配列表の簡単な説明
配列番号1:Parental DT40 HP1VH(親DT40集団)のアミノ酸配列
配列番号2:FS10 VHのアミノ酸配列
配列番号3:FS17 VHのアミノ酸配列
配列番号4:FS24 VHのアミノ酸配列
配列番号5:PS4 VHのアミノ酸配列
配列番号6:HP1VHをコードするポリヌクレオチド配列(親DT40集団)
配列番号7:FS10 VHをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号8:FS17 VHをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号9:FS24 VHをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号10:PS4 VHをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号11:VHCDR1 Parental DT40 HP1のアミノ酸配列
配列番号12:VHCDR2 Parental DT40 HP1のアミノ酸配列
配列番号13:VHCDR3 Parental DT40 HP1、FS10およびPS4のアミノ酸配列
配列番号14:PS4のVHCDR1のアミノ酸配列
配列番号15:下流においてフレームワークを拡張したPS4のVHCDR1のアミノ酸配列
配列番号16:FS10、FS17、FS24のVHCDR1のアミノ酸配列
配列番号17:下流においてフレームワークを拡張したFS10、FS17、FS24のVHCDR1のアミノ酸配列
配列番号18:PS4、FS10およびFS17のVHCDR2のアミノ酸配列
配列番号19:FS24のVHCDR2のアミノ酸配列
配列番号20:FS17のVHCDR3のアミノ酸配列
配列番号21:FS24のVHCDR3のアミノ酸配列
配列番号22:VJ(VL)DT40(親DT40集団)のアミノ酸配列
配列番号23:FS10 VLのアミノ酸配列
配列番号24:FS17 VLのアミノ酸配列
配列番号25:FS24 VLのアミノ酸配列
配列番号26:PS4B VLのアミノ酸配列
配列番号27:PS4A VLのアミノ酸配列
配列番号28:VJ(VL)DT40(親DT40集団)をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号29:FS10 VLをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号30:FS17 VLをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号31:FS24 VLをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号32:PS4B VLをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号33:PS4A VLをコードするポリヌクレオチド配列
配列番号34:親DT40のVLCDR1のアミノ酸配列
配列番号35:親DT40のVLCDR2のアミノ酸配列
配列番号36:親DT40およびFS10のVLCDR3のアミノ酸配列
配列番号37:PS4A、PS4B、FS10、FS17、FS24のVLCDR1のアミノ酸配列
配列番号38:PS4A、PS4B、FS10、FS17、FS24の上流フレームワークを伴うVLCDR1のアミノ酸配列
配列番号39:PS4A、PS4B、FS10、FS17、FS24のVLCDR2のアミノ酸配列
配列番号40:上流においてフレームワークを伴う、PS4A、FS17、FS24のVLCDR2のアミノ酸配列
配列番号41:PS4A、PS4B、FS17、FS24のVLCDR3のアミノ酸配列
配列番号42:ヒトラムダ軽鎖定常領域を伴う、ヒト化PS4軽鎖の変化形L.9のアミノ酸配列
配列番号43:ヒト化PS4軽鎖の変化形L.9(シグナル配列を含めた)をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号44:ヒト化PS4軽鎖の変化形L.18のアミノ酸配列
配列番号45:ヒト化PS4軽鎖の変化形L.18(シグナル配列を含めた)をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号46:ヒトIgG1定常領域を伴う、ヒト化PS4重鎖の変化形H.1のアミノ酸配列
配列番号47:ヒト化PS4重鎖の変化形H.1(シグナル配列を含めた)をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号48〜50:例示的なリンカー配列
配列番号51:ヒトIgG1定常領域(CH1−ヒンジ−CH2−CH3)をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号52:ヒトIgG1定常領域(CH1−ヒンジ−CH2−CH3)のアミノ酸配列
配列番号53:ヒトラムダ軽鎖定常領域をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号54:ヒトラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列
配列番号55:上流においてフレームワークを伴うFS10のVLCDR2のアミノ酸配列
配列番号56:ヒト化PS4軽鎖可変領域の変化形L.9のアミノ酸配列
配列番号57:PS4 VL CDRを伴う、ヒトVλ亜群IIIのコンセンサス配列のアミノ酸配列
配列番号58:ヒト化PS4重鎖可変領域の変化形H.1のアミノ酸配列
配列番号59:PS4 VH CDRを伴う、ヒトVH亜群IIIのコンセンサス配列のアミノ酸配列
配列番号60:ヒトラムダ軽鎖定常領域を伴う、ヒト化FS24軽鎖のアミノ酸配列
配列番号61:配列番号60に示される、ヒト化FS24軽鎖配列をコードする核酸配列
配列番号62:ヒトIgG1定常領域を伴う、ヒト化FS24重鎖のアミノ酸配列
配列番号63:配列番号62に示される、ヒト化FS24重鎖配列をコードする核酸配列
配列番号64:1位にアミノ酸「A」を付加した、Parental DT40 HP1VH(親DT40集団)のアミノ酸配列
配列番号65:1位にアミノ酸「A」を付加したFS10 VHのアミノ酸配列
配列番号66:1位にアミノ酸「A」を付加したFS17 VHのアミノ酸配列
配列番号67:1位にアミノ酸「A」を付加したFS24 VHのアミノ酸配列
配列番号68:1位にアミノ酸「A」を付加したPS4 VHのアミノ酸配列
配列番号69:配列番号64のHP1VH(親DT40集団)のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号70:配列番号65のFS10 VHのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号71:配列番号66のFS17 VHのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号72:配列番号67のFS24 VHのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号73:配列番号68のPS4 VHのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列
配列番号74:VHCDR1 Parental DT40 HP1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号75:VHCDR2 Parental DT40 HP1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号76:VHCDR3 Parental DT40 HP1、FS10、およびPS4(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号77:PS4のVHCDR1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号78:下流においてフレームワークを拡張した、PS4のVHCDR1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号79:FS10、FS17、FS24のVHCDR1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号80:下流においてフレームワークを拡張した、FS10、FS17、FS24のVHCDR1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号81:PS4、FS10、およびFS17のVHCDR2(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号82:FS24のVHCDR2(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号83:FS17のVHCDR3(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号84:FS24のVHCDR3(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号85:親DT40のVLCDR1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号86:PS4A、PS4B、FS10、FS17、FS24のVLCDR1(Kabatによる定義)のアミノ酸配列
配列番号87:「X」により指し示されるCDRのアミノ酸を伴う、ヒトVλ亜群IIIのコンセンサス配列のアミノ酸配列
配列番号88:「X」により指し示されるCDRのアミノ酸を伴う、ヒトVH亜群IIIのコンセンサス配列のアミノ酸配列
配列番号89:ヒトFN14のアミノ酸配列
配列番号90は、ヒト化FS24重鎖可変領域のアミノ酸配列である
配列番号91は、ヒト化FS24軽鎖可変領域のアミノ酸配列である
配列番号92は、FS17(配列番号81)、FS10(配列番号81)、およびFS24(配列番号82)のVHCDR2領域(Kabatによる定義)について図3から抜き出したコンセンサス配列である
配列番号93は、FS17(配列番号83)、FS10(配列番号76)、およびFS24(配列番号84)のVHCDR3領域(Kabatによる定義)について図3から抜き出したコンセンサス配列である
配列番号94は、FS17(配列番号41)、FS10(配列番号36)、およびFS24(配列番号41)のVLCDR3領域(Kabatによる定義)について図3から抜き出したコンセンサス配列である。
詳細な説明
抗体およびその抗原結合断片
本発明の実施形態は、TWEAK受容体であるFN14に結合する抗体に関する。特に、本明細書で記載される抗体は、予測外に高いアフィニティーでFN14に特異的に結合し、特異的な細胞毒性を媒介し、FN14の異常な発現(特に、過剰発現)と関連する疾患の処置に治療的有用性を有する。ヒトFN14の例示的なアミノ酸配列を、配列番号89に示す。例示的な抗体のアミノ酸配列、またはその抗原結合断片、もしくは相補性決定領域(CDR)は、配列番号2〜5、13〜21、23〜27、36〜42、44、46、55〜60、62、65〜68、76〜84、86、および90〜91に示す。
「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域(本明細書ではまた、可変ドメインとも称する)内に位置する少なくとも1つのエピトープ認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的への特異的結合が可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で用いられる通り、この用語は、無傷のポリクローナル抗体または無傷のモノクローナル抗体だけでなく、また、これらの断片(dAb、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、単鎖抗体(ScFv)、これらの合成改変体、天然に存在する改変体、必要とされる特異性を有する抗原結合断片を伴う抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、および必要とされる特異性を有する抗原結合部位または抗原結合断片(エピトープ認識部位)を含む他の任意の修飾された立体配置の免疫グロブリン分子も包含する。遺伝子融合により構築される「ダイアボディー」、多価断片、または多重特異性断片(WO94/13804;P. Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻、6444〜6448頁、1993年)も、本明細書で想定される特定の形態の抗体である。本明細書にはまた、CH3ドメインへと接合されたscFvを含むミニボディーも包含される(S. Huら、Cancer Res.、56巻、3055〜3061頁、1996年)。例えば、Ward, E. S.ら、Nature、341巻、544〜546頁(1989年);Birdら、Science、242巻、423〜426頁、1988年;Hustonら、PNAS USA、85巻、5879〜5883頁、1988年);PCT/US92/09965;WO94/13804;P. Holligerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻、6444〜6448頁、1993年;Y. Reiterら、Nature Biotech、14巻、1239〜1245頁、1996年;S. Huら、Cancer Res.、56巻、3055〜3061頁、1996年を参照されたい。
本明細書で用いられる「抗原結合断片」という用語は、対象の抗原、特に、FN14受容体に結合する免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖の少なくとも1つのCDRを含有するポリペプチド断片を指す。この点で、本明細書で記載される抗体の抗原結合断片は、FN14に結合する抗体に由来する、本明細書で示されるVH配列およびVL配列の1、2、3、4、5、または6つ全てのCDRを含みうる。本明細書で記載されるFN14特異的抗体の抗原結合断片は、FN14への結合が可能である。ある特定の実施形態では、抗原結合断片または抗原結合断片を含む抗体が、FN14を発現させる標的細胞の殺滅を媒介する。さらなる実施形態では、抗原結合断片の結合が、FN14リガンドのその受容体への結合を防止または阻害し、リガンドの受容体への結合から結果として生じる生物学的応答を遮断する。ある特定の実施形態では、抗原結合断片が、ヒトFN14に特異的に結合し、かつ/またはその生物学的活性を阻害もしくはモジュレートする。
「抗原」という用語は、抗体などの選択的結合剤による結合が可能であり、加えて、動物において、この抗原のエピトープへの結合が可能な抗体を産生するのに用いることが可能な分子または分子の部分を指す。抗原は、1つまたは複数のエピトープを有しうる。
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体への特異的結合が可能な任意の決定基、好ましくはポリペプチド決定基を包含する。エピトープとは、抗体が結合する抗原の領域である。ある特定の実施形態では、エピトープ決定基に、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニルなど、分子の化学的に活性な表面の組み分けが含まれ、ある特定の実施形態では、特定の三次元構造特徴および/または特定の電荷特徴を有しうる。ある特定の実施形態では、抗体は、タンパク質および/または高分子の複合混合物中でその標的抗原を優先的に認識する場合に、抗原に特異的に結合するという。抗体は、平衡解離定数が≦10−7または10−8Mである場合に、抗原に特異的に結合するという。一部の実施形態では、平衡解離定数が≦10−9Mの場合もあり、≦10−10Mの場合もある。
タンパク質分解酵素であるパパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片であって、これらのうちの2つ(F(ab)断片)の各々が、無傷の抗原結合部位を包含する共有結合的ヘテロ二量体を含む、いくつかの断片をもたらす。酵素であるペプシンは、IgG分子を切断して、いくつかの断片であって、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含めた、いくつかの断片をもたらすことが可能である。本発明のある特定の実施形態に従って用いられるFv断片は、IgMの優先的なタンパク質分解的切断により産生させうるが、まれな場合には、IgG免疫グロブリン分子またはIgA免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断により産生させることもできる。しかし、Fv断片は、より一般的には、当技術分野において公知の組換え法を用いて誘導される。Fv断片は、天然抗体分子の抗原認識能および抗原結合能の大半を保持する抗原結合部位を含めた、非共有結合的VH::VLヘテロ二量体を包含する(Inbarら(1972年)、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、69巻:2659〜2662頁;Hochmanら(1976年)、Biochem、15巻:2706〜2710頁;およびEhrlichら(1980年)、Biochem、19巻:4091〜4096頁)。
ある特定の実施形態では、単鎖Fv抗体またはscFV抗体が想定される。例えば、カッパボディー(Illら、Prot. Eng.、10巻:949〜57頁(1997年));ミニボディー(Martinら、EMBO J、13巻:5305〜9頁(1994年);ダイアボディー(Holligerら、PNAS、90巻:6444〜8頁(1993年));またはヤヌシン(Trauneckerら、EMBO J、10巻:3655〜59頁(1991年)、およびTrauneckerら、Int. J. Cancer Suppl.、7巻:51〜52頁(1992年))は、所望の特異性を有する抗体の選択について本出願の教示に従い、標準的な分子生物学法を用いて調製することができる。さらに他の実施形態では、本開示のリガンドを包含する二重特異性抗体またはキメラ抗体を作製することができる。例えば、キメラ抗体が、異なる抗体に由来するCDR領域およびフレームワーク領域を含みうるのに対し、1つの結合ドメインを介してFN14に特異的に結合し、第2の結合ドメインを介して第2の分子に特異的に結合する二重特異性抗体を生成させることができる。これらの抗体は、組換え分子生物学法を介して産生させることもでき、物理的に併せてコンジュゲートすることもできる。
単鎖Fv(scFv)ポリペプチドとは、共有結合的に連結されたVH::VLヘテロ二量体であって、ペプチドをコードするリンカーにより連結されたVH−コード遺伝子およびVL−コード遺伝子を含めた遺伝子融合体から発現するヘテロ二量体である(Hustonら(1988年)、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、85巻(16号):5879〜5883頁)。天然では凝集した(しかし、化学的には分離される)軽ポリペプチド鎖および重ポリペプチド鎖を、抗体のV領域から、抗原結合部位の構造と実質的に類似した三次元構造へとフォールドするsFv分子へと転換するために、化学構造を識別する多数の方法が記載されている。例えば、Hustonらによる米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号;ならびにLadnerらによる米国特許第4,946,778号を参照されたい。
抗体のdAb断片は、VHドメインからなる(Ward, E. S.ら、Nature、341巻、544〜546頁(1989年))。
ある特定の実施形態では、本明細書で開示される抗体(例えば、FN14特異的抗体)は、ダイアボディーの形態である。ダイアボディーとは、各ポリペプチドが、免疫グロブリン軽鎖の結合領域を含む第1のドメインと、免疫グロブリン重鎖の結合領域を含む第2のドメインとを含むポリペプチドの多量体であって、2つのドメインが連結されている(例えば、ペプチドリンカーによって)が、互いと会合して抗原結合部位を形成することは可能でなく、抗原結合部位が、多量体内の一方のポリペプチドの第1のドメインの、多量体内の別のポリペプチドの第2のドメインとの会合により形成される多量体である(WO94/13804)。
二重特異性抗体を用いる場合、これらは、多様なやり方(Holliger, P.およびWinter G.、Current Opinion Biotechnol.、4巻、446〜449頁(1993年))で製造しうる、例えば、化学的に調製されるか、またはハイブリッド体であるハイブリドーマから調製される、従来の二重特異性抗体の場合もあり、上記で言及した二重特異性抗体断片のうちのいずれかの場合もある。ダイアボディーおよびscFvは、抗イディオタイプ反応の効果を潜在的に低減する可変領域だけを用いて、Fc領域なしに構築することができる。
二重特異性完全抗体と対比される二重特異性ダイアボディーはまた、それらを容易に構築し、E.coliにおいて発現させうるため、特に有用でもありうる。適切な結合特異性を有するダイアボディー(および抗体断片など、他の多くのポリペプチド)は、ファージディスプレイ(WO94/13804)を用いて、ライブラリーから容易に選択することができる。ダイアボディーの一方のアームを、例えば、抗原Xを指向する特異性により定常に保つ場合、他方のアームを変化させて適切な特異性を有する抗体を選択するライブラリーを作製することができる。二重特異性完全抗体は、KIH(knobs−into−holes)操作により作製することができる(J. B. B. Ridgewayら、Protein Eng.、9巻、616〜621頁、1996年)。
ある特定の実施形態では、本明細書で記載される抗体を、UniBody(登録商標)の形態で提供することができる。UniBody(登録商標)とは、ヒンジ領域を除去したIgG4抗体である(GenMab、Utrecht、The Netherlandsを参照されたい;また、例えば、US20090226421も参照されたい)。この所有権のある抗体技術は、現行の低分子抗体フォーマットより治療域(therapeutic window)が長いと予測される、安定的なより低分子の抗体フォーマットを創出する。IgG4抗体は、不活性であり、したがって、免疫系とは相互作用しないと考えられる。完全ヒトIgG4抗体は、抗体のヒンジ領域を消失させて、対応する無傷のIgG4と比べて顕著な安定性特性を有する半分子断片を得ることにより改変することができる(GenMab、Utrecht)。IgG4分子を二等分することにより、UniBody(登録商標)には、コグネイト抗原(例えば、疾患の標的)に結合しうる1つのエリアだけが残され、したがって、UniBody(登録商標)は、標的細胞における1つの部位だけに一価結合する。ある特定のがん細胞の表面抗原では、この一価結合は、同じ抗原特異性を有する二価抗体を用いるときに見られうるようながん細胞の成長を刺激しえず、よって、UniBody(登録商標)技術は、従来の抗体による処置に対して不応性でありうる一部の種類のがんのための処置の選択肢をもたらしうる。UniBody(登録商標)は、普通のIgG4抗体の約半分のサイズである。このようにサイズが小さいことは、より大型の充実性腫瘍にわたる分子のより良好な分布を可能とし、潜在的に有効性を増大させるので、一部の形態のがんを処置する場合に大きな有益性でありうる。
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、ナノボディーの形態をとりうる。ナノボディーは、単一の遺伝子によりコードされ、ほぼ全ての原核生物宿主および真核生物宿主、例えば、E.coli(例えば、米国特許第6,765,087号を参照されたい)、かび(例えば、Aspergillus属またはTrichoderma属)、および酵母(例えば、Saccharomyces属、Kluyvermyces属、Hansenula属、またはPichia属(例えば、米国特許第6,838,254号を参照されたい))において効率的に産生される。産生工程は拡大可能であり、数キログラム分量のナノボディーが産生されている。ナノボディーは、保管寿命の長い、すぐに使用可能な溶液として処方することができる。Nanoクローン法(例えば、WO06/079372を参照されたい)とは、B細胞の自動式ハイスループット選択に基づき、所望の標的に対するナノボディーを生成させる所有権のある方法である。
ある特定の実施形態では、本明細書で記載される抗体およびそれらの抗原結合断片は、CDRに対する支持体をもたらし、互いと比べたCDRの空間関係を規定する、重鎖フレームワーク領域および軽鎖フレームワーク領域(FR)のセットの間にそれぞれ置かれる、重鎖CDRおよび軽鎖CDRのセットを包含する。本明細書で用いられる「CDRセット」という用語は、重鎖V領域または軽鎖V領域のうちの3つの超可変領域を指す。重鎖または軽鎖のN末端から順に、これらの領域を、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と称する。したがって、抗原結合部位は、重鎖V領域および軽鎖V領域の各々に由来するCDRセットを含む6つのCDRを包含する。本明細書では、単一のCDR(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)を含むポリペプチドを「分子的認識単位」と称する。多数の抗原−抗体複合体の結晶学的解析により、CDRのアミノ酸残基は、結合した抗原との広範な接触であって、抗原との最も広範な接触が重鎖CDR3との接触である、抗原との接触を形成することが裏付けられている。したがって、分子的認識単位は、抗原結合部位の特異性の主要な一因をなす。
本明細書で用いられる「FRセット」という用語は、重鎖V領域または軽鎖V領域のCDRセットのCDRを枠付ける4つの隣接アミノ酸配列を指す。一部のFR残基は、結合した抗原に接触しうるが、FR、特に、CDRに直接隣接するFR残基は、V領域を抗原結合部位へとフォールドさせる主要な一因をなす。FR内では、ある特定のアミノ残基およびある特定の構造的特徴が極めて高度に保存される。この点で、全てのV領域配列は、約90アミノ酸残基の内部のジスルフィドループを含有する。V領域が結合部位へとフォールドすると、CDRは、抗原結合表面を形成する突出ループモチーフとして提示される。一般に、CDRループがある特定の「カノニカル」構造(CDRの正確なアミノ酸配列にかかわらず)へとフォールドする形状に影響を与える、FRの保存された構造領域が存在することが認知されている。さらに、ある特定のFR残基は、抗体の重鎖と軽鎖との相互作用を安定化させる非共有結合的なドメイン間接触に関与することも公知である。
免疫グロブリン可変領域の構造および位置は、Kabat, E. A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、4版、US Department of Health and Human Services、1987年、および現在ではインターネット(immuno.bme.nwu.edu)で入手可能なその改定版を参照することにより決定することができる。
「モノクローナル抗体」とは、均一な抗体集団をいい、ここで、モノクローナル抗体は、エピトープの選択的結合に関係するアミノ酸(天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸)で構成される。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一のエピトープを指向する。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷のモノクローナル抗体および全長モノクローナル抗体だけでなく、また、それらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、単鎖抗体(ScFv)、それらの改変体、抗原結合部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ならびに必要とされる特異性およびエピトープに結合する能力を有する抗原結合断片(エピトープ認識部位)を含む他の任意の修飾された立体配置の免疫グロブリン分子も包含する。抗体の供給源または抗体が作製される様式(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによる)に関して限定することは意図しない。この用語は、完全な免疫グロブリンの他、「抗体」の定義下における上記の断片なども包含する。
「ヒト化」抗体とは、一般に組換え法を用いて調製され、抗原結合部位がヒト以外の種に由来する免疫グロブリンに由来し、残りの免疫グロブリン分子の構造がヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づくキメラ分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメインへと融合させた完全可変領域を含む場合もあり、可変領域における適切なフレームワーク領域へと移植したCDRだけを含む場合もある。エピトープ結合部位は、野生型の場合もあり、1つまたは複数のアミノ酸置換により修飾される場合もある。このことは、ヒト個体における免疫原としての定常領域は消失させるが、外来の可変領域に対する免疫応答の可能性は残る(LoBuglio, A. F.ら(1989年)、Proc Natl Acad Sci USA、86巻:4220〜4224頁;Queenら、PNAS(1988年)、86巻:10029〜10033頁;Riechmannら、Nature(1988年)、332巻:323〜327頁)。本発明のある特定の実施形態に従う例示的ヒト化抗体は、配列番号42〜47および60〜63に提供されるヒト化配列を含む。
別の手法は、ヒト由来の定常領域をもたらすことだけでなく、また、それらをヒト形態に可能な限り酷似させて作り変えるように、可変領域の修飾にも同様に焦点を絞る。重鎖および軽鎖両方の可変領域は、問題のエピトープに応じて変化し、結合能を決定する3つの相補性決定領域(CDR)であって、所与の種において比較的保存されてCDRの足場をもたらすと推定される4つのフレームワーク領域(FR)に挟まれるCDRを含有することが公知である。特定のエピトープに対する非ヒト抗体を調製する場合、非ヒト抗体に由来するCDRを、改変されるヒト抗体に存在するFRに移植することにより、可変領域を「作り変える」または「ヒト化する」場合がある。この手法の多様な抗体への適用は、Sato, K.ら(1993年)、Cancer Res、53巻:851〜856頁;Riechmann, L.ら(1988年)、Nature、332巻:323〜327頁;Verhoeyen, M.ら(1988年)、Science、239巻:1534〜1536頁;Kettleborough, C. A.ら(1991年)、Protein Engineering、4巻:773〜3783頁;Maeda, H.ら(1991年)、Human Antibodies Hybridoma、2巻:124〜134頁;Gorman, S. D.ら(1991年)、Proc Natl Acad Sci USA、88巻:4181〜4185頁;Tempest, P. R.ら(1991年)、Bio/Technology、9巻:266〜271頁;Co, M. S.ら(1991年)、Proc Natl Acad Sci USA、88巻:2869〜2873頁;Carter, P.ら(1992年)、Proc Natl Acad Sci USA、89巻:4285〜4289頁;およびCo, M. S.ら(1992年)、J Immunol、148巻:1149〜1154頁により報告されている。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、全てのCDR配列を保存する(例えば、マウス抗体に由来する6つのCDR全てを含有するヒト化マウス抗体)。他の実施形態では、ヒト化抗体は、1つまたは複数のCDR(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)であって、元の抗体に対して変化させたCDR、また、元の抗体からの1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRとも呼ばれるCDRを有する。
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、キメラ抗体でありうる。この点で、キメラ抗体は、異なる抗体の異種Fc部分に作動可能に連結するか、または他の形で融合させた抗FN14抗体の抗原結合断片で構成される。ある特定の実施形態では、異種Fcドメインは、ヒト起源である。他の実施形態では、異種Fcドメインは、IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含めた)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含めた)、およびIgMを含めた親抗体とは異なるIgクラスに由来しうる。さらなる実施形態では、異種Fcドメインは、異なるIgクラスのうちの1つまたは複数に由来するCH2ドメインおよびCH3ドメインで構成されうる。ヒト化抗体について上記で言及した通り、キメラ抗体の抗FN14抗原結合断片は、本明細書で記載される抗体のCDRのうちの1つまたは複数(例えば、本明細書で記載される抗体の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDR)だけを含む場合もあり、可変領域(VL、VH、またはこれらの両方)の全体を含む場合もある。
ある特定の実施形態では、FN14結合抗体は、本明細書で記載される抗体のCDRのうちの1つまたは複数を含む。この点で、場合によっては、所望の特異的結合をなお保持しながら、抗体のVHCDR3だけを移動させうることが示されている(Barbasら、PNAS(1995年)、92巻:2529〜2533頁)。また、McLaneら、PNAS(1995年)、92巻:5214〜5218頁、Barbasら、J. Am. Chem. Soc.(1994年)、116巻:2161〜2162頁も参照されたい。
Marksら(Bio/Technology、1992年、10巻:779〜783頁)は、抗体可変領域のレパートリーを作製する方法であって、可変領域の5’端を指向するかまたはこれに隣接するコンセンサスプライマーを、ヒトVH遺伝子の第3のフレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーと共に用いて、CDR3を欠くVH可変領域のレパートリーを提供する方法について記載している。Marksらは、どのようにしてこのレパートリーを、特定の抗体のCDR3と組み合わせうるかについてもさらに記載している。類似の技法を用いて、本明細書で記載されている抗体のCDR3に由来する配列を、CDR3を欠くVHドメインまたはVLドメインのレパートリーと共にシャッフルし、シャッフルされた完全VHドメインまたは完全VLドメインを、コグネイトVLドメインまたはコグネイトVHドメインと組み合わせて、FN14に結合する抗体またはその抗原結合断片をもたらすことができる。次いで、適した抗体またはそれらの抗原結合断片を選択しうるように、WO92/01047のファージディスプレイシステムなど、適した宿主システムにおいてレパートリーを提示することができる。レパートリーは、少なくとも約104の個別のメンバーから、これを数桁上回る、例えば、約106〜108または1010以上のメンバーまでからなりうる。また、Stemmer(Nature、1994年、370巻:389〜391頁)は、類似のシャッフリング法またはコンビナトリアル法も開示しており、この技法を、β−ラクタマーゼ遺伝子との関連で記載しているが、この手法を抗体の生成に用いうることを観察している。
さらなる代替法は、1つまたは複数の選択されたVH遺伝子および/またはVL遺伝子に対するランダム変異誘発であって、可変領域の全体において変異を発生させる変異誘発を用いて、本明細書で記載される本発明の実施形態の1つまたは複数のCDRに由来する配列を保有する新規のVH領域またはVL領域を生成させることである。このような技法は、エラープローンPCRを用いたGramら(1992年、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、89巻:3576〜3580頁)により記載されている。用いうる別の方法は、変異誘発をVH遺伝子またはVL遺伝子のCDR領域へと方向付けることである。このような技法は、Barbasら(1994年、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、91巻:3809〜3813頁)およびSchierら(1996年、J. Mol. Biol.、263巻:551〜567頁)により開示されている。
ある特定の実施形態では、本明細書で記載される抗体の特異的VHおよび/または特異的VLを用いて、相補的な可変領域のライブラリーをスクリーニングして、FN14に対するアフィニティーの増大など、所望の特性を伴う抗体を同定することができる。このような方法は、例えば、Portolanoら、J. Immunol.(1993年)、150巻:880〜887頁;Clarksonら、Nature(1991年)、352巻:624〜628頁に記載されている。
また、他の方法を用いてCDRを混合および適合させて、FN14への結合などの所望の結合活性を有する抗体を同定することもできる。例えば、Klimkaら、British Journal of Cancer(2000年)、83巻:252〜260頁は、マウスVLと、CDR3およびFR4をマウスVHから保持したヒトVHライブラリーとを用いるスクリーニング工程について記載している。抗体を得た後、VHをヒトVLライブラリーに対してスクリーニングして、抗原に結合する抗体を得た。Beiboerら、J. Mol. Biol.(2000年)、296巻:833〜849頁は、マウス重鎖の全体とヒト軽鎖ライブラリーとを用いるスクリーニング工程について記載している。抗体を得た後、1つのVLを、マウスのCDR3を保持したヒトVHライブラリーと組み合わせた。抗原に結合することが可能な抗体を得た。Raderら、PNAS(1998年)、95巻:8910〜8915頁は、上記のBeiboerらの工程と同様の工程について記載している。
当技術分野では、記載したばかりのこれらの技法が、それら自体としては、そのようなものとして公知である。しかし、当業者は、当技術分野の日常的な方法を用いて、本明細書で記載される本発明のいくつかの実施形態に従い、抗体またはそれらの抗原結合断片を得るのに、このような技法を用いることが可能である。
本明細書ではまた、FN14抗原に特異的な抗体または抗原結合ドメインを得る方法であって、本明細書で示されるVHドメインのアミノ酸配列に1つまたは複数のアミノ酸を付加、欠失、置換、または挿入することにより、このVHドメインのアミノ酸配列改変体であるVHドメインをもたらし、場合によっては、このようにしてもたらされたVHドメインを、1つまたは複数のVLドメインと組み合わせ、VHドメインまたは1つもしくは複数のVH/VLの組合せを調べて、FN14の特異的結合メンバー、またはFN14に特異的であり、場合によって、1つもしくは複数の好ましい特性、好ましくは、FN14を発現させる細胞に対する細胞傷害を媒介する能力も伴う抗体の抗原結合ドメインを同定するステップを含む、方法も開示される。前記VLドメインは、本明細書で実質的に示されるアミノ酸配列を有しうる。本明細書で開示されるVLドメインの1つまたは複数の配列改変体を、1つまたは複数のVHドメインと組み合わせる類似の方法も使用することができる。
抗体またはポリペプチドに「特異的に結合する」か、またはこれに「優先的に結合する」(本明細書では互換的に用いられる)エピトープとは、当技術分野において十分に理解された用語であり、当技術分野ではまた、このような特異的な結合または優先的な結合を決定する方法も周知である。分子は、それが、特定の細胞または物質と、他の細胞または物質との場合より高頻度で、迅速に、長い持続期間にわたり、かつ/または大きなアフィニティーで反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を呈示するという。抗体は、それが、他の物質に結合する場合より大きなアフィニティー、アビディティーで、容易に、かつ/または長い持続期間にわたり結合する場合、標的に「特異的に結合する」か、またはこれに「優先的に結合する」。例えば、FN14エピトープに特異的または優先的に結合する抗体とは、1つのFN14エピトープに、他のFN14エピトープまたはFN14以外のエピトープに結合する場合より大きなアフィニティー、アビディティーで、容易に、かつ/または長い持続期間にわたり結合する抗体である。また、この定義を読み取ることにより、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が、第2の標的に特異的または優先的に結合する場合もあり、結合しない場合もあることも理解される。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、必ずしも排他的結合を要求するわけではない(排他的結合を包含しうるが)。一般に、結合に対する言及は、優先的結合を意味するが、必ずしもそうであるわけではない。
免疫的結合とは一般に、免疫グロブリン分子と、この免疫グロブリンが特異的である抗原との間で、例えば、例示として述べるものであり、限定として述べるものではないが、静電引力もしくは静電斥力、イオン性引力もしくはイオン性斥力、親水性引力もしくは親水性斥力、および/または疎水性引力もしくは疎水性斥力、立体的な強制力(steric force)、水素結合、ファンデルワールス力、ならびに他の相互作用の結果として生じる種類の非共有結合的相互作用を指す。免疫的結合による相互作用の強度またはアフィニティーは、この相互作用の解離定数(Kd)で表すことができ、より低値のKdがより大きなアフィニティーを表す。選択したポリペプチドの免疫的結合特性は、当技術分野で周知の方法を用いて定量化することができる。このような一方法は、抗原結合部位/抗原の複合体形成および解離の速度を測定するステップを伴い、この速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用のアフィニティー、およびいずれの方向の速度にも等しく影響を与える幾何学的パラメータに依存する。こうして、「オン速度定数」(Kon)および「オフ速度定数」(Koff)のいずれも、濃度ならびに実際の会合速度および解離速度を計算することにより決定することができる。Koff/Konの比は、アフィニティーと関連しない全てのパラメータの解消を可能とし、したがって、解離定数Kdと等しい。一般に、Daviesら(1990年)、Annual Rev. Biochem.、59巻:439〜473頁を参照されたい。
免疫的に活性であるかまたは「免疫的活性を維持する」エピトープに言及する場合の「免疫的に活性な」という用語は、抗体(例えば、抗FN14抗体)が、異なる条件下で、例えば、エピトープを還元条件および変性条件にかけた後でエピトープに結合する能力を指す。
本出願のある特定の好ましい実施形態に従う抗体またはその抗原結合断片は、本明細書で記載される任意の抗体であって、(i)抗原に特異的に結合し、かつ、(ii)本明細書で開示されるVHドメインおよび/もしくはVLドメインを含むか、または本明細書で開示されるVH CDR3、もしくはこれらのうちのいずれかの改変体を含む抗体と、FN14への結合について競合する抗体またはその抗原結合断片でありうる。結合メンバー間の競合は、in vitroにおいて、例えば、ELISAを用いて、かつ/または特定のレポーター分子であって、他のタグ付けされない結合メンバー(複数可)の存在下において検出され、同じエピトープもしくは重複エピトープに結合する特異的結合メンバーの同定を可能としうるレポーター分子を1つの結合メンバーへとタグ付けすることにより、簡単にアッセイすることができる。
したがって、本明細書では、PS4(AまたはB)、FS17、またはFS24など、本明細書で記載される、FN14に結合する抗体と、FN14への結合について競合するヒト抗体の抗原結合部位を含む特異的な抗体またはその抗原結合断片が提供される。
免疫グロブリンの定常領域は、可変領域よりも配列多様性が少なく、重要な生化学イベントを誘発する多数の天然のタンパク質への結合を担う。ヒトでは、IgA(サブクラスIgA1およびIgA2を包含する)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を包含する)、およびIgMを含めた、抗体の5つの異なるクラスが存在する。V領域にも微妙な差違が存在しうるが、これらの抗体クラスの間の識別特徴はそれらの定常領域である。
抗体のFc領域は、多数のFc受容体およびリガンドと相互作用し、エフェクター機能と称する一連の重要な機能的能力を付与する。IgGの場合、Fc領域は、IgのCH2ドメインおよびCH3ドメイン、ならびにCH2へと通じるN末端のヒンジを含む。IgGクラスのFc受容体の重要なファミリーは、Fcガンマ受容体(FcγR)である。これらの受容体は、抗体と免疫系の細胞性アームとの間のコミュニケーションを媒介する(Raghavanら、1996年、Annu Rev Cell Dev Biol、12巻:181〜220頁;Ravetchら、2001年、Annu Rev Immunol、19巻:275〜290頁)。ヒトでは、このタンパク質ファミリーは、アイソフォームであるFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含めたFcγRI(CD64);アイソフォームであるFcγRIIa(アロタイプであるH131およびR131を含めた)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含めた)、およびFcγRIIcを含めたFcγRII(CD32);ならびにアイソフォームであるFcγRIIIa(アロタイプであるV158およびF158を含めた)およびFcγRIIIb(アロタイプであるFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含めた)を含めたFcγRIII(CD16)を包含する(Jefferisら、2002年、Immunol Lett、82巻:57〜65頁)。これらの受容体は、典型的に、Fcへの結合を媒介する細胞外ドメイン、膜貫通領域、および細胞内の一部のシグナル伝達イベントを媒介しうる細胞内ドメインを有する。これらの受容体は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、B細胞、大型顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびT細胞を含めた多様な免疫細胞において発現する。Fc/FcγR複合体の形成により、これらのエフェクター細胞は、抗原が結合した部位へと動員され、この結果として典型的に、細胞内ではシグナル伝達イベントがもたらされ、炎症メディエーターの放出、B細胞の活性化、エンドサイトーシス、食作用、および細胞傷害性の攻撃など、その後の重要な免疫応答がもたらされる。
細胞傷害エフェクター機能および食作用エフェクター機能を媒介する能力は、抗体が標的とする細胞を破壊する強力な機構である。FcγRを発現させる非特異的な細胞傷害性細胞が、標的細胞に結合した抗体を認識し、その後標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)と称する(Raghavanら、1996年、Annu Rev Cell Dev Biol、12巻:181〜220頁;Ghetieら、2000年、Annu Rev Immunol、18巻:739〜766頁;Ravetchら、2001年、Annu Rev Immunol、19巻:275〜290頁)。FcγRを発現させる非特異的な細胞傷害性細胞が、標的細胞に結合した抗体を認識し、その後標的細胞の食作用を引き起こす細胞媒介性反応を、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)と称する。全てのFcγRは、Fc上の同じ領域である、Cg2(CH2)ドメインのN末端および上流のヒンジに結合する。この相互作用は、構造的に十分特徴付けられており(Sondermannら、2001年、J Mol Biol、309巻:737〜749頁)、ヒトFcγRIIIbの細胞外ドメインに結合したヒトFcのいくつかの構造が解明されている(pdb受託コード:1E4K)(Sondermannら、2000年、Nature、406巻:267〜273頁)(pdb受託コード:1IISおよび1IIX)(Radaevら、2001年、J Biol Chem、276巻:16469〜16477頁)。
異なるIgGサブクラスは、FcγRに対して異なるアフィニティーを有し、IgG1およびIgG3は、典型的に、IgG2およびIgG4の場合より実質的に良好に、FcγR受容体に結合する(Jefferisら、2002年、Immunol Lett、82巻:57〜65頁)。全てのFcγRは、IgG Fcの同じ領域に結合するが、アフィニティーが異なる:高アフィニティーで結合するFcγRIのIgG1に対するKdが10−8M−1であるのに対し、低アフィニティーの受容体であるFcγRIIおよびFcγRIIIは一般に、それぞれ、10−6および10−5で結合する。FcγRIIIaの細胞外ドメインとFcγRIIIbの細胞外ドメインとは96%同一であるが、FcγRIIIbは、細胞内のシグナル伝達ドメインを有さない。さらに、FcγRI、FcγRIIa/c、およびFcγRIIIaが、免疫複合体によりトリガーされる活性化の正の制御因子であり、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を有する細胞内のドメインを有することを特徴とするのに対し、FcγRIIbは、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を有し、したがって、阻害性である。したがって、前者を活性化受容体と称し、FcγRIIbを、阻害性受容体と称する。異なる免疫細胞ではまた、受容体の発現パターンおよび発現レベルも異なる。複雑性のさらに別のレベルは、ヒトプロテオームにおける多数のFcγR多型の存在である。臨床的な重要性を伴う特に関与性の多型は、V158/F158 FcγRIIIaである。ヒトIgG1は、F158アロタイプに対する場合より大きなアフィニティーでV158アロタイプに結合する。このアフィニティーの差違、ならびに、おそらくはADCCおよび/またはADCPに対するその効果は、抗CD20抗体であるリツキシマブ(IDEC Pharmaceuticals Corporationの登録商標であるRituxan(登録商標))の有効性の重大な決定因子であることが示されている。V158アロタイプを伴う患者は、リツキシマブ処置に対する応答が良好であるが、低アフィニティーのF158アロタイプを伴う患者の応答は良好でない(Cartronら、2002年、Blood、99巻:754〜758頁)。ヒトのうちの約10〜20%はV158/V158ホモ接合性であり、45%はV158/F158ヘテロ接合性であり、ヒトのうちの35〜45%はF158/F158ホモ接合性である(Lehrnbecherら、1999年、Blood、94巻:4220〜4232頁;Cartronら、2002年、Blood、99巻:754〜758頁)。したがって、ヒトのうちの80〜90%は応答が良好ではない、すなわち、少なくとも1つのF158 FcγRIIIa対立遺伝子を有する。
Fc領域はまた、補体カスケードの活性化にも関係する。古典的な補体経路では、C1が、そのC1qサブユニットにより、抗原(複数可)と複合体を形成したIgGまたはIgMのFc断片に結合する。本発明のある特定の実施形態では、Fc領域に対する修飾が、本明細書で記載されるFN14特異的抗体の補体系を活性化する能力を変化させる(増強または減殺する)修飾を含む(例えば、米国特許第7,740,847号を参照されたい)。補体の活性化を評価するためには、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイを実施することができる(例えば、Gazzano−Santoroら、J. Immunol. Methods、202巻:163頁(1996年)を参照されたい)。例えば、多様な濃度の(Fc)改変体ポリペプチドおよびヒト補体を、緩衝液で希釈することができる。(Fc)改変体抗体、希釈したヒト補体、および抗原(FN14)を発現させる細胞の混合物を、平底の組織培養用96ウェルプレートに添加し、37℃および5%CO2で2時間にわたりインキュベートさせて、補体媒介性細胞溶解を促進することができる。次いで、50マイクロリットルのアラマーブルー(Accumed International)を各ウェルに添加し、37℃で一晩にわたりインキュベートすることができる。吸光度は、励起を530nmとし、発光を590nmとする96ウェル蛍光測定器を用いて測定することができる。結果は、相対蛍光単位(RFU)で表すことができる。試料濃度は、標準曲線から算出することができ、改変体でない抗体と比較した活性パーセントを、対象の改変体抗体について報告することができる。
したがって、ある特定の実施形態では、本発明は、ADCC、ADCP、CDCの増強、または特定のFcγRに対する結合アフィニティーの増強などの機能的特性を変化させた、修飾Fc領域を有する抗FN14抗体を提供する。Fc領域の例示的な修飾には、例えば、Stavenhagenら、2007年、Cancer Res.、67巻:8882頁において記載される修飾が含まれる。本明細書で想定される他の修飾Fc領域は、例えば、発行された米国特許第7,317,091号;同第7,657,380号;同第7,662,925号;同第6,538,124号;同第6,528,624号;同第7,297,775号;同第7,364,731号;米国出願公開第US2009092599号;同第US20080131435号;同第US20080138344号;および国際出願公開第WO2006/105338号;同第WO2004/063351号;同第WO2006/088494号;同第WO2007/024249号において記載されている。
抗FN14抗体の所望の機能的特性は、ADCCアッセイ(実施例の節を参照されたい)、ADCPアッセイ、アフィニティー/結合アッセイ(例えば、表面プラズモン共鳴、競合的阻害アッセイ)、細胞傷害性アッセイ、細胞生存度アッセイ(例えば、Trypan Blue、ヨウ化プロピジウムなどの色素排除を用いるアッセイ)、in vitroモデルまたはin vivoモデル(例えば、細胞増殖および/またはコロニー形成アッセイ、アンカー形成依存性増殖アッセイ、標準的なヒト腫瘍異種移植モデル)を用いるがん細胞および/または腫瘍の成長阻害が含まれるがこれらに限定されない、当業者に公知の多様な方法を用いて評価することができる(例えば、Culp PAら、Clin. Cancer Res.、16巻(2号):497〜508頁を参照されたい)。他のアッセイでは、本明細書で記載される抗体が、細胞増殖、分化、およびある特定の細胞型では、免疫制御機能など、通常のFN14を介する応答(Bradley JRおよびPober JS Oncogene、2001年、20巻:6482〜91頁)を遮断する能力を調べることができる。このようなアッセイは、当業者に公知の十分に確立されたプロトコール(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publ. Assoc. Inc. & John Wiley & Sons, Inc.、NY、NY);Current Protocols in Immunology(John E. Coligan、Ada M. Kruisbeek、David H. Margulies、Ethan M. Shevach編、Warren Strober、2001年、John Wiley & Sons、NY、NY)を参照されたい)を用いて実施することもでき、市販のキットを用いて実施することもできる。
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書で記載される抗体またはその抗原結合断片をコードする単離核酸、例えば、CDRまたはVHドメインもしくはVLドメインをコードする核酸をさらに提供する。核酸は、DNAおよびRNAを包含する。これらの実施形態および関連する実施形態は、本明細書で記載されるFN14に結合する抗体をコードするポリヌクレオチドを包含しうる。本明細書で用いられる「単離ポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム起源、cDNA起源、もしくは合成起源、またはこれらの一部の組合せであるポリヌクレオチドであって、その起源により、(1)その単離ポリヌクレオチドが天然において見出されるポリヌクレオチドの全部もしくは一部と会合していないか、(2)天然では連結されないポリヌクレオチドに連結されているか、または(3)天然でより長大な配列の一部としては生じないポリヌクレオチドを意味するものとする。
「作動可能に連結された」という用語は、この用語が適用される構成要素が、適した条件下でそれらがそれらの固有の機能を果たすことを可能とする関係にあることを意味する。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結された」転写制御配列は、タンパク質コード配列の発現を、制御配列の転写活性と適合可能な条件下で達成するように、タンパク質コード配列にライゲーションされる。
本明細書で用いられる「制御配列」という用語は、それらがライゲーションされるかまたは作動可能に連結されるコード配列の発現、プロセシング、または細胞内局在化に影響を及ぼしうるポリヌクレオチド配列を指す。このような制御配列の性質は、宿主生物に依存しうる。具体的な実施形態では、原核生物の転写制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列を包含しうる。他の具体的な実施形態では、真核生物の転写制御配列は、転写因子、転写エンハンサー配列、転写終結配列、およびポリアデニル化配列の1つまたは複数の認識部位を含むプロモーターを包含しうる。ある特定の実施形態では、「制御配列」は、リーダー配列および/または融合パートナー配列を包含しうる。
本明細書で言及される「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖の核酸ポリマーを意味する。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドの場合もあり、デオキシリボヌクレオチドの場合もあり、ヌクレオチドのいずれかの種類の修飾形態の場合もある。前記修飾には、ブロモウリジンなどの塩基修飾、アラビノシドおよび2’,3’−ジデオキシリボースなどのリボース修飾、ならびにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート、およびホスホルアミデート(phosphoroamidate)などのヌクレオチド間連結修飾が含まれる。「ポリヌクレオチド」という用語は、特に、DNAの一本鎖形態および二本鎖形態を包含する。
「天然に存在するヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを包含する。「修飾ヌクレオチド」という用語は、糖基などが修飾または置換されたヌクレオチドを包含する。「オリゴヌクレオチド連結」という用語は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート、ホスホルアミデートなどのオリゴヌクレオチド連結を包含する。例えば、それらの開示が任意の目的で参照により本明細書に組み込まれる、LaPlancheら、1986年、Nucl. Acids Res.、14巻:9081頁;Stecら、1984年、J. Am. Chem. Soc.、106巻:6077頁;Steinら、1988年、Nucl. Acids Res.、16巻:3209頁;Zonら、1991年、Anti−Cancer Drug Design、6巻:539頁;Zonら、1991年、OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES: A PRACTICAL APPROACH、87〜108頁(F. Eckstein編)、Oxford University Press、Oxford England;Stecら、米国特許第5,151,510号;UhlmannおよびPeyman、1990年、Chemical Reviews、90巻:543頁を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたはそのハイブリダイゼーションの検出を可能とする検出可能な標識を包含しうる。
「ベクター」という用語は、コード情報を宿主細胞へと導入するのに用いられる任意の分子(例えば、核酸、プラスミド、またはウイルス)を指すのに用いられる。「発現ベクター」という用語は、宿主細胞の形質転換に適し、挿入された異種核酸配列の発現を誘導し、かつ/または制御する核酸配列を含有するベクターを指す。発現には、転写、翻訳、および、イントロンが存在する場合は、RNAスプライシングなどの過程が含まれるがこれらに限定されない。
当業者が理解する通り、ポリヌクレオチドは、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドなどを発現させる、またはこれらを発現させるように適合させる場合もある、ゲノム配列、ゲノム外およびプラスミドによりコードされる配列、ならびにより小型の作出された遺伝子セグメントを包含しうる。このようなセグメントは、天然で単離される場合もあり、当業者が合成的に改変する場合もある。
これもまた当業者が認知する通り、ポリヌクレオチドは、一本鎖(コード鎖またはアンチセンス鎖)の場合もあり、二本鎖の場合もあり、DNA(ゲノムDNA、cDNA、または合成DNA)分子の場合もあり、RNA分子の場合もある。RNA分子は、イントロンを含有し、DNA分子に一対一で対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有しないmRNA分子を包含しうる。本開示に従うポリヌクレオチドには、さらなるコード配列または非コード配列を存在させることもできるが存在させなくともよく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持物質に連結することもできるが連結しなくともよい。ポリヌクレオチドは、天然配列を含む場合もあり、このような配列の改変体または誘導体をコードする配列を含む場合もある。
したがって、これらの実施形態および関連する実施形態によれば、配列番号6〜10、28〜33、43、45、47、51、53、61、63、および69〜73のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列、配列番号6〜10、28〜33、43、45、47、51、53、61、63、および69〜73のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の相補体、ならびに配列番号6〜10、28〜33、43、45、47、51、53、61、63、および69〜73のうちのいずれか1つに示されるポリヌクレオチド配列の縮重改変体の一部または全部を含むポリヌクレオチドが提供される。ある特定の好ましい実施形態では、本明細書の別の個所で記載される通り、本明細書で示されるポリヌクレオチド配列が、FN14に結合する抗体またはそれらの抗原結合断片をコードする。
他の関連する実施形態では、ポリヌクレオチド改変体が、本明細書の配列番号6〜10、28〜33、43、45、47、51、53、61、63、および69〜73で開示される配列に対して実質的な同一性を有することが可能であり、例えば、本明細書で記載される方法(例えば、以下で記載される、標準的なパラメータを用いるBLAST解析)を用い、本明細書で開示される配列など、基準のポリヌクレオチド配列と比較して、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の配列同一性を含む改変体でありうる。当業者は、これらの値を適切に調整して、コドンの縮重性、アミノ酸の類似性、リーディングフレームの位置決定などを考慮することにより、2つのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質の対応する同一性を決定しうることを認識するであろう。
ポリヌクレオチド改変体は、好ましくは、改変体のポリヌクレオチドによりコードされる抗体の結合アフィニティーが、本明細書で具体的に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされる抗体と比べて実質的に減殺されないように、1つまたは複数の置換、付加、欠失、および/または挿入を含有することが典型的である。
他のある特定の関連する実施形態では、ポリヌクレオチド断片が、本明細書で開示される配列のうちの1つまたは複数と同一であるかまたは相補的な、多様な長さの配列の連続的なストレッチを含むか、または本質的にこれらからなることが可能である。例えば、本明細書で開示される配列のうちの1つまたは複数のうちの少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、200、300、400、500、または1000以上の連続ヌクレオチド、ならびにこれらの間の全ての中間の長さを含むか、または本質的にこれらからなるポリヌクレオチドが提供される。この文脈における「中間の長さ」とは、200〜500;500〜1,000などを通した全ての整数を含め、50、51、52、53など;100、101、102、103など;150、151、152、153など、引例値の間の任意の長さを意味することが容易に理解される。本明細書で記載されるポリヌクレオチド配列は、一方または両方の末端において、天然配列において見出されないさらなるヌクレオチドにより伸長させることができる。このさらなる配列は、開示される配列のいずれかの末端または開示される配列の両方の末端における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチドからなる可能性がある。
別の実施形態では、中程度〜高度なストリンジェンシーの条件下で、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列、またはその断片、もしくはその相補的配列にハイブリダイズすることが可能なポリヌクレオチドが提供される。分子生物学の技術分野では、ハイブリダイゼーション法が周知である。例示を目的として述べると、本明細書で提供されるポリヌクレオチドの、他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを調べるのに適する中程度にストリンジェントな条件には、5倍濃度のSSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)溶液中の前洗浄;50℃〜60℃、5倍濃度のSSC中、一晩にわたるハイブリダイジングの後;0.1%のSDSを含有する2倍濃度のSSC、0.5倍濃度のSSC、および0.2倍濃度のSSCの各々による、65℃で20分間ずつ2回にわたる洗浄が含まれる。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液の塩含量および/またはハイブリダイゼーションを実施する温度を変化させることなどにより容易に操作しうることを理解するであろう。例えば、別の実施形態では、適した高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、ハイブリダイゼーション温度を、例えば、60〜65℃または65〜70℃へと上昇させることを例外として、上記の条件が含まれる。
ある特定の実施形態では、上記のポリヌクレオチド、例えば、ポリヌクレオチド改変体、断片、およびハイブリダイズする配列が、FN14に結合する抗体またはその抗原結合断片をコードする。他の実施形態では、このようなポリヌクレオチドが、特に本明細書で示される抗体配列の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%でFN14に結合する抗体またはその抗原結合断片もしくはCDRをコードする。さらなる実施形態では、このようなポリヌクレオチドが、本明細書で示される抗体より大きなアフィニティーでFN14に結合する、例えば、特に本明細書で示される抗体配列の、定量的に少なくとも約105%、106%、107%、108%、109%、または110%で結合する、抗体またはその抗原結合断片もしくはCDRをコードする。
代表的なポリペプチド(例えば、本明細書で提供される改変体のFN14特異的抗体、例えば、本明細書で提供される抗原結合断片を有する抗体タンパク質)の三次元構造の決定は、選択された天然または非天然のアミノ酸による1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加、欠失、または挿入を、このようにして導かれる構造的改変体が本明細書で開示される分子種の空間充填特性を保持するかどうかを決定する目的で事実上モデル化しうるように、日常的な方法を介して行うことができる。例えば、Donateら、1994年、Prot. Sci.、3巻:2378頁;Bradleyら、Science、309巻:1868〜1871頁(2005年);Schueler−Furmanら、Science、310巻:638頁(2005年);Dietzら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、103巻:1244頁(2006年);Dodsonら、Nature、450巻:176頁(2007年);Qianら、Nature、450巻:259頁(2007年);Ramanら、Science、327巻:1014〜1018頁(2010年)を参照されたい。本明細書で提供されるFN14特異的抗体およびそれらの抗原結合ドメインの合理的なデザインなど、これらの実施形態および関連する実施形態のために用いうるコンピュータアルゴリズムの一部のさらなる非限定的な例には、生体高分子系の高性能シミュレーションのためにデザインされた並列分子動力学コードであるNAMD、ならびに3D画像およびビルトインスクリプト記述を用いて生体高分子系を表示、動画表示、および解析するための分子画像化プログラムであるVMDが含まれる(Phillipsら、Journal of Computational Chemistry、26巻:1781〜1802頁、2005年;Humphreyら、「VMD − Visual Molecular Dynamics」、J. Molec. Graphics、1996年、14巻、33〜38頁を参照されたい;また、ks.uiuc.edu/Research/vmd/におけるTheoretical and Computational Biophysics Group、University of Illinois at Urbana−Champagneのウェブサイトも参照されたい)。当技術分野では、他の多くのコンピュータプログラムが公知であり、当業者に利用可能であり、エネルギーを最小化したコンフォメーションの空間充填モデル(ファンデルワールス半径)から原子の寸法を決定することを可能とする:異なる化学基に対する高アフィニティー領域を決定し、これにより、結合を増強しようとするGRID、数学的アライメントを計算するモンテカルロ探索、およびCHARMM(Brooksら(1983年)、J. Comput. Chem.、4巻:187〜217頁)、ならびに力の場の計算および解析を評価するAMBER(Weinerら(1981年)、J. Comput. Chem.、106巻:765頁)(また、Eisenfieldら(1991年)、Am. J. Physiol.、261巻:C376〜386頁;Lybrand(1991年)、J. Pharm. Belg.、46巻:49〜54頁;Froimowitz(1990年)、Biotechniques、8巻:640〜644頁;Burbamら(1990年)、Proteins、7巻:99〜111頁;Pedersen(1985年)、Environ. Health Perspect.、61巻:185〜190頁;およびKiniら(1991年)、J. Biomol. Struct. Dyn.、9巻:475〜488頁も参照されたい)。また、Schroedinger(Munich、Germany)製などの、多様で適切な計算用コンピュータプログラムも市販されている。
本明細書で記載されるポリヌクレオチドまたはそれらの断片は、コード配列それ自体の長さにかかわらず、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、さらなる制限酵素部位、多重クローニング部位、他のコードセグメントなど、他のDNA配列と組み合わせることができ、その結果、その全体の長さが大幅に変化しうる。したがって、ほぼ任意の長さの核酸断片であって、全長が調製の容易さおよび意図される組換えDNAプロトコールにおける使用により限定されることが好ましい核酸断片を用いうることが想定される。例えば、全長が約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50塩基対の長さなど(全ての中間の長さを含めた)である例示的なポリヌクレオチドセグメントは、有用であると想定される。
ポリヌクレオチド配列を比較する場合、下記の通りに対応が最大となるようにアライメントしたときに、2つの配列におけるヌクレオチド配列が同じであれば、2つの配列を「同一である」という。2つの配列の間の比較は、典型的に、配列を比較ウインドウ(comparison window)にわたり比較して、局所的な配列類似性の領域を同定および比較することにより実施される。本明細書で用いられる「比較ウインドウ」とは、少なくとも約20、通常は30〜約75、40〜約50の連続的な位置のセグメントであって、配列を、同数の連続的な位置を有する基準配列と、これら2つの配列を最適にアライメントした後で比較しうるセグメントを指す。
比較のための最適の配列アライメントは、バイオインフォーマティックスソフトウェアのLasergeneスイート(DNASTAR,Inc.、Madison、WI)におけるMegalignプログラムでデフォルトのパラメータを用いて実行することができる。このプログラムは、以下の参考文献において記載されているいくつかのアライメントスキームを具体化する:Dayhoff, M.O.(1978年)、A model of evolutionary change in proteins − Matrices for detecting distant relationships、Dayhoff, M.O.(編)、Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、Washington DC、5巻、補遺3巻、345〜358頁;Hein J.、Unified Approach to Alignment and Phylogenes、626〜645頁(1990年);Methods in Enzymology、183巻、Academic Press, Inc.、San Diego、CA;Higgins, D.G.およびSharp, P.M.、CABIOS、5巻:151〜153頁(1989年);Myers, E.W.およびMuller W.、CABIOS、4巻:11〜17頁(1988年);Robinson, E.D.、Comb. Theor、11巻:105頁(1971年);Santou, N. Nes, M.、Mol. Biol. Evol.、4巻:406〜425頁(1987年);Sneath, P.H.A.およびSokal, R.R.、Numerical Taxonomy − the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、San Francisco、CA(1973年);Wilbur, W.J.およびLipman, D.J.、Proc. Natl. Acad., Sci. USA、80巻:726〜730頁(1983年)。
代替的に、比較のための最適の配列アライメントは、SmithおよびWaterman、Add. APL. Math、2巻:482頁(1981年)による局所的な同一性アルゴリズムを介して実行することもでき、NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.、48巻:443頁(1970年)による同一性アライメントのアルゴリズムを介して実行することもでき、PearsonおよびLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻:2444頁(1988年)による類似性の検索法を介して実行することもでき、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group(GCG)、575 Science Dr.、Madison、WIによるGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA)のコンピュータ化された実装により実行することもでき、目視により実行することもできる。
配列同一性および配列類似性のパーセントを決定するのに適するアルゴリズムの好ましい一例は、BLASTアルゴリズムおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、それぞれ、Altschulら、Nucl. Acids Res.、25巻:3389〜3402頁(1977年)、およびAltschulら、J. Mol. Biol.、215巻:403〜410頁(1990年)において記載されている。例えば、本明細書で記載されるパラメータによりBLASTおよびBLAST 2.0を用いて、2つ以上のポリヌクレオチド間における配列同一性のパーセントを決定することができる。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationを介して公開されている。例示的な一例では、ヌクレオチド配列には、パラメータM(マッチする残基対に対するリウォードスコア;常に>0)およびN(ミスマッチする残基に対するペナルティースコア;常に<0)を用いて累積スコアを計算することができる。各方向へのワードヒットの伸長は、累積アライメントスコアがその最大達成値から分量Xだけ低下する場合;1つもしくは複数の負のスコアをもたらす残基アライメントが累積するために、累積スコアがゼロ以下になる場合;またはいずれかの配列の末端に達した場合に停止させる。BLASTアルゴリズムのパラメータであるW、T、およびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)では、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:10915頁(1989年)を参照されたい)によるアライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を用いる。
ある特定の実施形態では、「配列同一性の百分率」は、最適にアライメントした2つの配列を、少なくとも20の位置の比較ウインドウにわたって比較することにより決定し、ここで、比較ウインドウにおけるポリヌクレオチド配列の一部が、2つの配列の最適のアライメントのための基準配列(付加も欠失も含まない)と比較して20パーセント以下、通常は5〜15パーセント、または10〜12パーセントの付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含みうる。百分率は、両方の配列で同一な核酸塩基が生じてマッチした位置数をもたらす位置数を決定し、マッチした位置数を基準配列における位置の総数(すなわち、ウインドウのサイズ)で除し、結果に100を乗じて配列同一性の百分率をもたらすことにより計算する。
当業者は、遺伝子コードの縮重性の結果として、本明細書で記載される抗体をコードする多くのヌクレオチド配列が存在することを認識するであろう。これらのポリヌクレオチドのうちの一部は、FN14に結合する抗体をコードする、本明細書で記載されるポリヌクレオチド配列など、天然のポリヌクレオチド配列または元のポリヌクレオチド配列のヌクレオチド配列と最小限の配列同一性を保有する。にもかかわらず、本開示では、コドン使用の差違に起因して変化するポリヌクレオチドが明示的に想定される。ある特定の実施形態では、哺乳動物における発現のためにコドンを最適化した配列が、特に想定される。
したがって、本発明の別の実施形態では、本明細書で記載される抗体の改変体および/または誘導体を調製するために、部位特異的変異誘発などの変異誘発手法を使用することができる。この手法では、それらをコードする根底的なポリヌクレオチドの変異誘発を介して、ポリペプチド配列における特定の修飾を行うことができる。これらの技法は、配列改変体を調製して調べる簡便な手法、例えば、1つまたは複数のヌクレオチド配列の変更をポリヌクレオチド内に導入することにより、前出の検討事項のうちの1つまたは複数を組み込むことを提供する。
部位特異的変異誘発は、特異的なオリゴヌクレオチド配列であって、所望の変異を有するDNA配列をコードする他、横断される欠失接合部の両側において安定的な二重鎖を形成するのに十分なサイズおよび配列の複雑性を有するプライマー配列をもたらすのに十分な数の隣接するヌクレオチドもコードするオリゴヌクレオチド配列の使用を介する変異体の産生を可能とする。選択したポリヌクレオチド配列における変異を使用して、ポリヌクレオチドそれ自体の特性を改善するか、変化させるか、低下させるか、修飾するか、もしくは他の形で変更することもでき、かつ/またはコードされるポリペプチドの特性、活性、組成、安定性、もしくは一次配列を変化させることもできる。
ある特定の実施形態では、本発明者らは、開示されるポリヌクレオチド配列の変異誘発であって、抗体もしくはその抗原結合断片の結合アフィニティー、または特定のFc領域のADCC機能、またはFc領域の特定のFcγRに対するアフィニティーなど、コードされるポリペプチドの1つまたは複数の特性を変化させる変異誘発を想定する。当技術分野では、部位特異的変異誘発法が周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方の改変体を創出するのに広く用いられている。例えば、部位特異的変異誘発は、DNA分子の特定の部分を変化させるのに用いられることが多い。このような実施形態では、典型的に約14〜約25ヌクレオチドくらいの長さを含むプライマーを使用し、配列接合部の両側において約5〜約10残基を変化させる。
当業者により認識される通り、部位特異的変異誘発法では、一本鎖形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用することが多かった。部位指向的変異誘発において有用な典型的ベクターには、M13ファージなどのベクターが含まれる。これらのファージは、市販品の入手が容易であり、当業者にはそれらの使用が一般に周知である。二本鎖プラスミドはまた、対象の遺伝子をプラスミドからファージへと導入するステップを排除する部位指向的変異誘発でも日常的に使用されている。
一般に、本明細書に従う部位指向的変異誘発は、まず所望のペプチドをコードするDNA配列をその配列内に包含する、一本鎖ベクターを得るか、または二本鎖ベクターの2つの鎖を溶融させて解離させることにより実施する。所望の変異配列を保有するオリゴヌクレオチドプライマーは、一般に合成により調製する。次いで、変異保有鎖の合成を完結させるために、このプライマーを、一本鎖ベクターとアニールさせ、E.coliポリメラーゼIのKlenow断片などのDNA重合化酵素に供する。こうして、一方の鎖が元の非変異配列をコードし、第2の鎖が所望の変異を保有するヘテロ二重鎖が形成される。次いで、このヘテロ二重鎖ベクターを用いて、E.coli細胞などの適切な細胞を形質転換し、変異配列の構成を保有する組換えベクターを包含するクローンを選択する。
部位指向的変異誘発を用いて選択されるペプチドをコードするDNAセグメントの配列改変体を調製することにより、潜在的に有用な分子種を産生させる手段がもたらされるが、ペプチドの配列改変体およびそれらをコードするDNA配列を取得し得る他のやり方も存在するので、これは、限定的であることを意味するわけではない。例えば、所望のペプチド配列をコードする組換えベクターを、ヒドロキシルアミンなどの変異原性剤で処理して、配列改変体を得ることができる。これらの方法およびプロトコールに関する特定の詳細は、各々がその目的で参照により本明細書に組み込まれる、Maloyら、1994年;Segal、1976年;ProkopおよびBajpai、1991年;Kuby、1994年;ならびにManiatisら、1982年の教示において見出される。
本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド指向的変異誘発手順」という用語は、増幅など、特定の核酸分子の濃度のその初期濃度と比べた上昇、または検出可能なシグナル濃度の上昇を結果としてもたらす、鋳型依存的工程およびベクターを介する増殖を指す。本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド指向的変異誘発手順」という用語は、プライマー分子の鋳型依存的な伸長を伴う工程を指すことを意図する。鋳型依存的工程という用語は、RNA分子またはDNA分子の核酸合成であって、核酸の新たに合成される鎖の配列が、相補的な塩基対合についての周知の規則(例えば、Watson、1987年を参照されたい)により規定される核酸合成を指す。典型的に、ベクターを介する方法は、核酸断片のDNAベクターまたはRNAベクターへの導入、ベクターのクローン増幅、および増幅された核酸断片の回収を伴う。このような方法の例は、参照によりその全体において本明細書に具体的に組み込まれる、米国特許第4,237,224号により提供されている。
ポリペプチド改変体を産生させるための別の手法では、米国特許第5,837,458号において記載される、再帰的配列組換えを用いることができる。この手法では、組換えおよびスクリーニングまたは選択の反復的サイクルを実施して、例えば、結合アフィニティーを増大させた個別のポリヌクレオチドの改変体を「進化」させる。また、ある特定の実施形態では、本明細書で記載される少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、ベクター、転写カセットまたは発現カセットの形態における構築物も提供する。
ある特定の関連する実施形態に従い、本明細書で記載される1つまたは複数の構築物を含む組換え宿主細胞と;任意の抗体、CDR、VHドメインもしくはVLドメイン、またはその抗原結合断片をコードする核酸と;コードされる産物を産生させる方法であって、それをコードする核酸からの発現を含む方法とが提供される。発現は、核酸を含有する組換え宿主細胞を適切な条件下で培養することにより好都合に達成しうる。発現による産生の後、抗体またはその抗原結合断片は、任意の適した技法を用いて単離および/または精製し、次いで、所望の通りに用いることができる。
本明細書で提供される抗体またはそれらの抗原結合断片、ならびにコード核酸分子およびベクターは、例えば、それらの天然の環境から、実質的に純粋または均一な形態で単離および/または精製することもでき、核酸の場合、所望の機能を伴うポリペプチドをコードする配列以外の起源の核酸または遺伝子を含まないかまたは実質的に含まずに単離および/または精製することもできる。核酸は、DNAを含む場合もあり、RNAを含む場合もあり、完全に合成する場合もあり、部分的に合成する場合もある。本明細書で示されるヌクレオチド配列に対する言及は、配列を指定したDNA分子を包含し、配列を指定したRNA分子を包含する(この場合、文脈により別段に要求されない限り、UをTで置換する)。
多様な異なる宿主細胞においてポリペプチドをクローニングして発現させるための系が周知である。適した宿主細胞には、細菌系、哺乳動物細胞系、酵母系、およびバキュロウイルス系が含まれる。異種ポリペプチドを発現させるのに当技術分野で利用可能な哺乳動物細胞系には、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NSOマウス黒色腫細胞、および他の多くの細胞が含まれる。一般的な好ましい細菌宿主は、E.coliである。
当技術分野では、E.coliなどの原核細胞における抗体および抗原結合断片の発現が十分に確立されている。総説には、例えば、Pluckthun, A.、Bio/Technology、9巻:545〜551頁(1991年)を参照されたい。当業者にはまた、培養物中の真核細胞における発現も、抗体またはそれらの抗原結合断片を産生させるための選択肢として利用可能であり、近年の総説、例えば、Ref, M. E.(1993年)、Curr. Opinion Biotech.、4巻:573〜576頁;Trill, J. J.ら(1995年)、Curr. Opinion Biotech、6巻:553〜560頁を参照されたい。
必要に応じて、プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、および他の配列を含めた適切な調節配列を含有する適したベクターを選ぶまたは構築することができる。ベクターは、必要に応じて、プラスミドの場合もあり、ウイルス、例えば、ファージの場合もあり、ファージミドの場合もある。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Manual:2版、Sambrookら、1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えば、核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、DNAの細胞への導入、および遺伝子発現、ならびにタンパク質の解析において核酸を操作するための多くの公知の技法およびプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology、2版、Ausubelら編、John Wiley & Sons、1992年、またはこれに対するその後の改定版において詳細に記載されている。
「宿主細胞」という用語は、本明細書で記載される抗体のうちの1つまたは複数をコードする核酸配列を導入されたか、または導入された可能性がある細胞、および本明細書で記載される任意の抗体をコードする遺伝子など、選択された対象の遺伝子をさらに発現させるか、またはこれを発現させることが可能な細胞を指すのに用いられる。この用語は、選択された遺伝子が存在する限りにおいて、後代が形態または遺伝子組成において元の親細胞と同一の場合であれ、そうでない場合であれ、親細胞の後代を包含する。したがってまた、このような核酸を宿主細胞へと導入するステップを含む方法も想定される。導入では、任意の利用可能な技法を使用しうる。真核細胞の場合、適した技法には、リン酸カルシウムによるトランスフェクション、DEAE−デキストラン、電気穿孔、リポソームを介するトランスフェクション、およびレトロウイルスもしくは他のウイルス、例えば、ワクシニア、または、昆虫細胞の場合、バキュロウイルスを用いる形質導入が含まれうる。細菌細胞の場合、適した技法には、塩化カルシウムによる形質転換、電気穿孔、およびバクテリオファージを用いるトランスフェクションが含まれうる。導入後、例えば、遺伝子を発現させるための条件下で宿主細胞を培養することにより、核酸からの発現を引き起こすかまたは可能とすることができる。一実施形態では、核酸を、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)内に組み込む。組込みは、標準的な技法に従い、ゲノムとの組換えを促進する配列を包含することにより促進することができる。
ある特定の実施形態では、本発明はまた、本明細書で記載されるFN14特異的抗体など、特定のポリペプチドを発現させるために、上記で言明された構築物を発現系において用いるステップを含む方法も提供する。「形質導入」という用語は、1つの細菌から別の細菌への、通常はファージによる遺伝子の移入を指すのに用いられる。「形質導入」はまた、レトロウイルスによる真核細胞配列の獲得および移入も指す。「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来DNAまたは外因性DNA取込みを指すのに用いられ、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されたとき、細胞は「トランスフェクト」されている。当技術分野では、多数のトランスフェクション法が周知であり、本明細書で開示されている。例えば、Grahamら、1973年、Virology、52巻:456頁;Sambrookら、2001年、MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratories;Davisら、1986年、BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY、Elsevier;およびChuら、1981年、Gene、13巻:197頁を参照されたい。このような技法は、1つまたは複数の外因性DNA部分を適した宿主細胞へと導入するのに用いることができる。
本明細書で用いられる「形質転換」という用語は、細胞の遺伝子特徴の変更を指し、新規のDNAを含有するように改変されたとき、細胞は形質転換されている。例えば、その天然状態から遺伝子的に改変される場合、細胞は形質転換される。トランスフェクションまたは形質導入後において、形質転換DNAは、細胞の染色体へと物理的に組み込まれることにより細胞のDNAと組換わる場合もあり、複製されることなくエピソームエレメントとして一過性に維持される場合もあり、プラスミドとして独立に複製される場合もある。DNAが細胞分裂により複製される場合、細胞は安定的に形質転換されたと考えられる。核酸分子、ポリペプチド、宿主細胞などの生物学的物質との関連で用いられる場合の「天然に存在する」または「天然の」という用語は、天然において見出され、ヒトにより操作されていない物質を指す。同様に、本明細書で用いられる「天然に存在しない」または「非天然の」とは、天然において見出されないか、またはヒトにより構造的に修飾されるかもしくは合成された物質を指す。
「ポリペプチド」、「タンパク質」、および「ペプチド」、ならびに「糖タンパク質」という用語は、互換的に用いられ、いかなる特定の長さにも限定されないアミノ酸のポリマーを意味する。この用語は、ミリスチル化、硫酸化、グリコシル化、リン酸化、およびシグナル配列の付加または欠失などの修飾を除外しない。「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、1つまたは複数のアミノ酸鎖であって、各鎖が、ペプチド結合により共有結合的に連結されたアミノ酸を含み、前記ポリペプチドまたはタンパク質が、天然タンパク質、すなわち、天然に存在する細胞、および、特に非組換え細胞により産生されたタンパク質、または遺伝子操作された細胞もしくは組換え細胞により産生されたタンパク質の配列を有する、ペプチド結合により非共有結合的および/または共有結合的に併せて連結された複数の鎖を含むことが可能であり、天然タンパク質のアミノ酸配列を有する分子、または天然配列の1つもしくは複数のアミノ酸の欠失、これらに対する付加、および/もしくはこれらに対する置換を有する分子を含みうるアミノ酸鎖を意味する。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、特に本開示のFN14に結合する抗体、または抗FN14抗体の1つもしくは複数のアミノ酸の欠失、これらに対する付加、および/もしくはこれらに対する置換を有する配列を包含する。したがって、「ポリペプチド」または「タンパク質」は、アミノ酸鎖のうちの1つ(「単量体」と呼ばれる)を含む場合もあり、複数(「多量体」と呼ばれる)を含む場合もある。
本明細書で言及される「単離タンパク質」という用語は、対象タンパク質が、(1)典型的には天然においてそれと共に見出される少なくとも数種の他のタンパク質を含まないこと、(2)同じ供給源に由来する他のタンパク質、例えば、同じ種に由来する他のタンパク質を本質的に含まないこと、(3)異なる種に由来する細胞を介して発現すること、(4)それが天然において会合するポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質のうちの少なくとも約50パーセントから分離されていること、(5)「単離タンパク質」が天然において会合するタンパク質の部分と会合(共有結合的相互作用を介する場合もあり、非共有結合的相互作用を介する場合もある)していないこと、(6)それが天然において会合しないポリペプチドと作動可能に会合(共有結合的相互作用を介する場合もあり、非共有結合的相互作用を介する場合もある)していること、または(7)天然において発生しないことを意味する。このような単離タンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、または他のRNAによりコードされる場合もあり、合成起源の場合もあり、これらの任意の組合せの場合もある。ある特定の実施形態では、単離タンパク質が、その天然の環境において見出されるタンパク質もしくはポリペプチドまたは他の夾雑物であって、その使用(治療的使用、診断的使用、予防的使用、研究のための使用、または他の形の使用)に干渉するタンパク質もしくはポリペプチドまたは他の夾雑物を実質的に含まない。
「ポリペプチド断片」という用語は、単量体の場合もあり、多量体の場合もあるポリペプチドであって、天然に存在するポリペプチドまたは組換えにより産生させたポリペプチドのアミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失、および/または内部の欠失もしくは置換を有するポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、ポリペプチド断片は、少なくとも5〜約500アミノ酸長のアミノ酸鎖を含みうる。ある特定の実施形態では、断片が、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、150、200、250、300、350、400、または450アミノ酸長であることが認識される。特に有用なポリペプチド断片は、抗体の抗原結合ドメインまたは抗原結合断片を含めた機能的ドメインを包含する。抗FN14抗体の場合、有用な断片には、CDR領域、特に、重鎖または軽鎖のCDR3領域、重鎖または軽鎖の可変領域、抗体鎖の部分または2つのCDRを含めたそのちょうどの可変領域などが含まれるがこれらに限定されない。
FN14特異的抗体を生成させる方法
本発明のある特定の実施形態に従う抗体は、DT40ニワトリB細胞リンパ腫系列に基づくin vitro系を用いて生成させることができる。DT40ニワトリB細胞リンパ腫系列は、ex vivoにおける抗体進化のために用いられてきた(Cumbers, S.J.ら、Nat Biotechnol、20巻、1129〜1134頁(2002年);Seo, H.ら、Nat Biotechnol、23巻、731〜735頁(2005年))。DT40細胞は、それぞれ、鋳型による変異および鋳型によらない変異を創出する、多様化の2つのはっきり異なる生理学的経路である、遺伝子転換および体細胞超変異を利用しうるので、膨大なV領域配列の潜在的多様性を駆使する(Maizels, N.、Immunoglobulin gene diversification、Annu Rev Genet、39巻、23〜46頁(2005年))。しかし実のところ、抗体進化のためのDT40細胞の有用性は、多様化が(他の形質転換されたB細胞系における場合と同様)生理学的速度の1%未満で生じるために、限定されている。多様化は、相同組換え経路を無効化することにより数倍加速化しうる(Cumbersら、前出)が、このようにして操作された細胞は、効率的な遺伝子ターゲティングを実行する能力を失う。多様化はまた、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンAで細胞を処理することによっても加速化しうる(Seoら、前出)が、結果として得られる変異は、もっぱら鋳型による変異であり、潜在的な多様性は制限され、必要とされるアフィニティーまたは特異性を有する抗体を産生させることはできない。
ある特定の実施形態では、本明細書で抗体を生成させるのに用いられるDT40細胞を改変して、さらなる遺伝子改変能、または遺伝子転換および体細胞超変異の両方が変異誘発に寄与する可能性を犠牲にすることなしに、Ig遺伝子の多様化速度を加速化する。これは、免疫グロブリン(Ig)遺伝子の多様化を、強力なE.coliラクトースオペレーター/リプレッサー制御ネットワークの制御下に置くことにより実現された。強力なE.coliラクトースオペレーターが約100重合化した反復配列からなる多量体(PolyLacO)を、相同遺伝子ターゲティングにより、再配列して発現させたIgλ遺伝子およびIgH遺伝子の上流に挿入した(実施例1;図1aを参照されたい)。次いで、ラクトースリプレッサーのオペレーターDNAに対する高アフィニティー(KD=10−14M)を利用して、ラクトースリプレッサータンパク質(LacI)に融合させた制御因子を、LacO制御エレメントへとテザーして、多様化を制御することができる。PolyLacOがIgλだけに組み込まれたDT40 PolyLacO−λR細胞は、任意の操作前の親DT40細胞と比べて、Ig遺伝子の多様化速度の5倍の増大を呈示した(Cummings, W.J.ら、PLoS Biol、5巻、e246頁(2007年))。多様化は、Igλ遺伝子およびIgH遺伝子の両方を標的としたPolyLacOを保有するように操作された細胞(「DTLacO」)においてさらに上昇した。本明細書の実施例において示される通り、重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子の両方をPolyLacOエレメントの標的とすることにより、多様化は、DT40親細胞系と比べて20倍を超えて加速化された。
一実施形態では、重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子の両方においてPolyLacOを保有する、操作されたDTLacO系列を、ex vivoにおける抗体発見の出発点として用いることができる。例えば、実施例において記載される通り、107〜1010個のDTLacO LacI−HP1細胞による多様化集団から出発して、FN14に結合する細胞を、FN14を保有する固体のマトリックス(Dynal磁気ビーズ)における選択ラウンドおよびFACSにより濃縮した。当業者により認識される通り、他の選択方法(例えば、FN14に対する抗体の結合特異性に基づく)もまた用いることができる。次いで、本明細書で記載される標準的な技法を用いて、所望の結合特徴を有する組換えキメラモノクローナル抗体を生成させる。
次いで、ある特定の実施形態(例えば、本明細書で記載される抗FN14抗体の改変体を生成させるための実施形態;本明細書で記載される抗FN14抗体の結合を遮断する抗体を生成させるための実施形態)では、パニングおよび細胞:標的細胞間結合が含まれるがこれらに限定されない多様なハイスループット手法のうちのいずれかを用いて、抗原特異的DTLacO細胞の選択について調べることができる。例えば、低い百分率でFN14特異的細胞を含有する多様なDTLacO集団を、プラスチック製のマトリックスに結合させた、複数の可溶性抗原の標的アレイと共にインキュベートすることにより、パニングを実行することができる。パニングにより、FN14特異的DTLacO細胞が著明に濃縮される。DTLacO:標的細胞による選択は、低百分率のCFSE標識したDTLacO FN14結合細胞または選択されていないDTLacOを含有した多様なDTLacO集団を、対象の抗原を発現させる標的細胞、例えば、細胞表面において天然FN14または組換えFN14を構成的または一過性に発現させるFN14発現細胞と共に共インキュベートし、次いで、フローサイトメトリーにより、標的細胞へと結合したDTLacO細胞を定量化することにより実行することができる。DTLacOの標的細胞との相互作用は、はるかに小型の遊離DTLacO細胞に由来するシグナルが前方散乱に基づき消失するドットプロット上のCFSE陽性イベントとして明らかである。
ある特定の実施形態(例えば、本明細書で記載される抗FN14抗体の結合を遮断する抗体を生成させるための実施形態)では、抗体を、WO2009029315およびUS2010093033においてさらに記載されるのと同様に、特定のポリペプチドの多様性を生成させるためのin vitro系を用いて調製することができる。特に、これらの適用は一般に、標的遺伝子の多様化の可逆的誘導を可能にする、本明細書の上記で記載したDT40細胞系など、改変B細胞に関する。例示的なB細胞はDT40 B細胞系であるが、ヒトB細胞を含めた他のB細胞の使用が想定される。DT40とは、その培養中の重鎖免疫グロブリン(Ig)遺伝子および軽鎖免疫グロブリン(Ig)遺伝子を、構成的に変異させることが公知のニワトリB細胞系である。他のB細胞と同様、この構成的な変異誘発は、Ig遺伝子のV領域を変異の標的とし、したがって、発現する抗体分子のCDRを変異の標的とする。DT40細胞における構成的な変異誘発は、各機能的V領域の上流に位置する一連の非機能的V遺伝子セグメント(V偽遺伝子;ΨV)をドナー配列として用いる遺伝子転換を介して起こる。ΨV領域の欠失は、多様化機構の切換えであって、遺伝子転換から、ヒトB細胞において一般に観察される機構である体細胞超変異への切換えを引き起こすことが既に示されている。DT40はまた、特定の遺伝子を修飾するか、欠失させるか、もしくは挿入した改変細胞、または特定の対象の遺伝子が内因性遺伝子を置き換えた改変細胞、特に、内因性の再配列されたIg遺伝子を置き換えた改変細胞の創出を可能とする効率的な相同組換えを支援することも示されている。
WO2009029315およびUS2010093033において記載される系は、これらの特性および他の特性を利用して、標的配列を多様化するためのプラットフォームを創出している。より具体的に述べると、その最も広範な形態において、これらの文献では、標的遺伝子の多様化の可逆的誘導を可能にする改変B細胞が記載されている。細胞は、対象の標的遺伝子に作動可能に連結した「シス制御エレメント」を包含するように改変する。細胞は、「テザー因子(tethering factor)」に融合させた「多様化因子」を包含するようにさらに改変する。テザー因子の機能は、シス制御エレメントに結合し、これにより、多様化因子を標的遺伝子の発現を制御する領域へともたらすことである。多様化因子の役割は、標的配列の多様化(変異)を加速化または制御することである。標的遺伝子をIg遺伝子座へと挿入してからは、多様化因子−テザー因子融合タンパク質を用いることにより、変異をそのコード領域へと標的化し、制御する。一般に、シス制御エレメントは、テザー因子の、シス制御エレメントへの、配列特異的な形での結合を可能とし、遺伝子(対象の遺伝子)の発現または多様化を制御する領域に位置付けられる任意のDNA配列でありうる。シス制御エレメントには、20塩基対のLacO結合部位による約100の反復配列を含む重合化ラクトースオペレーター(PolyLacO)が含まれる。シス制御エレメントは、Igλ軽鎖遺伝子座およびIgH遺伝子座のΨV領域内に位置付けられる。テザー因子には、高アフィニティーでLacOに結合するLacリプレッサー(LacI)が含まれる。シス制御エレメントのこの挿入は、改変DT40細胞系における通常の鋳型による変異誘発(遺伝子転換)過程には影響を及ぼさない。
WO2009029315およびUS2010093033による系の誘導性の側面は、テザー因子(LacI)−多様化因子融合タンパク質の発現およびLacIのLacOからの放出を引き起こす低分子である、IPTGの使用を介して生じる。10μMという少量のIPTGを伴う改変DT40細胞の培養物は、LacIのPolyLacOからの放出を引き起こし、細胞の増殖には影響を及ぼさない。多くの異なる多様化因子が想定され、これらには、クロマチン構造、転写活性化因子、および他の遺伝子制御因子、デアミナーゼ、DNAの修復および複製に関係するタンパク質、レソルバーゼおよびヘリカーゼ、細胞周期制御因子、核膜孔複合体タンパク質、およびユビキチン化に関係するタンパク質に影響を及ぼす因子が含まれる。異なるテザー因子−多様化因子構築物には、以下が含まれる:1)LacI−HP1:ヘテロクロマチンタンパク質であるHP1は、近傍遺伝子のクロマチン構造の閉鎖を促進する。したがって、LacIが改変DT40細胞内のPolyLacOに結合すると、テザーされたHP1タンパク質は、ドナーΨV配列の、クロマチン解放状態からクロマチン複製阻害状態への転移を引き起こした。これは、ΨV領域の欠失と機能的に同等であり、下流のIg Vλ遺伝子座の鋳型による変異誘発から、この標的とされる領域の体細胞超変異への切換えも同様に結果としてもたらした。2)LacI−VP16:VP16とは、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ複合体を動員することにより機能する強力な転写活性化因子である。LacI−VP16融合体のPolyLacO経路への結合は、許容性のクロマチン構造および遺伝子転換により標的とされるVλ領域の変異誘発の増大を結果としてもたらした。3)LacI−Nup153:Nup153とは、核膜孔タンパク質であり、LacI−Nup153融合タンパク質は、改変DT40細胞内のIgH遺伝子座を核膜孔へとテザーするように機能した。Ig遺伝子の多様化は、核外搬出シグナルを保持する活性化誘導デアミナーゼ(AID)により媒介されて核周縁部で始まることが示されているので、LacI−Nup153融合タンパク質のPolyLacO経路への結合の効果は、核膜孔に対する遺伝子の近接性を増大させることにより多様化を加速化することであった。記載された実験は、クローンの多様化速度が5.7倍加速化されることを示す。4)E47−LacI:E47とは、E2Aのアイソフォームであり、リンパ球発生の多くの側面に対する制御因子である。このタンパク質は、それがクラススイッチ組換えならびにAID遺伝子の発現を制御する活性化マウスB細胞において誘導される。E2A遺伝子の不活化は、Igλ遺伝子の多様化を損なう。同様に、E47の異所性発現は、Igλ遺伝子の多様化を促進する。したがって、E47−LacI融合タンパク質の、改変DT40細胞内のPolyLacOシス制御エレメントへの結合は、標的とされる下流の遺伝子の多様化の増大を結果としてもたらした。5)HIRA−LacI:HIRAとは、ヒストンのシャペロンである。その機能の1つは、H3.3ヒストン改変体を含有するヌクレオソームを組み立てることである。PolyLacO改変DT40細胞におけるHIRA−LacI融合タンパク質の発現は、多様化を11倍に増大させた。この加速化は、鋳型による変異(遺伝子転換)レベルの上昇に起因することが示された。
WO2009029315およびUS2010093033において記載される改変B細胞は、変異タンパク質を生成させるのに用いることができ、ある特定の実施形態では、例えば、本明細書で記載される抗体の、それらのコグネイト抗原への特異的結合を、競合的阻害を介して遮断する抗体など、抗FN14抗体を生成させるのに用いることができる。
FN14機能のモジュレーター、アゴニスト、またはアンタゴニストである、本明細書で記載されるFN14結合抗体またはその抗原結合断片は、想定される実施形態内に明示的に包含される。これらのアゴニスト、アンタゴニスト、およびモジュレーターである抗体またはその抗原結合断片は、FN14の抗原決定部位またはFN14のエピトープ断片もしくはエピトープ改変体のうちの1つまたは複数と相互作用する。
当業者により認識される通り、標準的な技術を含め、FN14などの特定の抗原に結合する抗体を作製する多くの公知の方法が存在し、例えば、HarlowおよびLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988年を参照されたい。一般に、本明細書で明示的に開示されるFN14結合抗体の、それらのコグネイト抗原への結合を特異的に遮断する抗体などの抗体は、本明細書で記載されるモノクローナル抗体の生成を含めた細胞培養法により産生させることもでき、組換え抗体の産生を可能とするための、抗体遺伝子の、適した細菌細胞宿主または哺乳動物細胞宿主へのトランスフェクションを介して産生させることもできる。ある特定の実施形態では、ポリペプチド抗原を含む免疫原(例えば、配列番号89に示されるアミノ酸配列を含むヒトFN14タンパク質)を最初に、多種多様な哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、またはヤギ)のうちのいずれかへと注射する。このステップでは、ポリペプチドが、修飾を伴わない免疫原として働きうる。代替的に、特に、比較的短いポリペプチドでは場合によって、ポリペプチドを、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニンなどの担体タンパク質へと接合すると、優れた免疫応答を誘発することができる。免疫原は、好ましくは1回または複数回の追加の免疫化を組み込む所定のスケジュールに従い動物宿主へと注射し、動物から定期的に採血する。次いで、ポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体を、例えば、適した固体の支持体と共役させたポリペプチドを用いるアフィニティークロマトグラフィーにより、このような抗血清から精製することができる。
ある特定の実施形態では、例えば、KohlerおよびMilstein、Eur. J. Immunol.、6巻:511〜519頁、1976年による技法、およびこれに対する変法を用いて、対象の抗原ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を調製することができる。略述すると、これらの方法は、所望の特異性(すなわち、対象のポリペプチドとの反応性)を有する抗体を産生させることが可能な不死化細胞系の調製を伴う。このような細胞系は、例えば、上記の通りに免疫化した動物から得られる脾臓細胞から産生させることができる。次いで、例えば、骨髄腫細胞の融合パートナー、好ましくは免疫化した動物と同系の融合パートナーと融合させることにより脾臓細胞を不死化させる。多様な融合法を使用することができる。例えば、脾臓細胞および骨髄腫細胞を、非イオン性洗浄剤と数分間にわたり組み合わせ、次いで、ハイブリッド細胞の成長は支援するが、骨髄腫細胞の成長は支援しない選択培地上に低密度で播種する。好ましい選択法では、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を用いる。十分な期間の後、通常は約1〜2週間後、ハイブリッド体のコロニーを観察する。単一のコロニーを選択し、それらの培養上清をポリペプチドに対する結合活性について調べる。反応性および特異性の高いハイブリドーマが好ましい。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマコロニーを成長させる上清から単離することができる。加えて、マウスなど、適した脊椎動物宿主の腹腔へのハイブリドーマ細胞系の注射など、収量を増強する多様な技法も用いることができる。次いで、モノクローナル抗体を、腹水または血液から採取することができる。クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈殿、および抽出など、従来の技法により夾雑物を抗体から除去することができる。精製工程、例えば、アフィニティークロマトグラフィーステップでは、ポリペプチドを用いることができる。
使用方法および医薬組成物
本明細書では、FN14に結合する抗体を用いる処置方法が提供される。一実施形態では、本発明の抗体を、FN14の不適切な発現を伴う疾患であって、本開示の文脈では、例えば、存在するタンパク質の量の変化(例えば、統計学的に有意な増大または減少)、もしくは変異体タンパク質の存在、またはこれらの両方に起因する、異常なFN14を特徴とする疾患および障害を包含することを意味する疾患を有する患者に投与する。過剰量は、FN14の分子レベルにおける通常の検出可能な発現と比べた過剰発現、作用部位における通常の検出可能な出現と比べて長期にわたるかもしくは累積的な出現、または通常の検出可能な活性と比べた活性の増大(例えば、統計学的に有意な形での増大)が含まれるがこれらに限定されない任意の原因に起因しうる。FN14のこのような過剰量は、FN14の正常な発現、出現、または活性と比べて測定することができ、前記測定は、本明細書で記載される抗体の開発および/または臨床試験において重要な役割を果たしうる。
特に、本抗体は、FN14の発現と関連する多様ながんの処置に有用である。例えば、本発明の一実施形態は、治療有効量の、本明細書で開示されるFN14特異的抗体をがん患者に投与することにより、黒色腫、唾液腺癌、乳がん、肝細胞癌、卵巣がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん(NSCLC;腺癌および扁平上皮癌の両方)、腎臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、子宮がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、および多形膠芽腫が含まれるがこれらに限定されないがんを処置するための方法を提供する。投与後、統計学的に有意な形で(すなわち、当業者に公知の適切な対照と比べて)がんを阻害するか、がんの発生の可能性を低減するか、がんの進行および/または転移を防止するかまたは遅延させる量を有効であると考える。
別の実施形態は、治療有効量(例えば、投与後、統計学的に有意な形で、すなわち、当業者に公知の適切な対照と比べてがんを阻害するか、がんの発生の可能性を低減するか、がんの転移を防止するかまたは遅延させる量)の、本明細書で開示されるFN14特異的抗体をがん患者に投与することにより、黒色腫、唾液腺癌、乳がん、肝細胞癌、卵巣がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん(NSCLC;腺癌および扁平上皮癌の両方)、腎臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、子宮がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、および多形膠芽腫が含まれるがこれらに限定されないがんの転移を防止するか、またはその発生の可能性を低減するための方法を提供する。
別の実施形態は、治療有効量の、本明細書で開示されるFN14特異的抗体をがん患者に投与することにより、黒色腫、唾液腺癌、乳がん、肝細胞癌、卵巣がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がん(NSCLC;腺癌および扁平上皮癌の両方)、腎臓がん、頭頸部がん、膀胱がん、子宮がん、胃がん、食道がん、膵臓がん、および多形膠芽腫が含まれるがこれらに限定されないがんを防止するか、またはその発生の可能性を低減するための方法を提供する。
別の実施形態は、FN14の発現と関連する炎症または炎症性疾患を処置するか、その重症度を低減するか、その発生の可能性を低減するか、またはこれを防止するための方法を提供する(例えば、Hottaら、2010 Kidney International、PMID:20927042を参照されたい)。例えば、本発明の一実施形態は、クローン病、大腸炎、皮膚炎、乾癬、憩室炎、肝炎、過敏性腸症候群(IBS)、エリテマトーデス、腎炎、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、関節炎、関節リウマチ、喘息、ならびにアテローム性動脈硬化および血管炎などの多様な心血管疾患が含まれるがこれらに限定されない炎症または炎症性疾患を処置するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、炎症性疾患が、関節リウマチ、糖尿病、痛風、クリオピリン関連周期性症候群、および慢性閉塞性肺障害からなる群より選択される。この点で、一実施形態は、治療有効量の、本明細書で開示されるFN14特異的抗体を、それを必要とする患者に投与することにより、炎症または炎症性疾患を処置するか、またはその発生の可能性を低減するか、その重症度を低減するか、またはこれを防止する方法を提供する。
想定されるある特定の実施形態では、本明細書で開示されるFN14特異的抗体が、患者に投与される唯一の治療的に活性な薬剤である。代替的に、他のある特定の実施形態では、本明細書で開示される抗体を、細胞傷害剤、化学療法剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、抗炎症剤、キナーゼ阻害剤、抗血管新生剤、心臓保護剤、または他の治療剤が含まれるがこれらに限定されない、1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて投与する。このような分子は、意図される目的に有効な量で組み合わせて存在させるのに適する。熟達した医療従事者は、本明細書で有用な他の治療剤の1つまたは複数の適切な用量を経験的に決定することができる。抗体は、1つまたは複数の他の治療レジメンと共に併用投与することができる。例えば、抗体は、化学療法、放射線療法、または化学療法および放射線療法の両方と共に患者に投与することができる。一実施形態では、抗体を、治療的利益をもたらすことが当技術分野で公知の1つまたは複数の他の抗体と共に投与することができる。
一実施形態では、本明細書で記載される抗体を化学療法剤と共に投与する。「化学療法剤」とは、がんの処置において有用な化合物を意味する。化学療法剤の例には、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなどのアルキルスルホナート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphaoramide)、およびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含めたエチレンイミンおよびメチルメラミン(methylamelamines);クロランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノベンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア(nitrosureas);アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗物質;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FUなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤(anti−adrenals);フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフロルニチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェンメトラジン(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.RTM;ラゾキサン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhne−Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤であるRFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;チミジル酸シンターゼ阻害剤(Tomudexなど);セリコキシブ(CELEBREX(登録商標))またはMK−0966(VIOXX(登録商標))などのcox−2阻害剤;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が含まれるがこれらに限定されない。また、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害剤、4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston)を含めた抗エストロゲン剤;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン剤;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体など、腫瘍に対するホルモンの作用を制御または阻害するように作用する抗ホルモン剤も含まれる。
化学療法剤または他の細胞傷害剤は、プロドラッグとして投与することができる。本明細書で用いられる「プロドラッグ」とは、親薬物と比較して腫瘍細胞に対してより細胞傷害性ではなく、酵素的に活性化するか、または活性のより大きな親形態へと転換することが可能な、薬学的に活性な物質の前駆体形態または誘導体形態を意味する。例えば、Wilman、1986年、Biochemical Society Transactions、615th Meeting Belfast、14巻:375〜382頁;およびStellaら、「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery、Borchardtら(編):247〜267頁、Humana Press、1985年を参照されたい。本明細書で想定されるある特定の実施形態では、本明細書で記載されるFN14特異的抗体と共に用いうるプロドラッグに、活性のより大きな遊離細胞傷害性薬へと転換されうる、ホスフェートを含有するプロドラッグ、チオホスフェートを含有するプロドラッグ、スルフェートを含有するプロドラッグ、ペプチドを含有するプロドラッグ、D−アミノ酸で修飾されたプロドラッグ、グリコシル化されたプロドラッグ、ベータ−ラクタムを含有するプロドラッグ、場合によって置換されたフェノキシアセトアミドを含有するプロドラッグ、または、場合によって置換されたフェニルアセトアミドを含有するプロドラッグ、5−フルオロシトシンプロドラッグ、および他の5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれうるがこれらに限定されない。本FN14特異的抗体と共に用いられるプロドラッグ形態へと誘導体化しうる細胞傷害性薬の例には、前述の化学療法剤のうちのいずれかが含まれるがこれらに限定されない。
本FN14特異的抗体は、他の治療レジメンと組み合わせることができる。例えば、一実施形態では、抗体により処置される患者はまた、放射線療法も施されうる。放射線療法は、当技術分野で一般に使用され、当業者に公知のプロトコールに従い投与することができる。このような療法には、当技術分野で許容される放射性同位元素であるセシウム、イリジウム、ヨウ素、またはコバルトへの照射による曝露が含まれるがこれらに限定されない。放射線療法は、全身照射の場合もあり、肺、膀胱、または前立腺など、体内または体表における特定の部位または組織へと局所的に方向付ける場合もある。典型的に、放射線療法は、パルスで、約1〜2週間の期間にわたり投与する。しかし、放射線療法は、より長期間にわたり投与する場合もある。例えば、放射線療法は、頭頸部がんを有する患者に約6〜約7週間にわたり投与する場合もある。場合によって、放射線療法は、単回線量として投与する場合もあり、複数回の逐次線量として投与する場合もある。熟達した医療従事者は、本明細書で有用な放射線療法の1回または複数回の適切な線量を経験的に決定することができる。別の実施形態に従い、本FN14特異的抗体および1つまたは複数の他の抗がん療法を使用して、ex vivoにおいてがん細胞を処置することができる。このようなex vivoにおける処置は、骨髄移植において有用な場合があり、特に、自系骨髄移植において有用でありうることが想定される。例えば、がん細胞を含有する細胞または組織(複数可)の、抗体および上記の抗がん療法などの1つまたは複数の他の抗がん療法による処置を使用して、レシピエント患者における移植前のがん細胞を枯渇させるか、または実質的に枯渇させることができる。当然ながら、本明細書で記載される抗体を、手術などのさらに他の治療法と組み合わせて使用しうることが想定される。
代替的な実施形態では、本明細書で記載される抗体を、サイトカインと共に投与することができる。本明細書で用いられる「サイトカイン」とは、1つの細胞集団により放出されるタンパク質であって、別の細胞に対して細胞間メディエーターとして作用するタンパク質についての総称的な用語を意味する。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインには、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子−アルファおよび腫瘍壊死因子−ベータ;ミュラー管阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−ベータなどの神経増殖因子;血小板増殖因子;TGF−アルファおよびTGF−ベータなどのトランスホーミング増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子Iおよびインスリン様増殖因子II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ、およびインターフェロン−ガンマなどのインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球マクロファージ−CSF(GM−CSF)、および顆粒球−CSF(G−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);IL−1、IL−1アルファ、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−15などのインターロイキン(IL);TNF−アルファまたはTNF−ベータなどの腫瘍壊死因子;ならびにLIFおよびkitリガンド(KL)を含めた他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書で用いられるサイトカインという用語は、天然の供給源または組換え細胞培養物に由来するタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性な同等物を包含する。
本明細書で記載されるFN14特異的抗体を伴う投与には、他の多様な治療剤も用いることができる。一実施形態では、抗体を、抗炎症剤と共に投与する。抗炎症剤または抗炎症薬には、ステロイドおよびグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンを含めた)、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンを含めた非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、免疫選択的抗炎症性誘導体(imSAIDS)(例えば、Bao Fら、Neuroscience.、2006年7月7日、140巻(3号):1011〜22頁;Mathison RDら、BMC Immunol.、2003年3月4日;4巻:3頁を参照されたい)、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬、シクロホスファミド、およびミコフェノール酸塩が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で記載されるFN14特異的抗体を伴う投与には、他の多様な治療剤も用いることができる。一実施形態では、抗体を、抗血管新生剤と共に投与する。本明細書で用いられる「抗血管新生剤」とは、血管の発生を遮断するか、またはこれにある程度干渉する化合物を意味する。例えば、抗血管新生因子は、低分子またはタンパク質、例えば、血管新生の促進に関係する増殖因子もしくは増殖因子受容体に結合する抗体またはサイトカインでありうる。本明細書で好ましい抗血管新生因子は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に結合する抗体である。代替的な実施形態では、抗体を、適応免疫応答を誘導するかまたは増強する治療剤、例えば、CTLA−4を標的とする抗体と共に投与する。代替的な実施形態では、抗体をチロシンキナーゼ阻害剤と共に投与する。本明細書で用いられる「チロシンキナーゼ阻害剤」とは、チロシンキナーゼのチロシンキナーゼ活性をある程度阻害する分子を意味する。このような阻害剤の例には、PD 153035、4−(3−クロロアニリノ)キナゾリンなどのキナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;CGP 59326、CGP 60261、およびCGP 62706などのピロロピリミジン;ピラゾロピリミジンである4−(フェニルアミノ)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5−ビス(4−フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するトリホスチン;PD−0183805(Warner−Lambert);アンチセンス分子(例えば、ErbBをコードする核酸に結合するアンチセンス分子);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK−787(Novartis/Schering A G);C1−1033(Pfizer)などのpan−ErbB阻害剤;Affinitac(ISIS 3521;Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(ST1571、Gleevec(登録商標);Novartis);PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);C1−1033(Pfizer);EKB−569(Wyeth);Semaxinib(Sugen);ZD6474(AstraZeneca);PTK−787(Novartis/Schering AG);INC−1−C11(Imclone);または以下の特許公開:米国特許第5,804,396号;PCT WO99/09016(American Cyanimid);PCT WO98/43960(American Cyanamid);PCT WO97/38983(Warner−Lambert);PCT WO99/06378(Warner−Lambert);PCT WO99/06396(Warner−Lambert);PCT WO96/30347(Pfizer,Inc);PCT WO96/33978(AstraZeneca);PCT WO96/3397(AstraZeneca);PCT WO96/33980(AstraZeneca)、ゲフィチニブ(IRESSA(商標)、ZD1839、AstraZeneca)、およびOSI−774(Tarceva(登録商標)、OSI Pharmaceuticals/Genentech)のうちのいずれかにおいて記載される阻害剤が含まれるがこれらに限定されない。
想定される別の実施形態では、本明細書で記載されるFN14特異的抗体を、本明細書ではコンジュゲートと称する、別の治療用化合物とコンジュゲートすることもでき、これに作動可能に連結することもできる。コンジュゲートは、細胞傷害剤、化学療法剤、サイトカイン、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、毒素、放射性同位元素、または他の治療的に活性な薬剤でありうる。化学療法剤、サイトカイン、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、および他の治療剤については上記で記載したが、これらの前述の治療剤の全てを、抗体コンジュゲートとして用いることができる。
代替的な実施形態では、抗体を、それらの断片および/または改変体を含めた、細菌起源、真菌起源、植物起源、または動物起源の低分子毒素および酵素的に活性な毒素が含まれるがこれらに限定されない毒素とコンジュゲートするか、またはこれに作動可能に連結する。低分子毒素には、サポリン(Kuroda Kら、The Prostate、70巻:1286〜1294頁(2010年);Lip, WL.ら、2007年、Molecular Pharmaceutics、4巻:241〜251頁;Quadros EV.ら、2010年、Mol Cancer Ther、9巻(11号);3033〜40頁;Polito L.ら、2009年、British Journal of Haematology、147巻、710〜718頁)、カリケアマイシン、マイタンシン(米国特許第5,208,020号)、トリコテセン(trichothene)、およびCC1065が含まれるがこれらに限定されない。毒素には、RNアーゼ、ゲロニン、エンジイン、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、Pseudomonas属外毒素(PE40)、Shigella属毒素、Clostridium perfringens毒素、およびヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が含まれるがこれらに限定されない。
ある特定の関連する実施形態では、抗体を、1つまたは複数のマイタンシン分子(例えば、抗体分子1つ当たり約1〜約10のマイタンシン分子)とコンジュゲートする。例えば、マイタンシンを、May−SS−Meへと転換することができ、これをMay−SH3へと還元して、修飾抗体と反応させ(Chariら、1992年、Cancer Research、52巻:127〜131頁)て、マイタンシノイド−抗体コンジュゲートを生成させることができる。別の対象のコンジュゲートは、1つまたは複数のカリケアマイシン分子とコンジュゲートした抗体を含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは、ピコモル濃度以下で二本鎖DNAの切断をもたらすことが可能である。また、カリケアマイシンの構造的類似体も用いることができる(Hinmanら、1993年、Cancer Research、53巻:3336〜3342頁;Lodeら、1998年、Cancer Research、58巻:2925〜2928頁)(米国特許第5,714,586号;米国特許第5,712,374号;米国特許第5,264,586号;米国特許第5,773,001号)。アウリスタチンE(AE)およびモノメチルアウリスタチンE(MMAE)など、ドラスタチン10の類似体も、本明細書で開示される抗体またはその改変体のコンジュゲートとして用いることができる(Doroninaら、2003年、Nat Biotechnol、21巻(7号):778〜84頁;Franciscoら、2003年、Blood、102巻(4号):1458〜65頁)。酵素的に活性な有用な毒素には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosaに由来する)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、Aleurites fordiiのタンパク質、ジランチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaのタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、Momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、Sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが含まれるがこれらに限定されない。例えば、PCT WO93/21232を参照されたい。本開示は、コンジュゲートまたは融合体を、本明細書で記載されるFN14特異的抗体と、核酸分解活性を伴う化合物、例えば、リボヌクレアーゼ、またはデオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)などのDNAエンドヌクレアーゼとの間で形成させる実施形態もさらに想定する。
代替的な実施形態では、本明細書で開示される抗体は、放射性同位元素にコンジュゲートするかまたはこれに作動可能に連結して、放射性コンジュゲートを形成することができる。放射性コンジュゲート抗体を産生させるには、多様な放射性同位元素が利用可能である。例には、90Y、123I、125I、131I、186Re、188Re、211At、および212Biが含まれるがこれらに限定されない。
他のある特定の実施形態では、本明細書で記載される抗体を、細胞毒(例えば、細胞増殖抑制剤または殺細胞剤)、治療剤、または放射性元素(例えば、アルファ放射体、ガンマ放射体など)などの治療用部分とコンジュゲートすることができる。細胞毒または細胞傷害剤には、細胞に対して有害な任意の薬剤が含まれる。例には、パクリタキセル/パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにこれらの類似体または同族体が含まれる。1つの好ましい例となる細胞毒は、サポリン(Advanced Targeting Systems、San Diego、CAから入手可能)である。治療剤には、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)クロランブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシスジクロロジアミン白金(II)(DDP;シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧称:ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧称:アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれるがこれらに限定されない。
さらに、ある特定の実施形態では、FN14特異的抗体(本明細書で提供される抗原結合断片など、その機能的断片を含めた)を、放射性金属イオンをコンジュゲートするのに有用な放射性物質または大環状キレート化剤などの治療用部分とコンジュゲートすることができる。ある特定の実施形態では、大環状キレート化剤が、リンカー分子を介して抗体へと付着されうる1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸(DOTA)である。当技術分野では、このようなリンカー分子が一般に公知であり、Denardoら、1998年、Clin Cancer Res.、4巻:2483〜90頁;Petersonら、1999年、Bioconjug. Chem.、10巻:553号;およびZimmermanら、1999年、Nucl. Med. Biol.、26巻:943〜50頁において記載されている。
さらに別の実施形態では、抗体を、腫瘍のプレターゲティングにおいて使用される「受容体」(ストレプトアビジンなど)であって、抗体−受容体コンジュゲートが患者に投与された後、清澄化剤(clearing agent)を用いて、結合しなかったコンジュゲートが循環から除去され、次いで、細胞傷害剤(例えば、放射性ヌクレオチド)とコンジュゲートされた「リガンド」(例えば、アビジン)の投与が行われる受容体とコンジュゲートすることができる。代替的な実施形態では、抗体依存性酵素介在性プロドラッグ療法(ADEPT)を使用するために、抗体を、酵素とコンジュゲートするか、またはこれに作動可能に連結する。ADEPTは、抗体を、プロドラッグ(例えば、ペプチジル系化学療法剤;PCT WO81/01145を参照されたい)を、活性な抗がん薬へと転換するプロドラッグ活性化酵素とコンジュゲートすることにより用いることもでき、これに作動可能に連結することにより用いることもできる。例えば、PCT WO88/07378および米国特許第4,975,278号を参照されたい。ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分には、それを活性のより大きな細胞傷害性形態へと転換するようなやり方でプロドラッグに作用することが可能な任意の酵素が含まれる。これらの実施形態および関連する実施形態による方法において有用な酵素には、ホスフェートを含有するプロドラッグを遊離薬物へと転換するのに有用なアルカリホスファターゼ;スルフェートを含有するプロドラッグを遊離薬物へと転換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性の5−フルオロシトシンを抗がん薬である5−フルオロウラシルへと転換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチドを含有するプロドラッグを遊離薬物へと転換するのに有用なセラチア菌プロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、およびカテプシン(カテプシンBおよびLなど)などのプロテアーゼ;D−アミノ酸の置換基を含有するプロドラッグを転換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化されたプロドラッグを遊離薬物へと転換するのに有用なβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ(neuramimidase)などの炭水化物切断酵素;α−ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物へと転換するのに有用なベータ−ラクタマーゼ;およびそれらのアミン窒素において、それぞれ、フェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基により誘導体化された薬物を遊離薬物へと転換するのに有用な、ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが含まれるがこれらに限定されない。代替的に、当技術分野ではまた「アブザイム」としても公知の酵素活性を伴う抗体を用いて、プロドラッグを遊離の活性薬物へと転換することもできる(例えば、Massey、1987年、Nature、328巻:457〜458頁を参照されたい)。抗体−アブザイムコンジュゲートは、アブザイムを腫瘍細胞集団へと送達するために調製することができる。
また、本明細書で記載されるFN14特異的抗体の他の修飾も想定される。例えば、抗体を、多様な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーのうちの1つと連結することができる。別の実施形態では、抗体を、分化誘導剤または薬物、およびこれらの誘導体と共役させることができる。例となる薬物には、メトトレキサート、ならびにピリミジン類似体およびプリン類似体が含まれうるがこれらに限定されない。例となる分化誘導剤には、ホルボールエステルおよび酪酸が含まれうるがこれらに限定されない。
本発明のある特定の実施形態では、多様なリンカーを用いて、抗体コンジュゲートを生成させることができる。本明細書では、「リンカー」、「リンカー配列」、「スペーサー」、「テザー配列」、またはこれらの文法的同等物が、2つの分子を接続し、2つの分子を好ましい立体配置に置くように働くことが多い分子または分子群(単量体またはポリマーなど)を意味する。多数の戦略を用いて、分子を併せて共有結合的に連結することができる。これらには、タンパク質またはタンパク質ドメインのN末端とC末端とのポリペプチド連結、ジスルフィド結合を介する結合、および化学架橋試薬を介する連結が含まれるがこれらに限定されない。
このような一実施形態では、リンカーが、組換え法またはペプチド合成により生成させるペプチド結合である。2つのポリペプチド鎖が接続される特定の場合に適したリンカーの選択は、2つのポリペプチド鎖の性質(例えば、それらが天然でオリゴマー化するのかどうか)、公知の場合は、接続されるN末端とC末端との距離、ならびに/またはタンパク質分解および酸化に対するリンカーの安定性が含まれるがこれらに限定されない1つまたは複数の多様なパラメータに依存しうる。さらに、リンカーは、可撓性をもたらすアミノ酸残基を含有しうる。したがって、リンカーペプチドは、以下のアミノ酸残基:Gly、Ser、Ala、またはThrのうちの1つまたは複数を主に包含しうる。リンカーペプチドは、2つの分子を、所望の活性を保持するように、互いに対して適正なコンフォメーションをとるようなやり方で連結するのに適当な長さを有するべきである。この目的に適する長さには、少なくとも1アミノ酸残基であり、かつ、30アミノ酸残基以下である長さが含まれる。リンカーは、約1〜30アミノ酸の長さであることが好ましく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20アミノ酸の長さのリンカーが好ましい。
リンカーペプチドに包含させるのに選択されるアミノ酸残基は、ポリペプチドの活性にそれほど干渉しない特性を呈示しうることが望ましい。したがって、リンカーペプチド全体で、ポリペプチドの活性と不整合であるか、または内部フォールディングに干渉するか、単量体のうちの1つまたは複数におけるアミノ酸残基であって、受容体の単量体ドメインの結合を大きく妨げるアミノ酸残基と結合または他の相互作用を形成する電荷を呈示すべきではない。有用なリンカーには、グリシン−セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号48)、(GGGGS)n(配列番号49)、および(GGGS)n(配列番号50)を含めた[配列中、nは、少なくとも1つの整数である])、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、およびShakerカリウムチャネルのためのテザーなどの他の可撓性リンカー、ならびに当業者により認識される多種多様な他の可撓性リンカーが含まれる。
一部の実施形態では、グリシン−セリンポリマーは、これらのアミノ酸の両方が、比較的構造化されておらず、したがって、構成要素間の中性のテザーとして働きうるので好ましい。第2に、セリンは親水性であり、したがって、球状のグリシン鎖となりうるポリマーを可溶化させることが可能である。第3に、同様な鎖が、単鎖抗体など、組換えタンパク質のサブユニットを接合するのに有効であることが示されている。適したリンカーはまた、2つのポリペプチド鎖の間のギャップを架橋しうる天然に存在するモチーフについての、公知の三次元構造のデータベースをスクリーニングすることによっても同定することができる。
好ましい実施形態では、リンカーが、ヒト患者に投与するときに免疫原性ではない。したがって、リンカーは、それらが低免疫原性であるか、または免疫原性が低いと考えられるように選ぶことができる。例えば、ヒトにおいて天然で存在するリンカーを選ぶことができる。好ましい実施形態では、リンカーが、抗体のヒンジ領域の配列、すなわち、抗体のFab領域とFc領域とを連結する配列を有するが、代替的に、リンカーは、ヒンジ領域の一部を含む配列または抗体のヒンジ領域と実質的に同様な配列も有する。適したリンカーを得る別のやり方は、単純なリンカー、例えば、(Gly4Ser)n(配列番号49)を、ランダム変異誘発を介して最適化することによるやり方である。代替的に、適したポリペプチドリンカーを規定したら、さらなるリンカーポリペプチドを創出して、連結されるドメインとより最適な形で相互作用するアミノ酸を選択することができる。
用いうる他の種類のリンカーには、人工のポリペプチドリンカーおよびインテインが含まれる。別の実施形態では、2つの分子を連結するようにジスルフィド結合をデザインする。別の実施形態では、リンカーが、化学架橋剤である。例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピデートHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒド(glutareldehyde)など)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン(tolyene)2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)が含まれるがこれらに限定されない多様な二官能性タンパク質の共役剤を用いることができる。例えば、Vitettaら、1971年、Science、238巻:1098号において記載される通りに、リシン抗毒素を調製することができる。
化学リンカーは、同位元素のキレート化を可能にしうる。例えば、炭素14標識した1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性核種を抗体へとコンジュゲートするための例となるキレート化剤である(PCT WO94/11026を参照されたい)。リンカーは、切断可能であり、細胞における細胞傷害性薬の放出を容易とする。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chariら、1992年、Cancer Research、52巻:127〜131頁)を用いることができる。代替的に、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーが含まれるがこれらに限定されない多様な非タンパク質性ポリマーをリンカーとして用いることができる、すなわち、本明細書で開示される抗体を融合パートナーへと連結するのに用いる場合もあり、抗体を所望のコンジュゲート部分へと連結して免疫コンジュゲートを形成するのに用いる場合もある。
当業者には、ホモ官能性およびヘテロ官能性の両方である多様な二官能性または多官能性試薬(Pierce Chemical Co.、Rockford、ILのカタログにおいて記載される試薬など)をリンカー基として使用しうることが明らかであろう。共役は、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化炭水化物残基を介して行うことができる。このような方法について記載する参考文献には、例えば、Rodwellらによる米国特許第4,671,958号など、多数の参考文献が存在する。治療剤が免疫コンジュゲートの抗体部分から遊離するとより強力となる場合は、細胞へと内部移行されている間、または内部移行時に切断可能となるリンカー基を用いることが望ましい。多数の異なる切断可能なリンカー基が記載されている。細胞内のこれらのリンカー基からの薬剤放出の機構には、ジスルフィド結合の還元による切断(例えば、Spitlerによる米国特許第4,489,710号)、感光性の結合に対する照射による切断(例えば、Senterらによる米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解による切断(例えば、Kohnらによる米国特許第4,638,045号)、血清補体を介する加水分解による切断(例えば、Rodwellらによる米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解(例えば、Blattlerらによる米国特許第4,569,789号)が含まれる。
2つ以上の薬剤を抗体と共役させることが所望されうる。一実施形態では、薬剤の複数の分子を、1つの抗体分子と共役させる。別の実施形態では、2つ以上の種類の薬剤を、1つの抗体と共役させることができる。具体的な実施形態にかかわらず、2つ以上の薬剤を伴う免疫コンジュゲートは、多様なやり方で調製することができる。例えば、2つ以上の薬剤を抗体分子へと直接共役させることもでき、複数の付着部位をもたらすリンカーを用いることもできる。代替的に、担体を用いることもできる。
担体は、直接またはリンカー基を介する共有結合の形成を含め、多様なやり方で薬剤を保有しうる。適した担体には、アルブミンなどのタンパク質(例えば、Katoらによる米国特許第4,507,234号)、ペプチドおよびアミノデキストランなどの多糖(例えば、Shihらによる米国特許第4,699,784号)が含まれる。担体はまた、非共有結合の形成またはリポソーム小胞内などのカプセル化によっても薬剤を保有しうる(例えば、米国特許第4,429,008号および同第4,873,088号)。放射性核種による薬剤に特異的な担体には、放射性ハロゲン化低分子およびキレート化化合物が含まれる。例えば、米国特許第4,735,792号は、代表的な放射性ハロゲン化低分子およびそれらの合成について開示している。放射性核種のキレートは、金属または金属酸化物である放射性核種に結合させるためのドナー原子としての窒素原子および硫黄原子を含有するキレート化化合物が含まれるキレート化化合物から形成することができる。例えば、Davisonらによる米国特許第4,673,562号は、代表的なキレート化化合物およびそれらの合成について開示している。
毒素または薬物などの治療剤は、抗体と直接的または間接的に(例えば、本明細書で開示されるリンカー基を介して)共役させる(例えば、共有結合形成させる)ことができる。例えば、一実施形態では、治療剤を、アビジン−ビオチン系または他の類似の系を介して間接的に共役させる。各々が他方と反応することが可能な置換基を所有する場合は、薬剤と抗体との直接的反応が可能である。例えば、一方におけるアミノ基またはスルフヒドリル基などの求核基は、他方における無水物または酸ハロゲン化物などのカルボニル含有基と反応することができる場合もあり、良好な脱離基(例えば、ハロゲン化物)を含有するアルキル基と反応することができる場合もある。
治療用部分を抗体とコンジュゲートする技法は周知であり、例えば、Amonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy」、Reisfeldら(編)、1985年、243〜56頁、Alan R. Liss, Inc.);Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery(2版)、Robinsonら(編)、1987年、623〜53頁、Marcel Dekker, Inc.);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、Monoclonal Antibodies ’84: Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、1985年、475〜506頁);「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)、1985年、303〜16頁、Academic Press;およびThorpeら、Immunol. Rev.、62巻:119〜58頁、1982年を参照されたい。
純粋形態または適切な医薬組成物中での、本明細書で記載されるFN14特異的抗体の投与は、類似の有用性を供給するのに許容される薬剤の投与方式のうちのいずれかを介して実行することができる。医薬組成物は、抗体または抗体を含有する組成物(例えば、FN14特異的抗体−サポリン抗毒素などの免疫コンジュゲート)を、生理学的に許容される適切な担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせることにより調製することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、およびエアゾール剤など、固体形態、半固体形態、液体形態、または気体形態の調製物へと処方することができる。加えて、他の薬学的に活性な成分(本明細書の別の個所で記載される他の抗がん剤を含めた)、ならびに/または塩、緩衝剤、および安定化剤などの適した賦形剤を組成物内に存在させることもできるがそうしなくともよい。投与は、経口経路、非経口経路、経鼻経路、静脈内経路、皮内経路、皮下経路、または局所経路を含め、異なる多様な経路を介して達成することができる。好ましい投与方式は、処置または防止される状態の性質に依存する。投与後、がんを軽減するか、がんを阻害するか、がんの発生の可能性を低減するか、がんの進行および/または転移を防止するかまたは遅延させる量を有効であると考える。
ある特定の実施形態では、投与される量が、生存可能な腫瘍の量の統計学的に有意な減少、例えば、腫瘍塊の少なくとも50%の減少または走査寸法の変化(例えば、統計学的に有意な減少)により示される腫瘍の退縮を結果としてもたらすのに十分である。処置の正確な投与量および持続期間は、処置される疾患の関数であり、公知の試験プロトコールを用いて経験的に決定することもでき、当技術分野で公知のモデル系において組成物を調べ、そこから外挿することにより決定することもできる。また、対照臨床検査も実施することができる。投与量はまた、緩和させる状態の重症度によって変わりうる。医薬組成物は一般に、望ましくない副作用を最小化しながら、治療的に有用な効果を発揮するように処方および投与する。組成物は、一度に投与することもでき、時間間隔を置いて投与される多数回のより小用量へと分割することもできる。任意の特定の対象には、特定の投与量レジメンを、個別の必要に従い、経時的に調整することができる。
FN14特異的抗体を含有する組成物は、単独で投与することもでき、放射線療法、化学療法、移植、免疫療法、ホルモン療法、光力学療法など、他の公知のがん処置と組み合わせて投与することもできる。組成物はまた、細菌感染、特に、細胞内の細菌感染を処置するのに用いられる抗生物質と組み合わせても投与することができる。
したがって、限定せずに述べると、これらの医薬組成物および類縁の医薬組成物を投与する典型的な経路には、経口経路、局所経路、経皮経路、吸入経路、非経口経路、舌下経路、口腔内経路、直腸内経路、膣内経路、および鼻内経路が含まれる。本明細書で用いられる非経口という用語には、皮下注射、静脈内注射法または静脈内注入法、筋肉内注射法または筋肉内注入法、胸骨内注射法または胸骨内注入法が含まれる。本発明のある特定の実施形態に従う医薬組成物は、組成物を患者へと投与したときに、その中に含有される活性成分が生体に利用可能になるように処方する。被験体または患者に投与される組成物は、1つまたは複数の投薬単位であって、例えば、錠剤が単一の投薬単位の場合もあり、エアゾール形態における本明細書で記載されるFN14特異的抗体の容器が複数の投薬単位を保持する場合もある投薬単位の形態をとりうる。このような剤形を調製する実際の方法は当業者に公知であるか、または明らかであろう(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、20版(Philadelphia College of Pharmacy and Science、2000年)を参照されたい)。いずれにせよ、投与される組成物は、本明細書の教示に従う対象の疾患または状態を処置するための治療有効量の本開示の抗体を含有する。
医薬組成物は、固体形態の場合もあり、液体形態の場合もある。一実施形態では、組成物が、例えば、錠剤形態または粉末形態であるように、担体(複数可)は微粒子である。担体(複数可)は液体であることが可能であり、組成物は、例えば、経口油、注射液、または、例えば、吸入投与において有用なエアゾールでありうる。経口投与用に意図される場合、医薬組成物は、固体形態または液体形態であることが好ましく、半固体、半液体、懸濁液、およびゲル形態が、本明細書で固体または液体として考えられる形態内に包含される。
経口投与用の固体組成物として、医薬組成物を、散剤、顆粒剤、圧縮錠、丸剤、カプセル剤、チューインガム、ウェハーなどへと処方することができる。このような固体組成物は典型的に、1つまたは複数の不活性希釈剤または可食性担体を含有する。加えて、以下のうちの1つまたは複数を存在させることができる:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、トラガカントガム、またはゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトース、またはデキストリンなどの賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、トウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤(glidant);スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料などの着香剤(flavoring agent);および着色剤。医薬組成物が、カプセル形態、例えば、ゼラチンカプセル剤の場合、それは、上記の種類の物質に加えて、ポリエチレングリコールまたは油などの液体担体を含有しうる。
医薬組成物は、液体の形態、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、乳剤、または懸濁剤でありうる。2つの例として、液体は、経口投与用の場合もあり、注射による送達用の場合もある。経口投与用が意図される場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、色素/着色剤、および香味増強剤のうちの1つまたは複数も含有する。注射により投与することが意図される組成物では、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、および等張剤のうちの1つまたは複数が包含されうる。
それらが溶液であれ、懸濁液であれ、他の同様の形態であれ、液体の医薬組成物は、以下のアジュバントのうちの1つまたは複数を包含しうる:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム、溶媒もしくは懸濁媒として働きうる合成モノグリセリドもしくは合成ジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度を調整するための薬剤。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数の用量バイアル内に封入することができる。生理食塩水は、好ましいアジュバントである。注射用医薬組成物は、滅菌であることが好ましい。
非経口投与用または経口投与用を意図される液体の医薬組成物は、適した投与量が得られるように、本明細書で開示されるFN14特異的抗体の量を含有するべきである。典型的に、この量は、組成物中に少なくとも0.01%の抗体である。経口投与用が意図される場合、この量は、組成物重量の0.1〜約70%であるように変わりうる。ある特定の経口医薬組成物は、約4%〜約75%の抗体を含有する。ある特定の実施形態では、非経口投薬単位が、希釈前の0.01〜10重量%の抗体を含有するように、本発明に従う医薬組成物および医薬調製物を調製する。
医薬組成物は、局所投与用を意図することもでき、この場合、担体は、溶液基剤、エマルジョン基剤、軟膏基剤、またはゲル基剤を含むことが適切でありうる。基剤は、例えば、以下のうちの1つまたは複数を含みうる:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定化剤。増粘剤は、局所投与用の医薬組成物中に存在させることができる。経皮投与用を意図する場合、組成物は、経皮パッチを包含する場合もあり、イオン導入デバイスを包含する場合もある。医薬組成物は、例えば、直腸内で溶融して薬物を放出する、坐剤の形態での直腸内投与を意図する場合もある。直腸内投与用の組成物は、適した非刺激性賦形剤としての油性基剤を含有しうる。限定せずに述べると、このような基剤には、ラノリン、ココアバター、およびポリエチレングリコールが含まれる。
医薬組成物は、固体または液体の投薬単位の物理的形態を改変する多様な物質を包含しうる。例えば、組成物は、活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する物質を包含しうる。コーティングシェルを形成する物質は、典型的に不活性であり、例えば、糖、セラック、および他の腸溶性のコーティング剤から選択することができる。代替的に、活性成分は、ゼラチンカプセル内に包み込むこともできる。固体形態または液体形態の医薬組成物は、本発明の抗体に結合し、これにより化合物の送達の一助となる薬剤を包含しうる。この能力において作用しうる適した薬剤には、他のモノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、1つもしくは複数のタンパク質、またはリポソームが含まれる。医薬組成物は、本質的にエアゾールとして投与しうる投薬単位からなる場合がある。エアゾールという用語は、コロイド状のもの〜加圧パッケージからなる系の範囲にわたる多様な系を指し示すのに用いられる。送達は、液化ガスまたは圧縮ガスを介する場合もあり、活性成分を分注する適したポンプシステムを介する場合もある。活性成分(複数可)を送達するために、エアゾールは、単相系で送達することもでき、二相系で送達することもでき、三相系で送達することもできる。エアゾールの送達は、併せてキットを形成しうる、必要な容器、アクチベーター、バルブ、部分容器などを包含する。当業者は、必要以上の実験なしに、好ましいエアゾールを決定することができる。
医薬組成物は、製薬技術分野で周知の方法により調製することができる。例えば、注射により投与することを意図される医薬組成物は、溶液を形成するように、本明細書で記載されるFN14特異的抗体、ならびに場合によって、塩、緩衝剤、および/または安定化剤のうちの1つまたは複数を含む組成物を、滅菌蒸留水と組み合わせることにより調製することができる。界面活性剤を添加して、均一な溶液または懸濁液の形成を容易にすることができる。界面活性剤とは、水性送達系における抗体の溶解または均一な懸濁を容易にするように、抗体組成物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
組成物は、使用される特定の化合物(例えば、FN14特異的抗体)の活性;化合物作用の代謝安定性および長さ;患者の年齢、体重、全般的な健康、性別、および食事;投与方式および投与期間;排泄速度;薬物の組合せ;特定の障害または状態の重症度;ならびに療法を受ける被験体を含めた多様な因子に依存して変わる治療有効量で投与することができる。一般に、治療的に有効な毎日の用量は、約0.001mg/kg(すなわち、0.07mg)〜約100mg/kg(すなわち、7.0g)(70kgの哺乳動物の場合)であり、好ましくは、治療有効用量は、約0.01mg/kg(すなわち、0.7mg)〜約50mg/kg(すなわち、3.5g)(70kgの哺乳動物の場合)であり、より好ましくは、治療有効用量は、約1mg/kg(すなわち、70mg)〜約25mg/kg(すなわち、1.75g)(70kgの哺乳動物の場合)である。
本明細書で記載されるFN14特異的抗体を含む組成物はまた、1つまたは複数の他の治療剤の投与と同時に投与することもでき、この前に投与することもでき、この後で投与することもできる。このような組合せ療法は、本発明の化合物および1つまたは複数のさらなる活性薬剤を含有する単一の医薬投薬処方物の投与の他、本発明の抗体を含む組成物およびその固有の別個の医薬投薬処方物における各活性薬剤の投与も包含しうる。例えば、本明細書で記載される抗体および他の活性薬剤は、錠剤またはカプセル剤など、単一の経口投与組成物中で併せて患者に投与することもでき、各薬剤を別個の経口投薬処方物により投与することもできる。別個の投薬処方物を用いる場合、抗体および1つまたは複数のさらなる活性薬剤を含む組成物は、本質的に同時に、すなわち、共時的に投与することもでき、別個に時間をずらして、すなわち、逐次的、かつ、任意の順序で投与することもでき、組合せ療法は、これら全てのレジメンを包含することが理解される。
本明細書で記載されるFN14特異的抗体を含む組成物は、がんなど、本明細書で記載される疾患に罹患する個体に投与することができる。ヒト疾患を処置するためにin vivoで用いる場合は一般に、本明細書で記載される抗体を、投与前に医薬組成物へと組み込む。医薬組成物は、本明細書の別の個所で記載される通り、生理学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせた、本明細書で記載される抗体のうちの1つまたは複数を含む。医薬組成物を調製するには、有効量の1つまたは複数の化合物を、特定の投与方式に適することが当業者に公知である任意の医薬担体(複数可)または医薬賦形剤と混合する。医薬担体は、液体の場合もあり、半液体の場合もあり、固体の場合もある。非経口適用、皮内適用、皮下適用、または局所適用に用いられる溶液または懸濁液には、例えば、滅菌希釈剤(水など)、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗微生物剤(ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなど);抗酸化剤(アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなど);ならびにキレート化剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩、およびリン酸塩など)が含まれうる。静脈内投与する場合、適した担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が含まれる。
本明細書で記載されるFN14特異的抗体を含む組成物は、徐放処方物またはコーティングなど、体内からの急速な消失から抗体を保護する担体と共に調製することができる。このような担体には、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系、ならびにエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、および当業者に公知の他のポリマーなどの生体分解性ポリマー、生体適合性ポリマーなどであるがこれらに限定されない、制御放出処方物が含まれる。
本明細書の全体において、文脈により別段に要求されない限り、「〜を含む(comprise)」という語、または「〜を含む(comprises)」もしくは「〜を含む(comprising)」などの変化形は、言明された要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の包含は含意するが、他の任意の要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の除外は含意しないと理解される。
文脈により別段であることが明確に規定されない限り、本明細書で用いられる単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その」は、複数態を包含する。したがって、例えば、「ある細胞」への言及は、単一の細胞の他、2つ以上の細胞も包含し、「ある薬剤」への言及は、1つの薬剤の他、2つの以上の薬剤も包含するなどである。
別段に明示的に言明されない限り、本明細書の各実施形態は、変更すべき部分を変更して、他の全ての実施形態にも適用されるものとする。
組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のための標準的な技法を用いることができる。酵素反応および精製技法は、製造元の仕様に従い実施することもでき、当技術分野において一般的に実現される通りに実施することもでき、本明細書で記載される通りに実施することもできる。これらの技法および手順ならびに関連する技法および手順は一般に、当技術分野において周知の従来の方法に従い、本明細書全体で引用されて論じられる、多様な一般的参考文献およびより特定の参考文献において記載される通りに実施することができる。例えば、Sambrookら、2001年、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL、3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publ. Assoc. Inc. & John Wiley & Sons, Inc.、NY、NY);Current Protocols in Immunology(John E. Coligan、Ada M. Kruisbeek、David H. Margulies、Ethan M. Shevach、Warren Strober編、2001年、John Wiley & Sons、NY、NY);または他の関連のCurrent Protocol刊行物および他の同様の参考文献を参照されたい。特定の定義を提供しない限り、本明細書で記載される分子生物学、分析化学、有機合成化学、ならびに創薬化学および製薬化学との関連で用いられる用語法ならびにこれらの実験室における手順および技法は、周知の手順および技法であり、当技術分野において一般的に用いられている。標準的な技法は、組換え技術、分子生物学法、微生物学法、化学合成、化学的分析、医薬の調製、処方、および送達、ならびに患者の処置に用いることができる。
(実施例1)
ex vivoにおける多様化系を用いるFN14特異的抗体の生成
DT40ニワトリB細胞リンパ腫系列は、ex vivoにおける抗体進化の有望な出発点であることが示されている(Cumbers, S.J.ら、Nat Biotechnol、20巻、1129〜1134頁(2002年);Seo, H.ら、Nat Biotechnol、23巻、731〜735頁(2005年))。DT40細胞は、培養物中で頑健に増殖し、倍加時間が8〜10時間であり(ヒトB細胞系の20〜24時間と比較して)、極めて効率的な相同遺伝子ターゲティングを支援する(Buerstedde, J.M.ら、Embo J、9巻、921〜927頁(1990年))。DT40細胞は、それぞれ、鋳型による変異および鋳型によらない変異を創出する、多様化の2つのはっきり異なる生理学的経路である、遺伝子転換および体細胞超変異を利用しうるので、膨大なV領域配列の潜在的多様性を駆使する(Maizels, N.、Annu Rev Genet、39巻、23〜46頁(2005年))。しかし実のところ、抗体進化のためのDT40細胞の有用性は、多様化が(他の形質転換されたB細胞系における場合と同様)生理学的速度の1%未満で生じるために限定されている。多様化は、相同組換え経路を無効化することにより数倍加速化しうる(Cumbers, S.J.ら、前出)が、このようにして操作された細胞は、効率的な遺伝子ターゲティングを実行する能力を失っている。多様化はまた、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンAで細胞を処置することによっても加速化しうる(Seoら、前出)が、結果として得られる変異は、もっぱら鋳型による変異であり、潜在的な多様性は制限され、必要とされるアフィニティーまたは特異性を有する抗体を産生させることはできない。
この実施例では、DT40細胞を操作して、さらなる遺伝子改変能、または遺伝子転換および体細胞超変異の両方が変異誘発に寄与する可能性を犠牲にすることなしに、Ig遺伝子の多様化速度を加速化した。これは、Ig遺伝子の多様化を、強力なE.coliラクトースオペレーター/リプレッサー制御ネットワークの制御下に置くことにより実現された。
強力なE.coliラクトースオペレーターが約100重合化した反復配列からなる多量体(PolyLacO)を、相同遺伝子ターゲティングにより、再配列して発現させたIgλ遺伝子およびIgH遺伝子の上流に挿入した(図1A)。次いで、ラクトースリプレッサーのオペレーターDNAに対する高アフィニティー(kD=10−14M)を利用して、ラクトースリプレッサータンパク質(LacI)に融合させた制御因子を、LacO制御エレメントへとテザーして、多様化を制御することができる。PolyLacOがIgλだけに組み込まれたDT40 PolyLacO−λR細胞は、任意の操作前の親DT40細胞と比べて、Ig遺伝子の多様化速度の5倍の増大を呈示した(Cummings, W.J.ら、PLoS Biol、5巻、e246頁(2007年))。多様化は、Igλ遺伝子およびIgH遺伝子の両方を標的としたPolyLacOを保有するように操作された細胞(「DTLacO」)においてさらに上昇することが予測された。これは、LacI−HP1制御因子によるトランスフェクションの3週間後にsIgM−細胞の割合をアッセイすることにより操作された候補系列について確認され、これにより、多様化速度が、親DT40 PolyLacO−λR LacI−HP1系列に特徴的な2.8%と比べて2.5〜9.2倍上昇したことが示された(例えば、図1B)。加速化は、個別のトランスフェクタントの変動アッセイにより、1つの系列について再確認された(図1C)。sIgM−細胞の百分率は、2.5%〜52.5%の範囲であり、DTLacO細胞におけるメジアンは13.0%であった(図1C)。このメジアンは、DT40 PolyLacO−λR LacI−HP1トランスフェクタントにおける場合(2.8%)より4.7倍高く、DT40親系列(Cummings, W.J.ら、PLoS Biol、5巻、e246頁(2007年))に匹敵する対照細胞(DT40 PolyLacO−λR GFP−LacI)における場合(0.6%)より21.7倍高い。この変動アッセイでは累積sIgM喪失改変体を測定する(Luria, S.E.およびDelbrueck, M.、Genetics、28巻、492〜511頁(1943年))ために予測される通り、一部の個別のクローンは、メジアンと大幅に異なる多様化速度を呈示した。したがって、重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子の両方をPolyLacOエレメントの標的とすることにより、多様化は、DT40親細胞系と比べて21.7倍に加速化された(図1C)。
次いで、重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子の両方においてPolyLacOを保有する、操作されたDTLacO系列を、ex vivoにおける抗体発見の出発点として用いた。
細胞表面受容体であるFN14は、TNF受容体ファミリーのうちの最小のメンバーであり、高度に保存された53アミノ酸の細胞外ドメインを伴う(マウス配列とヒト配列との間の92.4%の同一性)。FN14は、全ての腫瘍型ではないが多くの腫瘍型において過剰発現し、治療対象の標的となっている(Feng, S.L.ら、Am J Pathol、156巻、1253〜1261頁(2000年);Han, H.ら、Cancer Res、62巻、2890〜2896頁(2002年);Tran, N.L.ら、Am J Pathol、162巻、1313〜1321頁(2003年);Watts, G.S.ら、Int J Cancer、121巻、2132〜2139頁(2007年);Willis, A.L.ら、Mol Cancer Res、6巻、725〜734頁(2008年))。当技術分野では、FN14のアミノ酸配列およびポリヌクレオチド配列が公知であり、GENBANKなどの公開データベースで入手可能である。ヒトFN14のアミノ酸配列は、配列番号89で提供する。
109個のDTLacO LacI−HP1細胞の多様化集団から出発して、FN14への結合を、固体のマトリックス(Dynal磁気ビーズ)における選択およびFACSにより濃縮した。17の一連の集団は、アフィニティーの増大を特徴とした(図2A)。PECy5で標識した可溶性抗原の、FN14特異的DTLacO細胞への飽和結合反応速度についての解析は、集団FS10およびFS17のそれぞれについて25nMおよび0.7nMの見かけのアフィニティー値をもたらし(図示しない)、このFS24系統における最終集団について0.67nMの見かけのアフィニティー値をもたらした(図2B)。
2つのさらなる抗FN14集団であるPS4AおよびPS4Bは、FN14を含めた標的アレイにおいてFS10細胞をパニングすることにより得た(図2Fを参照されたい)。これらの2つの集団の他、FS10、FS17、およびFS24を表す組換えキメラモノクローナル抗体は、ニワトリVDJエレメントおよびニワトリVJエレメント(図3を参照されたい)をヒトIgG1およびλ定常領域へと融合させることにより生成させた。ヒトIgG1およびλ定常領域のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号52および54に示すが、これらはそれぞれ、配列番号51および53に示されるポリヌクレオチド配列によりコードされる。これらのmAbの見かけのアフィニティーは、mAbの、FN14を発現させる細胞との飽和結合反応速度を測定することにより決定した(表1にまとめる)。mAbであるFS24は、FN14を発現させない対照であるJurkat T細胞に結合しなかったが、FN14を発現させるA375黒色腫細胞には、DTLacO[FS24]集団の可溶性FN14に対するアフィニティー(0.44nM;図2B)に匹敵する0.21nMのアフィニティーで結合した(図2C)。mAbであるFS24は、黒色腫、乳癌、および唾液腺癌を含む、FN14を過剰発現させる腫瘍に由来する多数の細胞型の表面においてFN14を認識したが、対照であるJurkat T細胞上には結合しなかった(図2D)。mAbであるFS24はまた、細胞ベースのアッセイにおいて機能性も呈示した。FS24は、A375細胞によるIL8分泌の刺激として明らかな弱いアゴニスト活性を呈示した(図2E)が、TWEAKと比較すると、アゴニスト活性はほぼ検出不能であった(図示しない)。FS24はまた、A375黒色腫細胞、HCC38乳癌細胞、およびMiaPaCa−2膵臓がん細胞の抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)も促進した(図4)。
細胞の培養および遺伝子ターゲティング:別段に示さない限り、細胞系は、ATCCから購入した。DT40に由来する細胞系は、既に記載した通りに維持およびトランスフェクトし(Yabuki, M.、Fujii, M.M.、およびMaizels, N.、Nat Immunol、6巻、730〜736頁(2005年))、他の細胞系は、元の供給源により指定される通りに維持およびトランスフェクトした。PolyLacO制御エレメント(Robinett, C.C.ら、J Cell Biol、135巻、1685〜1700頁(1996年))は、ラクトースオペレーター(LacO)の約100の反復配列からなり、再配列して発現させた軽鎖対立遺伝子においてPolyLacOを保有するようにあらかじめ操作されたDT40 PolyLacO−λR細胞の、再配列して発現させた重鎖対立遺伝子を標的とした(Cummings, W.J.ら、PLoS Biol、5巻、e246頁(2007年);Yabuki, M.、Ordinario, E.C.、Cummings, W.J.、Fujii, M.M.、およびMaizels, N.、J Immunol、182巻、408〜415頁(2009年);Cummings, W.J.、Bednarski, D.W.、およびMaizels, N.、PLoS ONE、3巻、e4075頁(2008年))。遺伝子ターゲティングは、ターゲティング構築物であるpPolyLacO−ΨVHを用いて記載される通りに(Yabukiら、前出)実行した。この構築物を生成させるため、ΨVHアレイに由来する4kbの断片をDT40のゲノムDNAから増幅し、pSV40/Zeo2ベクター(Invitrogen)のBglII−BamHI部位へとクローニングし、PolyLacOおよびヒスチジノール耐性マーカーの断片をΨVH断片へと挿入した。構築物は、制限解析および部分的配列決定により検証し、反復配列の安定性を維持するために、組換え欠損E.coli株であるStbl2(Invitrogen)において増殖させた。DT40 PolyLacO−λR細胞のトランスフェクション後、サザンブロット法により安定なトランスフェクタントを選択およびスクリーニングした。Creリコンビナーゼの一過性発現によりloxPに挟まれた選択マーカーを欠失させ、LacI−HP1を安定的にトランスフェクトした細胞において加速化される多様化について調べた(Cummingsら、2007年、前出)。LacI−HP1またはE47−LacIを安定的に発現させるDTLacO細胞(Yabukiら、前出)を、抗原特異的系統の選択に用いた。
多様化速度の定量化およびV領域配列解析:多様化速度は、多様化イベントのために細胞表面におけるIgMの発現を喪失した細胞の割合を測定するsIgM喪失アッセイを用いて定量化した(Yabuki, M.、Fujii, M.M.、およびMaizels, N.、Nat Immunol、6巻、730〜736頁(2005年);Sale, J.E.、Calandrini, D.M.、Takata, M.、Takeda, S.、およびNeuberger, M.S.、Nature、412巻、921〜926頁(2001年))。略述すると、約20の独立のトランスフェクタントのパネルを3週間にわたり増殖させ、次いで、各パネルメンバーに由来する細胞(約1×106個)を、R−フィコエリトリン(R−PE)またはSpectral Red(SPRD)をコンジュゲートした抗ニワトリIgM(SouthernBiotech)で染色し、CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を伴うFACScanにより解析した。蛍光強度がsIgM+ピークのメジアンの8分の1未満である細胞を、sIgM−とスコア付けした。単一細胞によるPCRおよび配列解析を、記載される通り(Cummingsら、2007年、前出)に実施した。
抗原および抗原結合についての選択:初期選択は、多様化DTLacO集団を、抗原と複合体化させたビーズに結合させることにより実施し、その後、蛍光標識した可溶性抗原を用いるFACSにより選択した(Cumbersら、前出;およびSeoら、前出)。FN14を認識した細胞を選択するため、抗原は、DynalプロテインG磁気ビーズに結合されるかまたはPECy5標識された抗ヒトIgG(Fc)で検出される、組換えヒトFN14−Fc融合タンパク質(rhFN14−Fc;R&D Systems)とした。多重標的アレイによるパニングでは、培養物中で数週間にわたりさらに多様化させたFS10 FN14結合集団のうちの1%未満を含有する集団を、プラスチック上でアレイ化されたrhFN14−Fcを含めた複数の標的によるパニングに供した(図2Fを参照されたい)。
結合アッセイ、アフィニティーアッセイ、および機能性アッセイ:組換え抗体は、PCRで増幅したV領域を、293F細胞におけるヒトIgG1の発現を支援するベクターへとクローニングすることにより生成させた(Cummingsら、2007年、前出)。飽和結合反応速度は、FN14特異的DTLacO細胞を、多様な濃度の蛍光標識した可溶性抗原で染色することにより、またはFN14でトランスフェクトした細胞または内因的にFN14を発現させるがん細胞系を、多様な濃度の組換えキメラ抗FN14 mAbで染色することにより決定した。細胞表面におけるFN14結合をアッセイするため、細胞を1μg/mlのキメラmAbであるFS24または二次抗体単独で染色し、FACSにより解析した。IL8の分泌をアッセイするため、A375黒色腫細胞を、示される濃度のmAbであるFS24またはアイソタイプ対照と共に24時間にわたりインキュベートし、次いで、IL8 CBA Flex蛍光ビーズアッセイ(BD Biosciences)を用いて、培地をIL8の存在についてアッセイし、平均蛍光強度をバックグラウンドシグナルに対して正規化した。
(実施例2)
FS24 FN14特異的抗体はADCCを介してがん細胞を死滅させる
さらなる実験は、FS24 FN14特異的抗体が、ADCCを介してがん細胞を死滅させることを示した。ADCCについてアッセイするため、図4で言及されるがん細胞を、示される濃度のmAbであるFS24またはアイソタイプ対照抗体と共にインキュベートした後、全ヒトPBMC(エフェクター:標的比を25:1とする)と共にインキュベートし、がん細胞からのユーロピウムの放出(Delfia EuTDA;Perkin Elmer)を介して比溶解のパーセントを決定した。
図4において示される通り、FN14特異的抗体であるFS24は、1ug/mlの濃度で黒色腫細胞および膵臓がん細胞の60%を超える溶解、および同じ濃度で乳がん細胞の55%を超える溶解を示した。
(実施例3)
FS24抗FN14抗体およびPS4抗FN14抗体のヒト化
FS24キメラ抗体およびPS4キメラ抗体を、最初はマウス抗体のヒト化について記載され(Queenら、Proc Natl Acad Sci U S A.(1989年)12月、86巻(24号):10029〜33頁)、近年ではTsurushitaおよびVasquez(2004年)ならびにAlmagroおよびFransson(2008年)(Tsurushitaら、J Immunol Methods.、2004年12月、295巻(1〜2号):9〜19頁;AlmagroおよびFransson、J. Front Biosci.(2008年)、13巻:1619〜33頁)により総説されているCDR移植手法を用いてヒト化した。
コンセンサスのヒトフレームワーク配列を、PS4のVHおよびVLの両方について選んだが、これらは、いずれの場合においても、対応するPS4の可変領域配列に対する同一性レベルが最高の亜群コンセンサス配列であった。PS4のVHをヒト化するため、ヒト亜群III VH配列のコンセンサス配列(Kabat EAら(1991年)、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、NIH Publication No.91〜3242)を、アクセプターフレームワーク配列として選んだ。PS4のVLをヒト化するため、ヒト亜群IIIラムダ可変配列のコンセンサス配列(Kabatら、前出)を、アクセプターフレームワークとして選んだ。しかし、CDRのアクセプターフレームワークへの単純な移植は通常、リガンドに対するアフィニティーの低減を結果としてもたらし、フレームワーク配列内の1つまたは複数の残基を、元の抗体内のその位置において見出されるアミノ酸で置き換えることの所望性が示唆される。特に、抗原に接触するか、または近傍のCDR(「ベニヤ帯域」の残基)のコンフォメーションを変化させる可能性があるフレームワーク配列内の残基は、元の残基に戻してリガンドに対する完全なアフィニティーを保持することがしばしば有益でありうる(Foote, JおよびWinter, G.、J Mol Biol.(1992年)、224巻:487〜99頁)。したがって、PS4中のベニヤ帯域の残基を含む全ての残基を、元のPS4抗体中に見出される残基と同一にした。したがって、ヒト化VHの49、67、93、および94位の各々におけるヒト残基を、PS4中に見出される残基へと変更しながらまた、ヒト化VLの46、66、69、および71位でも、ヒトからニワトリへの同様の置換えを行った(Kabatによる番号付けシステム;Kabatら、前出)(図6を参照されたい)。
驚くべきことに、上記の戦略(H.1/L.1)を用いて構築されるPS4の第1のヒト化形は、FN14に対するアフィニティーが、キメラPS4抗体と比較してほぼ2log低減された(表2)。この結果についての可能な説明として、ニワトリのラムダ軽鎖は、ヒトラムダ軽鎖の1位および2位において見出される2つのアミノ末端残基(Kabatによる番号付け)を逸失していることが注目された。さらに、哺乳動物抗体における軽鎖のN末端は、L−CDR1に近接する。したがって、ヒト化VLのN末端におけるさらなる2つの残基が、立体障害を介して抗原の結合に干渉しうることが可能であると考えられた。ヒト化軽鎖改変体であるL.9では、これらの2つのアミノ酸を欠失させた。改変体であるL.9で変更したのはまた、ヒト化軽鎖の新規のアミノ末端残基であり、グルタミン酸(ヒトコンセンサス配列に存在する)から、アラニン(PS4 VLに存在する)へと変更した。図5および表2において示される通り、結果として得られるヒト化抗体(H.1/L.9)のアフィニティーは、元のキメラ抗体であるPS4のアフィニティーと本質的に同等であった。L.9軽鎖改変体のN末端アミノ酸を、アラニン(PS4)からグルタミン酸(ヒト)へと変更したヒト化軽鎖のさらなる改変体を作製した(L.18)が、この改変体のアフィニティーもまた、元のPS4キメラ抗体のアフィニティーと極めて近似した。これらの結果とは対照的に、ニワトリ抗体のヒト化について記載する以前の2つの報告(Nishibori Nら、Molecular Immunology、43巻(2006年)、634〜642頁;Tsurushita Nら、J Immunol Methods.、2004年12月、295巻(1〜2号):9〜19頁)は、ヒト化軽鎖のN末端に由来する残基の欠失を必要としなかった。NishiboriおよびTsurushitaにより記載された抗体における軽鎖CDR1が、抗原に接触せず、したがって、ヒト化軽鎖には存在するが元のニワトリ抗体に存在しない2つのさらなるN末端残基により影響を及ぼされない場合には、この差違が説明されるであろう。
図6および配列番号42〜47では、PS4抗体のヒト化配列が提供される。下記の表2にまとめる通り、PS4のH.1/L.9ヒト化形は、PS4キメラ親抗体とほぼ同等のFN14結合を維持した(また、図5も参照されたい)。
H.1のポリヌクレオチド配列(リーダー配列を含めた)は、配列番号47に提供され、配列番号46に提供されるアミノ酸配列をコードする。L.9のポリヌクレオチド配列は、配列番号43に提供され(リーダー配列を含めて)、配列番号42に提供されるアミノ酸配列をコードする。ヒト化PS4 VL.9のフレームワーク配列は、94%ヒト配列であった。ヒト化PS4 VH.1のフレームワーク配列は、95%ヒト配列であった(図6を参照されたい)。
第2の抗FN14抗体であるFS24も、同じ戦略を用いてヒト化した。PS4の場合と同様、ヒト化FS24 VHのアクセプターフレームワーク配列は、ヒト亜群IIIのVH配列のコンセンサス配列であった(Kabat、前出)。FS24のVLをヒト化するため、ヒト亜群IIIラムダ可変配列のコンセンサス配列(Kabatら、前出)を、アクセプターフレームワークとして選んだ。PS4の場合と同様、ヒト化FS24 VH中のベニヤ帯域の残基である49、67、93、および94の各々におけるヒト残基を、FS24中に見出される残基へと変更しながらまた、ヒト化FS24 VLの46、47、66、69、および71位でも、ヒトからニワトリへの同様の置換えを行った(Kabatによる番号付けシステム;Kabatら、前出)。
下記の表3にまとめる通り、FS24のヒト化形は、FS24キメラ親抗体と本質的に同等のFN14結合を維持した(また、図7も参照されたい)。
FS24抗体のヒト化配列を図8に示し、配列番号60〜63および90〜91に示す。ヒト化FS24重鎖のポリヌクレオチド配列(リーダー配列を含めた)は、配列番号63に提供され、配列番号62に提供されるアミノ酸配列をコードする。ヒト化FS24軽鎖のポリヌクレオチド配列は、配列番号61に提供され(リーダー配列を含めて)、コードされるアミノ酸配列は配列番号60に提供される。ヒト化FS24重鎖可変領域およびヒト化FS24軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号90および91に提供される。ヒト化FS24 VLのフレームワーク配列は、95%ヒト配列であった。ヒト化FS24 VHのフレームワーク配列は、95%ヒト配列であった(図8を参照されたい)。
(実施例4)
がん細胞への結合時におけるFS24の内部移行
抗体の結合により開始される細胞表面受容体の内部移行は、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)媒介性細胞傷害の基盤である。FN14特異的抗体であるFS24の内部移行を測定するため、この抗体を、AlexaFluor−488(Invitrogen)とコンジュゲートした。コンジュゲートを、96ウェルプレート内のがん細胞培養物の培地へと添加し、37℃で数時間にわたりインキュベートした。特定の時点において、細胞を洗浄し、解離させた。次いで、細胞表面の蛍光を、Anti−AlexaFluor488(Invitrogen)で消光させた。最後に、フローサイトフルオロメトリー(flow cytofluorimetry)により、蓄積されたFS24コンジュゲートを示す細胞内の蛍光を測定した。次いで、各時点の平均蛍光強度(MFI)を、各細胞系についてプロットした(図9A)。細胞系の表面におけるFN14の相対レベルを決定するため、細胞を、飽和濃度(20μg/ml)のFS24またはアイソタイプ対照抗体と共にインキュベートした。フローサイトフルオロメトリーにより平均蛍光強度(MFI)を決定し、相対レベルを[FS24で染色した細胞のMFI]−[アイソタイプ対照のMFI]として表した(図9B)。
図9Aにおいて示される通り、起源のはっきり異なる細胞が標識された抗体を内部移行する速度には、大幅な変動性が見られた。黒色腫系列であるA375、および膵臓がん系列であるMiaPaCa2は、HT1080細胞、MDA−MB−435細胞、またはHT29細胞より実質的に多くのFS24−AlexaFluor488を時間をわたって蓄積した。MCF7は、中間量の抗体−コンジュゲートを内部移行した。内部移行速度は、必ずしもFN14の細胞表面レベルと相関しなかった。例えば、A374細胞が、細胞表面において比較的高レベルのFN14を発現し(図9B)、また、高レベルの標識された抗体も内部移行した(図9A)一方、MiaPaCa2細胞は、A375細胞によって発現されたレベルの約30%を発現させたに過ぎないが(図9B)、標識された抗体を同じ速度で内部に蓄積した(図9A)。
(実施例5)
FS24−毒素とコンジュゲートした抗体によるがん細胞の殺滅
リボソーム不活化タンパク質であるサポリン(分子量:30kDa)は、内部移行する抗体により送達される場合、腫瘍細胞に対して毒性である(例えば、Flavell, D.J.ら、British J Cancer、83巻、1755〜1761頁(2000年);Yip, W.L.ら、Mol Pharmaceutics、4巻、241〜251頁(2007年);Daniels, T.R.ら、Mol Cancer Ther、6巻、2995〜3008頁(2007年);Kuroda, Kら、Prostate、70巻、1286〜1294頁(2010年)を参照されたい)。ストレプトアビジンとサポリンとの化学コンジュゲート(ストレプトアビジン−ZAP)は、Advanced Targeting Systems (San Diego、CA)から購入した。FS24−サポリンコンジュゲートは、以下の手順を介して生成させた:製造元の指示書に従い、EZ−Link Sulfo− NHS−LC−Biotinylation Kit(Thermo Fisher Scientific、Rockford、IL)を用いてFS24をビオチン化した。成分を1:1のモル比、室温で30分間にわたりインキュベートすることにより、ストレプトアビジン−ZAPを、ビオチン化されたFS24へと連結した。アイソタイプ対照は、無関係なキメラ抗体を、ストレプトアビジン−ZAPへと同じ形で連結することにより調製した。
FS24−サポリンの比毒性を調べるため、FS24またはアイソタイプ対照によるコンジュゲートを、濃度を変えて、A375黒色腫細胞に添加し、細胞生存率を決定した。略述すると、2500個の細胞を、96ウェルの組織培養プレートの各ウェルへと播種した。一晩にわたるインキュベーションの後、細胞を培養培地で2回洗浄した。その後、培養培地中0.005〜500nMの範囲の濃度のFS24−サポリンまたはアイソタイプ対照−サポリンを3連のウェルへと添加し、プレートを、37℃、5%CO2で72時間にわたりインキュベートした。細胞生存率を定量的に評価するため、生存細胞を解離緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、CA)により放出させ、トリパンブルー色素の存在下でカウントした。図10に示す通り、FS24−サポリンコンジュゲートは、IC50を約1nMとする用量依存的な形でA375黒色腫細胞を死滅させた。
FS24によるADC媒介性細胞死をさらに特徴付けるため、抗体−サポリンの直接的化学コンジュゲートを生成させた(FS24−SAP;Advanced Targeting Systems)。ADC媒介性細胞傷害実験は、12のがん細胞系(表4、図11)およびFS24−SAP(1μM〜1×10−4nM)により上記の通りに準備した。72時間にわたるインキュベーション後、CellTiter−Glo生存度アッセイ(Promega、Madison、WI)により生存率を決定し、Prism(GraphPad;表4)によりIC50を計算した。
図11において示される通り、FS24−SAPの有効性は、内部移行と良好に相関した。例えば、MiaPaCa2細胞およびA375細胞では、内部移行およびADC媒介性細胞傷害のいずれもが最大となった。MCF7細胞、MDA−MB−435細胞、SKOV−3細胞、およびCaPan2細胞についてはまた、低ナノモル濃度のIC
50値も観察された。
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