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JP5821205B2 - 光学素子およびその製造方法、表示装置、情報入力装置、ならびに写真 - Google Patents

光学素子およびその製造方法、表示装置、情報入力装置、ならびに写真 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子およびその製造方法、表示装置、情報入力装置、ならびに写真に関する。詳しくは、凸部または凹部からなる構造体が可視光の波長以下の微細ピッチで多数配置されてなる光学素子に関する。
従来より、ガラス、プラスチックなどの透光性基板を用いた光学素子においては、光の表面反射を抑えるための表面処理が行われているものがある。この種の表面処理として、光学素子表面に微細かつ緻密な凹凸(モスアイ;蛾の目)を形成するものがある(例えば非特許文献1参照)。
一般に、光学素子表面に周期的な凹凸形状を設けた場合、ここを光が透過するときには回折が発生し、透過光の直進成分が大幅に減少する。しかし、凹凸形状のピッチが透過する光の波長よりも短い場合には回折は発生せず、凹凸形状のピッチや深さなどに対応する単一波長の光に対して有効な反射防止効果を得ることができる。このような凹凸形状を形成するモスアイ構造体としては、釣鐘形状や楕円錐台形状などの種々の形状を有するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
「光技術コンタクト」 Vol.43, No.11 (2005), 630-637参照
国際公開第08/023816号パンフレット
上述したようなモスアイ構造体は、表面に微細な凹凸をつけることにより屈折率を段階的に変化させ、反射を抑制するという原理を用いているため、指紋が構造体に付着した場合に、その汚れを乾拭きにより除去できるようにすることが望まれている。指紋に含まれる油分などの汚れによりモスアイ構造体間の凹部が埋まってしまうと、反射を抑制することができないからである。
モスアイ構造体に指紋が付着すると、指紋の模様のとおりに汚れが付着し、その後、付着した汚れが毛細管現象によって構造体間に染み込んでいく。このような状態にある表面を乾拭きしても、構造体間から汚れを取り出すこと難しい。
構造体の表面をフッ素等の低表面エネルギーの物質でコーティングすることで、構造体間への染み込みは多少抑制されるが、構造体間に染み込んだ汚れを乾拭きにより拭き取ることは困難である。これは乾拭きに使用する繊維よりも、構造体間の凹部の方が細いため、繊維が汚れを吸い取る力よりも、汚れが構造体間の凹部に留まる力の方が強いからである。
したがって、本発明の目的は、表面に付着した指紋などの汚れを拭き取ることができる光学素子およびその製造方法、表示装置、情報入力装置、ならびに写真を提供することにある。
本発明者らは、従来技術が有する上述の課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、構造体を形成する材料の弾性率を1200MPa以下とし、構造体に弾力性を持たせることで、拭き取り時に構造体を変形させ、構造体間に染み込んだ指紋などの汚れを押し出し拭き取ることができることを見出すに至った。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、上述のように構造体に弾力性を持たせると、表面がべたついてしまうため、光学素子の表面の動摩擦係数が高く、隣接する構造体同士がくっ付いてしまい、反射特性が低下してしまうことがある。そこで、本発明者らは、このような反射特性の低下を抑制すべく鋭意検討を行った結果、光学素子の表面の動摩擦係数を0.85以下し、表面のべたつきを抑制することで、隣接する構造体同士のくっ付きを抑え、反射特性の低下を抑制することができることを見出すに至った。
本発明は上述の検討により案出されたものである。
第1の発明は、
表面を有する基体と、
基体の表面に可視光の波長以下の微細ピッチで配置された複数の構造体と
を備え、
構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
構造体のアスペクト比(構造体の高さ/構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
複数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子である。
第2の発明は、
可視光の波長以下の微細ピッチで配置された複数の構造体を備え、
隣り合う構造体の下部同士が繋がっており、
構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
構造体のアスペクト比(構造体の高さ/構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子である。
第3の発明は、
原盤に対してエネルギー線硬化性樹脂組成物を密着させ、エネルギー線硬化性樹脂組成物に対してエネルギー線を照射して硬化する工程と、
硬化したエネルギー線硬化性樹脂組成物を原盤から剥離することにより、可視光の波長以下の微細ピッチで配置された複数の構造体を基体の表面に形成する工程と
を備え、
構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
構造体のアスペクト比(構造体の高さ/構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
複数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子の製造方法である。
第4の発明は、
原盤に対してエネルギー線硬化性樹脂組成物を密着させ、エネルギー線硬化性樹脂組成物に対してエネルギー線を照射して硬化する工程と、
硬化したエネルギー線硬化性樹脂組成物を原盤から剥離することにより、可視光の波長以下の微細ピッチで多数配置された複数の構造体を形成する工程と
を備え、
隣り合う構造体の下部同士が繋がっており、
構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
構造体のアスペクト比(構造体の高さ/構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子の製造方法である。
光学素子は、反射防止機能を有する光学素子であり、表示装置、情報入力装置、撮像装置、光学系などに適用して好適なものである。
本発明において、楕円、円(真円)、球体、楕円体などの形状には、数学的に定義される完全な楕円、円、球体、楕円体のみならず、多少の歪みが付与された楕円、円、球体、楕円体などの形状も含まれる。
本発明において、構造体は、凸状または凹状を有し、所定の格子状に配置されていることが好ましい。格子状としては、四方格子状もしくは準四方格子状、または六方格子状もしくは準六方格子状を用いることが好ましい。
本発明において、同一トラック内における構造体の配置ピッチP1は、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチP2よりも長いことが好ましい。このようにすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、反射防止特性を向上することができる。
本発明において、各構造体が、基体表面において六方格子パターン、または準六方格子パターンを形成している場合には、同一トラック内における構造体の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチをP2としたとき、比率P1/P2が、1.00≦P1/P2≦1.1、または1.00<P1/P2≦1.1の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、反射防止特性を向上することができる。
本発明において、各構造体が、基体表面において六方格子パターン、または準六方格子パターンを形成している場合には、各構造体は、トラックの延在方向に長軸方向を有し、中央部の傾きが先端部および底部の傾きよりも急峻に形成された楕円錐または楕円錐台形状であることが好ましい。このような形状にすることで、反射防止特性および透過特性を向上することができる。
本発明において、各構造体が、基体表面において六方格子パターン、または準六方格子パターンを形成している場合には、トラックの延在方向における構造体の高さまたは深さは、トラックの列方向における構造体の高さまたは深さよりも小さいことが好ましい。このような関係を満たさない場合には、トラックの延在方向の配置ピッチを長くする必要が生じるため、トラックの延在方向における構造体の充填率が低下する。このように充填率が低下すると、反射特性の低下を招くことになる。
本発明において、構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、同一トラック内における構造体の配置ピッチP1は、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチP2よりも長いことが好ましい。このようにすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、反射防止特性を向上することができる。
構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、同一トラック内における構造体の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体の配置ピッチをP2としたとき、比率P1/P2が、1.4<P1/P2≦1.5の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体の充填率を向上することができるので、反射防止特性を向上することができる。
構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、各構造体は、トラックの延在方向に長軸方向を有し、中央部の傾きが先端部および底部の傾きよりも急峻に形成された楕円錐または楕円錐台形状であることが好ましい。このような形状にすることで、反射防止特性および透過特性を向上することができる。
構造体が、基体表面において四方格子パターンまたは準四方格子パターンを形成している場合には、トラックに対して45度方向または約45度方向における構造体の高さまたは深さは、トラックの列方向における構造体の高さまたは深さよりも小さいことが好ましい。このような関係を満たさない場合には、トラックに対して45度方向または約45度方向における配置ピッチを長くする必要が生じるため、トラックに対して45度方向または約45度方向における構造体の充填率が低下する。このように充填率が低下すると、反射特性の低下を招くことになる。
本発明において、微細ピッチで基体表面に多数配設けられた構造体が、複数列のトラックをなしていると共に、隣接する3列のトラック間において、六方格子パターン、準六方格子パターン、四方格子パターンまたは準四方格子パターンをなしていることが好ましい。これにより、表面における構造体の充填密度を高くすることができ、これにより可視光の反射防止効率を高め、反射防止特性に優れた、透過率の高い光学素子を得ることができる。
本発明において、光ディスクの原盤作製プロセスとエッチングプロセスとを融合した方法を用いて光学素子を作製することが好ましい。光学素子作製用原盤を短時間で効率良く製造することができるとともに基体の大型化にも対応でき、これにより、光学素子の生産性の向上を図ることができる。また、構造体の微細配列を光入射面だけでなく光出射面にも設けた場合には、透過特性をより一層向上させることができる。
本発明では、可視光の波長以下の微細ピッチで複数の構造体を配置しているので、可視光の反射を抑制することができる。
構造体を形成する材料の弾性率を1MPa以上としているので、隣接する構造体同士の付着による反射特性の低下を抑制できるとともに、構造体を形成する材料の弾性率を1200MPa以下としているので、構造体間に染み込んだ汚れなどを押し出し、拭き取ることができる。
構造体のアスペクト比を0.6以上としているので、反射特性および透過特性の低下を抑制できるとともに、構造体のアスペクト比を5以下としているので、構造体の転写性の低下を抑制することができる。
光学素子の表面の動摩擦係数を0.85以下としているので、隣接する構造体同士の付着による反射特性の低下を抑制できる。
以上説明したように、本発明によれば、表面に付着した指紋などの汚れを拭き取ることができる。また、隣接する構造体同士の付着を抑え、反射特性の低下を抑制することができる。
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図1Cは、図1BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図1Dは、図1BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。 図2A〜図2Dは、光学素子の構造体の形状例を示す斜視図である。 図3A〜図3Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学素子の作用を説明するための模式図である。 図4Aは、ロール原盤の構成の一例を示す斜視図である。図4Bは、図4Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す平面図である。図4Cは、図4BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図4Dは、図4BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。 図5は、ロール原盤露光装置の構成の一例を示す概略図である。 図6A〜図6Dは、本発明の第1の実施形態に係る光学素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。 図7A〜図7Dは、本発明の第1の実施形態に係る光学素子の製造方法の一例を説明するための工程図である。 図8Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図8Bは、図8Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図8Cは、図8BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図8Dは、図8BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。 図9Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図9Bは、図9Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図9Cは、図9Aに示したA−A線に沿った断面図である。 図10Aは、本発明の第4の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図10Bは、図10Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図10Cは、図10BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図10Dは、図10BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。 図11Aは、本発明の第5の実施形態に係る光学素子の構成の第1の例を示す断面図である。図11Bは、本発明の第5の実施形態に係る光学素子の構成の第2の例を示す断面図である。図11Cは、本発明の第5の実施形態に係る光学素子の構成の第3の例を示す断面図である。 図12A〜図12Cは、柔軟性光学素子の作用を説明するための模式図である。 図13A〜図13Cは、非柔軟性光学素子の作用を説明するための模式図である。 図14Aは、本発明の第6の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図14Bは、本発明の第6の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す断面図である。 図15は、本発明の第7の実施形態に係る液晶表示装置の構成の一例を示す断面図である。 図16は、本発明の第8の実施形態に係る液晶表示装置の構成の一例を示す断面図である。 図17Aは、本発明の第9の実施形態に係る情報入力装置を備える表示装置の構成の一例を示す分解斜視図である。図17Bは、本発明の第9の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。 図18Aは、本発明の第10の実施形態に係る情報入力装置を備える表示装置の構成の一例を示す分解斜視図である。図18Bは、本発明の第10の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。 図19は、本発明の第11の実施の形態に係る反射防止機能付き写真の構成の一例を示す断面図である。 図20Aは、サンプル7−1〜7−4の光学素子の引っ掻き試験の結果を示すグラフである。図20Bは、サンプル8−2〜8−6の光学素子の引っ掻き試験の結果を示すグラフである。 図21Aは、サンプル9−1〜9−3の光学素子の引っ掻き試験の結果を示すグラフである。図21Bは、サンプル10−2〜10−7の光学素子の引っ掻き試験の結果を示すグラフである。 図22は、シミュレーションの光学フィルムの設定条件を説明するための模式図である。 図23Aは、試験例1−1〜1−10のシミュレーション結果を示すグラフである。図23Bは、試験例2−1〜2−4、試験例3−1〜3−4、試験例4−1〜4−4のシミュレーション結果を示すグラフである。 図24は、シミュレーションの光学素子の設定条件を説明するための模式図である。 図25Aは、試験例6のシミュレーションの結果を示す図である。図25Bは、試験例7のシミュレーションの結果を示すグラフである。 図26は、試験例8−1〜8−8のシミュレーション結果を示すグラフである。
本発明の実施形態について図面を参照しながら以下の順序で説明する。
1.第1の実施形態(凸状の構造体を六方格子状に配列した光学素子の例:図1B)
2.第2の実施形態(凸状の構造体を四方格子状に配列した光学素子の例:図8B)
3.第3の実施形態(凸状の構造体をランダムに配列した光学素子の例:図9B)
4.第4の実施形態(凹状の構造体を六方格子状に配列した光学素子の例:図10B)
5.第5の実施形態(基体および構造体の両方が柔軟性を有する光学素子の例:図11A)
6.第6の実施形態(基体レスの光学素子の例:図14B)
7.第7の実施形態(表示装置に対する光学素子の第1の適用例:図15)
8.第8の実施形態(表示装置に対する光学素子の第2の適用例:図16)
9.第9の実施形態(情報入力装置に対する光学素子の第1の適用例:図17B)
10.第10の実施形態(情報入力装置に対する光学素子の第2の適用例:図18B)
11.第11の実施形態(写真に対する光学素子の適用例:図19)
<1.第1の実施形態>
[光学素子の構成]
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図1Bは、図1Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図1Cは、図1BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図1Dは、図1BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。以下では、光学素子1の主面の面内で互いに直交する2方向をそれぞれX軸方向、およびY軸方向とし、その主面に垂直な方向をZ軸方向と称する。
光学素子1は、主面を有する基体2と、この基体2の主面に配置された複数の構造体3とを備える。構造体3と基体2とは、別成形または一体成形されている。構造体3と基体2とが別成形されている場合には、必要に応じて構造体3と基体2との間に基底層4をさらに備えるようにしてもよい。基底層4は、構造体3の底面側に構造体3と一体成形される層であり、構造体3と同様のエネルギー線硬化性樹脂組成物などを硬化してなる。光学素子1は可撓性を有していることが好ましい。これにより、表示面や入力面などの表面に対して光学素子1の適用が容易となるからである。
以下、光学素子1に備えられる基体2、および構造体3について順次説明する。
(基体)
基体2は、例えば、透明性を有する基体である。基体2の材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの透明性合成樹脂、ガラスなどを主成分とするものが挙げられるが、これらの材料に特に限定されるものではない。基体2としては、例えば、シート、プレート、ブロックなどを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。ここで、シートにはフィルムが含まれるものと定義する。基体2の形状は、特に限定されるものではないが、光学素子1が適用される表示面や入力面などの表面の形状に合わせて適宜選択することが好ましい。
(構造体)
構造体3は、例えば、基体2の表面に対して凸状を有している。構造体3を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下である。1MPa未満であると、転写工程において隣接する構造体同士が付着し、構造体3の形状が所望の形状とは異なる形状となり、所望の反射特性が得られなくなる。1200MPaを超えると、拭き取り時に、隣接する構造体同士が接触しにくくなり、構造体間に染み込んだ汚れなどが押し出されなくなる。
複数の構造体3が形成された光学素子1の表面の動摩擦係数が、0.85以下であることが好ましい。動摩擦係数が0.85以下であると、表面のべたつきを抑制し、隣接する構造体同士のくっ付きを抑えることができる。したがって、反射特性の低下を抑制することができる。
構造体3が、シリコーンおよびウレタンを含んでいることが好ましい。具体的には、構造体3が、シリコーンアクリレートおよびウレタンアクリレートを含むエネルギー線硬化性樹脂組成物の重合体からなることが好ましい。構造体3がシリコーンを含むことで、隣接するモスアイ同士がくっ付くこと、動摩擦係数を低減することができる。構造体3がウレタンを含むことで、柔軟性のある構造体3を得られ、1MPa〜1200MPaの範囲の材料設計が可能となる。
複数の構造体3は、基体2の表面において複数列のトラックT1,T2,T3,・・・(以下総称して「トラックT」ともいう。)をなすような配置形態を有する。本発明において、トラックとは、構造体3が列をなして連なった部分のことをいう。トラックTの形状としては、直線状、円弧状などを用いることができ、これらの形状のトラックTをウォブル(蛇行)させるようにしてもよい。このようにトラックTをウォブルさせることで、外観上のムラの発生を抑制できる。
トラックTをウォブルさせる場合には、基体2上における各トラックTのウォブルは、同期していることが好ましい。すなわち、ウォブルは、シンクロナイズドウォブルであることが好ましい。このようにウォブルを同期させることで、六方格子または準六方格子の単位格子形状を保持し、充填率を高く保つことができる。ウォブルしたトラックTの波形としては、例えば、サイン波、三角波などを挙げることができる。ウォブルしたトラックTの波形は、周期的な波形に限定されるものではなく、非周期的な波形としてもよい。ウォブルしたトラックTのウォブル振幅は、例えば±10μm程度に選択される。
構造体3は、例えば、隣接する2つのトラックT間において、半ピッチずれた位置に配置されている。具体的には、隣接する2つのトラックT間において、一方のトラック(例えばT1)に配列された構造体3の中間位置(半ピッチずれた位置)に、他方のトラック(例えばT2)の構造体3が配置されている。その結果、図1Bに示すように、隣接する3列のトラック(T1〜T3)間においてa1〜a7の各点に構造体3の中心が位置する六方格子パターンまたは準六方格子パターンを形成するように構造体3が配置されている。
ここで、六方格子とは、正六角形状の格子のことをいう。準六方格子とは、正六角形状の格子とは異なり、歪んだ正六角形状の格子のことをいう。例えば、構造体3が直線上に配置されている場合には、準六方格子とは、正六角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませた六方格子のことをいう。構造体3が蛇行して配列されている場合には、準六方格子とは、正六角形状の格子を構造体3の蛇行配列により歪ませた六方格子、または正六角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませ、かつ、構造体3の蛇行配列により歪ませた六方格子のことをいう。
構造体3が準六方格子パターンを形成するように配置されている場合には、図1Bに示すように、同一トラック(例えばT1)内における構造体3の配置ピッチP1(例えばa1〜a2間距離)は、隣接する2つのトラック(例えばT1およびT2)間における構造体3の配置ピッチ、すなわちトラックの延在方向に対して±θ方向における構造体3の配置ピッチP2(例えばa1〜a7、a2〜a7間距離)よりも長くなっていることが好ましい。このように構造体3を配置することで、構造体3の充填密度の更なる向上を図れるようになる。
構造体3の具体的な形状としては、例えば、錐体状、柱状、針状、半球体状、半楕円体状、多角形状などが挙げられるが、これらの形状に限定されるものではなく、他の形状を採用するようにしてもよい。錐体状としては、例えば、頂部が尖った錐体形状、頂部が平坦な錐体形状、頂部に凸状または凹状の曲面を有する錐体形状が挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。頂部に凸状の曲面を有する錐体形状としては、放物面状などの2次曲面状などが挙げられる。また、錐体状の錐面を凹状または凸状に湾曲させるようにしてもよい。後述するロール原盤露光装置(図5参照)を用いてロール原盤を作製する場合には、構造体3の形状として、頂部に凸状の曲面を有する楕円錐形状、または頂部が平坦な楕円錐台形状を採用し、それらの底面を形成する楕円形の長軸方向をトラックTの延在方向と一致させることが好ましい。
反射特性の向上の観点からすると、図2Aに示すように、頂部の傾きが緩やかで中央部から底部に徐々に急峻な傾きの錐体形状が好ましい。また、反射特性および透過特性の向上の観点からすると、図2Bに示すように、中央部の傾きが底部および頂部より急峻な錐形形状、または、図2Cに示すように、頂部が平坦な錐体形状であることが好ましい。構造体3が楕円錐形状または楕円錐台形状を有する場合、その底面の長軸方向が、トラックの延在方向と平行となることが好ましい。
構造体3は、図2Aおよび図2Cに示すように、その底部の周縁部に、頂部から下部の方向に向かってなだらかに高さが低下する曲面部3aを有することが好ましい。光学素子1の製造工程において光学素子1を原盤などから容易に剥離することが可能になるからである。なお、曲面部3aは、構造体3の周縁部の一部にのみ設けてもよいが、上記剥離特性の向上の観点からすると、構造体3の周縁部の全部に設けることが好ましい。
構造体3の周囲の一部または全部に突出部5を設けることが好ましい。このようにすると、構造体3の充填率が低い場合でも、反射率を低く抑えることができるからである。突出部5は、成形の容易さの観点からすると、図2A〜図2Cに示すように、隣り合う構造体3の間に設けることが好ましい。また、図2Dに示すように、細長い突出部5が、構造体3の周囲の全体またはその一部に設けるようにしてもよい。この細長い突出部5は、例えば、構造体3の頂部から下部の方向に向かって延びるものとすることができるが、特にこれに限られるものではない。突出部5の形状としては、断面三角形状および断面四角形状などを挙げることができるが、特にこれらの形状に限定されるものではなく、成形の容易さなどを考慮して選択することができる。また、構造体3の周囲の一部または全部の表面を荒らし、微細の凹凸を形成するようにしてもよい。具体的には例えば、隣り合う構造体3の間の表面を荒らし、微細な凹凸を形成するようにしてもよい。また、構造体3の表面、例えば頂部に微小な穴を形成するようにしてもよい。
なお、図1A〜図2Dでは、各構造体3がそれぞれ同一の大きさ、形状および高さを有しているが、構造体3の形状はこれに限定されるものではなく、基体表面に2種以上の大きさ、形状および高さを有する構造体3が形成されていてもよい。
構造体3は、例えば、反射の低減を目的とする光の波長帯域以下の短い配置ピッチで規則的(周期的)に2次元配置されている。このように複数の構造体3を2次元配列することで、2次元的な波面を基体2の表面に形成するようにしてもよい。ここで、配置ピッチとは、配置ピッチP1および配置ピッチP2を意味する。反射の低減を目的とする光の波長帯域は、例えば、紫外光の波長帯域、可視光の波長帯域または赤外光の波長帯域である。ここで、紫外光の波長帯域とは10nm〜360nmの波長帯域、可視光の波長帯域とは360nm〜830nmの波長帯域、赤外光の波長帯域とは830nm〜1mmの波長帯域をいう。具体的には、配置ピッチは、175nm以上350nm以下であることが好ましい。配置ピッチが175nm未満であると、構造体3の作製が困難となる傾向がある。一方、配置ピッチが350nmを超えると、可視光の回折が生じる傾向がある。
トラックの延在方向における構造体3の高さH1は、列方向における構造体3の高さH2よりも小さいことが好ましい。すなわち、構造体3の高さH1、H2がH1<H2の関係を満たすことが好ましい。H1≧H2の関係を満たすように構造体3を配列すると、トラックの延在方向の配置ピッチP1を長くする必要が生じるため、トラックの延在方向における構造体3の充填率が低下するためである。このように充填率が低下すると、反射特性の低下を招くことになる。
構造体3の高さは特に限定されず、透過させる光の波長領域に応じて適宜設定され、例えば236nm以上450nm以下、好ましくは415nm以上421nm以下の範囲内に設定される。
構造体3のアスペクト比(高さH/配置ピッチP)は、好ましくは0.6以上5以下、より好ましくは0.6以上4以下、最も好ましくは0.6以上1.5以下の範囲内である。アスペクト比が0.6未満であると、反射特性および透過特性が低下する傾向にある。一方、アスペクト比が5を超えると、原盤にフッ素コートなどを行い、転写樹脂にシリコーン系添加材、またはフッ素系添加材などの添加剤を添加するなどして、離型性を向上する処理を施した場合にも、転写性が低下する傾向がある。また、アスペクト比が4を超えた場合には、視感反射率に大きな変化がないため、視感反射率の向上と離型性の容易さとの両方の観点を考慮すると、アスペクト比を4以下とすることが好ましい。アスペクト比が1.5を超えると、上述したように離型性を向上する処理を施していない場合には、転写性が低下する傾向がある。
また、構造体3のアスペクト比は、反射特性をより向上させる観点からすると、0.94以上1.46以下の範囲内に設定することが好ましい。また、構造体3のアスペクト比は、透過特性をより向上させる観点からすると、0.81以上1.28以下の範囲内に設定することが好ましい。
なお、構造体3のアスペクト比は全て同一である場合に限らず、各構造体3が一定の高さ分布(例えばアスペクト比0.83〜1.46程度の範囲)をもつように構成されていてもよい。高さ分布を有する構造体3を設けることで、反射特性の波長依存性を低減することができる。したがって、優れた反射防止特性を有する光学素子1を実現することができる。
ここで、高さ分布とは、2種以上の高さを有する構造体3が基体2の表面に設けられていることを意味する。例えば、基準となる高さを有する構造体3と、この構造体3とは異なる高さを有する構造体3とが基体2の表面に設けるようにしてもよい。この場合、基準とは異なる高さを有する構造体3は、例えば基体2の表面に周期的または非周期的(ランダム)に設けられる。その周期性の方向としては、例えばトラックの延在方向、列方向などが挙げられる。
なお、本発明においてアスペクト比は、以下の式(1)により定義される。
アスペクト比=H/P・・・(1)
但し、H:構造体の高さ、P:平均配置ピッチ(平均周期)
ここで、平均配置ピッチPは以下の式(2)により定義される。
平均配置ピッチP=(P1+P2+P2)/3 ・・・(2)
但し、P1:トラックの延在方向の配置ピッチ(トラック延在方向周期)、P2:トラックの延在方向に対して±θ方向(但し、θ=60°−δ、ここで、δは、好ましくは0°<δ≦11°、より好ましくは3°≦δ≦6°)の配置ピッチ(θ方向周期)
また、構造体3の高さHは、構造体3の列方向の高さとする。構造体3のトラック延在方向(X方向)の高さは、列方向(Y方向)の高さよりも小さく、また、構造体3のトラック延在方向以外の部分における高さは列方向の高さとほぼ同一であるため、サブ波長構造体の高さを列方向の高さで代表する。但し、構造体3が凹部である場合、上記式(1)における構造体の高さHは、構造体の深さHとする。
同一トラック内における構造体3の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体3の配置ピッチをP2としたとき、比率P1/P2が、1.00≦P1/P2≦1.1、または1.00<P1/P2≦1.1の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体3の充填率を向上することができるので、反射防止特性を向上することができる。
基体表面における構造体3の充填率は、100%を上限として、65%以上、好ましくは73%以上、より好ましくは86%以上の範囲内である。充填率をこのような範囲にすることで、反射防止特性を向上することができる。充填率を向上させるためには、隣接する構造体3の下部同士を接合もしくは重ね合わせる、または構造体底面の楕円率を調整などして構造体3に歪みを付与することが好ましい。
ここで、構造体3の充填率(平均充填率)は以下のようにして求めた値である。
まず、光学素子1の表面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いてTop Viewで撮影する。次に、撮影したSEM写真から無作為に単位格子Ucを選び出し、その単位格子Ucの配置ピッチP1、およびトラックピッチTpを測定する(図1B参照)。また、その単位格子Ucの中央に位置する構造体3の底面の面積Sを画像処理により測定する。次に、測定した配置ピッチP1、トラックピッチTp、および底面の面積Sを用いて、以下の式(3)より充填率を求める。
充填率=(S(hex.)/S(unit))×100 ・・・(3)
単位格子面積:S(unit)=P1×2Tp
単位格子内に存在する構造体の底面の面積:S(hex.)=2S
上述した充填率算出の処理を、撮影したSEM写真から無作為に選び出された10箇所の単位格子について行う。そして、測定値を単純に平均(算術平均)して充填率の平均率を求め、これを基体表面における構造体3の充填率とする。
構造体3が重なっているときや、構造体3の間に突出部4などの副構造体があるときの充填率は、構造体3の高さに対して5%の高さに対応する部分を閾値として面積比を判定する方法で充填率を求めることができる。
構造体3が、その下部同士を重ね合うようにして繋がっていることが好ましい。具体的には、隣接関係にある構造体3の一部または全部の下部同士が重なり合っていることが好ましく、トラック方向、θ方向、またはそれら両方向において重なり合っていることが好ましい。このように構造体3の下部同士を重なり合わせることで、構造体3の充填率を向上することができる。構造体同士は、屈折率を考慮した光路長で使用環境下の光の波長帯域の最大値の1/4以下の部分で重なり合っていることが好ましい。これにより、優れた反射防止特性を得ることができるからである。
配置ピッチP1に対する径2rの比率((2r/P1)×100)が、85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。このような範囲にすることで、構造体3の充填率を向上し、反射防止特性を向上できるからである。比率((2r/P1)×100)が大きくなり、構造体3の重なりが大きくなりすぎると反射防止特性が低減する傾向にある。したがって、屈折率を考慮した光路長で使用環境下の光の波長帯域の最大値の1/4以下の部分で構造体同士が接合されるように、比率((2r/P1)×100)の上限値を設定することが好ましい。ここで、配置ピッチP1は、図2Bに示すように、構造体3のトラック方向の配置ピッチであり、径2rは、図2Bに示すように、構造体底面のトラック方向の径である。なお、構造体底面が円形である場合、径2rは直径となり、構造体底面が楕円形である場合、径2rは長径となる。
[光学素子の作用]
図3A〜図3Cは、本発明の第1の実施形態に係る光学素子の作用を説明するための模式図である。指などで触れた光学素子1の表面は、図3Aに示すように、構造体3の間に指紋などによる汚れ6が付着した状態にある。このような状態にある光学素子1の表面を繊維7などで乾拭きすると、構造体3が弾力性に富むため、図3Bに示すように、構造体3が弾性変形し、隣接する弾性体3同士が接触し、構造体3の間に付着した汚れ6が構造体3の間から外部に押し出される。これにより、指紋などによる汚れ6が除去される。そして、乾拭き後は、構造体3は、図3Cに示すように、自らが有する弾性によって元の形状に復元される。
[ロールマスタの構成]
図4Aは、ロール原盤の構成の一例を示す斜視図である。図4Bは、図4Aに示したロール原盤の一部を拡大して表す平面図である。図4Cは、図4BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図4Dは、図4BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。ロール原盤11は、上述した基体表面に複数の構造体3を成形するための原盤である。ロール原盤11は、例えば、円柱状または円筒状の形状を有し、その円柱面または円筒面が基体表面に複数の構造体3を成形するための成形面とされる。この成形面には複数の構造体12が2次元配列されている。構造体12は、例えば、成形面に対して凹状を有している。ロール原盤11の材料としては、例えばガラスを用いることができるが、この材料に特に限定されるものではない。
ロール原盤11の成形面に配置された複数の構造体12と、上述の基体2の表面に配置された複数の構造体3とは、反転した凹凸関係にある。すなわち、ロール原盤11の構造体12の形状、配列、配置ピッチなどは、基体2の構造体3と同様である。
[露光装置の構成]
図5は、ロール原盤を作製するためのロール原盤露光装置の構成の一例を示す概略図である。このロール原盤露光装置は、光学ディスク記録装置をベースとして構成されている。
レーザー光源21は、記録媒体としての原盤ロール11の表面に着膜されたレジストを露光するための光源であり、例えば波長λ=266nmの記録用のレーザー光14を発振するものである。レーザー光源21から出射されたレーザー光14は、平行ビームのまま直進し、電気光学素子(EOM:Electro Optical Modulator)22へ入射する。電気光学素子22を透過したレーザー光14は、ミラー23で反射され、変調光学系25に導かれる。
ミラー23は、偏光ビームスプリッタで構成されており、一方の偏光成分を反射し他方の偏光成分を透過する機能をもつ。ミラー23を透過した偏光成分はフォトダイオード24で受光され、その受光信号に基づいて電気光学素子22を制御してレーザー光14の位相変調を行う。
変調光学系25において、レーザー光14は、集光レンズ26により、ガラス(SiO2)などからなる音響光学素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)27に集光される。レーザー光14は、音響光学素子27により強度変調され発散した後、レンズ28によって平行ビーム化される。変調光学系25から出射されたレーザー光14は、ミラー31によって反射され、移動光学テーブル32上に水平かつ平行に導かれる。
移動光学テーブル32は、ビームエキスパンダ33、および対物レンズ34を備えている。移動光学テーブル32に導かれたレーザー光14は、ビームエキスパンダ33により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ34を介して、ロール原盤11上のレジスト層へ照射される。ロール原盤11は、スピンドルモータ35に接続されたターンテーブル36の上に載置されている。そして、ロール原盤11を回転させるとともに、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向に移動させながら、レジスト層へレーザー光14を間欠的に照射することにより、レジスト層の露光工程が行われる。形成された潜像は、円周方向に長軸を有する略楕円形になる。レーザー光14の移動は、移動光学テーブル32の矢印R方向への移動によって行われる。
露光装置は、図1Bに示した六方格子または準六方格子の2次元パターンに対応する潜像をレジスト層に形成するための制御機構37を備えている。制御機構37は、フォマッター29とドライバ30とを備える。フォマッター29は、極性反転部を備え、この極性反転部が、レジスト層に対するレーザー光14の照射タイミングを制御する。ドライバ30は、極性反転部の出力を受けて、音響光学素子27を制御する。
このロール原盤露光装置では、2次元パターンが空間的にリンクするように1トラック毎に極性反転フォマッター信号と回転コントロラーを同期させて信号を発生し、音響光学素子27により強度変調している。角速度一定(CAV)で適切な回転数と適切な変調周波数と適切な送りピッチでパターニングすることにより、六方格子または準六方格子パターンを記録することができる。
[光学素子の製造方法]
次に、図6A〜図7Cを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る光学素子1の製造方法について説明する。
(レジスト成膜工程)
まず、図6Aに示すように、円柱状または円筒状のロール原盤11を準備する。このロール原盤11は、例えばガラス原盤である。次に、図6Bに示すように、ロール原盤11の表面にレジスト層13を形成する。レジスト層13の材料としては、例えば有機系レジスト、および無機系レジストのいずれを用いてもよい。有機系レジストとしては、例えばノボラック系レジストや化学増幅型レジストを用いることができる。また、無機系レジストとしては、例えば、1種または2種以上含む金属化合物を用いることができる。
(露光工程)
次に、図6Cに示すように、ロール原盤11の表面に形成されたレジスト層13に、レーザー光(露光ビーム)14を照射する。具体的には、図5に示したロール原盤露光装置のターンテーブル36上に載置し、ロール原盤11を回転させると共に、レーザー光(露光ビーム)14をレジスト層13に照射する。このとき、レーザー光14をロール原盤11の高さ方向(円柱状または円筒状のロール原盤11の中心軸に平行な方向)に移動させながら、レーザー光14を間欠的に照射することで、レジスト層13を全面にわたって露光する。これにより、レーザー光14の軌跡に応じた潜像15が、例えば可視光波長と同程度のピッチでレジスト層13の全面にわたって形成される。
潜像15は、例えば、ロール原盤表面において複数列のトラックをなすように配置されるとともに、六方格子パターンまたは準六方格子パターンを形成する。潜像15は、例えば、トラックの延在方向に長軸方向を有する楕円形状である。
(現像工程)
次に、例えば、ロール原盤11を回転させながら、レジスト層13上に現像液を滴下して、レジスト層13を現像処理する。これにより、図6Dに示すように、レジスト層13に複数の開口部が形成される。レジスト層13をポジ型のレジストにより形成した場合には、レーザー光14で露光した露光部は、非露光部と比較して現像液に対する溶解速度が増すので、図6Dに示すように、潜像(露光部)16に応じたパターンがレジスト層13に形成される。開口部のパターンは、例えば六方格子パターンまたは準六方格子パターンなどの所定の格子パターンである。
(エッチング工程)
次に、ロール原盤11の上に形成されたレジスト層13のパターン(レジストパターン)をマスクとして、ロール原盤11の表面をエッチング処理する。これにより、図7Aに示すように、トラックの延在方向に長軸方向をもつ楕円錐形状または楕円錐台形状の凹部、すなわち構造体12を得ることができる。エッチングとしては、例えばドライエッチング、ウエットエッチングを用いることができる。このとき、エッチング処理とアッシング処理とを交互に行うことにより、例えば、錐体状の構造体12のパターンを形成することができる。
以上により、目的とするロール原盤11が得られる。
(転写工程)
次に、図7Bに示すように、ロール原盤11と、基体2上に塗布された転写材料16とを密着させた後、紫外線などのエネルギー線をエネルギー線源17から転写材料16に照射して転写材料16を硬化させた後、硬化した転写材料16と一体となった基体2を剥離する。これにより、図7Cに示すように、複数の構造体3を基体表面に有する光学素子1が作製される。
エネルギー線源17としては、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線など)、マイクロ波、または高周波などエネルギー線を放出可能なものであればよく、特に限定されるものではない。
転写材料16としては、エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂組成物が、必要に応じてフィラーや機能性添加剤などを含んでいてもよい。
エネルギー線硬化性樹脂組成物は、シリコーンアクリレート、ウレタンアクリレートおよび開始剤を含んでいることが好ましい。シリコーンアクリレートとしては、1分子中の側鎖、末端、あるいはその両方に2個以上のアクリレート系の重合性不飽和基を有するもの使用できる。アクリレート系の重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、および(メタ)アクリロイルオキシ基のうちの1種以上を用いることができる。但し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、メタアクリロイル基の意味で用いる。
シリコーンアクリレート及び、メタクリレートしては、例えば、有機変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。有機変性は、ポリエーテル変性、ポリエステル変性、アラキル変性、ポリエーテル/ポリエステル変性が挙げられる。具体例として、チッソ株式会社製サイラプレーンFM7725、ダイセルサイテック株式会社EB350、EB1360、デグサ社EGORad 2100、TEGORad 2200 N、TEGORad 2250、TEGORad 2300、TEGORad 2500、TEGORad 2700が挙げられる。
ウレタンアクリレートとしては、1分子中の側鎖、末端、あるいはその両方に2個以上のアクリレート系の重合性不飽和基を有するもの使用できる。アクリレート系の重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、および(メタ)アクリロイルオキシ基のうちの1種以上を用いることができる。但し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、メタアクリロイル基の意味で用いる。
ウレタンアクリレートとしては、例えば、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、脂肪族ウレタンメタクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンメタクリレート、例えばサートマー社製機能性ウレタンアクリレートオリゴマーCNシリーズ、CN980、CN965、CN962などを用いることができる。
開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどを挙げることができる。
フィラーとしては、例えば、無機微粒子および有機微粒子のいずれも用いることができる。無機微粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Al23などの金属酸化物微粒子を挙げることができる。
機能性添加剤としては、例えば、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤などを挙げることができる。基体2の材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラスなどが挙げられる。
基体2の成形方法は特に限定されず、射出成形体でも押し出し成形体でも、キャスト成形体でもよい。必要に応じて、コロナ処理などの表面処理を基体表面に施すようにしてもよい。
なお、高アスペクトの構造体3(例えば、アスペクトが1.5を超え5以下の構造体3を作製する場合には、ロールマスタ11などの原盤の離型性向上のため、ロールマスタ11などの原盤の表面にシリコーン系離型剤、またはフッ素系離型剤などの離型剤を塗布することが好ましい。さらに、転写材料16にフッ素系添加材、またはシリコーン系添加材などの添加剤を添加することが好ましい。
第1の実施形態によれば、構造体3の弾性率を1MPa以上1200MPa以下としているので、隣接する構造体同士の付着による反射特性の低下を抑制できるとともに、構造体間に染み込んだ汚れなどを押し出し、拭き取ることができる。また、構造体3のアスペクト比を0.6以上5以下としているので、反射特性および透過特性の低下を抑制できるとともに、構造体3の転写性の低下を抑制することができる。また、複数の構造体3が設けられた光学素子表面の動摩擦係数を0.85以下にしているので、隣接する構造体同士の付着による反射特性の低下を抑制できる。
<2.第2の実施形態>
[光学素子の構成]
図8Aは、本発明の第2の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図8Bは、図8Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図8Cは、図8BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図8Dは、図8BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。
第2の実施形態に係る光学素子1は、複数の構造体3が、隣接する3列のトラックT間において四方格子パターンまたは準四方格子パターンをなしている点において、第1の実施形態のものとは異なっている。
ここで、四方格子とは、正四角形状の格子のことをいう。準四方格子とは、正四角形状の格子とは異なり、歪んだ正四角形状の格子のことをいう。例えば、構造体3が直線上に配置されている場合には、準四方格子とは、正四角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませた四方格子のことをいう。構造体3が蛇行して配列されている場合には、準四方格子とは、正四角形状の格子を構造体3の蛇行配列により歪ませた四方格子をいう。または、正四角形状の格子を直線状の配列方向(トラック方向)に引き伸ばして歪ませ、かつ、構造体3の蛇行配列により歪ませた四方格子のことをいう。
同一トラック内における構造体3の配置ピッチP1は、隣接する2つのトラック間における構造体3の配置ピッチP2よりも長いことが好ましい。また、同一トラック内における構造体3の配置ピッチをP1、隣接する2つのトラック間における構造体3の配置ピッチをP2としたとき、P1/P2が1.4<P1/P2≦1.5の関係を満たすことが好ましい。このような数値範囲にすることで、楕円錐または楕円錐台形状を有する構造体3の充填率を向上することができるので、反射防止特性を向上することができる。また、トラックに対して45度方向または約45度方向における構造体3の高さまたは深さは、トラックの延在方向における構造体3の高さまたは深さよりも小さいことが好ましい。
トラックの延在方向に対して斜となる構造体3の配列方向(θ方向)の高さH2は、トラックの延在方向における構造体3の高さH1よりも小さいことが好ましい。すなわち、構造体3の高さH1、H2がH1>H2の関係を満たすことが好ましい。
構造体3が四方格子または準四方格子パターンを形成する場合には、構造体底面の楕円率eは、150%≦e≦180%であることが好ましい。この範囲にすることで、構造体3の充填率を向上し、優れた反射防止特性を得ることができるからである。
基体表面における構造体3の充填率は、100%を上限として、65%以上、好ましくは73%以上、より好ましくは86%以上の範囲内である。充填率をこのような範囲にすることで、反射防止特性を向上することができる。
ここで、構造体3の充填率(平均充填率)は以下のようにして求めた値である。
まず、光学素子1の表面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いてTop Viewで撮影する。次に、撮影したSEM写真から無作為に単位格子Ucを選び出し、その単位格子Ucの配置ピッチP1、およびトラックピッチTpを測定する(図8B参照)。また、その単位格子Ucに含まれる4つの構造体3のいずれかの底面の面積Sを画像処理により測定する。次に、測定した配置ピッチP1、トラックピッチTp、および底面の面積Sを用いて、以下の式(4)より充填率を求める。
充填率=(S(tetra)/S(unit))×100 ・・・(4)
単位格子面積:S(unit)=2×((P1×Tp)×(1/2))=P1×Tp
単位格子内に存在する構造体の底面の面積:S(tetra)=S
上述した充填率算出の処理を、撮影したSEM写真から無作為に選び出された10箇所の単位格子について行う。そして、測定値を単純に平均(算術平均)して充填率の平均率を求め、これを基体表面における構造体3の充填率とする。
配置ピッチP1に対する径2rの比率((2r/P1)×100)が、64%以上、好ましくは69%以上、より好ましくは73%以上である。このような範囲にすることで、構造体3の充填率を向上し、反射防止特性を向上できるからである。ここで、配置ピッチP1は、構造体3のトラック方向の配置ピッチ、径2rは、構造体底面のトラック方向の径である。なお、構造体底面が円形である場合、径2rは直径となり、構造体底面が楕円形である場合、径2rは長径となる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3の実施形態>
図9Aは、本発明の第3の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図9Bは、図9Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図9Cは、図9Bに示したA−A線に沿った断面図である。
第3の実施形態に係る光学素子1は、複数の構造体3がランダム(不規則)に2次元配列されている点において、第1の実施形態とは異なっている。また、構造体21の形状、大きさおよびは高さの少なくとも1つをさらにランダムに変化させるようにしてもよい。
この第3の実施形態において、上記以外のことは、第1の実施形態と同様である。
この光学素子1を作製するための原盤は、例えばアルミニウム基材の表面を陽極酸化する方法を用いることができるが、この方法に限定されるものではない。
第3の実施形態では、複数の構造体3をランダムに2次元配列しているので、外観上のムラの発生を抑制できる。
<4.第4の実施形態>
図10Aは、本発明の第4の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図10Bは、図10Aに示した光学素子の一部を拡大して表す平面図である。図10Cは、図10BのトラックT1、T3、・・・における断面図である。図10Dは、図10BのトラックT2、T4、・・・における断面図である。
第4の実施形態に係る光学素子1は、凹部である構造体3が基体表面に多数配列されている点において、第1の実施形態のものとは異なっている。この構造体3の形状は、第1の実施形態における構造体3の凸形状を反転して凹状としたものである。なお、上述のように構造体3を凹状とした場合、凹状である構造体3の開口部(凹部の入り口部分)を下部、基体2の深さ方向の最下部(凹部の最も深い部分)を頂部と定義する。すなわち、非実体的な空間である構造体3により頂部、および下部を定義する。また、第4の実施形態では、構造体3が凹状であるため、式(1)などにおける構造体3の高さHは、構造体3の深さHとなる。
この第4の実施形態において、上記以外のことは、第1の実施形態と同様である。
この第4の実施形態では、第1の実施形態における凸形状の構造体3の形状を反転して凹形状としているので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<5.第5の実施形態>
第5の実施形態に係る光学素子1は、基体2および構造体3の両方が柔軟性を有している点において、第1の実施形態とは異なっている。構造体3を形成する材料の弾性率は、第1の実施形態において説明したように、1MPa以上1200MPa以下である。
構造体3を形成する材料の伸び率が、好ましくは50%以上、より好ましくは50%以上150%以下の範囲内である。50%以上であると、密着または接触に伴う樹脂の変形で構造体3の破断が起きないため、拭き取り前後で反射率変化を抑制できる。また、構造体3を形成する材料の伸び率が上昇するにつれて、拭き取り時のすべり性が悪くなり、拭き取り性が低下する傾向があるが、150%以下であると、表面のすべり性の悪化を抑制しやすくなる。
基体2を形成する材料の伸び率が、好ましくは20%以上、より好ましくは20%以上800%以下の範囲内である。20%以上であると、塑性変形を抑止することができる。800%以下であると、材料選定が比較的容易になる。例えばウレタンフィルムの場合、無黄変グレードの選定が可能となる。
図11Aは、第5の実施形態に係る光学素子1の第1の例を示す断面図である。光学素子1は、個別に成形された構造体3と基体2とを備え、これらの間に界面が形成されている。したがって、基体2と構造体3とを形成する材料を必要に応じて異なったものとすることができる。すなわち、基体2と構造体3との弾性率を異なったものとすることができる。
基体2を形成する材料の弾性率が、好ましくは1MPa以上3000MPa以下、より好ましくは1MPa以上1500MPa、更に好ましくは1MPa以上1200MPa以下の範囲内である。1MPa以下であると、弾性率の低い樹脂は一般的に表面のべたつきが大きい特性上、扱いにくくなる。一方、3000MPa以下であると、塑性変形の発生を抑え、その視認を殆どなくすことができる。また、基体2および構造体3を形成する材料の伸び率を一致またはほぼ一致させることが好ましい。基体2と構造体3との間における界面での剥離を抑制することができるからである。ここで、伸び率のほぼ一致とは、基体2および構造体3を形成する材料の伸び率の差が±25%の範囲内であることをいう。ここで、基体2および構造体3の弾性率を必ずしも一致させる必要はなく、両者の弾性率を上記数値範囲において異なって設定してもよい。
基体2を形成する材料の弾性率が1MPa以上3000MPa以下の範囲内である場合、基体2の厚さDは、好ましくは60μm以上、より好ましくは60μm以上2000μm以下の範囲内である。60μm以上であると、塑性変形および凝集破壊の発生を抑え、それらの視認を殆どなくすことができる。一方、2000μm以下であると、ロールtoロールプロセスで連続転写できる。
図11Bは、第5の実施形態に係る光学素子の第2の例を示す断面図である。光学素子1は、複数の構造体3と、これらの構造体3に隣接して形成された基底層4と、この基底層4と隣接して形成された基体2とを備える。基底層4は、例えば、構造体3の底面側に構造体3と一体成形された層であり、基底層4と基体2との間に界面が形成される。基体2の材料としては、伸縮性を有し、かつ弾性を有するものを用いることが好ましく、このような材料としては、例えば、ポリウレタン、透明シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。また、基体2の材料は透明性を有するものに特に限定されず、黒色などの有色のものも用いることも可能である。基体2の形状としては、例えば、シート状、プレート状、ブロック状を挙げることができるが、特にこれらの形状に限定されるものではない。ここで、シートにはフィルムが含まれるものと定義する。
基底層4を形成する材料の弾性率が、好ましくは1MPa以上3000MPa以下、より好ましくは1MPa以上1500MPa、更に好ましくは1MPa以上1200MPa以下の範囲内である。構造体3と、基底層4が同時に転写される場合、1MPa未満であると、転写工程において隣接する構造体同士が付着し、構造体3の形状が所望の形状とは異なる形状となり、所望の反射特性が得られなくなる。また、拭き取り時のすべり性が悪くなり、拭き取り性が低下する傾向がある。一方、3000MPa以下であると、塑性変形の発生を抑え、その視認を殆どなくすことができる。
基体2および基底層4を形成する材料の弾性率が1MPa以上3000MPa以下の範囲内である場合、基体2および基底層4の総厚が、好ましくは60μm以上、より好ましくは60μm以上2000μm以下の範囲内である。60μm以上であると、塑性変形および凝集破壊の発生を抑え、それらの視認を殆どなくすことができる。一方、2000μm以下であると、ロールtoロールプロセスで連続転写できる。ここで、構造体3、基体2および基底層4の弾性率を必ずしも一致させる必要はなく、これらの弾性率を上記数値範囲において異なって設定してもよい。
基底層4を形成する材料の弾性率が1MPa以上3000MPa以下の範囲内であるのに対して、基体2を形成する材料の弾性率が1MPa以上3000MPa以下の範囲外である場合、基底層4の厚さdは、好ましくは60μm以上、より好ましくは60μm以上2000μm以下の範囲内である。60μm以上であると、基体2の材料、すなわち基体2の弾性率に依らず、塑性変形および凝集破壊の発生を抑え、それらの視認を殆どなくすことができる。一方、2000μm以下であると、紫外線硬化樹脂を効率よく硬化させることができる。
図11Cは、第5の実施形態の係る光学素子1の第3の例を示す断面図である。光学素子1は、一体成形された構造体3と基体2とを備える。このように構造体3と基体2とが一体成形されているため、両者の間に界面が存在しない。
基体2を形成する材料の弾性率が、好ましくは1MPa以上3000MPa以下、より好ましくは1MPa以上1500MPa、更に好ましくは1MPa以上1200MPa以下であることが好ましい。構造体3と、基体2が同時に転写される場合、1MPa未満であると、転写工程において隣接する構造体同士が付着し、構造体3の形状が所望の形状とは異なる形状となり、所望の反射特性が得られなくなる。また、拭き取り時のすべり性が悪くなり、拭き取り性が低下する傾向がある。一方、3000MPa未満であると、塑性変形の発生を抑え、その視認を殆どなくすことができる。
構造体3と基体2とを一体成形する場合、製造を容易にする観点からすると、両者の材料の弾性率を同一の値、具体的には1MPa以上1200MPa以下の範囲内で同一の値とすることが好ましい。構造体3と基体2とを一体成形し、両者の弾性率を異なる値とすることも可能である。このような光学素子1を形成する方法としては、例えば以下のような方法が挙げられる。すなわち、弾性率の異なる、樹脂の多層塗布を行う。このとき、樹脂が高粘度であることが望ましく、具体的には50000mPa・s以上であることが好ましい。樹脂の混ざりが少なくヤング率のグラデーションを得ることができるからである。
基体2を形成する材料の弾性率が1MPa以上3000MPa以下の範囲内である場合、基体2の厚さDは、好ましくは60μm以上、より好ましくは60μm以上2000μm以下である。60μm以上であると、塑性変形および凝集破壊の発生を抑え、それらの視認を殆どなくすことができる。一方、2000μm以下であると、紫外線硬化樹脂を効率よく硬化させることができる。
図12A〜図13Cは、柔軟性光学素子と、非柔軟性光学素子との作用の違いを、塑性変形の観点から説明するための模式図である。ここで、柔軟性光学素子とは、構造体3と基体2との両方が柔軟性を有する光学素子のことをいい、非柔軟性光学素子とは、構造体3は柔軟性を有するのに対して、基体2は柔軟性を有していない光学素子のことをいう。
図12Aに示すように、柔軟性光学素子の表面に対して力Fを加えること、基体2が柔軟性を有するため、図12Bに示すように、柔軟性光学素子の表面に加わる力Fが分散する。このため、図12Cに示すように、力Fを開放すると、柔軟性光学素子の表面は元の平坦な状態に戻る。
一方、図13Aに示すように、柔軟性光学素子の表面に対して力Fを加えること、基体2が固いため、図13Bに示すように、柔軟性光学素子の表面に加わる力Fが分散しない。このため、図13Cに示すように、力Fを開放すると、柔軟性光学素子の表面に、塑性変形や凝集剥離が発生する。
<6.第6の実施形態>
図14Aは、本発明の第6の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す平面図である。図14Bは、本発明の第6の実施形態に係る光学素子の構成の一例を示す断面図である。図14Aおよび図14Bに示すように、この光学素子1は、基体2を備えていない点において、第1の実施形態とは異なっている。光学素子1は、可視光の波長以下の微細ピッチで多数配置された、凸部からなる複数の構造体3を備え、隣り合う構造体3の下部同士が繋がっている。下部同士が接合された複数の構造体3が、全体として網目状を有していてもよい。
第6の実施形態によれば、光学素子2が基体2を備えていないので、優れた可撓性を実現することができる。したがって、光学素子2を3次元的な曲面に貼り付けることができる。また、粘着剤なしで光学素子1を被着体に貼り付けることも可能である。
<7.第7の実施形態>
[液晶表示装置の構成]
図15は、本発明の第7の実施形態に係る液晶表示装置の構成の一例を示す。図15に示すように、この液晶表示装置は、光を出射するバックライト103と、バックライト103から出射された光を時間的空間的に変調して画像を表示する液晶表示素子101とを備える。液晶表示素子101の両面にはそれぞれ、光学部品である偏光子101a、101bが設けられている。液晶表示素子101の表示面側に設けられた偏光子101bには、光学素子1が設けられている。ここでは、光学素子1が設けられた偏光子101bを反射防止機能付き偏光子102と称する。この反射防止機能付き偏光子102は、反射防止機能付き光学部品の一例である。
以下、液晶表示装置を構成するバックライト103、液晶表示素子101、偏光子101a、101b、および光学素子1について順次説明する。
(バックライト)
バックライト103としては、例えば直下型バックライト、エッジ型バックライト、平面光源型バックライトを用いることができる。バックライト103は、例えば、光源、反射板、光学フィルムなどを備える。光源としては、例えば、冷陰極蛍光管(Cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)、熱陰極蛍光管(Hot Cathode Fluorescent Lamp:HCFL)、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence:OEL)、無機エレクトロルミネッセンス(IEL:Inorganic ElectroLuminescence)および発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などが用いられる。
(液晶表示素子)
液晶表示素子101としては、例えば、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(Super Twisted Nematic:STN)モード、垂直配向(Vertically Aligned:VA)モード、水平配列(In-Plane Switching:IPS)モード、光学補償ベンド配向(Optically Compensated Birefringence:OCB)モード、強誘電性(Ferroelectric Liquid Crystal:FLC)モード、高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)モード、相転移型ゲスト・ホスト(Phase Change Guest Host:PCGH)モードなどの表示モードのものを用いることができる。
(偏光子)
液晶表示素子101の両面には、例えば偏光子101a、101bがその透過軸が互いに直交するようにして設けられる。偏光子101a、101bは、入射する光のうち直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を吸収により遮へいするものである。偏光子101a、101bとしては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたものを用いることができる。偏光子101a、101bの両面には、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどの保護層を設けることが好ましい。このように保護層を設ける場合、光学素子1の基体2が保護層を兼ねる構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、反射防止機能付き偏光子102を薄型化できるからである。
(光学素子)
光学素子1としては、例えば、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学素子のうちの1つを用いることができる。
第8の実施形態によれば、液晶表示装置の表示面に光学素子1を設けているので、液晶表示装置の表示面の反射防止機能を向上することができる。したがって、液晶表示装置の視認性を向上することができる。
<8.第8の実施形態>
図16は、本発明の第8の実施形態に係る液晶表示装置の構成の一例を示す。この液晶表示装置は、液晶表示素子101の前面側に前面部材104を備え、液晶表示素子101の前面、前面部材104の前面および裏面の少なくとも1つの面に、光学素子1を備える点において、第7の実施形態のものとは異なっている。図16では、液晶表示素子101の前面、ならびに前面部材104の前面および裏面のすべての面に、光学素子1を備える例が示されている。液晶表示素子101と前面部材104との間には、例えば空気層が形成されている。上述の第7の実施形態と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。ここで、前面とは表示面となる側の面、すなわち観察者側となる面を示し、裏面とは表示面と反対となる側の面を示す。
前面部材104は、液晶表示素子101の前面(観察者側)に機械的、熱的、および耐候的保護や、意匠性を目的として用いるフロントパネルなどである。前面部材104は、例えば、シート状、フィルム状、または板状を有する。前面部材104の材料としては、例えば、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、透明性を有する材料であれば用いることができる。
第9の実施形態によれば、第8の実施形態と同様に、液晶表示装置の視認性を向上することができる。
<9.第9の実施形態>
図17Aは、本発明の第9の実施形態に係る情報入力装置を備える表示装置の構成の一例を示す分解斜視図である。図17Bは、本発明の第9の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。図17Aおよび17Bに示すように、情報入力装置201が表示装置202上に設けられ、情報入力装置201と表示装置202とは、例えば貼合層212により貼り合わされている。
情報入力装置201は、いわゆるタッチパネルであり、指などにより情報を入力するための情報入力面を有する情報入力素子211と、情報入力面上に設けられた光学素子1とを備える。情報入力装置201と光学素子1とは、例えば貼合層213を介して貼り合わされている。情報入力装置201としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式などのタッチパネルを用いることができる。光学素子1としては、例えば、上述の第1〜第7の実施形態に係る光学素子1のうちの1つを用いることができる。
なお、図17Bでは、基体2を有する光学素子1を情報入力素子211上に設ける例が示されているが、基体2のない光学素子1、すなわち複数の構造体3を情報入力素子211上に直接設けるようにしてもよい。また、基体2が情報入力素子211の上部電極の基材を兼ねるようにしてもよい。
表示装置201としては、例えば、液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置を用いることができる。
第9の実施形態では、情報入力装置201の情報入力面に光学素子1を設けているので、情報入力装置201の情報入力面の反射防止機能を向上することができる。したがって、情報入力装置201を有する表示装置202の視認性を向上することができる。
<10.第10の実施形態>
図18Aは、本発明の第10の実施形態に係る情報入力装置を備える表示装置の構成の一例を示す分解斜視図である。図18Bは、本発明の第10の実施形態に係る情報入力装置の構成の一例を示す断面図である。図18Aおよび図18Bに示すように、情報入力装置201が、情報入力素子211の情報入力面上に前面部材203をさらに備え、この前面部材203の前面に光学素子1を備える点において、第9の実施形態とは異なっている。情報入力素子211と前面部材203とは貼合層213により貼り合わされ、前面部材203と光学素子1とは、例えば貼合層214により貼り合わされる。
第10の実施形態では、前面部材203上に光学素子1を備えているので、第9の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<11.第11の実施形態>
図19は、本発明の第11の実施形態に係る反射防止機能付き写真の構成の一例を示す断面図である。反射防止機能付き写真は、写真310と、この写真310上に貼合層213を介して貼り合わされた光学素子1とを備える。
写真310は、いわゆるインクジェット用写真紙であり、支持体302と、この支持体302上に設けられたインク吸収層311とを備え、この写真には予め所定の写真が印刷されている。支持体302としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を基紙に塗布したポリオレフィン樹脂被覆紙等の樹脂被覆型の支持体を用いることができる。インク吸収層311としては、例えば、シリカ微粒子、二酸化チタン微粒子等の無機顔料微粒子等を含む多孔質セラミックスを用いることができる。なお、写真はインクジェット用写真紙に限定されるものではなく、例えばハロゲン化銀写真印画紙等を用いることも可能である。
(光学素子)
光学素子1としては、例えば、上述の第1〜第6の実施形態に係る光学素子のうちの1つを用いることができる。
第11の実施形態によれば、写真310上に光学素子1を設けているので、写真表面での光の反射を抑制し、写真の視認性を向上することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1−1)
まず、外径126mmのガラスロール原盤を準備し、このガラス原盤の表面に以下のようにしてレジストを着膜した。すなわち、シンナーでフォトレジストを1/10に希釈し、この希釈レジストをディップによりガラスロール原盤の円柱面上に厚さ130nm程度に塗布することにより、レジストを着膜した。次に、記録媒体としてのガラス原盤を、図5に示したロール原盤露光装置に搬送し、レジストを露光することにより、1つの螺旋状に連なるとともに、隣接する3列のトラック間において準六方格子パターンをなす潜像がレジストにパターニングされた。
具体的には、準六方格子パターンが形成されるべき領域に対して、前記ガラスロール原盤表面まで露光するパワー0.50mW/mのレーザー光を照射し凹形状の準六方格子パターンを形成した。なお、トラック列の列方向のレジスト厚さは120nm程度、トラックの延在方向のレジスト厚さは100nm程度であった。
次に、ガラスロール原盤上のレジストに現像処理を施して、露光した部分のレジストを溶解させて現像を行った。具体的には、図示しない現像機のターンテーブル上に未現像のガラスロール原盤を載置し、ターンテーブルごと回転させつつガラスロール原盤の表面に現像液を滴下してその表面のレジストを現像した。これにより、レジストが準六方格子パターンに開口しているレジストガラス原盤が得られた。
次に、ドライエッチングによって、エッチング処理とアッシング処理を交互に行うことにより、頂部に凸状の曲面を有する楕円錐形状の凹部が得られた。このときのパターンでのエッチング量(深さ)はエッチング時間によって変化させた。最後に、O2アッシングにより完全にフォトレジストを除去することにより、凹形状の準六方格子パターンのモスアイガラスロールマスタが得られた。列方向における凹部の深さは、トラックの延在方向における凹部の深さより深かった。
次に、下記の材料を配合して紫外線硬化樹脂組成物(転写材料)(紫外線樹脂組成物A)を調製した。
ウレタンアクリレートブレンド 92質量%
(東亞合成株式会社 アロニックスM−1600 40質量%+日本合成化学工業株式会社 紫光 UV−6100B 60質量%)
光重合開始剤 3質量%
(BASFジャパン製、商品名:Irgacure 184)
変性シリコーン 5質量%
(アクリル基を有するポリジメチルシロキサン)
次に、厚さ400μmのウレタンフィルム(シーダム社製)を基材として準備した。このウレタンフィルムを形成する樹脂の弾性率は、5MPaであった。次に、ウレタンフィルム上に下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を数μmの厚さで塗布した後、この塗布面に対してモスアイガラスロールマスタを密着させ、紫外線を照射し硬化させながら剥離することにより、光学素子を作製した。この際、塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とウレタンフィルムとの間の基底層を形成した。この硬化後の基底層を形成する樹脂の弾性率は、20MPaであった。
次に、作製した光学素子の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により観察を行った。次に、AFMの断面プロファイルから構造体のピッチとアスペクト比を求めた。その結果、ピッチは250nm、アスペクト比は0.8であった。
(実施例1−2)
ウレタンアクリレートブレンドの配合量を95.75質量%、変性シリコーンの配合量を1.25質量%とする以外のことは実施例1−1と同様にして、光学素子を作製した。
(実施例1−3)
ウレタンアクリレートブレンドの配合量を96.375質量%、変性シリコーンの配合量を0.0625質量%とする以外のことは実施例1−1と同様にして、光学素子を作製した。
(実施例1−4)
ウレタンアクリレートブレンドの配合量を96.6875質量%、変性シリコーンの配合量を0.03125質量%とする以外のことは実施例1−1と同様にして、光学素子を作製した。
(比較例1)
ウレタンアクリレートブレンドの配合量を97質量%、変性シリコーンの配合量を0質量%とする以外のことは実施例1−1と同様にして、光学素子を作製した。
(比較例2)
下記の材料を配合して紫外線硬化樹脂組成物(転写材料)(紫外線硬化樹脂組成物B)を調製する以外のことは実施例1−1と同様にして、光学素子を作製した。
ハードコート剤
光硬化型樹脂(東亞合成株式会社製、商品名:アロニックス M−305) 92質量%
光重合開始剤(BASFジャパン製、商品名:Irgacure 184) 3質量%
フッ素系モノマー(共栄社化学、商品名:FA−108) 5質量%
(弾性率測定と伸び率測定)
(弾性率測定)
光学素子の作製に用いた紫外線硬化樹脂組成物で平坦膜を作製し(UV硬化)、JIS K7311に規定されたダンベル状試験片(有効資料幅5mm)を作製し、株式会社 島津製作所製 精密万能試験機オートグラフ AG−5kNXで測定した。その結果を表1に示す。上記試料を得られない小型試料の場合は、微小硬度計、例えば、株式会社フィッシャー・インストルメンツ社製のPICODENTOR HM−500を用いて測定することも可能である。
また、モスアイパターンを形成した光学素子の弾性率を、表面皮膜物性試験機((株)フィッシャー・インスツルメンツ社製、商品名:フィッシャースコープHM−500)を用いて測定した。その結果、表面皮膜物性試験機により計測した弾性率の値と、引っ張り試験機を用いて測定した材料固有の弾性率の値とは、ほぼ同一の値であった。
(伸び率測定)
また、弾性率と同時に伸び率も測定した。
(動摩擦係数測定)
新東科学株式会社製のHEIDON SURFACE PROPERTY TESTER TYPE:14DRを用いて、作製した光学素子と、滑り片を密着させ、動摩擦係数の測定をした。
法力線は、φ7.5mmの球形滑り片によって生じさせた。均一な圧力分布をかけるために、滑り片を興和株式会社製1000天上ネルで覆った。滑り片の全質量は、200gとした。摩擦を引き起こす運動には、振動があってはならず、120mm/minとし、30mmの区間で動摩擦係数の測定を行った。その評価結果を表2および表3に示す。
(摩耗試験)
テスター産業株式会社製 AB−301 学振型摩擦堅牢度試験機を用いて、作製した光学素子と、滑り片を密着させ、摩耗試験を行った。
法力線は、5cm角の滑り片によって生じさせた。均一な圧力分布をかけるために、滑り片を興和株式会社製1000天上ネルで覆った。滑り片の全質量は、100gとした。摩耗を引き起こす運動は、1分間に30往復、計5000回とした。
試験後、目と試料の間隔を30cm離し、透過光で傷を確認した。次に、裏面に黒色塗料を塗り、距離を5cmとし反射光で摩耗を確認した。その評価結果を表2および表3に示す。なお、表2および表3中において、「○」印、「△」印、および「×」印は以下の評価結果を示す。
○:離面を黒く塗り、反射光を間近で観察しても摩耗が確認されない。
△:反射光での確認では摩耗が確認できるが、30cm離して透過光観察しても摩耗が確認されない。
×:摩耗が目立つ。
なお、裏面を黒くした場合の反射光による確認で5cmの巾の中に、傷に見える摩耗が10本以下であると、反射光での確認では摩耗が確認できるが、30cm離して透過光観察しても摩耗が確認されなくない傾向がある(「△」印にて示した評価結果)。
また、実使用の観点では、目と試料の間隔を30cm離し、透過光で傷が確認されなければ、実用の範囲内であることが、実験からわかっている。
(指紋拭き取り試験)
光学素子のモスアイパターンの形成側の面に指紋を付着した後、コットンシーガル(千代田製紙(株)製)を用いて、18kPa程度の圧力で5秒間、10往復の乾拭きを行った。拭き取り性の評価は、指紋を付着させる前と乾拭きした後での反射率を比較することにより行い、反射率が指紋を付着させる前と乾拭きした後で同一の値であった場合を乾拭き可能とみなした。なお、表中では、乾拭き可能とみなす場合を○、乾拭き可能でない場合を×とする。
(視感反射率)
まず、サンプルとしての光学素子の裏面側に対して、黒色テープを貼り合わせることにより、光学素子の裏面からの反射をカットする処理を施した。次に、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−500)を用いて、反射スペクトルを測定した。測定の際には、正反射5°ユニットを使用した。次に、測定した反射スペクトルから視感反射率をJIS Z8701−1982に準拠して求めた。
表1は、実施例1−1〜1−4、比較例1の光学素子の作製に用いた紫外線硬化樹脂組成物の弾性率測定および伸び率測定の結果を示す。
表2は、実施例1−1〜1−4、比較例1の光学素子の動摩擦係数測定、摩耗試験および指紋拭き取り試験の結果、実施例1−2および比較例1の視感反射率を示す。
表3は、比較例2の光学素子の動摩擦係数測定、摩耗試験および指紋拭き取り試験の結果、視感反射率を示す。
表1〜表3から以下のことがわかる。
動摩擦係数が0.85以下であると、傷が視認されにくくなる傾向がある。
動摩擦係数が0.8以下であると、摩耗が発生しくなる傾向がある。
動摩擦係数が0.85以下である実施例1−2では、摩擦試験前後の視感反射率の変化が抑制されて、0.007%という極めて小さい値になっている。これに対して、動摩擦係数が0.85を超える比較例1、2では、摩擦試験前後の視感反射率の変化が大きく、2.96%という大きな値になっている。
上述したサンプル間での視感反射率変化の違いは、以下の点に起因するものと考えられる。すなわち、動摩擦係数が0.85以下である実施例1−2では、構造体表面のべたつきが抑制されて、隣接する構造体同士のくっ付きを抑えられているため、構造体(モスアイ)の反射防止機能が殆ど損なわれていないと考えられる。これに対して、動摩擦係数が0.85を超える比較例1、2では、構造体表面のべたつきが抑制されず、隣接する構造体同士がくっ付いてしまうため、構造体(モスアイ)の反射防止機能が損なわれていると考えられる。
(実施例2−1〜2−4、比較例3)
構造体のピッチを250nm、構造体のアスペクト比を0.75とする以外は実施例1−1〜実施例1−4、比較例1と同様にして光学素子を作製した。
(実施例3−1〜3−3、比較例4〜5)
構造体のピッチを250nm、構造体のアスペクト比を1.2とする以外は実施例1−1〜実施例1−4、比較例1と同様にして光学素子を作製した。
(動摩擦係数測定、摩耗試験および指紋拭き取り試験)
上述のようにして作製した光学素子の動摩擦係数測定、摩耗試験および指紋拭き取り試験を実施例1−1〜1−4、比較例1〜2と同様にして行った。その結果を表4に示す。
表4は、実施例2−1〜2−4、比較例3の光学素子の動摩擦係数測定、摩耗試験および指紋拭き取り試験の結果を示す。表5は、実施例3−1〜3−3、比較例4〜5の光学素子の動摩擦係数測定、摩耗試験および指紋拭き取り試験の結果を示す。
表4および表5から、摩耗試験および拭き取り性試験の結果は、構造体のアスペクト比に依存しないことがわかる。
(実施例4)
実施例1−2の光学素子の転写(作製)を繰り返し、所定の転写回数(作製回数)にて作製された光学素子について、動摩擦係数測定、接触角測定、指紋拭き取り試験および摩耗試験を行った。その結果を表6に示す。
なお、動摩擦係数測定、指紋拭き取り試験および摩耗試験は、実施例1−1〜2−4、比較例1〜5と同様にして行った。
接触角測定は以下のようにして行った。
(接触角測定)
接触角計(協和界面化学社製、製品名CA−XE型)で、光学素子のモスアイパターン形成側の面の接触角を測定した。接触角を測定する液体には、オレイン酸を用いた。
(比較例6)
比較例2と同様の材料を配合して紫外線硬化樹脂組成物(転写材料)を調製する以外のことは実施例4と同様にして、所定の転写回にて動摩擦係数測定、接触角測定、指紋拭き取り試験および摩耗試験を行った。その結果を表7に示す。
表6は、1回目および63回目の転写により作製された実施例4の光学素子の動摩擦係数測定、接触角測定、指紋拭き取り試験および摩耗試験の結果を示す。
表7は、1回目および63回目の転写により作製された比較例6の光学素子の動摩擦係数測定、接触角測定、指紋拭き取り試験および摩耗試験の結果を示す。
表6および表7から以下のことがわかる。
シリコーン系添加剤を用いた実施例4では、63回転写した後でも摩耗が抑制されているのに対して、フッ素系添加剤を用いた比較例6では、63回転写した後では摩耗が目立つようになる。
シリコーン添加剤を用いた系においては、転写1回目と63回目のレプリカは、動摩擦係数、オレイン酸接触角、指紋拭き取り性は変化なかった。しかし、フッ素系添加剤を用いた系においては、1回目の転写と63回目の転写で、得られる物性が異なった。原因は転写を重ねる毎に、原盤の離型剤が劣化し、フッ素系添加剤をモスアイ表面にだすことができなくなったためである。
したがって、紫外線硬化性樹脂組成物としては、連続転写の観点からすると、シリコーン系添加剤を添加した紫外線硬化性樹脂組成物が好ましいことがわかる。
(サンプル1−1)
まず、外径126mmのガラスロール原盤を準備し、このガラス原盤の表面に以下のようにしてレジストを着膜した。すなわち、シンナーでフォトレジストを1/10に希釈し、この希釈レジストをディップによりガラスロール原盤の円柱面上に厚さ130nm程度に塗布することにより、レジストを着膜した。次に、記録媒体としてのガラス原盤を、図5に示したロール原盤露光装置に搬送し、レジストを露光することにより、1つの螺旋状に連なるとともに、隣接する3列のトラック間において準六方格子パターンをなす潜像がレジストにパターニングされた。
具体的には、六方格子パターンが形成されるべき領域に対して、前記ガラスロール原盤表面まで露光するパワー0.50mW/mのレーザー光を照射し凹形状の準六方格子パターンを形成した。なお、トラック列の列方向のレジスト厚さは120nm程度、トラックの延在方向のレジスト厚さは100nm程度であった。
次に、ガラスロール原盤上のレジストに現像処理を施して、露光した部分のレジストを溶解させて現像を行った。具体的には、図示しない現像機のターンテーブル上に未現像のガラスロール原盤を載置し、ターンテーブルごと回転させつつガラスロール原盤の表面に現像液を滴下してその表面のレジストを現像した。これにより、レジストが準六方格子パターンに開口しているレジストガラス原盤が得られた。
次に、ドライエッチングによって、エッチング処理とアッシング処理を交互に行うことにより、楕円錐形状の凹部が得られた。このときのパターンでのエッチング量(深さ)はエッチング時間によって変化させた。最後に、O2アッシングにより完全にフォトレジストを除去することにより、凹形状の準六方格子パターンのモスアイガラスロールマスタが得られた。列方向における凹部の深さは、トラックの延在方向における凹部の深さより深かった。
上記モスアイガラスロールマスタと下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を数μmの厚さで塗布したポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)製シートを密着させ、紫外線を照射し硬化させながら剥離することにより、光学素子を作製した。
次に、光学素子のモスアイパターンが形成された面に、フッ素系処理剤(ダイキン化成品販売株式会社製 商品名オプツールDSX)をディップコーティングすることにより、フッ素処理を行った。以上により、サンプル1−1の光学素子が作製された。
<紫外線硬化樹脂組成物>
ポリエステルアクリレートオリゴマー 80質量部
(サートマー社製、商品名CN2271E)
低粘度モノアクリレートオリゴマー 20質量部
(サートマー社製、商品名CN152)
光重合開始剤 4wt%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名DAROCUR1173)
なお、光重合開始剤の添加量(4wt%)は、紫外線樹脂組成物を100wt%とした場合の添加量である。(以下のサンプル1−2〜6−3においても同様)
(サンプル1−2)
1トラック毎に極性反転フォマッター信号の周波数と、ロールの回転数と、適切な送りピッチとを調整して、レジスト層をパターニングすることにより、サンプル1−1とピッチおよびアスペクト比が異なる準六方格子パターンをレジスト層に記録した。これ以外のことは、サンプル1−1と同様にしてサンプル1−2の光学素子を作製した。
(サンプル1−3)
1トラック毎に極性反転フォマッター信号の周波数と、ロールの回転数と、適切な送りピッチとを調整して、レジスト層をパターニングすることにより、サンプル1−1とピッチおよびアスペクト比が異なる準六方格子パターンをレジスト層に記録した。これ以外のことは、サンプル1−1と同様にして光学素子を作製した。
(サンプル2−1〜サンプル2−3)
下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を用いた点以外は、サンプル1−1〜サンプル1−3のそれぞれと同様にして、サンプル2−1〜サンプル2−3の光学素子を作製した。
<紫外線硬化樹脂組成物>
ポリエステルアクリレートオリゴマー 30質量部
(サートマー社製、商品名CN2271E)
2官能アクリレート 70質量部
(大阪有機化学工業株式会社製、商品名ビスコート310HP)
光重合開始剤 4wt%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名DAROCUR1173)
(サンプル3−1〜サンプル3−3)
下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を用いた点以外は、サンプル1−1〜サンプル1−3のそれぞれと同様にして、サンプル3−1〜サンプル3−3の光学素子を作製した。
<紫外線硬化樹脂組成物>
ポリエステルアクリレートオリゴマー 15質量部
(サートマー社製、商品名CN2271E)
2官能アクリレート 85質量部
(大阪有機化学工業株式会社製、商品名ビスコート310HP)
光重合開始剤 4wt%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名DAROCUR1173)
(サンプル4−1〜サンプル4−3)
下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を用いた点以外は、サンプル1−1〜サンプル1−3のそれぞれと同様にして、サンプル4−1〜サンプル4−3の光学素子を作製した。
<紫外線硬化樹脂組成物>
ポリエステルアクリレートオリゴマー 5質量部
(サートマー社製、商品名CN2271E)
2官能アクリレート 95質量部
(大阪有機化学工業株式会社製、商品名ビスコート310HP)
光重合開始剤 4wt%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名DAROCUR1173)
(サンプル5−1〜サンプル5−3)
下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を用いた点以外は、サンプル1−1〜サンプル1−3のそれぞれと同様にして、サンプル5−1〜サンプル5−3の光学素子を作製した。
<紫外線硬化樹脂組成物>
2官能アクリレート 80質量部
(大阪有機化学工業株式会社製、商品名ビスコート310HP)
5官能ウレタンアクリレート 20質量部
(共栄社化学株式会社製、商品名UA510H)
光重合開始剤 4wt%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名DAROCUR1173)
(サンプル6−1〜サンプル6−3)
光学素子のモスアイパターンが形成された面に、フッ素処理をする工程を省略する点以外は、サンプル1−1〜サンプル1−3のそれぞれと同様にして、サンプル6−1〜サンプル6−3の光学素子を作製した。
(形状の評価)
作製したサンプル1−1〜サンプル6−3の光学素子について、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により観察を行った。そして、AFMの断面プロファイルから各サンプルの構造体のピッチとアスペクト比を求めた。その結果を表8に示す。
(接触角の測定)
接触角計(協和界面化学社製 製品名CA−XE型)で、光学素子のモスアイパターン形成側の面の接触角を測定した。接触角を測定する液体には、オレイン酸を用いた。
(拭き取り性の評価)
光学素子のモスアイパターンの形成側の面に指紋を付着した後、コットンシーガル(千代田製紙(株)製)を用いて、18kPa程度の圧力で5秒間、10往復の乾拭きを行った。拭き取り性の評価は、指紋を付着させる前と乾拭きした後での反射率を比較することにより行い、反射率が指紋を付着させる前と乾拭きした後で同一の値であった場合を乾拭き可能とみなした。なお、表8では、乾拭き可能を「○」と表記し、乾拭き不可能を「×」と表記する。反射率は、評価装置(日本分光社製 商品名V−550)を用いて、波長532nmの可視光の反射率を測定した。その結果を表8に示す。
(弾性率の測定)
(引っ張り試験機による測定)
光学素子の作製に用いた紫外線硬化樹脂組成物と同様の材料で平坦膜を作製し(UV硬化)、幅14mm長さ50mm厚さ約200μmの形状のフィルム試料に切り出して使用した。このフィルム試料の弾性率を、JIS K7127に則って、引っ張り試験機(株式会社島津製作所製 製品名AG-X)を用いて測定した。その結果を表8に示す。
なお、モスアイパターンを形成した光学素子の弾性率を、表面皮膜物性試験機((株)フィッシャー・インスツルメンツ社製:フィッシャースコープHM−500)を用いて測定した。その結果、微小硬度計により計測した弾性率の値および引っ張り試験機を用いて測定した材料固有の弾性率の値は、ほぼ同一であった。
[評価]
表8に示すように、サンプル5−1〜サンプル5−3では、拭き取り性評価において、乾拭きが不可能であった。これは、光学素子の弾性率が、5MPa〜1200MPaから外れているからである。
また、サンプル1−1〜サンプル1−3と、サンプル6−1〜サンプル6−3との比較によれば、サンプル1−1〜サンプル1−3では、拭き取り性評価において、コットンシーガルがすべりやすく、指紋が拭き取りやすかった。一方、サンプル6−1〜サンプル6−3では、コットンシーガルがすべりにくく、指紋がつくと、指紋がついた場所よりも大きく染み広がった。これは、サンプル1−1〜サンプル1−3では、光学素子のモスアイパターン形成面にフッ素コートを行っており、サンプル6−1〜サンプル6−3では、フッ素コートを行っていないからである。
以下のサンプルにおいて、基体、基材および基底層の厚さは以下のようにして測定した。
光学素子を切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)にて撮影し、撮影したSEM写真から、基体、基材または基底層の厚さを測定した。
また、以下のサンプルにおいて、基体、基材および基底層の弾性率は以下のようにして測定した。
JIS K7311に規定されたダンベル状試験片(有効試料幅5mm)を作製し、株式会社 島津製作所製 精密万能試験機オートグラフAG-5kNXで測定した。上記試料を得られない小型試料場合は、微小硬度計、例えばFischer インストルメンツ PICODENTOR HM500を用いて測定することも可能である。また、さらに小型の場合はAFMによる測定も可能である(共立出版株式会社発行、高分子ナノ材料P.81-P.111参照)。
(サンプル7−1)
まず、外径126mmのガラスロール原盤を準備し、このガラス原盤の表面に以下のようにしてレジストを着膜した。すなわち、シンナーでフォトレジストを1/10に希釈し、この希釈レジストをディップによりガラスロール原盤の円柱面上に厚さ130nm程度に塗布することにより、レジストを着膜した。次に、記録媒体としてのガラス原盤を、図5に示したロール原盤露光装置に搬送し、レジストを露光することにより、1つの螺旋状に連なるとともに、隣接する3列のトラック間において準六方格子パターンをなす潜像がレジストにパターニングされた。
具体的には、六方格子パターンが形成されるべき領域に対して、前記ガラスロール原盤表面まで露光するパワー0.50mW/mのレーザー光を照射し凹形状の準六方格子パターンを形成した。なお、トラック列の列方向のレジスト厚さは120nm程度、トラックの延在方向のレジスト厚さは100nm程度であった。
次に、ガラスロール原盤上のレジストに現像処理を施して、露光した部分のレジストを溶解させて現像を行った。具体的には、図示しない現像機のターンテーブル上に未現像のガラスロール原盤を載置し、ターンテーブルごと回転させつつガラスロール原盤の表面に現像液を滴下してその表面のレジストを現像した。これにより、レジスト層が準六方格子パターンに開口しているレジストガラス原盤が得られた。
次に、ドライエッチングによって、エッチング処理とアッシング処理を交互に行うことにより、楕円錐形状の凹部が得られた。このときのパターンでのエッチング量(深さ)はエッチング時間によって変化させた。最後に、O2アッシングにより完全にフォトレジストを除去することにより、凹形状の準六方格子パターンのモスアイガラスロールマスタが得られた。列方向における凹部の深さは、トラックの延在方向における凹部の深さより深かった。
次に、厚さ400μmのウレタンフィルム(シーダム社製)を基材として準備した。このウレタンフィルムを形成する樹脂の弾性率は、10MPaであった。次に、ウレタンフィルム上に下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を数μmの厚さで塗布した後、この塗布面に対してモスアイガラスロールマスタを密着させ、紫外線を照射し硬化させながら剥離することにより、光学素子を作製した。この際、塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とウレタンフィルムとの間に20nmの基底層を形成した。この硬化後の基底層を形成する樹脂の弾性率は、20MPaであった。
<紫外線硬化樹脂組成物>
ポリエステルアクリレートオリゴマー 80質量部
(サートマー社製、商品名CN2271E)
低粘度モノアクリレートオリゴマー 20質量部
(サートマー社製、商品名CN152)
光重合開始剤 4質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名DAROCUR1173)
次に、光学素子のモスアイパターンが形成された面に、フッ素系処理剤(ダイキン化成品販売株式会社製 商品名オプツールDSX)をディップコーティングすることにより、フッ素処理を行った。以上により、下記の構成を有するサンプル7−1の光学素子が作製された。
<モスアイ構成>
構造体の配列:準六方格子
高さ:250
ピッチ:250
アスペクト比:1
(サンプル7−2)
ウレタンフィルムの塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とウレタンフィルムとの間に厚さ60μmの基底層を形成した以外は、サンプル7−1と同様にして、サンプル7−2の光学素子を作製した。
(サンプル7−3)
ウレタンフィルムの塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とウレタンフィルムとの間に厚さ120μmの基底層を形成した以外は、サンプル7−1と同様にして、サンプル7−3の光学素子を作製した。
(サンプル7−4)
ウレタンフィルムの塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とウレタンフィルムとの間に厚さ150μmの基底層を形成した以外は、サンプル7−1と同様にして、サンプル7−4の光学素子を作製した。
(サンプル8−1)
ウレタンフィルムの厚さを20μmとした以外は、サンプル8−1と同様にして、サンプル7−4の光学素子を作製した。
(サンプル8−2)
ウレタンフィルムの厚さを40μmとした以外は、サンプル8−1と同様にして、サンプル7−4の光学素子を作製した。
(サンプル8−3)
ウレタンフィルムの厚さを80μmとした以外は、サンプル8−1と同様にして、サンプル7−4の光学素子を作製した。
(サンプル8−4)
ウレタンフィルムの厚さを120μmとした以外は、サンプル8−1と同様にして、サンプル7−4の光学素子を作製した。
(サンプル8−5)
ウレタンフィルムの厚さを200μmとした以外は、サンプル8−1と同様にして、サンプル7−4の光学素子を作製した。
(サンプル8−6)
ウレタンフィルムの厚さを400μmとした以外は、サンプル8−1と同様にして、サンプル7−4の光学素子を作製した。
(引っ掻き試験)
まず、作製したサンプル7−1〜7−4、8−1〜8−6について、JISK5600-5-4の試験方法に準拠して引っ掻き試験を行った。具体的には、手押し式引掻き硬度試験機(株式会社安田精機製作所製、商品名:NO.553-S)を用いて、2Hの鉛筆でサンプル表面を引掻いた。次に、鉛筆の引いた痕を柔らかい布でふき取り、鉛筆の粉を除去した後、目視にてサンプル表面を観察した。次に、微細形状測定装置(KLA-Tencor社製、商品名Alpha-Step500)で塑性変形深さを測定した。それらの結果を表9、表10および図20A、図20Bに示す。なお、表9、表10中の「塑性変形」および「凝集破壊」における「○」印、「△」印、および「×」印は以下の評価結果を示す。
(塑性変形)
◎:塑性変形の深さが0nm以上350nm未満であり、反射性能に変化がなく、目視で窪みが全く観察されない。
○:塑性変形の深さが350nm以上1000nm未満であり、反射性能に変化がなく、目視で窪みが殆ど観察されない。
×:塑性変形の深さが1000nm以上であり、反射性能が低下し、目視で窪みが明らかに観察される。
(凝集破壊)
◎:反射性能に変化がなく、目視で傷および剥離が全く観察されない。
○:反射性能に変化がなく、目視で傷および剥離が殆ど観察されない。
×:反射性能が低下し、目視で傷および剥離が明らかに観察される。
表9は、サンプル7−1〜7−4の引っ掻き試験の結果を示す。
表10は、サンプル8−1〜8−6の引っ掻き試験の結果を示す。なお、サンプル8−1の塑性変形の窪みの深さは測定範囲外であったため、測定値の記載が省略されている。
表9、表10および図21A、図21Bから以下のことがわかる。
基材と基底層との総厚を60μm以上にすると、塑性変形および凝集破壊の視認を抑制することができる。
(サンプル9−1)
基材として厚さ400μmのウレタンフィルムに代えて厚さ150μmのPMMA(ポリメチルメタアクリレート)フィルムを用いた以外は、サンプル7−1と同様にして、サンプル9−1の光学素子を作製した。なお、PMMAフィルムの材料の弾性率は、3300MPaであった。
(サンプル9−2)
ウレタンフィルムの塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とPMMAフィルムとの間に厚さ60μmの基底層を形成した以外は、サンプル9−1と同様にして、サンプル9−2の光学素子を作製した。
(サンプル9−3)
ウレタンフィルムの塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とPMMAフィルムとの間に厚さ120μmの基底層を形成した以外は、サンプル9−1と同様にして、サンプル9−3の光学素子を作製した。
(引っ掻き試験)
作製したサンプル9−1〜9−3について、上述のサンプル7−1〜7−4と同様の引っ掻き試験を行い、サンプル表面の観察、および塑性変形深さの測定を行った。その結果を表11および図21Aに示す。
表11は、サンプル9−1〜9−3の引っ掻き試験の結果を示す。
表11および図21Aから以下のことがわかる。
基材として弾性率が1MPa以上3000MPa以下の範囲から外れるものを用いた場合には、基底層の厚さを60μm以上とすることで、塑性変形および凝集破壊の発生を抑制することができる。
(サンプル10−1)
まず、成形面となる領域が一様に窪んだ、外径126mmのガラスロール原盤を準備した。次に、このガラスロール原盤を用いた以外はサンプル7−1と同様にして、準六方格子パターンのモスアイガラスロールマスタを得た。次に、シクロオレフィン系フィルム上に下記の組成を有する紫外線硬化樹脂組成物を塗布した後、この塗布面に対してモスアイガラスロールマスタを密着させ、紫外線を照射し硬化させながら剥離することにより、光学素子を作製した。この際、塗布面に対するモスアイガラスロールマスタの圧力を調整することにより、構造体とシクロオレフィン系フィルムとの間に、基体となる20μmの樹脂層を形成した。
<紫外線硬化樹脂組成物>
ポリエステルアクリレートオリゴマー 80質量部
(サートマー社製、商品名CN2271E)
低粘度モノアクリレートオリゴマー 20質量部
(サートマー社製、商品名CN152)
光重合開始剤 4質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名DAROCUR1173)
次に、シクロオレフィン系フィルムを樹脂層から剥離することにより、光学素子が得られた。次に、光学素子のモスアイパターンが形成された面に、フッ素系処理剤(ダイキン化成品販売株式会社製 商品名オプツールDSX)をディップコーティングすることにより、フッ素処理を行った。以上により、厚さ20μmの基体上に多数の構造体が形成された、サンプル10−1の光学素子が作製された。
(サンプル10−2)
基体と構造体とを一体成形し、基体の厚さを60μmとする以外はサンプル7−1と同様にして、サンプル10−1の光学素子を作製した。
(サンプル10−3)
基体と構造体とを一体成形し、基体の厚さを120μmとする以外はサンプル7−1と同様にして、サンプル10−1の光学素子を作製した。
(サンプル10−4)
基体と構造体とを一体成形し、基体の厚さを250μmとする以外はサンプル7−1と同様にして、サンプル10−1の光学素子を作製した。
(サンプル10−5)
基体と構造体とを一体成形し、基体の厚さを500μmとする以外はサンプル7−1と同様にして、サンプル10−1の光学素子を作製した。
(サンプル10−6)
基体と構造体とを一体成形し、基体の厚さを750μmとする以外はサンプル7−1と同様にして、サンプル10−1の光学素子を作製した。
(サンプル10−7)
基体と構造体とを一体成形し、基体の厚さを1000μmとする以外はサンプル7−1と同様にして、サンプル10−1の光学素子を作製した。
(引っ掻き試験)
作製したサンプル10−1〜10−7について、上述のサンプル7−1〜7−4と同様の引っ掻き試験を行い、サンプル表面の観察、および塑性変形深さの測定を行った。その結果を表12および図21Bに示す。
表12は、サンプル10−1〜10−7の引っ掻き試験の結果を示す。なお、サンプル10−1の塑性変形の窪みの深さは測定範囲外であったため、測定値の記載が省略されている。
表12および図21Bから以下のことがわかる。
構造体と基体とを一体成形した場合には、基体の厚さを60μm以上とすることで、塑性変形および凝集破壊の発生を抑制することができる。
(試験例1−1〜1−10)
シミュレーションにより、光学フィルム表面を鉛筆により押圧したときの塑性変形領域の深さを、以下のようにして求めた。
まず、図22に示す2層構造の光学フィルムを設定した。この光学フィルムの物性値の設定条件を以下に示す。なお、プログラムとしては、ANSYS Structural(ANSYS,INC.製)を用いた。
基材
厚さD:40μm
弾性率:0〜10000MPa
表面層
厚さd:20μm
弾性率:20MPa
次に、図22に示す斜線の領域に対して鉛筆を押圧したときの塑性変形領域の深さを求めた。以下に押圧の条件を示す。
押圧の加重:0.75kg
押圧の面積(斜線領域の面積):2mm×0.5mm
図23Aは、試験例1−1〜1−10のシミュレーション結果を示すグラフである。表13は、試験例1−1〜1−10のシミュレーション結果を示すグラフである。なお、表13中の「塑性変形」および「凝集破壊」における「○」印、「△」印、および「×」印は以下の評価結果を示す。
(塑性変形)
◎:塑性変形の深さが0nm以上350nm未満である。なお、塑性変形の深さをこの範囲にすることで、反射性能に変化がなく、目視で窪みが全く観察されなくなる。
○:塑性変形の深さが350nm以上1000nm未満である。なお、塑性変形の深さをこの範囲にすることで、反射性能に変化がなく、目視で窪みが殆ど観察されなくなる。
×:塑性変形の深さが1000nm以上である。なお、塑性変形の深さがこの範囲になると、反射性能が低下し、かつ、目視で窪みが観察されるようになってしまう。
なお、モスアイ構造体の高さは基底層の厚さに比べて十分小さいので、上記シミュレーションでは光学フィルムの表面を平坦面として近似している。このように平坦面により近似したシミュレーションの結果は、モスアイ構造体が形成された光学フィルムの塑性変形の実測結果とほぼ一致する。
表13および図23Aから以下のことがわかる。
基材の弾性率を3000MPa以下にすることとで、塑性変形の深さを350nm以上1000nm未満の範囲内とすることができる。すなわち、反射性能の低下を抑制し、かつ、目視による窪みの観察を防ぐことができる。
また、基材の弾性率を1500MPa以下にすることで、塑性変形の深さを0nm以上350nm未満の範囲内にすることができる。すなわち、反射性能の低下を抑制し、目視による窪みの観察を更に防ぐことができる。
(試験例2−1〜2−4)
シミュレーションにより、光学フィルム表面を鉛筆により押圧したときの塑性変形領域の深さを、以下のようにして求めた。
まず、図22に示す2層構造の光学フィルムを設定した。この光学フィルムの物性値の設定条件を以下に示す。なお、プログラムとしては、ANSYS Structural(ANSYS,INC.製)を用いた。
基材
厚さD:400μm
弾性率:20MPa
表面層
厚さd:20μm、60μm、120μm、200μm
弾性率:20MPa
次に、図22に示す斜線の領域に対して鉛筆を押圧したときの塑性変形領域の深さを求めた。以下に押圧の条件を示す。
押圧の加重:0.75kg
押圧の面積(斜線領域の面積):2mm×0.5mm
(試験例3−1〜3−4)
光学フィルムの物性値の設定条件を以下のようにした以外は試験例2−1〜2−4と同様にして、シミュレーションを行った。
基材
厚さD:400μm
弾性率:40MPa
表面層
厚さd:20μm、60μm、120μm、200μm
弾性率:20MPa
(試験例4−1〜4−4)
光学フィルムの物性値の設定条件を以下のようにした以外は試験例2−1〜2−4と同様にして、シミュレーションを行った。
基材
厚さD:135μm
弾性率:3000MPa
表面層
厚さd:20μm、60μm、120μm、200μm
弾性率:20MPa
図23Bは、試験例2−1〜2−4、試験例3−1〜3−4、試験例4−1〜4−4のシミュレーション結果を示すグラフである。なお、モスアイ構造体の高さは基底層の厚さに比べて十分小さいので、上記シミュレーションでは光学フィルムの表面を平坦面として近似している。このように平坦面により近似したシミュレーションの結果は、モスアイ構造体が形成された光学フィルムの塑性変形の実測結果とほぼ一致する。
図23Bから以下のことがわかる。
基材の弾性率に依らず、表面層の厚さを60μm以上にすることにより、塑性変形の発生を抑制することができる。したがって、光学素子(モスアイフィルム)の基底層の厚さを60μm以上とすることにより、塑性変形の発生を抑制することができる。
(試験例5)
シミュレーションにより、光学フィルム表面を鉛筆により押圧したときの伸び率を、以下のようにして求めた。
まず、図22に示す2層構造の光学フィルムを設定した。この光学フィルムの物性値の設定条件を以下に示す。なお、プログラムとしては、ANSYS Structural(ANSYS,INC.製)を用いた。
基材
厚さD:400μm
弾性率:1MPa
表面層
厚さd:20μm
弾性率:1MPa
次に、図22に示す斜線の領域に対して鉛筆を押圧したときの光学フィルムの伸び率を求めた。以下に押圧の条件を示す。
押圧の加重:0.75kg
押圧の面積(斜線領域の面積):2mm×0.5mm
上記シミュレーションの結果から、鉛筆で加圧されたことによる変形が原因の基材および表面層の伸び率が20%未満の範囲であることがわかった。したがって、基材の破断を防ぐため、基材および表面層を形成する材料の伸び率を20%以上に設定することが好ましい。
(試験例6)
シミュレーションにより、構造体同士が密着するための伸び率を以下のようにして求めた。
まず、図24に示す光学素子を設定した。この光学素子の設定条件を以下に示す。なお、プログラムとしては、ANSYS Structural(ANSYS,INC.製)を用いた。
基体
厚さ:750nm
弾性率:100MPa
ナノ構造体
形状:放物面状
高さ:250nm
ピッチ:200nm
アスペクト:1.25
構造体の個数:3個
次に、図24に示す3つの構造体のうち、中央に位置する構造体に対して加重を加え、この構造体の頂部を、隣接する構造体の側面に接触させたときの伸び率を求めた。加重は、中央の構造体の一方の側面のうち、高さ200nm〜250nmの範囲の領域に対して、7.5MPaの圧力が加わるように調整した。この際、底面は固定した。
図25Aは、試験例6のシミュレーションの結果を示す図である。
シミュレーションの結果から、中央の構造体の頂部を、隣接する構造体の側面に接触させたきの伸び率の最大値は50%であることがわかった。
したがって、隣接する構造体同士を接触または密着させるためには、構造体の材料の伸び率を50%以上とすることが好ましい。
(試験例7)
シミュレーションにより、ピッチPに対する構造体頂点の変位量ΔXの変化率((ΔX/P)×100)[%]を以下のようにして求めた。
まず、図24に示す光学素子を設定した。この光学素子の設定条件を以下に示す。なお、プログラムとしては、ANSYS Structural(ANSYS,INC.製)を用いた。
基体
厚さD:750nm
弾性率:100MPa
ナノ構造体
高さ:250nm
ピッチ:125nm〜312.5nm
アスペクト:0.8〜2.0
構造体の個数:3個
次に、図24に示す3つの構造体のうち、中央に位置する構造体に対して加重を加えた。具体的には、中央の構造体の一方の側面のうち、高さ200nm〜250nmの範囲の領域に対して、7.5MPaの圧力を加えて、ピッチPに対する構造体頂点の変位量ΔXの変化率((ΔX/P)×100)[%]を求めた。この際、底面は固定した。ここで、構造体の変位量ΔXは、構造体頂点のX軸方向(図24参照)への変化量のことをいう。
図25Bは、試験例7のシミュレーションの結果を示すグラフである。図25Bにおいて、横軸は、拭き取り性(A.R.(アスペクトレシオ)依存性)であり、縦軸は、ピッチPに対する構造体頂点の変位量ΔXの変化率である。
図25Bから、ピッチPに対する構造体頂点の変位量ΔXの変化率の増加に伴って、拭き取り性が向上することがわかる。例えば、A.R.=1.2では、A.R.=0.8に対して拭き取り性が1.6倍向上する。
上記拭き取り性向上の原因は以下の点にあるものと考えられる。
(1)高アスペクト化により、構造体の高さに対する構造体のピッチ幅が相対的に狭くなり、わずかなナノ構造体の変形でも効果的に油の押し出しが可能となるため、拭き取り性が向上したものと考えられる。
(2)高アスペクト化により、より小さい力でナノ構造体を変形することが可能となったため、拭き取り性が向上したものと考えられる。
(試験例8−1〜8−8)
RCWA法による光学シミュレーションにより、光学素子の視感反射率を求めた。
以下に、シミュレーションの条件を示す。
構造体の形状:放物面状
構造体の配置パターン:準六方格子
構造体の高さ:125〜1250nm
構造体の配置ピッチ:250nm
構造体のアスペクト比:0.5〜5
図26は、試験例8−1〜8−8のシミュレーション結果を示すグラフである。表14は、試験例8−1〜8−8のシミュレーション結果を示す表である。なお、図26および表14には、試験例7のシミュレーションの結果(拭き取り性)も示す。
図26および表14から、光学特性および拭き取り性を向上するためには、0.6未満であると反射特性および透過特性が低下する傾向にあり、アスペクト比を0.6以上とすることが好ましいことがわかる。但し、本発明者らが実験により得た知見によれば、原盤にフッ素コートを行い、転写樹脂にもシリコーン系添加材や、フッ素系添加材を添加し、離型性を向上させた状態において、転写時の離型性を考慮すると、アスペクト比を5以下に設定することが好ましい。更に、アスペクト比が4を超えた場合には、視感反射率に大きな変化がないことから、アスペクト比を0.6以上4以下の範囲内とすることが好ましい。
(実施例5)
厚さ125μmの原紙の表面に、レジンコート層として例えばポリエチレンテレフタレート100質量部に対して二酸化チタン(粒径0.3μm)を分散させた表面上に、インク受容層として、多孔質のセラミックコート剤が塗布されているインクジェット用紙を用意した。そして、これに対して、静止画を印刷後、基材厚50μmのTACフィルム上にモスアイを転写したフィルムを粘着剤で貼り合わせた。以上により、反射防止機能付き写真を作製した。
(視認性評価)
上述のように得られた実施例5の反射防止機能付き写真を蛍光灯下にて観察した。また、光学素子が貼合されていない写真も同様に観察した。その結果、反射防止機能付き斜視では、蛍光灯の光の反射が防止され、視認性が大きく向上していることがわかった。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態では、本発明を液晶表示装置に適用する場合を例として説明したが、本発明は液晶表示装置以外の各種表示装置に対しても適用可能である。例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置に対しても本発明は適用可能である。また、本発明はタッチパネルにも適用することができる。具体的には例えば、タッチパネルなどに備えられる基材として、上述の実施形態に係る光学素子を用いることができる。
また、上述の実施形態において、構造体のピッチを適宜変更することで正面から斜めの方向に回折光を発生させることにより、覗き込み防止機能を光学素子に付与するようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、構造体が形成された基体表面上に、低屈折率層をさらに形成するようにしてもよい。低屈折率層は、基体および構造体を構成する材料より低い屈折率を有する材料を主成分としていることが好ましい。このような低屈折率層の材料としては、例えばフッ素系樹脂などの有機系材料、またはLiF、MgF2などの無機系の低屈折率材料が挙げられる。
また、上述の実施形態では、感光性樹脂により光学素子を製造する場合を例として説明したが、光学素子の製造方法はこの例に限定されるものでない。例えば、熱転写や射出成形により光学素子を製造するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、円柱状または円筒状の原盤の外周面に凹状または凸状の構造体を形成する場合を例として説明したが、原盤が円筒状である場合には、原盤の内周面に凹状または凸状の構造体を形成するようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、構造体を形成する材料の弾性率を1MPa以上200MPa以下とし、構造体のアスペクト比を0.2以上0.6未満としてもよい。この場合にも、光学素子表面に付着した指紋などの汚れを拭き取ることができる。
また、上述の実施形態では、光学素子に対して本発明を適用する場合を例として説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、光学素子以外の微細構造体に対しても本発明は適用可能である。光学素子以外の微細構造体としては、細胞培養足場、ハスの葉効果を利用したはっ水性のあるガラスなどに適用可能である。
また、上述の実施形態において、基材、基底層および構造体の弾性率がそれらの内部において変化するようにしてもよい。例えば基材の厚さ方向、基底層の厚さ方向、または構造体の高さ方向にそれらの弾性率が分布を有するようにしてもよい。この場合、弾性率の変化は連続的または不連続的とすることが可能である。
1 光学素子
2 基体
3 構造体
3a 曲面部
4 基底層
5 突出部
8 表面処理層
11 ロール原盤
12 構造体
13 レジスト層
14 レーザー光
15 潜像
16 転写材料
17 エネルギー線源

Claims (21)

  1. 表面を有する基体と、
    上記基体の表面に可視光の波長以下の微細ピッチで配置された複数の構造体と
    を備え、
    上記構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
    上記構造体のアスペクト比(上記構造体の高さ/上記構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
    上記複数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子。
  2. 上記構造体が、シリコーンおよびウレタンを含んでいる請求項1記載の光学素子。
  3. 上記構造体は、シリコーンアクリレートおよびウレタンアクリレートを含むエネルギー線硬化性樹脂組成物の重合体からなる請求項1記載の光学素子。
  4. 上記基体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上3000MPa以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 上記基体の厚さが、60μm以上である請求項4記載の光学素子。
  6. 上記複数の構造体と上記基体との間に基底層をさらに備え、
    上記基底層の弾性率が、1MPa以上3000MPa以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の光学素子。
  7. 上記基底層の厚さが、60μm以上である請求項6記載の光学素子。
  8. 上記複数の構造体と上記基体との間に基底層をさらに備え、
    上記基底層および上記基体の弾性率が、1MPa以上3000MPa以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の光学素子。
  9. 上記基底層と上記基体との総厚が、60μm以上である請求項8記載の光学素子。
  10. 上記構造体を形成する材料の伸び率が50%以上である請求項1から9のいずれか1項に記載の光学素子。
  11. 上記基体を形成する材料の伸び率が20%以上である請求項1から9のいずれか1項に記載の光学素子。
  12. 上記構造体上に形成された表面処理層をさらに備え、
    上記表面処理層は、フッ素、およびケイ素のうちの少なくとも一種を含む請求項1から11のいずれか1項に記載の光学素子。
  13. 上記複数の構造体は、上記基体の表面において複数列をなすように配置され、
    上記構造体は、上記列の延在方向に長軸方向を有する楕円錐または楕円錐台形状である請求項1から12のいずれか1項に記載の光学素子。
  14. 上記複数の構造体は、上記基体の表面において複数列をなすように配置され、
    上記列が、直線状、または円弧状を有する請求項1から12のいずれか1項に記載の光学素子。
  15. 上記列が、蛇行している請求項14記載の光学素子。
  16. 可視光の波長以下の微細ピッチで配置された複数の構造体を備え、
    隣り合う上記構造体の下部同士が繋がっており、
    上記構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
    上記構造体のアスペクト比(上記構造体の高さ/上記構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
    上記複数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載された光学素子を備える表示装置。
  18. 請求項1〜16のいずれか1項に記載された光学素子を備える情報入力装置。
  19. 請求項1〜16のいずれか1項に記載された光学素子を備える写真。
  20. 原盤に対してエネルギー線硬化性樹脂組成物を密着させ、上記エネルギー線硬化性樹脂組成物に対してエネルギー線を照射して硬化する工程と、
    硬化した上記エネルギー線硬化性樹脂組成物を原盤から剥離することにより、可視光の波長以下の微細ピッチで配置された複数の構造体を基体の表面に形成する工程と
    を備え、
    上記構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
    上記構造体のアスペクト比(上記構造体の高さ/上記構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
    上記複数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子の製造方法。
  21. 原盤に対してエネルギー線硬化性樹脂組成物を密着させ、上記エネルギー線硬化性樹脂組成物に対してエネルギー線を照射して硬化する工程と、
    硬化した上記エネルギー線硬化性樹脂組成物を原盤から剥離することにより、可視光の波長以下の微細ピッチで多数配置された複数の構造体を形成する工程と
    を備え、
    隣り合う上記構造体の下部同士が繋がっており、
    上記構造体を形成する材料の弾性率が、1MPa以上1200MPa以下であり、
    上記構造体のアスペクト比(上記構造体の高さ/上記構造体の平均配置ピッチ)が、0.6以上5以下であり、
    上記複数の構造体が形成された光学素子の表面の動摩擦係数が、0.85以下である、反射防止機能を有する光学素子の製造方法。
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