光束値、消費電力及び発光効率について、第1の素子構造の各特性をそれぞれ1とした際の相対値にて算出した。
また、図5に示す第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルと、図6に示す第2の素子構造が発光する橙色光(黄赤色光)の発光スペクトルとに基づいて、それぞれの発光色をCIE表色系の色度座標で評価した。さらに、この色度座標に基づいて、発光色を「JIS Z 9112」に規定される光源色に区分した。また、「JIS Z 8725」の規定に基づき、黒体軌跡からの偏差duvを導出した。また、発光色の平均演色評価数(Ra)、並びに特殊演色評価数(R9)を、「JIS Z 8726」に規定される方法によって導出した。これらをまとめた評価結果を表1に示す。また、これらをまとめた色度図を図7に示す。
Figure 0005857006
表1及び図7に示すように、実施例1の有機EL素子では、照明光の調色を行った場合でも、演色性の高い照明光を得ることが可能である。
(実施例2)
実施例2では、実際に図8に示すような素子構造を有する有機EL素子を作製した。なお、図8は、実施例2における有機EL素子の素子構造を示す構成図である。
実施例2における有機EL素子では、図8に示すように、基板(図示せず。)の上に、駆動時に白色光を発光させる第1の素子構造と、駆動時に橙色光(緑赤色光)を発光させる第2の素子構造とを並べて配置した。
このうち、第1の素子構造は、実施例1の第1の素子構造と同じである。すなわち、基板の上に、厚さ150nmの陽極と、厚さ105nmの正孔輸送層と、厚さ25nmの青色発光層と、厚さ25nmの電子輸送層と、厚さ6.3nmの電荷発生層と、厚さ30nmの正孔輸送層と、厚さ10nmの赤色発光層と、厚さ20nmの緑色発光層と、厚さ50nmの電子輸送層と、厚さ100nmの陰極とが、順次積層された構造を有している。また、青色発光層中における発光材料の割合は3質量%、赤色発光層中における発光材料の割合は2質量%、緑色発光層中における発光材料の割合は20質量%である。
一方、第2の素子構造は、基板の上に、厚さ150nmの陽極と、厚さ80nmの正孔輸送層と、厚さ10nmの赤色発光層と、厚さ20nmの緑色発光層と、厚さ51nmの電子輸送層と、厚さ100nmの陰極とが、順次積層された構造を有している。また、赤色発光層中における発光材料の割合は2質量%、緑色発光層中における発光材料の割合は10質量%である。
この実施例2の有機EL素子を作製する工程については、実施例1と同様の方法を用いているため、その説明を省略するものとする。
以上のように作製された第1の素子構造と第2の素子構造とを、10インチの積分球(Labsphere製)内に並列に配置し、各々の素子構造に計測器ドライバ(KEITHLEY2425)をそれぞれ接続した。
そして、実施例1と同じ条件にて通電させたときの第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルと、第2の素子構造が発光する橙色光(緑赤色光)の発光スペクトルとを、それぞれマルチチャネル分光器(オーシャンオプティクス製USB2000)により測定した。このうち、第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルは、上記図5に示す場合と同じである。一方、第2の素子構造が発光する橙色光(緑赤色光)の発光スペクトルを図9に示す。
次に、この測定結果に基づき、第1の素子構造及び第2の素子構造における全光束値及び発光効率(lm/W)を算出した。また、これらの特性値の比較を簡略化するため、第1の素子構造における全光束値、消費電力及び発光効率をそれぞれ1としたときの第2の素子構造における全光束値及び発光効率の相対値を算出した。
次に、第1の素子構造を電流密度3mA/cmにて駆動した状態にて、第2の素子構造の駆動電流密度を0〜6mA/cmの範囲にて駆動させた際に得られた全光束値、消費電力及び発光効率について、第1の素子構造の各特性をそれぞれ1とした際の相対値にて算出した。
また、図5に示す第1の素子構造が発光する白色光の発光スペクトルと、図9に示す第2の素子構造が発光する橙色光(緑赤色光)の発光スペクトルとに基づいて、それぞれの発光色をCIE表色系の色度座標で評価した。さらに、この色度座標に基づいて、発光色を「JIS Z 9112」に規定される光源色に区分した。また、「JIS Z 8725」の規定に基づき、黒体軌跡からの偏差duvを導出した。また、発光色の平均演色評価数(Ra)、並びに特殊演色評価数(R9)を、「JIS Z 8726」に規定される方法によって導出した。これらをまとめた評価結果を表2に示す。また、これらをまとめた色度図を図10に示す。
Figure 0005857006
表2及び図10に示すように、実施例2の有機EL素子では、照明光の調色を行った場合でも、演色性の高い照明光を得ることが可能である。
1…有機EL素子 2…基板 3…第1の素子構造 4…第2の素子構造 5…層間絶縁層 6…第1の陽極 7…第1の陰極 9…第2の陽極 10…第2の陰極 21…第1の発光ユニット 22…第2の発光ユニット 23…第3の発光ユニット 24…電荷発生層(CGL) 31…第1のPWM回路 32…第1の電源回路 33…第2のPWM回路 34…第2の電源回路 35…システムコントローラ
S…発光スペクトル R…赤色波長域 G…緑色波長域 B…青色波長域 p,p,p,p…ピーク波長 b,b,b…ボトム波長

Claims (14)

  1. 第1の陰極と第1の陽極との間に、少なくとも有機化合物からなる発光層を含む1つ又は複数の発光ユニットが配置された第1の素子構造と、
    第2の陰極と第2の陽極との間に、少なくとも有機化合物からなる発光層を含む1つ又は複数の発光ユニットが配置された第2の素子構造とを備え、
    前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とは、それぞれ独立に駆動されるものであって、
    前記第1の素子構造は、駆動時に白色光を発光させ、
    前記第2の素子構造は、駆動時に橙色光を発光させ、
    前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とを同時に駆動させたときに得られる白色光の相関色温度が、前記第1の素子構造のみを駆動させたときに得られる白色光の相関色温度と異なり、
    前記第1の素子構造の駆動による白色光の発光を維持したまま、前記第2の素子構造の駆動により発光される橙色光の発光量を上げていくことで、昼白色から電球色に向けて照明光の発光色を変化させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
  2. 前記第2の素子構造による前記橙色光の発光効率が、前記第1の素子構造による前記白色光の発光効率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  3. 前記第1の素子構造は、前記赤色波長域に1つのピーク波長を有する赤色光を発する赤色発光層と、前記緑色波長域に1つのピーク波長を有する緑色光を発する緑色発光層とを含む第1の発光ユニットと、
    前記青色波長域に少なくとも1つ以上のピーク波長を有する青色光を発する青色発光層を含む第2の発光ユニットとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  4. 前記第1の素子構造は、前記第1の陽極から前記第1の陰極に向かって、前記第2の発光ユニットと、前記第1の発光ユニットとが、この順で積層されたことを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  5. 前記第2の素子構造は、黄色光を発する黄色発光層と、赤色光を発する赤色発光層とを含む第3の発光ユニットを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  6. 前記第2の素子構造は、緑色光を発する緑色発光層と、赤色光を発する赤色発光層とを含む第3の発光ユニットを有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  7. 前記第2の素子構造は、駆動時に500〜680nmの範囲に少なくとも1つ以上のピーク波長を有する橙色光を発光させることを特徴とする請求項5又は6に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  8. 前記基板の上に、前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とが絶縁層を介して積層されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  9. 前記基板の上に、前記第1の素子構造と前記第2の素子構造とが並んで配置されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  10. 前記複数の発光ユニットが電荷発生層を挟んで積層された構造を有することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  11. 前記電荷発生層は、電子受容性物質と電子供与性物質とから構成される電気的絶縁層からなり、この電気的絶縁層の比抵抗が1.0×10Ω・cm以上であることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  12. 前記電気的絶縁層の比抵抗が1.0×10Ω・cm以上であることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  13. 前記電荷発生層は、前記電子受容性物質と前記電子供与性物質との積層体からなり、
    前記陰極と前記陽極との間に電圧を印加したときに、前記電子受容性物質と前記電子供与性物質との界面において、これら電子受容性物質と電子供与性物質との間での電子移動を伴う反応により発生した電荷が、それぞれ前記陰極側及び前記陽極側に向かって移動することにより、前記電荷発生層を挟んで前記陰極側に位置する一の発光ユニットに正孔を注入し、前記電荷発生層を挟んで前記陽極側に位置する他の発光ユニットに電子を注入することを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に有機エレクトロルミネッセント素子を備える照明装置。
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