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JP5818523B2 - メソポーラスシリカ膜、メソポーラスシリカ膜を有する構造体、反射防止膜、光学部材及びそれらの製造方法 - Google Patents

メソポーラスシリカ膜、メソポーラスシリカ膜を有する構造体、反射防止膜、光学部材及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はメソポーラスシリカ膜、メソポーラスシリカ膜を有する構造体、メソポーラスシリカ膜を有する反射防止膜及び該反射防止膜を有する光学部材、並びに、メソポーラスシリカ膜の製造方法、メソポーラスシリカ膜を有する構造体の製造方法、メソポーラスシリカ膜を有する反射防止膜の製造方法及び該反射防止膜を有する光学部材の製造方法に関する。このような反射防止膜及び光学部材は、特にカメラレンズなどの光学機器及びディスプレイなどの表示装置に用いることができる。
カメラレンズや表示用ディスプレイにおいて、表面における外光の反射を低減するための技術として反射防止膜が知られている。反射防止膜においては一般的に、最表面層の屈折率が小さいほど空気との界面における屈折率差が低減するため、反射防止特性が向上する。このような最表面層としては、屈折率が1.38であるフッ化マグネシウム膜が広く利用されている。しかし、反射防止膜の更なる特性向上のためには、より屈折率の低い膜材料が望まれている。
フッ化マグネシウム膜よりも低い屈折率を実現する手段として、膜の中に空孔を導入した多孔質膜を利用する方法がある。特に空孔径が2から50nmの範囲にあるメソポーラスシリカ材料からなるメソポーラスシリカ膜は、可視光域における透過性に優れていることから、反射防止膜の低屈折率層として期待されている。非特許文献1には、各種のメソポーラス材料について、作製方法及び構造が記載されている。特許文献1では、メソポーラスシリカ材料からなる反射防止膜が記載されている。
メソポーラスシリカ膜の作製方法としては、簡便なプロセスで且つ膜質にも優れることから、ゾルゲル法が主に用いられている。しかし、ゾルゲル法により作製した多孔質シリカ膜は一般的にシラノール基が多数残っているため、大気中の水分の吸湿に伴う屈折率変動や、吸湿によるメソポーラス構造崩壊の恐れがあった。特許文献2では、メソポーラスシリカ材料の細孔表面に残存するシラノール基に対して疎水性を有する有機物で化学修飾することにより、メソポーラスシリカ材料の吸湿を抑制している。また、非特許文献2には、メソポーラスシリカ膜の細孔表面に、原子層堆積法を用いて非多孔質のシリカ層を形成し、細孔をブロックして吸着を抑制する技術が開示されている。
特開2009−210739号公報 特開2002−241124号公報
"Chem.Mater.",Vol.20,No.3,p.682、2008年 Journal of the American Chemical Society,vol.128,2006,p11018
従来の技術に従って細孔表面のシラノール基を疎水性修飾する場合、メソポーラスシリカ膜中に存在する細孔全体の表面が疎水性修飾を受ける。その結果、確かにメソポーラスシリカ膜の吸湿による屈折率変動は抑制できるが、メソポーラスシリカ膜自体の屈折率は少なからず上昇する。これは、疎水性修飾前には空孔であった部分を、疎水性修飾基が部分的に占めてしまうことによる、空孔率の低下に起因する。また、原子層堆積法で非多孔質シリカの薄膜を作製する方法は、大掛かりな装置が必要であることに加えて、成膜速度が極端に遅く、量産性とコストの面での課題を抱えていた。
このように、メソポーラスシリカ膜を、とりわけ反射防止膜の低屈折率層として応用する上で、メソポーラスシリカ膜自体の屈折率上昇を抑えながら、低コストで吸湿による屈折率の変動を抑制することが課題であった。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものである。すなわち、メソポーラスシリカ膜の表面層のみに選択的に疎水性を付与することにより、あるいは、メソポーラスシリカ層の表面に低コストで非多孔質シリカの膜を形成することにより、屈折率を低く保ちつつ、吸湿による屈折率の変動を抑制したメソポーラスシリカ膜及びそれを有する構造体、反射防止膜、光学材料、並びにそれらの製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決する本発明は、メソポーラスシリカ膜において、前記メソポーラスシリカ膜の少なくとも一方の表面から深さ10nm未満の領域である表面層にSiO(2−n/2)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる構造を有し、前記表面層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上であり、かつ前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm以上の領域である内部層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)より小さいことを特徴とするメソポーラスシリカ膜である。
また、本発明は、メソポーラスシリカ膜を有する構造体において、前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm未満の領域である表面層にSiO(2−n/2)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる構造を有し、前記表面層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上であり、かつ前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm以上の領域である内部層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)より小さいことを特徴とする構造体である。
また、本発明は、メソポーラスシリカ膜を有する反射防止膜において、前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm未満の領域である表面層にSiO(2−n/2)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる構造を有し、前記表面層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上であり、かつ前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm以上の領域である内部層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)より小さいことを特徴とする反射防止膜である。
また、本発明は、上記反射防止膜を有する光学部材である。
また、本発明は、処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法において、
1)内部の相対湿度を制御可能な反応器内において、メソポーラスシリカ膜を相対湿度80%以上の環境に曝露することにより、メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分を吸着させる工程、
2)前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分が吸着した状態で、シリコン含有化合物を含む蒸気を前記反応器内に導入する工程、
3)前記メソポーラスシリカ膜を前記シリコン含有化合物により処理した後、前記メソポーラスシリカ膜を反応器から取り出し、細孔内に吸着した水分を脱離させる工程
を有することを特徴とする処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法である。
また、本発明は、処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法において、
1)減圧可能な反応器内において、メソポーラスシリカ膜と水が共存した状態で反応器内を減圧し、反応器内において最も分圧の高い気体が水蒸気である環境を形成した後封止することにより、メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分を吸着させる工程、
2)前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分が吸着した状態で、シリコン含有化合物を含む蒸気を前記反応器内に導入する工程、
3)前記メソポーラスシリカ膜を前記シリコン含有化合物により処理した後、前記メソポーラスシリカ膜を反応器から取り出し、細孔内に吸着した水分を脱離させる工程、
を有することを特徴とする処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法である。
上記製造方法によってメソポーラスシリカ膜を形成する構造体の製造方法、反射防止膜の製造方法及び光学部材の製造方法も、本発明である。
本発明によれば、メソポーラスシリカ膜の低屈折率を保ちつつ、吸湿による屈折率の変動を抑制することができる。
第1の実施形態に係るメソポーラスシリカ膜を有する構造体を示す概略断面図である。 第2の実施形態に係るメソポーラスシリカ膜を有する構造体を示す概略断面図である。 第1の実施形態に係るメソポーラスシリカ膜を有する構造体における疎水性構造の結合形態の一例を示す概略図である。 第1の実施形態に係るメソポーラスシリカ膜を有する構造体における疎水性構造の結合形態の他の例(疎水性構造を有する分子が吸着した例)を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態は、メソポーラスシリカ膜の表面層の少なくとも一部の疎水性が表面層以外の領域(以下、内部層という。)と比べて高いものに関する形態である。
疎水性の評価方法は種々存在する。たとえば、水滴の接触角によって評価する周知の評価方法を挙げることができる。一方、元素分析法、質量分析法などによって評価することも可能である。メソポーラスシリカ膜の内部層における主たる構成元素はSiとOである。したがって、たとえば、表面層にアルキル基やフッ素原子が相当程度存在すれば、表面層の疎水性は内部層よりも高いといえる。
本実施形態に係るメソポーラスシリカ膜は、前記メソポーラスシリカ膜の少なくとも一方の表面から深さ10nm未満の領域である表面層にSiO(2−n/2)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)の構造(このような構造は、疎水性構造、と評価することができる。)を有している。また、前記表面層におけるケイ素(S)の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上である。かつ前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm以上の領域からなる内部層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)より小さい。ここで、ケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比は、要するに、(炭素の数+フッ素の数)/(ケイ素の数)である。なお、炭素の数もしくはフッ素の数が0である場合もありうる。
本実施形態のメソポーラスシリカ膜を有する構造体について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態における構造体の一例を示す概略図である。図中、1は基材、2はメソポーラスシリカ膜、3は表面層、4は内部層、5はメソポーラスシリカ膜の表面を示す。本発明において表面層とは、膜表面から深さ10nm未満の領域を示す。また内部層とは、膜表面から深さ10nm以上の領域を示す。
基材として透光性基材等を用いることにより、この構造体は、光学部材となりうる。また、この構造体を光学部材として使用する場合、メソポーラスシリカ膜2は、反射防止膜となりうる。なお、必要に応じて、この構造体と他の膜などとを一体化して光学部材を構成してもよいし、メソポーラスシリカ膜と他の膜等とを積み重ねるなどして反射防止膜を構成してもよい。
メソポーラスシリカ膜を形成するための基材1として好適なものは、光学レンズやディスプレイパネルの光出射側基板などであり、用途に応じた材料及び構造から選択される。メソポーラスシリカ膜の成膜を含む各製造プロセスに対して、充分な耐熱性・耐薬品性をもった材料であれば特に制限は無く、例えば石英ガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス等、用途と性能・コストに応じて選ぶことができる。また、反射防止特性をより高めるために、あらかじめ基材1の表面に誘電体多層膜からなる反射防止構造の一部が形成されていても良い。基材1はあらかじめ、超純水などにより十分に表面が洗浄されていることが好ましい。
基材1上には、メソポーラスシリカ膜2が形成されている。ここで言うメソポーラスシリカ膜とは、空孔径が2乃至50nmの範囲内である空孔を有するシリカ多孔質膜である。メソポーラスシリカ膜の膜厚は、求める光学特性に依存するが、50nmから200nmの範囲であることが好ましい。
このメソポーラスシリカ膜を製造する工程の中には、後述する処理工程を有することが好ましい。処理前のメソポーラスシリカ膜の製法に特に制限は無く、ゾルゲル法、水熱法、気相法などの既知の手法から、適宜選択して製造することができる。またメソポーラスシリカ膜の構造に関しても特に制限は無く、例えば前記“Chem.Mater.”,Vol.20,No.3,p.682、2008年に記載の構造を用いることができる。
以下、一例として、ゾルゲル法を用いたメソポーラスシリカ膜の作製方法について説明する。
まず、界面活性剤とシリカ源とを含む前駆体溶液として、ゾル反応液(前駆体ゾル溶液)を作製する。具体的な材料としては、空孔部分を形成するための鋳型となる有機物、シリカ壁を形成する原料であるシリカ前駆体物質、溶媒、酸又は塩基触媒、及び水から構成される。これらの材料のほかに、膜質調整などの目的で更に別の添加物を加えても良い。
有機物としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの水溶液中で分子集合体を形成し得る材料が挙げられる。この有機物は、後の焼成によって除去することにより空孔を形成するための鋳型として機能するため、必要とするメソポーラスシリカ膜の構造や、物性(屈折率等)に応じて種類と量を適宜選択する。
シリカ前駆体物質としては、一般的なゾルゲル法によりシリカを形成する際に用いるものが挙げられる。中でも反応性が高く、かつゾル反応液中における分散均一性に優れることから、四塩化ケイ素の様なハロゲン化シリコンあるいはシリコンアルコキシドが好ましく用いられる。シリコンアルコキシドとして具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどが挙げられる。
溶媒としては、広い範囲のものが適用可能であるが、アルコールが好ましく用いられる。アルコールとしては、上記の有機物及びシリコンアルコキシドと相溶性を有するものであれば特に制限はなく、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールなどが挙げられる。これらのアルコールを単独で用いても良く、また複数種を混ぜて用いても良い。
シリカ前駆体物質を加水分解・脱水縮合してシリカを形成するための触媒としては、酸もしくは塩基が用いられる。具体的には、塩酸、酢酸、硝酸、硫酸、水酸化ナトリウム、アンモニア、及びこれらの水溶液などが挙げられる。これらの中では、塩酸、酢酸、硝酸、硫酸やそれらいずれかの水溶液などの酸がより好ましい。
シリコンアルコキシドの加水分解に必要な水は、上述の触媒水溶液の形で添加しても良く、もしくは別途水を添加しても良い。また、開放系の容器内でゾル反応液の攪拌を進めることにより、空気中の水分を取り込む形でも良い。その場合、攪拌時間の長短によって、前駆体ゾル溶液中のシリカ前駆体であるシリカオリゴマーの状態が変化し、得られるメソポーラスシリカ膜の構造に影響を及ぼすため、攪拌時間は、目的とするメソポーラスシリカ膜の構造や膜厚に応じて適宜決定される。
以上により得られたゾル反応液を、基材上へ塗布する。塗布方法に特に制限は無く、例えばスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法などが挙げられる。塗布条件も、目的とするメソポーラスシリカ膜の膜厚、屈折率等を鑑み、適宜決定される。ゾル−ゲル法による作製の場合には、この塗布工程において、溶媒が蒸発する際に構造が形成されることが多い。
次に、得られた塗布膜を乾燥させる。この結果、不要な溶媒が蒸発するだけでなく、シリカ壁の縮合反応もある程度進行する。乾燥方法に特に制限は無く、ホットプレートや乾燥炉を用いた加熱、恒温槽内での所定時間の静置などが挙げられる。使用する材料や求める構造、乾燥プロセスの効率等に応じて、最適な乾燥方法を選択すればよい。
乾燥した塗布膜を、電気炉などを用いて焼成する。焼成における昇温過程において、シリカ壁の縮合反応が進むとともに、ある一定温度以上に到達することにより、塗布膜中の有機物が焼成除去され、空孔が形成される。その結果、空孔率の高いメソポーラスシリカ膜が得られる。
このときの焼成温度は500℃以下が好ましい。500℃より高い温度で焼成した場合、膜の過剰な収縮に伴い空孔率が著しく減少し、空孔導入による屈折率低下の効果が不十分となることがある。また500℃より高い温度での焼成においては、シリカ多孔質膜の材料・構造によってはクラックが発生する恐れもある。
このようにして得られたメソポーラスシリカ膜は、その材料、製法、構造等の各種条件を、基材や下地層などの他部材に応じて最適化することにより、反射防止膜における低屈折率層として機能する。特に空孔率が45%以上になると、波長550nmにおける屈折率は約1.25以下となり、多層膜系の反射防止構造の最表面層として、多種の硝材に対して優れた特性を発揮することが可能となる。
本実施形態のメソポーラスシリカ膜2は、表面5から深さ10nm未満の領域である表面層3と、表面から深さ10nm以上の領域である内部層4から構成されることを特徴とする。表面層3は強い疎水性を示す。なお、表面層3と内部層4の層間は、必ずしも明確な界面を持たなくても良い。
表面層3では基本骨格となるメソポーラスシリカ構造だけでなく、SiO(2−n/2)の構造(疎水性構造)が存在する。ここに示すXはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。ここで、アルキル基は、その結合の一部が不飽和結合であってもよい。すなわち、ここにいうアルキル基は、鎖式飽和脂肪族炭化水素基、鎖式不飽和脂肪族炭化水素基、環式飽和脂肪族炭化水素基、環式不飽和脂肪族炭化水素基、及びこれらの基を組合せた基、を含む概念である。またnは、上記Xに示す修飾基に関して、疎水性構造中のケイ素一原子に対する修飾量を表し、1乃至3の整数を示す。Xは、後述の疎水性構造の例中の(f)、(g)のように、2種類以上の修飾基から構成されていてもよい。なお、このSiO(2−n/2)という表現は、Oがメソポーラスシリカ構造の骨格(SiO骨格)中のSi(あるいは、メソポーラスシリカ構造に接して存在するシリコン含有化合物中の疎水性構造以外の部分のSi)と共有結合していることを前提として、その結合しているOがSiO(2−n/2)で表わされる構造とメソポーラスシリカ構造の骨格(あるいはシリコン化合物中の疎水性構造以外の部分)とに半分ずつ存在していることを表現したものである。したがって、より一般的な基(結合手の数は1以上3以下)の表現形式に従うとすれば、SiO(4−k)(kは1以上3以下の整数)と表現することができる。
疎水性構造の例を一般的に表すと以下のようになる。
式中、R1,R2,R3は互いに独立に、鎖式飽和脂肪族炭化水素基、鎖式不飽和脂肪族炭化水素基、環式飽和脂肪族炭化水素基、環式不飽和脂肪族炭化水素基、及びこれらの基を組合せた基、フッ素含有炭化水素基、フッ素のいずれかである。また、R1とR2,R2とR3は互いに結合して環構造を形成していてもよい。
疎水性構造をSiO(2−n/2)とすることにより、メソポーラスシリカ骨格中に疎水性構造が親和性良く固定化され、かつ、外部からの水分の吸着を抑制する効果が発揮される。このとき、上記疎水性構造はメソポーラスシリカ骨格との間に共有結合を有していても良く、また、上記疎水性構造を含む分子が、水素結合や物理吸着などにより表面層中に固定されていても良い。
以下に疎水性構造の例を示すが、本発明はこれらの化学種に限定されない。
(1)n=1の場合
例えば、

(kは1以上18以下の整数)
より具体的には、
など。
その他の例として、
など。
(2)n=2の場合
例えば、

(kは1以上18以下の整数)
より具体的には、
など。
その他の例として、
など。
(3)n=3の場合
例えば、

(いずれも、kは1以上18以下の整数)
より具体的には、
など。
その他の例として、
など。
また、上記疎水性構造を含む分子(シリコン含有化合物)の例としては、鎖状あるいは環状のアルキルシロキサンを挙げることができる。環状のアルキルシロキサンの例は、たとえば以下のようなものである。

(mは3以上20以下の整数)
より具体的な例としては以下のものが挙げられる。
なお、脱離防止の観点から、mは6以上であることが望ましい。
メソポーラスシリカ膜の表面層中に導入された上記疎水性構造に関しては、例えば飛行時間型二次イオン質量分析(Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry;以下、「TOF−SIMS」という。)により表面層を分析することで、確認することができる。
表面層3に含まれる疎水性構造の量は、メソポーラスシリカ骨格を形成する主元素であるケイ素と、疎水性構造内で疎水性を発現する原因である炭素及びフッ素の元素比により規定する。このとき、表面層3におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上であり、好ましくは0.2以上である。ケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素比(A/S)が0.1未満の場合、外部からの水分吸着に対して十分な疎水性を発揮することが出来ず、結果的にメソポーラスシリカ膜が吸湿することにより屈折率変動を起こす場合がある。なお、本発明における、ケイ素と炭素及びフッ素との元素比に関しては、例えばX線光電子分光法などにより測定・算出することができる。
メソポーラスシリカ膜2の表面層3に関して、上記のような疎水性構造を導入することにより、表面層3の微視的な空孔率は減少する。しかし、表面層3の厚さは10nm未満と十分に薄いため、表面層3の空孔率減少に伴う屈折率上昇が、膜全体の光学特性に及ぼす影響は極めて小さい。その結果、表面層3に導入された疎水性構造は、反射防止膜の反射防止特性に大きな影響を与えない。
一方、表面から深さ10nm以上の領域である内部層4におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)は、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)よりも小さくする。この結果、表面層3への疎水性構造導入に付随して内部層4の屈折率が上昇することを抑制することが出来、反射防止膜におけるメソポーラスシリカ膜2の低屈折率層としての機能を維持することができる。
ここで、メソポーラスシリカ骨格と疎水性構造との結合形態の一例を図3に示す。図中の点線の下側がメソポーラスシリカ骨格であり、点線の上に示されたOH基と疎水性構造(この場合−OSi(CH基)がメソポーラスシリカ骨格に結合している。
また、疎水性構造を含む分子が水素結合や物理吸着などにより表面層中に固定されている例を図4に示す。図3と同様に点線の下側がメソポーラスシリカ骨格であり、この例では、メソポーラスシリカ骨格の表面にドデカメチルシクロヘキサシロキサンが吸着している。
本発明では、上述のように表面層3においては疎水性構造導入により強い疎水性を付与し、一方で内部層4においては疎水性構造の導入を抑制することにより、メソポーラスシリカ膜2の屈折率を低く保ちつつ、吸湿に伴う屈折率の変動を抑制している。これはメソポーラスシリカ膜2において、水分の吸脱着は主に膜の表面5を介して行われるため、表面層3に十分な疎水性を付与することで、メソポーラスシリカ膜全体の吸湿を抑制できることによる。
特に、メソポーラスシリカ膜の内部層4におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)が、表面層3におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)の25%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。内部層4における元素成分比(A/S)が、表面層3における元素成分比(A/S)の25%より大きいと、内部層への疎水性構造の混入による屈折率の上昇が大きくなるおそれがある。その結果、表面層3含めメソポーラスシリカ膜2の、反射防止膜における最表面低屈折率層としての機能が著しく低下する可能性がある。また、内部層への疎水性構造の混入による屈折率の上昇を防止するという観点からは、内部層4における元素成分比(A/S)は、1以下であることが好ましい。
また本発明者らの発明によれば、非常に簡単な方法で、上記表面のみ選択的に疎水性構造が導入されたメソポーラスシリカ膜を作成することができる。以下、この方法について、例を挙げて説明する。
まず、メソポーラスシリカ膜の細孔内に、十分な量の水分を吸着させる。そのための手法として、内部の相対湿度の制御可能で、かつ密閉可能な反応器を用意し、処理対象であるメソポーラスシリカ膜を反応器内に設置した上で、反応器を密閉する。その後、反応器内の相対湿度を80%以上、より好ましくは90%以上に上昇させる。この操作により、メソポーラスシリカ膜を相対湿度80%以上の環境に曝露し、それによってメソポーラスシリカ膜の細孔内に水分子が吸着する。
同様の効果を得る手法として、減圧可能な反応器内において処理対象であるメソポーラスシリカ膜と少量の水を共存させた上で、反応機内を減圧し、後封止しても良い。この手法では、反応器内において最も分圧の高い気体が水蒸気となることにより、メソポーラスシリカ膜の細孔内への水分子の吸着がより効率的に達成される。
次に、必要に応じて、反応器内の相対湿度を一定に保ちつつ温度を上昇させる。これは、細孔内への水分吸着の促進と共に、この後のシリコン含有化合物(本実施形態では、疎水性修飾材料と呼ぶこともある)の反応性を高める効果がある。なお、反応器内の温度上昇を行う際は、メソポーラスシリカ膜表面に結露が発生しないよう、十分に遅い昇温速度で行うことが好ましい。
上述の手法により、密閉された反応器内でメソポーラスシリカ膜の細孔内に十分な量の水分が吸着した状態を保ちつつ、反応器内に疎水性修飾材料を含む蒸気を導入し、メソポーラスシリカ膜の疎水化処理を行う。疎水性修飾材料は、処理後のメソポーラスシリカ膜において、前述の化学式(a)から(g)に示すような構造を導入することができる化学物質であれば、特に制限はない。
たとえば、SiX(4−n)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。Yは、塩素、臭素、水酸基、アルコキシ基から選ばれる1種類以上からなる基を示す。nは1乃至3の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる化合物が好適である。
なお、この蒸気中には、複数種の疎水性修飾材料が含まれていても良い。
疎水性修飾材料の具体的な例を以下に列挙する。
(1)前記n=1の疎水性構造を導入するための疎水性修飾材料の例
メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
(2)前記n=2の疎水性構造を導入するための疎水性修飾材料の例
ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジメトキシジフルオロシラン、ジエトキシジフルオロシラン
(3)前記n=3の疎水性構造を導入するための疎水性修飾材料の例
トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリエチルクロロシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン
なお、これらの疎水性修飾材料は、その一部を脱離させてメソポーラスシリカ骨格に固定してもよいし、その構造のまま吸着させてもよい。
所定の反応時間が経過した後、反応器からメソポーラスシリカ膜を取り出す。その後、加熱及び又は減圧などによりメソポーラスシリカ膜内部に吸着している水分子を脱離させる。
以上の処理を施すことにより、最表面のみ選択的に疎水性構造が導入された、メソポーラスシリカ膜を得ることができる。メカニズムはまだ完全には解明されてはいないが、予め多孔質膜の内部細孔表面に十分な量の水分子を吸着させておくことにより、その後の疎水性修飾材料の蒸気処理が多孔質膜内部まで及ばず、結果として表面層のみ選択的に疎水性構造が導入されたと思われる。この実施形態によれば、メソポーラスシリカ膜の表面層のみ選択的に疎水性を付与することにより、メソポーラスシリカ膜の屈折率を低く保ちつつ、吸湿による屈折率の変動を抑制したメソポーラスシリカ膜及びその製造方法を提供することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態は、メソポーラスシリカ膜の表面層として低コストに非多孔質シリカ層を形成する工程を有するメソポーラスシリカ膜の製造方法等に関する形態である。
本実施形態は、シリコン化合物を含有する蒸気を用いた処理を行っている点など、第1の実施形態と共通する部分もあるので、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する場合がある。
図2は、本実施形態における構造体の一例を示す概略図である。図2中、1は基材、2はメソポーラスシリカ膜、6は非多孔質シリカ層である。非多孔質シリカ層6以外は、第1の実施形態同様であるので、説明は省略する。また、製造方法についても、第1の実施形態と異なる部分のみ説明する。
本実施形態の構造体の製造方法においては、メソポーラスシリカ膜の焼成工程を比較的低温で行うことが好ましく、弱く水素結合したシラノール基が脱水反応を起こす下限温度である170℃以下で行うことが好ましい。これは、後述する、膜表面への選択的非多孔質シリカ層形成工程において細孔内に水分が入り易くするためで、あまり高温で焼成すると、シラノール基の減少により細孔表面の親水性が損なわれ、膜表面への選択的シリカ層形成に支障が出ることがある。170℃以下の温度では、有機物質の完全な除去が達成されず、わずかに残存することがあるが、後に行う高温焼成時に完全な除去が達成できるので、問題になることはない。
次に、このメソポーラスシリカ膜の表面に、選択的に非多孔質のシリカ層3を形成することによって、メソ細孔の表面開口部を塞ぎ、外部環境からの水分吸着による屈折率変動を抑制する。この目的を達成する本発明の方法は、先ず、上記工程によって作製されたメソポーラスシリカ膜を相対湿度80%以上の高湿下に置いて細孔内に水分を吸着させ、この状態において膜表面でシリカ源の加水分解反応を起こさせてシリカ層を形成するというものである。使用するシリカ源としては、SiAで表される構造を有する単一物質、若しくは混合物(Aは塩素、臭素、若しくはアルコキシ基)が用いられ、これを、上記工程で作製されたメソポーラスシリカ膜が置かれている高湿度容器内に気相から導入する。気相導入されたシリカ源は、表面を水分で覆われた、もしくは細孔内が完全に水分で満たされたメソポーラスシリカ膜の表面にしかアクセスすることができないために、表面にのみシリカ層が形成される。形成する非多孔質シリカ層の膜厚が大きすぎると、膜の屈折率が増大してしまい、また、膜厚が小さすぎると水分をブロックする効果が低下するため、膜厚は、最終的な屈折率と水分ブロック効果を考慮して決定される。好ましい膜厚は、10nmから50nmの範囲であり、膜厚は、気相から導入するシリカ源の蒸気圧と反応時間によって制御することができる。シリカ源の蒸気圧が低い場合には、導入するシリカ源を加熱するための手段を適宜設ける。
この状態では、表面に形成されたシリカは、未だ水分やシラノール基を多く含んでおり、また、下地のメソポーラスシリカ膜の細孔内にも水分が多く含まれているので、この後に膜全体を高温処理し、水分を除去する工程が必要になる。この高温処理工程は、先述の界面活性剤除去工程よりも高温で行う必要がある。それは、表面に形成したシリカ層中のシラノール濃度をできるだけ低下させるとともに、ボイドを減少させることで水分等が吸着する部位をできる限りなくすためである。本発明者らの検討では、弱く水素結合したシラノールからの脱水反応がおこる170℃以上で焼成を行うことによって、その後の水分吸着による屈折率増大の抑制効果が顕著になることを見出している。焼成工程を300℃以上の温度で行うと、強く水素結合したシラノール基からの脱水も進行し、表面に形成された非多孔質シリカ層はさらに親水性を弱めると同時にボイドが減少し、結果的に屈折率安定効果が増大する。焼成工程を行う際、昇温速度が速すぎると、表面のシリカ層の脱水緻密化が素早く起こって、シリカ源との反応時に下地のメソポーラスシリカの細孔内に導入されていた水分の脱離が阻害されることがあるので、昇温速度は適宜最適な値に設定する。水分除去をより確実にするために、170℃以下の一定温度において膜を数時間保持する昇温プロファイルを設定しても良い。この高温処理工程を行うことによって、最初に170℃以下の低温でしか焼成していなかった下地のメソポーラスシリカ膜中のシラノール基からの脱水反応も促進され、より水分を吸着しにくい構造になる。基材の耐熱性が十分に高い場合には、処理温度を500℃以上にして真空中で焼成すると、孤立シラノール基からの水分脱離と膜の緻密化がさらに進行するため、屈折率安定化には好ましいが、メソポーラスシリカ層の収縮も顕著になるため、屈折率は増大する傾向に転ずるため、この両者の影響を同時に考慮した上で処理温度を設定する必要がある。
このようにして得られたメソポーラスシリカ膜は、その材料、製法、構造といった各種条件を、基材や下地層などの他部材に応じて最適化することにより、反射防止膜における低屈折率層として機能する。特に空孔率が45%以上になると、波長550nmにおける屈折率は約1.25以下となり、多層膜系の反射防止構造の最表面層として、多種の硝材に対して優れた特性を発揮することが可能となる。表面に形成された非多孔質のシリカ層は、高湿下に置かれた場合にも、内部のメソポーラスシリカ細孔への水分をはじめとする化学種の吸着をブロックし、過酷な条件においても屈折率を安定化させる働きを有する。
本発明のメソポーラスシリカ膜と、その上に形成された非多孔質シリカ層の2層構成のコーティングは、例えば、断面の電子顕微鏡による観察等で、その構造を確認することができる。
以上に挙げた本発明の製造方法は蒸気処理であるため、対象とする反射防止膜が特にレンズ曲面のような場合、曲面全体にわたって均一かつ簡便に処理することが可能である。また、多数の反射防止膜に対して一度に処理を施すことができるため、製造コスト面でのメリットも大きい。
(実施例1)
テトラアルコキシシラン2.6g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、1−プロパノール13g、0.01M塩酸水溶液1.35gを混合・攪拌し、ゾル反応液を得た。超純水洗浄を施した石英基板上にゾル反応液をディップコート法により塗布し、塗布膜を得た。その後、基板を電気炉にて400℃で4時間焼成することにより、メソポーラスシリカ薄膜を得た。
次に、このメソポーラスシリカ薄膜を温度25℃、相対湿度40%の反応器内に静置して密閉した上で、反応器内における相対湿度を90%に上昇させた後、反応器内における温度を0.1℃/分の速度で60℃まで上昇させた。反応器内の温度を60℃、相対湿度を90%に保ちながら、反応器内へ以下の構造式(1)に示すt−ヘキシルジメチルクロロシランの蒸気を導入し、10時間、疎水性処理を行った。
その後、反応器からメソポーラスシリカ薄膜を取り出し、120℃で2時間、吸着水の除去処理を施した。
このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価した。その結果、波長550nmにおける屈折率は1.24、膜厚は110nmであった。このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間経過し、さらに室温環境にて24時間静置した後でも、屈折率の変動はほとんど見られなかった。
このメソポーラスシリカ膜の表面を超純水でよく洗浄した後、最表面層のコンタミを除去する目的で、最表面をイオンスパッタにより1nm程度エッチングした上で、X線光電子分光により表面層の元素分析を行った。その結果、表面層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.3であった。表面層に存在する化学種に関してTOF−SIMSにより分析を行った結果、上記構造式(1)に由来する疎水性構造の存在が確認された。
また、イオンスパッタにより更に20nmだけ深さ方向にエッチングした上で、内部層の元素分析を行った。その結果、内部層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.05以下であった。内部層に存在する化学種に関してTOF−SIMSにより分析を行った結果、上記構造式(1)に由来する疎水性構造の存在は確認されなかった。
(実施例2)
テトラアルコキシシラン2.6g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、1−プロパノール13g、0.01M塩酸水溶液1.35gを混合・攪拌し、ゾル反応液を得た。超純水洗浄を施した石英基板上にゾル反応液をディップコート法により塗布し、塗布膜を得た。
その後、基板を電気炉にて400℃で4時間焼成することにより、メソポーラスシリカ薄膜を得た。
次に、このメソポーラスシリカ薄膜と5mLの純水を真空反応器内に静置して密閉した上で、真空反応器内を真空ポンプにより減圧し、封止した。次に真空反応器内へ実施例1で用いた構造式(1)に示すt−ヘキシルジメチルクロロシランの蒸気を導入し、10時間、疎水性処理を行った。
その後、真空反応器内を窒素で十分フローしたうえでメソポーラスシリカ薄膜を取り出し、120℃で2時間、吸着水の除去処理を施した。
このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価した。その結果、波長550nmにおける屈折率は1.24、膜厚は112nmであった。このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間経過し、さらに室温環境にて24時間静置した後でも、屈折率の変動はほとんど見られなかった。
このメソポーラスシリカ膜について、実施例1と同様の方法により、表面層及び内部層の化学分析を行った。その結果、表面層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.3であった。表面層に存在する化学種に関してTOF−SIMSにより分析を行った結果、上記構造式(1)に由来する疎水性構造の存在が確認された。
また、内部層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.05以下であった。内部層に存在する化学種に関してTOF−SIMSにより分析を行った結果、上記構造式(1)に由来する疎水性構造の存在は確認されなかった。
(比較例1)
テトラアルコキシシラン2.6g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、1−プロパノール13g、0.01M塩酸1.35gを混合・攪拌し、ゾル反応液を得た。超純水洗浄を施した石英基板上にゾル反応液をディップコート法により塗布し、塗布膜を得た。この塗布膜を含む基板を室温にて乾燥後、電気炉にて400℃で4時間焼成することにより、メソポーラスシリカ薄膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を実施例1と同様の方法により評価した。その結果、波長550nmにおける屈折率は1.23、膜厚は110nmであった。このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間経過した後、室温環境にて24時間静置した後に再度屈折率を測定したところ、波長550nmにおける屈折率が1.27に上昇していた。
このメソポーラスシリカ膜について、実施例1と同様の方法により、表面層及び内部層の化学分析を行った。その結果、表面層、内部層いずれにおいても、ケイ素に対する炭素の元素比は、0.01以下であった。
これより、疎水性構造が導入されていないメソポーラスシリカ膜は、吸湿による屈折率の変動が少なからずあることが示された。
(比較例2)
比較例1と同様の方法により、メソポーラスシリカ薄膜を得た。
次に、このメソポーラスシリカ薄膜を温度25℃、相対湿度40%の反応器内に静置して密閉した上で、反応器内における温度を0.1℃/分の速度で60℃まで上昇させた。その後、反応器内の温度を60℃、相対湿度を40%に保ちながら、反応器内へ上記構造式(1)に示したt−ヘキシルジメチルクロロシランの蒸気を導入し、10時間、疎水性処理を行った。その後、反応器からメソポーラスシリカ薄膜を取り出し、120℃で2時間、吸着水の除去処理を施した。
このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を実施例1と同様の方法により評価した。その結果、波長550nmにおける屈折率は1.32、膜厚は110nmであった。このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間経過した後、室温環境にて24時間静置した後でも、屈折率の変動はほとんど見られなかった。
このメソポーラスシリカ膜について、実施例1と同様の方法により、表面層及び内部層の化学分析を行った。その結果、表面層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.25であった。また、内部層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.25であった。またTOF−SIMSにより分析を行った結果、表面層・内部層のいずれにおいても、構造式(1)に由来する疎水性構造の存在が確認された。
これより、湿度が十分に高くない状態で疎水性修飾材料の蒸気処理を施したメソポーラスシリカ膜においては、疎水性は十分であるものの、内部層まで疎水性構造が導入されることに伴う屈折率上昇の影響が大きいことが示された。
(比較例3)
テトラアルコキシシラン2.6g、ブロックコポリマー(Pluronic P123、BASF社製)0.7g、1−プロパノール13g、0.01M塩酸水溶液1.35gを混合・攪拌し、ゾル反応液を得た。超純水洗浄を施した石英基板上にゾル反応液をディップコート法により塗布し、塗布膜を得た。
その後、基板を電気炉にて400℃で4時間焼成することにより、メソポーラスシリカ薄膜を得た。
次に、このメソポーラスシリカ薄膜を真空反応器内に静置して密閉した上で、真空反応器内を真空ポンプにより減圧し、封止した。次に真空反応器内へ構造式(1)に示すt−ヘキシルジメチルクロロシランの蒸気を導入し、10時間、疎水性処理を行った。
その後、真空反応器内を窒素で十分フローしたうえでメソポーラスシリカ薄膜を取り出し、120℃で2時間、吸着水の除去処理を施した。
このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価した。その結果、波長550nmにおける屈折率は1.32、膜厚は112nmであった。このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間経過し、さらに室温環境にて24時間静置した後でも、屈折率の変動はほとんど見られなかった。
このメソポーラスシリカ膜について、実施例1と同様の方法により、表面層及び内部層の化学分析を行った。その結果、表面層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.3であった。また、内部層におけるケイ素に対する炭素の元素比(A/S)は、0.3であった。またTOF−SIMSにより分析を行った結果、表面層・内部層のいずれにおいても、構造式(1)に由来する疎水性構造の存在が確認された。
これより、細孔内への水分吸着が不十分な状態で、真空反応器において疎水性修飾材料の蒸気処理を施したメソポーラスシリカ膜は、疎水性は十分であるものの、内部層まで疎水性構造が導入されることに伴う屈折率上昇の影響が大きいことが示された。
(実施例3)
本実施例は、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーを鋳型に用いて作製したメソポーラスシリカ膜に対して、高湿度中でテトラメトキシシラン(TMOS)を反応させ、表面に非多孔質シリカ層を形成し、安定な低屈折率を示す反射防止膜を作製した例である。
エタノール7.6mlにテトラエトキシシラン5.7ml、0.01M塩酸2.7mlを添加し、20分間攪拌し、そこに、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーPluronic P123(BASF社)1.4gを5.1mlのエタノールに溶解した溶液を添加し、さらに3.5時間攪拌して前駆体ゾル溶液を作製した。
UV−オゾンアッシャーで表面をクリーニングしたシリコン基板(ドープ無し、両面研磨)及び石英ガラス基板上に、前記前駆体ゾル溶液をスピンコート法により塗布し、塗布膜を得た。スピンコートの条件は、1000回転10秒後3000回転40秒で、スピンコートの際の雰囲気は25℃相対湿度40%とした。この膜を室温で24時間乾燥させた後、空気中において170℃で20時間焼成し、界面活性剤を除去してメソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜を温度25℃、相対湿度40%の反応器内に静置して密閉した上で、反応器内における相対湿度を90%に上昇させた後、反応器内における温度を0.1℃/分の速度で60℃まで上昇させた。反応器内の温度を60℃、相対湿度を90%に保ちながら、反応器内にTMOS蒸気を導入し、メソポーラスシリカ膜をこの雰囲気に10時間保持した。
この処理を行った後、反応容器内の雰囲気を空気に置換し、環境を25℃相対湿度40%に戻した後、メソポーラスシリカ膜を容器から取り出した。
続いてこの膜を電気炉に入れ、空気中において昇温速度1℃/分で150℃まで昇温し、4時間保持した後、同じ昇温速度でさらに400℃まで昇温し、400℃で20時間焼成を行い、最終的なメソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜の断面を、高分解能の電界放射型走査電子顕微鏡で観察すると、膜厚約200nmの二次元ヘキサゴナル構造のメソポーラスシリカ膜と、その表面に形成された膜厚約20nmのシリカ層の2層構成を確認することができる。表面シリカ層は、一様なコントラストで、多孔質構造を有していないことが確認される。
シリコン基板上の膜について、フーリエ変換赤外吸光分析を行った結果、メソポーラスシリカ膜中に存在するシラノール基は、ほぼ孤立シラノールのみであることが分かった。
石英ガラス基板上に形成した、このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価すると、波長550nmにおける屈折率は1.24、膜厚は210nmと求められ、膜厚は電子顕微鏡による観察結果と良い一致をみる。
このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間放置し、さらに室温環境にて24時間静置した後に、エリプソメトリーで同様に評価すると、屈折率の変動がほとんど無いことが確認された。
(実施例4)
本実施例は、実施例3と同じポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーP123を鋳型に用いて作製したメソポーラスシリカ膜に対して、高湿度中でテトラエトキシシラン(TEOS)を反応させ、表面に非多孔質シリカ層を形成し、安定な低屈折率を示す反射防止膜を作製した例である。
実施例3と同様の手順で、同じ材料と条件で、シリコン基板(ドープ無し、両面研磨)、及び石英ガラス基板上に有機物と塗布膜を作製した。この膜を室温で24時間乾燥させた後、空気中において160℃で20時間焼成し、界面活性剤を除去してメソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜を温度25℃、相対湿度40%の反応器内に静置して密閉した上で、反応器内における相対湿度を80%に上昇させた後、反応器内における温度を0.1℃/分の速度で70℃まで上昇させた。反応器内の温度を70℃、相対湿度を80%に保ちながら、反応器内にTEOS蒸気を導入し、メソポーラスシリカ膜をこの雰囲気に10時間保持した。
この処理を行った後、反応容器内の雰囲気を空気に置換し、環境を25℃相対湿度40%に戻した後、メソポーラスシリカ膜を容器から取り出した。
続いてこの膜を電気炉に入れ、空気中において昇温速度1℃/分で150℃まで昇温し、4時間保持した後、同じ昇温速度でさらに200℃まで昇温し、200℃で20時間焼成を行い、最終的なメソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜の断面を、高分解能の電界放射型走査電子顕微鏡で観察すると、膜厚約250nmの二次元ヘキサゴナル構造のメソポーラスシリカ膜と、その表面に形成された膜厚約20nmのシリカ層の2層構成を確認することができる。表面シリカ層は、一様なコントラストで、多孔質構造を有していないことが確認される。
シリコン基板上の膜について、フーリエ変換赤外吸光分析を行った結果、メソポーラスシリカ膜中に存在するシラノール基は、実施例3で測定された場合よりも存在量は多いものの、ほぼ孤立シラノールのみであることが分かった。
石英ガラス基板上に形成した、このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価すると、波長550nmにおける屈折率は1.26、膜厚は270nmと求められた。
このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、80%RH環境下で100時間放置し、さらに室温環境にて24時間静置した後に、エリプソメトリーで同様に評価すると、屈折率の変動がほとんど無いことが確認された。
(実施例5)
本実施例は、実施例3とは異なるポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーを鋳型に用いて作製したメソポーラスシリカ膜に対して、高湿度中でテトラメトキシシランとテトラクロロシランの混合ガスを反応させ、表面に非多孔質シリカ層を形成し、安定な低屈折率を示す反射防止膜を作製した例である。
エタノール7.6mlにテトラエトキシシラン5.7ml、0.01M塩酸2.7mlを添加し、20分間攪拌し、そこに、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーPluronic F127(BASF社)2.8gを5.1mlのエタノールに溶解した溶液を添加し、さらに3.5時間攪拌して前駆体ゾル溶液を作製した。
UV−オゾンアッシャーで表面をクリーニングした、シリコン基板(ドープ無し、両面研磨)及び石英ガラス基板上に、前記前駆体ゾル溶液をスピンコート法により塗布し、塗布膜を得た。スピンコートの条件は、1000回転10秒後3500回転30秒で、スピンコートの際の雰囲気は25℃相対湿度40%とした。この膜を室温で24時間乾燥させた後、空気中において170℃で20時間焼成し、界面活性剤を除去してメソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜を温度25℃、相対湿度40%の反応器内に静置して密閉した上で、反応器内における相対湿度を90%に上昇させた後、反応器内における温度を0.1℃/分の速度で60℃まで上昇させた。反応器内の温度を60℃、相対湿度を90%に保ちながら、反応器内に、テトラクロロシランとテトラメトキシシラン(TMOS)の混合蒸気を導入し、メソポーラスシリカ膜をこの雰囲気に10時間保持した。
この処理を行った後、反応容器内の雰囲気を空気に置換し、環境を25℃相対湿度40%に戻した後、メソポーラスシリカ膜を容器から取り出した。
続いてこの膜を電気炉に入れ、空気中において昇温速度1℃/分で150℃まで昇温し、4時間保持した後、同じ昇温速度でさらに400℃まで昇温し、400℃で20時間焼成を行い、最終的なメソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜の断面を、高分解能の電界放射型走査電子顕微鏡で観察すると、膜厚約180nmのキュービック構造のメソポーラスシリカ膜と、その表面に形成された膜厚約20nmのシリカ層の2層構成を確認することができた。表面シリカ層は、一様なコントラストで、多孔質構造を有していないことが確認された。
シリコン基板上の膜について、フーリエ変換赤外吸光分析を行った結果、メソポーラスシリカ膜中に存在するシラノール基は、ほぼ孤立シラノールのみであることが分かった。
石英ガラス基板上に形成した、このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価すると、波長550nmにおける屈折率は1.25、膜厚は200nmと求められ、膜厚は電子顕微鏡による観察結果と良い一致をみる。
このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間経過し、さらに室温環境にて24時間静置した後に、エリプソメトリーで同様に評価すると、屈折率の変動がほとんど無いことが確認された。
(実施例6)
本実施例は、実施例3、4と同じポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーP123を鋳型に用いて作製した、異なる細孔構造のメソポーラスシリカ膜に対して、高湿度中でTMOSを反応させ、表面に非多孔質シリカ層を形成し、安定な低屈折率を示す反射防止膜を作製した例である。
1−プロパノール9.7mlにテトラエトキシシラン2.8mlを添加し溶解させた。ここに、1−プロパノール6.5mlに0.01M塩酸1.4mlとポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーPluronic P123(BASF社)0.7gを溶解した溶液を添加し、さらに24時間攪拌した後、8.0mlのエタノールをさらに加えて前駆体ゾル溶液を作製した。
UV−オゾンアッシャーで表面をクリーニングしたシリコン基板(ドープ無し、両面研磨)及び石英ガラス基板上に、前記前駆体ゾル溶液をスピンコート法により塗布し、塗布膜を得た。スピンコートの条件は、1000回転10秒後3500回転60秒で、スピンコートの際の雰囲気は25℃相対湿度40%とした。この膜を室温で24時間乾燥させた後、空気中において170℃で20時間焼成することで界面活性剤を除去して、メソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜を温度25℃、相対湿度40%の反応器内に静置して密閉した上で、反応器内における相対湿度を90%に上昇させた後、反応器内における温度を0.1℃/分の速度で60℃まで上昇させた。反応器内の温度を60℃、相対湿度を90%に保ちながら、反応器内にTMOS蒸気を導入し、メソポーラスシリカ膜をこの雰囲気に10時間保持した。
この処理を行った後、反応容器内の雰囲気を空気に置換し、環境を25℃相対湿度40%に戻した後、メソポーラスシリカ膜を容器から取り出した。
続いてこの膜を電気炉に入れ、空気中において昇温速度1℃/分で150℃まで昇温し、4時間保持した後、同じ昇温速度でさらに400℃まで昇温し、400℃で20時間焼成を行い、最終的なメソポーラスシリカ膜を得た。
このメソポーラスシリカ膜の断面を、高分解能の電界放射型走査電子顕微鏡で観察すると、膜厚約150nmのワームホール構造のメソポーラスシリカ膜と、その表面に形成された膜厚約20nmのシリカ層の2層構成を確認することができた。表面シリカ層は、一様なコントラストで、多孔質構造を有していないことが確認された。
シリコン基板上の膜について、フーリエ変換赤外吸光分析を行った結果、メソポーラスシリカ膜中に存在するシラノール基は、ほぼ孤立シラノールのみであることが分かった。
石英ガラス基板上に形成した、このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価すると、波長550nmにおける屈折率は1.24、膜厚は160nmと求められ、膜厚は電子顕微鏡による観察結果と良い一致をみる。
このメソポーラスシリカ膜を恒温恒湿槽にて60℃、90%RH環境下で100時間放置し、さらに室温環境にて24時間静置した後に、エリプソメトリーで同様に評価すると、屈折率の変動がほとんど無いことが確認された。
(比較例4)
実施例3と同様に、エタノール7.6mlにテトラエトキシシラン5.7ml、0.01M塩酸2.7mlを添加し、20分間攪拌し、そこに、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーPluronic P123(BASF社)1.4gを5.1mlのエタノールに溶解した溶液を添加し、さらに3.5時間攪拌して前駆体ゾル溶液を作製した。
UV−オゾンアッシャーで表面をクリーニングした石英ガラス基板上に、前記前駆体ゾル溶液をスピンコート法により塗布し、塗布膜を得た。スピンコートの条件は、1000回転10秒後3000回転40秒で、スピンコートの際の雰囲気は25℃相対湿度40%とした。この膜を室温で24時間乾燥させた後、空気中において400℃で20時間焼成し、界面活性剤を除去してメソポーラスシリカ膜を得た。
断面の走査電子顕微鏡観察により、この膜は、膜厚約150nmの、二次元ヘキサゴナル構造のメソポーラスシリカであることが確認された。
このメソポーラスシリカ膜について、屈折率及び膜厚を分光エリプソメトリーにより評価すると、波長550nmにおける屈折率は1.22、膜厚は160nmと求められる。このメソポーラスシリカ膜を恒温恒質槽にて60℃、90%RH環境下で100時間経過した後、室温環境にて24時間静置した後に再度屈折率を測定したところ、1.28に上昇していた。
これは、本発明の表面非多孔質シリカ層を形成していない、単純なメソポーラスシリカ膜は、吸湿による屈折率変動が起こることを示している。
1 基材
2 メソポーラスシリカ膜
3 表面層
4 内部層
5 表面
6 非多孔質シリカ層

Claims (24)

  1. メソポーラスシリカ膜において、前記メソポーラスシリカ膜の少なくとも一方の表面から深さ10nm未満の領域である表面層にSiO(2−n/2)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる構造を有し、前記表面層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上であり、かつ前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm以上の領域である内部層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)より小さいことを特徴とするメソポーラスシリカ膜。
  2. 前記メソポーラスシリカ膜の内部層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)が、前記メソポーラスシリカ膜の表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)の25%以下であることを特徴とする請求項1に記載のメソポーラスシリカ膜。
  3. メソポーラスシリカ膜を有する構造体において、前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm未満の領域である表面層にSiO(2−n/2)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる構造を有し、前記表面層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上であり、かつ前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm以上の領域である内部層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)より小さいことを特徴とする構造体。
  4. 前記メソポーラスシリカ膜の内部層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)が、前記メソポーラスシリカ膜の表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)の25%以下であることを特徴とする請求項3に記載の構造体。
  5. メソポーラスシリカ膜を有する反射防止膜において、前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm未満の領域である表面層にSiO(2−n/2)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。nは1以上3以下の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる構造を有し、前記表面層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が0.1以上であり、かつ前記メソポーラスシリカ膜の表面から深さ10nm以上の領域である内部層におけるケイ素の数(S)に対する炭素の数とフッ素の数の合計(A)の元素成分比(A/S)が、前記表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)より小さいことを特徴とする反射防止膜。
  6. 前記メソポーラスシリカ膜の内部層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)が、前記メソポーラスシリカ膜の表面層におけるケイ素の数に対する炭素の数とフッ素の数の合計の元素成分比(A/S)の25%以下であることを特徴とする請求項5に記載の反射防止膜。
  7. 反射防止膜を有する光学部材であって、前記反射防止膜が請求項5または6に記載の反射防止膜であることを特徴とする光学部材。
  8. 処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法において、
    1)内部の相対湿度を制御可能な反応器内において、メソポーラスシリカ膜を相対湿度80%以上の環境に曝露することにより、メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分を吸着させる工程、
    2)前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分が吸着した状態で、シリコン含有化合物を含む蒸気を前記反応器内に導入する工程、
    3)前記メソポーラスシリカ膜を前記シリコン含有化合物により処理した後、前記メソポーラスシリカ膜を反応器から取り出し、細孔内に吸着した水分を脱離させる工程
    を有することを特徴とする処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  9. 前記シリコン含有化合物が、SiX(4−n)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。Yは、塩素、臭素、水酸基、アルコキシ基から選ばれる1種類以上からなる基を示す。nは1乃至3の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項8に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  10. 前記処理により前記メソポーラスシリカ膜の疎水性を高めることを特徴とする請求項8または9に記載のメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  11. 前記シリコン含有化合物がSiA(Aは塩素、臭素もしくはアルコキシ基)で表わされる構造を有する化合物であることを特徴とする請求項8に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  12. 前記処理により前記メソポーラスシリカ膜の表面に非多孔質シリカ層を形成することを特徴とする請求項8または11に記載のメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  13. 前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分を吸着させる工程に先だって、界面活性剤とシリカ源とを含む前駆体溶液を基材に塗布し、170℃以下の温度で乾燥させることでメソポーラスシリカ膜を得る工程を有し、
    前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分が吸着した状態で、シリコン含有化合物を含む蒸気を前記反応器内に導入する工程の後に、前記処理されたメソポーラスシリカ膜を170℃以上の温度で焼成する工程を有することを特徴とする請求項11または12に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  14. 前記焼成を300℃以上の温度で行うことを特徴とする請求項13に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  15. 処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法において、
    1)減圧可能な反応器内において、メソポーラスシリカ膜と水が共存した状態で反応器内を減圧し、反応器内において最も分圧の高い気体が水蒸気である環境を形成した後封止することにより、メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分を吸着させる工程、
    2)前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分が吸着した状態で、シリコン含有化合物を含む蒸気を前記反応器内に導入する工程、
    3)前記メソポーラスシリカ膜を前記シリコン含有化合物により処理した後、前記メソポーラスシリカ膜を反応器から取り出し、細孔内に吸着した水分を脱離させる工程、
    を有することを特徴とする処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  16. 前記シリコン含有化合物が、SiX(4−n)(Xはアルキル基、フッ化アルキル基およびフッ素から選ばれる少なくとも1種類以上からなる基を示す。Yは、塩素、臭素、水酸基、アルコキシ基から選ばれる1種類以上からなる基を示す。nは1乃至3の整数を示す。Xがアルキル基またはフッ化アルキル基の場合、その一部に不飽和結合を有していてもよい。)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項15に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  17. 前記処理により前記メソポーラスシリカ膜の疎水性を高めることを特徴とする請求項15または16に記載のメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  18. 前記シリコン含有化合物がSiA(Aは塩素、臭素もしくはアルコキシ基)で表わされる構造を有する化合物であることを特徴とする請求項15に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  19. 前記処理により前記メソポーラスシリカ膜の表面に非多孔質シリカ層を形成することを特徴とする請求項15または18に記載のメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  20. 前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分を吸着させる工程に先だって、界面活性剤とシリカ源とを含む前駆体溶液を基材に塗布し、170℃以下の温度で乾燥させることでメソポーラスシリカ膜を得る工程を有し、
    前記メソポーラスシリカ膜の細孔内に水分が吸着した状態で、シリコン含有化合物を含む蒸気を前記反応器内に導入する工程の後に、前記処理されたメソポーラスシリカ膜を170℃以上の温度で焼成する工程を有することを特徴とする請求項18または19に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  21. 前記焼成する工程を300℃以上の温度で行うことを特徴とする請求項20に記載の処理されたメソポーラスシリカ膜の製造方法。
  22. メソポーラスシリカ膜を有する構造体の製造方法において、該メソポーラスシリカ膜を請求項8〜21のいずれか1項記載の方法によって形成することを特徴とする構造体の製造方法。
  23. メソポーラスシリカ膜を有する反射防止膜の製造方法において、該メソポーラスシリカ膜を請求項8〜21のいずれか1項記載の方法によって形成することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
  24. メソポーラスシリカ膜を有する反射防止膜を有する光学部材の製造方法において、該メソポーラスシリカ膜を請求項8〜21のいずれか1項記載の方法によって形成することを特徴とする光学部材の製造方法。
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