JP5833485B2 - 線材及びこれを用いた鋼線 - Google Patents
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[Al]/[Ti]≧0.46・・・(1)
(但し、式(1)において[Al]、[Ti]は、それぞれAl、Tiの含有量(質量%)である。)
Cは、強度の上昇に有効な元素であり、C含有量の増加に伴って、線材及び冷間加工後の鋼線の強度が向上する。そこでC量は0.8%以上と定めた。C量は、好ましくは0.85%以上であり、より好ましくは0.90%以上である。しかし、C量が過剰になりすぎると、冷間伸線中に時効脆化を引き起こすため、鋼線の靭性が低下し、より線加工時に割れが発生するという問題がある。そこでC量は1.2%以下と定めた。C量は、好ましくは1.1%以下であり、より好ましくは1.05%以下である。
Siは、脱酸剤の作用も有するが、特に線材の強度を向上させる作用及びリラクセーション特性を改善する作用を有するため有効な元素である。また、溶融亜鉛めっきを用いる場合には、Siはめっき時に生じる強度低下を抑える作用も有する。これら作用を有効に発揮させるため、Si量を0.1%以上と定めた。Si量は、好ましくは0.2%以上であり、より好ましくは0.4%以上である。一方、Si量が過剰になりすぎると、冷間伸線性を悪化させ、断線率の増加を引き起こす。そこで、Si量を2.0%以下と定めた。Si量は好ましくは1.8%以下であり、より好ましくは1.5%以下である。
Mnは、Siと同様に脱酸作用も有しているが、特に鋼中のSをMnSとして固定して、鋼の靭性及び延性を高める作用を有している。これらの作用を有効に発揮させるためにはMn量は0.1%以上とする。Mn量は、好ましくは0.15%以上であり、より好ましくは0.2%以上である。しかし、Mnは偏析し易い元素であり、過剰に添加すると、Mn偏析部の焼入れ性が過剰に増大し、マルテンサイト等の過冷組織を生成させる恐れがある。そこで、Mn量は2.0%以下と定めた。Mn量は、好ましくは1.8%以下であり、より好ましくは1.5%以下である。
Nは、本発明の特徴であるAlNを形成するために重要な元素であり、0.0020%以上含有することが必要である。N量は、好ましくは0.0025%以上であり、より好ましくは0.0030%以上(特に0.0040%以上)である。しかし、NはCと同様に侵入型元素として鋼中に固溶し、歪み時効による脆化を引き起こすため、過剰に添加すると固溶N量が増大することによる捻回特性の低下を引き起こす。そこで、N量は0.013%以下と定めた。N量は、好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.0090%以下、さらに好ましくは0.0080%以下である。
上述した通り、固溶Nは捻回特性の低下を引き起こすため、少ないほど好ましい。従って、固溶N量は0.003%以下が好ましい。固溶N量は、より好ましくは0.002%以下であり、さらに好ましくは0.001%以下である。固溶N量は、Al、Ti、B、Nbなどの窒化物形成元素の量と、N量を調整することなどによって、制御できる。
Alは、脱酸作用に加えて、本発明においてはNと結合してAlNを形成し、水素をトラップして耐遅れ破壊特性を向上させるために重要な元素である。また、前記AlNはピンニング効果によって結晶粒を微細化する効果も有する。このような効果を有効に発揮するため、Al量は0.04%以上とする。Al量は、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.055%以上である。一方、Al量が過剰になると粗大なAlNが生成し、AlNによる水素トラップ効果が低減する。従って、Al量の上限は0.15%に定める。Al量の上限は、好ましくは0.13%以下であり、より好ましくは0.10%以下である。
TiはNと結合してTiNを形成し、固溶Nを低減するために重要な元素であり、その他にも結晶粒を微細化し、延性を向上させる効果がある。そのような効果を発揮するため、Ti量は0.01%以上とする。好ましくは0.02%以上、より好ましくは0.03%以上である。一方、AlとTiが鋼中に共存する場合は、TiNがAlNよりも優先的に析出し、Ti量が過剰になるとAlNの析出を妨げる。そこで、Ti量は0.3%以下と定めた。Ti量は、好ましくは0.2%以下であり、より好ましくは0.15%以下である。
上述した通り、AlとTiが鋼中に共存する場合は、TiNがAlNよりも優先的に析出し、Ti量が過剰になるとAlNの生成を妨げてしまう。そこで、[Al]/[Ti]を下記式(1)のように調整することが好ましく、AlとTiの活量バランスを調整することでAlNを十分に析出させることができる。
[Al]/[Ti]≧0.46 ・・・(1)
上記式(1)中、[Al]、[Ti]は、それぞれAl、Tiの含有量(質量%)を表している。式(1)は、Ti、Al量を様々に変化させた際のAlN析出量を調べた数多くの実験例から導き出された式である。
Pは、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させ、疲労特性を低下させるため、その含有量は少なければ少ないほど好ましい。従って、P量は0.02%以下とする。P量は、好ましくは0.015%以下であり、より好ましくは0.010%以下である。
Sは、Pと同様に旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させ、疲労特性を低下させるため、その含有量は少なければ少ないほど好ましい。従って、S量は0.02%以下とする。S量は、好ましくは0.015%以下であり、より好ましくは0.010%以下である。
Co:1.0%以下(0%を含まない)、Mo:1.0%以下(0%を含まない)、及びCu:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種
Crは、パーライトのラメラ間隔を微細化し、線材の強度や靭性を高める作用を有する。このような作用を有効に発揮させるため、Cr量は0.05%以上が好ましい。Cr量は、より好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.2%以上である。一方、Cr量が過剰になりすぎると、焼入れ性が向上して熱間圧延中の過冷組織を発生させる危険性が高まるため、Cr量は1.0%以下とすることが好ましい。Cr量は、より好ましくは0.6%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。
Bは、初析フェライトや初析セメンタイトの生成を妨げ、組織を均一なパーライト組織に制御しやすくする作用を有する。また、AlNが析出した後の余剰の固溶NをBNで固定することにより、固溶Nによる歪み時効を抑制して靭性を向上できる他、固溶B自体も靭性を向上させる作用がある。このような作用を有効に発揮させるため、B量は0.0003%以上が好ましく、より好ましくは0.0005%以上、さらに好ましくは0.001%以上である。一方、B量が過剰になると、Feとの化合物であるFe−B系化合物(例えばFeB2)が析出し、熱間圧延時の割れを引き起こすため、B量は0.005%以下が好ましい。B量は、より好ましくは0.004%以下であり、さらに好ましくは0.003%以下である。
抽出残渣測定では、10%アセチルアセトン溶液を用いた電解抽出残渣測定を行い、メッシュは0.1μmのものを用い、残渣中のAlN量をブロムエステル法で測定した。また、インドフェノール吸収分光光度法を用いて、AlNを含めた窒素化合物の量を測定し、鋼中の全N量から差し引くことによって固溶N量を求めた。ブロムエステル法に用いた試料重量は3g、吸収分光法に用いた試料重量は0.5gとした。
本測定では、線材の軸線を含み、且つ長手方向に平行な断面において、表層からD/4(Dは線材の直径)までの領域(2箇所)の合計が140mm2となるようにサンプルを切り出し(すなわち、サンプルの長さLはL×D/4+L×D/4=L×D/2が140mm2となるように定められる)、前記断面において、JIS G0555に従って、観察視野内で最大のAlNの大きさを測定し、これを任意の20視野について行った。なお、測定に際しては、JIS G0551に規定されるD系及びDS系介在物をAlNとみなし、AlNの大きさとしてはAlNの長さ(a)と厚さ(b)の相乗平均(ab)1/2を採用した。
鋼線の引張強度を、JIS Z2241に従って測定した。
ロープ強度の測定は、JIS G3536に従い、引張試験の最大試験力を測定した。
遅れ破壊特性は、文献1(fib bullten 30: Acceptance of stay cable systems using prestressing steels, January.2005)の記載に基づき、0.8p.u(0.8p.uとは破断荷重の80%を意味する)の荷重下で、20質量%、50℃のチオシアン酸アンモニウム溶液に浸漬し、12サンプルについて破断するまでの時間を測定した。最小破断時間が2時間以上であり、かつ中央値破断時間が5時間以上である場合を合格とした。
捻回特性は、FKKフレネシー工法のFKK HTS−26規格に基づき、捻回値3回以上を達成している場合を合格とした。
Claims (6)
- C :0.8〜1.2%(質量%の意味。以下、成分組成について同じ。)、
Si:0.1〜2.0%、
Mn:0.1〜2.0%、
N :0.0020〜0.013%、
Al:0.04〜0.15%、
Ti:0.01〜0.3%、
P :0.02%以下(0%を含む)、
S :0.02%以下(0%を含む)を含み、残部が鉄及び不可避不純物であり、
組織の主相がパーライトであるとともに、
AlN量が0.005%以上であり、且つ、長さaと厚さbの相乗平均(ab)1/2で表されるAlNの径dGMの最大値極値分布において、dGMが10〜20μmであるAlNの割合が、個数基準で50%以上であることを特徴とする線材。 - 固溶N量が0.003%以下である請求項1に記載の線材。
- Al量とTi量が下記式(1)の関係を満足する請求項1または2に記載の線材。
[Al]/[Ti]≧0.46・・・(1)
(但し、式(1)において[Al]、[Ti]は、それぞれAl、Tiの含有量(質量%)である。) - 更に、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
Ni:1.0%以下(0%を含まない)、
Co:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:1.0%以下(0%を含まない)、及び
Cu:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の線材。 - 更に、
B :0.005%以下(0%を含まない)、
Nb:0.5%以下(0%を含まない)、及び
V:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の線材。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の線材から得られる鋼線。
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